JP3399138B2 - 防振支持装置 - Google Patents

防振支持装置

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JP3399138B2
JP3399138B2 JP03710295A JP3710295A JP3399138B2 JP 3399138 B2 JP3399138 B2 JP 3399138B2 JP 03710295 A JP03710295 A JP 03710295A JP 3710295 A JP3710295 A JP 3710295A JP 3399138 B2 JP3399138 B2 JP 3399138B2
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F13/00Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs
    • F16F13/04Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper
    • F16F13/26Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper characterised by adjusting or regulating devices responsive to exterior conditions
    • F16F13/264Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper characterised by adjusting or regulating devices responsive to exterior conditions comprising means for acting dynamically on the walls bounding a working chamber

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば車両のエンジ
ン等のような振動体側を車体等の支持体側に防振しつつ
支持する装置に関し、特に、流体がオリフィスを通過す
る際に発生する減衰力を利用して防振効果を得るととも
に、支持弾性体によって画成された流体室の容積を積極
的に変化させることにより能動的な支持力を発生するこ
とができる防振支持装置において、装置の小型化及び大
出力化の両方を実現できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】一般に車両のパワーユニットを支持する
ために用いられる防振支持装置であるエンジンマウント
には、主として、アイドル振動やこもり音振動及び加速
時騒音振動等に対して良好な防振機能が発揮されること
が要求されるが、これら各種の振動のうち、20〜30
Hz程度の比較的大振幅の振動であるアイドル振動を低減
するために防振支持装置に要求される特性は、高動ばね
定数で且つ高減衰であるのに対し、80〜800Hz程度
の比較的小・中振幅の振動であるこもり音振動・加速時
騒音振動を低減するために防振支持装置に要求される特
性は、低動ばね定数で且つ低減衰である。従って、通常
の弾性体のみからなるエンジンマウントや、従来の液体
封入式のエンジンマウントでは、全ての振動を防振する
ことは困難である。
【0003】そこで、例えば特開平6−30544号公
報に開示されるように、能動的な支持力を発生可能な液
体封入式の防振支持装置が従来から存在する。即ち、こ
の公報記載の防振支持装置にあっては、振動体側に固定
される連結部材と支持体側に固定される連結部材との間
を支持弾性体を介して結合するとともに、その支持弾性
体には主液室を画成していて、その主液室の隔壁の一部
が、ばね部材により弾性支持された振動板によって形成
され、その振動板を変位させるための電磁石コイルや永
久磁石等から構成された電磁アクチュエータが設けられ
ている。そして、その電磁アクチュエータが発生する電
磁力によって振動板が振動すると、主液室に容積変動が
生じ、その容積変動が支持弾性体の拡張方向ばねに作用
してここに能動的な支持力が発生するから、振動発生状
態に応じて振動板を適宜振動させて、支持体側に伝達さ
れる振動を低減するようにしていた。なお、主液室はオ
リフィスを通じて副液室に連通するようになっており、
振動体側から入力される振動によって支持弾性体が拡縮
して主液室に容積変動が生じると、オリフィス内を流体
が通過してここに減衰力が発生するから、受動的な流体
封入式の防振支持装置の作用も得ることができた。
【0004】また、この従来の防振支持装置にあって
は、微小な隙間に調整される振動板と電磁アクチュエー
タとの間にゴム等の弾性体からなるストッパを配置して
いる。つまり、そのようなストッパが配置されていれ
ば、振動板及び電磁アクチュエータ間の隙間を出力効率
を上げるために微小とした状態であっても、それら振動
板及び電磁アクチュエータの衝突を防止しつつ振動板を
変位させることができる、というものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の防振支持装置にあっては、幅が狭く従って剛性が高
くなり易いリング状のばね部材により振動板を弾性支持
しているため、その振動板を電磁アクチュエータによっ
て十分に変位させることを考えると、ばね部材を薄くし
てその剛性を低くする、若しくは大出力が可能な大型の
電磁アクチュエータを採用するという方策が必要となる
が、前者では、ばね部材の耐久性が著しく低下するた
め、振動板の変位中立位置を最適な初期位置に保持して
おくことが困難となり、早期の性能劣化を招いてしま
う。
【0006】従って、一般的には後者の方策が採用され
るのであるが、電磁アクチュエータの大型化は、高価な
高エネルギ密度特性を有する永久磁石の大量使用となっ
てコストアップや重量増加を招いてしまうとともに、装
置全体の大型化につながるから、搭載スペース上の制約
が大きい車両に適用する場合には実現自体が不可能な場
合もあった。
【0007】なお、このような問題点は、仮に振動板を
支持するばね部材の剛性をその耐久性を損なうことなく
低くできたとしても、特にディーゼル車両のエンジンマ
ウントのように停車時のエンジン低回転時に発生する大
振幅のアイドル振動を十分に打ち消して良好な防振効果
を得ることが要求される防振支持装置においては、支持
力を発生するアクチュエータを大型化して主液室に入力
される力自体を大きくしなければならないため、やはり
未解決の問題点として残ってしまう。
【0008】また、上記公報記載の防振支持装置が有す
るゴム状のストッパを衝撃緩衝材として機能させるため
には、ある程度の容積が必要であるのに、これが配設さ
れる振動板及びアクチュエータ間の隙間は出力効率向上
のために微小となっているため、実際には、振動板又は
アクチュエータのストッパ取付部分を切削加工する等し
てストッパ配設用のスペースを確保することが必要とな
る。しかし、そのような切削加工をしてしまうと、磁気
回路の一部が削り取られることになるから、出力を確保
するためにはアクチュエータをより大型にしなければな
らず、上記のようなコストアップ,重量増加,装置全体
の大型化を招いてしまい、搭載スペース上の制約が大き
い車両に適用するのが益々困難になってしまう。
【0009】さらに、流体共振を利用した流体封入式の
防振支持装置にあっては、振動低減に有効な大きな流体
共振を発生させるためには、容積の大きな副液室及びオ
リフィスを設ける必要があるが、副液室やオリフィスの
容積増大はそのまま装置の大型化につながってしまう。
このため、搭載スペース上の制約が大きい車両等にあっ
ては、大きな減衰力を発生することができる流体封入式
の防振支持装置を適用するのが困難であるという問題点
もあった。
【0010】本発明は、このような従来の技術が有する
解決すべき課題に着目してなされたものであって、小型
化が図られるとともに大振動の振幅を打ち消す大振幅の
制御振動を発生することができる流体封入式の防振支持
装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、振動体側及び支持体側間に
介在する支持弾性体と、この支持弾性体によって画成さ
れた主流体室と、この主流体室にオリフィスを介して連
通する容積可変の副流体室と、これら主流体室,副流体
室及びオリフィス内に封入された流体と、前記主流体室
の隔壁の一部を形成するように弾性支持された可動部材
と、この可動部材を前記主流体室の容積が変化する方向
に変位させるアクチュエータと、を備えた防振支持装置
において、前記振動体側又は支持体側の一方と前記支持
弾性体との間を、軸心が振動体支持方向を向き且つ軸方
向の一部に小径部が形成された筒状部材を介して結合す
るとともに、前記筒状部材の内側に前記主流体室を配置
し、前記筒状部材の外側に前記副流体室及び前記オリフ
ィスを配置し、前記可動部材を、前記主流体室の隔壁の
一部を構成する受圧プレートと、この受圧プレートの前
記主流体室とは逆側を向く面の中央部に結合された板ば
ねと、を含んで構成するとともに、前記板ばねの端部を
前記振動体側又は支持体側の一方に固定し、前記受圧プ
レートの少なくとも前記主流体室側を向く面を薄膜弾性
体で被覆するとともに、その薄膜弾性体の端部を前記板
ばねの端部と重ね合わせた状態で前記振動体側又は支持
体側の一方に固定した。また、請求項2に係る発明は、
上記請求項1に係る発明である防振支持装置において、
前記受圧プレート全体を加硫接着によって薄膜弾性体で
被覆した。 そして、請求項3に係る発明は、上記請求項
1、2に係る発明である防振支持装置において、前記受
圧プレートの前記板ばね側を向く面の周縁部と、前記板
ばねとの間に弾性体からなるストッパを介在させた。
記目的を達成するために、請求項4に係る発明は、振動
体側及び支持体側間に介在する支持弾性体と、この支持
弾性体によって画成された主流体室と、この主流体室に
オリフィスを介して連通する容積可変の副流体室と、こ
れら主流体室,副流体室及びオリフィス内に封入された
流体と、前記主流体室の隔壁の一部を形成するように弾
性支持された可動部材と、この可動部材を前記主流体室
の容積が変化する方向に変位させるアクチュエータと、
を備えた防振支持装置において 、前記振動体側又は支持
体側の一方と前記支持弾性体との間を、軸心が振動体支
持方向を向き且つ軸方向の一部に小径部が形成された筒
状部材を介して結合するとともに、前記筒状部材の内側
に前記主流体室を配置し、前記筒状部材の外側に前記副
