JPH0853388A - ジフルオロ酢酸ハライドおよびジフルオロ酢酸の製造方法 - Google Patents

ジフルオロ酢酸ハライドおよびジフルオロ酢酸の製造方法

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JPH0853388A
JPH0853388A JP13818395A JP13818395A JPH0853388A JP H0853388 A JPH0853388 A JP H0853388A JP 13818395 A JP13818395 A JP 13818395A JP 13818395 A JP13818395 A JP 13818395A JP H0853388 A JPH0853388 A JP H0853388A
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difluoroacetic acid
water
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JP13818395A
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Kazuya Oharu
一也 大春
Seisaku Kumai
清作 熊井
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】工業的に有利なジフルオロ酢酸の製造方法を提
供する。 【構成】式HCF2 CXClH(ただし、XはClまた
はFを示す)で表されるハロゲン化エタンを酸化するこ
とを特徴とする式HCF2 COX(ただし、Xは前記と
同じ意味を示す。)で表されるジフルオロ酢酸ハライド
の製造方法、および、該ジフルオロ酢酸ハライドと水と
を反応させることを特徴とするジフルオロ酢酸の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はジフルオロ酢酸ハライド
およびジフルオロ酢酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジフルオロ酢酸およびジフルオロ酢酸ハ
ライドは、触媒または医農薬の中間体、および機能性材
料の中間体として有用な化合物である。
【0003】ジフルオロ酢酸の製造方法としては、
(1)クロロトリフルオロエチレンを出発物質としアル
キルアミン類と反応させ、加水分解しクロロフルオロ酢
酸アミドを得て、さらにフッ素化しジフルオロ酢酸アミ
ドに変換した後、加水分解する製造方法(Collect.Czec
h.Chem.Comm.,42(8),2537(1977) 、CS180697号)、
(2)テトラフルオロエチレンにアンモニアを付加し、
2,4,6−トリ(ジフルオロメチル)−1,3,5−
トリアジンとした後、加水分解する方法(USP 2,442,995
号、J.0rg.Chem.,14,751(1949)) が報告されている。
【0004】また、ジフルオロ酢酸ハライドの製造方法
としては、(3)1,1,2,2−テトラフルオロエチ
ルアルキルエーテルを三酸化硫黄、フルオロ硫酸、また
はクロロ硫酸存在下で分解させる方法(J.Fluorine Che
m.,3,63,(1973))が報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】(1)の方法は、クロ
ロフルオロ酢酸アミドのフッ素化反応が必要である。フ
ッ素化反応は長時間かつ高温の反応であり、またフッ素
化後ろ過などの後処理が煩雑であり、収率も低いという
問題がある。(2)の方法は、テトラフルオロエチレン
とアンモニアの付加を34kg/cm2 もの高圧で反応
を行うため、工業的に実施するのは不可能である。さら
に(1)および(2)における加水分解工程において
は、酸あるいはアルカリを用いる。酸として硫酸を用い
た加水分解工程を採用した際には、大量の硫酸廃液を生
ずる問題がある。またアルカリ金属水酸化物の水溶液を
用いた際には、ジフルオロ酢酸と無機塩を含んだ水との
混合物が得られる。該混合物よりジフルオロ酢酸を回収
する際に、ジフルオロ酢酸の沸点が水より高沸の約13
6℃であるために、塩の中より蒸留しなければならず、
回収率が低くなる問題がある。
【0006】一方、(3)の方法は、原料の1,1,
2,2−テトラフルオロエチルアルキルエーテルをテト
ラフルオロエチレンとアルコールから合成する際に、テ
