JP3572444B2 - 能動型騒音振動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両エンジン等の騒音源又は振動源から車室や車体等に伝達される騒音や振動を、アクチュエータ等から発せられる制御音や制御振動と干渉させることにより低減するようになっている能動型騒音振動制御装置に関し、特に、制御音源又は制御振動源から発せられる制御音又は制御振動が周期的変動(うなり)状態に陥る可能性を低減できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の技術としては、例えば特開平5−40488号公報に開示されたものがある。即ち、かかる公報に開示された従来の能動型騒音制御装置にあっては、制御音源を駆動するための駆動信号を、騒音の発生状態を表す基準信号とフィルタ係数可変のディジタルフィルタとを用いて生成するようになっており、そのディジタルフィルタのフィルタ係数が周期的に変動する現象(うなり)を効果的に規制できるようにした点が、その大きな特徴である。
【0003】
これを、ディジタルフィルタが二つのフィルタ係数W、Wから構成された場合を例として具体的に説明すると、先ず、フィルタ係数W、Wのそれぞれから直流成分を除いたもの同士を掛け合わせ、その掛け合わせた結果からさらに直流成分を抽出し、その抽出された直流成分の絶対値が所定のしきい値を超えた場合にうなりが検出されたと判断し、そして、うなりを規制するための処理を実行する、という具合になっていた。
【0004】
そして、フィルタ係数が周期的に変動している状態が検出された場合には、例えば、ディジタルフィルタの更新式に含まれる係数のうち、フィルタ係数を小さくする(原点に近づける)作用のある抑制係数(例えば、発散抑制係数)を抑制作用が強くなる方向に変化させて、周期的変動を抑制するという対策を講じることができる。
【0005】
さらに、そのような周期的変動は、騒音や振動の周波数に依存した現象であることも多く、ある周波数帯域では周期的変動は生じるが、他の周波数帯域では周期的変動は生じない、ということがある。そこで、上記のような抑制係数を複数の周波数帯域毎に設けておき、周期的変動が検出された場合には、それが検出された時の騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の抑制係数だけを抑制作用が強くなる方向に変化させれば、周期的変動が生じていない周波数帯域における振動や騒音の低減作用をも低下させることが避けられるから、より望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等が鋭意研究したところによると、上記のような抑制係数を複数の周波数帯域毎に設けておき、それらを個別に変更する制御を実行すると、却って周期的変動を招いてしまい、利用者等に不快感を与える可能性があることが判った。
【0007】
即ち、例えばある周波数帯域Aの抑制係数が大きく(抑制作用が強く)、その周波数帯域Aと隣り合った他の周波数帯域Bの抑制係数が小さい(抑制作用が小さい)状況を考え、騒音や振動の周波数が、その周波数帯域A及びBを行き来したとすると、周波数帯域Aにあるときはフィルタ係数が小さくなろうとする作用が強く、逆に周波数帯域Bにあるときにはその作用が弱いから、騒音又は振動の周波数が周波数帯域A及びBを行き来するのに合わせて制御音や制御振動の振幅が周期的に変動してしまう、ということが考えられるのである。
【0008】
そして、例えば周期的変動状態を検出した場合には、それを抑制するために抑制係数を大きくするような処理が含まれている装置にあっては、上記のような騒音又は振動の周波数が周波数帯域A及びBを行き来するのに合わせて発生する周期的変動を検出し、抑制係数をさらに増大させてしまい、結局は周波数帯域Aの抑制係数と周波数帯域Bの抑制係数とが最大値にまで達してしまうのである。
【0009】
なお、周期的変動状態を検出して適宜対処する処理を有していなくても、例えば発散やその傾向を検出し、その結果に応じて周波数帯域毎に抑制係数を変更するようになっている装置にあっては、隣り合った周波数帯域の抑制係数の値が異なっている状況で、それら周波数帯域を騒音や振動の周波数が行き来するようになってしまうと、やはり周期的変動を招いてしまい、利用者等に不快感を与えてしまう可能性がある。
【0010】
本発明は、このような技術的課題に着目してなされたものであって、周期的変動状態に陥る可能性をより低減できる能動型騒音振動制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、適応アルゴリズムに従ってフィルタ係数が更新される適応ディジタルフィルタを用いて、騒音又は振動の低減処理を実行するとともに、前記フィルタ係数の更新式は、前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の増大を抑制する作用のある抑制係数を含んでおり、その抑制係数は前記騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に設定されていて、所定の条件が満足した場合には、前記騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の前記抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更するようになっている能動型騒音振動制御装置において、前記所定の条件が満足したことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数が前記作用が強くなる方向に変更された場合には、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更する抑制係数調整手段を設けた。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項2に係る発明は、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づき適応アルゴリズムに従って前記干渉後の騒音又は振動が低減するように前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する能動制御手段と、を備え、前記能動制御手段は、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、この適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を前記適応アルゴリズムに基づいた更新式に従って更新するフィルタ係数更新手段と、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、を含み、前記更新式には前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の増大を抑制する作用のある抑制係数が含まれるとともに、その抑制係数は前記騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に設定されていて、所定の条件が満足した場合には、前記騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の前記抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更するようになっている能動型騒音振動制御装置において、前記所定の条件が満足したことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数が前記作用が強くなる方向に変更された場合には、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更する抑制係数調整手段を設けた。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、上記請求項2に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記駆動信号若しくは前記残留騒音信号又は残留振動信号の周期的変動状態を検出する周期的変動状態検出手段を備え、前記所定の条件は、前記駆動信号若しくは前記残留騒音信号又は残留振動信号の周期的変動状態が検出されたこととした。
【0014】
そして、請求項4に係る発明は、上記請求項2に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、制御の発散又は発散傾向を検出する発散検出手段を備え、前記所定の条件は、制御の発散又は発散傾向が検出されたこととした。
また、請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記所定の条件が満足したことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数が前記作用が強くなる方向に変更された場合には、前記抑制係数調整手段は、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数を、その一の周波数帯域用の抑制係数と同じ値にするようにした。
【0015】
