JP3402120B2 - 能動型振動制御装置 - Google Patents

能動型振動制御装置

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JP3402120B2
JP3402120B2 JP13127897A JP13127897A JP3402120B2 JP 3402120 B2 JP3402120 B2 JP 3402120B2 JP 13127897 A JP13127897 A JP 13127897A JP 13127897 A JP13127897 A JP 13127897A JP 3402120 B2 JP3402120 B2 JP 3402120B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両エンジン等
の振動源で発生する振動に、振動源及び支持体間に介在
する制御振動源が発生する制御振動を干渉させることに
より、支持体側に伝達される振動の低減を図るようにし
た能動型振動制御装置に関し、特に、制御振動源を駆動
させるための制御アルゴリズムが、制御振動源と残留振
動を検出する手段との間の伝達関数を含むものにおい
て、その伝達関数を同定する際の、電源電圧の変化に伴
う伝達特性の精度の低下に対して対処することができる
ようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】本発明のような能動型振動制御装置の場
合、制御振動源と残留振動を検出する手段との間の伝達
関数は、その能動型振動制御装置を適用した適用対象装
置,適用対象設備等の特性のばらつきによって、微妙に
異なる。また、適用対象装置等の使用に伴う特性変化等
によって、当初の状態からは変化してしまう可能性があ
るため、高精度の振動低減制御を実行するためには、能
動型振動制御装置を適用対象装置に組み込んだ後に伝達
関数を同定したり、適用対象装置の定期検査毎に伝達関
数を同定することが望ましい。
【0003】そこで、本出願人は、先に特開平6−33
2471号公報に開示されるような技術を提案してい
る。すなわち、この公報に開示された従来技術は、制御
音源や制御振動源からインパルス信号に応じた同定音や
同定振動を発生させ、その応答を残留騒音や残留振動を
検出する手段で計測することにより、能動型騒音制御装
置や、能動型振動制御装置の制御アルゴリズムに必要な
伝達関数を同定するようになっている。そして、そのイ
ンパルス信号に応じた同定音や同定振動を発生するタイ
ミングを、騒音源や振動源から騒音や振動が発生してい
ない状態から発生する状態に移行する直前に限ることに
より、演算負荷の大幅な増大を招くことなく、また、人
間等に不快感を与えることなく、伝達関数の同定が行え
るようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上述したよう
な先行技術によれば、能動型騒音又は振動制御装置や、
能動型騒音又は振動制御装置を適用した対象装置毎に、
制御に必要な伝達関数を同定することは可能であるか
ら、高精度の騒音又は振動の低減制御等が期待できる。
【0005】一方、上述したような先行技術において伝
達関数を同定するためには、インパルス信号又はホワイ
トノイズ信号に応じた同定音或いは同定振動を発生する
必要がある。
【0006】ここで、例えば、電磁アクチュエータ等を
駆動することにより、制御振動を発生させるようにした
能動型振動制御装置等の場合、電源電圧を利用して、例
えば演算装置で算出した制御信号を、これに応じた電流
値からなる駆動信号に変換して電磁アクチュエータに供
給するようになっている。そのため、何らかによって電
源電圧が低下した場合、この電源電圧に基づいて生成さ
れる駆動信号の最大値も低下してしまうことになるか
ら、駆動信号として出力可能な範囲が狭くなってしま
い、制御信号に応じた駆動信号を出力することができな
い。
【0007】よって、例えば制御信号として正弦波状の
同定信号が生成された場合には、本来ならば制御信号に
応じた正弦波状の駆動信号に変換されるはずであるが、
例えば図6(a)に示すように、電源電圧が低下する
と、一点鎖線で示すように、駆動信号のとり得る範囲が
狭くなることから、正弦波の振幅が最大となる付近でそ
の影響をうけることになって、正弦波状の駆動信号では
あるがその振幅が最大となる付近で頭打ちされた状態と
なった歪んだ駆動信号となってしまう。
【0008】つまり、不要な高調波成分が入り込んだこ
とと同じことになり、このような駆動信号に応じて電磁
アクチュエータを作動させた場合には、これが伝達関数
に含まれることになって、伝達関数の精度が低下してし
まう。
【0009】また、このように精度が低下した伝達関数
に基づいて振動低減処理を実行することによって、制御
が発散に至る可能性が出てくる。これを回避するため
に、予め同定信号の振幅を小さく設定しておき同定振動
の振幅を小さくすることも考えられるが、高精度に伝達
関数を同定するためには、実際に起こり得る振動と同様
の周波数或いは振幅を有する同定振動を発生させて同定
処理を行うことが望ましい。
【0010】そこで、この発明は、上記従来の未解決の
問題に着目してなされたものであり、電源電圧の変化に
伴う、同定処理の精度の低下を低減することの可能な能
動型振動制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る能動型振動制御装置は、振動源から
発せられる振動と干渉する制御振動を発生可能な制御振
動源と、前記振動の発生状態を表す基準信号を生成し出
力する基準信号生成手段と、前記干渉後の振動を検出し
残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、前記
基準信号及び前記残留振動信号に基づき、前記制御振動
源及び前記残留振動検出手段間の振動の伝達系の伝達関
数を含む制御アルゴリズムを用いて、前記振動が低減す
るように前記制御振動源を制御するための制御信号を生
成する能動制御手段と、前記制御信号を、供給される電
源電圧を利用して前記制御振動源への駆動信号に変換し
出力する駆動手段と、同定用基準波形に基づいて同定
御信号を生成し、この同定用制御信号に応じた振動が
前記制御振動源から発せられた場合の前記残留振動信号
に基づいて前記伝達関数を同定する伝達関数同定手段
