JP3265715B2 - 車両用能動型振動制御装置及び車両用能動型騒音制御装置 - Google Patents
車両用能動型振動制御装置及び車両用能動型騒音制御装置Info
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- JP3265715B2 JP3265715B2 JP12976393A JP12976393A JP3265715B2 JP 3265715 B2 JP3265715 B2 JP 3265715B2 JP 12976393 A JP12976393 A JP 12976393A JP 12976393 A JP12976393 A JP 12976393A JP 3265715 B2 JP3265715 B2 JP 3265715B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジン等の振動源
から発せられ車体を伝搬する周期的な振動に制御振動を
干渉させることにより振動の低減を図る車両用能動型振
動制御装置及びエンジン等の騒音源から車室内に伝達さ
れる騒音に制御音を干渉させることにより騒音の低減を
図る車両用能動型騒音制御装置に関し、特に、振動又は
騒音の発生状態を表す基準信号として振動又は騒音に同
期したインパルス列を用いる装置において、広い周波数
帯域の振動又は騒音に対して安定した振動騒音低減効果
が得られるようにしたものである。
から発せられ車体を伝搬する周期的な振動に制御振動を
干渉させることにより振動の低減を図る車両用能動型振
動制御装置及びエンジン等の騒音源から車室内に伝達さ
れる騒音に制御音を干渉させることにより騒音の低減を
図る車両用能動型騒音制御装置に関し、特に、振動又は
騒音の発生状態を表す基準信号として振動又は騒音に同
期したインパルス列を用いる装置において、広い周波数
帯域の振動又は騒音に対して安定した振動騒音低減効果
が得られるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術として、英国特許第
2149614号や特表平1−501344号に記載の
ものがある。これら従来の装置は、航空機の客室やこれ
に類する閉空間に適用される騒音低減装置であって、閉
空間の外部に位置するエンジン等の単一の騒音源は、基
本周波数f0 及びその高調波f1 〜fn を含む騒音を発
生するという条件の下において作動するものである。
2149614号や特表平1−501344号に記載の
ものがある。これら従来の装置は、航空機の客室やこれ
に類する閉空間に適用される騒音低減装置であって、閉
空間の外部に位置するエンジン等の単一の騒音源は、基
本周波数f0 及びその高調波f1 〜fn を含む騒音を発
生するという条件の下において作動するものである。
【0003】具体的には、閉空間内の複数の位置に設置
され音圧を検出するマイクロフォンと、その閉空間に制
御音を発生する複数のラウドスピーカとを備え、騒音源
の周波数f0 〜fn 成分に基づき、それら周波数f0 〜
fn 成分と逆位相の信号でラウドスピーカを駆動させ、
もって閉空間に伝達される騒音と逆位相の制御音をラウ
ドスピーカから発生させて騒音を打ち消している。
され音圧を検出するマイクロフォンと、その閉空間に制
御音を発生する複数のラウドスピーカとを備え、騒音源
の周波数f0 〜fn 成分に基づき、それら周波数f0 〜
fn 成分と逆位相の信号でラウドスピーカを駆動させ、
もって閉空間に伝達される騒音と逆位相の制御音をラウ
ドスピーカから発生させて騒音を打ち消している。
【0004】そして、ラウドスピーカから発せられる制
御音の生成方法として、PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.
63 PAGE 1692,1975,“ADAPTIVE NOISE CANSELLATION :
PRINCIPLES AND APPLICATIONS ”で述べられている‘WI
DROW LMS’アルゴリズムを多チャンネルに展開したアル
ゴリズムを適用している。その内容は、上記特許の発明
者による論文、“A MULTIPLE ERROR LMS ALGORITHM AND
ITS APPLICATION TOTHE ACTIVE CONTROL OF SOUND AND
VIBRATION ”,IEEE TRANS.ACOUST.,SPEECH,SIGNAL PRO
CESSING,VOL.ASSP −35,PP.1423−1434,1987 にも述べ
られている。
御音の生成方法として、PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.
63 PAGE 1692,1975,“ADAPTIVE NOISE CANSELLATION :
PRINCIPLES AND APPLICATIONS ”で述べられている‘WI
DROW LMS’アルゴリズムを多チャンネルに展開したアル
ゴリズムを適用している。その内容は、上記特許の発明
者による論文、“A MULTIPLE ERROR LMS ALGORITHM AND
ITS APPLICATION TOTHE ACTIVE CONTROL OF SOUND AND
VIBRATION ”,IEEE TRANS.ACOUST.,SPEECH,SIGNAL PRO
CESSING,VOL.ASSP −35,PP.1423−1434,1987 にも述べ
られている。
【0005】即ち、LMSアルゴリズムは、適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適なアル
ゴリズムの一つであって、例えばいわゆるFilter
ed−X LMSアルゴリズムにあっては、ラウドスピ
ーカからマイクロフォンまでの伝達関数をモデル化した
伝達関数フィルタを全てのラウドスピーカとマイクロフ
ォンとの組み合わせについて設定し、騒音源の騒音発生
状態を表す基準信号をそのフィルタで処理した値と各マ
イクロフォンが検出した残留騒音とに基づいた所定の評
価関数の値が低減するように、各ラウドスピーカ毎に設
けられたフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を更新している。
タルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適なアル
ゴリズムの一つであって、例えばいわゆるFilter
ed−X LMSアルゴリズムにあっては、ラウドスピ
ーカからマイクロフォンまでの伝達関数をモデル化した
伝達関数フィルタを全てのラウドスピーカとマイクロフ
ォンとの組み合わせについて設定し、騒音源の騒音発生
状態を表す基準信号をそのフィルタで処理した値と各マ
イクロフォンが検出した残留騒音とに基づいた所定の評
価関数の値が低減するように、各ラウドスピーカ毎に設
けられたフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を更新している。
【0006】さらに、その他の従来の能動型騒音制御装
置として、“日本音響学会 平成4年度春季研究発表会
講演論文集”の515〜516頁に記載されたものがあ
り、この従来の技術は、同期式Filtered−X
LMSアルゴリズムと呼ばれていて、騒音の発生状態を
表す基準信号として、騒音の基本周波数に同期したイン
パルス列を適用した点に特徴がある。即ち、かかる従来
の装置にあっては、基準信号がインパルス列であるた
め、乗算が不要となり加算のみで畳み込み演算が行え
る、場合によっては加算も不要となるから、演算量の大
幅な低減が図られ、処理が高速で行えるという利点があ
る。
置として、“日本音響学会 平成4年度春季研究発表会
講演論文集”の515〜516頁に記載されたものがあ
り、この従来の技術は、同期式Filtered−X
LMSアルゴリズムと呼ばれていて、騒音の発生状態を
表す基準信号として、騒音の基本周波数に同期したイン
パルス列を適用した点に特徴がある。即ち、かかる従来
の装置にあっては、基準信号がインパルス列であるた
め、乗算が不要となり加算のみで畳み込み演算が行え
る、場合によっては加算も不要となるから、演算量の大
幅な低減が図られ、処理が高速で行えるという利点があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上記同期式F
iltered−X LMSアルゴリズムを適用した場
合には、畳み込み演算が簡略化される結果、演算負荷が
軽減されるという利点がある。しかしながら、低減する
振動や騒音の周期が長い場合(周波数が低い場合)と周
期が短い場合(周波数が高い場合)とでは、前者の方が
一周期内に出力する適応ディジタルフィルタのフィルタ
係数の個数が多く、それだけ更新演算が必要であるから
演算負荷が大きいというアンバランスがあるため、演算
処理装置の能力を考えると、低周波振動,低周波騒音入
力時における更新演算が可能なようにサンプリング・ク
ロック(残留振動信号,残留騒音信号のサンプリング・
クロックであり、これは、駆動信号の生成周期に等し
い)を決定しなければならないが、このようにサンプリ
ング・クロックが決定されると、高周波振動,高周波騒
音入力時等にあっては、振動や騒音の周期に対してサン
プリング・クロックが相対的に粗くなり、一周期内に出
力される駆動信号の数が少なくなって、精度の高い振動
低減制御又は騒音低減制御が期待できなくなるという不
具合がある。