さらに、請求項6に係る発明は、上記請求項3に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記周期的変動状態が検出されたことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数が前記作用が強くなる方向に変更された場合であって、前記周期的変動状態検出手段が前記周期的変動状態であるか否かを判断している間に前記騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域に渡って変化しているときに、前記抑制係数調整手段は、それら複数の周波数帯域用のそれぞれの抑制係数を、それらのうちで最も前記作用が強い抑制係数の値に揃えるようにした。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項7に係る発明は、適応アルゴリズムに従ってフィルタ係数が更新される適応ディジタルフィルタを用いて、騒音又は振動の低減処理を実行するとともに、前記フィルタ係数の更新式は、前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の増大を抑制する作用のある抑制係数を含んでおり、その抑制係数は前記騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に設定されていて、所定の条件が満足した場合には、前記騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の前記抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更するようになっている能動型騒音振動制御装置において、前記騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域を行き来するときに、それら複数の周波数帯域のそれぞれの抑制係数の値を、それらのうちで最も前記作用が強い抑制係数の値に揃える抑制係数調整手段を設けた。
【0017】
また、上記目的を達成するために、請求項8に係る発明は、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づき適応アルゴリズムに従って前記干渉後の騒音又は振動が低減するように前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する能動制御手段と、を備え、前記能動制御手段は、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、この適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を前記適応アルゴリズムに基づいた更新式に従って更新するフィルタ係数更新手段と、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、を含み、前記更新式には前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の増大を抑制する作用のある抑制係数が含まれるとともに、その抑制係数は前記騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に設定されていて、所定の条件が満足した場合には、前記騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の前記抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更するようになっている能動型騒音振動制御装置において、前記騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域を行き来するときに、それら複数の周波数帯域のそれぞれの抑制係数の値を、それらのうちで最も前記作用が強い抑制係数の値に揃える抑制係数調整手段を設けた。
【0018】
また、請求項9に係る発明は、上記請求項8に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記駆動信号若しくは前記残留騒音信号又は残留振動信号の周期的変動状態を検出する周期的変動状態検出手段を備え、前記所定の条件は、前記駆動信号若しくは前記残留騒音信号又は残留振動信号の周期的変動状態が検出されたこととした。
【0019】
そして、請求項10に係る発明は、上記請求項8に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、制御の発散又は発散傾向を検出する発散検出手段を備え、前記所定の条件は、制御の発散又は発散傾向が検出されたこととした。
ここで、請求項1、2に係る発明にあっては、所定の条件が満足したことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数がフィルタ係数の増大を抑制する作用が強くなる方向に変更されると、それ以降は、騒音又は振動の周波数がその一の周波数帯域にあるときには、フィルタ係数が増大しようとすることが抑制され、駆動信号のレベルが相対的に低くなり、制御音や制御振動が相対的に小さくなる。
【0020】
その一方で、抑制係数調整手段が、一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数を、上記作用が強くなる方向に変更する。このため、それ以降は、騒音又は振動の周波数が当該他の周波数帯域にあるときにも、フィルタ係数が増大しようとすることが抑制され、駆動信号のレベルが相対的に低くなり、制御音や制御振動が相対的に小さくなる。
【0021】
この結果、騒音や振動の周波数が、それら一の周波数帯域と他の周波数帯域との間で行き来したとしても、制御音や制御振動が周期的に変動する状態になり難い。特に、一の周波数帯域用の抑制係数が上記方向に変更されているということは、その一の周波数帯域近辺の制御が不安定になっていることが多いから、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数を上記のように強制的に変更することにより、うなり状態を比較的高い確率で回避できるのである。
【0022】
なお、他の周波数帯域用の抑制係数を上記作用が強くなる方向に変更する具体的な方法としては、例えば、請求項5に係る発明のように抑制係数の値を一致させるような方法でも良いし、或いは、他の周波数帯域用の抑制係数を一の周波数帯域用の抑制係数に対して一定割合の関係にする(例えば、前者を後者の50%にする)というような方法であってもよい。
【0023】
請求項3に係る発明にあっては、周期的変動状態検出手段によって周期的変動状態が検出されると、そのときの騒音又は振動の周波数が含まれる周波数帯域用の抑制係数が上記作用が強くなる方向に変更され、また、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数も同じ方向に変更される。このため、周期的変動が生じたような比較的不安定な周波数帯域近傍において周期的変動を助長してしまうような事態が、比較的高い確率で回避される。
【0024】
請求項4に係る発明にあっては、発散検出手段によって制御の発散又は発散傾向が検出されると、そのときの騒音又は振動の周波数が含まれる周波数帯域用の抑制係数が上記作用が強くなる方向に変更され、また、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数も同じ方向に変更される。このため、制御の発散が生じるような比較的不安定な周波数帯域近傍において周期的変動をも招いてしまうような事態が、比較的高い確率で回避される。
【0025】
請求項6に係る発明にあっては、周期的変動状態検出手段が周期的変動状態であるか否かを判断している間に騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域に渡って変化しているときには、それら複数の周波数帯域のそれぞれの抑制係数が一致していなければ周期的変動が発生し易いと考えて、一の周波数帯域用の抑制係数が変更されている場合には、それら複数の周波数帯域用の抑制係数の値を揃えるから、周期的変動を招く可能性を低減できる。
【0026】
請求項7、8に係る発明にあっては、騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域を行き来するとき、より具体的には騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域を短い周期で行き来するときには、それら複数の周波数帯域のそれぞれの抑制係数が一致していなければ周期的変動が発生し易いと考えて、それら複数の周波数帯域用の抑制係数の値を揃えるから、周期的変動を招く可能性を低減できる。
【0027】
請求項9に係る発明にあっては、周期的変動状態検出手段によって周期的変動状態が検出されると、そのときの騒音又は振動の周波数が含まれる周波数帯域用の抑制係数が上記作用が強くなる方向に変更されるが、騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域を行き来するときには、抑制係数調整手段が、それら複数の周波数帯域用の抑制係数を揃える。このため、周期的変動が生じたような比較的不安定な周波数帯域近傍において周期的変動を助長してしまうような事態が、比較的高い確率で回避される。
【0028】
