JPH08109946A - 防振支持装置 - Google Patents

防振支持装置

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JPH08109946A
JPH08109946A JP24538394A JP24538394A JPH08109946A JP H08109946 A JPH08109946 A JP H08109946A JP 24538394 A JP24538394 A JP 24538394A JP 24538394 A JP24538394 A JP 24538394A JP H08109946 A JPH08109946 A JP H08109946A
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JP
Japan
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fluid chamber
vibration
movable member
fluid
support
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JP24538394A
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English (en)
Inventor
Kazue Aoki
和重 青木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】可動部材をアクチュエータで変位させて流体室
の容積を積極的に変化させて能動的な支持力を発生させ
る流体封入式の防振支持装置において、アクチュエータ
の出力効率を向上させる。 【構成】エンジン30及びメンバ35間に介在する支持
弾性体6内に、流体室15を画成し、その流体室15の
容積を変化させる方向に変位可能に、可動板12を配設
する。そして、その可動板12を弾性支持する板ばね1
1を、可動板12の下方に流体室15の外部に位置する
ように配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば車両のエンジ
ン等の振動体を車体等の支持体に防振しつつ支持する装
置に関し、特に、振動体及び支持体間に介在する支持弾
性体によって流体室を画成し、その流体室内の隔壁の一
部を可動部材で形成し、その可動部材をアクチュエータ
で変位させて流体室の容積を積極的に変化させ、もって
能動的な支持力を発生させる流体封入式の防振支持装置
において、前記アクチュエータの出力効率が向上するよ
うにしたものである。
【0002】
【従来の技術】一般に車両のパワーユニットを支持する
ために用いられる防振支持装置であるエンジンマウント
には、主として、アイドル振動,エンジンシェイク,こ
もり音振動及び加速時騒音振動のいずれに対しても良好
な防振機能が発揮されることが要求されるが、これら各
種の振動のうち、20〜30Hz程度の比較的大振幅の振
動であるアイドル振動を低減するために防振支持装置に
要求される特性は、高動ばね定数で且つ高減衰であるの
に対し、5〜15Hz程度の比較的大振幅の振動であるエ
ンジンシェイクや、80〜800Hz程度の比較的小・中
振幅の振動であるこもり音振動・加速時騒音振動を低減
するために防振支持装置に要求される特性は、低動ばね
定数で且つ低減衰である。従って、通常の弾性体のみか
らなるエンジンマウントや、従来の液体封入式のエンジ
ンマウントでは、全ての振動を防振することは困難であ
る。
【0003】そこで、例えば特開平5−164179号
公報に開示されるように、能動的な支持力を発生可能な
液体封入式の防振支持装置が従来から存在する。即ち、
この公報記載の防振支持装置にあっては、エンジンシェ
イクのような比較的低周波の振動に対しては、受動的な
液体封入式の防振支持装置と同様に、二つの液体室間を
往来する液体の共振を利用して振動体から支持体に伝達
される振動を抑制する一方、アイドル振動以上の比較的
高周波の振動に対しては、液体室の隔壁の一部を形成す
る可動部材を能動的に変位させ、液体室の圧力変化を支
持弾性体の拡張ばねに作用させて積極的に支持力を発生
させ振動を打ち消すようにしていた。
【0004】そして、上記公報記載の防振支持装置で
は、アクチュエータの発熱や防振支持装置の周囲の温度
上昇等による可動部材のばね特性変化や経時劣化発生を
防止するために、剪断変形は可能であるが圧縮・引っ張
り変形が阻止される高弾性板材で可動部材を形成し、そ
の可動部材を電磁アクチュエータで変形させて液体室の
容積を変化させるようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上述したよう
な従来の防振支持装置を実際に使用する場合、コスト,
取付けスペース及び重量等の種々の制約から高出力が可
能な大型のアクチュエータを用いることが困難であるた
め、支持弾性体の拡張方向ばね定数や、アクチュエータ
及び可動部材間の距離等のパラメータを適宜設定すると
ともに、可動部材の有効受圧面積Ap と、支持弾性体の
拡張方向ばねの有効受圧面積Au との比である有効受圧
面積比R(=Ap /Au )を可能な限り大きくして、ア
クチュエータの出力効率をできるだけ上げ、小型のアク
チュエータでも十分が作用効果が得られるようにするこ
とが必要となる。
【0006】しかしながら、上記公報記載の防振支持装
置のように、可動部材全体を高弾性板部材から構成して
いると、流体室の隔壁を形成する可動部材の全体を変位
させることはできず、しかも均一に変位させることが困
難であるため、流体室の隔壁を構成する可動部材の面積
の割りにはその有効受圧面積Ap が小さく、これによっ
て有効受圧面積比Rが小さくなってアクチュエータの出
力効率を十分に高めることができなかった。
【0007】なお、本出願人が先に提案した特開平6−
117476号公報に開示されるように、可動部材とこ
れを弾性支持する部材とを別個の部材で構成して、有効
受圧面積Ap を大きくすることも考えられるが、当該公
報記載の構造でも、弾性支持する部材が流体室の隔壁の