iltered−X LMSアルゴリズムを適用した場
合には、畳み込み演算が簡略化される結果、演算負荷が
軽減されるという利点がある。しかしながら、低減する
振動や騒音の周期が長い場合(周波数が低い場合)と周
期が短い場合(周波数が高い場合)とでは、前者の方が
一周期内に出力する適応ディジタルフィルタのフィルタ
係数の個数が多く、それだけ更新演算が必要であるから
演算負荷が大きいというアンバランスがあるため、演算
処理装置の能力を考えると、低周波振動,低周波騒音入
力時における更新演算が可能なようにサンプリング・ク
ロック(残留振動信号,残留騒音信号のサンプリング・
クロックであり、これは、駆動信号の生成周期に等し
い)を決定しなければならないが、このようにサンプリ
ング・クロックが決定されると、高周波振動,高周波騒
音入力時等にあっては、振動や騒音の周期に対してサン
プリング・クロックが相対的に粗くなり、一周期内に出
力される駆動信号の数が少なくなって、精度の高い振動
低減制御又は騒音低減制御が期待できなくなるという不
具合がある。
【0008】このような不具合に対し、一周期内に出力
する駆動信号の数を一定個数にする、つまり常に一周期
の1/Nをサンプリング・クロックとして振動低減制御
や騒音低減制御を行うという解決策が考えられる。しか
し、そのような解決策を採用した場合、サンプリング・
クロックが連続して変化することから、時間軸上で表現
される伝達関数フィルタをサンプリング・クロックの連
続した変化に追従させて連続して変化させなければなら
ないため、振動低減制御や騒音低減制御等と並行して伝
達関数の同定処理を行うか、或いは、非常に多種類の伝
達関数フィルタをメモリに記憶させておく必要がある。
従って、演算負荷の大幅な増大を招かない同定方法を開
発するか、或いは、大容量のメモリを搭載することが必
要となってしまう。
する駆動信号の数を一定個数にする、つまり常に一周期
の1/Nをサンプリング・クロックとして振動低減制御
や騒音低減制御を行うという解決策が考えられる。しか
し、そのような解決策を採用した場合、サンプリング・
クロックが連続して変化することから、時間軸上で表現
される伝達関数フィルタをサンプリング・クロックの連
続した変化に追従させて連続して変化させなければなら
ないため、振動低減制御や騒音低減制御等と並行して伝
達関数の同定処理を行うか、或いは、非常に多種類の伝
達関数フィルタをメモリに記憶させておく必要がある。
従って、演算負荷の大幅な増大を招かない同定方法を開
発するか、或いは、大容量のメモリを搭載することが必
要となってしまう。
【0009】本発明は、このような従来の技術における
未解決の課題に着目してなされたものであって、高周波
振動,高周波騒音入力時における制御精度が悪化する等
の不具合を招くことなく、同期式Filtered−X
LMSアルゴリズムの利点を有効に活用することがで
きる車両用能動型振動制御装置及び車両用能動型騒音制
御装置を提供することを目的としている。
未解決の課題に着目してなされたものであって、高周波
振動,高周波騒音入力時における制御精度が悪化する等
の不具合を招くことなく、同期式Filtered−X
LMSアルゴリズムの利点を有効に活用することがで
きる車両用能動型振動制御装置及び車両用能動型騒音制
御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明である車両用能動型振動制御装
置は、振動源から発せられて車体を伝搬する周期的な振
動と干渉する制御振動を発生可能な制御振動源と、前記
周期的な振動と同じ周期のインパルス列でなる基準信号
を生成する基準信号生成手段と、前記干渉後の振動を検
出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、
前記制御振動源及び前記残留振動検出手段間の伝達関数
をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号と前
記伝達関数フィルタのフィルタ係数とを畳み込んで基準
処理信号を生成する基準処理信号生成手段と、フィルタ
係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号の
最新のインパルスが生成された時点から所定サンプリン
グ・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィルタのフ
ィルタ係数を順番に駆動信号として前記制御振動源に出
力する駆動信号生成手段と、前記基準処理信号及び前記
残留振動信号に基づいて前記干渉後の振動が低減するよ
うに前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新
する適応処理手段と、前記振動の周波数を検出する周波
数検出手段と、この周波数検出手段が検出した振動の周
波数に基づいて高周波側が低周波側よりも短くなるよう
に前記所定サンプリング・クロックを切り換えるサンプ
リング・クロック切換手段と、このサンプリング・クロ
ック切換手段の切り換えに応じて前記伝達関数フィルタ
を変更する伝達関数フィルタ変更手段と、を備えた。
に、請求項1記載の発明である車両用能動型振動制御装
置は、振動源から発せられて車体を伝搬する周期的な振
動と干渉する制御振動を発生可能な制御振動源と、前記
周期的な振動と同じ周期のインパルス列でなる基準信号
を生成する基準信号生成手段と、前記干渉後の振動を検
出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、
前記制御振動源及び前記残留振動検出手段間の伝達関数
をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信号と前
記伝達関数フィルタのフィルタ係数とを畳み込んで基準
処理信号を生成する基準処理信号生成手段と、フィルタ
係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号の
最新のインパルスが生成された時点から所定サンプリン
グ・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィルタのフ
ィルタ係数を順番に駆動信号として前記制御振動源に出
力する駆動信号生成手段と、前記基準処理信号及び前記
残留振動信号に基づいて前記干渉後の振動が低減するよ
うに前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新
する適応処理手段と、前記振動の周波数を検出する周波
数検出手段と、この周波数検出手段が検出した振動の周
波数に基づいて高周波側が低周波側よりも短くなるよう
に前記所定サンプリング・クロックを切り換えるサンプ
リング・クロック切換手段と、このサンプリング・クロ
ック切換手段の切り換えに応じて前記伝達関数フィルタ
を変更する伝達関数フィルタ変更手段と、を備えた。
【0011】また、上記目的を達成するために、請求項
2記載の発明である車両用能動型騒音制御装置は、騒音
源から発せられて車室内に伝達される周期的な騒音と干
渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記周期的な騒
音と同じ周期のインパルス列でなる基準信号を生成する
基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留騒
音信号として出力する残留騒音検出手段と、前記制御音
源及び前記残留騒音検出手段間の伝達関数をモデル化し
た伝達関数フィルタと、前記基準信号と前記伝達関数フ
ィルタのフィルタ係数とを畳み込んで基準処理信号を生
成する基準処理信号生成手段と、フィルタ係数可変の適
応ディジタルフィルタと、前記基準信号の最新のインパ
ルスが生成された時点から所定サンプリング・クロック
の間隔で前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を
順番に駆動信号として前記制御音源に出力する駆動信号
生成手段と、前記基準処理信号及び前記残留騒音信号に
基づいて前記干渉後の騒音が低減するように前記適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手
段と、前記騒音の周波数を検出する周波数検出手段と、
この周波数検出手段が検出した騒音の周波数に基づいて
高周波側が低周波側よりも短くなるように前記所定サン
プリング・クロックを切り換えるサンプリング・クロッ
ク切換手段と、このサンプリング・クロック切換手段の
切り換えに応じて前記伝達関数フィルタを変更する伝達
関数フィルタ変更手段と、を備えた。
2記載の発明である車両用能動型騒音制御装置は、騒音
源から発せられて車室内に伝達される周期的な騒音と干
渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記周期的な騒
音と同じ周期のインパルス列でなる基準信号を生成する
基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留騒
音信号として出力する残留騒音検出手段と、前記制御音
源及び前記残留騒音検出手段間の伝達関数をモデル化し
た伝達関数フィルタと、前記基準信号と前記伝達関数フ
ィルタのフィルタ係数とを畳み込んで基準処理信号を生
成する基準処理信号生成手段と、フィルタ係数可変の適
応ディジタルフィルタと、前記基準信号の最新のインパ
ルスが生成された時点から所定サンプリング・クロック
