JP3747619B2 - 能動型振動制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パワーユニット等の振動体から車体等の支持体側に伝達される振動を能動的な支持力(制御振動)によって低減することができる能動型振動制御装置に関し、特に、振動体と支持体との間に介在して能動的な支持力を発生する防振支持装置が、支持弾性体によって画成され流体が封入された流体室の隔壁の一部を振動させることにより能動的な支持力を発生するようになっており、その防振支持装置に対する駆動信号をLMSアルゴリズム等の適応アルゴリズムに従って生成するようになっている能動型振動制御装置において、振動低減性能のさらなる向上を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の技術としては、例えば本出願人が先に提案した特開平8−109946号公報等に記載されたものがある。即ち、かかる公報に開示された従来の技術にあっては、振動体と支持体との間に介在する防振支持装置を、受動的な液体封入式の防振支持装置と同様に、二つの流体室間を往来する流体の共振を利用して振動体から支持体側に伝達される振動を抑制できるようにするとともに、比較的高周波の振動に対しては、流体室の隔壁の一部を形成する可動部材を能動的に変位させ、流体室の圧力変化を支持弾性体の拡張バネに作用させ、もって能動的な支持力を発生させ振動を打ち消すことができるようにしていた。
【0003】
つまり、防振支持装置内の流体室の隔壁の一部を形成する可動部材を、その流体室の容積が変化する方向に変位可能に弾性部材によって防振支持装置内に弾性支持するとともに、その可動部材を例えば電磁アクチュエータで振動させることにより、流体室の容積を積極的に変化させるようにしていた。また、電磁アクチュエータを駆動させる駆動信号は、振動の発生状態を表す基準信号と、振動の低減状態を表す残留振動信号とに基づいて、LMSアルゴリズム等の適応アルゴリズムに従って生成するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、上記従来の装置であっても、防振支持装置を通じて振動体から支持体側に伝達される振動を、能動的な支持力によってある程度相殺することができるから、支持体側の振動低減に寄与することができる。
【0005】
一方、上記のような防振支持装置の場合、流体室の隔壁を構成する可動部材を振動させて能動的な支持力を発生するのであるが、その可動部材には、支持弾性体及び流体室内の流体を通じて常にパワーユニットの荷重が加わっている。そして、防振支持装置に加わる荷重、つまり防振支持装置の分担荷重は、パワーユニットの駆動状況によって変化するため、可動部材が受ける荷重も一定ではない。すると、可動部材とアクチュエータとの間の距離も変化することになるから、かかる距離の変化により、防振支持装置に対する駆動信号と防振支持装置に発生する支持力との間の伝達関数の特にゲイン特性が変化してしまう。そして、その伝達関数の変化も、より高精度の防振制御を実行するためには無視するべきではない。
【0006】
しかしながら、従来の能動型振動制御装置にあっては、防振支持装置に加わる荷重に基づいて例えば駆動信号の生成処理の内容を調整するようにはなっていなかったから、上記伝達関数の変化に対処することはできず、その分、振動低減効果が低いというのが実状であった。
【0007】
例えば、FF横置エンジンを備える車両において、パワーユニットと車体との間に介在するエンジンマウントのうち、クランク軸を挟んで車両前側及び後側に位置するエンジンマウントを、能動的な支持力を発生可能な防振支持装置とした場合に、自動変速機のシフト位置がニュートラル位置にあるときの上記伝達関数を基準に制御系を設計してしまうと、前進方向に駆動力が加わったとき(シフト位置がドライブ位置にあるとき)には、車両前側の防振支持装置に加わる荷重は減少し、車両後側の防振支持装置に加わる荷重は増加する。逆に、後退方向に駆動力が加わったとき(シフト位置がリバース位置にあるとき)には、車両前側の防振支持装置に加わる荷重は増加し、車両後側の防振支持装置に加わる荷重は減少する。そして、基準の状態よりも荷重が減少した防振支持装置にあっては、可動部材とアクチュエータとの間の距離が広がって伝達関数のゲイン特性が小さくなるから、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新速度が元のままでは追従性が低下したことになるし、基準の状態よりも荷重が増加した防振支持装置にあっては、可動部材とアクチュエータとの間の距離が狭まって伝達関数のゲイン特性が大きくなり、フィルタ係数の更新速度が元もままでは制御が不安定になる可能性がある。
【0008】
なお、特開平6−72159号公報に開示された振動低減装置にあっては、パワーユニットから発せられる振動に基づく基準信号を受け、車両の振動が低減するように駆動信号を生成し出力する制御手段に、自動変速機のシフト状態に基づいて駆動信号を補正する駆動信号補正手段を設けていて、例えば、適応演算に用いられる収束係数をシフト位置に応じて変化させるようになっている。しかし、かかる公報記載の振動低減装置は、自動変速機の変速段が低速段であるほどギヤの回転数が大きく変化して車両の振動状態が変化し易いため、収束係数を大きくして制御の追従性を高める一方、高速段では車両の振動状態が変化し難いため、収束係数を小さくして制御の安定性を高める、というものであり、荷重変化を全く考慮していないから、例えば、横置エンジンのクランク軸を挟んで車両前側に配設した能動型振動制御装置用の収束係数と車両後側に配設した能動型振動制御装置用の収束係数とを、シフト位置がニュートラルからドライブに移行した際に荷重変化を考慮して互いに逆方向に変化させるようにはなっておらず、やはり上記伝達関数の変化に有効に対処できるものではなかった。
【0009】
本発明は、このような従来の技術が有する解決すべき課題に着目してなされたものであって、上記荷重の変化に伴って上記伝達関数の特性が変化しても、良好な振動低減制御を実行することができる能動型振動制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、さらに、前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設け、前記更新量調整手段は、前記荷重が増加したと判断された前記防振支持装置については前記更新量が小さくなる調整を行い、前記荷重が減少したと判断された前記防振支持装置については前記更新量が大きくなる調整を行うようにした。
【0011】
なお、荷重検出手段は、防振支持装置に加わる荷重の大きさを検出又は推定する手段でもよいし、或いは防振支持装置に加わる荷重の変化(基準状態に比べて増加しているか、減少しているか)を検出又は推定する手段であってもよい。
【0012】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明である能動型振動制御装置を車両に適用したものであって、前記振動体はエンジンを含むパワーユニットであり、前記荷重検出手段は、自動変速機のシフト位置に基づいて前記荷重を検出又は推定するようにした。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に係る発明である能動型振動制御装置において、前記荷重検出手段は、インヒビット信号とリバースランプ状態とに基づいて前記自動変速機のシフト位置を区別するようにした。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項4に係る発明は、振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、さらに、前記駆動信号の振幅と前記残留振動信号の振幅とに基づいて前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設けた。
【0015】
請求項5に係る発明は、上記請求項4に係る発明である能動型振動制御装置において、前記荷重検出手段は、前記駆動信号の振幅が所定のしきい値を超え、且つ、前記残留振動信号の振幅が所定のしきい値を超えた場合に、前記荷重が減少していると判断するようにした。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項6に係る発明は、振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、さらに、前記駆動信号の振幅に基づいて前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設けた。
【0017】
