JP2000002293A - 能動型騒音振動制御装置 - Google Patents

能動型騒音振動制御装置

Info

Publication number
JP2000002293A
JP2000002293A JP16984498A JP16984498A JP2000002293A JP 2000002293 A JP2000002293 A JP 2000002293A JP 16984498 A JP16984498 A JP 16984498A JP 16984498 A JP16984498 A JP 16984498A JP 2000002293 A JP2000002293 A JP 2000002293A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transfer function
vibration
control
noise
abnormality
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16984498A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kawazoe
寛 川添
Takeshi Kimura
健 木村
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP16984498A priority Critical patent/JP2000002293A/ja
Publication of JP2000002293A publication Critical patent/JP2000002293A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】伝達関数を記憶する記憶部に異常が発生した場
合の対処を、制御特性をなるべく低下させることなく実
行したい。 【解決手段】ステップ201で、EEP−ROMに異常
が発生しているか否かを検出する処理を実行し、ステッ
プ202で判定を行い、異常が発生していない場合には
ステップ203に、異常が発生している場合にはステッ
プ205に移行する。ステップ203ではEEP−RO
Mに記憶されている伝達関数フィルタC^を読み出し、
ステップ204に移行し収束係数α及び発散抑制係数β
を通常の値に設定する。ステップ205ではオーバーラ
イト不可能なROMから標準伝達関数フィルタC^を読
み出し、ステップ206に移行し収束係数αを通常より
も小さい値に設定し、発散抑制係数βを通常よりも大き
い値に設定する。ステップ204又は206からステッ
プ207に移行し更新用基準信号RT を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、逐次更新される
適応ディジタルフィルタを用いて騒音又は振動の低減制
御を実行するようになっている能動型騒音振動制御装置
に関し、特に、制御音又は制御振動の伝達系の伝達関数
を同定し、その同定された伝達関数を用いて適応ディジ
タルフィルタの更新を行うようになっているものにおい
て、伝達関数を記憶する記憶部に異常が発生した場合の
対処を、制御特性をなるべく低下させることなく実行で
きるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】本発明のような能動型騒音振動制御装置
の場合、制御音又は制御振動の伝達系の伝達関数は、そ
の能動型騒音振動制御装置の適用対象装置,適用対象設
備毎の特性バラツキによって微妙に異なるし、また、適
用対象装置等の使用に伴う特性変化等によって当初の状
態からは変化してしまう可能性があるため、高精度の騒
音低減制御・振動低減制御を実行するためには、能動型
騒音振動制御装置を適用対象装置に組み込んだ後に伝達
関数を同定したり、適用対象装置の定期検査毎に伝達関
数を同定することが望ましい。
【0003】そこで、本出願人は、先に特開平6−33
2471号公報に開示されるような技術を提案してい
る。即ち、この公報に開示された従来技術は、制御音源
や制御振動源からインパルス信号に応じた同定音や同定
振動を発生させ、その応答を残留騒音や残留振動を検出
する手段で計測することにより、能動型騒音制御装置や
能動型振動制御装置の制御アルゴリズムに必要な伝達関
数を同定するようになっている。そして、そのインパル
ス信号に応じた同定音や同定振動を発生するタイミング
を、騒音源や振動源から騒音や振動が発生していない状
態から発生する状態に移行する直前に限ることにより、
演算負荷の大幅な増大を招くことなく、また、人間等に
不快感を与えることなく、伝達関数の同定が行えるよう
になっていた。
【0004】なお、その他の先行技術としては、振動の
低減ではなく騒音の低減技術に関するものではあるが、
特開平3−259722号公報に開示されたものがあ
る。この公報に開示された装置は、冷蔵庫のコンプレッ
サで発生し機械室ダクトを通じて外部に放射される騒音
を、その機械室ダクトから放射される前に打ち消す装置
であって、機械室ダクト内の騒音制御を行うラウドスピ
ーカ及びマイクロフォンを備えていて、コンプレッサの
駆動状態に応じてラウドスピーカから制御音を発生して
騒音低減を図る一方、騒音制御特性が劣化しないよう
に、コンプレッサが停止する度に、ホワイトノイズ信号
に応じた同定音を発生して、ラウドスピーカ及びマイク
ロフォン間の伝達関数を測定し、フィルタの同定を行っ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上述したよう
な先行技術によれば、能動型騒音振動制御装置の適用対
象装置毎に、制御に必要な伝達関数を同定することは可
能であるから、高精度の騒音低減制御・振動低減制御が
期待できる。
【0006】ここで、伝達関数を同定する手段を備えた
能動型騒音振動制御装置の場合、その同定された最新の
伝達関数を記憶しておき、制御実行中にこれを読み出す
ことが必要であるため、伝達関数を記憶しておくメモリ
としては、電源が落ちても情報を保持でき、しかもオー
バーライトが可能な例えばEEP−ROMが適用される
ことになる。
【0007】しかしながら、EEP−ROM等のオーバ
ーライト可能なROMの故障発生率は、絶対値としては
低いものの、相対的にはマスクROM等のオーバーライ
ト不可能なROMに比べて高い。従って、能動型騒音振
動制御装置の信頼性を向上するためには、伝達関数を記
憶する記憶部に異常が発生した場合の対処が重要である
が、例えば、EEP−ROMの異常検出時には騒音低減
制御・振動低減制御を中断するという対処は消極的過ぎ
て望ましくない。
【0008】本発明は、このような従来の技術が有する
解決すべき課題に着目してなされたものであって、伝達
関数を記憶する記憶部に異常が発生した場合にも、騒音
低減制御・振動低減制御を完全に中断しないで済むよう
になっている能動型騒音振動制御装置を提供することを
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、制御音又は制御振動の伝達
系の伝達関数を同定する伝達関数同定手段と、この伝達
関数同定手段が同定した前記伝達関数を記憶する伝達関
数記憶手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィ
ルタと、前記伝達関数を含む更新式に従って前記適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係
数更新手段と、を備え、前記適応ディジタルフィルタを
用いて騒音又は振動の低減制御を実行するようになって
いる能動型騒音振動制御装置において、前記伝達関数と
して標準的な伝達関数を予め求めて記憶しておき、前記
伝達関数記憶手段の異常が検出された場合には、前記伝
達関数として前記標準的な伝達関数を用いるとともに、
前記更新式を制御の安定性が向上する方向に変更するよ
うにした。
【0010】また、上記目的を達成するために、請求項
2に係る発明は、騒音源又は振動源から発せられる騒音
又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制
御音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態
を表す基準信号を生成し出力する基準信号生成手段と、
前記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音信号又は残
留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振
動検出手段と、前記制御音源又は制御振動源と前記残留
