JPH09319380A - 能動型騒音振動制御装置 - Google Patents

能動型騒音振動制御装置

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Publication number
JPH09319380A
JPH09319380A JP13355696A JP13355696A JPH09319380A JP H09319380 A JPH09319380 A JP H09319380A JP 13355696 A JP13355696 A JP 13355696A JP 13355696 A JP13355696 A JP 13355696A JP H09319380 A JPH09319380 A JP H09319380A
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JP
Japan
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divergence
vibration
coefficient
suppression coefficient
divergence suppression
Prior art date
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Pending
Application number
JP13355696A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Hamabe
勉 浜辺
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
Kazue Aoki
和重 青木
Yosuke Akatsu
洋介 赤津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Filing date
Publication date
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Priority to JP13355696A priority Critical patent/JPH09319380A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発散抑制係数を含む更新式を用いた能動型騒音
振動制御装置において、発散抑制係数による騒音又は振
動の低減効果の低下を極力小さくする。 【解決手段】ステップ131で現時点の発散抑制係数β
k が直前値β* に等しいか否かを判定し、この判定が
「NO」の場合にはステップ132に移行してカウンタ
qをクリアしてからステップ133に移行する。ステッ
プ133では現時点の発散抑制係数βk を直前値β*
して記憶する。ステップ131の判定が「YES」の場
合にはステップ134に移行しカウンタqをインクリメ
ントする。そして、ステップ135に移行し、カウンタ
qが所定値Qに達したか否かを判定する。この判定が
「NO」である場合にはステップ133に移行してから
今回のこの処理を終了するが、「YES」となった場合
には、ステップ136に移行し、添え字kをデクリメン
トし、発散抑制係数βk を減少方向に更新する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、適応アルゴリズ
ムに従ってフィルタ係数が更新される適応ディジタルフ
ィルタを用いて騒音又は振動の低減制御を実行するよう
になっている能動型騒音振動制御装置に関し、特に、フ
ィルタ係数の更新式に制御の発散抑制作用を有する発散
抑制係数を含んでおり、制御の発散が検出された場合に
は、前記発散抑制係数を発散抑制方向に変化させるよう
になっている能動型騒音振動制御装置において、可能な
範囲で最大限の騒音又は振動の低減効果が得られるよう
にしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、本出願人
が先に提案した特開平5−61483号公報に開示され
たものがある。
【0003】即ち、かかる公報記載の従来技術は、LM
Sアルゴリズム等の適応アルゴリズムを利用した能動型
騒音制御装置に関するものであり、より具体的には、適
応アルゴリズムにおける評価関数として、低減対象の騒
音及び制御音の干渉結果である残留騒音信号の自乗値
と、制御音を発するラウドスピーカへの駆動信号の自乗
値との和を用いた能動型騒音制御装置に関するものであ
る。
【0004】そして、上記公報に記載された従来の能動
型騒音制御装置にあっては、評価関数に含まれる駆動信
号の自乗値に掛けられる係数(上記公報内では、努力係
数と称している。)を、制御の発散が進行するに従っ
て、発散を抑制する方向(フィルタ係数を小さくする方
向)に変更するようになっており、これにより、音響伝
達関数が変化したような場合でも制御の発散を有効に抑
制できるから、制御が本格的な発散に至ることを回避で
きて、例えば車両に適用した場合には乗員等に不快感を
与えないで済む、というものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上記公報に記
載された従来の能動型騒音制御装置であれば、上記のよ
うな発散抑制効果を得ることはできるが、発散を抑制す
るために係数を変更すると、同時に騒音低減効果も低下
してしまうという副作用がある。つまり、発散を抑制す
る係数を発散抑制方向に変化させると、それだけフィル
タ係数が原点に戻り易くなるから、発生する制御音が小
さくなる傾向となって、騒音低減効果が低下してしまう
のである。
【0006】しかしながら、発散抑制係数を発散の程度
に応じて発散抑制作用が顕著になるように変化させるこ
とは発散を抑制するためには極めて有効であるから、そ
れを止めることは得策ではない。従って、発散抑制係数
を含んだ更新式を用いる一方で、騒音低減効果の低下を
極力小さくすることが望まれていたのである。このよう
な問題点は、能動型騒音制御装置に限られたものではな
く、同様に適応アルゴリズムを用いて振動低減制御を実
行する能動型振動制御装置にも当てはまるものである。
【0007】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、可能な
範囲で最大限の騒音又は振動の低減効果を得ることがで
きる能動型騒音振動制御装置を提供することを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、適応アルゴリズムに従って
フィルタ係数が更新される適応ディジタルフィルタを用
いて、騒音又は振動の低減制御を実行するとともに、前
記フィルタ係数の更新式は、制御の発散抑制作用を有す
る発散抑制係数を含んでおり、制御の発散が検出された
場合には、前記発散抑制係数を発散抑制方向に変化させ
るようになっている能動型騒音振動制御装置において、
所定タイミングで前記発散抑制係数を発散抑制方向とは
逆の方向に変化させる発散抑制係数復元手段を設けた。
【0009】また、上記目的を達成するために、請求項
2に係る発明は、騒音源又は振動源から発せられる騒音
又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制
御音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態
を表す基準信号を生成する基準信号生成手段と、フィル
タ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号
を前記適応ディジタルフィルタでフィルタ処理して前記
制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成する
駆動信号生成手段と、前記干渉後の騒音又は振動を検出
し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒
音検出手段又は残留振動検出手段と、適応アルゴリズム
に従って設定され且つ制御の発散抑制作用を有する発散
抑制係数を含んでいる更新式を用いて前記適応ディジタ
ルフィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新
手段と、制御の発散を検出する発散検出手段と、この発
散検出手段が制御の発散を検出した場合に前記発散抑制
係数を発散抑制方向に変化させる発散抑制手段と、を備
えた能動型騒音振動制御装置において、所定のタイミン
グで前記発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に変
化させる発散抑制係数復元手段を設けた。
【0010】そして、請求項3に係る発明は、上記請求
項1又は請求項2に係る発明である能動型騒音振動制御
装置において、前記発散抑制係数復元手段は、前記発散
抑制係数が所定時間変化しない場合に、前記発散抑制係
数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させるようにし
た。
【0011】これに対し、請求項4に係る発明は、上記
請求項2に係る発明である能動型騒音振動制御装置にお
いて、前記発散抑制係数復元手段は、前記残留騒音信号
又は残留振動信号が所定のしきい値を下回った場合に、
前記発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に変化さ
せるようにした。
【0012】さらに、請求項5に係る発明は、上記請求
項2に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記発散抑制係数復元手段は、前記発散抑制係数が
所定時間変化せず且つ前記残留騒音信号又は残留振動信
号が所定のしきい値を下回った場合に、前記発散抑制係
数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させるようにした
ものである。
【0013】一方、請求項6に係る発明は、上記請求項
1又は請求項2に係る発明である能動型騒音振動制御装
置を車両に適用するとともに、前記発散抑制係数復元手
段は、車両状態が所定状態である場合に、前記発散抑制
係数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させるようにし
た。
【0014】そして、請求項7に係る発明は、上記請求
項6に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記車両状態を、車速,ドアの開閉,ボンネットの
開閉,燃料残量,乗員状況,積載重量又はバッテリ電圧
のうちの少なくとも一つとしたものである。
【0015】ここで、請求項1又は請求項2に係る発明
である能動型騒音振動制御装置にあっては、発散抑制係
数復元手段が、所定のタイミングで発散抑制係数を発散
抑制方向とは逆の方向に変化させる。このため、発散抑
