JP3428281B2 - 防振支持装置 - Google Patents

防振支持装置

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JP3428281B2
JP3428281B2 JP5043996A JP5043996A JP3428281B2 JP 3428281 B2 JP3428281 B2 JP 3428281B2 JP 5043996 A JP5043996 A JP 5043996A JP 5043996 A JP5043996 A JP 5043996A JP 3428281 B2 JP3428281 B2 JP 3428281B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、振動体側を支持体側
に防振しつつ支持する装置に係わり、特に、振動体及び
支持体間に介在する支持弾性体が過剰に伸長状態となる
のを規制する防振支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に車両のパワーユニットを支持する
ために用いられる防振支持装置であるエンジンマウント
には、主として、アイドル振動やこもり音振動及び加速
時騒音振動等に対して良好な防振機能が発揮されること
が要求されるが、これら各種の振動のうち、20〜30
Hz程度の比較的大振幅の振動であるアイドル振動を低減
するために防振支持装置に要求される特性は、高動ばね
定数で且つ高減衰であるのに対し、80〜800Hz程度
の比較的小・中振幅の振動であるこもり音振動・加速時
騒音振動を低減するために防振支持装置に要求される特
性は、低動ばね定数で且つ低減衰である。従って、通常
の弾性体のみからなるエンジンマウントや、従来の液体
封入式のエンジンマウントでは、全ての振動を防振する
ことは困難である。
【0003】そこで、自動車のエンジン等の振動体を能
動的に減衰して支持することが可能な防振支持装置とし
て、例えば特開平5−060168号公報(以下、従来
技術と称する。)に開示した技術が知られている。
【0004】この従来技術は、自動車の車体側に支持体
を固定し、この支持体の外側上方に所定の間隔をおいて
外殻を配置し、この外殻と前記支持体との間に中空円錐
状のゴム状弾性体からなる支持弾性体(公報では、膨張
ばねと称している。)を連結し、この支持弾性体の外側
下部を覆うように前記外殻と前記支持体との間にベロー
を配設し、前記外殻の上部に配設した板バネにより磁化
可能な振動板を支持し、前記外殻の上部と連結しながら
この振動板の上面に対向するように自動車のエンジン側
に支承部材を固定し、前記振動板と対向するように前記
支承部材に永久磁石を設けるとともに、永久磁石の周囲
に電磁石からなる磁石体を設けている。また、前記膨張
ばねの上面と前記振動板の下面との間に密閉した主流体
室(公報では、作用室と称している。)を形成し、前記
支持弾性体の下面とベローの上面との間に密閉した副流
体室(公報では、調圧室と称している。)を形成し、こ
れら主流体室及び副流体室に液体を封入するとともに、
主流体室及び副流体室の間を、前記外殻に穿設した緩衝
孔を介して互いに連通した構造としている。
【0005】この従来技術は、電磁石が発生する電磁力
によって振動板が振動すると、主流体室に容積変動が生
じ、その容積変動が弾性支持体に作用してここに能動的
な支持力が発生するので、振動発生状態に応じて振動板
を適宜振動させて、支持体側に伝達される振動を低減す
るようにしている。また、主流体室は、緩衝孔を介して
副流体室に連通するようになっており、振動体側から入
力される振動によって支持弾性体が変形して主流体室に
容積変動が生じると、主流体室内に封入した液体と副流
体室内に封入した液体とが緩衝孔を介して互いに移動し
合うことにより減衰力が発生するので、受動的な流体封
入式の防振支持装置の作用も得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構成の
防振支持装置を例えば横置に搭載したエンジンの車体前
後方向に配設すると、車両の急加速するときのエンジン
の急激なトルク変化によって、支持弾性体が過剰に伸長
状態となりやすい。そのため、支持弾性体の伸長状態を
規制するストッパ装置を設け、支持弾性体の耐久性を向
上させなければならない。
【0007】上記従来の防振支持装置にストッパ装置を
設けると、例えば、前記外殻に、この外殻から径方向外
側に向けて延在するようにストッパ部材を固定するとと
もに、支承部材に、前記ストッパ部材を振動体支持方向
の両側から囲むようにストッパ規制部材を固定する構造
が考えられる。そして、車両の急加速時に支持弾性体が
伸長状態となると、振動体支持方向に移動するストッパ
部材がストッパ規制部材に当接するので、支持弾性体が
過剰に伸長状態となるのを防止することができる。
【0008】しかしながら、上述した構造では、ストッ
パ部材やストッパ規制部材が、装置の径方向外方に突出
した構造となり、また装置の高さも増大するので防振支
持装置の大型化につながってしまう。このため、搭載ス
ペース上の制約が大きい車両等にあっては、支持弾性体
のストッパ装置を備えた防振支持装置を適用するのが困
難であるという問題がある。
【0009】また、支承部材はブラケットを介してエン
ジンに取り付けるが、ブラケットと支承部材との振動特
性は、アイドル振動やこもり音振動等に関係する周波数
領域の振動伝達特性を大きく左右する。このため、この
周波数領域の共振点をできるだけ高くし、振動レベルを
抑制することがアイドル振動やこもり音振動を低減する
ために有効であるが、従来技術ではブラケットの剛性が
弱く、それによりブラケット及び支承部材の共振点が低
くなって共振時の振動レベルが高くなり、アイドル振動
やこもり音振動の低減には不利である。
【0010】本発明は、このような従来の技術が有する
解決すべき課題に着目してなされたものであって、支持
弾性体の過剰の伸長状態を規制する部材を、小型化を図
りながら配置することを可能とするとともに、ブラケッ
トの剛性を高めることにより振動体側から伝達される振
動伝達を低減することが可能な防振支持装置を提供する
ことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の防振支持装置は、振動体及び支持
体の一方にブラケットを介して固定された第1部材と、
前記振動体及び支持体の他方に振動体支持方向を軸とし
て固定された第2部材と、これら第1部材及び第2部材
間に前記振動体支持方向を軸として介在する支持弾性体
と、この支持弾性体によって画成され且つ内部に流体を
封入した流体室と、この流体室の隔壁の一部を形成し且
つその流体室の容積を変化させる方向に変位可能に前記
第2部材側に配設された可動部材と、前記第2部材側に
配設され且つ前記可動部材を変位させるアクチュエータ
と、を備えた防振支持装置において、前記第1部材に互
いに離間しながら前記ブラケットに向けて突出する2本
の連結ボルトを固定し、前記ブラケットに、互いの間に
空間を設けて平行に延在する二股形状の一対の連結部材
を形成し、前記2本の連結ボルトの間に前記一対の連結
部材間の前記空間を対応させ、前記2本の連結ボルトを
介して前記一対の連結部材に前記第1部材を一体に連結
するとともに、前記第1部材の前記2本の連結ボルトの
間に、弾性体からなるストッパ部材を固定し、前記一対
の連結部材の前記空間をアーチ状に延在して前記ストッ
パ部材に対して前記振動体支持方向において対向する規
制部材を前記第2部材に固定し、前記ブラケット及び前
記第2部材が互いに離間する方向に相対移動して前記支
持弾性体が伸長状態となるときに、前記ストッパ部材及
び前記規制部の当接により前記支持弾性体の伸長状態を
規制するようにした。
【0012】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の防振支持装置において、前記規制部材を、前記第2
部材に固定された脚部と、この脚部と連続して前記スト
ッパ部材に前記支持体支持方向において対向する規制体
とで構成し、前記規制体に、前記ストッパ部材に対向す
る幅を狭くした幅狭規制部と、該ストッパに対向する幅
を広くした幅広規制部とを形成するとともに、前記スト
ッパ部材を、前記幅狭規制部と略同一の幅を有して対向
する幅狭ストッパ部と、前記幅広規制部と略同一の幅を
有して対向する幅広ストッパ部とを備えた構造とし、且
つ前記幅広ストッパ部の振動体支持方向の厚みを、前記
幅狭ストッパ部の厚みより大きな形状とした。
【0013】
【発明の効果】請求項1記載の防振支持装置によると、
ブラケット及び第2部材が互いに離間する方向に相対移
動して支持弾性体が伸長状態となるときに、第1部材に
固定したストッパ部材と、このストッパ部材と対向した
状態で第2部材に固定されている規制部材とが当接して
支持弾性体の伸長状態を規制するので、支持弾性体の過
剰の伸長状態を防止することができる。この防振支持装
置を、前述したようにエンジンの車両後方側に配置され
るエンジンマウントとして適用すると、車両の急加速時
のように大きな外力が防振支持装置に入力する際に支持
弾性体が過剰に伸長されるおそれがあるが、本発明で
は、ストッパ部材と規制部材が支持弾性体の過剰伸長状
態を防止するので、車両の急加速時における支持弾性体
の劣化を確実に防止することができる。
【0014】また、規制部材は、一対の連結部材の空間
をアーチ状に延在して第2部材に固定されながら、スト
ッパ部材に対して振動体支持方向において対向するよう
に設けられているので、防振支持装置の振動体支持方向
(高さ方向)の寸法は増大しない。このため、装置の小
型化を図ることができるとともに、搭載スペース上の制
約が大きい車両のエンジンマウントにとっては非常に有
利な装置となる。
【0015】さらに、ブラケットの二股形状に形成した
一対の連結部材に、互いに離間してブラケットに向けて
突出する2本の連結ボルトを介して第1部材が一体に連
結されているので、第1部材がブラケットの補強部材と
なり、ブラケットの耐久性が向上する。そして、ブラケ
ットが2本の連結ボルトを介して第1部材と一体化され
たことによってブラケットの剛性が高められるので、こ
のブラケット及び第1部材の共振点が高くなり、共振時
の振動レベルを抑制することができる。これにより、第
1部材を振動体側に固定すると、振動体側から伝達され
る振動伝達を低減することができる。
【0016】また、請求項2記載の防振支持装置は、請
求項1記載の効果を得ることができるとともに、規制体
の幅広規制部に対向するストッパ部材の幅広ストッパ部
が、幅狭規制部に対向する幅狭ストッパ部と比較して厚
みの大きな形状に形成されているので、ブラケット及び
第2部材が互いに離間する方向に相対移動して支持弾性
体が伸長状態となるときに、幅狭規制部及び幅狭ストッ
パ部の両者より先に、幅広規制部及び幅広ストッパ部が
当接する。
【0017】この際、これら幅広規制部及び幅広ストッ
パ部が広い接触面で当接することによって幅広ストッパ
部は局所的に弾性変形しないので、幅広規制部及び幅広
ストッパ部が急激に衝突しても幅広ストッパ部の損傷を
防止することができる。
【0018】また、外部入力の増大によりブラケット及
び第2部材がさらに離間すると、幅広規制部及び幅広ス
トッパ部とともに、幅狭規制部及び幅狭ストッパ部どう
しも当接し、規制体及びストッパ部材の接触面積が増大
するので、規制体との急激な衝突によるストッパ部材の
耐久性を向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明に係る防振支持装
置を、振動体としてのエンジン側から支持体としての車
体側部材に伝達される振動を能動的に低減する所謂アク
ティブエンジンマウント(以下、単にエンジンマウント
と称する)に適用したものである。そして、図1の符号
20で示すエンジンマウントは、横置に搭載したエンジ
ン22の車体後方側に配設され、その上部がブラケット
24に、下部が車体26に固定された支持体としてのメ
ンバ28に取り付けられている。
【0020】また、図2は、前述したブラケット24
と、そのブラケット24に連結するエンジンマウント2
0の上部構造を示すものである。前記ブラケット24
は、エンジン22車体後方側の側部にエンジン固定ボル
トを介して固定される第1ブラケット部材24aと、こ
の第1ブラケット部材24aと一体化され、エンジンマ