と、を備えた能動型振動制御装置であって、前記電源電
圧を監視する電源電圧監視手段と、当該電源電圧監視手
段で前記電源電圧が所定の電圧値よりも低下したことを
検出したとき、予め設定した、電源電圧と、前記同定用
基準波形に基づく同定用制御信号を前記電源電圧を利用
して前記駆動信号に変換した場合に、前記同定用制御信
号に応じた駆動信号に変換可能な前記同定用基準波形の
有効振幅最大値との対応に基づいて、現時点の電源電圧
に対応する前記有効振幅最大値を検出し、前記同定用基
準波形の振幅最大値が、検出した有効振幅最大値よりも
小さくなるように、前記同定用基準波形の振幅を小さく
補正する補正手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】この発明によれば、振動源から発せられる
振動と干渉する制御振動が制御振動源から発生され、こ
れによって、振動源から発生される振動が低減される。
前記制御振動源は、能動制御手段によって駆動制御さ
れ、具体的には、振動の発生状態を表す基準信号と、干
渉後の振動を検出した残留振動信号とに基づいて、制御
振動源と残留振動検出手段との間の伝達系の伝達関数を
含む制御アルゴリズムを用いて、駆動制御される。
【0013】前記伝達系の伝達関数は、同定用基準波形
に基づいて生成される同定用制御信号に対する残留振動
信号に基づいて伝達関数同定手段により同定される。こ
の伝達関数同定手段で生成された同定用制御信号は、駆
動手段によって、供給される電源電圧を利用して、例え
ば電流信号等、制御振動源に適した駆動信号に変換され
て制御振動源に供給される。
【0014】また、供給される電源電圧は、電源電圧監
視手段によってその電源電圧値が監視され、電源電圧値
が所定の電源電圧値よりも低下した場合には、伝達関数
同定手段での同定処理に用いられる同定用制御信号の振
幅が、補正手段によって小さく補正される。
【0015】ここで、同定用制御信号は、電源電圧を変
圧し、変圧後の電圧値に応じた電流値を得ること等によ
って、駆動信号に変換されるため、例えば電源電圧が低
下した場合、電圧値としてとり得る最大値が低下するこ
とから、これに応じて得られる電流値からなる駆動信号
の最大値も低下することになる。そのため、例えば正弦
波状の同定用の制御信号の場合等には、本来ならば正弦
波状の駆動信号に変換されるところが、正弦波の振幅が
最大となる付近では、駆動信号の最大値を越えてしまう
ため、歪んだ駆動信号となってしまう。
【0016】これは、不要な高調波成分が入り込んだこ
とと同じことになって、このような駆動信号に基づいて
同定処理を行うから、伝達関数の精度が低下することに
なる。
【0017】しかしながら、電源電圧監視手段で電源電
圧の低下を検出した場合には、予め設定されている、電
源電圧と、前記同定用基準波形に基づく同定用制御信号
を前記電源電圧を利用して前記駆動信号に変換した場合
に、前記同定用制御信号に応じた駆動信号に変換可能な
前記同定用基準波形の有効振幅最大値との対応に基づい
て、現時点の電源電圧に対応する前記有効振幅最大値が
検出され、前記同定用基準波形の振幅最大値が、検出し
た有効振幅最大値よりも小さくなるように、前記同定用
基準波形の振幅を小さく補正するようにしている。よっ
て、例えば、正弦波状の同定用制御信号である場合で
も、駆動信号が歪むことはなく補正した同定用制御信号
に応じた正弦波状の駆動信号が出力されるから、この駆
動信号に対する残留振動信号に基づいて伝達関数を同定
することにより、伝達関数の精度の低下が低減される。
【0018】また、本発明の請求項2に係る能動型振動
制御装置によれば、前記補正手段は、前記電源電圧が低
下するほど前記振幅をより小さく補正するようになって
いることを特徴としている。
【0019】この発明によれば、電源電圧が低下するほ
ど、同定用制御信号の振幅がより小さく補正される。よ
って、電源電圧が低下するほど、変換可能な駆動信号の
最大値が小さくなるから、電源電圧が低下するほど、よ
り同定用制御信号の振幅を小さく補正することによって
同定用制御信号が的確に補正される。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る能動型振動制御
装置によれば、同定用基準波形に基づいて生成される
定用制御信号を振動制御源に適した駆動信号に変換する
際に利用される電源電圧の電圧値を、電源電圧監視手段
によって監視し、電源電圧値が所定の電源電圧値よりも
低下した場合には、予め設定された電源電圧と前記同定
用基準波形の有効振幅最大値との対応に基づいて、現時
点での電源電圧に対応する前記有効振幅最大値を検出
し、前記同定用基準波形の振幅最大値が、検出した有効
振幅最大値よりも小さくなるように、前記同定用基準波
形の振幅を補正するようにしたから、電源電圧の低下に
伴って、所定の同定用制御信号とは異なる高調波成分を
含む駆動信号に変換されることによる伝達関数の精度の
低下を低減することができる。
【0039】また、本発明の請求項2に係る能動型振動
制御装置によれば、供給される電源電圧の低下に伴って
駆動信号のとり得る値が小さくなるから、電源電圧が低
下するほど同定用制御信号の振幅をより小さく補正する
ようにすることによって的確に補正を行うことができ
る。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図6は、本発明の実
の形態を示す図であって、図1は、本発明に係る能動型
振動制御装置の実施の形態の一例を、車両に適用した概
略構成図である。
【0045】まず、構成を説明すると、エンジン30が
駆動信号に応じた能動的な支持力を発生可能な能動型エ
ンジンマウント1を介して、サスペンションメンバ等か
ら構成される車体35に支持されている。なお、実際に
は、エンジン30及び車体35間には、能動型エンジン
マウント1の他に、エンジン30及び車体35間の相対
変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジン
マウントも介在している。受動的なエンジンマウントと
しては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常の
エンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生