流体室及び前記オリフィスを配置し、前記可動部材を、
前記主流体室の隔壁の一部を構成する受圧プレートと、
この受圧プレートの前記主流体室とは逆側を向く面の中
央部に結合された板ばねと、を含んで構成するととも
に、前記板ばねの端部を前記振動体側又は支持体側の一
方に固定し、前記受圧プレートの前記板ばね側を向く面
の周縁部と、前記板ばねとの間に弾性体からなるストッ
パを介在させた。 請求項5に係る発明は、上記請求項
3、4に係る発明における前記ストッパを、前記受圧プ
レートに固定されたリング状の凸部とした。 これに対
し、請求項6に係る発明は、上記請求項3、4に係る発
明における前記ストッパを、外周部が前記板ばねの端部
と重ね合わせた状態で前記振動体側又は支持体側の一方
に固定されたリング状の薄膜弾性体とした。
【0012】また、請求項に係る発明は、上記請求項
〜6に係る発明である防振支持装置において、前記筒
状部材の側面の少なくとも一部の断面形状を、開いた方
が外側を向くV字形(正確には、Vを横に倒した不等号
“>”のような形状)とした。一方、請求項に係る発
明は、上記請求項1〜6に係る発明である防振支持装置
において、前記筒状部材の側面の少なくとも一部の断面
形状を、開いた方が外側を向くコ字形とした。
【0013】そして、請求項に係る発明は、上記請求
項1〜に係る発明である防振支持装置において、前記
筒状部材の前記小径部よりも前記振動体側又は支持体側
の他方に近い部分の内周面に、前記支持弾性体を結合し
た。さらに、請求項10に係る発明は、上記請求項1〜
に係る発明である防振支持装置において、前記主流体
室を前記筒状部材の軸心と同軸に配置するとともに、前
記主流体室の前記軸心に直交する方向の寸法を、前記小
径部の前記軸心に直交する方向の寸法以下とした。
【0014】また、請求項11に係る発明は、上記請求
項1〜10に係る発明である防振支持装置において、前
記小径部の前記振動体側又は支持体側の一方に近い側
に、前記筒状部材の軸心に対して直交する方向に延びる
平板部を形成するとともに、その平板部の中央に前記主
流体室を開口し、前記振動体側又は支持体側の一方に、
前記平板部に対向するように前記可動部材を取り付け
た。
【0015】特に請求項12に係る発明は、上記請求項
11に係る発明である防振支持装置において、前記可動
部材の前記主流体室側を向く面を前記平板部に平行な平
面とし、その平面の面積を前記主流体室が開口する部分
の開口面積よりも大きくした。さらに、請求項13に係
る発明は、上記請求項1〜12に係る発明である防振支
持装置において、前記筒状部材の外周面をオリフィス構
成部材で包囲するとともに、そのオリフィス構成部材の
外周面をダイアフラムで包囲し、前記オリフィス構成部
材の内側に前記オリフィスを形成し、前記オリフィス構
成部材及び前記ダイアフラム間に前記副流体室を形成し
た。
【0016】請求項14に係る発明は、上記請求項13
に係る発明における前記オリフィス構成部材を、弾性体
からなる筒体で形成した。これに対し、請求項1に係
る発明は、上記請求項13に係る発明における前記オリ
フィス構成部材を、金属製の筒体で形成した。
【0017】
【0018】
【0019】方、請求項1に係る発明は、上記請求
項1〜1に係る発明である防振支持装置において、前
記アクチュエータは電磁力を発生する電磁アクチュエー
タであり、前記可動部材の前記電磁アクチュエータに対
向する部分に磁化可能な磁路部材を設けた。
【0020】請求項1に係る発明は、上記請求項1
に係る発明における前記電磁アクチュエータのヨーク
に、前記筒状部材の前記振動体側又は支持体側の一方の
側の端部を支持させるとともに、そのヨークを前記振動
体側又は支持体側の一方に固定した。そして、請求項1
に係る発明は、上記請求項1〜1に係る発明である
防振支持装置において、前記筒状部材の外側に、その筒
状部材の両端部間に介在するように金属製の外筒を配設
するとともに、前記筒状部材及び前記外筒に挟まれた空
間に前記副流体室及び前記オリフィスを形成した。
【0021】またさらに、請求項19に係る発明は、上
記請求項1〜1に係る発明である防振支持装置におい
て、前記オリフィス内の前記流体を質量とし前記支持弾
性体の拡張方向ばね及び前記可動部材の支持ばねをばね
とした流体共振系の減衰が最大となる周波数を、前記振
動体側で発生する振動の周波数に一致又は略一致させ
た。
【0022】そして、請求項2に係る発明は、上記請
求項19に係る発明である防振支持装置を車両に適用す
るとともに、前記振動体がエンジンであり、前記流体共
振系の減衰が最大となる周波数を、前記車両のアイドル
振動周波数に一致又は略一致させた。
【0023】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、振動体側又は
支持体側の一方と支持弾性体との間に筒状部材が介在し
ているため、振動体側の振動は直列関係にある支持弾性
体及び筒状部材を通じて支持体側に伝達される。そし
て、その振動によって支持弾性体が弾性変形すると、支
持弾性体によって画成された主流体室の容積が拡縮する
から、主流体室と副流体室間でオリフィスを通じて流体
が往来するようになる。また、筒状部材に小径部を形成
した結果、その筒状部材の外側にスペース的な余裕が出
来るから、筒状部材の外側に比較的大きな容量の副流体
室及びオリフィスを配置しても、それら副流体室やオリ
フィスが外側に大きく張り出すようなことが避けられ
る。また、アクチュエータが発生する力が受圧プレート
に伝達されると、板ばねの弾性変形を伴ってその受圧プ
レートが変位し、これによって主流体室の容積が変動す
るが、板ばねは受圧プレートの中央部と振動体側又は支
持体側の一方との間を連結しているから、板ばねの弾性
変形する部分が比較的長くなっている。従って、板ばね
の耐久性を上げるためにその板厚を厚くしても、受圧プ
レートは比較的小さな力で大きく変位する。 そして、薄
膜弾性体の端部が板ばねの端部と重ね合わせた状態で振
動体側又は支持体側の一方に固定されているため、その
薄膜弾性体がシールとして機能し、これによって主流体
室内の流体が受圧プレートの板ばね側に漏洩することが
防止される。 この場合、請求項2に係る発明のように、
受圧プレート全体が薄膜弾性体によって被覆されている
と、上記請求項1に係る発明の作用の他に、受圧プレー
トと板ばねとが直接衝突することが避けられる。 さら
に、請求項3、請求項4に係る発明にあっては、振動体
側又は支持体側に固定される板ばねの端部は受圧プレー
トの変位に追従しないから、受圧プレートの板ばね側を
向く面の周縁部と板ばねとの間の隙間は、受圧プレート
の変位に応じて拡縮することになる。従って、受圧プレ
ートが板ばね側に大きく変位すると、その隙間に介在す
るストッパは押しつぶされる方向に弾性変形するから、
その ストッパの弾性変形が不可能になる距離まで、受圧
プレートは板ばね側に変位することになる。また、スト
ッパが受圧プレートの周縁部に配置されているので、受
圧プレートの傾きに対してストッパは早めに機能する。
しかも、受圧プレートの周縁部と板ばねとの間の距離は
アクチュエータの出力効率には無関係であるから、その
距離は広くすることができ、隙間が広くなればそれだけ
厚みのあるストッパを配置でき、それだけ軟らかい弾性
体をストッパとして採用できる。ストッパが軟らかけれ
ば、ストッパを小さな力で薄く押しつぶすことが可能と
なるから、アクチュエータの出力が同じであっても受圧
プレートの変位は大きくなる。 さらに、ストッパを配設
するために、可動部材やアクチュエータの重要な部分を
切削する必要もない。つまり、ストッパは、例えば請求
項5に係る発明や請求項6に係る発明の構成により容易
に実現される。 この場合、請求項5に係る発明であれ
ば、受圧プレートにストッパが固定されているから、ス
トッパの位置ずれ等は生じ難く上記請求項3、4に係る
発明の作用が確実に得られるし、組立時の手間も少なく
て済む。特に、請求項2に係る発明のように受圧プレー
ト全体が薄膜弾性体で被覆されていれば、その薄膜弾性
体の一部分を厚くするだけで、ストッパが実現される。
また、請求項6に係る発明であれば、ストッパが独立し
たリング状の薄膜弾性体であるから、例えばその薄膜弾
性体の厚みや枚数を適宜調整することにより、ストッパ
の特性が調整される。
【0024】なお、筒状部材の小径部は、例えば請求項
に係る発明のような形状の筒状部材を採用することに
より、或いは、請求項に係る発明のような形状の筒状
部材を採用することにより、容易に形成される。この請
求項又は請求項に係る発明にあっては、筒状部材の
側面の少なくとも一部の断面形状は実質的にV字形又は
コ字形であればよく、それらV字形やコ字形の角を丸く
してU字形に近くしてもよい。
【0025】そして、請求項に係る発明にあっては、
支持弾性体と筒状部材との結合部位を、その筒状部材の
小径部よりも振動体側又は支持体側の他方(つまり、筒
状部材が結合されない方)に近い部分の内周面としてい
るため、小径部を有する筒状部材を介在させても、支持
弾性体の体積が十分に確保されるから、支持弾性体の剛
性が低く抑えられる。
【0026】また、請求項10に係る発明であれば、主
流体室を画成する支持弾性体側の有効受圧面積を小さく
抑えられるから、主流体室の容積変動に対する支持弾性
体の拡張方向ばねの変位は大きくなり、大振幅の振動を
打ち消す大振幅の制御力が発生するようになる。特に、
請求項11に係る発明であれば、平板部に対向する可動
部材がアクチュエータによって変位すると、主流体室の
容積が変動し、その変動が支持弾性体の拡張方向ばねを
拡縮させるが、平板部の中央に主流体室が開口してお
り、その開口部の外側に可動部材が位置することになる
から、主流体室の可動部材側の有効受圧面積に比べて支
持弾性体側の有効受圧面積が小さくなる。従って、可動
部材の変位は、主流体室の容積変動を介して増幅されて
支持弾性体の拡張方向ばねに伝達される。
【0027】この場合、請求項12に係る発明であれ
ば、主流体室の可動部材側の有効受圧面積が確実に支持
弾性体側の有効受圧面積よりも大きくなるとともに、可
動部材の主流体室側を向く面が平面であるため、可動部
材側の規模が同等であればその有効受圧面積は最大とな
る。つまり、同等の有効受圧面積が、最小規模の可動部
材で実現される。
【0028】請求項13に係る発明にあっては、筒状部
材の外側を取り囲むようにオリフィスが形成され、その
オリフィスのさらに外側を取り囲むように副流体室が形
成されるから、筒状部材の外側の空間が有効に活用され
てオリフィス及び副流体室の容積が大きくなる。これら