一部を形成する構造であったため、その分有効受圧面積
p が小さかった。
【0008】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、可動部
材の有効受圧面積Ap を可能な限り大きくでき、アクチ
ュエータの出力効率をより一層高めることができる防振
支持装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明である防振支持装置は、振動体
及び支持体間に介在する支持弾性体と、この支持弾性体
によって画成された流体室と、この流体室内に封入され
た流体と、前記流体室の隔壁の一部を形成する可動部材
と、この可動部材を弾性支持する支持部材と、前記可動
部材を変位させるアクチュエータと、を備え、前記支持
部材を前記流体室の外部に配置した。
【0010】同様に、上記目的を達成するために、請求
項2に係る発明である防振支持装置は、振動体及び支持
体間に介在する支持弾性体と、この支持弾性体によって
画成された流体室と、オリフィスを介して前記流体室に
連通する容積可変の副流体室と、前記流体室,前記副流
体室及び前記オリフィス内に封入された流体と、前記流
体室の隔壁の一部を形成する可動部材と、この可動部材
を弾性支持する支持部材と、前記可動部材を変位させる
アクチュエータと、を備え、前記支持部材を前記流体室
の外部に配置した。
【0011】また、請求項3に係る発明は、上記請求項
2に係る発明である防振支持装置において、前記可動部
材の前記流体室外側の面を覆うようにゴム状の薄膜部材
を配設するとともに、前記可動部材及び前記薄膜部材間
に形成される空間を前記副流体室とした。この請求項3
に係る発明の場合、請求項4に係る発明のように、前記
可動部材の外周面及びこれを包囲する部材の内周面間を
非接触として、前記流体室と、前記副流体室との間を連
通させる隙間を形成することもできる。
【0012】一方、請求項5に係る発明は、上記請求項
1又は請求項2に係る発明である防振支持装置におい
て、前記可動部材の前記流体室外側の面を覆うようにゴ
ム状の薄膜部材を配設するとともに、前記可動部材の外
周面及びこれを包囲する部材の内周面間を非接触とし
て、前記流体室と、前記可動部材及び薄膜部材間に形成
される空間との間を連通させる隙間を形成した。
【0013】そして、請求項6に係る発明は、上記請求
項4又は請求項5に係る発明である防振支持装置におい
て、前記隙間に転動自在のボールを介在させた。さら
に、請求項7に係る発明は、上記請求項4〜6に係る発
明である防振支持装置において、前記隙間を通過する流
体の流体共振周波数を、入力される振動のうち問題とな
る振動の周波数よりも低く設定した。
【0014】また、請求項8に係る発明は、上記請求項
1〜7に係る発明である防振支持装置において、支持部
材を金属製の板ばねとし、その板ばねの中央部を前記可
動部材の中央部に結合するとともに、その板ばねの端部
を前記アクチュエータを保持する部材側に固定した。
【0015】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、支持弾性体に
よって流体室が画成されているため、力学モデルで考え
ると、振動体及び支持体間に、支持弾性体と流体室とが
並列に介在していることになる。そして、その流体室の
隔壁の一部を可動部材が形成しており、アクチュエータ
によって可動部材が変位して流体室の容積が変動する
と、その容積変動が支持弾性体の拡張方向ばねに作用し
て力となり、その力が振動体及び支持体間に付与され
る。つまり、アクチュエータの出力が、可動部材,流体
室内の流体及び支持弾性体の拡張ばねを介して、振動体
及び支持体間に能動的な支持力として作用する。
【0016】そして、可動部材の変位x1 は、可動部材
の有効受圧面積Ap と支持弾性体の拡張ばねの有効受圧
面積Au との比である有効受圧面積比R(=Ap
u )によりR倍されて支持弾性体の拡張方向ばねの変
位Rx1 となり、その変位Rx1と、支持弾性体の拡張
方向のばね定数Ke とを掛け合わせた力(Ke ・R
1 )が能動的な支持力となるが、この請求項1に係る
発明では、可動部材を弾性支持する支持部材が、可動部
材の一部ではなく、しかも可動部材の外周部に配設され
ることなく、流体室の外部に配置されているため、それ
だけ有効受圧面積Ap が大きくなって有効受圧面積比R
が大きくなり、拡張方向ばねの変位Rx1 が大きくなっ
て発生する力が増大する。
【0017】なお、変位Rx1 とばね定数Ke とを掛け
合わせた力が能動的な支持力となることから、有効受圧
面積比Rをそれほど大きくしなくても、ばね定数Ke
大きくすれば簡単に能動的な支持力を大きくすることが
できるが、ばね定数Ke を大きくすると、支持弾性体の
荷重支持方向のばね定数Km も大きくなってしまい、ば
ね定数Km が大きくなると振動体及び支持体間の振動伝
達率の悪化を招いてしまうので、ばね定数Ke を極端に
大きくすることはできないのである。
【0018】一方、請求項2に係る発明の構成は、オリ
フィスを介して流体室と容積可変の副流体室との間を連
通させたことを除いては、上記請求項1に係る発明の構
成と同様であり、そのオリフィスを介して流体室及び副
流体室間で流体の往来が可能な周波数の振動が入力され
ている状況では、受動的な支持力を発生する通常の流体
封入式の防振支持装置として作用する。かかる状況で
は、特に可動部材を積極的に変位させる必要はない。
【0019】そして、オリフィス内の流体がスティック
状態(移動不可能な状態)となるほどの高周波の振動が
入力されると、上記請求項1に係る発明と同様に、アク
チュエータで可動部材を変位させて能動的な支持力を発
生させることになるが、この請求項2に係る発明でも、
可動部材を弾性支持する支持部材が、流体室の外部に配
置されているため、それだけ有効受圧面積Ap が大きく
なって有効受圧面積比Rが大きくなり、拡張方向ばねの
変位Rx1 が大きくなって発生する力が増大する。
【0020】この請求項2に係る発明の場合、請求項3
に係る発明のような構成を採用すると、副流体室の一部
が可動部材によって画成されるから、例えばオリフィス
