JP4053105B2 - シリカ質セラミックス被膜の形成方法及び同方法で形成されたセラミックス被膜 - Google Patents
シリカ質セラミックス被膜の形成方法及び同方法で形成されたセラミックス被膜 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカ質セラミックス被膜の形成方法及び同方法で形成されたセラミックス被膜に関し、詳しくは耐熱性、耐摩耗性、耐蝕性等に優れ且つ緻密性、均質性に優れているのみならず、例えば半導体絶縁膜に適用する場合にも半導体素子に悪影響を与えないシリカ質セラミックス被膜の形成方法及び同方法で形成されたシリカ質セラミックス被膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリカ質被膜は、その優れた耐熱性、耐摩耗性、耐蝕性等の面から、例えば半導体装置における半導体基板と金属配線層との間、金属配線層間、あるいは半導体基板上の各種素子上に設けられる絶縁膜として、また液晶表示装置におけるガラス基板とITO膜との間、透明電極と配向膜との間等に設けられる絶縁膜として、あるいは画素電極ないしカラーフィルター上に設けられる保護膜として、用いられている。
このような分野で用いられるシリカ質被膜は、一般にCVD法、スパッタリング法等の気相成長法あるいはシリカ質被膜形成用塗布液を用いる塗布法によって基板上に形成されている。ただ、気相成長法によると、手間がかかると共に大きな設備を必要とし、しかも凹凸面上に被膜を形成する場合に凹凸面の平坦化ができない等の問題があるため、近年は塗布法が広く採用されている。
【0003】
一方、近年、シリカ、窒化珪素、酸窒化珪素の前駆体ポリマーであるポリシラザンが、耐熱性、耐摩耗性、耐蝕性等に優れたシリカ質コーティング膜を形成し得るため、注目されており、シクロシラザン重合物あるいはポリシラザンを含有するシリカ質被膜形成用塗布液が提案されている(特開昭62−88327号公報、特開平1−203476号公報)。
しかし、このような塗布液を用いてSi−N結合の大部分がSi−O結合に変化したシリカ質被膜を得る場合には、900℃程度にまで加熱しなければならないとか、ボイド、ピンホール、クラック等が被膜に生じやすいといった問題点がある。
【0004】
このような点を解決するために、下記一般式(II)
【化2】
(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基である。)
で表わされる繰り返し単位を有するポリシラザンを含む塗布液から形成された塗膜を、酸化雰囲気中で加熱硬化してなるシリカ系絶縁膜を有する半導体装置(WO93/02472明細書)や、上記一般式(II)で示される繰り返し単位を有するポリシラザンとシロキサン結合を有するケイ素化合物とを混合して形成されてなるシリカ系被膜形成用塗布液(特開平6−73340号公報)が提案されている。
【0005】
たしかに、これらの塗布液を用いてシリカ質被膜を形成すると、ペルヒドロポリシラザンの場合は450℃程度の焼成によって、またオルガノポリシラザンの場合は800℃程度の焼成によって、緻密性、耐クラック性等に優れたシリカ質被膜を得ることができる。
ただ、半導体装置、液晶表示装置等の製造という観点からは、上記のような焼成温度は高すぎ、シリカ質被膜の低温形成性という点で、まだ不充分である。また、従来の方法では、ポリシラザンの低分子量成分が、加熱時に飛散し、被膜のロスや焼成装置の汚染を起こし、実用的でなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、このような問題を解決するために、本発明者らは、先に、ポリシラザン又はその変成物を基材上に塗布する前又は塗布した後に、前記ポリシラザン又はその変成物にアミン類及び/又は酸類を接触させ、更に水蒸気を含む雰囲気(系)中で硬化焼成することにより、従来より低い温度でしかも緻密で且つ表面が均質なシリカ系被膜を有する基材を製造する方法を提案した(特願平7−344767号)。ただ、該方法によっても、半導体絶縁膜等に用いるシリカ薄膜を形成する場合には、更に穏和な条件が望まれる。と言うのは、ポリシラザン薄膜を大気中で焼成して高純度シリカ薄膜を得る技術を半導体絶縁膜等に用いる場合、焼成温度はAl配線の耐熱温度の約450℃が上限となるが、ポリシラザン薄膜を450℃で完全にシリカに転化するためには、雰囲気に水蒸気を導入する必要があり、しかも高温の水蒸気は半導体素子に悪影響を与える可能性があるためである。その結果、乾燥大気中450℃以下でシリカ転化できるプロセスが望まれている。
【0007】
従って、本発明は耐摩耗性、耐熱性、耐蝕性等に優れているのみならず、乾燥雰囲気中、450℃以下でシリカ転化することができ、しかも緻密性(エッチングレート)に優れ、例えば半導体装置、液晶表示装置等の絶縁膜、配向膜等として利用する場合にも、それらの装置に悪影響を与えず、被膜のロスや焼成装置の汚染を起こさないシリカ質セラミックス被膜の形成方法並びに同方法によって形成されたシリカ質セラミックス被膜を提供することを、その目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、主として下記一般式(I)