の容積が大きくなると、支持弾性体に高い荷重が加わっ
ても主流体室内圧の極端な上昇が抑制されるし、防振支
持装置の流体共振系(オリフィス内の流体を“質量”と
し、支持弾性体の拡張方向ばね及び可動部材を支持ばね
からなる直列ばねを“ばね”とした流体共振系)におけ
る質量が大きくなるから、その流体共振系の減衰特性が
向上し、流体共振を利用した制御を行う場合のアクチュ
エータ負荷がより軽減される。
【0029】この場合、請求項14に係る発明のように
オリフィス構成部材が弾性体からなる筒体であれば、オ
リフィスの加工を容易に行えるので、流体共振系の共振
周波数の調整が容易に行えるし、特性の異なるオリフィ
スを複数形成することも容易である。これに対し、請求
項1に係る発明のようにオリフィス構成部材が金属製
の筒体であれば、オリフィス構成部材は、筒状部材に加
わる荷重の一部を負担するようになるから、筒状部材を
補強する役割も果たすようになる。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】求項1に係る発明にあっては、可動部
材の所定部分に固定される磁路部材と電磁アクチュエー
タとの距離が、電磁アクチュエータの出力効率を決める
上で重要となるが、その磁路部材を別途設けたため、可
動部材の主流体室の内圧を受ける受圧機能と、磁気回路
を構成する機能とが分離し、個別に所望の機能を設計し
実現できる。つまり、受圧機能を担う受圧プレートと、
弾性支持機能を担う板ばねと、磁気回路機能を担う磁路
部材とが互いに独立するから、所望の特性が容易に実現
される。
【0036】即ち、受圧プレートの主流体室側にはシー
ル等の関係から電磁アクチュエータは通常配設できない
ため、受圧プレートの主流体室とは逆側に電磁アクチュ
エータを配設することになるが、その位置には板ばねが
配設されているため、受圧プレートと電磁アクチュエー
タとの間の隙間を微小にすることは困難であり、受圧プ
レートが磁気回路を形成するようになっていると、電磁
アクチュエータの出力効率の向上が達成されないことに
なる。しかし、この請求項1に係る発明であれば、磁
路部材が磁気回路機能を担うから、電磁アクチュエータ
の出力効率は容易に高くなる。
【0037】また、請求項1に係る発明にあっては、
筒状部材は、電磁アクチュエータのヨークを介して振動
体側又は支持体側の一方に固定されるから、電磁アクチ
ュエータを収容するケース等の部材が省略される。請求
項1に係る発明にあっては、筒状部材の両端部間に加
わる荷重の一部が外筒に加わるから、それだけ筒状部材
の負担分が小さくなるし、外筒の内側に副流体室やオリ
フィス構成する部材が配設されるから、副流体室を構成
する例えばダイアフラム等が保護される。
【0038】請求項19に係る発明にあっては、防振支
持装置内の流体共振系の減衰が最大となる周波数(以
下、減衰最大周波数と称す。)に一致又は略一致する周
波数の振動が入力されている状況では、振動を打ち消す
ためにアクチュエータに必要な制御力は小さくなり、ア
クチュエータの出力が同じであれば、支持弾性体の拡張
方向ばねをより大きく加振できることになる。その理由
は、制御中に流体共振によって発生する受動的な力がア
クチュエータの発生力に加わる結果、アクチュエータの
負担分がそれだけ小さくなるからである。
【0039】そこで、請求項2に係る発明にあって
は、減衰最大周波数がアイドル振動周波数に一致又は略
一致しているから、アイドル振動が入力されている状況
では、それだけ大きな振幅の制御力が発生することにな
るが、車両におけるアイドル振動は振幅が大きい(特
に、ディーゼル車両等では顕著である)ので、防振支持
装置の最も大きな振幅の制御力を発生できる能力が、最
も入力振動の振幅が大きい状況で活用される。
【0040】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の第1実施例を示す図であり、こ
の実施例は、本発明に係る防振支持装置を、エンジン側
から車体側に伝達される振動を能動的に低減する所謂ア
クティブエンジンマウントに適用したものである。ま
た、図2はこのエンジンマウント1を実際に搭載した状
態を示す全体構成図であり、先ず、これら図1及び図2
に従って本実施例の構成を説明する。
【0041】即ち、このエンジンマウント1は、振動体
としてのエンジン30への取り付け用の取付ボルト2a
を上部に一体に備えた連結部材2を有し、この連結部材
2の下部には断面逆台形状の中空の円筒凸部2bが形成
されている。そして、連結部材2の下面側には、その円
筒凸部2bの周面及び下端面を覆うように、支持弾性体
3が加硫接着により固定されている。
【0042】支持弾性体3は、中央部から外周部に向け
て緩やかに下方に傾斜する肉厚の略円形状の弾性体であ
って、その外周面は、軸心が円筒凸部2bと同軸に振動
体支持方向(この場合は、上下方向)を向く筒状部材と
しての内筒4の内周面に加硫接着により結合されてい
る。具体的には、内筒4は、その径方向外側を水平に向
く上端4aの内径側に連続して、内側下方に向けて傾斜
する傾斜面4bを有していて、その傾斜面4bの内周面
側に支持弾性体3が結合されている。また、傾斜面4b
の下端部は径方向外側に回り込んで水平方向を向くよう
に湾曲していて、その湾曲した部分が小径部4cとなっ
ている。さらに、小径部4cの下端側に連続して、水平
方向(内筒4の軸心に対して直交する方向)に延びる平
板部4dが形成され、その平板部4dの外周部が内筒4
の下端部4eとなっている。つまり、内筒4の側面の断
面形状は、V字形を、そのV字の開く方向(つまり、上
側)が径方向外側を向くように横に倒した形状となって
いる。なお、支持弾性体3の一部分は、その平板部4d
及び下端部4eの下面側を覆う薄膜弾性体3aに連続し
ている。
【0043】また、支持弾性体3の内部には、内筒4と
同軸の円筒形空洞3bが形成されている。ただし、この
円筒形空洞3bは、内筒4の小径部4bよりも径方向寸
法が小さくなっており、その下部は平板部4d中央部に
て開口している。一方、内筒4の上端部4aには、この
内筒4と同軸の外筒5の上端部5aが、外側から回り込
んで上下から挟み込むように結合されていて、外筒5の
胴体部5bは垂直に下方に延びて内筒4の外周を距離を
開けて覆っている。そして、外筒5の下端部5cは、内
筒4の下端部4e,アクチュエータケース6の上端部に
形成されたフランジ部6a及びこれらの間に挟まれて上
下に重ね合わされる後述するその他の部材端部全体を、
外側から回り込んで上下に一体に挟み込むように、かし
められている。
【0044】そして、アクチュエータケース6は、上面
側が開口し且つ内筒4と同軸の円筒形の部材であって、
その下端面からは、車体36に固定される支持体として
のメンバ35側への取り付け用の取付ボルト7が突出し
ている。なお、取付ボルト7は、その頭部7aが、アク
チュエータケース6の内底面に配設されたリング部材8
の中央の空洞部8aに収容されている。
【0045】アクチュエータケース6の内側には、これ
と同軸にリング部材8上に配設された円筒形のヨーク1
0Aと、このヨーク10A内の上端面側に軸を上下に向
けて巻き付けられた励磁コイル10Bと、ヨーク10A
の励磁コイル10Bに包囲された部分の上面に極を上下
に向けて固定された永久磁石10Cと、から構成される
電磁アクチュエータ10が配設されている。なお、アク
チュエータケース6内周面と電磁アクチュエータ10外
周面との間には、その電磁アクチュエータ10を固定す
るためのアダプタ10aを介在させている。
【0046】また、内筒4の下方には、その平板部4d
に平行に対向するように、薄い金属円板からなる受圧プ
レート11が配設されている。具体的には、受圧プレー
ト11の下面側中央部にはスペーサ12が当接し、その
スペーサ12の下面側には円形の板ばね13の中央部が
当接し、さらにその下面側には鉄等の磁化可能な金属か
らなる磁路部材14の上端面が当接していて、これら受
圧プレート11,スペーサ12,板ばね13及び磁路部
材14は、これらを上下に貫通する複数のリベット15
によって一体となっている。ここで、本実施例では、こ
れら受圧プレート11,スペーサ12,板ばね13及び
磁路部材14によって可動部材が構成されている。
【0047】これらのうち、受圧プレート11は、その
表裏面全体が加硫接着によって薄膜弾性体11Aに覆わ
れている。そして、その薄膜弾性体11Aは、受圧プレ
ート11よりも大径となっており、その受圧プレート1
1Aよりも外側に拡がった外周部11aは、板ばね13
の外周端部に重ね合わされていて、それら重ね合わされ
た外周部11a及び板ばね13外周端部は、リング状の
スペーサ5dとともに内筒4の下端部4e及びアクチュ
エータ6のフランジ部6a間に挟み込まれて固定されて
いる。
【0048】また、磁路部材14の下部には、電磁アク
チュエータ10のヨーク10A上面全体を略覆うように
円板部14Aが形成されていて、その円板部14Aの水
平な下面側がヨーク10A上面に僅かな隙間を開けて対
向するようになっている。そして、受圧プレート11下
面の周縁部には、薄膜弾性体11Aの一部の厚みを他の
部分よりも増すことにより、周方向に連続したリング状
の凸部からなるストッパ11bが形成されている。
【0049】なお、ストッパ11bの厚さ及び剛性は、
磁路部材14及び電磁アクチュエータ10の衝突を防止
できるような厚さに設定する。即ち、板ばね13の外周
端部はアクチュエータケース6に固定されているため、
その外周端部と受圧プレート11との間の隙間は受圧プ
レート11の上下方向への変位に応じて拡縮するように
なっている。つまり、ストッパ11bは、受圧プレート
11が下方に変位して板ばね13との隙間が狭くなると
縮小方向に弾性変形し、その弾性変形が不可能になった
時点でストッパとして機能するのであるから、ストッパ
11bが最大つぶれた際に磁路部材14及び電磁アクチ
ュエータ10間に隙間が残るように、ストッパ11bの
厚さ及び剛性を選定すればよい。
【0050】一方、内筒4外周面及び外筒5外周面に挟
まれた空間には、径方向内側からオリフィス構成部材1
6及びダイアフラム17が配設されている。これらのう
ち、オリフィス構成部材16は、内筒4の外周面に密着
したゴム状の弾性体からなる筒体であって、内筒4の外
観に合わせて小径部4cを覆う部分で内側に窄まってい
る。ただし、小径部4cの外周面側との間には、周方向
に連続した隙間を開けていて、この隙間がオリフィス1
6Aとなっている。
【0051】また、ダイアフラム17は、オリフィス構
成部材16の外周面を覆うゴム状の薄膜弾性体からなる
