JPH0814321A - 防振支持装置 - Google Patents

防振支持装置

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JPH0814321A
JPH0814321A JP15004394A JP15004394A JPH0814321A JP H0814321 A JPH0814321 A JP H0814321A JP 15004394 A JP15004394 A JP 15004394A JP 15004394 A JP15004394 A JP 15004394A JP H0814321 A JPH0814321 A JP H0814321A
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JP
Japan
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fluid chamber
orifice
compartment
support
main fluid
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Application number
JP15004394A
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English (en)
Inventor
Hirofumi Aoki
弘文 青木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】広い周波数帯域に渡って振動低減効果が得られ
るとともに、大きな荷重が加わっても流体共振による振
動低減効果が期待できるようにする。 【構成】内筒3外周面と外筒7内周面との間に支持弾性
体6を介在させるとともに、その支持弾性体6内に主流
体室11を画成し、その主流体室11と容積可変の副流
体室12とを第1オリフィス5aを介して連通させ、そ
れら主流体室11,副流体室12及び第1オリフィス5
a内には油等の流体を封入する。そして、内筒3の下端
部に固定された第2オリフィス構成体16と、支持弾性
体6内周面に固定されたストッパ部材17とを設定荷重
以上の荷重が加わった場合に当接させて、主流体室11
を主に支持弾性体6で画成された第1分室11Aと主に
ダイアフラム10で画成された第2分室11Bとに分離
する。第1分室11A及び第2分室11B間は、第2オ
リフィス16aを介して連通させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば車両のエンジ
ン等の振動体を車体等の支持体に防振しつつ支持する装
置に関し、特に、流体封入式の防振支持装置において、
広い周波数帯域に渡って良好な防振効果が得られ、しか
も大きな荷重が加わった状態でも流体共振による防振効
果が得られるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、例えば
『自動車技術ハンドブック第2巻』(社団法人自動車技
術会 1991年3月1日発行)第160頁の図3−3
28に示されるようなものが知られている。即ち、この
従来の防振支持装置は、簡単に説明すれば、エンジン等
の振動体及び車体等の支持体間に介在する支持弾性体内
に主流体室を画成するとともに、その主流体室にオリフ
ィスを介して連通し且つダイアフラム等によって形成さ
れた容積可変の副流体室を設けていて、それら主流体
室,副流体室及びオリフィス内に油等の流体を封入した
ものである。
【0003】そして、この従来の防振支持装置を例えば
車両のエンジンマウントとして用いる場合には、エンジ
ンシェイク等の比較的低周波帯域の入力振動に対して
は、その周波数においてオリフィス内流体の共振現象が
発生するようなチューニングを行うことによりエンジン
マウントの減衰及びばね定数を増加させ、もってエンジ
ンの共振振動を抑制し、車体側に伝達される振動レベル
を低減するようにしていた。
【0004】また、このような流体封入式の防振支持装
置は、オリフィス内流体の容積及び支持弾性体のばね定
数を適宜変更することにより、流体共振周波数をアイド
ル振動やこもり音振動の周波数帯域にチューニングする
ことも可能である。さらに、主流体室を構成する部材の
一部を可動部材とし、その可動部材を変位させる例えば
電磁式のアクチュエータを設け、その可動部材を入力振
動等に応じて適宜変位させることにより主流体室の内圧
を制御し、これにより能動的な制御力を発生してエンジ
ン側から車体側への振動入力を低減する所謂アクティブ
エンジンマウントも提案されている(例えば特開昭61
−2939号公報参照)。
【0005】一方、FF(フロントエンジン・フロント
ドライブ)形式の車両においては、サスペンションから
の路面入力やリアエンジンマウントからの入力による振
動を防振するためにサスペンションメンバを設け、その
サスペンションメンバをゴム等の弾性体で構成されるブ
ッシュを介して車体に取り付ける構造が採用されること
が多い。そして、サスペンションメンバの上下方向の剛
体共振周波数を40〜50Hz程度に設定し、その防振
領域を利用して、ロード・ノイズの原因となる路面入力
を遮断するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにサスペンションメンバの剛体共振周波数をロード
・ノイズの低減を目的としてチューニングした場合、確
かに路面側からの入力はサスペンションメンバによって
遮断可能であるが、アイドル状態から発進時にリアエン
