JPH112283A - 能動型振動制御装置 - Google Patents

能動型振動制御装置

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JPH112283A
JPH112283A JP9156604A JP15660497A JPH112283A JP H112283 A JPH112283 A JP H112283A JP 9156604 A JP9156604 A JP 9156604A JP 15660497 A JP15660497 A JP 15660497A JP H112283 A JPH112283 A JP H112283A
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signal
frequency
transfer function
control
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Takeshi Kimura
健 木村
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F13/00Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs
    • F16F13/04Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper
    • F16F13/26Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper characterised by adjusting or regulating devices responsive to exterior conditions
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F15/00Suppression of vibrations in systems; Means or arrangements for avoiding or reducing out-of-balance forces, e.g. due to motion
    • F16F15/02Suppression of vibrations of non-rotating, e.g. reciprocating systems; Suppression of vibrations of rotating systems by use of members not moving with the rotating systems

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Abstract

(57)【要約】 【課題】伝達関数の同定処理の負荷を軽減したい。 【解決手段】周波数f0 を最低周波数fmin に設定し
(201)、周波数f0 の正弦波を出力し(202)、
残留振動信号eを十分な個数を読み込んだら(203、
204)、周波数f0 が所定周波数帯域の最低値fL
上且つ最大値fU 未満であるか否かを判定し(20
5)、「NO」なら周波数f0 に増加分Δfを加えて新
たな周波数f0 を演算し(206)、「YES」なら周
波数f0 に増加分Δfの半分を加えて新たな周波数f0
を演算し(207)、新たな周波数f0 が最大値fmax
を越えるまで上記処理を繰り返す(ステップ208)。
そして、FFT演算を行って周波数成分を抽出し(20
9)、各周波数成分の周波数間隔が均一となるように補
間演算を実行し(210)、逆FFT演算して時間軸上
のインパルス応答を求め(211)、求めたインパルス
応答を新たな伝達関数フィルタC^として記憶する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両エンジン等
の振動源から車体に伝達される振動に、制御振動源から
発せられる制御振動を干渉させることにより、振動の低
減を図る能動型振動制御装置に関し、特に、制御振動源
を駆動させるための制御アルゴリズムが、制御振動源と
残留振動を検出する手段との間の伝達関数を含むものに
おいて、その伝達関数の同定処理の負荷軽減並びに伝達
関数の同定精度の向上を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】本発明のような能動型振動制御装置の場
合、制御振動源と残留振動を検出する手段との間の伝達
関数は、その能動型振動制御装置の適用対象装置,適用
対象設備毎の特性バラツキによって微妙に異なるし、ま
た、適用対象装置等の使用に伴う特性変化等によって当
初の状態からは変化してしまう可能性があるため、高精
度の振動低減制御を実行するためには、能動型振動制御
装置を適用対象装置に組み込んだ後に伝達関数を同定し
たり、適用対象装置の定期検査毎に伝達関数を同定する
ことが望ましい。
【0003】そこで、本出願人は、先に特開平6−33
2471号公報に開示されるような技術を提案してい
る。即ち、この公報に開示された従来技術は、制御音源
や制御振動源からインパルス信号に応じた同定音や同定
振動を発生させ、その応答を残留騒音や残留振動を検出
する手段で計測することにより、能動型騒音制御装置や
能動型振動制御装置の制御アルゴリズムに必要な伝達関
数を同定するようになっている。そして、そのインパル
ス信号に応じた同定音や同定振動を発生するタイミング
を、騒音源や振動源から騒音や振動が発生していない状
態から発生する状態に移行する直前に限ることにより、
演算負荷の大幅な増大を招くことなく、また、人間等に
不快感を与えることなく、伝達関数の同定が行えるよう
になっていた。
【0004】なお、その他の先行技術としては、振動の
低減ではなく騒音の低減技術に関するものではあるが、
特開平3−259722号公報に開示されたものがあ
る。この公報に開示された装置は、冷蔵庫のコンプレッ
サで発生し機械室ダクトを通じて外部に放射される騒音
を、その機械室ダクトから放射される前に打ち消す装置
であって、機械室ダクト内の騒音制御を行うラウドスピ
ーカ及びマイクロフォンを備えていて、コンプレッサの
駆動状態に応じてラウドスピーカから制御音を発生して
騒音低減を図る一方、騒音制御特性が劣化しないよう
に、コンプレッサが停止する度に、ホワイトノイズ信号
に応じた同定音を発生して、ラウドスピーカ及びマイク
ロフォン間の伝達関数を測定し、フィルタの同定を行っ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上述したよう
な先行技術によれば、能動型振動制御装置や能動型騒音
制御装置の適用対象装置毎に、制御に必要な伝達関数を
同定することは可能であるから、高精度の振動低減制御
等が期待できる。
【0006】一方、上述したような先行技術において伝
達関数を同定するためには、インパルス信号又はホワイ
トノイズ信号に応じた同定音を発生する必要があるが、
それらインパルス信号及びホワイトノイズ信号は、全周
波数帯域の成分を含む信号であるため、同定音を発生し
ても広い周波数帯域に出力が分散されてしまう。する
と、同定音の全出力を十分に高くしなければ、各周波数
成分毎の出力が僅かになってしまい、伝達関数の同定が
不十分になってしまう。従って、各周波数成分毎の出力
が十分に得られるように、高い出力で同定音を発生しな
ければならないという要求がある。
【0007】かかる要求に対しては、例えばラウドスピ
ーカを制御音源とした能動型騒音制御装置であれば、大
出力可能なラウドスピーカはスペース的な余裕さえ確保
できれば適用することは容易であるから、比較的容易に
達成することができる。
【0008】しかしながら、例えば車両のエンジンから
車体に伝達される振動を、そのエンジン及び車体間に配
設されたエンジンマウントで能動的な支持力を発生する
ことによって低減するようになっている能動型振動制御
装置の場合、エンジンマウントが発生可能な能動的な支
持力に限界がある。このため、大きなインパルス信号や
ホワイトノイズ信号を制御振動源としてのエンジンマウ
ントに供給しても、実際に発生する同定音のレベルはそ
れほど高くならず、このままでは伝達関数の同定に長時
間を要してしまう。
【0009】また、車両エンジン等が振動源となる場合
のように実際の振動低減制御の際には、ホワイトノイズ
のような全周波数帯域に渡った振動が発生するのではな
く、特定の周波数に集中した振動が発生するのが一般的
であるから、ホワイトノイズ信号等による同定音では実
際の使用条件に適した伝達関数の同定が行えない場合も
ある。
【0010】さらに、実際に伝達関数の同定を行う状況
を考えると、例えば車両用の能動型振動制御装置であれ
ば、工場のライン上において、能動型振動制御装置を搭
載した車両毎に伝達関数の同定を行うため、車両に搭載
されたコントローラを用いて伝達関数の同定を行わなけ
ればならないし、その同定に要する時間も工場のライン
速度に大きな影響を与えないようにできるだけ短時間で
なければならない。つまり、各車両毎の伝達関数の同定
は、実験室において高能力・大メモリ容量のコンピュー
タを用いて十分な時間枠の中で同定演算を行うのとは異
なり、車両に搭載された比較的低能力のコントローラに
よって、しかも限られた時間内で行わなければならない
のである。
【0011】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、振動低
減制御に必要な伝達関数の同定処理の負荷を軽減できる
能動型振動制御装置並びに伝達関数の同定精度が向上す
る能動型振動制御装置を提供することを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明である能動型振動制御装置は、
振動源から発せられる振動と干渉する制御振動を発生可
能な制御振動源と、前記振動源の振動発生状態を検出し
基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記干渉
後の振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動
検出手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づ
き前記制御振動源及び前記残留振動検出手段間の伝達関
数を含む制御アルゴリズムを用いて前記振動が低減する
ように前記制御振動源を駆動する能動制御手段と、正弦
波状の同定信号を前記制御振動源に供給する同定信号供
給手段と、前記同定信号に応じた振動が前記制御振動源
から発せられた場合の前記残留振動信号を読み込む応答
信号読み込み手段と、この応答信号読み込み手段が読み
込んだ前記残留振動信号に基づいて前記伝達関数を同定
する伝達関数同定手段と、前記正弦波状の同定信号の周
波数を一つずつ選択する周波数選択手段と、を備え、前
記周波数選択手段は、前記正弦波状の各同定信号の周波
数を、一の周波数帯域では他の周波数帯域に比べて細か
い周波数間隔で選択するようになっている。
【0013】また、請求項2に係る発明は、上記請求項
1に係る発明である能動型振動制御装置において、前記
一の周波数帯域を、制御対象系に共振現象が連続して表
れる周波数帯域とした。
【0014】そして、請求項3に係る発明は、上記請求
項1又は2に係る発明である能動型振動制御装置におい
て、前記伝達関数同定手段は、前記応答信号読み込み手
段が読み込んだ前記残留振動信号をフーリエ変換して前
記各同定信号の周波数に相当する周波数成分を求めるフ
ーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段が求めた各周
波数成分の周波数間隔が均一となるようにそれら各周波
数成分に基づいた補間演算を行う補間演算手段と、前記
補間演算によって周波数間隔が均一になった前記各周波
数成分を合成したものを逆フーリエ変換して前記伝達関
数としてのインパルス応答を求める逆フーリエ変換手段
と、を備えているようにした。
【0015】一方、上記目的を達成するために、請求項
4に係る発明である能動型振動制御装置は、振動源から
発せられる振動と干渉する制御振動を発生可能な制御振
動源と、前記振動源の振動発生状態を検出し基準信号と
して出力する基準信号生成手段と、前記干渉後の振動を
検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段
と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき前記制
御振動源及び前記残留振動検出手段間の伝達関数を含む
制御アルゴリズムを用いて前記振動が低減するように前
記制御振動源を駆動する能動制御手段と、正弦波状の同
定信号を前記制御振動源に供給する同定信号供給手段
と、前記同定信号に応じた振動が前記制御振動源から発
せられた場合の前記残留振動信号を読み込む応答信号読
み込み手段と、この応答信号読み込み手段が読み込んだ
前記残留振動信号に基づいて前記伝達関数としてのイン
パルス応答を求める伝達関数同定手段と、前記正弦波状
の同定信号の周波数を一つずつ選択する周波数選択手段
と、前記伝達関数同定手段が求める前記伝達関数にサン
プリング・クロックの周期の半分の時間に相当する位相
遅れを付与する位相遅れ付与手段と、を備えた。
【0016】請求項5に係る発明は、上記請求項4に係
る発明である能動型振動制御装置において、前記位相遅
れ付与手段は、前記応答信号読み込み手段が読み込んだ
前記残留振動信号を、前記サンプリング・クロックの周
期の半分の時間だけ遅らせることにより、前記伝達関数
に前記位相遅れを付与するようになっている。
【0017】これに対し、請求項6に係る発明は、上記
請求項4に係る発明である能動型振動制御装置におい
て、前記伝達関数同定手段は、前記応答信号読み込み手
段が読み込んだ前記残留振動信号をフーリエ変換して前
記各同定信号の周波数に相当する周波数成分を求めるフ
ーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段が求めた各周
波数成分を合成したものを逆フーリエ変換して前記伝達
関数としてのインパルス応答を求める逆フーリエ変換手
