JPH09158980A - 能動型振動制御装置 - Google Patents

能動型振動制御装置

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JPH09158980A
JPH09158980A JP31812795A JP31812795A JPH09158980A JP H09158980 A JPH09158980 A JP H09158980A JP 31812795 A JP31812795 A JP 31812795A JP 31812795 A JP31812795 A JP 31812795A JP H09158980 A JPH09158980 A JP H09158980A
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JP
Japan
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vibration
signal
residual
engine
active
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Application number
JP31812795A
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English (en)
Inventor
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に周期的な振動や騒音の低減を図るにあた
って、安価な構成で、広範囲の制御低減効果を得ること
ができる能動型振動制御装置を提供すること。 【解決手段】 エンジンからの周期的な振動と干渉する
制御振動を発生可能なエンジンマウント1と、エンジン
の振動発生状態を検出し基準信号xとして出力するパル
ス生成器21と、エンジンマウント取付部の干渉後の振
動または伝達力を検出し残留振動信号evとして出力す
る加速度センサ22と、基準信号x及び残留振動信号e
vに基づいて干渉後の振動又は伝達力が低減するように
適応アルゴリズムに従って内蔵する適応デジタルフィル
タのフィルタ係数を更新するコントローラ20と、を備
えた能動型振動制御装置において、エンジンの回転数に
応じて、エンジンマウント取付部の干渉後の振動または
伝達力が所定の目標とする値に追従するように制御を切
り換えるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 この発明は、エンジン等か
ら発せられ車体を伝搬する周期的な振動に制御振動を干
渉させることにより振動の低減を図る能動型振動制御装
置に関し、特に振動の発生状態を表す基準信号をフィル
タ処理して制御振動源を駆動する駆動信号を生成する適
応デジタルフィルタと、この適応デジタルフィルタの各
フィルタ係数を適応アルゴリズムに従って逐次更新する
手段とを基礎的な構成とした能動型振動制御装置におい
て、大幅なセンサ類の構成要素の増大等を招くことなく
従って安価な構成で、広い使用状況下でより効果的に安
定した振動低減制御が実行できるようにしたものであ
る。
【0002】
【従来の技術】 振動低減を図る従来の技術として、例
えば実公平1−41952号公報に記載される装置があ
り、かかる従来の振動低減装置は、特に車体の振動を低
減するための装置であって、簡単に説明すれば、車体に
固定された加振機に対する制御信号の位相を適宜制御す
ることにより、振動と逆位相の加振力がその加振機から
車体に入力されるようにして、振動を加振力で打ち消し
て車体振動の低減を図るようにしていた。
【0003】しかし、この従来の振動低減装置は、単に
振動と逆位相の加振力が発生するように加振機に対して
正弦波状の制御信号を付加する構成であったため、振動
伝達系の特性等が例えば各構成部品の劣化等によって変
動してしまうと、十分な振動低減効果が得られなくなる
可能性が高く、場合によっては振動を悪化させてしまう
恐れさえあった。
【0004】このような不具合に対処し得る従来の技術
として、例えば”日本音響学会 平成4年度春期研究発
表会講演論文集”の515〜516頁に記載された能動
型騒音制御装置があり、この従来技術は、同期式Fil
tered−X LMSアルゴリズムを適用した能動型
騒音制御装置である。すなわち、LMSアルゴリズムと
は、適応アルゴリズムの一つであって、例えば騒音低減
装置にLMSアルゴリズムを適用する場合には、騒音の
発生状態を表す基準信号を取り込み、その基準信号を適
応デジタルフィルタでフィルタ処理して制御音源を駆動
する信号を生成する一方で、騒音の低減状態を表す残留
騒音信号を取り込み、その残留騒音信号と基準信号とに
基づきLMSアルゴリズムに従って適応デジタルフィル
タの各フィルタ係数を逐次更新するように構成すること
になる。そして、このような適応アルゴリズムを用いる
ことにより、制御系の特性が未知であっても或いは制御
系の特性が当初の状態から変動してしまった場合であっ
ても、騒音を低減し得る制御音を制御音源から発生させ