【化1】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくはこれらの基以外でフルオロアルキル基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。但し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素原子である。)
で表される構造単位からなる骨格を有する数平均分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はその変性物を基材上に塗布後、0℃〜100℃の温度でアミン類及び水蒸気と接触させた後、乾燥雰囲気中で焼成することを特徴とするシリカ質セラミックス被膜の形成方法が提供される。
第二に、上記第一に記載した方法で形成されたシリカ質セラミックス被膜が提供される。
【0009】
なお、本発明の実施態様をまとめると、次のようになる。
(1)前記ポリシラザンの変性物がPd又はPtを添加したものである上記第一に記載したシリカ質セラミックス被膜の形成方法。
(2)前記ポリシラザンの変性物がHMDSを添加したものである上記第一に記載したシリカ質セラミックス被膜の形成方法。
(3)前記ポリシラザンの変性物が、アルコールを添加したものである上記に記載したシリカ質セラミックス被膜の形成方法。
【0010】
すなわち、本発明のシリカ質セラミックス被膜の形成方法は、前記一般式(I)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はその変性物〔以下単に一般式(I)の単位を有するポリシラザンと記す〕を基材上に塗布した後、該ポリシラザン又はその変性物をセラミックス化することにより該基材上にシリカ質セラミックス被膜を形成するに当たり、前記ポリシラザン又はその変性物を基材上に塗布後、0℃〜100℃の温度でアミン類及び水蒸気と接触させた後、乾燥雰囲気中で焼成することにより、セラミックス化するものとしたことから、前記ポリシラザン又はその変性物が乾燥雰囲気中で450℃以下で完全に転化されるので、半導体素子に悪影響を与えることはほとんどなく、しかも緻密で且つ表面が均質なシリカ質セラミックス被膜が得られるものとなる。また、本方法によると、アミン類は焼成中に完全に膜外に飛散し、また低温で導入される水蒸気が半導体素子に悪影響を与える可能性は極めて小さい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のシリカ質セラミックス被膜の形成方法は、主として前記一般式(I)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はその変性物を基材上に塗布した後、該ポリシラザン又はその変性物を0℃〜100℃の温度でアミン類及び水蒸気と接触させた後、乾燥雰囲気中で焼成することを特徴とする。
【0012】
近年の超LSI等の半導体回路は、集積度を高めるため階段状に積層させるケースが主流である。従って、内部応力が大きいと、積層時にクラックが発生しやすい。
ところが、本発明の方法は、まずポリシラザン被膜を室温付近の低温で、アミン類を触媒として水蒸気によって酸化する。この時点で、ポリシラザンの30%以上がシリカへ転化する。そして、その後、乾燥雰囲気中で焼成することにより完全にシリカへ転化する。このため、水蒸気を含む高温大気中でシリカへ転化する従来方法と比較して、膜収縮が小さく、内部応力が小さくなる。
【0013】
ポリシラザンは分子量数百〜数万の広い分子量を持つ。このため、ポリシラザン被膜を加熱すると低分子量成分が沸点に達し、蒸気となって飛散する。この蒸気が加熱装置内に付着し、パーティクルの原因となる可能性がある。ところが、本発明の方法では、室温でアミン類と水蒸気により、低分子量成分を高分子量化及びシリカ転化させるため、その後の加熱時にポリシラザン蒸気の発生はない。また、このため、膜収率、すなわちポリシラザン被膜から得られるシリカ膜厚(重量)が従来方法と比較して大きい。
【0014】
本発明で用いるポリシラザンは、分子内に少なくともSi−H結合、あるいはN−H結合を有するポリシラザンであればよく、ポリシラザン単独は勿論のこと、ポリシラザンと他のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物との混合物でも利用できる。
用いるポリシラザンには、鎖状、環状、あるいは架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、これら単独でもあるいは混合物でも利用できる。
【0015】
用いるポリシラザンの代表例としては下記のようなものがあるが、これらに限定されるものではない。
