JPH0827425A - コーティング用組成物、セラミックス被膜及び被膜の製法 - Google Patents
コーティング用組成物、セラミックス被膜及び被膜の製法Info
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- JPH0827425A JPH0827425A JP6167962A JP16796294A JPH0827425A JP H0827425 A JPH0827425 A JP H0827425A JP 6167962 A JP6167962 A JP 6167962A JP 16796294 A JP16796294 A JP 16796294A JP H0827425 A JPH0827425 A JP H0827425A
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Abstract
汚染性、摺動性、特に撥水性に優れた被覆膜を容易に低
温で成膜できるコーティング用組成物及びコーティング
方法を提供する。 【構成】 セラミックス化温度が350℃以下であるポ
リシラザン系コーティング用組成物を構成するポリシラ
ザン系ポリマーに脂肪族フッ素化合物を反応付加させ
る。この組成物を基板に塗付し、150℃以下の温度で
熱処理した後、水蒸気雰囲気にさらす、あるいは触媒を
含有した水溶液中に浸す、あるいはその両方を用いる処
理を行なってセラミックス化することを特徴とするセラ
ミックス被膜の製造方法。
Description
グ用組成物、これを用いるセラミックス被膜の製法及び
それによって得られる撥水性膜に係る。より特定的に
は、本発明は低温で容易に製造できる撥水性被膜とその
製法に向けられている。
しては、テフロン(ポリテトラフルオロエチレン)の塗
布、又はポリシロキサンを主成分とするシリコーンオイ
ルの塗布が知られている。 (2)又、シラザン類を使用した撥水性膜としてはパー
フルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルキルエー
テル基を含んでなるオルガノシラザン共重合体を含む被
膜形成剤組成物が知られている(特開平5−31112
1号公報参照)。
ラザンとして本願出願人は下記を開示している。 ケイ素アルコキシド添加系−特願平4−39595
号 アルコール添加系−特願平5−30750号 金属カルボン酸塩添加系−特願平5−93275号 アセチルアセトナト錯体添加系−特願平5−356
04号 金属微粒子添加系−特願平5−338524号 (4)低温セラミックス化プロセスとして、150℃以
下の低温で焼成しその後水蒸気雰囲気に曝すあるいは触
媒を含有した水溶液中に浸すあるいはその両方を用いる
技術を本出願人は特願平5−318118号に開示し
た。
(1)については、テフロンはガラスとの付着力が十分
でない、またテフロンが有機物質であるため硬度に劣る
という問題点があった。シリコーンオイルは摩擦性が十
分でなく、撥水の効果が持続しないという問題があっ
た。
膜が完全にセラミックス化しないので膜の硬度が十分で
なく、又高温で焼成しても、有機基、フッ素が飛散する
ため、よい特性の膜は得られないと思われる。上記問題
を解決し、硬度、密着性、耐食性、透明性、緻密性、耐
汚染性、摺動性、特に撥水性に優れた被覆膜を容易に低
温で成膜できるコーティング用組成物及びコーティング
方法を提供することを目的とする。
解決するために、硬度、密着性、耐食性、透明性、緻密
性、耐汚染性、摺動性等に優れたポリシラザン系コーテ
ィング用組成物に脂肪族フッ素化合物を反応あるいは混
合させた化合物を用いると、ポリシラザンの特性と撥水
性を合わせ持つコーティング用組成物が得られることを
見い出した。また、これに低温セラミックス化プロセス
を行うことによって、セラミックス化が進んだ特性の良
好な膜が得られることを見い出した。
ために下記を提供する。 (1)セラミックス化温度が350℃以下であるポリシ
ラザン系コーティング用組成物を構成するポリシラザン
系ポリマーに脂肪族フッ素化合物を反応付加あるいは混
合して成ることを特徴とするコーティング組成物。 (2)上記(1)に記載のコーティング組成物を基板に
塗付し、150℃以下の温度で熱処理した後、水蒸気雰
囲気にさらす、あるいは触媒を含有した水溶液中に浸
す、あるいはその両方を用いる処理を行なってセラミッ
クス化することを特徴とするセラミックス被膜の製造方
法。
撥水性膜。 (4)上記(2)の方法で形成された撥水性膜付基材。 (5)ポリシラザン系コーティング用組成物が金属カル
ボン酸塩を含有してなるものである(1)のコーティン
グ用組成物。 (6)脂肪族フッ素化合物がフッ化アルキル基含有アル
コールである(1)のコーティング用組成物。
ル基含有シラン化合物である(1)のコーティング用組
成物。 (8)基材がガラスである(4)の撥水性被膜付基材。 (9)基材がプラスチックである(4)の撥水性被膜付
基材。 本発明の基本コーティング用組成物としては、350℃
以下の温度で熱処理することによりセラミックス化する
ポリシラザン系コーティング組成物であれば特に制限は
ないが、例えば、下記の組成物を用いることができる。
に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキ
ル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直
結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキル
アミノ基、アルコキシ基を表わす。ただし、R1 ,
R2 ,R3 のうち少なくとも1つは水素原子である。)
で表わされる単位からなる主骨格を有する数平均分子量
が100〜5万のポリシラザンと、一般式(II): Si(OR4 )4 (II) (式中、R4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原
子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基またはア
リール基を表わし、少なくとも1個のR4 は上記アルキ
ル基またはアリール基である。)で表わされるケイ素ア
ルコキシドを加熱反応させて得られる、アルコキシド由
来ケイ素/ポリシラザン由来ケイ素原子比が0.001
〜3の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のケ
イ素アルコキシド付加ポリシラザンを少なくとも含有す
るコーティング用組成物(特願平4−39595号参
照)。
に対して、ケイ素アルコキシドに代えてアルコールを反
応させて得られる、アルコール/ポリシラザン重量比が
