JP5678712B2 - モノフルオロメタンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モノフルオロメタン(CHF)の製造方法に関し、より詳しくは、エッチング剤やクリーニング剤等の半導体ガスとして有用なモノフルオロメタンを製造するとともに医農薬中間体として有用なジフルオロ酢酸フルオライドまたはその誘導体を同時に製造する方法に関する。
モノフルオロメタンの製造方法としては、塩化メチルを触媒上においてフッ化水素でフッ素化(塩素−フッ素交換)する方法が知られている(特許文献1)。この方法は、高選択率であるが、転化率が低く効率的な生産方法とは言い難い。また、目的生成物であるモノフルオロメタン(沸点:−78℃)と副生物である塩化水素(沸点:−85℃)は、沸点が近接しているだけでなく、共沸現象を示すので、蒸留分離が容易ではなく、複雑な精製プロセスが使用される(特許文献2)。さらに、ヨウ化メチルをテトラ−n−ブチルアンモニウム塩を用いてフッ素化する方法が知られているが(非特許文献1)、特許文献1の方法と比較して出発原料が入手困難である。また、これらの方法の出発原料は毒性が高いだけでなく、オゾン層破壊物質であるので、取り扱いに注意を要する。また、特許文献2に記載されているように、ラジカルとの反応性の高い塩素、臭素、ヨウ素等が製品に混入すると、エッチング速度等に影響するので、原料にこれらの含ハロゲン物質を用いることは望ましくない。
特許文献3には、金属酸化物触媒に1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを接触させることよるジフルオロ酢酸フルオリドまたはジフルオロ酢酸エステルの合成時に、副生物としてフッ化アルキルおよびそのフッ化アルキルの分解物であるオレフィンやフッ化水素が生成すると記載されているが、モノフルオロメタンの収率、純度、単離精製法、活用方法などに関しての記載は見られない。
国際公開第2005/026090号パンフレット 特開2006−111611号公報 特開平8−92162号公報
J.Am.Chem.Soc.,127(7),2050−2051 (2005)
ハロゲン−フッ素交換反応により製造される含フッ素半導体用ガスには、原料に起因して、半導体装置製造工程において忌避される塩素、臭素、ヨウ素等のフッ素以外のハロゲンを不純物として含むことが多く、異方性エッチング等の精密なエッチングにおいて種々の問題を生じることが知られている。そこで、本発明は、フッ素以外のハロゲンを実質上含まないモノフルオロメタンを実用的かつ効率的に製造する方法を提供する。
本発明者らは、モノフルオロメタンの製造方法について検討したところ、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを触媒と接触させて熱分解することによって生成した熱分解生成物から高収率で高純度のモノフルオロメタンを簡便に単離できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の通りである。
[発明1]
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを触媒と接触させて熱分解する熱分解工程と、熱分解生成物からモノフルオロメタンを回収する工程とを少なくとも有するモノフルオロメタンの製造方法。
[発明2]
モノフルオロメタンを回収する工程が、熱分解生成物の一部を液化してモノフルオロメタンを分離する工程を含む工程である発明1。
[発明3]
熱分解生成物の一部の液化を、冷却することで行う発明2。
[発明4]
冷却温度が、−80〜−5℃である発明3。
[発明5]
モノフルオロメタンを回収する工程が、ジフルオロ酢酸フルオライドに対して不活性な溶媒にジフルオロ酢酸フルオライドを吸収させる工程を含む工程である発明1。
[発明6]
ジフルオロ酢酸フルオライドに対して不活性な溶媒が、炭化水素化合物である発明5。
[発明7]
モノフルオロメタンを回収する工程が、ジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な化合物と接触させる工程を含む工程である発明1。
[発明8]
ジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な化合物が、水、アルコール類、第一アミン、第二アミンまたはαβ不飽和カルボン酸エステルである発明7。
[発明9]
ジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な化合物と接触させる工程において、溶媒を存在させる発明7または8。
[発明10]
ジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な化合物と接触させる工程において、塩基性物質を存在させる発明7〜9。
[発明11]
熱分解工程が、金属酸化物、部分フッ素化金属酸化物、金属フッ化物、未処理もくしはフッ素化処理したリン酸または未処理もくしはフッ素化処理したリン酸塩を触媒とし、熱分解温度を100℃〜400℃とする発明1〜10。
[発明12]
熱分解工程が、アルミナ、部分フッ素化アルミナまたはフッ化アルミニウムを触媒とし、熱分解温度を130℃〜260℃とする発明1〜10。
[発明13]
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法で製造されたモノフルオロメタンを含むことを特徴とする半導体装置製造工程におけるエッチング剤またはクリーニングガス。
[発明14]
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法で製造されたモノフルオロメタンを用いることを特徴とする半導体装置製造工程におけるエッチング方法またはクリーニング方法
[発明15]
モノフルオロメタンを得ると共にジフルオロ酢酸フルオライドを分離して得る工程を有する発明1〜6。
本発明の製造方法は、原料に塩素等を含まないため、不純物としてフッ素以外のハロゲンを含有しない高純度のモノフルオロメタンを製造することができる。本発明の方法では、複雑な手段による精製操作を行うことなく半導体工業におけるエッチング剤またはクリーニング剤として使用できる高純度のモノフルオロメタンを製造することができる。本発明の製造方法では、原料にオゾン層破壊等の地球環境への負荷が小さく、毒性の低い1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを使用することから実用性の高い製造方法である。さらに、副生成物として得られるジフルオロ酢酸フルオライド等は医農薬中間体としての用途を有するため、原料を有効に利用することができる。
(a)は、モノフルオロメタンの使用例1、2で用いたエッチング用試料の断面模式図を示し、(b)は、エッチング後の断面模式図を示す。 モノフルオロメタンの使用例1、2で用いたリモートプラズマ装置の概略断面図である。 実施例1〜21で使用した装置の概略図である。 実施例22〜24、参考例5、6で使用した装置の概略図である。 実施例26で使用した装置の概略図である。 実施例27、28で使用した装置の概略図である。
本発明の製造方法は、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、触媒存在下に熱分解してモノフルオロメタンを含む熱分解生成物を得て、この熱分解生成物からモノフルオロメタンを分離して製造する方法である。この方法が関与する反応は、以下の式で表わされる。
CHFCFOCH → CHF + CHFCOF
本発明の原料である1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンは、公知の製造方法で得ることができる。例えば、メタノールとテトラフルオロエチレンを水酸化カリウムの存在下に反応させる方法により1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンが合成できる(J.Am.Chem.Soc.,73,1329(1951))。
本発明にかかる熱分解の触媒は金属酸化物、部分フッ素化金属酸化物、金属フッ化物、リン酸またはリン酸塩であり、固体触媒として使用する。
金属酸化物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどが例示でき、入手の容易なアルミナが特に好ましい。アルミナは、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩の水溶液にアンモニアを添加してアルミニウム水酸化物を沈殿させ、成形、乾燥して任意の大きさ、形状の成形物とすることができる。結晶形としては、比表面積の大きいγ−アルミナが好ましい。乾燥剤、吸着剤、触媒担体などとして市販されているα−アルミナやγ―アルミナを使用できる。金属酸化物は、使用に先立ち、フッ化水素、有機フッ素化合物ガスなどで部分的に酸素原子をフッ素原子で置換し、部分フッ素化金属酸化物とするフッ素化処理を行い、反応中に触媒がフッ素化され活性が低下することを防止するのが好ましい。このフッ素化処理をしない場合、熱分解で生成したモノフルオロメタンや原料が反応温度で金属酸化物と接触すると、触媒がフッ素化されて触媒活性が不安定になる一方、モノフルオロメタンやジフルオロ酢酸フルオライドは分解され、メタン等の炭化水素の副生物が増加することがある。フッ素化処理には、フッ化水素がフッ素化剤として安価であるだけでなく、処理により炭素の析出が起こらないので好ましい。
金属フッ化物の中では、特にフッ化アルミニウム(AlF)またはフッ化カルシウム(CaF)が好ましい。これらのフッ化物は無水物であることが好ましい。含水物から調製する場合は、加熱によって脱水処理を行うことが好ましい。これらの触媒では、金属は完全にフッ素化されているので、触媒が原料もしくは生成物からフッ素を引き抜くという金属酸化物の場合のような現象は起こらないが、金属フッ化物においても、フッ化水素等によるフッ素化処理は触媒表面を活性化するので好ましい。