そして、請求項7に係る発明は、上記請求項6に係る発明である能動型振動制御装置において、前記荷重検出手段は、予め測定した標準的な前記駆動信号の振幅よりも、実際の前記駆動信号の振幅の方が大きい場合に、前記荷重が減少していると判断するようにした。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項8に係る発明は、振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、さらに、前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設け、前記荷重検出手段は、前記防振支持装置に加わる静荷重の検出が可能な荷重センサと、この荷重センサの出力から静荷重成分を抽出するフィルタ手段と、を備えた。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項9に係る発明は、振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、さらに、前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設けており、前記振動体と前記支持体との間に複数の前記防振支持装置を有し、前記複数の前記防振支持装置のうちの少なくとも二つの防振支持装置は、前記荷重の増減について互いに相補の関係となる位置に配設されており、前記荷重検出手段は、前記二つの前記防振支持装置の一方について前記荷重が減少したと判断した場合には、その他方について前記荷重が増加したと判断するようにした。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項10に係る発明は、車両に適用され、振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、さらに、前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設けており、前記振動体はエンジンを含むパワーユニットであり、前記エンジンのクランク軸を挟んだ両側に位置する少なくとも二つの前記防振支持装置を有しており、前記荷重検出手段は、前記二つの前記防振支持装置の一方について前記荷重が減少したと判断した場合には、その他方について前記荷重が増加したと判断するようにした。
【0021】
そして、請求項11に係る発明は、上記請求項乃至請求項10に係る発明である能動型振動制御装置において、前記更新量調整手段は、前記荷重が増加したと判断された前記防振支持装置については前記更新量が小さくなる調整を行い、前記荷重が減少したと判断された前記防振支持装置については前記更新量が大きくなる調整を行うようにした。
【0022】
ここで、請求項1に係る発明にあっては、更新量調整手段を有するため、フィルタ係数更新手段によるフィルタ係数の更新量は、更新量を決める基準信号や残留振動信号等の本来の情報の他に、荷重検出手段が検出又は推定した防振支持装置に加わる荷重情報に基づいても可変となっている。具体的には、荷重の増減に伴って防振支持装置の駆動信号→支持力間の伝達関数が変化しても、その変化による影響を相殺するように更新量調整手段は荷重が増加したと判断された場合と、荷重が減少したと判断された場合とで、逆の調整を行うようになっている。つまり、荷重が増加した場合には、駆動信号→支持力間の伝達関数のゲイン特性は大きくなるので、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新速度が過大であると制御が不安定になり易いし、逆に、荷重が減少した場合には、上記ゲイン特性は小さくなるので、フィルタ係数の更新速度が過少であると制御追従性が低下する傾向になり易い、ということから、荷重増加時には更新量が小さくなる調整を行い、逆に荷重減少時には更新量が大きくなる調整を行うことにより、荷重増減に起因して制御が不安定になったり或いは制御の追従性が低下する等の不具合が、解消又は低減される。
【0023】
また、請求項2に係る発明は、本発明を車両に適用したものであり、自動変速機のシフト位置によってエンジンマウントに加わる荷重が増減することに着目してなされたものである。例えば、エンジンが横置式であり、その横置エンジンの車両前側の位置や車両後側の位置に配されるエンジンマウントを本発明の防振支持装置とした場合、その防振支持装置に加わる荷重は自動変速機のシフト位置によって異なる。従って、荷重検出手段は、エンジンの形式(横置、縦置等)や防振支持装置の配置等を予め把握しておけば、自動変速機のシフト位置から、その防振支持装置に加わっている荷重が、基準状態(例えば、シフト位置がニュートラル位置(Nレンジ)やパーキング位置(Pレンジ)にあるとき)の荷重に比較して、変わらないのか、増加しているのか、減少しているのか、を判断できるのである。
【0024】
そして、請求項3に係る発明は、シフト位置を、インヒビット信号と、リバースランプの状態(点灯、消灯)とに基づいて、判断する。つまり、インヒビット信号は、自動変速機に設けられたインヒビタスイッチが生成する信号であって、シフト位置がNレンジ又はPレンジあるとき以外にはエンジンを始動させない制御において、自動変速機がNレンジ又はPレンジにあるときとそれ以外とを区別するために用いられる信号である。これに対し、リバースランプは、車両が後退する際に点灯するランプであり、従って、このリバースランプが点灯してるか或いは消灯しているかに基づけば、自動変速機が後退位置(Rレンジ)にあるか、それ以外の位置(前進位置(Dレンジ)、Nレンジ、Pレンジ)にあるかを区別することができる。よって、インヒビット信号とリバースランプの状態との両方に基づけば、前記荷重検出手段は、自動変速機のシフト位置が、Dレンジにあるか、Rレンジにあるか、N又はPレンジにあるかを、区別することができる。
【0025】
一方、請求項4に係る発明は、駆動信号の振幅と、残留振動信号の振幅とに基づいて、防振支持装置に加わっている荷重状態を検出又は推定するのであるが、これは、上記伝達関数のゲイン特性が変化すると、その影響は駆動信号の振幅や残留振動信号の振幅に現れるため、逆に、それら駆動信号の振幅及び残留振動信号の振幅を監視することにより、荷重の変化状況を推定することができるのである。
【0026】
例えば、請求項5に係る発明のように、駆動信号及び残留振動信号のそれぞれについて予め所定のしきい値を設定しておけば、駆動信号の振幅が所定のしきい値を超え、且つ、残留振動信号の振幅が所定のしきい値を超えた場合に、荷重が減少していると判断することも可能である。つまり、防振支持装置に加わる荷重が減少すると、駆動信号→支持力の伝達関数のゲイン特性は小さくなるから、同じ大きさの支持力を発生するためには荷重減少前よりも大きな駆動信号を発生させなければならないし、駆動信号が荷重減少に併せて十分に大きくなるまでの間は振動の低減代が小さく残留振動が比較的大きな状態になる。このような現象があるため、駆動信号がある程度大きいにも関わらず、残留振動が大きめの場合が確認されたときには、荷重が減少していると判断することが可能なのである。
【0027】
請求項6に係る発明は、駆動信号の振幅に基づいて、防振支持装置に加わっている荷重状態を検出又は推定するのであるが、これは、上記伝達関数のゲイン特性が変化すると、その影響は先ず第一に駆動信号の振幅に現れるため、その駆動信号の振幅を監視することにより、荷重の変化状況を推定することができるのである。
【0028】
例えば、請求項7に係る発明のように、予め測定した標準的な駆動信号の振幅を記憶しておき、その標準的な駆動信号の振幅と、実際の駆動信号の振幅とを比較し、後者の方が大きい場合には、荷重が減少していると判断することも可能である。つまり、防振支持装置に加わる荷重が減少すると、駆動信号→支持力の伝達関数のゲイン特性は小さくなるから、同じ大きさの支持力を発生するためには荷重減少前よりも大きな駆動信号を発生させなければならない。よって、駆動信号の振幅が標準的な振幅よりも大きいことが確認されたときには、荷重が減少していると判断することが可能なのである。
【0029】
請求項8に係る発明は、上記請求項2〜7に係る発明とは異なり、もっと直接的に荷重の変化を検出するものであって、荷重検出手段は、荷重センサの出力から抽出される静荷重成分に基づいて荷重を検出又は推定する。荷重センサは、別途設けてもよいが、残留振動検出手段と兼用することが望ましい。つまり、防振支持装置と支持体との間に荷重センサを介在させ、その荷重センサの出力を、残留振動信号として利用するとともに、フィルタ手段に供給して静荷重成分を抽出する。
【0030】
請求項9及び請求項10に係る発明は、複数の防振支持装置を有する能動型振動制御装置にあっては、それら防振支持装置が、荷重変化が互いに相補関係となるような位置に配設される場合があることに着目したものである。つまり、振動体の駆動状況によっては、その振動体自体が前傾したり後傾したりすることがあり、生じる傾斜の方向と各防振支持装置の配設位置との関係を把握しておけば、一の防振支持装置の分担荷重が減少したという判断によって、他の防振支持装置の分担荷重が増加したという判断も行えるのである。
【0031】
具体的には、請求項10に係る発明のように車両に適用した場合には、エンジンには、その駆動輪からの反力によって略クランク軸を回転中心とした傾斜が生じるし、その傾斜の方向も反力の向きによっては(つまり、シフト位置がDレンジにある場合とPレンジにある場合とでは)逆になるということが判っているから、クランク軸を挟んで一方の側にある防振支持装置の荷重が減少している場合には、他方の側にある防振支持装置の荷重は逆に増加していると判断できるのである。