一般式(I)でR1、R2及びR3に水素原子を有するものは、ペルヒドロポリシラザンであり、その製造方法は例えば特開昭60−145903号公報、D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc.,C−13,January 1983.に報告されている。これらの方法で得られるものは、種々の構造を有するポリマーの混合物であるが、基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を含み、
【化3】
の化学式で表すことができる。
【0016】
ペルヒドロポリシラザンの構造の一例を示すと下記の如くである。
【化4】
【0017】
一般式(I)でR1及びR2に水素原子、R3にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D.SeyferthらPolym.Prepr.Am.Chem.Soc.,Div.Polym.Chem,.25,10(1984)に報告されている。この方法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−(SiH2NCH3)−の鎖状ポリマーと環状ポリマーであり、いずれも架橋構造をもたない。
【0018】
一般式(I)でR1及びR2に水素原子、R3に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの製造法は、D.SeyferthらPolym.Prepr.Am.Chem.Soc.,Div.Polym.Chem,.25,10(1984)、特開昭61−89230号公報に報告されている。これら方法により得られるポリシラザンには、−(R2SiHNH)−を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状構造を有するものや(R3SiHNH)x〔(R2SiH)1.5N〕1-X(0.4<X<1)の化学式で示される分子内に鎖状構造と環状構造を同時に有するものがある。
【0019】
一般式(I)でR1に水素原子、R2、R3に有機基を有するポリシラザン、またR1及びR2に有機基、R3に水素原子を有するものは−(R1R2SiNR3)−を繰り返し単位として、主に重合度が3〜5の環状構造を有している。
【0020】
次に、用いるポリシラザンの内、一般式(I)以外のものの代表例を挙げる。ポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの中には、D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc.C−132,July 1984.が報告されている様な分子内に架橋構造を有するものもある。一例を示すと下記の如くである。
【化5】
【0021】
また、特開昭49−69717号公報に報告されている様なR1SiX3(X:ハロゲン)のアンモニア分解によって得られる架橋構造を有するポリシラザンR1Si(NH)x、あるいはR1SiX3及びR2 2SiX2の共アンモニア分解によって得られる下記の構造を有するポリシラザンも出発材料として用いることができる。
【化6】
【0022】
用いるポリシラザンは、上記の如く一般式(I)で表される単位からなる主骨格を有するが、一般式(I)表される単位は、上記にも明らかな如く環状化することがあり、その場合にはその環状部分が末端基となり、このような環状化がされない場合には、主骨格の末端はR1、R2、R3と同様の基又は水素原子であることができる。
【0023】
また、ポリシラザン変性物として、例えば下記の構造(式中、側鎖の金属原子であるMは架橋をなしていてもよい)のように金属原子を含むポリメタロシラザンも出発材料として用いることができる。
【化7】
【0024】
その他、特開昭62−195024号公報に報告されているような繰り返し単位が〔(SiH2)n(NH)m〕及び〔(SiH2)rO〕(これら式中、n、m、rはそれぞれ1、2又は3である)で表されるポリシロキサザン、特開平2−84437号公報に報告されているようなポリシラザンにボロン化合物を反応させて製造する耐熱性に優れたポリボロシラザン、特開昭63−81122号、同63−191832号、特開平2−77427号各公報に報告されているようなポリシラザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造するポリメタロシラザン、特開平1−138108号、同1−138107号、同1−203429号、同1−203430号、同4−63833号、同3−320167号各公報に報告されているような分子量を増加させたり(上記公報の前4者)、耐加水分解性を向上させた(後2者)、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン、特開平2−175726号、同5−86200号、同5−331293号、同3−31326号各公報に報告されているようなポリシラザンに有機成分を導入した厚膜化に有利な共重合シラザン、特開平5−238827号公報、特開平6−122852号、特開平6−29918号、特開平6−306329号、特開平6−240208号、特開平7−196986号各公報に報告されているようなポリシラザンにセラミックス化を促進するための触媒的化合物を付加又は添加したプラスチックスやアルミニウムなどの金属への施工が可能で、より低温でセラミックス化する低温セラミックス化ポリシラザンなども同様に使用できる。