請求項10に係る発明にあっては、発散検出手段によって制御の発散又はその傾向が検出されると、そのときの騒音又は振動の周波数が含まれる周波数帯域用の抑制係数が上記作用が強くなる方向に変更されるが、騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域を行き来するときには、抑制係数調整手段が、それら複数の周波数帯域用の抑制係数を揃える。このため、制御の発散が生じるような比較的不安定な周波数帯域近傍において周期的変動をも招いてしまうような事態が、比較的高い確率で回避される。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に抑制係数を設け、それら抑制係数を所定の条件を満足するか否かに応じて個別に変更する一方で、抑制係数調整手段を設けたため、制御音や制御振動が周期的に変動してしまう可能性を低減できるという効果がある。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図6は本発明の一実施の形態を示す図であって、図1は本発明に係る能動型騒音振動制御装置の一形態である能動型振動制御装置を適用した車両の概略側面図である。
【0031】
先ず、構成を説明すると、横置きに搭載したエンジン17が、車体前後方向の後方に配置した能動型エンジンマウント20を介して、サスペンションメンバ等から構成される車体18に支持されている。なお、実際には、エンジン17及び車体18間には、能動型エンジンマウント20の他にエンジン17及び車体18間の相対変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジンマウントも介在している。受動的なエンジンマウントとしては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常のエンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウントインシュレータ等が適用できる。
【0032】
図2は、エンジン17に固定したブラケット(図示せず)を介して連結する能動型エンジンマウント20の上部構造を平面視で示すものであり、エンジン側連結部材30から上方に向けて突出している2本の連結ボルト30aを、上述したブラケットの挿通孔に下側から挿通し、ナットを螺合することによりエンジン17に上端部が固定される。また、符号60はリバウンド規制部材であり、このリバウンド規制部材60は、2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に対して直交し、エンジン側連結部材30の上方をアーチ状に延在しながら装置ケース43に固定されており、エンジン側連結部材30の上面に固定したゴム製の弾性体からなるリバウンドストッパ31の上方に位置している。
【0033】
図3は、図2の矢視断面図で示す能動型エンジンマウント20の内部構造を示すものであり、図2の2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に沿うA−A矢視断面を、図3の軸心(以下、マウント軸と称する)Pを境界として右側に示し、図2の2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に対して直交する方向のB−B矢視断面を、図3のマウント軸Pを境界として右側に示している。
【0034】
この能動型エンジンマウント20は、装置ケース43に外筒34、中間筒36、オリフィス構成部材37、支持弾性体32等のマウント部品を内蔵し、これらマウント部品の下部に、流体室84の隔壁の一部を形成しながら弾性支持された可動部材78を流体室84の容積が変化する方向に変位させる電磁アクチュエータ52と、図示しない車体メンバの振動状況を検出する荷重センサ64とを内蔵した装置であり、より具体的に説明していくと、前述したエンジン側連結部材30は、下端周縁部30gが丸みを付けて形成されていると共に、マウント軸Pに沿う位置に第1孔30cが形成されている。また、このエンジン連結部材30に下側から嵌入されて上方を向いている連結ボルト30aは、その頭部30dがエンジン側連結部材30の下面から突出している。ここで、その頭部30dの外周縁部は、丸みが付けられて形成されている。
【0035】
また、エンジン側連結部材30の下面には、断面逆台形状の中空筒体30bが固定されている。この中空筒体30bには、連結ボルト30aに近接する位置に第2孔30eが形成されていると共に、マウント軸Pに沿う下面に第3孔30fが形成されている。なお、この中空筒体30bの連結ボルト30aから離間している位置には、孔を形成していない。
【0036】
そして、前記エンジン側連結部材30の下面側には、中空筒体30bの内部及びエンジン側連結部材30の下部側を覆うように、ゴム製の支持弾性体32が加硫接着により固定されている。
すなわち、この支持弾性体32は、エンジン側連結部材30側から下方に向けて拡径した形状のゴム製の弾性体であって、内面に断面山形状の空洞部32aを形成しているが、連結ボルト30aから離れている部分の支持弾性体32の外周面は、図3の左側に示すように、エンジン側連結部材30の外周部を覆いながらリバウンドストッパ31に連続している。一方、連結ボルト30aに近接している支持弾性体32は、図3の右側に示すように、連結ボルト30aの頭部30dの全域を覆う被覆部32bが形成されていると共に、頭部30dの下方位置の外周を、内側に大きく凹んだ形状としている(以下、符号32cで示す凹み外周部と称する)。そして、前述した空洞部32aを形成しながら前記凹み外周部32cに対向している支持弾性体32の内面も、内側に大きく膨らんだ形状としている(以下、符号32dで示す膨らみ内周部と称する)。そして、連結ボルト30aに近接している部分の支持弾性体32の肉厚は、凹み外周部32cに対向して膨らみ内周部32dを設けたことにより、連結ボルト30aから離れている部分の肉厚と略同一に設定している。
【0037】
そして、薄肉形状とした支持弾性体32の下端部は、マウント軸Pが中空筒体30bと同軸に振動体支持方向を向く中間筒体36の内周面に加硫接着により結合している。
中間筒体36は、同一外周径とした上端筒部36a及び下端筒部36bの間に小径筒部36cを連続して形成した部材であり、外周に環状凹部を設けている。また、図示しないが、小径筒部36cには開口部が形成されており、この開口部を介して中間筒体36の内側及び外側が連通している。
【0038】
中間筒体36の外側には外筒34が嵌合しており、この外筒34は内周径を中間筒体36の上端筒部36a及び下端筒部36bの外周径と同一寸法とし、軸方向の長さを中間筒体36と同一寸法に設定した円筒部材である。また、この外筒34には開口部34aが形成されており、この開口部34aの開口縁部にゴム製の薄膜弾性体からなるダイアフラム42の外周が結合して開口部34aを閉塞しつつ、外筒34の内側に向けて膨出している。
【0039】
そして、上記構成の外筒34を、環状凹部を囲むように中間筒体36に外嵌すると、外筒34及び中間筒体36間の周方向に環状空間が画成され、その環状空間にダイアフラム42が膨出した状態で配設される。そして、中間筒体36の内側に、筒状のオリフィス構成部材37が嵌合している。
このオリフィス構成部材37は、中間筒体36の小径筒部36cより小径に形成した最小径筒部37aを備え、その最小径筒部37aの上下端部に径方向外方に向けて上部環状部37b及び下部環状部37cが形成されており、これら最小径筒部37a、上部及び下部環状部37b、37cで囲んだ位置と中間筒体36との間に環状空間が設けられている。また、最小径筒部37aの一部に第2開口部37dが形成されている。ここで、上部環状部37bは、支持弾性体32の下方に位置しているが、図2の右側に示すように、連結ボルト30aに近接している支持弾性体32の下方に位置している上部環状部37bは肉厚を薄く形成して凹みを設けており、支持弾性体32の膨らみ内周部32dから離れた位置で対向している。
【0040】
また、装置ケース43は、その上端部に上端筒部36aの外周径より小径の円形開口部を有する上端かしめ部43aが形成されていると共に、この上端かしめ部43aと連続するケース本体の形状を、内周径が外筒34の外周径と同一寸法で下端開口部まで連続する円筒形状(下端開口部を図2の破線で示した形状)とした部材であり、全てのマウント部品の組み込みが完了した後に下端開口部を径方向内方に向けてかしめていくことにより、図2の実線で示すかしめ部が形成される。
【0041】
そして、支持弾性体32、中間筒体36、オリフィス構成部材37及びダイアフラム42を一体化した外筒34を装置ケース43の下端開口部から内部に嵌め込んでいき、上端かしめ部43aの下面に外筒34及び中間筒体36の上端部を当接させると、それらが装置ケース43内の上部に配設される。この際、装置ケース43の内周面とダイヤフラム42とで囲まれた部分に空気室42cが画成されるが、この空気室42cを臨む位置に空気孔43aが形成されており、この空気孔43aを介して空気室42cと大気が連通している。
【0042】
装置ケース43内の下部には円筒状のスペーサ70が嵌め込まれており、このスペーサ70内の上部に可動部材78が配置されていると共に、スペーサ70内の下部に電磁アクチュエータ52が配置されている。前記スペーサ70は、円筒状の上部筒体70aと、円筒状の下部筒体70bと、これら筒体の上下端部間に加硫接着したゴム製の薄膜弾性体からなる略円筒状のダイアフラム70cとで構成されている。
【0043】
前記電磁アクチュエータ52は、外観円筒形のヨーク52aと、ヨーク52aの上端面側に配設した円環状の励磁コイル52bと、ヨーク52aの上面中央部に磁極を上下方向に向けて固定した永久磁石52cとで構成されている。また、前記ヨーク52aは、円環状の第1ヨーク部材53aと、中央円筒部に永久磁石52cを固定した第2ヨーク部材53bとで構成されている。
【0044】
そして、上部及び下部筒体70a、70b間のダイアフラム70cは、ヨーク52aの外周に形成した凹部52dに向かって膨出している。
