JP2000120767A - 能動型騒音振動制御装置、車両用能動型振動制御装置及び能動型騒音振動制御方法 - Google Patents

能動型騒音振動制御装置、車両用能動型振動制御装置及び能動型騒音振動制御方法

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JP2000120767A
JP2000120767A JP10290974A JP29097498A JP2000120767A JP 2000120767 A JP2000120767 A JP 2000120767A JP 10290974 A JP10290974 A JP 10290974A JP 29097498 A JP29097498 A JP 29097498A JP 2000120767 A JP2000120767 A JP 2000120767A
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vibration
control
noise
source
response
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JP10290974A
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English (en)
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Takeshi Kimura
健 木村
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製品出荷以前に異常を検出し、且つ異常の発生
部位を推定して異常に対する迅速な対応を可能にする。 【解決手段】同定処理実行時に、Δfずつ変化する周波
数f1 〜fNfに対応する残留振動信号eの時系列データ
についてFFT演算を行って、周波数成分を抽出し、こ
れをもとに周波数毎の応答ゲインG(fO )を算出する
(ステップ302)。この応答ゲインG(fO )が全周
波数f1 〜fNfにおいて、電気系統の断線が生じた場合
の応答ゲインに基づき設定した所定のしきい値G* より
も小さいとき(G(fO )<G* )には電気系統の断線
と判定し(ステップ310)、一部の周波数において応
答ゲインG(fO )<しきい値G* であるときにはエン
ジンマウント本体の異常と判定し(ステップ311)、
全周波数f1 〜fNfにおいて応答ゲイン(fO )≧しき
い値G* であるときには正常と判定する(ステップ30
8)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、能動的な制御音
又は制御振動を発生させて騒音又は振動の低減を図るよ
うにした能動型騒音振動制御装置、車両用能動型振動制
御装置及び能動型騒音振動制御方法に関し、特に、製品
出荷以前の異常検出を可能にしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、本出願人
が先に提案した特開平10−111692号公報に開示
されたものがある。
【0003】すなわち、かかる公報記載の従来技術は、
車両が走行中であるにも係わらず残留振動信号が小さい
場合、或いはエンジンの回転数が変化したにも係わらず
残留振動信号が変化しない場合に、残留振動信号を検出
するセンサが断線していると判断するようにしている。
また、例えば、特開平8−270723号公報に開示さ
れるように、残留振動信号が所定の大きさを越えると共
にこの周期が基準信号周期に一致した場合に制御振動源
の異常として判断するようにしたもの等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような先行技術においては、異常の判断を車両が実際
に走行している状態において行うようにしているため、
異常が発見されるのは車両が市場へ出荷された後とな
り、不良製品が市場に出されてしまうため、一旦出荷さ
れた後に再度修理を行う必要があるという問題がある。
【0005】そこで、この発明は、上記従来の未解決の
問題に着目してなされたものであり、製品出荷前に異常
検出を行い且つ異常に対する迅速な対応が可能な能動型
騒音振動制御装置及び車両用能動型振動制御装置及び能
動型騒音振動制御方法を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る能動型騒音振動制御装置は、騒音源
又は振動源から発せられた騒音又は振動と、制御音源又
は制御振動源から発せられた制御音又は制御振動とを干
渉させることによって騒音又は振動の低減を図るように
した能動型騒音振動制御装置において、前記干渉後の騒
音又は振動を検出し残留騒音又は残留振動信号として出
力する残留騒音又は残留振動検出手段と、前記騒音源又
は振動源の騒音又は振動が停止している状態で正弦波状
の異常検出用信号を順次その周波数を変えて前記制御音
源又は制御振動源に供給する異常検出用信号発生手段
と、前記異常検出用信号に応じた制御音又は制御振動が
前記制御音源又は制御振動源から発せられた場合の前記
残留騒音又は残留振動信号を周波数成分に変換し周波数
毎の応答ゲインを算出する応答ゲイン算出手段と、当該
応答ゲイン算出手段で算出した周波数毎の応答ゲインに
基づき異常部位を推定するゲインを利用した異常部位推
定手段と、当該ゲインを利用した異常部位推定手段での
異常推定結果を表示する異常部位表示手段と、を備える
ことを特徴としている。
【0007】また、請求項2に係る発明は、上記請求項
1に係る能動型騒音振動制御装置において、前記ゲイン
を利用した異常部位推定手段は、前記周波数毎の応答ゲ
イン全てが所定のしきい値よりも小さいときに、異常部
位は電気系統の断線であると推定するようになっている
ことを特徴としている。
【0008】また、請求項3に係る発明は、上記請求項
1又は2に係る能動型騒音振動制御装置において、前記
ゲインを利用した異常部位推定手段は、前記周波数毎の
応答ゲインが所定の応答ゲインよりも相似的に小さいと
きに、前記制御音源又は制御振動源と前記残留騒音又は
残留振動検出手段との少なくとも何れか一方におけるゲ
イン異常であると推定するようになっていることを特徴
としている。
【0009】また、請求項4に係る発明は、上記請求項
1乃至3の何れかに係る能動型騒音振動制御装置におい
て、前記ゲインを利用した異常部位推定手段は、所定の
周波数域における前記応答ゲインに基づいて異常部位を
推定するようになっていることを特徴としている。
【0010】また、請求項5に係る発明は、上記請求項
4に係る能動型騒音振動制御装置において、前記ゲイン
を利用した異常部位推定手段は、作動周波数域内の低周
波数3における前記応答ゲインと前記作動周波数域内の
高周波数域における前記応答ゲインとを比較し、前記低
周波数域の応答ゲインに対する前記高周波数域の応答ゲ
インのゲイン低下代が所定のしきい値よりも小さいとき
に、異常部位は前記制御音源又は制御振動源の構成部材
の剛性不足であると推定するようになっていることを特
徴としている。
【0011】また、請求項6に係る発明は、上記請求項
4又は5に係る能動型騒音振動制御装置において、前記
ゲインを利用した異常部位推定手段は、前記制御音源又
は制御振動源の取り付け部位の共振周波数を含む所定周
波数域内における、周波数変化に対する応答ゲイン変化
の割合を表すゲイン変化率を検出し、当該ゲイン変化率
が所定のしきい値よりも大きいときに、異常部位は前記
取り付け部位であると推定するようになっていることを
特徴としている。
【0012】また、請求項7に係る車両用能動型振動制
御装置は、前記請求項6に記載の能動型騒音振動制御装
置が車両に適用され、前記振動源としてのエンジンから
発せられた振動と前記制御振動源としてのエンジンマウ
ントから発せられた制御振動とを干渉させることによっ
て振動の低減を図るようにした車両用能動型振動制御装
置であって、前記所定周波数域は、50Hzから100
Hz程度であることを特徴としている。
【0013】また、請求項8に係る車両用能動型振動制
御装置は、前記請求項4乃至6の何れかに記載の能動型
騒音振動制御装置が車両に適用され、前記振動源として
のエンジンから発せられた振動と、前記制御振動源及び
流体封入式防振装置を含んで構成されるエンジンマウン
トから発せられた制御振動とを干渉させることによって
振動の低減を図るようにした車両用能動型振動制御装置
であって、前記ゲインを利用した異常部位推定手段は、
前記応答ゲインが最大となるピーク周波数を検出し、当
該ピーク周波数における応答ゲインと、当該ピーク周波
数の近傍の周波数における応答ゲインとの差が所定のし
きい値よりも小さいときに、異常部位は前記流体封入式
防振装置であると推定するようになっていることを特徴
としている。
【0014】ここで、請求項1に係る発明にあっては、
騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止している状態で
正弦波状の異常検出用信号がその周波数を変えて制御音
源又は制御振動源に供給され、この異常検出用信号に応
じた制御音又は制御振動が制御音源又は制御振動源から
発せられた場合の残留騒音又は残留振動信号が周波数成
分に変換されて周波数毎の応答ゲインが算出され、この
応答ゲインに基づいて異常部位が推定される。すなわ
ち、能動型騒音振動制御装置に異常が生じた場合、その
異常部位に応じて周波数毎の応答ゲインの状況が変化す
ることから、周波数毎の応答ゲインの状況から能動型騒
音振動制御装置の異常の検出及びその異常部位の推定が
可能となる。このとき、異常検出用信号を発生させるよ
うにしているから、製品出荷前等の騒音源又は振動源が
作動していない状態での異常検出が可能となり、また、
その異常部位を推定しその異常推定結果が表示されるか
ら、異常発生に対する迅速な対処を可能にすることがで
きる。
【0015】例えば、請求項2に係る発明のように、電
気系統に断線が生じたときには、周波数に係わらず断線
部分における信号が失われるから、周波数毎の応答ゲイ
ンが全周波数にわたって所定のしきい値よりも小さいと
きには、電気系統の断線と推定することができる。
【0016】また、請求項3に係る発明のように、制御
音源又は制御振動源或いは、残留騒音又は残留振動検出
手段にゲイン異常が生じた場合には、その出力信号が周
波数に係わらず低下するから、周波数毎の応答ゲイン
が、正常時の応答ゲイン等の所定の応答ゲインよりも相
似的に小さいときには、制御音源又は制御振動源と残留
騒音又は残留振動検出手段との少なくとも何れか一方に
おけるゲイン異常であると推定することができる。
【0017】また、請求項4に係る発明のように、異常
部位に応じて所定の周波数域における応答ゲインの状況
に変化が現れるから、所定の周波数域における応答ゲイ
ンの状況をみることによって異常部位を推定することが
できる。
【0018】例えば、請求項5に係る発明のように、制
御音源又は制御振動源の構成部材に剛性不足が生じた場
合には作動周波数域内の高周波数域に共振が現れ、通常
構成部材の共振が作動周波数域内に現れないように設計
されるから、所定の作動周波数域内の低周波数域におけ
る応答ゲインに対して、前記作動周波数域内の高周波数
域における応答ゲインの低下代が所定のしきい値よりも
小さいときには異常部位は制御音源又は制御振動源の構
成部材の剛性不足であると推定することができる。前記
低周波数域と高周波数域とを分割する周波数は、制御音
源又は制御振動源の構成部材の共振周波数より上であり
作動周波数域内の値が設定され、車両に適用された場合
には、100Hzから120Hz程度である。
【0019】また、請求項6に係る発明のように、制御
音源又は制御振動源の取り付け部位に取り付け不良等が
生じた場合にはこれら取り付け部位の共振周波数域を含
む所定の周波数域内に共振が顕著に現れ、通常これらの
共振が顕著に現れないように設計されるから、所定の周
波数域内におけるゲイン変化率がしきい値よりも大きい
ときには、顕著な共振が生じていると推定でき、異常部
位は、制御音源又は制御振動源の取り付け部位であると
推定することができる。
【0020】特に、請求項7に係る発明のように、車両
に適用された場合には、50Hzから100Hz程度の
周波数域で共振が顕著に生じたときにエンジンマウント
の取り付け部位の異常であると推定することができる。
【0021】また、請求項8に係る発明のように、車両
に適用され、エンジンマウントが制御振動源と流体封入
式防振装置とを含んで構成される場合、通常、20Hz
から30Hz程度の作動周波数域内の低周波数域に共振
が現れるが、エンジンマウントに、流体室への空気混
入,液漏れ等の異常が生じた場合、この共振特性が損な
われるから、応答ゲインが最大となるピーク周波数の近
傍の周波数における応答ゲインと、ピーク周波数におけ
る応答ゲインとの差がしきい値よりも小さいときつま
り、顕著なピークがみられないときには、異常部位は流
体封入式防振装置であると推定することができる。
【0022】一方、請求項9に係る能動型騒音振動制御
装置は、騒音源又は振動源から発せられた騒音又は振動
と、制御音源又は制御振動源から発せられた制御音又は
制御振動とを干渉させることによって騒音又は振動の低
減を図るようにした能動型騒音振動制御装置において、
前記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音又は残留振
動信号として出力する残留騒音又は残留振動検出手段
と、前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止してい
る状態で正弦波状の異常検出用信号を順次その周波数を
変えて前記制御音源又は制御振動源に供給する異常検出
用信号発生手段と、前記異常検出用信号に応じた制御音
又は制御振動が前記制御音源又は制御振動源から発せら
れた場合の前記残留騒音又は残留振動信号を周波数成分
に変換し周波数毎の位相応答を算出する位相応答算出手
段と、当該位相応答算出手段で算出した周波数毎の位相
応答に基づき異常部位を推定する位相を利用した異常部
位推定手段と、当該位相を利用した異常部位推定手段で
の異常推定結果を表示する異常部位表示手段と、を備え
ること特徴としている。
【0023】また、請求項10に係る発明は、上記請求
項9に係る能動型騒音振動制御装置において、前記位相
を利用した異常部位推定手段は、作動周波数域内の高周
波数域における、周波数変化に対する位相応答変化の割
合を表す位相変化率を検出し、当該位相変化率が所定の
しきい値よりも大きいときに、異常部位は前記制御音源
又は制御振動源の構成部材の剛性不足であると推定する
ようになっていることを特徴としている。
【0024】また、請求項11に係る発明は、上記請求
項9又は10に係る能動型騒音振動制御装置において、
前記位相を利用した異常部位推定手段は、前記制御音源
又は制御振動源の取り付け部位の共振周波数を含む所定
周波数域内における、周波数変化に対する位相応答変化
の割合を表す位相変化率を検出し、当該位相変化率が所
定のしきい値よりも大きいときに、異常部位は前記取り
付け部位であると推定するようになっていることを特徴
としている。
【0025】また、請求項12に係る車両用能動型振動
制御装置は、請求項11に記載の能動型騒音振動制御装
置が車両に適用され、前記振動源としてのエンジンから
発せられた振動と、前記制御振動源としてのエンジンマ
ウントから発せられた制御振動とを干渉させることによ
って振動の低減を図るようにした車両用能動型振動制御
