JPH09330119A - 制御システムにおける故障診断方法及び装置 - Google Patents
制御システムにおける故障診断方法及び装置Info
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Abstract
し、それらセンサの出力信号に応じて複数のアクチュエ
ータの作動を制御するようにした制御システムにおい
て、システムの核である各々複数のアクチュエータ及び
センサの何れに故障が発生しても、その故障個所を容易
且つ低コストで特定できるようにする。 【解決手段】 故障診断に当っては、個々のアクチュエ
ータA1 ,A2 と個々のセンサSA ,SB との各間の伝
達特性を測定し、その測定値に基づいて個々のアクチュ
エータA1 ,A2 と個々のセンサSA ,SB との各間の
伝達経路C1A,C 1B,C2A,C2B全てについて故障判断
を行ない、それら伝達経路の故障判断結果のパターンか
ら故障個所を推定する。
Description
ータと複数のセンサとを有し、それらセンサの出力信号
に応じて複数のアクチュエータの作動を制御するように
した制御システムにおける故障診断方法及び装置に関す
る。
用エンジンから車体に及ぼす振動をアクチュエータを用
いて能動的に抑制する複数のアクティブマウントと、車
体の複数部位に設置されて車体の残留振動成分による振
動(誤差信号)を検出する複数の誤差検出センサとを有
し、適応フィルタによる制御を行うようにしたアクティ
ブマウントシステムが従来公知(例えば特開平5−28
8237号公報参照)であるが、このようなシステムに
おいては、何れかのセンサやアクチュエータに故障が発
生すると、システム全体の動きに異常を来たす恐れがあ
り、従って何れのセンサ又はアクチュエータに故障が発
生してもその故障個所を容易に特定できるようにするこ
とが望ましい。
ラントにおける制御システムの故障振動装置(例えば特
開昭59−79317号公報参照)においてはセンサの
故障しか特定できず、アクチュエータの故障をも特定す
るためには個々のアクチュエータにそれぞれ故障検出手
段を個別に設ける必要があり、全体として構造が複雑化
しコストが嵩む等の問題がある。
のであり、制御システムの核である各々複数のアクチュ
エータ及びセンサの何れに故障が発生してもその故障個
所を容易且つ低コストで特定できるようにした、制御シ
ステムにおける故障診断方法及び装置を提供することを
第1の目的とする。
のアクチュエータと個々のセンサとの各間の伝達特性
は、システムの経年劣化や温度環境(特にアクティブマ
ウントシステムにあってはマウント自体の温度変化)、
外乱等の影響を受け易いため、それらの影響を無視して
前記故障診断を行なう場合にはそれだけ診断精度の低下
を招くことになる。
又は外乱の影響を極力回避できるようにした、制御シス
テムにおける故障診断装置を提供することを第2の目的
としている。
るために請求項1の発明は、複数のアクチュエータと複
数のセンサとを有し、それらセンサの出力信号に応じて
複数のアクチュエータの作動を制御するようにした制御
システムにおいて、個々のアクチュエータと個々のセン
サとの各間の伝達特性値を測定し、その測定値に基づい
て個々のアクチュエータと個々のセンサとの各間の伝達
経路全てについて故障判断を行ない、それら伝達経路の
故障判断結果のパターンから故障個所を推定することを
特徴とし、また請求項2の発明は、複数のアクチュエー
タと複数のセンサとを有し、それらセンサの出力信号に
応じて複数のアクチュエータの作動を制御するようにし
た制御システムにおいて、個々のアクチュエータと個々
のセンサとの各間の伝達特性値を測定する測定手段と、
その測定値に基づいて個々のアクチュエータと個々のセ
ンサとの各間の伝達経路全てについて故障判断を行なう
判断手段と、それら伝達経路の故障判断結果のパターン
から故障個所を推定する推定手段とを備えることを特徴
とする。
めに請求項3の発明は、請求項2の発明の特徴に加え
て、前記判断手段が、前記伝達特性の測定値と正常値と
を比較してその偏差に基づいて故障判断を行ない、しか
もその故障判断により正常と判断された測定値に基づい
て、その後の故障判断の際に前記正常値を更新すること
を特徴とし、更に請求項4の発明は、請求項2又は3の
発明の特徴に加えて、前記制御システムが、エンジンか
ら車体へ及ぼす振動をアクチュエータを用いて能動的に
低減する複数のアクティブマウントと、車体の複数部位