騒音検出手段又は残留振動検出手段との間の伝達関数を
同定する伝達関数同定手段と、この伝達関数同定手段が
同定した前記伝達関数を記憶する伝達関数記憶手段と、
フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基
準信号,前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記伝
達関数を含む更新式に従って前記適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、
前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記制御音源又
は制御振動源を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生
成手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記伝達関数として標準的で且つ予め設定された標準伝
達関数を記憶する標準伝達関数記憶手段と、前記伝達関
数記憶手段の異常を検出する異常検出手段と、この異常
検出手段が前記異常を検出した場合に前記標準伝達関数
を前記伝達関数として用いる伝達関数切換手段と、前記
異常検出手段が前記異常を検出した場合に前記更新式を
制御の安定性が向上する方向に変更する更新式変更手段
と、を設けた。
【0011】そして、請求項3に係る発明は、上記請求
項2に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記更新式は、前記残留騒音信号又は残留振動信号
が小さくなるように前記フィルタ係数を増加又は減少さ
せるフィルタ係数更新項を含む更新式であり、前記更新
式変更手段は、前記異常検出手段が前記異常を検出した
場合に前記フィルタ係数更新項の絶対値が小さくなるよ
うに前記更新式を変更するようにした。
【0012】さらに、請求項4に係る発明は、上記請求
項2、3に係る発明である能動型騒音振動制御装置にお
いて、前記更新式は、制御の発散抑制作用を有する発散
抑制項を含む更新式であり、前記更新式変更手段は、前
記異常検出手段が前記異常を検出した場合に前記発散抑
制項による発散抑制作用が強くなるように前記更新式を
変更するようにした。
【0013】ここで、請求項1に係る発明にあっては、
伝達関数記憶手段に異常が発生していない場合には、伝
達関数同定手段によって同定され伝達関数記憶手段に記
憶されている伝達関数が、適応ディジタルフィルタのフ
ィルタ係数の更新式に用いられるから、高精度の騒音低
減制御・振動低減制御が実行される。
【0014】そして、伝達関数記憶手段に例えば読み取
りエラー等の異常が発生した場合には、予め実験等によ
って求められて記憶されている標準的な伝達関数が、適
応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新式に用いら
れる。すると、能動型騒音振動制御装置の個々の適用対
象毎に同定した伝達関数を用いる場合に比べて、更新式
に用いられる伝達関数の精度が低くなる可能性が高くな
るから、制御の位相余裕やゲイン余裕が小さくなる或い
は無くなる可能性がある。
【0015】なお、位相余裕とは、制御音又は制御振動
の伝達系の真の伝達関数の位相特性と、実際に制御に用
いられる伝達関数の位相特性との間のずれがどの程度大
きくなったら、騒音低減制御又は振動低減制御が発散に
至るようになるかを表すしきい値のことである。また、
ゲイン余裕とは、制御音又は制御振動の伝達系の真の伝
達関数のゲイン特性と、実際に制御に用いられる伝達関
数のゲイン特性との間のずれがどの程度大きくなった
ら、騒音低減制御又は振動低減制御が発散に至るように
なるかを表すしきい値のことである。
【0016】そして、請求項1に係る発明にあっては、
伝達関数として標準的な伝達関数を用いる場合には、同
時に、更新式が制御の安定性が向上する方向に変更され
るため、位相余裕やゲイン余裕が大きくなる。従って、
標準的な伝達関数を用いたとしても、制御が発散する可
能性が極端に高くなるようなことは防止される。
【0017】請求項2に係る発明にあっては、異常検出
手段が伝達関数記憶手段の異常を検出しない場合には、
伝達関数切換手段は機能しないため、伝達関数記憶手段
に記憶されている伝達関数が、フィルタ係数の更新式に
用いられる。これに対し、異常検出手段が伝達関数記憶
手段の異常を検出した場合には、伝達関数切換手段によ
って、標準伝達関数が伝達関数として用いられるように
なるとともに、更新式変更手段によって、更新式が制御
の安定性が向上する方向に変更されるから、制御の発散
可能性が極端に高くなるような事態を避けつつ、騒音低
減制御・振動低減制御を継続することができる。
【0018】フィルタ係数の更新式としては、例えば請
求項2に係る発明のように、残留騒音信号又は残留振動
信号が小さくなるようにフィルタ係数を逐次増加又は減
少させるフィルタ係数更新項を含む更新式が考えられ
る。かかる更新式が用いられる場合としては、制御アル
ゴリズムとして、適応アルゴリズムの一つであるLMS
アルゴリズムを適用した場合等が該当する。
【0019】そして、そのような更新式の場合、制御の
安定性を向上させるためには、一回の更新処理における
フィルタ係数の増減量を小さくすればよい。そこで、更
新式変更手段が、フィルタ係数更新項の絶対値が小さく
なるように更新式を変更すると、制御の安定性が向上す
る。例えば、LMSアルゴリズムを適用している場合で
あれば、収束係数を小さくすることにより、フィルタ係
数更新項の絶対値を小さくできる。
【0020】また、フィルタ係数の更新式としては、例
えば請求項3に係る発明のように、制御の発散抑制作用
を有する発散抑制項を含む更新式が考えられる。かかる
更新式が用いられる場合としては、LMSアルゴリズム
を適用した上で、評価関数を残留騒音信号(又は残留振
動信号)の自乗和と駆動信号の自乗和との合計としたと
きが該当する。即ち、かかる場合には、更新式には、フ
ィルタ係数を最適値に近づける作用と、駆動信号を0に
近づける作用とがあるため、駆動信号を0に近づけるよ
うに作用する項が、発散抑制項として機能することにな
る。
【0021】そして、そのような更新式の場合、制御の
安定性を向上させるためには、発散抑制項によりフィル
タ係数を0に近づける機能を強くすればよい。そこで、
更新式変更手段が、発散抑制作用が強くなるように更新
式を変更すると、制御の安定性が向上する。例えば、L
MSアルゴリズムを適用するとともに、評価関数を上記
自乗和の合計とした場合であれば、発散抑制項に乗じら
れる係数(発散抑制係数)を大きくすることにより、発
散抑制作用を強くできる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、伝達関数記憶手段に異
常が発生した場合には、標準的な伝達関数をフィルタ係
数の更新式に用いるとともに、その更新式を、制御の安
定性が向上する方向に変更するようにしたため、伝達関
数記憶手段に異常が発生した場合でも、制御の発散可能
性の極端な増大を招くことなく、騒音低減制御・振動低
減制御を継続することができるという効果がある。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1乃至図7は本発明の一の実施
の形態を示す図であって、図1は本発明に係る能動型騒
音振動制御装置の一実施形態である能動型振動制御装置
を適用した車両の概略側面図である。
【0024】先ず、構成を説明すると、横置きに搭載し
たエンジン17が、車体前後方向の後方に配置した能動
型エンジンマウント20を介して、サスペンションメン
バ等から構成される車体18に支持されている。なお、
実際には、エンジン17及び車体18間には、能動型エ
ンジンマウント20の他にエンジン17及び車体18間
の相対変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエ
ンジンマウントも介在している。受動的なエンジンマウ
ントとしては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する
通常のエンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰
力発生可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマ
ウントインシュレータ等が適用できる。
【0025】図2は、エンジン17に固定したブラケッ
ト(図示せず)を介して連結する能動型エンジンマウン
ト20の上部構造を平面視で示すものであり、エンジン
