JPH10307590A - 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置 - Google Patents

能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置

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JPH10307590A
JPH10307590A JP9119888A JP11988897A JPH10307590A JP H10307590 A JPH10307590 A JP H10307590A JP 9119888 A JP9119888 A JP 9119888A JP 11988897 A JP11988897 A JP 11988897A JP H10307590 A JPH10307590 A JP H10307590A
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temperature
transfer function
vibration
control
noise
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Tsutomu Hamabe
勉 浜辺
Hiroshi Kawazoe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】温度変化に伴う振動伝達系の伝達特性の変化に
応じた振動低減処理を行う。 【解決手段】能動型エンジンマウント1の電磁アクチュ
ータ10に温度センサ28を設け、また、予め温度セン
サ28の温度範囲毎に、これに対応する伝達関数フィル
タC^N を実験等によって検出し、制御テーブルM1
作成しておく。そして、温度センサ28からの温度検出
値tをもとに、制御テーブルM1 を参照して、検出した
温度検出値tに対応する伝達関数フィルタC^N を選定
し、これを、低減振動処理において用いる伝達関数フィ
ルタC^として設定する。この操作を繰り返し行うこと
によって、現時点における温度検出値tの温度に応じた
伝達関数フィルタC^N に応じて、振動低減処理が実行
されるから、現時点における伝達特性に応じて能動型エ
ンジンマウント1が制御されることになって、適切な振
動低減処理が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両エンジン等
の騒音源又は振動体で発生する騒音又は振動に、騒音源
又は振動体及び支持体間に介在する制御音源又は制御振
動源が発生する制御騒音又は制御振動を干渉させること
により、支持体側に伝達される騒音又は振動の低減を図
るようにした能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装
置に関し、特に、制御音源又は制御振動源を駆動させる
ための制御アルゴリズムが、制御音源又は制御振動源と
残留騒音又は残留振動を検出する手段との間の伝達関数
を含むものにおいて、温度変化に伴う前記制御音源又は
制御振動源と、前記残留騒音又は残留振動を検出する手
段との間の伝達特性の変化に対して対処することができ
るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】本発明のような能動型騒音制御装置及び
能動型振動制御装置の場合、制御音源又は制御振動源と
残留騒音又は残留振動を検出する手段との間の伝達関数
は、その能動型騒音制御装置又は能動型振動制御装置の
適用対象装置,適用対象設備等の特性のばらつきによっ
て、微妙に異なる。また、適用対象装置等の使用に伴う
特性変化等によって、当初の状態からは変化してしまう
可能性があるため、高精度の騒音又は振動低減制御を実
行するためには、能動型騒音制御装置又は能動型振動制
御装置を適用対象装置に組み込んだ後に伝達関数を同定
したり、適用対象装置の定期検査毎に伝達関数を同定す
ることが望ましい。
【0003】そこで、本出願人は、先に特開平6−33
2471号公報に開示されるような技術を提案してい
る。すなわち、この公報に開示された従来技術は、制御
音源や制御振動源からインパルス信号に応じた同定音や
同定振動を発生させ、その応答を残留騒音や残留振動を
検出する手段で計測することにより、能動型騒音又は振
動制御装置や、この能動型騒音又は振動制御装置の制御
アルゴリズムに必要な伝達関数を同定するようになって
いる。そして、そのインパルス信号に応じた同定音や同
定信号を発生するタイミングを、騒音源や振動源から騒
音や振動が発生していない状態から発生する状態に移行
する直前に限ることにより、演算負荷の大幅な増大を招
くことなく、また、人間等に不快感を与えることなく、
伝達関数の同定が行えるようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上述したよう
な先行技術によれば、能動型騒音又は振動制御装置や、
能動型騒音又は振動制御装置を適用した対象装置毎に、
制御に必要な伝達関数を同定することは可能であるか
ら、高精度の騒音又は振動の低減制御等が期待できる。
【0005】ここで、能動型騒音又は振動制御装置を構
成する構成品のうち、例えばゴム等の弾性体、或いは、
ゴム等の弾性体内部に減衰力発生可能に流体を封入して
なる流体封入式のマウントインシュレータ等、温度変化
によりその特性が変化しやすいもので形成されている構
成品を含んで形成される場合、能動型騒音又は振動制御
装置が取り付けられた場所の雰囲気温度が変化したと
き、或いは、能動型騒音又は振動制御装置が稼働するこ
とによって装置自体が発熱し、この発熱等によって、能
動型騒音又は振動制御装置に温度変化が生じたとき等に
は、これら温度変化に応じて能動型騒音又は振動制御装
置の特性が変化し、すなわち、制御音源又は制御振動源
と、残留騒音又は残留振動を検出する手段との間の伝達
特性が変化してしまう。
【0006】しかしながら、上記の先行技術では、騒音
源や振動源から騒音や振動が発生していない状態から発
生する状態に移行する直前に限って、伝達関数を同定す
るようになっている。そのため、能動型騒音又は振動制
御装置が稼働することに伴い生じる温度変化、或いは気
温の変化等による稼働中の周囲の温度変化等によって、
伝達特性の変化が生じた場合等には、実際の伝達特性に
応じた伝達関数とは異なった伝達関数、つまり、騒音源
や振動源から騒音や振動が発生していない状態における
伝達関数に基づいて制御音や制御振動を発生させること
になるから、最適な制御を行うことができないうえ、発
散に至ってしまう可能性があるという問題がある。
【0007】そこで、この発明は、上記従来の未解決の
問題に着目してなされたものであり、稼働中の温度変化
に伴う伝達特性の変化に、適切に対処することのできる
能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置を提供する
ことを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る能動型騒音制御装置は、騒音源から
発せられる騒音と干渉する制御音を発生可能な制御音源
と、前記騒音の発生状態を表す基準信号を生成し出力す
る基準信号生成手段と、前記干渉後の騒音を検出し残留
騒音信号として出力する残留騒音検出手段と、前記基準
信号及び前記残留騒音信号に基づき、前記制御音源及び
前記残留騒音検出手段間の騒音の伝達系の伝達関数を含
む制御アルゴリズムを用いて、前記騒音が低減するよう
に前記制御音源を駆動する能動制御手段と、を備えた能
動型騒音制御装置において、前記伝達系の温度を検出す
る温度検出手段と、当該温度検出手段で検出した温度に
応じて前記伝達関数を補正する伝達関数補正手段と、を
備えることを特徴としている。
【0009】この発明によれば、騒音源から発せられる
騒音と干渉する制御音が制御音源から発生され、これに
よって、騒音源から発生される騒音が低減される。前記
制御音源は、能動制御手段によって駆動制御され、具体
的には、騒音の発生状態を表す基準信号と、干渉後の騒
音を検出した残留騒音信号とに基づいて、制御音源と残
留騒音検出手段との間の伝達系の伝達関数を含む制御ア
ルゴリズムを用いて、駆動制御される。
【0010】このとき、温度検出手段によって、制御音
源と残留騒音検出手段との間の伝達系の温度が検出さ
れ、検出された温度に応じて前記伝達関数が補正され
る。そして、補正された伝達関数に基づいて制御アルゴ
リズムが実行されて、制御音源から制御音が発生され