また、ヨーク52aの下面と、車体側連結ボルト60を備えた蓋部材62との間には、振動低減制御に必要な残留振動を検出するために、荷重センサ64が介装されている。荷重センサ64としては、圧電素子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能であり、このセンサの検出結果は、図1に示すように、残留振動信号eとしてコントローラ25に供給されるようになっている。
【0045】
一方、前記電磁アクチュエータ52の上方には、シール部材固定用のシールリング72と、後述する板ばね82の外周部を下側から自由端支持する支持リング74と、電磁アクチュエータ52の永久磁石52c及び可動部材78間のギャップHを設定するギャップ保持リング76とが配置されている。これらシールリング72、支持リング74及びギャップ保持リング76の外周径は、前述したスペーサ70の上部筒体70aの内周径と同一寸法に設定されており、ヨーク52aから上方に突出している上部筒体70a内にシールリング72、支持リング74及びギャップ保持リング76の全てが内嵌されている。そして、これらシールリング72、支持リング74及びギャップ保持リング76の内側には、上下方向に変位可能となるように可動部材78が配置されている。
【0046】
この可動部材78は、外観円盤状の隔壁形成部材78Aと、この隔壁形成部材78Aより大径円盤状に形成した磁路形成部材78Bとで構成した部材であって、電磁アクチュエータ52に対して遠い方に位置する隔壁形成部材78Aの軸心にボルト孔80aを形成し、電磁アクチュエータ52に近い磁路形成部材78Bを貫通した可動部材用ボルト80がボルト孔80aに螺合することにより、隔壁形成部材78A及び磁路形成部材78Bを一体に連結した構造となっている。
【0047】
隔壁形成部材78A及び磁路形成部材78B間には、リング状に連続したくびれ部79が画成されているが、このくびれ部79に可動部材78を弾性支持するための板ばね82が収容されている。つまり、板ばね82は、中央部に孔部を形成した円盤形状の部材であり、この板ばね82の内周部を隔壁形成部材78Aの裏面中央部の下側から自由端支持し、板ばね82の外周部を支持リング74のばね支持部74aが下側から自由端支持しており、これにより可動部材78が装置ケース43に板ばね82を介して弾性支持されている。
【0048】
前記隔壁形成部材78Aは、流体室84に面している隔壁部80cの肉厚を薄くし、隔壁部80cの外周から上方に突出する環状のリブ80bを形成した部材である。そして、隔壁形成部材78Aの上面と、支持弾性体32の下面と、オリフィス構成部材37の内周面とで流体室84が形成され、この流体室84内に流体が封入される。
【0049】
また、流体室84から板ばね82を収容しているくびれ部79側への流体の漏洩を防止するため、隔壁形成部材78Aの外周とシールリング72の内周との間には、ゴム状弾性体からなるリング形状のシール部材86が固定されており、このシール部材86の弾性変形によって、シールリング72や装置ケース43に対する可動部材78の上下方向への相対変位を許容している。
【0050】
次に、本実施形態の能動型エンジンマウント20の振動入力減衰作用について簡潔に説明する。本実施形態の能動型エンジンマウント20は、支持弾性体32の空洞部32aとオリフィス構成部材37の軸中央空間とが連通し、オリフィス構成部材37の軸中央空間及びオリフィス構成部材37と中間筒体36との間の環状空間が、第2開口部37dを介して連通し、前記環状空間及びダイアフラム42が膨出している空間が、中間筒体36に形成した開口部を介して連通しており、これら支持弾性体32の空洞部32aからダイアフラム42が膨出している空間までの連通路内に、エチレングリコール等の流体が封入されている。
【0051】
そして、支持弾性体32の空洞部32aからオリフィス構成部材37と中間筒体36との間の環状空間までの連通路を主流体室84とすると、中間筒体36に形成した開口部の近傍をオリフィスとし、この開口部に対向しながらダイアフラム42に囲まれている領域を副流体室とした流体共振系が形成されている。この流体共振系の特性、即ち、オリフィス内の流体の質量と、支持弾性体32の拡張方向ばね、ダイアフラム42の拡張方向ばねで決まる特性は、車両停止中のアイドル振動の発生時、つまり20〜30Hzでエンジンマウント20A、20Bが加振された場合に高動ばね定数、高減衰力を示すように調整されている。
【0052】
一方、電磁アクチュエータ52の励磁コイル52bは、コントローラ25から例えばハーネスを通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の電磁力を発生するようになっている。コントローラ25は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ、ROM,RAM等の記憶媒体等を含んで構成され、エンジン17で発生する振動を低減できる能動的な支持力が能動型エンジンマウント20に発生するように、能動型エンジンマウント20に対する駆動信号yを生成し出力するようになっている。
【0053】
また、前述したように能動型エンジンマウント20には荷重センサ64が内蔵されており、車体18の振動状況を荷重の形で検出して残留振動信号eとして出力し、その残留振動信号eが干渉後における振動を表す信号として例えばハーネスを通じてコントローラ25に供給されている。
ここで、エンジン17で発生するアイドル振動やこもり音振動は、例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2次成分のエンジン振動が車体18に伝達されることが主な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出力すれば、車体側振動の低減が可能となる。そこで、本実施の形態では、エンジン17のクランク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クランク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして出力するパルス信号生成器19を設けていて、その基準信号xが、コントローラ25に供給されている。
【0054】
そして、コントローラ25は、供給される残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリズムの一つである同期式Filtered−X LMSアルゴリズム(以下、SFXアルゴリズムと称す。)を実行することにより、能動型エンジンマウント20に対する駆動信号yを演算し、その駆動信号yを能動型エンジンマウント20に出力するようになっている。
【0055】
具体的には、コントローラ25は、フィルタ係数W(i=0,1,2,……,I−1:Iはタップ数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wを順番に駆動信号yとして出力する一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wを適宜更新する処理を実行するようになっている。
【0056】
ただし、この実施の形態では、SFXアルゴリズムにおける評価関数として、下記の(1)式を用いている。
Jm={e(n)}+β{y(n)} ……(1)
つまり、LMSアルゴリズムにあっては、評価関数Jmが小さくなる方向にフィルタ係数Wが更新されるのであるから、上記(1)式の右辺の内容からも明らかなように、フィルタ係数Wは、残留振動信号eの自乗値が小さくなると共に、駆動信号yの自乗値をβ倍した値が小さくなるように、逐次更新されることになる。そして、βは発散抑制係数と称される係数であって、この発散抑制係数βが大きくなる程、駆動信号yは小さくなる傾向となる。つまり、発散抑制係数βには制御の発散を抑制する作用がある。
【0057】
そして、収束係数をαとし、上記(1)式で表される評価関数Jmに基づいてフィルタ係数Wの更新式を求めると、下記の(2)式のようになる。
(n+1)=W(n)+2αRe(n)−2βαy(n)……(2)
そこで、この(2)式中の「2α」を新たな収束係数αとし、「2βα」を新たな発散抑制係数βとすれば、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wの更新式は下記の(3)式のようになる。
【0058】
(n+1)=W(n)+αRe(n)−βy(n)……(3)
ここで、(n),(n+1)が付く項は、サンプリング時刻n,n+1,における値であることを表している。また、更新用基準信号Rは、理論的には、基準信号xを、能動型エンジンマウント20の電磁アクチュエータ52及び荷重センサ64間の伝達関数Cをモデル化した伝達関数フィルタC^でフィルタ処理をした値であるが、基準信号xの大きさは“1”であるから、伝達関数フィルタC^のインパルス応答を基準信号xに同期して次々と生成した場合のそれらインパルス応答波形のサンプリング時刻nにおける和に一致する。
【0059】
また、理論的には、基準信号xを適応ディジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるため、フィルタ係数Wを順番に駆動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ結果になる。
さらに、コントローラ25には、エンジン30に付随した自動変速機28からそのシフト位置を表すシフト位置検出信号Sと、エンジン30の回転数を検出するエンジン回転数センサ29からエンジン回転数検出信号Nとが供給されるようになっている。
【0060】