ることができるのである。
【0005】なお、上記論文集に開示されたLMSアル
ゴリズムは、特に同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムと呼ばれていて、周期的な振動や騒音を低
減する場合に有効なアルゴリズムであって、騒音の基本
周波数に同期したインパルス列を適用した点に特徴があ
る。即ち、基準信号がインパルス列であるため、乗算が
不要となり加算のみで畳み込み演算が行える。場合によ
っては加算も不要となるから、演算量の大幅な低減が図
られ処理が高速で行えるという利点がある。
【0006】更に、より広範囲の車両の使用状況下で効
果的に振動、騒音の低減効果を狙ったものとして、例え
ば特願平6−10309号に記載される装置があり、こ
こでは多くの制御振動源、制御音源、残留振動検出手
段、残留騒音検出手段を備え、複数の騒音や振動を低減
できるにもかかわらず、コントローラの個数を1つで済
むから、大幅なコストアップ等を招くことがないという
効果が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上述
したような複数の騒音や振動を低減する従来の装置で
は、そのために複数の残留振動検出器、残留騒音検出
器、が必要であり、ハード上の構成要素は1入力1出力
系と比べて多くなり、少なからずコストアップを招くと
いう問題点が生じてしまう。
【0008】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、特に周
期的な振動や騒音の低減を図るにあたって、安価な構成
で、広範囲の制御低減効果を得ることができる能動型振
動制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明では、車両に適用されエン
ジンから発せられた周期的な振動と干渉する制御振動を
発生可能なアクティブ・エンジンマウントと、前記エン
ジンの振動発生状態を検出し基準信号として出力する基
準信号生成手段と、前記アクティブ・エンジンマウント
取付部の干渉後の振動または伝達力を検出し残留振動信
号又は残留伝達力信号として出力する残留振動検出手段
又は残留伝達力検出手段と、前記基準信号をフィルタ処
理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を生成する適
応デジタルフィルタと、前記基準信号及び前記残留振動
信号又は前記残留伝達信号に基づいて前記干渉後の振動
又は伝達力が低減するように適応アルゴリズムに従って
前記適応デジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適
応処理手段と、を備えた能動型振動制御装置において、
エンジンの回転数に応じて、前記アクティブ・エンジン
マウント取付部の干渉後の振動または伝達力が所定の目
標とする値に追従するように制御を切り換える切換制御
手段を設けた。また、請求項2記載の発明では、車両に
適用されエンジンから発せられた周期的な振動と干渉す
る制御振動を発生可能なアクティブ・エンジンマウント
と、前記エンジンの振動発生状態を検出し基準信号とし
て出力する基準信号生成手段と、前記アクティブ・エン
ジンマウント取付部の干渉後の振動または伝達力を検出
し残留振動信号又は残留伝達力信号として出力する残留
振動検出手段又は残留伝達力検出手段と、前記基準信号
をフィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号
を生成する適応デジタルフィルタと、前記基準信号及び
前記残留振動信号又は前記残留伝達信号に基づいて前記
干渉後の振動又は伝達力が低減するように適応アルゴリ
ズムに従って前記適応デジタルフィルタのフィルタ係数
を更新する適応処理手段と、を備えた能動型振動制御装
置において、車速に応じて、前記アクティブ・エンジン
マウント取付部の干渉後の振動または、伝達力が所定の
目標とする値に追従するように制御を切り換える切換制
御手段を設けた。なお、請求項3に記載のように、エン
ジンの回転数に応じて前記目標とする値を設定するよう
にしてもよい。また、請求項4に記載のように、前記ア
クティブ・エンジンマウント取付部以外の干渉後の振動
または騒音を検出し、仮想残留振動信号又は仮想残留騒
音信号として出力する仮想残留振動検出手段又は仮想残
留騒音検出手段と、前記基準信号をフィルタ処理して前
記制御振動源を駆動する駆動信号を生成する適応デジタ
ルフィルタと、前記基準信号及び前記残留振動信号又は
前記残留騒音信号に基づいて前記干渉後の振動又は騒音
が低減するように適応アルゴリズムに従って前記適応デ
ジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段
と、を備えた能動型振動制御装置において、取付部の振
動又は伝達力を観測し、その観測値を前記目標値に設定
するようにしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】 まず、発明の作用について説明
する。請求項1に係る発明にあっては、エンジン回転数