る。
【0011】よって、例えば、制御音源と残留騒音検出
手段との間の伝達系に温度変化が生じた場合には、温度
変化に伴って音の伝搬特性が変わることから、制御騒音
源と残留騒音検出手段との間の伝達系の伝達特性も変化
することになる。したがって、制御音源を駆動する能動
制御手段での処理に用いられる、伝達系の伝達特性を、
温度検出手段で検出した伝達系の温度に基づいて補正す
ることにより、現在の伝達系の伝達特性に応じて制御音
源が制御されることになる。よって、現在の伝達系の伝
達特性に応じた制御音が発生されることになって、適切
な騒音低減処理が行われることになる。
【0012】また、本発明の請求項2に係る能動型騒音
制御装置は、前記伝達関数補正手段は、予め前記伝達系
の温度に対して所定の温度範囲毎に設定した伝達関数候
補のうち、前記温度検出手段で検出した温度が含まれる
温度範囲に対応する伝達関数候補を、前記伝達関数とし
て選定するようになっていることを特徴としている。
【0013】この発明によれば、制御音源と残留騒音検
出手段との間の伝達系の温度に対して、予め所定の温度
範囲毎に、それぞれの温度範囲に応じた伝達関数候補が
実験等によって設定されて所定の記憶領域に記憶されて
いる。そして、伝達関数補正手段によって、温度検出手
段で検出された伝達系の温度に基づいて対応する温度範
囲が特定され、これに応じた伝達関数候補が前記伝達関
数として設定される。そして、この伝達関数に基づく制
御アルゴリズムに基づいて、能動制御手段により制御音
源が駆動制御される。
【0014】よって、温度検出手段で検出した温度が含
まれる温度範囲から、設定すべき伝達関数候補が直接選
定されるから、伝達関数補正手段での伝達関数の補正処
理が容易に行われる。
【0015】また、本発明の請求項3に係る能動型騒音
制御装置は、前記伝達関数補正手段は、予め前記伝達系
の温度に対して所定の温度範囲毎に設定した、基準伝達
関数の特性を補正する補正値のうち、前記温度検出手段
で検出した温度が含まれる温度範囲に対応する補正値を
選定し、当該補正値をもとに補正した前記基準伝達関数
を、前記伝達関数として設定するようになっていること
を特徴としている。
【0016】この発明によれば、予め設定した基準伝達
関数の特性を補正する補正値が、制御音源と残留騒音検
出手段との間の伝達系の温度に対して、所定の温度範囲
毎に設定されて所定の記憶領域に格納されている。この
補正値は、例えばゲイン或いは位相等であって、予め実
験等によって設定される。そして、伝達関数補正手段に
よって、温度検出手段で検出された温度が含まれる温度
範囲が特定され、これに応じた補正値が選定される。そ
して、この補正値によって基準伝達関数が補正され、温
度検出手段で検出された温度に応じた伝達関数が設定さ
れる。
【0017】よって、各温度範囲毎に応じた補正値と、
基準伝達関数とのみを記憶しておけばよいから、各温度
範囲毎の伝達関数を記憶する場合に比較して、記憶領域
はより少なくてすむ。
【0018】また、本発明の請求項4に係る能動型振動
制御装置は、振動源から発せられる振動と干渉する制御
振動を発生可能な制御振動源と、前記振動の発生状態を
表す基準信号を生成し出力する基準信号生成手段と、前
記干渉後の振動を検出し残留振動信号として出力する残
留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留振動信号
に基づき、前記制御振動源及び前記残留振動検出手段間
の振動の伝達系の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用
いて、前記振動が低減するように前記制御振動源を駆動
する能動制御手段と、を備えた能動型振動制御装置にお
いて、前記伝達系の温度を検出する温度検出手段と、当
該温度検出手段で検出した温度に応じて前記伝達関数を
補正する伝達関数補正手段と、を備えることを特徴とし
ている。
【0019】この発明によれば、振動源から発せられる
振動と干渉する制御振動が制御振動源から発生され、こ
れによって、振動源から発生される振動が低減される。
前記制御振動源は、能動制御手段によって駆動制御さ
れ、具体的には、振動の発生状態を表す基準信号と、干
渉後の振動を検出した残留振動信号とに基づいて、制御
振動源と残留振動検出手段との間の伝達系の伝達関数を
含む制御アルゴリズムを用いて、駆動制御される。
【0020】このとき、温度検出手段によって、制御振
動源と残留振動検出手段との間の伝達系の温度が検出さ
れ、検出された温度に応じて前記伝達関数が補正され
る。そして、補正された伝達関数に基づいて制御アルゴ
リズムが実行されて、制御振動源から制御振動が発生さ
れる。
【0021】よって、例えば、制御振動源と残留振動検
出手段との間の伝達系に、温度変化によって振動の伝達
特性が変化しやすいものが介在している場合等には、温
度変化によってその振動の伝達特性が変わることから、
制御振動源と残留振動検出手段との間の伝達系の伝達特
性も変化することになる。したがって、制御振動源を駆
動する能動制御手段での処理に用いられる、伝達系の伝
達特性を、温度検出手段で検出した伝達系の温度に基づ
いて補正することにより、現在の伝達系の伝達特性に応
じて制御振動源が制御されることになる。よって、現在
の伝達系の伝達特性に応じた制御振動が発生されること
になって、適切な振動低減処理が行われることになる。
【0022】また、本発明の請求項5に係る能動型振動
制御装置は、前記伝達関数補正手段は、予め前記伝達系
の温度に対して所定の温度範囲毎に設定した伝達関数候
補のうち、前記温度検出手段で検出した温度が含まれる
温度範囲に対応する伝達関数候補を、前記伝達関数とし
て選定するようになっていることを特徴としている。
【0023】この発明によれば、制御振動源と残留振動
検出手段との間の伝達系の温度に対して、予め所定の温
度範囲毎に、それぞれの温度範囲に応じた伝達関数候補
が実験等によって設定され、所定の記憶領域に記憶され
ている。そして、伝達関数補正手段によって、温度検出
手段で検出された伝達系の温度に基づいて対応する温度
範囲が特定され、これに応じた伝達関数候補が前記伝達
関数として設定される。そして、この伝達関数に基づく
制御アルゴリズムに基づいて、能動制御手段により制御
振動源が駆動制御される。
【0024】よって、温度検出手段で検出した温度が含
まれる温度範囲から、設定すべき伝達関数候補が直接選
定されるから、伝達関数補正手段での伝達関数の補正処
理が容易に行われる。
【0025】また、本発明の請求項6に係る能動型振動
制御装置は、前記伝達関数補正手段は、予め前記伝達系
の温度に対して所定の温度範囲毎に設定した、基準伝達
関数の特性を補正する補正値のうち、前記温度検出手段
で検出した温度が含まれる温度範囲に対応する補正値を
選定し、当該補正値をもとに補正した前記基準伝達関数
を、前記伝達関数として設定するようになっていること
を特徴としている。
【0026】この発明によれば、予め設定した基準伝達
関数の特性を補正する補正値が、制御振動源と残留振動
検出手段との間の伝達系の温度に対して、所定の温度範
囲毎に設定されて所定の記憶領域に格納されている。こ
の補正値は、例えばゲイン或いは位相等であって、予め
実験等によって設定される。そして、伝達関数補正手段
によって、温度検出手段で検出された温度が含まれる温
度範囲が特定され、これに応じた補正値が選定され、こ
の補正値によって基準伝達関数が補正され、温度検出手
段で検出された温度に応じた伝達関数が設定される。
【0027】よって、各温度範囲毎に応じた補正値と、
基準伝達関数とのみを記憶しておけばよいから、各温度
範囲毎の伝達関数を記憶する場合に比較して、記憶領域
はより少なくてすむ。
【0028】また、本発明の請求項7に係る能動型振動
制御装置は、車両に適用され、前記振動源はエンジンで
あり、前記制御振動源は、前記エンジンと車体側部材と
の間に介在する支持弾性体を備えた制御振動源であっ
て、前記温度検出手段は、前記支持弾性体の温度を検出
するようになっていることを特徴としている。
【0029】この発明によれば、制御振動源は、振動源
としてのエンジンと車体側部材との間に介在する支持弾
性体を備えた制御振動源であって、この支持弾性体の温
度が温度検出手段によって検出される。支持弾性体はエ
ンジンと車体側部材との間に介在しているから、その振
動特性の変化は伝達系の伝達特性の変化の一因となり、
特に、支持弾性体が温度変化に対してその振動特性が大
きく変化する、例えばゴム等で形成されている場合等に
