JP3743165B2 - 能動型騒音振動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フィルタ係数が逐次更新される適応ディジタルフィルタを用いて周期的な騒音又は振動の低減制御を実行するようになっている能動型騒音振動制御装置に関し、特に、制御音を発生する制御音源又は制御振動を発生する制御振動源に対する駆動信号を、周期が固定のサンプリング・クロックに同期して出力するようになっているものにおいて、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新演算の精度向上を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の技術としては、例えば本出願人が先に提案した特開平9−319380号公報に開示されたものがある。即ち、かかる公報記載の従来技術は、LMSアルゴリズム等の適応アルゴリズムを利用した能動型騒音振動制御装置に関するものであり、具体的には、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタを有し、その適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するためのアルゴリズムとして、同期式Filtered−X LMSアルゴリズム(以下、SFXアルゴリズムと称す。)を適用するとともに、そのSFXアルゴリズムを、周期が固定である固定サンプリング・クロックに同期して実行するようにしていた。
【0003】
そして、上記公報記載の能動型騒音振動制御装置にあっては、適応アルゴリズムにおける評価関数として、例えば振動低減制御を実行する場合であれば、振動源で発生した振動と制御振動源で発生した制御振動との干渉結果である残留振動の自乗値と、制御振動源へ出力した駆動信号の自乗値との和を用いている。従って、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数は、残留振動が可能な限り小さくなり且つ駆動信号が可能な限り小さくなる最適値を目指して逐次更新されることになる。このため、評価関数における駆動信号の自乗値の影響の度合いを適宜選定することにより、制御の発散を有効に抑制することができるようになる。このようなことから、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新式の駆動信号を含む項は、発散抑制作用を有する発散抑制項と称され、その発散抑制項に含まれる係数は発散抑制係数と称されている。
【0004】
さらに、上記公報記載の能動型騒音振動制御装置にあっては、発散抑制係数を固定ではなく適宜増減させることにより、発散が検出されていない状況では残留振動を小さくする作用をより強くして振動低減制御の効果代を大きくする一方、発散傾向が検出された場合には駆動信号を小さくする作用を強くして振動低減制御の安定性を向上するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような適応アルゴリズムを固定サンプリング・クロックで実行するようにした場合、下記のような問題点があることが判った。
【0006】
即ち、騒音源や振動源が車両のエンジンのような場合、発生する騒音や振動の周期はエンジンの回転数に応じてリニアに変化するものであるため、サンプリング・クロックが固定であると、騒音や振動の周期がサンプリング・クロックの周期の整数倍になるのは稀な現象になる。
【0007】
すると、固定サンプリング・クロックに同期して出力される駆動信号のうち、騒音や振動の一周期内の最後に出力される駆動信号と、その次の新たな一周期の最初に出力される駆動信号との間隔は、殆どの場合、サンプリング・クロックの間隔よりも短くなってしまう。このため、各周期の最後の駆動信号の出力を契機に実行される適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新演算が、不十分になる場合が有り、それが積み重なると、適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数間の更新演算のアンバランスが大きくなって、騒音低減制御や振動低減制御の精度が低下してしまう可能性がある。
【0008】
特に、上記公報に開示された能動型騒音振動制御装置のように、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新式に、駆動信号に応じた発散抑制項が含まれている場合、実際に発散抑制項が機能するのは、そのサンプリング・タイミングにおいて駆動信号として出力されたフィルタ係数に対する更新演算だけである。つまり、そのサンプリング・タイミングにおいて駆動信号として出力されたフィルタ係数以外のフィルタ係数の更新式では、発散抑制項は存在しないのと同じである。このため、適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数のうち、騒音や振動の一周期の最後に出力されるフィルタ係数については、残留騒音信号や残留振動信号を小さくするための演算は各サンプリング・タイミングにおいて実行されるため大きな問題はないにしても、駆動信号を小さくするための演算が、他のフィルタ係数に比べて大幅に少なくなってしまう可能性がある。その結果、制御が発散傾向となって例えば上記公報記載の能動型騒音振動制御装置のように発散抑制係数を適宜増加させても、あるフィルタ係数の発散は抑制しきれず、不快な騒音や振動が発生してしまう可能性があった。
【0009】
なお、このような不具合は、SFXアルゴリズムに限ったものではなく、サンプリング・クロックを固定にしたLMSアルゴリズム、Filtered−X LMSアルゴリズム等であっても、同様に生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、このような従来の技術が有する未解決の課題に着目してなされたものであり、サンプリング・クロックが固定のSFXアルゴリズム等を適用した場合であっても、適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数間の更新演算のアンバランスをできるだけ小さくして、その更新演算の精度を向上できる能動型騒音振動制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、騒音源又は振動源から発せられる周期的な騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記周期的な騒音又は振動に同期したインパルス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号の最新のインパルスが生成された時点を基準として周期が固定のサンプリング・クロックを生成するサンプリング・クロック生成手段と、前記干渉後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記サンプリング・クロックに同期して前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を順番に駆動信号として前記制御音源又は制御振動源に出力する駆動信号生成手段と、前記制御音源又は制御振動源と前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段との間の伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号と前記伝達関数フィルタとを畳み込んで更新用基準信号を生成する更新用基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記更新用基準信号に基づいて前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、前記基準信号の新たなインパルスが生成されたときの前記適応処理手段の更新演算の処理状況を把握する処理状況把握手段と、この処理状況把握手段が把握した前記処理状況に基づき、前記新たなインパルスの生成により実行できなかった更新演算の一部又は全部を、補償更新演算として前記新たなインパルスの生成後に実行する更新演算補償手段と、を備え、前記更新演算補償手段は、前記新たなインパルスが生成された後の二つ目の前記サンプリング・クロックに同期して、前記補償更新演算を実行するようにした。