ジンマウント(エンジンを支持する複数のエンジンマウ
ントのうち、車両前後方向で後側に配置されるエンジン
マウント)からの入力が増加すると、エンジンの加振力
(4気筒レシプロエンジンであれば、エンジン回転2次
成分に同期して発生する加振力)によりサスペンション
メンバの剛体共振が励起され、これが原因となって車室
内で圧迫感を伴う低周波の騒音(こもり音)が発生して
しまうという問題点がある。
【0007】そして、4気筒エンジンの場合にはこもり
音の発生するエンジン回転数が1200〜1500rp
mと低回転であり、発進時には短時間でこもり音発生領
域を通過することから、こもり音自体それほど問題とな
っていなかったのであるが、近年、特に都市部における
停止/発進の繰り返し走行や渋滞走行の増加などにより
こもり音の発生場面が増大しており、乗員に不快感を与
える機会が多くなってしまい、商品性にも大きな影響を
与えている。
【0008】また、一定速走行時においても、従来のA
T(オートマチック・トランスミッション)を搭載した
車両であれば、通常1500rpm以上を常用すること
が多かったので、こもり音は殆ど問題となっていなかっ
たが、燃費向上のために1500rpm以下の低速域か
らATをロックアップする場合には、発進時と同様のこ
もり音が発生し、乗員に不快感を与えてしまっていた。
【0009】このような問題点を解決するために、上述
した従来の液体封入式エンジンマウントの特性を、主流
体室を画成する支持弾性体の拡張方向のばね定数とオリ
フィス内流体の質量とを適宜選定することにより、サス
ペンションメンバの共振周波数においてばね定数が小さ
くなるようにし、これをリアエンジンマウントとして用
いることが考えられる。この場合、液体封入式エンジン
マウントの特性と、サスペンションメンバの振動特性と
が組み合わされることにより、低周波から高周波まで広
範囲に渡って良好な防振特性が確保されるから、一定の
速度で走るような場合には、こもり音が低減され快適な
車室内を実現することができる。
【0010】しかし、特にFF車のリアエンジンマウン
トには、車両発進時のパワーユニットと車体との接触を
確実に防止するためにエンジンマウントの変位を規制す
るストッパが設けられており、通常の発進時にはこのス
トッパが作用するため、ばね定数が、例えばリアエンジ
ンマウント単独の場合の100N/mmから、リアエン
ジンマウントとストッパとの並列ばねの300N/mm
へと増加してしまう。その結果、防振支持装置を通じて
の振動の伝達力が大幅に増加し、通常の流体封入式エン
ジンマウントのみならず上述したアクティブエンジンマ
ウントであっても良好な防振特性が確保できず、従って
単なる流体共振周波数のチューニングでは、発進時には
こもり音が発生してしまい、これを低減することは非常
に困難であった。
【0011】またさらに、流体封入式の防振支持装置に
おいて、複数のオリフィスが形成された部材を流体室内
に配置し、オリフィスの開口部に対向した弾性体を利用
して支持弾性体が設定値を超えて変位した時に一部のオ
リフィスの開口部を閉塞し、これにより機能するオリフ
ィスを限定するとともにストッパ機能を発揮させる従来
技術(例えば実開昭58−112744号公報参照)
や、エンジン負荷の状況により複数のオリフィスを切り
換え、それぞれの状況に好適なばね定数を得る従来技術
(例えば実開平2−103542号公報参照)等が存在
するが、これらは拡張弾性要素として機能する部材が一
種類しかなく、オリフィスが限定或いは切り換えられた
場合にも、拡張弾性要素のばね定数と、オリフィス内流
体マスに対する拡張弾性要素の配置関係は一定のままで
ある。従って、オリフィスが限定或いは切り換えられた
前後の状況で流体共振周波数を異ならせて十分な低動ば
ね定数を得ることは非常に困難であった。
【0012】本発明は、このような従来の技術が有する
種々の問題点に着目してなされたものであって、確実に
低周波から高周波まで広範囲に渡って良好な防振特性が
確保でき、しかも大きな荷重が加わった場合でも流体共
振による防振効果が期待できる防振支持装置を提供する
ことを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、支持体及び振動体間に介装
される支持弾性体と、この支持弾性体と並列関係に構成
され且つ前記支持体及び振動体間の相対変位により容積
が変化する主流体室と、第1オリフィスを介して前記主
流体室に連通する容積可変の副流体室と、前記支持体及
び振動体間に所定の設定荷重を超える荷重が加わった場
合に前記主流体室を第1分室及び第2分室に分離する流
体室分離手段と、前記分離された第1分室及び第2分室
間を連通させる第2オリフィスと、前記第1分室の容積
を拡縮する方向に弾性変形可能な第1拡張弾性要素と、
前記第2分室の容積を拡縮する方向に弾性変形可能な第
2拡張弾性要素と、前記主流体室,副流体室,第1オリ
フィス及び第2オリフィス内に封入された流体と、を備
えた。
【0014】一方、上記目的を達成するために、請求項
2に係る発明は、支持体及び振動体間に介装される支持
弾性体と、前記支持体側又は振動体側の一方に支持され
た弾性変位可能な弾性可動部材と、前記支持体及び前記
弾性可動部材によって画成された主流体室と、第1オリ
フィスを介して前記主流体室に連通する容積可変の副流
体室と、前記支持弾性体内面に支持されて前記主流体室
内に配設され且つその主流体室を前記弾性可動部材が存
在しない第1分室及び前記弾性可動部材が存在する第2
分室に仕切るストッパ部材と、前記ストッパ部材を貫通
して前記第1分室及び第2分室間を連通させる連通孔