は、支持弾性体の特性変化は、伝達系の伝達特性の変化
に大きく起因することになる。よって、この支持弾性体
の温度を温度検出手段によって検出し、温度検出手段の
検出温度、つまり、支持弾性体の温度に基づいて伝達関
数を補正することによって、より適切な伝達関数が設定
される。
【0030】また、本発明の請求項8に係る能動型振動
制御装置は、車両に適用され、前記振動源はエンジンで
あり、前記制御振動源は、前記エンジンと車体側部材と
の間に介在する支持弾性体を備えた制御振動源であっ
て、前記温度検出手段は前記支持弾性体の周辺温度を検
出して、当該周辺温度から前記支持弾性体の温度を予測
し、前記伝達関数補正手段は、温度検出手段で検出した
前記支持弾性体の予測温度に基づき、前記伝達関数を補
正するようになっていることを特徴としている。
【0031】この発明によれば、制御振動源は、振動源
としてのエンジンと車体側部材との間に介在する支持弾
性体を備えた制御振動源であって、温度検出手段によっ
て、支持弾性体の周辺温度が検出され、この支持弾性体
の周辺温度から、支持弾性体の温度が予測される。そし
て、この予測した予測温度に基づいて、伝達関数補正手
段によって伝達関数が補正される。
【0032】支持弾性体はエンジンと車体側部材との間
に介在しているから、その振動特性の変化は伝達系の伝
達特性の変化の一因となるからこの支持弾性体の温度を
検出することが好ましい。しかしながら、この支持弾性
体の温度を直接検出することができない場合でも、例え
ば支持弾性体の周辺温度と支持弾性体の温度との相関関
係を実験等によって予め検出しておき、検出した支持弾
性体の周辺温度から、相関関係に基づいて支持弾性体の
温度を予測し、予測温度に基づいて伝達関数を補正する
ことにより、適切な伝達関数が設定される。
【0033】また、本発明の請求項9に係る能動型振動
制御装置は、車両に適用され、前記振動源はエンジンで
あり、前記制御振動源は、前記エンジンと車体側部材と
の間に介在する支持弾性体を備えた制御振動源であっ
て、前記温度検出手段は、前記エンジンが始動してから
の経過時間に基づいて、前記支持弾性体の温度を予測す
るようになっていることを特徴としている。
【0034】この発明によれば、制御振動源は、振動源
としてのエンジンと車体側部材との間に介在する支持弾
性体を備えた制御振動源であって、エンジンが始動して
からの経過時間に基づいて、伝達系の温度が予測され
る。つまり、エンジンが始動するとその振動を低減させ
るために制御振動源が作動し、この作動に伴って発熱が
生じると、この発熱によって支持弾性体に温度変化が生
じる。よって、エンジンが始動してからの経過時間に応
じて支持弾性体に温度変化が生じるとみなすことができ
るから、例えば、エンジンが始動してからの経過時間
と、これに伴う支持弾性体の温度との対応を実験等によ
って予め求めておけば、エンジンが始動してからの経過
時間を検出することによって、容易に、支持弾性体の温
度を予測することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る能動型騒音制御
装置によれば、伝達関数補正手段によって、温度検出手
段で検出した温度に応じて、制御音源及び残留騒音検出
手段間の伝達関数を補正するようにしたから、温度変化
に伴う騒音の伝達系の、伝達特性の変化に応じた伝達関
数に基づいて、制御音源を適切に駆動することができ
る。
【0036】また、本発明の請求項2に係る能動型騒音
制御装置によれば、温度検出手段で検出した温度に基づ
いて、予め温度範囲毎に設定した伝達関数候補の中か
ら、対応する伝達関数候補を選定してこれを伝達系の伝
達関数として設定するようにしたから、伝達関数の補正
処理を容易に行うことができる。
【0037】また、本発明の請求項3に係る能動型騒音
制御装置によれば、温度検出手段で検出した温度に基づ
いて、予め温度範囲毎に設定した補正係数の中から対応
する補正係数を選定し、これに基づいて基準伝達関数を
補正しこれを伝達系の伝達関数として設定するようにし
たから、各温度範囲毎の補正係数と基準伝達関数とのみ
を記憶しておけばよいから、より少ない記憶領域で実現
することができる。
【0038】また、本発明の請求項4に係る能動型振動
制御装置によれば、伝達関数補正手段によって、温度検
出手段で検出した温度に応じて、制御振動源及び残留振
動検出手段間の伝達関数を補正するようにしたから、温
度変化に伴う振動の伝達系の伝達特性の変化に応じた伝
達関数に基づいて、制御振動源を適切に駆動することが
できる。
【0039】また、本発明の請求項5に係る能動型振動
制御装置によれば、温度検出手段で検出した温度に基づ
いて、予め温度範囲毎に設定した伝達関数候補の中か
ら、対応する伝達関数候補を選定してこれを伝達系の伝
達関数として設定するようにしたから、伝達関数の補正
処理を容易に行うことができる。
【0040】また、本発明の請求項6に係る能動型振動
制御装置によれば、温度検出手段で検出した温度に基づ
いて、予め温度範囲毎に設定した補正係数の中から、対
応する補正係数を選定し、これに基づいて基準伝達関数
を補正しこれを伝達系の伝達関数として設定するように
したから、各温度範囲毎の補正係数と基準伝達関数との
みを記憶しておけばよいから、より少ない記憶領域で実
現することができる。
【0041】また、本発明の請求項7に係る能動型振動
制御装置によれば、温度検出手段によって、エンジンと
車体側部材との間に介在され、伝達系の伝達特性の変化
に起因する支持弾性体の温度を検出するようにしたか
ら、より適切な伝達関数を設定することができる。
【0042】また、本発明の請求項8に係る能動型振動
制御装置によれば、温度検出手段によって、エンジンと
車体側部材との間に介在される支持弾性体の周辺温度を
検出し、この周辺温度に基づいて支持弾性体の温度を予
測するようにしたから、支持弾性体の温度を直接検出す
ることができない場合でも、伝達系の伝達特性の変化に
起因する支持弾性体の温度に対応した、適切な伝達関数
を設定することができる。
【0043】また、本発明の請求項9に係る能動型振動
制御装置によれば、エンジンが始動してからの経過時間
に基づいて、支持弾性体の温度を予測するようにしたか
ら、例えば温度センサ等を設けることなく、容易に支持
弾性体の温度を予測することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図5は、本発明の第1
の実施の形態を示す図であって、図1は、本発明に係る
能動型振動制御装置の実施の形態の一例を車両に適用し
た概略構成図である。
【0045】まず、構成を説明すると、エンジン30が
駆動信号に応じた能動的な支持力を発生可能な能動型エ
ンジンマウント1を介して、サスペンションメンバ等か
ら構成される車体35に支持されている。なお、実際に
は、エンジン30及び車体35間には、能動型エンジン
マウント1の他に、エンジン30及び車体35間の相対
変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジン
マウントも介在している。受動的なエンジンマウントと
しては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常の
エンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生
可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウント
インシュレータ等が適用できる。
【0046】一方、能動型エンジンマウント1は、例え
ば図2に示すように構成されている。すなわち、この実
施の形態における能動型エンジンマウント1は、エンジ
ン30への取り付け用ボルト2aを上部に一体に備え且
つ内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有し、この
キャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向く内筒3
の上端部がかしめ止めされている。
【0047】内筒3は、下端側が縮径した形状となって
いて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、ここ
に円形の開口部3aが形成されている。そして、内筒3
の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上下に
二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止め部
