JP3916278B2 - フェニルシリル基架橋ポリシラザン及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェニルシリル基によって分子間架橋されたポリシラザン(以下、フェニルシリル基架橋ポリシラザンと称する)及びその製造方法に関する。本発明によるフェニルシリル基架橋ポリシラザンは、分子量が高く、保存安定性に優れており、しかもセラミック化時の有機成分の保持性が高いので、特にセラミックス被膜形成用の塗布組成物成分として有用である。
【0002】
【従来の技術】
保護被膜としてセラミックス系コーティングの有用性が増大している。具体的には、シリコーン系塗料、ポリチタノカルボシラン系塗料、シラザン系プレセラミックポリマー、シロキサザン系プレセラミックポリマー、等を金属材料や無機材料の表面に適用することにより、高い耐熱性、耐酸化性、耐磨耗性、耐薬品性、物質遮断性、等を示す無機コーティングが得られている。
本出願人は、従来よりシラザン系のプレセラミックポリマーとして様々な材料を提供している。これらのプレセラミックポリマーによると、適当な溶剤に溶解した塗布組成物を調製し、これを基材表面に単に塗布、焼成するだけで緻密且つ高硬度な耐熱性、耐酸化性、耐磨耗性、耐薬品性、高平坦化性のコーティングが得られる。
【0003】
本出願人はまた、セラミックスの脆性の緩和や炭素成分の導入を目的として、セラミック化前のポリシラザン主鎖のSi及び/又はNにアルキル基、フェニル基、等の有機成分を結合させたポリオルガノヒドロシラザンを開発している(例えば、特公平4−46974号公報を参照されたい)。
さらに、これらのプレセラミックポリマーに低温セラミック化処理を施すことにより、プラスチック材料等の耐熱性の低い基材にもこのようなセラミックス系コーティングを施すことができる。これらのポリシラザンを用いたセラミックス系コーティングに関する代表的な公開特許公報として本出願人による特開平7−223867号公報を参照されたい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来技術で製造されるポリシラザンには、得られる分子量に限度があり、塗布組成物として所望の高い粘度が得られない場合がある。
ポリシラザンの分子量を高くするため、ポリシラザンに水又は酸素を反応させることによりポリシラザンの珪素に結合している水素を利用してシロキサン架橋を形成させ、分子量のより高いポリシラザン架橋体(ポリシロキサザン)を得る方法が、本出願人による特公平6−18885号公報に記載されている。この方法によると分子量の高いプレセラミックポリマーが得られ、その塗布組成物の粘度も高くなるが、このポリシロキサザンはその分子末端に−NH2 、−OH、−SiH3 などの基を含むために分子量の高いものほど常温でゲル化し易い、すなわち保存安定性が悪くなるという問題があった。
【0005】
また、セラミックスの脆性の緩和や炭素成分の導入を目的としてポリシラザン主鎖に結合させた有機成分は、セラミック化の際に熱によって消失する場合があるため、このような有機成分の安定性、耐熱性をさらに高めることも望まれている。
従って、本発明は、従来法で得られるよりも分子量が高く且つ保存安定性に優れ、またセラミック化後にも有機成分を十分に保持しうる新規なポリシラザン架橋体とその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によると、
〔1〕主として下記構造式(1):
【0007】
【化7】
【0008】
で表される骨格を有する数平均分子量が100〜50000のポリシラザン主鎖の少なくとも一部が、下記構造式(2):
【0009】
【化8】
【0010】
〔上記構造式(1)及び(2)において、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外で珪素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表す〕
で表される架橋部分によって架橋されていることを特徴とするフェニルシリル基架橋ポリシラザン
が提供される。
【0011】
また、本発明の別の態様によると、
〔2〕〔1〕に記載のフェニルシリル基架橋ポリシラザン及び溶剤を含む塗布組成物
が提供される。
さらに、本発明の別の態様によると、
〔3〕主として下記一般式(1):
【0012】
【化9】
【0013】
で表される骨格を有する数平均分子量が100〜50000のポリシラザンと、下記構造式(3):
【0014】
【化10】
【0015】
〔上記構造式(1)及び(3)において、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外で珪素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表す〕
で表される1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンとを塩基性有機化合物の存在下で反応させることを特徴とする、フェニルシリル基架橋ポリシラザンの製造方法
が提供される。
【0016】
以下、本発明の好ましい態様を列挙する。
〔4〕ポリスチレン換算数平均分子量が500〜100,000である、〔1〕に記載のフェニルシリル架橋ポリシラザン。
〔5〕架橋指数が1.01〜5.0である、〔1〕又は〔4〕に記載のフェニルシリル架橋ポリシラザン。
【0017】
〔6〕フェニルシリル架橋ポリシラザンのポリスチレン換算数平均分子量が500〜100,000である、〔2〕に記載の塗布組成物。
〔7〕フェニルシリル架橋ポリシラザンの架橋指数が1.01〜5.0である、〔2〕又は〔6〕に記載の塗布組成物。
〔8〕酸化促進触媒をさらに含む、〔2〕、〔6〕又は〔7〕に記載の塗布組成物
【0018】
〔9〕塩基性有機化合物がトリエチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン又は1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネンである、〔3〕に記載の方法。
【0019】
本発明によるフェニルシリル基架橋ポリシラザンは、ポリシラザンと1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンとの反応を塩基性化合物の存在下で行うことにより、1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンのOH基をほぼ完全にポリシラザンと反応させることができるので、得られるフェニルシリル基架橋ポリシラザンは分子鎖中にOH基を実質的に含まない。このため、得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザンは残存OH基によってさらに経時的に高分子量化(ゲル化)することがなく、塩基性化合物を存在させずに合成した同様なポリシラザン架橋体又はポリシロキサザンよりも保存安定性が高くなる。
