JP3227963B2 - 能動型振動制御装置及び能動型騒音制御装置 - Google Patents

能動型振動制御装置及び能動型騒音制御装置

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JP3227963B2
JP3227963B2 JP33145693A JP33145693A JP3227963B2 JP 3227963 B2 JP3227963 B2 JP 3227963B2 JP 33145693 A JP33145693 A JP 33145693A JP 33145693 A JP33145693 A JP 33145693A JP 3227963 B2 JP3227963 B2 JP 3227963B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジン等の振動源
から発せられ車体を伝搬する周期的な振動に制御振動を
干渉させることにより振動の低減を図る能動型振動制御
装置及びエンジン等の騒音源から車室等に伝達される周
期的な騒音に制御音を干渉させることにより騒音の低減
を図る能動型騒音制御装置に関し、特に、振動又は騒音
の発生状態を表す基準信号をフィルタ処理して制御音源
又は制御振動源を駆動する駆動信号を生成する適応ディ
ジタルフィルタと、この適応ディジタルフィルタの各フ
ィルタ係数を適応アルゴリズムに従って逐次更新する手
段とを備えた能動型振動制御装置及び能動型騒音制御装
置において、制御の発散を抑制し安定した振動低減制御
又は騒音低減制御が実行されるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】振動低減を図る従来の技術として、例え
ば実公平1−41952号公報に記載される装置があ
り、かかる従来の振動低減装置は、特に車体の振動を低
減するための装置であって、簡単に説明すれば、車体に
固定された加振機に対する制御信号の位相を適宜制御す
ることにより、振動と逆位相の加振力がその加振機から
車体に入力されるようにして、振動を加振力で打ち消し
て車体振動の低減を図るようにしていた。
【0003】しかし、この従来の振動低減装置は、単に
振動と逆位相の加振力が発生するように加振機に対して
正弦波状の制御信号を付与する構成であったため、振動
伝達系の特性等が例えば各構成部品の劣化等によって変
動してしまうと、充分な振動低減効果が得られなくなる
可能性が高く、場合によっては振動を悪化させてしまう
恐れさえあった。
【0004】このような不具合に対処し得る従来の技術
として、例えば“日本音響学会 平成4年度春季研究発
表会講演論文集”の515〜516頁に記載された能動
型騒音制御装置があり、この従来の技術は、同期式Fi
ltered−X LMSアルゴリズムを適用した能動
型騒音制御装置である。即ち、LMSアルゴリズムと
は、適応アルゴリズムの一つであって、例えば騒音低減
装置にLMSアルゴリズムを適用する場合には、騒音の
発生状態を表す基準信号を取り込み、その基準信号を適
応ディジタルフィルタでフィルタ処理して制御音源を駆
動する信号を生成する一方で、騒音の低減状態を表す残
留騒音信号を取り込み、その残留騒音信号と基準信号と
に基づきLMSアルゴリズムに従って適応ディジタルフ
ィルタの各フィルタ係数を逐次更新するように構成する
ことになる。そして、このような適応アルゴリズムを用
いることにより、制御系の特性が未知であっても或いは
制御系の特性が当初の状態から変動してしまった場合で
あっても、騒音を低減し得る制御音を制御音源から発生
させることができるのである。
【0005】なお、上記論文集に開示されたLMSアル
ゴリズムは、特に同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムと呼ばれていて、周期的な振動や騒音を低
減する場合に有利なアルゴリズムであって、騒音の基本
周波数に同期したインパルス列を適用した点に特徴があ
る。即ち、基準信号がインパルス列であるため、乗算が
不要となり加算のみで畳み込み演算が行える、場合によ
っては加算も不要となるから、演算量の大幅な低減が図
られ処理が高速で行えるという利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようなLMSアルゴリズムを用いた従来の装置であっ
ても、安定した制御状態から何らかの外乱入力が生じた
とき、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数が不安定
になる状態を回避するための対策を有していなければ、
制御が発散して却って振動や騒音が増大してしまうとい
う問題点が生じてしまう。そこで、従来は、例えば残留
振動信号や残留騒音信号のレベルが制御開始前のレベル
に比べて増大している場合には、制御が発散したものと
判断して制御自体を中断する等していたが、これでは、
振動低減制御,騒音低減制御自体が停止してしまうた
め、有効な解決策とはいえない。
【0007】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、特に周
期的な振動や騒音の低減を図るにあたって、制御が発散
することを未然に防止することができる能動型振動制御
装置及び能動型騒音制御装置を提供することを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、振動源から発せられた周期
的な振動と干渉する制御振動を発生可能な制御振動源
と、前記振動源の振動発生状態を検出し基準信号として
出力する基準信号生成手段と、前記干渉後の振動を検出
し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、前
記基準信号をフィルタ処理して前記制御振動源を駆動す
る駆動信号を生成する適応ディジタルフィルタと、前記
基準信号及び前記残留振動信号に基づいて前記干渉後の
振動が低減するように適応アルゴリズムに従って前記適
応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処
理手段と、を備えた能動型振動制御装置において、前記
適応ディジタルフィルタが発散傾向にない安定状態であ
るか否かを判定する安定状態判定手段と、前記安定状態
にあるときに前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数が採り得る範囲の中間若しくはその付近の値である所
定のしきい値と前記適応ディジタルフィルタの各フィル
タ係数との大小関係を判定する大小関係判定手段と、前
記安定状態判定手段が前記安定状態であると判定した場
合に前記大小関係判定手段の判定結果を各フィルタ係数
と対応させて記憶する記憶手段と、前記大小関係判定手
段の判定結果と前記記憶手段の記憶内容とを比較し両者
が一致しない場合にはその対応するフィルタ係数を前記
しきい値に強制的に設定するフィルタ係数強制設定手段
と、を設けたものである。
【0009】また、上記目的を達成するために、請求項
2に係る発明は、振動源から発せられた周期的な振動と
干渉する制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動
源の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準
信号生成手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信
号として出力する残留振動検出手段と、前記基準信号を
フィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を
生成する適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び
前記残留振動信号に基づいて前記干渉後の振動が低減す
るように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタル
フィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を
備えた能動型振動制御装置において、前記適応ディジタ
ルフィルタの各フィルタ係数の最大値及び最小値を求め
る最大値最小値設定手段と、前記適応ディジタルフィル
タの前記最大値から最小値に向かう間の各フィルタ係数
の値が単調減少しているか否かを判定する単調減少判定
手段と、前記適応ディジタルフィルタの前記最小値から
最大値に向かう間の各フィルタ係数の値が単調増加して
いるか否かを判定する単調増加判定手段と、前記単調減
少判定手段が前記単調減少していないと判定した場合に
は前記適応ディジタルフィルタの前記最大値から最小値
に向かう間のフィルタ係数を単調減少するように強制的
に設定し且つ前記単調増加判定手段が前記単調増加して
いないと判定した場合には前記適応ディジタルフィルタ
の前記最小値から最大値に向かう間のフィルタ係数を単
調増加するように強制的に設定するフィルタ係数強制設
定手段と、を備えたものである。
【0010】また、上記目的を達成するために、請求項
3に係る発明は、振動源から発せられた周期的な振動と
干渉する制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動
源の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準
信号生成手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信
号として出力する残留振動検出手段と、前記基準信号を
フィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を
生成する適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び
前記残留振動信号に基づいて前記干渉後の振動が低減す
るように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタル
フィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を
備えた能動型振動制御装置において、前記適応ディジタ
ルフィルタの各フィルタ係数の最大値及び最小値を求め
る最大値最小値設定手段と、前記適応ディジタルフィル
タの前記最大値から最小値に向かう間の各フィルタ係数
の値が単調減少しているか否か又は前記最小値から最大
値に向かう間の各フィルタ係数の値が単調増加している
か否かの少なくとも一方を判定する単調変化判定手段
と、この単調変化判定手段が前記単調減少又は単調増加
していないと判定した場合には前記適応ディジタルフィ
ルタの対応する区間のフィルタ係数を単調減少又は単調
増加するように強制的に設定するフィルタ係数強制設定
手段と、を備えたものである。
【0011】そして、請求項4に係る発明である能動型
振動制御装置は、上記請求項1,請求項2又は請求項3
に係る発明において、前記周期的な振動の周期を検出す
る周期検出手段と、この周期検出手段が検出した前記振
動の周期が所定周期以上であるか否かを判定する周期判
定手段と、前記周期判定手段が前記振動の周期が前記所
定周期以上であると判定した場合に前記フィルタ係数強
制設定手段を処理実行可能状態とする第1の処理可能状
