JP3551653B2 - 能動型騒音振動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、騒音又は振動の発生状態を表す基準信号と、騒音又は振動の低減状態を表す残留騒音信号又は残留振動信号とを検出し、それら信号に基づき制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成するようになっている能動型騒音振動制御装置に関し、特に、信頼性を向上できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の技術としては、例えば本出願人が先に提案した特開平7−239690号公報に開示されたものがある。
【0003】
即ち、上記従来の装置は、エンジン等の騒音源から車室内に伝達される騒音又は車体を伝搬する振動に、制御音又は制御振動を干渉させることにより騒音又は振動の低減を図るようになっている車両用の能動型騒音振動制御装置に関するものである。そして、上記公報に開示された装置では、騒音又は振動の発生状態を表す基準信号と、騒音又は振動の低減状態を表す残留騒音信号又は残留振動信号とを検出するようになっており、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタで基準信号をフィルタ処理することにより、制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する一方、基準信号と残留騒音信号又は残留振動信号とに基づいて適応アルゴリズムに従って適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を逐次更新するようになっている。
【0004】
このような構成であると、逐次更新される適応ディジタルフィルタのフィルタ係数が最適値に収束すれば、制御音源又は制御振動源から発せられる制御音又は制御振動によって騒音又は振動が低減される又は打ち消されるようになるから、車室内の騒音レベル又は振動レベルを低減することができた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、上記公報に開示されたような従来の装置であれば、制御が正常に実行されていれば、制御音源又は制御振動源から発せられる制御音又は制御振動によって騒音又は振動を低減又は打ち消すことは可能である。上記公報に開示されたような従来の装置にあっては、異常を積極的に検出する手段を備えるようにはなっていなかったため、十分な信頼性を得るためには、高耐久性の従って高価な部材や部品を用いなければならないという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術が有する未解決の課題に着目してなされたものであって、高価な部材や部品を用いなくても高い信頼性を得ることができる能動型騒音振動制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記基準信号の基本周期が変化したことを検出する基準信号周期変化検出手段と、を設け、前記断線検出手段は、前記基準信号周期変化検出手段が前記基準信号の基本周期が変化したことを検出し且つ前記残留騒音信号又は残留振動信号から求められる残留騒音又は残留振動の絶対値が所定時間に渡って所定のしきい値未満である場合に、前記断線状態を検出したと判断するようにした。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項2に係る発明は、車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、車両のドアの開閉が行われたか否かを検出するドア開閉検出手段と、を設け、前記断線検出手段は、前記ドア開閉検出手段が前記ドアの開閉を検出した際に前記制御手段に供給される前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づいて前記断線状態を検出するようにした。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項3に係る発明は、車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記騒音源又は振動源は車両のエンジンであり、前記制御手段はフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタによって前記駆動信号を生成し且つ適応アルゴリズムに従ってその適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するようになっており、前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記エンジンの回転数が変化したことを検出するエンジン回転数変化検出手段と、を設け、前記断線検出手段は、前記エンジン回転数変化検出手段が前記エンジンの回転数が変化したことを検出した際における前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づいて前記断線状態を検出するようにした。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項4に係る発明は、車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記騒音源又は振動源は車両のエンジンであり、前記制御手段はフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタによって前記駆動信号を生成し且つ適応アルゴリズムに従ってその適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するようになっており、前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記車両の変速機の切換が行われたか否かを検出する変速機切換検出手段と、を設け、前記断線検出手段は、前記変速機切換検出手段が前記変速機の切換が行われたことを検出した際における前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づいて前記断線状態を検出するようにした。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項5に係る発明は、車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、前記騒音源又は振動源は車両のエンジンであり、前記制御手段はフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタによって前記駆動信号を生成し且つ適応アルゴリズムに従ってその適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するようになっており、前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記車両の変速機の切換が行われたか否かを検出する変速機切換検出手段と、を設け、前記断線検出手段は、前記変速機切換検出手段が前記変速機の切換が行われたことを検出した際に前記制御手段に供給される前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づいて前記断線状態を検出するようにした。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項6に係る発明は、エアコンディショナを有する車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、前記騒音源又は振動源は車両のエンジンであり、前記制御手段はフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタによって前記駆動信号を生成し且つ適応アルゴリズムに従ってその適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するようにし、前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記エアコンディショナ用のコンプレッサのオン・オフ動作を検出するコンプレッサ動作検出手段と、を設け、前記断線検出手段は、前記コンプレッサ動作検出手段が前記コンプレッサのオン・オフ動作を検出した際における前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づいて前記断線状態を検出するようにした。
請求項7に係る発明は、上記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の能動型騒音振動制御装置において、前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段の出力から所定周波数以下の低周波成分を減衰又は除去するハイパス・フィルタと、このハイパス・フィルタの出力をディジタル値に変換して前記制御手段に供給するA/D変換器と、を備えた。
請求項8に係る発明は、上記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の能動型騒音振動制御装置において、前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段は所定周波数以下の低周波成分を減衰又は除去する特性を有するセンサで構成され、前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段の出力をディジタル値に変換して前記制御手段に供給するA/D変換器を備えた。
【0018】
また、請求項9に係る発明は、上記請求項1〜8に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記断線検出手段によって前記断線状態が検出された場合に前記制御手段が前記駆動信号を出力することを禁止する制御禁止手段を設けた。
【0019】