装置であって、前記所定周波数域は、50Hzから10
0Hz程度であることを特徴としている。
【0026】また、請求項13に係る車両用能動型振動
制御装置は、請求項9乃至11の何れかに記載の能動型
騒音振動制御装置が車両に適用され、前記振動源として
のエンジンから発せられた振動と、前記制御振動源及び
流体封入式防振装置を含んで構成されるエンジンマウン
トから発せられた制御振動とを干渉させることによって
振動の低減を図るようにした車両用能動型振動制御装置
であって、前記位相を利用した異常部位推定手段は、作
動周波数域内の低周波域における周波数変化に対する位
相応答変化の割合を表す位相変化率が、所定のしきい値
よりも小さいときに、異常部位は前記流体封入式防振装
置であると推定するようになっていることを特徴として
いる。
【0027】ここで、請求項9に係る発明にあっては、
上記請求項1に係る発明では、周波数成分に変換した後
の、残留騒音又は残留振動信号の周波数毎の応答ゲイン
に基づいて異常部位を推定するようにしているが、応答
ゲインと同様に位相応答も、周波数毎の位相応答の状況
が異常部位に応じて変化するから、位相応答の状況から
能動型騒音振動制御装置の異常の検出及びその異常部位
の推定が可能となる。
【0028】例えば、請求項10に係る発明のように、
制御音源又は制御振動源の構成部材に剛性不足が生じた
場合には、上記請求項5に係る発明と同様に、作動周波
数域内の高周波数域に共振が現れるから、所定の作動周
波数域内の高周波数域における位相変化率が所定のしき
い値よりも大きいときに、異常部位は前記制御音源又は
制御振動源の構成部材の剛性不足であると推定すること
ができる。前記高周波数域は、制御音源又は制御振動源
の構成部材の共振周波数より上であり作動周波数域内の
値が設定され、車両に適用された場合には、100Hz
から120Hz程度である。
【0029】また、請求項11に係る発明のように、制
御音源又は制御振動源の取り付け部位に取り付け不良等
が生じた場合には、上記請求項6に係る発明と同様に、
前記取り付け部位の共振周波数域を含む所定の周波数域
内に共振が顕著に現れるから、所定の周波数域内におけ
る位相変化率がしきい値よりも大きいときには、異常部
位は、制御音源又は制御振動源の取り付け部位であると
推定することができる。
【0030】特に、請求項12に係る発明のように、車
両に適用された場合には、50Hzから100Hz程度
の周波数域で共振が生じたときにエンジンマウントの取
り付け部位の異常であると推定することができる。
【0031】また、請求項13に係る発明のように、車
両に適用され、エンジンマウントが制御振動源と流体封
入式防振装置とを含んで構成される場合、上記請求項8
に係る発明と同様に、作動周波数域内の低周波数域にお
ける共振特性が損なわれるから、この低周波数域におけ
る位相変化率が所定のしきい値よりも小さいときには、
異常部位は、流体封入式防振装置であると推定すること
ができる。
【0032】一方、請求項14に係る能動型騒音振動制
御装置は、騒音源又は振動源から発せられた騒音又は振
動と、制御音源又は制御振動源から発せられた制御音又
は制御振動とを干渉させることによって騒音又は振動の
低減を図るようにした能動型騒音振動制御装置におい
て、前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止してい
る状態で異常検出用信号を前記制御音源又は制御振動源
に供給する異常検出用信号発生手段と、前記異常検出用
信号に応じた制御音又は制御振動が前記制御音源又は制
御振動源から発せられた場合の騒音又は振動の伝達系の
時系列応答関数を検出する時系列応答検出手段と、前記
時系列応答関数に基づき異常部位を推定する時系列応答
による異常部位推定手段と、当該時系列応答による異常
部位推定手段での異常推定結果を表示する異常部位表示
手段と、を備えることを特徴としている。
【0033】また、請求項15に係る発明は、上記請求
項14に係る能動型騒音振動制御装置において、前記時
系列応答による異常部位推定手段は、前記時系列応答関
数に基づく応答波形が所定のしきい値よりも小さいとき
に、異常部位は電気系統の断線であると推定するように
なっていることを特徴としている。
【0034】また、請求項16に係る発明は、上記請求
項14又は15に係る能動型騒音振動制御装置におい
て、前記時系列応答による異常部位推定手段は、前記時
系列応答関数に基づく応答波形が所定の応答波形よりも
相似的に小さいときに、前記制御音源又は制御振動源と
前記残留騒音又は前記残留振動検出手段との少なくとも
何れか一方におけるゲイン異常であると推定するように
なっていることを特徴としている。
【0035】ここで、請求項14に係る発明にあって
は、能動型騒音振動制御装置に異常が生じた場合、異常
検出用信号に応じた制御音又は制御振動が制御音源又は
制御振動源から発せられた場合の騒音又は振動の伝達系
の時系列応答関数は能動型騒音振動制御装置の異常部位
に応じて変化するから、時系列応答関数の状況から、能
動型騒音振動制御装置の異常の検出及びその異常部位の
推定が可能となる。
【0036】例えば、請求項15に係る発明のように、
電気系統に断線が生じたときには断線部分における信号
が失われるから、時系列応答関数に基づく応答波形が所
定のしきい値よりも小さいときには、電気系統の断線と
推定することができる。
【0037】また、請求項16に係る発明のように、制
御音源又は制御振動源或いは、残留騒音又は残留振動検
出手段にゲイン異常が生じた場合には、その出力信号が
低下するから、時系列応答関数に基づく応答波形が、正
常時に応答波形等の所定の応答波形よりも相似的に小さ
いときには、制御音源又は制御振動源と残留騒音又は残
留振動検出手段との少なくとも何れか一方におけるゲイ
ン異常であると推定することができる。
【0038】一方、請求項17に係る能動型騒音振動制
御装置又は車両用能動型振動制御装置は、前記制御音源
又は制御振動源と前記残留騒音又は残留振動検出手段と
の間の騒音又は振動の伝達系の伝達関数を同定する伝達
関数同定手段を備え、前記ゲインによる異常部位推定手
段、前記位相による異常部位推定手段又は前記時系列応
答による異常部位推定手段は、前記伝達関数の同定中
に、前記異常部位を推定するようになっていることを特
徴としている。
【0039】この請求項17に係る発明にあっては、騒
音又は振動の伝達系の伝達関数の同定中に、異常部位が
推定されるようになっているから、異常部位の検出を効
率よく行うことが可能となる。
【0040】また、請求項18に係る能動型騒音振動制
御方法は、騒音源又は振動源から発せられた騒音又は振
動と、制御音源又は制御振動源から発せられた制御音又
は制御振動とを干渉させることによって騒音又は振動の
低減を図るようにした能動型騒音振動制御方法であっ
て、前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止してい
る状態で正弦波状の異常検出用信号を順次その周波数を
変えて前記制御音源又は制御振動源に供給し、前記異常
検出用信号に応じた制御音又は制御振動が前記制御音源
又は制御振動源から発せられた場合の前記干渉後の残留
騒音又は残留振動信号を周波数成分に変換して周波数毎
の応答ゲイン又は位相応答を算出し、当該周波数毎の応
答ゲイン又は位相応答に基づき、異常部位を推定するよ
うにしたことを特徴としている。
【0041】さらに、請求項19に係る能動型騒音振動
制御方法は、騒音源又は振動源から発せられた騒音又は
振動と、制御音源又は制御振動源から発せられた制御音
又は制御振動とを干渉させることによって騒音又は振動
の低減を図るようにした能動型騒音振動制御装置におい
て、前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止してい
る状態で異常検出用信号を前記制御音源又は制御振動源
に供給し、前記異常検出用信号に応じた制御音又は制御
振動が前記制御音源又は制御振動源から発せられた場合
の前記騒音又は振動の伝達系の時系列応答関数を検出
し、当該時系列応答関数に基づき、異常部位を推定する
ようにしたことを特徴としている。
【0042】
【発明の効果】本発明に係る発明によれば、異常検出用
信号を発生させ、これに対する残留騒音又は残留振動信
号に基づく周波数毎の応答ゲイン又は位相応答、或い
は、異常検出用信号に応じた制御音又は制御振動が制御
音源又は制御振動源から発せられた場合の騒音又は振動
の伝達系の時系列応答関数に基づいて、異常検出を行う
と共にその異常部位を推定するようにしたから、製品出
荷前等の騒音源又は振動源が作動していない状態での異
常検出を行うことができ、また、異常推定結果を表示す
るようにしているから、異常に対する迅速な対処を可能
にすることができる。
【0043】特に、請求項17に係る発明によれば、騒
音又は振動の伝達系の伝達関数の同定中に、異常部位の
推定を行うようになっているから、異常部位の検出を効
率よく行うことができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0045】図1乃至図7は、本発明の第1の実施の形
態を示す図であって、図1は本発明に係る能動型騒音振
動制御装置の一形態である車両用能動型振動制御装置を
適用した車両の概略側面図である。
【0046】まず、構成を説明すると、横置きに搭載し
たエンジン17が、車体前後方向の後方に配置した能動
型エンジンマウント20を介して、サスペンションメン
バ等から構成される車体18に支持されている。なお、
実際には、エンジン17及び車体18間には、能動型エ
ンジンマウント20の他にエンジン17及び車体18間
の相対変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエ
ンジンマウントも介在している。受動的なエンジンマウ
ントとしては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する
通常のエンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰
力発生可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマ
ウントインシュレータ等が適用できる。
【0047】図2は、エンジン17に固定したブラケッ
ト(図示せず)を介して連結する能動型エンジンマウン
ト20の上部構造を平面視で示すものであり、エンジン
側連結部材30から上方に向けて突出している2本の連
結ボルト30aを、上述したブラケットの挿通孔に下側
から挿通し、ナットを螺合することによりエンジン17
に上端部が固定される。また、符号60はリバウンド規
制部材であり、このリバウンド規制部材60は、2本の
連結ボルト30a間を結ぶ線に対して直交し、エンジン
側連結部材30の上方をアーチ状に延在しながら装置ケ
ース43に固定されており、エンジン側連結部材30の
上面に固定したゴム製の弾性体からなるリバウンドスト
ッパ31の上方に位置している。
【0048】図3は、図2の矢視断面図で示す能動型エ
ンジンマウント20の内部構造を示すものであり、図2
の2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に沿うA−A矢視
断面を、図3の軸心(以下、マウント軸と称する)P1
を境界として右側に示し、図2の2本の連結ボルト30
a間を結ぶ線に対して直交する方向のB−B矢視断面
を、図3のマウント軸P1 を境界として右側に示してい
る。
【0049】この能動型エンジンマウント20は、装置
ケース43に外筒34、中間筒36、オリフィス構成部
材37、支持弾性体32等のマウント部品を内蔵し、こ
れらマウント部品の下部に、流体室84の隔壁の一部を
形成しながら弾性支持された可動部材78を流体室84
の容積が変化する方向に変位させる電磁アクチュエータ
52と、図示しない車体メンバの振動状況を検出する荷
重センサ64とを内蔵した装置であり、より具体的に説
明していくと、前述したエンジン側連結部材30は、下
端周縁部30gが丸みを付けて形成されていると共に、
マウント軸P1に沿う位置に第1孔30cが形成されて
いる。また、このエンジン連結部材30に下側から嵌入
されて上方を向いている連結ボルト30aは、その頭部
30dがエンジン側連結部材30の下面から突出してい
る。ここで、その頭部30dの外周縁部は、丸みが付け
られて形成されている。
【0050】また、エンジン側連結部材30の下面に
は、断面逆台形状の中空筒体30bが固定されている。
この中空筒体30bには、連結ボルト30aに近接する
位置に第2孔30eが形成されていると共に、マウント
軸P1 に沿う下面に第3孔30fが形成されている。な
お、この中空筒体30bの連結ボルト30aから離間し
ている位置には、孔を形成していない。
【0051】そして、前記エンジン側連結部材30の下
面側には、中空筒体30bの内部及びエンジン側連結部
材30の下部側を覆うように、ゴム製の支持弾性体32
が加硫接着により固定されている。
【0052】すなわち、この支持弾性体32は、エンジ
ン側連結部材30側から下方に向けて拡径した形状のゴ
ム製の弾性体であって、内面に断面山形状の空洞部32
aを形成しているが、連結ボルト30aから離れている
部分の支持弾性体32の外周面は、図3の左側に示すよ
うに、エンジン側連結部材30の外周部を覆いながらリ
バウンドストッパ31に連続している。一方、連結ボル
ト30aに近接している支持弾性体32は、図3の右側
に示すように、連結ボルト30aの頭部30dの全域を
覆う被覆部32bが形成されていると共に、頭部30d
の下方位置の外周を、内側に大きく凹んだ形状としてい
る(以下、符号32cで示す凹み外周部と称する)。そ
して、前述した空洞部32aを形成しながら前記凹み外
周部32cに対向している支持弾性体32の内面も、内
側に大きく膨らんだ形状としている(以下、符号32d
で示す膨らみ内周部と称する)。そして、連結ボルト3
0aに近接している部分の支持弾性体32の肉厚は、凹
み外周部32cに対向して膨らみ内周部32dを設けた
ことにより、連結ボルト30aから離れている部分の肉
厚と略同一に設定している。
【0053】そして、薄肉形状とした支持弾性体32の
下端部は、マウント軸P1 が中空筒体30bと同軸に振
動体支持方向を向く中間筒体36の内周面に加硫接着に
より結合している。
【0054】中間筒体36は、同一外周径とした上端筒
部36a及び下端筒部36bの間に小径筒部36cを連
続して形成した部材であり、外周に環状凹部を設けてい
る。また、図示しないが、小径筒部36cには開口部が
形成されており、この開口部を介して中間筒体36の内
側及び外側が連通している。
【0055】中間筒体36の外側には外筒34が嵌合し
ており、この外筒34は内周径を中間筒体36の上端筒
部36a及び下端筒部36bの外周径と同一寸法とし、
軸方向の長さを中間筒体36と同一寸法に設定した円筒
部材である。また、この外筒34には開口部34aが形
成されており、この開口部34aの開口縁部にゴム製の
薄膜弾性体からなるダイアフラム42の外周が結合して
開口部34aを閉塞しつつ、外筒34の内側に向けて膨
出している。
【0056】そして、上記構成の外筒34を、環状凹部
を囲むように中間筒体36に外嵌すると、外筒34及び
中間筒体36間の周方向に環状空間が画成され、その環
状空間にダイアフラム42が膨出した状態で配設され
る。そして、中間筒体36の内側に、筒状のオリフィス
構成部材37が嵌合している。
【0057】このオリフィス構成部材37は、中間筒体