を可動部材内や可動部材の外周部に形成すれば、防振支
持装置の高さを低くすることが容易になる。さらに、請
求項4に係る発明であれば、可動部材の変動を妨げるよ
うな摩擦力が発生しないから、可動部材はより小さな力
で変位する。
【0021】また、請求項5に係る発明であれば、請求
項4に係る発明と同様に、可動部材の変動を妨げるよう
な摩擦力が発生しないから、可動部材はより小さな力で
変位する。そして、請求項6に係る発明であれば、可動
部材の変位を転動するボールが案内するようになるか
ら、可動部材の変動を妨げるような摩擦力を増加させる
ことなく、可動部材の変位の方向を所望の方向に正確に
案内できる。
【0022】さらに、請求項7に係る発明であれば、こ
の防振支持装置に入力される振動のうち防振対象となる
振動に対しては、隙間内の流体はスティック状態とな
る。従って、隙間を形成したことは、防振支持装置の防
振効果を低減させない。そして、請求項8に係る発明に
あっては、金属製の板ばねが弾性変形すると、その弾性
変形は可動部材の中央部に伝達されるから、可動部材全
体が板ばねの変形方向に沿って変位する。
【0023】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の第1実施例の構成を示す断面図
であって、この実施例は、本発明に係る防振支持装置
を、エンジンから車体に伝達される振動を能動的に低減
可能ないわゆるアクティブエンジンマウントに適用した
ものである。
【0024】先ず、構成を説明すると、図1に示す防振
支持装置としてのエンジンマウント1は、振動体として
のエンジン30への取付け用のボルト2aを上部に一体
に備え且つ内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有
し、このキャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向
く内筒3の上端部がかしめ止めされている。内筒3は、
下端側に行くに従って徐々に縮径する窄まった形状とな
っていて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、
ここに円形の開口部3aが形成されている。そして、内
筒3の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上
下に二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止
め部分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設され
ている。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の
側面に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0025】さらに、ダイアフラム4は、そのかしめ止
め部分から内筒3の内面に沿って下方に延びて、内筒3
の内周面を覆い、その内側にオリフィス構成体5が配設
されている。つまり、オリフィス構成体5は、ダイアフ
ラム4を介して内筒3内側に強固に嵌め込まれている。
このオリフィス構成体5は、内筒3の内部空間に整合し
て底面側が窄まり、上面には同様に底面側が窄まった円
形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部5a
と、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オリフ
ィス5bを介して連通するようになっている。オリフィ
ス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に沿っ
て周方向に延び且つ両端部が連通しないように平面C形
に形成された溝と、その溝の一端部を凹部5aに連通さ
せる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連通させる
流路とで構成される。
【0026】一方、内筒3の外周面には、内周面側が若
干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周
面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面
は、上端側が拡径した外筒7の内周面上部に加硫接着さ
れている。そして、外筒7の下端部は円筒形のアクチュ
エータ保持部材8の上端部にかしめ止めされていて、そ
のアクチュエータ保持部材8の下端面からは、支持体と
してのメンバ35側への取付け用の取付けボルト9が突
出している。取付けボルト9は、その頭部9aが、アク
チュエータ保持部材8の内底面に張り付いた状態で配設
されたリング部材8aの中央の空洞部8bに収容されて
いる。
【0027】そして、アクチュエータ保持部材8の内側
には、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10
の中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル
10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲され
た部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石1
0Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設
されている。
【0028】また、外筒7及びアクチュエータ保持部材
8のかしめ止め部分には、円形の金属製の支持部材とし
ての板ばね11の周縁部(端部)が挟み込まれていて、
その板ばね11の中央部には、これを上下から挟み込む
ように、可動部材としての可動板12と、磁路部材13
とが固定されている。即ち、板ばね11の上面側に固定
される可動板12は、周縁部12aが円筒状に上方に立
ち上がった円板であって、その周縁部12a外周面と、
これを包囲する内筒7内周面との間には、上下二段にO
リング14a,14bが介在するようになっている。具
体的には、周縁部12a外周面に上下二段の周方向に連