さらに、請求項10に係る発明は、上記請求項1〜8に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段を複数備えるとともに、前記断線検出手段によって前記断線状態が検出された場合にその断線状態が検出された前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段の使用を禁止する使用禁止手段を設けた。
【0020】
ここで、本発明にあっては、残留騒音信号又は残留振動信号を制御手段に供給できない断線状態を検出するようになっているため、良好な騒音低減制御又は振動低減制御を実行できない状況を正確に判断できる。つまり、制御手段には、基準信号と、残留騒音信号又は残留振動信号とが供給されるようになっているが、基準信号は騒音又は振動の発生状態を表す信号であるから、仮に基準信号を制御手段に供給できない状況になったとしても、制御手段は騒音源又は振動源から騒音又は振動が発生していないと誤認し、駆動信号が出力されずに制御音又は制御振動が発生しないだけであって、能動型騒音振動制御装置を有しない状況と同じになるだけである。
【0021】
これに対し、残留騒音信号又は残留振動信号を制御手段に供給できない状況になると、残留騒音信号又は残留振動信号は振動又は騒音の低減レベルを正確に表していない信号になってしまうから、制御手段は、騒音低減制御又は振動低減制御の良否を誤って認識してしまう。すると、制御手段は、例えば制御が良好に実行されている或いは制御が良好に実行されていないという誤ったフィードバック情報を参照しつつ、フィードフォワード制御を実行しているのと同じになってしまい、駆動信号によって制御音源又は制御振動源から発せられる制御音又は制御振動が、却って騒音レベル又は振動レベルを悪化させている可能性さえある。
【0022】
従って、本発明のように、残留騒音信号又は残留振動信号を制御手段に供給できない断線状態を検出すれば、騒音低減制御又は振動低減制御を実行することにより却って騒音レベル又は振動レベルを悪化する状況を回避することが可能になる。
【0023】
そして、請求項7に係る発明のように、残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と制御手段との間に、ハイパス・フィルタ及びA/D変換器を介在させている構成の場合、ハイパス・フィルタによって残留騒音信号又は残留振動信号の直流成分等の低周波成分が減衰又は除去されるため、これがA/D変換器でディジタル値に変換される際には、A/D変換器の分解能を有効に活用するために、ハイパス・フィルタの出力に直流成分に相当する所定の中立値が重畳されるのが一般的である。すると、仮に残留騒音検出手段又は残留振動検出手段とA/D変換器との間に断線が生じたとしても、制御手段には少なくとも所定の中立値をディジタル値に変換した値が入力されることになるから、残留騒音信号又は残留振動信号が入力されないから断線が生じているという単純な判断は制御手段では行えない。
【0024】
具体的に説明すると、A/D変換器の前段にハイパス・フィルタを有しない構成であれば、残留騒音検出手段又は残留振動検出手段の出力がそのままA/D変換器でディジタル値に変換されるから、そのA/D変換器の出力が供給される制御手段側では、残留騒音検出手段又は残留振動検出手段を構成するセンサの通常の出力範囲を逸脱した値(例えば0)が入力された時点で断線が生じていると判断することも可能である。これに対し、A/D変換器の前段にハイパス・フィルタを有する構成では、直流成分に相当する中立値が加えられてからA/D変換器でディジタル値に変換されるため、A/D変換器から制御手段に供給される値が中立値そのものである場合に、それが残留騒音検出手段又は残留振動検出手段との接続線が断線しているからなのか、或いは、残留騒音又は残留振動のレベルが極めて小さいからなのか、単純には判別がつかないのである。
【0025】
この点は、積極的にハイパス・フィルタを有しない構成であっても、例えば請求項8に係る発明のように、残留騒音検出手段又は残留振動検出手段そのものがハイパス・フィルタと同等の特性を有するセンサの場合でも同様である。ハイパス・フィルタと同等の特性を有するセンサの例としては、例えば圧電素子や磁歪素子等が揚げられる。
【0026】
そこで、請求項7,8に係る発明にあっても、断線検出手段によって、残留騒音信号又は残留振動信号を制御手段に供給できない断線状態を検出すれば、騒音低減制御又は振動低減制御を実行することにより却って騒音レベル又は振動レベルを悪化する状況を回避することが可能になる。
【0028】
そして、請求項1に係る発明にあっては、断線検出手段は、基準信号周期変化検出手段によって基準信号の基本周期が変化したことが検出されたときに限って、残留騒音信号又は残留振動信号から求められる残留騒音又は残留振動の絶対値が所定時間に渡って所定のしきい値未満であるか否かに基づいて、断線状態を検出するようにしている。つまり、基準信号の基本周期の変化は、騒音又は振動の発生状態の変化を意味するから、制御手段がそれまで生成し出力していた駆動信号では、それまでと同等の騒音又は振動の低減効果が得られない可能性が高い。そこで、基準信号の基本周期が変化したにも関わらず、残留騒音又は残留振動のレベルが低い状態が継続して維持されている場合には、残留騒音信号又は残留振動信号を制御手段に供給できない断線状態になったと判断することが可能なのである。
【0030】
さらに、請求項2に係る発明は、車両に適用されるものであるが、車両のドアの開閉の際には音や振動が発生することに着目してなされたものである。つまり、車両のドアが開けられる又は閉じられる際には、何らかの音や振動が発生し、その音又は振動は残留騒音検出手段又は残留振動検出手段によって検出されるはずであるから、ドアの開閉が行われた際の残留騒音信号又は残留振動信号に基づけば、断線状態を検出することができるのである。例えば、残留騒音信号又は残留振動信号から求められる残留騒音又は残留振動のレベルが、ドアの開閉が検出されてから所定時間(ドアの開閉の際に発生した音又は振動が残留騒音検出手段又は残留振動検出手段に到達し、残留騒音信号又は残留振動信号として制御手段に取り込まれるのに十分な時間)連続して所定のしきい値を越えない場合に、断線状態を検出したと判断することができる。
【0031】
請求項3に係る発明も車両に適用されるものであるが、制御手段は、適応ディジタルフィルタを用いた適応アルゴリズムを実行するようになっている。適応アルゴリズムが実行されると、適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数は、制御音又は制御振動との干渉によって騒音又は振動を低減できるような駆動信号を生成し得る最適値に向かって、逐次更新されるようになる。そして、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の最適値は、騒音又は振動の発生状態等の影響を受けて変化するから、騒音又は振動の発生状態の変化は、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に影響を与えるはずである。一方、この請求項3に係る発明では、車両のエンジンを騒音源又は振動源としているから、そのエンジンの回転数が変化すれば、騒音又は振動の発生状態が変化することになる。そこで、エンジン回転数変化検出手段によってエンジンの回転数が変化したことが検出されたならば、その際の適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づくことにより、断線状態を検出することができるのである。例えば、エンジンの回転数が変化したにも関わらず、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新量が極小さい場合には、断線状態を検出したと判断することができる。
【0032】
請求項4に係る発明も、請求項3に係る発明と同様に車両のエンジンを騒音源又は振動源とし、制御手段は適応アルゴリズムを実行するようになっているが、変速機の変速動作に着目した点が異なっている。つまり、変速機の切換が、例えばニュートラル位置と他の位置(例えば、ドライブ位置)との間で行われると、騒音源又は振動源としてのエンジンとドライブシャフト等の駆動力伝達系との間の接続状態が変化し、共振系が変化するようになるから、騒音又は振動の発生状態が変化する。そこで、変速機切換検出手段によって変速機の切換が行われたことが検出されたならば、その際の適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づくことにより、断線状態を検出することができるのである。例えば、変速機の切換が行われたにも関わらず、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新量が極小さい場合には、断線状態を検出したと判断することができる。
【0033】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明と比較すると、断線検出手段の内容が異なっており、残留騒音信号又は残留振動信号に基づいて前記断線状態を検出するようになっている。つまり、変速機の切換が行われると、車両によっては音や振動が発生することがあり、その音又は振動は残留騒音検出手段又は残留振動検出手段によって検出されるはずであるから、変速機の切換が行われた際の残留騒音信号又は残留振動信号に基づけば、断線状態を検出することができるのである。例えば、残留騒音信号又は残留振動信号から求められる残留騒音又は残留振動のレベルが、変速機の切換が行われてから所定時間(変速機の切換の際に発生した音又は振動が残留騒音検出手段又は残留振動検出手段に到達し、残留騒音信号又は残留振動信号として制御手段に取り込まれるのに十分な時間)連続して所定のしきい値を越えない場合に、断線状態を検出したと判断することができる。
【0034】
さらに、請求項6に係る発明も、請求項3〜5に係る発明と同様に車両のエンジンを騒音源又は振動源とし、制御手段は適応アルゴリズムを実行するようになっているが、エアコンディショナ用のコンプレッサに着目している。つまり、コンプレッサはエンジンの駆動力を受けて回転するようになっているから、そのコンプレッサのオン・オフ動作に伴って、騒音源又は振動源としてのエンジンの状態が変化するから、共振系の変化等によって騒音又は振動の発生状態も変化する。そこで、コンプレッサ動作検出手段によってコンプレッサのオン・オフ動作が検出されたならば、その際の適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づくことにより、断線状態を検出することができるのである。例えば、コンプレッサがオン状態からオフ状態に又はオフ状態からオフ状態に移行したにも関わらず、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新量が極小さい場合には、断線状態を検出したと判断することができる。