トラフルオロエチレンの不均化による爆発の可能性があ
る(J.Amer.Chem.Soc.,73,1329(1951))。また、反応副
生成物であるアルキルフルオロサルフェートの処理も問
題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決しようとするものであり、一般式HCF2 CXClH
(ただし、XはClまたはFを示す。)で表されるハロ
ゲン化エタンを酸化することを特徴とする一般式HCF
2 COX(ただし、Xは前記と同じ意味を示す。)で表
されるジフルオロ酢酸ハライドの製造方法、および、該
ジフルオロハライドと水とを反応させることを特徴とす
るジフルオロ酢酸の製造方法である。
【0008】本発明においては、一般式HCF2 CXC
lH(ただし、XはClまたはFを示す)で表されるハ
ロゲン化エタンを原料として採用することが、第1の特
徴である。
【0009】CF3 CHCl2 を酸化してトリフルオロ
酢酸ハライドを合成する方法(特開昭60−23943
5号)は公知である。しかし、HCF2 CX123
(ここで、X1 、X2 、およびX3 は、それぞれ、同一
であっても異なっていてもよい、水素原子またはハロゲ
ン原子を示す。)なる化合物を酸化してジフルオロ酢酸
ハライドとする反応を、種々のHCF2 CX123
なる化合物に試みたところ、大部分の化合物は、通常の
反応条件では全く反応が起こらないか、または、反応が
起こったとしても目的物以外の生成物しか得られず、ご
く一部の特定構造のハロゲン化エタン(本発明の一般式
HCF2 CXClHで表されるハロゲン化エタン)のみ
に、目的の反応が起こり、ジフルオロ酢酸ハライドを生
成しうることを見いだした。さらに、該特定のハロゲン
化エタンにおける反応は、反応率および選択率のいずれ
においても高く、また、該原料化合物は入手しやすく、
経済的にも優れることがわかった。特に、一般式HCF
2 CXClHで表される特定のハロゲン化エタンのう
ち、XがFである原料化合物は、安価に入手できる化合
物である。
【0010】一般式HCF2 CXClH(ただし、Xは
ClまたはFを示す)で表されるハロゲン化エタンを酸
化して一般式HCF2 COX(ただし、Xは前記と同じ
意味を示す。)で表されるジフルオロ酢酸ハライドとせ
しめる反応は、酸素の存在下で光酸化する方法、あるい
は酸素の存在下で高温条件とする方法によって実施する
のが好ましい。
【0011】酸素の存在下で光酸化する場合の光源とし
ては、特に限定されないが、通常は、高圧水銀灯、中圧
水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ等を用いるのが好
ましい。しかし、該光源を用いた場合に、反応によって
副生する酸、特にフッ酸により光源部のガラスが失透
し、反応率が低下する恐れがある。したがって、本発明
においては、光源部と反応物との間に保護層を設け、光
源部のガラスと反応物が直接触れないようにするのが好
ましい。保護層を設けることによって、光源部のガラス
の失透が抑えられ長期間にわたって光酸化反応が円滑に
進行する利点がある。
【0012】該保護層としては、光源部より照射される
有効な光を透過させるもの、特に紫外線を透過させるも
のであれば特に限定されない。例えば窒素、空気等のガ
ス、あるいは、紫外線に安定であり、かつ、紫外線を透
過させる透明性のフッ素樹脂等の樹脂が挙げられ、透明
性のフッ素樹脂が好ましい。該フッ素樹脂としては、テ
トラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共
重合体(以下、PFAと記す。)、エチレン−テトラフ
ルオロエチレン系の共重合体、テトラフルオロエチレン
−ヘキサフルオロプロピレン系の共重合体、旭硝子社製
サイトップ、デュポン社製テフロンAF等が挙げられ
る。
【0013】上記の酸素の存在下で光酸化する反応にお
いては、ハロゲンを存在させてもよい。該ハロゲンは、
触媒として作用するものと考えられ、ハロゲンを存在さ
せることによって反応速度を速くできる。
【0014】ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素、あ
るいはこれらのハロゲンを含む化合物等が例示されうる
が、取り扱いやすさ、副生する微量不純物等の点から塩
素(Cl2 )が好ましい。Cl2 の量は特には限定され
ないが、少なすぎると反応速度が低下し、多すぎると副
生物が増加するため、ハロゲン化エタンに対して、0.
