JPH1098036A - シリカ質パターンの形成方法 - Google Patents

シリカ質パターンの形成方法

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JPH1098036A
JPH1098036A JP25017296A JP25017296A JPH1098036A JP H1098036 A JPH1098036 A JP H1098036A JP 25017296 A JP25017296 A JP 25017296A JP 25017296 A JP25017296 A JP 25017296A JP H1098036 A JPH1098036 A JP H1098036A
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JP
Japan
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polysilazane
group
hydrophobic material
coating
film
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JP25017296A
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English (en)
Inventor
Yasuo Shimizu
泰雄 清水
Toru Funayama
徹 舟山
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便なシリカ質パターンの形成方法を提供す
ること。 【解決手段】 (A)特定のポリシラザン又はその変性
物を基材に塗布する工程;(B)工程(A)で得られた
ポリシラザン塗膜の表面の所定の領域を疎水性材料で被
覆する工程;(C)前記疎水性材料で被覆されていない
ポリシラザン塗膜にアミン化合物及び水を接触させて該
ポリシラザンの少なくとも一部をシリカへ転化する工
程;(D)前記疎水性材料とその下部のポリシラザン塗
膜とを溶解除去する工程;並びに、必要に応じて、
(E)前記シリカを含む塗膜をさらに酸化する工程を含
むことを特徴とするシリカ質パターンの形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面にシリカ
質パターンを形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置における絶縁膜や、液晶表示
装置における絶縁膜及びカラーフィルター用保護膜とし
てシリカ質のパターンが用いられている。このようなシ
リカ質パターンの形成方法として、CVD法、スパッタ
リング法、等の気相成長法によって部分的にシリカを被
覆する方法が知られている。また、シリカを全体的に被
覆した後に、マスクとフッ酸、フッ素系ガスとを用いて
部分的にシリカを除去するエッチング方法も知られてい
る。これらの方法ではいずれもシリカ質のパターンが直
接形成される。
【0003】シリカ前駆体のパターンを形成してからこ
れを酸化してシリカ質パターンに転化する方法が知られ
ている。例えば、特開昭60−262425号公報に、
相溶性が悪く相分離を生じるケイ素樹脂と有機高分子か
らなる膜を基板上に形成し、次いでその有機高分子を除
去すると共にケイ素樹脂を酸化することによりシリカ質
パターンを形成する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法にはそれぞ
れ問題点がある。具体的には、CVD法などの気相成長
法には、大がかりで高価な設備、装置が必要である、処
理時に基材が高温に晒される、シリカ被膜の形成速度が
非常に遅い、等の問題がある。
【0005】また、シリカ被膜をエッチング処理する方
法には、腐食性の高い危険なフッ酸、フッ素系ガスに耐
えられるマスク材料、処理設備が必要である、その加工
にかなりの手間、時間がかかる、等の問題がある。さら
に、上記特開昭60−262425号公報に記載されて
いる方法には、有機高分子の除去及びケイ素樹脂の酸化
の際に酸素ガスプラズマ処理等の高温処理が必要であ
る、自然に発生する微細パターン(相分離パターン)を
利用するため所望の任意のパターンを作成することがで
きない、等の問題がある。
【0006】本発明の目的は、大がかりで高価な設備、
装置が不要であり、処理時に基材が高温に晒されること
がなく、シリカ被膜の形成速度が迅速であり、腐食性の
高い危険なフッ酸、フッ素系ガスを使用するためのマス
ク材料及び処理設備が不要であり、処理加工が比較的簡
便であり、そして所望の任意のパターンを作成すること
ができる、そのようなシリカ質パターンの形成方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によると、これら
の及びその他の目的は、 (1)(A)下記一般式(I):
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ
独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロア
ルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素
に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アル
キルアミノ基、アルコキシ基を表わすが、但し、R1
2 の少なくとも一方は水素原子である)で表わされる
構造単位からなる主骨格を有する数平均分子量100〜
5万のポリシラザン又はその変性物を基材に塗布する工
程; (B)工程(A)で得られたポリシラザン塗膜の表面の
所定の領域を疎水性材料で被覆する工程; (C)前記疎水性材料で被覆されていないポリシラザン
塗膜にアミン化合物及び水を接触させて該ポリシラザン
の少なくとも一部をシリカへ転化する工程; (D)前記疎水性材料とその下部のポリシラザン塗膜と
を溶解除去する工程;並びに、必要に応じて、 (E)前記シリカを含む塗膜をさらに酸化する工程を含
むことを特徴とするシリカ質パターンの形成方法によっ
て達成される。
【0010】以下、本発明の実施態様を列挙する。 (2)前記疎水性材料が疎水性ペイントである、(1)
項に記載の方法。 (3)前記アミン化合物が下記一般式(II): R4 5 6 N (II) (上式中、R4 、R5 、R6 は、各々独立に、水素原
子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
リール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はア
ルコキシ基を表す)で表される、(1)又は(2)項に
記載の方法。
【0011】(4)工程(C)における接触を、前記疎
水性材料で被覆されていないポリシラザン塗膜をアミン
蒸気と水蒸気の混合ガス雰囲気に暴露することにより行
う、(1)〜(3)項のいずれか一項に記載の方法。
【0012】(5)工程(C)における接触を、前記疎
水性材料で被覆されていないポリシラザン塗膜をアミン
水溶液に浸漬することにより行う、(1)〜(3)項の
いずれか一項に記載の方法。 (6)工程(E)における酸化を、大気雰囲気中に放置
することにより行う、(1)〜(5)項のいずれか一項
に記載の方法。
【0013】(7)工程(E)における酸化を、焼成す
ることにより行う、(1)〜(5)項のいずれか一項に