36の小径筒部36cより小径に形成した最小径筒部3
7aを備え、その最小径筒部37aの上下端部に径方向
外方に向けて上部環状部37b及び下部環状部37cが
形成されており、これら最小径筒部37a、上部及び下
部環状部37b、37cで囲んだ位置と中間筒体36と
の間に環状空間が設けられている。また、最小径筒部3
7aの一部に第2開口部37dが形成されている。ここ
で、上部環状部37bは、支持弾性体32の下方に位置
しているが、図3の右側に示すように、連結ボルト30
aに近接している支持弾性体32の下方に位置している
上部環状部37b1 は肉厚を薄く形成して凹みを設けて
おり、支持弾性体32の膨らみ内周部32dから離れた
位置で対向している。
【0058】また、装置ケース43は、その上端部に上
端筒部36aの外周径より小径の円形開口部を有する上
端かしめ部43aが形成されていると共に、この上端か
しめ部43aと連続するケース本体の形状を、内周径が
外筒34の外周径と同一寸法で下端開口部まで連続する
円筒形状(下端開口部を図3の破線で示した形状)とし
た部材であり、全てのマウント部品の組み込みが完了し
た後に下端開口部を径方向内方に向けてかしめていくこ
とにより、図3の実線で示すかしめ部が形成される。
【0059】そして、支持弾性体32、中間筒体36、
オリフィス構成部材37及びダイアフラム42を一体化
した外筒34を装置ケース43の下端開口部から内部に
嵌め込んでいき、上端かしめ部43aの下面に外筒34
及び中間筒体36の上端部を当接させると、それらが装
置ケース43内の上部に配設される。この際、装置ケー
ス43の内周面とダイヤフラム42とで囲まれた部分に
空気室42cが画成されるが、この空気室42cを臨む
位置に空気孔43aが形成されており、この空気孔43
aを介して空気室42cと大気が連通している。
【0060】装置ケース43内の下部には円筒状のスペ
ーサ70が嵌め込まれており、このスペーサ70内の上
部に可動部材78が配置されていると共に、スペーサ7
0内の下部に電磁アクチュエータ52が配置されてい
る。前記スペーサ70は、円筒状の上部筒体70aと、
円筒状の下部筒体70bと、これら筒体の上下端部間に
加硫接着したゴム製の薄膜弾性体からなる略円筒状のダ
イアフラム70cとで構成されている。
【0061】前記電磁アクチュエータ52は、外観円筒
形のヨーク52aと、ヨーク52aの上端面側に配設し
た円環状の励磁コイル52bと、ヨーク52aの上面中
央部に磁極を上下方向に向けて固定した永久磁石52c
とで構成されている。また、前記ヨーク52aは、円環
状の第1ヨーク部材53aと、中央円筒部に永久磁石5
2cを固定した第2ヨーク部材53bとで構成されてい
る。
【0062】そして、上部及び下部筒体70a、70b
間のダイアフラム70cは、ヨーク52aの外周に形成
した凹部52dに向かって膨出している。
【0063】また、ヨーク52aの下面と、車体側連結
ボルト60を備えた蓋部材62との間には、振動低減制
御に必要な残留振動を検出するために、荷重センサ64
が介装されている。荷重センサ64としては、圧電素
子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能であり、このセン
サの検出結果は、図1に示すように、残留振動信号eと
してコントローラ25に供給されるようになっている。
【0064】一方、前記電磁アクチュエータ52の上方
には、シール部材固定用のシールリング72と、後述す
る板ばね82の外周部を下側から自由端支持する支持リ
ング74と、電磁アクチュエータ52の永久磁石52c
及び可動部材78間のギャップHを設定するギャップ保
持リング76とが配置されている。これらシールリング
72、支持リング74及びギャップ保持リング76の外
周径は、前述したスペーサ70の上部筒体70aの内周
径と同一寸法に設定されており、ヨーク52aから上方
に突出している上部筒体70a内にシールリング72、
支持リング74及びギャップ保持リング76の全てが内
嵌されている。そして、これらシールリング72、支持
リング74及びギャップ保持リング76の内側には、上
下方向に変位可能となるように可動部材78が配置され
ている。
【0065】この可動部材78は、外観円盤状の隔壁形
成部材78Aと、この隔壁形成部材78Aより大径円盤
状に形成した磁路形成部材78Bとで構成した部材であ
って、電磁アクチュエータ52に対して遠い方に位置す
る隔壁形成部材78Aの軸心にボルト孔80aを形成
し、電磁アクチュエータ52に近い磁路形成部材78B
を貫通した可動部材用ボルト80がボルト孔80aに螺
合することにより、隔壁形成部材78A及び磁路形成部
材78Bを一体に連結した構造となっている。
【0066】隔壁形成部材78A及び磁路形成部材78
B間には、リング状に連続したくびれ部79が画成され
ているが、このくびれ部79に可動部材78を弾性支持
するための板ばね82が収容されている。つまり、板ば
ね82は、中央部に孔部を形成した円盤形状の部材であ
り、この板ばね82の内周部を隔壁形成部材78Aの裏
面中央部の下側から自由端支持し、板ばね82の外周部
を支持リング74のばね支持部74aが下側から自由端
支持しており、これにより可動部材78が装置ケース4
3に板ばね82を介して弾性支持されている。
【0067】前記隔壁形成部材78Aは、流体室84に
面している隔壁部80cの肉厚を薄くし、隔壁部80c
の外周から上方に突出する環状のリブ80bを形成した
部材である。そして、隔壁形成部材78Aの上面と、支
持弾性体32の下面と、オリフィス構成部材37の内周
面とで流体室84が形成され、この流体室84内に流体
が封入される。
【0068】また、流体室84から板ばね82を収容し
ているくびれ部79側への流体の漏洩を防止するため、
隔壁形成部材78Aの外周とシールリング72の内周と
の間には、ゴム状弾性体からなるリング形状のシール部
材86が固定されており、このシール部材86の弾性変
形によって、シールリング72や装置ケース43に対す
る可動部材78の上下方向への相対変位を許容してい
る。
【0069】次に、本実施形態の能動型エンジンマウン
ト20の振動入力減衰作用について簡潔に説明する。本
実施形態の能動型エンジンマウント20は、支持弾性体
32の空洞部32aとオリフィス構成部材37の軸中央
空間とが連通し、オリフィス構成部材37の軸中央空間
及びオリフィス構成部材37と中間筒体36との間の環
状空間が、第2開口部37dを介して連通し、前記環状
空間及びダイアフラム42が膨出している空間が、中間
筒体36に形成した開口部を介して連通しており、これ
ら支持弾性体32の空洞部32aからダイアフラム42
が膨出している空間までの連通路内に、油等の流体が封
入されている。
【0070】そして、支持弾性体32の空洞部32aか
らオリフィス構成部材37と中間筒体36との間の環状
空間までの連通路を主流体室84とすると、中間筒体3
6に形成した開口部の近傍をオリフィスとし、この開口
部に対向しながらダイアフラム42に囲まれている領域
を副流体室とした流体共振系が形成されている。この流
体共振系の特性、即ち、オリフィス内の流体の質量と、
支持弾性体32の拡張方向ばね、ダイアフラム42の拡
張方向ばねで決まる特性は、車両停止中のアイドル振動
の発生時、つまり20〜30Hzでエンジンマウント20
A、20Bが加振された場合に高動ばね定数、高減衰力
を示すように調整されている。
【0071】一方、電磁アクチュエータ52の励磁コイ
ル52bは、コントローラ25から例えばハーネスを通
じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の電
磁力を発生するようになっている。コントローラ25
は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回
路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ、ROM,R
AM等の記憶媒体等を含んで構成され、エンジン17で
発生する振動を低減できる能動的な支持力が能動型エン
ジンマウント20に発生するように、能動型エンジンマ
ウント20に対する駆動信号yを生成し出力するように
なっている。
【0072】また、前述したように能動型エンジンマウ
ント20には荷重センサ64が内蔵されており、車体1
8の振動状況を荷重の形で検出して残留振動信号eとし
て出力し、その残留振動信号eが干渉後における振動を
表す信号として例えばハーネスを通じてコントローラ2
5に供給されている。
【0073】ここで、エンジン17で発生するアイドル
振動やこもり音振動は、例えばレシプロ4気筒エンジン
の場合、エンジン回転2次成分のエンジン振動が車体1
8に伝達されることが主な原因であるから、そのエンジ
ン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出力すれ
ば、車体側振動の低減が可能となる。そこで、本実施の
形態では、エンジン17のクランク軸の回転に同期した
(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クラン
ク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信号を
生成し基準信号xとして出力するパルス信号生成器19
を設けていて、その基準信号xが、コントローラ25に
供給されている。
【0074】そして、コントローラ25は、供給される
残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリ
ズムの一つである同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマ
ウント20に対する駆動信号yを演算し、この駆動信号
yを能動型エンジンマウント20に出力するようになっ
ている。
【0075】具体的には、コントローラ25は、フィル
タ係数Wi (i=0,1,2,……,I−1:Iはタッ
プ数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、
最新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリ
ング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタ
Wのフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力す
る一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応
ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新す
る処理を実行するようになっている。
【0076】ただし、この実施の形態では、同期式Fi
ltered−X LMSアルゴリズムにおける評価関
数として、下記の(1)式を用いている。
【0077】 Jm={e(n)}2 +β{y(n)}2 ……(1) つまり、LMSアルゴリズムにあっては、評価関数Jm
が小さくなる方向にフィルタ係数Wi が更新されるので
あるから、上記(1)式の右辺の内容からも明らかなよ
うに、フィルタ係数Wi は、残留振動信号eの自乗値が
小さくなると共に、駆動信号yの自乗値をβ倍した値が
小さくなるように、逐次更新されることになる。そし
て、βは発散抑制係数と称される係数であって、この発
散抑制係数βが大きくなる程、駆動信号yは小さくなる
傾向となる。つまり、発散抑制係数βには制御の発散を
抑制する作用がある。
【0078】そして、収束係数をαとし、上記(1)式
で表される評価関数Jmに基づいてフィルタ係数Wi
更新式を求めると、下記の(2)式のようになる。
【0079】 Wi (n+1)=Wi (n)−2αRT e(n)−2βαy(n) ……(2) そこで、この(2)式中の「2α」を新たな収束係数α
とし、「2βα」を新たな発散抑制係数βとすれば、適
応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の更新式は
下記の(3)式のようになる。
【0080】 Wi (n+1)=Wi (n)−αRT e(n)−βy(n) ……(3) ここで、(n),(n+1)が付く項は、サンプリング
時刻n,n+1,における値であることを表している。
また、更新用基準信号RT は、理論的には、基準信号x
を、能動型エンジンマウント20の電磁アクチュエータ
52及び荷重センサ64間の伝達関数Cをモデル化した
伝達関数フィルタC^でフィルタ処理をした値である
が、基準信号xの大きさは“1”であるから、伝達関数
フィルタC^のインパルス応答を基準信号xに同期して
次々と生成した場合のそれらインパルス応答波形のサン
プリング時刻nにおける和に一致する。
【0081】また、理論的には、基準信号xを適応ディ
ジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成
するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるた
め、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力し
ても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ
結果になる。
【0082】そして、コントローラ25は上記のような
駆動信号yの出力処理及び適応ディジタルフィルタWの
各フィルタ係数Wi の更新処理からなる振動低減処理を
実行する一方で、その振動低減制御に必要な伝達関数C
を同定する処理をも実行するようになっている。
【0083】すなわち、コントローラ25には、伝達関
数Cの同定処理を開始するタイミングで操作される同定
処理開始スイッチ及びCRTディスプレイ等の表示装置
を備えた整備用コンピュータ28が設けられていて、例
えば製造ラインにおける最終工程において、或いはディ
ーラーにおける定期点検時において、作業者が整備用コ
ンピュータ28において同定処理開始スイッチを操作す
ると、コントローラ25内で伝達関数Cの同定処理が実
行される。なお、伝達関数Cの同定処理実行中には、通
常の振動低減処理は実行されない。
【0084】つまり、コントローラ25は、車両のイグ
ニッションスイッチがオンになっている通常の走行状態
等には、前記LMSアルゴリズムにしたがった振動低減
処理を実行するが、同定処理開始スイッチが操作される
と、振動低減処理を停止して、伝達関数Cの同定処理を
実行するようになっている。
【0085】そして、本実施の形態では、伝達関数Cの
同定処理は、正弦波状の同定信号を用いて行うようにな
っている。具体的には、正弦波状の同定信号を駆動信号
yの代わりに能動型エンジンマウント20に所定時間出
力し続けると共に残留振動信号eを読み込む、というデ
ータ読み込み処理を、同定信号の周波数を順次変えつつ
繰り返し実行し、各データ読み込み処理によって得られ
た残留振動信号eの各数列をFFT処理して同定信号の
周波数に相当する成分を抽出し、抽出された各周波数成
分を合成した結果を、逆FFT処理して、伝達関数Cと
してのインパルス応答を求めるようになっている。求め
られたインパルス応答は、有限インパルス応答型の伝達
関数フィルタC^としてそれまでの伝達関数フィルタC
^と置き換えられるようになっている。
【0086】さらに、本実施の形態のコントローラ25
は、上記のような伝達関数Cの同定処理の実行中に、周
波数毎の同定信号に対する残留振動信号eをもとに、周
