JPH0931333A - シリカ質セラミックス形成用組成物、同セラミックスの形成方法及び同セラミックス膜 - Google Patents

シリカ質セラミックス形成用組成物、同セラミックスの形成方法及び同セラミックス膜

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JPH0931333A
JPH0931333A JP7200584A JP20058495A JPH0931333A JP H0931333 A JPH0931333 A JP H0931333A JP 7200584 A JP7200584 A JP 7200584A JP 20058495 A JP20058495 A JP 20058495A JP H0931333 A JPH0931333 A JP H0931333A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温処理によって高速酸化が可能なシリカ質
セラミックス形成用組成物及び同セラミックスの形成方
法及び同セラミックス膜を提供する。 【解決手段】 ポリシラザン(変性物)にアミン類又は
/及び酸類を添加してなるシリカ質セラミックス形成用
組成物、該組成物を水蒸気と接触させるシリカ質セラミ
ックスの製造方法、ポリシラザン(変性物)をアミン類
又は/及び酸類を含む水溶液中に浸漬するか、又は該水
溶液から発生する蒸気と接触させるシリカ質セラミック
スの製造方法及びアミン類を含有してなるシリカ質セラ
ミックス膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、耐摩耗
性、耐蝕性等に優れたシリカ質セラミックスを低温で形
成できる組成物、シリカ質セラミックスの低温形成方
法、及びシリカ質セラミックス膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、シリカ、窒化珪素、酸窒化珪素の
前駆体ポリマーであるポリシラザンは、耐熱性、耐摩耗
性、耐蝕性等に優れたセラミックコーティング膜が得ら
れるため、注目されている。従来、このシリカ質セラミ
ックス系コーティングの形成方法としては、PVD(ス
パッタ法等)、CVD、ゾルーゲル法、ポリチタノカル
ボシラン系塗料、ポリ(ジシル)シラザン系塗料、ポリ
シラザン系塗料、ポリメタロシラザン系塗料などが知ら
れている。
【0003】ただ、このようなセラミックスコーティン
グ法には、いずれも問題がある。すなわち、PVD、C
VD法では装置が高価である。ゾルーゲル法では、必要
焼成温度が500℃以上と高い。ポリチタノカルボシラ
ン系塗料では低温焼成(400℃以下)における表面強
度が不十分である。ポリ(ジシル)シラザン系重合体を
用いたものは、施工に難があり、クラックが発生する。
ポリシラザン、ポリメタロシラザンコーティングでは、
200〜500℃で焼成できるが、300℃未満の焼成
では膜厚が必ずしも良好でない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、このような問
題を解決するために、本発明者らは、先に、ポリシラザ
ン(又はその変成物)を150℃以下で熱処理した後、
水蒸気雰囲気にさらす又は(及び)触媒を含有した蒸留
水中に浸すことにより、従来より低い焼成温度で良好な
セラミックス、特にコーティング膜を得る方法を提案し
た(特願平6−313425号)。ただ、電子部品、プ
ラスチック等への容易なコーティングを可能とするに
は、更なる低温、高速でのセラミックスへの転化が望ま
れる。
【0005】従って、本発明の目的は、更に低温、高速
でシリカ質セラミックスに転化することが可能な組成
物、同セラミックスの低温形成方法及び同セラミックス
膜を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
重ねた結果、アミン類又は/及び酸類を添加したポリシ
ラザンを水蒸気と接触させると、又はポリシラザンをア
ミン類又は/及び酸類を含む水溶液中に浸漬するか若し
くは該水溶液から発する蒸気と接触させると、50℃以
下の低温で緻密なシリカ質セラミックスが生成すること
を見い出し、本発明に到達した。もちろん、50℃以上
の温度においてもセラミックス化は進行し、従来法と比
較して、高速でシリカ質セラミックスへの転化が起こ
る。
【0007】すなわち、本発明によれば、第一に、主と
して下記一般式(I)
【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原
子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
リール基、若しくはこれらの基以外でフルオロアルキル
基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシ
リル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。但
し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素原子であ
る。)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均
分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はそ
の変性物に、アミン類又は/及び酸類を添加してなるこ
とを特徴とするシリカ質セラミックス形成用組成物が提
供される。第二に、主として下記一般式(I)
【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原
子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
リール基、若しくはこれらの基以外でフルオロアルキル
基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシ
リル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。但
し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素原子であ
る。)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均
分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はそ