可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウント
インシュレータ等が適用できる。
【0046】一方、能動型エンジンマウント1は、例え
ば図2に示すように構成されている。すなわち、この実
施の形態における能動型エンジンマウント1は、エンジ
ン30への取り付け用ボルト2aを上部に一体に備え且
つ内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有し、この
キャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向く内筒3
の上端部がかしめ止めされている。
【0047】内筒3は、下端側が縮径した形状となって
いて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、ここ
に円形の開口部3aが形成されている。そして、内筒3
の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上下に
二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止め部
分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設されてい
る。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の側面
に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0048】さらに、内筒3の内側には、オリフィス構
成体5が配設されている。なお、本実施の形態では、内
筒3内面及びオリフィス構成体5間には、薄膜状の弾性
体(ダイアフラム4の外周部を延長させたものでもよ
い)が介在していて、これにより、オリフィス構成体5
は内筒3内側に強固に嵌め込まれている。
【0049】このオリフィス構成体5は、内筒3の内部
空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面に
は円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部
5aと、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オ
リフィス5bを介して連通するようになっている。オリ
フィス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に
沿って螺旋状に延びる溝と、その溝の一端部を凹部5a
に連通させる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連
通させる流路とで構成される。
【0050】一方、内筒3の外周面には、内周面側が若
干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周
面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面
は、上端側が拡径した円筒部材としての外筒7の内周面
上部に加硫接着されている。
【0051】そして、外筒7の下端部は上面が開口した
円筒形のアクチュエータケース8の上端部にかしめ止め
されていて、そのアクチュエータケース8の下端面から
は、車体35側への取り付け用の取り付けボルト9が突
出している。取り付けボルト9は、その頭部9aが、ア
クチュエータケース8の内底面に張り付いた状態で配設
された平板部材8aの中央の空洞部8bに収容されてい
る。
【0052】さらに、アクチュエータケース8の内側に
は、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10A
の中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル
10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲され
た部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石1
0Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設
されている。
【0053】また、アクチュエータケース8の上端部は
フランジ状に形成されたフランジ部8Aとなっていて、
そのフランジ部8Aに外筒7の下端部がかしめられて両
者が一体となっているのであるが、そのかしめ止め部分
には、円形の金属製の板ばね11の周縁部(端部)が挟
み込まれていて、その板ばね11の中央部の電磁アクチ
ュエータ10側には、リベット11aによって磁化可能
な磁路部材12が固定されている。なお、磁路部材12
はヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円板であって、
その底面が電磁アクチュエータ10に近接するような厚
みに形成されている。
【0054】さらに、上記かしめ止め部分には、フラン
ジ部8Aと板ばね11とに挟まれるように、リング状の
薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14a
とが支持されている。具体的には、アクチュエータケー
ス8のフランジ部8A上に、薄膜弾性体13と、力伝達
部材14のフランジ部14aと、板ばね11と、をこの
順序で重ね合わせると共に、その重なり合った全体を外
筒7の下端部をかしめて一体としている。
【0055】力伝達部材14は、磁路部材12を包囲す
る短い円筒形の部材であって、その上端部がフランジ部
14aとなっており、その下端部は電磁アクチュエータ
10のヨーク10Aの上面に結合している。具体的に
は、ヨーク10Aの上端面周縁部に形成された円形の溝
に、力伝達部材14の下端部が嵌合して両者が結合され
ている。また、力伝達部材14の弾性変形時のばね定数
は、薄膜弾性体13のばね定数よりも大きい値に設定さ
れている。
【0056】ここで、本実施の形態では、支持弾性体6
の下面及び板ばね11の上面によって画成された部分に
主流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5a