制係数が発散抑制方向に変化していたとしても、その発
散抑制係数は、再び騒音又は振動の低減効果が大きくな
る方向に変化することになるが、その方向に発散抑制係
数が変化した後に制御の発散が検出された場合には、発
散抑制係数は逆に発散抑制方向に変化する。よって、発
散抑制係数は、発散を抑制し得る範囲内で最も振動又は
騒音の低減効果が大きい値を目指すようになる。
【0016】即ち、制御の発散は、主として騒音又は振
動の伝達系の伝達関数が当初の状態からずれることによ
り発生するものであるが、その伝達関数のずれは、回復
する場合と、回復しない場合とがある。前者の例として
は、例えば騒音又は振動が伝達される空間内や床上に物
が置かれたために当初の状態からずれた伝達関数が、そ
の物が持ち去られたために元の状態に回復する場合等が
考えられる。後者の例としては、例えば制御音又は制御
振動を発生する装置を構成する部品の経時劣化によっ
て、伝達関数がずれた場合等が考えられる。また、本来
の発散ではないが、低減対象でない騒音や振動のレベル
が高くなった場合にこれを発散であると誤検出して、制
御発散係数が発散抑制方向に変化する場合もある。
【0017】そして、伝達関数ずれが回復したような場
合や、低減対象でない騒音や振動のレベルが低下したよ
うな場合には、その時点の発散抑制係数による発散抑制
作用は過剰である可能性があるが、請求項1又は請求項
2に係る発明であれば、所定のタイミングで発散抑制係
数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させることにより
発散抑制係数が適切な値であるか否かの様子を見るよう
になっているから、発散抑制係数は、発散を抑制すると
いう作用を確保しつつ、騒音又は振動の低減効果を大幅
に低下させない最適値に向かって変化するようになる。
【0018】一方、請求項3に係る発明にあっては、発
散抑制係数復元手段が発散抑制係数を変化させる所定の
タイミングを、発散抑制係数が所定時間変化しない場
合、つまり発散抑制係数が所定時間連続して一定値のま
まである場合としているが、発散抑制係数が変化しない
ということは、少なくともその時点の発散抑制係数によ
る抑制作用が有効であるということであるから、その発
散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に試しに変化さ
せてみるタイミングとして好適である。そして、発散抑
制係数復元手段が発散抑制係数を変化させることによっ
て制御の発散傾向が助長されなければ、再び所定時間経
過した後に発散抑制係数復元手段が発散抑制係数を発散
抑制方向とは逆の方向に変化させるし、発散抑制係数復
元手段が発散抑制係数を変化させることによって制御の
発散が助長されれば、発散抑制係数は逆に発散抑制方向
に変化するようになる。このため、請求項1又は請求項
2に係る発明の作用が確実に発揮されるようになる。
【0019】また、請求項4に係る発明にあっては、発
散抑制係数復元手段が発散抑制係数を変化させる所定の
タイミングを、残留騒音信号又は残留振動信号が所定の
しきい値以下となった場合としているが、残留騒音信号
又は残留騒音信号のレベルが所定レベル以下であるとい
うことは、低減制御の対象でない騒音又は振動のレベル
は小さく、しかも騒音又は振動の低減制御がある程度効
果を発揮しているということであるから、発散抑制係数
を発散抑制方向とは逆の方向に試しに変化させてみるタ
イミングとして好適である。よって、この請求項4に係
る発明であっても、請求項2に係る発明の作用が確実に
発揮されるようになる。
【0020】さらに、請求項5に係る発明にあっては、
発散抑制係数復元手段が発散抑制係数を変化させる所定
のタイミングを、発散抑制係数が所定時間連続して一定
値のままであって、しかも残留騒音信号又は残留振動信
号が所定のしきい値以下である場合としているが、これ
ら二つの判定が両方とも成立する場合は、その時点の発
散抑制係数によって制御の発散が確実に抑制できてお
り、しかも低減制御の対象でない騒音又は振動のレベル
は小さく、騒音又は振動の低減制御がある程度の効果を
発揮しているということであるから、発散抑制係数を発
散抑制方向とは逆の方向に試しに変化させてみるタイミ
ングとして、特に好適である。よって、この請求項5に
係る発明であっても、請求項2に係る発明の作用が確実
に発揮されるようになる。
【0021】そして、請求項6に係る発明にあっては、
車両に適用される能動型騒音振動制御装置において、発
散抑制係数復元手段が発散抑制係数を変化させる所定の
タイミングを、車両状態が所定状態であるときとしてい
るが、回復できる発散の原因は何らかの車両状態である
から、その原因が解消されたか否かは車両状態から判断
することができるのである。よって、適宜選択した車両
状態は、発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に試
しに変化させてみるタイミングを計る判断基準として好
適であり、かかる車両状態としては、請求項7に記載の
発明に掲げるようなものが考えられる。
【0022】例えば、車両状態として車速を適用した場
合、その車速が零又は実質的に零となったタイミング
で、発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に試しに
変化させてみることが考えられる。つまり、車両走行中
には、路面上の凹凸を車輪が通過する際に発生するロー
ド・ノイズ等の騒音や振動の影響を受けて、発散抑制係
数が発散抑制方向に変化する場合があるから、車両が停
車していると判断できれば、発散抑制係数を発散抑制方
向に変化させた要因が解消されている可能性があり、発
散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させるタ
イミングとして好適である。
【0023】また、車両状態としてドアの開閉を適用し
た場合、そのドアが閉じられたタイミングで、発散抑制
係数を発散抑制方向とは逆の方向に試しに変化させてみ
ることが考えられる。即ち、車両のドアが開かれると、
車室内の音響伝達関数や車体の振動伝達関数が変化し、
その伝達関数の変化によって制御が発散傾向となって発
散抑制係数が発散抑制方向に変化する場合があるから、
ドアが閉じられると同時に制御を発散させた要因が解消
されている可能性がある。よって、ドアが閉じられたと
判断した際は、発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方
向に変化させるタイミングとして好適である。
【0024】そして、車両状態としてボンネットの開閉
を適用した場合、そのボンネットが閉じられたタイミン
グで、発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に試し
に変化させてみることが考えられる。即ち、ボンネット
が開かれると、車体の音響伝達関数や振動伝達関数が変
化し、その伝達関数の変化によって制御が発散傾向とな
って発散抑制係数が発散抑制方向に変化する場合がある
から、ボンネットが閉じられると同時に制御を発散させ
た要因が解消されている可能性がある。よって、ボンネ
ットが閉じられたと判断した際は、発散抑制係数を発散
抑制方向とは逆の方向に変化させるタイミングとして好
適である。
【0025】また、車両状態として燃料残量を適用した
場合、給油等によって燃料が所定量に戻ったタイミング
で、発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に試しに
変化させてみることが考えられる。即ち、燃料残量が少
なくなると、車体の音響伝達関数や振動伝達関数が変化
し、その伝達関数の変化によって制御が発散傾向となっ
て発散抑制係数が発散抑制方向に変化する場合があるか
ら、給油と同時に制御を発散させた要因が解消されてい
る可能性がある。よって、燃料残量が戻ったと判断した
際は、発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に変化
させるタイミングとして好適である。
【0026】さらに、車両状態として乗員状況を適用し
た場合、乗員が初期設定状態(例えば、運転手のみが存
在する状態)に戻ったタイミングで、発散抑制係数を発
散抑制方向とは逆の方向に試しに変化させてみることが
考えられる。即ち、乗員の増減によって車室内の音響伝
達関数や車体フロアの振動伝達関数が変化し、その伝達
関数の変化によって制御が発散傾向となって発散抑制係
数が発散抑制方向に変化する場合があるから、乗員が初
期状態に戻ったのと同時に制御を発散させた要因が解消
されている可能性がある。よって、乗員が初期状態に戻
ったと判断した際は、発散抑制係数を発散抑制方向とは
逆の方向に変化させるタイミングとして好適である。
【0027】そして、車両状態として積載重量を適用し
た場合、積載重量が初期値に戻ったタイミングで、発散
抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に試しに変化させ
てみることが考えられる。即ち、積載重量の増減によっ
て車体の振動伝達関数が変化し、その伝達関数の変化に
よって制御が発散傾向となって発散抑制係数が発散抑制
方向に変化する場合があるから、積載重量が初期状態に
戻ったのと同時に制御を発散させた要因が解消されてい
る可能性がある。よって、積載重量が初期値に戻ったと
判断した際は、発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方
向に変化させるタイミングとして好適である。
【0028】また、車両状態としてバッテリ電圧を適用
した場合、そのバッテリ電圧が所定値に戻ったタイミン
グで、発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に試し
に変化させてみることが考えられる。即ち、制御音や制
御振動を発生する装置(請求項2に係る発明であれば、
制御音源又は制御振動源)が、入力される信号(請求項
2に係る発明であれば駆動信号)に対して非線形の特徴
を有するような場合には、バッテリ電圧によってその制
御音や制御振動を発生する装置の特性が変化して、これ
によって伝達関数が変化して制御が発散傾向となり、発
散抑制係数が発散抑制方向に変化する場合があるから、
バッテリ電圧が初期状態に戻ったのと同時に制御を発散
させた要因が解消されている可能性がある。よって、バ
ッテリ電圧が初期値に戻ったと判断した際は、発散抑制
係数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させるタイミン
グとして好適である。
【0029】
【発明の効果】このように、本発明によれば、所定タイ
ミングで前記発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向
に変化させる発散抑制係数復元手段を設けたため、発散
抑制係数を、それによる発散抑制作用が過剰となる状態