態制御手段と、を設けたものである。
【0012】さらに、請求項5に係る発明である能動型
振動制御装置は、上記請求項1,請求項2,請求項3又
は請求項4に係る発明において、前記適応ディジタルフ
ィルタの振幅が所定幅以上であるか否かを判定する振幅
判定手段と、前記振幅判定手段が前記振幅が前記所定幅
以上であると判定した場合に前記フィルタ係数強制設定
手段を処理実行可能状態とする第2の処理可能状態制御
手段と、を設けたものである。
【0013】一方、上記目的を達成するために、請求項
6に係る発明は、騒音源から発せられる周期的な騒音と
干渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の
騒音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号
生成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留騒音信号と
して出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号をフィ
ルタ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成す
る適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記残
留騒音信号に基づいて前記干渉後の騒音が低減するよう
に適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた
能動型騒音制御装置において、前記適応ディジタルフィ
ルタが発散傾向にない安定状態であるか否かを判定する
安定状態判定手段と、前記安定状態にあるときに前記適
応ディジタルフィルタのフィルタ係数が採り得る範囲の
中間若しくはその付近の値である所定のしきい値と前記
適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数との大小関係
を判定する大小関係判定手段と、前記安定状態判定手段
が前記安定状態であると判定した場合に前記大小関係判
定手段の判定結果を各フィルタ係数と対応させて記憶す
る記憶手段と、前記大小関係判定手段の判定結果と前記
記憶手段の記憶内容とを比較し両者が一致しない場合に
はその対応するフィルタ係数を前記しきい値に強制的に
設定するフィルタ係数強制設定手段と、を設けたもので
ある。
【0014】また、上記目的を達成するために、請求項
7に係る発明は、騒音源から発せられる周期的な騒音と
干渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の
騒音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号
生成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留騒音信号と
して出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号をフィ
ルタ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成す
る適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記残
留騒音信号に基づいて前記干渉後の騒音が低減するよう
に適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた
能動型騒音制御装置において、前記適応ディジタルフィ
ルタの各フィルタ係数の最大値及び最小値を求める最大
値最小値設定手段と、前記適応ディジタルフィルタの前
記最大値から最小値に向かう間の各フィルタ係数の値が
単調減少しているか否かを判定する単調減少判定手段
と、前記適応ディジタルフィルタの前記最小値から最大
値に向かう間の各フィルタ係数の値が単調増加している
か否かを判定する単調増加判定手段と、前記単調減少判
定手段が前記単調減少していないと判定した場合には前
記適応ディジタルフィルタの前記最大値から最小値に向
かう間のフィルタ係数を単調減少するように強制的に設
定し且つ前記単調増加判定手段が前記単調増加していな
いと判定した場合には前記適応ディジタルフィルタの前
記最小値から最大値に向かう間のフィルタ係数を単調増
加するように強制的に設定するフィルタ係数強制設定手
段と、を備えたものである。
【0015】また、上記目的を達成するために、請求項
8に係る発明は、騒音源から発せられる周期的な騒音と
干渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の
騒音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号
生成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留騒音信号と
して出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号をフィ
ルタ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成す
る適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記残
留騒音信号に基づいて前記干渉後の騒音が低減するよう
に適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた
能動型騒音制御装置において、前記適応ディジタルフィ
ルタの各フィルタ係数の最大値及び最小値を求める最大
値最小値設定手段と、前記適応ディジタルフィルタの前
記最大値から最小値に向かう間の各フィルタ係数の値が
単調減少しているか否か又は前記最小値から最大値に向
かう間の各フィルタ係数の値が単調増加しているか否か
の少なくとも一方を判定する単調変化判定手段と、この
単調変化判定手段が前記単調減少又は単調増加していな
いと判定した場合には前記適応ディジタルフィルタの対
応する区間のフィルタ係数を単調減少又は単調増加する
ように強制的に設定するフィルタ係数強制設定手段と、
を備えたものである。
【0016】そして、請求項9に係る発明である能動型
騒音制御装置は、上記請求項6,請求項7又は請求項8
に係る発明において、前記周期的な騒音の周期を検出す
る周期検出手段と、この周期検出手段が検出した前記騒
音の周期が所定周期以上であるか否かを判定する周期判
定手段と、前記周期判定手段が前記騒音の周期が前記所
定周期以上であると判定した場合に前記フィルタ係数強
制設定手段を処理実行可能状態とする第1の処理可能状
態制御手段と、を設けたものである。
【0017】さらに、請求項10に係る発明である能動
型騒音制御装置は、上記請求項6,請求項7,請求項8
又は請求項9に係る発明において、前記適応ディジタル
フィルタの振幅が所定幅以上であるか否かを判定する振
幅判定手段と、前記振幅判定手段が前記振幅が前記所定
幅以上であると判定した場合に前記フィルタ係数強制設
定手段を処理実行可能状態とする第2の処理可能状態制
御手段と、を設けたものである。
【0018】
【作用】ここで、LMSアルゴリズム等の適応アルゴリ
ズムを用いて周期的な振動を低減する場合を具体的に考
えてみる。例えば車両のエンジンで発生する周期的な振
動を車体側に伝達する前に打ち消してしまう所謂アクテ
ィブ・エンジンマウントにLMSアルゴリズムを適用す
る場合を考えると、エンジンのクランク軸の回転に同期
した信号を基準信号,エンジンマウントの車体側取付け
点近傍の振動を残留振動信号とし、その基準信号を適応
ディジタルフィルタでフィルタ処理して制御振動源とし
てのエンジンマウントに対する駆動信号を生成する一方
で、それら基準信号及び残留振動信号に基づいてLMS
アルゴリズムを実行して適応ディジタルフィルタの各フ
ィルタ係数を更新することになる。
【0019】そして、制御が特に発散傾向にない状況で
は、打ち消すべき振動が周期的であることから、図9
(a)に示すように、その適応ディジタルフィルタの各
フィルタ係数は、振動と同じ周期の正弦波状の軌跡を描
くようになる。ただし、適応ディジタルフィルタは、有
限インパルス応答(FIR)型のディジタルフィルタで
ある。
【0020】しかし、特にエンジン回転数が低回転であ
る時やアイドリング時等には、残留振動信号が、制御対
象の機械的な共振の影響により、エンジンで発生する周
期的な振動の周波数(20〜30Hz)の高次周波数に
おいて発散し易い傾向があり、その発散傾向にある残留
振動信号に基づいて適応ディジタルフィルタの各フィル
タ係数が更新されると、図9(b)に示すように、適応
ディジタルフィルタに基準信号の周波数以外にその高次
周波数の成分が表れ、制御が発散傾向になり、このまま
放っておくと図9(c)に示すように高次周波数の成分
が過大となって制御が発散してしまうのである。例え
ば、エンジンマウントが取り付けられる一般的なメンバ
の機械的な弾性共振が100〜200Hzに存在するた
め、そのような周波数が高次周波数となるような振動が
発生している状況で、特に制御が発散する可能性が高く
なるのである。
【0021】これに対し、請求項1に係る発明にあって
は、安定状態判定手段によって、適応ディジタルフィル
タが発散傾向にない状態(図9(a)に示すような状
態)であるか否かが判定される一方、大小関係判定手段
によって、安定状態にあるときに適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数の値が採り得る範囲の中間の値(具体
的には、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数が描く
正弦波状の波形の最大値及び最小値の中間の値である。
例えば、フィルタ係数が0を挟んで正負両方に振れる場
合には、「0」となる。)又はその付近の値である所定
のしきい値と、適応ディジタルフィルタの各フィルタ係
数との大小関係が判定され、その大小関係判定手段の判
定結果が記憶手段に記憶される。つまり、図9(a)の
例であれば、各フィルタ係数が、しきい値を挟んで上側
に存在するか下側に存在するか(より具体的には、各フ
ィルタ係数の極性)が大小関係判定手段によって判定さ
れることになる。
【0022】そして、特に適応ディジタルフィルタが安
定状態にない場合であっても、大小関係判定手段によっ
て上記大小関係が判定され、その判定結果と記憶手段の
記憶内容とがフィルタ係数強制設定手段によって比較さ
れ、フィルタ係数強制設定手段は、その比較の結果両者
が一致しない場合には、その一致しないフィルタ係数を
強制的に上記しきい値に設定する。
【0023】つまり、適応ディジタルフィルタが発散傾
向となって図9(b)に示すような状況になったとする
と、図9(a)であるときの大小関係が記憶手段に記憶
されていることから、それら図9(a)及び(b)を比
較して、極性が異なるフィルタ係数は、強制的に大きさ
「0」に設定されるのである。この結果、仮に図9
(b)のような状況になったとしても、高次周波数成分
がそれ以上成長することはなく、従って、図9(c)の
ような発散状態に至ることが回避されるのである。
【0024】一方、請求項2に係る発明にあっては、最
大値最小値判定手段が、適応ディジタルフィルタの各フ
ィルタ係数の最大値及び最小値を判定するが、適応ディ