【0035】
そして、請求項9に係る発明にあっては、制御禁止手段を設けているため、残留騒音信号又は残留振動信号を制御手段に供給できない断線状態であるにも関わらず、騒音低減制御又は振動低減制御が実行されたために却って騒音レベル又は振動レベルが悪化するような状況を回避することができる。
【0036】
また、請求項10に係る発明にあっても、使用禁止手段を設けているため、一部の残留騒音検出手段又は残留振動検出手段が残留騒音信号又は残留振動信号を制御手段に供給できない断線状態となっても、そのような残留騒音検出手段又は残留振動検出手段は実質的にシステムから切り離されるから、騒音低減制御又は振動低減制御を実行したために却って騒音レベル又は振動レベルが悪化するような状況を回避することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所定の断線検出手段を設けたため、残留騒音信号又は残留振動信号を制御手段に供給できない断線状態をより高い確率で検出することができるから、騒音低減制御又は振動低減制御を実行することにより却って騒音レベル又は振動レベルを悪化する状況を回避することが可能になり、装置の信頼性を従来よりも向上できるという効果がある。
【0038】
そして、請求項9,10に係る発明であれば、断線状態が検出された後に適切な対処を行うようになっているから、騒音低減制御又は振動低減制御を実行したために却って騒音レベル又は振動レベルが悪化するような状況を回避することができ、装置の信頼性を従来よりも確実に向上できるという効果がある。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図5は本発明の第1の実施の形態を示す図であって、図1は本発明に係る能動型騒音振動制御装置の一実施形態である能動型振動制御装置を適用した車両の概略側面図である。
【0040】
先ず、構成を説明すると、エンジン30が駆動信号に応じた能動的な支持力を発生可能な能動型エンジンマウント1を介して、サスペンションメンバ等から構成される車体35に支持されている。なお、実際には、エンジン30及び車体35間には、能動型エンジンマウント1の他に、エンジン30及び車体35間の相対変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジンマウントも介在している。受動的なエンジンマウントとしては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常のエンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウントインシュレータ等が適用できる。
【0041】
一方、能動型エンジンマウント1は、例えば、図2に示すように構成されている。即ち、この実施の形態における能動型エンジンマウント1は、エンジン30への取付け用のボルト2aを上部に一体に備え且つ内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有し、このキャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向く内筒3の上端部がかしめ止めされている。
【0042】
内筒3は、下端側の方が縮径した形状となっていて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、ここに円形の開口部3aが形成されている。そして、内筒3の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上下に二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止め部分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設されている。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の側面に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0043】
さらに、内筒3の内側にはオリフィス構成体5が配設されている。なお、本実施の形態では、内筒3内面及びオリフィス構成5間には、薄膜状の弾性体(ダイアフラム4の外周部を延長させたものでもよい)が介在していて、これにより、オリフィス構成体5は内筒3内側に強固に嵌め込まれている。
【0044】
このオリフィス構成体5は、内筒3の内部空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面には円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部5aと、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オリフィス5bを介して連通するようになっている。オリフィス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に沿って螺旋状に延びる溝と、その溝の一端部を凹部5aに連通させる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連通させる流路とで構成される。
【0045】
一方、内筒3の外周面には、内周面側が若干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面は、上端側が拡径した円筒部材としての外筒7の内周面上部に加硫接着されている。
【0046】
そして、外筒7の下端部は上面が開口した円筒形のアクチュエータケース8の上端部にかしめ止めされていて、そのアクチュエータケース8の下端面からは、車体35側への取付け用の取付けボルト9が突出している。取付けボルト9は、その頭部9aが、アクチュエータケース8の内底面に張り付いた状態で配設された平板部材8aの中央の空洞部8bに収容されている。
【0047】
さらに、アクチュエータケース8の内側には、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10Aの中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲された部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石10Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設されている。
【0048】
また、アクチュエータケース8の上端部はフランジ状に形成されたフランジ部8Aとなっていて、そのフランジ部8Aに外筒7の下端部がかしめられて両者が一体となっているのであるが、そのかしめ止め部分には、円形の金属製の板ばね11の周縁部(端部)が挟み込まれていて、その板ばね11の中央部の電磁アクチュエータ10側には、リベット11aによって磁化可能な磁路部材12が固定されている。なお、磁路部材12はヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円板であって、その底面が電磁アクチュエータ10に近接するような厚みに形成されている。
【0049】
さらに、上記かしめ止め部分には、フランジ部8Aと板ばね11とに挟まれるように、リング状の薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14aとが支持されている。具体的には、アクチュエータケース8のフランジ部8A上に、薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14aと、板ばね11とをこの順序で重ね合わせるとともに、その重なり合った全体を外筒7の下端部をかしめて一体としている。
【0050】
力伝達部材14は、磁路部材12を包囲する短い円筒形の部材であって、その上端部がフランジ部14aとなっており、その下端部は電磁アクチュエータ10のヨーク10Aの上面に結合している。具体的には、ヨーク10Aの上端面周縁部に形成された円形の溝に、力伝達部材14の下端部が嵌合して両者が結合されている。また、力伝達部材14の弾性変形時のばね定数は、薄膜弾性体13のばね定数よりも大きい値に設定されている。
【0051】
ここで、本実施の形態では、支持弾性体6の下面及び板ばね11の上面によって画成された部分に流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5aによって画成された部分に副流体室16が形成されていて、これら流体室15及び副流体室16間が、オリフィス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通している。なお、これら流体室15,副流体室16及びオリフィス5b内には、油等の流体が封入されている。
【0052】
かかるオリフィス5bの流路形状等で決まる流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェイク発生時、つまり5〜15Hzで能動型エンジンマウント1が加振された場合に高動ばね定数、高減衰力を示すように調整されている。
【0053】
そして、電磁アクチュエータ10の励磁コイル10Bは、コントローラ25からハーネス23aを通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の電磁力を発生するようになっている。
【0054】