ウント20と連結ボルト30aを介して連結する第2ブ
ラケット部材24bとで構成されている。すなわち、前
記第1ブラケット部材24aは、固定ボルト挿通用のボ
ルト挿通孔24a1 を形成したエンジン側連結板24a
2 と、このエンジ側連結板24a2 の幅方向両側から折
曲されて車体後方側に向けて平行に延びる一対の補強板
24a3 とを備えている。また、第2ブラケット部材2
4bは、前記エンジン側連結板24a2 と溶接等の接合
手段によって一体化された固着板24b1 と、この固着
板24b1 の上部から互いの間に所定長さLの幅の空間
を設けて車体後方側に向けて平行に延びる連結部材とし
ての一対のマウント側連結板24b2 とを備えている。
また、一対のマウント側連結板24b2 には連結ボルト
30aが挿通するボルト挿通孔24b3 が形成されてい
る。
【0021】そして、エンジンマウント20の上部は、
第1部材としてのエンジン側連結部材30から上方に向
けて突出している2本の連結ボルト30aを、上述した
ブラケット24のボルト挿通孔24b3 に下側から挿通
し、ナットを螺合することによりブラケット24に連結
される。
【0022】次に、図3から図10を参照してエンジン
マウント20の具体的構造を説明する。このエンジンマ
ウント20は、第2部材としての装置ケース43内に、
主流体室と複数のオリフィス及び副流体室を画成する弾
性支持体32、内筒34、第1オリフィス構成部材3
6、外筒38等のマウント部品を内蔵し、これらマウン
ト部品の下部に、主流体室の隔壁の一部を形成しながら
弾性支持された可動部材を主流体室の容積が変化する方
向に変位させるアクチュエータとしての電磁アクチュエ
ータ52を内蔵した装置である。
【0023】すなわち、このエンジンマウント20は、
前述したように互いに平行に離間した2本の連結ボルト
30aを上方に向けて固定したエンジン側連結部材30
を備えている。このエンジン側連結部材30の下部に
は、断面逆台形状の中空筒部30bが固定されている。
【0024】そして、エンジン側連結部材30の上面に
は、2本の連結ボルト30a間を結ぶ線に対して直交す
る方向に、ストッパ部材としてのリバウンドストッパ部
材31となる所定厚さの弾性体が加硫接着により固定さ
れているとともに、このリバウンドストッパゴム31と
連続するエンジン側連結部材30の下面側には、エンジ
ン側連結部材30の下部側及び中空筒部30bの周囲を
覆うように、支持弾性体32が加硫接着により固定され
ている。
【0025】この支持弾性体32は、中央部から外周部
に向けて緩やかに下方に傾斜する肉厚の略円筒状の弾性
体であって、その外周面は、軸心が中空筒部30bと同
軸に振動体支持方向(この場合は、上下方向)を向く内
筒34の内周面に加硫接着により結合されている。
【0026】前記内筒34は、図3に示すように、上端
筒部34aから下方に向かうに従い徐々に縮径されて傾
斜部34bが形成され、傾斜面34bの下端部から下方
に向けて上端筒部34aより小径の小径部34cが形成
されている。そして、この小径部34cの下端部から径
方向外方に向けて環状部34dが形成され、この環状部
34dの外周端部から下方に向けて前記上端筒部34a
と同一外周径の下端筒部34eが形成された部材であ
る。そして、小径部34cには、軸心に対して互いに対
称となる位置に第1開口孔34f及び第2開口孔34g
が形成されている。そして、内筒34の傾斜部34b、
小径部34cの内周面には、支持弾性体32の下部側か
ら連続する薄膜弾性体32aが結合しており、この薄膜
弾性体32aは、さらに環状部34d側及び下端筒部3
4e側まで延びて、環状部34d及び下端筒部34eの
内周面に結合している。ここで、薄膜弾性体32aの下
端部は、肉厚を厚くした形状とされている。また、第1
開口孔34fは、薄膜弾性体32aに閉塞されて第1ダ
イアフラム32cを形成しているが、第2開口孔34g
は薄膜弾性体32aに閉塞されずに開口している。
【0027】また、支持弾性体32の内部に断面山形状
の空洞部32bが形成されており、この空洞部32bの
下部に位置するように、第1オリフィス構成部材36が
内筒34に内嵌されている。この第1オリフィス構成部
材36は、内筒34の小径部34cより小径に形成され
た最小径筒部36aを備え、その最小径筒部36aの上
下端部に径方向外方に向けて環状部36b、36cが形
成された筒状部材である。上部側の環状部36bは、外
周径が内筒34の小径部34cより僅かに小径となるよ
うに形成されている。また、下部側の環状部36cは、
内筒34の下端筒部34eより小径に形成されていると
ともに、その外周端部から下方に向けて筒状端部36c
1 が形成されている。さらに、最小径筒部36aには、
内筒34に形成した第2開口孔34gと対向する位置
に、第3開口孔36dが形成されている。ここで、前述
したように肉厚を厚くした薄膜弾性体32aの下端部
は、内筒34の下端筒部34e及び第1オリフィス構成
部材36の筒状端部36c1 との間で挟み込まれること
により、径方向に圧縮されながら挟み込まれた部分から
下側に僅かに突出する。
【0028】また、内筒34には外筒38が外嵌されて
おり、傾斜部4b、小径部34c及び環状部34dの外
周面で形成した凹部を外筒38の内周面で囲むことによ
り、周方向に環状空間が画成されている。そして、この
環状空間に、第2オリフィス構成部材40及び第2ダイ
アフラム42が配設されている。
【0029】すなわち、外筒38は、その内周径を内筒
34の外周径と同一寸法とし、また軸方向の長さを内筒
34と同一寸法とした円筒部材であり、その内周面に
は、弾性体からなる薄肉の液密シール材38aが接合さ
れている。そして、この外筒38には、前記凹部の略1
/3の部分を外周側から臨むことが可能となるように、
長手方向が周方向に延びるスリット状の開口部38bが
形成されている。
【0030】また、第2ダイアフラム42はゴム状の薄
膜弾性体であり、図6に示すように、開口部38bの開
口縁部の全周に結合して開口部38bを閉塞し、前記凹
部の略1/3の部分に向けて膨出した状態で配設されて
いる。また、第2オリフィス構成部材40は、第2ダイ
アフラム42の配設により小空間となった残りの環状空