熱分解の触媒としては、リン酸またはリン酸塩(本明細書では、リン酸およびリン酸塩を合わせて「リン酸塩」ということがある。)も好ましい。リン酸塩は、担体に担持されたものであってもよい。リン酸としては、オルトリン酸、ポリリン酸、メタリン酸のいずれであってもよい。ポリリン酸としては、ピロリン酸などが挙げられる。リン酸塩は、これらのリン酸の金属塩である。取り扱いが容易であるのでオルトリン酸であるのが好ましい。
リン酸塩としては、特に限定されないが、水素、アルミニウム、ホウ素、アルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、ランタン、セリウム、イットリウム、希土類金属、バナジウム、ニオブ、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群より選ばれた、少なくとも1種の金属のリン酸塩が挙げられる。好ましくは、主成分であるリン酸塩はリン酸アルミニウム、リン酸セリウム、リン酸ホウ素、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸クロムなどである。これらは他の金属を含むことも好ましい。具体的にはセリウム、ランタン、イットリウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル等が好ましいが、セリウム、鉄、イットリウムがより好ましい。これらのうちで、さらに好ましくは、リン酸アルミニウム、リン酸セリウムおよびこれら二種からなるリン酸塩である。
リン酸塩触媒の調製方法に特に制限はなく、市販のリン酸塩をそのまま使ってもよいし、一般的な沈殿方法で調製してもよい。沈殿方法の具体的な調製方法としては、例えば、金属の硝酸塩(複数の金属の場合はそれぞれの塩の溶液を調製する。)とリン酸の混合水溶液に、希釈アンモニア水を滴下してpHを調節して沈殿させ、必要に応じて熟成放置する。その後、水洗し、洗浄水の電導度などで十分に水洗したことを確認する。場合によっては、スラリーの一部を取り含有するカチオンを測定して確認する。次いで濾過し乾燥する。乾燥する温度に特に制限はない。好ましくは80℃〜150℃がよい。さらに好ましくは100℃〜130℃である。得られた乾燥体は粉砕し粒度を揃えるか、さらに粉砕しペレットや球状に成型する。その後、200℃〜1500℃の条件で空気や窒素雰囲気で焼成する。好ましくは400〜1300℃、さらに好ましくは500℃〜900℃で焼成を行う。
焼成時間は温度にもよるが1時間〜50時間程度で、好ましくは2時間〜24時間程度である。焼成処理は、リン酸塩の安定化に必要な処理であるので、熱分解反応の温度より低温で処理した場合や、処理時間が短い場合は、反応初期において十分に触媒活性を示さないことがある。また、上記の温度範囲以上でまたは長時間焼成処理を行うことは、過剰な加熱エネルギーを要するだけでなく、触媒の結晶化を引き起こし、触媒活性を損なうことがあるので好ましくない。
主成分以外の金属成分の添加の操作は、金属塩を用いて行うことが好ましく、前記金属の硝酸塩、塩化物、酸化物、リン酸塩などとして使用する。中でも、硝酸塩が水溶性が大きいので好ましい。添加量に特に制限はないが、一般にはリン1グラム原子に対し1グラム原子以下であり、好ましくは0.5グラム原子以下である。より好ましくは0.3グラム原子以下である。これらの金属成分の添加は、触媒調製の際の沈殿前の金属塩溶液に行ってもよく、また、触媒焼成後のリン酸塩触媒を金属塩溶液に浸漬等して行ってもよい。
金属酸化物、部分フッ素化金属酸化物、金属フッ化物、リン酸またはリン酸塩の触媒は、そのまま、流動床用触媒として粉末で使用することも可能であるが、ペレット状に打錠成形して固定床用触媒としても使用できる。粉体を打錠するときに、バインダーを添加してもよい。バインダーは従来一般的に使われている糖類、高分子化合物、金属酸化物等が使用できるが、オルトリン酸、ポリリン酸、メタリン酸等のリン酸を少量添加すると、触媒活性を損なうことなく効率的に打錠成形できる。
触媒としては、前記したように活性成分をそのまま使用することもできるが、担体に担持した状態で使用することは好ましい。担体としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニア(ZrO(SO))などの金属酸化物、炭化珪素、窒化珪素、活性炭等が挙げられるが、活性炭が特に好ましい。
リン酸を坦持した触媒は、担体をリン酸に浸漬して含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させたものを乾燥させて調製できる。リン酸塩を担持させる場合、担持させる一種以上の化合物の単一の溶液を含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させた後、乾燥させて調製できる。また、第一の化合物の溶液を含浸等して乾燥させた後、さらに異なる化合物の溶液を含浸等させることもできる。また、先に述べたリン酸塩の沈殿法による調製方法を活性炭などの担体の存在下で行うことでもリン酸塩担持触媒を調製することができる。
活性炭は、木材、木炭、椰子殻炭、パーム核炭、素灰等を原料とする植物系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等を原料とする石炭系、石油残滓、オイルカーボン等を原料とする石油系または炭化ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂系等のいずれのものでもよい。これら市販の活性炭から選択し使用することができ、例えば、瀝青炭から製造された活性炭(東洋カルゴン製BPL粒状活性炭)、椰子殻炭(日本エンバイロケミカルズ製粒状白鷺GX、SX、CX、XRC、東洋カルゴン製PCB)等が挙げられるが、これらに限定されない。形状、大きさも通常粒状で用いられるが、球状、繊維状、粉体状、ハニカム状等反応器に適合すれば通常の知識範囲の中で使用することができる。
本発明において使用する活性炭は比表面積の大きな活性炭が好ましい。活性炭の比表面積は、市販品の規格の範囲で十分であるが、それぞれ400m/g〜3000m/gであり、800m/g〜2000m/gが好ましい。さらに活性炭を担体に用いる場合、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液に常温付近で10時間程度またはそれ以上の時間浸漬するか、活性炭を触媒担体に使用する際に通常行われる硝酸、塩酸、フッ酸等の酸による前処理を施し、予め担体表面の活性化ならびに灰分の除去を行ってもよい。
本発明のリン酸塩触媒またはリン酸塩を担持した触媒も、使用の前に予めフッ化水素、フッ素化炭化水素またはフッ素化塩素化炭化水素などの含フッ素化合物と接触させてフッ素化処理を行うことは、反応中の触媒の組成変化を防ぐので、触媒の長寿命化、異常反応防止に効果がある。
本発明の金属酸化物などの担体としては、金属成分と酸素以外の他の原子を含んでいてもよく、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)および硫酸ジルコニアならびにこれらの部分フッ素化酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物が好ましく、アルミナおよび部分フッ素化アルミナが触媒活性および触媒寿命の点で特に好ましい。触媒中の酸素原子とフッ素原子の割合は、特に限定されない。
本明細書および特許請求の範囲においては、特に限定されない限り、前記のように部分的にフッ素化、塩素化などされたアルミナ、ジルコニアなどの酸化物を「アルミナ」、「ジルコニア」などの酸化物名称で表示することがある。
フッ化水素によるフッ素化処理は、反応の活性を著しく高めることができる。少なくとも熱分解の温度よりも高い温度において、フッ化水素と接触させることで行うのが好ましい。具体的には、アルミナなどの金属酸化物またはフッ化アルミニウムなどの金属フッ化物の場合、200〜600℃程度であり、250〜500℃程度が好ましく、300〜400℃がより好ましい。リン酸塩単独の場合、200〜700℃程度であり、250〜600℃程度が好ましく、300〜550℃がより好ましい。一方、リン酸塩担持触媒の場合、200〜600℃程度であり、250〜500℃程度が好ましく、300〜400℃がより好ましい。いずれも200℃未満では処理に時間を要し、最高温度範囲を超えて処理を行うことは、過剰な加熱エネルギーを要するので好ましくない。また、処理時間は、処理量、処理温度とも関係するので限定できないが、1時間〜10日程度、好ましくは、3時間〜7日間程度である。
熱分解においては、以上の説明した触媒の内、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、アルミナまたはリン酸アルミニウムをフッ化水素で処理した触媒が特に好ましい。
熱分解は、気相流通連続方式が最も好ましい形式として挙げられるが、これに限定されない。反応器の寸法・形状は、反応物の量等に応じて適宜変更できる。
熱分解においては、反応条件で不活性なガスを存在させることもできるが、モノフルオロメタンと不活性ガスの分離操作が煩雑となる。
熱分解温度は、触媒の種類または接触時間に依存するが、通常100〜400℃であり、110〜350℃が好ましく、130〜320℃がより好ましく、130〜260℃がさらに好ましく、140〜200℃が特に好ましい。反応温度が100℃未満では、モノフルオロメタンの選択率は高いものの転化率が低いため、生産性が低く好ましくない。反応温度が400℃を超えると転化率はほぼ100%であるが、反応装置に過酷な耐熱性が必要となり、過剰な加熱エネルギーを要するので経済的に好ましくないだけでなく、副反応が起こることがある。例えば、後述する参考例5で示すように、生成したジフルオロ酢酸フルオライドは高温で触媒に接すると、トリフルオロメタン(CHF)に分解することがある。このCHF(沸点=−82℃)は、目的化合物であるモノフルオロメタン(沸点:−78℃)と沸点が近接しており、蒸留分離に負荷をかけるので、できるだけ生成を抑制するのが望ましい。