ここで、アイドル振動やこもり音振動は、例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2次成分のエンジン振動が車体35に伝達されることが主な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出力すれば、車体側低減が可能となる。そこで、本実施の形態では、エンジン30のクランク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クランク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして出力するパルス信号生成器26を設けていて、その基準信号xが、エンジン30における振動の発生状態を表す信号としてコントローラ25に供給されるようになっている。
【0055】
一方、電磁アクチュエータ10のヨーク10Aの下端面と、アクチュエータケース8の底面を形成する平板部材8aの上面との間に挟み込まれるように、エンジン30から支持弾性体6を通じて伝達する加振力を検出する荷重センサ22が配設されていて、荷重センサ22の検出結果がハーネス23bを通じて残留振動信号eとしてコントローラ25に供給されるようになっている。荷重センサ22としては、具体的には、圧電素子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能である。
【0056】
そして、コントローラ25は、図3に概略図示するように、マイクロコンピュータ25Aと、残留振動信号eから制御に不要な所定周波数以下の成分を除去するハイパス・フィルタ25Bと、このハイパス・フィルタ25Bを通過した残留振動信号eをディジタル値に変換してマイクロコンピュータ25Aに供給するA/D変換器25Cと、マイクロコンピュータ25Aが演算した駆動信号yをアナログ値に変換して電磁アクチュエータ10に供給するD/A変換器25Dと、を少なくとも含んで構成されていて、エンジンシェイクよりも高周波の振動であるアイドル振動やこもり音振動・加速時振動が車体35に入力されている場合には、その振動を低減できる能動的な支持力が能動型エンジンマウント1に発生するように、能動型エンジンマウント1に対する駆動信号yを生成し出力するようになっている。なお、A/D変換器25Cは、ハイパス・フィルタ25Bを通過した高周波成分からなる残留振動信号eに、自己の分解能の中立値に相当する中立電圧を加えた結果をディジタル値に変換して、マイクロコンピュータ25Aに供給するようになっている。従って、マイクロコンピュータ25Aでは、供給される残留振動信号eから、A/D変換器25Cで加えられる中立値分を差し引くことにより、正負両方向に変化する残留振動ev を認識することができる。
【0057】
コントローラ25は、供給される残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリズムの一つである同期式Filtered−X LMSアルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマウント1に対する駆動信号yを演算し、その駆動信号yを能動型エンジンマウント1に出力するようになっている。
【0058】
具体的には、コントローラ25は、フィルタ係数Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wを順番に駆動信号yとして出力する一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新する処理を実行するようになっている。
【0059】
適応ディジタルフィルタWの更新式は、Filtered−X LMSアルゴリズムに従った下記の(1)式のようになる。
Wi (n+1)=Wi (n)−μRT ev (n) ……(1)
ここで、(n),(n+1)が付く項はサンプリング時刻n,n+1における値であることを表し、μは収束係数である。また、更新用基準信号RT は、理論的には、基準信号xを、能動型エンジンマウント1の電磁アクチュエータ10及び荷重センサ22間の伝達関数Cをモデル化した伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した値であるが、基準信号xの大きさは“1”であるから、伝達関数フィルタC^のインパルス応答を基準信号xに同期して次々と生成した場合のそれらインパルス応答波形のサンプリング時刻nにおける和に一致する。
【0060】
また、理論的には、基準信号xを適応ディジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるため、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ結果になる。
【0061】
そして、コントローラ25は、上記のような駆動信号yの出力処理及び適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi の更新処理を実行する一方で、その適応ディジタルフィルタWの残留振動ev に基づき、残留振動信号eをコントローラ25側に供給できない断線状態を検出するようになっており、また、そのような断線状態を検出した場合には、システムをダウンしてコントローラ25の演算を停止することにより、そのコントローラ25が駆動信号yを出力することを禁止するようになっている。
【0062】
即ち、コントローラ25内では、残留振動信号eが読み込まれる度に断線検出処理が実行されるようになっていて、その断線検出処理では、残留振動信号eから求められた残留振動ev の絶対値が、所定のしきい値e0 未満であるか否かが判定され、その判定が「YES」の場合が所定時間T0 継続した場合に、断線状態を検出したと判断するようになっている。
【0063】
そして、断線検出処理の結果、断線状態が検出されなかった場合には、そのまま振動低減処理を継続するが、断線状態が検出された場合には、振動低減制御を停止するようになっている。
【0064】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
即ち、エンジンシェイク発生時には、オリフィス5aの流路形状等を適宜選定している結果、この能動型エンジンマウント1は高動ばね定数,高減衰力の支持装置として機能するため、エンジン30側で発生したエンジンシェイクが能動型エンジンマウント1によって減衰され、車体35側の振動レベルが低減される。なお、エンジンシェイクに対しては、特に可動板12を積極的に変位させる必要はない。
【0065】
一方、オリフィス5a内の流体がスティック状態となり流体室15及び副流体室16間での流体の移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の振動が入力された場合には、コントローラ25は、所定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10に駆動信号yを出力し、能動型エンジンマウント1に振動を低減し得る能動的な支持力を発生させる。
【0066】
これを、アイドル振動,こもり音振動入力時にコントローラ25内で実行される処理の概要を示すフローチャートである図4に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定が行われた後に、ステップ102に移行し、伝達関数フィルタC^に基づいて更新用基準信号RT が演算される。なお、このステップ102では、一周期分の更新用基準信号RT がまとめて演算される。
【0067】
そして、ステップ103に移行しカウンタiが零クリアされた後に、ステップ104に移行して、適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数Wi が駆動信号yとして出力される。
【0068】
ステップ104で駆動信号yを出力したら、ステップ105に移行し、残留振動信号eが読み込まれる。残留振動信号eは、A/D変換器25Cの中立電圧に相当する中立値を差し引くことにより残留振動ev に換算される。求められた残留振動ev は、現在のカウンタiの値とともに記憶される。
【0069】
残留振動ev が求められたら、ステップ120に移行し、断線検出処理が実行される。断線検出処理の具体的内容は後述する。そして、ステップ120からステップ130に移行し、ここで、断線検出処理の結果を表すフラグFの状態が確認される。F=0の場合には、断線状態でないと判断し、ステップ106に移行する。
【0070】
ステップ106では、カウンタjが零クリアされ、次いでステップ107に移行し、適応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj が上記(1)式に従って更新される。
【0071】
ステップ107における更新処理が完了したら、ステップ108に移行し、次の基準信号xが入力されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力されていないと判定された場合は、適応ディジタルフィルタWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力処理を実行すべく、ステップ109に移行する。
【0072】
ステップ109では、カウンタjが、出力回数Ty (正確には、カウンタjは0からスタートするため、出力回数Ty から1を減じた値)に達しているか否かを判定する。この判定は、ステップ104で適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を駆動信号yとして出力した後に、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を、駆動信号yとして必要な数だけ更新したか否かを判断するためのものである。そこで、このステップ109の判定が「NO」の場合には、ステップ110でカウンタjをインクリメントした後に、ステップ107に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0073】
しかし、ステップ109の判定が「YES」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ111に移行してカウンタiをインクリメントした後に、上記ステップ104の処理を実行してから所定のサンプリング・クロックの間隔に対応する時間が経過するまで待機し、サンプリング・クロックに対応する時間が経過したら、上記ステップ104に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0074】