側連結部材30から上方に向けて突出している2本の連
結ボルト30aを、上述したブラケットの挿通孔に下側
から挿通し、ナットを螺合することによりエンジン17
に上端部が固定される。また、符号60はリバウンド規
制部材であり、このリバウンド規制部材60は、2本の
連結ボルト30a間を結ぶ線に対して直交し、エンジン
側連結部材30の上方をアーチ状に延在しながら装置ケ
ース43に固定されており、エンジン側連結部材30の
上面に固定したゴム製の弾性体からなるリバウンドスト
ッパ31の上方に位置している。
【0026】図3は、図2の矢視断面図で示す能動型エ
ンジンマウント20の内部構造を示すものであり、図2
の2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に沿うA−A矢視
断面を、図3の軸心(以下、マウント軸と称する)P1
を境界として右側に示し、図2の2本の連結ボルト30
a間を結ぶ線に対して直交する方向のB−B矢視断面
を、図3のマウント軸P1 を境界として右側に示してい
る。
【0027】この能動型エンジンマウント20は、装置
ケース43に外筒34、中間筒36、オリフィス構成部
材37、支持弾性体32等のマウント部品を内蔵し、こ
れらマウント部品の下部に、流体室84の隔壁の一部を
形成しながら弾性支持された可動部材78を流体室84
の容積が変化する方向に変位させる電磁アクチュエータ
52と、図示しない車体メンバの振動状況を検出する荷
重センサ64とを内蔵した装置であり、より具体的に説
明していくと、前述したエンジン側連結部材30は、下
端周縁部30gが丸みを付けて形成されていると共に、
マウント軸P1に沿う位置に第1孔30cが形成されて
いる。また、このエンジン連結部材30に下側から嵌入
されて上方を向いている連結ボルト30aは、その頭部
30dがエンジン側連結部材30の下面から突出してい
る。ここで、その頭部30dの外周縁部は、丸みが付け
られて形成されている。
【0028】また、エンジン側連結部材30の下面に
は、断面逆台形状の中空筒体30bが固定されている。
この中空筒体30bには、連結ボルト30aに近接する
位置に第2孔30eが形成されていると共に、マウント
軸P1 に沿う下面に第3孔30fが形成されている。な
お、この中空筒体30bの連結ボルト30aから離間し
ている位置には、孔を形成していない。
【0029】そして、前記エンジン側連結部材30の下
面側には、中空筒体30bの内部及びエンジン側連結部
材30の下部側を覆うように、ゴム製の支持弾性体32
が加硫接着により固定されている。
【0030】すなわち、この支持弾性体32は、エンジ
ン側連結部材30側から下方に向けて拡径した形状のゴ
ム製の弾性体であって、内面に断面山形状の空洞部32
aを形成しているが、連結ボルト30aから離れている
部分の支持弾性体32の外周面は、図3の左側に示すよ
うに、エンジン側連結部材30の外周部を覆いながらリ
バウンドストッパ31に連続している。一方、連結ボル
ト30aに近接している支持弾性体32は、図3の右側
に示すように、連結ボルト30aの頭部30dの全域を
覆う被覆部32bが形成されていると共に、頭部30d
の下方位置の外周を、内側に大きく凹んだ形状としてい
る(以下、符号32cで示す凹み外周部と称する)。そ
して、前述した空洞部32aを形成しながら前記凹み外
周部32cに対向している支持弾性体32の内面も、内
側に大きく膨らんだ形状としている(以下、符号32d
で示す膨らみ内周部と称する)。そして、連結ボルト3
0aに近接している部分の支持弾性体32の肉厚は、凹
み外周部32cに対向して膨らみ内周部32dを設けた
ことにより、連結ボルト30aから離れている部分の肉
厚と略同一に設定している。
【0031】そして、薄肉形状とした支持弾性体32の
下端部は、マウント軸P1 が中空筒体30bと同軸に振
動体支持方向を向く中間筒体36の内周面に加硫接着に
より結合している。
【0032】中間筒体36は、同一外周径とした上端筒
部36a及び下端筒部36bの間に小径筒部36cを連
続して形成した部材であり、外周に環状凹部を設けてい
る。また、図示しないが、小径筒部36cには開口部が
形成されており、この開口部を介して中間筒体36の内
側及び外側が連通している。
【0033】中間筒体36の外側には外筒34が嵌合し
ており、この外筒34は内周径を中間筒体36の上端筒
部36a及び下端筒部36bの外周径と同一寸法とし、
軸方向の長さを中間筒体36と同一寸法に設定した円筒
部材である。また、この外筒34には開口部34aが形
成されており、この開口部34aの開口縁部にゴム製の
薄膜弾性体からなるダイアフラム42の外周が結合して
開口部34aを閉塞しつつ、外筒34の内側に向けて膨
出している。
【0034】そして、上記構成の外筒34を、環状凹部
を囲むように中間筒体36に外嵌すると、外筒34及び
中間筒体36間の周方向に環状空間が画成され、その環
状空間にダイアフラム42が膨出した状態で配設され
る。そして、中間筒体36の内側に、筒状のオリフィス
構成部材37が嵌合している。
【0035】このオリフィス構成部材37は、中間筒体
36の小径筒部36cより小径に形成した最小径筒部3
7aを備え、その最小径筒部37aの上下端部に径方向
外方に向けて上部環状部37b及び下部環状部37cが
形成されており、これら最小径筒部37a、上部及び下
部環状部37b、37cで囲んだ位置と中間筒体36と
の間に環状空間が設けられている。また、最小径筒部3
7aの一部に第2開口部37dが形成されている。ここ
で、上部環状部37bは、支持弾性体32の下方に位置
しているが、図2の右側に示すように、連結ボルト30
aに近接している支持弾性体32の下方に位置している
上部環状部37b1 は肉厚を薄く形成して凹みを設けて
おり、支持弾性体32の膨らみ内周部32dから離れた
位置で対向している。
【0036】また、装置ケース43は、その上端部に上
端筒部36aの外周径より小径の円形開口部を有する上
端かしめ部43aが形成されていると共に、この上端か
しめ部43aと連続するケース本体の形状を、内周径が
外筒34の外周径と同一寸法で下端開口部まで連続する
円筒形状(下端開口部を図2の破線で示した形状)とし
た部材であり、全てのマウント部品の組み込みが完了し
た後に下端開口部を径方向内方に向けてかしめていくこ
とにより、図2の実線で示すかしめ部が形成される。
【0037】そして、支持弾性体32、中間筒体36、
オリフィス構成部材37及びダイアフラム42を一体化
した外筒34を装置ケース43の下端開口部から内部に
嵌め込んでいき、上端かしめ部43aの下面に外筒34
及び中間筒体36の上端部を当接させると、それらが装
置ケース43内の上部に配設される。この際、装置ケー
ス43の内周面とダイヤフラム42とで囲まれた部分に
空気室42cが画成されるが、この空気室42cを臨む
位置に空気孔43aが形成されており、この空気孔43
aを介して空気室42cと大気が連通している。
【0038】装置ケース43内の下部には円筒状のスペ
ーサ70が嵌め込まれており、このスペーサ70内の上
部に可動部材78が配置されていると共に、スペーサ7
0内の下部に電磁アクチュエータ52が配置されてい
る。前記スペーサ70は、円筒状の上部筒体70aと、
円筒状の下部筒体70bと、これら筒体の上下端部間に
加硫接着したゴム製の薄膜弾性体からなる略円筒状のダ
イアフラム70cとで構成されている。
【0039】前記電磁アクチュエータ52は、外観円筒
形のヨーク52aと、ヨーク52aの上端面側に配設し
た円環状の励磁コイル52bと、ヨーク52aの上面中
央部に磁極を上下方向に向けて固定した永久磁石52c
とで構成されている。また、前記ヨーク52aは、円環
状の第1ヨーク部材53aと、中央円筒部に永久磁石5
2cを固定した第2ヨーク部材53bとで構成されてい
る。
【0040】そして、上部及び下部筒体70a、70b
間のダイアフラム70cは、ヨーク52aの外周に形成
した凹部52dに向かって膨出している。また、ヨーク
52aの下面と、車体側連結ボルト60を備えた蓋部材
62との間には、振動低減制御に必要な残留振動を検出
するために、荷重センサ64が介装されている。荷重セ
ンサ64としては、圧電素子,磁歪素子,歪ゲージ等が
適用可能であり、このセンサの検出結果は、図1に示す
ように、残留振動信号eとしてコントローラ25に供給
されるようになっている。
【0041】一方、前記電磁アクチュエータ52の上方
には、シール部材固定用のシールリング72と、後述す
る板ばね82の外周部を下側から自由端支持する支持リ
ング74と、電磁アクチュエータ52の永久磁石52c
及び可動部材78間のギャップHを設定するギャップ保