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項2に係る発明は、騒音源又は振動源から発せられる周期的な騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記周期的な騒音又は振動に同期したインパルス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号の最新のインパルスが生成された時点を基準として周期が固定のサンプリング・クロックを生成するサンプリング・クロック生成手段と、前記干渉後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記サンプリング・クロックに同期して前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を順番に駆動信号として前記制御音源又は制御振動源に出力する駆動信号生成手段と、前記制御音源又は制御振動源と前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段との間の伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号と前記伝達関数フィルタとを畳み込んで更新用基準信号を生成する更新用基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記更新用基準信号に基づいて前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、前記基準信号の新たなインパルスが生成されたときの前記適応処理手段の更新演算の処理状況を把握する処理状況把握手段と、この処理状況把握手段が把握した前記処理状況に基づき、前記新たなインパルスの生成により実行できなかった更新演算の一部又は全部を、補償更新演算として前記新たなインパルスの生成後に実行する更新演算補償手段と、を備え、前記適応処理手段は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制項を含む更新式を用いて前記フィルタ係数を更新するようになっており、前記処理状況把握手段は、前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分であるか否かを把握するようになっており、前記更新演算補償手段は、前記新たなインパルスの生成前の前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分でない場合に、それを補うための更新演算を前記補償更新演算として実行するようにした。
【0013】
そして、請求項3に係る発明は、上記請求項1に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記適応処理手段は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制項を含む更新式を用いて前記フィルタ係数を更新するようになっており、前記処理状況把握手段は、前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分であるか否かを把握するようになっており、前記更新演算補償手段は、前記新たなインパルスの生成前の前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分でない場合に、それを補うための更新演算を前記補償更新演算として実行するようにした。
【0014】
一方、上記目的を達成するために、請求項4に係る発明は、騒音源又は振動源から発せられる周期的な騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記周期的な騒音又は振動の発生状態を表す基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号の一周期が始まった時点を基準として周期が固定のサンプリング・クロックを生成するサンプリング・クロック生成手段と、前記干渉後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号と前記適応ディジタルフィルタとを畳み込んで前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成しそれを前記サンプリング・クロックに同期して出力する駆動信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づいて前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、前記基準信号の一周期が終了したときの前記適応処理手段の更新演算の処理状況を把握する処理状況把握手段と、この処理状況把握手段が把握した前記処理状況に基づき、前記基準信号の一周期の終了により実行できなかった更新演算の一部又は全部を、補償更新演算として前記基準信号の新たな一周期中に実行する更新演算補償手段と、を備え、前記更新演算補償手段は、前記基準信号の新たな一周期が始まった後の二つ目の前記サンプリング・クロックに同期して、前記補償更新演算を実行するようにした。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項5に係る発明は、
騒音源又は振動源から発せられる周期的な騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記周期的な騒音又は振動の発生状態を表す基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号の一周期が始まった時点を基準として周期が固定のサンプリング・クロックを生成するサンプリング・クロック生成手段と、前記干渉後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号と前記適応ディジタルフィルタとを畳み込んで前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成しそれを前記サンプリング・クロックに同期して出力する駆動信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づいて前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、前記基準信号の一周期が終了したときの前記適応処理手段の更新演算の処理状況を把握する処理状況把握手段と、この処理状況把握手段が把握した前記処理状況に基づき、前記基準信号の一周期の終了により実行できなかった更新演算の一部又は全部を、補償更新演算として前記基準信号の新たな一周期中に実行する更新演算補償手段と、を備え、前記適応処理手段は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制項を含む更新式を用いて前記フィルタ係数を更新するようになっており、前記処理状況把握手段は、前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分であるか否かを把握するようになっており、前記更新演算補償手段は、前記基準信号の一周期の終了前の前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分でない場合に、それを補うための更新演算を前記補償更新演算として実行するようにした。
【0016】
そして、請求項6に係る発明は、上記請求項4に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記適応処理手段は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制項を含む更新式を用いて前記フィルタ係数を更新するようになっており、前記処理状況把握手段は、前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分であるか否かを把握するようになっており、前記更新演算補償手段は、前記基準信号の一周期の終了前の前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分でない場合に、それを補うための更新演算を前記補償更新演算として実行するようにした。
【0017】
ここで、発明にあっては、処理状況把握手段が、基準信号の新たなインパルスが生成されたときの更新演算の処理状況を把握するから、そのインパルスが生成されたときに更新演算が完了していた、或いは不完全であった、というような処理状況が保存されるようになる。そして、更新演算補償手段が、処理状況把握手段が把握した処理状況に基づき、新たなインパルスの生成後に補償更新演算を実行するから、新たなインパルスが生成された時点では不十分であった更新演算が補われるようになる。
【0018】
特に、請求項に係る発明にあっては、新たなインパルスが生成された後の最初のサンプリング・クロックではなく、その次のサンプリング・クロックに同期して補償更新演算が実行されるため、最初のサンプリング・クロックに同期した演算処理の負荷は、増加しないで済む。つまり、新たなインパルスが生成された直後の最初のサンプリング・クロックに同期して、基準信号の一周期毎の初期設定等が行われるのが通常であるため、その最初のサンプリング・クロックに同期して補償更新演算を実行するようにしてしまうと、その最初のサンプリング・クロックに同期した演算負荷が他のサンプリング・クロックに同期した演算負荷よりもさらに大きくなって、場合によってはサンプリング・クロックの周期を長くしなければならなくなる。また、新たなインパルスが生成された後の二つ目のサンプリング・クロックに同期した演算処理の実行中に基準信号の新たなインパルスが生成される確率は、三つ目以降の各サンプリング・クロックに同期した演算処理の実行中に基準信号の新たなインパルスが生成されるそれぞれの確率に比べて低いから、新たなインパルスが生成された後の二つ目のサンプリング・クロックに同期して補償更新演算を実行するようにした場合が、補償更新演算の実行が不十分になる可能性を最も小さくできるのである。以上から、補償更新演算は、新たなインパルスが生成された後の二つ目のサンプリング・クロックに同期して実行することが、最も望ましいのである。