【0032】
請求項11に係る発明は、上記請求項4〜10に係る発明における更新量調整手段の具体的な調整内容を限定したものであって、請求項1に係る発明と同様に、荷重が増加したと判断された場合と、荷重が減少したと判断された場合とで、逆の調整を行うようになっているため、制御が不安定になったり、或いは制御の追従性が低下するという不具合を、解消又は低減できるのである。
【0033】
なお、更新量調整手段による具体的な調整の方法は、例えば、適応アルゴリズムとしてFiltered−X LMSアルゴリズムや同期式Filtered−X LMSアルゴリズムを用いている場合には、いわゆる収束係数の大きさを調整したり、更新用基準信号(リファレンス信号)の振幅を調整したり、或いはその両方を調整したりする方法が考えられる。ここで、収束係数とは、LMSアルゴリズムにおいて適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新量を調整するために乗じられる係数であり、また、更新用基準信号とは、振動の発生状態を表す基準信号を、駆動信号→防振支持装置→制御振動(能動的な支持力)→残留振動信号という系の伝達関数に入力した場合の応答信号のことである。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、荷重検出手段及び更新量調整手段を設けたため、防振支持装置に加わる荷重の変化に伴って制御系の伝達関数が変化しても、それを相殺するようにフィルタ係数の更新量が調整されるから、制御が不安定になったり或いは制御の追従性が低下する等の不具合を解消又は低減することが可能になるという効果がある。
【0035】
特に、請求項2〜7に係る発明であれば、特に新たなセンサ等を設けなくても済むから、コスト的に有利であるという効果もある。
さらに、請求項9又は10に係る発明であれば、荷重検出手段における検出又は推定処理の内容が簡易になるという効果もある。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態の構成を示す図であって、図1は本発明に係る能動型振動制御装置を適用した車両の概略側面図、図2は同車両のエンジンルームの概略平面図である。
【0037】
先ず、構成を説明すると、横置式のエンジン30A等を含んで構成されるパワーユニット30が、車両前後方向端部の二位置及び左右方向端部の二位置の計四位置において、サスペンションメンバ等から構成される車体35に支持されている。即ち、パワーユニット30の前後方向端部の二位置と車体35との間には、駆動信号に応じた能動的な支持力を発生可能な能動型エンジンマウント1F,1Rが介在するとともに、パワーユニット30の左右方向端部の二位置と車体35との間には、それらパワーユニット30及び車体35間の相対変位に応じた受動的な支持力を発生するエンジンマウント50L,50Rが介在している。エンジンマウント50L,50Rとしては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常のエンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウントインシュレータ等が適用できる。
【0038】
一方、能動型エンジンマウント1F,1Rは、例えば図3に示すように構成されている。即ち、この実施の形態における能動型エンジンマウント1F,1Rは、パワーユニット30への取付け用のボルト2aを上部に一体に備え且つ内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有し、このキャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向く内筒3の上端部がかしめ止めされている。
【0039】
内筒3は、下端側の方が縮径した形状となっていて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、ここに円形の開口部3aが形成されている。そして、内筒3の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上下に二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止め部分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設されている。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の側面に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0040】
さらに、内筒3の内側にはオリフィス構成体5が配設されている。このオリフィス構成体5は、内筒3の内部空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面には円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部5aと、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オリフィス5bを介して連通するようになっている。オリフィス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に沿って螺旋状に延びる溝と、その溝の一端部を凹部5aに連通させる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連通させる流路とで構成される。
【0041】
一方、内筒3の外周面には、内周面側が若干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面は、上端側が拡径した円筒部材としての外筒7の内周面上部に加硫接着されている。
【0042】
そして、外筒7の下端部は上面が開口した円筒形のアクチュエータケース8の上端部にかしめ止めされていて、そのアクチュエータケース8の下端面からは、車体35側への取付け用の取付けボルト9が突出している。取付けボルト9は、その頭部9aが、アクチュエータケース8の内底面に張り付いた状態で配設された平板部材8aの中央の空洞部8bに収容されている。
【0043】
さらに、アクチュエータケース8の内側には、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10Aの中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲された部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石10Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設されている。
【0044】
また、アクチュエータケース8の上端部はフランジ状に形成されたフランジ部8Aとなっていて、そのフランジ部8Aに外筒7の下端部がかしめられて両者が一体となっているのであるが、そのかしめ止め部分には、円形の金属製の板バネ11の周縁部(端部)が挟み込まれていて、その板バネ11の中央部の電磁アクチュエータ10側には、リベット11aによって磁化可能な磁路部材12が固定されている。なお、磁路部材12はヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円板であって、その底面が電磁アクチュエータ10に近接するような厚みに形成されている。
【0045】
さらに、上記かしめ止め部分には、フランジ部8Aと板バネ11とに挟まれるように、リング状の薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14aとが支持されている。具体的には、アクチュエータケース8のフランジ部8A上に、薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14aと、板バネ11とをこの順序で重ね合わせるとともに、その重なり合った全体を外筒7の下端部をかしめて一体としている。
【0046】
力伝達部材14は、磁路部材12を包囲する短い円筒形の部材であって、その上端部がフランジ部14aとなっており、その下端部は電磁アクチュエータ10のヨーク10Aの上面に結合している。具体的には、ヨーク10Aの上端面周縁部に形成された円形の溝に、力伝達部材14の下端部が嵌合して両者が結合されている。また、力伝達部材14の弾性変形時のバネ定数は、薄膜弾性体13のバネ定数よりも大きい値に設定されている。
【0047】
ここで、本実施の形態では、支持弾性体6の下面及び板バネ11の上面によって画成された部分に流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5aによって画成された部分に副流体室16が形成されていて、これら流体室15及び副流体室16間が、オリフィス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通している。なお、これら流体室15,副流体室16及びオリフィス5b内には、油等の流体が封入されている。