波数毎の応答ゲインを算出し、これを正常時の応答ゲイ
ンの発生状況と比較することによって、車両用能動型振
動制御装置の異常検出及び異常発生部位の推定を行い、
異常検出結果を整備用コンピュータ28に表示する異常
判定処理を実行するようになっている。
【0087】次に、第1の実施の形態の動作を説明す
る。
【0088】イグニッションスイッチがオンとなって電
源が供給されるようになると、コントローラ25は、所
定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ52に駆動
信号yを出力し、能動型エンジンマウント20に振動を
低減し得る能動的な支持力を発生させるようになる。こ
れをコントローラ25内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図4にしたがって具体的に説明す
る。
【0089】すなわち、電源が供給されると、コントロ
ーラ25は所定の初期設定を行い、イグニッションスイ
ッチがオンになった後に、運転者がエンジンキーをさら
に回すと、エンジン17が起動し、基準信号xがコント
ローラ25に供給されるようになる。そして、基準信号
xのインパルスが確認されたら、ステップ101におい
て基準信号xの立ち上がりが検出されて基準信号xの信
号周期TX が検出され、これを固定サンプリング・クロ
ックの周期TC で割った結果の小数点以下を切り上げて
タップ数Lが演算される。
【0090】次いで、ステップ102に移行し、カウン
タiが零クリアされた後に、ステップ103に移行し、
サンプリング・クロック測定用タイマがクリア・スター
トされる。そして、ステップ104に移行し、適応ディ
ジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数Wi が駆動信
号yとして出力される。
【0091】次いで、ステップ105に移行し、カウン
タiが0か否かが判定され、この判定が「YES」の場
合には、制御周期(基準信号xの周期)が始まった直後
であると判断して、一制御周期が始まったことに伴う初
期処理を実行すべく、ステップ106に移行し、伝達関
数フィルタC^に基づき更新用基準信号RT が演算され
る。なお、ステップ106では、基準信号xの新たな一
周期分の更新用基準信号RT がまとめて演算される。
【0092】ステップ105の判定が「NO」の場合並
びにステップ106の処理を終えた場合には、ステップ
107に移行し、残留振動信号eが読み込まれる。そし
て、ステップ108に移行して、カウンタjが零クリア
される。
【0093】そして、ステップ109に移行し、適応デ
ィジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj が上記
(3)式にしたがって更新される。
【0094】次いで、ステップ110に移行し、基準信
号xの次のインパルスが入力されているか否かを判定
し、ここで基準信号xが入力されていないと判定された
場合には、適応ディジタルフィルタWの次のフィルタ係
数の更新又は駆動信号yの出力処理を実行すべくステッ
プ111に移行する。
【0095】ステップ111では、全フィルタ係数Wj
に対する更新演算が完了しているか否か、つまりカウン
タjがタップ数L(正確には、カウンタjは0からスタ
ートするため、タップ数Lから1を減じた値)に達して
いるか否かが判定され、この判定が「NO」の場合に
は、ステップ112に移行し、カウンタjをインクリメ
ントした後に、ステップ109に戻って上述した処理を
繰り返し実行する。
【0096】しかし、ステップ111の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数Wj のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ
係数の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ
113に移行してカウンタiをインクリメントする。次
いで、ステップ114に移行し、上記ステップ103で
クリア・スタートさせたサンプリング・クロック測定用
タイマの値が固定サンプリング・クロックの周期TC
達するまで待機した後、上記ステップ103に戻って上
述した処理を繰り返し実行する。
【0097】一方、ステップ110で基準信号xの新た
なインパルスが入力されたと判断された場合には、ステ
ップ101に戻って、上述した処理を繰り返し実行す
る。
【0098】このような図4の処理を繰り返し実行する
結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント2
0の電磁アクチュエータ52に対しては、基準信号xが
入力された時点から、固定サンプリング・クロックに同
期して、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi
が順番に駆動信号yとして供給される。
【0099】この結果、励磁コイル52bに駆動信号y
に応じた磁力が発生するが、磁路形成部材78Bには、
すでに永久磁石52cによる一定の磁力が付与されてい
るから、その励磁コイル52bによる磁力は永久磁石5
2cの磁力を強める又は弱めるように作用すると考える
ことができる。このように、永久磁石52cの磁力が強
まったり弱まったりすると、可動部材78が正逆両方向
に変位し、可動部材78が変位すれば、主流体室84の
容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体32の
拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウント
20に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのであ
る。
【0100】そして、駆動信号yとなる適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムにしたがった上記
(3)式によって逐次更新されるため、ある程度の時間
が経過して適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数
i が最適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エン
ジンマウント20に供給されることによって、エンジン
17から能動型エンジンマウント20を介して車体18
側に伝達されるアイドル振動やこもり音振動が低減され
るようになる。
【0101】以上は車両走行時等に実行される振動低減
処理の動作である。その一方、例えば車両が出荷される
前の製造ラインの最終工程において、作業者が整備用コ
ンピュータ28において同定処理開始スイッチを操作す
ると、図5に示すような伝達関数Cの同定処理が実行さ
れる。
【0102】すなわち、伝達関数Cの同定処理が開始さ
れると、まず、ステップ201において、同定信号の周
波数fO として、同定処理を実行する必要がある振動低
減制御を実行する作動周波数帯域(fmin 〜fmax )の
うちの、最低値fmin に設定する。
【0103】次いで、ステップ202に移行し、同定信
号として、周波数fO の正弦波を能動型エンジンマウン
ト20に供給する。すると、能動型エンジンマウント2
0内の電磁アクチュエータ52が同定信号によって駆動
して同定振動が発生し、かかる同定振動は各部材を伝搬
して荷重センサ64に達する。
【0104】そこで、ステップ203に移行し、残留振
動信号eを読み込み、次いで、ステップ204に移行
し、十分な個数の残留振動信号eを読み込んだか否かを
判定する。なお、残留振動信号eの十分な個数として設
定される値は、伝達関数Cがインパルス応答として求め
られることから、そのインパルス応答が十分に減衰する
のに必要な時間を、サンプリング・クロックで割った値
以上であればよい。ただし、時系列として取り込んだ残
留振動信号eに対して後にFFT演算を行うことから、
その残留振動信号eを極めて大量に読み込んでしまう
と、その読み込み時間が長くなるし、FFT演算に要す
る時間も長くなるという不具合もあるため、残留振動信
号eの十分な個数として設定される値は、インパルス応
答が十分に減衰するのに必要な時間をサンプリング・ク
ロックで割った場合の数を越える2の巾乗の数値のうち
の、最小値とすることが望ましい。例えば、サンプリン
グ・クロックが2msecであって、インパルス応答が十分
に減衰する時間が0.2msecであれば、0.2msec/2
msec=100となるから、ステップ204に設定する値
は128となる。
【0105】そして、ステップ204の判定が「NO」
の場合には、上記ステップ202に戻って、同定信号の
出力処理(ステップ202)及び残留振動信号eの読み
込み処理(ステップ203)を繰り返し実行する。
【0106】そして、ステップ204の判定が「YE
S」となったら、ステップ205に移行する。なお、ス
テップ203で次々と読み込まれた残留振動信号eは、
周波数fO に対応した時系列データとして記憶される。
【0107】そして、ステップ205では、残留振動信
号eの時系列データについてFFT演算を行って、時系
列データの周波数成分を抽出する。
【0108】次いで、ステップ206に移行し、現在の
周波数fO に増加分Δfを加えることにより、新たな周
波数fO を演算する。そして、ステップ207に移行
し、新たな周波数fO が、同定処理を行う周波数の最大
値fmax を越えているか否かを判定する。
【0109】このステップ207の判定が「NO」の場
合には、上記ステップ202に戻って上述した処理を再
び実行する。このため、ステップ202〜206の一連
の処理は、ステップ207の判定が「YES」となるま
で実行される。
【0110】つまり、ステップ202〜205の処理
は、周波数の最低値fmin 〜最大値f max の範囲で増加
分Δfずつ変化する周波数f1 〜fNf毎に実行されるよ
うになっているから、ステップ207の処理が「YE
S」となった時点では、ステップ205の処理によって
記憶される時系列データの周波数成分は、周波数fO
種類(f1 〜fNf)と同じ数だけ記憶されていることに
なる。
【0111】そして、ステップ207の判定が「YE
S」となったら、ステップ208に移行し、ステップ2
05で求められた各周波数f1 〜fNf毎の周波数成分を
もとに周波数応答を求め、後述の異常検出処理を行う。
【0112】次いで、ステップ209に移行し、各周波
数成分を合成したものを逆FFT演算し、時間軸上のイ
ンパルス応答に変換し、次いで、ステップ210に移行
し、求めたインパルス応答を新たな伝達関数フィルタC
^として記憶する。伝達関数フィルタC^の記憶が完了
したら、今回の伝達関数Cの同定処理を終了する。
【0113】前記ステップ208で実行される異常検出
処理では、図6に示すような処理が実行される。すなわ
ち、まず、ステップ301で、周波数成分を検出した最
初の周波数f1 を、fO =f1 として初期設定し、次
に、ステップ302に移行して、周波数fO における周
波数成分をもとに応答ゲインG(fO )を算出する。
【0114】つまり、フーリエ変換処理を行ったデータ
は、次式(4)におけるA,Bの値として与えられるた
め、応答ゲインG(fO ),位相応答P(fO )は、次
式(5)及び(6)として算出される。
【0115】 A・cos(2πfO )+B・sin(2πfO ) ……(4) G(fO )=(A2 +B2 1/2 ……(5) P(fO )=tan-1(B/A) ……(6) 次いで、ステップ303に移行し、ステップ302で検
出した応答ゲインG(fO )が、予め設定されたしきい
値G* よりも小さいか否か(G(fO )<G*)が判定
される。そして、応答ゲインG(fO )<しきい値G*
であるときには、ステップ304に移行し、カウンタを
インクリメントした後、ステップ305に移行する。一
方、ステップ303で、応答ゲインG(fO )<しきい
値G* でないときには、そのままステップ305に移行
する。
【0116】このステップ305では、周波数fO が、
周波数成分が検出された周波数のうち現在の周波数fO
の次の周波数に更新された後、ステップ306に移行
し、更新後の周波数fO が、周波数成分を検出した周波
数fO の最大値であるfNfよりも大きいかどうか(fO
>fNf)を判定し、fO >fNfでないときにはステップ
302に戻る。
【0117】一方、ステップ306で、fO >fNfであ
るときには、ステップ307に移行してカウント値が零
であるかどうかを判定し、零である時にはステップ30
8に移行し、異常判定結果は正常として整備用コンピュ
ータ28に表示する。そして、異常判定処理を終了す
る。
【0118】一方、ステップ307で、カウント値が零
でないときには、ステップ309に移行し、全周波数で
異常であるか、つまり、周波数f1 〜fNf全てにおいて
応答ゲインG(fO )<しきい値G* であるかどうかを
判定し、全ての周波数においてG(fO )<G* である
ときにはステップ310に移行し、電気系統に断線があ
るとしてこれを整備用コンピュータ28に表示した後、
処理を終了する。そして、ステップ309で全ての周波
数においてG(fO )<G* でないときには、ステップ
311に移行し、電気系統の断線以外の異常、つまり、
能動型エンジンマウント20本体に何らかの異常がある
としてこれを整備用コンピュータ28に表示した後、処
理を終了する。
【0119】つまり、車両用能動型振動制御装置の電気
系統に断線が生じた場合には、応答ゲインの周波数に係
わらず断線部分における信号が失われて応答ゲインG
(fO)が低下し、電気系統の断線以外の故障の場合に
は、その故障部位に応じた周波数において異常が生じる
ことから、前記しきい値G* は、予め実験等によって、
車両用能動型振動制御装置の電気系統に断線が発生した
場合に応答ゲインG(f O )が全周波数にわたってしき
い値G* を下回るような値に設定されるようになってい
る。そして異常検出対象の周波数f1 〜fNfのうちの全
ての周波数においてその応答ゲインG(fO )がしきい
値G* を下回るときには、電気系統の断線であると判定
し、一部の周波数について応答ゲインG(fO )がしき
い値G* を下回るときには電気系統の断線以外の故障、
つまり、能動型エンジンマウント20本体の異常として
判定するようになっている。
【0120】したがって、図5のステップ208で異常
判定処理が実行されたときに、電気系統に断線が生じて
いないときには、図7に実線の○印で示すように、各周
波数毎の応答ゲインG(fO )は、全ての周波数におい
て、一点鎖線で示すしきい値G* を上回るから、カウン
ト値は零となり(ステップ307)、ステップ308の
処理で異常判定結果は正常と判定される。
【0121】逆に、電気系統に断線がある場合には、断
線部分における信号が失われるから各周波数毎に算出さ
れる応答ゲインG(fO )は、図7に破線の○印で示す
ように全ての周波数においてしきい値G* を下回る。よ
って、ステップ307,ステップ309を経てステップ
310に移行し、電気系統に断線が生じたと判定され
る。そして、電気系統の断線以外の異常が発生したとき
には、全周波数にわたってその応答ゲインG(fO )が
しきい値G* を下回ることはないから、ステップ30
7,ステップ309を経てステップ311に移行し、電
気系統の断線以外の能動型エンジンマウント20本体の
異常と判定される。そして、これら判定結果が整備用コ
ンピュータ28に表示される。