【0019】
これに対し、請求項に係る発明にあっては、処理状況把握手段は、適応処理手段の更新演算の処理状況のうち、発散抑制項による発散抑制作用について状況を把握し、更新演算補償手段は、その発散抑制作用が十分でない場合にそれを補うように補償更新演算を実行するため、発散抑制項による発散抑制作用が一部のフィルタ係数について不十分になってしまう可能性が低減する。
そして、請求項3に係る発明によれば、請求項1、2に係る発明の両者の利点が発揮される。
【0020】
なお、以上の請求項1〜3に係る発明は、基準信号をインパルス列としたSFXアルゴリズム等を前提とした発明であり、これに対し、請求項4〜6に係る発明は、基準信号をインパルス列に限らず例えば正弦波等でも構わない通常のLMSアルゴリズム、Filtered−X LMSアルゴリズム等を前提とした発明である。よって、請求項4〜6に係る発明の動作は、基本的には上記請求項1〜3に係る発明と同様である。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、処理状況把握手段と更新演算補償手段とを設けたため、新たなインパルスが生成された時点では不十分であった更新演算をその後に補うことができるから、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新演算の精度がより向上し、さらに良好な騒音低減制御・振動低減制御が実行されるという効果がある。
【0022】
特に、請求項1、3及び請求項4、6に係る発明にあっては、二つ目のサンプリング・クロックに同期して補償更新演算を実行するようにしたため、そもそも演算負荷の大きい最初のサンプリング・クロックに同期した演算処理の負荷を増加しないで済むとともに、補償更新演算の実行が不十分になる可能性を最も小さくできるという効果もある。
【0023】
さらに、請求項2、3及び請求項5、6に係る発明にあっては、発散抑制項による発散抑制作用が一部のフィルタ係数について不十分になってしまう可能性が低減するから、制御が発散する可能性をより低減することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図8は本発明の一実施の形態を示す図であって、図1は本発明に係る能動型騒音振動制御装置の一形態である能動型振動制御装置を適用した車両の概略側面図である。
【0025】
先ず、構成を説明すると、横置きに搭載したエンジン17が、車体前後方向の後方に配置した能動型エンジンマウント20を介して、サスペンションメンバ等から構成される車体18に支持されている。なお、実際には、エンジン17及び車体18間には、能動型エンジンマウント20の他にエンジン17及び車体18間の相対変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジンマウントも介在している。受動的なエンジンマウントとしては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常のエンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウントインシュレータ等が適用できる。
【0026】
図2は、エンジン17に固定したブラケット(図示せず)を介して連結する能動型エンジンマウント20の上部構造を平面視で示すものであり、エンジン側連結部材30から上方に向けて突出している2本の連結ボルト30aを、上述したブラケットの挿通孔に下側から挿通し、ナットを螺合することによりエンジン17に上端部が固定される。また、符号60はリバウンド規制部材であり、このリバウンド規制部材60は、2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に対して直交し、エンジン側連結部材30の上方をアーチ状に延在しながら装置ケース43に固定されており、エンジン側連結部材30の上面に固定したゴム製の弾性体からなるリバウンドストッパ31の上方に位置している。
【0027】
図3は、図2の矢視断面図で示す能動型エンジンマウント20の内部構造を示すものであり、図2の2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に沿うA−A矢視断面を、図3の軸心(以下、マウント軸と称する)P1 を境界として右側に示し、図2の2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に対して直交する方向のB−B矢視断面を、図3のマウント軸P1 を境界として右側に示している。
【0028】
この能動型エンジンマウント20は、装置ケース43に外筒34、中間筒36、オリフィス構成部材37、支持弾性体32等のマウント部品を内蔵し、これらマウント部品の下部に、流体室84の隔壁の一部を形成しながら弾性支持された可動部材78を流体室84の容積が変化する方向に変位させる電磁アクチュエータ52と、図示しない車体メンバの振動状況を検出する荷重センサ64とを内蔵した装置であり、より具体的に説明していくと、前述したエンジン側連結部材30は、下端周縁部30gが丸みを付けて形成されていると共に、マウント軸P1 に沿う位置に第1孔30cが形成されている。また、このエンジン連結部材30に下側から嵌入されて上方を向いている連結ボルト30aは、その頭部30dがエンジン側連結部材30の下面から突出している。ここで、その頭部30dの外周縁部は、丸みが付けられて形成されている。
【0029】
また、エンジン側連結部材30の下面には、断面逆台形状の中空筒体30bが固定されている。この中空筒体30bには、連結ボルト30aに近接する位置に第2孔30eが形成されていると共に、マウント軸P1 に沿う下面に第3孔30fが形成されている。なお、この中空筒体30bの連結ボルト30aから離間している位置には、孔を形成していない。
【0030】
そして、前記エンジン側連結部材30の下面側には、中空筒体30bの内部及びエンジン側連結部材30の下部側を覆うように、ゴム製の支持弾性体32が加硫接着により固定されている。
【0031】
すなわち、この支持弾性体32は、エンジン側連結部材30側から下方に向けて拡径した形状のゴム製の弾性体であって、内面に断面山形状の空洞部32aを形成しているが、連結ボルト30aから離れている部分の支持弾性体32の外周面は、図3の左側に示すように、エンジン側連結部材30の外周部を覆いながらリバウンドストッパ31に連続している。一方、連結ボルト30aに近接している支持弾性体32は、図3の右側に示すように、連結ボルト30aの頭部30dの全域を覆う被覆部32bが形成されていると共に、頭部30dの下方位置の外周を、内側に大きく凹んだ形状としている(以下、符号32cで示す凹み外周部と称する)。そして、前述した空洞部32aを形成しながら前記凹み外周部32cに対向している支持弾性体32の内面も、内側に大きく膨らんだ形状としている(以下、符号32dで示す膨らみ内周部と称する)。そして、連結ボルト30aに近接している部分の支持弾性体32の肉厚は、凹み外周部32cに対向して膨らみ内周部32dを設けたことにより、連結ボルト30aから離れている部分の肉厚と略同一に設定している。
【0032】
そして、薄肉形状とした支持弾性体32の下端部は、マウント軸P1 が中空筒体30bと同軸に振動体支持方向を向く中間筒体36の内周面に加硫接着により結合している。
【0033】
中間筒体36は、同一外周径とした上端筒部36a及び下端筒部36bの間に小径筒部36cを連続して形成した部材であり、外周に環状凹部を設けている。また、図示しないが、小径筒部36cには開口部が形成されており、この開口部を介して中間筒体36の内側及び外側が連通している。
【0034】
中間筒体36の外側には外筒34が嵌合しており、この外筒34は内周径を中間筒体36の上端筒部36a及び下端筒部36bの外周径と同一寸法とし、軸方向の長さを中間筒体36と同一寸法に設定した円筒部材である。また、この外筒34には開口部34aが形成されており、この開口部34aの開口縁部にゴム製の薄膜弾性体からなるダイアフラム42の外周が結合して開口部34aを閉塞しつつ、外筒34の内側に向けて膨出している。
【0035】
そして、上記構成の外筒34を、環状凹部を囲むように中間筒体36に外嵌すると、外筒34及び中間筒体36間の周方向に環状空間が画成され、その環状空間にダイアフラム42が膨出した状態で配設される。そして、中間筒体36の内側に、筒状のオリフィス構成部材37が嵌合している。
【0036】