【0048】
かかるオリフィス5bの流路形状等で決まる流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェイク発生時、つまり5〜15Hzで能動型エンジンマウント1F,1Rが加振された場合に高動バネ定数、高減衰力を示すように調整されている。
【0049】
そして、電磁アクチュエータ10の励磁コイル10Bは、コントローラ25からハーネス23aを通じて供給される電流である駆動信号yF ,yR に応じて所定の電磁力を発生するようになっている。コントローラ25は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ等を含んで構成され、エンジンシェイクよりも高周波の振動であるアイドル振動やこもり音振動・加速時振動が車体35に入力されている場合には、その振動を低減できる能動的な支持力が能動型エンジンマウント1F,1Rに発生するように、各能動型エンジンマウント1F,1Rに対する駆動信号yF ,yR を生成し出力するようになっている。
【0050】
ここで、アイドル振動やこもり音振動は、例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2次成分のエンジン振動が車体35に伝達されることが主な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期して駆動信号yF ,yR を生成し出力すれば、車体側低減が可能となる。そこで、本実施の形態では、パワーユニット30のクランク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クランク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信号Pとして出力するパルス信号生成器26を設けていて、そのインパルス信号Pが、パワーユニット30における振動の発生状態を表す信号(基準信号)としてコントローラ25に供給されるようになっている。
【0051】
一方、電磁アクチュエータ10のヨーク10Aの下端面と、アクチュエータケース8の底面を形成する平板部材8aの上面との間に挟み込まれるように、パワーユニット30から支持弾性体6を通じて伝達する加振力を検出する車体振動検出手段としての荷重センサ22が配設されていて、荷重センサ22の検出結果が残留振動信号eF ,eR としてハーネス23bを通じてコントローラ25に供給されるようになっている。荷重センサ22としては、具体的には、圧電素子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能である。
【0052】
そして、コントローラ25は、供給される残留振動信号eF ,eR 及びインパルス信号Pに基づき、同期式Filtered−X LMSアルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマウント1F,1Rに対する駆動信号yF 及びyR を演算し、それら駆動信号yF 及びyR を各能動型エンジンマウント1F,1Rに出力するようになっている。
【0053】
具体的には、コントローラ25は、フィルタ係数WFi,WRi(i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ数)可変の適応ディジタルフィルタWF ,WR を有していて、最新のインパルス信号Pが入力された時点から所定のサンプリング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタWF ,WR のフィルタ係数WFi,WRiを順番に駆動信号yF ,yR として出力する一方、インパルス信号P及び残留振動信号eF ,eR に基づいて適応ディジタルフィルタWF ,WR のフィルタ係数WFi,WRiを適宜更新する処理を実行するようになっている。
【0054】
適応ディジタルフィルタWF ,WR の更新式は、Filtered−X LMSアルゴリズムに従った下記の(1)式,(2)式のようになる。
Fi(n+1)=WFi(n)−μF F T F (n) ……(1)
Ri(n+1)=WRi(n)−μR R T R (n) ……(2)
ここで、(n),(n+1)が付く項はサンプリング時刻n,n+1における値であることを表し、また、μF ,μR は収束係数である。RF T ,RR T は、理論的には、インパルス信号Pを、能動型エンジンマウント1F,1Rの電磁アクチュエータ10及び荷重センサ22間の伝達関数CF ,CR をモデル化した伝達関数フィルタCF ^,CR ^でフィルタ処理した値であるが、インパルス信号Pの大きさは“1”であるから、伝達関数フィルタCF ^,CR ^のインパルス応答をインパルス信号Pに同期して次々と生成した場合のそれらインパルス応答波形のサンプリング時刻nにおける和に一致する。
【0055】
また、理論的には、インパルス信号Pを適応ディジタルフィルタWF ,WR でフィルタ処理した信号が、電磁アクチュエータ10への駆動信号となるのであるが、インパルス信号Pの大きさが“1”であるため、フィルタ係数WFi,WRiをそのまま駆動信号としたとしても、フィルタ処理の結果を駆動信号としたのと同じ結果になる。
【0056】
さらに、本実施の形態では、フィルタ係数WFi,WRiの更新式である(1)式及び(2)式に用いられている収束係数μF ,μR を、一定値ではなく、自動変速機28のシフト位置に応じて可変としている。
【0057】
具体的には、シフト位置がNレンジ又はPレンジのいずれかにある場合には、収束係数μF ,μR を、中間的な基準値μ0 に設定するようになっている。これは、シフト位置がNレンジやPレンジにある場合には、パワーユニット30には駆動反力が加わらず、能動型エンジンマウント1F,1Rにはパワーユニット30の静荷重のみが加わっていると考えることができるからである。
【0058】
また、シフト位置がDレンジ等の前進位置にある場合には、車両前側の能動型エンジンマウント1F用の更新式である上記(1)式中の収束係数μF は基準値μ0 よりも若干大きな値である増加補正値μ+ に設定し、車両後側の能動型エンジンマウント1R用の更新式である上記(2)式中の収束係数μR は基準値μ0 よりも若干小さな値である減少補正値μ- に設定する。
【0059】
これは、シフト位置がDレンジにある場合には、パワーユニット30には車両後側に傾斜する方向に駆動反力が加わり、能動型エンジンマウント1Fに対する荷重は減少し、能動型エンジンマウント1Rに対する荷重は増加する結果、荷重が減少する能動型エンジンマウント1Fについては駆動信号yF →制御振動間の伝達関数のゲイン特性が小さくなり、荷重が増加する能動型エンジンマウント1Rについては上記駆動信号yR →制御振動間の伝達関数のゲイン特性が大きくなるからである。
【0060】
そして、シフト位置がRレンジにある場合には、車両前側の能動型エンジンマウント1F用の更新式である上記(1)式中の収束係数μF は減少補正値μ- に設定し、車両後側の能動型エンジンマウント1R用の更新式である上記(2)式中の収束係数μR は増加補正値μ+ に設定する。これは、シフト位置がRレンジにある場合には、パワーユニット30には車両前側に傾斜する方向に駆動反力が加わり、能動型エンジンマウント1Fに対する荷重は増加し、能動型エンジンマウント1Rに対する荷重は減少する結果、荷重が増加する能動型エンジンマウント1Fについては駆動信号yF →制御振動間の伝達関数のゲイン特性が大きくなり、荷重が増加する能動型エンジンマウント1Rについては上記駆動信号yR →制御振動間の伝達関数のゲイン特性が小さくなるからである。
【0061】
なお、基準値μ0 には、各能動型エンジンマウント1F,1Rの配設位置等によって決まる各能動型エンジンマウントの分担荷重に基づきシミュレーションを行い、制御の追従性及び安定性が損なわれないような値を選出し、その選出した値を予め記憶しておく。
【0062】
また、増加補正値μ+ には、各能動型エンジンマウント1F,1Rの配設位置等によって決まる各能動型エンジンマウントの分担荷重の他に、シフト位置がDレンジにあるときの前側の能動型エンジンマウント1Fの荷重減少分、及び、シフト位置がRレンジにあるときの後側の能動型エンジンマウント1Rの荷重減少分を考慮したシミュレーションを行い、制御の追従性及び安定性が損なわれないような値を選出し、その選出した値を予め記憶しておく。
【0063】
同様に、減少補正値μ- には、各能動型エンジンマウント1F,1Rの配設位置等によって決まる各能動型エンジンマウントの分担荷重の他に、シフト位置がDレンジにあるときの後側の能動型エンジンマウント1Rの荷重増加分、及び、シフト位置がRレンジにあるときの前側の能動型エンジンマウント1Fの荷重増加分を考慮したシミュレーションを行い、制御の追従性及び安定性が損なわれないような値を選出し、その選出した値を予め記憶しておく。
【0064】