【0025】
本発明では、更に、以下のような低温セラミックス化ポリシラザンを使用することできる。例えば、本願出願人による特開平5−238827号公報に記載されているケイ素アルコキシド付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、下記一般式(III):
Si(OR4)4 (III)
(式中、R4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基又はアリール基を表し、少なくとも1個のR4は上記アルキル基又はアリール基である)で表されるケイ素アルコキシドを加熱反応させて得られる、アルコキシド由来ケイ素/ポリシラザン由来ケイ素原子比が0.001〜3の範囲内且つ数平均分子量が約200〜50万のケイ素アルコキシド付加ポリシラザンである。
【0026】
低温セラミックス化ポリシラザンの別の例として、本出願人による特開平6−122852号公報に記載されているグリシドール付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンとグリシドールを反応させて得られる、グリシドール/ポリシラザン重量比が0.001〜2の範囲内且つ数平均分子量が約200〜50万のグリシドール付加ポリシラザンである。
【0027】
低温セラミックス化ポリシラザンの更に別の例として、本願出願人による特開平6−306329号公報に記載されているアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、金属としてニッケル、白金、パラジウム又はアルミニウムを含むアセチルアセトナト錯体を反応させて得られる、アセチルアセトナト錯体/ポリシラザン重量比が0.000001〜2の範囲内且つ数平均分子量が約200〜50万のアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンである。前記の金属を含むアセチルアセトナト錯体は、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じた陰イオンacac-が金属原子に配位した錯体であり、一般に式(CH3COCHCOCH3)nM〔式中、Mはn価の金属を表す〕で表される。
【0028】
低温セラミックス化ポリシラザンのまた別の例として、本願出願人による特開平6−299118号公報に記載されている金属カルボン酸塩付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、ニッケル、チタン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニウム、オスミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウムの群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属カルボン酸塩を反応させて得られる、金属カルボン酸塩//ポリシラザン重量比が0.000001〜2の範囲内且つ数平均分子量が約200〜50万の金属カルボン酸塩付加ポリシラザンである。上記金属カルボン酸塩は、式(RCOO)nM〔式中、Rは炭素原子数1〜22個の脂肪族基又は脂環式基であり、Mは上記金属群から選択される少なくとも1種の金属を表し、そしてnは金属Mの原子価である〕で表される化合物である。上記金属カルボン酸塩は無水物であっても水和物であってもよい。また、金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比は好ましくは0.001〜1、より好ましくは0.01〜0.5である。金属カルボン酸塩付加ポリシラザンの調製については、上記特願平5−93275号明細書を参照されたい。
【0029】
その他、有機、無機ポリシラザンに、アルコール、エステル、アルデヒド、イソシアネート、アミド、メルカプタンを反応させたものを使用可能である。(特開平5−345826号、特開平6−240208号各公報)。また、HMDS等のシリル化剤で安定化したポリシラザンも使用可能である(特開平4−630号公報)。
【0030】
本発明のシリカ質セラミックス形成方法においては、前記ポリシラザン(変性物)を基材に塗布した後に、低温でアミン類及び水蒸気と接触させ、その後に乾燥雰囲気中で焼成する。すなわち、まず前記ポリシラザン(変性物)を基材に塗布する処理が行なわれる。該処理に当たっては、前記ポリシラザン(変性物)を有機溶媒に溶解し塗布液を調製する。この場合の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、次のものが挙げられる。
【0031】