持リング76とが配置されている。これらシールリング
72、支持リング74及びギャップ保持リング76の外
周径は、前述したスペーサ70の上部筒体70aの内周
径と同一寸法に設定されており、ヨーク52aから上方
に突出している上部筒体70a内にシールリング72、
支持リング74及びギャップ保持リング76の全てが内
嵌されている。そして、これらシールリング72、支持
リング74及びギャップ保持リング76の内側には、上
下方向に変位可能となるように可動部材78が配置され
ている。
【0042】この可動部材78は、外観円盤状の隔壁形
成部材78Aと、この隔壁形成部材78Aより大径円盤
状に形成した磁路形成部材78Bとで構成した部材であ
って、電磁アクチュエータ52に対して遠い方に位置す
る隔壁形成部材78Aの軸心にボルト孔80aを形成
し、電磁アクチュエータ52に近い磁路形成部材78B
を貫通した可動部材用ボルト80がボルト孔80aに螺
合することにより、隔壁形成部材78A及び磁路形成部
材78Bを一体に連結した構造となっている。
【0043】隔壁形成部材78A及び磁路形成部材78
B間には、リング状に連続したくびれ部79が画成され
ているが、このくびれ部79に可動部材78を弾性支持
するための板ばね82が収容されている。つまり、板ば
ね82は、中央部に孔部を形成した円盤形状の部材であ
り、この板ばね82の内周部を隔壁形成部材78Aの裏
面中央部の下側から自由端支持し、板ばね82の外周部
を支持リング74のばね支持部74aが下側から自由端
支持しており、これにより可動部材78が装置ケース4
3に板ばね82を介して弾性支持されている。
【0044】前記隔壁形成部材78Aは、流体室84に
面している隔壁部80cの肉厚を薄くし、隔壁部80c
の外周から上方に突出する環状のリブ80bを形成した
部材である。そして、隔壁形成部材78Aの上面と、支
持弾性体32の下面と、オリフィス構成部材37の内周
面とで流体室84が形成され、この流体室84内に流体
が封入される。
【0045】また、流体室84から板ばね82を収容し
ているくびれ部79側への流体の漏洩を防止するため、
隔壁形成部材78Aの外周とシールリング72の内周と
の間には、ゴム状弾性体からなるリング形状のシール部
材86が固定されており、このシール部材86の弾性変
形によって、シールリング72や装置ケース43に対す
る可動部材78の上下方向への相対変位を許容してい
る。
【0046】次に、本実施形態の能動型エンジンマウン
ト20の振動入力減衰作用について簡潔に説明する。本
実施形態の能動型エンジンマウント20は、支持弾性体
32の空洞部32aとオリフィス構成部材37の軸中央
空間とが連通し、オリフィス構成部材37の軸中央空間
及びオリフィス構成部材37と中間筒体36との間の環
状空間が、第2開口部37dを介して連通し、前記環状
空間及びダイアフラム42が膨出している空間が、中間
筒体36に形成した開口部を介して連通しており、これ
ら支持弾性体32の空洞部32aからダイアフラム42
が膨出している空間までの連通路内に、エチレングリコ
ール等の流体が封入されている。
【0047】そして、支持弾性体32の空洞部32aか
らオリフィス構成部材37と中間筒体36との間の環状
空間までの連通路を主流体室84とすると、中間筒体3
6に形成した開口部の近傍をオリフィスとし、この開口
部に対向しながらダイアフラム42に囲まれている領域
を副流体室とした流体共振系が形成されている。この流
体共振系の特性、即ち、オリフィス内の流体の質量と、
支持弾性体32の拡張方向ばね、ダイアフラム42の拡
張方向ばねで決まる特性は、車両停止中のアイドル振動
の発生時、つまり20〜30Hzでエンジンマウント20
A、20Bが加振された場合に高動ばね定数、高減衰力
を示すように調整されている。
【0048】一方、電磁アクチュエータ52の励磁コイ
ル52bは、コントローラ25から例えばハーネスを通
じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の電
磁力を発生するようになっている。コントローラ25
は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回
路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ、ROM,R
AM等の記憶媒体等を含んで構成され、エンジン17で
発生する振動を低減できる能動的な支持力が能動型エン
ジンマウント20に発生するように、能動型エンジンマ
ウント20に対する駆動信号yを生成し出力するように
なっている。
【0049】また、前述したように能動型エンジンマウ
ント20には荷重センサ64が内蔵されており、車体1
8の振動状況を荷重の形で検出して残留振動信号eとし
て出力し、その残留振動信号eが干渉後における振動を
表す信号として例えばハーネスを通じてコントローラ2
5に供給されている。
【0050】ここで、エンジン17で発生するアイドル
振動やこもり音振動は、例えばレシプロ4気筒エンジン
の場合、エンジン回転2次成分のエンジン振動が車体1
8に伝達されることが主な原因であるから、そのエンジ
ン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出力すれ
ば、車体側振動の低減が可能となる。そこで、本実施の
形態では、エンジン17のクランク軸の回転に同期した
(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クラン
ク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信号を
生成し基準信号xとして出力するパルス信号生成器19
を設けていて、その基準信号xが、コントローラ25に
供給されている。
【0051】そして、コントローラ25は、供給される
残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリ
ズムの一つである同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマ
ウント20に対する駆動信号yを演算し、その駆動信号
yを能動型エンジンマウント20に出力するようになっ
ている。
【0052】具体的には、コントローラ25は、フィル
タ係数Wi (i=0,1,2,……,I−1:Iはタッ
プ数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、
最新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリ
ング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタ
Wのフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力す
る一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応
ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新す
る処理を実行するようになっている。
【0053】ただし、この実施の形態では、同期式Fi
ltered−X LMSアルゴリズムにおける評価関
数として、下記の(1)式を用いている。 Jm={e(n)}2 +β{y(n)}2 ……(1) つまり、LMSアルゴリズムにあっては、評価関数Jm
が小さくなる方向にフィルタ係数Wi が更新されるので
あるから、上記(1)式の右辺の内容からも明らかなよ
うに、フィルタ係数Wi は、残留振動信号eの自乗値が
小さくなると共に、駆動信号yの自乗値をβ倍した値が
小さくなるように、逐次更新されることになる。そし
て、βは発散抑制係数と称される係数であって、この発
散抑制係数βが大きくなる程、駆動信号yは小さくなる
傾向となる。つまり、発散抑制係数βには制御の発散を
抑制する作用がある。
【0054】そして、収束係数をαとし、上記(1)式
で表される評価関数Jmに基づいてフィルタ係数Wi
更新式を求めると、下記の(2)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)+2αRT e(n)−2βαy(n) ……(2) そこで、この(2)式中の「2α」を新たな収束係数α
とし、「2βα」を新たな発散抑制係数βとすれば、適
応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の更新式は
下記の(3)式のようになる。
【0055】 Wi (n+1)=Wi (n)+αRT e(n)−βy(n) ……(3) ここで、(n),(n+1)が付く項は、サンプリング