によって画成された部分に副流体室16が形成されてい
て、これら主流体室15及び副流体室16間が、オリフ
ィス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通
している。なお、これら主流体室15,副流体室16及
びオリフィス5b内には、エチレングリコール等の流体
が封入されている。
【0057】かかるオリフィス5bの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり、5〜15Hzで能動型エンジンマ
ウント1が加振された場合に高動ばね定数,高減衰力を
示すように調整されている。
【0058】そして、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bは、コントローラ25からハーネス23aを
通じて供給される駆動電流信号Iに応じて所定の電磁力
を発生するようになっている。
【0059】コントローラ25は、マイクロコンピュー
タ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A
変換器,アンプ等を含んで構成される演算部25aと、
演算部25aからの駆動信号yを、これに応じた駆動電
流信号Iに変換し励磁コイル10Bに供給する駆動回路
25bとから構成されている。そして、前記演算部25
aでは、エンジンシェイクよりも高周波の振動であるア
イドル振動やこもり音振動・加速時振動が車体35に入
力されている場合には、その振動を低減できる能動的な
支持力が能動型エンジンマウント1に発生するように、
能動型エンジンマウント1に対する駆動信号yを生成
し、この駆動信号yが駆動回路25bによって、電流信
号である駆動電流信号Iに変換されて電磁アクチュエー
タ10に供給されるようになっている。
【0060】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動が車体35に伝達されることが主
な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期し
て駆動信号yを生成しこれに応じて電磁アクチュエータ
10を駆動すれば、車体側低減が可能となる。そこで、
本実施の形態では、燃焼タイミングに同期するように、
エンジン30のクランク軸の回転に同期した(例えば、
レシプロ4気筒エンジンの場合には、クランク軸が18
0度回転する度に一つの)インパルス信号を生成しこれ
を基準信号xとして出力するパルス信号生成器26(図
1)を設けていて、その基準信号xがエンジン30にお
ける振動の発生状態を表す信号としてコントローラ25
の演算部25aに供給されるようになっている。
【0061】一方、電磁アクチュエータ10のヨーク1
0Aの下端面と、アクチュエータケース8の底面を形成
する平板部材8aの上面との間に挟み込まれるように、
エンジン30から支持弾性体6を通じて伝達する加振力
を検出する荷重センサ22が配設されていて、荷重セン
サ22の検出結果がハーネス23bを通じて残留振動信
号eとしてコントローラ25に供給されるようになって
いる。荷重センサ22としては、具体的には、圧電素
子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能である。
【0062】そして、コントローラ25の演算部25a
は、供給される残留振動信号e及び基準信号xに基づ
き、適応アルゴリズムの一つである同期式Filter
ed−X LMSアルゴリズムを実行することにより、
能動型エンジンマウント1に対する駆動信号yを演算
し、この駆動信号yを駆動回路25bに出力するように
なっている。
【0063】この駆動回路25bは、入力される駆動信
号yに応じてコントローラ25に供給される電源電圧を
変圧し、変圧した電圧に応じた電流値を得ることによっ
て、駆動信号yを、これに応じた電流値に変換し、これ
を駆動電流信号Iとして電磁アクチュエータ10に供給
するようになっている。
【0064】そして、演算部25aは、具体的には、フ
ィルタ係数Wi (i=0,1,2,……,I−1:Iは
タップ数)可変の適応ディジタルフィルタWを有してい
て、最新の基準信号xが入力された時点から所定のサン
プリング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィ
ルタWのフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出
力する一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更
新する処理を実行するようになっている。
【0065】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−μRT e(n) ……(1) ここで、(n),(n+1)が付く項は、サンプリング
時刻n,n+1,における値であることを表し、μは収
束係数である。また、更新用基準信号RT は、理論的に
は、基準信号xを、能動型エンジンマウント1の電磁ア
クチュエータ10及び荷重センサ22間の伝達関数Cを
有限インパルス応答型フィルタでモデル化した伝達関数
フィルタC^でフィルタ処理をした値であるが、基準信
号xの大きさは“1”であるから、伝達関数フィルタC
^のインパルス応答を基準信号xに同期して次々と生成
した場合のそれらインパルス応答波形のサンプリング時
刻nにおける和に一致する。
【0066】また、理論的には、基準信号xを適応ディ
ジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成
するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるた
め、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力し
ても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ
結果になる。
【0067】演算部25aは上記のような適応ディジタ
ルフィルタWを用いた振動低減処理を実行する一方で、
その振動低減制御に必要な伝達関数Cを同定する処理を
も実行するようになっている。
【0068】すなわち、コントローラ25には、伝達関