筒体であって、その上端部及び下端部は全周に渡って外
筒5内周面及びオリフィス構成部材16外周面間に挟み
込まれるとともに、その軸方向中央部には若干弛みが与
えられていて、これにより容易に拡縮するようになって
いる。
【0052】そして、支持弾性体3の円筒形空洞3bと
受圧プレート11とで画成された部分に主流体室18が
形成され、オリフィス構成部材16外周面及びダイアフ
ラム17内周面で画成された部分に副流体室19が形成
されるとともに、主流体室18及びオリフィス16A間
は、内筒4の小径部4cの周方向の一箇所に形成された
連通路16aを介して連通し、オリフィス16A及び副
流体室19間は、連通路16aから周方向に略180度
離隔した位置のオリフィス構成体16に形成された連通
路16bを介して連通していて、それら主流体室18,
オリフィス16A及び副流体室19内には、油等の流体
が封入されている。
【0053】ここで、オリフィス16A内の流体の質量
と、支持弾性体3の拡張方向ばね及び板ばね13で構成
された流体共振系の特性は、図3に示すように、減衰ピ
ーク周波数(減衰が最大となる周波数)が、車両停車中
に発生するアイドル振動の周波数に一致するように調整
されている。そして、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bは、コントローラ20にハーネス20Aを介
して接続されていて、図2にブロック図で示すように、
コントローラ20から供給される駆動電流としての駆動
信号yに応じて所定の電磁力を発生するようになってい
る。
【0054】コントローラ20は、マイクロコンピュー
タ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A
変換器,アンプ等を含んで構成されていて、アイドル振
動周波数及びそれ以上の高周波の振動(例えば、こもり
音振動)が入力されている場合には、その振動と同じ周
期の制御振動がエンジンマウント1に発生して、メンバ
35への振動の伝達力が“0”となるように(より具体
的には、エンジン30側の振動によってエンジンマウン
ト1に入力される加振力が、電磁アクチュエータ10の
電磁力によって得られる制御力で相殺されるように)、
駆動信号yを生成し励磁コイル10Bに供給するように
なっている。
【0055】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動がエンジンマウント1を介してメ
ンバ35に伝達されることが主な原因であるから、その
エンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出
力すれば、振動伝達率の低減が可能となる。そこで、本
実施例では、エンジン30のクランク軸の回転に同期し
た(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クラ
ンク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信号
を生成し基準信号xとして出力するパルス信号生成器2
1を設けていて、その基準信号xが、エンジン30にお
ける振動の発生状態を表す信号としてコントローラ20
に供給されている。
【0056】一方、メンバ35には、エンジンマウント
1の取り付け位置に近接して、メンバ35の振動状況を
加速度の形で検出し残留振動信号eとして出力する加速
度センサ22が固定されていて、その残留振動信号e
が、干渉後における振動を表す信号としてコントローラ
20に供給されている。そして、コントローラ20は、
それら基準信号x及び残留振動信号eに基づき、逐次更
新形の適応アルゴリズムの一つであるFiltered
−X LMSアルゴリズム、より具体的には、同期式F
iltered−X LMSアルゴリズムに従って駆動
信号yを生成し出力する。即ち、コントローラ20は、
フィルタ係数Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iは
タップ数)可変の適応ディジタルフィルタWを有してい
て、最新の基準信号xが入力された時点から所定サンプ
リング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィル
タWのフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力
する一方、エンジン30からエンジンマウント1を介し
てメンバ35に伝達される振動が低減するように、基準
信号x及び残留振動信号eに基づいて適応ディジタルフ
ィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新する処理を実行
するようになっている。
【0057】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−μRT e(n) ……(1) ここで、(n)が付く項は時刻nにおける値であること
を表し、また、μは収束係数と呼ばれる係数であってフ
ィルタ係数Wi の収束の速度やその安定性に関与する係
数である。RT は、理論的には、基準信号xを、電磁ア
クチュエータ10で発生する力と加速度センサ22との
間の伝達関数Cをモデル化した伝達関数フィルタC^で
フィルタ処理した値(リファレンス信号若しくはFilter
ed-X信号)であるが、この実施例では同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムを適用した結果基準信
号xがインパルス列であるため、伝達関数フィルタC^
のインパルス応答を基準信号xに同期して次々に生成し
た場合のそれらインパルス応答波形の時刻nにおける和
に一致する。
【0058】また、理論的には、適応ディジタルフィル
タWで基準信号xをフィルタ処理して駆動信号yを生成
することになり、フィルタ処理はディジタル演算では畳
み込み演算に該当するが、基準信号xがインパルス列で
あるので、上述したように最新の基準信号xが入力され
た時点から、所定サンプリング・クロックの間隔で適応
ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi を順番に駆
動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動
信号yとしたのと同じ結果になる。
【0059】ここで、このエンジンマウント1をモデル
で表すと、図4に示すようになる。なお、この図4中、
f はオリフィス16A内の流体質量[kg]、Cf
オリフィス16A内の流体粘性減衰係数[Ns/m]、
m は支持弾性体3の支持方向のばね定数[N/m]、
e は支持弾性体の拡張方向のばね定数[N/m]、K
p は板ばね13のばね定数[N/m]、fa は電磁アク
チュエータ10が磁路部材14に及ぼす制御力[N]、
0 はエンジン30側からエンジンマウント1に入力さ
れる変位[m]、xf はオリフィス16A内の流体の変
位[m]、x1は支持弾性体3の拡張方向ばねの上部に
おける変位[m]、xp は磁路部材14の変位[m]、
f' は支点反力[N]、fはメンバ35側への伝達力
[N]、Rは支持弾性体3の拡張方向ばねの有効受圧面
積Au [m2 ]と受圧プレート11の有効受圧面積Ap
[m2 ]との比(Ap /Au )、rは有効受圧面積Au
とオリフィス16A受圧面積Ao との比(Au /Ao
である。
【0060】そして、このモデルの運動方程式は下記の
(2)式のようになり、梃子部変位釣り合い式は下記の
(3)式のようになり、支点O1 ,O2 回りのモーメン
ト釣り合い式はそれぞれ下記の(4),(5)式のよう
になり、エンジンマウント1の力の伝達式は下記の
(6)式のようになる。 Mf (dxf 2 /dt2 )+Cf (dxf /dt−dx0 /dt) −(l/r)Ke (x1 −Rxp )=0 ……(2) (xf −x0 )=r(x1 −x0 ) ……(3) R・Ke (x1 −R・xp )−Kp ・xp +fa =0 ……(4) (R−l)ke (x1 −R・xp )−f' =0 ……(5) f=Km ・x0 −fa +Kp p −f' ……(6) これらのうち、(6)式において電磁アクチュエータ1
0の制御力fa を0とした場合が流体封入式のエンジン
マウント1としての特性であり、その動ばね定数及び減
衰特性は、図3に示すようになる。これに対し、(6)
式における伝達力fを0とするために電磁アクチュエー
タ10に必要な制御力(アクチュエータ必要制御力)
は、図5に示すような特性であり、図3に示した減衰ピ
ーク周波数において最小となることが判る。これは、制
御実行時にオリフィス16Aを通過する流体の共振によ
り受動的に発生する力が、電磁アクチュエータ10によ
って発生する能動的な制御力に加わるから、トータルの
制御力が同じであれば電磁アクチュエータ10の負担分
が小さくて済むからである。
【0061】次に、本実施例の作用を説明する。即ち、
エンジン30が始動状態となりエンジンマウント1に振
動が入力されるようになると、コントローラ20は、所
定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10に駆動
信号yを出力し、エンジンマウント1に振動を低減し得
る能動的な制御力を発生させる。これを、コントローラ
20内で実行される処理の概要を示すフローチャートで
ある図6に従って具体的に説明する。なお、この図6に
示す処理は、以下詳細に説明するが、インパルス列でな
る基準信号xに同期して1サイクルの処理が実行される
とともに、その基準信号xの入力タイミングで開始され
る所定時間間隔のクロックパルスに同期して1サンプリ
ングの処理が実行されるようになっている。
【0062】先ず、そのステップ101において所定の
初期設定が行われた後に、ステップ102に移行し、所
定の記憶領域に保存されている伝達関数フィルタC^を
読み込む。次いで、ステップ103に移行しカウンタ
(1サイクル内における駆動信号yの出力回数を計数す
るためのカウンタ)iを零クリアした後に、ステップ1
04に移行し、適応ディジタルフィルタWのi番目のフ
ィルタ係数Wi を、駆動信号yとして電磁アクチュエー
タ10の励磁コイル10Bに出力する。
【0063】次いで、ステップ105に移行し、残留振
動信号eを読み込み、そして、ステップ106に移行
し、基準信号xを伝達関数フィルタC^でフィルタ処理
して更新用基準信号RT を演算する。なお、更新用基準
信号RT の具体的な演算は上述した通りである。次い
で、ステップ107に移行し、カウンタjを零クリアす