【0122】よって、オペレータは整備用コンピュータ
28に表示された判定結果から、異常の有無また、異常
が生じた場合には電気系統の断線か或いはその他の異常
かを容易に認識することができる。
【0123】このように、同定処理を実行するときに、
車両用能動型振動制御装置の異常検出を行うことができ
るから、例えば製造ラインにおける最終工程における同
定処理実行時に異常を検出することが可能となり、出荷
前の段階で異常検出を行うことができ、不良な製品が市
場に出回ること回避することができる。また、異常発生
部位を電気系統の断線であるかそれ以外の部位であるか
を特定することができるから、異常部位を容易に認識す
ることができ、これに対して迅速に対処することができ
る。
【0124】さらに、同定処理実行中に、これと共に異
常検出を行うことができるから、作業効率を向上させる
ことができる。
【0125】ここで、第1の実施の形態では、エンジン
17が振動源に対応し、能動型エンジンマウント20の
荷重センサ64以外の部分が制御振動源に対応し、荷重
センサ64が残留振動検出手段に対応し、図5のステッ
プ201,202,206,207の処理が異常検出用
信号発生手段に対応し、図5のステップ203〜205
及び図6のステップ302の処理が応答ゲイン算出手段
に対応し、図6のステップ303〜ステップ311の処
理がゲインを利用した異常部位推定手段に対応し、整備
用コンピュータ28が異常部位表示手段に対応し、図5
のステップ208を除く処理が伝達関数同定手段に対応
している。
【0126】次に、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に
おいて前記異常判定処理が異なること以外は同様である
ので、同一部分の詳細な説明は省略する。
【0127】図8は、第2の実施の形態における異常判
定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0128】すなわち、まず、ステップ321におい
て、同定信号の周波数fO (=f1 〜fNf)毎に、その
周波数成分をもとに応答ゲインG(fO )を算出し、次
に、ステップ322に移行して、予め検出して所定の記
憶領域に格納している各周波数fO 毎の応答ゲインの標
準値である標準ゲインを読み込む。次いでステップ32
3に移行して、各周波数fO 毎に、算出した応答ゲイン
G(fO )と標準ゲインとの偏差ΔG(fO )を算出す
る。
【0129】次いで、ステップ324に移行し、全周波
数fO (=f1 〜fNf)について、偏差ΔG(fO )が
しきい値ΔG* よりも小さいかどうか(ΔG(fO )<
ΔG * )を判定する。そして、全ての偏差がΔG
(fO )<ΔG* であるときにはステップ325に移行
し、異常判定結果は正常であるとしてこれを整備用コン
ピュータ28に表示した後、処理を終了する。
【0130】一方、ステップ324で、全ての偏差がΔ
G(fO )<ΔG* でないときにはステップ326に移
行し、偏差ΔG(fO )の最大値ΔGmax と最小値ΔG
minとを検出し、次いでステップ327に移行して、最
大値ΔGmax と最小値ΔGmi n との差が予め設定したし
きい値ΔGmax-min * よりも小さいかどうか(ΔGma x
−ΔGmin <ΔGmax-min * )を判定する。そして、Δ
max −ΔGmin <ΔGmax-min * であるときにはステ
ップ328に移行し、各種センサのゲイン低下或いは電
磁アクチュエータ52の抵抗増加等によるゲイン低下が
生じたと判定し、これを整備用コンピュータ28に表示
した後、処理を終了する。
【0131】一方、ステップ327でΔGmax −ΔG
min <ΔGmax-min * でないときにはステップ329に
移行し、能動型エンジンマウント20本体に、各種セン
サ或いは電磁アクチュエータ52等のゲインの低下以外
の異常が生じたとしてこれを整備用コンピュータ28に
表示した後、処理を終了する。
【0132】つまり、能動型エンジンマウント20本体
に何らかの異常がある場合、その故障部位に応じた周波
数において異常が生じ、各種センサのゲインの低下或い
は電磁アクチュエータ52の抵抗増加等が生じた場合に
は、正常時の応答ゲインに比較して、出力電流が小さい
等、周波数に係わらず全周波数に渡って信号が低下する
ことから、正常時の標準の応答ゲインと比較し、全周波
数にわたって相似的に応答ゲインが低下している場合に
は、各種センサ或いは電磁アクチュエータ52にゲイン
の低下が生じていると判定し、一部の周波数についての
み標準ゲインとの差が大きい場合には、能動型エンジン
マウント20本体に、ゲインの低下以外の何らかの異常
が生じたと判定する。
【0133】したがって、同定処理実行中にステップ2
08で異常判定処理が実行されたときに、各周波数f1
〜fNf毎の正常時の標準ゲインが図9に実線の○印で示
す波形であるとすると、車両用能動型振動制御装置に異
常がない場合には、ステップ321で算出される各周波
数毎の応答ゲインG(fO )と標準ゲインとの偏差ΔG
(fO )は小さく、全ての周波数において偏差ΔG(f
O )がしきい値ΔG*よりも小さくなるから(ステップ
324)、ステップ325に移行して車両用能動型振動
制御装置は正常であると判定される。
【0134】一方、各種センサ或いは電磁アクチュエー
タ52等にゲインの低下異常が生じた場合には、図9に
破線の○印で示すように、正常時の応答ゲインに比較し
て、応答ゲインが全周波数に渡って同様の比率で低下し
その波形は正常時の応答ゲインと相似であるから、標準
ゲインと応答ゲインG(fO )との偏差ΔG(fO )が
しきい値ΔG* よりも大きくなるが(ステップ32
4)、偏差ΔG(fO )の最大値ΔGmax と最小値ΔG
min との差はしきい値ΔGmax-min * よりも小さくなっ
て(ステップ327)、ステップ328に移行して各種
センサ或いは電磁アクチュエータ52にゲイン低下が生
じたとして判定される。
【0135】このとき、ゲイン低下以外の異常が生じた
場合には、一部の周波数についてのみ標準ゲインと算出
した応答ゲインとの偏差が大きくなる等、偏差にばらつ
きが生じるから、偏差の最大値ΔGmax と最小値ΔG
min との差がしきい値ΔGmax- min * よりも大きくなっ
て(ステップ327)、ステップ329に移行してゲイ
ン低下以外の異常が生じたとして判定され、これら判定
結果が整備用コンピュータ28に表示される。
【0136】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定時に異常検出を行うこ
とができ、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得
ることができる。
【0137】ここで、第2の実施の形態では、図5のス
テップ203〜205及び図8のステップ321の処理
が応答ゲイン算出手段に対応し、図8のステップ322
〜ステップ329の処理がゲインを利用した異常部位推
定手段に対応している。
【0138】次に、本発明の第3の実施の形態を説明す
る。この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態に
おいて前記異常判定処理が異なること以外は同様である
ので、同一部分の詳細な説明は省略する。
【0139】図10は、第3の実施の形態における異常
判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0140】すなわち、まず、ステップ331におい
て、同定信号の周波数fO (=f1 〜fNf)毎に、その
周波数成分をもとに応答ゲインG(fO )を算出し、次
いで、ステップ332に移行して算出した応答ゲインG
(fO )の最大値であるピーク値Gpを算出する。次
に、ステップ333に移行し、ピーク値Gpとなった周
波数fGpの近傍の周波数、つまり周波数f1 〜fNfのう
ちピーク値周波数fGpの前後の周波数fGp-1,fGp+1
応答ゲインGp(fGp-1),応答ゲインG(fGp+1)を
検出する。
【0141】次いで、ステップ334に移行し、Gp−
〔(G(fGp-1)+G(fGp+1))〕/2がしきい値Δ
Gp* よりも小さいかどうかを判定する。そして、これ
を満足する場合には、ステップ335に移行し、流体共
振機構の異常と判定しこれを整備用コンピュータ28に
表示した後、処理を終了する。
【0142】一方、ステップ334で、Gp−〔(G
(fGp-1)+G(fGp+1))〕/2<ΔGp* でない場
合には、ステップ336に移行し、流体共振機構は正常
であると判定しこれを整備用コンピュータ28に表示し
た後、処理を終了する。
【0143】つまり、流体式の能動型エンジンマウント
20に電磁アクチュエータ52を組み込んだ場合、図1
1に実線の○印で示すように、通常は20Hz〜30H
z程度の作動周波数帯域内の低周波数域に共振が現れる
が、能動型エンジンマウント20において、流体室への
空気の混入,液漏れ等の異常が生じた場合には、この共
振特性が損なわれるため共振ピークがはっきりと現れな
くなってしまうから、この共振ピークが現れていないと
きに、流体機構に異常が生じたと判定する。
【0144】したがって、同定処理実行中に異常判定処
理が実行されたときに、同定信号の各周波数f1 〜fNf
毎の応答ゲインG(fO )が算出され(ステップ33
1)、このうちの最大値がピーク値Gpとして検出され
(ステップ332)、このとき、流体機構が正常であれ
ば、図11に破線の○印で示すように、20〜30Hz
程度の低周波数域で共振ピークが現れ、ピーク値周波数
Gpの近傍の周波数における応答ゲインの平均値とピー
ク値Gpとの偏差(Gp−〔(G(fGp-1)+G(f
Gp+1))〕/2)がしきい値ΔGp* よりも大きくなる
から(ステップ334)、ステップ336に移行して流
体機構は正常であると判定される。
【0145】一方、流体室への空気の混入,液漏れ等が
生じている場合には、図11に破線の○印で示すよう
に、共振特性が損なわれるから、ピーク値周波数fGp
近傍の周波数における応答ゲインの平均値とピーク値G
pとの偏差がしきい値より小さくなり(Gp−〔(G
(fGp-1)+G(fGp+1))〕/2<ΔGp* )、ステ
ップ334からステップ335に移行して、流体機構に
異常が発生したと判定され、これら判定結果が整備用コ
ンピュータ28に表示される。
【0146】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定処理実行時に異常検出
を行うことができ、上記第1の実施の形態と同等の作用
効果を得ることができる。
【0147】ここで、第3の実施の形態では、能動型エ
ンジンマウント20の荷重センサ64以外の部分が制御
振動源及び流体封入式防振装置に対応し、図5のステッ
プ203〜205及び図10のステップ331の処理が
応答ゲイン算出手段に対応し、図10のステップ332
〜ステップ336の処理がゲインを利用した異常部位推
定手段に対応している。
【0148】次に、本発明の第4の実施の形態を説明す
る。この第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態に
おいて前記異常判定処理が異なること以外は同様である
ので、同一部分の詳細な説明は省略する。
【0149】図12は、第4の実施の形態における異常
判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0150】すなわち、まず、ステップ341におい
て、同定信号の周波数f1 〜fNf毎に、その周波数成分
をもとに応答ゲインG(fO )を算出し、次いで、ステ
ップ342に移行して、算出した応答ゲインG(fO
のうち、予め設定した分離周波数fS よりも低い周波数
域においてその応答ゲインの最大値を求め、これを低周
波側ピークゲインGL とする。次いでステップ343に
移行し、ステップ341で算出した応答ゲインG
(fO )のうち、分離周波数fS 以上の周波数域におい
てその応答ゲインの最大値を求め、これを高周波側ピー
クゲインGH とする。なお、前記分離周波数fS は、能
動型エンジンマウント20及び能動型エンジンマウント
20が取り付けられる図示しないセンターメンバ, サブ
フレーム等の共振周波数よりも高く、且つ伝達関数Cの
同定を行う周波数(f1 〜fNf)のうちの上限周波数f
Nfよりも下の周波数が設定され、例えば100〜120
Hz程度に設定される。
【0151】次いで、ステップ344に移行し、低周波
側ピークゲインGL と高周波側ピークゲインGH との偏
差が予め設定したしきい値ΔGL-H よりも大きいかどう
か(GL −GH <ΔGL-H )を判定し、これを満足する
ときステップ345に移行しエンジンマウント構成部材
に剛性低下が生じていると判定して、これを整備用コン
ピュータ38に表示した後、処理を終了する。
【0152】一方、ステップ344で、GL −GH <Δ
L-H でないときにはステップ346に移行し、マウン
ト構成部材に剛性の低下等は生じておらず、正常である
と判定しこれを整備用コンピュータ38に表示し処理を
終了する。
【0153】つまり、能動型エンジンマウント20等の
アクティブエンジンマウントにおいては、作動周波数帯
域内において構成部材の共振が現れないように製造する
のが通常であるが、製造上の不良等によって剛性不足等
が生じた場合にはその作動周波数帯域内の高周波数域で
共振が生じるから、高周波数域において応答ゲインの上
昇を検出したときつまり共振の発生を検出したとき、エ
ンジンマウント構成部材の剛性低下が生じたと判定す
る。
【0154】したがって、同定処理実行中にステップ2
08で異常判定処理が実行されたときに、同定信号の各
周波数(f1 〜fNf)毎の応答ゲインG(fO )が算出
され(ステップ341)、このうちの分離周波数fS
りも低い周波数域及び分離周波数fS 以上の周波数域の
それぞれにおける応答ゲインの最大値が、低周波側ピー
クゲインGL ,高周波側ピークゲインGH として検出さ
れる(ステップ342,343)。そして、エンジンマ
ウント構成部材の剛性が低下した場合には、図13に破
線の○印で示すように、作動周波数帯域f1 〜fNfにお
いて高周波数域で応答ゲインのピークが現れるから、低
周波側ピークゲインGL と高周波側ピークゲインGH
の偏差が小さくなり、この偏差がしきい値ΔGL-H より
も小さくなるから(GL −GH <ΔGL-H )、ステップ
344からステップ345に移行して、エンジンマウン
ト構成部材の剛性が低下したと判定される。
【0155】一方、剛性の低下が生じていなければ、通
常、作動周波数帯域内において構成部材の共振が現れな
いように製造されているから、図13に実線の○印で示
すように、高周波数域に応答ゲインのピークが現れず、
低周波側ピークゲインGL と高周波側ピークゲインGH
との偏差(GL −GH )は、しきい値ΔGL-H よりも大
きくなって(ステップ344)、構成部材の剛性は正常
であると判定される(ステップ346)。
【0156】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定処理実行時に異常検出
を行うことができ、上記第1の実施の形態と同等の作用
効果を得ることができる。
【0157】ここで、第4の実施の形態では、図5のス
テップ203〜205及び図12のステップ341の処
理が応答ゲイン算出手段に対応し、図12のステップ3
42〜ステップ346の処理がゲインを利用した異常部
位推定手段に対応している。