反応時間(接触時間)は反応温度に依存するが、通常0.1〜1000秒であり、1〜500秒が好ましく、10〜300秒がより好ましい。反応時間が0.1秒より短い場合は、転化率が低くなる恐れがあり、一方、1000秒より長いと生産性が低下するので、それぞれ好ましくない。逆に、反応温度が100℃未満の非常に反応が遅い領域でも、接触時間を長くして転化率を向上させることも可能である。
反応圧力は、特に限定されず、常圧、減圧、または加圧のいずれであってもよい。0.05〜0.5MPa(0.5〜5気圧)程度が好ましく、通常は、操業が容易な大気圧近傍の圧力が好ましい。
熱分解反応は、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの転化率を実質上100%とすることができる。転化率はトリフルオロメタンの副生率と相関するので、トリフルオロメタンの生成を減らし精製工程の簡略化を望む場合には、30〜95%とすることが好ましく、50〜90%がより好ましい。転化率が30%未満ではモノフルオロメタンの生産性が低く、95%を超えるとトリフルオロメタンの副生が増加することがある。
熱分解反応の触媒は、経時的にコーキングが発生することがあり、触媒の活性が低下することがある。活性の低下した触媒は、200℃〜1200℃、好ましくは、400℃〜800℃において、酸素と接触させること(酸素処理)で容易に活性を再生させることができる。酸素処理は触媒を反応管に装填したまま又は外部の装置に装填して酸素を流通させるのが簡便である。酸素の流通は他のガスが共存してもよく、酸素、空気、窒素希釈酸素などが使用できるが、窒素で希釈した空気または空気が経済的に好ましい。また、塩素、フッ素等の酸化力のある気体も使用できる。また、これらの処理を行った後にフッ化水素を接触させると触媒表面がさらに活性化されるので好ましい。
熱分解により生じた熱分解生成物の主成分はモノフルオロメタンとジフルオロ酢酸フルオライドであり、未反応の1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの他、微量のメタン(CH)、エチレン(C)、トリフルオロメタン(CHF)、プロピレン(C)、ジフルオロ酢酸メチル(CHFCOOCH)、ジフルオロ酢酸(CHFCOOHなどが含まれることがある。熱分解生成物からモノフルオロメタンを分離して取得する方法は限定されない。具体的には、モノフルオロメタンとそれ以外の成分の沸点差を利用する蒸留分離法、溶媒への溶解度の差を利用する吸収分離法、またはジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な水素原子を有する化合物と反応させた上で分離する反応分離法などがある。
[蒸留分離法]
目的化合物であるモノフルオロメタン(沸点:−78℃)は、その他の主な成分であるジフルオロ酢酸フルオライド(沸点:0℃)および未反応のHFE−254pc(沸点:40℃)との沸点差が大きく、熱分解装置から流出した熱分解生成物(ガス)を冷却すると、単純な冷却液化によって容易にモノフルオロメタンを主とする成分を分離して回収することができる。当然、熱分解生成物を加圧して液化することもでき、その場合でも冷却することが好ましい。このとき、一部の成分が液化して、低沸点成分としてのモノフルオロメタンを主とする組成物と、高沸点成分としてのジフルオロ酢酸フルオライドまたはジフルオロ酢酸フルオライドとHFE−254pcの混合物に容易に分離できる。組成は冷却温度により任意に変動させることができるが、通常、低沸点成分には、不純物としてCH、C、CHF、C等が含まれることがあり、高沸点成分には同様にCHFCOOCH、CHFCOOH等が含まれることがある。
冷却温度は、操作圧力、ガスの流通量、冷却能力などに依存する。加圧条件での冷却温度は、以下の説明と蒸気圧のデータから容易に類推できる。大気圧下では、−80〜−5℃とすればよく、好ましくは−78〜−20℃である。モノフルオロメタンは−78℃では実質的に凝縮(液化)せず、二酸化炭素ガスや固体炭酸(ドライアイス)で冷却した冷媒を用いることもできる。冷却方法としては、特に限定されず公知の手段が適用できる。例えば、一般的な多重管構造を有する凝縮器による方法、外部を冷媒等で冷却した空塔または蒸留用の充填材を内部に有する充填塔へガスを流通させる方法などが挙げられる。
単純な冷却液化に替えて精留塔を用いて熱分解生成物を蒸留分離することもできる。精留塔としては、充填塔、泡鐘塔などが挙げられる。蒸留装置、蒸留方法については、公知の装置、方法に従えばよい。蒸留の条件は、目的とする低沸点成分または高沸点成分の組成に応じて設定すればよい。低沸点成分としてモノフルオロメタンの組成を大きくするには、塔頂を−78℃近傍とし、塔底を0〜50℃程度として蒸留するのが好ましい。その場合、低沸点成分には微量のCH、C、CHF、C等が含まれることがある。精留塔を用いた場合、留出した実質的にモノフルオロメタンのみからなる低沸点成分は十分に高純度であり、半導体ガス製品とすることができる。塔底から取り出される高沸点成分は、主な成分としてジフルオロ酢酸フルオライドおよび未反応のHFE−254pcを含む。高沸点成分は、さらに蒸留によりジフルオロ酢酸フルオライドとHFE−254pcに分離し、ジフルオロ酢酸フルオライドは、各種反応の合成用原料として、また、HFE−254pcは熱分解工程にリサイクル原料として使用できる。
[吸収分離法]
熱分解により生成した熱分解生成物をジフルオロ酢酸フルオライドと反応しない不活性な溶媒(以後、「不活性溶媒」という。)と接触させて、熱分解生成物に含まれるジフルオロ酢酸フルオライドを溶媒に吸収させ、非溶解のモノフルオロメタンを取り出すことができる。
ここで、不活性溶媒は、吸収のための接触の際に液体状態であり、活性な水素原子を有しない溶媒である。また、塩素等のフッ素以外のハロゲン原子を持たない溶媒が好ましい。このような溶媒として、具体的には、脂肪族または芳香族の炭化水素化合物、ケトン類、エーテル類、エステル類などが挙げられる。脂肪族炭化水素化合物としては、炭素数5〜20の炭化水素化合物が好ましく、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサンなど、芳香族炭化水素化合物としては、炭素数6〜20の芳香族化合物が好ましく、ベンゼン、トルエン、o−、m−またはp−キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、フルオロベンゼン、o−、m−またはp−トリフルオロメチルベンゼン、ビストリフルオロメチルベンゼンなどが挙げられる。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど、エーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなど、エステルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチルなどを挙げることができる。これらの化合物に含まれるアルキル基は異性体であっても同様に使用できる。
熱分解生成物と不活性溶媒との接触は、−70〜+20℃で行い、−30〜0℃が好ましい。+20℃を超えると不活性溶媒へのジフルオロ酢酸フルオライドの溶解度が低下し吸収効率が低下するので好ましくない。また、−70℃未満の温度では、不活性溶媒の粘度が高くなり、または凝固することもあり、さらにモノフルオロメタンも吸収され収率が低下することがあり好ましくない。この接触は、加圧下で行うこともでき、その場合、前記接触温度も異なるが、通常、大気圧近傍の圧力で行うのが装置および操作の点で好ましい。
熱分解生成物と不活性溶媒との接触方法は限定されず、公知のガス−液接触法を採用できる。例えば、充填塔、棚段塔、スプレー塔、スクラバー、濡れ壁塔、気泡塔、三相流動層、気泡攪拌槽などを用いる方法が挙げられる。これらのうち、充填塔、スプレー塔、気泡塔、気泡攪拌槽などが好ましい。
充填塔では、下方から熱分解生成物を供給し上部の液分散板を介して不活性溶媒を循環供給する。充填材表面で熱分解生成物は不活性溶媒に吸収され充填塔下部または外部に設けられた貯槽に吸収済み溶剤として保持される。吸収されなかったモノフルオロメタンは充填塔上部から排出される。
スプレー塔では、中空の塔の塔頂から不活性溶媒をスプレーノズルから多数の微細な液滴として塔内に分散させ、塔底から供給された熱分解生成物を上昇させ、塔内でジフルオロ酢酸フルオライドを不活性溶媒に吸収させ、吸収されなかったモノフルオロメタンは充填塔上部から排出される。
気泡塔または気泡攪拌槽では、不活性溶媒を仕込んだ容器に液底部から熱分解生成物を吹き込み、気泡の上昇に従い熱分解生成物に含まれるジフルオロ酢酸フルオライドは不活性溶媒に吸収され、吸収されなかったモノフルオロメタンは充填塔上部から排出される。気泡塔では、熱分解生成物の塔内への吹き込みにスパージャーを使用し、または熱分解生成物の塔内での泡としての滞留時間を稼ぐための公知の方法を適用してもよい。気泡攪拌槽では、槽内への吹き込まれた熱分解生成物を攪拌槽内の邪魔板と攪拌羽根で気泡を微細化し接触効率を高めることができる。