このオリフィス構成部材37は、中間筒体36の小径筒部36cより小径に形成した最小径筒部37aを備え、その最小径筒部37aの上下端部に径方向外方に向けて上部環状部37b及び下部環状部37cが形成されており、これら最小径筒部37a、上部及び下部環状部37b、37cで囲んだ位置と中間筒体36との間に環状空間が設けられている。また、最小径筒部37aの一部に第2開口部37dが形成されている。ここで、上部環状部37bは、支持弾性体32の下方に位置しているが、図2の右側に示すように、連結ボルト30aに近接している支持弾性体32の下方に位置している上部環状部37b1 は肉厚を薄く形成して凹みを設けており、支持弾性体32の膨らみ内周部32dから離れた位置で対向している。
【0037】
また、装置ケース43は、その上端部に上端筒部36aの外周径より小径の円形開口部を有する上端かしめ部43aが形成されていると共に、この上端かしめ部43aと連続するケース本体の形状を、内周径が外筒34の外周径と同一寸法で下端開口部まで連続する円筒形状(下端開口部を図2の破線で示した形状)とした部材であり、全てのマウント部品の組み込みが完了した後に下端開口部を径方向内方に向けてかしめていくことにより、図2の実線で示すかしめ部が形成される。
【0038】
そして、支持弾性体32、中間筒体36、オリフィス構成部材37及びダイアフラム42を一体化した外筒34を装置ケース43の下端開口部から内部に嵌め込んでいき、上端かしめ部43aの下面に外筒34及び中間筒体36の上端部を当接させると、それらが装置ケース43内の上部に配設される。この際、装置ケース43の内周面とダイヤフラム42とで囲まれた部分に空気室42cが画成されるが、この空気室42cを臨む位置に空気孔43aが形成されており、この空気孔43aを介して空気室42cと大気が連通している。
【0039】
装置ケース43内の下部には円筒状のスペーサ70が嵌め込まれており、このスペーサ70内の上部に可動部材78が配置されていると共に、スペーサ70内の下部に電磁アクチュエータ52が配置されている。前記スペーサ70は、円筒状の上部筒体70aと、円筒状の下部筒体70bと、これら筒体の上下端部間に加硫接着したゴム製の薄膜弾性体からなる略円筒状のダイアフラム70cとで構成されている。
【0040】
前記電磁アクチュエータ52は、外観円筒形のヨーク52aと、ヨーク52aの上端面側に配設した円環状の励磁コイル52bと、ヨーク52aの上面中央部に磁極を上下方向に向けて固定した永久磁石52cとで構成されている。また、前記ヨーク52aは、円環状の第1ヨーク部材53aと、中央円筒部に永久磁石52cを固定した第2ヨーク部材53bとで構成されている。
【0041】
そして、上部及び下部筒体70a、70b間のダイアフラム70cは、ヨーク52aの外周に形成した凹部52dに向かって膨出している。
また、ヨーク52aの下面と、車体側連結ボルト60を備えた蓋部材62との間には、振動低減制御に必要な残留振動を検出するために、荷重センサ64が介装されている。荷重センサ64としては、圧電素子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能であり、このセンサの検出結果は、図1に示すように、残留振動信号eとしてコントローラ25に供給されるようになっている。
【0042】
一方、前記電磁アクチュエータ52の上方には、シール部材固定用のシールリング72と、後述する板ばね82の外周部を下側から自由端支持する支持リング74と、電磁アクチュエータ52の永久磁石52c及び可動部材78間のギャップHを設定するギャップ保持リング76とが配置されている。これらシールリング72、支持リング74及びギャップ保持リング76の外周径は、前述したスペーサ70の上部筒体70aの内周径と同一寸法に設定されており、ヨーク52aから上方に突出している上部筒体70a内にシールリング72、支持リング74及びギャップ保持リング76の全てが内嵌されている。そして、これらシールリング72、支持リング74及びギャップ保持リング76の内側には、上下方向に変位可能となるように可動部材78が配置されている。
【0043】
この可動部材78は、外観円盤状の隔壁形成部材78Aと、この隔壁形成部材78Aより大径円盤状に形成した磁路形成部材78Bとで構成した部材であって、電磁アクチュエータ52に対して遠い方に位置する隔壁形成部材78Aの軸心にボルト孔80aを形成し、電磁アクチュエータ52に近い磁路形成部材78Bを貫通した可動部材用ボルト80がボルト孔80aに螺合することにより、隔壁形成部材78A及び磁路形成部材78Bを一体に連結した構造となっている。
【0044】
隔壁形成部材78A及び磁路形成部材78B間には、リング状に連続したくびれ部79が画成されているが、このくびれ部79に可動部材78を弾性支持するための板ばね82が収容されている。つまり、板ばね82は、中央部に孔部を形成した円盤形状の部材であり、この板ばね82の内周部を隔壁形成部材78Aの裏面中央部の下側から自由端支持し、板ばね82の外周部を支持リング74のばね支持部74aが下側から自由端支持しており、これにより可動部材78が装置ケース43に板ばね82を介して弾性支持されている。
【0045】
前記隔壁形成部材78Aは、流体室84に面している隔壁部80cの肉厚を薄くし、隔壁部80cの外周から上方に突出する環状のリブ80bを形成した部材である。そして、隔壁形成部材78Aの上面と、支持弾性体32の下面と、オリフィス構成部材37の内周面とで流体室84が形成され、この流体室84内に流体が封入される。
【0046】
また、流体室84から板ばね82を収容しているくびれ部79側への流体の漏洩を防止するため、隔壁形成部材78Aの外周とシールリング72の内周との間には、ゴム状弾性体からなるリング形状のシール部材86が固定されており、このシール部材86の弾性変形によって、シールリング72や装置ケース43に対する可動部材78の上下方向への相対変位を許容している。
【0047】
次に、本実施形態の能動型エンジンマウント20の振動入力減衰作用について簡潔に説明する。本実施形態の能動型エンジンマウント20は、支持弾性体32の空洞部32aとオリフィス構成部材37の軸中央空間とが連通し、オリフィス構成部材37の軸中央空間及びオリフィス構成部材37と中間筒体36との間の環状空間が、第2開口部37dを介して連通し、前記環状空間及びダイアフラム42が膨出している空間が、中間筒体36に形成した開口部を介して連通しており、これら支持弾性体32の空洞部32aからダイアフラム42が膨出している空間までの連通路内に、エチレングリコール等の流体が封入されている。
【0048】
そして、支持弾性体32の空洞部32aからオリフィス構成部材37と中間筒体36との間の環状空間までの連通路を主流体室84とすると、中間筒体36に形成した開口部の近傍をオリフィスとし、この開口部に対向しながらダイアフラム42に囲まれている領域を副流体室とした流体共振系が形成されている。この流体共振系の特性、即ち、オリフィス内の流体の質量と、支持弾性体32の拡張方向ばね、ダイアフラム42の拡張方向ばねで決まる特性は、車両停止中のアイドル振動の発生時、つまり20〜30Hzでエンジンマウント20A、20Bが加振された場合に高動ばね定数、高減衰力を示すように調整されている。
【0049】
一方、電磁アクチュエータ52の励磁コイル52bは、コントローラ25から例えばハーネスを通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の電磁力を発生するようになっている。コントローラ25は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ、ROM,RAM等の記憶媒体等を含んで構成され、エンジン17で発生する振動を低減できる能動的な支持力が能動型エンジンマウント20に発生するように、能動型エンジンマウント20に対する駆動信号yを生成し出力するようになっている。
【0050】
また、前述したように能動型エンジンマウント20には荷重センサ64が内蔵されており、車体18の振動状況を荷重の形で検出して残留振動信号eとして出力し、その残留振動信号eが干渉後における振動を表す信号として例えばハーネスを通じてコントローラ25に供給されている。
【0051】
ここで、エンジン17で発生するアイドル振動やこもり音振動は、例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2次成分のエンジン振動が車体18に伝達されることが主な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出力すれば、車体側振動の低減が可能となる。そこで、本実施の形態では、エンジン17のクランク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クランク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして出力するパルス信号生成器19を設けていて、その基準信号xが、コントローラ25に供給されている。
【0052】