と、前記支持体側又は振動体側の他方に支持され且つ前
記支持体及び振動体間に所定の設定荷重を超える荷重が
加わった場合に前記連通孔を閉塞するように前記ストッ
パ部材に当接する閉塞部材と、前記第1分室及び第2分
室間を連通させる第2オリフィスと、前記主流体室,副
流体室,第1オリフィス及び第2オリフィス内に封入さ
れた流体と、を備えた。
【0015】また、請求項3に係る発明は、上記請求項
2に係る発明である防振支持装置において、前記弾性可
動部材を、前記支持体側又は振動体側の一方に支持され
たダイアフラムとした。そして、請求項4に係る発明
は、上記請求項2に係る発明である防振支持装置におい
て、前記弾性可動部材を、前記支持体側又は振動体側の
一方に主流体室の容積を変化させる方向に変位可能に弾
性支持された可動板とし、この可動板を変位させるアク
チュエータを設けた。
【0016】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、支持体及び振
動体間に所定の設定荷重よりも小さい荷重が加わってい
る場合には、流体室分離手段によって主流体室が分離さ
れることはなく、第1分室及び第2分室全体で一つの主
流体室が形成される。このため、第1分室に対応した第
1拡張弾性要素と第2分室に対応した第2拡張弾性要素
とは、第1オリフィス内の流体に対して直列ばねとして
働くことになる。この場合、それら第1拡張弾性要素及
び第2拡張弾性要素のうち、ばね定数の小さい方(剛性
の小さい方)が支配的となるから、流体共振系のばね定
数は比較的小さくなる。
【0017】これに対し、支持体及び振動体間に所定の
設定荷重を超える荷重が加わっている場合には、流体室
分離手段によって主流体室が分離されて第1分室及び第
2分室が画成される。そして、第2オリフィスを通じて
第1分室及び第2分室間で流体が移動するが、その流体
に対しては、第1分室に対応した第1拡張弾性要素と第
2分室に対応した第2拡張弾性要素とは、並列ばねとし
て働くことになる。この場合、それら第1拡張弾性要素
及び第2拡張弾性要素の各ばね定数の和が総ばね定数と
なるから、流体共振系のばね定数は比較的大きくなる。
【0018】請求項2に係る発明にあっては、支持体及
び振動体間に所定の設定荷重以下の荷重が加わっている
場合には、閉塞部材はストッパ部材に当接しないから、
ストッパ部材に形成されている連通孔は非閉塞状態であ
る。従って、第1分室及び第2分室間が連通孔を介して
連通する状態が保たれるから、主流体室全体を一つの流
体室として考えることができる。
【0019】そして、主流体室は、少なくとも支持弾性
体と弾性可動部材とによって画成されているし、主流体
室と副流体室とが第1オリフィスを介して連通している
ことから、その第1オリフィス内の流体に対しては、支
持弾性体の拡張方向ばねと弾性可動部材の拡張方向ばね
とが直列ばねとして働くことになる。この場合、それら
両拡張ばねのうち、ばね定数の小さい方が支配的となる
から、流体共振系のばね定数は比較的小さくなる。
【0020】これに対し、支持体及び振動体間に所定の
設定荷重を超える荷重が加わっている場合には、閉塞部
材がストッパ部材に当接して連通孔が閉塞されるから、
主流体室は第1分室及び第2分室に分離されるが、これ
ら第1分室及び第2分室間は、第2オリフィスを介して
連通している。そして、第2オリフィス内の流体に対し
て、第1分室を画成する支持弾性体の拡張方向ばねと、
第2分室内に存在する弾性可動部材の拡張方向ばねとが
並列ばねとして働くことになる。この場合、それら両拡
張ばねのばね定数の和が総ばね定数となるから、流体共
振系のばね定数は比較的大きくなる。
【0021】ここで、請求項3に係る発明にあっては、
支持弾性体と、ダイアフラムとによって主流体室が画成
されており、ダイアフラムのばね定数は、その厚さ等を
適宜選定することにより容易に調整可能であり、しかも
通常の支持弾性体の拡張方向ばね定数に比べて大幅に小
さい。従って、支持体及び振動体間に、所定の設定荷重
以下の荷重が加わっている場合に第1オリフィス内の流
体に対して働くばね定数が容易に設定でき、その場合の
ばね定数と、所定の設定荷重を超える荷重が加わってい
る場合に第2オリフィス内の流体に対して働くばね定数
との差も大きくなる。
【0022】さらに、請求項4に係る発明にあっては、
上記請求項2に係る発明の作用の他に、アクチュエータ
によって可動板が変位すると、その可動板の変位が、主
流体室内の流体と、上述した並列ばね(支持体及び振動
体間に所定の設定荷重以下の荷重が加わっている場合)
若しくは上述した直列ばね(支持体及び振動体間に所定
の設定荷重を超える荷重が加わっている場合)とを通じ
て制御力に変換されて支持体及び振動体間に作用し、こ
れが能動的な制御力となる。
【0023】特に、支持体及び振動体間に所定の設定荷
重を超える荷重が加わっている場合には、拡張方向ばね
は比較的大きなばね定数となっているから、アクチュエ
ータで発生する力は小さくても(つまり、小型のアクチ
ュエータであっても)、大きな制御力が支持体及び振動
体間に作用する。また、第1オリフィスや第2オリフィ
スを通じての流体の移動が不可能になる(スティック状
態になる)ほどの高周波の振動が入力された場合に、そ
の高周波振動を低減することが可能となる。
【0024】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の第1実施例を示す図であり、こ
の実施例は、本発明に係る防振支持装置を、車両のエン
ジンを車体に支持するためのエンジンマウント1に適用
したものである。より具体的には、このエンジンマウン