のまま放置しないようになるから、発散抑制作用を確保
したまま、可能な範囲で最大限の騒音又は振動の低減効
果が得られるという効果がある。
【0030】特に、請求項3〜7に係る発明であれば、
発散抑制係数復元手段が発散抑制係数を変化させる所定
のタイミングが好適であるから、上記効果をより確実に
発揮することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図7は本発明の第1の
実施の形態を示す図であって、図1は本発明に係る能動
型騒音振動制御装置の一実施形態である能動型振動制御
装置を適用した車両の概略側面図である。
【0032】先ず、構成を説明すると、エンジン30が
駆動信号に応じた能動的な支持力を発生可能な能動型エ
ンジンマウント1を介して、サスペンションメンバ等か
ら構成される車体35に支持されている。なお、実際に
は、エンジン30及び車体35間には、能動型エンジン
マウント1の他に、エンジン30及び車体35間の相対
変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジン
マウントも介在している。受動的なエンジンマウントと
しては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常の
エンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生
可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウント
インシュレータ等が適用できる。
【0033】一方、能動型エンジンマウント1は、例え
ば、図2に示すように構成されている。即ち、この実施
の形態における能動型エンジンマウント1は、エンジン
30への取付け用のボルト2aを上部に一体に備え且つ
内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有し、このキ
ャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向く内筒3の
上端部がかしめ止めされている。
【0034】内筒3は、下端側の方が縮径した形状とな
っていて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、
ここに円形の開口部3aが形成されている。そして、内
筒3の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上
下に二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止
め部分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設され
ている。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の
側面に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0035】さらに、内筒3の内側にはオリフィス構成
体5が配設されている。なお、本実施の形態では、内筒
3内面及びオリフィス構成5間には、薄膜状の弾性体
(ダイアフラム4の外周部を延長させたものでもよい)
が介在していて、これにより、オリフィス構成体5は内
筒3内側に強固に嵌め込まれている。
【0036】このオリフィス構成体5は、内筒3の内部
空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面に
は円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部
5aと、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オ
リフィス5bを介して連通するようになっている。オリ
フィス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に
沿って螺旋状に延びる溝と、その溝の一端部を凹部5a
に連通させる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連
通させる流路とで構成される。
【0037】一方、内筒3の外周面には、内周面側が若
干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周
面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面
は、上端側が拡径した円筒部材としての外筒7の内周面
上部に加硫接着されている。
【0038】そして、外筒7の下端部は上面が開口した
円筒形のアクチュエータケース8の上端部にかしめ止め
されていて、そのアクチュエータケース8の下端面から
は、車体35側への取付け用の取付けボルト9が突出し
ている。取付けボルト9は、その頭部9aが、アクチュ
エータケース8の内底面に張り付いた状態で配設された
平板部材8aの中央の空洞部8bに収容されている。
【0039】さらに、アクチュエータケース8の内側に
は、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10A
の中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル
10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲され
た部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石1
0Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設
されている。
【0040】また、アクチュエータケース8の上端部は
フランジ状に形成されたフランジ部8Aとなっていて、
そのフランジ部8Aに外筒7の下端部がかしめられて両
者が一体となっているのであるが、そのかしめ止め部分
には、円形の金属製の板ばね11の周縁部(端部)が挟
み込まれていて、その板ばね11の中央部の電磁アクチ
ュエータ10側には、リベット11aによって磁化可能
な磁路部材12が固定されている。なお、磁路部材12
はヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円板であって、
その底面が電磁アクチュエータ10に近接するような厚
みに形成されている。
【0041】さらに、上記かしめ止め部分には、フラン
ジ部8Aと板ばね11とに挟まれるように、リング状の
薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14a
とが支持されている。具体的には、アクチュエータケー
ス8のフランジ部8A上に、薄膜弾性体13と、力伝達
部材14のフランジ部14aと、板ばね11とをこの順
序で重ね合わせるとともに、その重なり合った全体を外
筒7の下端部をかしめて一体としている。
【0042】力伝達部材14は、磁路部材12を包囲す
る短い円筒形の部材であって、その上端部がフランジ部
14aとなっており、その下端部は電磁アクチュエータ
10のヨーク10Aの上面に結合している。具体的に
は、ヨーク10Aの上端面周縁部に形成された円形の溝
に、力伝達部材14の下端部が嵌合して両者が結合され
ている。また、力伝達部材14の弾性変形時のばね定数
は、薄膜弾性体13のばね定数よりも大きい値に設定さ
れている。
【0043】ここで、本実施の形態では、支持弾性体6
の下面及び板ばね11の上面によって画成された部分に
流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5aに
よって画成された部分に副流体室16が形成されてい
て、これら流体室15及び副流体室16間が、オリフィ
ス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通し
ている。なお、これら流体室15,副流体室16及びオ
リフィス5b内には、油等の流体が封入されている。
【0044】かかるオリフィス5bの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzで能動型エンジンマウン
ト1が加振された場合に高動ばね定数、高減衰力を示す
ように調整されている。
【0045】そして、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bは、コントローラ25からハーネス23aを
通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の
電磁力を発生するようになっている。コントローラ25
は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回
路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ等を含んで構
成され、エンジンシェイクよりも高周波の振動であるア
イドル振動やこもり音振動・加速時振動が車体35に入
力されている場合には、その振動を低減できる能動的な
支持力が能動型エンジンマウント1に発生するように、
能動型エンジンマウント1に対する駆動信号yを生成し
出力するようになっている。
【0046】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動が車体35に伝達されることが主
な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期し
て駆動信号yを生成し出力すれば、車体側低減が可能と
なる。そこで、本実施の形態では、エンジン30のクラ
ンク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気筒エン
ジンの場合には、クランク軸が180度回転する度に一
つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして出力す
るパルス信号生成器26を設けていて、その基準信号x
が、エンジン30における振動の発生状態を表す信号と
してコントローラ25に供給されるようになっている。
【0047】一方、電磁アクチュエータ10のヨーク1
0Aの下端面と、アクチュエータケース8の底面を形成
する平板部材8aの上面との間に挟み込まれるように、
エンジン30から支持弾性体6を通じて伝達する加振力
を検出する荷重センサ22が配設されていて、荷重セン
サ22の検出結果がハーネス23bを通じて残留振動信
号eとしてコントローラ25に供給されるようになって
いる。荷重センサ22としては、具体的には、圧電素
子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能である。
【0048】そして、コントローラ25は、供給される
残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリ
ズムの一つである同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマ
ウント1に対する駆動信号yを演算し、その駆動信号y
を能動型エンジンマウント1に出力するようになってい
る。
【0049】具体的には、コントローラ25は、フィル
タ係数Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ
数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最
新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリン
グ・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタW
のフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力する
一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新する
処理を実行するようになっている。
【0050】ただし、この実施の形態では、同期式Fi
ltered−X LMSアルゴリズムにおける評価関
数として、下記の(1)式を用いている。 Jm={e(n)}2 +β{y(n)}2 ……(1) つまり、LMSアルゴリズムにあっては評価関数Jmが
小さくなる方向にフィルタ係数Wi が更新されるのであ
るから、上記(1)式の右辺の内容からも明らかなよう
に、フィルタ係数Wi は、残留振動信号eの自乗値が小
さくなるとともに、駆動信号yの自乗値をβ倍した値が
小さくなるように、逐次更新されることになる。そし
て、βは発散抑制係数と称される係数であって、この発
散抑制係数βが大きくなる程、駆動信号yは小さくなる
傾向となる。つまり、発散抑制係数βには制御の発散を
抑制する作用がある。
【0051】そして、収束係数をαとし、上記(1)式
で表される評価関数Jmに基づいてフィルタ係数Wi
更新式を求めると、下記の(2)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)+2αRT e(n)−2βαy(n) ……(2) そこで、この(2)式中の「2α」を新たな収束係数α
とし、「2βα」を新たな発散抑制係数βk とすれば、
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wiの更新式
は下記の(3)式のようになる。
【0052】 Wi (n+1)=Wi (n)+αRT e(n)−βk y(n) ……(3) ここで、(n),(n+1)が付く項はサンプリング時
刻n,n+1における値であることを表している。ま
た、更新用基準信号RT は、理論的には、基準信号x
を、能動型エンジンマウント1の電磁アクチュエータ1
0及び荷重センサ22間の伝達関数Cをモデル化した伝
達関数フィルタC^でフィルタ処理した値であるが、基
準信号xの大きさは“1”であるから、伝達関数フィル
タC^のインパルス応答を基準信号xに同期して次々と
生成した場合のそれらインパルス応答波形のサンプリン
グ時刻nにおける和に一致する。
【0053】また、理論的には、基準信号xを適応ディ
ジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成
するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるた
め、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力し
ても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ
結果になる。
【0054】そして、コントローラ25は、上記のよう
な駆動信号yの出力処理及び適応ディジタルフィルタW
の各フィルタ係数Wi の更新処理からなる振動低減処理
を実行する一方で、制御の発散を検出するための発散検
出処理を実行するようになっている。発散検出処理は、
本実施の形態では適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数Wi の絶対値を求め、その絶対値に基づいて演算さ
れる判定値が所定のしきい値を越えている場合に発散が
生じたと判定するとともに、発散が生じていると判定さ
れた場合には、発散抑制係数βk を大きくなる方向に更
新するようになっている。具体的には、発散抑制係数β
k は、その添え字k(k=1,2,…,K)に対応して
複数K個設けられていて、その添え字kが大きくなるに
従って発散抑制係数βk は1段階ずつ大きくなる。そこ
で、発散が検出された場合には、その添え字kをインク
リメント(k=k+1;但し、k=Kの場合には、イン
クリメントせずにそのままとする。)して、発散抑制係
数βk を1段階大きな値に更新するようになっている。
【0055】さらに、コントローラ25は、上記の振動
低減処理及び発散検出処理の他に、発散抑制係数復元処
理をも実行するようになっている。この発散抑制係数復
元処理は、発散抑制係数βk が発散検出処理において更
新されたか否かを判定するとともに、更新されていない
状況が所定時間連続しているか否かを判定し、その発散
抑制係数βk が所定時間連続して一定値のままである場
合には、その添え字kをデクリメント(k=k−1;但
し、k=1の場合には、デクリメントせずにそのままと
する。)して、発散抑制係数βk を1段階小さな値に更
新するようになっている。
【0056】次に、本実施の形態の動作を説明する。即
ち、エンジンシェイク発生時には、オリフィス5aの流
路形状等を適宜選定している結果、この能動型エンジン
マウント1は高動ばね定数,高減衰力の支持装置として
機能するため、エンジン30側で発生したエンジンシェ
イクが能動型エンジンマウント1によって減衰され、車
体35側の振動レベルが低減される。なお、エンジンシ
ェイクに対しては、特に可動板12を積極的に変位させ
る必要はない。
【0057】一方、オリフィス5a内の流体がスティッ
ク状態となり流体室15及び副流体室16間での流体の
移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ25は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10に駆動信
号yを出力し、能動型エンジンマウント1に振動を低減
し得る能動的な支持力を発生させる。
【0058】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ25内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図3に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定が行
われた後に、ステップ102に移行し、伝達関数フィル
タC^に基づいて更新用基準信号RT が演算される。な
お、このステップ102では、一周期分の更新用基準信
号RT がまとめて演算される。
【0059】そして、ステップ103に移行しカウンタ
iが零クリアされた後に、ステップ104に移行して、
適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数Wi
が駆動信号yとして出力される。
【0060】ステップ104で駆動信号yを出力した
ら、ステップ105に移行し、残留振動信号eが読み込
まれる。この残留振動信号eは、現在のカウンタiの値
とともに記憶される。
【0061】そして、ステップ106に移行して、カウ
ンタjが零クリアされ、次いでステップ107に移行
し、適応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数
j が上記(3)式に従って更新される。
【0062】ステップ107における更新処理が完了し
たら、ステップ108に移行し、次の基準信号xが入力
されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力さ
れていないと判定された場合は、適応ディジタルフィル
タWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力処
理を実行すべく、ステップ109に移行する。
【0063】ステップ109では、カウンタjが、出力
回数Ty (正確には、カウンタjは0からスタートする
ため、出力回数Ty から1を減じた値)に達しているか
否かを判定する。この判定は、ステップ104で適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を駆動信号yと
して出力した後に、適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数Wi を、駆動信号yとして必要な数だけ更新した
か否かを判断するためのものである。そこで、このステ
ップ109の判定が「NO」の場合には、ステップ11
0でカウンタjをインクリメントした後に、ステップ1
07に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0064】しかし、ステップ109の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
1に移行してカウンタiをインクリメントした後に、上
記ステップ104の処理を実行してから所定のサンプリ
ング・クロックの間隔に対応する時間が経過するまで待
機し、サンプリング・クロックに対応する時間が経過し
たら、上記ステップ104に戻って上述した処理を繰り
返し実行する。
【0065】一方、ステップ111で基準信号xが入力
されたと判断された場合には、ステップ112に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力
回数Ty として保存した後に、ステップ102に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。
【0066】このような図3の処理を繰り返し実行する
結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント1
の電磁アクチュエータ10に対しては、基準信号xが入
力された時点から、サンプリング・クロックの間隔で、
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が順番に
駆動信号yとして供給される。
【0067】この結果、励磁コイル10Bに駆動信号y
に応じた磁力が発生するが、磁路部材12には、既に永
久磁石10Cによる一定の磁力が付与されているから、
その励磁コイル10Bによる磁力は永久磁石10Cの磁
力を強める又は弱めるように作用すると考えることがで