段と、を備え、前記位相遅れ付与手段は、前記フーリエ
変換手段の結果に前記位相遅れを付与するようになって
いる。
【0018】そして、請求項7に係る発明は、上記請求
項4に係る発明である能動型振動制御装置において、前
記伝達関数同定手段は、前記伝達関数として、前記サン
プリング・クロックの周期で離散化されたインパルス応
答を求めるようになっており、前記位相遅れ付与手段
は、前記インパルス応答を半タップ分遅らせることによ
り、前記伝達関数に前記位相遅れを付与するようになっ
ている。
【0019】また、請求項8に係る発明である能動型振
動制御装置は、振動源から発せられる振動と干渉する制
御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手
段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として出
力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留
振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動検出
手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて前記
振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能動制
御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に供給
する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振動が
前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信号
を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号読み
込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて前記
伝達関数としてのインパルス応答を求める伝達関数同定
手段と、前記正弦波状の同定信号の周波数を一つずつ選
択する周波数選択手段と、を備え、前記正弦波状の同定
信号には予めサンプリング・クロックの周期の半分の時
間に相当する位相遅れを与えた。
【0020】さらに、請求項9に係る発明である能動型
振動制御装置は、振動源から発せられる振動と干渉する
制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動
発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成
手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として
出力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残
留振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動検
出手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて前
記振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能動
制御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に供
給する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振動
が前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信
号を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号読
み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて前
記伝達関数としてのインパルス応答を求める伝達関数同
定手段と、前記正弦波状の同定信号の周波数を一つずつ
選択する周波数選択手段と、を備え、前記伝達関数同定
手段は、サンプリング・クロックの周期よりも細かい所
定時間間隔で離散化された前記インパルス応答を一旦求
め、そのインパルス応答の各数値を前記サンプリング・
クロックの一周期毎に平均化して数列を生成し、その数
列の先頭に零を付加したものを、最終的な前記インパル
ス応答として求めるようにした。
【0021】そして、請求項10に係る発明は、上記請
求項9に係る発明である能動型振動制御装置において、
前記所定時間間隔は、前記サンプリング・クロックの周
期の1/n(nは2以上の整数)に相当する時間とし
た。
【0022】また、上記目的を達成するために、請求項
11に係る発明である能動型振動制御装置は、振動源か
ら発せられる振動と干渉する制御振動を発生可能な制御
振動源と、前記振動源の振動発生状態を検出し基準信号
として出力する基準信号生成手段と、前記干渉後の振動
を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段
と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき前記制
御振動源及び前記残留振動検出手段間の伝達関数を含む
制御アルゴリズムを用いて前記振動が低減するように前
記制御振動源を駆動する能動制御手段と、正弦波状の同
定信号を前記制御振動源に供給する同定信号供給手段
と、前記同定信号に応じた振動が前記制御振動源から発
せられた場合の前記残留振動信号を読み込む応答信号読
み込み手段と、この応答信号読み込み手段が読み込んだ
前記残留振動信号に基づいて前記伝達関数としてのイン
パルス応答を求める伝達関数同定手段と、前記正弦波状
の同定信号の周波数を一つずつ選択する周波数選択手段
と、前記伝達関数同定手段が求める前記伝達関数のゲイ
ン特性をサンプリング・クロックの周期に基づいて補正
するゲイン特性補正手段と、を備えた。
【0023】そして、請求項12に係る発明は、上記請
求項11に係る発明である能動型振動制御装置におい
て、前記ゲイン特性補正手段は、前記応答信号読み込み
手段が読み込んだ前記残留振動信号の振幅を、前記同定
信号の周波数が高くなるに従って低減幅が大きくなる傾
向で低減するようになっている。
【0024】これに対し、請求項13に係る発明は、上
記請求項11に係る発明である能動型振動制御装置にお
いて、前記伝達関数同定手段は、前記応答信号読み込み
手段が読み込んだ前記残留振動信号をフーリエ変換して
前記各同定信号の周波数に相当する周波数成分を求める
フーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段が求めた各
周波数成分を合成したものを逆フーリエ変換して前記伝
達関数としてのインパルス応答を求める逆フーリエ変換
手段と、を備え、前記ゲイン特性補正手段は、前記フー
リエ変換手段の結果を、前記同定信号の周波数が高くな
るに従って低減幅が大きくなる傾向で低減するようにな
っている。
【0025】そして、請求項14に係る発明である能動
型振動制御装置は、振動源から発せられる振動と干渉す
る制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振
動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生
成手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号とし
て出力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記
残留振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動
検出手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて
前記振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能
動制御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に
供給する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振
動が前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動
信号を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号
読み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて
前記伝達関数としてのインパルス応答を求める伝達関数
同定手段と、前記正弦波状の同定信号の周波数を一つず
つ選択する周波数選択手段と、を備え、前記正弦波状の
各同定信号の振幅は、前記サンプリング・クロックの周
期に基づいて補正されているものである。
【0026】さらに、請求項15に係る発明は、上記請
求項14に係る発明である能動型振動制御装置におい
て、前記正弦波状の各同定信号の振幅は、各同定信号の
周波数が高くなるに従って小さくなっている。
【0027】ここで、請求項1に係る発明にあっては、
同定信号供給手段から制御振動源には、正弦波状の同定
信号が供給されるため、その同定信号に応じて制御振動
源から発せられる振動(同定振動)は、正弦波状に変化
する振動となる。すると、同定振動の周波数成分は、元
の正弦波の周波数に相当する特定周波数に集中するよう
になるから、制御振動源が発生可能な能動的な支持力に
限界があっても、応答信号読み込み手段において比較的
高レベルの残留振動信号を読み込むことができ、伝達関
数同定手段において高精度に伝達関数を同定することが
できる。
【0028】また、同定振動の周波数成分が特定周波数
に集中すれば、応答信号読み込み手段で読み込む必要が
ある残留振動信号は、伝達関数(インパルス応答)とし
て時間軸上で必要な長さに相当した分だけ取り込めばよ
いから、同定振動を発している時間は、ホワイトノイズ
信号により同定する場合よりも短くて済む。つまり、ホ
ワイトノイズ信号を用いて同定演算を行うためには、同
定振動を残留振動信号として取り込む一方で例えば適応
演算を行って伝達関数を同定する必要があるから、伝達
関数を高精度に同定するためには、できるだけ長時間に
渡って同定振動を発生し続ける必要があるが、この請求
項1に係る発明のように、正弦波状の同定振動を発生す
る構成であれば、残留振動信号に含まれる周波数成分の
うち、同定信号の元となっている正弦波の周波数に相当
する成分のレベル及び位相を例えばフーリエ変換処理等
によって把握できればよいのであるから、伝達関数同定
手段における演算処理に必要な時間は、結局は必要なデ
ータ数を取り込むのに費やされる時間となるから、ホワ
イトノイズ信号により伝達関数を同定する場合よりも短
くなるのである。
【0029】そして、同定振動の周波数成分が特定周波
数に集中すれば、伝達関数同定手段における演算処理も
例えばフーリエ変換や逆フーリエ変換等の比較的演算負
荷の小さい演算で済むようになるから、ホワイトノイズ
信号によって同定する場合よりも処理が簡易となり、必
要なコントローラも比較的低能力のものとなる。
【0030】なお、この請求項1に係る発明のように、
振動伝達系の伝達関数の同定を正弦波状の同定信号を用
いて行う場合、振動伝達系の特性を高精度に同定するこ
とだけを考えれば、選択される周波数は多ければ多いほ
どよい、つまり、各同定信号の周波数間隔は細かければ
細かいほどほいよいが、選択される周波数が多くなる
と、それだけ同定処理に要する時間が長くなってしま
う。
【0031】そこで、この請求項1に係る発明にあって
は、同定信号の周波数を選択する周波数選択手段を有し
ており、その周波数選択手段は、選択する同定信号の周
波数を、全周波数帯域に渡って均一な間隔とするのでは
なく、積極的に、一の周波数帯域では細かい周波数間隔
で、他の周波数帯域では広い周波数間隔で選択するか
ら、同定処理に要する時間が極端に長くなることを避け
つつ、伝達関数の同定精度を高くすることに貢献できる
のである。
【0032】例えば、請求項2に係る発明のように、周
波数が細かく選択される一の周波数帯域を、制御対象系
に共振現象が連続して表れる周波数帯域とし、それ以外
の周波数帯域では周波数間隔を広くすれば、ゲイン特性
や位相特性等に共振ピークが表れる周波数帯域の伝達特
性を、高精度で伝達関数で表現することができる一方
で、同定処理に要する時間を最小限に抑えることができ
るのである。
【0033】また、請求項3に係る発明にあっては、フ
ーリエ変換手段が求めた各周波数成分に基づいた補間演
算を行う補間演算手段を有するため、同定信号の周波数
間隔が一の周波数帯域と他の周波数帯域とでは異なって
いても、逆フーリエ変換手段で逆フーリエ変換を行う際
には、各周波数成分の周波数間隔は均一になる。このた
め、逆フーリエ変換は特に支障なく行える。
【0034】そして、補間演算手段における演算は、結
局のところ、周波数間隔が広い他の周波数帯域につい
て、その周波数間隔を一の周波数帯域の周波数間隔と同
じになるような補間演算になる。
【0035】そこで、一の周波数帯域における周波数間
隔を1とした場合に、他の周波数帯域における周波数間
隔を2、3、4…等の整数としておけば、補間演算が簡
易になるという利点がある。例えば、一の周波数帯域に
おける周波数間隔を1とし、他の周波数帯域における周
波数間隔を2とした場合であれば、補間演算手段におけ
る補間演算は、フーリエ変換手段が求めた他の周波数帯
域における各周波数成分のうち、隣り合った二つの周波
数成分を平均化して、その隣り合った二つの周波数成分
の間に位置する周波数成分を求める、という演算で済む
ようになる。
【0036】次に、請求項4に係る発明にあっても、正
弦波状の同定信号を用いて伝達関数の同定を行うように
なっているため、上記請求項1に係る発明と同様に、高
精度に伝達関数を同定できる、伝達関数同定手段におけ
る演算処理に必要な時間はホワイトノイズ信号により伝