ジタルフィルタの各フィルタ係数が描く波形は正弦波状
であることから、発散状態にないときには、最大値から
最小値に向かう間の各フィルタ係数は単調減少し、最小
値から最大値に向かう間の各フィルタ係数は単調増加す
る。
【0025】なお、単調減少とは、i番目のフィルタ係
数Wi とi+1番目のフィルタ係数Wi+1 との関係が常
にWi ≧Wi+1 であることをいい、単調増加とは、それ
らフィルタ係数の関係が常にWi ≦Wi+1 であることを
いう。そして、単調減少判定手段によって、単調減少で
あるべき区間(つまり、最大値から最小値に向かう間)
において単調減少が維持されているか否かが判定される
とともに、単調増加判定手段によって、単調増加である
べき区間(つまり、最小値から最大値に向かう間)にお
いて単調増加が維持されているか否かが判定されるが、
適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数が図9(a)
に示すような正常な状態にあれば、単調減少及び単調増
加のそれぞれが維持されているから、特にフィルタ係数
強制設定手段によるフィルタ係数の強制設定は行われな
い。
【0026】しかし、例えば図9(b)のように発散傾
向になると、波形に高次周波数成分が表れてくることか
ら、最大値から最小値に向かう間であるにも関わらずW
i <Wi+1 となる部分が存在し、また、最小値から最大
値に向かう間であるにも関わらずWi >Wi+1 となる部
分が存在するようになる。すると、フィルタ係数強制設
定手段は、単調減少が維持できなくなった区間に対して
は、単調減少するように強制的にフィルタ係数を設定
し、単調増加が維持できなくなった区間に対しては、単
調増加するように強制的にフィルタ係数を設定するた
め、仮に図9(b)のような状況になったとしても、高
次周波数成分がそれ以上成長することはなく、従って、
図9(c)のような発散状態に至ることが回避されるの
である。
【0027】なお、このフィルタ係数強制設定手段にお
けるフィルタ係数の設定は、結果として単調減少,単調
増加が維持されればよいのであるから、特に限定される
ものではない。例えば、単調減少,単調増加に反するフ
ィルタ係数を、強制的に一つ前のフィルタ係数と同じ値
に設定してもよいし、或いは、そのようなフィルタ係数
を、一つ前のフィルタ係数と次のフィルタ係数との平均
値に設定するようにしてもよい。
【0028】ここで、この請求項2に係る発明にあって
は、単調減少及び単調増加の両方が維持されているか否
かを判定し、少なくとも一方が維持されていない場合に
はフィルタ係数強制設定手段が上述したようなフィルタ
係数の強制的な設定を行うようになっているが、例えば
演算負荷を軽減する等の理由から、単調減少及び単調増
加のうちの少なくとも一方を判定の対象とし、その判定
の対象となった単調変化が維持されていない場合には、
その単調変化が維持されるように強制的にフィルタ係数
の設定を行っても、ある程度の作用が期待されるもので
ある。
【0029】そこで、請求項3に係る発明にあっては、
単調変化判定手段によって、最大値から最小値に向かう
間で単調減少しているか否か又は最小値から最大値に向
かう間で単調増加しているか否かの少なくとも一方が判
定され、そのような単調変化が維持されていないと判定
されると、フィルタ係数強制設定手段によって、適応デ
ィジタルフィルタの対応する区間のフィルタ係数が単調
減少又は単調増加するように強制的に設定されるから、
少なくとも単調減少又は単調増加の一方が維持され、図
9(c)のような発散状態に至ることが回避される。
【0030】なお、この請求項3に係る発明(請求項8
に係る発明においても同様)においてフィルタ係数強制
設定手段がフィルタ係数の強制的な設定を行う「対応す
る区間」とは、単調変化判定手段における判定の内容に
よって決まる区間であって、単調変化判定手段が単調減
少しているか否かを判定するのであれば、対応する区間
とはフィルタ係数の最大値から最小値に向かう間であっ
て、単調変化判定手段が単調増加しているか否かを判定
するのであれば、対応する区間とはフィルタ係数の最小
値から最大値に向かう間のことである。
【0031】そして、請求項4に係る発明にあっては、
周期検出手段によって振動の周期が検出され、周期判定
手段によってその振動の周期が所定周期以上であるか否
かが判定され、そして、その振動の周期が所定周期以上
であると判定された場合には第1の処理可能状態制御手
段によってフィルタ係数強制設定手段が処理実行可能状
態となる。
【0032】つまり、振動の周期がある程度長い場合に
のみ請求項1,請求項2又は請求項3に係る発明におけ
るフィルタ係数強制設定手段を処理可能状態とするので
あるから、特に残留振動信号が制御対象の機械的な共振
の影響により振動の周波数の高次周波数において発散す
る可能性の小さい振動の周期が短い場合には、フィルタ
係数強制設定手段における判定等に必要な処理(例え
ば、請求項1に係る発明であれば大小関係判定手段にお
ける大小関係の判定処理、請求項2に係る発明であれば
単調減少判定手段における単調減少判定処理等であ
る。)を実行しなくて済むようになる。
【0033】さらに、請求項5に係る発明にあっては、
振幅判定手段によって、適応ディジタルフィルタの振幅
が所定幅以上であるか否かが判定され、その振幅が所定
幅以上であると判定された場合には第2の処理可能状態
制御手段によってフィルタ係数強制設定手段が処理実行
可能状態となる。つまり、発散し易いような大出力を出
していると判定された場合にのみ請求項1,請求項2,
請求項3又は請求項4に係る発明におけるフィルタ係数
強制設定手段を処理可能状態とするのであるから、特に
適応ディジタルフィルタの振幅が小さくて制御が発散す
る可能性の小さい状況では、フィルタ係数強制設定手段
における判定等に必要な処理を実行しなくて済むように
なる。
【0034】ここで、上記請求項1乃至請求項5に係る
発明はいずれも振動を対象としているのに対し請求項6
乃至請求項10に係る発明は騒音を対象としている。従
って、それら請求項5乃至請求項8に係る発明の作用
は、振動と音との違いはあるが、実質的に上記請求項1
乃至請求項4に係る発明と同様である。即ち、請求項6
に係る発明にあっては、安定状態判定手段によって適応
ディジタルフィルタが発散傾向にない状態であるか否か
が判定される一方、大小関係判定手段によって、安定状
態にあるときに適応ディジタルフィルタのフィルタ係数
の値が採り得る範囲の中間の値又はその付近の値である
所定のしきい値と、適応ディジタルフィルタの各フィル
タ係数との大小関係が判定され、その大小関係判定手段
の判定結果が記憶手段に記憶される。
【0035】そして、特に適応ディジタルフィルタが安
定状態にない場合であっても、大小関係判定手段によっ
て上記大小関係が判定され、その判定結果と記憶手段の
記憶内容とがフィルタ係数強制設定手段によって比較さ
れ、フィルタ係数強制設定手段は、その比較の結果両者
が一致しない場合には、その一致しないフィルタ係数を
強制的に上記しきい値に設定する。
【0036】この結果、適応ディジタルフィルタが発散
傾向になったとしても、高次周波数成分がそれ以上成長
することはなく、本格的な発散状態に至ることが回避さ
れるのである。また、請求項7に係る発明にあっては、
最大値最小値判定手段によって、適応ディジタルフィル
タの各フィルタ係数の最大値及び最小値が判定され、単
調減少判定手段によって、単調減少であるべき区間にお
いて単調減少が維持されているか否かが判定されるとと
もに、単調増加判定手段によって、単調増加であるべき
区間において単調増加が維持されているか否かが判定さ
れる。
【0037】従って、適応ディジタルフィルタが発散傾
向になると、波形に高次周波数成分が表れてくることか
ら、最大値から最小値に向かう間であるにも関わらずW
i <Wi+1 となる部分が存在し、また、最小値から最大
値に向かう間であるにも関わらずWi >Wi+1 となる部
分が存在するようになるから、フィルタ係数強制設定手
段は、単調減少が維持できなくなった区間に対しては、
単調減少するように強制的にフィルタ係数を設定し、単
調増加が維持できなくなった区間に対しては、単調増加
するように強制的にフィルタ係数を設定するため、高次
周波数成分がそれ以上成長することはなく、本格的な発
散状態に至ることが回避される。
【0038】そして、請求項8に係る発明にあっては、
単調変化判定手段によって単調減少又は単調増加が維持
されているか否かが判定され、そのような単調変化が維
持されていないと判定されると、フィルタ係数強制設定
手段によって、対応する区間のフィルタ係数が単調減少
又は単調増加するように強制的に設定されるから、少な
くとも単調減少又は単調増加の一方が維持され、本格的
な発散状態に至ることが回避される。
【0039】さらに、請求項9又は請求項10に係る発
明にあっては、発散する可能性が高い場合にのみ、上述
したような発散を抑制するための処理が実行される。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の一実施例を示す図であり、本実施
例は、本発明に係る能動型振動制御装置を、エンジンか
ら車体に伝達される振動を能動的に低減する所謂アクテ
ィブ・エンジンマウントに適用したものである。
【0041】先ず、構成を説明すると、図1に示すよう
に、このエンジンマウント1は、振動源としてのエンジ
ン30への取付け用の取付けボルト2aを上部に一体に
備え且つ内側が空洞で下部が開口した取付部材2を有
し、この取付部材2の下部外面には内筒3の上端部がか
しめ止めされている。この内筒3の内側には、取付部材
2及び内筒3の内側の空間を上下に二分するように、そ
れら取付部材2及び内筒3のかしめ止め部分に挟み込ま
れてダイアフラム4が配設されていて、このダイアフラ
ム4によって二分された空間のうち、ダイアフラム4の
上側の空間は大気圧に通じ、ダイアフラム4の下側の空
間にはオリフィス構成体5が配設されている。
【0042】一方、内筒3の外周面には、内周面及び外
周面の軸方向位置が内周側が高くなるように成形されて
いる円筒状の支持弾性体6の内周面が加硫接着されてい
て、その支持弾性体6の外周面は外筒7の内周面に加硫
接着されている。そして、外筒7の下端部は円筒形のア
クチュエータ保持部材8の上部にかしめ止めされてい
て、そのアクチュエータ保持部材8の下端面には、メン
バ35側への取付け用の取付けボルト9aを下部に一体
に備えた円板状の取付部材9が固定されている。
【0043】また、アクチュエータ保持部材8の上端面
には、これと一体に外筒7の下端部にかしめ止めされた
円筒部材10が固定されていて、さらに、この円筒部材
10の内周面には、アクチュエータ保持部材8の上端面
との間に所定のクリアランスをもち且つ円筒形の弾性体
11により上下方向に変位可能に可動部材12が保持さ
れている。かかる可動部材12は、磁化可能な材料から
なり且つ上面が凹陥した円板状に成形されている。
【0044】そして、アクチュエータ保持部材8の内側
には、電磁コイル等を含んで構成され、外部から供給さ
れる制御信号に応じて可動部材12を上下方向に変位さ
せる電磁アクチュエータ13が配設されている。さら
に、本実施例では、支持弾性体6の下面及び可動部材1
2の上面によって画成された部分に主流体室15が形成
され、ダイアフラム4及びオリフィス構成体5によって