る。なお、このカウンタjは、適応ディジタルフィルタ
Wのフィルタ係数Wi の更新演算を必要な回数だけ行っ
たか否かを判定するためのカウンタである。
【0064】そして、ステップ108に移行し、上記
(1)式に従って適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数Wj を更新する。ステップ108における更新処理
が完了したら、ステップ109に移行し、次の基準信号
xが入力されているか否かを判定し、ここで基準信号x
が入力されていないと判定された場合は、適応ディジタ
ルフィルタWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号y
の出力処理を実行すべく、ステップ110に移行する。
【0065】ステップ110では、カウンタjが、エン
ジン30の最低回転数で決まる基準信号xの最大周期を
サンプリング・クロックで割った数である最大サンプリ
ング数Tap(正確には、カウンタjは0からスタート
するため最大サンプリング数Tapから1を減じた値)
に達しているか否かを判定する。この判定は、フィルタ
係数Wi に基づいた駆動信号yをステップ104で出力
した後に、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数W
j を必要な数だけ更新したか否かを判断するためのもの
である。そこで、このステップ110の判定が「NO」
の場合には、ステップ111でカウンタjをインクリメ
ントした後に、ステップ108に戻って上述した処理を
繰り返し実行する。
【0066】しかし、ステップ110の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数を必要な数だけ更新処理したと判断できるから、ス
テップ112に移行する。ステップ112では、フィル
タ係数Wi からなる数列から直流成分を除去した後に、
ステップ113に移行し、電磁アクチュエータ10で出
力し得る最大制御力に対応する駆動信号の上限値Wmax
を、各フィルタ係数Wiのいずれか一つでも越えている
か否かを判定し、ここで越えていないと判定された場合
には、ステップ114に移行して補正係数βを1に設定
する一方、越えていると判定された場合には、ステップ
115に移行し補正係数βを0を越えて1未満の数に設
定する。具体的には、ステップ115では、補正係数β
を各フィルタ係数Wi に乗じた結果が上限値Wmax 以下
で且つ限りなくその上限値Wmax に近い値となるように
設定する。そして、ステップ116に移行し、各フィル
タ係数Wi に補正係数βを乗じその結果でフィルタ係数
i を置き換える。
【0067】このステップ112〜116の処理を実行
するのは、ステップ108で更新されたフィルタ係数W
j をそのまま用いて駆動信号yを生成すると、コントロ
ーラ20や電磁アクチュエータ10等の特性上から出力
可能な駆動信号yに上限値がある場合、上限値を越える
駆動信号yがその上限値に強制的に修正されてしまうの
に対し、上限値を越えない駆動信号yはそのまま出力さ
れるため、駆動信号yに実際には存在しない高調波成分
が重畳されたことと等価になって、振動低減制御を劣化
させる原因となるからである。つまり、ステップ112
〜116の処理を実行すれば、駆動信号yが上限値を越
える場合には、駆動信号y全体が同じ形で縮小されてレ
ベルのみが修正されるから、不要な高調波成分が重畳さ
れるようなことが容易に回避できるのである。
【0068】ステップ116の処理を終えたら、ステッ
プ117に移行し、ここでカウンタiをインクリメント
した後に、上記ステップ104の処理を実行してから所
定のサンプリング・クロックの間隔に対応する時間が経
過するまで待機し、サンプリング・クロックに対応する
時間が経過したら、上記ステップ104に戻って上述し
た処理を繰り返し実行する。
【0069】しかし、ステップ107で基準信号xが入
力されたと判断された場合には、ステップ103に戻っ
て上述した処理を再び実行する。このような処理を繰り
返し実行する結果、コントローラ20からエンジンマウ
ント1の電磁アクチュエータ10に対しては、基準信号
xが入力された時点から所定のサンプリング・クロック
の間隔で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数W
i が順番に駆動信号yとして供給される。この結果、励
磁コイル10Bに駆動信号yに応じた磁力が発生する
が、磁路部材14には既に永久磁石10Cによる一定の
磁力を付与されているから、その励磁コイル10Bによ
る磁力は、永久磁石10Cの磁力を強める又は弱めるよ
うに作用すると考えることができる。つまり、励磁コイ
ル10Bに駆動信号yが供給されていない状態では、磁
路部材14及びこれと一体となった受圧プレート11
は、板ばね13による弾性支持力と、永久磁石10Cの
磁力との釣り合った中立の位置に変位することになる。
そして、この中立の状態で励磁コイル10Bに駆動信号
yが供給されると、その駆動信号yによって励磁コイル
10Bに発生する磁力が永久磁石10Cの磁力と逆方向
であれば、受圧プレート11,磁路部材14は電磁アク
チュエータ10とのクリアランスが増大する方向に変位
する。逆に、励磁コイル10Bに発生する磁力が永久磁
石10Cの磁力と同じ方向であれば、受圧プレート1
1,磁路部材14は電磁アクチュエータ10とのクリア
ランスが減少する方向に変位する。
【0070】このように受圧プレート11は電磁アクチ
ュエータ10が発生する磁力によって上下両方向に変位
可能であり、受圧プレート11が上下に変位すれば、主
流体室18の容積が変化し、その容積変化によって支持
弾性体3の拡張方向ばねが変形するから、このエンジン
マウント1に正逆両方向の能動的な支持力が発生するの
である。そして、駆動信号yとなる適応ディジタルフィ
ルタWの各フィルタ係数Wi は同期式Filtered
−X LMSアルゴリズムに従った上記(1)式によっ
て逐次更新されるため、ある程度の時間が経過して適応
ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最適値に
収束した後は、駆動信号yがエンジンマウント1に供給
されることによって、エンジン30からエンジンマウン
ト1を介してメンバ35側に伝達されるアイドル振動や
こもり音振動が低減されるようになるのである。
【0071】特に、本実施例では、主流体室18をオリ
フィス16Aを介して副流体室19に連通させており、
しかも流体共振系の共振周波数をアイドル振動周波数に
一致させているため、エンジン30側からエンジンマウ
ント1に入力される振動の周波数がそのアイドル振動周
波数近傍にあれば、電磁アクチュエータ10の電磁力に
より受圧プレート11が上下動して主流体室18の容積
が変動すると、オリフィス16Aを通じて主流体室18
及び副流体室19間で流体共振が発生する。その結果、
同一の電磁アクチュエータ10によって、より大きな制
御力を発生することができ、特にエンジン30側で発生
する振動の振幅が大きいアイドル振動に対して大きな振
幅の制御振動を重畳させることができ、良好な防振効果
を得ることができるのである。
【0072】この場合、流体共振により発生する受動的
な力は大きいほど好ましいことになるが、その大きさは
流体共振系の質量によって決まるから、オリフィス16
A及び副流体室19の容積が特に問題となる。この点に
関しては、本実施例では、内筒4に小径部4cを形成す
ることにより、その外側に十分な閉空間を形成し、その
空間内にオリフィス16Aや副流体室19を配置してい
るから、エンジンマウント1の大型化を招くことなく、
大容量のオリフィス16Aや副流体室19を形成するこ
とができ、十分な流体共振系の質量を確保して、大きな
振幅の制御振動を発生させることができるようになって
おり、その容量が大きくなれば、支持弾性体3に高い荷
重が加わっても主流体室18内圧の極端な上昇が抑制さ
れるという利点もある。しかも、本実施例では、オリフ
ィス構成部材16を弾性体から形成しているため、所望
形状及び所望容積のオリフィス16Aを容易に形成する
ことができる。
【0073】このように、電磁アクチュエータ10に必
要な制御力が小さくなれば、それだけ小型の電磁アクチ
ュエータ10で済むということであり、しかもオリフィ
ス16A等の容積を大きくしてもエンジンマウント1全
体の大型化も招かないのであるし、電磁アクチュエータ
10が小型で済めば、比較的高価な永久磁石10Cも小
さくて済むから、それだけコスト的にも有利になるとい
う利点がある。
【0074】なお、流体共振系の減衰特性も重要である
が、本実施例の構成であれば、オリフィス16Aと主流
体室18とを連通させる連通路16aの開口面積を適宜
調整することにより、図4に示すモデルの梃子比rを小
さくすることができて、所望の減衰特性を容易に得るこ
とができる。また、本実施例では、主流体室18の径方
向寸法を小さくするとともに、その主流体室18を画成
する円筒形空洞3bの外側に受圧プレート11を配設
し、その受圧プレート11表面の主流体室18側に投影
した面積を大きくできるようにしているため、支持弾性
体3側の有効受圧面積Au と、受圧プレート11側の有
効受圧面積Ap との関係をAu <Ap として両者の比R
(=Ap /Au )を、比較的大きな値とすることができ
る。すると、受圧プレート11の変位が主流体室18の
容積変動を介して支持弾性体3の拡張方向ばねに伝達さ
れる際には、変位が増幅されるようになるから、支持弾
性体3内で吸収される分は多少あるが、連結部材2を上
下方向に大きく変位させることができるようになる。こ
のことは、小さな電磁アクチュエータ10によって大き
な振幅の制御振動を発生させることを意味するから、こ
れによっても電磁アクチュエータ10の小型化が図ら
れ、エンジンマウント1全体の小型化に寄与するという
利点がある。
【0075】この場合、主流体室18を画成する支持弾
性体3の円筒形空洞3bは、支持弾性体3を加硫成形す
る際に金型を差し込んでおき、成形後に金型を取り外す
ことにより形成されるのであるが、その円筒形空洞3b
の径方向寸法を小径部4cの内径よりも小さくしている
本実施例の構成であれば、特に円筒形空洞3bの形成が
面倒になることもない。
【0076】また、単純に支持弾性体3側の有効受圧面
積Au を小さくしようとすると、支持弾性体3の容積が
小さくなってその支持方向ばねまで硬くなってしまう
が、本実施例のように、内筒4の上部を外側に広げるよ
うな形状とし、その拡がった部分の内周面に支持弾性体