【0158】次に、本発明の第5の実施の形態を説明す
る。この第5の実施の形態は、上記第1の実施の形態に
おいて前記異常判定処理が異なること以外は同様である
ので、同一部分の詳細な説明は省略する。
【0159】図14は、第5の実施の形態における異常
判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0160】すなわち、まず、ステップ351におい
て、同定信号の各周波数f1 〜fNf毎に、その周波数成
分をもとに応答ゲインG(fO )を算出し、次に、ステ
ップ352に移行して、予め設定したセンターメンバ,
サブフレーム系の共振周波数域(例えば50〜100H
z程度)にある周波数fO について、周波数の変化に対
するゲインの変化割合であるゲイン変化率dG(fO
/dfを算出する。次に、ステップ353に移行し、ス
テップ352で算出したゲイン変化率dG(fO)/d
fのうち、その最大値が、予め設定したしきい値dG*
よりも大きいかどうか(dG(fO )/df>dG*
を判定する。
【0161】そして、共振周波数域におけるゲイン変化
率の最大値がdG(fO )/df>dG* であるときに
はステップ354に移行し、センターメンバ,サブフレ
ーム系等の能動型エンジンマウント20の取り付け対象
部位の異常と判定し、これを整備用コンピュータ28に
表示した後、処理を終了する。
【0162】一方、共振周波数域におけるゲイン変化率
の最大値がしきい値dG* よりも大きくないときには、
ステップ355に移行してセンターメンバ,サブフレー
ム系等の能動型エンジンマウント20の取り付け対象部
位は正常であると判定し、これを整備用コンピュータ2
8に表示した後、処理を終了する。
【0163】つまり、能動型エンジンマウント20は通
常センターメンバ或いはサブフレーム等の上に取り付け
られてエンジンを支持する構成となっているため、シス
テム伝達特性つまり、伝達関数Cにはこれらの共振特性
が含まれることになる。通常、センターメンバマウント
やサブフレームマウントはこれらの共振が作動周波数帯
域内で顕著に現れないように設計されるが、例えばマウ
ント取り付け部の不良等によってこれらマウントに異常
が生じるとこれらの共振現象が、システム伝達特性に顕
著に現れることから、これらの共振周波数域においてゲ
イン変化が急になる場合には、共振が発生しており、す
なわち、マウント取り付け部に異常が発生していると判
定する。
【0164】したがって、同定処理実行中にステップ2
08で異常判定処理が実行されたときに、同定信号の各
周波数f1 〜fNf毎の応答ゲインG(fO )が算出され
(ステップ351)、このうちの共振周波数域の周波数
について、ゲイン変化率dG(fO )/dfが算出され
る(ステップ352)。このとき、マウント取り付け部
の不良等が生じている場合には、センターメンバーマウ
ント,サブフレームマウントの共振がシステム伝達特性
に現れるから、図15に破線の○印で示すように、共振
周波数域におけるゲイン変化率が大きくなりしきい値d
* よりも大きくなって(ステップ353)、ステップ
354に移行して取り付け部の異常として判定される。
【0165】一方、取り付け部に異常が生じていないと
きには、センターメンバーマウント,サブフレームマウ
ントの共振がシステム伝達特性に現れないから、図15
に実線の○印で示すように共振周波数域におけるゲイン
変化率は小さくしきい値dG * よりも小さくなって(ス
テップ353)、ステップ355に移行し取り付け部に
異常は生じていないと判定され、これら判定結果は整備
用コンピュータ28に表示される。
【0166】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定処理実行時に異常検出
を行うことができ、上記第1の実施の形態と同等の作用
効果を得ることができる。
【0167】ここで、第5の実施の形態では、図5のス
テップ203〜205及び図14のステップ351の処
理が応答ゲイン算出手段に対応し、図14のステップ3
52〜ステップ355の処理がゲインを利用した異常部
位推定手段に対応している。
【0168】次に、本発明の第6の実施の形態を説明す
る。上記第1の実施の形態では、電気系統の断線を周波
数特性の応答ゲインに基づいて検出するようにした場合
について説明したが、この第6の実施の形態では、伝達
関数フィルタC^に基づいて電気系統の断線を検出する
ようにしたものであり、上記第1の実施の形態において
伝達関数Cの同定処理及び前記異常判定処理が異なるこ
と以外は同様であるので、同一部分の詳細な説明は省略
する。
【0169】図16は、第6の実施の形態における同定
処理の処理手順を示すフローチャートであって、図5に
示す同定処理と同一部には同一符号を付与している。つ
まり、ステップ201〜ステップ207の処理では、図
5に示す同定処理と同様に処理を行い、周波数の最小値
min 〜最大値fmax の範囲で増加分Δfずつ変化する
周波数fO (=f1 〜fNf)毎に周波数成分を検出す
る。
【0170】そして、同定信号の周波数が周波数fmax
に達すると、ステップ207からステップ209に移行
し、各周波数成分を合成し逆FFT演算して時間軸上の
インパルス応答に変換し、次いで、ステップ210で求
めたインパルス応答を新たな伝達関数フィルタC^とし
て記憶する。伝達関数フィルタC^の記憶が完了した
ら、ステップ211に移行し、後述の異常判定処理を実
行した後、今回の伝達関数Cの同定処理を終了する。
【0171】前記ステップ211における異常判定処理
では、図17に示す処理が実行される。
【0172】すなわち、まず、ステップ361におい
て、ステップ210で求めた伝達関数フィルタC^につ
いて、全時間領域において予め設定したしきい値C^*
を下回るかどうか(C^<C^* )を判定し、全時間領
域においてC^<C^* であるときにはステップ362
に移行して電気系統の断線と判断し、これを整備用コン
ピュータ28に表示した後、処理を終了する。
【0173】一方、ステップ361で全時間領域におい
てしきい値C^* を下回らないときにはステップ363
に移行し、電気系統の断線ではないと判断してこれを整
備用コンピュータ28に表示した後、処理を終了する。
【0174】つまり、伝達関数フィルタC^が全時間領
域においてしきい値C^* を下回るときには明らかに信
号が正しく伝達されていないと考えられることから、前
記しきい値C^* は、予め実験等によって設定され、車
両用能動型振動制御装置の電気系統に断線が生じていな
いときには全時間領域にわたって伝達関数フィルタC^
がしきい値C^* を上回り、且つ、車両用能動型振動制
御装置の電気系統に断線が発生した場合には全時間領域
にわたってしきい値C^* を下回るような値に設定され
るようになっている。そして伝達関数フィルタC^が全
ての時間領域にわたってしきい値C^* を下回るときに
は、電気系統の断線であると判定するようになってい
る。
【0175】したがって、図16の同定処理においてス
テップ211で異常判定処理が実行されたときに、電気
系統に断線が発生している場合には、断線部分における
信号が失われ、ステップ209で算出された伝達関数フ
ィルタC^は、図18(b)に示すように、全時間領域
にわたってしきい値C^* を下回るから、ステップ36
1からステップ362に移行して、電気系統の断線と判
定される。逆に、電気系統に断線が生じていない場合に
は、図18(a)に示すように、伝達関数フィルタC^
が全時間領域にわたってしきい値C^* を下回ることは
ないから、ステップ361からステップ363に移行し
て、電気系統に断線は生じていないと判定され、これら
判定結果は整備用コンピュータ28に表示される。
【0176】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定処理実行時に異常検出
を行うことができ、上記第1の実施の形態と同等の作用
効果を得ることができる。
【0177】ここで、第6の実施の形態では、図16の
ステップ201,202,206,207の処理が異常
検出用信号発生手段に対応し、図16のステップ203
〜209の処理が時系列応答検出手段に対応し、図17
の処理が時系列応答による異常部位推定手段に対応して
いる。
【0178】次に、本発明の第7の実施の形態を説明す
る。上記第2の実施の形態では、応答ゲインに基づいて
電磁アクチュエータ52等のゲインの低下を検出するよ
うにした場合について説明したが、この第7の実施の形
態は、伝達特性フィルタC^に基づいて電磁アクチュエ
ータ52等のゲインの低下を検出するようにしたもので
あって、上記第6の実施の形態において、前記異常判定
処理の処理手順が異なること以外は同様であるので、同
一部分の詳細な説明は省略する。
【0179】図19は、第7の実施の形態における異常
判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0180】すなわち、まず、ステップ371におい
て、予め所定の記憶領域に格納している標準的な伝達関
数フィルタC^の値を読み込みその最大値(標準C^の
最大値)を検出する。次いでステップ372に移行し
て、図16のステップ209で算出した伝達関数フィル
タC^について全時間領域における最大値(算出C^の
最大値)を検出する。次いで、ステップ373に移行
し、これらのゲイン比a(=算出C^の最大値/標準C
^の最大値)を算出する。
【0181】次いで、ステップ374に移行し、このゲ
イン比aが予め設定したしきい値a * を下回るかどうか
(a<a* )を判定し、a<a* であるときにはステッ
プ375に移行する。そして、全時間領域にわたって、
ステップ209で算出したC^にゲイン比aを乗算した
値をC^の標準値から減算した値が、しきい値ΔC*
下回るかどうか(C^標準値−a×C^計算値<しきい
値ΔC* )を判定し、これを満足するとき、ステップ3
76に移行し、満足しないときステップ377に移行す
る。
【0182】前記ステップ376では、各種センサ或い
は電磁アクチュエータ52等のゲインの低下が発生して
いると判定し、これを整備用コンピュータ28に表示し
た後、処理を終了する。前記ステップ377では、各種
センサ或いは電磁アクチュエータ52等のゲインの低下
以外の異常と判定しこれを整備用コンピュータ28に表
示した後、処理を終了する。
【0183】そして、前記ステップ374で、ゲイン比
aがしきい値a* を下回らないとき、つまりa<a*
ないときには、ステップ378に移行し、車両用能動型
振動制御装置は正常と判定しこれを整備用コンピュータ
28に表示した後、処理を終了する。
【0184】つまり、能動型エンジンマウント20本体
に何らかの異常があり、伝達特性フィルタC^の正常時
の波形に対して、相似的に小さくなっている場合には、
車両における振動特性は変化せず正常時に比較して信号
が小さくなっている状態であると考えられるため、各種
センサ或いは電磁アクチュエータ52等のゲインの低下
が生じているものと判断することができるから、検出し
た伝達関数フィルタC^が正常時の標準の伝達関数フィ
ルタC^である標準C^に対して相似的に小さくなって
いる場合には、ゲインの低下と判定し、一部のみが標準
C^に対して小さくなっているときにはその他の何らか
の異常と判定する。
【0185】したがって、同定処理実行中に異常判定処
理が実行されたとき、各種センサ或いは電磁アクチュエ
ータ52等にゲインの低下が生じている場合には、図2
0(a)に示す伝達関数フィルタC^の正常時の標準波
形に比較して、同定処理で検出した伝達特性フィルタC
^の波形は図20(b)に示すように同様の比率で小さ
くなりつまり、相似的に小さくなるから、ステップ37
3で算出されるゲイン比aはしきい値a* よりも小さく
なり(ステップ374)、また、全時間領域にわたっ
て、C^の標準値とC^の計算値にゲイン比aを乗算し
た値との差がしきい値ΔC^を下回るから(ステップ3
75)、ステップ376に移行して、各種センサ或いは
電磁アクチュエータ52のゲインの低下と判定される。
【0186】このとき、ゲインの低下以外の異常が生じ
ている場合には、C^の標準値とC^の計算値にゲイン
比aを乗算した値との差が部分的にしきい値ΔC^を下
回ることになって、ステップ375からステップ377
に移行して、ゲインの低下以外の異常と判定される。そ
して、ゲインの低下或いはその他の異常が生じていない
場合には、検出される伝達関数フィルタC^が伝達関数
フィルタC^の標準値とほぼ同等となるから、ステップ
373で算出されるゲイン比aが比較的大きな値となっ
て、a<a* (ステップ374)となるから、ステップ
378に移行して、車両用能動型振動制御装置は正常と
判定され、これら判定結果が整備用コンピュータ28に
表示される。
【0187】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定処理実行時に、異常検
出を行うことができ、上記第1の実施の形態と同等の作
用効果を得ることができる。
【0188】ここで、第7の実施の形態では、図16の
ステップ201,202,206,207の処理が異常
検出用信号発生手段に対応し、図16のステップ203
〜209の処理が時系列応答検出手段に対応し、図19
の処理が時系列応答による異常部位推定手段に対応して
いる。
【0189】次に、本発明の第8の実施の形態を説明す
る。上記第3の実施の形態では、能動型エンジンマウン
ト20の流体機構の異常判断を応答ゲインに基づいて行
うようにした場合について説明したが、この第8の実施
の形態は、位相応答に基づいて能動型エンジンマウント
20の流体機構の異常判断を行うようにしたものであっ
て、上記第3の実施の形態において前記異常判定処理が
異なること以外は同様であるので、同一部分の詳細な説
明は省略する。
【0190】図21は、第8の実施の形態における異常
判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0191】すなわち、まず、ステップ381におい
て、同定信号の各周波数(f1 〜fNf)毎に、その周波
数成分をもとに位相応答P(fO )を算出し、次に、ス
テップ382に移行して、予め設定した低周波数域(例
えば20〜30Hz程度)における、周波数の変化に対
する位相の変化割合である位相変化率dP(fO )/d
fを算出し、その最大値dP/dfLMAXを検出する。次
に、ステップ383に移行し、ステップ382で算出し
た位相変化率の最大値dP/dfLMAXが、予め設定した
しきい値dPL * よりも小さいかどうか(dP/df
LMAX<dPL * )を判定する。
【0192】そして、低周波数域における位相変化率の
最大値dP/dfLMAXがしきい値dPL * よりも小さい
ときには、ステップ384に移行して能動型エンジンマ
ウント20の流体機構の異常と判定し、これを整備用コ
ンピュータ28に表示した後、処理を終了する。一方、
低周波数域における位相変化率の最大値dP/dfLM AX
がしきい値dPL * よりも小さくないときには、ステッ
プ385に移行して流体機構は正常と判定し、これを整
備用コンピュータ28に表示した後、処理を終了する。
【0193】つまり、流体式の能動型エンジンマウント
20にアクチュエータを組み込んだ場合、図22に実線
の○印で示すように、通常は、作動周波数帯域内の20
Hz〜30Hz程度の周波数域に共振が現れるが、能動
型エンジンマウント20において、流体室への空気の混
入,液漏れ等の異常が生じた場合には、この共振特性が