達関数を同定する場合よりも短くなる、必要なコントロ
ーラも比較的低能力のものとなる、等の作用が得られ
る。
【0037】さらに、この請求項4に係る発明にあって
は、位相遅れ付与手段を備えているため、さらに高精度
の伝達関数を求めることができる。即ち、正弦波状の同
定信号を用いて伝達関数の同定を行う場合には、各周波
数毎のゲイン特性及び位相特性が求められるから、それ
らを合成して伝達関数としてのインパルス応答を求める
と、理想的なインパルス応答(幅0、高さ無限大、面積
1の単位インパルスに対する応答)が求められる。しか
しながら、実際に振動低減制御を実行する場合には、サ
ンプリング・クロックに同期して残留振動の読み込みや
駆動信号の出力が行われるため、各信号の波形は、サン
プリング・クロックの周期と同じ幅を持った方形波が集
合した波形(ステップ状に変化する波形)となる。この
ため、理想的なインパルス応答は、却って実際の振動低
減制御には不向きであり、むしろサンプリング・クロッ
クの周期と同じ幅の方形波をインパルスと見なした場合
の応答を、伝達関数としてのインパルス応答にするべき
なのである。
【0038】そこで、理想的なインパルス応答と、サン
プリング・クロックの周期と同じ幅の方形波をインパル
スと見なした場合のインパルス応答と、を比較した場
合、位相特性に着目すれば、前者は、後者に対して所定
時間(サンプリング・クロックの周期の半分の時間)分
の位相進みを有することになる。
【0039】よって、この請求項4に係る発明にあって
は、位相遅れ付与手段が、伝達関数同定手段が求める伝
達関数としてのインパルス応答に、上記所定時間に相当
する位相遅れを強制的に付与するから、それだけ高精度
の伝達関数が得られる。
【0040】そして、請求項5に係る発明にあっては、
応答信号読み込み手段が読み込んだ残留振動信号が、上
記所定時間だけ強制的に遅延させられ、その遅延させら
れた残留振動信号に基づいて伝達関数同定手段が伝達関
数としてのインパルス応答を求めるから、求められたイ
ンパルス応答に、上記所定時間に相当する位相遅れが強
制的に付与されるようになる。
【0041】これに対し、請求項6に係る発明にあって
は、位相遅れ付与手段が、フーリエ変換手段が求めた各
周波数成分に、上記所定時間に相当する位相遅れを強制
的に付与するとともに、その位相遅れが付与された各周
波数成分を合成したものが、逆フーリエ変換手段によっ
て逆フーリエ変換されて、伝達関数としてのインパルス
応答が求められるから、求められたインパルス応答に、
上記所定時間に相当する位相遅れが強制的に付与される
ようになる。
【0042】さらに、請求項7に係る発明にあっては、
伝達関数同定手段が求める伝達関数としてのインパルス
応答は、サンプリング・クロックの周期で離散化された
数列で表現されるから、位相遅れ付与手段が、伝達関数
としのてインパルス応答を半タップ分遅延させると、そ
のインパルス応答には、上記所定時間に相当する位相遅
れが強制的に付与されたことになる。
【0043】また、請求項8に係る発明にあっても、正
弦波状の同定信号を用いて伝達関数の同定を行うように
なっているため、上記請求項1や請求項4に係る発明と
同様に、高精度に伝達関数を同定できる、伝達関数同定
手段における演算処理に必要な時間はホワイトノイズ信
号により伝達関数を同定する場合よりも短くなる、必要
なコントローラも比較的低能力のものとなる、等の作用
が得られる。
【0044】そして、この請求項8に係る発明にあって
は、正弦波状の同定信号には、予め上記所定時間に相当
する位相遅れが与えられているから、その同定振動に応
じて発生する同定振動にも同様の位相遅れが含まれ、さ
らに応答信号読み込み手段が読み込んだ残留振動信号に
も同様の位相遅れが含まれるようになる。その結果、伝
達関数同定手段が伝達関数としてのインパルス応答を求
めると、求められたインパルス応答には、上記所定時間
に相当する位相遅れが強制的に含まれるようになり、上
記請求項4に係る発明と同様に高精度の伝達関数が得ら
れる。
【0045】さらに、請求項9に係る発明にあっても、
正弦波状の同定信号を用いて伝達関数の同定を行うよう
になっているため、上記請求項1や請求項4に係る発明
と同様に、高精度に伝達関数を同定できる、伝達関数同
定手段における演算処理に必要な時間はホワイトノイズ
信号により伝達関数を同定する場合よりも短くなる、必
要なコントローラも比較的低能力のものとなる、等の作
用が得られる。
【0046】そして、この請求項9に係る発明にあって
は、伝達関数同定手段は、サンプリング・クロックの周
期で離散化されたインパルス応答を直接求めるのではな
く、そのサンプリング・クロックの周期よりも細かい所
定間隔で離散化されたインパルス応答を一旦求めるよう
になっている。つまり、実際に制御に使用するサンプリ
ング・クロックよりもさらに高周波のサンプリング・ク
ロックによって残留振動信号を細かくサンプリング(オ
ーバーサンプリング)し、そのオーバーサンプリングし
た残留振動信号を用いて伝達関数同定手段で伝達関数と
してのインパルス応答を求めることにより、実際に制御
に使用するサンプリング・クロックの周期よりも細かい
所定間隔で離散化されたインパルス応答が求められる。
【0047】さらに、その求められたインパルス応答の
各数値をサンプリング・クロックの一周期毎に平均化す
ると、各平均値は、各サンプリング・クロックの一周期
内の中間点(一のサンプリング・クロックの入力タイミ
ングから、サンプリング・クロックの周期の半分の時間
だけずれた位置)における値に相当する。そこで、各平
均値からなる数列の先頭にさらに零を付加した数列は、
理想的なインパルス応答に上記所定時間に相当する位相
遅れが強制的に付与されたものと実質的に等価である。
よって、その数列を、最終的なインパルス応答とすれ
ば、上記請求項4に係る発明と同様に高精度の伝達関数
が得られたことになる。
【0048】なお、上記のようにオーバーサンプリング
したインパルス応答の各数値をサンプリング・クロック
の一周期毎に平均化することを考えると、請求項10に
係る発明のように、オーバーサンプリングする場合の上
記所定時間間隔は、振動低減制御実行時のサンプリング
・クロックの周期の1/n(nは2以上の整数)に相当
する時間に設定することが望ましい。
【0049】次に、請求項11に係る発明にあっても、
正弦波状の同定信号を用いて伝達関数の同定を行うよう
になっているため、上記請求項1に係る発明と同様に、
高精度に伝達関数を同定できる、伝達関数同定手段にお
ける演算処理に必要な時間はホワイトノイズ信号により
伝達関数を同定する場合よりも短くなる、必要なコント
ローラも比較的低能力のものとなる、等の作用が得られ
る。
【0050】さらに、この請求項11に係る発明にあっ
ては、ゲイン特性補正手段を備えているため、さらに高
精度の伝達関数を求めることができる。即ち、上述した
ように、正弦波状の同定信号を用いて伝達関数の同定を
行うことにより求められる理想的なインパルス応答と、
サンプリング・クロックの周期と同じ幅の方形波をイン
パルスと見なした場合のインパルス応答とは、完全には
一致せず、位相特性だけに着目しても、前者は、後者に
対してサンプリング・クロックの周期の半分の時間に相
当する位相進みを有している。そこで、上記のような請
求項4〜請求項10に係る発明によって上記位相進みの
影響をなくして、高精度の伝達関数を求めるようにして
いるのである。
【0051】さらに、ゲイン特性についても調査してみ
ると、上記理想的なインパルス応答と、上記方形波をイ
ンパルスと見なした場合のインパルス応答との間には、
サンプリング・クロックの周期に応じた差があることが
判った。
【0052】よって、請求項11に係る発明のように、
伝達関数同定手段が求める伝達関数のゲイン特性を、サ
ンプリング・クロックの周期に基づいて補正するゲイン
特性補正手段を有していれば、それだけ高精度の伝達関
数を求めることができるのである。
【0053】ここで、本発明者等が行ったシミュレーシ
ョンによれば、上記方形波をインパルスと見なした場合
のインパルス応答のゲイン特性は、上記理想的なインパ
ルス応答に比べて、周波数が高くなるに従って徐々に低
下する傾向があることが判った。
【0054】そこで、請求項12に係る発明のように、
ゲイン特性補正手段が、応答信号読み込み手段が読み込
んだ残留振動信号の振幅を、同定信号の周波数が高くな
るに従って低減幅が大きくなる傾向で低減すれば、その
低減する傾向をシミュレーション結果等に従って設定し
ておくことにより、伝達関数としてのインパルス応答の
ゲイン特性は好ましい状態に補正されるようになり、よ
り高精度の伝達関数が得られるようになる。
【0055】さらに、請求項13に係る発明のように、
ゲイン特性補正手段が、フーリエ変換手段の結果である
各周波数成分を、周波数が高くなるに従って低減幅が大
きくなる傾向で低減すれば、その低減する傾向をシミュ
レーション結果等に従って設定しておくことにより、逆
フーリエ変換手段によって求められるインパルス応答の
ゲイン特性は好ましい状態に補正されるようになり、よ
り高精度の伝達関数が得られるようになる。
【0056】また、請求項14に係る発明にあっても、
正弦波状の同定信号を用いて伝達関数の同定を行うよう
になっているため、上記請求項1に係る発明と同様に、
高精度に伝達関数を同定できる、伝達関数同定手段にお
ける演算処理に必要な時間はホワイトノイズ信号により
伝達関数を同定する場合よりも短くなる、必要なコント
ローラも比較的低能力のものとなる、等の作用が得られ
る。
【0057】そして、この請求項14に係る発明にあっ
ては、同定信号供給手段が制御振動源に供給する同定信
号の振幅が、サンプリング・クロックの周期に基づいて
補正されているため、その補正された振幅の影響が、伝
達関数同定手段が求める伝達関数としてのインパルス応
答に含まれるようになって、上記請求項11に係る発明
と同様に、それだけ高精度の伝達関数を求めることがで
きるのである。
【0058】さらに、請求項15に係る発明にあって
は、同定信号供給手段が制御振動源に供給する同定信号
の振幅が、周波数が高くなるに従って小さくなっている
ため、その小さくする傾向をシミュレーション結果等に
従って設定しておくことにより、伝達関数同定手段が求
めるインパルス応答のゲイン特性は好ましい状態に調整
されるようになり、より高精度の伝達関数が得られるよ
うになる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、正弦波状の同定信号を
用いて伝達関数を同定するようにしたため、伝達関数の
同定を、能動型振動制御装置を適用する装置や設備に搭
載された比較的低能力のコントローラであっても高精度
で且つ短時間で行えるという効果がある。
【0060】特に、請求項1〜3に係る発明によれば、
正弦波状の各同定信号の周波数を、一の周波数帯域では
他の周波数帯域に比べて細かい周波数間隔で選択するよ
うにしているため、同定処理に要する時間が極端に長く
することなく伝達関数の同定精度が高くなり、良好な振
動低減制御が実行できるという効果がある。
【0061】また、請求項3に係る発明によれば、補間
演算手段を設けたため、逆フーリエ変換手段を支障なく
行え、伝達関数としてのインパルス応答を特に問題なく
演算できるという効果がある。
【0062】そして、請求項4〜10に係る発明によれ
ば、伝達関数としてのインパルス応答に、サンプリング
・クロックの周期の半分の時間に相当する位相遅れを含
ませて、より高精度の伝達関数を同定するようにしたた
め、良好な振動低減制御が実行できるという効果があ
る。
【0063】また、請求項11〜15に係る発明によれ
ば、伝達関数としてのインパルス応答のゲイン特性を適
宜調整して、より高精度の伝達関数を同定するようにし
たため、良好な振動低減制御が実行できるという効果が
ある。
【0064】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図6は本発明の第1の
実施の形態を示す図であって、図1は本発明に係る能動
型振動制御装置を適用した車両の概略側面図である。
【0065】先ず、構成を説明すると、エンジン30が
駆動信号に応じた能動的な支持力を発生可能な能動型エ
ンジンマウント1を介して、サスペンションメンバ等か
ら構成される車体35に支持されている。なお、実際に
は、エンジン30及び車体35間には、能動型エンジン
マウント1の他に、エンジン30及び車体35間の相対
変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジン
マウントも介在している。受動的なエンジンマウントと
しては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常の
エンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生
可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウント
インシュレータ等が適用できる。
【0066】一方、能動型エンジンマウント1は、例え
ば、図2に示すように構成されている。即ち、この実施
の形態における能動型エンジンマウント1は、エンジン
30への取付け用のボルト2aを上部に一体に備え且つ
内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有し、このキ
ャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向く内筒3の
上端部がかしめ止めされている。
【0067】内筒3は、下端側の方が縮径した形状とな
っていて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、
ここに円形の開口部3aが形成されている。そして、内
筒3の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上
下に二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止
め部分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設され