3を結合する構成であれば、支持弾性体3の容積を十分
に確保し、その外周部分の厚さを増してその支持方向ば
ねのばね定数を低くし、エンジン30側からメンバ35
側への振動伝達率の悪化を避けることができるととも
に、これとは逆に支持弾性体3の拡張方向ばねのばね定
数を高くすることも容易であるから、それら支持方向ば
ね及び拡張方向ばねの特性をそれぞれ所望の範囲に設定
することができる。
【0077】しかも、受圧プレート11の上面を平板部
4dに平行な平面とすれば、その受圧プレート11が同
等の規模であればその有効受圧面積は最大となるから、
同じ有効受圧面積を得ることを考えれば、受圧プレート
11の規模を最小とし、装置の小型化に寄与することが
できる。さらに、本実施例では、受圧機能を担う受圧プ
レート11と、ばね機能を担う板ばね13と、磁気回路
機能を担う磁路部材14とを組み合わせて可動部材を構
成しているため、各機能を個別に調整することができ、
所望の特性を容易に実現することができる。特に、受圧
プレート11を弾性支持するために板ばね13を用いる
とともに、その板ばね13の中央部を受圧プレート11
に結合し、板ばね13の外周端部をアクチュエータケー
ス6側に固定しているため、板ばね13の耐久性を向上
させるためにその板厚を厚くしても、電磁アクチュエー
タ10を大型にすることなく、受圧プレート11の変位
を大きくすることができる。
【0078】また、本実施例の受圧プレート11は、そ
の表裏面全体が薄膜弾性体11aで覆われていて、その
薄膜弾性体11aの外周端部をアクチュエータケース6
側に固定しているから、例えばアクチュエータケース6
のフランジ部6a等にシール用の溝を形成し、その溝に
シールリングを介在させる等の構成や手間が不要とな
り、コストダウンが図られるという利点がある。特に本
実施例では、平板部4d及び下端部4dの下面側全体を
薄膜弾性体3aで覆い、その薄膜弾性体3aで覆われた
部分も下端部5c内に挟み込むようにしているから、よ
り高いシール機能が得られている。
【0079】そして、磁路部材14を受圧プレート11
とは別部材としているから、磁気回路を構成する部分を
電磁アクチュエータ10に容易に近接させることがで
き、その出力効率を高くすることができるのである。ま
た、本実施例では、受圧プレート11の下面側周縁部に
ストッパ11bを形成しているため、受圧プレート11
が傾く等して出力効率が落ちるような事態となっても、
その傾きに対してストッパ11bが早めに機能するか
ら、受圧プレート11の傾きを早い段階で解消すること
ができるし、ゴム状の弾性体からなるストッパ11bを
熱源となる電磁アクチュエータ10から遠い位置に配置
することにもなるから、ストッパ11bの耐久性も向上
するという利点がある。
【0080】しかも、受圧プレート11の周縁部と板ば
ね13との間の距離は、磁路部材14を別部材としたた
め出力効率には無関係であるから、その距離は広くする
ことができ、隙間が広くなればそれだけ厚みのあるスト
ッパ11bを形成して、軟らかいストッパ11bとする
ことができる。そして、ストッパ11bが軟らかけれ
ば、それを小さな力で薄く押しつぶすことが可能となる
から、電磁アクチュエータ10bの出力を上げなくて
も、受圧プレート11の変位を大きくすることができる
のである。
【0081】さらに、ストッパ11bを配設するため
に、磁路部材14や電磁アクチュエータ10のヨーク1
0A等を切削する必要もないから、ストッパ11bが電
磁アクチュエータ10の出力効率を下げるようなことも
ない。しかも、そのストッパ11bは、受圧プレート1
1と一体となっているから、位置ずれが生じることもな
いし、組立時の手間も特に不要であり、さらには、受圧
プレート11の下面側の薄膜弾性体3aの一部分をリン
グ状に厚くするだけでストッパ11bを形成することが
できるから、製造コストの大幅アップを招くこともな
い。
【0082】そして、本実施例では、外筒5を設けてい
るため、傾斜面4bを有するため上下方向の荷重に対し
ては強度的に不利な内筒4を補強することができ、エン
ジンマウント1全体の耐久性を向上することができる
し、ダイアフラム17等を保護することもできるから、
飛び石等があってもダイアフラム17等の損傷を防止で
きるという利点がある。
【0083】このように、本実施例の構成であれば、エ
ンジンマウント1の小型化が図られるとともに、大きな
振幅の制御振動を発生することができるから、大振幅の
アイドル振動の低減が問題となっており、しかも搭載ス
ペース上の制約が大きい車両のエンジンマウント1にと
っては非常に有利である。図7は本発明の第2実施例を
示す図であって、この実施例も、上記第1実施例と同様
に本発明に係る防振支持装置を、エンジンから車体に伝
達される振動を能動的に低減する所謂アクティブエンジ
ンマウントに適用したものであって、図7は上記第1実
施例の図1と同様にエンジンマウント1の断面図であ
る。なお、その他の全体構成や制御の内容は上記第1実
施例と同様であるため、その図示及び説明は省略すると
ともに、上記第1実施例と同様の部材や部位には、同じ
符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0084】即ち、本実施例では、上記第1実施例では
弾性体から形成されていたオリフィス構成部材40を金
属製の筒体から形成した点に特徴がある。具体的には、
オリフィス構成体40は、内筒4の外周面に密着した筒
状の部材であって、小径部4cの外周面側との間には、
周方向に連続した隙間を開けている点は上記第1実施例
と同様であり、この隙間がオリフィス16Aとなってい
る。また、連通路16bが形成されている点も、上記第
1実施例と同様である。
【0085】このような構成であれば、上下方向の荷重
に対して強度的に不利な内筒4を、このオリフィス構成
部材40が補強することができるから、エンジンマウン
ト1全体の耐久性がさらに向上するという利点がある。
その他の作用効果は上記第1実施例と同様である。図8
は本発明の第3実施例を示す図であって、上記図1と同
様のエンジンマウント1の断面図である。なお、その他
の全体構成や制御の内容は上記第1実施例と同様である
ため、その図示及び説明は省略するとともに、上記第1
実施例等と同様の部材や部位には、同じ符号を付し、そ
の重複する説明は省略する。
【0086】即ち、本実施例では、受圧プレート11の
全体を薄膜弾性体で被覆することなく、受圧プレート1
1の最外周部を下方に折り曲げて周方向に連続した凸部
11cを形成し、その凸部11cに加硫接着により弾性
体を固着して、ここにストッパ11bを形成している。
また、リベット15により磁路部材14等と一体となっ
た状態の受圧プレート11の上面が、円形の薄膜弾性体
41で覆われていて、その薄膜弾性体41の外周部41
aが、板ばね13の外周端部に重ね合わされた状態で外
筒5の下端部5cに挟み込まれている。
【0087】このような構成であれば、リベット15の
上端側が主流体室18外に位置するようになり、薄膜弾
性体41にはリベット15を貫通させる穴が形成されな
いから、シール機能がさらに向上するようになる。その
他の作用効果は上記第1実施例等と同様である。図9は
本発明の第4実施例を示す図であって、上記図1と同様
のエンジンマウント1の断面図である。なお、その他の
全体構成や制御の内容は上記第1実施例と同様であるた
め、その図示及び説明は省略するとともに、上記第1実
施例等と同様の部材や部位には、同じ符号を付し、その
重複する説明は省略する。
【0088】即ち、本実施例では、ストッパ11bを省
略する一方で、板ばね13及び薄膜弾性体41の外周部
41a間に挟み込むことにより、凸部11cに対向した
位置にリング状の薄膜弾性体42を配設していて、この
薄膜弾性体42をストッパとして機能させるようにして
いる。このような構成であっても、薄膜弾性体42はス
トッパとして有効に機能するから、上記第1実施例等と
同様のストッパ作用が得られるし、薄膜弾性体42は独
立した部材であるから、その厚さや枚数を適宜選定する
ことにより、ストッパの特性を容易に調整することがで
きるという利点がある。
【0089】その他の作用効果は上記第1実施例等と同
様である。図10は本発明の第5実施例を示す図であっ
て、上記図1と同様のエンジンマウント1の断面図であ
る。なお、その他の全体構成や制御の内容は上記第1実
施例と同様であるため、その図示及び説明は省略すると
ともに、上記第1実施例等と同様の部材や部位には、同
じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0090】即ち、本実施例では、アクチュエータケー
ス6を省略し、電磁アクチュエータ10のヨーク10A
の上端面周縁部を上方に延ばしてその先端に水平方向に
延びるフランジ部10bを形成し、そのフランジ部10
bに外筒5の下端部5cを結合している。また、ヨーク
10Aの底面中央部に取付ボルト7の頭部を固着してい
る。
【0091】このような構成であれば、上記第1実施例
の構成に比べて部品点数が少なくなるから、コストダウ
ンが図れるという利点がある。その他の作用効果は上記
第1実施例と同様である。図11は本発明の第6実施例
を示す図であって、上記図1と同様のエンジンマウント
1の断面図である。なお、その他の全体構成や制御の内
容は上記第1実施例と同様であるため、その図示及び説
明は省略するとともに、上記第1実施例等と同様の部材
や部位には、同じ符号を付し、その重複する説明は省略
する。
【0092】即ち、本実施例では、上記各実施例では設
けていた外筒5を省略し、内筒4の下端部4eをコ字型
に湾曲させてスペーサ5d等を一体に上下から挟み込ん
だ状態でアクチュエータケース6のフランジ部6aに結
合するようにしている。ただし、十分な強度を得るため
に、内筒4の肉厚を若干厚めにしている。このような構
成であれば、部品点数の削減が図れるという利点があ
り、ダイアフラム17等に飛び石等が飛来する危険性が
ないのであればそれを外筒で保護する必要もないから、
本実施例の構成を採用することは有利である。その他の
作用効果は、上記第1実施例と同様である。
【0093】図12は本発明の第7実施例を示す図であ
って、上記図1と同様のエンジンマウント1の断面図で
あり、この実施例は、上記第2実施例と第6実施例とを
組み合わせたものである。即ち、上記第2実施例と同様
に、オリフィス構成部材40を金属製の筒体から構成す
るとともに、上記第6実施例と同様に、外筒5を省略
し、内筒4の下端部4eをアクチュエータケース6に結
合したものである。
【0094】このような構成であれば、外筒5を省略し