に設置されて車体振動を検出し得る複数の誤差センサと
を備え、前記推定手段が、アクティブマウントが十分に
暖機した状態にある時に故障個所を推定することを特徴
とし、更にまた請求項5の発明は、請求項2,3又は4
の発明の特徴に加えて、前記制御システムが、エンジン
から車体へ及ぼす振動をアクチュエータを用いて能動的
に低減する複数のアクティブマウントと、車体の複数部
位に設置されて車体振動を検出し得る複数の誤差センサ
とを備え、前記推定手段が、エンジン又は車両が停止し
た状態にある時に故障個所を推定することを特徴として
いる。
に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説
明する。尚、この実施例は、本発明の制御システムを自
動車用アクティブマウントシステムに実施した一例を示
すものである。
ティブマウントシステムの一例を示す概略全体図、図2
はアクティブマウントの断面図(図1の2−2矢視拡大
断面図)、図3は前記アクティブマウントシステムの制
御ブロック図、図4は電子制御ユニットの概略を示すブ
ロック図、図5は1つのアクチュエータから1つの誤差
検出センサへの振動伝達経路における伝達特性をシステ
ムが正常な場合に時間をおいて2回計測したグラフであ
って特に上段は位相の周波数特性,下段は振幅の周波数
特性を示しており、図6は、1つのアクチュエータから
1つの誤差検出センサへの振動伝達経路における伝達特
性をシステムが正常な場合と異常な場合とでそれぞれ計
測したグラフであって特に上段は位相の周波数特性,下
段は振幅の周波数特性を示しており、図7はエンジン停
止直後に行われる故障診断の処理手順を示すフローチャ
ート、図8は1-2-2 システムの振動伝達経路の簡略説明
図、図9は、1-2-2 システムの振動伝達経路においてセ
ンサSB の故障状態を示す簡略説明図、図10はエンジ
ン始動直後に行われる故障診断の処理手順を示すフロー
チャートである。
自動車用アクティブマウントシステムの概要について説
明する。このシステムは、エンジンEから車体F側に伝
達される振動をアクチュエータA1 ,A2 を用いて能動
的に低減制御するための複数のアクティブマウント
M1 ,M2 と、車体適所に設置される複数の誤差検出セ
ンサSA ,SB とを備えており、それら誤差検出センサ
SA ,SB は、エンジンEの運転に起因して車体F側に
発生する振動(制御対象振動)とアクティブマウントM
1 ,M2 のアクチュエータA1 ,A2 が発生させる振動
とを相殺した後の残留振動成分による車体振動を検出し
得るように構成されるものであり、斯かる誤差検出セン
サとしては例えば加速度センサが用いられる。而して前
記アクチュエータA1 ,A2 が本発明のアクチュエータ
を、また前記誤差検出センサSA ,S B が本発明のセン
サをそれぞれ構成している。
ンジンEを含むパワーユニットPを車体Fの前部に支持
すべく該パワーユニットPと車体F間に互いに並列に且
つ前後左右に間隔をおいて介装される複数個の防振マウ
ントのうちの少なくとも一部(図示例では前後の2個)
のマウントを構成しており、その構造は従来周知である
が、その一例を図2を参照して簡単に説明する。各アク
ティブマウントM1 ,M2 は、一対の取付部1,2と、
その両者間を弾性的に連結する硬質ゴムよりなる中空弾
性支持体3とを有しており、一方の取付部1は、パワー
ユニットPに突設したエンジンブラケットBeに、また
他方の取付部2は車体Fにそれぞれねじ止めされてい
る。尚、図示例では、前後一対の誤差検出センサSA ,
SB が前後のアクティブマウントM1 ,M2 の車体側取
付部2近傍の車体Fにそれぞれ装着されている。
体が封入される流体室4が画成されており、この流体室
4の一方の開放端は、一方の取付部1内に設けられて弾
性膜5により外側を覆われる補助流体室6にオリフィス
7を介して連通され、その弾性膜5の外側面は常時大気
圧下に置かれる。また流体室4の他方の開放端は、他方
の取付部2にリング状ダイヤフラム8を介してフローテ
ィング支持した振動板9と、該ダイヤフラム8とにより
液密に塞がれており、その振動板9を強制的に振動させ
るために他方の取付部2にはアクチュエータA
1 (A2 )が装着される。このアクチュエータとして図
示例では、ヨークYに永久磁石10を固定する一方、印
加電流に比例した力を発生させる可動のボイスコイルを
駆動コイル11とした所謂VCMタイプの(voice coil