ト1はリアエンジンマウントとして用いられる。
【0025】先ず、構成を説明すると、図1に示すよう
に、このエンジンマウント1は、振動体としてのエンジ
ン(図示せず)への取付け用の取付けボルト2aを上部
に一体に備え且つ内側が空洞で下部が開口した短い円筒
状の取付部材2を有し、この取付部材2の下部外面フラ
ンジ状の部分には内筒3の上端部がかしめ止めされてい
る。
【0026】この内筒3の内側には、取付部材2及び内
筒3の内側の空間を上下に二分するように、それら取付
部材2及び内筒3のかしめ止め部分に挟み込まれてダイ
アフラム4が配設されていて、このダイアフラム4によ
って二分された空間のうち、ダイアフラム4の上側の空
間は大気圧に通じ、ダイアフラム4の下側の空間には第
1オリフィス構成体5が配設されている。
【0027】一方、内筒3の外周面には、内周面及び外
周面の軸方向位置が内周側が高くなるように成形されて
いる円筒状の支持弾性体6の内周面が加硫接着されてい
て、その支持弾性体6の外周面は外筒7の内周面に加硫
接着されている。そして、外筒7の下端部は、支持体と
してのメンバ(図示せず)側への取付け用の取付けボル
ト9aを下部に一体に備え且つ内側が空洞で上部が開口
した短い円筒状の取付部材9の上部外面フランジ状の部
分にかしめ止めされている。
【0028】従って、取付部材2をエンジン側に固定
し、取付部材9をメンバ側に固定すれば、エンジンの静
荷重は、取付部材2,内筒3,支持弾性体6,外筒7及
び取付部材9を介してメンバ側に支持されることにな
る。一方、支持弾性体6の下端部は、外筒7及び取付部
材9のかしめ止め部分にまで到達しており、その支持弾
性体6下端部と取付部材9上端部との間に挟み込まれた
状態で、ダイアフラム10が配設されている。なお、こ
のダイアフラム10の下側の空間は大気圧に通じてい
る。
【0029】ここで、第1オリフィス構成体5の下端
面,支持弾性体6の内周面及びダイアフラム10の上面
によって主流体室11が画成され、ダイアフラム4及び
第1オリフィス構成体5によって副流体室12が画成さ
れていて、これら主流体室11及び副流体室12間が、
第1オリフィス構成体5に形成された第1オリフィス5
aを介して破線Aで示すように連通している。力学的に
考えれば、主流体室11は、支持弾性体6と並列関係に
エンジン及びメンバ間に介在している。また、主流体室
11,副流体室12及び第1オリフィス5a内には油等
の流体が封入されている。
【0030】一方、内筒3の第1オリフィス構成体5を
保持する部分のさらにダイアフラム10側には、内側が
空洞で第1オリフィス構成体5よりも若干小径の円筒部
15が一体に形成されていて、その円筒部15の内側に
第1オリフィス5aが開口している。また、円筒部15
の内外間は、その周面に形成された複数の貫通孔15a
を介して連通している。
【0031】さらに、円筒部15の下端面には、肉厚円
板状の第2オリフィス構成体16が固定されていて、そ
の第2オリフィス構成体16内には、その上面及び下面
間を連通する第2オリフィス16aが形成されている。
従って、円筒部15内側の空間と、第2オリフィス構成
体16下方の空間とは、第2オリフィス16aを介して
破線Bで示すように連通可能となっている。
【0032】また、主流体室11内には、上面が開口し
た薄い円筒状のストッパ部材17が第2オリフィス構成
体16aを包囲するように配設されている。具体的に
は、ストッパ部材17は、その外周面が、支持弾性体6
内周面の周方向に連続した肉厚部6aに加硫接着される
ことにより主流体室11内に配設されていて、その底面
中央部には、第2オリフィス構成体16と上下に対向す
るように、その第2オリフィス構成体16よりも小径の
円形の連通孔17aが上下に貫通している。ただし、連
通孔17aは、後述するように第2オリフィス構成体1
6がストッパ部材17に当接した場合(図2参照)に、
第2オリフィス16aの下方側開口部に連通するように
なっている。
【0033】さらに、第2オリフィス構成体16と、ス
トッパ部材17の底面との間の間隔は、このエンジンマ
ウント1に車両発進時(エンジンに、1/4負荷程度の
負荷が掛かっている通常の発進時)のような大きな荷重
(所定の設定荷重に対応)が加わった場合に、第2オリ
フィス構成体16下面がストッパ部材17底面に当接す
るような距離となっている。
【0034】ここで、主流体室11のうち、ストッパ部
材17底面よりも上側が第1分室11Aであり、ストッ
パ部材17底面よりも下側が第2分室11Bである。次
に、本実施例の動作を説明する。リアエンジンマウント
として用いられるエンジンマウント1は、エンジン停止
時には、一定のパワープラントの静荷重を受持ち、その
受持ち荷重によって支持弾性体6が上下に圧縮されて主
流体室11の容積が、荷重が全く加わっていない状態に
比べて縮小する。この状態では第2オリフィス構成体1
6はストッパ部材17には当接せず(図1参照)、主流
体室11内は第1分室11A及び第2分室11Bに分離
されない。従って、支持弾性体6の圧縮による主流体室
11の容積縮小作用は、ダイアフラム10を押し広げる
とともに、主流体室11内の流体を第1オリフィス5a
を通じて副流体室12内に移動させる。
【0035】この状態からエンジンが始動され、アイド
ル状態でリアエンジンマウントに最も荷重が加わる状態
(例えば、AT車両でシフト位置がドライブレンジにあ
る場合)になると、このエンジンマウント1が受け持つ
荷重が停車時よりも増加するが、かかる状態となっても
第2オリフィス構成体16はストッパ部材17には当接
せず(図1参照)、従って主流体室11内は第1分室1