たことによる内筒4の強度低下分をオリフィス構成部材
40で補うことができるという利点がある。その他の作
用効果は上記第1実施例と同様である。図13は本発明
の第8実施例を示す図であって、上記図1と同様のエン
ジンマウント1の断面図であり、この実施例は、上記第
7実施例をさらに改良したものである。
【0095】即ち、本実施例は、上記第7実施例と実質
的には同一であるが、異なるのは、オリフィス構成部材
40を、内筒4の上端部4aに連続するような折り曲げ
加工により形成した点である。また、ダイアフラム17
の上下端を延ばして、内筒4の上端部4aの上面側及び
下端部4eの外周面側を覆うようにしている。このよう
な構成であれば、製造コストのさらなる低減が図られる
という利点がある。また、ダイアフラム17を上記のよ
うな構成とすれば、ダイアフラム17と内筒4との密着
性が向上するから、気密等の点で耐久性が向上するとい
う利点もある。その他の作用効果は上記第1実施例と同
様である。
【0096】図14は本発明の第9実施例を示す図であ
って、上記図1と同様のエンジンマウント1の断面図で
ある。なお、その他の全体構成や制御の内容は上記第1
実施例と同様であるため、その図示及び説明は省略する
とともに、上記第1実施例等と同様の部材や部位には、
同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。即ち、
本実施例では、外筒5を省略するとともに、内筒4の形
状を上記各実施例とは異ならせている。つまり、内筒4
の軸方向の中央部を内側に入り込ませることにより、側
面の断面形状を、開いた方が外側を向くコ字形とし、こ
れにより小径部4cを形成している。また、上端部4a
は上方を向くようにし、その上端部4aの内周面と小径
部4cを形成するコ字形の上面4fとで囲まれた部分
に、支持弾性体3を結合するようにしてる。なお、内筒
4の肉厚は、強度を確保するために若干厚めとなってい
る。
【0097】また、オリフィス構成部材16の形状も上
記第1実施例とは異なっていて、小径部4cの外周面側
に嵌め込まれた円筒形の弾性体でオリフィス構成部材1
6が形成されていて、その内周側に形成された周方向に
連続する溝により、オリフィス16Aが形成されてい
る。このような構成であっても、小径部4cの外側に空
間的な余裕が出来るから、ここにオリフィス16A及び
副流体室19を配置することにより、上記第1実施例と
同様の作用効果が得られる。また、支持弾性体3の容積
も十分に確保できるから、この点に関しても上記第1実
施例と同様の作用効果が得られる。その他の作用効果に
ついても、上記第1実施例と同様である。
【0098】図15は本発明の第10実施例を示す図で
あって、上記図1と同様のエンジンマウント1の断面図
であり、この実施例は、上記第9実施例の構成に外筒5
を加えたものである。即ち、内筒4の上端部4aを径方
向外側に水平に折り曲げるとともに、その上端部4aに
外筒5の上端部5aを結合する一方、内筒4の下端部4
eを、スペーサ5d等と一体に外筒5の下端部5cによ
って上下方向から挟み込んでいる。実質的には、上記第
1実施例の構成に、上記第9実施例の内筒4を採用した
ものである。ただし、本実施例では内筒4及び外筒5の
肉厚を若干厚めにしている。
【0099】このような構成であれば、エンジンマウン
ト1の上下方向の強度がさらに大きくなるから、例えば
高重量のエンジンを支持する装置として好適である。そ
の他の作用効果は上記第1実施例と同様である。図16
は本発明の第11実施例を示す図であって、上記図1と
同様のエンジンマウント1の断面図であり、この実施例
は、上記第10実施例の構成において、オリフィス構成
部材40を金属製の筒体で形成したものである。
【0100】このような構成であれば、エンジンマウン
ト1の上下方向の強度がまたさらに大きくなるから、極
めて高重量のエンジンを支持する装置として好適であ
る。その他の作用効果は上記第1実施例と同様である。
図17は本発明の第12実施例を示す図であって、上記
図1と同様のエンジンマウント1の断面図であり、この
実施例は、上記第11実施例を改良したものである。
【0101】即ち、本実施例は、上記第11実施例では
設けていた外筒5を省略するとともに、オリフィス構成
部材40を、内筒4の上端部4aに連続するような折り
曲げ加工により形成している。このような構成であれ
ば、製造コストの低減が図られるという利点がある。そ
の他の作用効果は上記第1実施例と同様である。
【0102】なお、上記各実施例では、本発明に係る防
振支持装置を、エンジン30を支持するエンジンマウン
ト1に適用した場合を示しているが、本発明に係る防振
支持装置の適用対象はエンジンマウント1に限定される
ものではなく、例えば振動を伴う工作機械の防振支持装
置等であってもよい。また、上記各実施例では、内筒4
の側面の断面形状をV字形又はコ字形とすることにより
小径部4cを形成するようにしているが、これに限定さ
れるものではなく、例えばそれらV字又はコ字の角を丸
くして実質的にU字形として小径部4cを形成するよう
にしてもよい。
【0103】そして、上記各実施例では、駆動信号yを
同期式Filtered−X LMSアルゴリズムに従
って生成しているが、適用可能なアルゴリズムはこれに
限定されるものではなく、例えば通常のFiltere
d−X LMSアルゴリズムであってもよいし、周波数
領域のLMSアルゴリズムであってもよい。また、系の
特性が安定しているのであれば、LMSアルゴリズム等
の適応アルゴリズムを用いることなく、係数固定のディ
ジタルフィルタ或いはアナログフィルタによって駆動信
号yを生成するようにしてもよい。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1、4に係
る発明によれば、小径部を有する筒状部材を介して支持
弾性体を振動体側又支持体側に結合するようにし、その
筒状部材の内側に主流体室を配設し、その筒状部材の外
側に副流体室及びオリフィスを配置したため、比較的容
積の大きな副流体室やオリフィスを形成しても、それら
副流体室やオリフィスが装置の外側に大きく張り出すよ
うなことを避けることができるから、防振支持装置の防
振特性を低減させずにその小型化を図ることができると
いう効果がある。また、請求項1、4に係る発明であれ
ば、板ばねの耐久性を上げるためにその板厚を厚くして
も、受圧プレートを比較的小さな力で大きく変位させる
ことができるから、さらにアクチュエータの小型化が図
られるという効果がある。 また、請求項1に係る発明で
あれば、受圧プレートの薄膜弾性体によって、主流体室
内の流体が受圧プレートの板ばね側に漏洩することを防
止できるから、シール溝の加工等が不要となってコスト
低減が図られるという効果がある。 この場合、請求項2
に係る発明であれば、受圧プレートと板ばねとの直接の
衝突が避けられるから、異音の発生等が防止できるとい
う効果もある。 そして、請求項3、4に係る発明であれ
ば、受圧プレートの傾きに対してストッパは早めに機能
するから、その受圧プレートの傾きを早期に解消できる
し、軟らかい弾性体をストッパとして採用できるから、
ストッパを小さな力で薄く押しつぶすことが可能とな
り、しかも、可動部材やアクチュエータの重要な部分を
切削する必要もないから、受圧プレートの変位を小さく
することなく、小型のアクチュエータを採用して装置の
小型化を図ることができるという効果がある。 この場
合、請求項5に係る発明であれば、ストッパの位置ずれ
等は生じ難くいし、組立時の手間も少なくて済むから、
コストダウンが図られる。 また、請求項6に係る発明で
あれば、ストッパの特性を容易に調整できるから、所望
の特性が容易に実現できるという効果がある。
【0105】また、請求項又は請求項に係る発明で
あれば、筒状部材の小径部を容易に実現できるという効
果がある。そして、請求項に係る発明であれば、小径
部を有する筒状部材を介在させた構成であって、支持弾
性体の体積を十分に確保でき、その支持方向の剛性を低
く抑えることができるから、振動伝達率の悪化を招かな
いという効果がある。
【0106】また、請求項10に係る発明であれば、大
振幅の制御力を発生できるから、例えばディーゼル車両
のアイドル振動のような大振幅の振動を打ち消すことが
できるという効果がある。特に、請求項11に係る発明
であれば、確実に大振幅の制御力を発生することができ
るという効果がある。
【0107】この場合、請求項12に係る発明であれ
ば、同等の有効受圧面積を最小規模の可動部材で実現で
きるから、装置の小型化が図られるという効果がある。
請求項13に係る発明であれば、流体共振系の減衰特性
が向上し、流体共振を利用した制御を行う場合のアクチ
ュエータ負荷を軽減できるから、アクチュエータをより
小型にすることができ、これによって装置のさらなる小
型化が図られるという効果がある。
【0108】この場合、請求項14に係る発明であれ
ば、流体共振系の共振周波数の調整が容易に行え、特性
の異なるオリフィスを複数形成することも容易であるか
ら、製造コストの低減を図ることができるし、請求項1
に係る発明であれば、オリフィス構成部材が筒状部材
に加わる荷重の一部を負担し、筒状部材が補強されて、
防振支持装置の耐久性が向上するという効果がある。
【0109】
【0110】
【0111】求項1に係る発明であれば、可動部材
の主流体室の内圧を受ける受圧機能と、磁気回路を構成
する機能とが分離するから、個別に所望の機能を設計し
実現でき、所望の特性を容易に実現できて、電磁アクチ
ュエータの出力効率を容易に高くすることができ、これ
により小型の電磁アクチュエータが採用できるという効
果がある。
【0112】また、請求項1に係る発明であれば、電
磁アクチュエータを収容するケース等の部材を省略でき
るから、コストダウンが図られる。請求項1に係る発
明であれば、外筒が補強部材として機能するから、防振
支持装置の耐久性が向上するし、副流体室を構成する例
えばダイアフラム等が保護されるから、それらの損傷等
が防止できるという効果がある。
【0113】請求項19に係る発明であれば、アクチュ
エータに必要な制御力を小さくすることができるから、
小型のアクチュエータでも大きな振動を良好に打ち消す
ことができ、搭載スペース上の制約が大きい場合にも防
振支持装置を容易に適用できるという効果がある。特
に、請求項2に係る発明であれば、比較的大振幅のア
イドル振動を小さなアクチュエータで打ち消すことが可
能となり、搭載スペース上の制約が大きい車両であって