の変性物に、アミン類又は/及び酸類を添加してなる組
成物を、水蒸気と接触させることを特徴とするシリカ質
セラミックスの形成方法が提供される。第三に、主とし
て下記一般式(I)
【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原
子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
リール基、若しくはこれらの基以外でフルオロアルキル
基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシ
リル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。但
し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素原子であ
る。)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均
分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はそ
の変性物を、アミン類又は/及び酸類を含む水溶液中に
浸漬するか、又は該水溶液から発する蒸気と接触させる
ことを特徴とするシリカ質セラミックスの形成方法が提
供される。第四に、アミン類を含有してなることを特徴
とするシリカ質セラミックス膜が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明で用いるポリシラザンは、分子内に少なく
ともSi−H結合、あるいはN−H結合を有するポリシ
ラザンであればよく、ポリシラザン単独は勿論のこと、
ポリシラザンと他のポリマーとの共重合体やポリシラザ
ンと他の化合物との混合物でも利用できる。用いるポリ
シラザンには、鎖状、環状、あるいは架橋構造を有する
もの、あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有す
るものがあり、これら単独でもあるいは混合物でも利用
できる。
【0009】用いるポリシラザンの代表例としては下記
のようなものがあるが、これらに限定されるものではな
い。一般式(I)でR1、R2及びR3に水素原子を有す
るものは、ペルヒドロポリシラザンであり、その製造方
法は例えば特開昭60−145903号公報、D.Se
yferthらCommunication of A
m.Cer.Soc.,C−13,January 1
983.に報告されている。これらの方法で得られるも
のは、種々の構造を有するポリマーの混合物であるが、
基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を含み、
【化2】 の化学式で表すことができる。
【0010】ペルヒドロポリシラザンの構造の一例を示
すと下記の如くである。
【化3】
【0011】一般式(I)でR1及びR2に水素原子、R
3にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D.
SeyferthらPolym.Prepr.Am.C
hem.Soc.,Div.Polym.Chem,.
25,10(1984)に報告されている。この方法に
より得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−(Si
2NCH3)−の鎖状ポリマーと環状ポリマーであり、
いずれも架橋構造をもたない。
【0012】一般式(I)でR1及びR2に水素原子、R
3に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの
製造法は、D.SeyferthらPolym.Pre
pr.Am.Chem.Soc.,Div.Poly
m.Chem,.25,10(1984)、特開昭61
−89230号公報に報告されている。これら方法によ
り得られるポリシラザンには、−(R2SiHNH)−
を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状
構造を有するものや(R3SiHNH)x〔(R2SiH)
1.5N〕1-X(0.4<X<1)の化学式で示される分子
内に鎖状構造と環状構造を同時に有するものがある。
【0013】一般式(I)でR1に水素原子、R2、R3
に有機基を有するポリシラザン、またR1及びR2に有機
基、R3に水素原子を有するものは−(R12SiN
3)−を繰り返し単位として、主に重合度が3〜5の
環状構造を有している。
【0014】次に、用いるポリシラザンの内、一般式
(I)以外のものの代表例を挙げる。ポリオルガノ(ヒ
ドロ)シラザンの中には、D.SeyferthらCo
mmunication of Am.Cer.So
c.C−132,July 1984.が報告されてい
る様な分子内に架橋構造を有するものもある。一例を示
すと下記の如くである。
【化4】
【0015】また、特開昭49−69717号公報に報
告されている様なR1SiX3(X:ハロゲン)のアンモ
ニア分解によって得られる架橋構造を有するポリシラザ
ンR1Si(NH)x、あるいはR1SiX3及びR2 2Si
2の共アンモニア分解によって得られる下記の構造を
有するポリシラザンも出発材料として用いることができ
る。
【化5】
【0016】用いるポリシラザンは、上記の如く一般式
(I)で表される単位からなる主骨格を有するが、一般
式(I)表される単位は、上記にも明らかな如く環状化
することがあり、その場合にはその環状部分が末端基と
なり、このような環状化がされない場合には、主骨格の
末端はR1、R2、R3と同様の基又は水素原子であるこ
とができる。
【0017】また、ポリシラザン変性物として、例えば
下記の構造(式中、側鎖の金属原子であるMは架橋をな
していてもよい)のように金属原子を含むポリメタロシ
ラザンも出発材料として用いることができる。
【化6】
【0018】その他、特開昭62−195024号公報
に報告されているような繰り返し単位が〔(SiH2n
(NH)m〕及び〔(SiH2rO〕(これら式中、
n、m、rはそれぞれ1、2又は3である)で表される
ポリシロキサザン、特開平2−84437号公報に報告
されているようなポリシラザンにボロン化合物を反応さ
せて製造する耐熱性に優れたポリボロシラザン、特開昭
63−81122号、同63−191832号、特開平
2−77427号各公報に報告されているようなポリシ
ラザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造するポ