ている。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の
側面に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0068】さらに、内筒3の内側にはオリフィス構成
体5が配設されている。なお、本実施の形態では、内筒
3内面及びオリフィス構成5間には、薄膜状の弾性体
(ダイアフラム4の外周部を延長させたものでもよい)
が介在していて、これにより、オリフィス構成体5は内
筒3内側に強固に嵌め込まれている。
【0069】このオリフィス構成体5は、内筒3の内部
空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面に
は円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部
5aと、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オ
リフィス5bを介して連通するようになっている。オリ
フィス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に
沿って螺旋状に延びる溝と、その溝の一端部を凹部5a
に連通させる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連
通させる流路とで構成される。
【0070】一方、内筒3の外周面には、内周面側が若
干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周
面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面
は、上端側が拡径した外筒7の内周面上部に加硫接着さ
れている。
【0071】そして、外筒7の下端部は上面が開口した
円筒形のアクチュエータケース8の上端部にかしめ止め
されていて、そのアクチュエータケース8の下端面から
は、車体35側への取付け用の取付けボルト9が突出し
ている。取付けボルト9は、その頭部9aが、アクチュ
エータケース8の内底面に張り付いた状態で配設された
平板部材8aの中央の空洞部8bに収容されている。
【0072】さらに、アクチュエータケース8の内側に
は、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10A
の中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル
10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲され
た部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石1
0Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設
されている。
【0073】また、アクチュエータケース8の上端部は
フランジ状に形成されたフランジ部8Aとなっていて、
そのフランジ部8Aに外筒7の下端部がかしめられて両
者が一体となっているのであるが、そのかしめ止め部分
には、円形の金属製の板ばね11の周縁部(端部)が挟
み込まれていて、その板ばね11の中央部の電磁アクチ
ュエータ10側には、リベット11aによって磁化可能
な磁路部材12が固定されている。なお、磁路部材12
はヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円板であって、
その底面が電磁アクチュエータ10に近接するような厚
みに形成されている。板ばね11及び磁路部材12によ
って可動部材が構成される。
【0074】さらに、上記かしめ止め部分には、フラン
ジ部8Aと板ばね11とに挟まれるように、リング状の
薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14a
とが支持されている。具体的には、アクチュエータケー
ス8のフランジ部8A上に、薄膜弾性体13と、力伝達
部材14のフランジ部14aと、板ばね11とをこの順
序で重ね合わせるとともに、その重なり合った全体を外
筒7の下端部をかしめて一体としている。
【0075】力伝達部材14は、磁路部材12を包囲す
る短い円筒形の部材であって、その上端部がフランジ部
14aとなっており、その下端部は電磁アクチュエータ
10のヨーク10Aの上面に結合している。具体的に
は、ヨーク10Aの上端面周縁部に形成された円形の溝
に、力伝達部材14の下端部が嵌合して両者が結合され
ている。また、力伝達部材14の弾性変形時のばね定数
は、薄膜弾性体13のばね定数よりも大きい値に設定さ
れている。
【0076】ここで、本実施の形態では、支持弾性体6
の下面及び板ばね11の上面によって画成された部分に
主流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5a
によって画成された部分に副流体室16が形成されてい
て、これら主流体室15及び副流体室16間が、オリフ
ィス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通
している。なお、これら主流体室15,副流体室16及
びオリフィス5b内には、エチレングリコール等の流体
が封入されている。
【0077】かかるオリフィス5bの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzで能動型エンジンマウン
ト1が加振された場合に高動ばね定数、高減衰力を示す
ように調整されている。
【0078】そして、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bは、コントローラ25からハーネス23aを
通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の
電磁力を発生するようになっている。コントローラ25
は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回
路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ、ROM,R
AM等の記憶媒体等を含んで構成され、アイドル振動や
こもり音振動・加速時振動が車体35に入力されている
場合には、その振動を低減できる能動的な支持力が能動
型エンジンマウント1に発生するように、能動型エンジ
ンマウント1に対する駆動信号yを生成し出力するよう
になっている。
【0079】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動が車体35に伝達されることが主
な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期し
て駆動信号yを生成し出力すれば、車体側振動の低減が
可能となる。そこで、本実施の形態では、エンジン30
のクランク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気
筒エンジンの場合には、クランク軸が180度回転する
度に一つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして
出力するパルス信号生成器26を設けていて、その基準
信号xが、エンジン30における振動の発生状態を表す
信号としてコントローラ25に供給されるようになって
いる。
【0080】一方、電磁アクチュエータ10のヨーク1
0Aの下端面と、アクチュエータケース8の底面を形成
する平板部材8aの上面との間に挟み込まれるように、
エンジン30から支持弾性体6を通じて伝達する加振力
を検出する荷重センサ22が配設されていて、荷重セン
サ22の検出結果がハーネス23bを通じて残留振動信
号eとしてコントローラ25に供給されるようになって
いる。荷重センサ22としては、具体的には、圧電素
子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能である。
【0081】そして、コントローラ25は、供給される
残留振動信号e及び基準信号xに基づき、逐次更新型の
適応アルゴリズムの一つである同期式Filtered
−XLMSアルゴリズムを実行することにより、能動型
エンジンマウント1に対する駆動信号yを演算し、その
駆動信号yを能動型エンジンマウント1に出力するよう
になっている。
【0082】具体的には、コントローラ25は、フィル
タ係数Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ
数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最
新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリン
グ・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタW
のフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力する
一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新する
処理を実行するようになっている。
【0083】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−μRT e(n) ……(1) ここで、(n),(n+1)が付く項はサンプリング時
刻n,n+1における値であることを表し、μは収束係
数である。また、更新用基準信号RT は、理論的には、
基準信号xを、能動型エンジンマウント1の電磁アクチ
ュエータ10及び荷重センサ22間の伝達関数Cを有限
インパルス応答型フィルタでモデル化した伝達関数フィ
ルタC^でフィルタ処理した値であるが、基準信号xの
大きさは“1”であるから、伝達関数フィルタC^のイ
ンパルス応答を基準信号xに同期して次々と生成した場
合のそれらインパルス応答波形のサンプリング時刻nに
おける和に一致する。
【0084】また、理論的には、基準信号xを適応ディ
ジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成
するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるた
め、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力し
ても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ
結果になる。
【0085】さらに、コントローラ25は、上記のよう
な適応ディジタルフィルタWを用いた振動低減処理を実
行する一方で、その振動低減制御に必要な伝達関数Cを
同定する処理をも実行するようになっている。
【0086】即ち、コントローラ25には、伝達関数C
の同定処理を開始するタイミングで操作される同定処理
開始スイッチ28が設けられていて、例えば製造ライン
における最終工程において、或いはディーラーにおける
定期点検時において、作業者がその同定処理開始スイッ
チ28を操作すると、コントローラ25内で伝達関数C
の同定処理が実行される。なお、伝達関数Cの同定処理
実行中には、通常の振動低減処理は実行されない。
【0087】つまり、コントローラ25は、車両のイグ
ニッションがオンになっている通常の走行時等には、同
期式Filtered−X LMSアルゴリズムに従っ
た振動低減処理を実行するが、同定処理開始スイッチ2
8が操作されると、振動低減処理を停止して、伝達関数
Cの同定処理を実行するようになっている。
【0088】そして、本実施の形態では、伝達関数Cの
同定処理は、正弦波状の同定信号を用いて行うようにな
っている。具体的には、正弦波状の同定信号を駆動信号
yの代わりに能動型エンジンマウント1に所定時間出力
し続けるとともに残留振動信号eを読み込む、というデ
ータ読み込み処理を、同定信号の周波数を順次変えつつ
繰り返し実行し、各データ読み込み処理によって得られ
た残留振動信号eの各数列をFFT処理して同定信号の
周波数に相当する成分を抽出し、抽出された各周波数成
分を合成した結果を、逆FFT処理して、伝達関数Cと
してのインパルス応答を求めるようになってる。求めら
れたインパルス応答は、有限インパルス応答型の伝達関
数フィルタC^としてそれまでの伝達関数フィルタC^
と置き換えられるようになっている。
【0089】なお、同定信号の周波数f0 は、同定処理
開始時に最小値fmin (この実施の形態では、fmin
10Hz)に設定された後に、原則的には、最大値fmax
(この実施の形態では、fmax =150Hz)に到るまで
の間は所定の増加分Δf(この実施の形態では、Δf=
10Hz)ずつ増加していくようになっている。ただし、
同定信号の周波数f0 は、例外的に、所定の周波数帯域
の最小値fL を越えて最大値fU に到るまでの間は、増
加分Δfの半分(Δf/2)ずつ増加するようになって
いる。
【0090】つまり、同定信号の周波数f0 は、所定の
周波数帯域(fU 〜fL )では細かい周波数間隔で選択
されるが、他の周波数帯域(fmin 〜fU 、fL 〜f
max )では広い周波数間隔で選択されるようになってい
る。
【0091】ここで、本実施の形態にあっては、所定の
周波数帯域を20〜80Hzに設定している。この周波数
帯域は、制御対象系としてのエンジン支持系に共振現象
が連続して表れる周波数帯域である。つまり、本実施の
形態のような構成であると、エンジンマウントの特性及
び車体35の曲げ共振が影響する20〜30Hz、サスペ
ンションメンバ系の共振が表れる50Hz付近には、連続
した共振ピークが表れるため、余裕を見て、所定の周波
数帯域を20〜80Hzに設定している。
【0092】また、上記のように逆FFT処理によって
伝達関数Cとしてのインパルス応答を求めるようになっ
ているが、選択される同定信号の周波数間隔が、上記所
定の周波数帯域と他の周波数帯域とで異なっていること