一方、ステップ108で基準信号xが入力されたと判断された場合には、ステップ112に移行し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からスタートするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力回数Ty として保存した後に、ステップ102に戻って、上述した処理を繰り返し実行する。
【0075】
このような図4の処理を繰り返し実行する結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント1の電磁アクチュエータ10に対しては、基準信号xが入力された時点から、サンプリング・クロックの間隔で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が順番に駆動信号yとして供給される。
【0076】
この結果、励磁コイル10Bに駆動信号yに応じた磁力が発生するが、磁路部材12には、既に永久磁石10Cによる一定の磁力が付与されているから、その励磁コイル10Bによる磁力は永久磁石10Cの磁力を強める又は弱めるように作用すると考えることができる。つまり、励磁コイル10Bに駆動信号yが供給されていない状態では、磁路部材12は、板ばね11による支持力と、永久磁石10Cの磁力との釣り合った中立の位置に変位することになる。そして、この中立の状態で励磁コイル10Bに駆動信号yが供給されると、その駆動信号yによって励磁コイル10Bに発生する磁力が永久磁石10Cの磁力と逆方向であれば、磁路部材12は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが増大する方向に変位する。逆に、励磁コイル10Bに発生する磁力が永久磁石10Cの磁力と同じ方向であれば、磁路部材12は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが減少する方向に変位する。
【0077】
このように磁路部材12は正逆両方向に変位可能であり、磁路部材12が変位すれば主流体室15の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体6の拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウント1に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのである。
【0078】
そして、駆動信号yとなる適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filtered−X LMSアルゴリズムに従った上記(1)式によって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過して適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エンジンマウント1に供給されることによって、エンジン30から能動型エンジンマウント1を介して車体35側に伝達されるアイドル振動やこもり音振動が低減されるようになるのである。
【0079】
一方、ステップ120における断線検出処理の具体的な流れは、図5に示すようになっていて、先ず、そのステップ121において、残留振動ev の絶対値が所定のしきい値e0 未満であるか否かが判定される。しきい値e0 の大きさは、振動低減制御が良好に実行されていたとしても車体35等に残留する振動のレベルに基づいて設定する。即ち、車体35には、能動型エンジンマウント1を通じない他の経路(例えば、受動的なエンジンマウントを通じる経路、ドライブシャフト,駆動輪及びサスペンションを通じる経路等)を介してもエンジン30側の振動が伝達されるため、能動型エンジンマウント1による振動低減制御が良好に実行されていたとしても、車体35側の振動を完全に零にすることは現実には不可能である。
【0080】
よって、残留振動ev が極めて小さいときには、荷重センサ22とコントローラ25との間が断線状態ではないかと推定することができるのであるが、瞬間的な残留振動ev が極めて小さいからといって、直ぐさま断線状態であると判断すると、判断を誤る可能性がある。
【0081】
そこで、ステップ122に移行して、タイマをオンにする。なお、既にタイマがオンになっている場合には、タイマの計測を継続する。そして、ステップ123に移行し、タイマの計測時間Te が、所定時間T0 に達しているか否かを判定する。所定時間T0 は、例えば1秒等の短い時間に設定されるが、車両毎に実験等を行って適宜設定すればよい。
【0082】
ステップ123の判定が「NO」の場合には、断線状態であると判断せずに、ステップ124に移行してフラグFを“0”にセットしてから今回のこの図5の処理を終了する。しかし、ステップ123の判定が「YES」となったら、断線状態であると判断し、ステップ125にい移行してフラグFを“1”にセットして今回のこの図5の処理を終了する。なお、ステップ121の判定が「NO」の場合には、ステップ126に移行し、タイマをオフにしてその計測時間Te を零クリアするとともに、フラグFを“0”にセットしてから、今回のこの図5の処理を終了する。
【0083】
そして、図5の処理を終えたら、図4のステップ130に移行し、フラグFの状態を確認する。このステップ130でF=0と判定された場合には、ステップ106に移行して上述した通常の振動低減処理を実行する。
【0084】
これに対し、ステップ130でF=1と判定された場合には、ステップ131に移行し、システムをダウンしてコントローラ25による図4の処理を停止し、駆動信号yの出力を禁止してから、この処理を終了する。
【0085】
このように本実施の形態では、振動低減制御と並行して断線状態を検出する処理を実行し、かかる処理で断線状態が検出された場合には、振動低減処理が禁止されるようになっている。
【0086】
このため、断線状態となった結果、実際の低減状態には関係なく、あたかも車体35側の振動が極めて低減されているような状況を表す残留振動信号eに基づいて振動低減処理が継続されるようなことが防止できるから、駆動信号yを出力して能動型エンジンマウント1を駆動させたために却って車体35側の振動レベルが悪化してしまうようなことを回避でき、それだけ従来よりも信頼性の高いシステムになっている。
【0087】
しかも、断線検出処理も残留振動信号eから求められる残留振動ev が、所定時間T0 以上連続してしきい値e0 未満の場合に断線状態を検出したと判断するようにしているから、比較的精度良く断線状態を判断することができる。特に、本実施の形態の構成では、残留振動信号eを読み込むためのA/D変換器25Cの前段側にハイパス・フィルタ25Bを設けているため、例えば残留振動信号eが全く供給されない場合に断線状態であると判断するような単純な処理を行うことができないが、図5に示すような処理であればハイパス・フィルタ25Bを有する本実施の形態の構成であっても、断線状態を検出することが可能である。
【0088】
なお、本実施の形態では、能動型エンジンマウント1を通じて車体35側に伝達される振動を検出する手段として、荷重センサ22を用いているため、加振振幅の大小を正確に表した残留振動信号eをコントローラ25に供給できるという利点がある。従って、コントローラ25においては、加振振幅の大きさを正確に反映した駆動信号yを生成し出力するようになり、電磁アクチュエータ10は、加振振幅に比例した振幅で可動板12を変位させることができる。このため、アイドル振動(20〜30Hz)からこもり音振動(80〜800Hz)に至る全制御周波数帯域に渡って良好な振動低減制御を実行することができるのである。
【0089】
また、能動型エンジンマウント1内に荷重センサ22を内蔵し、その荷重センサ22にボルト9の締め付け力が加わらないようにしているから、荷重センサの耐荷重条件が低くなり、小型の荷重センサ22を採用でき、スペース的に余裕の小さい能動型エンジンマウント1には非常に好適であり、コスト的にも有利になる。しかも、荷重センサ22が能動型エンジンマウント1と一体となっていれば、実際に車両に搭載する際の手間数が少なくなるから、製造ラインにおける効率化を図ることもできるという利点もある。
【0090】
ここで、本実施の形態では、エンジン30が振動源に対応し、能動型エンジンマウント1が制御振動源に対応し、パルス信号生成器26が基準信号生成手段に対応し、図4のステップ102〜112の処理が制御手段に対応し、荷重センサ22が残留振動検出手段に対応し、図4のステップ130,131の処理が制御禁止手段に対応し、図5の処理が断線検出手段に対応する。
【0091】
図6は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、本実施の形態における断線検出処理を示すフローチャートである。なお、全体的な構成や振動低減処理の内容等は上記第1の実施の形態における図1〜図4と同様であるため、その図示及び説明は省略するとともに、図5の処理と同様の処理を実行するステップには同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0092】
即ち、本実施の形態では、断線検出処理が実行されると、先ず、そのステップ201において、基準信号xの基本周期が変化したか否かが判定されるようになっている。基準信号xの基本周期は出力回数Ty にサンプリング・クロックを乗じることにより求めることができるから、例えば現時点の出力回数Ty の値が、前回若しくは数回前の出力回数Ty の値と異なっている或いは大きく異なっているか否かを判定することにより、判断することができる。
【0093】
そして、ステップ201の判定が「YES」の場合に限って、ステップ121に移行して上述した処理を実行するようになっている。なお、ステップ201の判定が「NO」の場合には、ステップ126に移行してから今回のこの図6の処理を終了する。
【0094】