motor) 電磁アクチュエータが用いられ、そのコイル1
1に振動板9が連結される。
適所に設けた電子制御ユニットECUには、各アクチュ
エータA1 ,A2 及び各誤差検出センサSA ,SB 、並
びにエンジンEの回転数に対応した信号を出力する例え
ばクランク角センサからなるエンジン回転数センサSE
がそれぞれ接続されており、その制御ユニットECUか
ら駆動信号を受けたアクチュエータA1 ,A2 は、該信
号に応じた電磁力を発生させて振動板9を加振し、これ
により流体室4の内圧を変化させてマウントの防振特性
を可変制御することで、車両の振動騒音を能動制御し得
るようになっている。
の概念を導入し、エンジンEの振動を、エンジンEの回
転に同期して規則的な振動騒音特性が生じるピストン系
の振動成分(一次振動成分)と、燃焼状態に応じて不規
則な振動騒音特性が生じる爆発圧の振動成分(二次振動
成分)とに区分して適応制御を行うことにより、振動騒
音をより効果的に低減できるようになっており、このた
めに、図4に例示したようにエンジン回転数センサSE
の出力信号を波形整形してエンジンの各構成部位に応じ
た振動騒音周期を示すタイミングパルス信号を出力する
波形整形回路、そのタイミングパルス信号に基づいて適
応制御を行う高速演算可能な処理装置DSP(Digital
Signal Proccesser)、その処理装置DSPから出力され
るアクチュエータ制御信号をアクチュエータA1 ,A2
の駆動信号に変換増幅する駆動回路、前記誤差検出セン
サSA ,SB が出力する誤差信号をデジタル信号に変換
して前記処理装置DPSにフィードバックするA/Dコ
ンバータ等を主たる構成要素としている。更に電子制御
ユニットECUには、後述する故障診断処理を実行する
ための故障診断回路が内蔵されている。
1 ,A2 と誤差検出センサSA ,S B との間の振動伝達
経路について予め測定(同定)された伝達特性のデータ
を基に前記各タイミングパルス信号の発生周期に応じて
適応制御を行う回路機能と、その伝達特性を同定し得る
と共に必要に応じてその同定データを更新し得る回路機
能とを有する複数の適応制御処理部を内蔵しており、該
適応制御処理部へは、電子制御ユニットECUに内蔵さ
れたメモリに予め記憶された後述する同定用参照信号を
所定条件下で且つ所定のタイミングで出力し得るように
なっている。而して処理装置DSPの前記適応制御によ
れば、アクチュエータA1 ,A2 にエンジンの次数振動
と逆位相の加振力を発生させてエンジンから車体側への
振動伝達を遮断し誤差検出センサSA ,SB の出力信号
(誤差信号)が最小値に収束されるようにアクチュエー
タA1 ,A2 の駆動出力を最適化すること(即ち能動的
振動制御)が可能となり、斯かるアクティブマウントの
適応制御の手法は、従来より種々知られている(例えば
特開平7−271451号公報を参照)。
ように電子制御ユニットECUには、必要に応じてエン
ジンE又は車両の運転状態又は運転環境に対応した他の
物理量を検出する種々のセンサを接続することも可能で
あり、それらセンサからの検出信号(図示例ではエンジ
ンの油温、水温、マウント温度にそれぞれ対応した信号
To,Tw,TM1,TM2)をも、電子制御ユニットEC
Uによる故障診断の制御因子に加えるようにしてもよ
い。
特性、即ち、前記アクチュエータA 1 ,A2 の電気入力
端子から誤差検出センサSA ,SB の電気出力端子まで
の振動の伝達特性のデータが予め所定の測定(同定)作
業を以て記憶蓄積されており、処理装置DSPの適応制
御処理部は、それらの蓄積データを利用して前記適応制
御を行いアクチュエータ制御信号(従ってアクティブマ
ウントM1 ,M2 の制御出力)を最適値になるように調
節制御する。
変化、経年変化等の影響を受けるので、その伝達特性の
同定データを固定してしまうとシステムの前記変化に対
応した高精度な制御を行い得なくなるが、この点につい
ては取り敢えず前記変化が無いものとして、「伝達特
性」を用いた故障診断の原理について次に具体的に説明
する。
クチュエータの電気入力端子から1個の誤差検出センサ
の電気出力端子までの振動の伝達特性Cを時間をおいて
2回計測した場合を示しており、この図において伝達特
性Cは、〔振幅・位相〕の周波数特性で表現されてい
る。このような伝達特性Cは、アクチュエータの電気入
力端子に印加される電圧を一定にすればシステム各部に
異常がない限り図5に示す如く常に略同じ測定結果とな