リメタロシラザン、特開平1−138108号、同1−
138107号、同1−203429号、同1−203
430号、同4−63833号、同3−320167号
各公報に報告されているような分子量を増加させたり
(上記公報の前4者)、耐加水分解性を向上させた(後
2者)、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン、特
開平2−175726号、同5−86200号、同5−
331293号、同3−31326号各公報に報告され
ているようなポリシラザンに有機成分を導入した厚膜化
に有利な共重合シラザン、特開平5−238827号公
報、特願平4−272020号、同5−93275号、
同5−214268号、同5−30750号、同5−3
38524号に報告されているようなポリシラザンにセ
ラミックス化を促進するための触媒的化合物を付加又は
添加したプラスチックスやアルミニウムなどの金属への
施工が可能で、より低温でセラミックス化する低温セラ
ミックス化ポリシラザンなども同様に使用できる。
【0019】本発明では、更に、以下のような低温セラ
ミックス化ポリシラザンを使用することできる。例え
ば、本願出願人による特願平4−39595号明細書に
記載されているケイ素アルコキシド付加ポリシラザンが
挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式
(I)で表されるポリシラザンと、下記一般式(IV): Si(OR44 (IV) (式中、R4は、同一でも異なっていてもよく、水素原
子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基又はアリ
ール基を表し、少なくとも1個のR4は上記アルキル基
又はアリール基である)で表されるケイ素アルコキシド
を加熱反応させて得られる、アルコキシド由来ケイ素/
ポリシラザン由来ケイ素原子比が0.001〜3の範囲
内且つ数平均分子量が約200〜50万のケイ素アルコ
キシド付加ポリシラザンである。
【0020】低温セラミックス化ポリシラザンの別の例
として、本出願人による特開平6−122852号公報
に記載されているグリシドール付加ポリシラザンが挙げ
られる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で
表されるポリシラザンとグリシドールを反応させて得ら
れる、グリシドール/ポリシラザン重量比が0.001
〜2の範囲内且つ数平均分子量が約200〜50万のグ
リシドール付加ポリシラザンである。
【0021】低温セラミックス化ポリシラザンの更に別
の例として、本願出願人による特願平5−35604号
明細書に記載されているアセチルアセトナト錯体付加ポ
リシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前
記一般式(I)で表されるポリシラザンと、金属として
ニッケル、白金、パラジウム又はアルミニウムを含むア
セチルアセトナト錯体を反応させて得られる、アセチル
アセトナト錯体/ポリシラザン重量比が0.00000
1〜2の範囲内且つ数平均分子量が約200〜50万の
アセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンである。前記
の金属を含むアセチルアセトナト錯体は、アセチルアセ
トン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じた
陰イオンacac-が金属原子に配位した錯体であり、
一般に式(CH3COCHCOCH3nM〔式中、Mは
n価の金属を表す〕で表される。
【0022】低温セラミックス化ポリシラザンのまた別
の例として、本願出願人による特願平5−93275号
明細書に記載されている金属カルボン酸塩付加ポリシラ
ザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般
式(I)で表されるポリシラザンと、ニッケル、チタ
ン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニウム、オス
ミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウムの群か
ら選択される少なくとも1種の金属を含む金属カルボン
酸塩を反応させて得られる、金属カルボン酸塩//ポリ
シラザン重量比が0.000001〜2の範囲内且つ数
平均分子量が約200〜50万の金属カルボン酸塩付加
ポリシラザンである。上記金属カルボン酸塩は、式(R
COO)nM〔式中、Rは炭素原子数1〜22個の脂肪
族基又は脂環式基であり、Mは上記金属群から選択され
る少なくとも1種の金属を表し、そしてnは金属Mの原
子価である〕で表される化合物である。上記金属カルボ
ン酸塩は無水物であっても水和物であってもよい。ま
た、金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比は好ましく
は0.001〜1、より好ましくは0.01〜0.5で
ある。金属カルボン酸塩付加ポリシラザンの調製につい
ては、上記特願平5−93275号明細書を参照された
い。
【0023】本発明のシリカ質セラミックス形成用組成
物は、前記したようなポリシラザンあるいはポリシラザ
ンの変成物にアミン類又は/及び酸類が添加されたもの
である。ここで用いられるアミン類には、例えば下記一
般式(II)で表されるアミン類に加えて、ピリジン類や
DBU、DBNなども含まれるし、酸類には有機酸や無
機酸が含まれる。
【0024】アミン類の代表例としては、下記一般式
(II)で表されるものが挙げられる。一般式(II) R456N (II) (式中、R4〜R6はそれぞれは水素原子、アルキル基、
アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキ
ルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表
す。) その具体例としては、次のものが挙げられる。メチルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミ
ン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルア
ミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルア
ミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシ
ルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘ
プチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジ
オクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミ
ン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン等。(な
お、炭化水素鎖は直鎖でも分枝鎖でもよい。)
【0025】また、ピリジン類としては、例えば、ピリ
ジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピ
ペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン等が挙げ
られ、更に、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5,
4,0〕7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビ
シクロ〔4,3,0〕5−ノネン)なども使用できる。
【0026】一方、酸類としては酢酸、プロピオン酸、
酪酸、吉草酸、マレイン酸、ステアリン酸等の有機酸や
塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素等の無機酸が挙げられ
る。
【0027】次に、本発明のシリカ質セラミックスの形
成方法について説明する。本発明の方法は、前記ポリ
シラザン(変性物)にアミン類又は/及び酸類を添加し
た本発明の組成物を、水蒸気と接触させるか、前記ポ
リシラザン(変性物)を、アミン類又は/及び酸類を含
む水溶液中に浸漬するか、又は前記ポリシラザン(変
性物)を、アミン類又は/及び酸類を含む水溶液から発
する蒸気と接触させるという方法からなる。
【0028】上記〜の方法において、アミン類又は
/及び酸類をポリシラザン(変性物)又は水に添加する
に当たっては、前記ポリシラザン(変成物)単独又はそ
れを溶剤(例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、ジ
クロロメタン、THF、エーテル類など)に溶解した溶
液に、添加する。ポリシラザン単独の場合、その形態は
任意であり、薄膜状、繊維状、バルク状、粉末状のいず
れでもよい。この場合、アミン類や酸類は、単独である
いは上記と同様の溶剤に希釈して、添加してもよい。ア
ミン類と酸類の両方を添加する場合には、添加する順序
は任意である。また、添加する時の温度、圧力、雰囲気
は特に制限されるものではない。
【0029】上記の方法において、アミン類のポリシ
ラザンに対する添加量は、ポリシラザンの重量に対して
1ppm以上であればよく、好ましくは100ppm〜
100%である。なお、塩基性度(水溶液中でのpKb
値)及び沸点が高いアミンほど、少量の添加で成形時に
大きな加速効果を示す傾向がある。なお、及びの方
法においては、アミン類としては水に可溶なものが好ま
しい。水溶液中のアミン類濃度としては、100ppm
〜アミン類の溶解度限界の範囲内で任意に選択できる。
酸類の種類によっては、アミン類が不要な場合もある。
また、温度はの方法においては0〜100℃、の方
法においては20〜500℃の範囲で任意に選択され
る。
【0030】また、上記〜の方法において、酸類の
ポリシラザンに対する添加量又は水溶液中の濃度は、ポ
リシラザンの重量に対して0.1ppm以上であればよ
く、好ましくは10ppm〜10%である。アミン類の
種類によっては、酸類が不要な場合もある。なお、この
セラミックス形成用組成物には必要に応じて各種の添加
剤、充填剤を含めることができる。
【0031】上記の方法において、本発明のシリカ質
セラミックス形成用組成物を、水蒸気と接触させること
により、50℃以下の低温で緻密なシリカ質セラミック
スを生成することができる。もちろん、50℃以上でも
可能で、速度を速めることが可能である。本発明上記
〜の方法で形成されるセラミックスは三次元成形物で
もよいが、特に低温でセラミックス化できる利点を生か
したセラミックスコーティング膜の形成に適している。
コーティング膜を形成させるには、上記の方法におい
ては、本発明のシリカ質セラミックス形成用組成物を基
板に1回又は2回以上繰り返し塗布した後、水蒸気と接
触させればよいし、上記の方法においては、前記ポリ
シラザン(変性物)を基板に1回又は2回以上繰り返し
塗布した後、前記アミン類又は/及び酸類を含む水溶液
中に浸漬すればよいし、また上記の方法においては、
前記ポリシラザン(変性物)を基板に1回又は2回以上
繰り返し塗布した後、前記アミン類又は/及び酸類を含
む水溶液から発する蒸気と接触させればよい。
【0032】本発明の組成物又はポリシラザン(変性
物)を塗布する基板は、特に限定させず、金属、セラミ
ックス、プラスチック等のいずれでもよい。塗布手段と
しては、通常の塗布方法、つまり浸漬、ロール塗り、バ
ー塗り、刷毛塗り、スプレー塗り、フロー塗り等が用い
られる。また、塗布前に基板をヤスリがけ、脱脂、各種
ブラスト等で表面処理しておくと、本発明の組成物やポ
リシラザン変性物の付着性能が向上する。
【0033】上記の方法における水蒸気との接触は、
加湿炉やスチームを用いて行うのが、一般的である。低
温の場合には、単に水蒸気を含む容器内で行っても、ま
た大気中で行ってもよい。水蒸気と接触させる温度範囲
は20℃〜500℃であり、また、湿度範囲は、0.1
%RH〜100%RHである。
【0034】上記の水蒸気との接触処理、アミン類又は
/及び酸類含有水溶液中での浸漬処理、あるいはアミン
類又は/及び酸類含有水溶液からの蒸気との接触処理に
よって、ポリシラザン(変性物)中のSi−N、Si−
H、N−H結合等は消失し、Si−O結合を主体とする
強靱なセラミックス、特にセラミックスコーティング膜
の形成が可能となる。
【0035】なお、本発明の上記〜の方法におい
て、アミン類を用いた場合には、得られるセラミックス
膜中には微量のアミン類が存在するという特徴がある。
なお、得られたSiO2被膜をアミン類の沸点以上に加
熱すれば、膜中のアミン類を除去することが可能であ
る。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明の技術的範囲がこれらにより限定される