また、架橋部分に含まれる有機成分(フェニル基)は、1位と4位においてそれぞれSi−O基を介してポリシラザン主鎖に結合しているため、従来のポリシラザン主鎖に直接結合している有機成分を含有するポリシラザンと比較して有機成分の安定性、耐熱性が高くなり、フェニルシリル基架橋ポリシラザンのセラミック化後にも該有機成分が十分に保持される。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるポリシラザンは、分子内に少なくともSi−H結合を有するポリシラザンであればよく、ポリシラザン単独は勿論のことポリシラザンと他のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物との混合物でも利用できる。
用いるポリシラザンには、鎖状、環状、又は架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、これら単独でも又は混合物でも利用できる。
【0021】
用いるポリシラザンの代表例としては下記のようなものがあるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)でR1 及びR2 に水素原子を有するものは、ペルヒドロポリシラザンであり、その製造法は例えば特開昭60−145903号公報、D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc.,C−13,January 1983.に報告されている。これらの方法で得られるものは、種々の構造を有するポリマーの混合物であるが、基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を含み、
【0022】
【化11】
【0023】
の化学式で表わすことができる。ペルヒドロポリシラザンの構造の一例を示すと下記の如くである。
【0024】
【化12】
【0025】
一般式(1)でR1 に水素原子、R2 にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D.SeyferthらPolym.Prepr.Am.Chem.Soc.,Div.Polym.Chem,.25,10(1984)に報告されている。この方法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−(SiH2 NCH3 )−の鎖状ポリマーと環状ポリマーであり、いずれも架橋構造をもたない。
【0026】
一般式(1)でR2 に水素原子、R1 に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの製造法は、D.SeyferthらPolym.Prepr.Am.Chem.Soc.Div.Polym.Chem,.25,10(1984)、特開昭61−89230号公報に報告されている。これらの方法により得られるポリシラザンには、−(R2 SiHNH)−を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状構造を有するものや(R3 SiHNH)x 〔(R2 SiH)1.5 N〕1-x (0.4<X<1)の化学式で示せる分子内に鎖状構造と環状構造を同時に有するものがある。
【0027】
一般式(1)でR1 及びR2 に有機基を有するポリシラザンは
−(R1 HSiNR2 )−を繰り返し単位として、主に重合度が3〜5の環状構造を有している。
次に用いるポリシラザンの内、一般式(1)以外のものの代表例をあげる。
ポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの中には、D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc.,C−132,July 1984.が報告されている様な分子内に架橋構造を有するものもある。一例を示すと下記の如くである。
【0028】
【化13】
【0029】
また、特開昭49−69717に報告されている様なR1 SiX3 (X:ハロゲン)のアンモニア分解によって得られる架橋構造を有するポリシラザン(R1 Si(NH)x 、あるいはR1 SiX3 及びR2 2 SiX2 の共アンモニア分解によって得られる下記の構造を有するポリシラザンも出発材料として用いることができる。
【0030】
【化14】
【0031】
用いるポリシラザンは、上記の如く一般式(1)で表わされる単位からなる主骨格を有するが、一般式(1)で表わされる単位は、上記にも明らかな如く環状化することがあり、その場合にはその環状部分が末端基となり、このような環状化がされない場合には、主骨格の末端はR1 ,R2 と同様の基又は水素であることができる。
【0032】
本発明に用いるポリシラザンとして好ましいものは、上記の一般式(1)で表わされる単位を主骨格に有するポリシラザン又はこれらのポリシラザンに金属アルコキシド、珪素アルコキシド、アルコール、金属カルボン酸塩、アセチルアセトナト錯体、等を添加して変性したものである。このように変性処理をしたポリシラザンを出発原料として用いると、得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザンはより低温でセラミックス化することができる。以降、このような変性処理を低温セラミックス化処理と呼ぶ。
【0033】
このような低温セラミックス化処理済ポリシラザンの具体例として、本願出願人による特開平5−238827号公報に記載されている珪素アルコキシド付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般式(1)で表されるポリシラザンと、下記一般式(II):
Si(OR4 )4 (II)
(式中、R4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基またはアリール基を表し、少なくとも1個のR4 は上記アルキル基またはアリール基である)で表される珪素アルコキシドを加熱反応させて得られる、アルコキシド由来珪素/ポリシラザン由来珪素の原子比が、0.001〜3の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万の珪素アルコキシド付加ポリシラザンである。珪素アルコキシド付加ポリシラザンの調製については上記特開平5−238827号公報を参照されたい。
【0034】