間(凹部の略2/3の部分に対応する環状空間)に配設
されており、図6及び図7に示すように、弾性体からな
る隔壁部材40a及び通路形成部材40bとで構成され
ている。
【0031】前記隔壁部材40aは、第2ダイアフラム
42の長手方向の一端部42aに近接する環状空間に、
この環状空間を形成する内筒34及び外筒38の間に嵌
入された状態で配設されており、この隔壁部材40aに
よって通路形成部材40b側から第2ダイヤフラム42
側への流体の流れが遮断されている。また、通路形成部
材40bは、隔壁部材40aに近接する位置から第2ダ
イアフラムの長手方向の他端部42bに近接する位置ま
での環状空間を連続して形成されており、一端開口部4
0b3 が内筒34の第2開口孔34gと連通して周方向
に沿って延在し、他端開口部が隔壁部材40aに向けて
開口する第1通路40b1 と、この第1通路40b1
上部の異なる通路として第1通路40b1 の略2倍の長
さで周方向に延在し、一端開口部が隔壁部材40aに向
けて開口し、他端開口部40b4が第2ダイヤフラム4
2の他端部42bに向けて開口する第2通路40b2
を備えた部材である。そして、この外筒38は、装置ケ
ース43の上部側に内嵌されている。
【0032】前記装置ケース43は、その上端部に内筒
34の外周径より小径の円形開口部を有する上端かしめ
部43aが形成されているとともに、この上端かしめ部
43aと連続するケース本体の形状を、内周径が外筒3
8の外周径と同一寸法で下端開口部まで連続する円筒形
状(下端開口部を図3の破線で示した形状)とした部材
である。そして、支持弾性体32及び内筒34と一体化
された外筒38を、装置ケース43の下端開口部から内
部に嵌め込んでいき、上端かしめ部43aの下面に外筒
38及び内筒34の上端部が当接することにより、それ
らは装置ケース43内の上部に配設される。ここで、図
3及び図6に示すように、装置ケース43の内周面と第
1ダイヤフラム32cとで囲まれた部分に空気室42c
が画成されるが、この空気室42cを臨む位置に空気孔
42dが形成され、この空気孔42dを介して空気室4
2cと大気が連通している。
【0033】さらに、装置ケース43内の下部には、電
磁アクチュエータ52等の複数のアクチュエータ部品が
順次配設され、全ての部品を配設した後、装置ケース4
3の下端部を径方向内方に向けて変形することにより、
図3の実線で示すように下端かしめ部43cが形成され
ている。
【0034】すなわち、外筒38の下部には、シールリ
ング44、磁路部材46と一体化された板バネ48、ギ
ャップ保持リング50、電磁アクチュエータ52、荷重
センサ54及び車体側連結部材56が、装置ケース43
の下側開口部から順次配設されている。ここで、本実施
形態では、磁路部材46及び板バネ48によって可動部
材が構成されている。
【0035】前記シールリング44は、図3に示すよう
に、装置ケース43の内周径と同一の外周径寸法とし、
第1オリフィス構成部材36の下部側の環状部36cよ
り小径の内周径とした環状部材であり、その下面には所
定半径の周方向に形成したリング溝内にOリング44a
が装着されている。このシールリング44を、その上面
を外筒38の下端部に当接して配設する。また、板バネ
48は、その外周径が装置ケース43の内周径より僅か
に縮径された円板部材であり、この板バネ48の下部
に、鉄等の磁化可能な金属からなる磁路部材46が同軸
に固定されている。そして、板バネ48の上面周縁部を
前記シールリング44の下面に当接した後、板バネ48
の下面周縁部に当接した状態でギャップ保持リング50
を配設する。また、ギャップ保持リング50は、磁路部
材46の下面と電磁アクチュエータ52の上面との間に
所定の隙間が設けられるように、軸方向の長さを、板バ
ネ48の下面から磁路部材46の下面までの軸方向長さ
に隙間の寸法を加えた値に設定した環状部材である。
【0036】また、このギャップ保持リング50の下面
に当接して配設された電磁アクチュエータ52は、円筒
形のヨーク52aと、ヨーク52a内の上端面側に軸方
向を上下方向として巻き付けられた励磁コイル52b
と、励磁コイル52bに包囲されている範囲内のヨーク
52aの上面に磁極を上下方向に向けて固定された永久
磁石52cとから構成されている。
【0037】また、電磁アクチュエータ52の下側に
は、互いに離間した2本の車体側取付けボルト56aを
下方に向けて固定した略円板形状の車体側連結部材56
が配設されるが、この車体側連結部材56の上面とヨー
ク52aの下面との間に荷重センサ54が配設されてい
る。
【0038】そして、前述したように装置ケース43の
下端部に下端かしめ部43dを形成すると、車体側連結
部材56の周縁部が外側から覆われた状態で固定され
る。この際、電磁アクチュエータ52が外筒38側に押
し込まれるので、下端筒部34e及び筒状端部36c1
との間で挟みこまれている薄膜弾性体32aの下端部
が、シールリング44の上面によって上方向に押圧され
て圧縮状態となる。また、シールリング44の下面に装
着されているOリング44aも、板バネ48に上方向に
押圧されて全周にわたって変形する。なお、ギャップ保
持リング50の上下面が板バネ48の下面及びヨーク5
2aの上面に当接するので、磁路部材46の下面と電磁
アクチュエータ52の上面との間には所定の隙間が設け
られる。
【0039】一方、図2、図4及び図5に示すように、
装置ケース43の上部には、バウンドストッパ部材59
aが固定されているとともに、前述したストッパ部材と
してのリバウンドストッパ部材31と対向する位置に、
規制部材としてのリバウンド規制部材60が固定されて
いる。
【0040】すなわち、装置ケース43の上端かしめ部
43aの周方向に離間した位置に、2つのストッパ金具
59bが固定されており、これらストッパ金具59bの
上面に、所定厚さの弾性体からなるバウンドストッパ部
材59aが固定されている。そして、これら2つのバウ
ンドストッパ部材59aの固定位置は、ブラケット24
に連結ボルト30aを連結したときに、一対のマウント
側連結板24b2 と対向する位置とされている。
【0041】また、リバウンド規制部材60は、2本の
連結ボルト30a間を結ぶ線に対して直交し、エンジン