ものではない。
【0037】参考例1[ペルヒドロポリシラザンの合
成] 内容積1lの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニ
カルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反
応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フ
ラスコに脱気した乾燥ピリジンを490ml入れ、これ
を氷冷した。次に、ジクロロシラン51.9gを加える
と、白色固体状のアダクト(SiH2Cl2・2C5
5N)が生成した。反応混合物を氷冷し、撹拌しながら
水酸化ナトリウム管及び活性炭管を通して精製したアン
モニア51.0gを吹き込んだ後、100℃で加熱し
た。
【0038】反応終了後、反応混合物を遠心分離し、乾
燥ピリジンを用いて洗浄した後、更に乾燥窒素雰囲気下
で濾過して濾液850mlを得た。濾液5mlから溶媒
を減圧除去すると、樹脂状固体ペルヒドロポリシラザン
0.102gが得られた。
【0039】得られたポリマーの数平均分子量は、凝固
点降下法で(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したとこ
ろ、1120であった。IR(赤外吸収)スペクトル
(溶媒:乾燥o−キシレン;ペルヒドロポリシラザンの
濃度:10.2g/l)は、波数(cm-1)3390、
及び1180のN−Hに基づく吸収:2170のSi−
Hに基づく吸収:1040〜800のSi−N−Siに
基づく吸収を示した。IRスペクトルを図1に示す。
【0040】参考例2[ポリメチル(ヒドロ)シラザン
の合成] 内容積500mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、
メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着し
た。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四
つ口フラスコにメチルジクロロシラン(CH3SiHC
2、24.3g,0.221mol)と乾燥ジクロロ
メタン300mlを入れた。反応混合物を氷冷し、撹拌
しながら乾燥アンモニア20.5g(1.20mol)
を窒素ガスと共に吹き込んでアンモニア分解を行った。
【0041】反応終了後、反応混合物を遠心分離した
後、濾過した。濾液から溶媒を減圧除去し、ポリメチル
(ヒドロ)シラザンを無色の液体として8.79g得
た。生成物の数平均分子量を凝固点降下法で(溶媒:乾
燥ベンゼン)により測定したところ、310であった。
【0042】内容積100mlの四つ口フラスコにガス
導入管、温度計、コンデンサー及び滴下ロートを装着
し、反応系内をアルゴンガスで置換した。四つ口フラス
コにテトラヒドロフラン12ml及び水酸化カリウム
0.189g(4.71mol)を入れ、磁気撹拌を開
始した。滴下ロートに上述のポリメチル(ヒドロ)シラ
ザン5.00g及び乾燥テトラヒドロフラン50mlを
入れ、これを水酸化カリウムに滴下した。室温で1時間
反応させた後、滴下ロートにヨウ化メタン1.60g
(11.3mmol)、及び乾燥テトラヒドロフラン1
mlを入れ、これを反応溶液に滴下した。室温で3時間
反応させた後、反応混合物の溶媒を減圧除去し、乾燥n
−ヘキサン40mlを加えて遠心分離し、濾過した。濾
液の溶媒を減圧除去すると、ポリメチル(ヒドロ)シラ
ザンが白色粉末として4.85g得られた。
【0043】生成したポリマーの数平均分子量は106
0であった。IR(赤外吸収)スペクトル〔溶媒:乾燥
o−キシレン;ポリメチル(ヒドロ)シラザンの濃度:
43.2g/l〕は、波数(cm-1)3380、及び1
170のN−Hに基づく吸収:2140のSi−Hに基
づく吸収:1250のSi−CH3に基づく吸収を示し
た。IRスペクトルを図2に示す。
【0044】比較例 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ
0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布し(1000rpm、20秒)、室温で乾燥さ
せた(30分)。この時のIRスペクトルは図1のペル
ヒドロポリシラザンのIRスペクトルと同等であった。
続いて、このペルヒドロポリシラザンを塗布したシリコ
ン板を95℃、80%RHの恒温恒湿器中で10時間加
湿処理した。
【0045】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図3に示す。図1と比較すると波数(cm-1)1100
のSi−Oに基づく吸収の成長が見られるが、未反応の
ポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3350、及び
1200のN−Hに基づく吸収:2190のSi−Hに
基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づ
く吸収が多く残存している。
【0046】実施例1 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、この溶液10gに撹拌しなが
らプロピオン酸20mgとトリブチルアミン500mg
を室温で徐々に添加した。これを直径4インチ、厚さ
0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布し(1000rpm、20秒)、50℃、80
%RHの恒温恒湿器中で3時間加湿処理した。
【0047】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図4に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3
390、及び1180のN−Hに基づく吸収:2170
のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−N
−Siに基づく吸収は消失し、波数(cm-1)3700
〜3100のO−Hに基づく吸収:1180、460の
Si−Oに基づく吸収が確認された。
【0048】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは11
00Å/minであった。
【0049】実施例2 参考例2で合成したポリメチル(ヒドロ)シラザンをキ