り、また誤差検出センサ又はアクチュエータに異常が生
じた場合には図6に示す如く伝達特性Cに変化を生じ
る。即ち、図6は、システム各部が全て正常な場合と、
誤差検出センサに異常を生じた場合とを比較したもので
あり、この図からも明らかなように誤差検出センサが異
常な場合には伝達特性Cに変化が生じ、その〔振幅・位
相〕の両方が正常時のそれと一致することは皆無であ
る。尚、アクチュエータに異常が生じた場合について
も、同様である。
検出センサとの間の伝達経路における伝達特性Cを測定
し、それを正常時の値と比較したときに〔振幅・位相〕
の少なくとも一方が一致しなければ当該伝達経路の何れ
かに故障が発生したものと判断可能となる。例えば一定
周波数、一定電圧の信号を1つのアクチュエータに印加
して該アクチュエータと1つの誤差検出センサとの間の
伝達経路における伝達特性Cを測定し、それを正常値と
比較したときの偏差が〔位相・振幅〕の両方ともが誤差
の許容範囲に収まっていれば該経路は正常、そうでなけ
れば故障と判断することができるのである。
のように参照信号(同定信号)1・アクチュエータ2・
誤差検出センサ2のシステム(1-2-2 system)に適用し
た場合の故障診断の具体例を図7のフローチャートも併
せて参照して説明する。
に、故障診断はエンジンの停止直後に行なうこととする
(ステップS1)。エンジン停止後のアクティブマウン
トは未だ完全暖機状態にあり、略一定の温度と見做すこ
とができるため、伝達特性Cの温度変化による影響を考
慮に入れる必要がなく、この点でも都合がよい。但し、
停止前のエンジン運転時間が非常に短かった場合はアク
ティブマウントが完全暖機されていない可能性があるの
で、故障診断は行なわない(ステップS2)。尚、この
ようにエンジンの運転時間でアクティブマウントが十分
に暖機したかを確認して故障診断を行う手法に代えて、
エンジンの水温Tw又は油温Toをモニターし、これら
が所定温度以上になったらアクティブマウントが十分に
暖機したものと見做して故障診断を行うようにしてもよ
く、或いはマウント温度TM1,T M2を直接計測し、この
温度が故障診断可能な温度範囲、即ちアクティブマウン
トが十分に暖機したと判断できる温度範囲にある場合に
のみ故障診断を行うようにしてもよい(図3のブロック
図における鎖線を参照)。
ランスミッション振動、足回りからの振動入力等により
誤差検出センサSA ,SB にアクチュエータA1 ,A2
からの伝達振動以外の外乱ノイズが重畳されるので、普
通に伝達特性Cの計測を行うと、これら外乱の影響によ
り誤差を多く含んでしまい、結果として誤診断すること
がある。この問題を解決するために図示例では、エンジ
ンの停止時にのみ故障診断を行うようにしているが、こ
の手法に代えて、外乱ノイズの影響を極力回避すべく車
両の走行停止時にのみ故障診断を行うようにしたり、或
いはエンジンの停止時で且つ車両の走行停止時にのみ故
障診断を行うようにしてもよい。
つかの周波数帯域で行なってもよいが、処理を単純化す
るために1つの周波数(例えばノイズの影響が少ないと
思われる80Hzを選択すれば、それよりも低い周波数
で行なう場合と比べて車体振動ノイズを拾いにくくな
り、またそれよりも高い周波数で行なう場合と比べて電
源等の高周波数ノイズを拾いにくくなる)で行ない、ま
た個々のアクチュエータへの印加電圧も一定値、例えば
1Vとする(ステップS4)。
定された伝達特性の同定値(計測値)をCとし、これの
比較対象となる正常時の同定値(後述する比較値)をD
として、その両者を比較してその偏差を〔振幅・位相〕
それぞれについて演算する。
) これらの偏差のいずれかが許容誤差(検出誤差等によ
る)を越えた場合は異常と判断する。即ち振幅・位相の
許容誤差をそれぞれζabs ,ζangle とすると、 振幅については |εabs |>ζabs 位相については |εangle |>ζangle のいずれかが成立した場合は、その伝達経路は異常であ
ると判断する(ステップS8,S9)。
トの故障モードに対応した特有の周波数において行うこ
とで、故障部位の特定が容易となる。例えば、液体封
入マウント内部へのエア混入は、全周波数域で感度低下
を及ぼし、またマウント可動部のゴムの亀裂は、16
0Hz付近の感度低下を及ぼす等の特徴があり、従って
80Hzと160Hzを同定することで、前記とと
が区別できるような構成にすることも可能である。
ウントシステム(1-2-2 system)においては、図8に簡