さらに、本実施の形態にあっては、シフト位置が、Dレンジにあるのか、Rレンジにあるのか、或いは、N又はPレンジにあるのかを、自動変速機28がNレンジ又はPレンジにあるときにオンとなるインヒビット信号NPと、リバースランプ29の状態を表すリバースランプ信号RLとに基づいて検出するようになっている。
【0065】
つまり、多くの車両では、シフト位置がNレンジ又はPレンジにあるとき以外にはエンジン30Aを始動させない制御を実行する上で、自動変速機28がNレンジ又はPレンジあるときとそれ以外とを区別するために、図示しないインヒビタスイッチによりインヒビット信号NPを生成するようになっている。しかし、そのインヒビット信号NPのみに基づくだけでは、シフト位置がNレンジ又はPレンジにあるか、或いは、それ以外の位置にあるかを区別することはできても、DレンジとRレンジとを区別することはできない。そこで、シフト位置がRレンジにあるときに点灯するリバースランプ29の状態を表すリバースランプ信号RLを参照して、DレンジとRレンジとを区別するようにしているのである。
【0066】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
即ち、エンジンシェイク発生時には、オリフィス5bの流路形状等を適宜選定している結果、この能動型エンジンマウント1F,1Rは高動バネ定数,高減衰力の支持装置として機能するため、パワーユニット30で発生したエンジンシェイクが能動型エンジンマウント1F,1Rによって減衰され、車体35側の振動レベルが低減される。なお、エンジンシェイクに対しては、特に可動板12を積極的に変位させる必要はない。
【0067】
一方、オリフィス5b内の流体がスティック状態となり流体室15及び副流体室16間での流体の移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の振動が入力された場合には、コントローラ25は、所定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10の励磁コイル10Bに駆動信号yF ,yR を出力し、能動型エンジンマウント1F,1Rに、車体35側の振動を低減し得る能動的な支持力を発生させる。
【0068】
ここで、この能動型エンジンマウント1F,1Rを力学的モデルで考えると、パワーユニット30及び車体35間に支持弾性体6の支持バネと拡張バネとが並列に介在し、電磁アクチュエータ10の電磁力が、板バネ11と、流体室15内の流体とを介して、拡張バネに伝達するようになっている。より具体的には、永久磁石10Cの磁力によって磁路部材12が所定のオフセット位置に変位し、励磁コイル10Bによって発生する電磁力がその永久磁石10Cの磁力を増大又は減少させるように作用するから、板バネ11によって弾性支持された磁路部材12は、そのオフセット位置を中心に、駆動信号yの周波数及び振幅に応じて正負両方向に変位することになる。すると、流体室15の容積が正負両方向に変動し、その容積変動が支持弾性体6の拡張バネに作用して内筒3及び外筒7間に能動的な制御力が発生するのである。
【0069】
そして、能動型エンジンマウント1F,1Rに対する駆動信号yF ,yR は、適応ディジタルフィルタWF をローパスフィルタ処理した信号であり、適応ディジタルフィルタWF は、能動型エンジンマウント1F,1Rに加わる荷重である残留振動信号eF ,eR に基づき上記(1)又は(2)式に従って更新されるようになっているため、制御を開始してからある程度の時間が経過してフィルタ係数WFi,WRiが最適値に収束若しくは最適値に十分近づけば、パワーユニット30側から能動型エンジンマウント1F,1Rを通じて車体35側に伝達される振動が、その能動型エンジンマウント1F,1Rで発生する能動的な支持力によって打ち消されるようなり、その能動型エンジンマウント1F,1R配設位置近傍の車体35側の振動レベルの低減が図られる。
【0070】
さらに、本実施の形態にあっては、シフト位置が、N又はPレンジにあるか、Dレンジ等の前進位置にあるか、或いは、Rレンジにあるかを判断し、その判断結果に従って、収束係数μF ,μR を、中間的な基準値μ0 、増加補正値μ+ 、或いは、減少補正値μ- に設定するようになっている。このため、その収束係数μF ,μR が一定値である場合に比べて、さらにきめ細かな制御が実行されるから、制御の追従性が低下したり制御が不安定になる不具合を招く可能性を、低減することができる。
【0071】
図4は収束係数設定のための処理の概要を示すフローチャートであって、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数更新処理や駆動信号出力処理等とともにタイムシェアリング方式により実質的に並行に実行されるようになっている。
【0072】
即ち、図4の処理が開始されると、先ずそのステップ101において、自動変速機28から供給されるインヒビット信号NPを読み込み、ステップ102に移行し、そのインヒビット信号NPがオンであるか否かを判定する。
【0073】
ステップ102の判定が「YES」であれば、パワーユニット30には駆動反力は入力されておらず、能動型エンジンマウント1F,1Rはパワーユニット30の静荷重を所定の配分で分担していると判断でき、ステップ103に移行し、収束係数μF ,μR の両方を、基準値μ0 に設定する。
【0074】
ステップ103の処理を終えたら、ステップ101に戻り、ステップ102の判定が「NO」なるまでステップ103の処理を繰り返し実行する。
そして、運転者がシフト位置をDレンジ又はRレンジに移行すると、インヒビット信号NPはオフになるから、ステップ102の判定は「NO」となり、ステップ104に移行する。そして、ステップ104では、リバースランプ信号RLを読み込み、ステップ105に移行する。
【0075】
ステップ105では、リバースランプ信号RLがオンか否かが判断され、ここでリバースランプ信号RLがオフであれば、シフト位置はDレンジにあると判断してステップ106に移行し、リバースランプ信号RLがオンであれば、シフト位置はRレンジにあると判断してステップ107に移行する。
【0076】
ステップ106に移行した場合には、前側の能動型エンジンマウント1F用の収束係数μF は増加補正値μ+ に設定し、後側の能動型エンジンマウント1R用の収束係数μR は減少補正値μ- に設定する。これに対し、ステップ107に移行した場合には、前側の能動型エンジンマウント1F用の収束係数μF は減少補正値μ- に設定し、後側の能動型エンジンマウント1R用の収束係数μR は増加補正値μ+ に設定する。
【0077】
ステップ106又は107の処理を終えたら、ステップ101に戻り、上述した処理を繰り返し実行する。
このような処理が実行される結果、収束係数μF ,μR は、各能動型エンジンマウント1F,1Rに加わる荷重の変化に従って適宜増加又は減少するようになる。
【0078】
具体的には、荷重が減少した能動型エンジンマウント1F,1R用の更新式の収束係数μF ,μR は、荷重が減少する前の収束係数よりも大きな値に設定される。すると、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新量である上記(1)式,(2)式中の右辺第2項の値は、更新用基準信号RF T ,RR T 及び残留振動信号eF ,eR が同じ値であっても大きめの値になるから、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数WFi,WRiの更新速度がそれだけ速くなる。その結果、制御の追従性が高くなったことになるから、駆動信号→制御振動間の伝達関数のゲイン特性が荷重減少に伴って小さくなっていても、振動低減が不十分になる可能性が低くなるのである。
【0079】
逆に、荷重が増加した能動型エンジンマウント1F,1R用の更新式の収束係数μF ,μR は、荷重が増加する前の収束係数よりも小さな値に設定される。すると、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新量である上記(1)式,(2)式中の右辺第2項の値は、更新用基準信号RF T ,RR T 及び残留振動信号eF ,eR が同じ値であっても小さめの値になるから、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数WFi,WRiの更新速度がそれだけ遅くなる。その結果、制御の安定性が高くなったことになるから、駆動信号→制御振動間の伝達関数のゲイン特性が荷重増加に伴って大きくなっていても、制御が発散する可能性が低くなるのである。
【0080】
しかも、本実施の形態であれば、自動変速機28を備えている通常の車両であれば元々有しているインヒビット信号NPと、通常の車両であれば備えているリバースランプ29の状態とに基づいて、シフト位置を検出するようになっているから、そのシフト位置の検出のために新たなセンサ等を設ける必要がないという利点もある。
【0081】