シレンに溶解し(20wt%)、この溶液10gに撹拌
しながらプロピオン酸20mgとトリブチルアミン50
0mgを室温で徐々に添加した。これを直径4インチ、
厚さ0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーター
を用いて塗布し(1000rpm、20秒)、50℃、
80%RHの恒温恒湿器中で3時間加湿処理した。
【0050】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図5に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3
380、及び1170のN−Hに基づく吸収:2140
のSi−Hに基づく吸収は消失し、波数(cm-1)37
00〜3300のO−Hに基づく吸収:1270のSi
−CH3に基づく吸収:1130、440のSi−Oに
基づく吸収が確認された。
【0051】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは15
00Å/minであった。
【0052】実施例3 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、この溶液10gに撹拌しなが
ら酢酸20mgとトリブチルアミン500mgを室温で
徐々に添加した。これを直径4インチ、厚さ0.5mm
のシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し
(1000rpm、20秒)、50℃、80%RHの恒
温恒湿器中で3時間加湿処理した。
【0053】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図6に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3
390、及び1180のN−Hに基づく吸収:2170
のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−N
−Siに基づく吸収は消失し、波数(cm-1)3700
〜3100のO−Hに基づく吸収:1190、460の
Si−Oに基づく吸収が確認された。
【0054】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは10
00Å/minであった。
【0055】実施例4 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、この溶液10gに撹拌しなが
らプロピオン酸20mgとジペンチルアミン500mg
を室温で徐々に添加した。これを直径4インチ、厚さ
0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布し(1000rpm、20秒)、50℃、80
%RHの恒温恒湿器中で3時間加湿処理した。
【0056】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図7に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3
390、及び1180のN−Hに基づく吸収:2170
のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−N
−Siに基づく吸収は消失し、波数(cm-1)3700
〜3000のO−Hに基づく吸収:1180、460の
Si−Oに基づく吸収が確認された。
【0057】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは12
00Å/minであった。
【0058】実施例5 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、この溶液10gに撹拌しなが
らプロピオン酸100mgを室温で徐々に添加した。こ
れを直径4インチ、厚さ0.5mmのシリコンウェハー
上にスピンコーターを用いて塗布し(1000rpm、
20秒)、95℃、80%RHの恒温恒湿器中で5時間
加湿処理した。
【0059】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図8に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3
390、及び1180のN−Hに基づく吸収:2170
のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−N
−Siに基づく吸収はほぼ消失し、波数(cm-1)21
70のSi−Hに基づく吸収:3700〜3200のO
−Hに基づく吸収:1180、460のSi−Oに基づ
く吸収が確認された。
【0060】実施例6 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、この溶液10gに撹拌しなが
らトリペンチルアミン500mgを室温で徐々に添加し
た。これを直径4インチ、厚さ0.5mmのシリコンウ
ェハー上にスピンコーターを用いて塗布し(1000r
pm、20秒)、95℃、80%RHの恒温恒湿器中で
1時間加湿処理した。
【0061】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図9に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3
390、及び1180のN−Hに基づく吸収:2170
のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−N
−Siに基づく吸収はほぼ消失し、波数(cm-1)21
70のSi−Hに基づく吸収:3700〜3000のO
−Hに基づく吸収:1170、450のSi−Oに基づ
く吸収が確認された。また、FT−IRの積算によりノ
イズを低減し、2900cm-1近辺を拡大したところ、
トリペンチルアミンのC−Hに基づく、わずかな吸収
(2820〜2950cm-1)が確認された(図10参
照)。
【0062】実施例7 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ
0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布した(1000rpm、20秒)。次に、容量
2000mlのビーカーにトリエチルアミン50gと純