きる。つまり、励磁コイル10Bに駆動信号yが供給さ
れていない状態では、磁路部材12は、板ばね11によ
る支持力と、永久磁石10Cの磁力との釣り合った中立
の位置に変位することになる。そして、この中立の状態
で励磁コイル10Bに駆動信号yが供給されると、その
駆動信号yによって励磁コイル10Bに発生する磁力が
永久磁石10Cの磁力と逆方向であれば、磁路部材12
は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが増大する
方向に変位する。逆に、励磁コイル10Bに発生する磁
力が永久磁石10Cの磁力と同じ方向であれば、磁路部
材12は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが減
少する方向に変位する。
【0068】このように磁路部材12は正逆両方向に変
位可能であり、磁路部材12が変位すれば主流体室15
の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体6の
拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウント
1に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのである。
【0069】そして、駆動信号yとなる適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムに従った上記(3)式
によって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過し
て適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最
適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エンジンマウ
ント1に供給されることによって、エンジン30から能
動型エンジンマウント1を介して車体35側に伝達され
るアイドル振動やこもり音振動が低減されるようになる
のである。
【0070】一方、コントローラ25内では、図3に示
した振動低減処理の実行中に、所定の割り込みタイミン
グで、図4に示す発散検出処理と、図5に示す発散抑制
係数復元処理とが実行される。つまり、図3〜図5に示
す各処理は、タイムシェアリング方式により実質的に並
列に実行される。
【0071】即ち、所定の割り込み間隔で図4に示す処
理が実行されると、先ずそのステップ121において、
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の絶対値
に基づいて、発散判定用の判定値WH を演算する。な
お、判定値Wh は、例えばフィルタ係数Wi の絶対値の
うちの最大値としてもよいし、或いは、そのフィルタ係
数Wi の絶対値の所定個数の和としてもよい。
【0072】次いで、ステップ122に移行し、その判
定値WH が所定のしきい値Wthよりも大きいか否かを判
定する。このしきい値Wthは、判定値WH が過大である
か否かを判定するためのしきい値であって、このステッ
プ122の判定が「NO」の場合には、特に判定値WH
は過大ではなく、従ってその演算根拠であるフィルタ係
数Wi は、適切な振動低減制御実行中に採り得る通常の
範囲内に収まっていると判断できる。そこで、制御には
特に発散傾向は認められないと判断して、このまま今回
の発散検出処理を終了する。
【0073】しかし、ステップ122の判定が「YE
S」の場合には、判定値WH は過大であり、その演算根
拠であるフィルタ係数Wi は、適切な振動低減制御実行
中には採り得ない大きな値に至っていると判断できる。
そこで、振動低減制御は発散傾向にあると判断し、ステ
ップ123に移行して、添え字kをインクリメントして
からこの発散検出処理を終了する。なお、ステップ12
3に移行した際に添え字kが既に最大値Kである場合に
は、kをインクリメントせずにこの発散検出処理を終了
する。
【0074】この発散検出処理においてステップ123
が実行されると、発散抑制係数βkが増加方向(発散抑
制方向)に更新されるから、上記(3)式の右辺第3項
は、発散抑制係数βk が更新される前よりも大きくな
る。すると、フィルタ係数Wiは、更新演算される際に
原点(=0)に近づく傾向が強くなるから、制御の発散
によって増大傾向にあったフィルタ係数Wi が小さくな
り、それに伴って駆動信号yが小さくなって、能動型エ
ンジンマウント1で発生する制御振動が小さくなる。
【0075】そして、発散検出処理における発散抑制係
数βk の増加方向への更新は、ステップ122の判定が
「YES」である限り繰り返し行われるから、発散が有
効に抑制されるようになるまで、その発散抑制係数βk
は増加することになる。
【0076】一方、所定の割り込み間隔で図5に示す発
散抑制係数復元処理が実行され、先ずそのステップ13
1において、現時点の発散抑制係数βk が、前回の発散
抑制係数復元処理において記憶した直前値β* に等しい
か否かが判定される。このステップ131の判定が「N
O」の場合には、発散抑制係数βk が直前に更新された
と判断し、ステップ132に移行してカウンタqをクリ
アしてからステップ133に移行する。ステップ133
では、現時点の発散抑制係数βk を直前値β*として記
憶して、これで今回のこの発散抑制係数復元処理を終了
する。
【0077】しかし、ステップ131の判定が「YE
S」の場合には、発散抑制係数βk は少なくとも直前に
は更新されていないと判断できるから、ステップ134
に移行し、カウンタqをインクリメントする。そして、
ステップ135に移行して、カウンタqが所定値Qに達
したか否かを判定する。このステップ135における判
定は、発散抑制係数βk が所定時間変化していないか否
かを判定するための判定である。つまり、ステップ13
1の判定が「NO」となればステップ132に移行して
カウンタqがクリアされるようになっているから、カウ
ンタqの値にこの図5の処理の割り込み間隔を乗じた時
間が、発散抑制係数βk が一定値のまま更新されていな
い時間となるから、所定値Qを適宜設定することによ
り、発散抑制係数βk が所定時間変化していないか否か
の判定が行えるのである。
【0078】そこで、ステップ135の判定が「NO」
である場合にはステップ133に移行してから今回のこ
の処理を終了するが、ステップ135の判定が「YE
S」となった場合には、ステップ136に移行し、添え
字kをデクリメントする。なお、ステップ136に移行
した際に添え字kが既に最小値1である場合には、kを
デクリメントしない。そして、ステップ136の処理を
終えたら、ステップ132に移行してカウンタqをクリ
アし、次いでステップ133に移行してから今回の発散
抑制係数復元処理を終了する。
【0079】この発散抑制係数復元処理においてステッ
プ136が実行されると、発散抑制係数βk が減少方向
(発散抑制方向とは逆の方向)に更新されるから、上記
(3)式の右辺第3項は、発散抑制係数βk が更新され
る前よりも小さくなる。すると、フィルタ係数Wi の更
新量は、上記(3)式の右辺第2項が支配的となるか
ら、振動低減効果がより顕著になる方向にフィルタ係数
i は逐次更新されるようになる。
【0080】そして、発散抑制係数復元処理における発
散抑制係数βk の減少方向への更新は、図4の処理で発
散が検出されてステップ123で発散抑制係数βk が更
新されない限り、所定値Qに対応する所定時間毎に繰り
返し行われる。
【0081】よって、図4に示す発散検出処理と、図5
に示す発散抑制係数復元処理とを並列に実行することに
より、発散抑制係数βk は、発散を抑制できる値のう
ち、最も小さい値を目指すように変化していくことにな
る。そして、発散抑制係数βkは小さい程、上記(3)
式によるフィルタ係数Wi の更新量は大きくなるから、
エンジン30で発生した振動を低減するための最適値へ
の収束性が向上して振動低減制御による効果は良好にな
る。
【0082】つまり、本実施の形態によれば、制御の発
散を抑制しつつ、可能な範囲で最大限の振動低減効果を
得ることができるのである。図6は、例えば伝達関数C
が短時間の間だけ初期状態からずれたために一時的な発
散が発生したような場合における発散抑制係数βk の変
化を示しており、縦軸は発散抑制係数βk (上が大)で
あり、横軸は時間である。即ち、時刻t11までは伝達関
数Cは初期状態のままであったが、その時刻t11におい
て伝達関数Cが初期状態からずれてしまい、これにより
フィルタ係数Wi が徐々に増大したとする。
【0083】すると、図4の発散検出処理が実行される
結果、時刻t12において発散が検出されてステップ12
2の判定が「YES」となり、ステップ123に移行し
て発散抑制係数βk が増加方向に更新されるが、一度の
更新では発散が抑制されなければ、ステップ123の処
理が繰り返し実行されて発散抑制係数βk は次々と増加
方向に更新される。その一方で、時刻t13において伝達
関数Cが初期状態に復活し、この時点で発散も抑制され
たとすると、取り敢えず発散抑制係数βk の増加方向へ
の更新は止まる。
【0084】発散抑制係数βk の更新が止まれば、図5
の発散抑制係数復元処理においてカウンタqがクリアさ
れることなく徐々に増大し、時刻t14において所定値Q
に対応する時間が経過したとすると、ここでステップ1
36の処理が実行されて発散抑制係数βk は一段階だけ
小さくなる。
【0085】そして、発散の原因であった伝達関数Cの
初期状態からのずれは既に解消しているから、発散抑制
係数βk を小さくしても特に発散傾向とはならない。こ
のため、発散抑制係数βk は、時刻t15,t16,t17
18という具合に所定時間が経過する度に徐々に小さく
なっていき、遂には発散の原因である伝達関数Cのずれ
が発生した時刻t11以前の状態の復元される。
【0086】つまり、本実施の形態の構成であれば、発
散によって増加方向に更新された発散抑制係数βk を、
その発散の原因が解消された後に元の状態に戻すことが
できるのである。
【0087】一方、図7は、伝達関数Cに回復不可能な
ずれが生じたために持続的な発散状態に陥った場合にお
ける発散抑制係数βk の変化を示しており、縦軸,横軸
の意味は図6の場合と同様である。即ち、時刻t21まで
は伝達関数Cは初期状態のままであったが、その時刻t
21において例えば能動型エンジンマウント1の経時劣化
等によって伝達関数Cに回復不可能な初期状態からのず
れが生じてしまい、これによりフィルタ係数Wi が徐々
に増大したとする。
【0088】そして、図4の発散検出処理が実行されて
時刻t22,t23において発散抑制係数βk が増加方向に
更新され、この2回の更新で発散のそれ以上の悪化が抑
制されたとする。
【0089】発散抑制係数βk の更新が止まれば、図5
の発散抑制係数復元処理においてカウンタqがクリアさ
れることなく徐々に増大し、時刻t24において所定値Q