そして、コントローラ25は、供給される残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリズムの一つであるSFXアルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマウント20に対する駆動信号yを演算し、その駆動信号yを能動型エンジンマウント20に出力するようになっている。
【0053】
具体的には、コントローラ25は、フィルタ係数Wi (i=0,1,2,……,I−1:Iはタップ数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力する一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新する処理を実行するようになっている。
【0054】
ただし、この実施の形態では、SFXアルゴリズムにおける評価関数として、下記の(1)式を用いている。
Jm={e(n)}2 +β{y(n)}2 ……(1)
つまり、LMSアルゴリズムにあっては、評価関数Jmが小さくなる方向にフィルタ係数Wi が更新されるのであるから、上記(1)式の右辺の内容からも明らかなように、フィルタ係数Wi は、残留振動信号eの自乗値が小さくなると共に、駆動信号yの自乗値をβ倍した値が小さくなるように、逐次更新されることになる。そして、βは発散抑制係数と称される係数であって、この発散抑制係数βが大きくなる程、駆動信号yは小さくなる傾向となる。つまり、発散抑制係数βには制御の発散を抑制する作用がある。
【0055】
そして、収束係数をαとし、上記(1)式で表される評価関数Jmに基づいてフィルタ係数Wi の更新式を求めると、下記の(2)式のようになる。
i (n+1)=Wi (n)+2αRT e(n)−2βαy(n)……(2)
そこで、この(2)式中の「2α」を新たな収束係数αとし、「2βα」を新たな発散抑制係数βとすれば、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の更新式は下記の(3)式のようになる。
【0056】
i (n+1)=Wi (n)+αRT e(n)−βy(n)……(3)
ここで、(n),(n+1)が付く項は、サンプリング時刻n,n+1,における値であることを表している。また、更新用基準信号RT は、理論的には、基準信号xを、能動型エンジンマウント20の電磁アクチュエータ52及び荷重センサ64間の伝達関数Cをモデル化した伝達関数フィルタC^でフィルタ処理をした値であるが、基準信号xの大きさは“1”であるから、伝達関数フィルタC^のインパルス応答を基準信号xに同期して次々と生成した場合のそれらインパルス応答波形のサンプリング時刻nにおける和に一致する。
【0057】
また、理論的には、基準信号xを適応ディジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるため、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ結果になる。
【0058】
さらに、コントローラ25は、上記のような駆動信号yの出力処理及び適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi の更新処理からなる振動低減処理を実行する一方で、制御の発散を検出するための発散抑制処理を実行するようになっている。発散抑制処理は、本実施の形態では適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の絶対値を求め、その絶対値に基づいて演算される判定値が所定のしきい値を超えている場合に発散が生じたと判定するとともに、発散が生じていると判定された場合には、発散抑制係数βをそれまでの値よりも大きくするようになっている。
【0059】
そして、コントローラ25は、上記のような駆動信号yの出力処理及び適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi の更新処理を、基準信号xの最新のインパルスが生成された時点を基準に開始される固定サンプリング・クロックに同期して実行するようになっている。ここで、基準信号xのインパルスの生成に伴ってクリアされ固定サンプリング・クロックに同期してインクリメントされるカウンタをi(=0、1、2、…、L−1)、サンプリング・クロックの一周期内(サンプリング周期内)に実行されるフィルタ係数Wj の更新処理を各フィルタ係数Wj に対して実行するために用いられるカウンタをj(=0、1、2、…、L−1)とすると、上記(3)式に示した各フィルタ係数Wj の更新式は、それらi,jの関係から、具体的には下記のようになる。
【0060】
i=j;
j (n+1)=Wj (n)+αR(0)e(n)−βy(n)……(4)
i−j<0;
j (n+1)=Wj (n)+αR(L1+i−j)e(n)……(5)
i−j≧L1;
j (n+1)=Wj (n)+αR(i−j−L1)e(n)……(6)
0<i−j<L1;
j (n+1)=Wj (n)+αR(i−j)e(n) ……(7)
但し、Lは、基準信号xの一周期(制御周期)内に駆動信号yとして出力されるフィルタ係数Wj の個数(タップ数)であり、基準信号xの一周期を固定サンプリング・クロックの周期で割った結果の小数点以下を切り上げた値である。また、L1は、基準信号xの一周期内に駆動信号yとして出力されるフィルタ係数Wj の実際のタップ長の小数点以下まで考慮して求められる整数タップ長であって、基準信号xの一周期を固定サンプリング・クロックの周期で割った結果を小数点第一位で四捨五入した値である。
【0061】
つまり、コントローラ25内では、0〜(L−1)の間で1ずつ増加するカウンタiのそれぞれに対して、カウンタjを0から(L−1)にまで1ずつ増加させる毎に、上記(4)〜(7)のいずれかの更新式に従ってフィルタ係数Wj が更新されるのである。
【0062】
そして、上記(4)〜(7)式を見ても明らかなように、発散抑制係数β及び駆動信号yに応じた発散抑制作用が働くのは、カウンタiとカウンタjとが一致した場合だけである。
【0063】
そこで、本実施の形態では、各カウンタiについて各フィルタ係数Wj の更新演算を実行している間に、そのカウンタiとカウンタjとが一致したときに実行される予定の上記(4)式の更新演算が完了したか否かを把握するようになっており、仮に、それが完了する前に基準信号xの新たなインパルスが生成された場合には、それが未完了であるという情報を保存するようになっている。
【0064】
そして、コントローラ25は、上記更新演算が未完了であるという情報が保存されている場合には、基準信号xの新たなインパルスが生成された後に、その未完了であった上記(4)式を補うために、下記(8)式の補償更新演算を実行するようになっている。但し、補償更新演算は、基準信号xの新たなインパルスが生成された後の直後のサンプリング・クロック(i=0)において実行するのではなく、二つ目のサンプリング・クロック(i=1)において実行されるようになっている。
【0065】
L (n+1)=WL (n)−β1 1 ……(8)
なお、β1 は、基準信号xの新たなインパルスが生成されたときの発散抑制係数βであり、y1 は、基準信号xの新たなインパルスが生成される直前のサンプリング・クロックに同期して出力された駆動信号yである。そこで、コントローラ25は、基準信号xの新たなインパルスが生成されたときに、上記更新演算が未完了であるという情報が保存されている場合には、その時点の発散抑制係数β及び駆動信号yを、それぞれ発散抑制係数β1 及び駆動信号y1 として記憶するようになっている。
【0066】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
即ち、能動型エンジンマウント20内の流体共振系の共振周波数を20Hzに調節している結果、5〜15Hzの振動であるエンジンシェイク発生時にもある程度の減衰力がこの能動型エンジンマウント20で発生するため、エンジン17側で発生したエンジンシェイクが能動型エンジンマウント20によってある程度減衰されるとともに、図示しない他の流体封入式エンジンマウント等によってもエンジンシェイクは減衰されるから、車体18側の振動レベルが低減される。なお、エンジンシェイクに対しては、特に磁路形成部材78Bを積極的に変位させる必要はない。
【0067】
一方、アイドル振動周波数以上の周波数の振動が入力された場合には、コントローラ25は、所定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ52に駆動信号yを出力し、能動型エンジンマウント20に振動を低減し得る能動的な支持力を発生させる。
【0068】
これを、アイドル振動,こもり音振動入力時にコントローラ25内で実行される処理の概要を示すフローチャートである図4に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定が行われた後に、ステップ102に移行し、タップ数L及び整数タップ長L1が算出される。なお、タップ数Lは、カウンタiに1を加算することにより求めることができ、整数タップ長L1は、ステップ102に移行した時点における後述のタイマの値がサンプリング周期の1/2未満の場合にはタップ数Lと同じでよく、そのタイマの値がサンプリング周期の1/2以上の場合にはタップ数Lに1を加算することにより求めることができる。