略的に示す如く2つのアクチュエータA1 ,A2 の各々
から、2つの誤差検出センサSA ,SB の各々に向かう
都合4系統の振動伝達経路(同定経路)C1A,C1B,C
2A,C2Bが存在する。ここで仮に誤差検出センサSBに
故障が発生したと想定すると、図9に×印で示すように
全経路C1A,C1B,C 2A,C2Bのうち誤差検出センサS
B に関わる経路C1B,C2Bだけが異常と判断され、誤差
検出センサSB に関わらない経路C1A,C2Aは正常と判
断されることとなる。この現象は、他の誤差検出センサ
SA 又はアクチュエータA1 ,A2 が故障した場合も同
様であり、これらについて纏めると表1の故障個所推定
表の通りとなる(因みに前述の故障は、表1の PATTERN
5に相当する)。
2A,C2Bの伝達特性を測定(ステップS5,S7)して
各々の正常値と比較(ステップS8)し、それら伝達経
路C 1A,C1B,C2A,C2B全てについて故障判断(ステ
ップS9)を行なうようにすれば、それら伝達経路
C1A,C1B,C2A,C2Bの故障判断結果のパターンか
ら、前記表に示されるように具体的にどのアクチュエー
タA1 ,A2 又は誤差検出センサSA ,SB が故障して
いるのかを容易且つ的確に特定(ステップS10,S1
1)できるようになる。
比較(ステップ8)させるべき伝達特性の正常値(即ち
比較値D)は、アクティブマウント、車体その他の経年
劣化が進むにつれて微妙に変化するため、もしその比較
値Dを固定値としてしまうと誤診断の原因となる恐れが
ある。そこでこのような経年劣化の影響を回避するため
に、図示例では故障診断の際に全て正常と判断(即ち前
記表1で「 PATTERN1」であると判断)された場合にそ
の時の伝達特性の計測値Cを記憶しておき、これをその
まま次回の故障診断における伝達特性の正常値(即ち比
較値D)とする。これにより、比較対象となる伝達特性
の正常値(即ち比較値D)は、常に最新の値に更新され
ることになり(ステップS15,16)、前記経年劣化
に因る誤診断が効果的に回避される。尚、比較値Dの更
新に当り、故障診断を行った後に正常と判断された過去
N回の伝達特性の計測値C1 〜CN を記憶しておき、そ
の平均値(ΣCi )/Nを次回の故障診断の比較値Dと
するようにすれば、計測誤差のぱらつきによる影響を少
なくすることができる。
A2 又は(及び)誤差検出センサS A ,SB が故障と判
断された場合には、電子制御ユニットECUにおいて故
障個所を記録(ステップS12)し、該ユニットECU
に接続された故障表示手段Moにおいて故障個所を運転
者に具体的に指示(ステップS13)して交換修理等の
適切な対応を迅速にとり得るようにすると共に、以後の
アクティブマウントの再起動を停止(ステップS14)
させてシステムの異常発生を未然に防止できるようにす
る。
断の具体的な処理手順の一例を説明する。先ず、ステッ
プS1でエンジンEの運転が停止されたと判断される
と、ステップS2でエンジンの停止前の運転時間が所定
時間T以上か否かが判断され、Noであれば故障診断を
行わず、YESであれば故障診断を開始する(ステップ
S3)。これにより、電子制御ユニットECUにおいて
は、先ず一方のアクチュエータA1 を駆動すべくEボル
ト、fヘルツの同定信号を処理装置DSPに入力し(ス
テップS4)、これに応じて各誤差検出センサSA ,S
B が出力する誤差信号を受信して該アクチュエータA1
から各誤差検出センサSA ,SB に至る伝達経路C1A,
C1Bの伝達特性を検出し(ステップS5)、次いで他方
のアクチュエータA2 を駆動すべくEボルト、fヘルツ
の同定信号を処理装置DSPに入力し(ステップS
6)、これに応じて各誤差検出センサSA ,SB が出力
する信号を受信して該アクチュエータA2 から各誤差検
出センサSA ,SB に至る伝達経路C2A,C2Bの伝達特
性を検出する(ステップS7)。
C1A,C1B,C2A,C2Bの伝達特性をそれらが正常な場
合の伝達特性(即ち比較値D)とそれぞれ比較し、ステ
ップS9で全ての伝達特性が正常であると判断されない
場合には、前記推定表の故障パターンにより具体的な異
常箇所を推定し(ステップS10)、ステップS11で
判断可能であると判断された場合には、電子制御ユニッ
トECUにおいて故障個所を記録し(ステップS1
2)、次いで故障表示手段Moにおいて故障個所を運転
者に具体的に指示し(ステップS13)、更に以後のア