の間隔で前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を
順番に駆動信号として前記制御音源に出力する駆動信号
生成手段と、前記基準処理信号及び前記残留騒音信号に
基づいて前記干渉後の騒音が低減するように前記適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手
段と、前記騒音の周波数を検出する周波数検出手段と、
この周波数検出手段が検出した騒音の周波数に基づいて
高周波側が低周波側よりも短くなるように前記所定サン
プリング・クロックを切り換えるサンプリング・クロッ
ク切換手段と、このサンプリング・クロック切換手段の
切り換えに応じて前記伝達関数フィルタを変更する伝達
関数フィルタ変更手段と、を備えた。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明にあっては、駆動信号生成
手段が、基準信号生成手段が生成する最新のインパルス
が生成された時点から所定サンプリング・クロックの間
隔で適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を順番に駆
動信号として制御振動源に出力するため、制御振動源か
らは、その適応ディジタルフィルタのフィルタ係数に対
応した制御振動が発生するが、制御開始直後は、適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数が最適値に収束してい
るとは限らないので、必ずしも車体を伝搬する振動が低
減するとはいえない。
手段が、基準信号生成手段が生成する最新のインパルス
が生成された時点から所定サンプリング・クロックの間
隔で適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を順番に駆
動信号として制御振動源に出力するため、制御振動源か
らは、その適応ディジタルフィルタのフィルタ係数に対
応した制御振動が発生するが、制御開始直後は、適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ係数が最適値に収束してい
るとは限らないので、必ずしも車体を伝搬する振動が低
減するとはいえない。
【0013】しかし、基準処理信号生成手段が基準信号
と伝達関数フィルタのフィルタ係数とを畳み込んで生成
した基準処理信号と、残留振動検出手段が検出した残留
振動信号とに基づいて、適応処理手段が、干渉後の振動
が低減するように適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を更新するので、制御が進むにつれて適応ディジタル
フィルタのフィルタ係数は最適値に収束してゆき、従っ
て、制御振動源から発せられる制御振動によって振動が
打ち消され、振動レベルが低減する。
と伝達関数フィルタのフィルタ係数とを畳み込んで生成
した基準処理信号と、残留振動検出手段が検出した残留
振動信号とに基づいて、適応処理手段が、干渉後の振動
が低減するように適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を更新するので、制御が進むにつれて適応ディジタル
フィルタのフィルタ係数は最適値に収束してゆき、従っ
て、制御振動源から発せられる制御振動によって振動が
打ち消され、振動レベルが低減する。
【0014】一方、周波数検出手段が振動源から発せら
れる振動の周波数を検出すると、その検出結果に基づい
て、サンプリング・クロック切換手段がサンプリング・
クロックを切り換えるため、高周波振動発生時における
駆動信号の生成周期は、低周波振動発生時における駆動
信号の生成周期に比べて短くなる。従って、高周波振動
発生時における駆動信号の生成周期が粗くなるようなこ
とはない。
れる振動の周波数を検出すると、その検出結果に基づい
て、サンプリング・クロック切換手段がサンプリング・
クロックを切り換えるため、高周波振動発生時における
駆動信号の生成周期は、低周波振動発生時における駆動
信号の生成周期に比べて短くなる。従って、高周波振動
発生時における駆動信号の生成周期が粗くなるようなこ
とはない。
【0015】また、伝達関数フィルタ変更手段が、サン
プリング・クロック切換手段によるサンプリング・クロ
ックの切り換えに応じて伝達関数フィルタを変更する。
従って、サンプリング・クロックと伝達関数フィルタと
を適宜対応付けて予め設定しておけば、サンプリング・
クロックの長さが変わっても、そのサンプリング・クロ
ックの時間間隔で表現された伝達関数フィルタが使用さ
れるようになる。よって、伝達関数の同定処理は不要で
あり、伝達関数フィルタも段階的なサンプリング・クロ
ックに対応して設定しておけば十分であるから、大容量
のメモリは不要である。
プリング・クロック切換手段によるサンプリング・クロ
ックの切り換えに応じて伝達関数フィルタを変更する。
従って、サンプリング・クロックと伝達関数フィルタと
を適宜対応付けて予め設定しておけば、サンプリング・
クロックの長さが変わっても、そのサンプリング・クロ
ックの時間間隔で表現された伝達関数フィルタが使用さ
れるようになる。よって、伝達関数の同定処理は不要で
あり、伝達関数フィルタも段階的なサンプリング・クロ
ックに対応して設定しておけば十分であるから、大容量
のメモリは不要である。
【0016】ここで、上記請求項1記載の発明は振動を
対象としているのに対し、請求項2記載の発明は騒音を
対象としている。従って、請求項2記載の発明の作用
は、振動と音との違いはあるが、実質的に上記請求項1
記載の発明と同様である。
対象としているのに対し、請求項2記載の発明は騒音を
対象としている。従って、請求項2記載の発明の作用
は、振動と音との違いはあるが、実質的に上記請求項1
記載の発明と同様である。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の一実施例を示す図であり、本実施
例は、本発明に係る車両用能動型振動制御装置を、エン
ジンから車体に伝達される振動を能動的に低減する所謂
アクティブ・エンジンマウントに適用したものである。
する。図1は本発明の一実施例を示す図であり、本実施
例は、本発明に係る車両用能動型振動制御装置を、エン
ジンから車体に伝達される振動を能動的に低減する所謂
アクティブ・エンジンマウントに適用したものである。
【0018】先ず、構成を説明すると、図1に示すよう
に、このエンジンマウント1は、振動源としてのエンジ
ン30への取付け用の取付けボルト2aを上部に一体に
備え且つ内側が空洞で下部が開口した取付部材2を有
し、この取付部材2の下部外面には内筒3の上端部がか
しめ止めされている。この内筒3の内側には、取付部材
2及び内筒3の内側の空間を上下に二分するように、そ
れら取付部材2及び内筒3のかしめ止め部分に挟み込ま
れてダイアフラム4が配設されていて、このダイアフラ
ム4によって二分された空間のうち、ダイアフラム4の
上側の空間は大気圧に通じ、ダイアフラム4の下側の空
間にはオリフィス構成体5が配設されている。
に、このエンジンマウント1は、振動源としてのエンジ
ン30への取付け用の取付けボルト2aを上部に一体に
備え且つ内側が空洞で下部が開口した取付部材2を有
し、この取付部材2の下部外面には内筒3の上端部がか
しめ止めされている。この内筒3の内側には、取付部材
2及び内筒3の内側の空間を上下に二分するように、そ
れら取付部材2及び内筒3のかしめ止め部分に挟み込ま
れてダイアフラム4が配設されていて、このダイアフラ
ム4によって二分された空間のうち、ダイアフラム4の
上側の空間は大気圧に通じ、ダイアフラム4の下側の空
間にはオリフィス構成体5が配設されている。
【0019】一方、内筒3の外周面には、内周面及び外
周面の軸方向位置が内周側が高くなるように成形されて
いる円筒状の支持弾性体6の内周面が加硫接着されてい
て、その支持弾性体6の外周面は外筒7の内周面に加硫
接着されている。そして、外筒7の下端部は円筒形のア
クチュエータ保持部材8の上部にかしめ止めされ、アク
チュエータ保持部材8の下端面には、車体としてのメン
バ35側への取付け用の取付けボルト9aを下部に一体
に備えた円板状の取付部材9が固定されている。
周面の軸方向位置が内周側が高くなるように成形されて
いる円筒状の支持弾性体6の内周面が加硫接着されてい
て、その支持弾性体6の外周面は外筒7の内周面に加硫
接着されている。そして、外筒7の下端部は円筒形のア
クチュエータ保持部材8の上部にかしめ止めされ、アク
チュエータ保持部材8の下端面には、車体としてのメン
バ35側への取付け用の取付けボルト9aを下部に一体
に備えた円板状の取付部材9が固定されている。
【0020】また、アクチュエータ保持部材8の上端面
には、これと一体に外筒7の下端部にかしめ止めされた
円筒部材10が固定されていて、さらに、この円筒部材
10の内周面には、アクチュエータ保持部材8の上端面
との間に所定のクリアランスをもち且つ円筒形の弾性体
11により上下方向に変位可能に可動部材12が保持さ
れている。かかる可動部材12は、磁化可能な材料から
なり且つ上面が凹陥した円板状に成形されている。
には、これと一体に外筒7の下端部にかしめ止めされた
円筒部材10が固定されていて、さらに、この円筒部材
10の内周面には、アクチュエータ保持部材8の上端面
との間に所定のクリアランスをもち且つ円筒形の弾性体
11により上下方向に変位可能に可動部材12が保持さ