【0069】
次いで、ステップ103に移行し、カウンタiが零クリアされた後に、ステップ104に移行し、サンプリング・クロックを計測するためのタイマがクリア・スタートされ、そして、ステップ105に移行し、適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数Wi が駆動信号yとして出力される。
【0070】
次いで、ステップ106に移行し、カウンタiが0か否かが判定され、この判定が「YES」の場合には、制御周期(基準信号xの周期)が始まった直後であると判断して、一制御周期が始まったことに伴う初期処理を実行すべく、ステップ107に移行し、初期処理として、伝達関数フィルタC^に基づき、更新用基準信号RT が演算される。なお、ステップ107では、基準信号xの新たな一周期分の更新用基準信号RT がまとめて演算される。
【0071】
ステップ106の判定が「NO」の場合並びにステップ107の処理を終えた場合には、ステップ108に移行し、残留振動信号eが読み込まれる。そして、ステップ109に移行して、カウンタjが零クリアされ、次いでステップ110に移行し、カウンタiが1で且つフラグFc が1であるか否かが判定される。
【0072】
フラグFc は、基準信号xの最新のインパルスが生成される直前の制御周期の最後のサンプリング・クロックに同期して実行されるはずであった上記(4)式の更新演算が、実行されずに制御周期が換わってしまった場合に1にセットされているフラグである。
【0073】
そして、ステップ110の判定が「YES」の場合には、ステップ111に移行し、上記(8)式に従ってフィルタ係数WL を更新する。
ステップ110の判定が「NO」の場合並びにステップ111の処理を終えた場合には、ステップ112に移行し、カウンタiが0であるか否かが判定され、この判定が「NO」の場合にはステップ113に移行し、フラグFc が1にセットされる。
【0074】
ステップ112の判定が「YES」の場合並びにステップ113の処理を終えた場合には、ステップ114に移行し、カウンタiの値とカウンタjの値とが等しいか否かが判定され、この判定が「YES」の場合には、ステップ115に移行し、上記(4)式に従ってフィルタ係数Wj が更新される。そして、ステップ116に移行し、カウンタiが0であるか否かが判定され、この判定が「NO」の場合には、ステップ117に移行し、フラグFc を0にセットする。
【0075】
一方、ステップ114の判定が「NO」の場合には、ステップ118に移行して、カウンタiの値からカウンタjの値を減じた値(i−j)が負であるか否かが判定され、この判定が「YES」の場合には、ステップ119に移行し、上記(5)式に従ってフィルタ係数Wj が更新される。
【0076】
また、ステップ118の判定が「NO」の場合には、ステップ120に移行して上記値(i−j)が整数タップ長L1以上であるか否かが判定され、この判定が「YES」の場合には、ステップ121に移行し、上記(6)式に従ってフィルタ係数Wj が更新される。
【0077】
そして、ステップ120の判定が「NO」の場合には、ステップ122に移行し、上記(7)式に従ってフィルタ係数Wj が更新される。
ステップ117、119、121又は122からステップ123に移行し、基準信号xの次のインパルスが入力されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力されていないと判定された場合には、適応ディジタルフィルタWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力処理を実行すべく、ステップ124に移行する。
【0078】
ステップ124では、全フィルタ係数Wj に対する更新演算が完了しているか否か、つまりカウンタjがタップ数L(正確には、カウンタjは0からスタートするため、タップ数Lから1を減じた値)に達しているか否かが判定され、この判定が「NO」の場合には、ステップ125に移行し、カウンタjをインクリメントした後に、ステップ112に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0079】
しかし、ステップ124の判定が「YES」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wj のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ126に移行してカウンタiをインクリメントする。次いでステップ127に移行し、上記ステップ104でクリア・スタートさせたタイマの計測時間が固定サンプリング・クロックの周期に達するまで待機した後、上記ステップ104に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0080】
一方、ステップ123で基準信号xの新たなインパルスが入力されたと判断された場合には、ステップ128に移行し、フラグFc が1であるか否かが判定され、この判定が「YES」の場合にはステップ129に移行し、その時点の発散抑制係数βをβ1 として記憶し、同じくその時点の駆動信号yをy1 として記憶する。ステップ128の判定が「NO」の場合並びにステップ129の処理を終えた場合には、ステップ102に戻って、上述した処理を繰り返し実行する。
【0081】
このような図4の処理を繰り返し実行する結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント20の電磁アクチュエータ52に対しては、基準信号xが入力された時点から、固定サンプリング・クロックに同期して、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が順番に駆動信号yとして供給される。
【0082】
この結果、励磁コイル52bに駆動信号yに応じた磁力が発生するが、磁路形成部材78Bには、すでに永久磁石52cによる一定の磁力が付与されているから、その励磁コイル52bによる磁力は永久磁石52cの磁力を強める又は弱めるように作用すると考えることができる。このように、永久磁石52cの磁力が強まったり弱まったりすると、可動部材78が正逆両方向に変位し、可動部材78が変位すれば、主流体室84の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体32の拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウント20に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのである。
【0083】
そして、駆動信号yとなる適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi は、SFXアルゴリズムに従った上記(4)〜(7)式によって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過して適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エンジンマウント20に供給されることによって、エンジン17から能動型エンジンマウント20を介して車体18側に伝達されるアイドル振動やこもり音振動が低減されるようになる。
【0084】
一方、コントローラ25内では、図4に示した振動低減処理の実行中に、所定の割り込みタイミングで、図5に示す発散検出処理が実行される。即ち、図5の発散抑制処理が実行されると、先ずそのステップ201において、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の絶対値に基づいて、発散判定用の判定値WH が演算される。なお、判定値WH は、例えばフィルタ係数Wi の絶対値のうちの最大値としてもよいし、或いは、そのフィルタ係数Wi の絶対値の所定個数の和としてもよい。
【0085】
次いで、ステップ202に移行し、その判定値WH が所定のしきい値Wthよりも大きいか否かが判定される。このしきい値Wthは、判定値WH が過大であるか否かを判定するためのしきい値であって、このステップ202の判定が「NO」の場合には、特に判定値WH は過大ではなく、従ってその演算根拠であるフィルタ係数Wi は、適切な振動低減制御実行中に採り得る通常の範囲内に納まっていると判断できる。そこで、制御には特に発散傾向は認められないと判断して、この今回の発散検出処理を終了する。
【0086】
しかし、ステップ202の判定が「YES」の場合には、判定値WH は過大であり、その演算根拠であるフィルタ係数Wi は、適切な振動低減制御実行中には採り得ない大きな値に至っていると判断できる。そこで、振動低減制御は発散傾向にあると判断し、ステップ203に移行して、発散抑制係数βを、それまでよりも大きな値に再設定する。