これらの接触方法は、同種の装置または異種の装置を直列に組み合わせて使用することもできる。気泡塔または気泡攪拌槽(併せて、単に「槽」ということがある。)を用いるバブリング法の場合、複数の槽を直列に接続する多槽形式が好ましい。例として、3槽からなる吸収槽群の場合について説明する。最初に、熱分解生成物を第一槽に導入し第二槽を経てモノフルオロメタンを主とする成分を回収する様に配管をセットする。第一槽の不活性溶媒がジフルオロ酢酸フルオライドで飽和した時に、熱分解生成物の導入先を第二槽に切り替え、第三槽を経てモノフルオロメタンを主とする成分を回収する様に配管を変更する。第二槽の不活性溶媒がジフルオロ酢酸フルオライドで飽和した時に、第三槽を熱分解生成物の導入先として、吸収済み溶媒を取出し新たに調製した不活性溶媒を仕込んで準備した第一槽をモノフルオロメタンを主とする成分の出口とするように配管を変更する。以下同様に行うことができる。
吸収分離法で得られる低沸点成分には、通常、吸収液として使用した溶媒が含まれるため、蒸留により溶媒を除去することが望ましいが、単蒸留または後記する精密蒸留で容易に除去することができる。
吸収分離法で使用した吸収液(吸収済み溶媒)には、主な成分としてジフルオロ酢酸フルオライドおよび未反応のHFE−254pcに加えて不活性溶媒を含む。吸収済み溶媒は、さらに蒸留によりジフルオロ酢酸フルオライドとHFE−254pcに分離し、ジフルオロ酢酸フルオライドは、各種反応の合成用原料として、また、HFE−254pcは熱分解工程にリサイクル原料として使用できる。
[反応分離法]
反応分離法では、熱分解により生じた反応生成物に含まれるジフルオロ酢酸フルオライドを反応により高沸点で安定な化合物に変換してからモノフルオロメタンから分離する。変換と分離を同一の容器で同時に行うこともでき、異なる容器で行うこともできる。反応相手(反応試剤)となる活性な化合物としては、水、アルコール類または第一アミンもしくは第二アミン、αβ不飽和カルボン酸エステルなどの活性な水素原子を有する化合物が挙げられるがこれらに限られない。これらのうち、水またはアルコール類が好ましい。これらの化合物の反応は、次の式で例示できる。
CHFCOF + HO → CHFCOOH + HF
CHFCOF + ROH → CHFCOOR + HF
CHFCOF + RNH → CHFCONRH + HF
CHFCOF + RNH → CHFCONR + HF
反応式において、Rは有機基を表す。これらの反応では、触媒としてまたは生成したフッ化水素(HF)を安定化するための受酸剤として塩基性物質を存在させることが好ましい。塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属水酸化物または炭酸塩、第三アミンが好ましい。水を反応試剤とする場合、アルカリ金属としては、カリウムが特に好ましい。塩基性物質を存在させると、ジフルオロ酢酸はジフルオロ酢酸塩に変換される。
アルコール類(ROH)としては、特に限定されないが、Rが、分岐を有することもある炭素数1〜8のアルキル基若しくは含フッ素アルキル基、アルキル基を置換基として有することもあるシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を挙げることができ、これらのうち炭素数1〜8のアルキル基または炭素数2〜8の含フッ素アルキル基が好ましい。さらに、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のフッ素化アルキル基がより好ましい。アルコール類は、多価アルコールであってもよい。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基を例として挙げることができる。炭素数2〜8の含フッ素アルキル基としては、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、n−ヘキサフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などを例として挙げることができる。多価アルコールとしては、価数は2〜5で、炭素数1〜8のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましい。具体的には、グリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
アルコール類は、前記アルコール類の金属アルコキシドとして使用することもできる。金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられる。炭素数1〜4のアルコールのナトリウムまたはカリウムのアルコキシドが好ましい。具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、カリウムブトキシド、カリウムメトキシドカリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムブトキシドおよびこれらのアルキル基が異性体であるものが挙げられる。
第一アミン、第二アミンとしては、一般式RNH(R、Rは水素または直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であって、全炭素数が3〜15である。)で表されるアミンが好ましい。全炭素数が3未満では、沸点が低く接触を低温で行わなければならず、低沸点成分へ混入の虞があり好ましくない。
前記一般式で表される全炭素数が3〜15のアミンとしては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミンなどが挙げられる。これらのうち、入手が容易なジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミンなどがより好ましく、ジエチルアミンが特に好ましい。これらのアミンは混合物としても使用できる。
αβ不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが例示できる。
水、アルコール、第一アミン、第二アミンなどの活性な水素原子を有する化合物は相互に混合して用いてもよく、使用量はジフルオロ酢酸フルオリドに対して過剰に用いる。また、これらの試剤は不活性な溶媒と共に用いてもよい。試剤が固体または融点の低い化合物に流動性を確保する場合に用いるのが好ましい。溶媒の使用量は、限定されないが、試剤100質量部に対し、30〜10000質量部であり、100〜1000質量部が好ましい。不活性な溶媒としては、「吸収分離法」で説明した不活性溶媒を挙げることができる。
接触させる温度は、特に制限されないので別段の加熱・冷却をしない状態でよく、通常0〜50℃程度でよい。圧力は、反応に特に影響を及ぼさないので加圧下または減圧下で行ってもよいが、特に加圧・減圧をしない大気圧付近で行えばよい。
接触の際に存在させる塩基性物質としての第三アミンは、特に限定されないが、一般式、 RN(R、R、Rは直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であって、全炭素数が6〜15である。)で表される第三アミンであるのが好ましい。全炭素数が5以下の第三アミンでも第三アミン/フッ化水素塩としてフッ化水素を捕捉できるが、このような第三アミンは水溶性が大きいため生成した第三アミン/フッ化水素塩を水または水溶液で分解して第三アミンを水層と分離して回収する場合の回収率が低下し、廃棄物量が増加するので好ましくない。全炭素数が16以上の第三アミンは、水溶性が小さいので水での分解・回収には適するが、重量あたりのフッ化水素捕捉量が小さく実用上好ましくない。
前記一般式で表される全炭素数が6〜15の第三アミンとしては、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−イソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリ−n−アミルアミン、トリ−イソアミルアミン、トリ−sec−アミルアミン、トリ−tert−アミルアミン、N−メチルジ−n−ブチルアミン、N−メチルジイソブチルアミン、N−メチルジ−tert−ブチルアミン、N,N−ジイソプロピルブチルアミン、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン、N,N−ジメチルノニルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N−メチルジヘキシルアミンなどが挙げられる。これらのうち、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−イソブチルアミン、トリ−n−アミルアミン、トリ−イソアミルアミンなどがより好ましく、トリ−n−ブチルアミンが特に好ましい。これらの第三アミンは混合物としても使用できる。
第三アミンはジフルオロ酢酸フルオライドの1モルに対し0.5モル以上を添加する。過剰の第三アミンを用いた場合、例えば、エステル化反応により生成した反応生成物溶液にはジフルオロ酢酸エステルと第三アミン/フッ化水素塩からなる層とフリーの第三アミンからなる層が形成され、これらの層は容易に分離でき、第三アミンは回収される。
熱分解生成物と反応試剤との接触方法は限定されず、「吸収分離法」において述べた方法と同じ公知のガス−液接触法を採用できる。これらの接触方法は、同種の装置または異種の装置を直列に組み合わせて使用することもできる。気泡塔または気泡攪拌槽(併せて、「槽」ということがある。)を用いるバブリング法の場合、複数の槽を直列に接続する多槽形式が好ましい。例として、一槽を用いても複数の槽を用いてもよいが、複数の槽を直列に接続する多槽形式が好ましい。例として、3槽からなる吸収槽群の場合について説明する。最初に、熱分解生成物を第一槽に導入し第二槽を経てモノフルオロメタンを主とする成分を回収する様に配管をセットする。第一槽の反応吸収液の反応試剤または受酸剤が消費された時に、熱分解生成物の導入先を第二槽に切り替え、第三槽を経てモノフルオロメタンを主とする成分を回収する様に配管を変更する。第二槽の反応吸収液の反応試剤または受酸剤が消費された時、第三槽を熱分解生成物の導入先として、内容液を取出し新たに調製した反応吸収液を仕込んで準備した第一槽をモノフルオロメタンを主とする成分の出口とするように配管を変更する。以下同様に行うことができる。