に対応する時間が経過したとすると、ここでステップ1
36の処理が実行されて発散抑制係数βk は一段階だけ
小さくなる。
【0090】しかし、発散の原因である伝達関数Cのず
れは回復されていないから、再び発散傾向となり、図4
の発散検出処理によって時刻t25において発散抑制係数
βkが増加方向に更新されるようになる。その後は、発
散抑制係数βk の減少方向への更新と増加方向への更新
とが繰り返し行われるから、発散抑制係数βk は、発散
を抑制できる最小値近傍に落ちつくようになる。
【0091】つまり、本実施の形態の構成であれば、発
散によって増加方向に更新された発散抑制係数βk を試
しに減少方向に更新するようになっているから、その発
散抑制係数βk が発散抑制可能な最小値であるか否かを
自動的に見極めることができるのである。
【0092】このように、本実施の形態であれば、図
6,図7のいずれの場合に対しても、発散抑制係数βk
の増加による振動低減効果の低下を最小限とすることが
でき、乗員が感じるエンジン振動のレベルを極力小さく
できるのである。
【0093】なお、本実施の形態では、能動型エンジン
マウント1を通じて車体35側に伝達される振動を検出
する手段として、荷重センサ22を用いているため、加
振振幅の大小を正確に表した残留振動信号eをコントロ
ーラ25に供給できるという利点もある。従って、コン
トローラ25においては、加振振幅の大きさを正確に反
映した駆動信号yを生成し出力するようになり、電磁ア
クチュエータ10は、加振振幅に比例した振幅で可動板
12を変位させることができる。このため、アイドル振
動(20〜30Hz)からこもり音振動(80〜800H
z)に至る全制御周波数帯域に渡って良好な振動低減制
御を実行することができるのである。
【0094】また、能動型エンジンマウント1内に荷重
センサ22を内蔵し、その荷重センサ22にボルト9の
締め付け力が加わらないようにしているから、荷重セン
サの耐荷重条件が低くなり、小型の荷重センサ22を採
用でき、スペース的に余裕の小さい能動型エンジンマウ
ント1には非常に好適であり、コスト的にも有利にな
る。しかも、荷重センサ22が能動型エンジンマウント
1と一体となっていれば、実際に車両に搭載する際の手
間数が少なくなるから、製造ラインにおける効率化を図
ることもできるという利点もある。
【0095】ここで、本実施の形態では、エンジン30
が振動源に対応し、能動型エンジンマウント1が制御振
動源に対応し、パルス信号生成器26が基準信号生成手
段に対応し、図3の処理において所定のサンプリング・
クロックに同期してステップ104でフィルタ係数Wi
を駆動信号yとして出力する処理が駆動信号生成手段に
対応し、荷重センサ22が残留振動検出手段に対応し、
図3のステップ107の処理がフィルタ係数更新手段に
対応し、図4の処理におけるステップ121,122の
処理が発散検出手段に対応し、図4の処理におけるステ
ップ123の処理が発散抑制手段に対応し、図5の処理
が発散抑制係数復元手段に対応する。
【0096】図8は本発明の第2の実施の形態を示す図
であって、発散抑制係数復元処理を示すフローチャート
である。なお、その全体的な構成や他の処理の内容は、
上記第1の実施の形態と同様であるため、その図示及び
説明は省略する。
【0097】即ち、本実施の形態における発散抑制係数
復元処理では、先ず、そのステップ201において残留
振動信号eが読み込まれ、次いでステップ202に移行
してその残留振動信号eの絶対値が、所定のしきい値e
thよりも小さいか否かが判定される。そして、このステ
ップ202の判定が「NO」の場合は、残留振動のレベ
ルが大きいから、発散傾向が強いと判断して発散抑制係
数βk は特に減少させることなく今回のこの処理を終了
する。
【0098】しかし、ステップ202の判定が「YE
S」の場合は、過去に仮に発散が発生していたとして
も、それが解消されたと判断できるから、ステップ20
3に移行して、図5のステップ136と同様に添え字k
をデクリメントし、発散抑制係数βk を減少方向に更新
してから、今回のこの処理を終了する。
【0099】このように本実施の形態にあっては、実際
に制御が発散傾向であるか否かを判定し、発散傾向でな
いと判断された場合には発散抑制係数βk を小さくする
ようになっているから、上記第1の実施の形態と同様の
作用効果が得られる。
【0100】特に、本実施の形態では、残留振動信号e
に基づいて実際に制御が発散傾向であるか否かを判定す
るようになっているから、上記第1の実施の形態のよう
に一定時間経過する度に発散抑制係数βk を小さくする
場合と比べて、発散抑制係数βk を素早く減少方向に更
新することができるという利点がある。
【0101】ここで、エンジン30以外の振動源から発
せられた大レベルの外乱振動(振動低減対象でない振
動)が残留振動信号eに重畳された場合、その外乱振動
を含む残留振動信号eがフィルタ係数Wi の更新演算に
取り込まれる結果、フィルタ係数Wi が過大となって図
4の処理で発散抑制係数βk が増加方向に更新されるこ
とがある。かかる場合は、本来の発散ではないが、フィ
ルタ係数Wi が過大となる点では同じであるため、明確
に区別できず、本来の発散が生じた場合と同様に発散抑
制係数βk が増大してしまうのである。
【0102】しかし、そのような外乱振動に起因した発
散抑制係数βk の増大に対しても、この第2の実施の形
態であれば、発散抑制係数βk を適切なタイミングで減
少方向に更新できるから、発散抑制係数βk が不適切な
大きな値のまま振動低減制御が継続してしまうことを回
避でき、振動低減効果の低下を最低限にすることができ
るのである。
【0103】ここで、本実施の形態では、図8に示す処
理が発散抑制係数復元手段に対応する。図9は本発明の
第3の実施の形態を示す図であって、発散抑制係数復元
処理を示すフローチャートである。なお、その全体的な
構成や他の処理の内容は、上記第1の実施の形態と同様
であるため、その図示及び説明は省略する。
【0104】即ち、本実施の形態における発散抑制係数
復元処理は、上記第1の実施の形態における発散抑制係
数復元処理と、上記第2の実施の形態における発散抑制
係数復元処理とを組み合わせたものである。つまり、ス
テップ301,302において図8のステップ201,
202と同等の処理が実行され、そのステップ302の
判定が「YES」の場合に実行されるステップ303〜
308の処理が図5のステップ131〜136の処理と
同等となっている。
【0105】このような処理内容であれば、残留振動信
号eに基づいて制御が発散傾向でないと判定され、しか
も発散抑制係数βk が所定時間連続して一定である場合
に、その発散抑制係数βk が減少方向に更新されるよう
になる。このため、外乱振動が残留振動信号eに重畳さ
れたためにフィルタ係数Wi が過大となって発散抑制係
数βk が増大方向に更新されたような場合に、その外乱
振動が収まり、しかも発散抑制係数βk が更新されない
状況がある程度連続したタイミングで、発散抑制係数β
k が減少方向に更新されるようになる。
【0106】すると、本実施の形態のような能動型振動
制御装置を搭載した車両が、例えば悪路を走行した際に
路面及び車輪間で断続的に発生する大レベルの外乱振動
が残留振動信号eに重畳され、その外乱振動を含む残留
振動信号eの影響でフィルタ係数Wi が過大になったよ
うな場合であっても、悪路を完全に抜けきった後に発散
抑制係数βk が減少方向に更新されるようになる。つま
り、断続的に発生する外乱振動の合間に発散抑制係数β
k が減少方向に更新され、大レベルの外乱振動が再び入
力されると発散抑制係数βk が増加方向に更新される、
というようなハンチング現象を回避できるから、発散抑
制作用を継続的に発揮でき、良好な発散抑制効果が得ら
れるという利点がある。
【0107】ここで、本実施の形態では、図9に示す処
理が発散抑制係数復元手段に対応する。図10は本発明
の第4の実施の形態を示す図であって、発散抑制係数復
元処理を示すフローチャートである。なお、その全体的
な構成は、図1の構成に車速センサを付加し、その車速
センサが検出した車速検出信号Vをコントローラ25に
供給するようにした点を除いては、上記第1の実施の形
態と同様であるため、その図示及び説明は省略する。他
の処理の内容も、上記第1の実施の形態と同様であるた
め、その図示及び説明は省略する。
【0108】即ち、本実施の形態の発散抑制係数復元処
理では、先ず、そのステップ401において車速検出信
号Vを読み込み、次いでステップ402に移行して、そ
の車速検出信号Vが“0”であるか否か、つまり車両が
停車中であるか否かを判定する。そして、そのステップ
402の判定が「NO」、つまり車両が走行中の場合に
は、発散抑制係数βk を増加方向に更新する要因が解消
されている可能性が大きいとは判断できないため、発散
抑制係数βk は特に減少させることなく今回のこの処理
を終了する。
【0109】しかし、ステップ402の判定が「YE
S」の場合には、ステップ403に移行して図5のステ
ップ136と同様に添え字kをデクリメントし、発散抑
制係数βk を減少方向に更新してから、今回のこの処理
を終了する。
【0110】つまり、本実施の形態では、車両が停車中
であると判断できた場合を、発散抑制係数βk を減少方
向に試しに更新してみるタイミングとしているのであ
る。これは、ロード・ノイズ等の種々の振動が車体35
に入力されて残留振動信号eのレベルが増大し、フィル
タ係数Wi が過大となって発散抑制係数βk が増加方向
に更新される可能性が大きいから、逆に、車両が停車す
れば、そのような発散抑制係数βk を増加方向に更新さ
せた要因が解消している可能性が大きいと判断でき、そ
の発散抑制係数βk を減少方向に試しに更新してみるタ
イミングとして好適なのである。よって、この第4の実
施の形態にあっても、上記第1の実施の形態と同様の作
用効果が得られる。なお、ステップ402における判定
は、例えば、車速検出信号Vが車両が実質的に停車して
いると見なせる程度の極低車速以下であるか否か、とい
う判定であってもよい。
【0111】ここで、本実施の形態では、図10に示す
処理が発散抑制係数復元手段に対応する。図11は本発
明の第5の実施の形態を示す図であって、発散抑制係数
復元処理を示すフローチャートである。なお、その全体
的な構成は、図1の構成にドア及びボンネットの開閉状
態を検出する開閉センサを設け、その開閉センサが検出
結果に応じて出力する開閉検出信号Dをコントローラ2
5に供給するようにした点を除いては、上記第1の実施
の形態と同様であるため、その図示及び説明は省略す
る。他の処理の内容も、上記第1の実施の形態と同様で
あるため、その図示及び説明は省略する。
【0112】即ち、本実施の形態の発散抑制係数復元処
理では、先ず、そのステップ501において開閉検出信
号Dを読み込むようになっている。なお、開閉センサが
出力する開閉検出信号Dは、ドア及びボンネットの全て
が開状態である場合に論理値“1”となり、それ以外の