ここで、上記実施の形態では、パワーユニット30が振動体に対応し、車体35が支持体に対応し、能動型エンジンマウント1F,1Rが防振支持装置に対応し、コントローラ25が駆動制御手段に対応し、パルス信号生成器26が基準信号生成手段に対応し、荷重センサ22が残留振動検出手段に対応し、コントローラ25内でインパルス信号Pに同期して所定サンプリング・クロックの間隔で適応ディジタルフィルタのフィルタ係数WFi,WRiを順番に出力する処理が駆動信号生成手段に対応し、コントローラ25内で上記(1)式,(2)式に従ってフィルタ係数WFi,WRiを更新する処理がフィルタ係数更新手段に対応し、図4の処理のステップ101,102,104,105の処理によって荷重検出手段が構成され、図4のステップ103,106,107の処理によって更新量調整手段が構成される。
【0082】
図5及び図6は本発明の第2の実施の形態の構成を示す図であって、図5はコントローラ25内で実行される収束係数μF ,μR 設定処理の概要を示すフローチャートである。そして、本実施の形態は、上記図4に示した処理に代えて図5の処理を実行することを除いて、上記第1の実施の形態と同様の構成を有しているため、その重複する説明は省略する。
【0083】
即ち、本実施の形態にあっては、駆動信号yF 及びyR の振幅と、残留振動信号eF 及びeR の振幅とに基づいて、能動型エンジンマウント1F,1Rに加わる荷重の変化を検出するとともに、能動型エンジンマウント1F,1Rの一方において荷重が減少していると判断された場合には、その他方においては荷重が増加していると判断するようになっている。
【0084】
具体的には、図4の処理と同様に他の処理と実質的に並行に実行される図5の処理が開始されると、先ずそのステップ201において、駆動信号yF と実質的に等しいフィルタ係数WFiの過去一周期(インパルス信号Pの一周期)分の値の中から最大の振幅を有するものを検索し、それを最大値WFmaxとして記憶する。次いで、ステップ202に移行し、その最大値WFmaxが、所定のしきい値Wthを超えているか否かを判定する。ここで、所定のしきい値Wthは、能動型エンジンマウント1F,1Rに加わっている荷重が平均的な大きさである通常時の駆動信号yF の最大振幅に相当するものであり、従って、ステップ202の判定が「YES」の場合には、通常時よりも大きな駆動信号yF が出力されていると判断できる。
【0085】
ステップ202の判定が「YES」の場合には、ステップ203に移行し、残留振動信号eF の過去一周期分の値の中から最大の振幅を有するものを検索し、それを最大値eFmaxとして記憶する。次いで、ステップ204に移行し、その最大値eFmaxが、所定のしきい値ethを超えているか否かを判定する。ここで、所定のしきい値ethは、能動型エンジンマウント1F,1Rに加わっている荷重が平均的な大きさである通常時に検出される残留振動信号eF の最大振幅に相当するものであり、従って、ステップ204の判定が「YES」の場合には、通常時よりも大きな残留振動が発生していると判断できる。
【0086】
そして、ステップ204の判定が「YES」の場合には、駆動信号yF の振幅が通常時よりも大きく且つ残留振動の振幅が通常時よりも大きな状況であり、かかる状況は、駆動信号yF →残留振動間の伝達関数のゲイン特性が小さくなっているからであると判断できる。つまり、その伝達関数のゲイン特性が小さくなると、同じ駆動信号yF を出力しても発生する制御振動は小さく、振動の低減代は十分でないから、さらに駆動信号を大きくするため、LMSアルゴリズムによって適応ディジタルフィルタWF のフィルタ係数が大きくなり、それから極短い時間ではあるが所定時間遅れて残留振動が小さくなる。このようすをグラフに表すと、図6(a)、(b)に示すようになる。つまり、残留振動信号e* の大きな状況を解消するために、フィルタ係数W* が大きくなり、フィルタ係数W* が大きくなると残留振動信号e* が減少していく。
【0087】
このような現象に基づき、ステップ204の判定が「YES」の場合には、能動型エンジンマウント1Fに加わっている荷重が減少していると判断できるのである。また、能動型エンジンマウント1Fに加わっている荷重が減少しているのであれば、駆動反力によって荷重が逆方向に変化する能動型エンジンマウント1Rについては荷重が増加していると判断することもできる。
【0088】
そこで、ステップ205に移行し、前側の能動型エンジンマウント1F用の収束係数μF は増加補正値μ+ に設定し、後側の能動型エンジンマウント1R用の収束係数μR は減少補正値μ- に設定する。
【0089】
一方、ステップ202の判定が「NO」の場合は、ステップ206に移行し、駆動信号yR と実質的に等しいフィルタ係数WRiの過去一周期分の値の中から最大の振幅を有するものを検索し、それを最大値WRmaxとして記憶する。次いで、ステップ207に移行し、その最大値WRmaxが、所定のしきい値Wthを超えているか否かを判定する。ここで、所定のしきい値Wthは、能動型エンジンマウント1F,1Rに加わっている荷重が平均的な大きさである通常時の駆動信号yR の最大振幅に相当するものであり、ステップ202で用いた値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。そして、ステップ207の判定が「YES」の場合には、通常時よりも大きな駆動信号yR が出力されていると判断できる。
【0090】
ステップ207の判定が「YES」の場合には、ステップ208に移行し、残留振動信号eR の過去一周期分の値の中から最大の振幅を有するものを検索し、それを最大値eRmaxとして記憶する。次いで、ステップ209に移行し、その最大値eRmaxが、所定のしきい値ethを超えているか否かを判定する。ここで、所定のしきい値ethは、能動型エンジンマウント1F,1Rに加わっている荷重が平均的な大きさである通常時に検出される残留振動信号eR の最大振幅に相当するものであり、ステップ204で用いた値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。そして、ステップ209の判定が「YES」の場合には、通常時よりも大きな残留振動が発生していると判断できる。
【0091】
そして、ステップ209の判定が「YES」の場合には、駆動信号yR の振幅が通常時よりも大きく且つ残留振動の振幅が通常時よりも大きな状況であり、かかる状況は、駆動信号yR →残留振動間の伝達関数のゲイン特性が小さくなっているからであると判断できる。つまり、その伝達関数のゲイン特性が小さくなると、同じ駆動信号yR を出力しても発生する制御振動は小さく、振動の低減代は十分でないから、さらに駆動信号を大きくするため、LMSアルゴリズムによって適応ディジタルフィルタWR のフィルタ係数が大きくなり、それから極短い時間ではあるが所定時間遅れて残留振動が小さくなる。このようすをグラフに表すと、やはり図6(a)、(b)に示すようになる。
【0092】
このような現象に基づき、ステップ209の判定が「YES」の場合には、能動型エンジンマウント1Rに加わっている荷重が減少していると判断できるのである。また、能動型エンジンマウント1Rに加わっている荷重が減少しているのであれば、駆動反力によって荷重が逆方向に変化する能動型エンジンマウント1Fについては荷重が増加していると判断することもできる。
【0093】
そこで、ステップ210に移行し、前側の能動型エンジンマウント1F用の収束係数μF は減少補正値μ- に設定し、後側の能動型エンジンマウント1R用の収束係数μR は増加補正値μ+ に設定する。
【0094】
また、ステップ204,207又は209の判定が「NO」の場合には、ステップ211に移行し、収束係数μF ,μR の両方を、基準値μ0 に設定する。
ステップ205,210又は211で収束係数μF ,μR を設定したら、ステップ201に戻り上述した処理を繰り返し実行する。
【0095】
このような処理によっても、上記第1の実施の形態と同様に、収束係数μF ,μR は各能動型エンジンマウント1F,1Rに加わる荷重の変化に応じて適宜設定されるから、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0096】
また、本実施の形態であれば、上記第1の実施の形態とは異なり、振動低減制御のためにコントローラ25に必要な駆動信号や残留振動信号に基づいて荷重の変化を検出するようにしているから、新たなセンサや配線等を設ける必要もなくなるから、上記第1の実施の形態よりもさらに構成が簡易になってコスト的に有利になるという利点がある。
【0097】
ここで、本実施の形態では、図5のステップ201〜204,206〜209によって荷重検出手段が構成され、図5のステップ205,210及び211の処理によって更新量調整手段が構成される。
【0098】
図7は、本発明の第3の実施の形態の構成を示す図であって、コントローラ25内で実行される収束係数μF ,μR 設定処理の概要を示すフローチャートである。そして、本実施の形態は、上記図4に示した処理に代えて図7の処理を実行することを除いて、上記第1の実施の形態と同様の構成を有しているため、その重複する説明は省略する。
【0099】