反応吸収液との接触ではモノフルオロメタンは反応せず、反応による収量の低下はない。反応分離法で処理されて得られたモノフルオロメタンを主とする成分(低沸点成分)には、通常、CH、C、CHF、C等が含まれているが、精密蒸留により精製することができる。
反応分離法で生成したジフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸塩、ジフルオロ酢酸エステル、ジフルオロ酢酸アミドはそれぞれ公知の手段を用いて分離、精製することができる。例えば、エステル化反応の反応吸収液は、水および/または塩基性水溶液で洗浄し蒸留するとジフルオロ酢酸エステルを回収でき、塩基性物質として第三アミンを使用した場合には、反応吸収液を直ちに蒸留することでもジフルオロ酢酸エステルを回収できる。
[精製法]
前記各種の分離方法で得られた低沸点成分は、微量の酸性成分を含むことがある。例えば、冷却液化による分離後の低沸点成分には飛沫同伴等によりジフルオロ酢酸フルオライドまたはフッ化水素が混入することがある。低沸点成分に含まれる酸性成分は水および/または塩基性水溶液と接触させて洗浄した後、乾燥処理することによって取り除くことができ、高純度のモノフルオロメタンとすることができる。洗浄方法は、気泡塔などを用いるバブリング方式、充填塔を用いるスクラバー方式など、「吸収分離法」において示した各種の気−液接触方法を任意に適用できる。塩基性水溶液としては、KOH水溶液、NaOH水溶液、Ca(OH)水溶液等が例示されるが、接触させた際に生成するフッ化物塩の飽和溶解度が高く、装置の閉塞等のトラブルを起こし難いKOH水溶液が好ましい。洗浄後は、ソーダライム、合成ゼオライト、シリカゲル等の脱水剤によって、水分を除去することが望ましい。また、ソーダライムや合成ゼオライト、シリカゲルは脱水だけでなく、好ましくない副生物を除去する効果を有することもある。合成ゼオライトとしては、3A型、4A型、5A型、10X型、13X型などが使用できる。熱分解で得られたモノフルオロメタンを洗浄および、ゼオライト、ソーダライム等で乾燥する工程のみで、精密蒸留精製をしないで、純度を容易に99%以上とすることができ、最適条件で熱分解した場合、純度を99.9%以上とすることができる。これは、半導体工業におけるエッチングガスやクリーニングガスとして使用するのに十分な純度である。
さらに、低沸点成分には、微量のCH、C、CHF、C等が含まれることがあるが、精密蒸留によってさらに高純度化が可能である。精密蒸留は各種の充填材を充填した精留塔を用いて公知の方法で行うことができる。モノフルオロメタン(沸点:−78℃)を精密蒸留するのは大気圧でもよいが、低温蒸留となるので加圧蒸留が便利である。
蒸留によって不純物が濃縮されたモノフルオロメタンを含む成分は、空気または酸素で燃焼させ、または、本発明の方法の熱分解で使用する触媒、特にリン酸塩を活性成分とする触媒に500℃程度で酸素等と接触させて燃焼させ、生成した排ガスを塩基性水溶液で洗浄することにより無害化して廃棄することが可能である。
製品としてのモノフルオロメタンは、本発明の方法で製造したモノフルオロメタンを液体窒素等で冷却・凝固させ、容器内を真空ポンプで減圧して空気成分を除去した後、気体または液体状態に戻して保存用のシリンダーに移動させて調製する。得られた製品は、有機物純度、無機物純度の両方に優れた、空気等を含有しないモノフルオロメタンである。
[用途]
モノフルオロメタンは、半導体工業を中心とした薄膜デバイス製造プロセス、光デバイス製造プロセス、超鋼材料製造プロセスなどにおいて、CVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法、蒸着法などを用いて作成される薄膜、厚膜をエッチングする所謂エッチングガス(エッチング剤)として有用である。また、これらのプロセスにおいて薄膜等の作成時に装置、配管等へ堆積した薄膜や粉体を除去するための所謂クリーニングガスとしても有用である。
本発明で得られるモノフルオロメタンは、半導体への深い不純物準位を形成する塩素、臭素等のフッ素以外のハロゲンを実質的に含まないため半導体製造装置や半導体薄膜加工用途に適する。これは、反応原料や副資材に塩素、臭素、ヨウ素を含まないため、これらのフッ素以外のハロゲン元素の混入は起こりえないことに起因する。塩素などのハロゲン元素はエッチングにおいてエッチング速度や異方性エッチングへの影響が指摘されている点からも塩素等のハロゲンを含まない本発明の方法によるモノフルオロメタンは好ましい。
本発明のモノフルオロメタンまたはそれを含むエッチングガスは、シリコンウエハ、金属板、硝子、単結晶、多結晶などの基板上に堆積したW、WSi、Ti、TiN、Ta、Mo、Re、Ge、Si、Si、SiO等に好適に適用できる。
モノフルオロメタンをエッチングガスとして使用する場合、RIE(反応性イオンエッチング)、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマエッチング、マイクロ波エッチング、高周波プラズマエッチングなどのプラズマを利用したエッチングの手法が好ましく採用される。処理条件は特に問わないが、対象膜の種類、物性、生産性、微細精度等によって、種々の添加剤を加えることもできる。N、He、Ar、Ne、Kr等の不活性ガスの内、特にArはモノフルオロメタンとの相乗効果によって、より高いエッチング速度が得られる。生産性を高めるために、エッチング速度を上げたい時は、酸化性のガスの添加ができる。具体的には、O、O、CO、F、NF、Cl、Br、I、XF(X=Cl,I.Br,1≦n≦7)が例示される。添加量はプラズマ出力、装置の形状、性能や対象膜特性に依存するが、通常、モノフルオロメタンの流量の10倍以下が好ましい。これ以上添加した場合は、モノフルオロメタンの優れた異方性エッチング性能が損なわれることがある。
また、等方的なエッチングを促進するFラジカル量の低減を所望するときは、還元性ガスの添加が好ましい。還元性ガスとしては、CH、C,C,C、C、C、C、HI、HBr、HCl、CO、NO、NH、Hに例示される。添加量は10倍量以下が望ましく、これ以上添加するとエッチングに働くFラジカルが著しく減量して、エッチング速度が低下する。さらに、CH、CHF、CHのような炭素数1のガスはエッチングガスのフッ素/炭素比のファインチューニングにも有効である。これらの添加量も10倍以下が好ましい。これ以上添加すると、モノフルオロメタンの優れたエッチング速度が損なわれる。さらにまた、COは副生するHFをHCOFの形でトラップし、それ自身がエッチング剤として働くので効率的である。COの添加量は、CHF:CO(モル比)=10:1〜1:5、好ましくは5:1〜1:1が好ましい。
異方性エッチングを行うために、ガス圧力は5Torr以下とすることが好ましいが、0.001Torr以下の圧力ではエッチング速度が遅くなるために好ましくない。使用するガス流量は、エッチング装置の反応器容量、ウエハサイズにもよるが、10SCCM〜10000SCCMの間の流量でエッチングすることが好ましい。また、エッチングする温度は、400℃以下が好ましい、400℃を超える高温では等方的にエッチングが進行する傾向が有り必要とする加工精度が得られないこと、また、レジストが著しくエッチングされるために好ましくない。このように水素または水素含有化合物ガスと混合して使用することにより、例えばコンタクトホールの加工時のシリコンとシリコン酸化膜とのエッチング速度の選択性を向上させたりすることができる。
もし、ポリマー蓄積が多い時は、エッチング終了後、F、O等の酸化性ガスを用いてアッシングすることができる。
モノフルオロメタンをクリーニングガスとして用いる場合、除去可能な堆積物として、具体的には、SiO、WSi、TiN、Ta、Si、SiB等の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ素化物及びこれらの複合物が挙げられる。これらのうち、特に、少なくともケイ素またはその化合物を含む堆積物であるケイ素含有堆積物が除去の対象物として好ましい。
また、本発明のモノフルオロメタンまたはそれを含むクリーニングガスは、除去すべき堆積物の種類および厚み並びに薄膜等を製造する装置に使用されている材料の種類を考慮して、添加物として、O、O、CO、F、NF、Cl、Br、I、XF(式中、XはCl、IまたはBrを表し、nは1≦n≦7の整数を表す。)、CH、CH、CHF、N、He、Ar、Ne、Krのいずれかを添加することができる。酸素の添加は、クリーニング速度向上に効果的である。具体的に、CHF:O(モル比)が10:1〜1:5が好ましく、さらに好ましくは5:1〜1:3である。N、He、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスの内、特にArはモノフルオロメタンとの相乗効果によってクリーニング速度が向上する。F、NF、Cl、Br、I、XF(X=Cl,I.Br,1≦n≦7)、CH、CH、CHFの添加は除去対象堆積物の種類に応じたクリーンニング速度の制御に有効である。
クリーニング条件に関しては、被処理装置の材質を考慮して適宜選択され特に制限されることはないが、温度は、装置材質が石英の場合は800℃以下、材質としてセラミックス、アルミニウム等の金属が使用されている場合は500℃以下が好ましい。これらの温度以上では腐食が起こり好ましくない。次に、圧力については、500℃を超えると100Torr以下にすることが好ましく、100Torrを超えると装置に負荷(腐食等)がかかるので好ましくない。