数Cの同定処理を開始するタイミングで操作される同定
処理開始スイッチ28が設けられていて、例えば製造ラ
インにおける最終工程において、或いはディーラーにお
ける定期点検時において、作業者がその同定処理開始ス
イッチ28を操作すると、演算部25a内で伝達関数C
の同定処理が実行される。なお、伝達関数Cの同定処理
実行中には、通常の振動低減処理は実行されない。
【0069】つまり、演算部25aは、車両のイグニッ
ションスイッチがオンになっている通常の走行状態等に
は、前記LMSアルゴリズムにしたがった振動低減処理
を実行するが、同定処理開始スイッチ28が操作される
と、振動低減処理を停止して、伝達関数Cの同定処理を
実行するようになっている。
【0070】そして、本実施の形態では、伝達関数Cの
同定処理は、正弦波状の同定信号を用いて行うようにな
っている。具体的には、駆動信号yに変えて正弦波状の
同定信号に応じた駆動電流信号Iを能動型エンジンマウ
ント1に所定時間出力し続けると共に、残留振動信号e
を読み込む、というデータ読み込み処理を、同定信号の
周波数を順次変えつつ繰り返し実行し、各データ読み込
み処理によって得られた残留信号信号eの各数列をFF
T処理して同定信号の周波数に相当する成分を抽出し、
抽出された各周波数成分を合成した結果を、逆FFT処
理して、伝達関数Cとしてのインパルス応答を求めるよ
うになっている。求められたインパルス応答は、有限イ
ンパルス応答型の伝達関数フィルタC^としてそれまで
の伝達関数フィルタC^と置き換えられるようになって
いる。
【0071】なお、このとき、前記駆動回路25bにて
おいて駆動電流信号Iへの変換する際に利用している電
源電圧値Vgを監視し、電源電圧値Vgが予め設定した
電源電圧許容範囲内の値でない場合には、前記同定信号
の振幅を小さく補正した後、同定処理を実行するように
なっている。
【0072】次に、本発明の実施の形態の動作を説明す
る。すなわち、能動型エンジンマウント1内の流体共振
系の共振周波数を20Hzに調節している結果、5〜1
5Hzの振動であるエンジンシェイク発生時にもある程
度の減衰力がこの能動型エンジンマウント1で発生する
ため、エンジン30側で発生したエンジンシェイクが能
動型エンジンマウント1によってある程度減衰されると
共に、図示しない他の流体封入式エンジンマウント等に
よってもエンジンシェイクは減衰されるから、車体35
側の振動レベルが低減される。なお、エンジンシェイク
に対しては、特に磁路部材12を積極的に変位させる必
要はない。
【0073】一方、アイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ25は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10に駆動信
号yに応じた駆動電流信号Iを出力し、能動型エンジン
マウント1に振動を低減し得る能動的な支持力を発生さ
せる。
【0074】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ25内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図3に従って具体的に説明する。
まず、そのステップ101において所定の初期設定が行
われた後に、ステップ102に移行し、所定の伝達関数
記憶領域に格納されている伝達関数フィルタC^に基づ
いて更新用基準信号RT が演算される。なお、このステ
ップ102では、一周期分の更新用基準信号RT がまと
めて演算される。
【0075】そして、ステップ103に移行し、カウン
タiが零クリアされた後に、ステップ104に移行し
て、適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数
i が駆動信号yとして出力され、駆動回路25bにお
いて駆動信号yに応じた駆動電流信号Iに変換されて電
磁アクチュエータ10に供給される。
【0076】ステップ104で駆動信号yを出力した
ら、ステップ105に移行し、残留振動信号eが読み込
まれる。そして、ステップ106に移行して、カウンタ
jが零クリアされ、次いでステップ107に移行し、適
応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj
上記(1)式にしたがって更新される。
【0077】ステップ107における更新処理が完了し
たら、ステップ108に移行し、次の基準信号xが入力
されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力さ
れていないと判定された場合には、適応ディジタルフィ
ルタWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力
処理を実行すべく、ステップ109に移行する。
【0078】ステップ109では、カウンタjが、出力
回数Ty (正確には、カウンタjは0からスタートする
ため、出力回数Ty から1を減じた値)に達しているか
否かを判定する。この判定は、ステップ104で適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を、駆動信号y
として出力した後に、適応ディジタルフィルタWのフィ
ルタ係数Wi を、駆動信号yとして必要な数だけ更新し
たか否かを判断するためのものである。そこで、このス
テップ109の判定が「NO」の場合には、ステップ1
10でカウンタjをインクリメントした後に、ステップ
107に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0079】しかし、ステップ109の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
1に移行してカウンタiをインクリメントした後に、所
定時間待機する。この所定時間は、上記ステップ104
の処理を実行してから所定のサンプリング・クロックの
間隔に対応する時間が経過するまでの時間である。そし
て、サンプリング・クロックに対応する時間が経過した
ら、上記ステップ104に戻って上述した処理を繰り返
し実行する。
【0080】一方、ステップ108で基準信号xが入力