れている。かかる可動部材12は、磁化可能な材料から
なり且つ上面が凹陥した円板状に成形されている。
【0021】そして、アクチュエータ保持部材8の内側
には、電磁コイル等を含んで構成され、外部から供給さ
れる制御信号に応じて可動部材12を上下方向に変位さ
せる電磁アクチュエータ13が配設されている。さら
に、本実施例では、支持弾性体6の下面及び可動部材1
2の上面によって画成された部分に主流体室15が形成
され、ダイアフラム4及びオリフィス構成体5によって
画成された部分に副流体室16が形成されていて、これ
ら主流体室15及び副流体室16間が、オリフィス構成
体5に形成されたオリフィス5aを介して連通してい
る。なお、これら主流体室15,副流体室16及びオリ
フィス5a内には油等の流体が封入されている。
には、電磁コイル等を含んで構成され、外部から供給さ
れる制御信号に応じて可動部材12を上下方向に変位さ
せる電磁アクチュエータ13が配設されている。さら
に、本実施例では、支持弾性体6の下面及び可動部材1
2の上面によって画成された部分に主流体室15が形成
され、ダイアフラム4及びオリフィス構成体5によって
画成された部分に副流体室16が形成されていて、これ
ら主流体室15及び副流体室16間が、オリフィス構成
体5に形成されたオリフィス5aを介して連通してい
る。なお、これら主流体室15,副流体室16及びオリ
フィス5a内には油等の流体が封入されている。
【0022】かかるオリフィス5aの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzでエンジンマウント1
が加振された際に高動バネ定数,高減衰力を示すように
調整されている。そして、電磁アクチュエータ13はコ
ントローラ20に接続されていて、かかるコントローラ
20から供給される駆動信号yに応じて所定の電磁力を
発生するようになっている。
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzでエンジンマウント1
が加振された際に高動バネ定数,高減衰力を示すように
調整されている。そして、電磁アクチュエータ13はコ
ントローラ20に接続されていて、かかるコントローラ
20から供給される駆動信号yに応じて所定の電磁力を
発生するようになっている。
【0023】コントローラ20は、マイクロコンピュー
タ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A
変換器,アンプ等を含んで構成されていて、オリフィス
5aを通じて主流体室15及び副流体室16間で流体が
移動不可能な周波数帯域の振動、つまり上述したエンジ
ンシェイクよりも高周波の振動であるアイドル振動やこ
もり音振動・加速時振動が入力されている場合には、そ
の振動に同期し、取付部材9への伝達力が“0”となる
ように(具体的には支持弾性体6の弾性変形による入力
と主流体室15の容積変動による入力を相殺できるよう
に)、駆動信号yを生成し電磁アクチュエータ13に供
給するようになっている。
タ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A
変換器,アンプ等を含んで構成されていて、オリフィス
5aを通じて主流体室15及び副流体室16間で流体が
移動不可能な周波数帯域の振動、つまり上述したエンジ
ンシェイクよりも高周波の振動であるアイドル振動やこ
もり音振動・加速時振動が入力されている場合には、そ
の振動に同期し、取付部材9への伝達力が“0”となる
ように(具体的には支持弾性体6の弾性変形による入力
と主流体室15の容積変動による入力を相殺できるよう
に)、駆動信号yを生成し電磁アクチュエータ13に供
給するようになっている。
【0024】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動がエンジンマウント1を介してメ
ンバ35に伝達されることが主な原因であるから、その
エンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出
力すれば、振動伝達率の低減が可能となる。そこで、本
実施例では、エンジン30のクランク角の回転に同期し
た(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クラ
ンクが180度回転する度に一つの)インパルス信号を
生成し基準信号xとして出力する基準信号生成手段とし
てのパルス信号生成器21を設けていて、その基準信号
xが、エンジン30における振動の発生状態を表す信号
としてコントローラ20に供給されている。
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動がエンジンマウント1を介してメ
ンバ35に伝達されることが主な原因であるから、その
エンジン回転2次成分に同期して駆動信号yを生成し出
力すれば、振動伝達率の低減が可能となる。そこで、本
実施例では、エンジン30のクランク角の回転に同期し
た(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、クラ
ンクが180度回転する度に一つの)インパルス信号を
生成し基準信号xとして出力する基準信号生成手段とし
てのパルス信号生成器21を設けていて、その基準信号
xが、エンジン30における振動の発生状態を表す信号
としてコントローラ20に供給されている。
【0025】一方、メンバ35は、エンジンマウント1
の取り付け位置に近接して、メンバ35の振動状況を加
速度の形で検出し残留振動信号eとして出力する残留振
動検出手段としての加速度センサ22が固定されてい
て、その残留振動信号eが、干渉後における振動を表す
信号としてコントローラ20に供給されている。そし
て、コントローラ20は、それら基準信号x及び残留振
動信号eに基づき、逐次更新形の適応アルゴリズムの一
つであるFiltered−X LMSアルゴリズム、
より具体的には、同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムに従って駆動信号yを生成し出力する。
の取り付け位置に近接して、メンバ35の振動状況を加
速度の形で検出し残留振動信号eとして出力する残留振
動検出手段としての加速度センサ22が固定されてい
て、その残留振動信号eが、干渉後における振動を表す
信号としてコントローラ20に供給されている。そし
て、コントローラ20は、それら基準信号x及び残留振
動信号eに基づき、逐次更新形の適応アルゴリズムの一
つであるFiltered−X LMSアルゴリズム、
より具体的には、同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムに従って駆動信号yを生成し出力する。
【0026】即ち、コントローラ20は、フィルタ係数
Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ数)可
変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最新の基
準信号xが入力された時点から所定サンプリング・クロ
ックの間隔で、その適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力する一方、エ
ンジン30からエンジンマウント1を介してメンバ35
に伝達される振動が低減するように、基準信号x及び残
留振動信号eに基づいて適応ディジタルフィルタWのフ
ィルタ係数Wi を適宜更新する処理を実行する。
Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ数)可
変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最新の基
準信号xが入力された時点から所定サンプリング・クロ
ックの間隔で、その適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力する一方、エ
ンジン30からエンジンマウント1を介してメンバ35
に伝達される振動が低減するように、基準信号x及び残
留振動信号eに基づいて適応ディジタルフィルタWのフ
ィルタ係数Wi を適宜更新する処理を実行する。
【0027】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−αRT e(n) ……(1) ここで、(n)が付く項は時刻nにおける値であること
を表し、また、αは収束係数と呼ばれる係数であってフ
ィルタ係数Wi の収束の速度やその安定性に関与する係
数である。RT は、理論的には、基準信号xを、エンジ
ンマウント1及び加速度センサ22間の伝達関数Cを表
す伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した値(リファ
レンス信号若しくはFiltered-X信号)であるが、この実
施例では同期式Filtered−X LMSアルゴリ
ズムを適用した結果基準信号xがインパルス列であるた
め、伝達関数フィルタC^のインパルス応答を基準信号
xに同期して次々に生成した場合のそれらインパルス応
答波形の時刻nにおける和に一致する。
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−αRT e(n) ……(1) ここで、(n)が付く項は時刻nにおける値であること
を表し、また、αは収束係数と呼ばれる係数であってフ