記載の方法。 (8)工程(E)における酸化を、酸水溶液に浸漬する
ことにより行う、(1)〜(5)項のいずれか一項に記
載の方法。
【0014】本発明によると、大がかりで高価な設備、
装置が不要となる。また、全工程を室温で行うことが可
能であるためプラスチック、木材、等の耐熱性の低い基
材に対してもシリカ質のパターンを形成することができ
る。さらに、シリカ被膜の形成速度(ポリシラザンのシ
リカへの転化速度)が迅速であり、その後のマスク材料
の溶解除去も短時間で行われるため、従来法よりも迅速
にシリカ質のパターン形成が可能である。また、腐食性
の高い危険なフッ酸、フッ素系ガスを使用しないためマ
スク材料として汎用の疎水性ペイントのような疎水性材
料を使用することができる。さらには、処理加工が比較
的簡便であり、そして所望の任意のパターンを作成する
ことができる。
【0015】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明で用いるポリシラザンは、分子内に少なくともSi
−H結合又はN−H結合を有するポリシラザンであれば
よく、ポリシラザン単独は勿論のこと、ポリシラザンと
他のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物
との混合物でも利用できる。
【0016】用いるポリシラザンには、鎖状、環状又は
架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら複数の
構造を同時に有するものがあり、これら単独でもあるい
は混合物でも利用できる。
【0017】用いるポリシラザンの代表例としては下記
のようなものがあるが、これらに限定されるものではな
い。得られる膜の硬度や緻密性の点からはペルヒドロポ
リシラザンが好ましく、可撓性の点ではオルガノポリシ
ラザンが好ましい。これらポリシラザンの選択は、当業
者であれば用途に合わせて適宜行うことができる。
【0018】上記一般式(I)でR1 、R2 及びR3
水素原子を有するものは、ペルヒドロポリシラザンであ
り、その製造法は、例えば特公昭63−16325号公
報、D. Seyferth らCommunication of Am. Cer. Soc.,
C-13, January 1983. に報告されている。これらの方法
で得られるものは、種々の構造を有するポリマーの混合
物であるが、基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を
含み、
【0019】
【化3】
【0020】の化学式で表わすことができる。ペルヒド
ロポリシラザンの構造の一例を以下に示す。
【0021】
【化4】
【0022】一般式(I)でR1 及びR2 に水素原子、
3 にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D.
Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem. Soc., Div. Po
lym.Chem., 25, 10(1984)に報告されている。この方
法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−
(SiH2 NCH3 )−の鎖状ポリマーと環状ポリマー
であり、いずれも架橋構造をもたない。
【0023】一般式(I)でR1 及びR3 に水素原子、
2 に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザン
の製造法は、D. Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem.
Soc., Div. Polym. Chem., 25, 10(1984)、特開昭6
1−89230号公報、同62−156135号公報に
報告されている。これらの方法により得られるポリシラ
ザンには、−(R2 SiHNH)−を繰り返し単位とし
て、主として重合度が3〜5の環状構造を有するものや
(R3 SiHNH)X 〔(R2 SiH)1.5 N〕
1-X (0.4<x<1)の化学式で示される分子内に鎖
状構造と環状構造を同時に有するものがある。
【0024】一般式(I)でR1 に水素原子、R2 及び
3 に有機基を有するポリシラザン、またR1 及びR2
に有機基、R3 に水素原子を有するものは、−(R1
2 SiNR3 )−を繰り返し単位として、主に重合度が
3〜5の環状構造を有している。用いるポリシラザン
は、上記一般式(I)で表わされる単位からなる主骨格
を有するが、一般式(I)で表わされる単位は、上記に
も明らかなように環状化することがあり、その場合には
その環状部分が末端基となり、このような環状化がされ
ない場合には、主骨格の末端はR1 、R2 、R3 と同様
の基又は水素であることができる。
【0025】ポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの中に
は、D. Seyferth らCommunication ofAm. Cer. Soc., C
-132, July 1984. が報告されている様な分子内に架橋
構造を有するものもある。一例を下記に示す。
【0026】
【化5】
【0027】また、特開昭49−69717号公報に報
告されている様なR1 SiX3 (X:ハロゲン)のアン
モニア分解によって得られる架橋構造を有するポリシラ
ザン(R1 Si(NH)X )、あるいはR1 SiX3
びR2 2SiX2 の共アンモニア分解によって得られる下
記の構造を有するポリシラザンも出発材料として用いる
ことができる。
【0028】
【化6】
【0029】また、ポリシラザン変性物として、例えば
下記の構造(式中、側鎖の金属原子であるMは架橋をな
していてもよい)のように金属原子を含むポリメタロシ
ラザンも出発材料として用いることができる。
【0030】
【化7】
【0031】その他、特開昭62−195024号公報
に報告されているような繰り返し単位が〔(SiH2
n (NH)m 〕及び〔(SiH2 r O〕(これら式
中、n、m、rはそれぞれ1、2又は3である)で表さ
れるポリシロキサザン、特開平2−84437号公報に
報告されているようなポリシラザンにボロン化合物を反
応させて製造する耐熱性に優れたポリボロシラザン、特
開昭63−81122号、同63−191832号、特
開平2−77427号公報に報告されているようなポリ
シラザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造する
ポリメタロシラザン、特開平1−138108号、同1
−138107号、同1−203429号、同1−20
3430号、同4−63833号、同3−320167
号公報に報告されているような分子量を増加させたり
(上記公報の前4者)、耐加水分解性を向上させた(後
2者)、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン、特
開平2−175726号、同5−86200号、同5−
331293号、同3−31326号公報に報告されて
いるようなポリシラザンに有機成分を導入した厚膜化に
有利な共重合ポリシラザン、特開平5−238827
号、同6−122852号、同6−299188号、同
6−306329号、同6−240208号、同7−1
96986号公報に報告されているようなポリシラザン
にセラミックス化を促進するための触媒化合物を付加又