そして、コントローラ25は、上記のような適応ディジタルフィルタWを用いた振動低減処理と実質的に並列に、駆動信号yが周期的に変動する状態を検出する処理(周期的変動状態検出処理)と、それが検出された場合にはその周期的変動状態を抑制するための処理(周期的変動状態抑制処理)とを実行するようになっている。
【0061】
即ち、周期的変動状態検出処理では、駆動信号yの振幅Mが求められるようになっており、その振幅Mの変化幅に基づいて、駆動信号yが周期的に変動している状態であるか否かが判断されるようになっている。
なお、本実施の形態では、同期式Filtered−X LMSアルゴリズムを採用していることから、駆動信号yの振幅Mは、基準信号xの一周期内に出力されるフィルタ係数Wの最大値と最小値との差を1/2にすることにより求めることができる。
【0062】
また、周期的変動状態検出処理の実行中には、シフト位置検出信号Sと、エンジン回転数検出信号Nとが監視されるようになっていて、シフト位置検出信号Sに基づいて自動変速機28のシフト位置が変化したことが確認された場合、並びに、エンジン回転数検出信号Nに基づいてエンジン回転数が大きく(例えば、±100rpm以上)変動したことが確認された場合には、周期的変動状態検出処理を途中で中止し、処理を最初から再実行するようになっている。
【0063】
さらに、周期的変動状態検出処理の実行中に、上記のように単調増加が検出された場合には、その単調増加が検出された時点からタイマが時間を計測し、その計測時間Tが所定時間Tth2 (例えば、2秒)に達しても、単調減少が検出されていない場合には、周期的変動状態検出処理を途中で中止し、処理を最初から再実行するようになっている。
【0064】
そして、周期的変動状態検出処理において、駆動信号yの周期的変動状態が検出された場合には、周期的変動状態抑制処理として、そのときのエンジン17の回転数N(振動の周波数に相当)を含む回転数帯域に対応する発散抑制係数βを大きくする処理が実行されるようになっている。
即ち、本実施の形態では、エンジン17の回転数Nを複数K個の帯域に分けていて、それらK個の帯域のそれぞれに対応して、段階的に値が可変である複数の発散抑制係数β(k=1、2、…、K)を備えている。そして、上記(3)式に従ってフィルタ係数Wを更新する際には、そのときのエンジン回転数Nが含まれる帯域用の発散抑制係数βを用いるようになっているとともに、上記周期的変動状態検出処理によって周期的変動状態が検出された場合には、そのときのエンジン回転数Nが含まれる回転数帯域用の発散抑制係数βの値を一段階増大させるようになっている。
【0065】
さらに、本実施の形態では、上記周期的変動状態検出処理の実行中にエンジン回転数Nが複数の回転数帯域に渡って変化していることが確認された場合には、それら複数の回転数帯域のそれぞれに対応する各発散抑制係数βの値を、それら発散抑制係数βのうちで最も大きな値に揃えるようになっている。
次に、本実施の形態の動作を説明する。
【0066】
イグニッションスイッチがオンとなって電源が供給されるようになると、コントローラ25は、所定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ52に駆動信号yを出力し、能動型エンジンマウント20に振動を低減し得る能動的な支持力を発生させるようになる。
そして、能動型エンジンマウント20に対する駆動信号yは、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wであり、適応ディジタルフィルタWは、能動型エンジンマウント20に加わる荷重である残留振動信号eに基づき上記(3)式に従って更新されるようになっているため、制御を開始してからある程度の時間が経過してフィルタ係数Wが最適値に収束若しくは最適値に十分近づけば、エンジン17側から能動型エンジンマウント20を通じて車体18側に伝達される振動が、その能動型エンジンマウント20で発生する能動的な支持力によって打ち消されるようなり、その能動型エンジンマウント20配設位置近傍の車体18側の振動レベルの低減が図られる。
【0067】
以上は車両走行時等に実行される振動低減処理の動作である。
一方、コントローラ25内では、図4に示すような処理が振動低減処理と実質的に並列に実行され、先ず、そのステップ101において、シフト位置検出信号S及びエンジン回転数信号Nを読み込み、次いでステップ102に移行し、シフト位置検出信号Sから判るシフト位置を基準シフト位置Sとして記憶し、エンジン回転数信号Nから判るエンジン回転数を基準エンジン回転数Nとして記憶する。
【0068】
次いで、ステップ103に移行し、そのときのエンジン回転数に基づき、そのエンジン回転数が含まれる回転数帯域を判断し、その判断された回転数帯域を記憶するために、回転数帯域を変数としたテーブルに情報を書き込むようになっている。なお、かかるテーブルの内容は、後述するようにこの図4の処理の終了時にリセットされるようになっており、書き込む情報はその回転数帯域を通過したか否かであるから1ビットで済む。
【0069】
次いで、ステップ104に移行し、駆動信号yの振幅Mを演算し、そして、ステップ105に移行し、最新のシフト位置検出信号S及びエンジン回転数信号Nを読み込み、次いでステップ106に移行して、ステップ105で読み込んだ各信号から求められる最新のシフト位置及びエンジン回転数と、ステップ102で記憶した基準シフト位置S及び基準エンジン回転数Nとを比較し、シフト位置及びエンジン回転数の少なくとも一方が、今回のこの図4の処理を開始した時点から変化しているか否かが判定される。なお、ステップ106の判断処理では、エンジン回転数に関しては厳密な一致を判断するのではなく、例えば100rpm程度の変化の場合にはエンジン回転数は変化していないと判断される。
【0070】
そして、ステップ106の判断が「YES」の場合には、ステップ107に移行し、この図4の処理で用いられるフラグFinc 、Fdec 、テーブル内の情報、最大値Mymax、最小値Myminのそれぞれをリセットしてから、今回のこの図4の処理を終了する。なお、フラグFinc 、Fdec 、最大値Mymaxは0にリセットされ、最小値Myminは振幅Mとして比較的大きな値にリセットされ、テーブルの情報は全てクリアされるようになっている。ステップ106の処理を実行する理由は、シフト位置及びエンジン回転数の少なくとも一方が変化している状況でステップ108以降の処理を実行してしまうと、駆動信号yの周期的変動を誤検出してしまう可能性が高くなるから、それを避けるためである。
【0071】
ステップ106の判定が「NO」の場合には、ステップ108に移行し、ステップ105で読み込んだエンジン回転数Nが含まれる回転数帯域を記憶するために、上述したテーブルに情報を書き込む。なお、このステップ105で読み込んだ最新のエンジン回転数Nを含む回転数帯域が、ステップ102で読み込んだ過去のエンジン回転数Nを含む回転数帯域や、或いは、ステップ104以降の処理を繰り返し実行した後では前回以前のステップ105で読み込んだ過去のエンジン回転数Nを含む回転数帯域と同じ場合には、テーブルには新たな情報は書き込まれない。
【0072】
次いで、ステップ109に移行し、フラグFinc が1にセットされているか否かを判定し、この判定が「NO」の場合にはステップ110に移行して、フラグFdec が1にセットされているか否かが判定される。フラグFinc は、後述するように、駆動信号yの振幅Mが、最小値Myminから所定のしきい値Mth2 を超えて増加したことが検出された場合に1にセットされるフラグであり、フラグFdec は、後述するように、駆動信号yの振幅Mが、最大値Mymaxから所定のしきい値Mth1 を超えて減少したことが検出された場合に1にセットされるフラグである。
【0073】
従って、今回の図4の処理においてステップ109、110の処理を最初に実行する際には、それらステップ109、110の判定はいずれも「NO」となるから、ステップ111に移行する。
そして、ステップ111では、最新の振幅Mと一つ前に求めた振幅My1とを比較し、振幅Mが一つ前の状態から増加しているか否かを判定する。ここで、振幅Mが増加していると判定された場合には、ステップ112に移行し、最新の振幅Mが、最大値Mymaxよりも大きいか否かを判定する。今回の図4の処理においてステップ112を最初に実行する際には、Mymax=0であるから、ステップ112の判定は「YES」となり、ステップ113に移行する。ステップ113では、最大値Mymaxに現在の振幅Mを代入し、次いでステップ114に移行し、タイマTをクリアスタートさせる。タイマTは、最大値Mymaxを検出した時点からの経過時間を計測するためのタイマであって、ステップ113が実行される度にクリアスタートされる。
【0074】
次いで、ステップ115に移行する。なお、ステップ112の判定が「NO」の場合には、ステップ112から直接ステップ115に移行する。そして、ステップ115では、現在の振幅Mと、その時点で記憶している最小値Myminとの差(M−Mymin)が、所定のしきい値Mth2 (>0)を超えているか否かを判定する。今回の図4の処理においてステップ115を最初に実行する際には、最小値Myminは比較的大きな値に設定されているから、ステップ115の判定は「NO」となり、ステップ104に戻る。しかし、処理が繰り返し実行され、ステップ115の判定が「YES」となると、ステップ116に移行して、フラグFinc を1にセットする。
【0075】