低温セラミックス化処理済ポリシラザンの別の具体例として、本出願人による特開平6−122852号公報に記載されているグリシドール付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般式(1)で表されるポリシラザンとグリシドールを反応させて得られる、グリシドール/ポリシラザンの重量比が0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のグリシドール付加ポリシラザンである。グリシドール付加ポリシラザンの調製については上記特開平6−122852号公報を参照されたい。
【0035】
低温セラミックス化処理済ポリシラザンの別の具体例として、本願出願人による特開平6−240208号公報に記載されているアルコール付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般式(1)で表されるポリシラザンとアルコールとを反応させて得られる、アルコール/ポリシラザンの重量比が0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約100〜50万のアルコール付加ポリシラザンである。アルコール付加ポリシラザンの調製については、上記特開平6−240208号公報を参照されたい。
【0036】
低温セラミックス化処理済ポリシラザンのまた別の具体例として、本願出願人による特開平6−299118号公報に記載されている金属カルボン酸塩付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般式(1)で表されるポリシラザンと、ニッケル、チタン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニウム、オスミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウムの群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属カルボン酸塩を反応させて得られる、金属カルボン酸塩/ポリシラザンの重量比が0.000001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万の金属カルボン酸塩付加ポリシラザンである。上記金属カルボン酸塩は、式(RCOO)n M〔式中、Rは炭素原子数1〜22個の脂肪族基又は脂環式基であり、Mは上記金属群から選択される少なくとも1種の金属を表し、そしてnは金属Mの原子価である〕で表される化合物である。上記金属カルボン酸塩は無水物であっても水和物であってもよい。金属カルボン酸塩付加ポリシラザンの調製については、上記特開平6−299118号公報を参照されたい。
【0037】
低温セラミックス化処理済ポリシラザンのさらに別の具体例として、本願出願人による特開平6−306329号公報に記載されているアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般式(1)で表されるポリシラザンと、金属としてニッケル、白金、パラジウム又はアルミニウムを含むアセチルアセトナト錯体を反応させて得られる、アセチルアセトナト錯体/ポリシラザンの重量比が0.000001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンである。上記の金属を含むアセチルアセトナト錯体は、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じた陰イオンacac- が金属原子に配位した錯体であり、一般には式(CH3 COCHCOCH3 )n M〔式中、Mはn価の金属を表す〕で表される。アセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンの調製については、上記特開平6−306329号公報を参照されたい。
【0038】
その他の低温セラミックス化処理済ポリシラザンの具体例として、本願出願人による特開平7−196986号公報に記載されている金属微粒子添加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般式(1)で表されるポリシラザンを主成分とするコーティング溶液に、Au、Ag、Pd、Niをはじめとする金属の微粒子を添加して得られる変性ポリシラザンである。好ましい金属はAgである。金属微粒子の粒径は0.5μmより小さいことが好ましく、0.1μm以下がより好ましく、さらには0.05μmより小さいことが好ましい。金属微粒子添加ポリシラザンの調製については、上記特開平7−196986号公報を参照されたい。
これらの低温セラミックス化処理済ポリシラザンの中で特に好ましいものは、上記特開平6−299118号公報に記載されている金属カルボン酸塩付加ポリシラザンであるが、とりわけその金属(M)がパラジウム(Pd)であるものがより好ましい。
上記のような低温セラミックス化処理は、本発明に従い未変性ポリシラザンから得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザンに対して施すことによっても、同様にフェニルシリル基架橋ポリシラザンを低温でセラミックス化することができる。
【0039】
本発明のフェニルシリル基架橋ポリシラザンは、上記のようなポリシラザン又はその変性物を、塩基性有機化合物の存在下、下記構造式(3)で表される1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンと反応させることにより得られる。
【0040】
【化15】
【0041】
上式中、R3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外で珪素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表す。R3 は、メチル基、エチル基又はフェニル基であることが好ましい。
1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンは、塩基性有機化合物の存在下で反応させた場合に、OH基の一方がポリシラザン又はその変性物のある分子のSi−H結合と反応してSi−O結合を形成し、そして他方のOH基がポリシラザン又はその変性物の別の分子のSi−H結合と反応してSi−O結合を形成することにより、ポリシラザン又はその変性物の分子間に架橋部分を形成させる。
【0042】
これらの1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンとして、現場で加水分解してポリシラザンと上記のように反応することができる化合物を使用してもよい。具体的には、1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンのエステル化物、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、等を使用してもよい。