は添加したプラスチックやアルミニウムなどの金属への
施工が可能で、より低温でセラミックス化する低温セラ
ミックス化ポリシラザンなども同様に使用できる。
【0032】本発明では、さらに以下のような低温セラ
ミックス化ポリシラザンを使用することができる。例え
ば、本願出願人による特開平5−238827号公報に
記載されているケイ素アルコキシド付加ポリシラザンが
挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式
(I)で表されるポリシラザンと、下記一般式(II): Si(OR4 4 (II) (式中、R4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原
子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基またはア
リール基を表し、少なくとも1個のR4 は上記アルキル
基またはアリール基である)で表されるケイ素アルコキ
シドを加熱反応させて得られる、アルコキシド由来ケイ
素/ポリシラザン由来ケイ素原子比が0.001〜3の
範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のケイ素ア
ルコキシド付加ポリシラザンである。上記R4 は、炭素
原子数1〜10個を有するアルキル基がより好ましく、
また炭素原子数1〜4個を有するアルキル基が最も好ま
しい。また、アルコキシド由来ケイ素/ポリシラザン由
来ケイ素原子比は0.05〜2.5の範囲内にあること
が好ましい。ケイ素アルコキシド付加ポリシラザンの調
製については、上記特開平5−238827号公報を参
照されたい。
【0033】低温セラミックス化ポリシラザンの別の例
として、本出願人による特開平6−122852号公報
に記載されているグリシドール付加ポリシラザンが挙げ
られる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で
表されるポリシラザンとグリシドールを反応させて得ら
れる、グリシドール/ポリシラザン重量比が0.001
〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のグ
リシドール付加ポリシラザンである。グリシドール/ポ
リシラザン重量比は0.01〜1であることが好まし
く、さらには0.05〜0.5であることがより好まし
い。グリシドール付加ポリシラザンの調製については、
上記特開平6−122852号公報を参照されたい。
【0034】低温セラミックス化ポリシラザンの別の例
として、本願出願人による特開平6−240208号公
報に記載されているアルコール付加ポリシラザンが挙げ
られる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で
表されるポリシラザンとアルコールを反応させて得られ
る、アルコール/ポリシラザン重量比が0.001〜2
の範囲内かつ数平均分子量が約100〜50万のアルコ
ール付加ポリシラザンである。上記アルコールは、沸点
110℃以上のアルコール、例えばブタノール、ヘキサ
ノール、オクタノール、ノナノール、メトキシエタノー
ル、エトキシエタノール、フルフリルアルコールである
ことが好ましい。また、アルコール/ポリシラザン重量
比は0.01〜1であることが好ましく、さらには0.
05〜0.5であることがより好ましい。アルコール付
加ポリシラザンの調製については、上記特開平6−24
0208号公報を参照されたい。
【0035】低温セラミックス化ポリシラザンのまた別
の例として、本願出願人による特開平6−299118
号公報に記載されている金属カルボン酸塩付加ポリシラ
ザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般
式(I)で表されるポリシラザンと、ニッケル、チタ
ン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニウム、オス
ミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウムの群か
ら選択される少なくとも1種の金属を含む金属カルボン
酸塩を反応させて得られる、金属カルボン酸塩/ポリシ
ラザン重量比が0.000001〜2の範囲内かつ数平
均分子量が約200〜50万の金属カルボン酸塩付加ポ
リシラザンである。上記金属カルボン酸塩は、式(RC
OO)n M〔式中、Rは炭素原子数1〜22個の脂肪族
基又は脂環式基であり、Mは上記金属群から選択される
少なくとも1種の金属を表し、そしてnは金属Mの原子
価である〕で表される化合物である。上記金属カルボン
酸塩は無水物であっても水和物であってもよい。また、
金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比は好ましくは
0.001〜1、より好ましくは0.01〜0.5であ
る。金属カルボン酸塩付加ポリシラザンの調製について
は、上記特開平6−299118号公報を参照された
い。
【0036】低温セラミックス化ポリシラザンのさらに
別の例として、本願出願人による特開平6−30632
9号公報に記載されているアセチルアセトナト錯体付加
ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、
前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、金属とし
てニッケル、白金、パラジウム又はアルミニウムを含む
アセチルアセトナト錯体を反応させて得られる、アセチ
ルアセトナト錯体/ポリシラザン重量比が0.0000
01〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万
のアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンである。上
記の金属を含むアセチルアセトナト錯体は、アセチルア
セトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じ
た陰イオンacac- が金属原子に配位した錯体であ
り、一般に式(CH3 COCHCOCH3 n M〔式
中、Mはn価の金属を表す〕で表される。アセチルアセ
トナト錯体/ポリシラザン重量比は、好ましくは0.0
01〜1、より好ましくは0.01〜0.5である。ア
セチルアセトナト錯体付加ポリシラザンの調製について
は、上記特開平6−306329号公報を参照された
い。
【0037】その他の低温セラミックス化ポリシラザン
の例として、本願出願人による特開平7−196986
号公報に記載されている金属微粒子添加ポリシラザンが
挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式
(I)で表されるポリシラザンを主成分とするコーティ
ング溶液に、Au、Ag、Pd、Niをはじめとする金
属の微粒子を添加して得られる変性ポリシラザンであ
る。好ましい金属はAgである。金属微粒子の粒径は
0.5μmより小さいことが好ましく、0.1μm以下
がより好ましく、さらには0.05μmより小さいこと
が好ましい。特に、粒径0.005〜0.01μmの独
立分散超微粒子を高沸点アルコールに分散させたものが
好ましい。金属微粒子の添加量は、ポリシラザン100
重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.