【0087】
この発散検出処理においてステップ203の処理が実行されると、発散抑制係数βが増大するため、上記(4)式の右辺第3項は発散抑制係数βが増大する前よりも大きくなる。すると、上記(4)式に従って更新されるフィルタ係数Wj は、更新演算される際に原点(=0)に近づく傾向が強くなるから、制御の発散によって増大傾向にあったフィルタ係数Wj が小さくなり、それに伴って駆動信号yが小さくなって、能動型エンジンマウント20で発生する制御振動が小さくなる。
【0088】
従って、上記(4)式に示す更新処理が、各フィルタ係数Wj に対して間違いなく実行されれば、上述したような発散抑制作用が得られて、制御の発散傾向が解消又は低減されるのである。
【0089】
しかし、駆動信号yの出力の様子を表した図6に示されるように、駆動信号yとして出力されるフィルタ係数Wj の出力間隔は固定であっても、基準信号xとしてのインパルスの入力周期はエンジン17の回転数によって可変であるため、そのインパルスが入力されたときに駆動信号yとして出力されていたフィルタ係数j (図6の例では、フィルタ係数W6 )の出力間隔は、他のフィルタ係数(図6の例では、フィルタ係数W0 〜W5 )に比べて、短くなる。
【0090】
このため、図7に示すように、フィルタ係数W6 の出力間隔が極端に短くなってしまう場合も考えられる。すると、図4の処理において、i=6のときにはステップ123の判定が直ぐに「YES」となってしまい、ステップ112〜122の処理が僅かな回数しか繰り返されず、フィルタ係数Wj の更新演算が不十分になる。
【0091】
すると、ステップ114の判定が「YES」となってステップ115の処理が実行されることなく、ステップ123の判定が「YES」となってしまうから、その時点では、フィルタ係数W6 に対しては発散抑制作用が与えられない。
【0092】
しかし、ステップ115の処理が実行されることなくステップ123の判定が「YES」となった場合には、ステップ113で1にセットされたフラグFc がそのままの状態を保持することになる。
【0093】
その結果、ステップ128の判定が「YES」となってステップ129の処理が実行されるとともに、その次の制御周期の処理において、二つ目のサンプリング・クロック(i=1)のときにステップ110の判定が「YES」となって、ステップ111の処理が実行され、上記(8)式に従ってフィルタ係数W6 に対する更新演算が行われる。
【0094】
すると、その前の制御周期でステップ123の判定が「YES」となった時点では不十分であったフィルタ係数W6 に対する発散抑制作用が補われるようになるから、駆動信号yとして出力される全てのフィルタ係数Wi に対して発散抑制作用を与えることができるのである。例えば、図8に示すように、発散抑制係数βによる発散抑制作用がフィルタ係数W0 〜W6 に対して均等に作用するから、同じ割合で小さくなってフィルタ係数W0'〜W6'となり、不快な制御振動が発生するようなことが防止されるのである。因みに、ステップ111の処理が実行されないような構成であると、図8に破線で示すように、フィルタ係数W6'だけが縮小されず、そのフィルタ係数W6'によって不快な制御振動が発生してしまう可能性が高いのである。
【0095】
また、本実施の形態では、ステップ110の判定内容からも判るように、新たな制御周期が開始されてから二つ目のサンプリング・クロックに同期して補償更新演算(ステップ111)を実行するようにしているため、各サンプリング・クロックに同期した演算処理負担のアンバランスを助長しないで済むという利点がある。つまり、新たな制御周期が開始してから最初のサンプリング・クロックに同期して、ステップ107の処理が実行されるため、補償更新演算をもその最初のサンプリング・クロックに同期して実行するようにしてしまうと、各サンプリング・クロック毎の演算負荷のアンバランスが大きくなってしまうのである。また、新たな制御周期が開始されてから二つ目のサンプリング・クロックに同期して補償更新演算を実行する構成であれば、その補償更新演算を実行したことによりステップ115の処理に移行する前にステップ123の判定が「YES」となってしまう確率を、最小にできるという利点もある。
【0096】
ここで、本実施の形態では、エンジン17が振動源に対応し、能動型エンジンマウント20の荷重センサ64以外の部分が制御振動源に対応し、荷重センサ64が残留振動検出手段に対応し、パルス信号生成器19が基準信号生成手段に対応し、図4の処理において、ステップ104、127の処理がサンプリング・クロック生成手段に対応し、ステップ105の処理が駆動信号生成手段に対応し、ステップ107の処理が更新用基準信号生成手段に対応し、ステップ114、115、118〜122の処理が適応処理手段に対応し、ステップ112、113、116、117の処理が処理状況把握手段に対応し、ステップ110、111、128、129の処理が更新演算補償手段に対応する。
【0097】
なお、上記実施の形態においては、残留振動を能動型エンジンマウント20に内蔵した荷重センサ64によって検出しているが、これに限定されるものではなく、例えば車室内の乗員足元位置にフロア振動を検出する加速度センサを配設し、その加速度センサの出力信号を残留振動信号eとしてもよい。
【0098】
そして、上記実施の形態においては、本発明における能動型騒音振動制御装置をエンジン17から車体18に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制御装置に適用した場合について説明したが、本発明の対象はこれに限定されるものではなく、エンジン17以外で発生する振動を低減するための能動型振動制御装置であっても本発明は適用可能である。
【0099】
また、例えば騒音源としてのエンジン17から車室内に伝達される騒音を低減する能動型騒音制御装置であってもよく、かかる能動型騒音制御装置とする場合には、車室内に制御音を発生するための制御音源としてのラウドスピーカと、車室内の残留騒音を検出する残留騒音検出手段としてのマイクロフォンとを設け、上記実施の形態と同様の演算処理を実行すれば、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
さらに、上記各実施の形態では、駆動信号yを生成するアルゴリズムとしてSFXアルゴリズムを適用しているが、適用可能なアルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例えば、通常のLMSアルゴリズム、Filtered−X LMSアルゴリズム等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態を示す車両の概略構成図である。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を平面視で示した図である。
【図3】図2のA−A矢視断面及びB−B矢視断面図である。
【図4】振動低減処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】発散検出処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】駆動信号yの出力の様子を示す波形図である。
【図7】一制御周期の最後の駆動信号の出力間隔が極端に短くなった場合の波形図である。
【図8】発散抑制作用が働いたときの様子を示す駆動信号の波形図である。
【符号の説明】
17 エンジン(振動源)
18 車体
19 パルス信号生成器(基準信号生成手段)
20 能動型エンジンマウント(制御振動源)
25 コントローラ
52 電磁アクチュエータ
64 荷重センサ(残留振動検出手段)

Claims (6)

  1. 騒音源又は振動源から発せられる周期的な騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記周期的な騒音又は振動に同期したインパルス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号の最新のインパルスが生成された時点を基準として周期が固定のサンプリング・クロックを生成するサンプリング・クロック生成手段と、前記干渉後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記サンプリング・クロックに同期して前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を順番に駆動信号として前記制御音源又は制御振動源に出力する駆動信号生成手段と、前記制御音源又は制御振動源と前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段との間の伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号と前記伝達関数フィルタとを畳み込んで更新用基準信号を生成する更新用基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記更新用基準信号に基づいて前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