側連結部材30の上方をアーチ状に延在しながら装置ケ
ース43に固定されており、エンジン側連結部材30の
上面に固定したリバウンドストッパ部材31と対向する
規制体60aと、規制体60aの両端部から徐々に下が
って装置ケース43の外周に固定された一対のストッパ
脚部60b、60cとで構成されている。
【0042】ここで、前記規制体60aは、図4に示す
ように、連結ボルト30aへのナット61の締め付けに
必要な空間をできるだけ広く設けるために、一方のスト
ッパ脚部60bから連結ボルト30aに近接する位置ま
で延在する部分が幅の狭い形状とされ(以下、符号60
1 で示す幅狭規制部と称する。)、この幅狭規制部6
0aから他方のストッパ脚部60cまで延在する部分が
徐々に幅が広い形状(以下、符号60a2 で示す幅広規
制部と称する。)となるように形成されている。
【0043】一方、この規制体60aの下方に配置され
ている弾性体からなるリバウンドストッパ部材31は、
図8及び図9に示すように、前記幅狭規制部60a1
下方に位置する部分が、その幅狭規制部60a1 と略同
一幅を有して所定厚さC1 に形成され(以下、符号31
aで示す幅狭ストッパ部と称する。)ている。また、前
記幅広規制部60a2 の下方に位置する部分は、その幅
広規制部60a1 と平面視において略同形状となるよう
に徐々に幅が広い形状とされているとともに、前記幅狭
ストッパ部31aより大きな厚さC2 (C2 >C1 )に
形成されている(以下、この部分を符号31bで示す幅
広ストッパ部と称する。)。このように、幅広ストッパ
部31bは、幅狭ストッパ部31aより大きな厚さで形
成されているので、その上面は、幅狭ストッパ部31a
の上面より幅広規制部60a1 に近接している。
【0044】そして、これら幅狭ストッパ部31a及び
幅広ストッパ部31bの間には、幅狭ストッパ部31a
から幅広ストッパ部31bに向かうに従い上り傾斜面を
有する傾斜ストッパ部31cが設けられている。
【0045】そして、図10に示すように、2本の連結
ボルト20aを、一対のマウント側連結板24b2 のボ
ルト挿通孔24b3 に下側から挿通し、連結ボルト20
aにナット61を螺合すると、一対のマウント側連結板
24b2 の下面にエンジン側連結部材30の上面が当接
した状態でエンジンマウント20の上部がブラケット2
4に連結される。また、リバウンド規制部材60は、所
定長さLの幅の空間を設けて互いに離間している一対の
マウント側連結板24b2 の間にアーチ状に延在する。
【0046】ところで、本実施形態のエンジンマウント
20は、第1オリフィス構成部材36の外周側及び第1
オリフィス構成部材36の内部が、第3開口孔36dを
介して連通し、第1オリフィス構成部材26の内部及び
第2オリフィス構成部材40の第1通路40b1 が、第
2開口孔34gを介して連通し、第1通路40b1 から
第2ダイヤフラム42が膨出している空間に第2通路4
0b2 を介して連通している。
【0047】そして、支持弾性体32の空洞部32bと
第1オリフィス構成部材36の上部外周面とで画成され
た部分を主流体室66とすると、この主流体室66から
前述した第2ダイヤフラム42が膨出している空間まで
の連通路内に、油等の流体が封入されている。そして、
前述した第1及び第2オリフィス構成部材36、40及
び第1及び第2ダイアフラム32c、42cによって、
主流体室66の容積が変動する際に流体共振を発生する
3箇所の第1〜第3オリフィス68A、70A、72A
及び第1〜第3副流体室68B、70B、72Bが形成
されている。
【0048】すなわち、第1オリフィス68Aは、図6
に示すように、第1オリフィス構成部材36の最小径筒
部36aと内筒34の小径部34cで囲まれた内部空間
であり、第1副流体室68Bは、第1ダイアフラム32
c近傍の第1オリフィス構成部材36の内部空間として
いる。また、第2オリフィス70Aは、図6及び図7に
示すように、第1通路40b1 から第2通路40b2
通過して第2ダイヤフラム42が内部に膨出している位
置までの空間であり、第2副流体室70Bは、第2ダイ
ヤフラム42が内部に膨出している空間としている。さ
らに、第3オリフィス72Aは、図3に示すように、最
小径筒部36aの内周側の空間であり、第3副流体室7
2Bは、最小径筒部36aの下端面から板バネ48まで
の空間としているそして、第1オリフィス68A及び第
1副流体室68Bで構成した流体共振系の特性は、減衰
ピーク周波数(減衰が最大となる周波数)が、車両停車
中に発生するアイドル振動(20〜30Hz程度)の周波
数に一致するように調整されている。また、第2オリフ
ィス70A及び第2副流体室70Bで構成した流体共振
系の特性は、減衰ピーク周波数がブレーキング時に発生
するシェイク振動(20Hz以下)の周波数に一致するよ
うに調整されている。さらに、第3オリフィス72A及
び第3副流体室72Bで構成した流体共振系の特性は、
減衰ピーク周波数が、車室内のこもり音振動・加速時騒
音振動(80〜800Hz以上)の周波数に一致するよう
に調整されている。
【0049】そして、電磁アクチュエータ52の励磁コ
イル52bは、コントローラ74にハーネスを介して接
続されており、図1のブロック図で示すように、コント
ローラ74から供給される駆動電流としての駆動信号y
に応じて所定の電磁力を発生するようになっている。
【0050】コントローラ74は、マイクロコンピュー
タ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A
変換器,アンプ等を含んで構成されており、アイドル振
動周波数及びそれ以上の高周波の振動(例えば、こもり
音振動)が入力されている場合には、その振動と同じ周
期の制御振動がエンジンマウント20に発生して、メン
バ28への振動の伝達力が“0”となるように(より具
体的には、エンジン22側の振動によってエンジンマウ
ント20に入力される加振力が、電磁アクチュエータ5
2の電磁力によって得られる制御力で相殺されるよう
に)、駆動信号yを生成し励磁コイル52bに供給する
ようになっている。