05〜5重量部である。金属微粒子添加ポリシラザンの
調製については、上記特開平7−196986号公報を
参照されたい。
【0038】本発明による方法は、上記のようなポリシ
ラザン又はその変性物を基材に塗布し、ポリシラザンの
膜を形成させる工程を含む。このポリシラザンの膜形成
は、通常はポリシラザンを溶剤に溶解させてコーティン
グ用組成物を調製することによって行われる。ポリシラ
ザンの溶剤としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水
素、芳香族炭化水素の炭化水素系溶剤、ハロゲン化メタ
ン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素系溶剤、脂肪族エーテル、脂環式エーテル
等のエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、
等を使用することができる。好ましい溶剤として、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチル
ベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、
シクロヘキサン、シクロヘキセン、デカヒドロナフタレ
ン、ジペンテン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘ
キサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、
n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナ
ン、n−デカン、i−デカン、エチルシクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジプロピルエー
テル、ジブチルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢
酸シクロヘキシル、等が挙げられるが、これらに限定は
されない。これらの溶剤を使用する場合、ポリシラザン
又は変性ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度を調節
するために、2種類以上の溶剤を混合してもよい。
【0039】溶剤の使用量(割合)は採用するコーティ
ング方法により作業性がよくなるように選択され、また
用いるポリシラザン又は変性ポリシラザンの平均分子
量、分子量分布、その構造によって異なるので、適宜、
自由に混合することができる。好ましくは固形分濃度で
1〜50重量%の範囲で混合する。コーティング用組成
物には、必要に応じて各種顔料、レベリング剤、消泡
剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、分散剤、表
面改質剤、可塑剤、乾燥促進剤、流れ止め剤を加えても
よい。
【0040】基材としては、金属、シリコン基板、ガラ
ス、等の他、ポリシラザン溶剤に対して耐性のあるもの
であればプラスチック、木材、等の一般に耐熱性の低い
材料でも使用することができる。基材の大きさや形状に
特に制限はない。ポリシラザン又はその変性物の塗布方
法としては、スピンコート(回転塗布)法、ディップ
(浸漬)法、スプレー(噴霧)法、転写法、等が用いら
れる。塗布方法は基材の大きさ、形状に合わせて適当に
選択することができる。塗布後、所望であればポリシラ
ザン塗膜を乾燥する工程を別途設けてもよく、またその
方が好ましい。しかしながら、一般にポリシラザン溶剤
は揮発性が高く、特に乾燥工程を設けなくても次の工程
(疎水性材料のパターンを被覆する工程)へ進めること
はできる。
【0041】ポリシラザン又はその変性物の塗膜の厚さ
は、所期の目的(例えば、絶縁膜や保護膜としての性
能)に応じて適当に設定することができる。厚さの調節
は、コーティング用組成物の固形分(ポリシラザン)濃
度を変更する方法や、塗布工程を複数回実施する方法に
よって行うことができる。ポリシラザン塗膜の厚さは、
10μm以下であることが適当であり、好ましくは0.