即ち、本実施の形態にあっては、駆動信号yF 及びyR の振幅に基づいて、能動型エンジンマウント1F,1Rに加わる荷重の変化を検出するとともに、上記第2の実施の形態と同様に、能動型エンジンマウント1F,1Rの一方において荷重が減少していると判断された場合には、その他方においては荷重が増加していると判断するようになっている。
【0100】
そして、コントローラ25内には、予め、各エンジン回転数(インパルス信号Pの周期毎)に標準的な適応ディジタルフィルタのフィルタ係数WFi,WRiの最大基準値W0maxが記憶してあり、その最大基準値W0maxも荷重変化の判断処理に用いられるようになっている。
【0101】
具体的には、図4の処理と同様に他の処理と実質的に並行に実行される図7の処理が開始されると、先ずそのステップ301において、駆動信号yF と実質的に等しいフィルタ係数WFiの過去一周期分の値の中から最大の振幅を有するものを検索し、それを最大値WFmaxとして記憶する。
【0102】
次いで、ステップ302に移行し、現在のインパルス信号Pの入力間隔からエンジン回転数を求め、そのエンジン回転数に対応した最大基準値W0maxを所定の記憶領域から読み込む。
【0103】
そして、ステップ303に移行し、最大値WFmaxが最大基準値W0maxを超えているか否かを判定し、この判定が「YES」の場合には、能動型エンジンマウント1Fに加わっている荷重が減少した結果、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数WFiが通常時よりも大きくなっていると判断できるし、上記第2の実施の形態と同様に、能動型エンジンマウント1Rについては荷重が増加していると判断することもできる。
【0104】
そこで、ステップ304に移行し、前側の能動型エンジンマウント1F用の収束係数μF は増加補正値μ+ に設定し、後側の能動型エンジンマウント1R用の収束係数μR は減少補正値μ- に設定する。
【0105】
これに対し、ステップ303の判定が「NO」の場合には、ステップ305に移行し、駆動信号yR と実質的に等しいフィルタ係数WRiの過去一周期分の値の中から最大の振幅を有するものを検索し、それを最大値WRmaxとして記憶する。次いで、ステップ306に移行し、その最大値WRmaxが最大基準値W0maxを超えているか否かを判定し、この判定が「YES」の場合には、能動型エンジンマウント1Rに加わっている荷重が減少した結果、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数WRiが通常時よりも大きくなっていると判断できるし、能動型エンジンマウント1Fについては荷重が増加していると判断することもできる。
【0106】
そこで、ステップ307に移行し、前側の能動型エンジンマウント1F用の収束係数μF は減少補正値μ- に設定し、後側の能動型エンジンマウント1R用の収束係数μR は増加補正値μ+ に設定する。
【0107】
なお、ステップ306の判定が「NO」の場合には、特に荷重変化は生じていないと判断し、ステップ308に移行し、収束係数μF ,μR の両方を、基準値μ0 に設定する。
【0108】
ステップ304,307又は308で収束係数μF ,μR を設定したら、ステップ301に戻り上述した処理を繰り返し実行する。
このような処理によっても、上記各実施の形態と同様に、収束係数μF ,μR は各能動型エンジンマウント1F,1Rに加わる荷重の変化に応じて適宜設定されるから、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0109】
また、本実施の形態であれば、予め最大基準値W0maxを生成し記憶しておく手間はあるものの、制御実行中における判断処理等が上記第2の実施の形態よりも簡易で済むという利点がある。
【0110】
ここで、本実施の形態では、図6のステップ301〜303,305及び306の処理によって荷重検出手段が構成され、図6のステップ304,307及び308の処理によって更新量調整手段が構成される。
【0111】
図8は、本発明の第4の実施の形態の構成を示す図であって、コントローラ25内で実行される収束係数μF ,μR 設定処理の概要を示すフローチャートである。そして、本実施の形態は、上記図4に示した処理に代えて図8の処理を実行することを除いて、上記第1の実施の形態と同様の構成を有しているため、その重複する説明は省略する。
【0112】
即ち、本実施の形態では、能動型エンジンマウント1Fに内蔵された荷重センサ22の出力である残留振動信号eF に含まれる直流成分に基づいて、直接的に荷重の変化を検出し、その検出結果に基づいて収束係数μF ,μR を設定するようにしている。なお、荷重センサ22が完全な直流成分を含む残留振動信号eF を生成できない場合には、極低周波成分を直流成分と見なせばよい。
【0113】
具体的には、ステップ401において残留振動信号eF を読み込み、次いでステップ402に移行し、その残留振動信号eF をフィルタ処理して直流成分ed を抽出する。
【0114】
そして、ステップ403に移行し、その直流成分ed が第1のしきい値eth1 を超えているか否かを判定する。ここで、第1のしきい値eth1 は、シフト位置がRレンジにあるため、駆動反力によって、能動型エンジンマウント1Fに加わっている荷重が、N又はRレンジにあるときに比べ大きいと判断できるしきい値であって、適宜実験等を行って決定される。そして、このステップ403の判定が「YES」の場合には、能動型エンジンマウント1Fに加わっている荷重は増加しており、また、それとは逆に能動型エンジンマウント1Rに加わっている荷重は減少していると判断できるから、ステップ404に移行し、前側の能動型エンジンマウント1F用の収束係数μF は減少補正値μ- に設定し、後側の能動型エンジンマウント1R用の収束係数μR は増加補正値μ+ に設定する。
【0115】
一方、ステップ403の判定が「NO」の場合には、Rレンジではないと判断できるから、ステップ405に移行し、今度は、直流成分ed が第2のしきい値eth2 を下回っているか否かを判定する。ここで、第2のしきい値eth2 は、シフト位置がDレンジ等の車両を前進させる位置にあるため、駆動反力によって、能動型エンジンマウント1Fに加わっている荷重が、N又はRレンジにあるときに比べ小さいと判断できるしきい値であって、適宜実験等を行って決定される。そして、このステップ405の判定が「YES」の場合には、能動型エンジンマウント1Fに加わっている荷重は減少しており、また、それとは逆に能動型エンジンマウント1Rに加わっている荷重は増加していると判断できるから、ステップ406に移行し、前側の能動型エンジンマウント1F用の収束係数μF は増加補正値μ+ に設定し、後側の能動型エンジンマウント1R用の収束係数μR は減少補正値μ- に設定する。
【0116】
なお、ステップ405の判定が「NO」の場合には、特に荷重変化は生じていないと判断し、ステップ407に移行し、収束係数μF ,μR の両方を、基準値μ0 に設定する。
【0117】
このような処理によっても、上記各実施の形態と同様に、収束係数μF ,μR は各能動型エンジンマウント1F,1Rに加わる荷重の変化に応じて適宜設定されるから、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0118】
ここで、本実施の形態では、ステップ401〜403,405の処理によって荷重検出手段が構成され、ステップ404,406及び407の処理によって更新量調整手段が構成される。
【0119】
なお、上記各実施の形態では、自動変速機28のシフト位置を、インヒビット信号NPとリバースランプ信号RLとに基づいて判定するようにしているが、これに限定されるものではなく、自動変速機28に各シフト位置を区別する信号を生成するセンサを設ければ、そのセンサの出力のみに基づいてシフト位置を判定することができる。
【0120】
また、上記第1,4の実施の形態では、シフト位置として、Dレンジと、Rレンジと、N又はPレンジとを区別するようにしているが、これに限定されるものではなく、さらに詳細に、1速レンジと、2速レンジと、Dレンジと、Rレンジと、N又はPレンジとを区別し、1速レンジと、2速レンジと、Dレンジとの間で荷重の変化を細かく検出し、それに応じて収束係数μF ,μR をより細かい段階で設定するようにしてもよい。
【0121】
そして、上記第2,3の実施の形態では、各信号の最大値を利用して荷重変化を判断するようにしているが、これに限定されるものではなく、各波形の一周期分の面積を基準に荷重の変化を検出することもできる。なお、ディジタル信号であるため、面積は各信号の一周期分の絶対値の総和になる。
【0122】
また、上記各実施の形態では、収束係数μF ,μR を適宜設定することによりフィルタ係数WFi,WRiの更新量を調整するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば上記(1)式,(2)式の右辺第二項を見ても判るように、伝達関数フィルタCF ^,CR ^の振幅や更新用基準信号RF T ,RR T の大きさを調整することにより、フィルタ係数WFi,WRiの更新量を調整することも可能である。