本発明のクリーニングガスによるクリーニングは、熱分解法、光分解法、プラズマ法のいずれでも使用できるが、プラズマ法が好ましい。プラズマ法は、高周波またはマイクロ波を用いてチャンバー内で発生させてもよいが、チャンバー外で発生させてチャンバー内へ導入するリモートプラズマ法が好ましく採用される。本発明のクリーニング方法は、半導体デバイス、液晶デバイスなどの半導体装置、光デバイス、コーティング工具など製造プロセスにおいて薄膜をCVD法により形成する製膜装置やウイスカー、粉末などを製造する製造装置に適用できる。これらのうち、製膜装置への適用が特に好ましく、半導体デバイス、液晶デバイスなどのシリコン化合物を用いた半導体装置の製膜装置に使用するのがさらに好ましい。
以下に本発明について実施態様を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。別途記載のない限り、有機物の組成や純度における百分率(%)は、FID検出器のガスクロマトグラフで分析した面積%を表す。また、別途記載のない限り、高極性のジフルオロ酢酸フルオライド(CHFCOF)等を含む組成物(サンプリング口Aで採取した組成物)の分析には「EPA METHOD 624」対応カラムを用い、モノフルオロメタン(CHF)、トリフルオロメタン(CHF)などの低沸点成分を主に含む組成物(サンプリング口Bで採取した組成物)はケイ素系プロットカラムを用いて分析した。
[触媒の調製例1]
85%リン酸(HPO) 30gを300ccの水で希釈したリン酸水溶液へ日本エンバイロケミカルズ株式会社製の粒状活性炭G2X 100gを浸漬し、よく攪拌した後3日間静置した。その後、ロータリーエバポレーターで乾燥し、次いで、電気炉で窒素気流中、350℃で5時間焼成して、リン酸担持活性炭触媒を調製した。
[触媒の調製例2]
硝酸アルミニウム9水塩(Al(NO・9HO) 1000g(2.666mol)と硝酸セリウム6水塩(Ce(NO・6HO) 128.6g(0.296mol)を5300ccの純水で溶かし、さらに85%リン酸306g(3.12mol)を加えて攪拌した。この状態で、透明な溶液であった。これに1Lの大型滴下ロートにより10%アンモニア水(約3000cc)を約10時間かけて滴下して塩基性にした。固形分濃度が高く、滴下途中から攪拌機では攪拌不能となったので、ステンレス鋼製のスコップで手攪拌した。生成した白色沈殿物を、一晩静置し、吸引濾過し、5回水洗浄を行った。
この白色固体を、ステンレス鋼製パッドに移し、180℃の乾燥機で一晩乾燥した。乳鉢ですりつぶし、篩い分けし、打錠器にて5mmφ×5mmLのペレットに成形し、窒素気流中700℃で5時間焼成して、リン酸アルミニウム・リン酸セリウム触媒を調製した。
[触媒の調製例3]
アルドリッチ製リン酸アルミニウム(Aluminum phosphate)を5mmφ×5mmLのペレットに打錠成形し、窒素気流中700℃で5時間焼成して、リン酸アルミニウム触媒を調製した。
[触媒の調製例4]
マントルヒーターを備えた長さ1.5m×内径55mmのステンレス鋼(SUS316)製反応管にγ−アルミナビーズ(住友化学、KHS−46)を2kg充填した。マントルヒーター温度を50℃に制御し、窒素(1000cc/分)を流通させながら、気化器で気化させたフッ化水素(HF)を4g/分で流通させた。γ−アルミナへのHFの吸着および反応によって、特に入り口部に発熱が観測され、その発熱帯は徐々に出口方向に移動した。この時、温度が最も高いヒートスポットが300℃を超えた場合、HF供給速度を1g/分以下に下げて、局所発熱を抑制し、温度が設定温度になったことを確認後、徐々にHF供給速度を4g/分まで戻した。発熱帯が出口付近に達した後、ジャケット設定温度を50℃ずつ250℃まで上げて、前記のγ−アルミナのフッ素化を繰り返した。その後、ジャケット設定温度を300℃に設定し、HF流量を徐々に20g/分まで上げた。この時のヒートスポットの温度が350℃を超えた場合は、HF流量を1g/分に下げた。ジャケット温度300℃、HF流量20g/分の条件で、実質的にヒートスポットが観測されなくなった時点から、さらに同じ条件で24時間フッ素化処理を継続し、その後、窒素だけを流通させながら、ヒーターの電源を切り、冷却し、フッ素化処理したアルミナ触媒を得た。
[触媒の調製例5]
アルドリッチ製無水フッ化アルミニウム(AlF)を5mmφ×5mmLのペレットに打錠成形し、窒素気流中700℃で5時間焼成して、フッ化アルミニウム触媒を調製した。
[参考例1 FID検出器の感度測定]
モノフルオロメタンとジフルオロ酢酸フルオライドの標品を用いて、FID検出器の感度測定を行った。モノフルオロメタン (40kPa,300torr)およびジフルオロ酢酸フルオライド (40kPa、300torr)をシリンダー(300cc)に採取し(モル比:1:1、全圧:80kPa、600torr)、シリンダーを25℃に加温して、これからガスシリンジに0.2ccの試料を取り、「EPA METHOD 624」対応カラムを使用して、ガスクロマトグラフ分析を行い、面積比を求めた。
CHFの面積:CHFCOFの面積=2.41:1.00。
[実施例1]
実験に用いた装置を図3に示す。出口側にサンプリング口A53を有し外部に電気炉52を備えた内径37mm、長さ500mmのステンレス鋼製反応管51を用い、反応管51の出口にステンレス鋼製ラシヒリングを充填したステンレス鋼製リービッヒ冷却管54(−50℃の冷媒を流通)を2本有するジャケット付高沸点化合物捕集器55(何れも−50℃の冷媒を流通)を接続し、さらに、ガス洗浄瓶A56(内容物:水、氷冷59)、ガス洗浄瓶B57(内容物:50%KOH水溶液、氷冷59)、ガス洗浄瓶C58(空トラップ、氷冷59)、ソーダライムと合成ゼオライト4Aを1:1で充填した乾燥管60をこの順に直列に接続し、乾燥管の出口にサンプリング口B61を設けた。
触媒の調製例1で調製した触媒(230cc)を反応管51に仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉52を加熱した。触媒の温度が50℃に達した時に、フッ化水素(HF)を0.6g/分で気化器を通して導入した。HFを流通させたまま、210℃までゆっくりと昇温し、15時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.5g/分の速度で、気化器を通して導入した直後に、窒素の流通を停止した。反応温度が300℃で定常状態になったときに、反応管出口のサンプリング口A53でガス採取したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析した結果、および、冷却洗浄乾燥処理した後のガスをサンプリング口B61でガス採取したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(ケイ素系プロットカラム)で分析した結果を表1および表2に示した。
Figure 0005678712
Figure 0005678712
[実施例2〜21]
触媒の調製例2〜5で調製した触媒を用いて、表1記載の条件で、実施例1と同様に実験した。得られた結果を表1および表2に示す。
[実施例22]
実験に用いた装置を図4に示す。熱分解反応を実施例1と同一の条件で行い、反応管71から流出した熱分解ガスを−15℃に保ったエタノール浴に浸した蛇管75に通じた後、塔頂をドライアイス−アセトン浴で−78℃に保った還流冷却器79を有する分離塔78(−15℃)で冷却し、高沸点成分を凝縮させ、ジャケット付高沸点化合物捕集器76(−15℃)で捕集し、凝縮しない低沸点成分を氷水トラップ81、水酸化カリウム水溶液トラップ82、合成ゼオライト4Aを充填した乾燥管83に通じた。図4に示すサンプリング口A73、サンプリング口B84、サンプリング口C80、サンプリング口D77から試料をサンプリングして、「EPA METHOD 624」対応カラムを用いてガスクロマトグラフ分析した。サンプリング口B84、サンプリング口C80については、「ケイ素系プロットカラム」でも分析して、分析結果がこれらのカラムの間で実質的に一致することを確認した。結果を表3に示す。
Figure 0005678712
[参考例2]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス鋼製反応管に日本エンバイロケミカルズ株式会社製の粒状活性炭G2X(50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。反応管内部の温度が200℃に達した時に、原料である1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.4g/分の速度で、気化器を通して導入した。反応管内部の温度が250℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率0.9%であり、実質的に原料が回収された。
[参考例3]
反応管内部の温度を300℃とする以外、参考例2と同様にして反応を行った結果、転化率:2.6%であった。温度を300℃まで上げたが、同様に原料回収であった。
[参考例4]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス鋼製反応管に日本エンバイロケミカルズ株式会社製の粒状活性炭G2X(50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。反応管内部の温度が50℃に達した時に、HF(0.6g/分)を、気化器を通して導入した。HFを流通させたまま、300℃までゆっくりと昇温し、5時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、窒素流量を15cc/分に変更し、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.4g/分の速度で、気化器を通して導入した。反応管内部の温度300℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率:2.8%で、実質的に原料回収であり、リン酸を担持していない活性炭にHF処理を行っても、効果が認められなかった。