されたと判断された場合には、ステップ112に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiは0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力
回数Ty として保存した後に、ステップ102に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。
【0081】このような図3の処理を繰り返し実行する
結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント1
の電磁アクチュエータ10に対しては、基準信号xが入
力された時点から、サンプリング・クロックの間隔で、
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が順番に
出力されてなる駆動信号yに応じた駆動電流信号Iが供
給される。
【0082】この結果、励磁コイル10Bに駆動信号y
に応じた磁力が発生するが、磁路部材12には、すでに
永久磁石10Cによる一定の磁力が付与されているか
ら、その励磁コイル10Bによる磁力は永久磁石10C
の磁力を強める又は弱めるように作用すると考えること
ができる。つまり、励磁コイル10Bに駆動信号yが供
給されていない状態では、磁路部材12は、板ばね11
による支持力と、永久磁石10Cとの磁力との釣り合っ
た中立の位置に変位することになる。そして、この中立
の状態で励磁コイル10Bに駆動信号yに応じた駆動電
流信号Iが供給されると、その駆動電流信号Iによって
励磁コイル10Bに発生する磁力が永久磁石10Cの磁
力と逆方向であれば、磁路部材12は電磁アクチュエー
タ10とのクリアランスが増大する方向に変位する。逆
に、励磁コイル10Bに発生する磁力が永久磁石10C
の磁力と同じ方向であれば、磁路部材12は電磁アクチ
ュエータ10とのクリアランスが減少する方向に変位す
る。
【0083】このように磁路部材12は、正逆両方向に
変位可能であり、磁路部材12が変位すれば主流体室1
5の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体6
の拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウン
ト1に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのであ
る。
【0084】そして、駆動信号yとなる適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムにしたがった上記
(1)式によって逐次更新されるため、ある程度の時間
が経過して適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数
i が最適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エン
ジンマウント1に供給されることによって、エンジン3
0から能動型エンジンマウント1を介して車体35側に
伝達されるアイドル振動やこもり音振動が低減されるよ
うになるのである。
【0085】以上は車両走行時等に実行される振動低減
処理の動作である。その一方、例えば車両が出荷される
前の製造ラインの最終工程において、作業者が同定処理
開始スイッチ28を操作すると、まず、図4に示すよう
な同定前処理が実行される。
【0086】すなわち、同定前処理が開始されると、ス
テップ121において、コントローラ25に供給されて
いる電源電圧値VgがA/D変換器等を介して読み込ま
れ、次に、ステップ122に移行して、この電源電圧値
Vgが有効な値であるか否かが判定される。つまり、電
源電圧値Vgを変圧する等、電源電圧を利用して同定信
号に応じた駆動電流信号Iを生成している駆動回路25
bにおいて、同定信号に応じた駆動電流信号Iを得るこ
との可能な電源電圧値Vgであるか否かを判定する。こ
れは、予め実験等によって検出しておく。
【0087】そして、電源電圧値Vgが、予め設定した
有効な電圧値とみなすことの可能な値である場合には、
ステップ125に移行して、後述の伝達関数Cの同定を
行う同定処理を起動する。
【0088】一方、ステップ122の処理で、電源電圧
値Vgが有効な値でない場合には、ステップ123に移
行し、同定用基準波形の振幅を小さく補正する。この同
定用基準波形は、例えば所定周波数の正弦波信号を離散
化した数列等で形成されて、予め所定の同定用基準波形
記憶領域に格納されている。そして、後述の同定処理に
おいては、この同定用基準波形記憶領域に格納されてい
る、同定用基準波形を表す数列の各要素を、出力すべき
所定の周波数に応じたタイミングで出力するようになっ
ている。そして、ステップ123の処理では、この同定
用基準波形の各要素を、予め設定した補正値αで割り算
し、これを同定用基準波形記憶領域に更新記憶すること
によって、同定用基準波形の振幅を小さく補正するよう
になっている。なお、初期状態では、この同定用基準波
形記憶領域には、初期値として予め設定した振幅を有す
る同定用基準波形を表す数列が格納されているものとす
る。
【0089】そして、ステップ124に移行し、同定用
基準波形に基づいて出力される同定信号を、駆動回路2
5bにおいて電源電圧値Vgを利用して駆動電流信号I
に変換したときに、同定信号に応じた駆動電流信号Iに
変換することの可能な同定用基準波形であるか否かを判
定する。これは、例えば、予め実験等によって、駆動回
路25bが同定信号に応じた駆動電流信号Iに変換する
ことの可能な同定用基準波形の振幅の最大値を有効振幅
最大値として、電源電圧値Vg毎に予め検出し、電源電
圧値Vgと有効振幅最大値との対応をマップ等を形成し
て所定の記憶領域に格納しておき、ステップ121で読
み込んだ電源電圧値Vgに対応する有効振幅最大値より
も、同定用基準波形の振幅最大値の方が小さいか否かを
判定している。そして、有効振幅最大値よりもステップ
123で求めた同定用基準波形の振幅最大値の方が小さ
いとき、出力可能波形として判断している。
【0090】そして、出力可能波形でない場合には、ス
テップ123の処理に戻って、同定用基準波形記憶領域
に格納されている前回の処理で補正した同定用基準波形
を再度補正値αで割り算し、この操作を繰り返すことに
よって、同定用基準波形が補正値αで順次割り算されて