に応じて制御方法を切り換えるため、例えばエンジンが
高回転域においては、マウントとして低動バネ特性であ
ることが車室内騒音を低減させる上で重要であり、干渉
後の振動または伝達力が低減するように適応アルゴリズ
ムにしたがって前記適応デジタルフィルタのフィルタ係
数を更新する適応処理を行い、低回転域においてはアク
ティブ・マウント部の入力により、車体を制振させる働
きが望まれる場合があり、干渉後の振動または伝達力が
制振する上で必要な目標値に追従するように適応アルゴ
リズムに従って前記適応デジタルフィルタのフィルタ係
数を更新する適応処理を行うことで広範囲のエンジン回
転域で効果的に騒音や振動が低減される。また、請求項
2に係る発明にあっては、車速に応じて制御切り換えを
行えるので、例えば停止時のアイドリング状態では車体
の骨格振動がアイドル振動として問題となるため制振制
御することが有効であり、車両がある程度の速度で走行
状態にある場合は、路面入力などの外乱が入るため制振
制御することは制御安定上困難であり、より安定した取
付点の振動遮断制御を行う。また、請求項3に係る発明
にあっては、目標値をエンジン回転数により細かく設定
し、制振機能をより効果的に精度よく行う。また、請求
項4に係る発明にあっては、目標値を設定するにあた
り、実際に低減させたい振動位置や、騒音位置に残留振
動検出手段、または残留騒音検出手段を設け、その信号
を評価信号として適応制御を行い、その時のアクティブ
・マウント取付点の振動、または伝達力を観測する。観
測した値を目標値として設定すればあたかも実際に別の
評価点の振動または騒音を低減するかのような制御を行
うことができる。
【0011】以下、この発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。図1及び図2は本発明の実施の形態1を
示す図であり、本実施の形態1は本発明に係る能動型振
動制御装置を、エンジンから車体に伝達される振動を能
動的に低減するいわゆるアクティブ・エンジンマウント
に適用したものである。なお、図1は制御振動源として
のエンジンマウント1を中心としたアクティブ・エンジ
ンマウントのシステム全体を表す図、図2は図1のシス
テムを車両40に搭載した状態の概念図である。
【0012】まず、構成を説明すると、このエンジンマ
ウント1は、振動源としてのエンジン30への取付ボル
ト2aを上部に一体に備え且つ内側が空洞で下部が開口
した取付部材2を有し、この取付部材2の下部外面には
内筒3の上端部がかしめ止めされている。
【0013】この内筒3の内側には、取付部材2及び内
筒3の内側の空間を上下に二分するように、それら取付
部材2及び内筒3のかしめ止め部分に挟み込まれてダイ
ヤフラム4が配設されていて、このダイヤフラム4によ
って二分された空間のうち、ダイヤフラム4の内側の空
間は大気圧に通じ、ダイヤフラム4の下側の空間にはオ
リフィス構成体5が配設されている。
【0014】一方、内筒3の外周面には、内筒面及び外
周面の軸方向位置が内周側が高くなるように形成されて
いる円筒状の支持弾性体6の内周面が加硫接着されてい
て、その支持弾性体6の外周面は外筒7の内周面に加硫
接着されている。
【0015】そして、外筒7の下端部は円筒形のアクチ
ュエータ保持部材8の上部にかしめ止めされていて、そ
のアクチュエータ保持部材8の下端面にはメンバ35側
への取り付け用の取付ボルト9aを下部に一体に備えた
円板状の取付部材9が固定されている。
【0016】また、アクチュエータ保持部材8の上端面
には、これと一体に外筒7の下端部にかしめ止めされた
円筒部材10が固定されていて、さらに、この円筒部材
10の内筒面には、アクチュエータ保持部材8の上端面
との間に所定のクリアランスを持ち且つ円筒形の弾性体
11により上下方向に変位可能に可動部材12が保持さ
れている。かかる可動部材12は、磁化可能な材料から
なり且つ上面が凹没した円板状に成形されてる。
【0017】そして、アクチュエータ保持部材8の内側
には、永久磁石や電磁コイル等を含んで構成され、外部
から供給される制御信号に応じて可動部材12を上下方
向に変位させる電磁アクチュエータ13が配設されてい
る。
【0018】さらに、本実施の形態では、支持弾性体6
の下面及び可動部材12の上面によって画成された部分
に主流体室15が形成され、ダイヤフラム4及びオリフ
ィス構成体5によって画成された部分に副流体室16が
形成されていて、これら主流体室15及び副流体室16
間が、オリフィス構成体5に形成されたオリフィス5a
を介して連通している。なお、これら主流体室15,副
流体室16及びオリフィス5a内には油等の流体が封入
されている。
【0019】かかるオリフィス5a流路形状等で決まる
流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェイ
ク発生時、つまり5〜15Hzでエンジンマウント1が
加振された際に高動バネ定数、高減衰力を示すように調
整されている。
【0020】そして、電磁アクチュエータ13はコント
ローラ20に接続されていて、かかるコントローラ20