01〜5μmの範囲とする。
【0042】本発明によると、上記のようにして得られ
たポリシラザン塗膜の表面の所定の領域を疎水性材料で
被覆して疎水性マスクを形成する。この所定の領域は、
最終的に除去されるべきポリシラザン塗膜領域に相当す
る。疎水性材料としては、汎用の疎水性ペイント、例え
ば、油性マジックインキを使用することができる。疎水
性材料は、例えば、描画法、スプレー塗布法、パターン
穴付き被覆を被せて噴霧する方法、等で被覆することが
できる。
【0043】疎水性材料の被覆量は、一方では、後に該
疎水性材料の下部のポリシラザン塗膜を溶解除去するこ
とができなくなるほど該ポリシラザン塗膜にアミン化合
物及び水が接触することがないように、これらを遮断す
るに十分な量とする。他方では、後に溶解除去されるた
め、疎水性材料を必要量以上に被覆することは避けるべ
きである。具体的には、疎水性材料に油性マジックイン
キを使用した場合、一般に0.01〜100μm、好ま
しくは0.1〜10μmの厚さでこれを被覆する。
【0044】疎水性材料の被覆工程における環境条件に
特に制限はなく、室温、大気中で実施すればよい。しか
しながら、疎水性材料の被覆工程には有機溶媒を伴う場
合が多いので、安全性の面から、限定された空間内で実
施し、排気や換気に十分に配慮することが望ましい。
【0045】本発明の方法によると、上記のようにポリ
シラザン塗膜の表面の所定の領域を疎水性材料で被覆し
た後、該疎水性材料で被覆されていないポリシラザン塗
膜にアミン化合物及び水を接触させる。ここで用いられ
るアミン化合物には、例えば下記一般式(II)で表される
アミン化合物の他、ピリジン類やDBU、DBNなども
含まれる。
【0046】アミン化合物の代表例として下記一般式(I
I)で表されるものが挙げられる。 R4 5 6 N (II) 式中、R4 、R5 、R6 は、各々独立に、水素原子、ア
ルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール
基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキ
シ基を表す。
【0047】上記アミン化合物の具体例として、メチル
アミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルア
ミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチル
アミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチル
アミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキ
シルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、
ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、トリヘプチルアミ
ン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチル
アミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェ
ニルアミン、等が挙げられる。なお、これらアミン化合
物に含まれる炭化水素鎖は、直鎖であっても分枝鎖であ
ってもよい。特に好ましいアミン化合物は、トリエチル
アミン、トリペンチルアミン、トリブチルアミン、トリ
ヘキシルアミン、トリヘプチルアミン及びトリオクチル
アミンである。
【0048】ピリジン類の具体例として、ピリジン、α
−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジ
ン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、等が挙げられ
る。さらに、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.
4.0〕−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザ
ビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン)、等も使用する
ことができる。
【0049】本発明の第一の態様によると、上記のよう
なアミン化合物の蒸気と水蒸気の混合ガス雰囲気中に暴
露することにより、疎水性材料で被覆されていないポリ
シラザン塗膜にアミン化合物及び水を接触させることが
できる。混合ガス中のアミン化合物蒸気と水蒸気の比率
(モル比)は、0.01〜100、好ましくは0.1〜
10の範囲とする。混合ガスの圧力は、約9.8〜4.
9×105 Pa(0.0001〜5kg/cm2 G)、
好ましくは約9.8×10〜4.9×104 Pa(0.
001〜0.5kg/cm2 G)の範囲とする。混合ガ
スは所望により希釈して用いることができ、その際の希
釈用ガスとして空気や不活性ガス(例、窒素、アルゴ
ン、等)を使用することができる。窒素ガスなどの不活
性ガスを使用してもポリシラザン塗膜の硬化に悪影響は
なく、また、このような不活性ガス雰囲気下ではアミン
化合物による爆発の危険性が減少するので安全対策面か
らも有利である。
【0050】該混合ガスは、アミン化合物を含む水溶液
から発生させることができ、その方法としては、上記し
たようなアミン化合物の水溶液中に窒素ガスなどの不活
性なキャリヤガスを吹き込んでバブリングさせる方法が
有利である。その際、アミン化合物の水溶液中濃度は、
混合ガス中のアミン化合物蒸気と水蒸気の比率が上記範
囲に含まれるように選択することができる。この態様に
おいて特に好ましいアミン化合物はトリエチルアミンで
ある。蒸気を発生させるための温度は室温で十分である
が、0℃〜水溶液沸点の範囲で任意に選択することがで
きる。
【0051】尚、この第一の態様の別法として、アミン
化合物を含む水溶液ではなく、アミン化合物及び水をそ
れぞれ独立に気化させて、それらの混合蒸気を使用して
もよい。
【0052】疎水性材料で被覆されていないポリシラザ
ン塗膜にアミン化合物蒸気及び水蒸気を接触させる際の
温度は、0〜100℃、好ましくは10〜30℃とする
ことができる。また、その接触時間は0.1秒〜30
分、好ましくは5秒〜3分とすることができる。
【0053】本発明の第二の態様によると、疎水性材料
で被覆されていないポリシラザン塗膜を上記のようなア
ミン化合物を含む水溶液に浸漬することによって、アミ