01〜200モル%が好ましく、特に5〜50モル%が
好ましい。塩素の量は、反応条件によって適宜変更され
うる。
【0015】本発明の光酸化反応は、液相反応または気
相反応のいずれであっても実施され得る。液相反応で実
施する場合には、溶媒を用いるのが好ましい。酸素、お
よびハロゲンを存在させて光酸化反応を実施する場合に
はハロゲンの溶解度の高い溶媒が好ましく、特にパーフ
ルオロヘキサン等のパーフルオロの有機化合物からなる
溶媒が好ましい。
【0016】光酸化反応の温度は、気相反応においては
通常は室温〜200℃程度が好ましく、特に50〜15
0℃がより好ましい。液相反応においては、通常、−5
0〜100℃が好ましく、特に−20〜70℃が好まし
い。
【0017】反応圧は気相反応においても液相反応にお
いても特に限定されず、減圧、常圧、または加圧のいず
れの条件であってもよい。液相で反応を行う場合には、
酸素の溶解量を増すために加圧系で行うのが好ましい。
酸素の溶解量を増やすことにより原料の転化率を大きく
できる。また、光酸化反応は、バッチ反応または流通系
の反応のいずれの反応であっても実施でき、流通系の反
応で実施するのが好ましい。流通系の反応で実施する場
合には、酸素の滞留時間を30秒以上とするのが好まし
く、特に、1〜20分程度が好ましい。
【0018】酸素の量は、理論的には、原料のハロゲン
化エタンの1モルに対し、0.5モルであるが、反応を
気相反応で実施する場合には、ハロゲン化エタンに対し
て20〜400モル%程度、特には、50〜400モル
%が反応の収率の点から望ましい。ただし、光酸化反応
を工業的スケールで実施する場合には爆発範囲を避ける
ために、酸素量をハロゲン化エタンに対して400モル
%以上、あるいは20モル%以下とすることもありう
る。
【0019】一方、ハロゲン化エタンを酸素の存在下、
高温条件で酸化してジフルオロ酢酸ハライドとせしめる
場合、温度は、30〜400℃の範囲が好ましく、さら
には200〜350℃の範囲が好ましい。また、反応圧
力は、特に限定されず、任意の圧力でも容易に進行する
が、例えば20〜40kg/cm2 (ゲージ圧)が好ま
しい。
【0020】さらに、ハロゲン化エタンを酸素の存在下
で加温条件で酸化する反応は、水の存在下に実施しても
よい。該水の量としては特に限定されないが、少なすぎ
ると反応速度が低下し、多すぎると副生物が増加するた
め、ハロゲン化エタンに対して0.01〜100モル%
が好ましく、5〜50モル%が特に好ましい。水の量
は、温度、圧力、あるいは反応溶媒等により、適宜変更
されうる。
【0021】さらに、上記のハロゲン化エタンの酸化反
応は、いずれの方法で実施する場合においても、酸素を
はじめ反応中間体あるいは反応生成物に対して不活性な
化合物、例えば窒素、ヘリウム、アルゴンあるいは炭酸
ガス等の存在下に実施してもよい。
【0022】上記のハロゲン化エタンの酸化反応により
合成されるジフルオロ酢酸ハライドは一般式HCF2
OXで表せる(ただし、Xは前記と同じ意味を示
す。)。さらに、該ジフルオロ酢酸ハライドは、水と反
応せしめることによってジフルオロ酢酸となる。水との
反応においては、反応溶媒を存在させてもよい。反応溶
媒としては、非プロトン性の溶媒が好ましいが、通常
は、特に用いる必要はない。
【0023】ジフルオロ酢酸ハライドと水との反応は、
通常の加水分解反応の条件および方法が適用されうる
が、本発明においては、水のみで実施するのが好まし
く、酸あるいはアルカリを特に用いる必要はない。特に
工業的な大スケールで実施する場合には、酸あるいはア
ルカリを用いないのが、廃液処理や反応装置の耐久性等
の点からも有利である。また、工業的スケールで実施す
る場合には、バッチ式の反応装置あるいは吸収塔式の反
応装置を用いるのが好ましい。
【0024】反応温度は0〜100℃が好ましく、特に
30〜80℃が好ましい。また、反応圧力は−1〜3k