から供給される駆動信号yvに応じて所定の電磁力を発
生するようになっている。
【0021】コントローラ20は、マイクロコンピュー
タ,必要なインターフェース回路,A/D変換器,D/
A変換器,アンプ等を含んで構成されていて、オリフィ
ス5aを通じて主流体室15及び副流体室16間で流体
が移動不可能な周波数帯域の振動、つまり上述したエン
ジンシェイクよりも高周波の振動であるアイドル振動や
こもり音・加速度振動が入力されている場合には、その
振動に同期し、取付部9への伝達力が”0“となるよう
に(具体的には支持弾性体6の弾性変形による入力と主
流体室15の容積変動による入力を相殺できるよう
に)、駆動信号yvを生成し電磁アクチュエータ13に
供給するようになっている。
【0022】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分の周期的な振動としてのエンジン振動がエンジン
マウント1を介してメンバ35に伝達されることが主な
原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期して
駆動信号yvを生成し出力すれば、振動伝達率の低減が
可能となる。そこで、本実施の形態ではエンジン30の
クランク角の回転に同期した(例えばレシプロ4気筒エ
ンジンの場合には、クランクが180度回転する度に一
つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして出力す
る基準信号生成手段としてのパルス信号生成器21を設
けていて、その基準信号xが、エンジン30における振
動の発生状態を表す信号としてコントローラ20に供給
されるようになっている。
【0023】一方、メンバ35には、エンジンマウント
1の取付位置に近接して、メンバ35の振動状態を加速
度の形で検出し残留振動信号evとして出力する残留振
動検出手段としての加速度センサ22が固定されてい
て、その残留振動信号evが干渉後における振動を表す
信号としてコントローラ20に供給されている。
【0024】そしてコントローラ20は、それら基準信
号x及び残留振動信号evに基づき、逐次更新形の適応
アルゴリズムの一つであるFiltered−X LM
Sアルゴリズム、より具体的には、同期式Filter
ed−X LMSアルゴリズムに従って駆動信号yvを
生成し出力するようになっている。
【0025】即ち、コントローラ20は、フィルタ係数
Wi(i=0,1,2,…,)可変の適応デジタルフィ
ルタWを有していて、最新の基準信号xが入力された時
点から所定サンプリング・クロックの間隔で、その適応
デジタルフィルタWのフィルタ係数Wiを、適応デジタ
ルフィルタWのフィルタ出力とするとともに、それに基
づく駆動信号yvを生成して出力する一方、エンジン3
0からエンジンマウント1を介してメンバ35に伝達さ
れる振動が低減するように、基準信号x及び残留振動信
号evに基づいて適応デジタルフィルタWのフィルタ係
数Wiを適宜更新する処理を実行する。
【0026】なお、残留振動の代替えとして振動伝達力
を直接検知する力センサを取付部材9とメンバ35の間
に挟み込めば、残留伝達力として検知することが可能で
あり、同様の処理を行っても効果は同じである。
【0027】適応デジタルフィルタWの更新式はFil
tered−X LMSアルゴリズムに従った下記の
(1)式のようになる。
【0028】 Wi(n+1)=Wi(n)−αRT ev(n)…(1) ここで、(n)が付く項はサンプリング時刻nにおける
値であることを表し、また、αは収束係数と呼ばれる係
数であってフィルタ係数Wiの収束の速度やその安定性
に関与する係数である。RT は、理論的には、基準信号
xを、エンジンマウント1及び加速センサ22間の伝達
関数Cを表す伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した
値(リファレンス信号もしくはFiltererd-X 信号)であ
るが、この実施の形態では同期式Filtered−X
LMSアルゴリズムを適用した結果基準信号xがイン
パスル列であるため、伝達関数フィルタC^のインパル
ス応答を基準信号xに同期して次々に生成した場合のそ
れらインパルス応答波形のサンプリング時刻nにおける
和に一致する。
【0029】また、理論的には、駆動信号yvを生成す
る前段階で、適応デジタルフィルタWで基準信号xをフ
ィルタ処理する演算が必要となるが、フィルタ処理はデ
ジタル演算では畳み込み演算に該当し、基準信号xがイ
ンパルス列であるので、上述したように最新の基準信号
xが入力された時点から、所定サンプリング・クロック
の間隔で適応デジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi
を順番に出力しても、基準信号xと適応デジタルフィル
タWのフィルタ係数Wiとを畳み込んだ結果と同一にな
る。
【0030】次に本実施の形態1の作用を説明する。す
なわち、エンジンシェイク発生時には、オリフィス5a
の流路形状等を適宜選択している結果、このエンジンマ
ウント1は高動バネ定数、高減衰力の支持装置として機