場合には論理値“0”となる信号である。
【0113】次いで、ステップ502に移行して、開閉
検出信号Dが“1”であるか否かが判定され、この判定
が「NO」の場合、つまりドア又はボンネットのうちの
少なくとも一つが開いている場合には、発散抑制係数β
k は特に減少させることなく今回のこの処理を終了す
る。
【0114】しかし、ステップ502の判定が「YE
S」の場合には、ステップ503に移行して図5のステ
ップ136と同様に添え字kをデクリメントし、発散抑
制係数βk を減少方向に更新してから、今回のこの処理
を終了する。
【0115】つまり、本実施の形態では、ドア及びボン
ネットの全てが閉じられている場合を、発散抑制係数β
k を減少方向に試しに更新してみるタイミングとしてい
るのである。これは、車両のドアやボンネットが開かれ
ると、車体35の振動伝達特性が変化して、伝達関数C
が初期状態から変化する可能性が大きく、また、ドアや
ボンネットの開閉の際に生じる振動が外乱振動として残
留振動信号eに重畳されて発散抑制係数βk が増加方向
に更新される可能性が大きいのに対し、逆にドアやボン
ネットが全て閉じられていれば、そのような発散抑制係
数βk を増加方向に更新させた要因が解消している可能
性が大きいと判断でき、その発散抑制係数βk を減少方
向に試しに更新してみるタイミングとして好適なのであ
る。よって、この第5の実施の形態にあっても、上記第
1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0116】ここで、本実施の形態では、図11に示す
処理が発散抑制係数復元手段に対応する。なお、本実施
の形態では、ドア及びボンネットが全て閉じられた状態
を検出するようにしているが、これに限定されるもので
はなく、ドアやボンネットが開状態から閉状態に移行し
たことを検出し、それが検出された直後には発散抑制係
数βk を減少方向に更新するようにしてもよい。また、
ドア又はボンネットの両方ではなく、そのうちの一方の
開閉状態のみを検出して発散抑制係数復元処理に用いる
ようにしてもよい。
【0117】図12は本発明の第6の実施の形態を示す
図であって、発散抑制係数復元処理を示すフローチャー
トである。なお、その全体的な構成は、図1の構成に燃
料の残量を検出する燃料残量センサを設け、その燃料残
量センサが検出した燃料残量信号Fをコントローラ25
に供給するようにした点を除いては、上記第1の実施の
形態と同様であるため、その図示及び説明は省略する。
他の処理の内容も、上記第1の実施の形態と同様である
ため、その図示及び説明は省略する。
【0118】即ち、本実施の形態の発散抑制係数復元処
理では、先ず、そのステップ601において燃料残量信
号Fを読み込み、次いでステップ602に移行し、その
燃料残量信号Fが所定のしきい値Fthよりも大きいか否
か、つまり実際の燃料残量が所定残量(例えば、燃料タ
ンク容積の1/2)を越えているか否かを判定し、この
判定が「NO」の場合には、発散抑制係数βk は特に減
少させることなく今回のこの処理を終了する。
【0119】しかし、ステップ602の判定が「YE
S」の場合には、ステップ603に移行して図5のステ
ップ136と同様に添え字kをデクリメントし、発散抑
制係数βk を減少方向に更新してから、今回のこの処理
を終了する。
【0120】つまり、本実施の形態では、燃料残量が所
定のレベルを越えている場合を、発散抑制係数βk を減
少方向に試しに更新してみるタイミングとしているので
ある。これは、燃料が減少すると、それに伴う重量変化
によって伝達関数Cが初期状態から変化して、発散が生
じる可能性があるのに対し、逆に給油等によって燃料残
量が回復すれば、そのような発散抑制係数βk を増加方
向に更新させた要因が解消している可能性が大きいと判
断でき、その発散抑制係数βk を減少方向に試しに更新
してみるタイミングとして好適なのである。よって、こ
の第6の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態
と同様の作用効果が得られる。
【0121】ここで、本実施の形態では、図12に示す
処理が発散抑制係数復元手段に対応する。図13は本発
明の第7の実施の形態を示す図であって、発散抑制係数
復元処理を示すフローチャートである。なお、その全体
的な構成は、図1の構成に各座席毎に乗員の有無を検出
するシートセンサを設け、それら各シートセンサが検出
した乗員検出信号Sp (p=1,2,…,P;Pは総座
席数)をコントローラ25に供給するようにした点を除
いては、上記第1の実施の形態と同様であるため、その
図示及び説明は省略する。他の処理の内容も、上記第1
の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明は省
略する。
【0122】即ち、本実施の形態の発散抑制係数復元処
理では、先ず、そのステップ701において各乗員検出
信号Sp を読み込み、次いでステップ702に移行し、
それら乗員検出信号Sp に基づいて、乗員が運転手のみ
であるか否かを判定する。このステップ702の判定が
「NO」の場合には、発散抑制係数βk は特に減少させ
ることなく今回のこの処理を終了する。
【0123】しかし、ステップ702の判定が「YE
S」の場合には、ステップ703に移行して図5のステ
ップ136と同様に添え字kをデクリメントし、発散抑
制係数βk を減少方向に更新してから、今回のこの処理
を終了する。
【0124】つまり、本実施の形態では、乗員が運転手
のみとなった場合を、発散抑制係数βk を減少方向に試
しに更新してみるタイミングとしているのである。これ
は、乗員数や座席位置等が変化すると、それに伴う重量
変化や、フロアの振動特性変化等によって伝達関数Cが
初期状態から変化して、発散が生じる可能性があるのに
対し、逆に、初期状態(ここでは、運転手のみが乗車し
ている状態)に戻った場合は、そのような発散抑制係数
βk を増加方向に更新させた要因が解消している可能性
が大きいと判断でき、その発散抑制係数βk を減少方向
に試しに更新してみるタイミングとして好適なのであ
る。よって、この第7の実施の形態にあっても、上記第
1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。なお、乗
員数や座席位置の変化は、特に車室内の音響伝達特性を
変化させるため、後述のような車室内の騒音低減を図る
能動型騒音制御装置に本発明を適用する場合に特に好適
である。
【0125】ここで、本実施の形態では、図13に示す
処理が発散抑制係数復元手段に対応する。図14は本発
明の第8の実施の形態を示す図であって、発散抑制係数
復元処理を示すフローチャートである。なお、その全体
的な構成は、図1の構成にトランク内の積載重量を検出
する重量センサを設け、その重量センサが検出した重量
検出信号Mをコントローラ25に供給するようにした点
を除いては、上記第1の実施の形態と同様であるため、
その図示及び説明は省略する。他の処理の内容も、上記
第1の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明
は省略する。
【0126】即ち、本実施の形態の発散抑制係数復元処
理では、先ず、そのステップ801において重量検出信
号Mを読み込み、次いでステップ802に移行し、その
重量検出信号Mが所定のしきい値Mth以下であるか否か
を判定する。なお、しきい値Mthは、例えば実質的に積
載重量が零であると見なせる程度の小さな値とする。そ
して、このステップ802の判定が「NO」の場合に
は、発散抑制係数βk は特に減少させることなく今回の
この処理を終了する。
【0127】しかし、ステップ802の判定が「YE
S」の場合には、ステップ803に移行して図5のステ
ップ136と同様に添え字kをデクリメントし、発散抑
制係数βk を減少方向に更新してから、今回のこの処理
を終了する。
【0128】つまり、本実施の形態では、積載重量が実
質的に零となった場合を、発散抑制係数βk を減少方向
に試しに更新してみるタイミングとしているのである。
これは、積載重量が増加すると、車体の振動特性変化等
によって伝達関数Cが初期状態から変化して、発散が生
じる可能性があるのに対し、逆に、積載状態が元の状態
に戻った場合は、そのような発散抑制係数βk を増加方
向に更新させた要因が解消している可能性が大きいと判
断でき、その発散抑制係数βk を減少方向に試しに更新
してみるタイミングとして好適なのである。よって、こ
の第8の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態
と同様の作用効果が得られる。なお、この第8の実施の
形態にあっては、トランクの積載重量のみを検出するよ
うにしているが、これに限定されるものではなく、例え
ば、ルーフキャリアを備えた車両であれば、ルーフキャ
リアの積載重量を検出し、又は、トランク及びルーフキ
ャリアの両方の積載重量を検出し、その検出された積載
重量に基づいて図14と同様の処理を行って発散抑制係
数βk を減少方向に更新するようにしても、同等の作用
効果が得られる。
【0129】ここで、本実施の形態では、図14に示す
処理が発散抑制係数復元手段に対応する。図15は本発
明の第9の実施の形態を示す図であって、発散抑制係数
復元処理を示すフローチャートである。なお、その全体
的な構成は、図1の構成にバッテリ電圧を検出する電圧
計を設け、その電圧計が検出したバッテリ電圧VE をコ
ントローラ25に供給するようにした点を除いては、上
記第1の実施の形態と同様であるため、その図示及び説
明は省略する。他の処理の内容も、上記第1の実施の形
態と同様であるため、その図示及び説明は省略する。
【0130】即ち、本実施の形態の発散抑制係数復元処
理では、先ず、そのステップ901においてバッテリ電
圧VE を読み込み、次いでステップ902に移行し、そ
のバッテリ電圧VE が所定のしきい値VEth を越えてい
るか否かを判定する。なお、しきい値VEth は、バッテ
リ電圧が充分であると判定できる程度の値とする。そし
て、このステップ902の判定が「NO」の場合には、
発散抑制係数βk は特に減少させることなく今回のこの
処理を終了する。
【0131】しかし、ステップ902の判定が「YE
S」の場合には、ステップ903に移行して図5のステ
ップ136と同様に添え字kをデクリメントし、発散抑
制係数βk を減少方向に更新してから、今回のこの処理
を終了する。
【0132】つまり、本実施の形態では、バッテリ電圧
が充分に高い場合を、発散抑制係数βk を減少方向に試
しに更新してみるタイミングとしているのである。これ
は、特に図2に示した能動型エンジンマウント1の電磁
アクチュエータ10のように電磁石を用いた装置にあっ
ては、その電磁石が入力電圧に対して非線形の特徴を有
していると、バッテリ電圧が低下してしまうと能動型エ
ンジンマウント1の特性が変化し、伝達関数Cが初期状
態から変化して発散が生じる可能性があるのに対し、逆