時刻n,n+1,における値であることを表している。
また、更新用基準信号RT は、理論的には、基準信号x
を、能動型エンジンマウント20の電磁アクチュエータ
52及び荷重センサ64間の伝達関数Cをモデル化した
伝達関数フィルタC^でフィルタ処理をした値である
が、基準信号xの大きさは“1”であるから、伝達関数
フィルタC^のインパルス応答を基準信号xに同期して
次々と生成した場合のそれらインパルス応答波形のサン
プリング時刻nにおける和に一致する。
【0056】また、理論的には、基準信号xを適応ディ
ジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成
するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるた
め、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力し
ても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ
結果になる。
【0057】さらに、コントローラ25は、上記のよう
な適応ディジタルフィルタWを用いた振動低減処理を実
行する一方で、その振動低減制御に必要な伝達関数Cを
同定する処理をも実行するようになっている。
【0058】即ち、コントローラ25には、伝達関数C
の同定処理を開始するタイミングで操作される同定処理
開始スイッチ28が設けられていて、例えば製造ライン
における最終工程において、或いはディーラーにおける
定期点検時において、作業者がその同定処理開始スイッ
チ28を操作すると、コントローラ25内で伝達関数C
の同定処理が実行される。なお、伝達関数Cの同定処理
実行中には、通常の振動低減処理は実行されない。
【0059】つまり、コントローラ25は、車両のイグ
ニッションがオンになっている通常の走行時等には、同
期式Filtered−X LMSアルゴリズムに従っ
た振動低減処理を実行するが、同定処理開始スイッチ2
8が操作されると、振動低減処理を停止して、伝達関数
Cの同定処理を実行するようになっている。
【0060】そして、本実施の形態では、伝達関数Cの
同定処理は、正弦波状の同定信号を用いて行うようにな
っている。具体的には、伝達関数Cの同定処理は、正弦
波状の同定信号を駆動信号yの代わりに能動型エンジン
マウント1に所定時間出力し続けるとともに残留振動信
号eを読み込む、というデータ読み込み処理を、同定信
号の周波数を順次変えつつ繰り返し実行し、各データ読
み込み処理によって得られた残留振動信号eの各数列を
FFT処理して同定信号の周波数に相当する成分を抽出
し、抽出された各周波数成分を合成した結果を、逆FF
T処理して、伝達関数Cとしてのインパルス応答を求め
るようになってる。求められたインパルス応答は、有限
インパルス応答型の伝達関数フィルタC^としてそれま
での伝達関数フィルタC^と置き換えられるようになっ
ている。
【0061】また、コントローラ25は、マスクROM
やフューズROM等のオーバーライト不可能なROM2
5aと、オーバーライト可能なEEP−ROM25bと
を備えた記憶装置を有していて、ROM25a内の所定
の記憶領域には、実験車両を用いて予め行った実験等に
よって求められた標準伝達関数フィルタC^が記憶され
るようになっており、EEP−ROM25b内の所定の
記憶領域には、上述した同定処理によって同定された伝
達関数フィルタC^(つまり、個々の車両毎の伝達関数
フィルタC^)が記憶されるようになっている。
【0062】そして、コントローラ25は、上述した更
新用基準信号RT を演算する際にEEP−ROM25b
の異常検出処理を実行するようになっており、その異常
検出処理でEEP−ROM25bの異常が検出されなか
った場合には、EEP−ROM25bに記憶されている
伝達関数フィルタC^を読み出してそれを更新用基準信
号RT の演算に用いる一方、EEP−ROM25bの異
常が検出された場合には、ROM25aに記憶されてい
る標準伝達関数フィルタC^を読み出しそれを更新用基
準信号RT の演算に用いるようになっている。
【0063】なお、EEP−ROM25bの異常検出処
理として、本実施の形態では、EEP−ROM25bの
伝達関数フィルタC^を記憶している領域以外の所定の
記憶領域に所定のデータを書き込み、その直後にその所
定のデータの読み出しが正常に行えたか否かにより、E
EP−ROM25b全体の正常・異常を判断する処理が
実行されるようになっている。
【0064】次に、本実施の形態の動作を説明する。即
ち、能動型エンジンマウント20内の流体共振系の共振
周波数を20Hzに調節している結果、5〜15Hzの
振動であるエンジンシェイク発生時にもある程度の減衰
力がこの能動型エンジンマウント20で発生するため、
エンジン17側で発生したエンジンシェイクが能動型エ
ンジンマウント20によってある程度減衰されるととも
に、図示しない他の流体封入式エンジンマウント等によ
ってもエンジンシェイクは減衰されるから、車体18側
の振動レベルが低減される。なお、エンジンシェイクに
対しては、特に磁路形成部材78Bを積極的に変位させ
る必要はない。
【0065】一方、アイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ25は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ52に駆動信
号yを出力し、能動型エンジンマウント20に振動を低
減し得る能動的な支持力を発生させる。
【0066】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ25内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図5に従って具体的に説明する。
まず、そのステップ101において所定の初期設定が行
われた後に、ステップ102に移行し、伝達関数フィル
タC^に基づいて、更新用基準信号RT が演算される。
【0067】ステップ102の処理は、実際には図6に
示すようになっていて、先ずステップ201において、
EEP−ROM25bに異常が発生しているか否かを検
出するための異常検出処理を実行する。異常検出処理の
具体的な内容は、上述の通りである。そして、異常検出
処理が終了したらステップ202に移行し、その異常検
出処理の結果に基づき、異常が発生していない場合には
ステップ203に移行し、異常が発生している場合には
ステップ205に移行する。
【0068】ステップ203に移行した場合には、EE
P−ROM25bに記憶されている伝達関数フィルタC
^を読み出し、次いでステップ204に移行して、収束
係数α及び発散抑制係数βを、通常の値に設定する。収
束係数α及び発散抑制係数βの通常の値は、予め実験等
を行うことにより適宜決定する。
【0069】これに対し、ステップ205に移行した場
合には、ROM25aから標準伝達関数フィルタC^を
読み出し、その標準伝達関数C^を更新用基準信号RT
演算用の伝達関数フィルタC^に代入し、次いで、ステ
ップ206に移行し、収束係数αを通常よりも小さい値
に設定し、発散抑制係数βを通常よりも大きい値に設定
する。収束係数αの通常よりも小さい目の値は、振動低
減制御のゲイン余裕が所望の大きさになるように予め実
験等を行って適宜決定するものであり、また、発散抑制
係数βの通常よりも大きい目の値は、振動低減制御の位
相余裕が所望の大きさになるように予め実験等を行って
適宜決定する。
【0070】そして、ステップ204又は206の処理
を終えたら、ステップ207に移行して、更新用基準信
号RT を演算する。なお、ステップ207では、一周期
分の更新用基準信号RT がまとめて演算される。
【0071】ステップ203、204を経てステップ2
07に移行した場合には、EEP−ROM25bに記憶
されている個々の車両毎の伝達関数Cに基づいて設定さ
れた伝達関数フィルタC^が、更新用基準信号RT の演
算に用いられるため、伝達関数Cを同定した時点からの
環境変化や経時変化はあるものの、高精度の伝達関数フ
ィルタC^が演算に用いられることになる。
【0072】これに対し、ステップ205、206を経
てステップ207に移行した場合には、個々の車両毎に
決定されたものではなく、ROM25aに記憶されてい
る標準的な伝達関数フィルタC^が、更新用基準信号R
T の演算に用いられるため、EEP−ROM25b内の
伝達関数フィルタC^を演算に用いた場合に比べて、精
度は低い。
【0073】ステップ207で更新用基準信号RT が演
算されたら、図5の処理に戻ってステップ103に移行