本発明によるフェニルシリル基架橋ポリシラザンは、ポリシラザン分子間に以下のような構造式(2)で示される架橋部分を有する。
【0043】
【化16】
【0044】
上式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外で珪素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表す。
本発明のフェニルシリル基架橋ポリシラザンの架橋指数、すなわちポリシラザン1分子当たりの架橋点の数は、所期の目的によって、また出発原料のポリシラザンの分子量によって変わってくる。例えば、架橋後に所望されている分子量が一定である場合、出発原料のポリシラザン分子量が小さいほど、架橋指数は高くする必要がある。しかしながら、一般論として、架橋指数をあまり高くしようとするとポリマーの三次元化が進み、塗布組成物の成分としては望ましくなくなる。従って、本発明の塗布組成物の成分として適切なフェニルシリル基架橋ポリシラザンの架橋指数は、1.01〜5.0、好ましくは1.01〜1.5の範囲である。
【0045】
また、上記の1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンの種類や架橋による導入量を調節することによって、フェニルシリル基架橋ポリシラザン由来のセラミックスコーティングの可撓性を制御することができる。すなわち、一般にセラミックスコーティングの硬度を高めたい場合にはR3 として水素原子又は炭素原子数の少ない基(例えば、メチル基)を選定し、反対にセラミックスコーティングの可撓性を高めたい場合にはR3 として炭素原子数の多い基(例えば、フェニル基等)を選定すればよく、その選定については当業者であれば必要に応じ適宜行うことができる。
【0046】
本発明のフェニルシリル基架橋ポリシラザンは塩基性有機化合物の存在下での反応によって得られる。本発明で用いられる塩基性有機化合物として、一級、二級及び三級アミン類、例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、トリヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ノニルアミン、ジノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、フェニルアミン及びジフェニルアミン、ピリジン類、例えばピリジン、ピコリン、ルチジン、ピリミジン及びピリダジン、並びに有機強塩基性化合物、例えば1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)及び1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)が挙げられる。このような塩基性有機化合物の存在下で反応を行うことにより、得られるフェニルシリル基架橋ポリシラザンの分子鎖中にOH基が残存することがなくなる。特に好適な塩基性有機化合物は、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、DBU及びDBNである。
【0047】
本発明によるフェニルシリル基架橋ポリシラザンの合成反応は、一般に、上記のポリシラザンを必要に応じて適当な溶剤に溶解した溶液を調製し、これに上記の塩基性有機化合物を添加して調製した溶液に、上記の1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンをそのまま、あるいは適当な溶剤に溶解した溶液を添加することにより行われる。また、上記の1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンをそのまま、あるいは適当な溶剤に溶解した溶液を調製し、これに上記の塩基性有機化合物を添加して調製した溶液に、上記のポリシラザンを必要に応じて適当な溶剤に溶解した溶液を添加することにより行うこともできる。1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンを溶解させる場合には、上記の塩基性有機化合物を溶媒として使用することが好ましい。
【0048】
ポリシラザンを溶剤に溶解する場合、その溶剤としては、最終的に得られるフェニルシリル基架橋ポリシラザンの溶剤でもあることが好ましく、芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン及びトリエチルベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン、飽和炭化水素化合物、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン及びi−デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p−メンタン、エーテル類、例えばジプロピルエーテル、ジブチルエーテル及びジペンチルエーテル、並びにケトン類、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)、が挙げられる。このような溶剤において合成されたフェニルシリル基架橋ポリシラザンは、そのまま塗布組成物として使用することができる。
【0049】
本発明によるフェニルシリル基架橋ポリシラザンの合成反応では、0.01〜90重量%、好ましくは1〜10重量%のポリシラザンと、99.9〜10重量%、好ましくは99〜90重量%の塩基性有機化合物と、ポリシラザン重量に対して0.01〜200%、好ましくは0.1〜10%の1,4−ビス(ヒドロキシシリル)ベンゼンとを組み合わせる。
この合成反応は、使用する溶剤の凝固点以上沸点以下の範囲の任意の温度で行われるが、通常は0〜100℃で行われる。この反応は室温でも進行する。
【0050】
本発明によるフェニルシリル基架橋ポリシラザンの合成反応における反応圧力については特に制限はなく、一般には常圧で十分である。0〜9.8×105 Pa(0〜10kg/cm2 G)の範囲が好ましい。
反応時間については特に制限はないが、一般には1〜120分の反応を行う。反応時間を長くすることで得られるフェニルシリル基架橋ポリシラザンの分子量を高くすることができる。また、反応雰囲気についても特に制限はなく、周囲雰囲気でよい。
反応終了後、必要に応じて塩基性有機化合物を、例えばロータリーエバポレーターを用いて留去すると、用いた溶剤に溶解したフェニルシリル基架橋ポリシラザンが得られる。