クティブマウントシステムの再起動を禁止することで
(ステップS14)システムの異常発生を未然に防止で
きるようにする。
C1B,C2A,C2Bの伝達特性が正常であると判断された
場合には、システムは全て正常と判断され(ステップS
15)、その正常と判断された伝達特性を用いて比較値
D即ち正常値の更新を行う。またステップS11で判断
不可能であると判断された場合(前記推定表の PATTERN
11の場合)には、ステップS17で故障診断モードをカ
ウントし、更にステップS18で故障診断モードが規定
時間経過した否かを判断し、経過していなければステッ
プS3に戻って故障診断を再び開始し、またその規定時
間が経過したと判断された場合には、電子制御ユニット
ECUにおいて故障診断機能に不具合発生と記録してか
ら(ステップS19)、ステップS13に移行してその
事態が運転者に知らされる。
ニットECUは、個々のアクチュエータA1 ,A2 と個
々の誤差検出センサSA ,SB との各間の伝達特性をそ
れらアクチュエータA1 ,A2 及び誤差検出センサ
SA ,SB と協働して測定する測定手段と、その測定値
に基づいて個々のアクチュエータA1 ,A2 と個々の誤
差検出センサSA ,SB との各間の伝達経路C1A,
C1B,C2A,C2B全てについて故障判断を行ない、それ
ら伝達経路C1A,C1B,C2A,C2Bの故障判断結果のパ
ターンから故障個所を推定する推定手段とに相当するも
のである。
ム各部における故障箇所の具体的推定を精度よく行い得
るものであるが、システム停止直後に故障診断を行うた
め、システム停止から次回のシステム起動までの間に発
生した故障には対応困難である。そこでこのような故障
に対応するため、エンジン始動直後で且つシステムの起
動直前に行い得る簡易の故障診断手法を、図10のフロ
ーチャートを参照して簡単に説明する。ここでも話を簡
単にするために、参照信号(同定信号)1・アクチュエ
ータ2・誤差検出センサ2のシステム(1-2-2 system)
に適用した場合を想定する。
S101)、直ちにEボルト,fヘルツの正弦波、ラン
ダム波又は音楽信号等の参照信号(同定信号)を用いて
アクチュエータA1 ,A2 を同時に加振する(ステップ
S102)。このとき加振する周波数はなるべくエンジ
ン振動、路面からの振動入力を受け辛い周波数に設定す
ることが望ましい。
測し(ステップS103〜S106)、その電流が適正
範囲、即ち予め設定した第1規定値より大で且つ第2規
定値より小であればアクチュエータA1 ,A2 は正常で
あると判断し、次に誤差検出センサSA ,SB のチェッ
クを行う(ステップS107〜S110)。このチェッ
クは誤差検出センサSA ,SB 毎に行うもので、アクチ
ュエータA1 ,A2 が発生した伝達力を誤差検出センサ
SA ,SB で受信し、この受信値が適正範囲、即ち第1
規定値より大で且つ第2規定値より小であれば誤差検出
センサSA ,S B も正常であると判断し、次に同定信号
の入力を停止し(ステップS111)、システムに異常
のないと判断してシステムを起動させる(ステップS1
12,113)。
おいてアクチュエータA1 又はA2の電流が過小、即ち
第1規定値より小さいと判断された場合には、断線の疑
いがあると判断され(ステップS114)、前記同定信
号の入力を停止し(ステップS115)、電子制御ユニ
ットECUに異常箇所を記録し(ステップ116)、故
障表示手段Moにより運転者に対し断線又は単に「故
障」と表示してから(ステップS117)、システムの
再起動を停止させる(ステップS118)。またステッ
プS104又はS106においてアクチュエータA1 又
はA2 の電流が過大、即ち第2規定値より大きいと判断
された場合には、配線又はアクチュエータにショートの
疑いがあると判断され(ステップS119)、前記同定
信号の入力を停止し(ステップS120)、電子制御ユ
ニットECUに異常箇所を記録し(ステップS12
1)、故障表示手段Moにより運転者に対しショート又
は単に「故障」と表示してから(ステップS122)、
システムの再起動を停止させる(ステップS123)。
て誤差検出センサSA ,SB の出力が過小、即ち第1規
定値より小さいと判断された場合には、誤差検出センサ
SA,SB の外れ又は断線の疑いがあると判断され(ス
テップS124)、前記同定信号の入力を停止し(ステ
ップS125)、電子制御ユニットECUに異常箇所を