ィルタ係数Wi の収束の速度やその安定性に関与する係
数である。RT は、理論的には、基準信号xを、エンジ
ンマウント1及び加速度センサ22間の伝達関数Cを表
す伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した値(リファ
レンス信号若しくはFiltered-X信号)であるが、この実
施例では同期式Filtered−X LMSアルゴリ
ズムを適用した結果基準信号xがインパルス列であるた
め、伝達関数フィルタC^のインパルス応答を基準信号
xに同期して次々に生成した場合のそれらインパルス応
答波形の時刻nにおける和に一致する。
【0028】また、理論的には、適応ディジタルフィル
タWで基準信号xをフィルタ処理して駆動信号yを生成
することになり、フィルタ処理はディジタル演算では畳
み込み演算に該当するが、基準信号xがインパルス列で
あるので、上述したように最新の基準信号xが入力され
た時点から、所定サンプリング・クロックの間隔で適応
ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi を順番に駆
動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動
信号yとしたのと同じ結果になる。
タWで基準信号xをフィルタ処理して駆動信号yを生成
することになり、フィルタ処理はディジタル演算では畳
み込み演算に該当するが、基準信号xがインパルス列で
あるので、上述したように最新の基準信号xが入力され
た時点から、所定サンプリング・クロックの間隔で適応
ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi を順番に駆
動信号yとして出力しても、フィルタ処理の結果を駆動
信号yとしたのと同じ結果になる。
【0029】さらに、コントローラ20は、エンジン3
0からエンジンマウント1を介してメンバ35に伝達さ
れる振動の周波数を検出する機能を備えている。具体的
には、基準信号xの一周期内に出力した駆動信号yの個
数とそのときのサンプリング・クロックとに基づいて、
メンバ35に伝達される振動の周波数を求める演算機能
を備えていて、その演算された振動の周波数に基づき、
所定のしきい値を境に、振動が低周波帯域にあるか高周
波帯域にあるかを判断し、そして、その判断結果に応じ
て、高周波帯域にあると判断された場合の方が短くなる
ように、駆動信号yの生成周期であり且つ残留振動信号
eの読み込み間隔であるサンプリング・クロックを二段
階に切り換えるようになっている。
0からエンジンマウント1を介してメンバ35に伝達さ
れる振動の周波数を検出する機能を備えている。具体的
には、基準信号xの一周期内に出力した駆動信号yの個
数とそのときのサンプリング・クロックとに基づいて、
メンバ35に伝達される振動の周波数を求める演算機能
を備えていて、その演算された振動の周波数に基づき、
所定のしきい値を境に、振動が低周波帯域にあるか高周
波帯域にあるかを判断し、そして、その判断結果に応じ
て、高周波帯域にあると判断された場合の方が短くなる
ように、駆動信号yの生成周期であり且つ残留振動信号
eの読み込み間隔であるサンプリング・クロックを二段
階に切り換えるようになっている。
【0030】またさらに、コントローラ20は、二段階
に切り換えられるサンプリング・クロックのそれぞれに
対応し、各サンプリング・クロックの間隔でサンプリン
グした伝達関数フィルタC^を個別に有していて、上記
サンプリング・クロックの切り換えに応じて、リファレ
ンス信号RT を演算する際に使用する伝達関数フィルタ
C^を変更するようになっている。
に切り換えられるサンプリング・クロックのそれぞれに
対応し、各サンプリング・クロックの間隔でサンプリン
グした伝達関数フィルタC^を個別に有していて、上記
サンプリング・クロックの切り換えに応じて、リファレ
ンス信号RT を演算する際に使用する伝達関数フィルタ
C^を変更するようになっている。
【0031】次に、本実施例の作用を説明する。即ち、
エンジンシェイク発生時には、オリフィス5aの流路形
状等を適宜選定している結果、このエンジンマウント1
は高動バネ定数,高減衰力の支持装置として機能するた
め、エンジン30で発生したエンジンシェイクがエンジ
ンマウント1によって減衰され、メンバ35側の振動レ
ベルが低減される。なお、かかる場合には、特に可動部
材12を変位させる必要はない。
エンジンシェイク発生時には、オリフィス5aの流路形
状等を適宜選定している結果、このエンジンマウント1
は高動バネ定数,高減衰力の支持装置として機能するた
め、エンジン30で発生したエンジンシェイクがエンジ
ンマウント1によって減衰され、メンバ35側の振動レ
ベルが低減される。なお、かかる場合には、特に可動部
材12を変位させる必要はない。
【0032】一方、オリフィス5a内の流体がスティッ
ク状態となり主流体室15及び副流体16間での流体の
移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ20は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ13に駆動信
号yを出力し、エンジンマウント1に振動を低減し得る
能動的な制御力を発生させる。
ク状態となり主流体室15及び副流体16間での流体の
移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ20は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ13に駆動信
号yを出力し、エンジンマウント1に振動を低減し得る
能動的な制御力を発生させる。
【0033】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ20内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図2に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定を行
った後に、ステップ102aに移行し、前回の処理にお
ける駆動信号yの出力回数Ty がしきい値Aよりも大き
いか否かを判定する。
時にコントローラ20内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図2に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定を行
った後に、ステップ102aに移行し、前回の処理にお
ける駆動信号yの出力回数Ty がしきい値Aよりも大き
いか否かを判定する。
【0034】即ち、第1回目の処理では出力回数Ty は
所定の初期値に設定されているが、第2回目以降の処理
であれば、実際に駆動信号yを出力した回数が出力回数
Tyとして記憶されており、出力回数Ty は、実際の振
動の周波数に対応する。つまり、このステップ102a
の判定が「YES」の場合には、一周期内にA回以上駆
動信号yを出力しているのであるから、そのしきい値A
を境として、低周波側の振動が発生していると判断でき
る。
所定の初期値に設定されているが、第2回目以降の処理
であれば、実際に駆動信号yを出力した回数が出力回数
Tyとして記憶されており、出力回数Ty は、実際の振
動の周波数に対応する。つまり、このステップ102a
の判定が「YES」の場合には、一周期内にA回以上駆
動信号yを出力しているのであるから、そのしきい値A
を境として、低周波側の振動が発生していると判断でき
る。
【0035】ここでは、低周波側の振動が発生している
と考え、ステップ102aの判定を「YES」としてス
テップ103aに移行する。そして、ステップ103a
では、伝達関数フィルタC^として、低周波側振動入力
時用の伝達関数フィルタC^L を読み込む。かかる伝達
関数フィルタC^Lは、後述する低周波側処理実行用の
サンプリング・クロックSCL の間隔でインパルス応答
をサンプリングすることによって予め設定された数列か
らなるディジタルフィルタである。
と考え、ステップ102aの判定を「YES」としてス
テップ103aに移行する。そして、ステップ103a
では、伝達関数フィルタC^として、低周波側振動入力
時用の伝達関数フィルタC^L を読み込む。かかる伝達
関数フィルタC^Lは、後述する低周波側処理実行用の
サンプリング・クロックSCL の間隔でインパルス応答
をサンプリングすることによって予め設定された数列か
らなるディジタルフィルタである。
【0036】次いでステップ104aに移行し、伝達関
数フィルタC^L に基づいてリファレンス信号RT を演
算する。なお、このステップ104aでは、一周期分の
リファレンス信号RT をまとめて演算する。そして、ス
テップ105aに移行し、カウンタiを零クリアした後
に、ステップ106aに移行して、適応ディジタルフィ
ルタWのi番目のフィルタ係数Wiを、駆動信号yとし
て出力する。
数フィルタC^L に基づいてリファレンス信号RT を演
算する。なお、このステップ104aでは、一周期分の
リファレンス信号RT をまとめて演算する。そして、ス
テップ105aに移行し、カウンタiを零クリアした後
に、ステップ106aに移行して、適応ディジタルフィ
ルタWのi番目のフィルタ係数Wiを、駆動信号yとし
て出力する。
【0037】ステップ106aで駆動信号yを出力した
ら、ステップ107aに移行して、サンプリングの間隔