つまり、基準信号xの基本周期の変化は、エンジン30の回転数の変化を意味し、エンジン30の回転数が変化すれば振動の発生状態も変化するから、適応ディジタルフィルタWは新たな最適値に向かって更新されるはずであるから、最適値に収束するまでの間は十分な振動低減効果が得られなくなるはずである。従って、基準信号xの基本周期が変化した直後には、残留振動ev のレベルが上昇するはずである。そこで、基準信号xの基本周期が変化したことが検出された場合に限って、上記第1の実施の形態と同様にステップ121以降の処理を実行して断線状態の有無を判断するようにすれば、さらに高い確率で断線状態を判断することができるのである。その結果、さらに信頼性の高いシステムとすることができる。その他の作用効果は上記第1の実施の形態と同様である。
【0095】
ここで、本実施の形態では、ステップ201の処理が基準信号周期変化検出手段に対応し、ステップ201の判定が「YES」の場合にステップ121に移行する処理及びステップ121〜126の処理が断線検出手段に対応する。
【0096】
図7及び図8は本発明の第3の実施の形態を示す図であって、図7は全体構成を示す車両の概略側面図、図8は本実施の形態における断線検出処理を示すフローチャートである。なお、その他の構成や振動低減処理の内容等は上記第1の実施の形態における図2〜図4と同様であるため、その図示及び説明は省略するとともに、上記各実施の形態と同一の構成及び同一の処理には同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0097】
即ち、本実施の形態では、コントローラ25には、車速センサ28から車速検出信号Vが供給されるようになっている。また、本実施の形態の断線検出処理では、先ず、そのステップ301において、車速センサ28から供給される車速検出信号Vが読み込まれ、次いで、ステップ302において、その車速検出信号Vに基づいて車両が走行中であるか否かが判定されるようになっている。車両が走行中であるか否かは、車速検出信号Vが表す車速が零であるか否かによって判定することができる。
【0098】
そして、ステップ302の判定が「YES」の場合に限って、ステップ121に移行して上述した処理を実行するようになっている。なお、ステップ302の判定が「NO」の場合には、ステップ126に移行してから今回のこの図8の処理を終了する。
【0099】
つまり、車両走行中の車体35には、エンジン30で発生する振動の他に、路面と車輪との間で発生するロード・ノイズによる振動等も伝搬されているのが一般的である。従って、車両走行中には、残留振動ev はある程度のレベルにあるはずである。そこで、車両が走行中であることが検出された場合に限って、上記第1の実施の形態と同様にステップ121以降の処理を実行して断線状態の有無を判断するようにすれば、さらに高い確率で断線状態を判断することができるのである。その結果、さらに信頼性の高いシステムとすることができる。その他の作用効果は上記第1の実施の形態と同様である。
【0100】
ここで、本実施の形態では、車速センサ28及びステップ301,302の処理が車両走行検出手段に対応し、ステップ302の判定が「YES」の場合にステップ121に移行する処理及びステップ121〜126の処理が断線検出手段に対応する。
【0101】
図9及び図10は本発明の第4の実施の形態を示す図であって、図9は全体構成を示す車両の概略側面図、図10は本実施の形態における断線検出処理を示すフローチャートである。なお、その他の構成や振動低減処理の内容等は上記第1の実施の形態における図2〜図4と同様であるため、その図示及び説明は省略するとともに、上記各実施の形態と同一の構成及び同一の処理には同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0102】
即ち、本実施の形態では、コントローラ25には、ドアスイッチ29から車両のドアの開閉状態に応じたドア開閉信号SWが供給されるようになっている。なお、ドアスイッチ29は各ドア毎に設けられていて、ドア開閉信号SWは各ドア毎に供給されるようになっている。また、本実施の形態の断線検出処理では、先ず、そのステップ401において、ドアスイッチ29から供給されるドア開閉信号SWが読み込まれ、次いで、ステップ402において、そのドア開閉信号SWに基づいて車両のいずれかのドアの開閉が行われたか否かを判断するようになっている。ドアの開閉の有無は、いずれかのドア開閉信号SWの状態が直前の状態と異なっているか否かによって判定することができる。
【0103】
そして、ステップ402の判定が「YES」の場合に限って、ステップ121に移行して上述した処理を実行するようになっている。なお、ステップ402の判定が「NO」の場合には、ステップ126に移行してから今回のこの図10の処理を終了する。
【0104】
つまり、ドアの開閉が行われると、そのドアの開閉に伴った振動が車体35に伝搬するから、ドアの開閉が行われた直後は、残留振動ev のレベルが上昇するはずである。そこで、ドアの開閉が行われたことが検出された場合に限って、上記第1の実施の形態と同様にステップ121以降の処理を実行して断線状態の有無を判断するようにすれば、さらに高い確率で断線状態を判断することができるのである。その結果、さらに信頼性の高いシステムとすることができる。その他の作用効果は上記第1の実施の形態と同様である。
【0105】
ここで、本実施の形態では、ドアスイッチ29及びステップ401,402の処理がドア開閉検出手段に対応し、ステップ402の判定が「YES」の場合にステップ121に移行する処理及びステップ121〜126の処理が断線検出手段に対応する。
【0106】
図11乃至図13は本発明の第5の実施の形態を示す図であって、図11は全体構成を示す車両の概略側面図、図12は本実施の形態における振動低減処理を示すフローチャート、図13は本実施の形態における断線検出処理を示すフローチャートである。なお、その他の構成等は上記第1の実施の形態と同様であるため、その図示及び説明は省略するとともに、上記各実施の形態と同一の構成及び同一の処理には同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0107】
即ち、本実施の形態では、コントローラ25に、エンジン回転数センサ40からエンジン回転数検出信号Nが供給されるようになっている。また、コントローラ25で実行される振動低減処理は、基本的には上記第1の実施の形態と同様であるが、断線検出処理としてのステップ120並びにステップ130,131を実行するタイミングが異なっている。つまり、本実施の形態では、ステップ107でフィルタ係数Wj の更新処理を行った後に、ステップ120,130の処理を実行するようになっている。
【0108】
そして、ステップ120にて断線検出処理が実行されると、図13に示すように、先ず、そのステップ501でエンジン回転数センサ40から供給されるエンジン回転数検出信号Nが読み込まれ、次いでステップ502に移行し、そのエンジン回転数検出信号Nが変化したか否か、つまりエンジン回転数が変化したか否かが判定される。ステップ502では、例えば現在のエンジン回転数検出信号Nと数処理前のエンジン回転数検出信号との差が所定値以上の場合、つまり所定時間内におけるエンジン回転数の平均変化率が所定値以上の場合にエンジン回転数が変化したと判断することができる。また、エンジン回転数の微小な変化を無視するために、例えば次々と供給されるエンジン回転数検出信号Nをローパス・フィルタ処理した値の変化率に基づいて、エンジン回転数の変化を判断するようにしてもよい。
【0109】
ステップ502の判定が「NO」の場合には、断線の判定を行う状況ではないと判断し、ステップ503でフラグFを“0”にセットして、今回の図13の処理を終了して図12の処理に戻る。
【0110】
しかし、ステップ502の判定が「YES」の場合には、エンジン回転数が変化したことが検出されたから、断線の判定を行う状況であると判断し、ステップ504に移行する。ステップ504では、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wj が変化したか否かが判定される。ステップ504の判定は、例えば善哉のフィルタ係数Wj と数処理前のフィルタ係数Wj との差が所定値以上の場合、つまり所定時間内におけるフィルタ係数Wj の平均変化率が所定値以上の場合にフィルタ係数Wj が変化したと判断することができる。また、フィルタ係数Wj の微小な変化を無視するために、例えばフィルタ係数Wj をローパス・フィルタ処理した値の変化率に基づいて、フィルタ係数Wj の変化を判断するようにしてもよい。
【0111】
そして、ステップ504の判定が「YES」の場合には、フィルタ係数Wj が変化した場合であり、これはエンジン回転数の変化を追従するためにフィルタ係数Wj が更新されており、特に断線状態ではないと判断できる。そこで、ステップ503に移行し、フラグFを“0”にセットして、今回の図13の処理を終了して図12の処理に戻る。
【0112】
しかし、ステップ504の判定が「NO」の場合には、断線状態であると判断し、ステップ505に移行しフラグFを“1”にセットしてから、今回の図13の処理を終了して図12の処理に戻る。即ち、ステップ502でエンジン回転数が変化したと判断された場合は、振動源であるエンジン30での振動の発生状態が変化しているから、その変化を追従するように適応ディジタルフィルタWの最適値も変化しているはずである。このため、エンジン回転数が変化した直後には残留振動ev のレベルが増大するはずであり、上記(1)式に従って更新されるフィルタ係数Wj の更新量(上記(1)式の右辺第2項)は大きくなるから、エンジン回転数が変化した直後におけるフィルタ係数Wj の更新状況に基づけば、断線状態を判断することができるのである。
【0113】
よって、本実施の形態にあっても、高い確率で断線状態を判断することができるから、信頼性の高いシステムとすることができる。その他の作用効果は上記第1の実施の形態と同様である。
【0114】
なお、本実施の形態では、駆動信号yの変化状況ではなくフィルタ係数Wj の更新状況に基づいて断線状態を検出するようにしているから、処理の複雑化を招くこともないし、判断に要する時間も短くて済むという利点がある。つまり、同期式Filtered−X LMSアルゴリズムを適用しているため、フィルタ係数Wj がそのまま駆動信号yとして出力されるから、駆動信号yの変化状況に基づいても断線状態を判断することは可能であるが、駆動信号yの周期は基準信号xの周期に応じて徐々に変化するものであるから、駆動信号yの変化状況を判断するためには、基準信号xの周期の変化分を考慮しつつ比較する駆動信号yを選定しなければならないため、処理が煩雑になる。また、フィルタ係数Wj は、時系列に対応したデータ列であり、常にデータ列として計算されるので直ちに判断を行うことができるのに対し、駆動信号yは瞬時データであるため、断線状態の判断のためには駆動信号yの履歴を観測しなければならないから、フィルタ係数Wj に基づく場合に比べて判断に時間を要してしまう。