画成された部分に副流体室16が形成されていて、これ
ら主流体室15及び副流体室16間が、オリフィス構成
体5に形成されたオリフィス5aを介して連通してい
る。なお、これら主流体室15,副流体室16及びオリ
フィス5a内には油等の流体が封入されている。
【0045】かかるオリフィス5aの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzでエンジンマウント1
が加振された際に高動バネ定数,高減衰力を示すように
調整されている。そして、電磁アクチュエータ13はコ
ントローラ20に接続されていて、かかるコントローラ
20から供給される駆動信号yに応じて所定の電磁力を
発生するようになっている。
【0046】コントローラ20は、マイクロコンピュー
タ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A
変換器,アンプ等を含んで構成されていて、オリフィス
5aを通じて主流体室15及び副流体室16間で流体が
移動不可能な周波数帯域の振動、つまり上述したエンジ
ンシェイクよりも高周波の振動であるアイドル振動やこ
もり音振動・加速時振動が入力されている場合には、そ
の振動に同期し、取付部材9への伝達力が“0”となる
ように(具体的には支持弾性体6の弾性変形による入力
と主流体室15の容積変動による入力を相殺できるよう
に)、駆動信号yを生成し電磁アクチュエータ13に供
給するようになっている。
【0047】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動がエンジンマウント1を介してメ
ンバ35に伝達されることが主な原因であるから、その
エンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出
力すれば、振動伝達率の低減が可能となる。そこで、本
実施例では、エンジン30のクランク角の回転に同期し
た(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クラ
ンクが180度回転する度に一つの)インパルス信号を
生成し基準信号xとして出力する基準信号生成手段とし
てのパルス信号生成器21を設けていて、その基準信号
xが、エンジン30における振動の発生状態を表す信号
としてコントローラ20に供給されている。
【0048】一方、メンバ35には、エンジンマウント
1の取り付け位置に近接して、メンバ35の振動状況を
加速度の形で検出し残留振動信号eとして出力する残留
振動検出手段としての加速度センサ22が固定されてい
て、その残留振動信号eが、干渉後における振動を表す
信号としてコントローラ20に供給されている。そし
て、コントローラ20は、それら基準信号x及び残留振
動信号eに基づき、逐次更新形の適応アルゴリズムの一
つであるFiltered−X LMSアルゴリズム、
より具体的には、同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムに従って駆動信号yを生成し出力する。
【0049】即ち、コントローラ20は、フィルタ係数
i (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ数)可
変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最新の基
準信号xが入力された時点から所定サンプリング・クロ
ックの間隔で、その適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力する一方、エ
ンジン30からエンジンマウント1を介してメンバ35
に伝達される振動が低減するように、基準信号x及び残
留振動信号eに基づいて適応ディジタルフィルタWのフ
ィルタ係数Wi を適宜更新する処理を実行する。
【0050】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−αRT e(n) ……(1) ここで、(n)が付く項は時刻nにおける値であること
を表し、また、αは収束係数と呼ばれる係数であってフ
ィルタ係数Wi の収束の速度やその安定性に関与する係
数である。RT は、理論的には、基準信号xを、エンジ
ンマウント1及び加速度センサ22間の伝達関数Cを表
す伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した値(リファ
レンス信号若しくはFiltered-X信号)であるが、この実
施例では同期式Filtered−X LMSアルゴリ
ズムを適用した結果基準信号xがインパルス列であるた
め、伝達関数フィルタC^のインパルス応答を基準信号
xに同期して次々に生成した場合のそれらインパルス応
答波形の時刻nにおける和に一致する。
【0051】また、理論的には、適応ディジタルフィル
タWで基準信号xをフィルタ処理して駆動信号yを生成
することになり、フィルタ処理はディジタル演算では畳
み込み演算に該当するが、基準信号xがインパルス列で
あるので、上述したように最新の基準信号xが入力され
た時点から、所定サンプリング・クロックの間隔で適応
ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi を順番に駆
動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動
信号yとしたのと同じ結果になる。
【0052】さらに、コントローラ20は、振動の周期
が変動している状況であるか否かを判定する処理と、振
動の周期が所定周期以上であるか否かを判定する処理
と、適応ディジタルフィルタWの振幅が所定幅以上であ
るか否かを判定する処理とを実行するようになっている
とともに、それら各処理によって、振動の周期が安定し
ていて、振動の周期が所定周期以上であり、しかも適応
ディジタルフィルタWの振幅が所定振幅以上であると判
定された場合に、適応ディジタルフィルタWの一周期内
の各フィルタ係数Wi が描く波形と振幅0の直線とが交
差する点(以下、ゼロクロスポイントZPと称する。)
の個数を数えて、ゼロクロスポイントZPの個数が2で
ある場合に、適応ディジタルフィルタWが発散傾向にな
い安定状態であると判断する処理を実行するようになっ
ている。
【0053】そして、コントローラ20は、ゼロクロス
ポイントZPの個数が2であったため適応ディジタルフ
ィルタWが発散傾向にない安定状態であると判定された
場合には、それら二つのゼロクロスポイントZPを基準
として、適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数W
i のそれぞれが、大きさが0以上の正領域にあるか或い
は0未満のフィルタ領域にあるかを判定し、その判定結
果を記憶するようになっている。具体的には、ゼロクロ
スポイントZPで挟まれた一方の領域内では全てのフィ
ルタ係数Wi が0以上であり、ゼロクロスポイントZP
で挟まれた他方の領域内では全てのフィルタ係数Wi
0以下であるから、それら二つのゼロクロスポイントZ
Pが正から負に移行する点なのか、負から正に移行する
点なのかを判定し、それら判定結果に基づいて、正から
負に移行するゼロクロスポイント(以下、正負ゼロクロ
スポイントZP1 と称する。)と、負から正に移行する
ゼロクロスポイント(以下、負正ゼロクロスポイントZ
2 と称する。)とをそれぞれ設定し記憶するようにな
っている。
【0054】一方、コントローラ20は、ゼロクロスポ
イントZPの個数が3以上であると判定された場合に
は、正負ゼロクロスポイントZP1 ,負正ゼロクロスポ
イントZP2 を記憶する処理を実行するのではなく、適
応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi に対し
て、負正ゼロクロスポイントZP2 と正負ゼロクロスポ
イントZP1 との間のフィルタ係数Wi であるにも関わ
らず負の値であるか否かを判定し、負である場合にはそ
のフィルタ係数Wi を強制的に大きさ“0”に設定する
とともに、正負ゼロクロスポイントZP1 と負正ゼロク
ロスポイントZP2との間のフィルタ係数Wi であるに
も関わらず正の値であるか否かを判定し、正である場合
にはそのフィルタ係数Wi を強制的に大きさ“0”に設
定するような処理を実行するようになっている。
【0055】ここで、本実施例では、安定状態にあると
きに適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi
値が採り得る範囲の中間の値である“0“を、所定のし
きい値としている。次に、本実施例の作用を説明する。
即ち、エンジンシェイク発生時には、オリフィス5aの
流路形状等を適宜選定している結果、このエンジンマウ
ント1は高動バネ定数,高減衰力の支持装置として機能
するため、エンジン30で発生したエンジンシェイクが
エンジンマウント1によって減衰され、メンバ35側の
振動レベルが低減される。なお、かかる場合には、特に
可動部材12を変位させる必要はない。
【0056】一方、オリフィス5a内の流体がスティッ
ク状態となり主流体室15及び副流体16間での流体の
移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ20は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ13に駆動信
号yを出力し、エンジンマウント1に振動を低減し得る
能動的な制御力を発生させる。
【0057】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ20内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図2に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定が行
われた後に、ステップ102に移行し、伝達関数フィル
タC^に基づいてリファレンス信号RT が演算される。
なお、このステップ102では、一周期分のリファレン
ス信号RT がまとめて演算される。
【0058】そして、ステップ103に移行し、カウン
タiが零クリアされた後に、ステップ104に移行し
て、適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数
i が駆動信号yとして出力される。ステップ104で
駆動信号yを出力したら、ステップ105に移行し、残
留振動信号eが読み込まれ、ステップ106でカウンタ
jが零クリアされ、次いでステップ107に移行し、適
応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj
上記(1)式に従って更新される。
【0059】ステップ107における更新処理が完了し
たら、ステップ108に移行し、適応ディジタルフィル
タWの各フィルタ係数Wj が発散状態になる前にそれを
抑制するための、発散抑制処理が実行される。なお、こ
の発散抑制処理を実行した場合の具体的な作用について
は、後述する。ステップ108の処理を終えたら、ステ
ップ109に移行し、次の基準信号xが入力されている
か否かを判定し、ここで基準信号xが入力されていない
と判定された場合は、適応ディジタルフィルタWの次の
フィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力処理を実行す