1A及び第2分室11Bに分離されない。
【0036】ここで、エンジンからの変位入力(レシプ
ロ4気筒エンジンであれば、主としてエンジンの回転2
次成分に同期した変位入力)による支持弾性体6の弾性
変形及び主流体室11の圧力変動を媒介として、エンジ
ン側からメンバ側に振動が伝達し、アイドル振動の起振
力となる。かかるアイドル振動を抑制したい場合には、
第1オリフィス5a,ダイアフラム4,10,支持弾性
体6の拡張方向ばねからなる流体共振系を、例えばレシ
プロ4気筒エンジンであれば問題となるエンジン回転2
次成分の周波数でばね定数が最小となるようにチューニ
ングすれば良い。
【0037】これに対し、車両走行時に発生するエンジ
ンシェイクを抑制した場合には、その流体共振系を、パ
ワープラントのバウンス共振周波数近傍で最大減衰,高
動ばね定数が得られるようにチューニングすれば良い。
この時、アイドル時と同様に第2オリフィス構成体16
はストッパ部材17には当接せず(図1参照)、主流体
室11及び副流体室12間が第1オリフィス5aを介し
て連通した通常の流体封入式エンジンマウントと同様に
機能する。
【0038】なお、上記のようなアイドル振動重視のチ
ューニングにするか、或いはエンジンシェイク重視のチ
ューニングにするかは、他のエンジンマウントを含めた
システム全体を考慮して、リアエンジンマウントにどの
ような役割を持たせるかによって決定すればよい。そし
て、車両発進時(エンジンに、1/4負荷程度の負荷が
掛かっている通常の発進時)には、リアエンジンマウン
トにはさらに大きな荷重が加わり、そのような設定荷重
を超える荷重がエンジンマウント1に加わると、内筒3
が取付部材9側に大きく変位し、第2オリフィス構成体
16がストッパ部材17の底面に当接する(図2参
照)。
【0039】すると、ストッパ部材17の連通孔17a
が第2オリフィス構成体16によって閉塞されるから、
そのストッパ部材17によって主流体室11内が第1分
室11A及び第2分室11Bに分離される。ただし、第
2オリフィス構成体16に形成された第2オリフィス1
6aの下面側開口部が連通孔17a内に臨むから、それ
ら第1分室11A及び第2分室11B間は、第2オリフ
ィス16aを介して連通した状態になる。
【0040】また、ストッパ部材17は支持弾性体6内
周面に形成された肉厚部6aに支持されて変位可能であ
るから、この車両発進時には、ストッパ部材17はこれ
に当接する第2オリフィス構成体16と一体に上下動す
るようになる。従って、エンジンマウント1への入力振
動によって第1分室11Aの容積が変動することにな
り、第1分室11A,第2オリフィス16a及び第2分
室11Bでなる流体共振系が励振されるようになる。
【0041】ここで、従来のエンジンマウントでは、ア
イドル領域における動ばね定数を低く保つために支持弾
性体6の支持方向の静ばね定数を比較的小さくしてい
た。従って、車両発進時に加わる荷重においてストッパ
が機能してしまい、図3に破線で示すように、全周波数
帯域に渡ってばね定数が比較的大きくなってしまう。こ
れに対し、本実施例のエンジンマウント1にあっては、
ストッパ部材17がエンジン及びメンバ間の大変位を防
止するようになっており、そのストッパ部材17がスト
ッパ機能を発揮した後には、上述したように第1分室1
1A,第2オリフィス16a及び第2分室11Bでなる
流体共振系が有効になる。そこで、その流体共振系を、
サスペンションメンバの共振周波数(通常40〜50H
z)において低動ばね定数が得られるようにチューニン
グすることにより、図3に実線で示すようにばね定数を
低減でき、サスペンションメンバの共振を抑制すること
ができるのである。
【0042】図4はサスペンションメンバから車体への
振動入力の周波数特性を示した図であって、“○”は本
実施例のエンジンマウント1を用いた場合、“*”は従
来の通常の流体封入式エンジンマウントを用いた場合、
“+”は従来の通常の流体封入式エンジンマウントにダ
イナミックダンパを付加した場合の振動入力を表してい
る。これによれば、本実施例のエンジンマウント1を用
いると、従来の流体封入式エンジンマウントに比べて、
サスペンションメンバ共振による入力を大幅に低減でき
ることが判る。
【0043】なお、ダイナミックダンパを付加したもの
と比較すると効果においてやや劣る結果となっている
が、ダイナミックダンパを付加することにより図4に示
すような振動低減効果を得るためには2kg程度の質量
が必要であるから、装置の大型化・高重量化を招いてし
まうし、しかも十分な低減効果が得られるチューニング
周波数の精度を確保するためには、ダイナミックダンパ
全数の共振周波数を測定する等の検査工程が不可欠にな
り、大幅なコストアップを招いてしまう。
【0044】これに対し、本実施例の構成であれば、ス
トッパ部材17,第2オリフィス構成体16,ダイアフ
ラム10等の追加だけで済むから、これにより大幅な大
型化・高重量化・コストアップ等を招くこともないし、
必要なチューニングもストッパ部材17の配設位置の変
更であるから、これにより大幅なコストアップを招いて
しまうこともない。しかも、図3からも判るように流体
共振を利用した構造であると低減域が比較的広いため、
流体共振周波数に多少の誤差が存在しても十分な振動低
減が可能である。このことは、ダイナミックダンパを利
用した場合に比べてチューニングに高精度が要求されな
いということであるから、その分コスト的に有利であ
る。
【0045】さらに、本実施例にあっては、第2オリフ
ィス構成体16がストッパ部材17に当接していない状