続した溝12b,12cが形成され、その溝12b,1
2cに、Oリング14a,14bが収容されていて、こ
れにより可動板12は、その上側の空間と下側の空間と
の間の水密性を保ったまま、内筒7の内周面に沿って上
下方向に進退できるようになっている。なお、本実施例
では、板ばね11の上下両方向への変形を容易にするた
めに、板ばね11及び可動板12間には、円板状のスペ
ーサ12dを介在させている。
【0029】一方、板ばね11の下面側に固定される磁
路部材13は、ヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円
板であって、その底面が電磁アクチュエータ10に近接
するような厚みに形成されている。なお、本実施例で
は、板ばね11,可動部材12及び磁路部材13は、こ
れら全体を下方から上方に貫通する複数のボルト17a
と、これの先端部にOリング17cを介して締結するナ
ット17bとにより、一体となっている。また、板ばね
11の上面側の空間は、外筒7に形成された空気抜け穴
7aを介して大気圧に通じており、板ばね11の下面側
の空間は、アクチュエータ保持部材8に形成された空気
抜け穴8cを介して大気圧に通じており、これにより、
口述する可動板12の上下方向変位にとって板ばね11
両側の空気圧が妨げとならないようにしている。
【0030】ここで、本実施例では、支持弾性体6の下
面及び可動部材12の上面によって画成された部分に流
体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5aによ
って画成された部分に副流体室16が形成されていて、
これら流体室15及び副流体室16間が、オリフィス構
成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通してい
る。なお、これら流体室15,副流体室16及びオリフ
ィス5b内には、油等の流体が封入されている。
【0031】かかるオリフィス5bの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzでエンジンマウント1が
加振された場合に高動ばね定数、高減衰力を示すように
調整されている。そして、電磁アクチュエータ10の励
磁コイル10Bは、コントローラ20から供給される駆
動信号yに応じて所定の電磁力を発生するようになって
いる。
【0032】コントローラ20は、マイクロコンピュー
タ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A
変換器,アンプ等を含んで構成されていて、オリフィス
5bを通じて流体室15及び副流体室16間で流体が移
動不可能な周波数帯域の振動、つまり上述したエンジン
シェイクよりも高周波の振動であるアイドル振動やこも
り音振動・加速時振動が入力されている場合には、その
振動と同じ周期の制御振動がエンジンマウント1に発生
して、アクチュエータ保持部材8側への振動の伝達力が
“0”となるように(より具体的には、エンジン30側
の振動によってエンジンマウント1に入力される加振力
が、電磁アクチュエータ10が発生する電磁力によって
得れる制御力で相殺されるように)、駆動信号yを生成
し励磁コイル10Bに供給するようになっている。
【0033】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動がエンジンマウント1を介してメ
ンバ35に伝達されることが主な原因であるから、その
エンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出
力すれば、振動伝達率の低減が可能となる。そこで、本
実施例では、エンジン30のクランク軸の回転に同期し
た(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クラ
ンク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信号
Pとして出力するパルス信号生成器21を設けていて、
そのインパルス信号Pが、エンジン30における振動の
発生状態を表す信号としてコントローラ20に供給され
るようになっている。
【0034】一方、メンバ35には、エンジンマウント
1の取り付け位置に近接して、メンバ35の振動状況を
加速度の形で検出し残留振動信号eとして出力する加速
度センサ22が固定されていて、その残留振動信号e
が、干渉後における振動を表す信号としてコントローラ
20に供給されるようになっている。そして、コントロ
ーラ20は、フィルタ係数Wi (i=0,1,2,…,
I−1:Iはタップ数)可変の適応ディジタルフィルタ
Wを有していて、最新のインパルス信号Pが入力された
時点から所定のサンプリング・クロックの間隔で、その
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を順番に
駆動信号yとして出力する一方、エンジン30からエン
ジンマウント1を介してメンバ35に伝達される振動が
低減するように、インパルス信号P及び残留振動信号e
に基づいて適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数W
i を適宜更新する処理を実行するようになっている。
【0035】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−μRT e(n) ……(1) ここで、(n),(n+1)が付く項はサンプリング時
刻n,n+1における値であることを表し、また、μは
収束係数である。RT は、理論的には、インパルス信号
Pを、電磁アクチュエータ10及び加速度センサ22間
の伝達関数Cをモデル化した伝達関数フィルタC^でフ
ィルタ処理した値であるが、インパルス信号Pの大きさ
は“1”であるから、伝達関数フィルタC^のインパル
ス応答をインパルス信号Pに同期して次々と生成した場
合のそれらインパルス応答波形のサンプリング時刻nに
おける和に一致する。
【0036】また、理論的には、インパルス信号Pを適
応ディジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号y
を生成するが、インパルス信号Pの大きさが“1”であ
るため、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出
力しても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと
同じ結果になる。次に、本実施例の作用を説明する。
【0037】即ち、エンジンシェイク発生時には、オリ
フィス5bの流路形状等を適宜選定している結果、この
エンジンマウント1は高動ばね定数,高減衰力の支持装
置として機能するため、エンジン30で発生したエンジ
ンシェイクがエンジンマウント1によって減衰され、メ
ンバ35側の振動レベルが低減される。なお、かかる場
合には、特に可動板12を積極的に変位させる必要はな
い。
【0038】一方、オリフィス5b内の流体がスティッ
ク状態となり流体室15及び副流体室16間での流体の
移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ20は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bに駆動信号yを出力し、エンジンマウント1
に振動を低減し得る能動的な制御力を発生させる。
【0039】ここで、図1に示すエンジンマウント1を
モデルで表すと、図2に示すようになる。ただし、Km
は支持弾性体6の支持方向のばね定数、Ke は支持弾性
体6の拡張方向のばね定数、Kp は板ばね11のばね定
数、Ap は可動板12の有効受圧面積、Au は支持弾性
体6の拡張方向ばねの有効受圧面積、Rはそれら有効受
圧面積Ap 及びAu の比(Ap /Au )である有効受圧
面積比、Fa は電磁アクチュエータ10で発生する力、
b はエンジンマウント1を通じてのメンバ35側への
伝達力、x0 はエンジン30側の加振変位、x1 は可動
板12の変位である。
【0040】つまり、エンジン30及びメンバ35間
に、支持弾性体6の支持ばねと拡張ばねとが並列に介在
し、電磁アクチュエータ10の電磁力が、可動板12
と、流体室15内の流体とを介して、拡張ばねに伝達す
るようになっている。より具体的には、永久磁石10C
の磁力によって磁路部材13が所定のオフセット位置に
変位し、励磁コイル10Bによって発生する電磁力がそ
の永久磁石10Cの磁力を増大又は減少させるように作
用するから、板ばね11によって弾性支持された磁路部
材13は、そのオフセット位置を中心に、駆動信号yの
周波数及び振幅に応じて正負両方向に変位することにな
る。
【0041】すると、磁路部材13と可動板12とは一
体となっているから、その磁路部材13の変位はそのま
ま可動板12の変位となってこれを上下動させる。その
結果、流体室15の容積が正負両方向に変動し、その容
積変動が支持弾性体6の拡張ばねに作用して内筒3及び
外筒7間に能動的な制御力が発生するのである。そし
て、かかる能動的な制御力は、支持弾性体6の支持ばね
と並列関係にあるから、エンジン30から支持弾性体6
の支持ばねに入力される加振力と、その能動的な制御力
とが、方向が逆で大きさが等しくなれば、エンジン30
からエンジンマウント1を介してメンバ35に伝達され
る伝達力Fb は“0”となるのである。
【0042】つまり、エンジンマウント1に加振変位x
0 が入力されたとき、電磁アクチュエータ10の制御力
a によって伝達力Fb を“0”にするために必要とな
る可動板12の変位x1 及び電磁アクチュエータ10の
制御力Fa は、下記の(2)及び(3)式で表される。 x1 =(Km +Ke )x0 /(RKe ) ……(2) Fa =(Kp e +Km (Kp +R2 e ))x0 /(RKe ) ……(3) ここで、有効受圧面積比R及び必要変位比Rx (=x1
/x0 )の関係と、有効受圧面積比R及び単位変位加振
あたり電磁アクチュエータ10に必要なアクチュエータ
必要力Fn との関係は、それぞれ図3に示すようにな
り、これによれば、有効受圧面積比Rが大きいほど、伝
達力Fb を“0”にするために可動板12に必要な変位
及び電磁アクチュエータ10に必要な制御力は、小さく
なることが判る。
【0043】そして、有効受圧面積比Rを大きくするに
は、可動板12の有効受圧面積Apを大きくするか、若
しくは支持弾性体6の拡張ばねの有効受圧面積Au を小
さくすることになるが、後者については、支持ばねとの
関係からも容易に小さくすることはできない。そこで、
可動板12の有効受圧面積Ap を大きくすることが望ま
れるが、本実施例では、有効受圧面積Ap を決める可動
板12と、これを弾性支持する板ばね11とを別の部材
とし、しかも板ばね11を流体室15の外側に配設して
いるため、外筒7の外径寸法等を固定した場合で有効受
圧面積Ap が最も大きくなり、有効受圧面積比Rを最大
にすることができる。
【0044】つまり、可動板12の裏側に板ばね11を
配設しているため、流体室15に面する全てを有効受圧
面積Ap とすることができるから、上記各公報記載の構
造と比較して有効受圧面積Ap を大きくすることができ
るのである。しかも、板ばね11を、その周縁部をアク
チュエータ保持部材8に支持させ、その中央部を可動板
12に結合しているため、電磁アクチュエータ10によ
る変位力は、その可動板12の中心部分に入力され、可
動板12は流体室15に対して斜めに入り込むようなこ
とはなく均一に水平に変位するから、これによっても有
効受圧面積Apを大きくすることができる。
【0045】そして、有効受圧面積比Rが大きくなれ
ば、それだけ電磁アクチュエータ10の制御力を効率よ
く支持力に変換することができ、小型の電磁アクチュエ
ータ10を採用することが可能となって、エンジンマウ
ント1全体の小型化及び低価格化が図られるのである。
なお、本実施例では、板ばね11を可動板12の裏面側
に配置したため、電磁アクチュエータ10及び可動板1
2間の距離が長くなっているが、板ばね11の下面側に
磁路部材13を固定し、その磁路部材13を電磁アクチ
ュエータ10に近接させているため、電磁アクチュエー
タ10の出力効率が逆に低下することが防止されてい