ン化合物及び水を接触させることができる。アミン化合
物は水に可溶であるものが好ましく、その水溶液中濃度
は0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜10重量
%の範囲で任意に選択することができる。この態様にお
いて特に好ましいアミン化合物はブチルアミンである。
【0054】浸漬処理時のアミン水溶液の温度は、0〜
100℃、好ましくは10〜50℃とすることができ
る。また、その接触時間は0.1秒〜30分、好ましく
は5秒〜3分とすることができる。
【0055】上記のようにアミン化合物及び水が接触し
た疎水性材料で被覆されていないポリシラザン塗膜部分
(非マスク部)では、アミン触媒により増強される水の
酸化作用によって、室温でもポリシラザンの少なくとも
一部がシリカへ転化する。このシリカ転化率(Si−N
結合又はSi−H結合がSi−O結合へ転化した割合)
は、条件にもよるが、30%〜95%の範囲にある。上
記のように疎水性材料で被覆された部分(マスク部)
は、該疎水性材料が水をブロックするために酸化作用を
受けることがない。本発明によると、続く工程において
マスク部が除去され、そして非マスク部がパターンの凸
部として残存することになる。
【0056】アミン化合物及び水の接触によって非マス
ク部におけるポリシラザンを少なくとも部分的にシリカ
へ転化した後、疎水性材料とその下部のポリシラザン塗
膜とを溶解除去する。この溶解除去工程には、疎水性材
料を溶解する溶剤とポリシラザン塗膜を溶解する溶剤と
を使用することができる。最初に疎水性材料を溶解する
溶剤を用いて疎水性材料を溶解してから、次いで別の溶
剤を用いてポリシラザン塗膜を溶解することができる。
しかしながら、疎水性材料とポリシラザンの共通溶剤を
使用して一度に両方を溶解する方が便利である。
【0057】溶剤の具体例としては、上記のポリシラザ
ン溶剤の他、アルコール類、有機酸、酸水溶液、塩基水
溶液、等が挙げられる。好ましい溶剤は、キシレン、ト
ルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
オクタン、ノナン、デカン、ジブチルエーテル、等であ
る。
【0058】溶解除去工程は、疎水性材料とその下部の
ポリシラザン塗膜に上記溶剤を接触させることにより行
われる。接触方法としては、浸漬法、スプレー法、等が
挙げられる。浸漬法の場合、溶剤を攪拌するなどして、
溶解除去作用を促進することが好ましい。接触時の溶剤
温度は0℃〜溶剤沸点の範囲で任意に選定することがで
きるが、一般には室温で十分である。溶剤との接触時間
は、マスク部のポリシラザン塗膜が溶解除去されるに十
分な時間とする。一般に、0.5〜30分、好ましくは
1〜5分の範囲である。
【0059】上記のように疎水性材料とその下部のポリ
シラザン塗膜とを溶解除去した後、必要に応じて、残存
したシリカを含む塗膜をさらに酸化するために後処理を
施すことが好ましい。この後処理として、大気中放
置、焼成及び酸水溶液中への浸漬、のいずれかの処
理又はこれらの組合せを実施することが好ましい。もち
ろん、工程(C)におけるシリカ転化率が所期の目的に
合致する程度であれば、この後処理工程(E)は省略し
てもよい。
【0060】大気中放置処理条件としては、0℃〜10
0℃、好ましくは室温(約20℃)、相対湿度5〜10
0%RH、好ましくは50〜70%RHにおいて10分
〜10日間、好ましくは30分〜3日間とすることが好
ましい。焼成処理条件としては、大気、不活性ガス又は
酸素中、焼成温度100〜500℃、好ましくは150
〜400℃において1分〜10時間、好ましくは10分
〜1時間とすることが好ましい。
【0061】酸水溶液中への浸漬処理条件としては、塩
酸、硫酸、リン酸、等の無機酸;過酸化水素;酢酸、プ
ロピオン酸、等の有機酸を濃度0.01〜50重量%、
好ましくは0.1〜10重量%で含む酸水溶液を用い、
温度0〜100℃、好ましくは50〜90℃で10秒〜
30分、好ましくは30秒〜10分とすることが好まし
い。
【0062】上記の後処理によって、ポリシラザン又は
その変性物に含まれるSi−N、Si−H、N−H結
合、等が消失し、Si−O結合を主体とする強靱なシリ
カ膜のパターンが基材表面に形成される。尚、このシリ
カ膜はポリシラザンに由来するため窒素を原子百分率で
0.005〜5%程度含有する。
【0063】図1に、本発明の方法の好ましい態様をさ
らに具体的に例示する。工程(A)において、ペルヒド
ロポリシラザン(PHPS)の被膜をスピンコート法、
ディップ法、スプレー法、等で基板表面に形成する。次
いで、工程(B)において、PHPS被膜表面の所定の
領域を油性マジックインキなどの疎水性マスクで被覆す
る。次いで、工程(C)において、PHPS被膜の露出
部分にアミン化合物及び水(アミン蒸気及び水蒸気又は
アミン水溶液)を接触させて該部分の少なくとも一部を
シリカへ転化する。次いで、工程(D)において、疎水
性マスク及びPHPSを溶解することができるキシレ
ン、メタノールなどの溶剤に基板全体を浸漬することに
より疎水性マスクとその下部のPHPSを溶解除去す
る。その後、必要に応じて、工程(E)において、転化
したシリカを含む部分をさらに酸化する後処理を施す。
【0064】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 参考例1[ペルヒドロポリシラザンの合成] 内容積1Lの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニ
カルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反
応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フ
ラスコに脱気した乾燥ピリジンを490ml入れ、これを
氷冷した。次にジクロロシラン51.9gを加えると白
色固体状のアダクト(SiH2 Cl2 ・2C5 5 N)
が生成した。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら水酸化
ナトリウム管及び活性炭管を通して生成したアンモニア
51.0gを吹き込んだ後、100℃で加熱した。
【0065】反応終了後、反応混合物を遠心分離し、乾
燥ピリジンを用いて洗浄した後、更に乾燥窒素雰囲気下
で濾過して炉液850mlを得た。炉液5mlから溶媒を減
圧除去すると樹脂状固体ペルヒドロポリシラザン0.1
02gが得られた。得られたポリマーの数平均分子量