し、カウンタiが零クリアされた後に、ステップ104
に移行して、適応ディジタルフィルタWのi番目のフィ
ルタ係数Wi が駆動信号yとして出力される。
【0074】ステップ104で駆動信号yを出力した
ら、ステップ105に移行し、残留振動信号eが読み込
まれる。そして、ステップ106に移行して、カウンタ
jが零クリアされ、次いでステップ107に移行し、適
応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj
上記(3)式に従って更新される。
【0075】ステップ107における更新処理が完了し
たら、ステップ108に移行し、次の基準信号xが入力
されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力さ
れていないと判定された場合には、適応ディジタルフィ
ルタWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力
処理を実行すべく、ステップ109に移行する。
【0076】ステップ109では、カウンタjが出力回
数Ty (正確には、カウンタjは0からスタートするた
め、出力回数Ty から1を減じた値)に達しているか否
かを判定する。この判定は、ステップ104で適応ディ
ジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を、駆動信号yと
して出力した後に、適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数Wi を、駆動信号yとして必要な数だけ更新した
か否かを判断するためのものである。そこで、このステ
ップ109の判定が「NO」の場合には、ステップ11
0でカウンタjをインクリメントした後に、ステップ1
07に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0077】しかし、ステップ109の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
1に移行してカウンタiをインクリメントした後に、所
定時間待機する。この所定時間は、上記ステップ104
の処理を実行してから所定のサンプリング・クロックの
間隔に対応する時間が経過するまでの時間である。そし
て、サンプリング・クロックに対応する時間が経過した
ら、上記ステップ104に戻って上述した処理を繰り返
し実行する。
【0078】一方、ステップ108で基準信号xが入力
されたと判断された場合には、ステップ112に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiは0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力
回数Ty として保存した後に、ステップ102に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。
【0079】このような図5の処理を繰り返し実行する
結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント2
0の電磁アクチュエータ52に対しては、基準信号xが
入力された時点から、サンプリング・クロックの間隔
で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が順
番に駆動信号yとして供給される。
【0080】この結果、励磁コイル52bに駆動信号y
に応じた磁力が発生するが、磁路形成部材78Bには、
すでに永久磁石52cによる一定の磁力が付与されてい
るから、その励磁コイル52bによる磁力は永久磁石5
2cの磁力を強める又は弱めるように作用すると考える
ことができる。このように、永久磁石52cの磁力が強
まったり弱まったりすると、可動部材78が正逆両方向
に変位し、可動部材78が変位すれば、主流体室84の
容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体32の
拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウント
20に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのであ
る。
【0081】そして、駆動信号yとなる適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムに従った上記(3)式
によって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過し
て適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最
適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エンジンマウ
ント20に供給されることによって、エンジン17から
能動型エンジンマウント20を介して車体18側に伝達
されるアイドル振動やこもり音振動が低減されるように
なるのである。
【0082】以上は車両走行時等に実行される振動低減
処理の動作である。その一方、例えば車両が出荷される
前の製造ラインの最終工程や、定期点検時において、作
業者が同定処理開始スイッチ28を操作すると、図7に
示すような伝達関数Cの同定処理が実行される。
【0083】即ち、伝達関数Cの同定処理が開始される
と、先ずそのステップ301において、同定信号の周波
数f0 を、同定処理を実行する必要がある振動低減制御
を実行する周波数帯域(fmin 〜fmax )のうちの最低
値fmin (例えば、10Hz)に設定する。
【0084】次いで、ステップ302に移行し、同定信
号として、周波数f0 の正弦波を能動型エンジンマウン
ト1に供給する。すると、能動型エンジンマウント20
内の電磁アクチュエータ52が同定信号によって駆動し
て同定振動が発生し、かかる同定振動は各部材を伝搬し
て、能動型エンジンマウント20内の荷重センサ64に
達する。
【0085】そこで、ステップ303に移行し、残留振
動信号eを読み込み、次いで、ステップ304に移行
し、十分な個数の残留振動信号eを読み込んだか否かを
判定する。なお、残留振動信号eの十分な個数として設
定される値は、伝達関数Cがインパルス応答として求め
られることから、そのインパルス応答が充分に減衰する
のに必要な時間を、サンプリング・クロックで割った値
以上であればよい。ただし、時系列として取り込んだ残
留振動信号eに対して後にFFT演算を行うことから、
その残留振動信号eの取り込み個数は、2の巾乗とする
ことが望ましいこと、及び、残留振動信号eを極めて大
量に読み込んでしまうと、その読み込み時間が長くなる
し、FFT演算に要する時間も長くなるという不具合も
あるため、残留振動信号eの十分な個数として設定され
る値は、インパルス応答が充分に減衰するのに必要な時
間をサンプリング・クロックで割った場合の数を越える
2の巾乗の数値のうちの、最小値とすることが望まし
い。例えば、サンプリング・クロックが2msecであっ
て、インパルス応答が充分に減衰する時間が0.2sec
であれば、0.2sec /2msec=100となるから、ス
テップ304に設定する値は128となる。
【0086】ステップ304の判定が「NO」の場合に
は、上記ステップ302に戻って、同定信号の出力処理
(ステップ302)及び残留振動信号eの読み込み処理
(ステップ303)を繰り返し実行する。
【0087】そして、ステップ304の判定が「YE
S」となったら、ステップ305に移行する。なお、ス
テップ303で次々と読み込まれた残留振動信号eは、
周波数f0 に対応した時系列データとして記憶される。
【0088】ステップ305では、現在の周波数f0
増加分Δfを加えることにより、新たな周波数f0 を演
算し、次いで、ステップ306に移行し、新たな周波数
0が、同定処理を行う周波数の最大値fmax (例え
ば、150Hz)を越えているか否かを判定する。
【0089】このステップ306の判定が「NO」の場
合には、上記ステップ302に戻って上述した処理を再
び実行する。このため、ステップ302〜305の一連
の処理は、ステップ306の判定が「YES」となるま
で実行される。
【0090】つまり、ステップ302、303の処理
は、最小値fmin 〜最大値fmax の範囲で増加分Δf
(例えば、10Hz)ずつ変化する周波数f0 毎に実行さ
れるようになっているから、ステップ306の処理が
「YES」となった時点では、ステップ303の処理に
よって時系列データとして記憶される残留振動信号e