g/cm2 (ゲージ圧)が好ましく、通常は常圧で行う
のが好ましい。
【0025】ところで、上記の方法で合成したジフルオ
ロ酢酸の反応粗液中に、未反応の水が存在する場合、水
とジフルオロ酢酸には共沸組成が存在し、通常の蒸留分
離の操作で除去することは困難である。特に、工業的な
大スケールで反応を実施して実質的に水を含まないジフ
ルオロ酢酸を得たい場合に、蒸留による分離は、非効率
的であり経済的な理由からも不利である。なお、ここで
実質的に水を含まないジフルオロ酢酸とは、水の量が1
重量%以下であるジフルオロ酢酸、好ましくは600p
pm以下であるジフルオロ酢酸を意味する。
【0026】したがって、本発明においては、以下の方
法で反応を行うことによって実質的に水を含まないジフ
ルオロ酢酸を得ることができる。
【0027】該方法としては、水を含むジフルオロ酢酸
にジフルオロ酢酸ハライドを接触させる方法が例示され
うる。該方法の具体的な操作としては特に限定されない
が、常温常圧操作が好ましく、水を含むジフルオロ酢酸
にジフルオロ酢酸ハライドを吹き込む方法、あるいは充
てん塔中で連続的に両者を接触させる方法等を採用でき
る。通常、ジフルオロ酢酸中の水分量が少なくなるほ
ど、加水分解反応は遅くなるため、連続的に接触させる
方法を採用するのが好ましい。
【0028】例えば、吸収塔式の反応装置を用いる際
に、2つの吸収塔を直列に配列し、以下の2段階の反応
を行い、それらを繰り返し行う方法は、効率的であり好
ましい。すなわち、直列に接続した2つの吸収塔を用
い、第1段階として、水を含むジフルオロ酢酸または水
を充填した第1の吸収塔にジフルオロ酢酸ハライドを導
入し、第1の反応塔でジフルオロ酢酸ハライドと水とを
反応させてジフルオロ酢酸を生成させ、かつ、水を減少
させるとともに、未反応のジフルオロ酢酸ハライドを第
2の吸収塔に排出し、水を充填した第2の吸収塔に第1
の吸収塔から排出されたジフルオロ酢酸ハライドを導入
し、第2の吸収塔で過剰の水とジフルオロ酢酸ハライド
とを反応させて水を含むジフルオロ酢酸を生成させ、第
1の吸収塔において実質的に水を含まないジフルオロ酢
酸が生成したところでこれを取り出すこと。つぎに第2
段階として、上記第1段階における第1の吸収塔に水を
充填して第2段階における第2の吸収塔とし、第1段階
における水を含むジフルオロ酢酸が充填されている第2
の吸収塔を第2段階における第1の吸収塔とし、前記第
1段階と同じ操作を行うこと、および該第1段階の操作
と該第2段階の操作を順に繰り返すことよりなる製造方
法である。
【0029】このようにして得られた、本質的に水を含
まないジフルオロ酢酸の反応粗液中に、フッ化水素また
は塩化水素が含まれている場合には、蒸留により容易に
除去できる。
【0030】
【実施例】以下に、本発明の実施例についてさらに具体
的に説明するが、この説明によって本発明は限定されな
い。なお、以下においてHCF2 CCl2 HをR−13
2a、HCF2 CClFHをR−133と記す。
【0031】[実施例1]500ccのPFA製の容器
を80℃の温水浴中につけ、R−132a/O2/Cl2
=50/40/10(モル比)の80℃の混合ガス
を、容器内のガスが完全に置換されるまで常圧で導入し
た。導入終了後、容器を密閉し、容器外部より400W
の高圧水銀灯を10分間照射した。反応粗ガスを19F−
NMRおよびガスクロマトグラフにより分析した結果、
R−132aの転化率は99%、ジフルオロ酢酸クロリ
ドの選択率は99%であった。
【0032】[実施例2]R−132aの代わりにR−
133を用いる以外は実施例1と同様にして反応を行
い、反応粗ガスを19F−NMRおよびガスクロマトグラ
フにより分析した。その結果R−133の転化率は87
%、ジフルオロ酢酸フルオリドの選択率は99%であっ
た。
【0033】[実施例3]内容積が30ccのPFA製