は、凝固点降下法で(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定
したところ、1120であった。IR(赤外吸収)スペ
クトル(溶媒:乾燥o- キシレン;ペルヒドロポリシラ
ザンの濃度:10.2g/l)は、波数(cm-1)339
0、および1180のN−Hに基づく吸収:2170の
Si−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−N−
Siに基づく吸収を示した。IRスペクトルを図2に示
す。
【0066】参考例2[ポリメチル(ヒドロ)シラザン
の合成] 内容積500mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メ
カニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着し
た。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四
つ口フラスコにメチルジクロロシラン(CH3 SiHC
2 ,24.3g,0.221モル)と乾燥ジクロロメ
タン300mlを入れた。反応混合物を氷冷し、攪拌しな
がら乾燥アンモニア20.5g(1.20モル)を窒素
ガスと共に吹き込んでアンモニア分解を行った。
【0067】反応終了後、反応混合物を遠心分離した
後、濾過した。炉液から溶媒を減圧除去し、ポリメチル
(ヒドロ)シラザンを無色の液体として8.79g得
た。生成物の数平均分子量を凝固点降下法で(溶媒:乾
燥ベンゼン)により測定したところ、310であった。
内容積100mlの四つ口フラスコにガス導入管、温度
計、コンデンサーおよび滴下ロートを装着し、反応系内
をアルゴンガスで置換した。四つ口フラスコにテトラヒ
ドロフラン12mlおよび水酸化カリウム0.189g
(4.71ミリモル)を入れ、磁気攪拌を開始した。滴
下ロートに上述のポリメチル(ヒドロ)シラザン5.0
0gおよび乾燥テトラヒドロフラン50mlを入れ、これ
を水酸化カリウムに滴下した。室温で1時間反応させた
後、滴下ロートにヨウ化メタン1.60g(11.3ミ
リモル)、および乾燥テトラヒドロフラン1mlを入れ、
これを反応溶液に滴下した。室温で3時間反応させた
後、反応混合物の溶媒を減圧除去し、乾燥n−ヘキサン
40mlを加えて遠心分離し、濾過した。炉液の溶媒を減
圧除去すると、ポリメチル(ヒドロ)シラザンが白色粉
末として4.85g得られた。生成物の数平均分子量は
1060であった。IR(赤外吸収)スペクトル(溶
媒:乾燥o−キシレン;ポリメチル(ヒドロ)シラザン
の濃度:43.2g/l)は、波数(cm-1)3380、
および1170のN−Hに基づく吸収:2140のSi
−Hに基づく吸収:1250のSi−CH3 に基づく吸
収を示した。IRスペクトルを図3に示す。
【0068】実施例1 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.
5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗
布し(3000rpm,20秒)、室温で乾燥させた(10
分)。この時のIRスペクトルは図2のペルヒドロポリ
シラザンのIRスペクトルと同等であった。続いて、ポ
リシラザン被膜の表面に油性マジック(ZEBRA製マ
ッキー)で0.5〜2mmの線を描画した。次に、これを
容量2Lの出入り口付きのガラス製デシケーター中に入
れた。そして、このデシケーターに室温でモノメチルア
ミン、水蒸気、乾燥窒素をそれぞれ200ml/分,25
ml/分,2000ml/分の流速で3分間注入した。な
お、水蒸気は容量100mlのガラス製バブラーを用いて
供給した。その後、このシリコンウェハーをキシレンに
浸漬したところ、約1分で油性マジックで描画した部分
のみが溶出した。続いて、これを25℃、相対湿度50
%の大気中に5時間放置した。この時のIRスペクトル
を図4に示す。図2と比較すると波数(cm-1)1100
のSi−Oに基づく吸収の成長が見られ、未反応のポリ
シラザン、すなわち波数(cm-1)3350、および12
00のN−Hに基づく吸収:2190のSi−Hに基づ
く吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づく吸
収はほとんど消失した。被膜はポリシラザンからシリカ
質へ変化した。図5に描画部付近(A,Bの2箇所)の
顕微鏡写真(×120)に対応する図面を示す。数μm
〜10μmの微細なパターンが得られた。
【0069】実施例2 参考例2で合成したポリメチル(ヒドロ)シラザンをキ
シレンに溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚
さ0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用
いて塗布し(3000rpm,20秒)、室温で乾燥させた
(10分)。この時のIRスペクトルは図3のポリメチ
ル(ヒドロ)シラザンのIRスペクトルと同等であっ
た。続いて、ポリシラザン被膜の表面に油性マジック
(ZEBRA製マッキー)で0.5〜2mmの線を描画し
た。次に、これを容量2Lの出入り口付きのガラス製デ
シケーター中に入れた。そして、このデシケーターに室
温でモノメチルアミン、水蒸気、乾燥窒素をそれぞれ2
00ml/分、25ml/分、2000ml/分の流速で3分
間注入した。なお、水蒸気は容量100mlのガラス製バ
ブラーを用いて供給した。その後、このシリコンウェハ
ーをキシレンに浸漬したところ、約1分で油性マジック
で描画した部分のみが溶出した。続いて、これを200
℃のオーブン中で10分間加熱した。この時のIRスペ
クトルを図6に示す。図3と比較すると波数(cm-1)1
100のSi−Oに基づく吸収の成長が見られ、未反応
のポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3350、およ
び1200のN−Hに基づく吸収:2190のSi−H
に基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基
づく吸収はほとんど消失した。被膜はポリシラザンから
シリカ質へ変化した。描画部付近の顕微鏡写真(×12
0)は図5と同等で、数μm〜10μmの微細なパター
ンが得られた。
【0070】実施例3 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.