【0051】
このようにして得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザンは、主鎖が実質的にSi−N結合から成り、ゲル透過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量が500〜100,000、好ましくは500〜10,000、より好ましくは500〜5,000であり、架橋指数が1.01〜5.0、好ましくは1.01〜1.5であり、窒素含有率が10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%であり、且つ酸素含有率が0.01〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である、また、本発明によると20℃、キシレンにおける極限粘度が1.0〜100cP(0.001〜0.1Pa・s)、好ましくは1.2〜50cP(0.0012〜0.05Pa・s)であるフェニルシリル基架橋ポリシラザンが得られる。本発明によるフェニルシリル基架橋ポリシラザンは遊離のOH基を実質的に含まないので、保存期間中に架橋が進んで分子量が高くなることがほとんど又はまったくない。
【0052】
本発明によるフェニルシリル基架橋ポリシラザン又はその変性物は、金属、ガラス、シリコン基板、プラスチック、等の各種基材に塗布し、これをシリカへ転化することにより、例えば、半導体、液晶等の絶縁平坦化膜、金属表面の酸化防止膜、酸素、水蒸気、Na等のバリア膜、プラスチック等軟性基板の保護膜として有用なセラミックコーティングにすることができる。
本発明の別の態様によると、このようなフェニルシリル基架橋ポリシラザンあるいはその変性物を溶剤に溶解した塗布組成物が提供される。好適な溶剤は先に記載した通りである。尚、溶剤は、上記に挙げたもの1種でもよく、フェニルシリル基架橋ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度を調節するために沸点の異なる2種以上の溶剤に溶解させてもよい。
【0053】
溶剤の使用量(割合)は採用するコーティング方法により作業性がよくなるように選択され、また用いるフェニルシリル基架橋ポリシラザンの平均分子量、分子量分布、その構造によって異なるので、適宜、自由に混合することができる。好ましくはフェニルシリル基架橋ポリシラザン含有率で0.01〜70重量%の範囲で混合することができる。
また、本発明の塗布組成物において、必要に応じて適当な充填剤及び/又は増量剤を加えることができる。充填剤の例としてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、マイカを始めとする酸化物系無機物あるいは炭化珪素、窒化珪素等の非酸化物系無機物の微粉等が挙げられる。また用途によってはアルミニウム、亜鉛、銅等の金属粉末の添加も可能である。
【0054】
これら充填剤は、針状(ウィスカーを含む。)、粒状、鱗片状等種々の形状のものを単独又は2種以上混合して用いることができる。また、これら充填剤の粒子の大きさは1回に適用可能な膜厚よりも小さいことが望ましい。さらに、充填剤の添加量はフェニルシリル基架橋ポリシラザン1重量部に対し0.01重量部〜100重量部の範囲であり、特に好ましい添加量は0.1重量部〜10重量部の範囲である。
塗布組成物には、必要に応じて各種顔料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、(酸化亜鉛、酸化チタン、等を含む)紫外線吸収剤、pH調整剤、分散剤、表面改質剤、可塑剤、乾燥促進剤、流れ止め剤を加えてもよい。
【0055】
上記のフェニルシリル基架橋ポリシラザン含有塗布組成物を基材に1回又は2回以上繰り返し適用した後、焼成し、水蒸気雰囲気にさらす、もしくは触媒を含有した蒸留水に浸す、またはこれらの両方を行うことにより、セラミックス被覆膜を形成させることができる。
適用方法は、通常実施されているプラスチック材料への塗布方法、すなわち浸漬、ロール塗り、バー塗り、刷毛塗り、スプレー塗り、フロー塗り等が用いられる。特に好ましい適用方法はグラビアコーティング法である。
【0056】
焼成を行う場合の条件は用いるフェニルシリル基架橋ポリシラザンまたは塗布組成物によって異なり、またコーティングを施す基板、製品によって選択することができる。低温セラミックス化フェニルシリル基架橋ポリシラザンは、特に低温形成方法を使用しなくても、通常の焼成を行っても、添加剤を含まないフェニルシリル基架橋ポリシラザンよりも低い温度でセラミックス化することができる。
低温セラミックス化塗布組成物(特に、フェニルシリル基架橋ポリシラザンの金属カルボン酸塩付加物、アセチルアセトナト錯体付加物、金属微粒子付加物)を使用し、この後、低温形成方法を採用しない場合、焼成条件は500〜1000℃の範囲にある。好ましい焼成温度は、250〜400℃、より好ましくは250〜350℃の範囲にある。
【0057】
焼成雰囲気は酸素中、空気中あるいは不活性ガス等のいずれであってもよいが、空気中がより好ましい。空気中での焼成により低温セラミックス化組成物の酸化、あるいは空気中に共存する水蒸気による加水分解が進行し、上記のような低い焼成温度でSi−O結合あるいはSi−N結合を主体とする三次元構造を有し且つ架橋部分の有機成分を残存する強靱な被覆の形成が可能となる。
更に、コーティングする低温セラミックス化組成物の種類によっては、50℃以上での焼成を全く行なわず、塗布後の被覆膜を50℃未満の条件で長時間保持し、被覆膜の性質を向上させることが可能である。この場合の保持雰囲気は空気中が好ましく、また水蒸気圧を高めた湿潤空気中でも更に好ましい。保持する時間は特に限定されるものではないが、10分以上30日以内が現実的に適当である。また保持温度は特に限定されるものではないが、0℃以上50℃未満が現実的に適当である。ここで50℃以上で保持することも当然有効であるが、本文では50℃以上での加熱操作を「焼成」と定義している。この空気中での保持により金属カルボン酸塩とポリシラザン架橋体の反応物の酸化、あるいは空気中に共存する水蒸気による加水分解が進行し、セラミックスへの転化が完了して、Si−O結合あるいはSi−N結合を主体とした三次元構造を有し且つ架橋部分の有機成分を残存する強靱な被覆膜の形成が可能となる。以上の方法によれば高い焼成温度に起因する種々の問題を大幅に軽減することができ、場合によっては室温付近でのセラミックスへの転化が可能となる。
【0058】