分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設されてい
る。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の側面
に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0048】さらに、内筒3の内側には、オリフィス構
成体5が配設されている。なお、本実施の形態では、内
筒3内面及びオリフィス構成体5間には、薄膜状の弾性
体(ダイアフラム4の外周部を延長させたものでもよ
い)が介在していて、これにより、オリフィス構成体5
は内筒3内側に強固に嵌め込まれている。
【0049】このオリフィス構成体5は、内筒3の内部
空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面に
は円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部
5aと、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オ
リフィス5bを介して連通するようになっている。オリ
フィス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に
沿って螺旋状に延びる溝と、その溝の一端部を凹部5a
に連通させる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連
通させる流路とで構成される。
【0050】一方、内筒3の外周面には、内周面側が若
干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周
面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面
は、上端側が拡径した円筒部材としての外筒7の内周面
上部に加硫接着されている。
【0051】そして、外筒7の下端部は上面が開口した
円筒形のアクチュエータケース8の上端部にかしめ止め
されていて、そのアクチュエータケース8の下端面から
は、車体35側への取り付け用の取り付けボルト9が突
出している。取り付けボルト9は、その頭部9aが、ア
クチュエータケース8の内底面に張り付いた状態で配設
された平板部材8aの中央の空洞部8bに収容されてい
る。
【0052】さらに、アクチュエータケース8の内側に
は、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10A
の中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル
10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲され
た部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石1
0Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設
されている。
【0053】また、アクチュエータケース8の上端部は
フランジ状に形成されたフランジ部8Aとなっていて、
そのフランジ部8Aに外筒7の下端部がかしめられて両
者が一体となっているのであるが、そのかしめ止め部分
には、円形の金属製の板ばね11の周縁部(端部)が挟
み込まれていて、その板ばね11の中央部の電磁アクチ
ュエータ10側には、リベット11aによって磁化可能
な磁路部材12が固定されている。なお、磁路部材12
はヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円板であって、
その底面が電磁アクチュエータ10に近接するような厚
みに形成されている。
【0054】さらに、上記かしめ止め部分には、フラン
ジ部8Aと板ばね11とに挟まれるように、リング状の
薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14a
とが支持されている。具体的には、アクチュエータケー
ス8のフランジ部8A上に、薄膜弾性体13と、力伝達
部材14のフランジ部14aと、板ばね11と、をこの
順序で重ね合わせると共に、その重なり合った全体を外
筒7の下端部をかしめて一体としている。
【0055】力伝達部材14は、磁路部材12を包囲す
る短い円筒形の部材であって、その上端部がフランジ部
14aとなっており、その下端部は電磁アクチュエータ
10のヨーク10Aの上面に結合している。具体的に
は、ヨーク10Aの上端面周縁部に形成された円形の溝
に、力伝達部材14の下端部が嵌合して両者が結合され
ている。また、力伝達部材14の弾性変形時のばね定数
は、薄膜弾性体13のばね定数よりも大きい値に設定さ
れている。
【0056】ここで、本実施の形態では、支持弾性体6
の下面及び板ばね11の上面によって画成された部分に
流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5aに
よって画成された部分に副流体室16が形成されてい
て、これら流体室15及び副流体室16間が、オリフィ
ス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通し
ている。なお、これら流体室15,副流体室16及びオ
リフィス5b内には、エチレングリコール等の流体が封
入されている。
【0057】かかるオリフィス5bの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり、5〜15Hzで能動型エンジンマ
ウント1が加振された場合に高動ばね定数,高減衰力を
示すように調整されている。
【0058】そして、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bは、コントローラ25からハーネス23aを
通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の
電磁力を発生するようになっている。
【0059】コントローラ25は、マイクロコンピュー
タ,必要なインタフェース回路,A/D変換器,D/A
変換器,アンプ等を含んで構成され、エンジンシェイク
よりも高周波の振動であるアイドル振動やこもり音振動
・加速時振動が車体35に入力されている場合には、そ
の振動を低減できる能動的な支持力が能動型エンジンマ
ウント1に発生するように、能動型エンジンマウント1
に対する駆動信号yを生成し出力するようになってい
る。
【0060】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動が車体35に伝達されることが主
な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期し
て駆動信号yを生成し出力すれば、車体側低減が可能と
なる。そこで、本実施の形態では、燃焼タイミングに同
期するように、エンジン30のクランク軸の回転に同期
した(例えば、レシプロ4気筒エンジンの場合には、ク
ランク軸が180度回転する度に一つの)インパルス信
号を生成しこれを基準信号xとして出力するパルス信号
生成器26(図1)を設けていて、その基準信号xがエ
ンジン30における振動の発生状態を表す信号としてコ
ントローラ25に供給されるようになっている。
【0061】一方、電磁アクチュエータ10のヨーク1
0Aの下端面と、アクチュエータケース8の底面を形成
する平板部材8aの上面との間に挟み込まれるように、
エンジン30から支持弾性体6を通じて伝達する加振力
を検出する荷重センサ22が配設されていて、荷重セン
サ22の検出結果がハーネス23bを通じて残留振動信
号eとしてコントローラ25に供給されるようになって
いる。荷重センサ22としては、具体的には、圧電素
子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能である。
【0062】そして、コントローラ25は、供給される
残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリ
ズムの一つである同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマ
ウント1に対する駆動信号yを演算し、その駆動信号y
を能動型エンジンマウント1に出力するようになってい
る。
【0063】具体的には、コントローラ25は、フィル