能するため、エンジン30で発生したエンジンシェイク
がエンジンマウント1によって減衰され、メンバ35側
の振動レベルが低減される。なお、かかる場合には、特
に可動部材12を変位させる必要はない。
【0031】一方、オリフィス5a内の流体がスティッ
ク状態となり主流体室15及び副流体室16間での流体
の移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数
の振動が入力された場合には、コントローラ20は、所
定の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ13に駆動
信号yzを出力し、エンジンマウント1に振動を低減し
得る能動的な制御力を発生させる。
【0032】この動作を、アイドル振動、こもり音入力
時にコントローラ20内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図3及び図4に従って具体的に説
明する。即ち、図3は適応デジタルフィルタWのフィル
タ係数Wjを逐次更新するための処理を表し、図4は適
応デジタルフィルタWに基づいて駆動信号フィルタYを
生成して駆動信号yvを出力するための処理を表してお
り、これら両方の処理は、少なくとも基準信号xの入力
タイミングにおいて同調しておればよく、それぞれのサ
ンプリング周期を異ならせると、サンプリング・クロッ
クを別々にするためにタイマを個別に設ける必要がある
のに対し、サンプリング周期を等しくすれば、図3及び
図4の処理は共用部分が多くなり同じプログラム内で実
現されるから実用化しやすくなるという利点がある。
【0033】まず、図3に示す処理について説明する
と、そのステップ101において所定の初期設定が行わ
れた後に、ステップ102に移行し、伝達フィルタC^
に基づいてリファレンス信号RT が演算される。なお、
このステップ102では、一周期分のリファレンス信号
T がまとめて演算される。
【0034】そしてステップ103に移行し、カウンタ
iが零クリアされた後に、ステップ104に移行して、
残留振動信号evが読み込まれる。ここで、本発明で
は、ステップ121においてエンジン回転速度で場合わ
けをし、エンジン回転速度が所定の回転以上であれば、
そのままステップ105に進み、エンジン回転速度が所
定の回転以下であれば、残留振動信号evをあらかじめ
設定された目標値Eiを差し引いた値に変更する。次
に、ステップ105でカウンタjが零クリアされ、次い
でステップ106に移行し、適応デジタルフィルタWの
j番目のフィルタ係数Wjが上記(1)式に従って更新
される。
【0035】ここで、エンジン回転速度が高い場合に
は、通常の残留振動伝達力を低下させることで車室内騒
音の低減をはかる。同じ制御をエンジン回転速度が低い
場合、同じように振動遮断を行っても、車体の振動が十
分に低減されない場合がある。即ちエンジン30から低
周波振動が車体に入力される場合、エンジンマウント1
以外の他のエンジンマウントの入力成分が存在するた
め、その入力成分が足し合わされて車体に入力する。こ
のとき、エンジンマウント1からの車体入力としては、
必ずしも”0”であることが望ましいとは限らず、逆に
適当な位相で適当な大きさの入力が望ましいことがあ
る。その望ましい値をエラー信号の目標値として設定
し、その値をエラー信号から差し引くことにより、エン
ジンマウント1の伝達特性を望まれた性能にしている。
これより、振動遮断する場合よりも大きな振動低減効果
が得られる。
【0036】ステップ106における更新処理が完了し
たら、ステップ107に移行し、次の基準信号xが入力
されているか否かを判断し、ここで基準信号xが入力さ
れていないと判定された場合は、適応デジタルフィルタ
Wの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yvの出力処
理を実行すべく、ステップ108に移行する。
【0037】ステップ108ではカウンタjが、タップ
数Ty(正確には、カウンタjは0からスタートするた
め、タップ数Tyから1を減じた値)に達しているか否
かを判定する。この判定は、上記ステップ104の処理
を実行した後に、適応デジタルフィルタWのフィルタ係
数を必要な数だけ更新したか否かを判断するためのもの
である。そこで、このステップ108の判定が「NO」
の場合には、ステップ109でカウンタjをインクリメ
ントした後に、ステップ106に戻って上述した処理を
繰り返し実行する。
【0038】しかし、ステップ108の判定が「YE
S」の場合には、適応デジタルフィルタWのフィルタ係
数のうち、必要な数のフィルタ係数更新処理が完了した
と判断できるから、ステップ110に移行してカウンタ
iをインクリメントした後に、上記ステップ104の処
理を実行してから所定のサンプリング・クロックの間隔
に対応する時間が経過するまで待機し、サンプリング・
クロックの間隔に対応する時間が経過したら、上記ステ
ップ104に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0039】しかし、ステップ107で基準信号xが入