【0115】
また、本実施の形態では、エンジン回転数検出手段40から供給されるエンジン回転数検出信号Nに基づいてエンジン回転数の変化を判断するようにしているが、基準信号xはエンジン30のクランク軸の回転に同期した信号であるから、その基準信号xの基本周期の変化に基づいてエンジン回転数の変化を判断するようにしてもよい。
【0116】
ここで、本実施の形態では、エンジン回転数センサ40及びステップ501,502の処理がエンジン回転数変化検出手段に対応し、ステップ504の処理が断線検出手段に対応する。
【0117】
図14及び図15は本発明の第6の実施の形態を示す図であって、図14は全体構成を示す車両の概略側面図、図15は本実施の形態における断線検出処理を示すフローチャートである。なお、その他の構成の内容は上記第1の実施の形態と同様であり、また、振動低減処理の内容等は上記第5の実施の形態における図12と同様であるため、その図示及び説明は省略するとともに、上記各実施の形態と同一の構成及び同一の処理には同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0118】
即ち、本実施の形態では、コントローラ25には、変速機スイッチ41から変速機の位置に応じた変速機信号TMが供給されるようになっている。また、本実施の形態の断線検出処理では、先ず、そのステップ601において、変速機切換スイッチ41から供給される変速機信号TMが読み込まれ、次いで、ステップ502において、その変速機信号TMに基づいて変速機の切換が行われたか否かをを判断するようになっている。変速機の切換の判断は、例えば現在の変速機信号TMと、前回処理における変速機切換信号とが異なっているか否かによって判定することができる。
【0119】
そして、ステップ602の判定が「YES」の場合に限って、ステップ504に移行して上記第5の実施の形態と同様の処理を実行するようになっている。なお、ステップ602の判定が「NO」の場合には、ステップ503に移行してから今回のこの図15の処理を終了する。
【0120】
つまり、変速機の切換が、例えばニュートラル位置と他の位置(例えば、ドライブ位置)との間で行われると、エンジン30とドライブシャフト等の駆動力伝達系との間の接続状態が変化し、共振系が変化して車体35側の振動状態が変化し、適応ディジタルフィルタWの最適値も変化するはずである。そこで、ステップ602の判定が「YES」の場合に、ステップ504に移行してフィルタ係数Wj の変化の有無を判断することにより、断線状態を検出することができるのである。よって、本実施の形態にあっても、高い確率で断線状態を判断することができるから、信頼性の高いシステムとすることができる。その他の作用効果は上記第1の実施の形態と同様である。
【0121】
ここで、本実施の形態では、変速機スイッチ41及びステップ601,602の処理が変速機切換検出手段に対応し、ステップ504が断線検出手段に対応する。
【0122】
なお、この第5の実施の形態にあっては、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wj の変化状況に基づいて断線状態を判断するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば上記第4の実施の形態と同様に、残留振動信号eに基づいて断線状態を判断するようにしてもよい。
【0123】
図16及び図17は本発明の第7の実施の形態を示す図であって、図16は全体構成を示す車両の概略側面図、図17は本実施の形態における断線検出処理を示すフローチャートである。なお、その他の構成の内容は上記第1の実施の形態と同様であり、また、振動低減処理の内容等は上記第5の実施の形態における図12と同様であるため、その図示及び説明は省略するとともに、上記各実施の形態と同一の構成及び同一の処理には同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0124】
即ち、本実施の形態では、コントローラ25には、コンプレッサスイッチ42から、エアコンディショナ用のコンプレッサのオン・オフ状態を表すエアコン信号ACが供給されるようになっている。また、本実施の形態の断線検出処理では、先ず、そのステップ701において、コンプレッサスイッチ42から供給されるエアコン信号ACが読み込まれ、次いで、ステップ702において、そのエアコン信号ACに基づいて、エアコンディショナ用のコンプレッサのオン・オフ状態が変化したか否かを判断するようになっている。コンプレッサのオン・オフ状態の変化の判断は、現在のエアコン信号ACと、前回処理におけるエアコン信号とが異なっているか否かによって判定することができる。
【0125】
そして、ステップ702の判定が「YES」の場合に限って、ステップ504に移行して上記第5の実施の形態と同様の処理を実行するようになっている。なお、ステップ702の判定が「NO」の場合には、ステップ503に移行してから今回のこの図17の処理を終了する。
【0126】
つまり、エアコンディショナ用のコンプレッサはエンジン30の駆動力を受けて回転するようになっているから、そのコンプレッサのオン・オフ動作に伴ってエンジン30の状態が変化し、共振系の変化等によって振動の発生状態も変化する。そこで、ステップ702においてコンプレッサのオン・オフ動作が検出されたならば、ステップ504に移行してフィルタ係数Wj の変化の有無を判断することにより、断線状態を検出することができるのである。よって、本実施の形態にあっても、高い確率で断線状態を判断することができるから、信頼性の高いシステムとすることができる。その他の作用効果は上記第1の実施の形態と同様である。
【0127】
ここで、本実施の形態では、コンプレッサスイッチ42及びステップ701,702の処理が変速機切換検出手段に対応し、ステップ504が断線検出手段に対応する。
【0128】
なお、上記各実施の形態では、断線状態を検出した場合にはシステムをダウンして駆動信号yを出力しないようにしているが、断線状態検出時の対処の仕方はこれに限定されるものではない。例えば、荷重センサ22の他に、乗員足元位置のフロア振動を検出するために加速度センサを設け、状況に応じて、荷重センサ22及び加速度センサの一方を残留振動検出手段として選択し、同時に伝達関数フィルタC^も切り換えるようになっているシステムであれば、荷重センサ22及び加速度センサの一方について断線状態が検出された場合には、その断線状態が検出されたセンサを残留振動検出手段として使用することを禁止する処理(使用禁止手段)を実行するようにして、システムダウンすることなく信頼性が向上するようにしてもよい。
【0129】
また、上記各実施の形態では、残留振動信号eをハイパス・フィルタ25Bで処理してからA/D変換器25Cを通じてマイクロコンピュータ25Aに読み込むようにしているが、例えば残留振動信号eを生成するセンサ自体に十分なハイパス・フィルタ特性があるのならば、ハイパス・フィルタ25Bは省略してもよい。そして、そのようなハイパス・フィルタ特性を示すセンサを残留振動検出手段として用いた場合であっても、上記各実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0130】
さらに、上記各実施の形態では、断線検出処理として一つの処理を示しているが、各実施の形態における断線検出処理を適宜組み合わせて複数の断線検出処理を並列に実行するようにしてもよい。
【0131】
また、上記各実施の形態では、残留振動を能動型エンジンマウント1に内蔵した荷重センサ22によって検出しているが、これに限定されるものではなく、例えば車室内の乗員足元位置にフロア振動を検出する加速度センサを配設し、その加速度センサの出力信号を残留振動信号eとしてもよい。
【0132】
そして、上記各実施の形態では、本発明に係る能動型騒音振動制御装置を、エンジン30から車体35に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制御装置に適用した場合について説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、例えば騒音源としてのエンジン30から車室内に伝達される周期的な騒音を低減する能動型騒音制御装置であってもよい。かかる能動型騒音制御装置とする場合には、車室内に制御音を発生するための制御音源としてのラウドスピーカと、車室内の残留騒音を検出する残留騒音検出手段としてのマイクロフォンとを設け、上記各実施の形態と同様の演算処理によって得られる駆動信号yに応じてラウドスピーカを駆動させるとともに、マイクロフォンの出力を残留騒音信号eとして適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi の更新処理に用いればよい。そして、その残留騒音信号eを上記第1の実施の形態等と同様の断線検出処理に用いれば、上記実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0133】
また、本発明の適用対象は車両に限定されるものではなく、エンジン30以外で発生する周期的な振動や周期的な騒音を低減するための能動型振動制御装置,能動型騒音制御装置であっても本発明は適用可能であり、適用対象に関係なく上記各実施の形態と同等の作用効果を奏することができる。例えば、工作機械からフロアや室内に伝達される周期的な振動,騒音を低減する装置等であっても、本発明は適用可能である。
【0134】
さらに、上記各実施の形態では、適応アルゴリズムとして同期式Filtered−X LMSアルゴリズムを適用した場合について説明したが、適用可能な適応アルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例えば、通常のFiltered−X LMSアルゴリズム等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す車両の概略側面図である。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を示す断面図である。