は、周波数f0 の種類と同じ数だけ記憶されていること
になる。
【0091】そこで、ステップ306の判定が「YE
S」となったら、ステップ307に移行し、周波数f0
毎に記憶されている残留振動信号eの時系列データのそ
れぞれについてFFT演算を行って、各時系列データの
周波数成分を抽出する。
【0092】ただし、ここで必要なのは、各時系列デー
タ毎の全周波数の成分ではなく、対応する周波数f0
よって決まる元の正弦波の周波数に相当する成分だけで
あるから、ステップ307では、各時系列に対して厳密
なFFT演算を行うのではなく、各時系列に対応する周
波数f0 の成分を求めるのに足りる演算だけを行えばよ
い。
【0093】次いで、ステップ308に移行し、各周波
数成分を合成したものを逆FFT演算し、時間軸上のイ
ンパルス応答に変換し、次いでステップ309に移行
し、ステップ308で求めたインパルス応答を新たな伝
達関数フィルタC^として、EEP−ROM25bに記
憶する。伝達関数フィルタC^の記憶が完了したら、今
回の伝達関数Cの同定処理を終了する。
【0094】このように、本実施の形態であれば、車両
に搭載された後の任意のタイミングで伝達関数Cを同定
し、その同定された伝達関数Cで、EEP−ROM25
bに記憶されている伝達関数フィルタC^を置換するよ
うになっており、そのEEP−ROM25bに記憶され
ている伝達関数フィルタC^は、図6のステップ201
でEEP−ROM25bの異常が検出されない限り、ス
テップ207で更新用基準信号RT の演算に用いられる
から、高精度の適応ディジタルフィルタWのフィルタ係
数Wi の更新処理が行えるし、定期点検毎に伝達関数C
を同定すれば各部品の経時変化等による振動伝達系の変
化にも対応できるから、良好な振動低減制御が実行でき
るのである。
【0095】しかも、EEP−ROM25bに例えば読
み取り異常等が発生した場合であっても、ステップ20
5の処理を経てステップ207の処理が実行されるた
め、EEP−ROM25bの異常だけを理由に振動低減
制御の続行が不可能になることはないし、標準的な伝達
関数フィルタC^を用いる場合には、ステップ206の
処理によって、収束係数αは通常よりも小さめの値に設
定され、発散抑制係数βは通常よりも大きめの値に設定
されるから、振動低減制御が極端な不安定状態に陥るよ
うなことも防止できる。
【0096】即ち、収束係数αが小さくなれば、上記
(3)式の右辺第2項からも明らかなように、フィルタ
係数Wi の一回の更新演算当たりの更新量が通常時より
も小さくなるため、振動低減制御におけるゲイン余裕が
大きくなり、制御の安定性が向上するからである。
【0097】また、発散抑制係数βが大きくなれば、上
記(3)式の右辺第3項からも明らかなように、フィル
タ係数Wi を0に戻そうとする作用が通常時よりも強く
なるため、振動低減制御における位相余裕が大きくな
り、これによっても制御の安定性が向上するからであ
る。
【0098】ここで、本実施の形態では、エンジン17
が振動源に対応し、能動型エンジンマウント20が制御
振動源に対応し、パルス信号生成器19が基準信号生成
手段に対応し、荷重センサ64が残留振動検出手段に対
応し、図5の処理において、所定のサンプリング・クロ
ックに同期してステップ104でフィルタ係数Wi を駆
動信号yとして出力する処理が駆動信号生成手段に対応
し、図5のステップ107の処理がフィルタ係数更新手
段に対応し、図7の処理が伝達関数同定手段に対応し、
EEP−ROM25bが伝達関数記憶手段に対応し、R
OM25aが標準伝達関数記憶手段に対応し、図6のス
テップ201の処理が異常検出手段に対応し、ステップ
202、205の処理が伝達関数切換手段に対応し、ス
テップ206の処理が更新式変更手段に対応する。
【0099】そして、上記(3)式の右辺第2項の「+
αRT e(n)」が、請求項3に係る発明におけるフィ
ルタ係数更新項に相当し、同右辺第3項の「−βy
(n)」が、請求項4に係る発明における発散抑制項に
相当する。
【0100】なお、上記実施の形態では、ROM25a
に記憶されている標準伝達関数フィルタC^を演算に用
いる場合には、ステップ206において、収束係数αを
通常よりも小さく設定し、発散抑制係数βを通常よりも
大きく設定するようにしているが、これら収束係数α及
び発散抑制係数βの変更は、いずれか一方であってもあ
る程度の制御の安定性向上は達成できるから、ステップ
206では、収束係数α及び発散抑制係数βのいずれか
一方だけを通常時と異なる値に設定するようにしてもよ
い。
【0101】また、上記実施の形態においては、残留振
動を能動型エンジンマウント20に内蔵した荷重センサ
64によって検出しているが、これに限定されるもので
はなく、例えば車室内の乗員足元位置にフロア振動を検
出する加速度センサを配設し、その加速度センサの出力
信号を残留振動信号eとしてもよい。
【0102】そして、上記実施の形態においては、本発
明における能動型騒音振動制御装置をエンジン17から
車体18に伝達される振動を低減する車両用の能動型振
動制御装置に適用した場合について説明したが、本発明
の対象はこれに限定されるものではなく、エンジン17
以外で発生する振動を低減するための能動型振動制御装
置であっても本発明は適用可能である。
【0103】また、例えば騒音源としてのエンジン17
から車室内に伝達される騒音を低減する能動型騒音制御
装置であってもよく、かかる能動型騒音制御装置とする
場合には、車室内に制御音を発生するための制御音源と
してのラウドスピーカと、車室内の残留騒音を検出する
残留騒音検出手段としてのマイクロフォンとを設け、上
記実施の形態と同様の演算処理を実行すればM、上記実
施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0104】そして、本発明の適用対象は車両に限定さ
れるものではなく、エンジン17以外で発生する周期的
な振動や騒音を低減するための能動型振動制御装置,能
動型騒音制御装置や、非周期的な振動や騒音(ランダム
・ノイズ)を低減するための能動型振動制御装置,能動
型騒音制御装置であっても適用可能であり、適用対象に
関係なく上記各実施の形態と同様の作用効果を奏するこ
とができる。例えば、工作機械からフロアや室内に伝達
される振動を低減する装置等であっても、本発明は適用
可能である。
【0105】さらに、上記各実施の形態では、駆動信号
yを生成するアルゴリズムとして同期式Filtere
d−X LMSアルゴリズムを適用しているが、適用可
能なアルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例
えば、通常のFiltered−X LMSアルゴリズ
ム等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す、車両の概略構成図で
ある。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を平面視で示し
た図である。
【図3】図2のA−A矢視断面及びB−B矢視断面図で
ある。
【図4】記憶装置の構成を示す図である。
【図5】振動低減処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図6】更新用基準信号の演算処理の概要を示すフロー
チャートである。
【図7】伝達関数の同定処理の概要を示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
17 エンジン(振動源) 18 車体 19 パルス信号生成器(基準信号生成手段) 20 能動型エンジンマウント(制御振動源) 25 コントローラ 25a ROM(標準伝達関数記憶手段) 25b EEP−ROM(伝達関数記憶手段) 52 電磁アクチュエータ 64 荷重センサ(残留振動検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G10K 11/16 G10K 11/16 J 11/178 H (72)発明者 佐藤 茂樹 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3D035 BA01 CA05 CA31 3J048 AA05 AB15 AC07 AC08 AD07 BE09 BF02 BF12 CB24 CB27 EA01 5D061 FF02 GG10 5H004 GA14 GB12 HA12 HA20 HB09 HB11 HB15 KC12 KC39 KC45 KC54 LB08 MA05 MA11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御音又は制御振動の伝達系の伝達関数