チューブ型反応器に、あらかじめR−132a/O2
Cl2 =1/3/0.5(モル比)の混合ガスを、80
℃の恒温槽中で、反応管内圧が2kg/cm2 (ゲージ
圧)になるように導入した。導入終了後、容器を密閉
し、容器外部より400Wの高圧水銀灯を5分間照射し
た。反応終了後、反応粗ガスを19F−NMRおよびガス
クロマトグラフにより分析した。その結果R−132a
の転化率は99%、ジフルオロ酢酸クロリドの選択率は
99%であった。
【0034】[実施例4]混合ガスとしてR−132a
/O2 /Cl2 /N2 =1/1.4/0.5/1.6
(モル比)に調製されたものを使うこと以外は、実施例
3と全く同様に反応を行い、反応終了後、反応粗ガスを
19F−NMRおよびガスクロマトグラフにより分析し
た。その結果R−132aの転化率は99%、ジフルオ
ロ酢酸クロリドの選択率は99%であった。
【0035】[実施例5]内容積が30ccのPFA製
チューブ型反応器に、あらかじめR−132a/O2
Cl2 =1/3/0.5(モル比)の混合ガスを、80
℃の恒温槽中で、反応管内圧が2kg/cm2 (ゲージ
圧)になるように導入した。混合ガスを滞留時間が10
分となるように導入しながら、容器外部より400Wの
高圧水銀灯を照射した。反応終了後、反応粗ガスを19
−NMRおよびガスクロマトグラフにより分析した。そ
の結果R−132aの転化率は99%、ジフルオロ酢酸
クロリドの選択率は99%であった。
【0036】[実施例6]−80℃の冷却管を取り付け
た1000ccのハステロイC製反応器の内部に、表面
を透明フッ素樹脂サイトップ(商品名:旭硝子社製)で
コーティングした400Wの高圧水銀灯を取りつけた。
R−132aを1.5kg仕込み、反応温度0℃で、C
2 およびO2 を、それぞれ0.5モル/時間、2.0
モル/時間で導入しながら、高圧水銀灯で光照射した。
滞留時間は10分であった。6時間反応後、反応粗生成
物を19F−NMRおよびガスクロマトグラフにより分析
した。その結果R−132aの転化率は60%、ジフル
オロ酢酸クロリドの選択率は97%であった。
【0037】[参考例1〜3]R−132aの代わり
に、HCF2 CCl3 、HCF2 CH3 、またはHCF
2 CFH2 をそれぞれ用いて、実施例1と同様に反応さ
せた結果、反応は全く起こらず、原料が回収された。
【0038】[実施例7]500ccのハステロイC製
の容器に水の54g(3.0モル)を入れ、内温が40
℃を保つように実施例1で得られた主成分としてジフル
オロ酢酸クロリドを含む反応粗ガスの343g(3.0
モル)をゆっくり液中にフィードした。反応粗液を蒸留
して塩化水素除き、沸点136℃のジフルオロ酢酸の2
76g(95.8%収率)を得た。水分量を分析値した
ところ570ppmであった。
【0039】[実施例8]500ccのハステロイC製
の容器に水の54g(3.0モル)を入れ、内温が60
℃を保つように実施例2で得られた主成分としてジフル
オロ酢酸フルオリドを含む反応粗ガスの294g(3.
0モル)をゆっくり液中にフィードした。さらに60℃
で1時間撹拌後、反応粗液を蒸留して、沸点136℃の
ジフルオロ酢酸の262g(収率91.0%)を得た。
水分量を分析した結果、170ppmであった。
【0040】[実施例9]2本の吸収塔(A吸収塔およ
びB吸収塔)を直列に配列した。A吸収塔には、5.9
重量%の水を含むHCF2 COOHの54モルを35℃
で循環させ、そこへ、実施例6で得られた主成分として
ジフルオロ酢酸クロリドを含む反応粗生成物を接触時間
が15秒になるように3モル/時間でフィードした。A
吸収塔を出たガスをB吸収塔に導入した。B吸収塔に
は、水の72モルを35℃で循環させた。24時間後、
A吸収塔中のジフルオロ酢酸の水分量は、100ppm
以下であり、B吸収塔のジフルオロ酢酸の水分量は5.