損なわれるため共振ピークがなくなってしまうから、位
相応答にこの共振ピークが現れていないときに、流体機
構に異常が生じたと判定する。
【0194】したがって、同定処理実行中に異常判定処
理が実行されたときに、同定信号の各周波数f1 〜fNf
毎に周波数成分に基づいて位相応答P(fO )が算出さ
れ(ステップ381)、このうち予め設定した低周波数
域(20〜30Hz程度)における位相応答の変化率P
(fO )/dfの最大値が検出され、このとき、流体機
構が正常であれば、図22に実線の○印で示すように、
20〜30Hz程度の低周波数域に共振ピークが現れ、
この近傍における位相応答の変化率は大きくなりしきい
値dPL * よりも大きくなるから(ステップ383)、
ステップ385に移行して流体機構は正常であると判定
される。
【0195】一方、流体室への空気の混入,液漏れ等が
生じている場合には、共振特性が損なわれるから、図2
2に破線の○印で示すように、低周波数側の共振周波数
の近傍における位相応答の変化率P(fO )/dfが小
さくなって、しきい値dPL * よりも小さくなるから
(ステップ383)、ステップ384に移行して、流体
機構に異常が発生したと判定され、これら判定結果が整
備用コンピュータ28に表示される。
【0196】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定処理実行時に異常検出
を行うことができ、上記第1の実施の形態と同等の作用
効果を得ることができる。
【0197】ここで、第8の実施の形態では、図5のス
テップ203〜205及び図21のステップ381の処
理が位相応答算出手段に対応し、図21のステップ38
2〜ステップ385の処理が位相を利用した異常部位推
定手段に対応している。
【0198】次に、本発明の第9の実施の形態を説明す
る。上記第4の実施の形態では、能動型エンジンマウン
ト20の構成部材の剛性低下を、応答ゲインに基づいて
検出するようにした場合について説明したが、この第9
の実施の形態は、位相応答に基づいて検出するようにし
たものであって、上記第4の実施の形態において前記異
常判定処理が異なること以外は同様であるので、同一部
分の詳細な説明は省略する。
【0199】図23は、第9の実施の形態における異常
判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0200】すなわち、まず、ステップ391におい
て、同定信号の各周波数f1 〜fNf毎に、その周波数成
分に基づき位相応答P(fO )を算出し、次に、ステッ
プ392に移行して、予め設定した作動周波数帯域内の
高周波数域における、周波数の変化に対する位相変化d
P(fO )/dfを算出し、その最大値dP/dfHMAX
を検出する。次に、ステップ393に移行し、ステップ
392で検出した位相変化率の最大値dP/df
HMAXが、予め設定したしきい値dPH * よりも大きいか
どうか(dP/dfHMAX>dPH * )を判定する。
【0201】そして、ステップ393でdP/dfHMAX
>dPH * であるときにはステップ394に移行して能
動型エンジンマウント20の剛性低下と判定し、これを
整備用コンピュータ28に表示した後、処理を終了す
る。一方、dP/dfHMAX>dPH * であるときにはス
テップ395に移行し、能動型エンジンマウント20の
剛性は正常であると判定し、これを整備用コンピュータ
28に表示した後、処理を終了する。
【0202】つまり、能動型エンジンマウント20等の
アクティブエンジンマウントにおいては、作動周波数帯
域内において構成部材の共振が現れないように製造する
のが通常であるが、製造上の不良等によって剛性不足等
が生じた場合にはその共振周波数域内の高周波数域に共
振が生じるから、この高周波数域の位相応答の変化率の
上昇を検出したとき、能動型エンジンマウント20の構
成部材の剛性低下が生じたと判定する。なお、前記高周
波数域は、予め設定した分離周波数fS よりも周波数の
高い領域であって、前記分離周波数fS は能動型エンジ
ンマウント20及び能動型エンジンマウント20が取り
付けられる図示しないセンターメンバ,サブフレーム等
の共振周波数よりも高く、且つ伝達関数Cの同定を行う
周波数(f1 〜fNf)のうちの上限周波数fNfよりも下
の周波数が設定され、例えば100〜120Hz程度に
設定される。
【0203】したがって、同定処理実行中に異常判定処
理が実行されたときに、同定信号の各周波数f1 〜fNf
毎に、位相応答P(fO )が算出され(ステップ39
1)、高周波数域における位相変化率dP/dfの最大
値が検出される(ステップ392)。能動型エンジンマ
ウント20の構成部材の剛性が低下している場合には、
図24に破線の○印で示すように、作動周波数帯域f1
〜fNfにおいて高周波側で位相応答の変化率が大きくな
り、その最大値dP/dfHMAXがしきい値dPH * より
も大きくなるから、ステップ393からステップ394
に移行して、構成部材の剛性が低下したと判定される。
【0204】一方、剛性が正常であれば、通常、作動周
波数帯域において構成部材の共振が現れないように製造
されているから、図24に実線の○印で示すように、高
周波側で位相応答の変化率は所定の割合となり、その最
大値dP/dfHMAXがしきい値dPH * よりも大きくな
らないから、ステップ393からステップ395に移行
して、構成部材の剛性は正常であると判定される。
【0205】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定処理実行時に異常検出
を行うことができ、上記第1の実施の形態と同等の作用
効果を得ることができる。
【0206】ここで、第9の実施の形態では、図5のス
テップ203〜205及び図23のステップ391の処
理が位相応答算出手段に対応し、図23のステップ39
2〜ステップ395の処理が位相を利用した異常部位推
定手段に対応している。
【0207】次に、本発明の第10の実施の形態を説明
する。上記第5の実施の形態では、センタメンバー或い
はサブフレーム等のエンジンマウント取り付け部材の異
常を、応答ゲインに基づいて検出するようにした場合に
ついて説明したが、この第10の実施の形態は、位相応
答に基づいて検出するようにしたものであって、上記第
5の実施の形態において前記異常判定処理が異なること
以外は同様であるので、同一部分の詳細な説明は省略す
る。
【0208】図25は、第10の実施の形態における異
常判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0209】すなわち、まず、ステップ401におい
て、同定信号の各周波数f1 〜fNf毎に、その周波数成
分をもとに位相応答P(fO )を算出し、次に、ステッ
プ402に移行して、予め設定したセンタメンバー或い
はサブフレーム等の能動型エンジンマウント20取り付
け部材の共振周波数域における、周波数の変化に対する
位相の変化割合を現す位相変化率dP(fO )/dfを
算出しその最大値dP/dfMMAXを検出する。次に、ス
テップ403に移行し、ステップ402で算出した位相
変化率の最大値dP/dfMMAXが、予め設定したしきい
値dPM * よりも大きいかどうか(dP/dfMMAX>d
M * )を判定する。
【0210】このステップ403でdP/dfMMAX>d
M * であるときにはステップ404に移行し、能動型
エンジンマウント20の取り付け部材の異常と判定し、
これを整備用コンピュータ28に表示した後、処理を終
了する。一方、dP/dfMM AX>dPM * でないときに
はステップ405に移行し、能動型エンジンマウント2
0の取り付け部材に異常はないと判定し、これを整備用
コンピュータ28に表示した後、処理を終了する。
【0211】つまり、能動型エンジンマウント20等の
アクティブエンジンマウントにおいては、システム伝達
特性にはエンジンマウント取り付け部材の共振特性が含
まれないように設計されているのが通常であるが、取り
付け不良等があると共振が発生するから、共振周波数域
(例えば、50〜100Hz程度)の位相応答の変化率
の上昇を検出したとき、取り付け異常が生じたと判定す
る。
【0212】したがって、同定処理実行中に異常判定処
理が実行されたときに、各周波数(f1 〜fNf毎に周波
数成分をもとに位相応答P(fO )が算出され(ステッ
プ401)、共振周波数域における位相変化率の最大値
dP/dfMMAXが算出される(ステップ402)。この
とき、センターメンバ或いはサブフレーム等の支持系に
取り付け不良等が生じている場合には、図26に破線の
○印で示すように、共振周波数域において位相応答の変
化率が大きくなるから、共振周波数域における位相変化
率の最大値dP/dfMMAXが大きくなり、しきい値dP
M * を越えるから、ステップ403からステップ404
に移行して、能動型エンジンマウント20の取り付け異
常が発生したと判定される。
【0213】一方、取り付けが正常であれば、作動周波
数帯域において共振が発生しないから、図26に実線の
○印で示すように、共振周波数域での位相応答の変化率
は所定の割合となり、位相変化率の最大値dP/df
MMAXはしきい値dPM * を越えないから、ステップ40
3からステップ405に移行して、取り付け異常は生じ
ていないと判定される。
【0214】したがって、この場合にも、上記第1の実
施の形態と同様に、出荷前の同定処理時に異常検出を行
うことができ、上記第1の実施の形態と同等の作用効果
を得ることができる。
【0215】ここで、第10の実施の形態では、図5の
ステップ203〜205及び図25のステップ401の
処理が位相応答算出手段に対応し、図25のステップ4
02〜ステップ405の処理が位相を利用した異常部位
推定手段に対応している。
【0216】なお、上記各実施の形態においては、各異
常判定処理を単独で行うようにした場合について説明し
たが、これに限らず、他の実施の形態における異常判定
処理をも共に実行するようにしてもよく、複数或いは全
ての異常判定処理を共に実行するようにしてもよい。
【0217】また、上記各実施の形態においては、異常
判定処理の結果に係わらず、伝達関数フィルタC^を更
新するようにしているが、異常判定処理において異常を
検出した場合には、伝達関数フィルタC^の更新を行わ
ず、正常時の伝達関数フィルタC^を保持するようにし
てもよい。
【0218】また、上記各実施の形態においては、フー
リエ変換を用いて周波数成分を求めるようにした場合に
ついて説明したが、これに限るものではなく、例えばフ
ィルタ処理等を行うようにしてもよい。
【0219】また、上記各実施の形態においては、本発
明における能動型振動制御装置をエンジン17から車体
18に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制
御装置に適用した場合について説明したが、本発明の対
象はこれに限定されるものではなく、エンジン17以外
で発生する振動を低減するための能動型振動制御装置で
あっても本発明は適用可能である。
【0220】また、残留振動を能動型センジンマウント
20に内蔵した荷重センサ64によって検出している
が、これに限定されるものではなく、例えば車室内の乗
員足元位置にフロア振動を検出する加速度センサを配設
し、その加速度センサの出力信号を残留振動信号eとし
てもよい。
【0221】また、例えば騒音源としてのエンジン17
から車室内に伝達される騒音を低減する能動型騒音制御
装置であってもよく、かかる能動型騒音制御装置とする
場合には、車室内に制御音を発生するためのラウドスピ
ーカと、車室内の残留騒音を検出するマイクロフォンと
を設け、上記各実施の形態と同様の演算処理によって得
られる駆動信号yに応じてラウドスピーカを駆動させる
と共に、マイクロフォンの出力を残留騒音信号eとして
適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数W i の更新
処理に用い、上記のように発散抑制処理を実行すれば、
上記各実施の形態と同様の作用効果を得ることができ
る。
【0222】また、上記各実施の形態においては、同定
処理と共に異常判定処理を行うようにした場合について
説明したが、これに限るものではなく、同定信号と同様
の異常判定のための信号を出力するようにすることによ
って、異常判定処理のみを単独で行うようにすることも
可能である。
【0223】また、本発明の適用対象は車両に限定され
るものではなく、エンジン17以外で発生する周期的な
振動や騒音を低減するための能動型振動制御装置,能動
型騒音制御装置や、非周期的な振動や騒音(ランダム・
ノイズ)を低減するための能動型振動制御装置,能動型
騒音制御装置であっても適用可能であり、適用対象に関
係なく上記各実施の形態と同様の作用効果を奏すること
ができる。例えば、工作機械からフロアや室内に伝達さ
れる振動を低減する装置等であっても、本発明は適用可
能である。
【0224】また、アクチュエータとして電磁アクチュ
エータを用いた場合について説明したが、これに限るも
のではなく、例えばピエゾ素子を用いたもの、ボイスコ
イル式のもの等を適用することも可能である。
【0225】また、上記各実施の形態では、駆動信号y
を生成するアルゴリズムとして同期式Filtered
−X LMSアルゴリズムを適用しているが、適用可能
なアルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例え
ば、通常のFiltered−X LMSアルゴリズム
等であってもよい。
【0226】さらに、上記各実施の形態では、流体式エ
ンジンマウントを用いた場合について説明したが、前記
第3及び第8の実施の形態を除く実施の形態において
は、ゴム式のエンジンマウントを適用することも可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す車両の概略構成図であ
る。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を平面視で示し
た図である。
【図3】図2のA−A矢視断面及びB−B矢視断面図で
ある。
【図4】振動低減処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図5】第1の実施の形態における同定処理の処理手順
の一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態における異常判定処理の処理
手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態の動作説明に供する説明図で
ある。
【図8】第2の実施の形態における異常判定処理の処理
手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の動作説明に供する説明図で
ある。
【図10】第3の実施の形態における異常判定処理の処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態の動作説明に供する説明図
である。
【図12】第4の実施の形態における異常判定処理の処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第4の実施の形態の動作説明に供する説明図
である。
【図14】第5の実施の形態における異常判定処理の処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】第5の実施の形態の動作説明に供する説明図