の不具合に対処するために、逆FFT処理をする前に、
各周波数成分について補間演算を行い、周波数成分の間
隔を一定にするようになっている。具体的には、上記他
の周波数帯域の周波数成分については、隣り合った二つ
の周波数成分の平均値を求め、その平均値を、それら二
つの周波数成分の間に位置する周波数成分とするように
なっている。
【0093】次に、本実施の形態の動作を説明する。即
ち、エンジンシェイク発生時には、オリフィス5bの流
路形状等を適宜選定している結果、この能動型エンジン
マウント1は高動ばね定数、高減衰力の支持装置として
機能するため、エンジン30側で発生したエンジンシェ
イクが能動型エンジンマウント1によって減衰されると
ともに、図示しない他の流体封入式エンジンマウント等
によってもエンジンシェイクは減衰されるから、車体3
5側の振動レベルが低減される。なお、エンジンシェイ
クに対しては、特に可動板12を積極的に変位させる必
要はない。
【0094】一方、オリフィス5b内の流体がスティッ
ク状態となり主流体室15及び副流体室16間での流体
の移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数
の振動が入力された場合には、コントローラ25は、所
定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10に駆動
信号yを出力し、能動型エンジンマウント1に振動を低
減し得る能動的な支持力を発生させる。
【0095】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ25内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図3に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定が行
われた後に、ステップ102に移行し、伝達関数フィル
タC^に基づいて更新用基準信号RT が演算される。な
お、このステップ102では、一周期分の更新用基準信
号RT がまとめて演算される。
【0096】そして、ステップ103に移行しカウンタ
iが零クリアされた後に、ステップ104に移行して、
適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数Wi
が駆動信号yとして出力される。
【0097】ステップ104で駆動信号yを出力した
ら、ステップ105に移行し、残留振動信号eが読み込
まれる。そして、ステップ106に移行して、カウンタ
jが零クリアされ、次いでステップ107に移行し、適
応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj
上記(1)式に従って更新される。
【0098】ステップ107における更新処理が完了し
たら、ステップ108に移行し、次の基準信号xが入力
されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力さ
れていないと判定された場合は、適応ディジタルフィル
タWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力処
理を実行すべく、ステップ109に移行する。
【0099】ステップ109では、カウンタjが、出力
回数Ty (正確には、カウンタjは0からスタートする
ため、出力回数Ty から1を減じた値)に達しているか
否かを判定する。この判定は、ステップ104で適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を駆動信号yと
して出力した後に、適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数Wi を、駆動信号yとして必要な数だけ更新した
か否かを判断するためのものである。そこで、このステ
ップ109の判定が「NO」の場合には、ステップ11
0でカウンタjをインクリメントした後に、ステップ1
07に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0100】しかし、ステップ109の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
1に移行し、カウンタiをインクリメントした後に、上
記ステップ104の処理を実行してから所定のサンプリ
ング・クロックの間隔に対応する時間が経過するまで待
機し、サンプリング・クロックに対応する時間が経過し
たら、上記ステップ104に戻って上述した処理を繰り
返し実行する。
【0101】一方、ステップ108で基準信号xが入力
されたと判断された場合には、ステップ112に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力
回数Ty として保存した後に、ステップ102に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。
【0102】このような図3の処理を繰り返し実行する
結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント1
の電磁アクチュエータ10に対しては、基準信号xが入
力された時点から、サンプリング・クロックの間隔で、
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が順番に
駆動信号yとして供給される。
【0103】この結果、励磁コイル10Bに駆動信号y
に応じた磁力が発生するが、磁路部材12には、既に永
久磁石10Cによる一定の磁力が付与されているから、
その励磁コイル10Bによる磁力は永久磁石10Cの磁
力を強める又は弱めるように作用すると考えることがで
きる。つまり、励磁コイル10Bに駆動信号yが供給さ
れていない状態では、磁路部材12は、板ばね11によ
る支持力と、永久磁石10Cの磁力との釣り合った中立
の位置に変位することになる。そして、この中立の状態
で励磁コイル10Bに駆動信号yが供給されると、その
駆動信号yによって励磁コイル10Bに発生する磁力が
永久磁石10Cの磁力と逆方向であれば、磁路部材12
は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが増大する
方向に変位する。逆に、励磁コイル10Bに発生する磁
力が永久磁石10Cの磁力と同じ方向であれば、磁路部
材12は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが減
少する方向に変位する。
【0104】このように磁路部材12は正逆両方向に変
位可能であり、磁路部材12が変位すれば主流体室15
の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体6の
拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウント
1に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのである。
【0105】そして、駆動信号yとなる適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムに従った上記(1)式
によって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過し
て適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最
適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エンジンマウ
ント1に供給されることによって、エンジン30から能
動型エンジンマウント1を介して車体35側に伝達され
るアイドル振動やこもり音振動が低減されるようになる
のである。
【0106】以上は車両走行時等に実行される振動低減
処理の動作である。その一方、例えば車両が出荷される
前の製造ラインの最終工程において、作業者が同定処理
開始スイッチ28を操作すると、図4に示すような伝達
関数Cの同定処理が実行される。
【0107】即ち、伝達関数Cの同定処理が開始される
と、先ずそのステップ201において、同定信号の周波
数f0 を、同定処理を実行する必要がある振動低減制御
を実行する周波数帯域(fmin 〜fmax )のうちの、最
低値fmin (この場合には、10Hz)に設定する。
【0108】次いで、ステップ202に移行し、同定信
号として、周波数f0 の正弦波を能動型エンジンマウン
ト1に供給する。すると、能動型エンジンマウント1内
の電磁アクチュエータ10が同定信号によって駆動して
同定振動が発生し、かかる同定振動は各部材を伝搬して
荷重センサ22に達する。
【0109】そこで、ステップ203に移行し、残留振
動信号eを読み込み、次いで、ステップ204に移行
し、十分な個数の残留振動信号eを読み込んだか否かを
判定する。なお、残留振動信号eの十分な個数として設
定される値は、伝達関数Cがインパルス応答として求め
られることから、そのインパルス応答が充分に減衰する
のに必要な時間を、サンプリング・クロックで割った値
以上であればよい。ただし、時系列として取り込んだ残
留振動信号eに対して後にFFT演算を行うことから、
その残留振動信号eの取り込み個数は、2の巾乗とする
ことが望ましいこと、及び、残留振動信号eを極めて大
量に読み込んでしまうと、その読み込み時間が長くなる
し、FFT演算に要する時間も長くなるという不具合も
あるため、残留振動信号eの十分な個数として設定され
る値は、インパルス応答が充分に減衰するのに必要な時
間をサンプリング・クロックで割った場合の数を越える
2の巾乗の数値のうちの、最小値とすることが望まし
い。例えば、サンプリング・クロックが2msecであっ
て、インパルス応答が充分に減衰する時間が0.2sec
であれば、0.2sec /2msec=100となるから、ス
テップ204に設定する値は128となる。
【0110】ステップ204の判定が「NO」の場合に
は、上記ステップ202に戻って、同定信号の出力処理
(ステップ202)及び残留振動信号eの読み込み処理
(ステップ203)を繰り返し実行する。
【0111】そして、ステップ204の判定が「YE
S」となったら、ステップ205に移行する。なお、ス
テップ203で次々と読み込まれた残留振動信号eは、
周波数f0 に対応した時系列データとして記憶される。
【0112】そして、ステップ205では、現在の周波
数f0 が、上述した所定の周波数帯域の最低値fL 以上
且つ最大値fU 未満(fL ≦f0 <fU )であるか否か
を判定する。
【0113】このステップ205の判定が「NO」の場
合には、ステップ206に移行し、現在の周波数f0
増加分Δfを加えることにより、新たな周波数f0 を演
算する。
【0114】これに対し、ステップ205の判定が「Y
ES」の場合には、ステップ207に移行し、現在の周
波数f0 に増加分Δfの半分(Δf/2)を加えること
により、新たな周波数f0 を演算する。
【0115】次いで、ステップ208に移行し、新たな
周波数f0 が、同定処理を行う周波数の最大値fmax
越えているか否かを判定する。このステップ208の判
定が「NO」の場合には、上記ステップ202に戻って
上述した処理を再び実行する。このため、ステップ20
2〜207の一連の処理は、ステップ208の判定が
「YES」となるまで実行される。
【0116】つまり、ステップ202、203の処理
は、最小値fmin 〜最大値fmax の範囲で増加分Δfず
つ或いはその半分Δf/2ずつ変化する周波数f0 毎に
実行されるようになっているから、ステップ208の処
理が「YES」となった時点では、ステップ203の処
理によって時系列データとして記憶される残留振動信号
eは、周波数f0 の種類と同じ数だけ記憶されているこ
とになる。
【0117】そこで、ステップ208の判定が「YE
S」となったら、ステップ209に移行し、周波数f0
毎に記憶されている残留振動信号eの時系列データのそ
れぞれについてFFT演算を行って、各時系列データの
周波数成分を抽出する。ただし、ここで必要なのは、各
時系列データ毎の全周波数の成分ではなく、対応する周
波数f0 によって決まる元の正弦波の周波数に相当する
成分だけであるから、ステップ209では、各時系列に
対して厳密なFFT演算を行うのではなく、各時系列に
対応する周波数f0 の成分を求めるのに足りる演算だけ
を行えばよい。
【0118】次いで、ステップ210に移行し、ステッ
プ209で求められた各周波数成分の周波数間隔が均一
となるように、それら周波数成分に基づいた補間演算を
実行する。具体的には、同定信号の周波数f0 が所定の
周波数帯域fL 〜fU にあるときの選択間隔がΔf/2
であり、その他の周波数帯域にあるときの選択間隔がΔ
fであることから、選択間隔がΔfとなっている周波数
帯域について、求められている各周波数成分のうち、隣
り合った二つの周波数成分の平均値を演算し、その平均
値をそれら二つの周波数成分の間の周波数成分とすれば
よい。
【0119】そして、ステップ211に移行し、上記補
間演算によって周波数間隔が均一となった各周波数成分
を逆FFT演算し、時間軸上のインパルス応答に変換
し、次いでステップ212に移行し、ステップ211で
求めたインパルス応答を新たな伝達関数フィルタC^と
して記憶する。伝達関数フィルタC^の記憶が完了した
ら、今回の伝達関数Cの同定処理を終了する。
【0120】このように、本実施の形態であれば、車両
に搭載された後の任意のタイミングで伝達関数Cを同定
し、その同定された伝達関数Cで伝達関数フィルタC^
を置換するようになっているから、実験室で求めた伝達
関数Cを全車両に適用する場合に比べて、高精度の伝達
関数フィルタC^が振動低減制御に用いられることにな
るし、定期点検毎に伝達関数Cを同定すれば各部品の経
時変化等による振動伝達系の変化にも対応できるから、
良好な振動低減制御が実行できるのである。
【0121】そして、伝達関数Cは、例えばホワイトノ
イズ信号による同定信号を発生させた場合でも得ること
はできるが、ホワイトノイズ信号を電磁アクチュエータ