タ係数Wi (i=0,1,2,……,I−1:Iはタッ
プ数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、
最新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリ
ング・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタ
Wのフィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力す
る一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応
ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新す
る処理を実行するようになっている。
【0064】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−μRT e(n) ……(1) ここで、(n),(n+1)が付く項は、サンプリング
時刻n,n+1,における値であることを表し、μは収
束係数である。また、更新用基準信号RT は、理論的に
は、基準信号xを、能動型エンジンマウント1の電磁ア
クチュエータ10及び荷重センサ22間の伝達関数Cを
有限インパルス応答型フィルタでモデル化した伝達関数
フィルタC^でフィルタ処理をした値であり、基準信号
xと伝達関数フィルタC^との関数である次式(2)と
して表すことができる。ここで、基準信号xの大きさは
“1”であるから、伝達関数フィルタC^のインパルス
応答を基準信号xに同期して次々と生成した場合のそれ
らインパルス応答波形のサンプリング時刻nにおける和
に一致する。
【0065】 RT =f(x,C^) ……(2) また、理論的には、基準信号xを適応ディジタルフィル
タWでフィルタ処理して駆動信号yを生成するのである
が、基準信号xの大きさが“1”であるため、フィルタ
係数Wi を順番に駆動信号yとして出力しても、フィル
タ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ結果になる。
【0066】さらに、コントローラ25は上記のような
適応ディジタルフィルタWを用いた振動低減処理を実行
する一方で、その振動低減制御に必要な伝達関数Cをモ
デルタ化した伝達関数フィルタC^を、ヨーク10Aの
温度変化に応じて更新する処理をも実行するようになっ
ている。
【0067】すなわち、コントローラ25には、アクチ
ュエータケース8を貫通してヨーク10Aに挿入して配
設された、例えば熱電対等で形成される温度センサ28
の温度検出値tが入力され、コントローラ25では、こ
の温度センサ28からの温度検出値tに基づいて、予め
設定された所定周期で、前記伝達関数フィルタC^を更
新する伝達関数更新処理が実行される。
【0068】この伝達関数更新処理では、入力される温
度センサ28からの温度検出値tに基づいて、予め温度
範囲毎に設定し所定の記憶領域に格納した伝達関数フィ
ルタC^N (N=1〜4)のうち、温度検出値tに対応
する温度範囲に応じた伝達関数フィルタC^N を選定
し、この伝達関数フィルタC^N を、それまでの伝達関
数フィルタC^と置き換えるようになっている。そし
て、前記振動低減制御処理においては、この置き換えら
れた新たな伝達関数フィルタC^に基づいて処理を実行
するようになっている。
【0069】次に、第1の実施の形態の動作を説明す
る。すなわち、能動型エンジンマウント1内の流体共振
系の共振周波数を20Hzに調節している結果、5〜1
5Hzの振動であるエンジンシェイク発生時にもある程
度の減衰力がこの能動型エンジンマウント1で発生する
ため、エンジン30側で発生したエンジンシェイクが能
動型エンジンマウント1によってある程度減衰されると
共に、図示しない他の流体封入式エンジンマウント等に
よってもエンジンシェイクは減衰されるから、車体35
側の振動レベルが低減される。なお、エンジンシェイク
に対しては、特に磁路部材12を積極的に変位させる必
要はない。
【0070】一方、アイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ25は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10に駆動信
号yを出力し、能動型エンジンマウント1に振動を低減
し得る能動的な支持力を発生させる。
【0071】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ25内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図3に従って具体的に説明する。
まず、そのステップ101において所定の初期設定が行
われた後に、ステップ102aに移行し、所定の記憶領
域に形成された、伝達関数フィルタ格納領域に格納され
ている伝達関数フィルタC^が読み込まれる。そして、
ステップ102bに移行し、読み込まれた伝達関数フィ
ルタC^に基づいて更新用基準信号RTが演算される。
なお、このステップ102bでは、一周期分の更新用基
準信号R T がまとめて演算される。
【0072】そして、ステップ103に移行し、カウン
タiが零クリアされた後に、ステップ104に移行し
て、適応ディジタルフィルタWのi番目のフィルタ係数
i が駆動信号yとして出力される。
【0073】ステップ104で駆動信号yを出力した
ら、ステップ105に移行し、残留振動信号eが読み込
まれる。そして、ステップ106に移行して、カウンタ
jが零クリアされ、次いでステップ107に移行し、適
応ディジタルフィルタWのj番目のフィルタ係数Wj
上記(1)式にしたがって更新される。
【0074】ステップ107における更新処理が完了し
たら、ステップ108に移行し、次の基準信号xが入力
されているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力さ
れていないと判定された場合には、適応ディジタルフィ
ルタWの次のフィルタ係数の更新又は駆動信号yの出力
処理を実行すべく、ステップ109に移行する。
【0075】ステップ109では、カウンタjが出力回
数Ty (正確には、カウンタjは0からスタートするた
め、出力回数Ty から1を減じた値)に達しているか否
かを判定する。この判定は、ステップ104で適応ディ
ジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を、駆動信号yと
して出力した後に、適応ディジタルフィルタWのフィル
タ係数Wi を、駆動信号yとして必要な数だけ更新した
か否かを判断するためのものである。そこで、このステ
ップ109の判定が「NO」の場合には、ステップ11
0でカウンタjをインクリメントした後に、ステップ1
07に戻って上述した処理を繰り返し実行する。
【0076】しかし、ステップ109の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWのフィルタ
係数のうち、駆動信号yとして必要な数のフィルタ係数
の更新処理が完了したと判断できるから、ステップ11
1に移行してカウンタiをインクリメントした後に、所
定時間待機する。この所定時間は、上記ステップ104
の処理を実行してから所定のサンプリング・クロックの
間隔に対応する時間が経過するまでの時間である。そし
て、サンプリング・クロックに対応する時間が経過した
ら、上記ステップ104に戻って上述した処理を繰り返
し実行する。
【0077】一方、ステップ108で基準信号xが入力
されたと判断された場合には、ステップ112に移行
し、カウンタi(正確には、カウンタiは0からスター
トするため、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力
回数Ty として保存した後に、ステップ102aに戻っ
て、上述した処理を繰り返し実行する。
【0078】このような図3の処理を繰り返し実行する
結果、コントローラ25から能動型エンジンマウント1
の電磁アクチュエータ10に対しては、基準信号xが入
力された時点から、サンプリング・クロックの間隔で、
適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が順番に
駆動信号yとして供給される。
【0079】この結果、励磁コイル10Bに駆動信号y