水950gを注入し、撹拌しながらマントルヒーターで
50℃に加熱した。これにペルヒドロポリシラザンを塗
布したシリコンウェハーを15分間浸漬した。
【0063】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図11に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1
3390、及び1180のN−Hに基づく吸収:217
0のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−
N−Siに基づく吸収がほぼ消失し、波数(cm-1)3
600〜3100のO−Hに基づく吸収:1000〜1
250、440のSi−Oに基づく吸収が確認された。
なお、波数(cm-1)2400付近の吸収は、雰囲気中
のCO2のものである。(図12〜15においても同
様。)
【0064】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは25
00Å/minであった。
【0065】実施例8 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ
0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布した(1000rpm、20秒)。次に、容量
2000mlのビーカーにn−ブチルアミン50gと純
水950gを注入し、室温(20℃)で撹拌した。これ
にペルヒドロポリシラザンを塗布したシリコンウェハー
を1時間浸漬した。
【0066】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図12に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1
3390、及び1180のN−Hに基づく吸収:217
0のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−
N−Siに基づく吸収が減少し、波数(cm-1)360
0〜3200のO−Hに基づく吸収:1000〜125
0、460のSi−Oに基づく吸収が確認された。
【0067】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは30
00Å/minであった。
【0068】実施例9 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ
0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布した(1000rpm、20秒)。次に、容量
2000mlのビーカーに酢酸5gとn−ペンチルアミ
ン50gと純水950gを注入し、撹拌しながらマント
ルヒーターで50℃に加熱した。
【0069】これにペルヒドロポリシラザンを塗布した
シリコンウェハーを1時間浸漬した。この後にIRスペ
クトルを測定した結果を図13に示す。ポリシラザン、
すなわち波数(cm-1)3390、及び1180のN−
Hに基づく吸収:2170のSi−Hに基づく吸収:1
040〜800のSi−N−Siに基づく吸収がほぼ消
失し、波数(cm-1)3600〜3100のO−Hに基
づく吸収:1000〜1250、440のSi−Oに基
づく吸収が確認された。
【0070】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは22
00Å/minであった。
【0071】実施例10 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ
0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布した(1000rpm、20秒)。次に、容量
2000mlのビーカーにトリエチルアミン5gと純水
95gを注入し、撹拌しながらマントルヒーターで50
℃に加熱した。このビーカーの気相部分にペルヒドロポ
リシラザンを塗布したシリコンウェハーを30分間つる
した。
【0072】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図14に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1
3390、及び1180のN−Hに基づく吸収:217
0のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−
N−Siに基づく吸収がほぼ消失し、波数(cm-1)3
600〜3100のO−Hに基づく吸収:1000〜1
250、450のSi−Oに基づく吸収が確認された。
【0073】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは22
00Å/minであった。
【0074】実施例11 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ
0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布した(1000rpm、20秒)。次に、容量
2000mlのビーカーに濃度30%の過酸化水素水1
000gを注入し、撹拌しながらマントルヒーターで5
0℃に加熱した。これにペルヒドロポリシラザンを塗布
したシリコンウェハーを30分間浸漬した。
【0075】この後にIRスペクトルを測定した結果を
図15に示す。ポリシラザン、すなわち波数(cm-1
3390、及び1180のN−Hに基づく吸収:217
0のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−
N−Siに基づく吸収がほぼ消失し、波数(cm-1)3
600〜2900のO−Hに基づく吸収:1000〜1
300、450のSi−Oに基づく吸収が確認された。
【0076】得られた皮膜の緻密性を酸による腐食速度
(エッチングレート)測定によって評価した。60%硝
酸100mlと50%フッ酸1mlを混合した腐食液に
得られた皮膜を2分間浸漬し、浸漬前後の膜厚をエリプ
ソメーターで測定したところ、エッチングレートは20
00Å/minであった。
【0077】
【発明の効果】請求項1のシリカ質セラミックス成形用
組成物は、主として前記一般式(I)で表される構造単
位からなる骨格を有する数平均分子量が約100〜5
0,000のポリシラザン又はその変性物に、アミン類