べく、ステップ110に移行する。
【0060】ステップ110では、カウンタjが、出力
回数Ty (正確には、カウンタjは0からスタートする
ため、出力回数Ty から1を減じた値)に達しているか
否かを判定する。この判定は、ステップ104で適応デ
ィジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を駆動信号yと
して出力した後に、適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数を、駆動信号yとして必要な数だけ更新したか否
かを判断するためのものである。そこで、このステップ
110の判定が「NO」の場合には、ステップ111で
カウンタjをインクリメントした後に、ステップ107
に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0061】しかし、ステップ110の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
2に移行する。そして、ステップ112でカウンタiを
インクリメントした後に、上記ステップ104の処理を
実行してから所定のサンプリング・クロックの間隔に対
応する時間が経過するまで待機し、サンプリング・クロ
ックに対応する時間が経過したら、上記ステップ104
に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0062】しかし、ステップ109で基準信号xが入
力されたと判断された場合には、ステップ113に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力
回数Ty として保存した後に、ステップ102に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。このような処理
を繰り返し実行する結果、基準信号x,駆動信号y及び
伝達関数フィルタC^の関係を表す図4に示すように、
コントローラ20からエンジンマウント1に対しては、
基準信号xが入力された時点から、サンプリング・クロ
ックの間隔で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係
数Wi が順番に駆動信号yとして供給されるが、適応デ
ィジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った上記
(1)によって逐次更新されるため、ある程度の時間が
経過して適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数W
i が最適値に収束した後は、駆動信号yがエンジンマウ
ント1に供給されることによって、エンジン30からエ
ンジンマウント1を介してメンバ35側に伝達されるア
イドル振動やこもり音振動が低減されるようになる。な
お、エンジンマウント1における制御力は、電磁アクチ
ュエータ13から発せられる電磁力によって可動部材1
2が振動し、その振動が主流体室15内の流体及び支持
弾性体6の拡張バネを介して内筒3及び外筒7間の力と
して作用することにより得られるものである。
【0063】一方、ステップ108における発散抑制処
理の具体的な流れは、図3に示すようになっていて、先
ずそのステップ201において出力回数Ty の変化率Δ
yが実質的に0であるか否かが判定される。このステ
ップ201においては、例えば過去の一定時間(例え
ば、1秒間)の間、出力回数Ty が変化していない場合
に、出力回数Ty の変化率ΔTy が実質的に0であると
判定される。
【0064】ステップ201の判定が「NO」の場合に
は、適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi
振動の周期変化に追従するように変化している状況であ
ると判断できるから、後述するようなフィルタ係数Wi
の強制的な設定を行うとフィルタ係数Wi の最適値への
収束を妨げるという問題点が生じてしまうので、ステッ
プ202以降の処理は実行せずに、この図3の処理を終
了して図2の処理に戻るようになる。
【0065】しかし、ステップ201の判定が「YE
S」の場合には、そのような問題点は生じないから、ス
テップ202に移行する。ステップ202では、出力回
数Ty が所定値βよりも大きいか否かが判定される。こ
こで、出力回数Ty は、サンプリング・クロックが固定
であれば、そのまま振動の周期を表すことになるから、
このステップ202の判定は、振動の周期が所定周期よ
り長いか否かを判定していることになる。
【0066】そして、振動の周期が長い場合に、図9
(b)に示したような発散傾向に移行する可能性が高く
なるのであるから、逆に振動の周期が短い場合には特に
発散傾向に移行する可能性は極めて小さいと考え、ステ
ップ203以降の処理は実行せずに、この図3の処理を
終了して図2の処理に戻るようになる。なお、所定値β
の大きさは、特に限定されるものではなく、実際に図9
(c)に示したような発散が発生し易い振動の周期とを
実験的に求め、その求められた周期をサンプリング・ク
ロックの間隔で割って算出することになる。
【0067】一方、ステップ202の判定が「YES」
の場合には、ステップ203に移行して、適応ディジタ
ルフィルタWの振幅を表すフィルタ係数Wi の最大値W
MAXが、所定値γより大きいか否かが判定される。ここ
で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の値
が過大になっている状況では、制御が発散し易い大出力
が出されていると判断できるから、そのような場合にの
み、後述するフィルタ係数Wi の強制設定処理が必要で
あると考えて、ステップ204以降の処理が実行される
のである。従って、ステップ203の判定が「NO」の
場合には、ステップ204以降の処理は実行せずに、こ
の図3の処理を終了して図2の処理に戻るようになる。
なお、発散傾向にあるときには、適応ディジタルフィル
タWのフィルタ係数Wi は正負両方向に略同じように振
れることから、ステップ203では、適応ディジタルフ
ィルタWの片側の振幅のみに基づいて、適応ディジタル
フィルタWの振幅が所定幅以上であるか否かを判定する
こととしている。
【0068】そして、ステップ203の判定が「YE
S」の場合には、近々発散傾向になる可能性が高いと判
断し、ステップ204に移行して、各フィルタ係数Wi
の極性が反転する位置が検索されてゼロクロスポイント
ZPが設定され、次いでステップ205に移行し、その
設定されたゼロクロスポイントZPの個数が2であるか
否かが判定される。
【0069】これらステップ204,205の処理が最
初に実行された際は、ステップ202及び203の判定
が初めて両方とも「YES」となった場合であるから、
未だ制御は発散傾向となっていはいないはずである。そ
して、制御が発散傾向となっていない状況であれば、適
応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi は、振動
が周期的であることから、例えば図5(a)に示すよう
に、それらフィルタ係数Wi によって描かれる波形は正
弦波状であり、その周期は振動の周期即ち基準信号xの
入力周期に一致することから、ゼロクロスポイントZP
の数は2である。
【0070】つまり、少なくともステップ205の処理
を初めて実行した時には、その判定は「YES」となる
から、ステップ206に移行することになる。そして、
ステップ206では、二つ存在するゼロクロスポイント
ZPのうち、フィルタ係数Wi の値が正である領域から
負である領域に移行するゼロクロスポイントが検索され
るとともに、その検索されたゼロクロスポイントが正負
ゼロクロスポイントZP1 として記憶され、逆に負であ
る領域から正である領域に移行するゼロクロスポイント
が検索されるとともに、その検索されたゼロクロスポイ
ントが負正ゼロクロスポイントZP2 として記憶され
る。因みに、図5(a)の例にあっては、ゼロクロスポ
イントZPの直前のフィルタ係数でそのゼロクロスポイ
ントの位置を表すものとすれば、フィルタ係数W5 が正
でフィルタ係数W6が負であり、フィルタ係数W12が負
でフィルタ係数W13が正であるから、正負ゼロクロスポ
イントZP1 の値は“5”となり、負正ゼロクロスポイ
ントZP2 の値は“13”となる。
【0071】ステップ206の処理を終えたら、このま
ま図3の処理を終了して図2の処理に戻るようになる。
そして、このような状況のまま図2の処理が繰り返し実
行され続けると、図9(a)〜(c)を伴って説明した
ように、残留振動信号eにエンジン振動の高次周波数成
分が表れてくるため、その影響が適応ディジタルフィル
タWの各フィルタ係数Wi に表出してくる。すると、適
応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が描いて
いた図5(a)に示すような正弦波状の波形が崩れて、
ある時点で図5(b)に示すように高次周波数成分の波
形が表れてくるため、ステップ204の処理において、
二つ以上のゼロクロスポイントZPが設定されることに
なる。
【0072】このため、ステップ205の判定が「N
O」となるから、ステップ206へは移行せず、ステッ
プ207に移行する。ステップ207では、正領域内
に、即ち、正負ゼロクロスポイントZP1 よりも手前の
領域と、負正ゼロクロスポイントZP2 よりも後の領域
とに、負のフィルタ係数Wi が存在するか否かが判定さ
れる。具体的には、正負ゼロクロスポイントZP1 及び
負正ゼロクロスポイントZP2 が上述したような値に設
定されていれば、フィルタ係数W0 〜W5 ,W13の内
に、値が負のものが存在するか否かが判定される。
【0073】そして、このステップ207の処理によっ
て正領域内に値が負のフィルタ係数Wi が存在している
と判定された場合には、ステップ208に移行し、その
フィルタ係数Wi の値を強制的に所定のしきい値である
“0”に設定する。例えば、図5(b)の例であれば、
ステップ207においてフィルタ係数W4 が該当すると
判定されるから、そのフィルタ係数W4 はステップ20
8において“0”に設定されることになる。
【0074】次いで、ステップ209に移行し、今度
は、負領域内に、即ち、正負ゼロクロスポイントZP1
よりも後の領域と、負正ゼロクロスポイントZP2 より
も手前の領域とに、正のフィルタ係数Wi が存在するか
否かが判定される。具体的には、正負ゼロクロスポイン
トZP1 及び負正ゼロクロスポイントZP2 が上述した
ような値に設定されていれば、フィルタ係数W6 〜W12
の内に、値が正のものが存在するか否かが判定される。
【0075】そして、このステップ209の処理によっ
て負領域内に値が正のフィルタ係数Wi が存在している
と判定された場合には、ステップ210に移行し、その
フィルタ係数Wi の値を強制的に所定のしきい値である
“0”に設定する。例えば、図5(b)の例であれば、
ステップ209においてフィルタ係数W7 が該当すると
判定されるから、そのフィルタ係数W7 はステップ21
0において“0”に設定されることになる。
【0076】この210の処理を終えた場合又はステッ
プ209の判定が「NO」の場合には、その時点で図3