に応じた磁力が発生するが、磁路部材12には、すでに
永久磁石10Cによる一定の磁力が付与されているか
ら、その励磁コイル10Bによる磁力は永久磁石10C
の磁力を強める又は弱めるように作用すると考えること
ができる。つまり、励磁コイル10Bに駆動信号yが供
給されていない状態では、磁路部材12は、板ばね11
による支持力と、永久磁石10Cとの磁力との釣り合っ
た中立の位置に変位することになる。そして、この中立
の状態で励磁コイル10Bに駆動信号yが供給される
と、その駆動信号yによって励磁コイル10Bに発生す
る磁力が永久磁石10Cの磁力と逆方向であれば、磁路
部材12は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが
増大する方向に変位する。逆に、励磁コイル10Bに発
生する磁力が永久磁石10Cの磁力と同じ方向であれ
ば、磁路部材12は電磁アクチュエータ10とのクリア
ランスが減少する方向に変位する。
【0080】このように磁路部材12は、正逆両方向に
変位可能であり、磁路部材12が変位すれば主流体室1
5の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体6
の拡張ばねが変形するから、この能動型エンジンマウン
ト1に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのであ
る。
【0081】そして、駆動信号yとなる適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムにしたがった上記
(1)式によって逐次更新されるため、ある程度の時間
が経過して適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数
i が最適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エン
ジンマウント1に供給されることによって、エンジン3
0から能動型エンジンマウント1を介して車体35側に
伝達されるアイドル振動やこもり音振動が低減されるよ
うになるのである。
【0082】以上は車両走行時等に実行される振動低減
処理の動作である。その一方、図4に示すような、伝達
関数フィルタC^を設定する伝達関数更新処理が実行さ
れる。
【0083】すなわち、まず、そのステップ201にお
いて、温度センサ28からの温度検出値tを読み込み、
続いて、ステップ202に移行し、予め設定して所定の
記憶領域に格納している図5に示すような制御テーブル
1 を参照して、読み込んだ温度検出値tに対応する温
度範囲を判定する。
【0084】ここで、制御テーブルM1 は、図5に示す
ように、所定の温度範囲毎にそれぞれ伝達関数フィルタ
C^N が設定されている。図5の場合には、温度範囲
は、例えば、第1の温度範囲−50〜0℃,第2の温度
範囲0〜50℃,第3の温度範囲50〜100℃,第4
の温度範囲100〜150℃,の4つの温度範囲に分割
され、それぞれの範囲毎に伝達関数フィルタC^1 〜C
4 が設定されている。この伝達関数フィルタC^1
C^4 は、例えば、実験等によって、予め検出すること
により設定される。
【0085】したがって、ステップ202の処理では、
温度検出値tが、前記第1〜第4の温度範囲の何れに該
当するかを判定し、次いでステップ203に移行して、
ステップ202の処理で判定した温度範囲が、予め所定
の記憶領域に格納している前回実行時の温度範囲と一致
するか否かを判定し、前回の温度範囲と一致する場合に
は、伝達関数フィルタC^を更新する必要がないから、
そのまま処理を終了する。
【0086】一方、ステップ203の処理で、前回の温
度範囲と今回の温度範囲とが一致しない場合には、ステ
ップ204に移行し、対応テーブルM1 を参照して対応
する温度範囲に応じた伝達関数フィルタC^N を読み出
し、これを、前述の伝達関数フィルタ格納領域に伝達関
数フィルタC^として更新記憶する。そして、ステップ
202の処理で検出した温度範囲を、前回の温度範囲と
して所定の記憶領域に更新記憶した後、処理を終了す
る。
【0087】なお、前記伝達関数フィルタ格納領域に
は、例えば出荷時等に同定した伝達関数Cに応じた伝達
関数フィルタC^が初期値として格納されているものと
する。このように、本実施の形態によれば、能動型エン
ジンマウント1の温度変化に応じて、現在の温度に応じ
た伝達関数フィルタC^N を選定し、この伝達関数フィ
ルタC^N に基づいて、振動減衰処理を実行するように
なっているから、例えば温度変化等によって、能動型エ
ンジンマウント1の振動の伝達特性が変化した場合で
も、現在の温度に応じた伝達関数フィルタC^に基づい
て制御振動が発生されて、良好な振動低減制御が実行で
きるのである。
【0088】よって、車両の外気温度の変化、或いは、
能動型エンジンマウント1が稼働することに伴う、電磁
アクチュエータ10の発熱による能動型エンジンマウン
ト1内の温度変化等によって、エンジン1と車体35と
の間の振動の伝達特性が変化した場合でも、現在の温度
に応じた伝達特性に基づく伝達関数フィルタC^に基づ
き制御振動が発生されるから、良好な振動低減制御を実
行することができる。
【0089】特に、ゴム製の支持弾性体6等の場合に
は、温度変化によりその特性が大きく変化し、例えば温
度が0℃以下となった場合等には硬化してしまい、車体
35に伝わるエンジン1の振動を減衰する力が弱くなっ
てしまい、車体35に伝わる振動が大きくなるが、上記
実施の形態によれば、予め実験等によって設定した0℃
以下における伝達特性に応じた、伝達関数フィルタC^
に基づき、振動低減処理が行われるから、支持弾性体6
の硬化による振動を減衰する力の低下分を考慮して制御
振動が発生されることになって、良好な振動低減制御を
実行することができる。
【0090】また、支持弾性体6の特性変化に係わら
ず、例えば、温度変化に応じて主流体室15及び副流体
室16内の作動流体の特性、或いはその他の部分の特性
が変化する場合でも、これらの特性変化をも考慮して、
制御テーブルM1 の伝達関数フィルタC^N を設定する
ようにすれば、これら特性変化にも対処することができ
る。
【0091】また、上記第1の実施の形態においては、
第1〜第4の温度範囲毎に、対応する伝達関数フィルタ
C^1 〜C^4 が設定されているから、温度範囲から設
定すべき伝達関数フィルタを容易に得ることができ、更
新処理に要する処理負荷を軽減することができると共に
短時間で更新処理を行うことができる。
【0092】ここで、本実施の形態では、エンジン30
が振動源に対応し、能動型エンジンマウント1が制御振
動源に対応し、パルス信号生成器26が基準信号生成手
段に対応し、荷重センサ22が残留振動検出手段に対応
し、図3の処理が能動制御手段に対応し、温度センサ2
8が温度検出手段に対応し、図4の処理が伝達関数補正
手段に対応している。
【0093】次に、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形
態における、伝達関数フィルタC^の補正方法が異なる
こと以外は同様であり、全体的な構成や振動低減処理の
処理内容は上記第1の実施の形態と同様であるため、そ
の重複する説明は省略する。
【0094】この第2の実施の形態においては、伝達関
数補正処理では、温度変化に応じて基準となる基準伝達
関数フィルタC^* の位相及びゲインを補正するように
している。
【0095】つまり、能動型エンジンマウント1に温度
変化が生じた場合、その影響を最も受けるのは支持弾性
体6であり、そのばね定数が変化することからこれに伴
う伝達関数フィルタの位相及びゲインの変化を推定し、
これに応じて伝達関数フィルタを補正するようにしてい
る。
【0096】図6は、第2の実施の形態における制御テ
ーブルM2 を表したものであり、この第2の実施の形態
における制御テーブルM2 では、温度範囲毎に、基準伝
達関数フィルタC^* に対する、位相の補正値及びゲイ
ンの補正値が設定されている。この補正値は、基準伝達
関数フィルタC^* の伝達特性を補正する補正値であっ
て、補正後の基準伝達関数フィルタC^* が、各温度範
囲毎に応じた伝達関数フィルタとなるように、予め実験
等によって求めた値である。また、基準伝達関数フィル
タC^* は、例えば、出荷時に同定処理を行うこと等に
よって設定された伝達関数フィルタである。例えば、−
50〜0℃を第1の温度範囲,0〜50℃を第2の温度
範囲,50〜100℃を第3の温度範囲、100〜15