記録し(ステップ126)、故障表示手段Moにより運
転者に対し断線又はセンサ外れ又は単に「故障」と表示
してから(ステップS127)、ステップS118に移
る。またステップS108又はS110において誤差検
出センサSA ,SB の出力が過大、即ち第2規定値より
大きいと判断された場合には、誤差検出センサの故障と
判断され(ステップS128)、前記同定信号の入力を
停止し(ステップS129)、電子制御ユニットECU
に異常箇所を記録し(ステップS130)、故障表示手
段Moにより運転者に対しセンサの「故障」と表示して
から(ステップS131)、ステップS123に移る。
される故障診断手法は、エンジンの始動直後で且つシス
テムの起動直前に全アクチュエータを所定の同定信号に
より駆動し、その際のアクチュエータの電流及び誤差検
出センサの出力信号が所定の適正範囲にあるか否かでシ
ステムの故障診断を簡易且つ大まかに行い得るようにし
たものであり、斯かる手法は、エンジンの始動直後に故
障診断を行うため、エンジンの停止に伴うシステム停止
からエンジンの再始動に伴う次回のシステム起動までの
間に発生した故障にも対応できる利点があるが、厳密な
故障箇所の診断には不向きである。一方、先に説明した
伝達特性を用いた故障診断手法(図7)では、システム
停止から次回のシステム起動までの間に発生した故障に
は対応困難であるものの、故障箇所を厳密に推定できる
利点がある。従ってその2つの故障診断手法の問題を解
決するために、その両者を1つの制御システムにおいて
併用するようにすれば、システムの停止直後と起動直前
の両方で故障診断が的確になされるため、システムの異
常発生をより確実に防止できる。
が、本発明はこれら実施例に限定されることなく、本発
明の範囲内で種々の実施例が可能である。例えば前記実
施例では、アクティブマウント制御システムに本発明を
適用したものを示したが、本発明は、複数のアクチュエ
ータと複数のセンサとを有し、それらセンサの出力信号
に応じて複数のアクチュエータの作動を制御するように
した他の制御システムにも実施可能である。
し易くするために参照信号(同定信号)1・アクチュエ
ータ2・センサ2の非常にシンプルなシステム(1-2-2
system)に対する故障診断の具体例を示したが、本発明
は斯かるシステムに限定されず、アクチュエータや誤差
検出センサが更に増えたシステム、例えば参照信号(同
定信号)1・アクチュエータ3・センサ3のようなシス
テム(1-3-3 system)に対する故障診断にも本発明を適
用可能である。この場合、アクチュエータ及び誤差検出
センサが増加することでそれら間の伝達経路も増加する
(都合9系統となる)が、故障個所の特定に当たっては
前記実施例と同様の考え方で対応可能である。尚、実際
のアクチュエータと誤差検出センサ以外の伝達部材に関
しても、それぞれ伝達経路をモデル化することにより故
障診断パターンが増加するが、この場合は、アクチュエ
ータと誤差検出センサ以外の部材、例えばマウントのゴ
ム部(弾性支持体3)の故障診断も可能となる。
に当り、エンジンの停止直後(図7の故障診断)又はエ
ンジンの始動直後(図10の故障診断)にそれぞれ一回
だけ故障診断処理を実行するようにしているが、何らか
の偶発的な外乱ノイズ等によって誤診断することが少な
からず考えられるので、斯かる誤診断を回避するために
は、前記故障診断をエンジンの停止直後(図7)又はエ
ンジンの始動直後(図10)において各々複数回数ずつ
行い、その結果、予め規定した確率以上で異常と判断さ
れた場合にのみ「故障」と判断することが、検出精度を
高める上で望ましい。
個々のアクチュエータと個々のセンサとの各間の伝達特
性の測定値に基づいて、個々のアクチュエータと個々の
センサとの各間の伝達経路全てについて故障判断を行な
い、その判断結果のパターンから故障個所を推定するよ
うにしたので、制御システムの核である各々複数のアク
チュエータ及びセンサの何れに故障が発生しても、その
故障個所を容易且つ低コストで特定でき、従ってその故
障に迅速的確に対応することができる。
達特性の測定値と正常値とを比較してその偏差に基づい
て故障判断を行ない、しかもその故障判断により正常と
判断された測定値に基づいて、その後の故障判断に用い
る正常値を更新するようにしたので、前記伝達特性がシ
ステム各部の経年劣化の影響で変化しても、故障診断の
基準となる正常値を経年劣化に応じて自動的に変更する
ことができ、従ってその経年劣化に因る診断精度低下を