【0051】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動がエンジンマウント20を介して
メンバ28に伝達されることが主な原因であるから、そ
のエンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し
出力すれば、振動伝達率の低減が可能となる。そこで、
本実施形態では、エンジン22のクランク軸の回転に同
期した(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、
クランク軸が180度回転する度に一つの)インパルス
信号を生成し基準信号xとして出力するパルス信号生成
器76を設けていて、その基準信号xが、エンジン22
における振動の発生状態を表す信号としてコントローラ
74に供給されている。
【0052】一方、前述したようにエンジンマウント2
0には荷重センサ54が内蔵されており、メンバ28の
振動状況を荷重の形で検出し残留振動信号eとして出力
し、その残留振動信号eが干渉後における振動を表す信
号としてコントローラ74に供給されている。そして、
コントローラ74は、それら基準信号x及び残留振動信
号eに基づき、逐次更新形の適応アルゴリズムの一つで
あるFiltered−X LMSアルゴリズムに従っ
て駆動信号yを生成し出力する。
【0053】次に、本実施形態の防振機構の作用を説明
する。エンジン22が始動状態となりエンジンマウント
20に振動が入力されるようになると、コントローラ7
4は、所定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ5
2に駆動信号yを出力し、エンジンマウント20に振動
を低減し得る能動的な制御力を発生させる。
【0054】すなわち、コントローラ74からエンジン
マウント22の電磁アクチュエータ52に対しては、基
準信号xが入力された時点から所定のサンプリング・ク
ロックの間隔で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数が順番に駆動信号yとして供給される。この結果、
励磁コイル52bに駆動信号yに応じた磁力が発生する
が、磁路部材46には既に永久磁石52cによる一定の
磁力を付与されているから、その励磁コイル52bによ
る磁力は、永久磁石52cの磁力を強める又は弱めるよ
うに作用すると考えることができる。つまり、励磁コイ
ル52bに駆動信号yが供給されていない状態では、磁
路部材46は、板バネ48による弾性支持力と、永久磁
石52cの磁力との釣り合った中立の位置に変位するこ
とになる。そして、この中立の状態で励磁コイル52b
に駆動信号yが供給されると、その駆動信号yによって
励磁コイル52bに発生する磁力が永久磁石52cの磁
力と逆方向であれば、磁路部材46は電磁アクチュエー
タ52とのクリアランスが増大する方向に変位する。逆
に、励磁コイル52bに発生する磁力が永久磁石52c
の磁力と同じ方向であれば、磁路部材46は電磁アクチ
ュエータ52とのクリアランスが減少する方向に変位す
る。
【0055】このように、板バネ48は電磁アクチュエ
ータ52が発生する磁力によって上下両方向に変位可能
であり、板バネ48が上下に変位すれば、主流体室66
の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体32
の拡張方向ばねが変形するから、このエンジンマウント
20に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのであ
る。そして、駆動信号yとなる適応ディジタルフィルタ
Wの各フィルタ係数W1は同期式Filtered−X
LMSアルゴリズムに従って逐次更新されるため、あ
る程度の時間が経過して適応ディジタルフィルタWの各
フィルタ係数Wiが最適値に収束した後は、駆動信号y
がエンジンマウント20に供給されることによって、エ
ンジン22からエンジンマウント20を介してメンバ2
8側に伝達されるアイドル振動やこもり音振動が低減さ
れるようになる。
【0056】ここで、エンジン22側からエンジンマウ
ント20に入力される振動の周波数が、ブレーキング時
のシェイク振動周波数の近傍であれば、本実施形態で
は、主流体室66を第2オリフィス70Aを介して第2
副流体室70Bに連通させており、しかもその流体共振
系の共振周波数をシェイク振動周波数に一致させている
ため、主流体室66の容積が変動すると第2オリフィス
70Aを通じて主流体室66及び第2副流体室70B間
に流体移動による流体共振が発生する。その結果、シェ
イク振動に対して高減衰力を与えることができ、良好な
防振効果を得ることができる。
【0057】また、エンジン22側からエンジンマウン
ト20に入力される振動の周波数が、車両停車中のアイ
ドル振動周波数の近傍となると、その周波数で主流体室
66も容積変化が生じても第2オリフィス70A内の流
体はそのアイドル振動周波数に追従できずスティック状
態となるため、第2オリフィス70Aを介した主流体室
66及び第2副流体室70B間での流体の移動は生じな
い。したがって、主流体室66内の容積変動は、第1オ
リフィス68Aを介して第1副流体室68Bに伝達され
るが、この流体共振系の共振周波数はアイドル振動周波
数に一致させているので、主流体室66の容積がその周
波数で周期的に変化しても第1オリフィス68A内の流
体はスティック状態とならず、主流体室66内の圧力変
化が直接作用する第1オリフィス68Aを介して主流体
室66及び第1副流体室68B間で流体の移動が生じ
る。これにより、第1オリフィス68Aを通じて主流体
室66及び第2副流体室68B間で流体共振が発生する
ので、同一の電磁アクチュエータ52によってより大き
な制御力を発生することができる。特にエンジン22側
で発生する振動の振幅が大きいアイドル振動に対して大
きな振幅の制御振動を重畳させることができ、良好な防
振効果を得ることができるのである。
【0058】さらに、エンジン22側からエンジンマウ
ント20に入力される振動の周波数が、こもり音振動や
加速時騒音振動の周波数の近傍になると、その周波数で
主流体室66も容積変化が生じても第1オリフィス68
A内の流体はそのこもり音振動周波数に追従できずステ