5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗
布し(3000rpm,20秒)、室温で乾燥させた(10
分)。この時のIRスペクトルは図2のペルヒドロポリ
シラザンのIRスペクトルと同等であった。続いて、ポ
リシラザン被膜の表面に油性マジック(ZEBRA製マ
ッキー)で0.5〜2mmの線を描画した。次に、これを
容量2Lの出入り口付きのガラス製デシケーター中に入
れた。そして、このデシケーターに室温でトリエチルア
ミン、水蒸気、乾燥窒素をそれぞれ100ml/分、25
ml/分、2000ml/分の流速で3分間注入した。な
お、トリエチルアミンと水蒸気は容量100mlのガラス
製バブラーを用いて供給した。その後、このシリコンウ
ェハーをキシレンに浸漬したところ、約1分で油性マジ
ックで描画した部分のみが溶出した。続いて、これを2
5℃、相対湿度50%の大気中に5時間放置した。この
時のIRスペクトルを図7に示す。図2と比較すると波
数(cm-1)1100のSi−Oに基づく吸収の成長が見
られ、未反応のポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3
350、および1200のN−Hに基づく吸収:219
0のSi−Hに基づく吸収:1020〜820のSi−
N−Siに基づく吸収はほとんど消失した。被膜はポリ
シラザンからシリカ質へ変化した。描画部付近の顕微鏡
写真(×120)は図5と同等で、数μm〜10μmの
微細なパターンが得られた。
【0071】実施例4 参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレン
に溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.
5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗
布し(3000rpm,20秒)、室温で乾燥させた(10
分)。この時のIRスペクトルは図2のペルヒドロポリ
シラザンのIRスペクトルと同等であった。続いて、ポ
リシラザン被膜の表面に油性マジック(ZEBRA製マ
ッキー)で0.5〜2mmの線を描画した。次に、容量2
Lのガラス製ビーカーにn−ペンチルアミン30gと純
水1000gを注入しよく撹拌した。そして、描画した
シリコン板をこのビーカーの液中に室温で3分間浸汐し
た。その後、試料を室温で放置しよく乾燥させた。その
後、このシリコンウェハーをキシレンに浸漬したとこ
ろ、約1分で油性マジックで描画した部分のみが溶出し
た。この時のIRスペクトルを図8に示す。図2と比較
すると波数(cm-1)1100のSi−Oに基づく吸収の
成長が見られ、未反応のポリシラザン、すなわち波数
(cm-1)3350、および1200のN−Hに基づく吸
収:2190のSi−Hに基づく吸収:1020〜82
0のSi−N−Siに基づく吸収はほとんど消失した。
被膜はポリシラザンからシリカ質へ変化した。描画部付
近の顕微鏡写真(×120)は図5と同等で、数μmか
ら10μmの微細なパターンが得られた。
【0072】
【発明の効果】本発明によると、大がかりで高価な設
備、装置が不要となる。また、全工程を室温で行うこと
が可能であるためプラスチック、木材、等の耐熱性の低
い基材に対してもシリカ質のパターンを形成することが
できる。さらに、シリカ被膜の形成速度(ポリシラザン
のシリカへの転化速度)が迅速であり、その後のマスク
材料の溶解除去も短時間で行われるため、従来法よりも
迅速にシリカ質のパターン形成が可能である。また、腐
食性の高い危険なフッ酸、フッ素系ガスを使用しないた
めマスク材料として汎用の疎水性ペイントのような疎水
性材料を使用することができる。さらには、処理加工が
比較的簡便であり、そして所望の任意のパターンを作成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の好ましい態様を示す工程概略図
である。
【図2】参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンの
IRスペクトル図である。
【図3】参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラ
ザンのIRスペクトル図である。
【図4】実施例1で得られた後処理(大気中放置)後の
ペルヒドロポリシラザンのIRスペクトル図である。
【図5】実施例1で得られた基板上に形成された微細な
パターンを示す顕微鏡写真に対応する図面である。
【図6】実施例2で得られた後処理(焼成)後のポリメ
チル(ヒドロ)シラザンのIRスペクトル図である。
【図7】実施例3で得られた後処理(大気中放置)後の
ペルヒドロポリシラザンのIRスペクトル図である。
【図8】実施例4で得られたマスク溶解処理後のペルヒ
ドロポリシラザンのIRスペクトル図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記一般式(I): 【化1】 (式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基
    が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ
    基、アルコキシ基を表わすが、但し、R1 とR2 の少な
    くとも一方は水素原子である)で表わされる構造単位か
    らなる主骨格を有する数平均分子量100〜5万のポリ
    シラザン又はその変性物を基材に塗布する工程; (B)工程(A)で得られたポリシラザン塗膜の表面の
    所定の領域を疎水性材料で被覆する工程; (C)前記疎水性材料で被覆されていないポリシラザン
    塗膜にアミン化合物及び水を接触させて該ポリシラザン
    の少なくとも一部をシリカへ転化する工程; (D)前記疎水性材料とその下部のポリシラザン塗膜と
    を溶解除去する工程;並びに、必要に応じて、 (E)前記シリカを含む塗膜をさらに酸化する工程を含
    むことを特徴とするシリカ質パターンの形成方法。
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