【0123】
さらに、上記各実施の形態では、横置エンジンを備える車両のエンジンマウントに本発明を適用しているが、これに限定されるものではなく、縦置エンジンを備える車両であっても適用可能であるし、車両のパワーユニット以外を支持する防振支持装置に対しても本発明は適用可能である。
【0124】
また、上記各実施の形態では、能動型エンジンマウントに対する駆動信号を同期式Filtered−X LMSアルゴリズムに基づいて生成しているが、適用可能なアルゴリズムはこれに限定されるものではなく、通常のFiltered−X LMSアルゴリズムであってもよいし、或いは、荷重センサ22の出力に応じた通常のフィードバック制御であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の全体構成を示す車両の概略側面図である。
【図2】エンジンルームの概略平面図である。
【図3】能動型エンジンマウントの一例を示す断面図である。
【図4】収束係数の設定処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態における収束係数の設定処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態において荷重減少を判断できる理由を説明する図である。
【図7】第3の実施の形態における収束係数の設定処理の概要を示すフローチャートである。
【図8】第4の実施の形態における収束係数の設定処理の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1F,1R 能動型エンジンマウント
25 コントローラ(駆動制御手段)
26 パルス信号生成器(基準信号生成手段)
28 自動変速機
29 リバースランプ
30 パワーユニット(振動体)
30A エンジン
35 車体(支持体)

Claims (11)

  1. 振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、
    前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、
    前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、
    さらに、前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設け、前記更新量調整手段は、前記荷重が増加したと判断された前記防振支持装置については前記更新量が小さくなる調整を行い、前記荷重が減少したと判断された前記防振支持装置については前記更新量が大きくなる調整を行うようになっていることを特徴とする能動型振動制御装置。
  2. 車両に適用され、前記振動体はエンジンを含むパワーユニットであり、前記荷重検出手段は、自動変速機のシフト位置に基づいて前記荷重を検出又は推定するようになっている請求項1記載の能動型振動制御装置。
  3. 前記荷重検出手段は、インヒビット信号とリバースランプ状態とに基づいて前記自動変速機のシフト位置を区別するようになっている請求項2記載の能動型振動制御装置。
  4. 振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、
    前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、
    前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、
    さらに、前記駆動信号の振幅と前記残留振動信号の振幅とに基づいて前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設けたことを特徴とする能動型振動制御装置。
  5. 前記荷重検出手段は、前記駆動信号の振幅が所定のしきい値を超え、且つ、前記残留振動信号の振幅が所定のしきい値を超えた場合に、前記荷重が減少していると判断するようになっている請求項4記載の能動型振動制御装置。
  6. 振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、
    前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成 され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、
    前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、
    さらに、前記駆動信号の振幅に基づいて前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設けたことを特徴とする能動型振動制御装置。
  7. 前記荷重検出手段は、予め測定した標準的な前記駆動信号の振幅よりも、実際の前記駆動信号の振幅の方が大きい場合に、前記荷重が減少していると判断するようになっている請求項6記載の能動型振動制御装置。
  8. 振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、
    前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、
    前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、
    さらに、前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設け、前記荷重検出手段は、前記防振支持装置に加わる静荷重の検出が可能な荷重センサと、この荷重センサの出力から静荷重成分を抽出するフィルタ手段と、を備えていることを特徴とする能動型振動制御装置。
  9. 振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、
    前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、
    前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、
    さらに、前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設けており、
    前記振動体と前記支持体との間に複数の前記防振支持装置を有し、前記複数の前記防振支持装置のうちの少なくとも二つの防振支持装置は、前記荷重の増減について互いに相補の関係となる位置に配設されており、
    前記荷重検出手段は、前記二つの前記防振支持装置の一方について前記荷重が減少したと判断した場合には、その他方について前記荷重が増加したと判断するようになっていることを特徴とする能動型振動制御装置。
  10. 車両に適用され、振動体及び支持体間に介在し能動的な支持力を発生可能な防振支持装置と、前記支持体側の振動が低減するように前記防振支持装置を駆動させる駆動制御手段と、を備えるとともに、
    前記防振支持装置は、前記振動体及び前記支持体間に介在する支持弾性体によって画成され且つ流体が封入された流体室を有し、その流体室の隔壁の一部を振動させることにより前記能動的な支持力を発生するようになっており、
    前記駆動制御手段は、前記振動体の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記支持体側の残留振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記適応ディジタルフィルタに基づいて前記防振支持装置を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき且つ適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、を備えており、
    さらに、前記防振支持装置に加わる荷重を検出又は推定する荷重検出手段と、この荷重検出手段の検出又は推定結果に基づいて前記フィルタ係数更新手段による前記フィルタ係数の更新量を調整する更新量調整手段と、を設けており、
    前記振動体はエンジンを含むパワーユニットであり、前記エンジンのクランク軸を挟んだ両側に位置する少なくとも二つの前記防振支持装置を有しており、
    前記荷重検出手段は、前記二つの前記防振支持装置の一方について前記荷重が減少したと判断した場合には、その他方について前記荷重が増加したと判断するようになっていることを特徴とする能動型振動制御装置。
  11. 前記更新量調整手段は、前記荷重が増加したと判断された前記防振支持装置については前記更新量が小さくなる調整を行い、前記荷重が減少したと判断された前記防振支持装置については前記更新量が大きくなる調整を行うようになっている請求項乃至請求項10のいずれかに記載の能動型振動制御装置。
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