0℃を第4の温度範囲とした場合、第3の温度範囲を基
準としたとき、第1及び第2の温度範囲の位相補正値
は、位相を進める値+B1 ,+A1 に設定され、第4の
温度範囲の位相補正値は位相を遅らせる値−C1 に設定
される。また、第1及び第2の温度範囲のゲイン補正値
は、×B2 ,×A2 、第4の温度範囲のゲイン補正値
は、×C2 に設定され、B2 及びA2 は例えば、“1”
よりも小さい値であり且つ、B2 >A2 を満足する値で
あり、また、C2 は“1”よりも大きい値に設定され
る。
【0097】そして、第2の実施の形態における伝達関
数補正処理は、図7に示すフローチャートに基づいて実
行される。なお、全体的な処理内容は上記第1の実施の
形態と同様であるため、同一部分には同一番号を付与
し、重複する説明は省略する。
【0098】すなわち、まず、温度センサ28からの温
度検出値tを読み込み(ステップ201)、続いて、制
御テーブルM2 を参照して、対応する温度範囲を特定す
る(ステップ202)。そして、特定した温度範囲が予
め記憶している前回の温度範囲と一致するか否かを判定
し(ステップ203)、一致する場合には、そのまま処
理を終了する。一方、前回の温度範囲と今回の温度範囲
とが一致しない場合には、制御テーブルM2 を参照し
て、特定した温度範囲に対応する位相補正値及びゲイン
補正値を読み出す(ステップ204a)。そして、読み
出した位相補正値及びゲイン補正値によって、予め設定
した基準伝達関数フィルタC^* を補正し(ステップ2
04b)、これを前述の伝達関数フィルタ格納領域に更
新記憶する。また、ステップ202で判定した温度範囲
を、前回の温度範囲として所定の記憶領域に更新記憶す
る。
【0099】なお、この伝達関数フィルタ格納領域に
は、初期値として例えば基準伝達関数フィルタC^*
格納されている。したがって、この第2の実施の形態の
ような構成であっても、温度変化に応じた伝達関数フィ
ルタC^に基づいて振動低減処理が実行されるから、上
記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができ
る。
【0100】しかも、図6に示すように、温度範囲毎に
伝達関数フィルタを保持しておく必要はなく、温度範囲
と位相及びゲインの補正値とを記憶するだけで済むか
ら、メモリ容量の低減にも寄与することができる。
【0101】なお、上記第1及び第2の実施の形態にお
いては、温度範囲を4段階に分けた場合について説明し
たが、これに限るものではなく、より細かい温度範囲或
いはより大まかな温度範囲に分けるようにしてもよい。
【0102】次に、本発明の第3の実施の形態を説明す
る。この第3の実施の形態は、温度センサ28で検出し
た電磁アクチュエータ10の温度である温度検出値tに
基づいて、支持弾性体6の温度を予測し、この予測した
支持弾性体6の温度に基づいて、伝達関数フィルタC^
を補正するようにしたものである。上記第1及び第2の
実施の形態において、その全体的な構成や振動低減処理
等の処理内容は同様であるので、その重複する説明は省
略する。
【0103】図8は、第3の実施の形態における伝達関
数補正処理の処理手順を示すフローチャートであって、
上記第1及び第2の実施の形態における伝達関数補正処
理と同一部分には、同一符号を付与している。
【0104】すなわち、まず、温度センサ28からの温
度検出値tを読み込むと(ステップ201)、次に、こ
の温度検出値tをもとに、支持弾性体6の温度を予測す
る(ステップ201a)。つまり、温度センサ28は、
支持弾性体6の温度変化の主な原因である電磁アクチュ
エータ10のヨーク10Aの温度を検出している。ここ
で、温度変化の影響を受けやすいのは、例えば支持弾性
体6等、温度変化に伴いその振動の伝達関数が大きく変
化するゴム等で形成された部分であり、ヨーク10Aと
支持弾性体6との間には、熱の伝達特性等によって温度
差があることから、この温度差を考慮して支持弾性体6
の温度に変換するようになっている。この変換は、例え
ば予め実験等によって、ヨーク10Aと支持弾性体6と
の温度の相関関係を表す関係式を求めておき、この関係
式と前記温度検出値tとに基づいて支持弾性体6の温度
を予測する。
【0105】そして、変換後の温度予測値に基づいて、
制御テーブルM1 における何れの温度範囲に相当するか
を判定し(ステップ202)、以後、上記第1の実施の
形態と同様に、前回伝達関数補正処理を実行したときの
温度範囲と一致する場合には、そのまま処理を終了し、
前回の温度範囲と今回の温度範囲とが一致しない場合に
は、制御テーブルM1 を参照して今回の温度範囲と対応
する伝達関数フィルタを選定し、これを伝達関数フィル
タ格納領域に更新記憶する(ステップ203,20
4)。
【0106】したがって、この場合にも、温度変化に応
じた伝達関数フィルタC^に基づいて振動低減処理が実
行されるから、上記第1の実施の形態と同等の作用効果
を得ることができると共に、特に、支持弾性体6の温度
を予測してこの予測温度に基づいて、伝達関数フィルタ
C^を補正するように、能動型エンジンマウント1のう
ち、温度変化の影響を受けやすい箇所の温度に応じて、
伝達関数フィルタC^を補正するようにしているから、
実際の伝達特性に応じてより適切な伝達関数フィルタC
^を設定することができ、よって、より良好な振動低減
制御を実行することができる。
【0107】特に、温度変化の影響を受けやすい支持弾
性体6等は、その直接その温度を測定するようにするこ
とも考えられるが、支持弾性体6の耐久性の問題等か
ら、支持弾性体6に温度センサを挿入して温度を計測す
ることは困難である。しかしながら、第3の実施の形態
によれば、電磁アクチュエータ10の温度から支持弾性
体6の温度を予測することができるから、支持弾性体6
の耐久性に悪影響を与えることなく、温度を検出するこ
とができ効果的である。
【0108】なお、上記第3の実施の形態においては、
上記第1の実施の形態において、支持弾性体6の温度を
予測するようにした場合について説明したが、これに限
らず、上記第2の実施の形態に適用することもできる。
【0109】また、上記各実施の形態においては、温度
センサ28を、電磁アクチュエータ10に設け、ヨーク
10Aの温度を計測するようにした場合について説明し
たが、これに限らず、例えば、支持弾性体6の表面の温
度,或いは主流体室15内の作動流体の温度,或いは能
動型エンジンマウント1本体が設置されている場所の温
度,等を測定するようにしてもよい。
【0110】また、上記各実施の形態においては、温度
センサ28を設けて、これにより支持弾性体6の温度を
検出或いは推測するようにした場合について説明した
が、主に、支持弾性体6の温度変化の原因となるのは、
ヨーク10Aの発熱によるものであるから、例えばヨー
ク10Aの発熱が開始するイグニッションスイッチがオ
ン状態となった時点から、支持弾性体6の温度が伝達特
性を変化させるべき温度となるまでの経過時間を実験等
により検出しておき、イグニッションスイッチがオン状
態となった時点から所定時間経過したときに、伝達特性
を更新するようにしてもよく、この場合には、例えば温
度センサ等を設けることなく、実現することができる。
【0111】また、上記各実施の形態においては、残留
振動を能動型エンジンマウント1に内蔵した荷重センサ
22によって検出しているが、これに限定されるもので
はなく、例えば車室内の乗員足元位置にフロア振動を検
出する加速度センサを配設し、その加速度センサの出力
信号を残留振動信号eとしてもよい。
【0112】また、上記各実施の形態においては、伝達
関数フィルタC^の初期値、或いは基準伝達関数フィル
タC^* として、出荷時等に同定した伝達関数Cに応じ
た伝達関数フィルタC^を格納するようにした場合につ
いて説明したが、例えば、イグニッションスイッチがオ
ン状態となったとき、或いは定期検査時等、出荷時以後
にも、同定処理が実行可能であり伝達関数フィルタC^
を更新可能なものについては、更新後の伝達関数フィル
タC^を、伝達関数フィルタC^の初期値、或いは、基
準伝達関数フィルタC^* として設定するようにしても
よい。なお、この同定処理を実行する場合には、例え
ば、0℃の環境下等ではなく、伝達関数フィルタを設定
するにあたって適当な温度のときに設定したものが好ま
しい。
【0113】また、上記各実施の形態においては、本発
明における能動型振動制御装置をエンジン30から車体
35に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制
御装置に適用した場合について説明したが、本発明の対