の処理を終了して図2の処理に戻るようになる。即ち、
この図3に示すような発散抑制処理が実行されると、発
散傾向にあるフィルタ係数Wi が強制的に“0”に設定
されるため、それ以上の発散が抑制されるようになり、
図9(c)に示すような本格的な発散状態に至ることが
回避されるのである。
【0077】つまり、仮に図5(b)に示すような発散
傾向となったとしても、この時点で発散傾向にあるフィ
ルタ係数W4 ,W7 が強制的に“0”に設定されるた
め、図5(c)のような状態になるから、この時点で発
散が抑えられ、その後に適応ディジタルフィルタWのフ
ィルタ係数Wi が適宜更新され、そして発散要因であっ
た残留振動信号e内の高次周波数成分が小さくなってく
れば、再び図5(a)に示すような正常な状態に戻るの
である。
【0078】このように、本実施例によれば、制御が発
散する前にその兆候が表れた時点でこれを抑制すること
ができるから、例えば制御が発散した後に振動低減制御
を中止してしまうような従来の解決策とは異なり、振動
低減制御を止める必要がない非常に有効な解決策となる
のである。さらに、本実施例では、振動の周期に対応す
る出力回数Ty をカウントするとともに、その出力回数
y が所定値βよりも大きい場合にのみステップ203
以降の処理を実行することとし、また、フィルタ係数W
i の最大値WMAX を求めてその最大値WMAX が所定値γ
よりも大きい場合にのみステップ204以降の処理を実
行することとしているため、結局のところ、制御が発散
する可能性の高い場合のみステップ204以降の処理が
実行されるようになっている。従って、制御が発散する
可能性が極めて小さい場合にはステップ204以降の処
理が実行されないから、演算負荷の増大が最小限に抑え
られているという有利な点がある。
【0079】また、本実施例では、安定状態にあると判
定された場合の適応ディジタルフィルタWの各フィルタ
係数Wi と、しきい値“0”との大小関係即ち各フィル
タ係数Wi の極性を個々に記憶するのではなく、振動が
正弦波状の変化する周期的な振動であることに着目し
て、正負ゼロクロスポイントZP1 及び負正ゼロクロス
ポイントZP2 を設定し、それら正負ゼロクロスポイン
トZP1 及び負正ゼロクロスポイントZP2 の位置を記
憶することにより行っているため、記憶のための処理が
簡易であるとともに、それに必要な記憶容量も少なくて
済むという利点がある。つまり、このような方法であれ
ば、適応ディジタルフィルタWのタップ数(フィルタ係
数の個数)が大きくなっても、正負ゼロクロスポイント
ZP1 及び負正ゼロクロスポイントZP2 の2点の位置
を記憶するだけで、全てのフィルタ係数Wi の極性を記
憶したことになるからである。
【0080】なお、本実施例では、適応ディジタルフィ
ルタWの各フィルタ係数Wi が大きさ“0”を中心とし
て正負に振れる場合について考えているため、所定のし
きい値を“0”としているが、これに限定されるもので
はなく、例えば、正方向又は負方向に片寄って振れるこ
とが明らかな系の場合には、その振れる方向に合わせて
しきい値を0以上又は0以下の値としてもよいし、フィ
ルタ係数が正の値のみで構成される場合には、フィルタ
係数が通常採り得る範囲の中間の値とすればよい。ただ
し、厳密に最大値及び最小値の中間の値とする必要はな
く、それに近い値であっても本実施例と同様の作用効果
を得ることができる。
【0081】ここで、本実施例にあっては、エンジンマ
ウント1によって制御振動源が構成され、ステップ20
4,205の処理によって安定状態判定手段が構成さ
れ、ステップ206において正負ゼロクロスポイントZ
1 及び負正ゼロクロスポイントZP2 を記憶する処理
によって記憶手段が構成され、ステップ206において
正負ゼロクロスポイントZP1 及び負正ゼロクロスポイ
ントZP2 を検索する処理並びにステップ207,20
9の処理によって大小関係判定手段が構成され、ステッ
プ208及び210の処理によってフィルタ係数強制設
定手段が構成され、ステップ103,112及び113
の処理によって周期検出手段が構成され、ステップ20
2の処理によって周期判定手段が構成され、ステップ2
02の判定が「NO」の場合にステップ203以降の処
理をスキップするという処理によって第1の処理可能状
態制御手段が構成され、ステップ203の処理によって
振幅判定手段が構成され、ステップ203の判定が「N
O」の場合にステップ204以降の処理をスキップする
という処理によって第2の処理可能状態制御手段が構成
され、ステップ107の処理によって適応処理手段が構
成される。
【0082】図6は本発明の第2実施例を示す図であ
り、この第2実施例も、上記第1実施例と同様のエンジ
ンマウントに本発明を適用したものであって、図6は、
上記第1実施例の図3と同様に、発散抑制処理の具体的
な流れを示すフローチャートである。なお、その他の構
成は上記第1実施例と同様であるため、その図示及び説
明は省略する。
【0083】即ち、本実施例にあっては、発散抑制処理
のステップ201〜203までの処理の内容は上記第1
実施例と同様であるが、ステップ203の判定が「YE
S」の場合には、ステップ301に移行し、ここで、適
応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi の最大値
MAX 及び最小値WMIN が設定されるようになってい
る。
【0084】そして、ステップ301で最大値WMAX
び最小値WMIN が設定されると、ステップ302に移行
し、最大値WMAX から最小値WMIN に向かう間、各フィ
ルタ係数Wi が、常に“Wi ≧Wi+1 ”という関係を満
足しているか否か、つまり各フィルタ係数Wi の値が単
調減少しているか否かが判定される。ここで、初めてス
テップ301の処理が実行された時は、ステップ202
及び203の判定が初めて両方とも「YES」となった
場合であるから、未だ制御は発散傾向となっていはいな
いはずである。
【0085】従って、適応ディジタルフィルタWの各フ
ィルタ係数Wi が描く波形は、図7(a)に示すように
正弦波状を維持しているはずであるから、最大値WMAX
から最小値WMIN に向かう間の各フィルタ係数W2 〜W
9 は、単調減少をしているはずである。よって、この時
はステップ302の判定は「YES」となるから、ステ
ップ303の処理は実行せず、ステップ304に移行す
る。
【0086】ステップ304では、今度は、最小値W
MIN から最大値WMAX に向かう間、各フィルタ係数Wi
が、常に“Wi ≦Wi+1 ”という関係を満足しているか
否か、つまり各フィルタ係数Wi の値が単調増加してい
るか否かが判定される。ここで、初めてステップ303
の処理が実行された時にも、未だ制御は発散傾向となっ
ていはいないから、図7(a)に示すように、最小値W
MIN から最大値WMAX に向かう間の各フィルタ係数W9
〜W13,W0 〜W4 は、単調増加をしているはずであ
る。
【0087】よって、この時はステップ304の判定は
「YES」となるから、ステップ305の処理は実行せ
ず、この図7の処理を終了し上記第1実施例で説明した
図2と同様の処理に戻ることになる。そして、このよう
な状況のまま図2と同様の処理が繰り返し実行され続け
ると、図9(a)〜(c)を伴って説明したように、残
留振動信号eにエンジン振動の高次周波数成分が表れて
くるため、その影響が適応ディジタルフィルタWの各フ
ィルタ係数Wi に表出してくる。すると、適応ディジタ
ルフィルタWの各フィルタ係数Wi が描いていた図7
(a)に示すような正弦波状の波形が崩れて、ある時点
で図7(b)に示すように高次周波数成分の波形が表れ
てくるため、上述した単調減少,単調増加が維持できな
くなってしまう。
【0088】すると、例えば図7(b)の例であれば、
単調減少しているはずの区間である最大値WMAX から最
小値WMIN に向かう間に、“Wi <Wi+1 ”となる部分
が存在するから、ステップ302の判定が「NO」とな
って、ステップ303に移行することになる。そして、
ステップ303では、その“Wi <Wi+1 ”となってい
るフィルタ係数Wi+1 が、その一つ前のフィルタ係数W
i と同じ値に強制的に設定され、これにより、最大値W
MAX から最小値WMIN に向かう間の各フィルタ係数Wi
の単調減少が回復するようになる。例えば、図7(b)
の例であれば、W4 <W5 の部分と、W6 <W7 の部分
とで単調減少が崩れているから、ステップ302からス
テップ303に移行し、フィルタ係数W5 がフィルタ係
数W4 と同じ値に設定され、フィルタ係数W7 がフィル
タ係数W6 と同じ値に設定される。従って、ステップ3
03の処理を行った後には、適応ディジタルフィルタW
は図7(c)に示すような波形を描くようになる。
【0089】ステップ303の処理を終えたら、ステッ
プ304に移行する。そして、ステップ304におい
て、単調増加しているはずの区間である最小値WMIN
ら最大値WMAX に向かう間に“Wi >Wi+1 ”となる部
分が存在しているとすると、ステップ305に移行し、
その“Wi >Wi+1 ”となっているフィルタ係数Wi+1
が、その一つ前のフィルタ係数Wi と同じ値に強制的に
設定され、これにより、最小値WMIN から最大値WMAX
に向かう間の各フィルタ係数Wi の単調増加が回復する
ようになる。
【0090】このように、本実施例にあっては、図7
(b)のような発散傾向になった時点で、単調減少,単
調増加を崩している発散傾向にあるフィルタ係数Wi+1
が強制的にその一つ前のフィルタ係数Wi と同じ値に設
定され、単調減少,単調増加が回復するため、それ以上
の発散が抑制されるようになり、図9(c)に示すよう
な本格的な発散状態に至ることが回避されるのである。
【0091】つまり、仮に図7(b)に示すような発散
傾向となったとしても、この時点で発散傾向にあるフィ
ルタ係数W5 ,W7 が強制的にそれぞれの一つ前のフィ
ルタ係数W4 ,W6 と同じ値に設定されるため、図7
(c)のような状態になるから、この時点で発散が抑え
られ、その後に適応ディジタルフィルタWのフィルタ係
数Wi が適宜更新され、そして発散要因であった残留振
動信号e内の高次周波数成分が小さくなってくれば、再
び図7(a)に示すような正常な状態に戻るのである。
このように、本実施例にあっても、上記第1実施例と同
様に、制御が発散する前にその兆候が表れた時点でこれ
を抑制することができるから、例えば制御が発散した後
に振動低減制御を中止してしまうような従来の解決策と
は異なり、振動低減制御を止める必要がない非常に有効
な解決策となるのである。その他の作用効果は上記第1
実施例と同様である。
【0092】図8は、本実施例による振動低減効果と、
図6に示すような発散抑制処理を実行しない従来の能動
型振動制御装置による振動低減効果とを示す周波数特性
図であって、横軸に周波数、縦軸に車両の車室内足元位
置の振動加速度レベルをとっている。即ち、従来の能動
型振動制御装置では、特に基本周波数の6次の周波数で
発散傾向が見られ、このまま制御を続けるとある時点で
制御が発散する可能性が高くなっているが、本実施例に
よれば、他の周波数における振動レベルを悪化させるこ
となく、基本周波数の6次の周波数において発散傾向に
なることが抑制されていることが判る。
【0093】ここで、本実施例にあっては、ステップ3