その振幅が小さく補正されるようになっている。そし
て、補正後の同定用基準波形の振幅最大値が、有効振幅
最大値よりも小さくなって出力可能波形となったとき、
ステップ125に移行して、所定の伝達関数Cの同定処
理を起動する。
【0091】この伝達関数Cの同定処理は、図5に示す
ように、まず、ステップ201において、同定信号の周
波数f0 を、同定処理を開始する周波数としてのアイド
ル振動周波数fid(この場合には、20Hz)に設定す
る。アイドル振動周波数fidを同定処理を開始する周波
数としたのは、上述のようにアイドル振動周波数以上の
振動が入力されている状況において振動低減制御を実行
し、それ未満の振動については特に振動低減制御を実行
しないからである。
【0092】次いで、ステップ202に移行し、同定用
基準波形記憶領域に格納されている同定用基準波形を読
み出し、次いで、ステップS203に移行し、周波数f
0 の正弦波を駆動信号yとして出力する。
【0093】この駆動信号yは、駆動回路25bで、駆
動信号yに応じた電流からなる駆動電流信号Iに変換さ
れて、電磁アクチュエータ10に供給される。すると、
電磁アクチュエータ10が駆動して同定振動が発生し、
かかる同定振動は各部材を伝搬して荷重センサ22に到
達する。
【0094】そこで、ステップ204に移行し、残留振
動信号eを読み込み、次いで、ステップ205に移行
し、十分な個数の残留振動信号eを読み込んだか否かを
判定する。なお、残留振動信号eの十分な個数として設
定される値は、伝達関数Cがインパルス応答として求め
られることから、そのインパルス応答が十分に減衰する
のに必要な時間を、サンプリング・クロックで割った値
以上であればよい。ただし、時系列として取り込んだ残
留振動信号eに対して後にFFT演算を行うことから、
その残留振動信号eの取り込み個数は、2の巾乗とする
ことが望ましいこと、及び、残留振動信号eを極めて大
量に読み込んでしまうと、その読み込み時間が長くなる
し、FFT演算に要する時間も長くなるという不具合も
あるため、残留振動信号eの十分な個数として設定され
る値は、インパルス応答が十分に減衰するのに必要な時
間をサンプリング・クロックで割った場合の数を越える
2の巾乗の数値のうちの、最小値とすることが望まし
い。例えば、サンプリング・クロックが2msecであ
って、インパルス応答が十分に減衰する時間が0.2s
ecであれば、0.2sec/2msec=100とな
るから、ステップ205に設定する値は128となる。
【0095】ステップ205の判定が「NO」の場合に
は、上記ステップ203に戻って、同定信号の出力処理
(ステップ203)及び残留振動信号eの読み込み処理
(ステップ204)を繰り返し実行する。
【0096】そして、ステップ205の判定が「YE
S」となったら、ステップ206に移行する。なお、ス
テップ204で次々と読み込まれた残留振動信号eは、
周波数f0 に対応した時系列データとして記憶される。
【0097】次いで、ステップ206に移行し、現在の
周波数f0 に増加分Δfを加えることにより、新たな周
波数f0 を演算する。なお、増加分Δfは、伝達関数フ
ィルタC^に必要な精度に応じて適宜設定すればよく、
望ましくは2〜4Hzに設定する。
【0098】次いで、ステップ207に移行し、新たな
周波数f0 が、同定処理を行う周波数の最大値fmax
越えているか否かを判定する。最大値fmax は、振動低
減処理の対象となる振動の最大周波数に設定すればよ
い。例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合、通常の使
用範囲でのエンジン回転数の最大値は6000〜750
0回転であり、振動の最大周波数は200〜250Hz
程度になることから、最大値fmax は200〜250H
z程度に設定することになる。
【0099】このステップ207の判定が「NO」の場
合には、上記ステップ202に戻って上述した処理を再
び実行する。このため、ステップ202〜206の一連
の処理は、ステップ207の判定が「YES」となるま
で実行される。つまり、ステップ202〜204の処理
は、アイドル振動周波数fid〜最大値fmax の範囲で増
加分Δfづつ変化する周波数f0 毎に実行されるように
なっているから、ステップ207の処理が「YES」と
なった時点では、ステップ204の処理によって時系列
データとして記憶される残留振動信号eは、周波数f0
の種類と同じ数だけ記憶されていることになる。
【0100】そして、ステップ207の判定が「YE
S」となったら、ステップ208に移行し、周波数f0
毎に記憶されている残留振動信号eの時系列データのそ
れぞれについてFFT演算を行って、各時系列データの
周波数成分を抽出する。ただし、ここで必要なのは、各
時系列データ毎の全周波数の成分ではなく、対応する周
波数f0 によって決まる元の正弦波の周波数に相当する
成分だけであるから、ステップ208では、各時系列に
対して厳密なFFT演算を行うのではなく、各時系列に
対応する周波数f0 の成分を求めるのに足りる演算だけ
を行えばよい。
【0101】次いで、ステップ209に移行し、各周波
数成分を合成したものを逆FFT演算し、時間軸上のイ
ンパルス応答に変換し、次いで、ステップ210に移行
し、ステップ209で求めたインパルス応答を新たな伝
達関数フィルタC^として、所定の伝達関数記憶領域に
更新記憶する。伝達関数フィルタC^の記憶が完了した
ら、今回の伝達関数Cの同定処理を終了する。
【0102】このように、本実施の形態であれば、伝達
関数Cを同定する際に、電源電圧値Vgが低下していな
いかどうかを判定し、電源電圧値Vgが所定の電圧値で
ないとき、つまり、電源電圧値Vgが低下しているとき
には、同定基準波形の振幅を小さく補正するようになっ
ている。すなわち、電源電圧値Vgが低下した場合に
は、同定信号を駆動信号に変換した値が、このときの電
源電圧値Vgにおいて変換可能な駆動信号のとり得る範
囲内に、収まるように同定信号の振幅を小さく補正する
から、図6(b)に一点鎖線で示すように、駆動信号
は、低下した電源電圧値Vgを利用して電流駆動信号I
を生成した場合に電流駆動信号Iがとり得る値の範囲内
に収まることになって駆動信号が歪むことはない。
【0103】よって、電源電圧値Vgが低下した場合