一方、ステップ111の判定が「NO」の場合、つまり振幅Mが減少していると判定された場合には、ステップ117に移行し、最新の振幅Mが、最小値Myminよりも小さいか否かを判定する。今回の図4の処理においてステップ117を最初に実行する際には、最小値Myminは比較的大きな値に設定されているから、ステップ117の判定は「YES」となり、ステップ118に移行し、最小値Myminに現在の振幅Mを代入し、次いでステップ119に移行し、タイマTをクリアスタートさせる。タイマTは、最大値Myminを検出した時点からの経過時間を計測するためのタイマであって、ステップ118が実行される度にクリアスタートされる。
【0076】
次いで、ステップ120に移行する。なお、ステップ117の判定が「NO」の場合には、ステップ117から直接ステップ120に移行する。そして、ステップ120では、その時点で記憶している最大値Mymaxと、現在の振幅Mとの差(Mymax−M)が、所定のしきい値Mth1 (>0)を超えているか否かを判定する。今回の図4の処理においてステップ120を最初に実行する際には、最大値Mymaxは0に設定されているから、ステップ120の判定は「NO」となり、ステップ104に戻る。しかし、処理が繰り返し実行され、ステップ120の判定が「YES」となると、ステップ121に移行して、フラグFdec を1にセットする。
【0077】
ステップ115及び120の一方の判定が「YES」となるまでは、ステップ109及び110の判定はいずれも「NO」のままであるから、ステップ111以降の処理が繰り返し実行される。また、この図4の処理を実行中にシフト位置及びエンジン回転数の少なくとも一方が変化した場合には、ステップ106の判定が「YES」となってステップ107に移行するため、その時点で今回の図4の処理が終了する。
【0078】
しかし、シフト位置やエンジン回転数が変化することなく、振幅Mのしきい値Mth1 を超えての減少が検出される(ステップ120の判定が「YES」となる)、或いは、振幅Mのしきい値Mth2 を超えての増加が検出される(ステップ115の判定が「YES」となる)と、ステップ109又はステップ110の判定が「YES」となる。
【0079】
そして、ステップ109の判定が「YES」(Finc =1)の場合は、駆動信号yの振幅Mの大幅な増加が検出された直後であるから、駆動信号yの周期的変動状態を判断するために次は振幅Mの大幅な減少を確認するための処理を実行するべく、ステップ122に移行する。
ステップ122では、振幅Mと最大値Mymaxとを比較し、振幅Mの増加傾向が終了したか否かを判断する。このステップ122の判定が「YES」の場合には、ステップ115において振幅Mの大幅な増加は確認されたものの、それ以降も振幅Mは増加していると判断できるから、ステップ123に移行し、最大値Mymaxを更新する。そして、ステップ124に移行し、タイマTの値が所定時間Tth3 を超えているか否かを判定する。タイマTは、最小値Tyminが更新される度にクリアスタートされるタイマであるから、そのとき記憶している最小値Tyminが検出された時点からの経過時間を表している。そして、その経過時間が比較的長い場合には、駆動信号yの周期的変動状態を検出したとしても誤検出の可能性が高い。そこで、ステップ124の判定が「YES」の場合には、ステップ107に移行し、今回の図4の処理を強制的に終了する。ステップ124の判定が「NO」の場合には、ステップ104に戻る。
【0080】
一方、ステップ122の判定が「NO」の場合には、ステップ115において振幅Mの大幅な増加が確認された後に、振幅Mが減少に転じたと判断できるから、その減少の幅が周期的変動状態に相当する大幅なものであるか否かを判断するために、ステップ125に移行する。ステップ125では、上記ステップ120と同様の判定処理を実行し、その判定が「NO」の場合には振幅Mの大幅な減少は確認できなかったものと判断し、ステップ124に移行する。
【0081】
しかし、ステップ125の判定が「YES」の場合には、振幅Mの大幅な増加が確認された後に、続いて、振幅Mの大幅な減少が確認されたと判断でき、これにより、駆動信号yの周期的変動状態が検出されたと判断できる。そこで、ステップ126に移行し、周期的変動状態を解消又は抑制するための処理を実行してから、ステップ107に移行して今回の図4の処理を終了する。なお、ステップ126における処理の詳細は、後述する。
【0082】
ステップ109の判定が「NO」で、ステップ110の判定が「YES」(フラグFdec =1)の場合には、ステップ127〜130の処理が実行される。即ち、ステップ127では、振幅Mと最小値Myminとを比較し、振幅Mの減少傾向が終了したか否かを判断する。このステップ127の判定が「YES」の場合には、ステップ120において振幅Mの大幅な減少は確認されたものの、それ以降も振幅Mは減少していると判断できるから、ステップ128に移行し、最小値Myminを更新する。そして、ステップ129に移行し、タイマTの値が所定時間Tth4 を超えているか否かを判定する。タイマTは、最大値Tymaxが更新される度にクリアスタートされるタイマであるから、そのとき記憶している最大値Tymaxが検出された時点からの経過時間を表している。そして、その経過時間が比較的長い場合には、駆動信号yの周期的変動状態を検出したとしても誤検出の可能性が高い。そこで、ステップ129の判定が「YES」の場合には、ステップ107に移行し、今回の図4の処理を強制的に終了する。ステップ129の判定が「NO」の場合には、ステップ104に戻る。
【0083】
一方、ステップ127の判定が「NO」の場合には、ステップ120において振幅Mの大幅な減少が確認された後に、振幅Mが増加に転じたと判断できるから、その増加の幅が周期的変動状態に相当する大幅なものであるか否かを判断するために、ステップ130に移行する。ステップ130では、上記ステップ115と同様の判定処理を実行し、その判定が「NO」の場合には振幅Mの大幅な増加は確認できなかったものと判断し、ステップ129に移行する。
【0084】
しかし、ステップ130の判定が「YES」の場合には、振幅Mの大幅な減少が確認された後に、続いて、振幅Mの大幅な増加が確認されたと判断でき、これにより、駆動信号yの周期的変動状態が検出されたと判断できる。そこで、ステップ126に移行し、周期的変動状態を解消又は抑制するための処理を実行してから、ステップ107に移行して今回の図4の処理を終了する。
【0085】
図6は駆動信号yの振幅Mの変化の様子を示す図であって、この例の場合、時刻tに至るまでの間は、振幅Mが徐々に増加しているため、ステップ111の判定が「YES」となり、ステップ112の判定も「YES」となって、ステップ113、114の処理が実行され、最大値Mymaxは毎回更新される。そして、時刻tを超えると振幅Mは減少に転じるため、しばらくの間は時刻tで記憶した最大値Mが保存されるが、振幅Mは再び増加に転じ、時刻tにおいてそれまでの最大値Mに達し、それ以降も増加する。さらに、時刻tにおいて振幅Mは減少に転じるので、その時刻tにおける振幅Mが、最大値Mymaxとして保存される。
【0086】
そして、時刻tから減少に転じた振幅Mの減少幅は、時刻tにおいてしきい値Mth1 に達するため、ここでフラグFdec が1にセットされる。よって、それ以降はステップ110の判定が「YES」となり、ステップ127に移行する。
時刻tを経過した後も、しばらく振幅Mは減少し続けるため、ステップ127の判定は「YES」となって最小値Myminも更新され続け、時刻tにおいて振幅Mが増加に転じた時点の最小値Myminが保存される。そして、時刻t以降は、ステップ127の判定が「NO」となるため、ステップ130に移行して、最小値Myminからの増加量がしきい値Mth2 に達したか否かが判定されるようになり、この例では、時刻tにおいてステップ130の判定が「YES」となり、ステップ126に移行することになる。その後も、図4の処理が再び開始され、時刻tの振幅Mが新たな最大値Mymaxとして保存され、そこからしきい値Mth1 を超える減少が生じたか否かが再び判断されるようになる。
【0087】
このように、本実施の形態にあっては、駆動信号yの周期的変動状態を検出することができるから、ステップ126の処理を実行することにより、周期的変動状態を有効に解消又は低減することができるし、その検出に必要な処理も、比較的簡単な演算で済むから、コントローラ25の演算負荷の大幅な増加を招くこともない。
【0088】
しかも、本実施の形態では、振幅Mの変動幅に基づいて周期的変動状態を検出するようにしているから、例えば図6の時刻tと時刻tとの間のように、振幅Mが一旦増加に転じてから再び減少するような現象が路面側からの振動入力等に起因して生じたとしても、それで判断が中止してしまうようなことがなくなり、それだけ駆動信号yの周期的変動状態を見逃す可能性が上記第1の実施の形態の場合よりも低くなっているという利点もある。
【0089】
また、本実施の形態では、周期的変動状態を検出するための処理を実行中に、シフト位置及びエンジン回転数の少なくとも一方が変化した場合には、その処理を中止し、最初から再び実行するようにしているため、駆動信号yの周期的変動状態を誤検出する可能性を、低減することができる。つまり、エンジン回転数Nがアクセル操作等によって大きく変動すると、それに伴ってエンジン17における振動の発生状態も変化するため、駆動信号yの振幅Mも増加及び減少を繰り返すことがあるし、シフト位置が切り替わる際にも同様の現象が生じる可能性があるから、そのような変化が確認された場合に検出処理を続行してしまうと、周期的変動状態を誤検出する可能性が高くなってしまうのである。
【0090】