01の処理によって最大値最小値設定手段が構成され、
ステップ302の処理によって単調減少判定手段が構成
され、ステップ304の処理によって単調増加判定手段
が構成され、ステップ303及び305の処理によって
フィルタ係数強制設定手段が構成される。なお、この第
2実施例では、単調減少や単調増加が維持されていない
と判定された場合、その該当するフィルタ係数Wi+1
その一つ前のフィルタ係数Wi と同じ値に強制的に設定
することにより、単調減少や単調増加を回復することと
しているが、そのような単調減少や単調増加を回復する
ためにフィルタ係数を強制的に設定する方法はこれに限
定されるものではない。例えば、該当するフィルタ係数
i+1 を、その一つ前のフィルタ係数Wi とその次のフ
ィルタ係数Wi+2 との平均値(=(Wi +Wi+2 )/
2)に強制的に設定するような方法であってもよい。
【0094】また、この第2実施例では、単調減少及び
単調増加の両方が維持されているか否かを判定し、少な
くとも一方が維持されていない場合にはフィルタ係数の
強制的な設定を行う構成としているが、例えば演算負荷
の増加分をさらに小さく抑えたいとの要望がある場合等
には、単調減少が維持されているか否かの判定又は単調
増加が維持されているか否かの判定の一方を実行し、そ
の判定結果に従って最大値から最小値に向かう間又は最
小値から最大値に向かう間で単調減少又は単調増加が維
持されるようにフィルタ係数の強制的な設定を行うよう
な構成としてもよい。
【0095】また、上記各実施例では、適応アルゴリズ
ムとして同期式Filtered−X LMSアルゴリ
ズムを用いた場合について説明したが、適用可能な適応
アルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例え
ば、通常のFiltered−X LMSアルゴリズム
等であってもよい。そして、上記各実施例では、本発明
に係る能動型振動制御装置を、車両のエンジン30から
メンバ35に伝達される振動の低減を図る所謂アクティ
ブ・エンジンマウントに適用した場合について説明した
が、本発明の適用対象はこれに限定されるものではな
く、周期的な振動であればエンジン30以外から発せら
れる振動の低減を図る装置であってもよいし、車両以外
に適用して例えば工作機械からフロアに伝達される振動
を低減する装置等に適用してもよい。
【0096】またさらに、低減の対象は振動に限定され
るものではなく、例えば、エンジン30から車室内に伝
達される周期的な騒音を能動的に低減する車両用能動型
騒音制御装置としてもよい。かかる場合には、コントロ
ーラから供給される駆動信号によって駆動して車室内に
制御音を発生するラウドスピーカ(制御音源)と、車室
内の残留騒音を検出し残留騒音信号としてコントローラ
に出力するマイクロフォン(残留騒音検出手段)と、を
設けることになる。
【0097】例えば、適応アルゴリズムとしてFilt
ered−X LMSアルゴリズムを用いるのであれ
ば、パルス生成器21から供給される基準信号xを適応
ディジタルフィルタWでフィルタ処理してラウドスピー
カに対する駆動信号yを生成する一方で、その基準信号
xをマイクロフォン及びラウドスピーカ間の伝達関数を
モデル化した伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した
値と、マイクロフォンから供給される残留騒音信号eと
に基づきFiltered−X LMSアルゴリズムを
実行して適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数W
i を逐次更新し、そして、かかる更新処理の後に、図3
又は図6に示すような発散抑制処理を実行すればよいの
である。なお、この騒音を低減する場合でも、同期式F
iltered−X LMSアルゴリズムを適用できる
ことは勿論である。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1又は請求
項6に係る発明にあっては、発散傾向にある適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を、強制的に所定のしきい
値に設定する構成としたため、適応ディジタルフィルタ
の発散が抑制されるから、適応ディジタルフィルタが本
格的な発散状態に至ることを回避することができる、つ
まり制御が発散する前にその兆候が表れた時点でこれが
抑制されるので、例えば制御が発散した後に振動低減制
御を中止してしまうような従来の解決策とは異なり、振
動低減制御を止める必要がないという効果がある。
【0099】また、請求項2又は請求項7に係る発明に
あっては、適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数が
単調減少すべき区間及び単調増加すべきを設定し、その
単調すべき区間で単調減少が崩れた場合及び単調増加す
べき区間で単調増加が崩れた場合に、それら単調減少,
単調増加が回復されるように適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を強制的に設定する構成としたため、上記
請求項1又は請求項5に係る発明と同様に、適応ディジ
タルフィルタの発散が抑制されるから、適応ディジタル
フィルタが本格的な発散状態に至ることを回避すること
ができる、つまり制御が発散する前にその兆候が表れた
時点でこれが抑制されるので、例えば制御が発散した後
に振動低減制御を中止してしまうような従来の解決策と
は異なり、振動低減制御を止める必要がないという効果
がある。
【0100】そして、請求項3又は請求項8に係る発明
にあっては、上記請求項2又は請求項6に係る発明の作
用効果に近い作用効果を、より少ない演算負荷の増加で
得ることができるという効果がある。そして、請求項
4,請求項5,請求項9又は請求項10に係る発明にあ
っては、制御が発散する可能性が高い場合にのみ発散抑
制のために必要な処理が実行されるため、演算負荷の増
大を極力小さくすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図2】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
【図3】第1実施例のコントローラ内で実行される発散
抑制処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】基準信号,駆動信号及び伝達関数フィルタの関
係を表す波形図である。
【図5】第1実施例の作用を説明するための波形図であ
る。
【図6】第2実施例のコントローラ内で実行される発散
抑制処理の概要を示すフローチャートである。
【図7】第2実施例の作用を説明するための波形図であ
る。
【図8】第2実施例の効果を説明するための周波数特性
図である。
【図9】適応ディジタルフィルタの発散する過程を説明
するための波形図である。
【符号の説明】
1 エンジンマウント(制御振動源) 13 電磁アクチュエータ 20 コントローラ 21 パルス生成器(基準信号生成手段) 22 加速度センサ(残留振動検出手段) 30 エンジン(振動源) 35 メンバ x 基準信号 y 駆動信号 e 残留振動信号

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動源から発せられた周期的な振動と干
    渉する制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源
    の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信
    号生成手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号
    として出力する残留振動検出手段と、前記基準信号をフ
    ィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を生
    成する適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前
    記残留振動信号に基づいて前記干渉後の振動が低減する
    ように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフ
    ィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備
    えた能動型振動制御装置において、 前記適応ディジタルフィルタが発散傾向にない安定状態
    であるか否かを判定する安定状態判定手段と、前記安定
    状態にあるときに前記適応ディジタルフィルタのフィル
    タ係数が採り得る範囲の中間若しくはその付近の値であ
    る所定のしきい値と前記適応ディジタルフィルタの各フ
    ィルタ係数との大小関係を判定する大小関係判定手段
    と、前記安定状態判定手段が前記安定状態であると判定
    した場合に前記大小関係判定手段の判定結果を各フィル
    タ係数と対応させて記憶する記憶手段と、前記大小関係
    判定手段の判定結果と前記記憶手段の記憶内容とを比較
    し両者が一致しない場合にはその対応するフィルタ係数
    を前記しきい値に強制的に設定するフィルタ係数強制設
    定手段と、を設けたことを特徴とする能動型振動制御装
    置。
  2. 【請求項2】 振動源から発せられた周期的な振動と干
    渉する制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源
    の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信
    号生成手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号
    として出力する残留振動検出手段と、前記基準信号をフ
    ィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を生
    成する適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前
    記残留振動信号に基づいて前記干渉後の振動が低減する
    ように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフ
    ィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備
    えた能動型振動制御装置において、 前記適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数の最大値
    及び最小値を求める最大値最小値設定手段と、前記適応
    ディジタルフィルタの前記最大値から最小値に向かう間
    の各フィルタ係数の値が単調減少しているか否かを判定
    する単調減少判定手段と、前記適応ディジタルフィルタ
    の前記最小値から最大値に向かう間の各フィルタ係数の
    値が単調増加しているか否かを判定する単調増加判定手
    段と、前記単調減少判定手段が前記単調減少していない
    と判定した場合には前記適応ディジタルフィルタの前記
    最大値から最小値に向かう間のフィルタ係数を単調減少