を計測するためのタイマをリセット・スタートする。そ
して、ステップ108aに移行し、残留振動信号eを読
み込んだら、ステップ109aでカウンタjを零クリア
し、次いでステップ110aに移行して、適応ディジタ
ルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj を、上記
(1)式に従って更新する。
ら、ステップ107aに移行して、サンプリングの間隔
を計測するためのタイマをリセット・スタートする。そ
して、ステップ108aに移行し、残留振動信号eを読
み込んだら、ステップ109aでカウンタjを零クリア
し、次いでステップ110aに移行して、適応ディジタ
ルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj を、上記
(1)式に従って更新する。
【0038】ステップ110aにおける更新処理を終え
たら、ステップ111aに移行して次の基準信号xが入
力されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力
されていないと判定された場合は、適応ディジタルフィ
ルタWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力
処理を実行すべく、ステップ112aに移行する。ステ
ップ112aでは、カウンタjが、出力回数Ty (正確
には、カウンタjは0からスタートするため、出力回数
Ty から1を減じた値)に達しているか否かを判定す
る。この判定は、ステップ106aで適応ディジタルフ
ィルタWのフィルタ係数Wi を駆動信号yとして出力し
た後に、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数を、
駆動信号yとして必要な数だけ更新したか否かを判断す
るためのものである。そこで、このステップ112aの
判定が「NO」の場合には、ステップ113aでカウン
タjをインクリメントした後に、ステップ110aに戻
って上述した処理を繰り返し実行する。
たら、ステップ111aに移行して次の基準信号xが入
力されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力
されていないと判定された場合は、適応ディジタルフィ
ルタWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力
処理を実行すべく、ステップ112aに移行する。ステ
ップ112aでは、カウンタjが、出力回数Ty (正確
には、カウンタjは0からスタートするため、出力回数
Ty から1を減じた値)に達しているか否かを判定す
る。この判定は、ステップ106aで適応ディジタルフ
ィルタWのフィルタ係数Wi を駆動信号yとして出力し
た後に、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数を、
駆動信号yとして必要な数だけ更新したか否かを判断す
るためのものである。そこで、このステップ112aの
判定が「NO」の場合には、ステップ113aでカウン
タjをインクリメントした後に、ステップ110aに戻
って上述した処理を繰り返し実行する。
【0039】しかし、ステップ112aの判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
4aに移行する。そして、ステップ114aでカウンタ
iをインクリメントした後に、ステップ115aに移行
して、上記ステップ107aでスタートさせたタイマの
計測値が、低周波側処理実行用のサンプリング・クロッ
クSCL に達するまで待機する。このステップ115a
でタイマの計測値がサンプリング・クロックSCL に達
したら、上記ステップ106aに戻って上述した処理を
繰り返し実行する。
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
4aに移行する。そして、ステップ114aでカウンタ
iをインクリメントした後に、ステップ115aに移行
して、上記ステップ107aでスタートさせたタイマの
計測値が、低周波側処理実行用のサンプリング・クロッ
クSCL に達するまで待機する。このステップ115a
でタイマの計測値がサンプリング・クロックSCL に達
したら、上記ステップ106aに戻って上述した処理を
繰り返し実行する。
【0040】しかし、ステップ111aで基準信号xが
入力されたと判断された場合には、ステップ116aに
移行し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からス
タートするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の
出力回数Ty として保存した後に、ステップ102aに
戻って、上述した処理を繰り返し実行する。一方、ステ
ップ102aの判定が「NO」となった場合には、一周
期内にA回よりも少ない回数駆動信号yを出力している
のであるから、そのしきい値Aを境として、高周波側の
振動が発生していると判断できる。
入力されたと判断された場合には、ステップ116aに
移行し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からス
タートするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の
出力回数Ty として保存した後に、ステップ102aに
戻って、上述した処理を繰り返し実行する。一方、ステ
ップ102aの判定が「NO」となった場合には、一周
期内にA回よりも少ない回数駆動信号yを出力している
のであるから、そのしきい値Aを境として、高周波側の
振動が発生していると判断できる。
【0041】そこで、高周波側振動発生時の演算処理を
実行するべく、ステップ103bに移行するが、ステッ
プ103b〜116bの処理内容は、ステップ103b
及び115bの処理内容が僅かに異なることを除いて
は、上述したステップ103a〜116aの処理内容と
本質的には同じである。即ち、ステップ103bにおい
ては、上記ステップ103aにおける処理とは異なり、
伝達関数フィルタC^として、高周波側振動入力時用の
伝達関数フィルタC^H を読み込むとともに、ステップ
115bにおいては、ステップ107bでスタートさせ
るタイマの計測値が、高周波側処理実行用のサンプリン
グ・クロックSCH に達するまで待機する。ここで、高
周波側処理実行用のサンプリング・クロックSCH と低
周波側処理実行用のサンプリング・クロックSCL との
関係は、 SCH <SCL であり、高周波側の方が短くなっている。また、高周波
側振動入力時用の伝達関数フィルタC^H は、高周波側
処理実行用のサンプリング・クロックSCH の間隔でイ
ンパルス応答をサンプリングすることによって予め設定
された数列からなるディジタルフィルタである。
実行するべく、ステップ103bに移行するが、ステッ
プ103b〜116bの処理内容は、ステップ103b
及び115bの処理内容が僅かに異なることを除いて
は、上述したステップ103a〜116aの処理内容と
本質的には同じである。即ち、ステップ103bにおい
ては、上記ステップ103aにおける処理とは異なり、
伝達関数フィルタC^として、高周波側振動入力時用の
伝達関数フィルタC^H を読み込むとともに、ステップ
115bにおいては、ステップ107bでスタートさせ
るタイマの計測値が、高周波側処理実行用のサンプリン
グ・クロックSCH に達するまで待機する。ここで、高
周波側処理実行用のサンプリング・クロックSCH と低
周波側処理実行用のサンプリング・クロックSCL との
関係は、 SCH <SCL であり、高周波側の方が短くなっている。また、高周波
側振動入力時用の伝達関数フィルタC^H は、高周波側
処理実行用のサンプリング・クロックSCH の間隔でイ
ンパルス応答をサンプリングすることによって予め設定
された数列からなるディジタルフィルタである。
【0042】さらに、ステップ116bの処理を行った
後は、ステップ102bに移行し、最新の出力回数Ty
が、所定のしきい値Bよりも小さいか否かを判定し、そ
のステップ102bの判定が「NO」の場合、つまりし
きい値Bを境として低周波側の振動が発生していると判
断できる場合には、ステップ103aに移行し、ステッ
プ102bの判定が「YES」の場合、つまりしきい値
Bを境として高周波側の振動が発生していると判断でき
る場合には、ステップ103bに移行する。なお、しき
い値A及びBの関係は、制御系を安定させるために、 A>B としてヒステリシスを持たせる。
後は、ステップ102bに移行し、最新の出力回数Ty
が、所定のしきい値Bよりも小さいか否かを判定し、そ
のステップ102bの判定が「NO」の場合、つまりし
きい値Bを境として低周波側の振動が発生していると判
断できる場合には、ステップ103aに移行し、ステッ
プ102bの判定が「YES」の場合、つまりしきい値
Bを境として高周波側の振動が発生していると判断でき
る場合には、ステップ103bに移行する。なお、しき
い値A及びBの関係は、制御系を安定させるために、 A>B としてヒステリシスを持たせる。
【0043】このような処理を繰り返し実行する結果、
基準信号x,駆動信号y及び伝達関数フィルタC^の関
係を表す図3に示すように、コントローラ20からエン
ジンマウント1に対しては、基準信号xが入力された時