【図3】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】振動低減処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態の断線検出処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態の断線検出処理の概要を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態を示す車両の概略側面図である。
【図8】第3の実施の形態の断線検出処理の概要を示すフローチャートである。
【図9】第4の実施の形態を示す車両の概略側面図である。
【図10】第4の実施の形態の断線検出処理の概要を示すフローチャートである。
【図11】第5の実施の形態を示す車両の概略側面図である。
【図12】第5の実施の形態の振動低減処理の概要を示すフローチャートである。
【図13】第5の実施の形態の断線検出処理の概要を示すフローチャートである。
【図14】第6の実施の形態を示す車両の概略側面図である。
【図15】第6の実施の形態の断線検出処理の概要を示すフローチャートである。
【図16】第7の実施の形態を示す車両の概略側面図である。
【図17】第7の実施の形態の断線検出処理の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 能動型エンジンマウント(制御振動源)
22 荷重センサ(残留振動検出手段)
25 コントローラ
25A マイクロコンピュータ
25B ハイパス・フィルタ
25C A/D変換器
25D D/A変換器
26 パルス信号生成器(基準信号生成手段)
28 車速センサ
30 エンジン(振動源)
35 車体
29 ドアスイッチ
40 エンジン回転数センサ
41 変速機スイッチ
42 コンプレッサスイッチ
Claims (10)
- 騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記基準信号の基本周期が変化したことを検出する基準信号周期変化検出手段と、を設け、
前記断線検出手段は、前記基準信号周期変化検出手段が前記基準信号の基本周期が変化したことを検出し且つ前記残留騒音信号又は残留振動信号から求められる残留騒音又は残留振動の絶対値が所定時間に渡って所定のしきい値未満である場合に、前記断線状態を検出したと判断するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。 - 車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、車両のドアの開閉が行われたか否かを検出するドア開閉検出手段と、を設け、
前記断線検出手段は、前記ドア開閉検出手段が前記ドアの開閉を検出した際に前記制御手段に供給される前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づいて前記断線状態を検出するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。 - 車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記騒音源又は振動源は車両のエンジンであり、前記制御手段はフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタによって前記駆動信号を生成し且つ適応アルゴリズムに従ってその適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するようになっており、
前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記エンジンの回転数が変化したことを検出するエンジン回転数変化検出手段と、を設け、
前記断線検出手段は、前記エンジン回転数変化検出手段が前記エンジンの回転数が変化したことを検出した際における前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づいて前記断線状態を検出するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。 - 車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信 号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記騒音源又は振動源は車両のエンジンであり、前記制御手段はフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタによって前記駆動信号を生成し且つ適応アルゴリズムに従ってその適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するようになっており、
前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記車両の変速機の切換が行われたか否かを検出する変速機切換検出手段と、を設け、
前記断線検出手段は、前記変速機切換検出手段が前記変速機の切換が行われたことを検出した際における前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づいて前記断線状態を検出するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。 - 車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記騒音源又は振動源は車両のエンジンであり、前記制御手段はフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタによって前記駆動信号を生成し且つ適応アルゴリズムに従ってその適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するようになっており、
前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記車両の変速機の切換が行われたか否かを検出する変速機切換検出手段と、を設け、
前記断線検出手段は、前記変速機切換検出手段が前記変速機の切換が行われたことを検出した際に前記制御手段に供給される前記残留騒音信号又は残留振動信号に基づいて前記断線状態を検出するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。 - エアコンディショナを有する車両に適用されるとともに、騒音源又は振動源から発せられる騒音又は振動と干渉する制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号及び前記基準信号に基づき前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成し出力する制御手段と、を備えた能動型騒音振動制御装置において、
前記騒音源又は振動源は車両のエンジンであり、前記制御手段はフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタによって前記駆動信号を生成し且つ適応アルゴリズムに従ってその適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するようになっており、
前記残留騒音信号又は残留振動信号を前記制御手段に供給できない断線状態を検出する断線検出手段と、前記エアコンディショナ用のコンプレッサのオン・オフ動作を検出するコンプレッサ動作検出手段と、を設け、
前記断線検出手段は、前記コンプレッサ動作検出手段が前記コンプレッサのオン・オフ動作を検出した際における前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新状況に基づいて前記断線状態を検出するようになっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装置。 - 前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段の出力から所定周波数以下の低周波成分を減衰又は除去するハイパス・フィルタと、このハイパス・フィルタの出力をディジタル値に変換して前記制御手段に供給するA/D変換器と、を備えた請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の能動型騒音振動制御装置。
- 前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段は所定周波数以下の低周波成分を減衰又は除去する特性を有するセンサで構成され、前記残留騒音検出手段又は残 留振動検出手段の出力をディジタル値に変換して前記制御手段に供給するA/D変換器を備えた請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の能動型騒音振動制御装置。
- 前記断線検出手段によって前記断線状態が検出された場合に前記制御手段が前記駆動信号を出力することを禁止する制御禁止手段を設けた請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の能動型騒音振動制御装置。
- 前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段を複数備えるとともに、前記断線検出手段によって前記断線状態が検出された場合にその断線状態が検出された前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段の使用を禁止する使用禁止手段を設けた請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の能動型騒音振動制御装置。
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