    するように強制的に設定し且つ前記単調増加判定手段が
    前記単調増加していないと判定した場合には前記適応デ
    ィジタルフィルタの前記最小値から最大値に向かう間の
    フィルタ係数を単調増加するように強制的に設定するフ
    ィルタ係数強制設定手段と、を備えたことを特徴とする
    能動型振動制御装置。
  3. 【請求項3】 振動源から発せられた周期的な振動と干
    渉する制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源
    の振動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信
    号生成手段と、前記干渉後の振動を検出し残留振動信号
    として出力する残留振動検出手段と、前記基準信号をフ
    ィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を生
    成する適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前
    記残留振動信号に基づいて前記干渉後の振動が低減する
    ように適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフ
    ィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備
    えた能動型振動制御装置において、 前記適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数の最大値
    及び最小値を求める最大値最小値設定手段と、前記適応
    ディジタルフィルタの前記最大値から最小値に向かう間
    の各フィルタ係数の値が単調減少しているか否か又は前
    記最小値から最大値に向かう間の各フィルタ係数の値が
    単調増加しているか否かの少なくとも一方を判定する単
    調変化判定手段と、この単調変化判定手段が前記単調減
    少又は単調増加していないと判定した場合には前記適応
    ディジタルフィルタの対応する区間のフィルタ係数を単
    調減少又は単調増加するように強制的に設定するフィル
    タ係数強制設定手段と、を備えたことを特徴とする能動
    型振動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記周期的な振動の周期を検出する周期
    検出手段と、この周期検出手段が検出した前記振動の周
    期が所定周期以上であるか否かを判定する周期判定手段
    と、前記周期判定手段が前記振動の周期が前記所定周期
    以上であると判定した場合に前記フィルタ係数強制設定
    手段を処理実行可能状態とする第1の処理可能状態制御
    手段と、を設けた請求項1乃至請求項3のいずれかに記
    載の能動型振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記適応ディジタルフィルタの振幅が所
    定幅以上であるか否かを判定する振幅判定手段と、前記
    振幅判定手段が前記振幅が前記所定幅以上であると判定
    した場合に前記フィルタ係数強制設定手段を処理実行可
    能状態とする第2の処理可能状態制御手段と、を設けた
    請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の能動型振動制
    御装置。
  6. 【請求項6】 騒音源から発せられる周期的な騒音と干
    渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒
    音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生
    成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留騒音信号とし
    て出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号をフィル
    タ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成する
    適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記残留
    騒音信号に基づいて前記干渉後の騒音が低減するように
    適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタ
    のフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能
    動型騒音制御装置において、 前記適応ディジタルフィルタが発散傾向にない安定状態
    であるか否かを判定する安定状態判定手段と、前記安定
    状態にあるときに前記適応ディジタルフィルタのフィル
    タ係数が採り得る範囲の中間若しくはその付近の値であ
    る所定のしきい値と前記適応ディジタルフィルタの各フ
    ィルタ係数との大小関係を判定する大小関係判定手段
    と、前記安定状態判定手段が前記安定状態であると判定
    した場合に前記大小関係判定手段の判定結果を各フィル
    タ係数と対応させて記憶する記憶手段と、前記大小関係
    判定手段の判定結果と前記記憶手段の記憶内容とを比較
    し両者が一致しない場合にはその対応するフィルタ係数
    を前記しきい値に強制的に設定するフィルタ係数強制設
    定手段と、を設けたことを特徴とする能動型騒音制御装
    置。
  7. 【請求項7】 騒音源から発せられる周期的な騒音と干
    渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒
    音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生
    成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留騒音信号とし
    て出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号をフィル
    タ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成する
    適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記残留
    騒音信号に基づいて前記干渉後の騒音が低減するように
    適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタ
    のフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能
    動型騒音制御装置において、 前記適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数の最大値
    及び最小値を求める最大値最小値設定手段と、前記適応
    ディジタルフィルタの前記最大値から最小値に向かう間
    の各フィルタ係数の値が単調減少しているか否かを判定
    する単調減少判定手段と、前記適応ディジタルフィルタ
    の前記最小値から最大値に向かう間の各フィルタ係数の
    値が単調増加しているか否かを判定する単調増加判定手
    段と、前記単調減少判定手段が前記単調減少していない
    と判定した場合には前記適応ディジタルフィルタの前記
    最大値から最小値に向かう間のフィルタ係数を単調減少
    するように強制的に設定し且つ前記単調増加判定手段が
    前記単調増加していないと判定した場合には前記適応デ
    ィジタルフィルタの前記最小値から最大値に向かう間の
    フィルタ係数を単調増加するように強制的に設定するフ
    ィルタ係数強制設定手段と、を備えたことを特徴とする
    能動型騒音制御装置。
  8. 【請求項8】 騒音源から発せられる周期的な騒音と干
    渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒
    音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生
    成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留騒音信号とし
    て出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号をフィル
    タ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成する
    適応ディジタルフィルタと、前記基準信号及び前記残留
    騒音信号に基づいて前記干渉後の騒音が低減するように
    適応アルゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタ
    のフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えた能
    動型騒音制御装置において、 前記適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数の最大値
    及び最小値を求める最大値最小値設定手段と、前記適応
    ディジタルフィルタの前記最大値から最小値に向かう間
    の各フィルタ係数の値が単調減少しているか否か又は前
    記最小値から最大値に向かう間の各フィルタ係数の値が
    単調増加しているか否かの少なくとも一方を判定する単
    調変化判定手段と、この単調変化判定手段が前記単調減
    少又は単調増加していないと判定した場合には前記適応
    ディジタルフィルタの対応する区間のフィルタ係数を単
    調減少又は単調増加するように強制的に設定するフィル
    タ係数強制設定手段と、を備えたことを特徴とする能動
    型騒音制御装置。
  9. 【請求項9】 前記周期的な騒音の周期を検出する周期
    検出手段と、この周期検出手段が検出した前記騒音の周
    期が所定周期以上であるか否かを判定する周期判定手段
    と、前記周期判定手段が前記騒音の周期が前記所定周期
    以上であると判定した場合に前記フィルタ係数強制設定
    手段を処理実行可能状態とする第1の処理可能状態制御
    手段と、を設けた請求項6乃至請求項8のいずれかに記
    載の能動型騒音制御装置。
  10. 【請求項10】 前記適応ディジタルフィルタの振幅が
    所定幅以上であるか否かを判定する振幅判定手段と、前
    記振幅判定手段が前記振幅が前記所定幅以上であると判
    定した場合に前記フィルタ係数強制設定手段を処理実行
    可能状態とする第2の処理可能状態制御手段と、を設け
    た請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の能動型騒音
    制御装置。
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