に、バッテリ電圧が回復した場合は、そのような発散抑
制係数βk を増加方向に更新させた要因が解消している
可能性が大きいと判断でき、その発散抑制係数βk を減
少方向に試しに更新してみるタイミングとして好適なの
である。よって、この第9の実施の形態にあっても、上
記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0133】ここで、本実施の形態では、図15に示す
処理が発散抑制係数復元手段に対応する。なお、上記各
実施の形態では、残留振動を能動型エンジンマウント1
に内蔵した荷重センサ22によって検出しているが、こ
れに限定されるものではなく、例えば車室内の乗員足元
位置にフロア振動を検出する加速度センサを配設し、そ
の加速度センサの出力信号を残留振動信号eとしてもよ
い。そして、能動型エンジンマウント1から離れた位置
で残留振動信号eを検出する場合には、特にドアの開閉
状態,乗員数,積載重量等によって伝達関数Cがずれて
しまい、制御が発散傾向となって発散抑制係数βk が増
加方向に更新される場合が多くなるが、このような不具
合に対して特に上記各実施の形態は好適である。
【0134】また、上記各実施の形態では、発散抑制係
数復元処理をそれぞれ一つずつ示しているが、これら各
実施の形態における発散抑制係数復元処理を二つ以上同
時にタイムシェアリング方式により並列に実行するよう
にしてもよく、複数の発散抑制係数復元処理を実行する
ようにすれば、発散抑制係数βk の減少方向への更新を
より的確に行えるようになる。
【0135】そして、上記各実施の形態では、発散抑制
係数βk を、発散抑制処理内では増加方向に更新し、発
散抑制係数復元処理内では減少方向に更新するようにし
ているが、これは、上記(3)式の右辺第3項に示すよ
うに発散抑制係数βk を駆動信号yに乗じているからで
あり、駆動信号yを発散抑制係数βk で除算するような
場合には、発散抑制方向は、発散抑制係数βk を減少さ
せる方向となり、発散抑制方向とは逆の方向は、発散抑
制係数βk を増加させる方向となる。
【0136】また、上記各実施の形態では、本発明に係
る能動型騒音振動制御装置を、エンジン30から車体3
5に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制御
装置に適用した場合について説明したが、本発明の適用
対象はこれに限定されるものではなく、例えば騒音源と
してのエンジン30から車室内に伝達される騒音を低減
する能動型騒音制御装置であってもよい。かかる能動型
騒音制御装置とする場合には、車室内に制御音を発生す
るための制御音源としてのラウドスピーカと、車室内の
残留騒音を検出する残留騒音検出手段としてのマイクロ
フォンとを設け、上記各実施の形態と同様の演算処理に
よって得られる駆動信号yに応じてラウドスピーカを駆
動させるとともに、マイクロフォンの出力を残留騒音信
号eとして適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数
i の更新処理に用いればよい。そして、その残留騒音
信号eを上記各実施の形態と同様の発散検出処理に用い
れば、上記各実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0137】また、本発明の適用対象は車両に限定され
るものではなく、エンジン30以外で発生する振動や騒
音を低減するための能動型振動制御装置,能動型騒音制
御装置であっても本発明は適用可能であり、適用対象に
関係なく上記各実施の形態と同等の作用効果を奏するこ
とができる。例えば、工作機械からフロアや室内に伝達
される振動,騒音を低減する装置等であっても、本発明
は適用可能である。
【0138】さらに、上記各実施の形態では、適応アル
ゴリズムとして同期式Filtered−X LMSア
ルゴリズムを適用した場合について説明したが、適用可
能な適応アルゴリズムはこれに限定されるものではな
く、例えば、通常のFiltered−X LMSアル
ゴリズム等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す車両の概略側面図であ
る。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を示す断面図で
ある。
【図3】振動低減処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図4】発散検出処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図5】第1の実施の形態における発散抑制係数復元処
理の概要を示すフローチャートである。
【図6】発散抑制係数の変化例を示すグラフである。
【図7】発散抑制係数の他の変化例を示すグラフであ
る。
【図8】第2の実施の形態における発散抑制係数復元処
理の概要を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態における発散抑制係数復元処
理の概要を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施の形態における発散抑制係数復元
処理の概要を示すフローチャートである。
【図11】第5の実施の形態における発散抑制係数復元
処理の概要を示すフローチャートである。
【図12】第6の実施の形態における発散抑制係数復元
処理の概要を示すフローチャートである。
【図13】第7の実施の形態における発散抑制係数復元
処理の概要を示すフローチャートである。
【図14】第8の実施の形態における発散抑制係数復元
処理の概要を示すフローチャートである。
【図15】第9の実施の形態における発散抑制係数復元
処理の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 能動型エンジンマウント(制御振動源) 22 荷重センサ(残留振動検出手段) 25 コントローラ 26 パルス信号生成器(基準信号生成手段) 30 エンジン(振動源) 35 車体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤津 洋介 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 適応アルゴリズムに従ってフィルタ係数
    が更新される適応ディジタルフィルタを用いて、騒音又
    は振動の低減制御を実行するとともに、前記フィルタ係
    数の更新式は、制御の発散抑制作用を有する発散抑制係
    数を含んでおり、制御の発散が検出された場合には、前
    記発散抑制係数を発散抑制方向に変化させるようになっ
    ている能動型騒音振動制御装置において、 所定タイミングで前記発散抑制係数を発散抑制方向とは
    逆の方向に変化させる発散抑制係数復元手段を設けたこ
    とを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  2. 【請求項2】 騒音源又は振動源から発せられる騒音又
    は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御
    音源又は制御振動源と、前記騒音又は振動の発生状態を
    表す基準信号を生成する基準信号生成手段と、フィルタ
    係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号を
    前記適応ディジタルフィルタでフィルタ処理して前記制
    御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成する駆
    動信号生成手段と、前記干渉後の騒音又は振動を検出し
    残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音
    検出手段又は残留振動検出手段と、適応アルゴリズムに
    従って設定され且つ制御の発散抑制作用を有する発散抑
    制係数を含んでいる更新式を用いて前記適応ディジタル
    フィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手
    段と、制御の発散を検出する発散検出手段と、この発散
    検出手段が制御の発散を検出した場合に前記発散抑制係
    数を発散抑制方向に変化させる発散抑制手段と、を備え
    た能動型騒音振動制御装置において、 所定のタイミングで前記発散抑制係数を発散抑制方向と
    は逆の方向に変化させる発散抑制係数復元手段を設けた
    ことを特徴とする能動型騒音振動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記発散抑制係数復元手段は、前記発散
    抑制係数が所定時間変化しない場合に、前記発散抑制係
    数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させる請求項1又
    は請求項2記載の能動型騒音振動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記発散抑制係数復元手段は、前記残留
    騒音信号又は残留振動信号が所定のしきい値を下回った
    場合に、前記発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向
    に変化させる請求項2記載の能動型騒音振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記発散抑制係数復元手段は、前記発散
    抑制係数が所定時間変化せず且つ前記残留騒音信号又は
    残留振動信号が所定のしきい値を下回った場合に、前記
    発散抑制係数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させる
    請求項2記載の能動型騒音振動制御装置。
  6. 【請求項6】 車両に適用され、前記発散抑制係数復元
    手段は、車両状態が所定状態である場合に、前記発散抑
    制係数を発散抑制方向とは逆の方向に変化させる請求項
    1又は請求項2記載の能動型騒音振動制御装置。
  7. 【請求項7】 前記車両状態は、車速,ドアの開閉,ボ
    ンネットの開閉,燃料残量,乗員状況,積載重量又はバ
    ッテリ電圧のうちの少なくとも一つである請求項6記載
    の能動型騒音振動制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000002294A (ja) * 1998-06-18 2000-01-07 Nissan Motor Co Ltd 能動型騒音振動制御装置及び車両用能動型振動制御装置
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