10に供給して同定振動を発生させた場合には、同定振
動の出力は図6に破線で示すように広い周波数帯域に分
散して、各周波数成分は極小さくなってしまう。このた
め、伝達関数Cを高精度に得るためには、ホワイトノイ
ズ信号と、そのホワイトノイズ信号により発生した同定
振動とに基づいた適応演算を、比較的長時間に渡って行
わなければならない。これに対し、正弦波に基づいて生
成した同定信号を用いる本実施の形態にあっては、同定
振動の出力は、図5に実線で示すように特定の周波数に
集中するようになるから、個々の周波数毎の演算時間が
短くなるばかりか、全体の演算時間もホワイトノイズ信
号により同定を行う場合に比べて短縮されるのである。
【0122】この結果、車両に搭載される比較的能力の
低いコントローラ25であっても、比較的短い時間で伝
達関数Cの同定を行うことができるのである。このた
め、例えば製造ラインの最終工程において同定処理開始
スイッチ28を操作して伝達関数Cの同定処理を行うよ
うにしても、ライン速度に大きな影響を与えないで済む
し、或いは、ディーラーでの定期点検時に同定処理開始
スイッチ28を操作して伝達関数Cの同定処理を行うよ
うにしても、作業時間が大幅に増大してしまうようなこ
とを回避できるのである。
【0123】さらに、本実施の形態にあっては、伝達関
数Cの同定処理において、同定信号としての正弦波の周
波数を、所定の周波数帯域では細かい間隔(Δf/2)
で選択し、それ以外の周波数帯域では広い間隔(Δf)
で選択するようにしているため、演算負荷の増大を最小
限に抑えつつ、伝達関数Cの同定を高精度で行うことが
できるという利点がある。
【0124】即ち、図6(a)にゲイン特性を示すよう
に、本実施の形態の振動伝達系の実際の伝達関数には、
20〜80Hzの間に細かい共振ピークが表れるが、その
周波数帯域では、同定信号の周波数を細かい間隔(Δf
/2)で選択しているため、伝達関数Cを伝達関数フィ
ルタC^によって高精度に表現することができるのであ
る。また、他の周波数帯域では、同定信号の周波数を広
い間隔(Δf)で選択し、その間の周波数成分は補間演
算によって求めている(図6中、白丸は同定信号を用い
て実測した周波数成分を示し、黒丸は補間演算によって
推定した周波数成分を示している。)が、かかる他の周
波数帯域では細かい共振ピークは表れていないため、補
間演算によって求めた周波数成分を一部に含んでいて
も、伝達関数Cを高精度に表現することができるのであ
る。
【0125】これに対し、図6(b)に同じくゲイン特
性を示すように、同定信号の周波数の選択間隔をΔfに
固定してしまうと、実際の伝達関数を伝達関数フィルタ
C^で高精度に表現することができない。また、間隔Δ
fそのものを細かくすると、同定処理の負荷が大幅に増
加し、短時間で同定処理を行うという要求に反してしま
うのである。
【0126】しかも、逆FFT処理を実行する前に補間
演算を行って各周波数成分の間隔を均一にするようにし
ているから、特に支障なく逆FFT処理を行って伝達関
数フィルタC^を求めることができる。
【0127】ここで、本実施の形態では、エンジン30
が振動源に対応し、能動型エンジンマウント1が制御振
動源に対応し、パルス信号生成器26が基準信号生成手
段に対応し、荷重センサ22が残留振動検出手段に対応
し、図3の処理が能動制御手段に対応し、図4のステッ
プ202の処理が同定信号供給手段に対応し、ステップ
203の処理が応答信号読み込み手段に対応し、ステッ
プ201、205〜208の処理が周波数選択手段に対
応し、ステップ209〜211の処理が伝達関数同定手
段に対応し、ステップ209の処理がフーリエ変換手段
に対応し、ステップ210の処理が補間演算手段に対応
し、ステップ211の処理が逆フーリエ変換手段に対応
し、所定の周波数帯域fL 〜fU が一の周波数帯域に対
応し、それ以外の周波数帯域が他の周波数帯域に対応す
る。
【0128】図7乃至図10は本発明の第2の実施の形
態を示す図であって、図7は、上記第1の実施の形態に
おける図4と同様にコントローラ25内で実行される同
定処理の概要を示すフローチャートである。なお、その
他の構成は上記第1の実施の形態と同様であるため、そ
の図示及び説明は省略するとともに、上記第1の実施の
形態と同様の処理を実行するステップには同じ番号を付
し、その重複する説明も省略する。
【0129】即ち、本実施の形態にあっては、ステップ
208の判定が「YES」となったら、ステップ209
に移行する前に、データ読み込み処理によって得られた
残留振動信号eの各数列に対して位相遅れを付与する処
理(ステップ301)と、この処理で位相遅れが付与さ
れた各数列の振幅を補正する処理(ステップ302)と
を実行するようになっている。
【0130】ステップ301における位相遅れ付与処理
は、サンプリング・クロックの周期T0 の半分の時間
(T0 /2)に相当する位相遅れを、データ読み込み処
理によって得られた残留振動信号eの各数列に付与する
処理である。具体的には、時間(T0 /2)が、残留振
動信号eの各数列が対応する各同定信号の周波数にとっ
て何度の位相に相当するかを求め或いは予め求めてお
き、その位相分の遅れを付与する特性を有するフィルタ
で残留振動信号eの数列を処理することにより、各数列
に時間(T0 /2)に相当する位相遅れ付与するように
なっている。
【0131】ここで、サンプリング・クロックに同期し
て実行される図3に示すような振動低減処理にあって
は、駆動信号yは、実際には図8(a)に示すようにサ
ンプリング・クロックの周期T0 の幅を有する方形波が
連続した信号になる。よって、制御振動源としての能動
型エンジンマウント1と残留振動検出手段としての加重
センサ22との間のインパルス応答は、周期T0 の幅を
有する方形波をインパルスと見なした場合の応答である
ことが望ましく、例えば図8(b)に示すような波形に
なる。これに対し、理論的なインパルスに対する応答
は、理論的なインパルスが図8(a)にPで示すように
幅を有しないパルスであることから、図8(c)に示す
ような波形になる。そして、図8(b)に示す波形と同
(c)に示す波形との位相特性に着目してみると、同
(c)に示す波形は、同(b)に示す波形に対して時間
(T0 /2)に相当する位相進みを有している。
【0132】つまり、振動低減制御にとって好ましい伝
達関数フィルタC^に相当する図8(b)に示す波形
は、同定信号として正弦波を用いて測定した伝達関数に
相当する図8(c)に示す波形に対して、時間(T0
2)に相当する位相遅れを有していることになり、かか
る位相遅れは、時間領域で一定の値であることから、例
えば図9に示すように、同定信号の周波数が高くなるに
従って徐々に大きくなる傾向がある。
【0133】そこで、ステップ203で読み込んだ残留
振動信号eの各数列に対して、対応する同定信号の周波
数に応じた例えば図9に示すような位相遅れをステップ
301で付与することにより、ステップ211における
逆FFT処理によって得られるインパルス応答に各周波
数毎の位相遅れが付与され、伝達関数フィルタC^の位
相特性の精度を向上することができるのである。
【0134】一方、ステップ302における振幅補正処
理は、ステップ301で位相遅れが付与された残留振動
信号eの各数列の振幅を、対応する同定信号の周波数が
高くなるに従って低減幅が大きくなる傾向で低減するよ
うな処理である。即ち、振動低減制御にとって好ましい
伝達関数フィルタC^と、同定信号として正弦波を用い
て測定した伝達関数との間には、図8(b)及び(c)
に示すような位相差があることは上述した通りである
が、両者のゲイン特性にも、サンプリング・クロックの
周期T0 (方形波の幅)に応じた差がある。
【0135】具体的には、振動低減制御にとって好まし
い伝達関数フィルタC^のゲイン特性は、同定信号とし
て正弦波を用いて測定した伝達関数のゲイン特性に対し
て、例えば図10に示すように、周波数が高くなるに従
って落ち込み幅が大きくなる傾向で小さくなる。なお、
図10に示すようなゲイン特性は、サンプリング・クロ
ックの周期T0 に基づいて決まるものであるから、予め
シミュレーション等を行うことにより求めることができ
る。
【0136】そこで、ステップ301で位相遅れが付与
された残留振動信号eの各数列に対して、ステップ30
2において、対応する同定信号の周波数に応じて例えば
図10に示すような傾向でゲイン特性を補正することに
より、ステップ211における逆FFT処理によって得
られるインパルス応答のゲイン特性が、各周波数毎に補
正され、伝達関数フィルタC^のゲイン特性の精度を向
上することができるのである。
【0137】以上から、本実施の形態であれば、伝達関
数フィルタC^の位相特性及びゲイン特性の両方をさら
に高精度にすることができるから、さらに良好な振動低
減制御を実行することができるのである。
【0138】ここで、本実施の形態にあっては、ステッ
プ301の処理が位相遅れ付与手段に対応し、ステップ
302の処理がゲイン特性補正手段に対応し、ステップ
201、206、208の処理が周波数選択手段に対応
する。
【0139】図11及び図12は本発明の第3の実施の
形態を示す図であって、図11は伝達関数の同定処理の
一部を示すフローチャートである。なお、その他の構成
は上記第1の実施の形態と同様であるため、その図示及
び説明は省略するとともに、上記第1の実施の形態と同
様の処理を実行するステップには同じ番号を付し、その
重複する説明も省略する。
【0140】即ち、本実施の形態では、上記第2の実施
の形態のように残留振動信号eの各数列に対して位相遅
れ処理及び振幅調整処理を実行するのではなく、ステッ
プ209におけるFFT処理の結果である各周波数成分
に対して、ステップ401で位相遅れを付与することに
より伝達関数に所定の位相遅れを付与するとともに、ス
テップ402で各周波数成分の大きさを低減することに
より、伝達関数の各周波数成分毎の振幅を調整するよう
にしている。
【0141】つまり、ステップ209におけるFFT処
理によって求められる各周波数毎の周波数成分の実部A
及び虚部Bに対して、位相遅れθを与える演算は、
【0142】
【数1】
【0143】……(2) であり、この(2)式に従って位相遅れθを付与するこ
とにより、各周波数成分の実部A及び虚部Bは、例えば
図12に示すように、実部A' 及び虚部B' に変換され
る。なお、位相遅れθは、上記第2の実施の形態と同様
に、例えば図9に示すようなテーブルを参照することに
より求められる。
【0144】そして、ステップ401で各周波数成分に
所定の位相遅れが付与されれば、ステップ211におけ
る逆FFT処理によって得られるインパルス応答に各周
波数毎の位相遅れが付与されるから、上記第2の実施の
形態と同様に、伝達関数フィルタC^の位相特性の精度
を向上することができるのである。
【0145】さらに、ステップ401で位相特性が付与
された各周波数成分の大きさが、ステップ402におい
て、例えば図10に示すようなテーブルを参照すること
により低減される。その結果、ステップ211における
逆FFT処理によって得られるインパルス応答のゲイン
特性が各周波数毎に補正され、伝達関数フィルタC^の
ゲイン特性の精度を向上することができるのである。
【0146】よって、本実施の形態にあっても、上記第
2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
ここで、本実施の形態にあっては、ステップ401にお
ける処理が位相遅れ付与手段に対応し、ステップ402
における処理が、ゲイン特性補正手段に対応する。
【0147】図13及び図14は本発明の第4の実施の
形態を示す図であって、図13は伝達関数の同定処理の
一部を示すフローチャートである。なお、その他の構成
は上記第1の実施の形態と同様であるため、その図示及
び説明は省略するとともに、上記第1の実施の形態と同
様の処理を実行するステップには同じ番号を付し、その
重複する説明も省略する。
【0148】即ち、本実施の形態では、上記第2、3の
実施の形態のような手法ではなく、ステップ210にお
ける逆FFT処理によって得られたインパルス応答(伝
達関数フィルタC^)を、ステップ501において、半
タップ分(T0 /2)遅延させることにより伝達関数フ
ィルタC^' を求め、新たな伝達関数フィルタC^'
を、振動低減制御の伝達関数フィルタC^として用いる
ようにしている。
【0149】具体的には、ステップ210から501に
移行し、下記式に基づいて伝達関数フィルタC^を半タ
ップ分遅延させて、新たな伝達関数フィルタC^' を演
算するようになっている。
【0150】C^' 0 =0 C^' i =(C^(i-1) +C^i )/2 つまり、図14(a)に示すような伝達関数フィルタC
^を半タップ分遅延してなる図14(b)に示すような
伝達関数フィルタC^' が、ステップ212において振
動低減制御用の伝達関数フィルタC^に置き換えられ
る。
【0151】本実施の形態の場合、上記第2、3の実施
の形態とは異なり、各周波数成分毎の位相遅れを伝達関
数に付与するようにはなっていないから、若干精度は低
くなるが、位相遅れを全く付与しない場合に比べれば伝
達関数の位相特性は十分に高精度になる。しかも、各周
波数成分毎に位相遅れを付与する場合に比べて、演算が
簡易になるから、コントローラ25の演算負荷の増大を
低く抑えることができるという利点もある。
【0152】ここで、本実施の形態にあっては、ステッ
プ501の処理が位相遅れ付与手段に対応する。図15
及び図16は本発明の第5の実施の形態を示す図であ
り、図15は伝達関数の同定処理の一部を示すフローチ
ャートであり、図16は同定処理実行時にコントローラ
25が出力する同定信号を示す波形図であって比較的低
周波の同定信号の例(a)と比較的高周波の同定信号の
例(b)とを示している。なお、その他の構成は上記第
1の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明は
省略するとともに、上記第1の実施の形態と同様の処理
を実行するステップには同じ番号を付し、その重複する
説明も省略する。
【0153】即ち、本実施の形態にあっては、上記第
2、3、4の実施の形態のような手法ではなく、同定信