である。
【図16】第6の実施の形態における同定処理の処理手
順の一例を示すフローチャートである。
【図17】第6の実施の形態における異常判定処理の処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図18】第6の実施の形態の動作説明に供する説明図
である。
【図19】第7の実施の形態における異常判定処理の処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図20】第7の実施の形態の動作説明に供する説明図
である。
【図21】第8の実施の形態における異常判定処理の処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図22】第8の実施の形態の動作説明に供する説明図
である。
【図23】第9の実施の形態における異常判定処理の処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図24】第9の実施の形態の動作説明に供する説明図
である。
【図25】第10の実施の形態における異常判定処理の
処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図26】第10の実施の形態の動作説明に供する説明
図である。
【符号の説明】
17 エンジン(振動源) 18 車体 19 パルス信号生成器 20 能動型エンジンマウント(制御振動源) 25 コントローラ 28 整備用コンピュータ(異常部位表示手段) 52 電磁アクチュエータ 64 荷重センサ(残留振動検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G10K 11/16 G10K 11/16 J Fターム(参考) 3D035 CA34 CA35 CA38 3J048 AB07 BA18 CB27 DA01 EA01 EA36 5D061 FF01 GG10 5H004 GA09 GA27 GA28 GA40 GB12 HA12 HA20 HB09 HB11 HB15 JB30 KC12 KC44 LA13 LA17 MA11 MA47

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源又は振動源から発せられた騒音又
    は振動と、制御音源又は制御振動源から発せられた制御
    音又は制御振動とを干渉させることによって騒音又は振
    動の低減を図るようにした能動型騒音振動制御装置にお
    いて、 前記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音又は残留振
    動信号として出力する残留騒音又は残留振動検出手段
    と、 前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止している状
    態で正弦波状の異常検出用信号を順次その周波数を変え
    て前記制御音源又は制御振動源に供給する異常検出用信
    号発生手段と、 前記異常検出用信号に応じた制御音又は制御振動が前記
    制御音源又は制御振動源から発せられた場合の前記残留
    騒音又は残留振動信号を周波数成分に変換し周波数毎の
    応答ゲインを算出する応答ゲイン算出手段と、 当該応答ゲイン算出手段で算出した周波数毎の応答ゲイ
    ンに基づき異常部位を推定するゲインを利用した異常部
    位推定手段と、 当該ゲインを利用した異常部位推定手段での異常推定結
    果を表示する異常部位表示手段と、を備えることを特徴
    とする能動型騒音振動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記ゲインを利用した異常部位推定手段
    は、前記周波数毎の応答ゲイン全てが所定のしきい値よ
    りも小さいときに、異常部位は電気系統の断線であると
    推定するようになっていることを特徴とする請求項1記
    載の能動型騒音振動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記ゲインを利用した異常部位推定手段
    は、前記周波数毎の応答ゲインが所定の応答ゲインより
    も相似的に小さいときに、前記制御音源又は制御振動源
    と前記残留騒音又は残留振動検出手段との少なくとも何
    れか一方におけるゲイン異常であると推定するようにな
    っていることを特徴とする請求項1又は2記載の能動型
    騒音振動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記ゲインを利用した異常部位推定手段
    は、所定の周波数域における前記応答ゲインに基づいて
    異常部位を推定するようになっていることを特徴とする
    請求項1乃至3の何れかに記載の能動型騒音振動制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記ゲインを利用した異常部位推定手段
    は、作動周波数域内の低周波数域における前記応答ゲイ
    ンと前記作動周波数域内の高周波数域における前記応答
    ゲインとを比較し、前記低周波数域の応答ゲインに対す
    る前記高周波数域の応答ゲインのゲイン低下代が所定の
    しきい値よりも小さいときに、異常部位は前記制御音源
    又は制御振動源の構成部材の剛性不足であると推定する
    ようになっていることを特徴とする請求項4記載の能動
    型騒音振動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記ゲインを利用した異常部位推定手段
    は、前記制御音源又は制御振動源の取り付け部位の共振
    周波数を含む所定周波数域内における、周波数変化に対
    する応答ゲイン変化の割合を表すゲイン変化率を検出
    し、当該ゲイン変化率が所定のしきい値よりも大きいと
    きに、異常部位は前記取り付け部位であると推定するよ
    うになっていることを特徴とする請求項4又は5に記載
    の能動型騒音振動制御装置。
  7. 【請求項7】 前記請求項6に記載の能動型騒音振動制
    御装置が車両に適用され、前記振動源としてのエンジン
    から発せられた振動と前記制御振動源としてのエンジン
    マウントから発せられた制御振動とを干渉させることに
    よって振動の低減を図るようにした車両用能動型振動制
    御装置であって、前記所定周波数域は、50Hzから1
    00Hz程度であることを特徴とする車両用能動型振動
    制御装置。
  8. 【請求項8】 前記請求項4乃至6の何れかに記載の能
    動型騒音振動制御装置が車両に適用され、前記振動源と
    してのエンジンから発せられた振動と、前記制御振動源
    及び流体封入式防振装置を含んで構成されるエンジンマ
    ウントから発せられた制御振動とを干渉させることによ
    って振動の低減を図るようにした車両用能動型振動制御
    装置であって、前記ゲインを利用した異常部位推定手段
    は、前記応答ゲインが最大となるピーク周波数を検出
    し、当該ピーク周波数における応答ゲインと、当該ピー
    ク周波数の近傍の周波数における応答ゲインとの差が所
    定のしきい値よりも小さいときに、異常部位は前記流体
    封入式防振装置であると推定するようになっていること
    を特徴とする車両用能動型振動制御装置。
  9. 【請求項9】 騒音源又は振動源から発せられた騒音又
    は振動と、制御音源又は制御振動源から発せられた制御
    音又は制御振動とを干渉させることによって騒音又は振
    動の低減を図るようにした能動型騒音振動制御装置にお
    いて、 前記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音又は残留振
    動信号として出力する残留騒音又は残留振動検出手段
    と、 前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止している状
    態で正弦波状の異常検出用信号を順次その周波数を変え
    て前記制御音源又は制御振動源に供給する異常検出用信
    号発生手段と、 前記異常検出用信号に応じた制御音又は制御振動が前記
    制御音源又は制御振動源から発せられた場合の前記残留
    騒音又は残留振動信号を周波数成分に変換し周波数毎の
    位相応答を算出する位相応答算出手段と、 当該位相応答算出手段で算出した周波数毎の位相応答に
    基づき異常部位を推定する位相を利用した異常部位推定
    手段と、 当該位相を利用した異常部位推定手段での異常推定結果
    を表示する異常部位表示手段と、を備えること特徴とす
    る能動型騒音振動制御装置。
  10. 【請求項10】 前記位相を利用した異常部位推定手段
    は、作動周波数域内の高周波数域における、周波数変化
    に対する位相応答変化の割合を表す位相変化率を検出
    し、当該位相変化率が所定のしきい値よりも大きいとき
    に、異常部位は前記制御音源又は制御振動源の構成部材
    の剛性不足であると推定するようになっていることを特
    徴とする請求項9記載の能動型騒音振動制御装置。
  11. 【請求項11】 前記位相を利用した異常部位推定手段
    は、前記制御音源又は制御振動源の取り付け部位の共振
    周波数を含む所定周波数域内における、周波数変化に対
    する位相応答変化の割合を表す位相変化率を検出し、当
    該位相変化率が所定のしきい値よりも大きいときに、異
    常部位は前記取り付け部位であると推定するようになっ
    ていることを特徴とする請求項9又は10に記載の能動
    型騒音振動制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の能動型騒音振動制
    御装置が車両に適用され、前記振動源としてのエンジン
    から発せられた振動と、前記制御振動源としてのエンジ
    ンマウントから発せられた制御振動とを干渉させること
    によって振動の低減を図るようにした車両用能動型振動
    制御装置であって、前記所定周波数域は、50Hzから
    100Hz程度であることを特徴とする車両用能動型振
    動制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項9乃至11の何れかに記載の能
    動型騒音振動制御装置が車両に適用され、前記振動源と
    してのエンジンから発せられた振動と、前記制御振動源
    及び流体封入式防振装置を含んで構成されるエンジンマ
    ウントから発せられた制御振動とを干渉させることによ
    って振動の低減を図るようにした車両用能動型振動制御
    装置であって、前記位相を利用した異常部位推定手段
    は、作動周波数域内の低周波域における周波数変化に対
    する位相応答変化の割合を表す位相変化率が、所定のし
    きい値よりも小さいときに、異常部位は前記流体封入式
    防振装置であると推定するようになっていることを特徴
    とする車両能動型振動制御装置。
  14. 【請求項14】 騒音源又は振動源から発せられた騒音
    又は振動と、制御音源又は制御振動源から発せられた制
    御音又は制御振動とを干渉させることによって騒音又は
    振動の低減を図るようにした能動型騒音振動制御装置に
    おいて、 前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止している状
    態で異常検出用信号を前記制御音源又は制御振動源に供
    給する異常検出用信号発生手段と、 前記異常検出用信号に応じた制御音又は制御振動が前記
    制御音源又は制御振動源から発せられた場合の騒音又は
    振動の伝達系の時系列応答関数を検出する時系列応答検
    出手段と、 前記時系列応答関数に基づき異常部位を推定する時系列
    応答による異常部位推定手段と、 当該時系列応答による異常部位推定手段での異常推定結
    果を表示する異常部位表示手段と、を備えることを特徴
    とする能動型騒音振動制御装置。
  15. 【請求項15】 前記時系列応答による異常部位推定手
    段は、前記時系列応答関数に基づく応答波形が所定のし
    きい値よりも小さいときに、異常部位は電気系統の断線
    であると推定するようになっていることを特徴とする請
    求項14記載の能動型騒音振動制御装置。
  16. 【請求項16】 前記時系列応答による異常部位推定手
    段は、前記時系列応答関数に基づく応答波形が所定の応
    答波形よりも相似的に小さいときに、前記制御音源又は
    制御振動源と前記残留騒音又は前記残留振動検出手段と
    の少なくとも何れか一方におけるゲイン異常であると推
    定するようになっていることを特徴とする請求項14又
    は15に記載の能動型騒音振動制御装置。
  17. 【請求項17】 前記制御音源又は制御振動源と前記残
    留騒音又は残留振動検出手段との間の騒音又は振動の伝
    達系の伝達関数を同定する伝達関数同定手段を備え、前
    記ゲインによる異常部位推定手段、前記位相による異常
    部位推定手段又は前記時系列応答による異常部位推定手
    段は、前記伝達関数の同定中に、前記異常部位を推定す
    るようになっていることを特徴とする請求項1乃至16
    の何れかに記載の能動型騒音振動制御装置又は車両用能
    動型振動制御装置。
  18. 【請求項18】 騒音源又は振動源から発せられた騒音
    又は振動と、制御音源又は制御振動源から発せられた制
    御音又は制御振動とを干渉させることによって騒音又は
    振動の低減を図るようにした能動型騒音振動制御方法に
    おいて、 前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止している状
    態で正弦波状の異常検出用信号を順次その周波数を変え
    て前記制御音源又は制御振動源に供給し、前記異常検出
    用信号に応じた制御音又は制御振動が前記制御音源又は
    制御振動源から発せられた場合の前記干渉後の残留騒音
    又は残留振動信号を周波数成分に変換して周波数毎の応
    答ゲイン又は位相応答を算出し、当該周波数毎の応答ゲ
    イン又は位相応答に基づき、異常部位を推定するように
    したことを特徴とする能動型騒音振動制御方法。
  19. 【請求項19】 騒音源又は振動源から発せられた騒音
    又は振動と、制御音源又は制御振動源から発せられた制
    御音又は制御振動とを干渉させることによって騒音又は
    振動の低減を図るようにした能動型騒音振動制御方法に
    おいて、 前記騒音源又は振動源の騒音又は振動が停止している状
    態で異常検出用信号を前記制御音源又は制御振動源に供
    給し、前記異常検出用信号に応じた制御音又は制御振動
    が前記制御音源又は制御振動源から発せられた場合の騒
    音又は振動の伝達系の時系列応答関数を検出し、当該時
    系列応答関数に基づき、異常部位を推定するようにした
    ことを特徴とする能動型騒音振動制御方法。
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