さらに、本実施の形態では、タイマT、Tを設けることにより、最大値又は最小値がセットされてから比較的長い時間周期的変動状態が検出されなかった場合にも処理を中止し、最初から再び実行するようにしているため、これによっても、駆動信号yの周期的変動状態を誤検出する可能性を、低減することができる。つまり、シフト位置やエンジン回転数が変化しなくても、例えば、平坦路→上り坂→平坦路→上り坂という順番に走行するような場合に、エンジン負荷の変化に伴うエンジン振動の変化によって、駆動信号yの振幅Mの減少量や増加量がしきい値を越えることがあり、これを駆動信号yの周期的変動状態として誤検出する可能性があるのである。そこで、本実施の形態のように、周期的変動状態の判断に時間的な制約条件を入れることにより、誤検出の可能性をさらに低減することができるのである。
【0091】
次に、図4のステップ126において実行される発散抑制係数βの変更処理について詳述する。
即ち、図4のステップ126の処理が実行されると、図5の処理が開始され、先ず、そのステップ201において、エンジン回転数信号Nを読み込み、次いでステップ202に移行し、そのエンジン回転数信号Nから判るエンジン回転数が含まれる回転数帯域を判断し、テーブルのその回転数帯域に対応する部分に情報を書き込む。
【0092】
そして、ステップ203に移行し、ステップ202で情報を書き込んだ回転数帯域に対応する発散抑制係数βを、一段階だけ増大させる。
次いで、ステップ204に移行し、テーブルに書き込まれている情報に基づいて、図4の処理を実行中に、エンジン回転数が複数の回転数帯域を経ているか否かを判断する。そして、このステップ204の判定が「YES」の場合には、ステップ205に移行し、そのエンジン回転数が通過していると判断された複数の回転数帯域のそれぞれに対応する発散抑制係数βを,それらのうちで最大の値に揃えてから、今回のこの図5の処理を終了する。ステップ204の判定が「NO」の場合には、ステップ205の処理を実行することなく終了する。
【0093】
この図5の処理が実行されると、ステップ201〜203の処理は必ず実行されるため、周期的変動状態が発生していると判断されたときのエンジン回転数を含む回転数帯域用の発散抑制係数βは増大するため、それ以降のフィルタ係数Wの更新処理において、エンジン回転数がその回転数帯域に含まれる状況下であればその増大された発散抑制係数βが使用され、フィルタ係数Wはその更新処理において原点に戻り易くなり、周期的変動状態が解消又は抑制されるようになる。
【0094】
そして、図5の処理において、ステップ204の判定が「YES」となった場合には、そのときのエンジン回転数を含む回転数帯域用の発散抑制係数βだけではなく、その回転数帯域に隣接した他の回転数帯域用の発散抑制係数(βk−1 やβk+1 等)も変更され、それら複数の回転数帯域用の各発散抑制係数は、全て同じ値になり、さらに周期的変動状態を招く可能性を低減できる。
【0095】
その理由を具体的に説明すると、図7に示すように、エンジン回転数が700rpmのところが、一の回転数帯域N(675〜700rpm)と、他の回転数帯域N(700〜725rpm)との境界に当るものと仮定する。
そして、一の回転数帯域N用の発散抑制係数βの値が0であり、他の回転数帯域N用の発散抑制係数βk+1 の値が5であったものとする。なお、発散抑制係数βは、0〜10の範囲で段階的に変化するものとする。
【0096】
このような状況で、エンジン回転数が、700rpmを挟んで二つの回転数帯域N及びN間を、比較的短い周期で(図7の時刻t11、t12、t13、t14、t15のそれぞれのタイミングで)行き来すると、エンジン回転数が一の回転数帯域Nにあるときには発散抑制係数βによるフィルタ係数Wの増大抑制作用がなく、逆に、エンジン回転数が他の回転数帯域Nにあるときには発散抑制係数βk+1 によるフィルタ係数Wの増大抑制作用が比較的強いため、フィルタ係数Wの振幅平均値は、図7中に折れ線Zで示すように、エンジン回転数が一の回転数帯域Nにあるときには増大し、エンジン回転数が他の回転数帯域Nにあるときには減少するようになる。
【0097】
すると、そのフィルタ係数Wの振幅平均値の増減が比較的短い周期で発生すると、図4の処理において周期的変動状態が発生していると判断され、図5の処理が実行されて、発散抑制係数β又はβk+1 が増大されるのである。
そして、図5のステップ204、205の処理を備えていない場合には、発散抑制係数βが回転数帯域毎に異なることに起因した上記のような周期的変動状態は、両発散抑制係数β及びβk+1 が一致するまで継続するから、最終的には発散抑制係数β及びβk+1 の両方が最大値10に達してしまうのである。発散抑制係数βが大きくなるということは、それだけフィルタ係数Wが増大し難くなるということであるから、振動低減制御による振動低減効果は逆に低下することになる。
【0098】
しかし、本実施の形態のように、図5のステップ204、205の処理を実行するようになっていれば、周期的変動状態検出処理の実行中にエンジン回転数が複数の回転数帯域を行き来するような状況であるか否かが判断され、そのような判断がなされたときには、それら複数の回転数帯域用の各発散抑制係数βがそれらの中で最大の値に揃えられるから、上述の例であれば、発散抑制係数β及びβk+1 の両方の値が5になる程度で済む。従って、振動低減制御による振動低減効果の低下代は、最小限で済むのである。
【0099】
ここで、上記実施の形態では、エンジン17が振動源に対応し、能動型エンジンマウント20のうち荷重センサ64を除いた部分が制御振動源に対応し、パルス信号生成器19が基準信号生成手段に対応し、荷重センサ64が残留振動検出手段に対応し、コントローラ25内において駆動信号yを生成し出力する処理が能動制御手段に対応し、コントローラ25内において上記(3)式に従ってフィルタ係数Wを更新する処理がフィルタ係数更新手段に対応し、コントローラ25内においてフィルタ係数Wを順番に駆動信号yとして出力する処理が駆動信号生成手段に対応し、回転数帯域毎に情報を記憶する上記テーブル及び図4のステップ103、108、図5のステップ202、204、205の処理が抑制係数調整手段に対応する。
【0100】
なお、上記実施の形態では、駆動信号yの周期的変動状態を検出するように図4の処理を構成しているが、これに限定されるものではなく、残留振動信号eの周期的変動状態を検出するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、駆動信号yの周期的変動状態が検出された場合を所定の条件が満足した場合として、発散抑制係数βを変更するようになっているが、発散抑制係数βを変更する所定の条件はこれに限定されるものではなく、例えば、制御の発散や発散傾向が検出された場合であってもよい。制御の発散や発散傾向は、例えばフィルタ係数Wの大きさ所定のしきい値を越えたか否かによって検出することができる。
【0101】
そして、上記実施の形態では、図4のステップ205において、各発散抑制係数βの値を一致させるようにしているが、これに限定されるものではなく、周期的変動状態を招かない程度であれば、各発散抑制係数βの値に差があってもよく、例えばそれら複数の発散抑制係数βのうち最大の発散抑制係数を中心としそれから離れるに従って徐々に発散抑制係数が小さくなるように、各発散抑制係数の値を調整するようにしてもよい。
【0102】
また、上記実施の形態では、発散抑制係数βを抑制係数としているが、抑制係数の条件はフィルタ係数Wの増大を抑制する作用があるか否かであるから、収束係数αはある程度大きければフィルタ係数Wの増大作用が強いが、逆に小さくなればフィルタ係数Wの増大作用を弱める(増大を抑制する作用が強くなる)から、その収束係数αを各回転数帯域毎に設け、それら収束係数αを本発明における抑制係数として利用してもよい。
【0103】
そして、上記実施の形態では、エンジン17から車体18に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制御装置として本発明を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば騒音源としてのエンジン17から車室内に伝達される騒音を低減する能動型騒音制御装置であってもよい。かかる能動型騒音制御装置とする場合には、車室内に制御音を発生するための制御音源としてのラウドスピーカと、車室内の残留騒音を検出する残留騒音検出手段としてのマイクロフォンとを設け、上記各実施の形態と同様の演算処理によって得られる駆動信号yに応じてラウドスピーカを駆動させるとともに、マイクロフォンの出力を残留騒音信号eとして適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wの更新処理に用いればよい。
【0104】
さらに、本発明の適用対象は車両に限定されるものではなく、エンジン17以外で発生する周期的な振動や騒音を低減するための能動型振動制御装置,能動型騒音制御装置であっても本発明は適用可能であり、適用対象に関係なく上記実施の形態と同等の作用効果を奏することができる。例えば、工作機械からフロアや室内に伝達される振動や騒音を低減する装置等であっても、本発明は適用可能である。
【0105】
また、上記各実施の形態では、適応アルゴリズムとして同期式Filtered−X LMSアルゴリズムを適用した場合について説明したが、適用可能な適応アルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例えば、通常のFiltered−X LMSアルゴリズム等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の全体構成を示す車両の概略側面図である。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を平面視で示した図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図及びB−B矢視断面図である。