低温形成方法を採用する場合には、昇温速度は特に限定しないが、0.5〜5℃/分の昇温速度が好ましい。好ましい焼成温度は室温〜250℃であるが、プラスチック材料等への塗布には、プラスチック材料を損なわない温度、好ましくは150℃以下で加熱処理を施す。一般に、加熱処理を150℃以上で行うと、プラスチック材料が変形したり、その強度が劣化するなど、プラスチック材料が損なわれる。しかしながら、ポリイミド等の耐熱性の高いプラスチック材料の場合にはより高温での処理が可能であり、この加熱処理温度は、プラスチック材料の種類によって当業者が適宜設定することができる。焼成雰囲気は酸素中、空気中あるいは不活性ガス等のいずれであってもよいが、空気中がより好ましい。
上記の温度での熱処理においてはSi−O、Si−N、Si−H、N−H結合が存在するものが形成される。これはまだセラミックスへの転化が不完全である。これを次に述べる2つの方法のいずれか一方又は両方によってセラミックスに転化させることが可能である。
【0059】
▲1▼ 水蒸気雰囲気中での熱処理。
圧力は特に限定されるものではないが、1〜3気圧が現実的に適当である。室温は室温以上で効果的であるが室温〜150℃が好ましい。相対湿度は特に限定されないが10%RH〜100%RHが好ましい。熱処理時間は特に限定されるものではないが10分〜30日が現実的に適当である。
水蒸気雰囲気中での熱処理により、フェニルシリル基架橋ポリシラザンまたはフェニルシリル基架橋ポリシラザンの変性生成物の酸化が進行し、上記のような低い焼成温度でSi−O結合を主体とする三次元構造を有しかつ有機成分を残存した強靱なセラミックス、特にセラミック被覆の形成が可能となる。このSiO2 系膜は、フェニルシリル基架橋ポリシラザンに由来するため窒素を原子百分率で0.01〜5%含有する。この窒素含有量が5%よりも多いと膜のセラミックス化が不十分となり所期の効果、例えば、耐磨耗性やガスバリヤ性が得られない。一方、窒素含有量を0.01%よりも少なくすることは困難である。
【0060】
▲2▼ 触媒を含有した蒸留水中に浸す。
触媒としては、酸、塩基が好ましく、その種類については特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n−エキシルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、グアニジン、ピグアニン、イミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ−〔2,2,2〕−オクタン等のアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ピリジン、アンモニア水等のアルカリ類;リン酸等の無機酸類;氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸のような低級モノカルボン酸、又はその無水物、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸のような低級ジカルボン酸又はその無水物、トリクロロ酢酸等の有機酸類;過塩素酸、塩酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、パラトルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素及びその電気供与体との錯体、等;SnCl4 ,ZnCl2 ,FeCl3 ,AlCl3 ,SbCl3 ,TiCl4 などのルイス酸及びその錯体等を使用することができる。好ましい触媒は塩酸である。触媒の含有割合としては0.01〜50wt%、好ましくは1〜10wt%である。保持温度としては室温から沸点までの温度にわたって有効である。保持時間としては特に限定されるものではないが10分〜30日が現実的に適当である。
【0061】
触媒を含有した蒸留水中に浸すことにより、フェニルシリル基架橋ポリシラザンまたはフェニルシリル基架橋ポリシラザンの変性生成物の酸化あるいは水との加水分解が、触媒の存在により更に加速され、上記のような低い焼成温度でSi−O結合を主体とする三次元構造を有し且つ有機成分の残存した強靱なセラミックス、特にセラミック被覆の形成が可能となる。このSiO2 系膜は、フェニルシリル基架橋ポリシラザンに由来するため窒素を同様に原子百分率で0.01〜5%程度含有する。
【0062】
低温セラミックス化の別の方法として、前記のようなフェニルシリル基架橋ポリシラザン又はその変性物を含む塗布組成物に酸化促進触媒としてパラジウム(Pd)を含有させる方法がある。具体的には、Pd2+イオンを含有するフェニルシリル基架橋ポリシラザンを低温で水蒸気と接触させるとシリカが得られる。Si−Hを有するフェニルシリル基架橋ポリシラザンはPd2+イオンと水を必須成分とする系内で低温下でシリカを主成分とするセラミックスに転化する。
【0063】
Pd2+イオンの供給量は、シリカ(SiO2 )組成に近いセラミックスを得るためにはフェニルシリル基架橋ポリシラザンのSi−H基およびSi−N基の総和の等モル以上が好ましい。但し、▲1▼反応系内にCuCl2 などのPd0 (0価パラジウム)の酸化触媒を添加した場合、あるいは▲2▼電気化学的にPd0 を酸化するなどの操作を同時に行なった場合にはPd2+イオン量は上記より少なくても同等の効果が得られる。しかし、Pd2+イオンは少量でもそれなりの効果が得られるので上記の好ましい供給量に限定されるわけではない。従って、上記▲1▼、▲2▼の操作をしない場合で、フェニルシリル基架橋ポリシラザンのSi−H基及びSi−N基の総和のモル数に対し一般的に1/100モル以上、好ましくは1/10モル以上、そしてより好ましくは1モル以上、実用的には1/10モル以上のPd2+を供給する。
【0064】
Pdの添加量が上記1/10モルの場合、便宜的にはフェニルシリル基架橋ポリシラザンのSi(ケイ素)のモル量の0.2倍すればPdの添加重量になる。
水の供給方法はフェニルシリル基架橋ポリシラザンを水中に浸漬する、水を霧化してフェニルシリル基架橋ポリシラザンに吹き付ける、フェニルシリル基架橋ポリシラザンを水蒸気に暴露するなどによることができる。
水の供給量はシリカ(SiO2 )組成に近いセラミックスを得るためにはフェニルシリル基架橋ポリシラザンのSi−H基およびSi−N基の総和と等モル量以上が好ましい。通常は大過剰の水を用いる。
【0065】
このフェニルシリル基架橋ポリシラザンのセラミックス化の反応条件として反応温度、反応圧力、反応雰囲気など特に限定されない。ただし、反応温度としては必要に応じて加温するが、100℃以下の低温で十分に反応が進行する。例えば80℃以下、さらには40℃以下でも可能である。
低温セラミックス化の別の方法として、前記のようなフェニルシリル基架橋ポリシラザン又はその変性物を含む塗布組成物に酸化促進触媒としてアミン化合物及び/又は酸化合物を含有させる方法がある。