ィック状態となるため、第1オリフィス68Aを介した
主流体室66及び第2副流体室68B間での流体の移動
は生じない。したがって、主流体室66内の容積変動
は、第3オリフィス72Aを介して第3副流体室72B
に伝達されるが、この流体共振系の共振周波数はこもり
音振動・加速時騒音振動の周波数に一致させているの
で、主流体室66の容積がその周波数で周期的に変化し
ても第3オリフィス72A内の流体はスティック状態と
ならず、主流体室66の容積が変動すると第3オリフィ
ス72Aを通じて主流体室66及び第3副流体室72B
間で流体共振が発生し、同一の電磁アクチュエータ52
によって、より大きな制御力を発生することができる。
【0059】次に、ブラケット24とエンジンマウント
20の上部との一体構造による作用、エンジンマウント
20の上部に配設したバウンド規制部材24b2 、バウ
ンドストッパ部材59a、リバウンドストッパ部材31
及びリバウンド規制部材60の作用について、図10か
ら図12を参照して説明する。
【0060】先ず、図10に示すように、エンジン22
から車体後方側に延在している一対のマウント側連結板
24b2 は、2本の連結ボルト30a及びナット61を
介してエンジン側連結部材30と一体に連結されてお
り、エンジン側連結部材30がブラケット24の補強部
材とされているのでブラケット24の耐久性が向上す
る。そして、エンジン側連結部材30と一体化されたこ
とによってブラケット24の剛性が高まり、このブラケ
ット24が高剛性となることによってブラケット24及
びエンジン側連結部材30の共振点が高くなり、共振時
の振動レベルを抑制することができる。これにより、エ
ンジン22側から伝達されるアイドル振動やこもり音振
動の伝達を低減することができる。
【0061】また、車両の急加減速時には、エンジン2
2の急激なトルク変化によってエンジン22が車体の前
後方向にロールするが、エンジン22の車体後方側に配
設したエンジンマウント20は、エンジン22のロール
による大きな入力を減衰するために振動体支持方向にバ
ウンド状態及びリバウンド状態を繰り返す。
【0062】すなわち、エンジンマウント20がバウン
ド状態となると、ブラケット24及び装置ケース43が
互いに近接する方向に相対移動し、エンジン側連結部材
30と内筒34との間に結合されている支持弾性体32
が振動体支持方向に圧縮状態となる。この際、車両の急
減速時のように大きな外力がエンジンマウント20に入
力すると、支持弾性体32が過剰に圧縮されるおそれが
ある。ところが、本実施形態では、図11に示すよう
に、ブラケット24及び装置ケース43が互いに近接す
る方向に相対移動すると、支持弾性体32が所定の圧縮
状態となった時点で、バウンド規制部材24b2 の下面
に対して装置ケース43の上端かしめ部43aに固定し
たバウンドストッパ部材59aが弾性変形しながら当接
する。これにより、ブラケット24及び装置ケース43
が互いに近接する方向へさらに相対移動するのが規制さ
れるので、支持弾性体32の過剰圧縮が防止される。
【0063】一方、エンジンマウント20がリバウンド
状態となると、ブラケット24及び装置ケース43が互
いに離間する方向に相対移動し、エンジン側連結部材3
0と内筒34との間に結合されている支持弾性体32が
振動体支持方向に伸長状態となる。この際、車両の急加
速時のように大きな外力がエンジンマウント20に入力
すると、支持弾性体32が過剰に伸長するおそれがあ
る。
【0064】ところが、本実施形態では、図12に示す
ように、ブラケット24及び装置ケース43が互いに離
間する方向に相対移動すると、支持弾性体32が所定の
伸長状態となった時点で、リバウンド規制部材60の規
制体60aの下面に対してリバウンドストッパ部材31
が弾性変形しながら当接する。これにより、ブラケット
24及び装置ケース43が互いに離間する方向へさらに
相対移動するのが規制されるので、支持弾性体32の過
剰伸長を防止することができる。
【0065】さらに、本実施形態のリバウンドストッパ
部材31は、規制体60aの幅広規制部60a1 に下方
から対向する幅広ストッパ部31bが、幅狭規制部60
1に下方から対向する幅狭ストッパ部31aと比較し
て厚い形状(厚さがC2 の寸法)に形成されているの
で、エンジンマウント20がリバウンド状態となると、
幅狭規制部60a1 及び幅狭ストッパ部31aの両者よ
り先に、幅広規制部60a1 及び幅広ストッパ部31b
が当接する。
【0066】この際、これら幅広規制部60a1 及び幅
広ストッパ部31bは広い接触面で当接し幅広ストッパ
部31bは局所的に弾性変形しないので、規制体60a
及びリバウンドストッパ部材31が急激に衝突しても幅
広ストッパ部31bの損傷が防止される。また、外部入
力の増大によりブラケット24及び装置ケース43がさ
らに離間すると、幅狭規制部60a1 及び幅狭ストッパ
部31aどうしも当接して規制体60a及びリバウンド
ストッパ部材31の接触面積が増大するので、規制体6
0aとの急激な衝突によるリバウンドストッパ部材31
の耐久性を向上させることができる。
【0067】さらに、リバウンドストッパ部材31及び
リバウンド規制部材60は、ブラケット24とエンジン
側連結部材30の間に設けられているので、エンジンマ
ウント20の径方向の寸法は増大しない。また、リバウ
ンドストッパ部材31は、エンジン側連結部材30の上
面に設けられ、規制体60aを有するリバウンド規制部
材60は、所定長さLの幅の空間を設けて互いに離間し
ている一対のマウント側連結板24b2 の間にアーチ状
に延在しているので、リバウンドストッパ部材31及び
リバウンド規制部材60を配置してもエンジンマウント
20の高さ方向の寸法も増大しない。
【0068】このように、本実施形態のエンジンマウン
ト20は、径方向の寸法及び高さ方向の寸法も増大しな
いので、装置の小型化を図ることができる。そして、搭
載スペース上の制約が大きい車両のエンジンマウント2
0にとっては非常に有利である。
【0069】なお、エンジ側ブラケット24は、上記実
施形態で示した構造に限るものではなく、リバウンドス
トッパ部材31を配設することが可能な空間を設けて2