    前記基準信号の新たなインパルスが生成されたときの前記適応処理手段の更新演算の処理状況を把握する処理状況把握手段と、この処理状況把握手段が把握した前記処理状況に基づき、前記新たなインパルスの生成により実行できなかった更新演算の一部又は全部を、補償更新演算として前記新たなインパルスの生成後に実行する更新演算補償手段と、を備え
    前記更新演算補償手段は、前記新たなインパルスが生成された後の二つ目の前記サンプリング・クロックに同期して、前記補償更新演算を実行するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  2. 騒音源又は振動源から発せられる周期的な騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記周期的な騒音又は振動に同期したインパルス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号の最新のインパルスが生成された時点を基準として周期が固定のサンプリング・クロックを生成するサンプリング・クロック生成手段と、前記干渉後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記サンプリング・クロックに同期して前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を順番に駆動信号として前記制御音源又は制御振動源に出力する駆動信号生成手段と、前記制御音源又は制御振動源と前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段との間の伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号と前記伝達関数フィルタとを畳み込んで更新用基準信号を生成する更新用基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記更新用基準信号に基づいて前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
    前記基準信号の新たなインパルスが生成されたときの前記適応処理手段の更新演算の処理状況を把握する処理状況把握手段と、この処理状況把握手段が把握した前記処理状況に基づき、前記新たなインパルスの生成により実行できなかった更新演算の一部又は全部を、補償更新演算として前記新たなインパルスの生成後に実行する更新演算補償手段と、を備え、
    前記適応処理手段は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制項を含む更新式を用いて前記フィルタ係数を更新するようになっており、前記処理状況把握手段は、前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分であるか否かを把握するようになっており、前記更新演算補償手段は、前記新たなインパルスの生成前の前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分でない場合に、それを補うための更新演算を前記補償更新演算として実行するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  3. 前記適応処理手段は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制項を含む更新式を用いて前記フィルタ係数を更新するようになっており、前記処理状況把握手段は、前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分であるか否かを把握するようになっており、前記更新演算補償手段は、前記新たなインパルスの生成前の前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分でない場合に、それを補うための更新演算を前記補償更新演算として実行するようになっている請求項1記載の能動型騒音振動制御装置。
  4. 騒音源又は振動源から発せられる周期的な騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記周期的な騒音又は振動の発生状態を表す基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号の一周期が始まった時点を基準として周期が固定のサンプリング・クロックを生成するサンプリング・クロック生成手段と、前記干渉後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号と前記適応ディジタルフィルタとを畳み込んで前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成しそれを前記サンプリング・クロックに同期して出力する駆動信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づいて前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
    前記基準信号の一周期が終了したときの前記適応処理手段の更新演算の処理状況を把握する処理状況把握手段と、この処理状況把握手段が把握した前記処理状況に基づき、前記基準信号の一周期の終了により実行できなかった更新演算の一部又は全部を、補償更新演算として前記基準信号の新たな一周期中に実行する更新演算補償手段と、を備え
    前記更新演算補償手段は、前記基準信号の新たな一周期が始まった後の二つ目の前記サンプリング・クロックに同期して、前記補償更新演算を実行するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  5. 騒音源又は振動源から発せられる周期的な騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記周期的な騒音又は振動の発生状態を表す基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記基準信号の一周期が始まった時点を基準として周期が固定のサンプリング・クロックを生成するサンプリング・クロック生成手段と、前記干渉後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号と前記適応ディジタルフィルタとを畳み込んで前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成しそれを前記サンプリング・クロックに同期して出力する駆動信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づいて前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
    前記基準信号の一周期が終了したときの前記適応処理手段の更新演算の処理状況を把握する処理状況把握手段と、この処理状況把握手段が把握した前記処理状況に基づき、前記基準信号の一周期の終了により実行できなかった更新演算の一部又は全部を、補償更新演算として前記基準信号の新たな一周期中に実行する更新演算補償手段と、を備え、
    前記適応処理手段は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制項を含む更新式を用いて前記フィルタ係数を更新するようになっており、前記処理状況把握手段は、前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分であるか否かを把握するようになっており、前記更新演算補償手段は、前記基準信号の一周期の終了前の前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分でない場合に、それを補うための更新演算を前記補償更新演算として実行するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  6. 前記適応処理手段は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制項を含む更新式を用いて前記フィルタ係数を更新するようになっており、前記処理状況把握手段は、前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分であるか否かを把握するようになっており、前記更新演算補償手段は、前記基準信号の一周期の終了前の前記発散抑制項による発散抑制作用が各フィルタ係数に対して十分でない場合に、それを補うための更新演算を前記補償更新演算として実行するようになっている請求項4記載の能動型騒音振動制御装置。
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