[実施例23]
図4に示す装置を用いた。出口側にサンプリング口A73を有し外部に電気炉72を備えた内径37mm、長さ500mmのステンレス鋼製反応管71を用い、反応管71の出口にポリエチレン製の空トラップ74、−15℃に保たれた冷媒浴中の蛇管75、塔頂にドライアイス−アセトン浴で−78℃に保った還流冷却器79と塔底にジャケット付高沸点化合物捕集器76を有し出口側にサンプリング口B84を有する分離塔78(−15℃)、氷水トラップ81、塩基性水溶液トラップ82(50%KOH水溶液、氷冷)、合成ゼオライト4Aを1:1で充填した乾燥管83をそれぞれフッ素樹脂またはポリエチレン製の配管で接続し、乾燥管83の出口は除害装置に開放した。
実験開始前に、図4で示す装置において、反応管71と空トラップ74の接続を分離し、反応管71の出口を除害装置に直接排気できるように配管を組み替えた。反応管71に触媒の調製例4で得られた触媒230ccを充填してから、窒素を15cc/分で流しながら電気炉72を昇温し、触媒の温度が50℃に達した時に、気化器を通してフッ化水素(HF)を1.0g/分で導入した。HFを流通させたまま、350℃までゆっくりと昇温した。なお、昇温途中に局部的な発熱が認められた時は供給速度を0.1g/分に下げて、局部的な発熱が収束したことを確認した後に徐々に1.0g/分までゆっくりとHF供給速度を上げた。350℃に達した時点で、30時間保持後、HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、電気炉温度を180℃に下げ、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.2g/分の速度で気化器を通して導入し、直後に窒素の流通を停止した。反応温度が150℃になるように電気炉72の設定を変更し、定常状態になった後、反応管出口と空トラップ74を接続し、図4に示す装置構成に戻した。流出ガスは、空トラップ74、蛇管75を通した後、分離塔78(−15℃)で高沸点成分を凝縮させてジャケット付高沸点化合物捕集器76(−15℃)で捕集し、凝縮しない低沸点成分を氷水トラップ81、水酸化カリウム水溶液トラップ82、乾燥管83に通じた。サンプリング口A73で採取したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析したところ、CHF:54.291%、CHFCOF:22.126%、CHFCFOMe(「Me」はメチル基を表す。以下同じ。):23.101%、その他:0.482%であった。また、サンプリング口B84で捕集したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(ケイ素系プロットカラム)で分析したところ、CH4:0.001%未満、C:0.017%、CHF:0.009%、CHF:99.961%、C:0.008%、その他:0.004%であった。結果を表1および表2に示す。
[実施例24]
反応温度を175℃にする以外、実施例23と同様の実験を行った。サンプリング口A73で採取したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析したところ、CHF:69.544%、CHFCOF:28.240%、CHFCFOMe:1.351%、その他:0.685%であった。また、サンプリング口B84で捕集したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(ケイ素系プロットカラム)で分析したところ、CH:0.024%、C:0.121%、CHF:0.126%、CHF:99.455%、C:0.003%、その他:0.271%であった。結果を表1および表2に示す。
[実施例25]
内径23mm長さ400mmのステンレス鋼製反応管に粒状(粒径約2.5〜3.5mm)の純正化学株式会社製無水塩化カルシウム(63g、かさ:120cc)を充填して、窒素を50cc/分で流しながら160℃に加熱した。実施例24でジャケット付高沸点化合物捕集器76に回収された有機物(CHFCOF:94.181%、CHFCFOMe:4.569%)を0.3g/分の速度で流すと同時に、窒素の供給を止めた。入り口付近で10℃〜20℃の発熱がみられ、経時的にそのヒートスポットが出口の方に移動した。有機物を77.9g供給した時に出口ガスをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析したところ、CHFCOF:1.105%、CHCl:4.708%、CHFCFOMe:0.001%、CHFCOCl:93.769%、その他:0.417%であった。
上記の分析後、原料をCHFCFOMe(99.9%)に変更すると共に、反応温度を330℃に変更した。定常状態(30時間後)の出口ガスをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析した結果、組成は、C:2.406%、CHF:68.486%、CHFCOF:20.460、CHFCFOMe:7.656%、その他:0.992%であった。結果を表1に示す。
その後、原料の供給を止めると共に、窒素(100cc/分)を流通させながら、電気炉の加熱を停止して室温まで徐冷した。反応管の内容物は、若干の着色が認められたが、ほとんど、粉化や凝着が見られず、反応前と同様の形状であった。内容物をメノウ鉢ですり潰して粉末XRD測定した結果、CaFの回折パターンを示した。
[参考例5]
HFE−254pcの代わりに、実施例23でジャケット付高沸点化合物捕集器76に回収された有機物を蒸留して得られた純度98.2%のCHFCOF(主な不純物 CHFCFOMe:1.1%)を供給した以外、実施例23と同じ実験を行った。サンプリング口A73で採取したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析したところ、CHF:83.988%、CH3F:検出されず、CHFCOF:検出されず、CHFCFOMe:検出されず、その他:16.012%であった。また、サンプリング口B84で捕集したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(ケイ素系プロットカラム)で分析したところ、CH:0.368%、C:0.238%、CHF:92.653%、CHF:0.569%、C:0.176%、CHFCFOMe:検出されず、その他:5.996%であった。
[参考例6]
反応温度を330℃にする以外、実施例23と同じ実験を行った。サンプリング口A73で採取したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析したところ、CHF:26.013%、CHFCOF:9.215%、CHFCFOMe:検出されず(検出限界(0.001%)未満、以下同じ)、その他:64.772%であった。また、サンプリング口B84で捕集したサンプルをFID検出器のガスクロマトグラフ(ケイ素系プロットカラム)で分析したところ、CH:9.876%、C:19.854%、CHF:28.812%、CHF:26.187%、C:4.877%、CHFCFOMe:検出されず、その他:10.397%であった。結果を表1および表2に示す。
[実施例26]
実験に用いた装置を図5に示す。出口側にサンプリング口A93を有し外部に電気炉92を備えた内径37mm、長さ500mmのステンレス鋼製反応管91を用い、反応管91の出口に−30℃に保たれた冷媒浴94中に浸したステンレス鋼製の吸収槽A95、吸収槽B96およびフッ素樹脂製の300ccの空トラップ97並びに300cccのソーダライムを充填し、出口側にサンプリング口B99を備えたステンレス鋼製乾燥管98をこの順にフッ素樹脂またはポリエチレン製の配管で接続し、乾燥管98の出口を除害装置に開放した。吸収槽A95および吸収槽B96にはそれぞれトルエン170gを仕込んだ。
触媒の調製例4で得られた触媒230ccを反応管91に充填してから、窒素を15cc/分で流しながら電気炉92を昇温し、触媒の温度が50℃に達した時に、気化器を通してフッ化水素(HF)を1.0g/分で導入した。HFを流通させたまま、350℃までゆっくりと昇温した。なお、昇温途中に局部的な発熱が認められた時は供給速度を0.1g/分に下げて、局部的な発熱が終息したことを確認した後に徐々に1.0g/分までゆっくりとHF供給速度を上げた。350℃に達した時点で、20時間保持後、HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、電気炉温度を190℃に下げ、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.10g/分の速度で気化器を通して導入し、直後に窒素の流通を停止した。
反応を継続し、通算132g(1mol)のHFE−254pcを反応管91に流通させた時にサンプリング口A93で採取したガスをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析した結果を表1に示した。
乾燥管出口ガスを液体窒素で冷却したステンレス鋼製シリンダーに通じて29gの捕集物を得た。捕集物を気化させてケイ素系プロットカラムで分析した結果を表2に示す。さらに、このガスをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析したところ、モノフルオロメタン87.02面積%、トルエン12.70面積%、その他成分が0.28面積%であった。