本の連結ボルト30aを介してエンジン側連結部材30
と一体に連結し、且つバウンド規制部材を備える構造で
あれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることがで
きる。
【0070】また、上記実施形態では、本発明に係る防
振支持装置を、エンジン22を支持するエンジンマウン
ト20に適用した場合を示しているが、本発明に係る防
振支持装置の適用対象はエンジンマウント20に限定さ
れるものではなく、例えば振動を伴う工作機械の防振支
持装置等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振支持装置の配置状態を示す全
体構成図である。
【図2】本発明に係るブラケットと防振支持装置の上部
構造を示す図である。
【図3】防振支持装置の軸方向に沿った断面を示す図で
ある。
【図4】防振支持装置を平面視で示した図である。
【図5】防振支持装置を側面視で示した図である。
【図6】防振支持装置を軸方向に直交する方向に切断し
た状態の断面を示す図である。
【図7】防振支持装置の構成部材である第2オリフィス
構成部材の要部を示した斜視図である。
【図8】本発明に係る第1部材に固定されたストッパ部
材を示す図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視図である。
【図10】ブラケットと防振支持装置の連結構造を示す
図である。
【図11】防振支持装置のバウンド状態において支持弾
性体が圧縮状態となる際に、バウンドストッパ部材及び
バウンド規制部材による圧縮規制動作を示す図である。
【図12】防振支持装置のリバウンド状態において支持
弾性体が伸長状態となる際に、ストッパ部材及び規制部
材による伸長規制動作を示す図である。
【符号の説明】
20 エンジンマウント(防振支持装置) 22 エンジン(振動体) 24 ブラケット 24b2 マウント側連結板(連結部材) 28 メンバ(支持体) 30 エンジン側連結部材(第1部材) 30a 連結ボルト 31 リバウンドストッパ部材(ストッパ部材) 31a 幅狭ストッパ部 31b 幅広ストッパ部 32 支持弾性体 43 装置ケース(第2部材) 46 磁路部材(可動部材) 48 板バネ(可動部材) 52 電磁アクチュエータ(アクチュエータ) 60 リバウンド規制部材(規制部材) 60a 規制体 60a1 幅狭規制部 60a2 幅広規制部 60b、60c ストッパ脚部(脚部) 66 主流体室(流体室) 68A 第1オリフィス(流体室) 68B 第1副流体室(流体室) 70A 第2オリフィス(流体室) 70B 第2副流体室(流体室) 72A 第3オリフィス(流体室) 72B 第3副流体室(流体室)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 和重 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 浜辺 勉 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−65339(JP,A) 特開 昭58−37337(JP,A) 特開 平8−226487(JP,A) 特開 平6−10986(JP,A) 特開 平5−60168(JP,A) 実開 平4−46240(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 13/00 - 13/30 B60K 5/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動体及び支持体の一方にブラケットを
    介して固定された第1部材と、前記振動体及び支持体の
    他方に振動体支持方向を軸として固定された第2部材
    と、これら第1部材及び第2部材間に前記振動体支持方
    向を軸として介在する支持弾性体と、この支持弾性体に
    よって画成され且つ内部に流体を封入した流体室と、こ
    の流体室の隔壁の一部を形成し且つその流体室の容積を
    変化させる方向に変位可能に前記第2部材側に配設され
    た可動部材と、前記第2部材側に配設され且つ前記可動
    部材を変位させるアクチュエータと、を備えた防振支持
    装置において、 前記第1部材に互いに離間しながら前記ブラケットに向
    けて突出する2本の連結ボルトを固定し、前記ブラケッ
    トに、互いの間に空間を設けて平行に延在する二股形状
    の一対の連結部材を形成し、前記2本の連結ボルトの間
    に前記一対の連結部材間の前記空間を対応させ、前記2
    本の連結ボルトを介して前記一対の連結部材に前記第1
    部材を一体に連結するとともに、 前記第1部材の前記2本の連結ボルトの間に、弾性体か
    らなるストッパ部材を固定し、前記一対の連結部材の前
    記空間をアーチ状に延在して前記ストッパ部材に対して
    前記振動体支持方向において対向する規制部材を前記第
    2部材に固定し、前記ブラケット及び前記第2部材が互
    いに離間する方向に相対移動して前記支持弾性体が伸長
    状態となるときに、前記ストッパ部材及び前記規制部の
    当接により前記支持弾性体の伸長状態を規制するように
    したことを特徴とする防振支持装置。
  2. 【請求項2】 前記規制部材を、前記第2部材に固定さ
    れた脚部と、この脚部と連続して前記ストッパ部材に前
    記支持体支持方向において対向する規制体とで構成し、
    前記規制体に、前記ストッパ部材に対向する幅を狭くし
    た幅狭規制部と、該ストッパに対向する幅を広くした幅
    広規制部とを形成するとともに、 前記ストッパ部材を、前記幅狭規制部と略同一の幅を有
    して対向する幅狭ストッパ部と、前記幅広規制部と略同
    一の幅を有して対向する幅広ストッパ部とを備えた構造
    とし、且つ前記幅広ストッパ部の振動体支持方向の厚み
    を、前記幅狭ストッパ部の厚みより大きな形状としたこ
    とを特徴とする請求項1記載の防振支持装置。
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