力されたと判定された場合には、ステップ111に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiが0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新のタッ
プ数Tyとして保存した後に、ステップ102に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。
【0040】一方、図4に示す処理では、そのステップ
201において所定の初期設定が行われた後に、ステッ
プ202に移行し、カウンタpが零クリアされる。そし
て、ステップ203に移行し、駆動信号フィルタYの第
1番目のフィルタ係数Y0を演算する。なお、フィルタ
係数Y0は、 Y0=W0 として求められる。
【0041】次いで、ステップ204に移行し、駆動信
号フィルタYのフィルタ係数Ypを駆動信号yvとして
出力する。この場合には、直前にステップ203で求め
られたフィルタ係数Y0が、駆動信号yvとして出力さ
れることになる。
【0042】駆動信号yvを出力したら、ステップ20
7に移行し、次の基準信号xが入力されているか否かを
判定し、ここで基準信号xが入力されていないと判定さ
れた場合には、ステップ208に移行してカウンタpを
インクリメントした後に、上記ステップ204の処理を
実行してから所定のサンプリング・クロックの間隔に対
応する時間が経過するまで待機し、サンプリング・クロ
ックの間隔に対応する時間が経過したら、上記ステップ
204に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0043】しかし、ステップ207で基準信号xが入
力されたと判断された場合には、ステップ202に戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。
【0044】これら図3および図4に示す処理を繰り返
し実行する結果、基準信号x,駆動信号yv及び伝達関
数フィルタC^の関係を表す図6に示すように、コント
ローラ20からエンジンマウント1に対しては、基準信
号xが入力された時点から、サンプリング・クロックの
間隔で、駆動信号フィルタYのフィルタ係数Ypが順番
に駆動信号yvとして供給されるが、駆動信号フィルタ
Yの基礎となる適応デジタルフィルタWの各フィルタ係
数Wiは同期式Filtered−X LMSアルゴリ
ズムに従った上記(1)式によって逐次更新されるた
め、ある程度の時間が経過して適応デジタルフィルタW
の各フィルタ係数Wiが最適値に収束した後は、駆動信
号yvエンジンマウント1に供給されることによって、
エンジン30からエンジンマウント1を介してメンバ3
5側に伝達されるアイドル振動やこもり音振動が低減さ
れるようになる。なお、エンジンマウント1における制
御力は、電磁アクチュエータ13から発せられる電磁力
によって可動部材12が振動し、その振動が主流体室1
5内の流体及び支持弾性体6の拡張バネを介して内筒3
及び外筒7間の力として作用することにより得られるも
のである。
【0045】図5には切り換えるパラメータとしてエン
ジン回転速度ではなく、車速を用いたフローを示した。
この場合は車速に応じて車両の状態を判断し、特に停止
時などは、アイドル振動が生じ、車体の骨格が曲げられ
るような弾性振動をしているため、各マウントの車体入
力が関係し、エンジンマウント1の伝達力を”0”にす
るよりも、ある加振力を与えた場合が良いことがある。
【0046】図8に効果例を示した。振動を遮断するよ
りも、目標値を設定した方が、アイドル振動が低減でき
る。目標値に付いては、車両振動特性は周波数によって
決定されるものであるために、エンジン30を起振源と
する入力の周波数の代表値として、エンジン回転速度を
パラメータにとれば、設定しやすいので、回転速度に応
じて目標値を設定する。
【0047】また、この目標値を設定する手段としての
例を図7に示した。つまり、設定するときのみ、評価点
信号として運転席51の音圧を使った場合である。設定
時の制御としては、運転席音圧svをエラー信号として
制御系を組み、この時(音圧を下げる)の伝達力をコン
トローラ20がモニタし、そのモニタした値を目標値と
して記憶するものである。これにより従来センサが2つ
必要な制御を1つのセンサ52で代用して同じ効果を得
ることができる。
【0048】
【発明の効果】 以上説明してきたように、請求項1,
請求項2,請求項3に係る発明にあっては、車両の状況
に応じて、エンジンマウントの制御方法を振動遮断と伝
達力を適度に設ける場合とに切り換えるため、単に振動
遮断するだけの制御と比較して、より広範囲に渡って有
効な制御性能を得ることができる。また、そのための構
成要素(センサ)を追加することなく行えるためコスト
アップもおこらない。
【0049】また、請求項4に係る発明にあっては、そ
の目標値を適応アルゴリズムを用いることで求めている
ため、実際の現物に則してパラメータを求めることがで
きるため、より正確な制御を行い、確実な振動騒音低減