る。
【0046】さらに、本実施例のように、板ばね11と
可動板12とが完全に独立した部材であると、ばね定数
p の設定と、有効受圧面積Ap の設定とを完全に独立
して行うことができるから、設計や設計変更が容易にな
るという利点がある。図4は本発明の第2実施例の構成
を示す断面図であって、この実施例も、上記第1実施例
と同様に本発明に係る防振支持装置を、エンジンから車
体に伝達される振動を能動的に低減可能ないわゆるアク
ティブエンジンマウントに適用したものである。なお、
上記第1実施例と同様の構成には、同じ符号を付し、そ
の重複する説明は省略する。また、エンジン,メンバ並
びにコントローラ等の構成も同一であるため、その図示
及び説明は省略する。
【0047】即ち、本実施例では、可動板12の下面側
を覆うようにゴム状の薄膜部材としてのダイアフラム4
0を配設して、それら可動板12及びダイアフラム40
間に容積可変の空間41を形成している。具体的には、
円形のダイアフラム40の周縁部は、板バネ11ととも
にアクチュエータ保持部材8の上端部のかしめ止め部分
に挟み込まれ、ダイアフラム40の中央部は、可動板1
2及びスペーサ12d間に挟み込まれている。
【0048】また、可動板12の周縁部12a外周面に
形成されていた溝12b,12c及びここに収容されて
いたOリング14a,14bを省略していて、これによ
り、可動板12の周縁部12aと内筒7の内周面との間
に、流体室15及び空間41間を連通させる隙間42を
形成している。そして、隙間42内の流体の質量及び支
持弾性体6の拡張方向ばねから決まる流体共振周波数
を、このエンジンマウント1に入力される振動のうち問
題となる振動の周波数よりも低く設定している。具体的
には、隙間42内流体の流体共振周波数は、エンジンシ
ェイクの周波数である5〜15Hzよりも低い周波数(例
えば、1〜2Hz程度)に設定している。
【0049】このため、このエンジンマウント1が流体
マウントとして機能するエンジンシェイク発生時には、
隙間42内の流体はスティック状態となり、その隙間4
2を通じて流体室15及び空間41間での流体の往来は
発生しないし、それよりも高周波の振動であるアイドル
振動やこもり音振動発生時にも隙間42内の流体はステ
ィック状態となって往来は生じない。従って、隙間42
を形成したことにより、流体マウントとしての機能が損
なわれることはなく、上記第1実施例で詳述したような
防振効果が損なわれることはない。
【0050】そして、隙間42によって可動板12及び
内筒7内周面間が非接触であると、可動板12は流体室
15内に浮いていることになるから、この可動板12
は、より小さな力で変位するようになる。換言すれば、
電磁アクチュエータ10の出力効率が上記第1実施例よ
りもさらに向上することになり、より小型化の従って安
価な電磁アクチュエータ10を採用することが可能とな
って、エンジンマウント1全体の小型化及び低価格化を
図ることができる。
【0051】図5は本発明の第3実施例の構成を示す断
面図であって、この実施例も、上記第1実施例と同様に
本発明に係る防振支持装置を、エンジンから車体に伝達
される振動を能動的に低減可能ないわゆるアクティブエ
ンジンマウントに適用したものである。なお、上記第
1,第2実施例と同様の構成には、同じ符号を付し、そ
の重複する説明は省略する。また、エンジン,メンバ並
びにコントローラ等の構成は第1実施例と同一であるた
め、その図示及び説明は省略する。
【0052】即ち、本実施例では、可動板12を上記第
1,第2実施例とは上下逆にするとともに、その可動板
12及び板ばね11間に、ボルト17aを包囲する筒状
のスペーサ45aと、そのスペーサ45aの上下両端部
に当接する円形のプレート45b,45cとを介在させ
ることにより、上記第2実施例よりも空間41を広めに
している。そして、外筒7の可動板12を包囲する部分
の内周面に、オリフィス構成体5A,5Bを嵌め込んで
いる。具体的には、オリフィス構成5A,5Bはリング
状の部材であって、上下に重ねられた状態でダイアフラ
ム40,板ばね11とともにアクチュエータ保持部材8
の上端部のかしめ止め部分に挟み込まれている。
【0053】また、内筒3及びその内側に配設されてい
たオリフィス構成体5を省略するとともに、キャップ2
を上面側が閉塞された円筒形状とし、その外周面と外筒
7内周面との間に、支持弾性体6を介在させている。一
方、オリフィス構成体5A,5Bの接合面には、周方向
に連続した平面C形の溝が形成されていて、そのC形の
溝を不連続部分が一致するように重ね合わすことにより
オリフィス5bが形成されている。そして、オリフィス
5bの不連続部分の一方は流体室15に図示しない流路
を介して連通し、他方は図示しない流路を介して空間4
1に連通している。このため、本実施例では、空間41
が上記第1実施例における副流体室16となっている。
なお、本実施例では、磁路部材13の上下方向変位がス
ムーズに行われるように、磁路部材13及びプレート4
5cの中央部の上面及び底面間を貫通する空気抜け穴1
3aを形成している。
【0054】そして、オリフィス5bの流路形状等から
決まる流体マウントとしての特性は、上記第1実施例と
同様に、走行中のエンジンシェイク発生時、つまり5〜
15Hzでエンジンマウント1が加振された場合に高動ば
ね定数、高減衰力を示すように調整されている。このよ
うな構成であれば、オリフィス5b内の流体がスティッ
ク状態とならない低周波振動が入力されている状況で
は、上記第1実施例と同様に、エンジンマウント1は高
動ばね定数,高減衰力の支持装置として機能するため、
エンジン30で発生したエンジンシェイクがエンジンマ
ウント1によって減衰され、メンバ35側の振動レベル
が低減される。また、オリフィス5b内の流体がスティ
ック状態となり流体室15及び副流体室16間での流体
の移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数
の振動が入力された場合にも、電磁アクチュエータ10
によって可動板12が適宜上下動して能動的な支持力が
発生するから、やはり上記第1実施例と同様に、振動レ