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン等の芳香族化合物;n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカン等の飽和炭化水素化合物;エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、p−メンタン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;MIBK等のケトン類など。
【0032】
調製された塗布液は、次に基材上に塗布される。基材への塗布は、1回でもよいし、2回以上繰り返し行ってもよい。塗布液を塗布する基材は、特に限定されず、金属、セラミックス、プラスチック等のいずれでもよい。塗布手段としては、通常の塗布方法、つまりスピンコート法、ディップ法、スプレー法、転写法などが用いられる。また、塗布前に基材をヤスリがけ、脱脂、各種プラスト等で表面処理しておくと、ポリシラザン(変性物)の付着性能が向上する。
【0033】
基板上に塗布された前記ポリシラザン(変性物)は、次に低温でアミン類及び水蒸気と接触される。
ここで用いられるアミン類には、例えば下記一般式(IV)で表されるアミン類に加えて、ピリジン類やDBU、DBNなども含まれるし、酸類には有機酸や無機酸が含まれる。
一般式(IV)
R4R5R6N (IV)
(式中、R4〜R6はそれぞれは水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。)
その具体例としては、次のものが挙げられる。
メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン等。(なお、炭化水素鎖は直鎖でも分枝鎖でもよい。)
【0034】
また、ピリジン類としては、例えば、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン等が挙げられ、更に、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕5−ノネン)なども使用できる。
【0035】
前記ポリシラザン(変性物)とアミン類及び水蒸気との接触方法には、▲1▼ポリシラザン(変性物)をアミン類の蒸気と水蒸気の混合ガス雰囲気中にさらす、▲2▼アミン類の水溶液に浸漬する、という二つの方法がある。
上記▲1▼の方法においては、アミン類の蒸気と水蒸気の濃度は、アミン類蒸気/水蒸気比=0.01〜100、好ましくは0.1〜10であり、アミン類の蒸気と水蒸気の圧力は0.0001〜5kg/cm2G、好ましくは0.0001〜0.5kg/cm2Gである。希釈する場合の希釈ガスとしては、空気、不活性ガスを用いることができる。ポリシラザン(変性物)とアミン類の蒸気及び水蒸気との接触温度は0℃〜100℃、好ましくは10℃〜30℃であり、ポリシラザン(変性物)とアミン類及び水蒸気との接触時間は0.1秒〜30分、好ましくは5秒〜3分である。
上記▲2▼の方法においては、アミン類の水溶液中のアミン類濃度は0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜10重量%であり、アミン類の水溶液の温度は0℃〜100℃、好ましくは10℃〜50℃であり、ポリシラザン(変性物)とアミン類の水溶液との接触時間は0.1秒〜30分、好ましくは5秒〜3分である。
【0036】
前記ポリシラザン(変性物)は、上記のアミン類の蒸気及び水蒸気との接触により、その30%以上がシリカに転化され、その後に乾燥雰囲気中で焼成することによって、ポリシラザン(変性物)は完全にシリカに転化される。この焼成工程は乾燥雰囲気、すなわち乾燥空気、乾燥窒素、乾燥Heなど水蒸気を含まない雰囲気中で行われ、焼成温度200℃以上、好ましくは350〜450℃以上で、且つ焼成時間5分以上、好ましくは30分以上で実施される。
【0037】
本発明の前記の低温でのアミン類及び水蒸気との接触処理と、それに続く乾燥雰囲気中の焼成処理によって、ポリシラザン(変性物)中のSi−N、Si−H、N−H結合等は消失し、Si−O結合を主体とする強靭なシリカ質セラミックス被膜の形成が可能となる。
【0038】
本発明のシリカシリカ質セラミックス被膜が付された基材は、例えば半導体装置、液晶表示装置、位相シフタ付フォトマスク、多層配線構造を有するLSI素子及びプリント回路基板、ハイブリッドIC、アルミナ基板などの電子部品、三層レジストなどとして利用される。
【0039】
詳しく言うと、例えば半導体装置では、半導体基板と金属配線層との間、金属配線層間にシリカ質セラミックス被膜が形成され、半導体基板上に設けられたPN接合半導体、及びコンデンサー素子、抵抗素子などの各種素子がシリカ質セラミックス被膜で被膜され、これらの素子によって形成された凹凸面が平坦化される。
また、液晶表示装置における液晶表示セルでは、透明電極板の透明基板と透明電極との間に、更に透明電極上に配向膜を有する透明電極板の透明電極と配向膜の間に、シリカ質セラミックス被膜が形成され、カラー液晶表示装置における液晶表示セルでは、電極板の画素電極上及び対向電極板のカラーフィルター上にシリカ質被膜が形成され、画素電極及びカラーフィルターによって形成された凹凸面が該シリカ質被膜によって平坦化される。
更に、位相シフタ付フォトマスクの位相シフタ及び三層レジストの中間層がシリカ質セラミックス被膜で構成され、上記電子部品においても半導体装置と同様にシリカ質セラミックス被膜が設けられ、シリカ質セラミックス絶縁膜と被塗布面が該シリカ質セラミックス被膜によって平坦化される。
【0040】
本発明のシリカ質セラミックス被膜は、前記ポリシラザン(変性物)を含む塗布液を上記のような基材上に塗布した後、前記の低温でのアミン類及び水蒸気との接触処理、及びそれに続く乾燥雰囲気中での焼成処理を行うことによって形成されたものである。シリカ質被膜は、通常0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらにより限定されるものではない。
【0042】
参考例1[ペルヒドロポリシラザンの合成]
内容積1lの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに脱気した乾燥ピリジンを490ml入れ、これを氷冷した。次に、ジクロロシラン51.9gを加えると、白色固体状のアダクト(SiH2Cl2・2C5H5N)が生成した。反応混合物を氷冷し、撹拌しながら水酸化ナトリウム管及び活性炭管を通して精製したアンモニア51.0gを吹き込んだ後、100℃に加熱した。
【0043】
反応終了後、反応混合物を遠心分離し、乾燥ピリジンを用いて洗浄した後、更に乾燥窒素雰囲気下で濾過して濾液850mlを得た。濾液5mlから溶媒を減圧除去すると、樹脂状固体ペルヒドロポリシラザン0.102gが得られた。
【0044】
得られたポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法で(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、1120であった。IR(赤外吸収)スペクトル(溶媒:乾燥o−キシレン;ペルヒドロポリシラザンの濃度:10.2g/l)は、波数(cm-1)3390、及び1180のN−Hに基づく吸収:2170のSi−Hに基づく吸収:1040〜800のSi−N−Siに基づく吸収を示した。IRスペクトルを図1に示す。
【0045】
参考例2[ポリメチル(ヒドロ)シラザンの合成]
内容積500mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコにメチルジクロロシラン(CH3SiHCl2、24.3g,0.221mol)と乾燥ジクロロメタン300mlを入れた。反応混合物を氷冷し、撹拌しながら乾燥アンモニア20.5g(1.20mol)を窒素ガスと共に吹き込んでアンモニア分解を行った。
【0046】
反応終了後、反応混合物を遠心分離した後、濾過した。濾液から溶媒を減圧除去し、ポリメチル(ヒドロ)シラザンを無色の液体として8.79g得た。生成物の数平均分子量を凝固点降下法で(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定したところ、310であった。
【0047】
内容積100mlの四つ口フラスコにガス導入管、温度計、コンデンサー及び滴下ロートを装着し、反応系内をアルゴンガスで置換した。四つ口フラスコにテトラヒドロフラン12ml及び水酸化カリウム0.189g(4.71mol)を入れ、磁気撹拌を開始した。滴下ロートに上述のポリメチル(ヒドロ)シラザン5.00g及び乾燥テトラヒドロフラン50mlを入れ、これを水酸化カリウムに滴下した。室温で1時間反応させた後、滴下ロートにヨウ化メタン1.60g(11.3mmol)、及び乾燥テトラヒドロフラン1mlを入れ、これを反応溶液に滴下した。室温で3時間反応させた後、反応混合物の溶媒を減圧除去し、乾燥n−ヘキサン40mlを加えて遠心分離し、濾過した。濾液の溶媒を減圧除去すると、ポリメチル(ヒドロ)シラザンが白色粉末として4.85g得られた。
【0048】
生成したポリマーの数平均分子量は1060であった。IR(赤外吸収)スペクトル〔溶媒:乾燥o−キシレン;ポリメチル(ヒドロ)シラザンの濃度:43.2g/l〕は、波数(cm-1)3380、及び1170のN−Hに基づく吸収:2140のSi−Hに基づく吸収:1250のSi−CH3に基づく吸収を示した。IRスペクトルを図2に示す。
【0049】
比較例1
参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレンに溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し(3000rpm、20秒)、室温で乾燥させた(10分)。この時のIRスペクトルは図1のペルヒドロポリシラザンのIRスペクトルと同等であった。また、ポリシラザン被膜の重量は6.0mgであった。続いて、このペルヒドロポリシラザンを塗布したシリコン板を250℃のホットプレート上で3分間加熱した。この時、多量の発煙が観察された。被膜重量は4.8mgであった。引き続き、これを乾燥空気雰囲気中400℃で1時間焼成した。被膜重量は5.2mgであった。
【0050】
焼成後のIRスペクトルを図3に示す。図1と比較すると波数(cm-1)1100のSi−Oに基づく吸収の成長が見られるが、未反応のポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3350のN−Hに基づく吸収:2190のSi−Hに基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づく吸収が多く残存している。
【0051】
比較例2
参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレンに溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し(3000rpm、20秒)、室温で乾燥させた(10分)。この時のIRスペクトルは図1のペルヒドロポリシラザンのIRスペクトルと同等であった。また、ポリシラザン被膜の重量は6.0mgであった。続いて、このペルヒドロポリシラザンを塗布したシリコン板を250℃のホットプレート上で3分間加熱した。この時、多量の発煙が観察された。被膜重量は4.8mgであった。引き続き、これを加湿空気(25℃での相対湿度80%)雰囲気中400℃で1時間焼成した。被膜重量は5.5mgであった。
【0052】
被膜の応力をテンコール・インスツルメンツ社製Model.FLX2320にて測定した(室温)ところ、2.5x108dyn/cm2であった。焼成後のIRスペクトルを図4に示す。図1と比較すると波数(cm-1)1100のSi−Oに基づく吸収の成長が見られ、未反応のポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3350のN−Hに基づく吸収:2190のSi−Hに基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づく吸収はほとんど消失した。
【0053】
実施例1
参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレンに溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し(3000rpm、20秒)、室温で乾燥させた(10分)。この時のIRスペクトルは図1のペルヒドロポリシラザンのIRスペクトルと同等であった。また、ポリシラザン被膜の重量は6.0mgであった。次に、これを容量2lの出入り口付きのガラス製デシケーター中に入れた。そして、このデシケーターに室温でモノメチルアミン、水蒸気、乾燥窒素をそれぞれ200ml/min、25ml/min、2000ml/minの流速で3分間注入した。なお、水蒸気は容量100mlのガラス製バブラーを用いて供給した。続いて、この試料を250℃のホットプレート上で3分間加熱した。この時、発煙は全く観察されなかった。被膜重量は6.6mgであった。引き続き、これを乾燥空気雰囲気中400℃で1時間焼成した。被膜重量は6.8mgであった。
【0054】
被膜の応力をテンコール・インスツルメンツ社製Model.FLX2320にて測定した(室温)ところ、5x108dyn/cm2であった。焼成後のIRスペクトルを図5に示す。図1と比較すると波数(cm-1)1100のSi−Oに基づく吸収の成長が見られ、未反応のポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3350及び1200のN−Hに基づく吸収:2190のSi−Hに基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づく吸収はほとんど消失した。
【0055】
実施例2
参考例2で合成したポリメチル(ヒドロ)シラザンをキシレンに溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し(3000rpm、20秒)、室温で乾燥させた(10分)。この時のIRスペクトルは図2のポリメチル(ヒドロ)シラザンのIRスペクトルと同等であった。また、ポリシラザン被膜の重量は5.8mgであった。次に、これを容量2lの出入り口付きのガラス製デシケーター中に入れた。そして、このデシケーターに室温でモノメチルアミン、水蒸気、乾燥窒素をそれぞれ200ml/min、25ml/min、2000ml/minの流速で3分間注入した。なお、水蒸気は容量100mlのガラス製バブラーを用いて供給した。続いて、この試料を250℃のホットプレート上で3分間加熱した。この時、発煙は全く観察されなかった。被膜重量は6.1mgであった。引き続き、これを乾燥空気雰囲気中400℃で1時間焼成した。被膜重量は6.3mgであった。
【0056】
被膜の応力をテンコール・インスツルメンツ社製Model.FLX2320にて測定した(室温)ところ、2x108dyn/cm2であった。焼成後のIRスペクトルを図6に示す。図1と比較すると波数(cm-1)1100のSi−Oに基づく吸収の成長が見られ、未反応のポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3350及び1200のN−Hに基づく吸収:2190のSi−Hに基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づく吸収はほとんど消失した。
【0057】
実施例3
参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレンに溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し(3000rpm、20秒)、室温で乾燥させた(10分)。この時のIRスペクトルは図1のペルヒドロポリシラザンのIRスペクトルと同等であった。また、ポリシラザン被膜の重量は6.0mgであった。次に、容量2lのガラス製ビーカーにトリエチルアミン10gと純水400gを注入しよく撹拌した。そして、ポリシラザン被膜付きシリコン板をこのビーカーの気相部分に室温で3分間つるし、トリエチルアミン水溶液から発生する蒸気に接触させた。続いて、この試料を250℃のホットプレート上で3分間加熱した。この時、発煙は全く観察されなかった。被膜重量は6.1mgであった。引き続き、これを乾燥空気雰囲気中400℃で1時間焼成した。被膜重量は6.4mgであった。
【0058】
被膜の応力をテンコール・インスツルメンツ社製Model.FLX2320にて測定した(室温)ところ、8x108dyn/cm2であった。焼成後のIRスペクトルを図7に示す。図1と比較すると波数(cm-1)1100のSi−Oに基づく吸収の成長が見られ、未反応のポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3350及び1200のN−Hに基づく吸収:2190のSi−Hに基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づく吸収はほとんど消失した。
【0059】
実施例4
参考例1で合成したペルヒドロポリシラザンをキシレンに溶解し(20wt%)、これを直径4インチ、厚さ0.5mmのシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布し(3000rpm、20秒)、室温で乾燥させた(10分)。この時のIRスペクトルは図1のペルヒドロポリシラザンのIRスペクトルと同等であった。また、ポリシラザン被膜の重量は6.0mgであった。次に、これを容量2lのガラス製ビーカーにn−ペンチルアミン30gと純水1000gを注入しよく撹拌した。そして、ポリシラザン被膜付きシリコン板をこのビーカーの液中に室温で3分間浸漬した。その後、試料を室温で放置し、よく乾燥させた。続いて、この試料を250℃のホットプレート上で3分間加熱した。この時、発煙は全く観察されなかった。被膜重量は6.5mgであった。引き続き、これを乾燥雰囲気中400℃で1時間焼成した。被膜重量は6.7mgであった。
【0060】
被膜の応力をテンコール・インスツルメンツ社製Model.FLX2320にて測定した(室温)ところ、6x108dyn/cm2であった。焼成後のIRスペクトルを図8に示す。図1と比較すると波数(cm-1)1100のSi−Oに基づく吸収の成長が見られ、未反応のポリシラザン、すなわち波数(cm-1)3350及び1200のN−Hに基づく吸収:2190のSi−Hに基づく吸収:1020〜820のSi−N−Siに基づく吸収はほとんど消失した。
【0061】
【発明の効果】
請求項1のシリカ質セラミックス被膜の形成方法は、主として前記一般式(I)で表わされる構造単位からなる骨格を有する数平均分子量が約100〜50,000のポリシラザン又はその変性物を基材上に塗布後、0℃〜100℃の温度でアミン類及び水蒸気と接触させた後、乾燥雰囲気中で焼成するという構成としたことから、本方法によると、乾燥雰囲気中で450℃以下で完全にシリカに転化され、半導体素子等に悪影響を与えることなしに、緻密で且つ表面が均質なシリカ質セラミックス被膜が得られる。また、本方法によると、アミン類は焼成中に完全に膜外に飛散する。
【0062】
請求項2のシリカ質セラミックス被膜は、請求項1の方法で形成されたものであることから、耐摩耗性、耐熱性、耐蝕性等に優れている上に、緻密で均質なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンのIRスペクトル図である。
【図2】参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラザンのIRスペクトル図である。
【図3】比較例1で得られたポリシラザン処理品のIRスペクトル図である。
【図4】比較例2で得られたポリシラザン処理品のIRスペクトル図である。
【図5】実施例1で得られたポリシラザン処理品のIRスペクトル図である。
【図6】実施例2で得られたポリシラザン処理品のIRスペクトル図である。
【図7】実施例3で得られたポリシラザン処理品のIRスペクトル図である。
【図8】実施例4で得られたポリシラザン処理品のIRスペクトル図である。
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