に、図6(a)に実線で示すように、駆動信号が歪むこ
とはなく、同定信号の波形に応じた駆動信号を得ること
ができるから、より的確な伝達関数を得ることができ
る。
【0104】また、本実施の形態では、電源電圧値Vg
が低下したときのみ、これに応じて同定信号を補正する
ようにしている。よって、電源電圧が低下していない場
合には、所定の同定信号に基づいて同定処理を行うこと
ができるから、実際に起こり得る振動に応じた所定の同
定信号に基づいて同定処理を行うことによって、的確な
伝達関数を得ることができる。
【0105】ここで、本実施の形態では、エンジン30
が振動源に対応し、能動型エンジンマウント1が制御振
動源に対応し、パルス信号生成器26が基準信号生成手
段に対応し、荷重センサ22が残留振動検出手段に対応
し、図3の処理が能動制御手段に対応し、駆動回路25
bが駆動手段に対応し、図5の処理が伝達関数同定手段
に対応し、図4のステップ122の処理が電源電圧監視
手段に対応し、図4のステップ122で有効でないと判
断したときステップ123及び124を実行する流れが
補正手段に対応している。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】また、上記実施の形態においては、残留振
動を能動型エンジンマウント1に内蔵した荷重センサ2
2によって検出しているが、これに限定されるものでは
なく、例えば車室内の乗員足元位置にフロア振動を検出
する加速度センサを配設し、その加速度センサの出力信
号を残留振動信号eとしてもよい。
【0122】また、上記実施の形態においては、本発明
における能動型振動制御装置をエンジン30から車体3
5に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制御
装置に適用した場合について説明したが、本発明の対象
はこれに限定されるものではなく、エンジン30以外で
発生する振動を低減するための能動型振動制御装置であ
っても本発明は適用可能である。
【0123】また、本発明の適用対象は車両に限定され
るものではなく、エンジン30以外で発生する周期的な
振動を低減するための能動型振動制御装置や、非周期的
な振動を低減するための能動型振動制御装置であっても
適用可能であり、適用対象に関係なく上記各実施の形態
と同様の作用効果を奏することができる。例えば、工作
機械からフロアや室内に伝達される振動を低減する装置
等であっても、本発明は適用可能である。
【0124】さらに、上記実施の形態では、駆動信号y
を生成するアルゴリズムとして同期式Filtered
−XLMSアルゴリズムを適用しているが、適用可能な
アルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例え
ば、通常のFiltered−XLMSアルゴリズム等
であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を示す断面図で
ある。
【図3】振動低減処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図4】本発明の実施の形態における同定前処理の概要
を示すフローチャートでる。
【図5】同定処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】本発明の動作説明に供する説明図である
【符号の説明】
1能動型エンジンマウント 10電磁アクチュエータ 11板ばね 12磁路部材 15主流体室 16副流体室 22荷重センサ 25コントローラ 26パルス信号生成器 28同定処理開始スイッチ 30エンジン 35車体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/00 - 15/08 G05D 19/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動源から発せられる振動と干渉する制
    御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動の発生状態
    を表す基準信号を生成し出力する基準信号生成手段と、
    前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として出力する
    残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留振動信
    号に基づき、前記制御振動源及び前記残留振動検出手段
    間の振動の伝達系の伝達関数を含む制御アルゴリズムを
    用いて、前記振動が低減するように前記制御振動源を制
    御するための制御信号を生成する能動制御手段と、前記
    制御信号を、供給される電源電圧を利用して前記制御振
    動源への駆動信号に変換し出力する駆動手段と、同定用
    基準波形に基づいて同定用制御信号を生成し、この同定
    用制御信号に応じた振動が前記制御振動源から発せられ
    た場合の前記残留振動信号に基づいて前記伝達関数を同
    定する伝達関数同定手段と、を備えた能動型振動制御装
    であって、 前記電源電圧を監視する電源電圧監視手段と、 当該電源電圧監視手段で前記電源電圧が所定の電圧値よ
    りも低下したことを検出したとき、予め設定した、電源電圧と、前記同定用基準波形に基づ
    く同定用制御信号を前記電源電圧を利用して前記駆動信
    号に変換した場合に、前記同定用制御信号に応じた駆動
    信号に変換可能な前記同定用基準波形の有効振幅最大値
    との対応に基づいて、現時点の電源電圧に対応する前記
    有効振幅最大値を検出し、 前記同定用基準波形の振幅最大値が、検出した有効振幅
    最大値よりも小さくなるように、前記同定用基準波形の
    振幅を小さく補正する補正手段と、を備えることを特徴
    とする能動型振動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記補正手段は、前記電源電圧が低下す
    るほど前記振幅をより小さく補正するようになっている
    ことを特徴とする請求項1記載の能動型振動制御装置。
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