ベルの低減が図られる。
【0055】そして、本実施例の構成であれば、オリフ
ィス構成体5A,5Bを外筒7内周面に可動板12を包
囲するように配置したため、エンジンマウント1の高さ
を上記第1実施例に比べて低くすることができ、エンジ
ンマウント1の取り付け場所の自由度が大きくなるとい
う利点がある。なお、本実施例の構成であっても、上記
第2実施例のように、溝12b,12c及びOリング1
4a,14bを省略して、可動板12の周縁部12aと
オリフィス構成体5A,5Bの内周面との間に流体室1
5及び空間41間を連通させる隙間42を形成し、その
隙間内の流体の質量及び支持弾性体6の拡張方向ばねか
ら決まる流体共振周波数を、このエンジンマウント1に
入力される振動のうち問題となる振動の周波数よりも低
く設定すれば、流体マウントとしての機能を損なうこと
なく、より小型化の従って安価な電磁アクチュエータ1
0を採用することが可能となって、エンジンマウント1
全体の小型化及び低価格化を図ることができる。図6は
本発明の第4実施例の構成を示す断面図であって、この
実施例も、上記第1実施例と同様に本発明に係る防振支
持装置を、エンジンから車体に伝達される振動を能動的
に低減可能ないわゆるアクティブエンジンマウントに適
用したものである。なお、上記第1,第2,第3実施例
と同様の構成には、同じ符号を付し、その重複する説明
は省略する。また、エンジン,メンバ並びにコントロー
ラ等の構成は第1実施例と同一であるため、その図示及
び説明は省略する。
【0056】即ち、本実施例では、上記第3実施例で設
けていた溝12b,12c及びOリング14a,14b
を省略するとともに、その溝12b,12cが形成され
ていた位置に対応して、複数の孔50,…,50を形成
し、それら各孔50,…,50に、転動自在に金属製の
ボール51,…,51を収容している。ただし、各ボー
ル51,…,51は、オリフィス構成体5A,5Bの内
周面に接触するような寸法となっている。
【0057】従って、流体室15及び空間41間は、可
動板12の周縁部12aとオリフィス構成体5A,5B
のの内周面との間に形成された隙間42を介して連通し
ている。そして、隙間42内の流体の質量及び支持弾性
体6の拡張方向ばねから決まる流体共振周波数を、上記
第2実施例と同様に、このエンジンマウント1に入力さ
れる振動のうち問題となる振動の周波数よりも低く設定
している。具体的には、隙間42内流体の流体共振周波
数は、エンジンシェイクの周波数である5〜15Hzより
も低い周波数(例えば、1〜2Hz程度)に設定してい
る。
【0058】このため、このエンジンマウント1が流体
マウントとして機能するエンジンシェイク発生時には、
隙間42内の流体はスティック状態となり、その隙間4
2を通じて流体室15及び空間41間での流体の往来は
発生しないし、それよりも高周波の振動であるアイドル
振動やこもり音振動発生時にも隙間42内の流体はステ
ィック状態となって往来は生じない。従って、隙間42
を形成したことにより、流体マウントとしての機能が損
なわれることはなく、上記第1実施例で詳述したような
防振効果が損なわれることはない。
【0059】そして、本実施例では、隙間42に転動自
在の複数のボール51,…,51を介在させているた
め、上記第1実施例のようにOリングを介在させた場合
に比べて、可動板12及びこれを包囲する部材(オリフ
ィス構成体5A,5B)間の摩擦抵抗を小さくできる。
従って、可動板12を、より小さな力で変位させること
ができ、より小型化の従って安価な電磁アクチュエータ
10を採用することが可能となって、エンジンマウント
1全体の小型化及び低価格化を図ることができるように
なる。
【0060】しかも、隙間42の幅がボール51,…,
51によって一定に保たれるから、可動板12がその変
位の途中で斜めになるようなことを確実に防止でき、こ
れによっても可動板12の有効受圧面積を可能な範囲で
大きくして、電磁アクチュエータ10の出力効率の向上
を図ることができる。なお、このボール51,…,51
を設ける構成は、上記第1実施例の構造にも採用できる
ことは勿論であり、その場合にも上記第4実施例と同様
の作用効果が発揮される。
【0061】また、上記各実施例では、本発明に係る防
振支持装置を、エンジン30を支持するエンジンマウン
ト1に適用した場合を示しているが、本発明に係る防振
支持装置の適用対象はエンジンマウント1に限定される
ものではなく、例えば振動を伴う工作機械の防振支持装
置等であってもよい。そして、上記各実施例では、低周
波振動時には流体がオリフィス5bを通過する際に発生
する流体共振を利用して防振効果を得るようにしている
が、そのような低周波振動が入力されない振動体を支持
する防振支持装置の場合には、オリフィス構成体5,5
A,5B,ダイアフラム4等を設ける必要がなく、その
分、部品点数を削減できる。
【0062】さらに、上記各実施例では、駆動信号yを
同期式Filtered−X LMSアルゴリズムに従
って生成しているが、適用可能なアルゴリズムはこれに
限定されるものではなく、例えば通常のFiltere
d−X LMSアルゴリズムであってもよいし、周波数
領域のLMSアルゴリズムであってもよい。また、系の
特性が安定しているのであれば、LMSアルゴリズム等
の適応アルゴリズムを用いることなく、係数固定のディ
ジタルフィルタ或いはアナログフィルタによって駆動信
号yを生成するようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1又は請求
項2に係る発明によれば、可動部材を弾性支持する支持
部材を流体室の外部に配置したため、可動部材の有効受
圧面積を大きくして有効受圧面積比を大きくすることが
できるから、アクチュエータの制御力を効率よく支持力
に変換することができ、小型のアクチュエータを採用す
ることが可能となって、防振支持装置全体の小型化及び
低価格化を図ることができるという効果が得られる。
【0064】また、請求項3に係る発明によれば、例え
ばオリフィスを可動部材内や可動部材の外周部に形成す
ることにより、防振支持装置の高さを低くすることが容
易になるから、取り付け時の自由度が大きくなるという