も容易に適用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例におけるエンジンマウントの構成を
示す断面図である。
【図2】エンジンマウントの配設状態を示す全体構成図
である。
【図3】動ばね特性及び減衰特性を示す周波数特性図で
ある。
【図4】本実施例のエンジンマウントをモデルで表した
図である。
【図5】アクチュエータの必要制御力の周波数特性図で
ある。
【図6】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
【図7】第2実施例におけるエンジンマウントの構成を
示す断面図である。
【図8】第3実施例におけるエンジンマウントの構成を
示す断面図である。
【図9】第4実施例におけるエンジンマウントの構成を
示す断面図である。
【図10】第5実施例におけるエンジンマウントの構成
を示す断面図である。
【図11】第6実施例におけるエンジンマウントの構成
を示す断面図である。
【図12】第7実施例におけるエンジンマウントの構成
を示す断面図である。
【図13】第8実施例におけるエンジンマウントの構成
を示す断面図である。
【図14】第9実施例におけるエンジンマウントの構成
を示す断面図である。
【図15】第10実施例におけるエンジンマウントの構
成を示す断面図である。
【図16】第11実施例におけるエンジンマウントの構
成を示す断面図である。
【図17】第12実施例におけるエンジンマウントの構
成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エンジンマウント 3 支持弾性体 4 内筒(筒状部材) 4c 小径部 4d 平板部 5 外筒 6 アクチュエータケース 10 電磁アクチュエータ 10A ヨーク 10B 励磁コイル 10C 永久磁石 11 受圧プレート 11A 薄膜弾性体 11b ストッパ 12 スペーサ 13 板ばね 14 磁路部材 16 オリフィス構成部材 16A オリフィス 17 ダイアフラム 18 主流体室 19 副流体室 20 コントローラ 30 エンジン(振動体) 35 メンバ(支持体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−272574(JP,A) 特開 平8−219228(JP,A) 特開 平5−164179(JP,A) 特開 平7−167202(JP,A) 特開 平5−312233(JP,A) 特開 昭60−8540(JP,A) 特開 平5−172180(JP,A) 実開 平6−30544(JP,U) 英国特許出願公開2166516(GB,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 13/10

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動体側及び支持体側間に介在する支持
    弾性体と、この支持弾性体によって画成された主流体室
    と、この主流体室にオリフィスを介して連通する容積可
    変の副流体室と、これら主流体室,副流体室及びオリフ
    ィス内に封入された流体と、前記主流体室の隔壁の一部
    を形成するように弾性支持された可動部材と、この可動
    部材を前記主流体室の容積が変化する方向に変位させる
    アクチュエータと、を備えた防振支持装置において、 前記振動体側又は支持体側の一方と前記支持弾性体との
    間を、軸心が振動体支持方向を向き且つ軸方向の一部に
    小径部が形成された筒状部材を介して結合するととも
    に、前記筒状部材の内側に前記主流体室を配置し、前記
    筒状部材の外側に前記副流体室及び前記オリフィスを配
    置し 前記可動部材を、前記主流体室の隔壁の一部を構成する
    受圧プレートと、この受圧プレートの前記主流体室とは
    逆側を向く面の中央部に結合された板ばねと、を含んで
    構成するとともに、前記板ばねの端部を前記振動体側又
    は支持体側の一方に固定し、 前記受圧プレートの少なくとも前記主流体室側を向く面
    を薄膜弾性体で被覆するとともに、その薄膜弾性体の端
    部を前記板ばねの端部と重ね合わせた状態で前記振動体
    側又は支持体側の一方に固定し たことを特徴とする防振
    支持装置。
  2. 【請求項2】 前記受圧プレート全体を加硫接着によっ
    て薄膜弾性体で被覆した請求項1記載の防振支持装置。
  3. 【請求項3】 前記受圧プレートの前記板ばね側を向く
    面の周縁部と、前記板ばねとの間に弾性体からなるスト
    ッパを介在させた請求項1又は請求項2記載の防振支持
    装置。
  4. 【請求項4】 振動体側及び支持体側間に介在する支持
    弾性体と、この支持弾性体によって画成された主流体室
    と、この主流体室にオリフィスを介して連通する容積可
    変の副流体室と、これら主流体室,副流体室及びオリフ
    ィス内に封入された流体と、前記主流体室の隔壁の一部
    を形成するように弾性支持された可動部材と、この可動
    部材を前記主流体室の容積が変化する方向に変位させる
    アクチュエータと、を備えた防振支持装置において、 前記振動体側又は支持体側の一方と前記支持弾性体との
    間を、軸心が振動体支持方向を向き且つ軸方向の一部に
    小径部が形成された筒状部材を介して結合するととも
    に、前記筒状部材の内側に前記主流体室を配置し、前記
    筒状部材の外側に前記副流体室及び前記オリフィスを配
    置し、 前記可動部材を、前記主流体室の隔壁の一部を構成する
    受圧プレートと、この受圧プレートの前記主流体室とは
    逆側を向く面の中央部に結合された板ばねと、を含んで
    構成するとともに、前記板ばねの端部を前記振動体側又
    は支持体側の一方に固定し、 前記受圧プレートの前記板ばね側を向く面の周縁部と、
    前記板ばねとの間に弾性体からなるストッパを介在させ
    たことを特徴とする 防振支持装置。
  5. 【請求項5】 前記ストッパは、前記受圧プレートに固
    定されたリング状の凸部である請求項3又は請求項
    載の防振支持装置。
  6. 【請求項6】 前記ストッパは、外周部が前記板ばねの
    端部と重ね合わせた状態で前記振動体側又は支持体側の
    一方に固定されたリング状の薄膜弾性体である請求項
    又は請求項記載の防振支持装置。
  7. 【請求項7】 前記筒状部材の側面の少なくとも一部の
    断面形状を、開いた方が外側を向くV字形とした請求項
    1乃至請求項のいずれかに記載の防振支持装置。
  8. 【請求項8】 前記筒状部材の側面の少なくとも一部の
    断面形状を、開いた方が外側を向くコ字形とした請求項
    1乃至請求項のいずれかに記載の防振支持装置。
  9. 【請求項9】 前記筒状部材の前記小径部よりも前記振
    動体側又は支持体側の他方に近い部分の内周面に、前記
    支持弾性体を結合した請求項1乃至請求項のいずれか
    記載の防振支持装置。
  10. 【請求項10】 前記主流体室を前記筒状部材の軸心と
    同軸に配置するとともに、前記主流体室の前記軸心に直
    交する方向の寸法を、前記小径部の前記軸心に直交する
    方向の寸法以下とした請求項1乃至請求項9のいずれか
    記載の防振支持装置。
  11. 【請求項11】 前記小径部の前記振動体側又は支持体
    側の一方に近い側に 、前記筒状部材の軸心に対して直交
    する方向に延びる平板部を形成するとともに、その平板
    部の中央に前記主流体室を開口し、前記振動体側又は支
    持体側の一方に、前記平板部に対向するように前記可動
    部材を取り付けた請求項1乃至請求項10のいずれかに
    記載の防振支持装置。
  12. 【請求項12】 前記可動部材の前記主流体室側を向く
    を前記平板部に平行な平面とし、その平面の面積を前
    記主流体室が開口する部分の開口面積よりも大きくした
    請求項11記載の防振支持装置。
  13. 【請求項13】 前記筒状部材の外周面をオリフィス構
    成部材で包囲するとともに、そのオリフィス構成部材の
    外周面をダイアフラムで包囲し、前記オリフィス構成部
    材の内側に前記オリフィスを形成し、前記オリフィス構
    成部材及び前記ダイアフラム間に前記副流体室を形成
    た請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の防振支持
    装置。
  14. 【請求項14】 前記オリフィス構成部材を弾性体から
    なる筒体で形成した請求項1記載の防振支持装置。
  15. 【請求項15】 前記オリフィス構成部材を金属製の筒
    体で形成した請求項1記載の防振支持装置。
  16. 【請求項16】 前記アクチュエータは電磁力を発生す
    る電磁アクチュエータであり、前記可動部材の前記電磁
    アクチュエータに対向する部分に磁化可能な磁路部材を
    設けた請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の防振
    支持装置。
  17. 【請求項17】 前記電磁アクチュエータのヨークに、
    前記筒状部材の前記振動体側又は支持体側の一方の側の
    端部を支持させるとともに、そのヨークを前記振動体側
    又は支持体側の一方に固定した請求項1記載の防振支
    持装置。
  18. 【請求項18】 前記筒状部材の外側に、その筒状部材
    の両端部間に介在するように金属製の外筒を配設すると
    ともに、前記筒状部材及び前記外筒に挟まれた空間に前
    記副流体室及び前記オリフィスを形成した請求項1乃至
    請求項17のいずれかに記載の防振支持装置。
  19. 【請求項19】 前記オリフィス内の前記流体を質量と
    し前記支持弾性体の拡張方向ばね及び前記可動部材の支
    持ばねをばねとした流体共振系の減衰が最大となる周波
    数を、前記振動体側で発生する振動の周波数に一致又は
    略一致させた請求項1乃至請求項18のいずれかに記載
    の防振支持装置。
  20. 【請求項20】 車両に適用され且つ前記振動体がエン
    ジンであり、前記流体共振系の減衰が最大となる周波数
    を、前記車両のアイドル振動周波数に一致又は略一致さ
    せた請求項19記載の防振支持装置
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