態では、第1オリフィス5a内の流体に対して、支持弾
性体6の拡張方向ばね及びダイアフラム10は直列ばね
として作用する一方、第2オリフィス構成体16がスト
ッパ部材17に当接した状態では、第2オリフィス16
a内の流体に対して、支持弾性体6の拡張方向ばね及び
ダイアフラム10は並列ばねとして作用する。そして、
二つのばね要素が直列関係にあると両者のばね定数の小
さい方が支配的となり、総ばね定数は比較的小さくなる
のに対し、二つのばね要素が並列関係にあると両者のば
ね定数の和が総ばね定数となり、総ばね定数は比較的大
きくなる。
【0046】このため、第1オリフィス5aを含む流体
共振系と、第2オリフィス16aを含む流体共振系とに
対するばね定数設定の自由度が大きく、上述したような
各流体共振系に求められる所望のチューニング周波数を
得るための最適な拡張ばねを容易に設定でき、各流体共
振系による振動低減効果の確保が容易であるという利点
がある。
【0047】このように本実施例の構成であれば、アイ
ドル振動或いはエンジンシェイクの低減が可能であると
ともに、ストッパ部材17が機能した後であっても流体
共振を利用してサスペンションメンバ共振を低減するこ
とが可能であるから、広い周波数帯域に渡って良好な振
動低減効果を得ることができ、しかも各流体共振系のチ
ューニングも容易であり、また大幅な大型化・高重量化
・コストアップを招くこともない。
【0048】特に、本実施例では、第2オリフィス構成
体16を、内筒3下端部に固定して取付部材2と一体に
上下動するようにし、これをストッパ部材17に当接さ
せて連通孔17aを閉塞して第1分室11A及び第2分
室11Bを分離する構成としたため、上述したような種
々の作用効果を、各種センサやアクチュエータを適用し
なくても実現可能であるという利点がある。また、第2
分室11Bをダイアフラム10によって画成しているた
め、コスト的にも有利であるし、ばね定数の選定も容易
である。
【0049】ここで、本実施例にあっては、第2オリフ
ィス構成体16及びストッパ部材17によって流体室分
離手段が構成され、支持弾性体6の拡張方向ばね成分が
第1拡張弾性要素に対応し、ダイアフラム10が第2拡
張弾性要素に対応し、第2オリフィス構成体16が閉塞
部材に対応し、ダイアフラム10が弾性可動部材に対応
する。
【0050】図5は本発明の第2実施例の構成を示す図
であって、この実施例も、上記第1実施例と同様に、本
発明に係る防振支持装置を車両のエンジンを車体に支持
するためのエンジンマウント1に適用したものであり、
このエンジンマウント1もリアエンジンマウントとして
用いられる。なお、上記第1実施例と同様の部材及び部
位には、同じ符号を付し、その重複する説明は省略す
る。
【0051】即ち、本実施例では、上記第1実施例で第
2拡張弾性要素及び弾性可動部材として設けられていた
ダイアフラム10に代えて、磁化可能な材料からなる可
動板20及び板ばね21を設けるとともに、その可動板
20に変位力を与える電磁アクチュエータ22を設けて
いる。具体的には、円形の板ばね21が、その周縁部を
支持弾性体6下端部及び取付部材9上端部間に挟み込ま
れた状態に水平に配設されていて、その板ばね21の取
付部材9側の面の略中央部に、円形の可動板20が張り
付けられ、その可動板20の下面側に対向するように所
定のクリアランスを持って、電磁アクチュエータ22が
取付部材9内に保持された状態で配設されている。電磁
アクチュエータ22は、可動板20を所定の中立位置に
変位させる永久磁石と、コントローラ25から供給され
る電流でなる駆動信号yに応じた電磁力を発生して可動
板20をその中立位置から正負両方向に変位させる電磁
石コイルと、から構成される。
【0052】このような構成であると、板ばね21が上
記第1実施例のダイアフラム10と同様に機能するた
め、上記第1実施例と同様の作用効果が得られるととも
に、電磁アクチュエータ22で発生する電磁力により可
動板20を変位させて主流体室11(第2分室11B)
内の圧力を調整することができるから、例えばエンジン
における振動の発生状況と、エンジンマウント1で低減
されずにメンバ側に伝達された振動の状況とに応じて電
磁アクチュエータ22を駆動させることにより、さらに
良好な振動低減効果を得ることができる。
【0053】例えば、アイドル振動やこもり音振動は、
レシプロ4気筒エンジンの場合であればエンジン回転2
次成分のエンジン振動がエンジンマウント1を介してメ
ンバ側に伝達されることが主な原因であるから、そのエ
ンジン回転2次成分に同期して駆動信号を生成し電磁ア
クチュエータ22に出力すれば、振動伝達率の低減が可
能となる。
【0054】より具体的には、エンジンのクランク軸の
回転に同期した(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場
合には、クランク軸が180度回転する度に一つの)イ
ンパルス信号を生成し基準信号xとして出力するパルス
信号生成器26を設け、その基準信号xが、エンジンに
おける振動の発生状態を表す信号としてコントローラ2
5に供給されている。一方、メンバには、エンジンマウ
ント1の取り付け位置に近接して、メンバの振動状況を
加速度の形で検出し残留振動信号eとして出力する加速
度センサ27が固定されていて、その残留振動信号e
が、干渉後における振動を表す信号としてコントローラ
25に供給されている。
【0055】そして、コントローラ25は、それら基準
信号x及び残留振動信号eに基づき、逐次更新形の適応
アルゴリズムの一つであるFiltered−X LM
Sアルゴリズム、より具体的には、同期式Filter