点から、サンプリング・クロックSCL 又はSCH の間
隔で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wiが
順番に駆動信号yとして供給されるが、適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムに従った上記(1)に
よって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過して
適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最適
値に収束した後は、駆動信号yがエンジンマウント1に
供給されることによって、エンジン30からエンジンマ
ウント1を介してメンバ35側に伝達されるアイドル振
動やこもり音振動が低減されるようになる。なお、エン
ジンマウント1における制御力は、電磁アクチュエータ
13から発せられる電磁力によって可動部材12が振動
し、その振動が主流体室15内の流体及び支持弾性体6
の拡張バネを介して内筒3及び外筒7間の力として作用
することにより得られるものである。
基準信号x,駆動信号y及び伝達関数フィルタC^の関
係を表す図3に示すように、コントローラ20からエン
ジンマウント1に対しては、基準信号xが入力された時
点から、サンプリング・クロックSCL 又はSCH の間
隔で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wiが
順番に駆動信号yとして供給されるが、適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムに従った上記(1)に
よって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過して
適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最適
値に収束した後は、駆動信号yがエンジンマウント1に
供給されることによって、エンジン30からエンジンマ
ウント1を介してメンバ35側に伝達されるアイドル振
動やこもり音振動が低減されるようになる。なお、エン
ジンマウント1における制御力は、電磁アクチュエータ
13から発せられる電磁力によって可動部材12が振動
し、その振動が主流体室15内の流体及び支持弾性体6
の拡張バネを介して内筒3及び外筒7間の力として作用
することにより得られるものである。
【0044】しかも、本実施例にあっては、低周波側振
動入力時に実行する処理と、高周波側振動入力時に実行
する処理とを個別に設定し、それぞれに上述した関係に
あるサンプリング・クロックSCL 及びサンプリング・
クロックSCH を設定したため、駆動信号yの出力間隔
は、低周波側振動入力時には、図4に示すように比較的
長くなり、高周波側振動入力時には、図5に示すように
比較的短くなる。
動入力時に実行する処理と、高周波側振動入力時に実行
する処理とを個別に設定し、それぞれに上述した関係に
あるサンプリング・クロックSCL 及びサンプリング・
クロックSCH を設定したため、駆動信号yの出力間隔
は、低周波側振動入力時には、図4に示すように比較的
長くなり、高周波側振動入力時には、図5に示すように
比較的短くなる。
【0045】従って、低周波側振動入力時に一周期内に
出力する駆動信号yの個数が多くなり過ぎて、更新すべ
き適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の個数
が多くなって演算負荷が極端に大きくなってしまうこと
や、高周波振動入力時に一周期内に出力する駆動信号信
号yの個数が少なくなって制御の精度が低くなってしま
うことが防止されるのである。
出力する駆動信号yの個数が多くなり過ぎて、更新すべ
き適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の個数
が多くなって演算負荷が極端に大きくなってしまうこと
や、高周波振動入力時に一周期内に出力する駆動信号信
号yの個数が少なくなって制御の精度が低くなってしま
うことが防止されるのである。
【0046】また、本実施例では、伝達関数フィルタC
^を、低周波側用及び高周波側ようとして二種類用意
し、それら各伝達関数フィルタC^を、図4又は図5に
示すように、それぞれのサンプリング・クロックSCL
又はSCH の間隔で設定しているため、適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi の更新処理の精度が悪
化することもない。
^を、低周波側用及び高周波側ようとして二種類用意
し、それら各伝達関数フィルタC^を、図4又は図5に
示すように、それぞれのサンプリング・クロックSCL
又はSCH の間隔で設定しているため、適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi の更新処理の精度が悪
化することもない。
【0047】そして、伝達関数フィルタC^は、切り換
えが可能なサンプリング・クロックの個数(本実施例で
は、二つ)に対応した種類を予め設定しておくだけでよ
いから、伝達関数の同定処理のように面倒な演算処理は
不要であるし、大容量のメモリも不要である。よって、
コストが大幅に増大することもない。また、図4及び図
5を比較すると判るように、振動の周波数が高くなる
と、振動の周波数が低い場合に比べて、リファレンス信
号RT を演算するために多くの伝達関数フィルタC^の
フィルタ係数を足し合わさなけれならなくなる。しか
し、その足し合わせ回数は、ある回数以上になると、そ
もそもの伝達関数フィルタC^の精度との関係で、加算
してもしなくても精度に大きな影響を与えないことが判
っている。従って、足し合わせ回数には適宜上限値を設
けておくと、演算負荷の軽減を図ることができる。
えが可能なサンプリング・クロックの個数(本実施例で
は、二つ)に対応した種類を予め設定しておくだけでよ
いから、伝達関数の同定処理のように面倒な演算処理は
不要であるし、大容量のメモリも不要である。よって、
コストが大幅に増大することもない。また、図4及び図
5を比較すると判るように、振動の周波数が高くなる
と、振動の周波数が低い場合に比べて、リファレンス信
号RT を演算するために多くの伝達関数フィルタC^の
フィルタ係数を足し合わさなけれならなくなる。しか
し、その足し合わせ回数は、ある回数以上になると、そ
もそもの伝達関数フィルタC^の精度との関係で、加算
してもしなくても精度に大きな影響を与えないことが判
っている。従って、足し合わせ回数には適宜上限値を設
けておくと、演算負荷の軽減を図ることができる。
【0048】ここで、本実施例にあっては、エンジンマ
ウント1によって制御振動源が構成され、ステップ10
3a及び103bの処理によって基準処理信号生成手段
が構成され、ステップ108a,109a,115a及
び108b,109b,115bの処理によって駆動信
号生成手段が構成され、ステップ110a及び110b
の処理によって適応処理手段が構成され、ステップ11
5a,116a及び115b,116bの処理によって
周波数検出手段が構成され、ステップ102a,115
a及び102b,115bの処理によってサンプリング
・クロック切換手段が構成され、ステップ103a及び
103bの処理によって伝達関数フィルタ変更手段が構
成される。
ウント1によって制御振動源が構成され、ステップ10
3a及び103bの処理によって基準処理信号生成手段
が構成され、ステップ108a,109a,115a及
び108b,109b,115bの処理によって駆動信
号生成手段が構成され、ステップ110a及び110b
の処理によって適応処理手段が構成され、ステップ11
5a,116a及び115b,116bの処理によって
周波数検出手段が構成され、ステップ102a,115
a及び102b,115bの処理によってサンプリング
・クロック切換手段が構成され、ステップ103a及び
103bの処理によって伝達関数フィルタ変更手段が構
成される。
【0049】なお、上記実施例では、サンプリング・ク
ロックの切り換えを二段階としているが、これに限定さ
れるものではなく、三段階以上であってもよい。また、
上記実施例では、駆動信号yの出力回数Ty に基づいて
振動の周波数を検出する構成としているが、振動の周波
数の検出する手段はこれに限定されるものではなく、例
えば、エンジン30の回転数から読み取ってもよい。
ロックの切り換えを二段階としているが、これに限定さ
れるものではなく、三段階以上であってもよい。また、
上記実施例では、駆動信号yの出力回数Ty に基づいて
振動の周波数を検出する構成としているが、振動の周波
数の検出する手段はこれに限定されるものではなく、例
えば、エンジン30の回転数から読み取ってもよい。
【0050】さらに、低周波用及び高周波用の伝達関数
フィルタC^を個別に設定しなくても、例えば、伝達関
数フィルタC^を細かい時間間隔で設定しておき、その
フィルタ係数を適宜間引いて、低周波用,高周波用とし
て使用してもよい。そして、上記実施例では、本発明に
係る車両用能動型振動制御装置を、エンジン30からメ
ンバ35に伝達される振動の低減を図る所謂アクティブ
・エンジンマウントに適用した場合について説明した
が、本発明の適用対象はこれに限定されるものではな
く、周期的な振動であればエンジン30以外から発せら
れる振動の低減を図る装置であってもよい。