【図4】コントローラ内で実行される処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】発散抑制係数の変更処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態の動作を説明する駆動信号の振幅の波形図である。
【図7】発散抑制係数を調整することによる利点を説明する波形図である。
【符号の説明】
17 エンジン(振動源)
18 車体
19 パルス信号生成器(基準信号生成手段)
20 能動型エンジンマウント
25 コントローラ
64 荷重センサ(残留振動検出手段)

Claims (10)

  1. 適応アルゴリズムに従ってフィルタ係数が更新される適応ディジタルフィルタを用いて、騒音又は振動の低減処理を実行するとともに、前記フィルタ係数の更新式は、前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の増大を抑制する作用のある抑制係数を含んでおり、その抑制係数は前記騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に設定されていて、
    所定の条件が満足した場合には、前記騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の前記抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更するようになっている能動型騒音振動制御装置において、
    前記所定の条件が満足したことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数が前記作用が強くなる方向に変更された場合には、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更する抑制係数調整手段を設けたことを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  2. 騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づき適応アルゴリズムに従って前記干渉後の騒音又は振動が低減するように前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する能動制御手段と、を備え、
    前記能動制御手段は、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、この適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を前記適応アルゴリズムに基づいた更新式に従って更新するフィルタ係数更新手段と、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、を含み、
    前記更新式には前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の増大を抑制する作用のある抑制係数が含まれるとともに、その抑制係数は前記騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に設定されていて、
    所定の条件が満足した場合には、前記騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の前記抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更するようになっている能動型騒音振動制御装置において、
    前記所定の条件が満足したことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数が前記作用が強くなる方向に変更された場合には、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更する抑制係数調整手段を設けたことを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  3. 前記駆動信号若しくは前記残留騒音信号又は残留振動信号の周期的変動状態を検出する周期的変動状態検出手段を備え、前記所定の条件は、前記駆動信号若しくは前記残留騒音信号又は残留振動信号の周期的変動状態が検出されたことである請求項2記載の能動型騒音振動制御装置。
  4. 制御の発散又は発散傾向を検出する発散検出手段を備え、前記所定の条件は、制御の発散又は発散傾向が検出されたことである請求項2記載の能動型騒音振動制御装置。
  5. 前記所定の条件が満足したことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数が前記作用が強くなる方向に変更された場合には、前記抑制係数調整手段は、その一の周波数帯域に隣接した他の周波数帯域用の抑制係数を、その一の周波数帯域用の抑制係数と同じ値にするようになっている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の能動型騒音振動制御装置。
  6. 前記周期的変動状態が検出されたことに応じて一の周波数帯域用の抑制係数が前記作用が強くなる方向に変更された場合であって、前記周期的変動状態検出手段が前記周期的変動状態であるか否かを判断している間に前記騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域に渡って変化しているときに、前記抑制係数調整手段は、それら複数の周波数帯域用のそれぞれの抑制係数を、それらのうちで最も前記作用が強い抑制係数の値に揃えるようになっている請求項3記載の能動型騒音振動制御装置。
  7. 適応アルゴリズムに従ってフィルタ係数が更新される適応ディジタルフィルタを用いて、騒音又は振動の低減処理を実行するとともに、前記フィルタ係数の更新式は、前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の増大を抑制する作用のある抑制係数を含んでおり、その抑制係数は前記騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に設定されていて、
    所定の条件が満足した場合には、前記騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の前記抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更するようになっている能動型騒音振動制御装置において、
    前記騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域を行き来するときに、それら複数の周波数帯域のそれぞれの抑制係数の値を、それらのうちで最も前記作用が強い抑制係数の値に揃える抑制係数調整手段を設けたことを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  8. 騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音又は振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づき適応アルゴリズムに従って前記干渉後の騒音又は振動が低減するように前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する能動制御手段と、を備え、
    前記能動制御手段は、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、この適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を前記適応アルゴリズムに基づいた更新式に従って更新するフィルタ係数更新手段と、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、を含み、
    前記更新式には前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の増大を抑制する作用のある抑制係数が含まれるとともに、その抑制係数は前記騒音又は振動の複数の周波数帯域毎に設定されていて、
    所定の条件が満足した場合には、前記騒音又は振動の周波数を含む周波数帯域用の前記抑制係数を、前記作用が強くなる方向に変更するようになっている能動型騒音振動制御装置において、
    前記騒音又は振動の周波数が複数の周波数帯域を行き来するときに、それら複数の周波数帯域のそれぞれの抑制係数の値を、それらのうちで最も前記作用が強い抑制係数の値に揃える抑制係数調整手段を設けたことを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  9. 前記駆動信号若しくは前記残留騒音信号又は残留振動信号の周期的変動状態を検出する周期的変動状態検出手段を備え、前記所定の条件は、前記駆動信号若しくは前記残留騒音信号又は残留振動信号の周期的変動状態が検出されたことである請求項8記載の能動型騒音振動制御装置。
  10. 制御の発散又は発散傾向を検出する発散検出手段を備え、前記所定の条件は、制御の発散又は発散傾向が検出されたことである請求項8記載の能動型騒音振動制御装置。
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