象はこれに限定されるものではなく、エンジン30以外
で発生する振動を低減するための能動型振動制御装置で
あっても本発明は適用可能である。
【0114】また、例えば騒音源としてのエンジン30
から車室内に伝達される騒音を低減する能動型騒音制御
装置であってもよく、かかる能動型騒音制御装置とする
場合には、車室内に制御音を発生するための制御音源と
してのラウドスピーカと、車室内の残留騒音を検出する
残留騒音検出手段としてのマイクロフォンと、車室内の
温度を測定する温度検出手段としての温度センサを設
け、上記各実施の形態と同様の演算処理によって得られ
る駆動信号yに応じてラウドスピーカを駆動させると共
に、マイクロフォンの出力を残留騒音信号eとして適応
ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi の更新処理
に用い、伝達関数補正処理(伝達関数補正手段)等を実
行すれば、上記各実施の形態と同様の作用効果を得るこ
とができる。
【0115】また、本発明の適用対象は車両に限定され
るものではなく、エンジン30以外で発生する周期的な
振動や騒音を低減するための能動型振動制御装置,能動
型騒音制御装置や、非周期的な振動や騒音(ランダム・
ノイズ)を低減するための能動型振動制御装置,能動型
騒音制御装置であっても適用可能であり、適用対象に関
係なく上記各実施の形態と同様の作用効果を奏すること
ができる。例えば、工作機械からフロアや室内に伝達さ
れる振動を低減する装置等であっても、本発明は適用可
能である。
【0116】さらに、上記各実施の形態では、駆動信号
yを生成するアルゴリズムとして同期式Filtere
d−X LMSアルゴリズムを適用しているが、適用可
能なアルゴリズムはこれに限定されるものではなく、例
えば、通常のFiltered−X LMSアルゴリズ
ム等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を示す断面図で
ある。
【図3】振動低減処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図4】第1の実施の形態における伝達関数補正処理の
概要を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態における制御テーブルM1
一例である。
【図6】第2の実施の形態における制御テーブルM2
一例である。
【図7】第2の実施の形態における伝達関数補正処理の
概要を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態における伝達関数補正処理の
概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 能動型エンジンマウント 5b オリフィス 10 電磁アクチュエータ 11 板ばね 12 磁路部材 15 主流体室 16 副流体室 22 荷重センサ 25 コントローラ 26 パルス信号生成器 28 温度センサ 30 エンジン 35 車体

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源から発せられる騒音と干渉する制
    御音を発生可能な制御音源と、前記騒音の発生状態を表
    す基準信号を生成し出力する基準信号生成手段と、前記
    干渉後の騒音を検出し残留騒音信号として出力する残留
    騒音検出手段と、前記基準信号及び前記残留騒音信号に
    基づき、前記制御音源及び前記残留騒音検出手段間の騒
    音の伝達系の伝達関数を含む制御アルゴリズムを用い
    て、前記騒音が低減するように前記制御音源を駆動する
    能動制御手段と、を備えた能動型騒音制御装置におい
    て、 前記伝達系の温度を検出する温度検出手段と、当該温度
    検出手段で検出した温度に応じて前記伝達関数を補正す
    る伝達関数補正手段と、を備えることを特徴とする能動
    型騒音制御装置。
  2. 【請求項2】 前記伝達関数補正手段は、予め前記伝達
    系の温度に対して所定の温度範囲毎に設定した伝達関数
    候補のうち、前記温度検出手段で検出した温度が含まれ
    る温度範囲に対応する伝達関数候補を、前記伝達関数と
    して選定するようになっていることを特徴とする請求項
    1記載の能動型騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 前記伝達関数補正手段は、予め前記伝達
    系の温度に対して所定の温度範囲毎に設定した、基準伝
    達関数の特性を補正する補正値のうち、前記温度検出手
    段で検出した温度が含まれる温度範囲に対応する補正値
    を選定し、当該補正値をもとに補正した前記基準伝達関
    数を、前記伝達関数として設定するようになっているこ
    とを特徴とする請求項1記載の能動型騒音制御装置。
  4. 【請求項4】 振動源から発せられる振動と干渉する制
    御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動の発生状態
    を表す基準信号を生成し出力する基準信号生成手段と、
    前記干渉後の振動を検出し残留振動信号として出力する
    残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記残留振動信
    号に基づき、前記制御振動源及び前記残留振動検出手段
    間の振動の伝達系の伝達関数を含む制御アルゴリズムを
    用いて、前記振動が低減するように前記制御振動源を駆
    動する能動制御手段と、を備えた能動型振動制御装置に
    おいて、 前記伝達系の温度を検出する温度検出手段と、当該温度
    検出手段で検出した温度に応じて前記伝達関数を補正す
    る伝達関数補正手段と、を備えることを特徴とする能動
    型振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記伝達関数補正手段は、予め前記伝達
    系の温度に対して所定の温度範囲毎に設定した伝達関数
    候補のうち、前記温度検出手段で検出した温度が含まれ
    る温度範囲に対応する伝達関数候補を、前記伝達関数と
    して選定するようになっていることを特徴とする請求項
    4記載の能動型振動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記伝達関数補正手段は、予め前記伝達
    系の温度に対して所定の温度範囲毎に設定した、基準伝
    達関数の特性を補正する補正値のうち、前記温度検出手
    段で検出した温度が含まれる温度範囲に対応する補正値
    を選定し、当該補正値をもとに補正した前記基準伝達関
    数を、前記伝達関数として設定するようになっているこ
    とを特徴とする請求項4記載の能動型振動制御装置。
  7. 【請求項7】 車両に適用され、前記振動源はエンジン
    であり、前記制御振動源は、前記エンジンと車体側部材
    との間に介在する支持弾性体を備えた制御振動源であっ
    て、前記温度検出手段は、前記支持弾性体の温度を検出
    するようになっていることを特徴とする請求項4乃至6
    の何れかに記載の能動型振動制御装置。
  8. 【請求項8】 車両に適用され、前記振動源はエンジン
    であり、前記制御振動源は、前記エンジンと車体側部材
    との間に介在する支持弾性体を備えた制御振動源であっ
    て、前記温度検出手段は前記支持弾性体の周辺温度を検
    出して、当該周辺温度から前記支持弾性体の温度を予測
    し、前記伝達関数補正手段は、温度検出手段で検出した
    前記支持弾性体の予測温度に基づき、前記伝達関数を補
    正するようになっていることを特徴とする請求項4乃至
    6の何れかに記載の能動型振動制御装置。
  9. 【請求項9】 車両に適用され、前記振動源はエンジン
    であり、前記制御振動源は、前記エンジンと車体側部材
    との間に介在する支持弾性体を備えた制御振動源であっ
    て、前記温度検出手段は、前記エンジンが始動してから
    の経過時間に基づいて、前記支持弾性体の温度を予測す
    るようになっていることを特徴とする請求項4乃至6の
    何れかに記載の能動型振動制御装置。
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