吸収槽A95と吸収槽B96の内容物を合わせた後(424g、内トルエン340g)、ディクソンパッキングが充填された理論段数10段の加圧蒸留塔を用いて蒸留した。その結果、純度99.2%のジフルオロ酢酸フルオライド(84g)が得られた。
[実施例27]
実験に用いた装置を図6に示す。出口側にサンプリング口A103を有し外部に電気炉102を備えた内径37mm、長さ500mmのステンレス鋼製反応管101を設け、反応管101の出口に−30℃に保たれた冷媒浴中に浸したステンレス鋼製の吸収槽A105と吸収槽B106、200ccの水を仕込んだ洗浄槽(水トラップ)107および300cccのソーダライムを充填し、出口側にサンプリング口B109を備えたステンレス鋼製乾燥管108をこの順にフッ素樹脂またはポリエチレン製の配管で接続し、乾燥管108の出口を除害装置に開放した。吸収槽A105および吸収槽B106にはそれぞれエタノール200ccを仕込んだ。
触媒の調製例4で得られた触媒230ccを反応管101に充填してから、窒素を15cc/分で流しながら電気炉102を昇温し、触媒の温度が50℃に達した時に、気化器を通してフッ化水素(HF)を1.0g/分で導入した。HFを流通させたまま、350℃までゆっくりと昇温した。なお、昇温途中に局部的な発熱が認められた時は供給速度を0.1g/分に下げて、局部的な発熱が終息したことを確認した後に徐々に1.0g/分までゆっくりとHF供給速度を上げた。350℃に達した時点で、20時間保持後、HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、電気炉温度を190℃に下げ、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.10g/分の速度で気化器を通して導入し、直後に窒素の流通を停止した。
反応を継続し、通算132g(1mol)のHFE−254pcを反応管101に流通させた時にサンプリング口A103で採取したガスをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で、同時にサンプリング口B109で採取したガスをFID検出器のガスクロマトグラフ(ケイ素系プロットカラム)で分析した結果を表1および表2に示した。また、サンプリング口B109で採取したガスをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析したところ、モノフルオロメタン99.67%で、その他成分が0.33%であった。
[実施例28]
吸収槽A105、吸収槽B106にエタノールの代わりに20%KOH水溶液(各200cc)を仕込み、冷却温度を−2℃とし、洗浄槽107を空トラップとした以外、実施例27と同様の実験を行った。分析結果を表1および表2に示した。さらに、サンプリング口B109で採取したガスをFID検出器のガスクロマトグラフ(「EPA METHOD 624」対応カラム)で分析したところ、モノフルオロメタン99.84%で、その他成分が0.16%であった。
[モノフルオロメタンの使用例1]
実施例20および実施例23で得られた精製・乾燥後のモノフルオロメタンを液体窒素で冷却してステンレス鋼製シリンダーへ捕集した。捕集物について液体窒素による凝固、真空ポンプによる減圧、融解(室温)からなる脱ガス操作を3回繰り返し、空気成分を除去した。このガスをコンタクトホール加工に使用し、層間絶縁膜(SiO)をエッチングした例を示す。図1にエッチング前(a)、エッチング後(b)の試料の断面模式図を模式的に示す。単結晶シリコンウエハ21上にSiO層間絶縁膜22を形成し、そのSiO膜の上にエッチングマスクとして開口部を設けたレジスト・マスク23を形成した。
図2に実験に使用したリモートプラズマ装置の概略断面図を記す。前記ガス(モノフルオロメタン):50SCCMを第一ガス導入口4から、Ar:20SCCMを第二ガス導入口5からそれぞれ導入し、反応チャンバー1の上部に取り付けたサファイア管7内で高周波電源3(13.56MHz、50W)を用いて励起して、生成した活性種をガス流によりチャンバー内に供給し、試料ホルダー11に固定した前記試料12のエッチングを行った。エッチングガスはそれぞれマスフローコントローラー(図示せず。)を介して導入した。基板(試料ホルダー11)温度25℃、圧力2.67Pa(0.02torr)、RFパワー密度を2.2W/cmに設定した。相対エッチング速度は、反応チャンバー1の排気ガスを質量分析器(MS)で分析して得られたSiF(質量数85)の面積を、市販品のモノフルオロメタンを用いたとき(モノフルオロメタンの使用例2)のSiFの面積を1.000とした面積比として求めたところ、実施例20および実施例23で調製したモノフルオロメタンの相対エッチング速度はそれぞれ、1.002および1.001であった。結果を表4に示す。
Figure 0005678712
[モノフルオロメタンの使用例2]
市販の半導体グレード(製品の試験成績票における純分値:99.99%)のモノフルオロメタンを用いて[モノフルオロメタンの使用例1]と同じ条件でエッチング試験を行った。その結果を表4に示す。
本発明の方法により得られるモノフルオロメタンは半導体ガス(ドライエッチング剤、クリーニング剤)として有用であり、副生するジフルオロ酢酸フルオライドおよびその誘導体は、各種反応の触媒、医農薬の中間体、および機能性材料の中間体等に用いられる有用な化合物である。
1:チャンバー 2:アース 3:高周波電源 4:第一ガス導入口 5:第二ガス導入口 6:第三ガス導入口 7:サファイア管 8:誘導コイル 9:電子式圧力計 10 排気ガスライン 11:試料ホルダー 12:試料
21:シリコンウエハ 22: SiO層間絶縁膜 23:レジスト・マスク 24:肩落ち部
51:反応管 52:電気炉 53:サンプリング口A 54:リービッヒ冷却管 55:ジャケット付高沸点化合物捕集器 56:水トラップ 57:塩基性水溶液トラップ 58:空トラップ 59:氷浴 60:ソーダライム管 61:サンプリング口B
71:反応管 72:電気炉 73:サンプリング口A 74:空トラップ 75:蛇管 76:ジャケット付高沸点化合物捕集器 77:サンプリング口D 78:分離塔 79:還流冷却器 80:サンプリング口C 81:氷水トラップ 82:塩基性水溶液トラップ 83:乾燥管 84:サンプリング口B
91:反応管 92:電気炉 93:サンプリング口A 94:冷媒浴 95:吸収槽A 96:吸収槽B 97:空トラップ 98:乾燥管 99:サンプリング口B
101:反応管 102:電気炉 103:サンプリング口A 104:冷媒浴 105:吸収槽A 106:吸収槽B 107:水トラップ 108:乾燥管 109:サンプリング口B

Claims (11)

  1. 1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、フッ化水素で部分的にアルミナの酸素原子をフッ素原子で置換した部分フッ素化アルミナと接触させて、熱分解温度140〜200℃で熱分解する熱分解工程と、熱分解生成物からモノフルオロメタンを回収する工程とを少なくとも有するモノフルオロメタンの製造方法。
  2. 熱分解温度が170℃〜200℃である請求項1に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  3. モノフルオロメタンを回収する工程が、熱分解生成物の一部を液化してモノフルオロメタンを分離する工程を含む工程である請求項1または請求項2に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  4. 熱分解生成物の一部の液化を、冷却することで行う請求項に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  5. 冷却温度が、−80〜−5℃である請求項に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  6. モノフルオロメタンを回収する工程が、ジフルオロ酢酸フルオライドに対して不活性な溶媒にジフルオロ酢酸フルオライドを吸収させる工程を含む工程である請求項1または請求項2に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  7. ジフルオロ酢酸フルオライドに対して不活性な溶媒が、炭化水素化合物である請求項に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  8. モノフルオロメタンを回収する工程が、ジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な化合物と接触させる工程を含む工程である請求項1または請求項2に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  9. ジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な化合物が、水、アルコール類、第一アミン、第二アミンまたはαβ不飽和カルボン酸エステルである請求項に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  10. ジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な化合物と接触させる工程において、溶媒を存在させる請求項8または請求項に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
  11. ジフルオロ酢酸フルオライドに対して活性な化合物と接触させる工程において、塩基性物質を存在させる請求項8〜10のいずれか1項に記載のモノフルオロメタンの製造方法。
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