ed−X LMSアルゴリズムに従って駆動信号yを生
成し出力する。即ち、コントローラ20は、フィルタ係
数Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ数)
可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最新の
基準信号xが入力された時点から所定サンプリング・ク
ロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタWのフィ
ルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力する一方、
エンジンからエンジンマウント1を介してメンバに伝達
される振動が低減するように、基準信号x及び残留振動
信号eに基づいて適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数Wi を適宜更新する処理を実行する。
【0056】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−μRT e(n) ……(1) ここで、(n)が付く項は時刻nにおける値であること
を表し、また、μは収束係数と呼ばれる係数であってフ
ィルタ係数Wi の収束の速度やその安定性に関与する係
数である。RT は、理論的には、基準信号xを、電磁ア
クチュエータ22及び加速度センサ27間の伝達関数C
をモデル化した伝達関数フィルタC^でフィルタ処理し
た値(リファレンス信号若しくはFiltered-X信号)であ
るが、この実施例では同期式Filtered−X L
MSアルゴリズムを適用した結果基準信号xがインパル
ス列であるため、伝達関数フィルタC^のインパルス応
答を基準信号xに同期して次々に生成した場合のそれら
インパルス応答波形の時刻nにおける和に一致する。
【0057】また、理論的には、適応ディジタルフィル
タWで基準信号xをフィルタ処理して駆動信号yを生成
することになり、フィルタ処理はディジタル演算では畳
み込み演算に該当するが、基準信号xがインパルス列で
あるので、上述したように最新の基準信号xが入力され
た時点から、所定サンプリング・クロックの間隔で適応
ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi を順番に駆
動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動
信号yとしたのと同じ結果になる。
【0058】このように生成された駆動信号yを電磁ア
クチュエータ22に出力することにより、上記第1実施
例よりもさらに良好な振動低減効果が得られる。さら
に、エンジンからエンジンマウント1を通じてメンバ側
に伝達される力を零にするために電磁アクチュエータ2
2に必要な制御力Fa は、支持弾性体6の拡張方向のば
ね定数をKe 、支持弾性体6の支持方向のばね定数をK
m 、板ばね21の主流体室11拡縮方向のばね定数をK
p 、支持弾性体6の有効受圧面積をAp と可動板20の
受圧面積Au との比(Ap /Au )をR、加振振幅をX
2 とすれば、 Fa ={(Kp +R2 e )Km +Ke p }X2 /(RKe ) ……(2) となり、拡張ばねKe が大きくなればなるほど制御力F
a は小さくて済むことが判る。
【0059】そして、本実施例の構成であれば、ストッ
パ部材17に第2オリフィス構成体16が当接すると、
支持弾性体6の拡張方向ばね成分と板ばね21とが並列
ばねとして機能し、総ばね定数が比較的大きくなるか
ら、制御力Fa が小さくなり、電磁アクチュエータ22
の小型化及び低コスト化が図られる。
【0060】なお、上記各実施例では、本発明に係る防
振支持装置を、車両のエンジンを支持するエンジンマウ
ント1に適用した場合を示しているが、本発明に係る防
振支持装置の適用対象はエンジンマウント1に限定され
るものではなく、例えば振動を伴う工作機械の防振支持
装置等であってもよい。また、上記各実施例では、第2
オリフィス構成体16によってストッパ部材17の連通
孔17aを閉塞することにより第1分室11A及び第2
分室11Bを分離し、その第2オリフィス構成体16内
に形成された第2オリフィス16aを介して第1分室1
1A及び第2分室11Bを連通させることとしている
が、これに限定されるものではなく、例えばストッパ部
材17の第2オリフィス構成体16が当接しない部分
に、第1分室11A及び第2分室11B間を連通させる
オリフィスを構成し、そのオリフィスを第2オリフィス
として機能させてもよい。
【0061】そして、上記各実施例では、第2オリフィ
ス構成体16が固定された側の取付部材2を振動体とし
てのエンジン側に固定し、ダイアフラム10を支持した
側の取付部材9を支持体としてのメンバ側に固定してい
るが、これらの関係は逆であってもよく、取付部材2を
メンバ側に固定し、取付部材9をエンジン側に固定して
もよい。
【0062】さらに、上記第2実施例では、駆動信号y
を同期式Filtered−X LMSアルゴリズムに
従って生成しているが、適用可能なアルゴリズムはこれ
に限定されるものではなく、例えば通常のFilter
ed−X LMSアルゴリズムであってもよいし、周波
数領域のLMSアルゴリズムであってもよい。また、系
の特性が安定しているのであれば、LMSアルゴリズム
等の適応アルゴリズムを用いることなく、係数固定のデ
ィジタルフィルタ或いはアナログフィルタによって駆動