号の位相及び振幅を適宜選定することにより、最終的に
得られる伝達関数としてのインパルス応答の位相特性及
びゲイン特性を、上記第2の実施の形態と同様に高精度
にするようになっている。
【0154】具体的には、図15に示すように、ステッ
プ201からステップ601に移行し、同定信号の現在
の周波数f0 に基づいて、例えば図9に示すようなテー
ブルを参照して位相遅れθ0 を読み出すとともに、例え
ば図10に示すようなテーブルを参照して振幅A0 を読
み出す。そして、ステップ602に移行して、周波数f
0 、位相(−θ0 )、振幅A0 の正弦波状の同定信号を
出力する。
【0155】次いで、ステップ203に移行し、残留振
動信号eを読み込み、ステップ204の判定が「YE
S」となるまでステップ602、203の処理を繰り返
し実行する。また、ステップ208の判定が「NO」の
場合には、ステップ601に戻り、新たな周波数f0
従って上述した処理を繰り返し実行する。
【0156】このような処理が実行されると、同定信号
には、時間(T0 /2)に相当する位相遅れが与えられ
るようになる。つまり、例えば図16(a)、(b)に
示すように、全ての同定信号に時間(T0 /2)に相当
する位相遅れが付与されるから、その位相遅れが振動伝
達系の特性の一部として伝達関数に含まれるようにな
る。その結果、上記第2の実施の形態と同様に、伝達関
数フィルタC^の位相特性の精度を向上することができ
るのである。
【0157】また、ステップ601において、振幅A0
を、図10に示すように周波数が高くなるに従って小さ
くなるように各周波数f0 毎に設定していることから、
各周波数毎の振幅A0 の相違が振動伝達系の特性の一部
として伝達関数に含まれるようになる。伝達関数フィル
タC^のゲイン特性の精度を向上することができるので
ある。
【0158】よって、本実施の形態にあっても、上記第
2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
しかも、本実施の形態にあっては、同定信号の位相及び
振幅を調整するだけであり、上記第2〜3の実施の形態
のように演算処理が増えることはないから、コントロー
ラ25の演算負荷の軽減を図る上でも有利である。
【0159】図17及び図18は本発明の第6の実施の
形態を示す図であり、図17は伝達関数の同定処理の一
部を示すフローチャートである。なお、その他の構成は
上記第1の実施の形態と同様であるため、その図示及び
説明は省略するとともに、上記第1の実施の形態と同様
の処理を実行するステップには同じ番号を付し、その重
複する説明も省略する。
【0160】即ち、本実施の形態では、伝達関数の同定
処理において、残留振動信号eを、振動低減制御用のサ
ンプリング・クロックよりもさらに細かいサンプリング
・クロックに同期して読み込むことにより、周期T0
りも細かい間隔で離散化されたインパルス応答(伝達関
数フィルタC^)を求めるようになっている。具体的に
は、ステップ202、203の処理を周期T0 の1/n
(nは2以上の整数)の間隔で実行して残留振動信号e
の数列をT0 /nの間隔で生成し、その数列に基づいて
ステップ209、211の処理を実行することにより、
0 /nの間隔で離散化されたインパルス応答を一旦求
めるようになっている。
【0161】かかるインパルス応答が求まったら、ステ
ップ701に移行し、T0 /nの間隔で離散化されてい
るインパルス応答の各数値を、先頭から順番にn個ずつ
呼び出して平均化する。つまり、ステップ701では、
ステップ211で求めたインパルス応答の各数値を周期
0 毎に平均化して、新たな数列を生成するようになっ
ている。
【0162】そして、ステップ702に移行し、ステッ
プ701で求めた新たな数列を時間軸上で後ろに一つず
つシフトするとともに、その先頭に0を付加したもの
を、最終的な伝達関数としてのインパルス応答とし、ス
テップ212に移行し、そのインパルス応答を振動低減
制御に用いる伝達関数フィルタC^とする。
【0163】図18は本実施の形態の動作の一例を示す
波形図であって、同(a)は、n=4とした場合にステ
ップ211によって得られたインパルス応答(オーバー
サンプリングのインパルス応答)を示している。そし
て、ステップ701では、そのオーバーサンプリングの
インパルス応答に対して、周期T0 毎に平均値を求める
のであるが、各平均値は、周期T0 内の丁度中間の値に
相当する。
【0164】さらに、図18(b)は、ステップ701
で求められた各数列の先頭に0を付加した数列を示して
いるが、ステップ701で求められた各数列が時間軸上
で後ろに一つずつシフトされると、数列の各値は周期T
0 内の中間の値であることから、時間(T0 /2)に相
当する位相遅れを付与したことと等価になり、上記請求
項2に係る発明と同様に、伝達関数フィルタC^の位相
特性の精度を向上することができるのである。
【0165】また、本実施の形態のように、ステップ2
02、203の処理の実行間隔を、周期T0 を2以上の
整数nで割った時間としているため、ステップ701に
おける平均化処理を特に支障なく行えるという利点があ
る。
【0166】なお、本発明の適用対象は上記各実施の形
態のような車両に限定されるものではなく、エンジン3
0以外で発生する振動を低減するための能動型振動制御
装置であっても本発明は適用可能であり、適用対象に関
係なく上記各実施の形態と同様の作用効果を奏すること
ができる。例えば、工作機械からフロアや室内に伝達さ
れる振動を低減する装置等であっても、本発明は適用可
能である。
【0167】また、上記各実施の形態では、駆動信号y
を生成するアルゴリズムとして同期式Filtered
−X LMSアルゴリズムを適用しているが、適用可能
なアルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例え
ば、通常のFiltered−X LMSアルゴリズム
等であってもよい。
【0168】そして、上記第1の実施の形態において示
した最低値fmin 、最大値fmax 、最低値fL 、最大値
U 等の数値は何れも一例であり、適用対象の特性等に
応じて適宜選定されるものである。
【0169】さらに、図9や図10に示すテーブルはい
ずれも一例であって、位相遅れを表す図9のようなテー
ブルは振動低減制御用のサンプリング・クロックの周期
0に応じて適宜設定可能であるし、ゲイン特性を表す
図10に示すようなテーブルはサンプリング・クロック
の周期T0 及び振動伝達系の特性に応じて適宜設定可能
である。
【0170】ここで、上記第2の実施の形態におけるス
テップ301,302の処理及び上記第3の実施の形態
におけるステップ401,402の処理について、その
理論的な考え方を詳細に説明する。
【0171】即ち、周波数応答を逆フーリエ変換したも
のが、インパルス応答であるのに対し、伝達関数フィル
タC^として実際に必要なのは、上述したように、サン
プリング・クロックの周期T0 の幅を有するパルス状の
入力に対する応答である。
【0172】インパルス応答のラプラス変換をした結果
は、1である。これに対し、図19(a)に示すような
幅aのパルス状の信号f(t)は、図19(b)に示す
ような二つのステップ状関数f1 (t),f2 (t)の
和として表すことができる。つまり、 f(t)=f1 (t)+f2 (t) である。よって、f(t)のラプラス変換は、 F(s)=1/S−(1/S)e-aS となる。S=jωとして周波数特性を求めると、 F(jω)=−{ sin(aω)+j(1− cos(a
ω))}/ω このゲインは、 |F(jω)|={2(1− cos(aω))}1/2 /ω ……(3) となり、位相遅れは、 ∠F(jω)=(1− cos(aω))/ sin(aω) ……(4) となる。
【0173】幅aのパルス状の信号f(t)は、真のイ
ンパルス信号に対して、上記(3)式、(4)式の関係
を有するため、幅aのパルス状の信号f(t)に対する
応答波形と、真のインパルス信号に対する応答波形との
間にも、同様の関係(周波数特性で比較した場合)があ
る。
【0174】従って、インパルス応答に対して、上記
(3)式及び(4)式の補正を行うことにより、インパ
ルス応答を、パルス状信号に対する応答に変換すること
ができる。
【0175】上記(3)式のゲイン特性は、図20に示
すような特性であって、低周波ゲインが1となるように
aで除算することにより、 {2(1− cos(aω))}1/2 /aω ……(3)' となる。なお、上記(4)式の位相遅れは、a/2の時
間遅れとなる。
【0176】以上から、ゲイン特性の補正方法は、具体
的には、同定信号としての正弦波に上記(3)' に従っ
て振幅補正を行うか、フーリエ変換前のステップ302
の処理で上記(3)' に従って振幅補正を行うか、或い
は、フーリエ変換後のステップ402の処理で上記
(3)' を乗じて補正を行うか、のいずれかになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す車両の概略側面図であ
る。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を示す断面図で
ある。
【図3】振動低減処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図4】伝達関数の同定処理の概要を示すフローチャー
トである。
【図5】同定信号として正弦波を用いる場合とホワイト
ノイズ信号を用いる場合との差を説明する周波数特性図
である。
【図6】第1の実施の形態の作用効果を説明する周波数
特性図である。
【図7】第2の実施の形態における伝達関数の同定処理
の概要を示すフローチャートである。
【図8】方形波に対する応答及び理論的なインパルス応
答を示す波形図である。
【図9】位相特性の差の一例を示す図である。
【図10】ゲイン特性の差の一例を示す図である。
【図11】第3の実施の形態における伝達関数の同定処
理の一部を示すフローチャートである。
【図12】FFT処理の結果に対して位相遅れを付与す
る演算の説明図である。
【図13】第4の実施の形態における伝達関数の同定処
理の一部を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施の形態の動作を説明する波形図で
ある。
【図15】第5の実施の形態における伝達関数の同定処
理の一部を示すフローチャートである。
【図16】第5の実施の形態の動作を説明する同定信号
の波形図である。
【図17】第6の実施の形態における伝達関数の同定処
理の概要を示すフローチャートである。
【図18】第6の実施の形態の動作を説明する波形図で
ある。
【図19】パルス状の信号の説明図である。
【図20】ゲイン特性を説明する周波数特性図である。
【符号の説明】
1 能動型エンジンマウント(制御振動源) 10 電磁アクチュエータ 22 加重センサ(残留振動検出手段) 25 コントローラ 26 パルス信号生成器(基準信号生成手段) 28 同定処理開始スイッチ 30 エンジン(振動源) 35 車体

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動源から発せられる振動と干渉する制
    御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
    生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手
    段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として出
    力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留
    振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動検出
    手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて前記
    振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能動制
    御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に供給
    する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振動が
    前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信号
    を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号読み
    込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて前記
    伝達関数を同定する伝達関数同定手段と、前記正弦波状
    の同定信号の周波数を一つずつ選択する周波数選択手段
    と、を備え、前記周波数選択手段は、前記正弦波状の各
    同定信号の周波数を、一の周波数帯域では他の周波数帯
    域に比べて細かい周波数間隔で選択するようになってい
    ることを特徴とする能動型振動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記一の周波数帯域は、制御対象系に共
    振現象が連続して表れる周波数帯域である請求項1記載
    の能動型振動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記伝達関数同定手段は、前記応答信号
    読み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号をフーリエ
    変換して前記各同定信号の周波数に相当する周波数成分
    を求めるフーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段が
    求めた各周波数成分の周波数間隔が均一となるようにそ
    れら各周波数成分に基づいた補間演算を行う補間演算手