ここで用いられるアミン化合物には、例えば下記一般式(III) で表されるアミン化合物の他、ピリジン類やDBU、DBNなども含まれ、また酸化合物には有機酸や無機酸が含まれる。
【0066】
酸化促進触媒としてのアミン化合物の代表例として、下記一般式(III) で表される化合物が挙げられる。
R4 R5 R6 N (III)
式中、R4 〜R6 は、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。具体例として、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、トリヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、等が挙げられる。なお、これらアミン化合物に含まれる炭化水素鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。特に好ましいアミン化合物は、トリエチルアミン、トリペンチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン及びトリオクチルアミンである。
【0067】
ピリジン類の具体例として、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、等が挙げられる。さらに、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン)、等も使用することができる。
一方、酸化促進触媒としての酸化合物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸、ステアリン酸、等の有機酸、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、等の無機酸、等が挙げられる。特に好ましい酸化合物は、プロピオン酸、塩酸及び過酸化水素である。
【0068】
アミン化合物のフェニルシリル基架橋ポリシラザンに対する添加量は、フェニルシリル基架橋ポリシラザン重量に対して1ppm以上であればよく、好ましくは100ppm〜100%である。尚、塩基性度(水溶液中でのpKb値)及び沸点が高いアミン化合物ほど、セラミックス化を促進する傾向がある。また、酸化合物のフェニルシリル基架橋ポリシラザンに対する添加量は、フェニルシリル基架橋ポリシラザン重量に対して0.1ppm以上であればよく、好ましくは10ppm〜10%である。この態様において特に好ましいアミン化合物はトリペンチルアミンであり、また酸化合物はプロピオン酸である。
【0069】
塗布した後のフェニルシリル基架橋ポリシラザン又はその変性物を水蒸気雰囲気に暴露することによりフェニルシリル基架橋ポリシラザン又はその変性物をセラミックス化させる。この接触には、一般に加湿炉やスチームが用いられる。具体的には、塗布中に溶剤乾燥ゾーンにスチームを導入し、その中(温度50〜100℃、相対湿度50〜100%RH)を通過させる方法や、別に設けた加湿炉(温度50〜100℃、相対湿度50〜100%RH)の中を滞留時間10〜60分で通過させる方法や、塗布後の溶剤乾燥時に通過したスチームを導入した溶剤乾燥ゾーン(温度50〜100℃、相対湿度50〜100%RH)を滞留時間10〜60分で再度通過させる方法が考えられる。
低温の場合には、単に水蒸気を含む容器内で処理しても、また大気中で処理することもできる。水蒸気と接触させる温度範囲は室温(約20℃)から基材の耐熱温度までの範囲とすることができる。また、接触における湿度範囲は約0.1%RH〜100%RHとすることができる。
【0070】
上記の水蒸気雰囲気への暴露処理によって、フェニルシリル基架橋ポリシラザン又はその変性物に含まれるSi−N、Si−H、N−H結合等は消失し、Si−O結合を主体とする三次元構造を有し且つ有機成分の残存した強靱なセラミックス膜が形成される。尚、このSiO2 膜はフェニルシリル基架橋ポリシラザンに由来するため窒素を原子百分率で0.005〜5%含有する。この窒素含有量が5%よりも多い場合には膜のセラミックス化が不十分となり所期の効果(例えばガスバリヤ性や耐磨耗性)が得られない。一方、窒素含有量を0.005%よりも少なくすることは困難である。
【0071】
これらの方法によって1回の適用で得られるSiO2 膜の厚さは、好ましくは50Å〜5μm、より好ましくは100Å〜2μmの範囲である。膜厚が5μmよりも厚いと熱処理時に割れが入ることが多く、更に可撓性が悪くなり、折り曲げなどによる割れや剥離も生じ易くなる。反対に、膜厚が50Åよりも薄いと所期の効果、例えば所望のガスバリヤ性や耐磨耗性が得られない。この膜厚は、コーティング用組成物の濃度を変更することによって制御することができる。すなわち、膜厚を増加したい場合にはコーティング用組成物の固形分濃度を高くする(溶剤濃度を低くする)ことができる。また、コーティング用組成物を複数回適用することによって膜厚をさらに増加させることもできる。
以下、本発明を実施例によってさらに説明する。
【0072】
【実施例】
参考例1[ペルヒドロポリシラザンの合成]
内容1Lの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに脱気した乾燥ピリジンを490ml入れ、これを氷冷した。次にジクロロシラン51.9gを加えると白色固体状のアダクト(SiH2 C12 ・2C5 H5 N)が生成した。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら水酸化ナトリウム管及び活性炭管を通して生成したアンモニア51.0gを吹き込んだ後、100℃で加熱した。
反応終了後、反応混合物を遠心分離し、乾燥ピリジンを用いて洗浄した後、更に乾燥窒素雰囲気下で濾過して炉液850mlを得た。炉液5mlから溶媒を減圧除去すると樹脂状固体ペルヒドロポリシラザン0.102gが得られた。
得られたポリマーの数平均分子量を、ポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1120であった。IR(赤外吸収)スペクトル(溶媒:乾燥キシレン;ペルヒドロポリシラザンの濃度:10重量%)は、波数(cm-1)3380、および1180のN−Hに基づく吸収:2160のSi−Hに基づく吸収:1060〜800のSi−N−Siに基づく吸収を示した。IRスペクトルを図1に示す。
【0073】
参考例2[ポリメチル(ヒドロ)シラザンの合成]
内容積500mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコにメチルジクロロシラン(CH3 SiHC12 ,24.3g,0.221モル)と乾燥ジクロロメタン300mlを入れた。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら乾燥アンモニア20.5g(1.20モル)を窒素ガスと共に吹き込んでアンモニア分解を行った。