    を同定する伝達関数同定手段と、この伝達関数同定手段
    が同定した前記伝達関数を記憶する伝達関数記憶手段
    と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前
    記伝達関数を含む更新式に従って前記適応ディジタルフ
    ィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段
    と、を備え、前記適応ディジタルフィルタを用いて騒音
    又は振動の低減制御を実行するようになっている能動型
    騒音振動制御装置において、 前記伝達関数として標準的な伝達関数を予め求めて記憶
    しておき、前記伝達関数記憶手段の異常が検出された場
    合には、前記伝達関数として前記標準的な伝達関数を用
    いるとともに、前記更新式を制御の安定性が向上する方
    向に変更するようになっていることを特徴とする能動型
    騒音振動制御装置。
  2. 【請求項2】 騒音源又は振動源から発せられる騒音又
    は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御
    音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態を
    表す基準信号を生成し出力する基準信号生成手段と、前
    記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音信号又は残留
    振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動
    検出手段と、前記制御音源又は制御振動源と前記残留騒
    音検出手段又は残留振動検出手段との間の伝達関数を同
    定する伝達関数同定手段と、この伝達関数同定手段が同
    定した前記伝達関数を記憶する伝達関数記憶手段と、フ
    ィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準
    信号,前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記伝達
    関数を含む更新式に従って前記適応ディジタルフィルタ
    のフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、前
    記適応ディジタルフィルタに基づいて前記制御音源又は
    制御振動源を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成
    手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、 前記伝達関数として標準的で且つ予め設定された標準伝
    達関数を記憶する標準伝達関数記憶手段と、前記伝達関
    数記憶手段の異常を検出する異常検出手段と、この異常
    検出手段が前記異常を検出した場合に前記標準伝達関数
    を前記伝達関数として用いる伝達関数切換手段と、前記
    異常検出手段が前記異常を検出した場合に前記更新式を
    制御の安定性が向上する方向に変更する更新式変更手段
    と、を設けたことを特徴とする能動型騒音振動制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記更新式は、前記残留騒音信号又は残
    留振動信号が小さくなるように前記フィルタ係数を増加
    又は減少させるフィルタ係数更新項を含む更新式であ
    り、 前記更新式変更手段は、前記異常検出手段が前記異常を
    検出した場合に前記フィルタ係数更新項の絶対値が小さ
    くなるように前記更新式を変更するようになっている請
    求項2記載の能動型騒音振動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記更新式は、制御の発散抑制作用を有
    する発散抑制項を含む更新式であり、 前記更新式変更手段は、前記異常検出手段が前記異常を
    検出した場合に前記発散抑制項による発散抑制作用が強
    くなるように前記更新式を変更するようになっている請
    求項2又は請求項3記載の能動型騒音振動制御装置。
JP16984498A 1998-06-17 1998-06-17 能動型騒音振動制御装置 Pending JP2000002293A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16984498A JP2000002293A (ja) 1998-06-17 1998-06-17 能動型騒音振動制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16984498A JP2000002293A (ja) 1998-06-17 1998-06-17 能動型騒音振動制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000002293A true JP2000002293A (ja) 2000-01-07

Family

ID=15893986

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16984498A Pending JP2000002293A (ja) 1998-06-17 1998-06-17 能動型騒音振動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000002293A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012119800A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Tokai Rubber Ind Ltd 能動型振動騒音抑制装置
US8642501B2 (en) * 2004-08-17 2014-02-04 Asahi Kasei Chemicals Corporation Composite oxide catalyst

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8642501B2 (en) * 2004-08-17 2014-02-04 Asahi Kasei Chemicals Corporation Composite oxide catalyst
JP2012119800A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Tokai Rubber Ind Ltd 能動型振動騒音抑制装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3228153B2 (ja) 能動型振動制御装置
JPH112283A (ja) 能動型振動制御装置
JP2000002293A (ja) 能動型騒音振動制御装置
JP3695058B2 (ja) 能動型振動制御装置
JP3593866B2 (ja) 能動型騒音振動制御装置
JP3642189B2 (ja) 車両用能動型騒音振動制御装置
JP3402120B2 (ja) 能動型振動制御装置
JP2000120767A (ja) 能動型騒音振動制御装置、車両用能動型振動制御装置及び能動型騒音振動制御方法
JP3997610B2 (ja) 車両用能動型振動制御装置
JP3695061B2 (ja) 能動型振動制御装置
JP3509440B2 (ja) 能動型振動制御装置
JP3593886B2 (ja) 車両用能動型振動制御装置
JP3804275B2 (ja) 能動型騒音振動制御装置
JP3598888B2 (ja) 車両用能動型振動制御装置
JP3624694B2 (ja) 能動型騒音振動制御装置
JP3228224B2 (ja) 能動型騒音振動制御装置
JPH11338553A (ja) 能動型振動制御装置及び能動型騒音制御装置
JPH09317816A (ja) 能動型振動制御装置
JP3695052B2 (ja) 能動型騒音振動制御装置
JP3572444B2 (ja) 能動型騒音振動制御装置
JP2000347672A (ja) 能動型騒音振動制御装置
JPH11133983A (ja) 能動型騒音振動制御装置
JPH10320059A (ja) 能動型振動制御装置
JP3419231B2 (ja) 能動型振動制御装置
JP3743165B2 (ja) 能動型騒音振動制御装置