    段と、前記補間演算によって周波数間隔が均一になった
    前記各周波数成分を合成したものを逆フーリエ変換して
    前記伝達関数としてのインパルス応答を求める逆フーリ
    エ変換手段と、を備えている請求項1又は請求項2記載
    の能動型振動制御装置。
  4. 【請求項4】 振動源から発せられる振動と干渉する制
    御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
    生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手
    段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として出
    力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留
    振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動検出
    手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて前記
    振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能動制
    御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に供給
    する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振動が
    前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信号
    を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号読み
    込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて前記
    伝達関数としてのインパルス応答を求める伝達関数同定
    手段と、前記正弦波状の同定信号の周波数を一つずつ選
    択する周波数選択手段と、前記伝達関数同定手段が求め
    る前記伝達関数にサンプリング・クロックの周期の半分
    の時間に相当する位相遅れを付与する位相遅れ付与手段
    と、を備えたことを特徴とする能動型振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記位相遅れ付与手段は、前記応答信号
    読み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号を、前記サ
    ンプリング・クロックの周期の半分の時間だけ遅らせる
    ことにより、前記伝達関数に前記位相遅れを付与するよ
    うになっている請求項4記載の能動型振動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記伝達関数同定手段は、前記応答信号
    読み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号をフーリエ
    変換して前記各同定信号の周波数に相当する周波数成分
    を求めるフーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段が
    求めた各周波数成分を合成したものを逆フーリエ変換し
    て前記伝達関数としてのインパルス応答を求める逆フー
    リエ変換手段と、を備え、前記位相遅れ付与手段は、前
    記フーリエ変換手段の結果に前記位相遅れを付与するよ
    うになっている請求項4記載の能動型振動制御装置。
  7. 【請求項7】 前記伝達関数同定手段は、前記伝達関数
    として、前記サンプリング・クロックの周期で離散化さ
    れたインパルス応答を求めるようになっており、前記位
    相遅れ付与手段は、前記インパルス応答を半タップ分遅
    らせることにより、前記伝達関数に前記位相遅れを付与
    するようになっている請求項4記載の能動型振動制御装
    置。
  8. 【請求項8】 振動源から発せられる振動と干渉する制
    御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
    生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手
    段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として出
    力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留
    振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動検出
    手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて前記
    振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能動制
    御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に供給
    する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振動が
    前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信号
    を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号読み
    込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて前記
    伝達関数としてのインパルス応答を求める伝達関数同定
    手段と、前記正弦波状の同定信号の周波数を一つずつ選
    択する周波数選択手段と、を備え、 前記正弦波状の同定信号には予めサンプリング・クロッ
    クの周期の半分の時間に相当する位相遅れを与えている
    ことを特徴とする能動型振動制御装置。
  9. 【請求項9】 振動源から発せられる振動と干渉する制
    御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
    生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手
    段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として出
    力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留
    振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動検出
    手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて前記
    振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能動制
    御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に供給
    する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振動が
    前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信号
    を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号読み
    込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて前記
    伝達関数としてのインパルス応答を求める伝達関数同定
    手段と、前記正弦波状の同定信号の周波数を一つずつ選
    択する周波数選択手段と、を備え、 前記伝達関数同定手段は、サンプリング・クロックの周
    期よりも細かい所定時間間隔で離散化された前記インパ
    ルス応答を一旦求め、そのインパルス応答の各数値を前
    記サンプリング・クロックの一周期毎に平均化して数列
    を生成し、その数列の先頭に零を付加したものを、最終
    的な前記インパルス応答として求めるようになっている
    ことを特徴とする能動型振動制御装置。
  10. 【請求項10】 前記所定時間間隔は、前記サンプリン
    グ・クロックの周期の1/n(nは2以上の整数)に相
    当する時間である請求項9記載の能動型振動制御装置。
  11. 【請求項11】 振動源から発せられる振動と干渉する
    制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動
    発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成
    手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として
    出力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残
    留振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動検
    出手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて前
    記振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能動
    制御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に供
    給する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振動
    が前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信
    号を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号読
    み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて前
    記伝達関数としてのインパルス応答を求める伝達関数同
    定手段と、前記正弦波状の同定信号の周波数を一つずつ
    選択する周波数選択手段と、前記伝達関数同定手段が求
    める前記伝達関数のゲイン特性をサンプリング・クロッ
    クの周期に基づいて補正するゲイン特性補正手段と、を
    備えたことを特徴とする能動型振動制御装置。
  12. 【請求項12】 前記ゲイン特性補正手段は、前記応答
    信号読み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号の振幅
    を、前記同定信号の周波数が高くなるに従って低減幅が
    大きくなる傾向で低減するようになっている請求項11
    記載の能動型振動制御装置。
  13. 【請求項13】 前記伝達関数同定手段は、前記応答信
    号読み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号をフーリ
    エ変換して前記各同定信号の周波数に相当する周波数成
    分を求めるフーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段
    が求めた各周波数成分を合成したものを逆フーリエ変換
    して前記伝達関数としてのインパルス応答を求める逆フ
    ーリエ変換手段と、を備え、前記ゲイン特性補正手段
    は、前記フーリエ変換手段の結果を、前記同定信号の周
    波数が高くなるに従って低減幅が大きくなる傾向で低減
    するようになっている請求項11記載の能動型振動制御
    装置。
  14. 【請求項14】 振動源から発せられる振動と干渉する
    制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動
    発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成
    手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として
    出力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残
    留振動信号に基づき前記制御振動源及び前記残留振動検
    出手段間の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用いて前
    記振動が低減するように前記制御振動源を駆動する能動
    制御手段と、正弦波状の同定信号を前記制御振動源に供
    給する同定信号供給手段と、前記同定信号に応じた振動
    が前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信
    号を読み込む応答信号読み込み手段と、この応答信号読
    み込み手段が読み込んだ前記残留振動信号に基づいて前
    記伝達関数としてのインパルス応答を求める伝達関数同
    定手段と、前記正弦波状の同定信号の周波数を一つずつ
    選択する周波数選択手段と、を備え、 前記正弦波状の各同定信号の振幅は、前記サンプリング
    ・クロックの周期に基づいて補正されていることを特徴
    とする能動型振動制御装置。
  15. 【請求項15】 前記正弦波状の各同定信号の振幅は、
    各同定信号の周波数が高くなるに従って小さくなってい
    る請求項14記載の能動型振動制御装置。
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