効果的に防止することができる。
ティブマウントシステムにおいて、アクティブマウント
が十分に暖機して前記伝達特性が安定した時に故障個所
を推定するようにしたので、アクティブマウントの温度
変化に因る診断精度低下を効果的に防止することができ
る。
アクティブマウントシステムにおいて、エンジン又は車
両が停止した状態にある時に故障個所を推定するように
したので、各誤差検出センサにアクチュエータからの伝
達成分以外の外乱ノイズが重畳されることが効果的に回
避され、従って外乱に因る診断精度低下を効果的に防止
することができる。
示す概略全体図
視拡大断面図)
ク図
サへの振動伝達経路における伝達特性をシステムが正常
な場合に時間をおいて2回計測したグラフであり、特に
上段は位相の周波数特性,下段は振幅の周波数特性を示
す
サへの振動伝達経路における伝達特性をシステムが正常
な場合と異常な場合とでそれぞれ計測したグラフであ
り、特に上段は位相の周波数特性,下段は振幅の周波数
特性を示す
順を示すフローチャート
出センサSB の故障状態を示す簡略説明図
手順を示すフローチャート
段) M1 ,M2 ……アクティブマウント SA ,SB ……センサとしての誤差検出センサ(測定手
段)
Claims (5)
- 【請求項1】 複数のアクチュエータ(A1 ,A2 )と
複数のセンサ(SA,SB )とを有し、それらセンサ
(SA ,SB )の出力信号に応じて複数のアクチュエー
タ(A1 ,A2 )の作動を制御するようにした制御シス
テムにおいて、 個々のアクチュエータ(A1 ,A2 )と個々のセンサ
(SA ,SB )との各間の伝達特性を測定し、その測定
値に基づいて個々のアクチュエータ(A1 ,A2)と個
々のセンサ(SA ,SB )との各間の伝達経路(C1A,
C1B,C2A,C2B)全てについて故障判断を行ない、そ
れら伝達経路(C1A,C1B,C2A,C2B)の故障判断結
果のパターンから故障個所を推定することを特徴とす
る、制御システムにおける故障診断方法。 - 【請求項2】 複数のアクチュエータ(A1 ,A2 )と
複数のセンサ(SA,SB )とを有し、それらセンサ
(SA ,SB )の出力信号に応じて複数のアクチュエー
タ(A1 ,A2 )の作動を制御するようにした制御シス
テムにおいて、 個々のアクチュエータ(A1 ,A2 )と個々のセンサ
(SA ,SB )との各間の伝達特性を測定する測定手段
(A1 ,A2 ,SA ,SB ,ECU)と、 その測定値に基づいて個々のアクチュエータ(A1 ,A
2 )と個々のセンサ(SA ,SB )との各間の伝達経路
(C1A,C1B,C2A,C2B)全てについて故障判断を行
ない、それら伝達経路(C1A,C1B,C2A,C2B)の故
障判断結果のパターンから故障個所を推定する推定手段
(ECU)とを備えることを特徴とする、制御システム
における故障診断装置。 - 【請求項3】 前記判断手段(ECU)は、前記伝達特
性の測定値と正常値(D)とを比較してその偏差に基づ
いて故障判断を行ない、しかもその故障判断により正常
と判断された測定値に基づいて、その後の故障判断に用
いる前記正常値(D)を更新することを特徴とする、請
求項2に記載の制御システムにおける故障診断装置。 - 【請求項4】 前記制御システムは、エンジン(E)か
ら車体(F)へ及ぼす振動をアクチュエータ(A1 ,A
2 )を用いて能動的に低減する複数のアクティブマウン
ト(M1 ,M2 )と、車体(F)の複数部位に設置され
て車体振動を検出し得る複数の誤差センサ(SA ,
SB )とを備え、前記推定手段(ECU)は、アクティ
ブマウント(M1 ,M2 )が十分に暖機した状態にある
時に故障個所を推定することを特徴とする、請求項2又
は3に記載の制御システムにおける故障診断装置。 - 【請求項5】 前記制御システムは、エンジン(E)か
ら車体(F)へ及ぼす振動をアクチュエータ(A1 ,A
2 )を用いて能動的に低減する複数のアクティブマウン
ト(M1 ,M2 )と、車体(F)の複数部位に設置され
て車体振動を検出し得る複数の誤差センサ(SA ,
SB )とを備え、前記推定手段(ECU)は、エンジン
(E)又は車両が停止した状態にある時に故障個所を推
定することを特徴とする、請求項2,3又は4に記載の
制御システムにおける故障診断装置。
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