効果がある。さらに、請求項4又は請求項5に係る発明
によれば、可動部材をより小さな力で変位させることが
できるから、アクチュエータの制御力をさらに効率よく
支持力に変換することができ、より小型のアクチュエー
タを採用することが可能となって、防振支持装置全体の
さらなる小型化及び低価格化を図ることができるという
効果が得られる。
【0065】そして、請求項6に係る発明によれば、可
動部材の変動を妨げるような摩擦力を小さくできるか
ら、アクチュエータの出力効率を向上することができ、
しかも可動部材の変位の方向を所望の方向に正確に案内
できるから、これによって可動部材が傾斜することを確
実に防止して、可動部材の有効受圧面積を大きくして有
効受圧面積比を大きくすることができるという効果が得
られる。
【0066】さらに、請求項7に係る発明によれば、防
振支持装置の防振効果を低減させることなく、上記請求
項4〜6に係る発明の作用効果を発揮できるという効果
がある。そして、請求項8に係る発明によれば、可動部
材全体を板ばねの変形方向に沿って変位させることがで
きるから、可動部材が傾斜することを防止して、可動部
材の有効受圧面積を大きくして有効受圧面積比を大きく
することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図2】図1の構成のモデル図である。
【図3】有効受圧面積比と必要変位力,アクチュエータ
必要力の関係を表すグラフである。
【図4】本発明の第2実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図5】本発明の第3実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図6】本発明の第4実施例の構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 エンジンマウント(防振支持装置) 4 ダイアフラム 5 オリフィス構成体 5A,5B オリフィス構成体 5b オリフィス 6 支持弾性体 8 アクチュエータ保持部材 10 電磁アクチュエータ 11 板ばね(支持部材) 12 可動板(可動部材) 13 磁路部材 15 流体室 16 副流体室 20 コントローラ 21 パルス信号生成器 22 加速度センサ 30 エンジン(振動体) 35 メンバ(支持体) 40 ダイアフラム(ゴム状の薄膜部材) 41 空間 42 隙間 51 ボール

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動体及び支持体間に介在する支持弾性
    体と、この支持弾性体によって画成された流体室と、こ
    の流体室内に封入された流体と、前記流体室の隔壁の一
    部を形成する可動部材と、この可動部材を弾性支持する
    支持部材と、前記可動部材を変位させるアクチュエータ
    と、を備え、前記支持部材を、前記流体室の外部に配置
    したことを特徴とする防振支持装置。
  2. 【請求項2】 振動体及び支持体間に介在する支持弾性
    体と、この支持弾性体によって画成された流体室と、オ
    リフィスを介して前記流体室に連通する容積可変の副流
    体室と、前記流体室,前記副流体室及び前記オリフィス
    内に封入された流体と、前記流体室の隔壁の一部を形成
    する可動部材と、この可動部材を弾性支持する支持部材
    と、前記可動部材を変位させるアクチュエータと、を備
    え、前記支持部材を、前記流体室の外部に配置したこと
    を特徴とする防振支持装置。
  3. 【請求項3】 前記可動部材の前記流体室外側の面を覆
    うようにゴム状の薄膜部材を配設するとともに、前記可
    動部材及び前記薄膜部材間に形成される空間を前記副流
    体室とした請求項2記載の防振支持装置。
  4. 【請求項4】 前記可動部材の外周面及びこれを包囲す
    る部材の内周面間を非接触として、前記流体室と、前記
    副流体室との間を連通させる隙間を形成した請求項3記
    載の防振支持装置。
  5. 【請求項5】 前記可動部材の前記流体室外側の面を覆
    うようにゴム状の薄膜部材を配設するとともに、前記可
    動部材の外周面及びこれを包囲する部材の内周面間を非
    接触として、前記流体室と、前記可動部材及び薄膜部材
    間に形成される空間との間を連通させる隙間を形成した
    請求項1又は請求項2記載の防振支持装置。
  6. 【請求項6】 前記隙間に転動自在のボールを介在させ
    た請求項4又は請求項5に記載の防振支持装置。
  7. 【請求項7】 前記隙間を通過する流体の流体共振周波
    数を、入力される振動のうち問題となる振動の周波数よ
    りも低く設定した請求項4乃至請求項6のいずれかに記
    載の防振支持装置。
  8. 【請求項8】 支持部材を金属製の板ばねとし、その板
    ばねの中央部を前記可動部材の中央部に結合するととも
    に、その板ばねの端部を前記アクチュエータを保持する
    部材側に固定した請求項1乃至請求項7のいずれかに記
    載の防振支持装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6186485B1 (en) 1998-02-06 2001-02-13 Nissan Motor Co., Ltd. Vibration insulating apparatus and method
JP2012251634A (ja) * 2011-06-06 2012-12-20 Isuzu Motors Ltd アクティブマウント装置及びそれを搭載した車両

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6186485B1 (en) 1998-02-06 2001-02-13 Nissan Motor Co., Ltd. Vibration insulating apparatus and method
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