9重量%であった。つぎにA吸収塔からジフルオロ酢酸
を取り出した。その後、A吸収塔に水を入れて35℃で
循環させた。B吸収塔にジフルオロ酢酸クロリドを導入
し、B吸収塔から出たガスをA吸収塔に導入し、上記と
同様の操作を実施した。
【0041】
【発明の効果】本発明方法によれば、原料としてHCF
2 CXClHなる特定のハロゲン化エタンを選定して酸
化反応を行うことにより、非常に効率よく高収率でジフ
ルオロ酢酸ハライドおよびジフルオロ酢酸を製造でき
る。さらに、実質的に無水のジフルオロ酢酸を連続的に
経済的に有利に製造できる。本発明方法は、小スケール
で実施できるのみならず、工業的に大スケールで実施す
る場合には、特に有用な方法である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式HCF2 CXClH(ただし、Xは
    ClまたはFを示す。)で表されるハロゲン化エタンを
    酸化することを特徴とする一般式HCF2 COX(ただ
    し、Xは前記と同じ意味を示す。)で表されるジフルオ
    ロ酢酸ハライドの製造方法。
  2. 【請求項2】一般式HCF2 CXClH(ただし、Xは
    ClまたはFを示す。)で表されるハロゲン化エタンを
    酸化して一般式HCF2 COX(ただし、Xは前記と同
    じ意味を示す。)で表されるジフルオロ酢酸ハライドと
    せしめ、該ジフルオロ酢酸ハライドと水とを反応させる
    ことを特徴とするジフルオロ酢酸の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式HCF2 CXClH(ただし、Xは
    ClまたはFを示す。)で表されるハロゲン化エタンを
    酸化する反応を、酸素の存在下で光酸化することによっ
    て行う請求項1または2の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式HCF2 CXClH(ただし、Xは
    ClまたはFを示す。)で表されるハロゲン化エタンを
    酸化する反応を、酸素およびハロゲンの存在下で光酸化
    することによって行うことを特徴とする請求項1または
    2の製造方法。
  5. 【請求項5】酸素とともに用いるハロゲンが塩素である
    請求項4の製造方法。
  6. 【請求項6】一般式HCF2 CXClH(ただし、Xは
    ClまたはFを示す。)で表されるハロゲン化エタンを
    酸化する反応を、酸素の存在下で光酸化することによっ
    て行う際に、光が導入される透明器壁の反応物と接触す
    る面に、透明性のフッ素樹脂層を設けて反応させること
    を特徴とする請求項3〜5のいずれかの製造方法。
  7. 【請求項7】一般式HCF2 CXClH(ただし、Xは
    ClまたはFを示す。)で表されるハロゲン化エタンを
    酸化する反応を、酸素の存在下、高温条件で行う請求項
    1または2の製造方法。
  8. 【請求項8】反応を水の存在下に行う請求項7の製造方
    法。
  9. 【請求項9】水を含むジフルオロ酢酸に、一般式HCF
    2 COX(ただし、XはClまたはFを示す。)で表さ
    れるジフルオロ酢酸ハライドを接触させ、実質的に水を
    含まないジフルオロ酢酸を得ることを特徴とするジフル
    オロ酢酸の製造方法。
  10. 【請求項10】直列に接続した2つの吸収塔を用い、第
    1段階として、水を含むジフルオロ酢酸または水を充填
    した第1の吸収塔にジフルオロ酢酸ハライドを導入し、
    第1の反応塔でジフルオロ酢酸ハライドと水とを反応さ
    せてジフルオロ酢酸を生成させ、かつ、水を減少させる
    とともに、未反応のジフルオロ酢酸ハライドを第2の吸
    収塔に排出し、水を充填した第2の吸収塔に第1の吸収
    塔から排出されたジフルオロ酢酸ハライドを導入し、第
    2の吸収塔で過剰の水とジフルオロ酢酸ハライドとを反
    応させて水を含むジフルオロ酢酸を生成させ、第1の吸
    収塔において実質的に水を含まないジフルオロ酢酸が生
    成したところでこれを取り出すこと、つぎに第2段階と
    して、上記第1段階における第1の吸収塔に水を充填し
    て第2段階における第2の吸収塔とし、第1段階におけ
    る水を含むジフルオロ酢酸が充填されている第2の吸収
    塔を第2段階における第1の吸収塔とし、前記第1段階
    と同じ操作を行うこと、および該第1段階の操作と該第
    2段階の操作を順に繰り返すこと、よりなる請求項9の
    製造方法。
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