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の構成を示す断面図であ
る。
【図2】実施の形態1の全体構成を示す概念図である。
【図3】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
【図4】コントローラ内で実行される他の処理の概要を
示すフローチャートである。
【図5】コントローラ内で実行される他の処理の概要を
示すフローチャートである。
【図6】基準信号,駆動信号及び伝達関数フィルタの関
係を示す波形図である。
【図7】実施の形態2の全体を示す概念図である。
【図8】効果例を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジンマウント 20 コントローラ(適応デジタルフィルタ,適応処理
手段) 21 パルス生成器(基準信号生成手段) 22 加速度センサ(残留伝達力検出手段) 30 エンジン x 基準信号 ev 残留振動信号 yv 駆動信号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に適用されエンジンから発せられた
    周期的な振動と干渉する制御振動を発生可能なアクティ
    ブ・エンジンマウントと、前記エンジンの振動発生状態
    を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、
    前記アクティブ・エンジンマウント取付部の干渉後の振
    動または伝達力を検出し残留振動信号又は残留伝達力信
    号として出力する残留振動検出手段又は残留伝達力検出
    手段と、前記基準信号をフィルタ処理して前記制御振動
    源を駆動する駆動信号を生成する適応デジタルフィルタ
    と、前記基準信号及び前記残留振動信号又は前記残留伝
    達信号に基づいて前記干渉後の振動又は伝達力が低減す
    るように適応アルゴリズムに従って前記適応デジタルフ
    ィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備
    えた能動型振動制御装置において、 エンジンの回転数に応じて、前記アクティブ・エンジン
    マウント取付部の干渉後の振動または伝達力が所定の目
    標とする値に追従するように制御を切り換えることを特
    徴とした能動型振動制御装置。
  2. 【請求項2】 車両に適用されエンジンから発せられた
    周期的な振動と干渉する制御振動を発生可能なアクティ
    ブ・エンジンマウントと、前記エンジンの振動発生状態
    を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、
    前記アクティブ・エンジンマウント取付部の干渉後の振
    動または伝達力を検出し残留振動信号又は残留伝達力信
    号として出力する残留振動検出手段又は残留伝達力検出
    手段と、前記基準信号をフィルタ処理して前記制御振動
    源を駆動する駆動信号を生成する適応デジタルフィルタ
    と、前記基準信号及び前記残留振動信号又は前記残留伝
    達信号に基づいて前記干渉後の振動又は伝達力が低減す
    るように適応アルゴリズムに従って前記適応デジタルフ
    ィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備
    えた能動型振動制御装置において、 車速に応じて、前記アクティブ・エンジンマウント取付
    部の干渉後の振動または、伝達力が所定の目標とする値
    に追従するように制御を切り換えることを特徴とした能
    動型振動制御装置。
  3. 【請求項3】 エンジンの回転数に応じて前記目標とす
    る値を設定する請求項1又は請求項2記載の能動型振動
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記アクティブ・エンジンマウント取付
    部以外の干渉後の振動または騒音を検出し、仮想残留振
    動信号又は仮想残留騒音信号として出力する仮想残留振
    動検出手段又は仮想残留騒音検出手段と、前記基準信号
    をフィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号
    を生成する適応デジタルフィルタと、前記基準信号及び
    前記残留振動信号又は前記残留騒音信号に基づいて前記
    干渉後の振動又は騒音が低減するように適応アルゴリズ
    ムに従って前記適応デジタルフィルタのフィルタ係数を
    更新する適応処理手段と、を備えた能動型振動制御装置
    において、 取付部の振動又は伝達力を観測し、その観測値を前記目
    標値に設定する請求項1又は請求項2記載の能動型振動
    制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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