反応終了後、反応混合物を遠心分離した後、濾過した。炉液から溶媒を減圧除去し、ポリメチル(ヒドロ)シラザンを無色の液体として8.79g得た。生成物の数平均分子量を凝固点降下法で(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、310であった。
内容積100mlの四つ口フラスコにガス導入管、温度計、コンデンサーおよび滴下ロートを装着し、反応系内をアルコンガスで置換した。四つ口フラスコにテトラヒドロフラン12mlおよび水酸化カリウム0.189g(4.71モル)を入れ、磁気攪拌を開始した。滴下ロートに上述のポリメチル(ヒドロ)シラザン5.00gおよび乾燥テトラヒドロフラン50mlを入れ、これを水酸化カリウムに滴下した。室温で1時間反応させた後、滴下ロートにヨウ化メタン1.60g(11.3ミリモル)、および乾燥テトラヒドロフラン1mlを入れ、これを反応溶液に滴下した。室温で3時間反応させた後、反応混合物の溶媒を減圧除去し、乾燥n−ヘキサン40mlを加えて遠心分離し、濾過した。炉液の溶媒を減圧除去すると、ポリメチル(ヒドロ)シラザンが白色粉末として4.85g得られた。得られたポリマーの数平均分子量を、ポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ1060であった。IR(赤外吸収)スペクトル(溶媒:乾燥キシレン;ポリメチル(ヒドロ)シラザンの濃度:10重量%)は、波数(cm-1)3380、および1180のN−Hに基づく吸収:2140のSi−Hに基づく吸収:1260のSi−CH3 に基づく吸収:2950のC−Hに基づく吸収を示した。IRスペクトルを図2に示す。
【0074】
実施例1
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン10gとキシレン80gを導入した。これにトリエチルアミン10gを添加して、スターラーでよく攪拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、トリエチルアミン17gとチッソ社製の1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン3.0gをよく混合して、容量50mlのガラス製ビューレットに注入した。これを、上記のポリシラザン溶液にスターラーでよく攪拌しながら、ゆっくり約10分かけて滴下した。反応は、穏やかな発熱とガスの発生を伴って進行した。滴下終了後、約30分攪拌しながら、放置した。引き続き、ロータリーエバポレーターを用いて、溶液中のトリエチルアミンを留去し、10重量%のフェニルシリル基架橋ポリシラザンキシレン溶液を得た。
得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザンの数平均分子量を、ポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1500であった。IR(赤外吸収)スペクトルは、ポリシラザンの吸収、すなわち波数(cm-1)3380、および1180のN−Hに基づく吸収、2160のSi−Hに基づく吸収、1060〜800のSi−N−Siに基づく吸収に加えて、波数(cm-1)2950のC−Hに基づく吸収、1250のSi−Meに基づく吸収、1130のSi−Phに基づく吸収、1080のSi−O−Siに基づく吸収が観測された。IRスペクトルを図3に示す。 1H−NMRスペクトル(溶媒:乾燥キシレンとCDCl3 の1:2(重量比)混合物);ペルヒドロポリシラザン濃度:10重量%)を測定したところ、ポリシラザン、すなわち4.5〜5.3ppmのSi−H1基及びSi−H2基に帰属される1H、4.3〜4.5ppmのSi−H3に帰属される1H、0.8〜1.9ppmのN−H基に帰属される1Hに加えて、7.5〜7.7ppmのフェニル基のC−H基に帰属される1H及び0.3〜0.5ppmのSi−Me基に帰属される1Hが観測された。 1H−NMRデータを図4に示す。得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザン(10重量%キシレン溶液)を室温、大気雰囲気中で20日間放置し、数平均分子量を測定したところ、放置前と変わらず1500であった。
【0075】
実施例2
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例2で合成したポリメチル(ヒドロ)シラザン10gとキシレン80gを導入した。これにトリエチルアミン10gを添加して、スターラーでよく攪拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、トリエチルアミン17gとチッソ社製の1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン3.0gをよく混合して、容量50mlのガラス製ビューレットに注入した。これを、上記のポリシラザン溶液にスターラーでよく攪拌しながら、ゆっくり約10分かけて滴下した。反応は、穏やかな発熱とガスの発生を伴って進行した。滴下終了後、約30分間攪拌しながら、放置した。引き続き、ロータリーエバポレーターを用いて、溶液中のトリエチルアミンを留去し、10重量%のフェニルシリル基架橋ポリシラザンキシレン溶液を得た。
得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザンの数平均分子量を、ポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1600であった。得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザン(10重量%キシレン溶液)を室温、大気雰囲気中で20日間放置し、数平均分子量を測定したところ、放置前と変わらず1600であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンの赤外吸収スペクトルを示す。
【図2】参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザンの赤外吸収スペクトルを示す。
【図3】実施例1で得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザンの赤外吸収スペクトルを示す。
【図4】実施例1で得られたフェニルシリル基架橋ポリシラザンの 1H−NMRスペクトルを示す。
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