信号yを生成するようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、所定の設定荷重を超える荷重が加わった場
合に主流体室を第1分室及び第2分室に分離するととも
に、第1分室及び第2分室間を第2オリフィスを介して
連通させ、しかも第1分室及び第2分室それぞれに拡張
弾性要素を設けたため、広い周波数帯域に渡って良好な
防振特性が確実に得られるとともに、特に大きな荷重が
加わった場合に問題となる振動を流体共振によって低減
できるという効果がある。
【0064】また、請求項2に係る発明によれば、所定
の設定荷重を超える荷重が加わった場合にストッパ部材
と閉塞部材とを当接させることにより主流体室を、主に
支持弾性体によって画成された第1分室と、主に弾性可
動部材によって画成された第2分室に分離するととも
に、それら第1分室及び第2分室間を第2オリフィスを
介して連通させたため、上記請求項1に係る発明の効果
を、簡易な構成で確実に実現することができるという効
果がある。
【0065】そして、請求項3に係る発明によれば、弾
性可動部材をダイアフラムで構成したため、コスト的に
も有利であるし、ばね定数の設定等を容易に行えるとい
う効果がある。さらに、請求項4に係る発明によれば、
弾性可動部材として弾性支持された可動板を設け、その
可動板をアクチュエータで駆動させる構成としたため、
さらに良好な振動低減効果が得られるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図2】第1実施例の動作を説明する断面図である。
【図3】ばね定数の周波数特性図である。
【図4】振動入力の周波数特性図である。
【図5】本発明の第2実施例の構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 エンジンマウント(防振支持装置) 5 第1オリフィス構成体 5a 第1オリフィス 6 支持弾性体(第1拡張弾性要素) 10 ダイアフラム(第2拡張弾性要素,弾性可
動部材) 11 主流体室 11A 第1分室 11B 第2分室 12 副流体室 16 第2オリフィス構成体 16a 第2オリフィス 17 ストッパ部材 17a 連通孔 20 可動板(弾性可動部材) 21 板ばね 22 電磁アクチュエータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体及び振動体間に介装される支持弾
    性体と、この支持弾性体と並列関係に構成され且つ前記
    支持体及び振動体間の相対変位により容積が変化する主
    流体室と、第1オリフィスを介して前記主流体室に連通
    する容積可変の副流体室と、前記支持体及び振動体間に
    所定の設定荷重を超える荷重が加わった場合に前記主流
    体室を第1分室及び第2分室に分離する流体室分離手段
    と、前記分離された第1分室及び第2分室間を連通させ
    る第2オリフィスと、前記第1分室の容積を拡縮する方
    向に弾性変形可能な第1拡張弾性要素と、前記第2分室
    の容積を拡縮する方向に弾性変形可能な第2拡張弾性要
    素と、前記主流体室,副流体室,第1オリフィス及び第
    2オリフィス内に封入された流体と、を備えたことを特
    徴とする防振支持装置。
  2. 【請求項2】 支持体及び振動体間に介装される支持弾
    性体と、前記支持体側又は振動体側の一方に支持された
    弾性変位可能な弾性可動部材と、前記支持体及び前記弾
    性可動部材によって画成された主流体室と、第1オリフ
    ィスを介して前記主流体室に連通する容積可変の副流体
    室と、前記支持弾性体内面に支持されて前記主流体室内
    に配設され且つその主流体室を前記弾性可動部材が存在
    しない第1分室及び前記弾性可動部材が存在する第2分
    室に仕切るストッパ部材と、前記ストッパ部材を貫通し
    て前記第1分室及び第2分室間を連通させる連通孔と、
    前記支持体側又は振動体側の他方に支持され且つ前記支
    持体及び振動体間に所定の設定荷重を超える荷重が加わ
    った場合に前記連通孔を閉塞するように前記ストッパ部
    材に当接する閉塞部材と、前記第1分室及び第2分室間
    を連通させる第2オリフィスと、前記主流体室,副流体
    室,第1オリフィス及び第2オリフィス内に封入された
    流体と、を備えたことを特徴とする防振支持装置。
  3. 【請求項3】 前記弾性可動部材は、前記支持体側又は
    振動体側の一方に支持されたダイアフラムである請求項
    2記載の防振支持装置。
  4. 【請求項4】 前記弾性可動部材は、前記支持体側又は
    振動体側の一方に主流体室の容積を変化させる方向に変
    位可能に弾性支持された可動板であり、この可動板を変
    位させるアクチュエータを設けた請求項2記載の防振支
    持装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001280405A (ja) * 2000-03-29 2001-10-10 Yamashita Rubber Co Ltd 液封防振装置
JP2009275749A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Bridgestone Corp 防振装置
KR20190022022A (ko) * 2017-08-25 2019-03-06 현대자동차주식회사 유체봉입식 엔진 마운트

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