フィルタC^を個別に設定しなくても、例えば、伝達関
数フィルタC^を細かい時間間隔で設定しておき、その
フィルタ係数を適宜間引いて、低周波用,高周波用とし
て使用してもよい。そして、上記実施例では、本発明に
係る車両用能動型振動制御装置を、エンジン30からメ
ンバ35に伝達される振動の低減を図る所謂アクティブ
・エンジンマウントに適用した場合について説明した
が、本発明の適用対象はこれに限定されるものではな
く、周期的な振動であればエンジン30以外から発せら
れる振動の低減を図る装置であってもよい。
【0051】またさらに、低減の対象は振動に限定され
るものではなく、例えば、エンジン30から車室内に伝
達される周期的な騒音を能動的に低減する車両用能動型
騒音制御装置としてもよい。かかる場合には、コントロ
ーラから供給される駆動信号によって駆動して車室内に
制御音を発生するラウドスピーカ(制御音源)と、車室
内の残留騒音を検出し残留騒音信号としてコントローラ
に出力するマイクロフォン(残留騒音検出手段)と、を
設けることになる。
るものではなく、例えば、エンジン30から車室内に伝
達される周期的な騒音を能動的に低減する車両用能動型
騒音制御装置としてもよい。かかる場合には、コントロ
ーラから供給される駆動信号によって駆動して車室内に
制御音を発生するラウドスピーカ(制御音源)と、車室
内の残留騒音を検出し残留騒音信号としてコントローラ
に出力するマイクロフォン(残留騒音検出手段)と、を
設けることになる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
振動又は騒音の周波数に応じて、高周波側の方が低周波
側よりも短くなるようにサンプリング・クロックを切り
換えるとともに、そのサンプリング・クロックの切り換
えに応じて伝達関数フィルタを変更する構成としたた
め、コストの大幅な増大等の不具合を招くことなく、低
周波振動,高周波騒音入力時における演算負荷の増大
と、高周波振動,高周波騒音入力時における制御精度の
悪化とを防止することができるという効果がある。
振動又は騒音の周波数に応じて、高周波側の方が低周波
側よりも短くなるようにサンプリング・クロックを切り
換えるとともに、そのサンプリング・クロックの切り換
えに応じて伝達関数フィルタを変更する構成としたた
め、コストの大幅な増大等の不具合を招くことなく、低
周波振動,高周波騒音入力時における演算負荷の増大
と、高周波振動,高周波騒音入力時における制御精度の
悪化とを防止することができるという効果がある。
【図1】本発明の一実施例の構成を示す断面図である。
【図2】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
フローチャートである。
【図3】基準信号,駆動信号及び伝達関数フィルタの関
係を表す波形図である。
係を表す波形図である。
【図4】低周波振動入力時における駆動信号及び伝達関
数フィルタの関係を表す波形図である。
数フィルタの関係を表す波形図である。
【図5】高周波振動入力時における駆動信号及び伝達関
数フィルタの関係を表す波形図である。
数フィルタの関係を表す波形図である。
【符号の説明】 1 エンジンマウント(制御振動源) 13 電磁アクチュエータ 20 コントローラ 21 パルス生成器(基準信号生成手段) 22 加速度センサ(残留振動検出手段) 30 エンジン(振動源) 35 メンバ(車体) x 基準信号 y 駆動信号 e 残留振動信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05D 19/02 G10K 11/178
Claims (2)
- 【請求項1】 振動源から発せられて車体を伝搬する周
期的な振動と干渉する制御振動を発生可能な制御振動源
と、前記周期的な振動と同じ周期のインパルス列でなる
基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記干渉後の
振動を検出し残留振動信号として出力する残留振動検出
手段と、前記制御振動源及び前記残留振動検出手段間の
伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準
信号と前記伝達関数フィルタのフィルタ係数とを畳み込
んで基準処理信号を生成する基準処理信号生成手段と、
フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基
準信号の最新のインパルスが生成された時点から所定サ
ンプリング・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィ
ルタのフィルタ係数を順番に駆動信号として前記制御振
動源に出力する駆動信号生成手段と、前記基準処理信号
及び前記残留振動信号に基づいて前記干渉後の振動が低
減するように前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を更新する適応処理手段と、前記振動の周波数を検出
する周波数検出手段と、この周波数検出手段が検出した
振動の周波数に基づいて高周波側が低周波側よりも短く
なるように前記所定サンプリング・クロックを切り換え
るサンプリング・クロック切換手段と、このサンプリン
グ・クロック切換手段の切り換えに応じて前記伝達関数
フィルタを変更する伝達関数フィルタ変更手段と、を備
えたことを特徴とする車両用能動型振動制御装置。 - 【請求項2】 騒音源から発せられて車室内に伝達され
る周期的な騒音と干渉する制御音を発生可能な制御音源
と、前記周期的な騒音と同じ周期のインパルス列でなる
基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記干渉後の
騒音を検出し残留騒音信号として出力する残留騒音検出
手段と、前記制御音源及び前記残留騒音検出手段間の伝
達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、前記基準信
号と前記伝達関数フィルタのフィルタ係数とを畳み込ん
で基準処理信号を生成する基準処理信号生成手段と、フ
ィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準
信号の最新のインパルスが生成された時点から所定サン
プリング・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数を順番に駆動信号として前記制御音源
に出力する駆動信号生成手段と、前記基準処理信号及び
前記残留騒音信号に基づいて前記干渉後の騒音が低減す
るように前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を
更新する適応処理手段と、前記騒音の周波数を検出する
周波数検出手段と、この周波数検出手段が検出した騒音
の周波数に基づいて高周波側が低周波側よりも短くなる
ように前記所定サンプリング・クロックを切り換えるサ
ンプリング・クロック切換手段と、このサンプリング・
クロック切換手段の切り換えに応じて前記伝達関数フィ
ルタを変更する伝達関数フィルタ変更手段と、を備えた
ことを特徴とする車両用能動型騒音制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12976393A JP3265715B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 車両用能動型振動制御装置及び車両用能動型騒音制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12976393A JP3265715B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 車両用能動型振動制御装置及び車両用能動型騒音制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06342309A JPH06342309A (ja) | 1994-12-13 |
JP3265715B2 true JP3265715B2 (ja) | 2002-03-18 |
Family
ID=15017604
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12976393A Expired - Fee Related JP3265715B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 車両用能動型振動制御装置及び車両用能動型騒音制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3265715B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107989530B (zh) * | 2018-01-22 | 2023-08-22 | 青岛理工大学 | 一种应用于多层玻璃窗的主动降噪装置及控制方法 |
-
1993
- 1993-05-31 JP JP12976393A patent/JP3265715B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06342309A (ja) | 1994-12-13 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |