JP3993330B2 - SiO2系セラミックス膜の形成方法 - Google Patents

SiO2系セラミックス膜の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材上にポリシラザン由来のSiO2 系セラミックス膜を形成する方法に、より詳細には、基材に対する密着性の高いセラミックス膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックフィルムをはじめとする耐熱性の低い材料にガスバリヤ性、耐擦傷性、耐熱性、耐蝕性、平坦化性、イオンバリア性、等を付与すべく、ポリシラザンを塗布して実質的にSiO2 から成るセラミックス膜を低温で且つ迅速に形成することができる技術が開発されている。
例えば、本出願人による特開平8−112879号公報に、プラスチックフィルムの少なくとも片面上にポリシラザンの膜を形成して該膜をセラミックス化する工程を含むことを特徴とするSiO2 被覆プラスチックフィルムの製造方法が記載されている。ここで用いられているポリシラザンは低温セラミックス化ポリシラザンと呼ばれ、様々なポリシラザン変性物が開示されている。中でも、特に好適な低温セラミックス化ポリシラザンとして特開平6−299118号公報に記載されている金属カルボン酸塩付加ポリシラザンが挙げられ、さらには該金属がパラジウム(Pd)であるポリシラザン変性物がより好ましいことが記載されている。
【0003】
また、本出願人による特願平7−341601号明細書に、特定のポリシラザン又はその変性物を塗布する前又は塗布した後にこれにアミン化合物及び/又は酸化合物を接触させることを特徴とするプラスチックフィルムにSiO2 系セラミックスを被覆する方法が記載されている。さらに、このアミン化合物及び/又は酸化合物を接触させる方法として、塗布前にポリシラザン又はその変性物にアミン化合物及び/又は酸化合物を添加する第一の態様と、塗布後にポリシラザン塗膜をアミン化合物及び/又は酸化合物の蒸気に暴露する第二の態様と、そして塗布後にポリシラザン塗膜をアミン化合物及び/又は酸化合物を含む水溶液に浸漬する第三の態様とが記載されている。
【0004】
このようなポリシラザンの塗膜の形成には、一般にポリシラザンを有機溶剤に溶かしたコーティング組成物が用いられる。したがって、使用される有機溶剤に侵される基材にはポリシラザン溶液を塗布することができない。
また、基材によっては得られるポリシラザンの塗膜、ひいてはセラミックス膜の基材に対する密着性が不十分で、実用に供することができない場合もある。
【0005】
特開平9−39161号公報に、プラスチックフィルムに耐溶剤性を付与すると共にポリシラザン膜の当該フィルムに対する密着性を向上させるために、プラスチックフィルムとポリシラザン膜の間に、エポキシ硬化樹脂、フェノキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂のグループの内から選択した少なくとも1種類を50重量%以上含有する樹脂からなる中間層を設けることを特徴とする積層フィルムの製造方法が記載されている。
しかしながら、特開平9−39161号公報には、当該中間層としてシランカップリング剤を含むプライマー層を設ける旨の開示や示唆はない。
【0006】
また、特開平9−174782号公報に、中間層を設けることなくポリカーボネート系のフィルムに耐溶剤性を付与するために、ポリシラザンと脂肪族炭化水素系溶媒を含む混合溶媒とを含むコーティング組成物を使用することにより当該フィルムに直接セラミックス層を積層することを特徴とする透明積層フィルムの製造方法が記載されている。
しかしながら、特開平9−174782号公報には、コーティング組成物にシランカップリング剤を添加する旨の開示も示唆もなければ、ポリシラザンの塗膜のフィルムに対する密着性を改良する意図もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、各種基材に耐溶剤性を付与すると共に、ポリシラザン膜の各種基材に対する密着性を高める方法を提供することにある。
本発明の第二の目的は、中間層を設けることなくポリシラザン膜の各種基材に対する密着性を高める方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記第一の目的は、
(A)基材上にポリシラザンを含む塗膜を形成し、前記塗膜をセラミックス化処理して実質的にSiO2 からなるセラミックス膜を形成する方法において、前記基材と前記塗膜の間にシランカップリング剤を含むプライマー層を設ける工程を含むことを特徴とする方法
によって達成される。
さらに、本発明によると、上記第二の目的は、
(B)ポリシラザン及びシランカップリング剤を含むコーティング組成物を調製し、次いで前記コーティング組成物の塗膜を基材上に形成し、その後前記塗膜をセラミックス化処理して実質的にSiO2 からなるセラミックス膜を形成することを特徴とする方法
によって達成される。
【0009】
上記(A)の構成を採ることにより、ポリシラザン塗膜用コーティング組成物に含まれる溶剤の種類を問わず、各種基材に耐溶剤性を付与すると共に、ポリシラザン膜ひいては実質的にSiO2 からなるセラミックス膜の各種基材に対する密着性を高めることができる。
また、上記(B)の構成を採ることにより、中間層を設けることなく、ポリシラザン膜ひいては実質的にSiO2 からなるセラミックス膜の各種基材に対する密着性を高めることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の方法(A)では、基材上にポリシラザンを含む塗膜を形成し、前記塗膜をセラミックス化処理して実質的にSiO2 からなるセラミックス膜を形成する方法において、前記基材と前記塗膜の間にシランカップリング剤を含むプライマー層を設ける工程が含まれる。シランカップリング剤を含むプライマー層を設ける工程には、シランカップリング剤を含むプライマー層用組成物の調製工程、当該プライマー層用組成物の塗布工程及びプライマー層の硬化工程が含まれる。
【0011】
本発明によるプライマー層用組成物の調製に用いられるシランカップリング剤は、一般にX−SiR3 で表される化合物である。ここで、Xは有機基と反応し得る官能基、例えば、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、チオール基、ハロゲン(例、塩素、臭素)、等を表し、また、Rは加水分解可能な基、例えば、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基)、ハロゲン(例、塩素、臭素)、等を表す。このようなシランカップリング剤の具体例を化学構造式で示す。
【0012】
【化1】
Figure 0003993330
【0013】
好ましいシランカップリング剤は、これを塗布する基材の種類によって異なる。例えば、塗布する基材がポリカーボネート又はポリイミドの樹脂である場合には、CH2 =CCH3 COOC3 6 Si(OCH3 3 〔日本ユニカー(株)A−174〕やNH2 3 6 Si(OC2 5 3 〔同A−1100〕を使用することが好ましい。特定の基材に対して好ましいシランカップリング剤の選定は、当業者であれば適宜行うことができる。
【0014】
本発明によるプライマー層用組成物には、加水分解及びシラノール基の生成を経てシランカップリング剤を重合させるためにアルコールと水を添加する。ここで添加されるアルコールは、シランカップリング剤がアルコキシ基を有する場合には、当該アルコキシ基のアルキル部分と同一のアルキル部分を有することが好ましい。例えば、メトキシ基(−OCH3 )を有するシランカップリング剤の場合にはメタノールを、エトキシ基(−OC2 5 )を有するシランカップリング剤の場合にはエタノールを使用することが好ましい。
【0015】
アルコールの添加量は、シランカップリング剤に対して40重量%〜99重量%、好ましくは50重量%〜60重量%とする。特に、アルコールの添加量が40重量%よりも少ないとシランカップリング剤の重合が不十分となり好ましくない。
水の添加量は、シランカップリング剤に対して0.01モル当量〜5モル当量、好ましくは0.1モル当量〜3モル当量とする。水の添加量が0.01モル当量よりも少ないとシランカップリング剤の重合が不十分となり好ましくない。また、水の添加量が5モル当量を超えると重合が急激に生じ、プライマー層が白濁するため好ましくない。水は蒸留水を使用することが好ましい。
【0016】
シランカップリング剤に対するアルコールと水の添加順序は、いずれを先にしても、または両方同時にしてもよいが、重合を急激に生じさせないためにはアルコールを先に添加してから水を添加することが好ましい。また、アルコールと水の添加は、シランカップリング剤を攪拌しながら徐々に添加(例、滴下)することが好ましい。
なお、所望によりシランカップリング剤に酸触媒を添加することができる。酸触媒としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、等が挙げられる。酸触媒の添加量は、最終的なプライマー層用組成物のpHが4〜6の範囲になるような量とすることが好ましい。酸触媒の添加は、基材に対する濡れ性を高めるため、上記アルコールの添加前とすることが好ましい。酸触媒を添加する場合、シランカップリング剤を攪拌しながら徐々に添加、好ましくは滴下することが好ましい。
【0017】
本発明によるプライマー層用組成物には、シランカップリング剤の重合速度を制御することによりプライマー層の白濁を防止するために、高沸点の有機溶媒を含めることが好ましい。ここで「高沸点」とは、一般に沸点が150℃よりも高いことをいう。また、当該有機溶媒は当該組成物の塗布時に基材と接触することになるため、基材を浸食しない溶媒を選ぶ必要がある。このような観点から好ましい高沸点有機溶媒として、ブチルセロソルブの商品名で知られているエチレングリコールモノブチルエーテル、トルエン、ブタノールが挙げられる。特に好ましい高沸点有機溶媒はブチルセロソルブである。高沸点有機溶媒は、プライマー層用組成物に対して50重量%〜99重量%、好ましくは80重量%〜99重量%の量で使用される。
【0018】
調製されたプライマー層用組成物を基材に塗布することによりプライマー層を形成させる。塗布方法は、通常実施されている塗布方法、例えば、浸漬塗布、ロール塗布、バー塗布、ウェブ塗布(グラビア、キス、キスメイヤバー、ダイ、フレキソ、等)、刷毛塗り、スプレー塗布、回転塗布、流し塗り等が用いられる。基材がプラスチックフィルムである場合(特に、長尺フィルムの場合)に好ましい適用方法はグラビア(リバース)塗布法である。
塗布後、硬化処理を施すことによりシランカップリング剤を重合させてプライマー層を完成させる。硬化処理は室温〜200℃、好ましくは80℃〜120℃で10分〜120分、好ましくは10分〜30分の熱処理を施すことにより行う。
【0019】
プライマー層の厚さは0.01〜10μmとすることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmとする。プライマー層の厚さが0.01μmより薄いと、後述のポリシラザンの溶剤が浸透して基材にまで到達する恐れが出てくる。一方、プライマー層の厚さが10μmより厚い場合には、クラックが発生する、等の問題が起こり得る。
【0020】
本発明の方法(A)では、基材上にプライマー層を設けた後、ポリシラザンを含む塗膜を形成し、当該塗膜をセラミックス化処理して実質的にSiO2 からなるセラミックス膜を形成する。
本発明で用いるポリシラザンは、分子内に少なくともSi−H結合又はN−H結合を有するポリシラザンであればよく、ポリシラザン単独は勿論のこと、ポリシラザンと他のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物との混合物でも利用できる。ポリシラザンには、鎖状、環状又は架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、これら単独でもあるいは混合物でも利用できる。ポリシラザンは下記一般式(I)で表される。
【0021】
【化2】
Figure 0003993330
【0022】
用いるポリシラザンの代表例としては下記のようなものがあるが、これらに限定されるものではない。得られる膜の硬度や緻密性の点からはペルヒドロポリシラザンが好ましく、可撓性の点ではオルガノポリシラザンが好ましい。これらポリシラザンの選択は、当業者であれば用途に合わせて適宜行うことができる。
上記一般式(I)でR1 、R2 及びR3 に水素原子を有するものは、ペルヒドロポリシラザンであり、その製造法は、例えば特公昭63−16325号公報、D. Seyferth らCommunication of Am. Cer. Soc., C-13, January 1983. に報告されている。これらの方法で得られるものは、種々の構造を有するポリマーの混合物であるが、基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を含み、
【0023】
【化3】
Figure 0003993330
【0024】
の化学式で表わすことができる。ペルヒドロポリシラザンの構造の一例を以下に示す。
【0025】
【化4】
Figure 0003993330
【0026】
一般式(I)でR1 及びR2 に水素原子、R3 にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D. Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem., 25, 10(1984)に報告されている。この方法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−(SiH2 NCH3 )−の鎖状ポリマーと環状ポリマーであり、いずれも架橋構造をもたない。
一般式(I)でR1 及びR3 に水素原子、R2 に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの製造法は、D. Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem., 25, 10(1984)、特開昭61−89230号公報、同62−156135号公報に報告されている。これらの方法により得られるポリシラザンには、−(R2 SiHNH)−を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状構造を有するものや
(R3 SiHNH)X 〔(R2 SiH)1.5 N〕1-X (0.4<x<1)の化学式で示される分子内に鎖状構造と環状構造を同時に有するものがある。
【0027】
一般式(I)でR1 に水素原子、R2 及びR3 に有機基を有するポリシラザン、またR1 及びR2 に有機基、R3 に水素原子を有するものは、−(R1 2 SiNR3 )−を繰り返し単位として、主に重合度が3〜5の環状構造を有している。
用いるポリシラザンは、上記一般式(I)で表わされる単位からなる主骨格を有するが、一般式(I)で表わされる単位は、上記にも明らかなように環状化することがあり、その場合にはその環状部分が末端基となり、このような環状化がされない場合には、主骨格の末端はR1 、R2 、R3 と同様の基又は水素であることができる。
【0028】
ポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの中には、D. Seyferth らCommunication of Am. Cer. Soc., C-132, July 1984. が報告されている様な分子内に架橋構造を有するものもある。一例を下記に示す。
【0029】
【化5】
Figure 0003993330
【0030】
また、特開昭49−69717号公報に報告されている様なR1 SiX3 (X:ハロゲン)のアンモニア分解によって得られる架橋構造を有するポリシラザン(R1 Si(NH)X )、あるいはR1 SiX3 及びR2 2SiX2 の共アンモニア分解によって得られる下記の構造を有するポリシラザンも出発材料として用いることができる。
【0031】
【化6】
Figure 0003993330
【0032】
また、ポリシラザン変性物として、例えば下記の構造(式中、側鎖の金属原子であるMは架橋をなしていてもよい)のように金属原子を含むポリメタロシラザンも出発材料として用いることができる。
【0033】
【化7】
Figure 0003993330
【0034】
その他、特開昭62−195024号公報に報告されているような繰り返し単位が〔(SiH2 n (NH)m 〕及び〔(SiH2 r O〕(これら式中、n、m、rはそれぞれ1、2又は3である)で表されるポリシロキサザン、特開平2−84437号公報に報告されているようなポリシラザンにボロン化合物を反応させて製造する耐熱性に優れたポリボロシラザン、特開昭63−81122号、同63−191832号、特開平2−77427号公報に報告されているようなポリシラザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造するポリメタロシラザン、特開平1−138108号、同1−138107号、同1−203429号、同1−203430号、同4−63833号、同3−320167号公報に報告されているような分子量を増加させたり(上記公報の前4者)、耐加水分解性を向上させた(後2者)、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン、特開平2−175726号、同5−86200号、同5−331293号、同3−31326号公報に報告されているようなポリシラザンに有機成分を導入した厚膜化に有利な共重合ポリシラザンなども同様に使用できる。
【0035】
さらに本発明においては、ポリシラザン又はその変性物に触媒を添加することにより予め低温化処理を施したポリシラザン(以下、低温セラミックス化ポリシラザン)を使用してもよい。
このような低温セラミックス化ポリシラザンとして、本願出願人による特開平5−238827号公報に記載されているケイ素アルコキシド付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、下記一般式(II):
Si(OR4 4 (II)
(式中、R4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基またはアリール基を表し、少なくとも1個のR4 は上記アルキル基またはアリール基である)で表されるケイ素アルコキシドを加熱反応させて得られる、アルコキシド由来ケイ素/ポリシラザン由来ケイ素原子比が0.001〜3の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のケイ素アルコキシド付加ポリシラザンである。上記R4 は、炭素原子数1〜10個を有するアルキル基がより好ましく、また炭素原子数1〜4個を有するアルキル基が最も好ましい。また、アルコキシド由来ケイ素/ポリシラザン由来ケイ素原子比は0.05〜2.5の範囲内にあることが好ましい。ケイ素アルコキシド付加ポリシラザンの調製については、上記特開平5−238827号公報を参照されたい。
【0036】
低温セラミックス化ポリシラザンの別の例として、本出願人による特開平6−122852号公報に記載されているグリシドール付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンとグリシドールを反応させて得られる、グリシドール/ポリシラザン重量比が0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のグリシドール付加ポリシラザンである。グリシドール/ポリシラザン重量比は0.01〜1であることが好ましく、さらには0.05〜0.5であることがより好ましい。グリシドール付加ポリシラザンの調製については、上記特開平6−122852号公報を参照されたい。
【0037】
低温セラミックス化ポリシラザンの別の例として、本願出願人による特開平6−240208号公報に記載されているアルコール付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンとアルコールを反応させて得られる、アルコール/ポリシラザン重量比が0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約100〜50万のアルコール付加ポリシラザンである。上記アルコールは、沸点110℃以上のアルコール、例えばブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、フルフリルアルコールであることが好ましい。また、アルコール/ポリシラザン重量比は0.01〜1であることが好ましく、さらには0.05〜0.5であることがより好ましい。アルコール付加ポリシラザンの調製については、上記特開平6−240208号公報を参照されたい。
【0038】
低温セラミックス化ポリシラザンのまた別の特に好適な例として、本願出願人による特開平6−299118号公報に記載されている金属カルボン酸塩付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、ニッケル、チタン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニウム、オスミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウムの群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属カルボン酸塩を反応させて得られる、金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比が0.000001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万の金属カルボン酸塩付加ポリシラザンである。上記金属カルボン酸塩は、式(RCOO)n M〔式中、Rは炭素原子数1〜22個の脂肪族基又は脂環式基であり、Mは上記金属群から選択される少なくとも1種の金属を表し、そしてnは金属Mの原子価である〕で表される化合物である。このMがパラジウム(Pd)であることが特に好ましい。上記金属カルボン酸塩は無水物であっても水和物であってもよい。また、金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比は好ましくは0.001〜1、より好ましくは0.01〜0.5である。金属カルボン酸塩付加ポリシラザンの調製については、上記特開平6−299118号公報を参照されたい。
【0039】
低温セラミックス化ポリシラザンのさらに別の例として、本願出願人による特開平6−306329号公報に記載されているアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、金属としてニッケル、白金、パラジウム又はアルミニウムを含むアセチルアセトナト錯体を反応させて得られる、アセチルアセトナト錯体/ポリシラザン重量比が0.000001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンである。上記金属を含むアセチルアセトナト錯体は、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じた陰イオンacac- が金属原子に配位した錯体であり、一般に式(CH3 COCHCOCH3 n M〔式中、Mはn価の金属を表す〕で表される。アセチルアセトナト錯体/ポリシラザン重量比は、好ましくは0.001〜1、より好ましくは0.01〜0.5である。アセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンの調製については上記特開平6−306329号公報を参照されたい。
【0040】
他の低温セラミックス化ポリシラザンの例として、本願出願人による特開平7−196986号公報に記載されている金属微粒子添加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンを主成分とするコーティング溶液に、Au、Ag、Pd、Niをはじめとする金属の微粒子を添加して得られる変性ポリシラザンである。好ましい金属はAgである。金属微粒子の粒径は0.5μmより小さいことが好ましく、0.1μm以下がより好ましく、さらには0.05μmより小さいことが好ましい。特に、粒径0.005〜0.01μmの独立分散超微粒子を高沸点アルコールに分散させたものが好ましい。金属微粒子の添加量はポリシラザン100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。金属微粒子添加ポリシラザンの調製については上記特開平7−196986号公報を参照されたい。
【0041】
その他の低温セラミックス化ポリシラザンの例として、本願出願人による特願平7−200584号明細書に記載されているアミン類及び/又は酸類添加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザン又はその変性物に、一般式R4 5 6 Nで表されるアミン化合物や、ピリジン類、DBU、DBN、等、及び/又は有機酸や無機酸などの酸化合物を添加したものである。
【0042】
アミン化合物の代表例として、下記一般式(III) で表されるものが挙げられる。
4 5 6 N (III)
式中、R4 〜R6 は、それぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
アミン化合物の具体例として、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、トリヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、等が挙げられる。なお、これらアミン化合物に含まれる炭化水素鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。特に好ましいアミン化合物は、トリエチルアミン、トリペンチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン及びトリオクチルアミンである。
【0043】
ピリジン類の具体例として、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、等が挙げられる。さらに、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン)、等も使用することができる。
一方、酸化合物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸、ステアリン酸、等の有機酸、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、等の無機酸、等が挙げられる。特に好ましい酸化合物は、プロピオン酸、塩酸及び過酸化水素である。
【0044】
アミン化合物のポリシラザンに対する添加量は、ポリシラザン重量に対して1ppm以上であればよく、好ましくは100ppm〜10%である。尚、塩基性度(水溶液中でのpKb値)及び沸点が高いアミン化合物ほど、セラミックス化を促進する傾向がある。また、酸化合物のポリシラザンに対する添加量は、ポリシラザン重量に対して0.1ppm以上であればよく、好ましくは10ppm〜10%である。特に好ましいアミン化合物はトリペンチルアミンであり、また酸化合物はプロピオン酸である。
【0045】
本発明によると、上記のようなポリシラザン若しくはその変性物又はその低温セラミックス化ポリシラザンを含む塗布用組成物を調製する。この調製には一般にポリシラザンのための溶剤が用いられる。
溶剤としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素の炭化水素溶剤、ハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロゲン化炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類を使用することができる。好ましい溶剤は、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ペンタンヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、エチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、p−メンタン、リモネン、デカリン、テトラリン、フェニルシクロヘキサン、シクロヘキサン、ノナン、デカン、n−ヘキサン、ペンタン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、等の炭化水素等である。これらの溶剤を使用する場合、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度を調節するために、2種類以上の溶剤を混合してもよい。
【0046】
本発明の方法(A)によると、このような溶剤が基材と接触することがないので、当該溶剤の選定に際して基材への影響を考慮する必要がない。
溶剤の使用量(割合)は採用する塗布方法により作業性がよくなるように選択され、また用いるポリシラザンの平均分子量、分子量分布、その構造によって異なるので、適宜、自由に混合することができる。好ましくは固形分濃度で1〜50重量%の範囲で混合することができる。
【0047】
また、本発明の塗布用組成物において、必要に応じて適当な充填剤及び/又は増量剤を加えることができる。充填剤の例としてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、マイカを始めとする酸化物系無機物あるいは炭化珪素、窒化珪素等の非酸化物系無機物の微粉等が挙げられる。また用途によってはアルミニウム、亜鉛、銅等の金属粉末の添加も可能である。これら充填剤は、針状(ウィスカーを含む。)、粒状、鱗片状等種々の形状のものを単独又は2種以上混合して用いることができる。又、これら充填剤の粒子の大きさは1回に適用可能な膜厚よりも小さいことが望ましい。また充填剤の添加量はポリシラザン1重量部に対し、0.05重量部〜10重量部の範囲であり、特に好ましい添加量は0.2重量部〜3重量部の範囲である。
塗布用組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤、各種顔料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、pH調整剤、分散剤、表面改質剤、可塑剤、乾燥促進剤、流れ止め剤を加えてもよい。
【0048】
本発明の方法では、プラスチック、金属、セラミックス、ガラス、等をはじめとする多種多様な基材の表面にSiO2 系セラミックス膜を形成することができる。本発明の方法は、ポリシラザン溶剤の種類を問わず各種基材に耐溶剤性を付与すると共に、ポリシラザン膜の各種基材に対する密着性を高めることができるので、ポリシラザン溶剤に浸食されたりポリシラザンとの密着性が不良であるプラスチック材料に適用すると特に有利である。
【0049】
本発明の方法が特に有効に利用できる基材として、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アモルファスポリオレフィン(α−PO:例、日本合成ゴム(株)製「アートン」(商品名))及びポリイミド(PI:例、宇部興産(株)製「ユーピレックス」(商品名))の樹脂フィルム、樹脂シート及び樹脂成形体(バルク)が挙げられる。
【0050】
本発明によると、上記のようなコーティング用組成物を上記のような各種基材に塗布することによってポリシラザンの膜を形成する。塗布方法は、通常実施されている塗布方法、例えば、浸漬塗布、ロール塗布、バー塗布、ウェブ塗布(グラビア、キス、キスメイヤバー、ダイ、フレキソ、等)、刷毛塗り、スプレー塗布、回転塗布、流し塗り等が用いることができ、被塗布物の形状等によって適宜選択することができる。プラスチックフィルムに好ましい適用方法はグラビア(リバース)塗布法である。
塗布後、所望であればポリシラザン塗膜を乾燥する工程を別途設けてもよい。しかしながら、一般にポリシラザン溶剤は揮発性が高く、特別に乾燥工程を設けなくても次の工程へ進めることができ、また他の工程において同時に乾燥させることもできる。
【0051】
本発明の方法(B)では、ポリシラザン及びシランカップリング剤を含むコーティング組成物を調製し、次いで当該コーティング組成物の塗膜を基材上に形成し、その後当該塗膜をセラミックス化処理して実質的にSiO2 からなるセラミックス膜を形成する。すなわち、方法(B)では、ポリシラザンを含むコーティング組成物にシランカップリング剤を直接混入する。方法(B)により、シランカップリング剤のプライマー層を独立に設けることなく、ポリシラザン膜ひいては実質的にSiO2 からなるセラミックス膜の各種基材に対する密着性を高めることができる。
【0052】
本発明の方法(B)によるコーティング組成物の調製に用いられるシランカップリング剤は、上記方法(A)と同様、一般にX−SiR3 で表される化合物である。ここで、Xは有機基と反応し得る官能基、例えば、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、チオール基、ハロゲン(例、塩素、臭素)、等を表し、また、Rは加水分解可能な基、例えば、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基)、ハロゲン(例、塩素、臭素)、等を表す。
【0053】
方法(B)において用いられるシランカップリング剤は、混合されるポリシラザンと反応しないものであることが好ましい。また、シランカップリング剤はこれを塗布する基材の種類によっても異なる。例えば、塗布する基材がポリカーボネート又はポリイミドの樹脂である場合には、CH2 =CCH3 COOC3 6 Si(OCH3 3 〔日本ユニカー(株)A−174〕やNH2 3 6 Si(OC2 5 3 〔同A−1100〕を使用することが好ましい。
【0054】
本発明の方法(B)によるコーティング組成物の調製は、上記のようなポリシラザン若しくはその変性物又はその低温セラミックス化ポリシラザンを含むコーティング組成物を攪拌しながらこれにシランカップリング剤を徐々に添加、好ましくは滴下することにより行う。当該コーティング組成物に用いられる溶剤は、基材を浸食することがなく且つシランカップリング剤を溶解するものであれば、先にポリシラザンのための溶剤として挙げたもののいずれを使用してもよい。
【0055】
当該コーティング組成物におけるシランカップリング剤の量は、当該組成物に含まれるポリシラザンに対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%である。シランカップリング剤が0.1重量%よりも少ないとポリシラザン塗膜の基材に対する密着性が不十分となる。一方、シランカップリング剤が50重量%よりも多いと、最終的なセラミックス膜に望まれる特性が損なわれる。
【0056】
方法(B)によると、このように調製したコーティング組成物を、先に方法(A)において記載したような基材に上記のような塗布方法によって塗布することにより、当該コーティング組成物の塗膜を基材上に形成する。塗布後、所望であれば当該塗膜を乾燥する工程を別途設けてもよい。しかしながら、一般にポリシラザン溶剤は揮発性が高く、特別に乾燥工程を設けなくても次の工程へ進めることができ、また他の工程において同時に乾燥させることもできる。
【0057】
方法(A)又は方法(B)によりポリシラザンを含む塗膜を形成した後、これをセラミックス化処理することによりSiO2 系セラミックス膜にする。このセラミックス化処理に際して、セラミックス化温度を低温化するために、ポリシラザン塗膜に対して以下のような低温化工程を実施することができる。
【0058】
低温化工程の第一の態様として、該塗膜に、アミン化合物及び/又は酸化合物を含む水溶液から発生させた蒸気を接触させることができる。アミン化合物及び酸化合物としては先に記載したものが挙げられる。アミン化合物は水に可溶であるものが好ましく、その水溶液中濃度は100ppm以上の範囲で任意に選択することができる。また、酸化合物の水溶液中濃度は、0.1ppm以上であればよく、好ましくは10ppm〜10%である。この第一の態様において特に好ましいアミン化合物はトリエチルアミンである。蒸気を発生させるための温度は室温で十分であるが、0℃〜水溶液沸点の範囲で任意に選択することができる。
【0059】
尚、この第一の態様の別法として、アミン化合物及び/又は酸化合物を含む水溶液ではなく、アミン化合物及び/又は酸化合物及び/又は水をそれぞれ独立に気化させて、それ又はそれらの蒸気をポリシラザン塗膜に接触させてもよい。
この第一の態様を実施する際には、別の蒸気発生装置で発生させたアミン化合物の蒸気をキャリヤガス(例、窒素ガス)で運搬して乾燥ゾーンへ導入することができる。もちろん、酸化合物を同様にして乾燥ゾーンへ導入することは可能であるが、一般には付帯設備に耐酸腐食処理を施す必要がでてくる。アミン化合物蒸気の発生方法としては、上記したようなアミン化合物の水溶液中に窒素ガスなどの不活性なキャリヤガスを吹き込んでバブリングさせる方法が有利である。蒸気発生装置は常温で維持してもよいし、また所望により40℃程度に加熱することもできる。
【0060】
このように発生させた蒸気は、キャリヤガスによって溶剤乾燥ゾーンへ運搬し、好ましくは複数本の噴霧ノズルを介してポリシラザン塗膜へ吹き付けることができる。噴霧のための圧力は、噴霧ノズルの出口径などにもよるが、一般には蒸気発生装置内の圧力が約9.8×104 〜約2.0×105 Pa(約1〜約2kgf/cm2 )になるように該装置内へのキャリヤガスの吹き込み圧力を調節すればよい。
このように別の蒸気発生装置でアミン化合物蒸気を発生させてこれを乾燥ゾーンで噴霧する方式を採用することにより、アミン化合物蒸気及び水蒸気を安定に供給することができる。さらに、窒素ガスなどの不活性ガスを使用してもポリシラザン塗膜の硬化に悪影響はなく、また、このような不活性ガス雰囲気下ではアミン化合物による爆発の危険性が減少するので安全対策面からも有利である。
【0061】
低温化工程の第二の態様として、前記のようなポリシラザン又はその変性物の塗膜を基材表面に形成してから、上記のようなアミン化合物及び/又は酸化合物を含む水溶液に当該塗膜を浸漬することによってポリシラザンとアミン化合物及び/又は酸化合物とを接触させることができる。アミン化合物は水に可溶であるものが好ましく、その水溶液中濃度は100ppm〜溶解度限界までの範囲で任意に選択することができる。また、酸化合物の水溶液中濃度は、0.1ppm以上であればよく、好ましくは10ppm〜10%である。この態様において特に好ましいアミン化合物はブチルアミンであり、また酸化合物は過酸化水素水である。
【0062】
尚、上記第一及び第二の態様では、必要に応じて、処理後のポリシラザン塗布サンプル(例、フィルム、シリコンウェハ)に▲1▼水蒸気雰囲気への暴露、▲2▼水中への浸漬、▲3▼酸化合物水溶液中への浸漬、▲4▼アルカリ化合物水溶液中への浸漬又は▲5▼大気中での放置、のいずれかの処理又はこれらの組合せを施すことが好ましい。
【0063】
▲1▼の水蒸気雰囲気への暴露は、一般に加湿炉やスチームが用いられる。具体的には、溶剤乾燥ゾーンにスチームを導入し、その中(温度50〜100℃、相対湿度50〜100%RH)の中を滞留時間10〜60分で通過させる方法や、塗布後の溶剤乾燥時に通過したスチームを導入した溶剤乾燥ゾーンを滞留時間10〜60分で再度通過させる方法が考えられる。▲3▼又は▲4▼の酸化合物又アルカリ化合物水溶液への浸漬は、上記第二態様において記載した方法を採用すればよい。但し、酸化合物には上記酸化合物の他、リン酸、等の無機酸類;氷酢酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸のような低級モノカルボン酸又はその無水物、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸のような低級ジカルボン酸又はその無水物、トリクロロ酢酸、等の有機酸類;過塩素酸、塩酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、パラトルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素及びその電子供与体との錯体、等;SnCl4 、ZnCl2 、FeCl3 、AlCl3 、SbCl3 、TiCl4 等のルイス酸及びその錯体、等が含まれる。また、アルカリ化合物には上記アミン化合物の他、水酸化ナトリウム、塩化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ピリジン、アンモニア、等が含まれる。
【0064】
基材が長尺プラスチックフィルムである場合、第一又は第二態様の処理後のフィルムをセパレータシートと共に巻き取ってロール体にすることが好ましい。このセパレータシートは、巻き取られたフィルム同士が接触しないようにするためのシート状物であって、ポリシラザン塗布フィルムの全面又は一部(例えば、塗布フィルムの両端に各1本ずつ)に適用される不織布、サイドテープ、エンボスフィルム、等を含む。サイドテープとしては、厚さ12〜100μm、幅10〜30mm程度のものが好ましく、また様々な材質の市販品を使用することができる。市販品の具体例として、片面又は両面にマット加工が施されたPETフィルム〔東レ製ルミラーX−42〜45、パナック製ルミマット〕、発泡PETフィルム〔東洋紡績製クリスパー〕、Alを張り合わせた又は蒸着させたPETフィルム〔パナック製アルペットフィルム〕、等が挙げられる。また、エンボスフィルムとはフィルム両面にエンボス加工されたフィルムであって、フィルム厚75〜150μm、エンボス(突起部)の高さ1〜10mmのものを使用することが好ましい。さらに、塗布幅よりも広いフィルム幅を有するエンボスフィルムを使用することが好ましい。このようなエンボスフィルムの市販品として、フィルム両面にエンボス加工されたポリイミドフィルム〔大日化成工業製706410H12又は706420H12〕が挙げられる。
【0065】
▲5▼の放置処理条件は、室温近傍(約10℃)〜60℃、好ましくは約25℃、相対湿度10〜90%RH、好ましくは50〜70%RHにおいて3〜24時間とすることが好ましい。
所望により、上記方法で塗布した後、上記低温化工程の前、低温化工程の後、又は低温化工程と同時に、ポリシラザンを含む塗膜に紫外線を照射することができる。この紫外線照射により、基材が加熱され、セラミックス化(シリカ転化)に寄与するO2 とH2 Oや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化されるため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのセラミックス化が促進され、また得られるセラミックス膜が一層緻密になる。
【0066】
紫外線照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。すなわち、ポリシラザンを含む塗膜形成直後の塗膜乾燥前、塗膜乾燥中、塗膜乾燥後、後述の別の低温化工程前、低温化工程中及び低温化工程後のいずれにおいて実施しても有効である。しかしながら、上述のように少なくとも一つの低温化工程を施した後に紫外線照射を行うと、セラミックス化の一層の低温化や迅速化の点で特に有効である。また、任意であるが、紫外線照射と同時にオゾンや過酸化水素ガスをポリシラザン含有塗膜に接触させるとさらに有効である。
【0067】
また、上記紫外線照射とは別に、必要に応じてポリシラザンを含む塗膜に赤外線を照射することにより該塗膜のセラミックス化を一層促進することができる。また、上記紫外線照射の場合と同様、赤外線照射は、ポリシラザン含有塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。さらに、上記紫外線照射と併用する場合、赤外線照射は、紫外線照射の前後いずれにおいても、又は紫外線照射と同時に、実施することができる。
【0068】
赤外線照射に際しては、常用されているいずれの赤外線発生装置でも使用することが可能である。本明細書における「赤外線」とは、一般に解釈されている波長、具体的には波長約0.8〜1000μmを有する輻射線を意味する。この赤外線は波長約0.8〜2.0μmの近赤外線と、波長約2.0〜4.0μmの中赤外線と、波長約4.0〜1000μmの遠赤外線との三つの領域に分けられる。一般に、これらの赤外線を塗膜側から照射した場合、膜厚にもよるが、近赤外線は、コーティングされた基材(例、プラスチック基材)まで透過しこれを加熱する。また、中赤外線の場合は、基材と塗膜の界面から塗膜内部まで透過しこれを加熱する。さらに、遠赤外線の場合は、塗膜内部から塗膜表面まで透過しこれを加熱する。本発明の方法では、基材を損ないにくい点で、近赤外線よりも中赤外線、さらには中赤外線よりも遠赤外線を使用することが好ましい。すなわち、本発明の方法では一般に0.8〜1000μm、好ましくは2.0〜1000μm、より好ましくは4.0〜1000μmの赤外線が用いられる。
【0069】
上記の低温化工程及び/又は紫外線照射及び/又は赤外線照射により、場合によってはSi−O、Si−N、Si−H、N−Hが存在する膜が形成される。この時点でポリシラザン塗膜の一部がセラミックス化している場合もあるが、この塗膜はまだセラミックスへの転化が不完全な場合もある。この塗膜を、次に述べる熱処理及び/又は後処理によって、セラミックスに完全に転化させることが可能である。もちろん、低温化工程等を省略して以下の処理を直接施すことは可能である。
【0070】
熱処理を採用する場合、その熱処理温度はポリシラザンが完全にセラミックス化する温度、通常300℃以上が好ましい。ポリシラザンに上記のような低温化工程を施した場合には、基材(特に、プラスチックや強化ガラス)を損なわない低温、好ましくは150℃以下で加熱処理を施すことができる。一般に、プラスチック基材の場合、加熱処理を150℃以上で行うと、変形や強度劣化などプラスチック基材が損なわれる。
【0071】
熱処理の昇温速度は特に限定しないが、5〜20℃/分の緩やかな昇温速度が好ましい。熱処理雰囲気は酸素中、空気中あるいは不活性ガス等のいずれであってもよいが、空気中がより好ましい。空気中での熱処理によりポリシラザンの酸化、あるいは空気中に共存する水蒸気による加水分解が進行し、上記のような低い熱処理温度でSi−O結合あるいはSi−N結合を主体とする緻密なセラミック被膜の形成が可能となる。この被膜は、ポリシラザンに由来するために窒素を原子百分率で0.005〜5%含有する。
【0072】
上記の低温での熱処理においてはSi−O、Si−N、Si−H、N−H結合が存在する膜が形成される場合がある。この膜はまだセラミックスへの転化が不完全である。この膜を、次に述べる2つの方法▲1▼及び▲2▼のいずれか一方又は両方(後処理)によって、セラミックスに転化させることが可能である。なお、上記の低温での熱処理を省略して後処理を直接施した場合でも、ポリシラザンのセラミックス化を促進することはできる。
【0073】
▲1▼ 水蒸気雰囲気中での処理。
圧力は特に限定されるものではないが、1〜3気圧が現実的に適当である。相対湿度は特に限定されるものではないが、10〜100%RHが好ましい。温度は室温以上で効果的であるが室温〜150℃が好ましい。水蒸気処理時間は特に限定されるものではないが10分〜30日が現実的に適当である。
【0074】
水蒸気雰囲気中での処理により、ポリシラザンの酸化または水蒸気との加水分解が進行するので、上記のような低い加熱温度で、実質的にSiO2 からなる緻密な膜の形成が可能となる。但し、このSiO2 膜はポリシラザンに由来するため窒素を原子百分率で0.05〜5%含有する。この窒素含有量が5%よりも多いと膜のセラミックス化が不十分となり所期の効果(例えば耐擦傷性)が得られない。一方、窒素含有量を0.05%よりも少なくすることは困難である。好ましい窒素含有量は原子百分率で0.1〜3%である。
【0075】
▲2▼ 触媒を含有した蒸留水中に浸す。
触媒としては、酸、塩基が好ましく、その種類については特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n−エキシルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、グアニジン、ピグアニン、イミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ−〔2,2,2〕−オクタン等のアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ピリジン、アンモニア水等のアルカリ類;リン酸等の無機酸類;永酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸のような低級モノカルボン酸、又はその無水物、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸のような低級ジカルボン酸又はその無水物、トリクロロ酢酸等の有機酸類;過塩素酸、塩酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、パラトルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素及びその電気供与体との錯体、等;SnCl4 、ZnCl2 、FeCl3 、AlCl3 、SbCl3 、TiCl4 などのルイス酸及びその錯体等を使用することができる。好ましい触媒は塩酸である。触媒の含有割合としては0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。保持温度としては室温から沸点までの温度にわたって有効である。保持時間としては特に限定されるものではないが10分〜30日が現実的に適当である。
【0076】
触媒を含有した蒸留水中に浸すことにより、ポリシラザンの酸化あるいは水との加水分解が、触媒の存在により更に加速され、上記のような低い加熱温度で、実質的にSiO2 からなる緻密な膜の形成が可能となる。但し、先に記載したように、このSiO2 膜はポリシラザンに由来するため窒素を同様に原子百分率で0.05〜5%含有する。
【0077】
また、別の後処理法として、ポリシラザン含有塗膜を形成して該塗膜に低温化工程を施した後、その塗膜にアルコキシシラン及び水を含む反応性の混合溶液を接触させる方法も挙げられる。
用いるアルコキシシランは、ゾル−ゲル法によるSiO2 系セラミック被膜の形成に一般に用いられるアルコキシシランの中から任意に選ぶことができる。
【0078】
好適なアルコキシシランは、Si(OR)4 〔式中、Rは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基またはアルキルシリル基を表す〕で示されるアルコキシシランである。好ましいRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びイソプロペニル基である。中でも特に好ましいアルコキシシランは、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランである。
【0079】
本発明の方法では、R’n Si(OR)4-n 〔式中、Rは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基またはアルキルシリル基を表し、R’は、各々独立に、上記Rの他、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基またはメルカプト基を表し、そしてnは1〜2の整数である〕で表される有機アルコキシシラン、又はR’n (RO)3-n Si−R”−Si(OR)3-m R’m 〔式中、Rは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基またはアルキルシリル基を表し、R’は、各々独立に、上記Rの他、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基またはメルカプト基を表し、R”は、2価の有機結合基または−O−を表し、nは0〜3、mは0〜3の整数を表すが、但し、n+mは4以下である〕で表されるアルコキシジシランを使用してもよい。このような有機基R’及びR”は、得られる最終のセラミック被膜が所望の膜質(例えば、耐熱性や耐擦傷性)を示すように、当業者であれば適宜選択することができる。
【0080】
反応性の混合溶液に用いられる水(H2 O)には、通常のイオン交換水、工業用水、濾過水、等が使用できる。しかしながら、得られる最終セラミック被膜の膜質等を考慮した場合、純水を使用することが好ましい。また、水の代わりに過酸化水素水を使用することは可能である。
混合溶液中のアルコキシシランと水の存在比率は、体積基準でアルコキシシラン/水=0.01〜100、より好ましくは0.1〜10の範囲が好ましい。この比率が0.01よりも小さいと、水による反応が主体となり、得られるセラミックスの膜質が悪くなる。一方、100よりも大きいと、アルコキシシランの加水分解速度が遅くなる。また、この比率を変更することによって混合溶液の反応性を制御することができる。
【0081】
この混合溶液は、必要に応じて、R”OHで示されるアルコールを含有することができる。ここでR”は、アルコキシシランについて先に記載したRと同じ基、すなわちアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基またはアルキルシリル基を表す。特定の混合溶液におけるアルコールのR”とアルコキシシランのRは、同種であることが好ましいが、異なっていてもよい。アルコールが含有されることによって、アルコキシシランの加水分解が促進され、溶液の反応性が高まる。
【0082】
混合溶液中のアルコキシシランと前記アルコールの存在比率は、体積基準でアルコキシシラン/アルコール=100〜0.01、より好ましくは10〜0.1の範囲が好ましい。この比率が100よりも大きいと、アルコキシシランの分解が少なく、溶液の反応性が低くなる。一方、0.01よりも小さいと、アルコールとシラザンの反応が主体となり、膜質が劣化する。また、先に記載した水の場合と同様に、この比率を変更することによっても混合溶液の反応性を制御することができる。
【0083】
アルコキシシランと水を含む反応性の混合溶液は、該アルコキシドの加水分解及びポリシラザンとの反応を促進させるために触媒を含有することができる。触媒としては酸、塩基が好ましく、その種類については特に限定はされないが、例として塩酸、硫酸、フッ酸、硝酸及びこれらの塩類、アンモニア、水酸化アンモニウム、塩化アンモニウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、並びに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等が挙げられる。これらの酸、塩基触媒の添加量は、アルコキシシラン1モル当たり0.0001〜10モル%、より好ましくは0.001〜1.0モル%が好ましい。同様に、この触媒添加量によっても混合溶液の反応性を制御することができる。
【0084】
このように調製したアルコキシシラン及び水を含有する反応性の混合溶液を、上記の紫外線照射後のポリシラザン塗膜に適当な方法で接触させる。接触させる方法として、例えば、浸漬法、噴霧法、等が挙げられる。この接触によってポリシラザンとアルコキシシランとの間で反応が起こり、これらがSiOx 組成のセラミックに転化する。
この接触時の温度(例えば、浸漬液の温度)は、室温で十分であるが、所望により室温〜混合溶液の沸点以下の範囲に加熱してもよい。接触時間は、限定するわけではないが、一般に1時間以内で済み、好ましくは1〜10分の範囲である。
【0085】
これらのセラミックス化処理を施すことによって、ポリシラザン又はその変性物に含まれるSi−N、Si−H、N−H結合等は消失し、Si−O結合を主体とする強靱なセラミックス膜が基材表面に形成される。
なお、このSiO2 膜はポリシラザンに由来するため窒素を原子百分率で0.005〜5%含有する。この窒素含有量が5%よりも多い場合には膜のセラミックス化が不十分となり所期の効果(例えば耐磨耗性)が得られない。一方、窒素含有量を0.005%よりも少なくすることは困難である。
【0086】
1回の適用で得られるSiO2 膜の厚さは、好ましくは50Å〜5μm、より好ましくは100Å〜2μmの範囲である。膜厚が5μmよりも厚いと熱処理時に割れが入ることが多く、更に可撓性が悪くなり、折り曲げなどによる割れや剥離も生じ易くなる。反対に、膜厚が50Åよりも薄いと所期の効果、例えば所望のガスバリヤ性や耐擦傷性が得られない。この膜厚は、コーティング用組成物の濃度を変更すること及び/又はコーティング条件によって制御することができる。すなわち、膜厚を増加したい場合にはコーティング用組成物の固形分濃度を高くする(溶剤濃度を低くする)ことができ、またロールのメッシュを細かくすること、さらにコーティング用組成物を複数回適用することによって膜厚をさらに増加させることもできる。
【0087】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例が本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0088】
参考例〔ペルヒドロポリシラザンの合成〕
内容積1Lの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに脱気した乾燥ピリジン490mlを入れ、これを氷冷した。次いで、ジクロロシラン51.9gを加えると、白色固体状のアダクト(SiCl2 ・2C6 5 N)が生成した。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら水酸化ナトリウム管及び活性炭管を通して精製したアンモニア51.0gを吹き込んだ後、100℃で加熱した。
反応終了後、反応混合物を遠心分離し、乾燥ピリジンを用いて洗浄した後、さらに乾燥窒素雰囲気下で濾過して濾液850mlを得た。濾液5mlから溶媒を減圧除去すると、樹脂状固体ペルヒドロポリシラザン0.102gが得られた。
【0089】
得られたポリマーの数平均分子量は、凝固点降下法(溶媒:乾燥ベンゼン)で測定したところ1120であった。赤外吸収(IR)スペクトル(溶媒:乾燥o−キシレン;ペルヒドロポリシラザン濃度10.2g/l)は、波数(cm-1)3390及び1180のN−Hに基づく吸収、2170のSi−Hに基づく吸収、1040〜800のSi−N−Siに基づく吸収を示した。
【0090】
方法(A):シランカップリング剤のプライマー層を設ける方法
実施例1
ブチルセルソルブ中のシランカップリング剤CH2 =CCH3 COOC3 6 Si(OCH3 3 〔日本ユニカー(株)A−174〕を攪拌しながらこれにメタノール(シランカップリング剤に対して50重量%)及び蒸留水(シランカップリング剤に対して1モル当量)を滴下することにより固形分濃度2重量%のプライマー層用組成物を調製した。
得られたプライマー層用組成物を、10cm角、厚さ0.3mmのポリカーボネート(PC)シート板にフローコート法で塗布した。塗布後のPCシート板を120℃で10分間処理してプライマー層を硬化させた。得られたプライマー層の厚さは0.1μmであった。
【0091】
参考例で合成したペルヒドロポリシラザンをm−キシレンに溶解して濃度10重量%のポリシラザン溶液を調製した。この溶液にポリシラザン1重量部当たり0.01重量部のプロピオン酸パラジウムを添加し、大気中、20℃で3時間攪拌しながら反応を行った。その後、孔径0.1μmのPTFE製フィルターで濾過した。
この溶液を、先に調製したプライマー層の上に、スピンコート法(500rpm×2秒→2000rpm×20秒)で塗布することによりポリシラザン塗膜を形成させた。その後、ポリシラザン塗膜をクリーンオーブン内で120℃、1時間処理し、次いで恒温恒湿槽内で95℃、80%RH、3時間処理することによりポリシラザン塗膜をセラミックス化した。
【0092】
実施例2
基材を10cm角、厚さ1mmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート板に変更したこと、及びポリシラザン塗膜のセラミックス処理の条件を350℃、1時間に変更したことを除き、実施例1と同様にした。
実施例3
基材を10cm角、厚さ75μmのポリイミド(PI)フィルムに変更したことを除き、実施例1と同様にした。
【0093】
実施例4
基材を10cm角、厚さ100μmのポリカーボネート(PC)フィルムに変更したことを除き、実施例1と同様にした。
実施例5
基材を10cm角、厚さ75μmのポリアリレート(PAr)フィルムに変更したことを除き、実施例1と同様にした。
実施例6
シランカップリング剤をNH2 3 6 Si(OC2 5 3 〔日本ユニカー(株)A−1100〕に変更したこと、及びメタノールに代えてエタノールを使用したことを除き、実施例1と同様にした。
実施例7
基材を10cm角、厚さ75μmのポリイミド(PI)フィルムに変更したこと、及びポリシラザン塗膜のセラミックス処理の条件を350℃、1時間に変更したことを除き、実施例6と同様にした。
【0094】
比較例1〜7
上記実施例1〜7において、プライマー層を設けることなく基材上にポリシラザン溶液を直接塗布したものをそれぞれ比較例1〜7とした。
【0095】
膜特性の評価
上記実施例1〜7及び比較例1〜7で得られたセラミックス膜の基材に対する密着性及び耐擦傷性を評価した。
・密着性:碁盤目テープ剥離試験(JIS−K5400準拠)で評価した。
・耐擦傷性:スチールウール#000番、荷重500g、(面積2cm角)100往復の条件で試験し、目視で傷の数を観察し、A〜Eの格付けをした。評価A:傷なし、評価B:傷2本以下、評価C:傷3〜5本、評価D:傷6〜10本、評価E:傷11本以上。
膜特性の評価を以下に示す。
【0096】
Figure 0003993330
【0097】
上記のデータは、本発明によりプライマー層を設けたことにより、各種基材に耐溶剤性を付与すると共に、実質的にSiO2 からなるセラミックス膜の各種基材に対する密着性を高めることができたことを示している。
【0098】
方法(B):ポリシラザンを含むコーティング組成物にシランカップリング剤を添加する方法
実施例8
参考例で合成したペルヒドロポリシラザンをジブチルエーテル(DBE)に溶解した。この溶液にポリシラザン1重量部当たり0.01重量部のプロピオン酸パラジウムを添加し、大気中、20℃で3時間攪拌しながら反応を行った。次いで、この反応液にポリシラザンに対して1重量%のシランカップリング剤NH2 3 6 Si(OC2 5 3 〔日本ユニカー(株)A−1100〕を添加し、大気中、23℃で10分間攪拌し、そして孔径0.1μmのPTFE製フィルターで濾過することによりシランカップリング剤を含むコーティング溶液を調製した。この溶液中のポリシラザン濃度は20重量%とした。
得られたコーティング溶液を、10cm角、厚さ0.3mmのPCシート板にスピンコート法(500rpm×2秒→2000rpm×20秒)で塗布することによりシランカップリング剤を含むポリシラザン塗膜を形成させた。その後、ポリシラザン塗膜をクリーンオーブン内で120℃、1時間処理し、次いで恒温恒湿槽内で95℃、80%RH、3時間処理することによりポリシラザン塗膜をセラミックス化した。
【0099】
実施例9
シランカップリング剤の添加量を1重量%から10重量%に変更したことを除き、実施例8と同様にした。
実施例10
シランカップリング剤の添加量を1重量%から5重量%に変更したこと、溶媒をDBEからm−キシレンに変更したこと、基材をPCシート板から厚さ1mmのPETシート板に変更したこと、及びセラミックス処理の条件を350℃、1時間に変更したことを除き、実施例8と同様にした。
実施例11
シランカップリング剤の添加量を1重量%から5重量%に変更したこと、溶媒をDBEからm−キシレンに変更したこと、及び基材をPCシート板から厚さ75μmのPIフィルムに変更したことを除き、実施例8と同様にした。
【0100】
実施例12
シランカップリング剤の添加量を5重量%に変更したこと及びポリシラザン濃度を12重量%としたことを除き実施例8と同様にして得られたコーティング溶液を、厚さ100μm、幅600mm、総延長300mのPCフィルムを2m/分で搬送しながらグラビア(リバース)コート法(ロール#80)で塗布することによりシランカップリング剤を含むポリシラザン塗膜を形成させた。次いで、このフィルムに乾燥炉(120℃、3m)を通して3分間の乾燥処理を施した。乾燥後のフィルムを、セパレータシートをフィルム両端部に適用してこれを一緒に挟み込みながらロールに巻き取った。その後、そのロール体をクリーンオーブン内で120℃、1時間処理し、次いで恒温恒湿槽内で95℃、80%RH、3時間処理することによりポリシラザン塗膜をセラミックス化した。
実施例13
溶媒をDBEからm−キシレンに変更したこと、及び基材をPCフィルムから厚さ75μmのPArフィルムに変更したことを除き、実施例12と同様にした。
【0101】
実施例14
シランカップリング剤をCH2 =CCH3 COOC3 6 Si(OCH3 3 〔日本ユニカー(株)A−174〕に変更したことを除き、実施例8と同様にした。
実施例15
シランカップリング剤の添加量を1重量%から10重量%に変更したことを除き、実施例14と同様にした。
【0102】
比較例8〜15
上記実施例8〜15において、ポリシラザンを含むコーティング溶液にシランカップリング剤を添加しなかったものをそれぞれ比較例8〜15とした。
【0103】
膜特性の評価
上記実施例8〜15及び比較例8〜15で得られたセラミックス膜の緻密性、基材に対する密着性及び耐擦傷性を評価した。
・緻密性:0.5重量%の緩衝化フッ酸水溶液による単位時間当たりの膜の腐食深さ(エッチングレート)で評価した。
・密着性:碁盤目テープ剥離試験(JIS−K5400準拠)で評価した。
・耐擦傷性:スチールウール#000番、荷重500g、(面積2cm角)100往復の条件で試験し、目視で傷の数を観察し、A〜Eの格付けをした。評価A:傷なし、評価B:傷2本以下、評価C:傷3〜5本、評価D:傷6〜10本、評価E:傷11本以上。
膜特性の評価を以下に示す。
【0104】
Figure 0003993330
【0105】
上記のデータは、本発明によりポリシラザンを含むコーティング組成物にシランカップリング剤を添加することにより、中間層を設けなくても、膜の緻密性を損なうことなく、セラミックス膜の各種基材に対する密着性を高めることができたことを示している。
【0106】
【発明の効果】
本発明によると、基材とポリシラザン塗膜の間にシランカップリング剤を含むプライマー層を設けることにより、各種基材に耐溶剤性を付与すると共に、実質的にSiO2 からなるセラミックス膜の各種基材に対する密着性を高めることができる。さらに、本発明によると、ポリシラザンを含むコーティング組成物にシランカップリング剤を添加することにより、中間層を設けることなく実質的にSiO2 からなるセラミックス膜の各種基材に対する密着性を高めることができる。

Claims (1)

  1. ポリシラザン及びシランカップリング剤を含むコーティング組成物を調製し、次いで前記コーティング組成物の塗膜を基材上に形成し、その後前記塗膜をセラミックス化処理して実質的にSiOからなるセラミックス膜を形成することを特徴とする方法。
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