又は/及び酸類を添加してなるものとしたことから、低
温、高速でシリカ系セラミックスに転化することが可能
なものとなる。
【0078】請求項2のシリカ質セラミックスの形成方
法は、主として前記一般式(I)で表される構造単位か
らなる骨格を有する数平均分子量が約100〜50,0
00のポリシラザン又はその変性物に、アミン類又は/
及び酸類を添加してなる組成物を、水蒸気と接触させる
という構成としたことから、本方法によると、100℃
以下、更には50℃以下の低温で緻密なセラミックス、
特にセラミックスコーティング膜を形成することができ
る。従って、従来必要であった焼成設備が不要になり、
しかも高温の焼成処理のゆえに従来適用できなかった基
材(プラスチック、電子部品など)へのセラミックスコ
ーティングが可能となる。
【0079】請求項3のシリカ質セラミックスの形成方
法は、主として前記一般式(I)で表される構造単位か
らなる骨格を有する数平均分子量が約100〜50,0
00のポリシラザン又はその変性物を、アミン類又は/
及び酸類を含む水溶液中に浸漬するか、又は該水溶液か
ら発する蒸気と接触させるという構成としたことから、
本方法によると、請求項2の方法と同様に低温で緻密な
セラミックス、特にセラミックスコーティング膜を形成
することができる。従って、従来必要であった焼成設備
が不要になり、しかも高温の焼成処理のゆえに従来適用
できなかった基材(プラスチック、電子部品など)への
セラミックスコーティングが可能となる。
【0080】請求項4のシリカ質セラミックス膜はアミ
ン類を含有してなることを特徴とするが、高温熱覆歴を
経ないでしかも緻密なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンの
IRスペクトル図である。
【図2】参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラ
ザンのIRスペクトル図である。
【図3】比較例で得られたポリシラザン処理品のIRス
ペクトル図である。
【図4】実施例1で得られたポリシラザン処理品のIR
スペクトル図である。
【図5】実施例2で得られたポリシラザン処理品のIR
スペクトル図である。
【図6】実施例3で得られたポリシラザン処理品のIR
スペクトル図である。
【図7】実施例4で得られたポリシラザン処理品のIR
スペクトル図である。
【図8】実施例5で得られたポリシラザン処理品のIR
スペクトル図である。
【図9】実施例6で得られたポリシラザン処理品のIR
スペクトル図である。
【図10】実施例6で得られたポリシラザン処理品のI
Rスペクトル図の2900cm-1近辺の拡大図である。
【図11】実施例7で得られたポリシラザン処理品のI
Rスペクトル図である。
【図12】実施例8で得られたポリシラザン処理品のI
Rスペクトル図である。
【図13】実施例9で得られたポリシラザン処理品のI
Rスペクトル図である。
【図14】実施例10で得られたポリシラザン処理品の
IRスペクトル図である。
【図15】実施例11で得られたポリシラザン処理品の
IRスペクトル図である

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、若しくはこれらの基以外でフルオロアルキル
    基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシ
    リル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。但
    し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素原子であ
    る。)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均
    分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はそ
    の変性物に、アミン類又は/及び酸類を添加してなるこ
    とを特徴とするシリカ質セラミックス形成用組成物。
  2. 【請求項2】 主として下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、若しくはこれらの基以外でフルオロアルキル
    基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシ
    リル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。但
    し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素原子であ
    る。)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均
    分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はそ
    の変性物に、アミン類又は/及び酸類を添加してなる組
    成物を、水蒸気と接触させることを特徴とするシリカ質
    セラミックスの形成方法。
  3. 【請求項3】 主として下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、若しくはこれらの基以外でフルオロアルキル
    基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシ
    リル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。但
    し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素原子であ
    る。)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均
    分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はそ
    の変性物を、アミン類又は/及び酸類を含む水溶液中に
    浸漬するか、又は該水溶液から発する蒸気と接触させる
    ことを特徴とするシリカ質セラミックスの形成方法。
  4. 【請求項4】 アミン類を含有してなることを特徴とす
    るシリカ質セラミックス膜。
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