0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約100〜
50万のアルコール付加ポリシラザンを少なくとも含有
するコーティング用組成物(特願平5−30750号参
照)。
に対して、ケイ素アルコキシドに代えて、ニッケル、チ
タン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニウム、オ
スミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウムの群
から選択される少なくとも一種の金属を反応させて得ら
れる、金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比が0.0
00001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜
50万の金属カルボン酸塩付加ポリシラザンを少なくと
も含有するコーティング用組成物(特願平5−9327
5号参照)。
に代えて、金属としてニッケル、白金、パラジウム又は
アルミニウムを含むアセチルアセトナト錯体を反応させ
て得られる、アセチルアセトナト錯体/ポリシラザン重
量比が0.000001〜2の範囲内かつ数平均分子量
が約200〜50万のアセチルアセトナト錯体付加ポリ
シラザンを少なくとも含有するコーティング用組成物
(特願平5−35604号参照)。
とするコーティング溶液に、金属の微粒子を添加したこ
とを特徴とするコーティング用組成物(特願平5−33
8524号参照)。これらのうちでは、特に(3)の金
属カルボン酸塩添加系が好ましい。上記において用いる
ポリシラザンは、分子内に少なくともSi−H結合、あ
るいはN−H結合を有するポリシラザンであればよく、
ポリシラザン単独は勿論のこと、ポリシラザンと他のポ
リマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物との混
合物でも利用できる。
るいは架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら
複数の構造を同時に有するものがあり、これら単独でも
あるいは混合物でも利用できる。用いるポリシラザンの
代表例としては下記のようなものがあるが、これらに限
定されるものではない。ペルヒドロポリシラザンが好ま
しい。
素原子を有するものは、ペルヒドロポリシラザンであ
り、その製造法は例えば特公昭63−16325号公
報、D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc., C-1
3, January 1983. に報告されている。これらの方法で
得られるものは、種々の構造を有するポリマーの混合物
であるが、基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を含
み、
ロポリシラザンの構造の一例を示すと下記の如くであ
る。
R3 にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D.
SeyferthらPolym.Prepr., Am.Chem.Soc., Div.Polym.Ch
em.,25, 10(1984)に報告されている。この方法により得
られるポリシラザンは、繰り返し単位が−(SiH2 N
CH3 )−の鎖状ポリマーと環状ポリマーであり、いず
れも架橋構造をもたない。
R2 に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザン
の製造法は、D.SeyferthらPolym.Prepr., Am.Chem.So
c., Div.Polym.Chem., 25, 10(1984)、特開昭61−8
9230号公報、同62−156135号公報に報告さ
れている。これらの方法により得られるポリシラザンに
は、−(R2 SiHNH)−を繰り返し単位として、主
として重合度が3〜5の環状構造を有するものや(R3
SiHNH)x 〔(R2 SiH)1.5 N〕1-x (0.4
<x<1)の化学式で示せる分子内に鎖状構造と環状構
造を同時に有するものがある。
R3 に有機基を有するポリシラザン、またR1 及びR2
に有機基、R3 に水素原子を有するものは−(R1 R2
SiNR3 )−を繰り返し単位として、主に重合度が3
〜5の環状構造を有している。用いるポリシラザンは、
上記の如く一般式(I)で表わされる単位からなる主骨
格を有するが、一般式(I)で表わされる単位は、上記
にも明らかな如く環状化することがあり、その場合には
その環状部分が末端基となり、このような環状化がされ
ない場合には、主骨格の末端はR1 ,R2 ,R3 と同様
の基又は水素であることができる。
は、D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc., C-13
2, July 1984. が報告されている様な分子内に架橋構造
を有するものもある。一例を示すと下記の如くである。
ている様なR1 SiX3 (X:ハロゲン)のアンモニア
分解によって得られる架橋構造を有するポリシラザン
(R1Si(NH)x )、あるいはR1 SiX3 及びR2
2SiX2 の共アンモニア分解によって得られる下記の
構造を有するポリシラザンも出発材料として用いること
ができる。
子であるMは架橋をなしていてもよい)の如く金属原子
を含むポリメタロシラザンも出発材料として用いること
ができる。
されている様なポリシロキサザン、特開平2−8443
7号に報告されている様なボロシラザン、特開昭63−
81122号、特開昭63−191832号、特開平2
−77427号に報告されている様なポリメタロシラザ
ン、特開平1−138108号、特開平1−13810
7号、特開平1−203429号、特開平1−2034
30号、特開平4−63833号、特願平3−3201
67号に報告されている様な改質ポリシラザン、特開平
2−175726号、特開平1−138107号、特開
平5−86200号、特開平5−331293号、特開
平3−31326号に報告されている様な共重合ポリシ
ラザンも好適に使用できる。
量で100〜5万、より好ましくは500〜10,00
0である。分子量が小さすぎると焼成時の収率が低く、
実用的でなく、一方分子量が、大きすぎると溶液の安定
性が低く、健全な膜が得られない。この様なポリシラザ
ンと反応させて、コーティング用組成物のセラミックス
化温度を低下させることができ、あるいは金属微粒子を
添加するだけでもセラミックス化温度を低下させること
ができる。
いが、反応性の点で、式(I)におけるR4 はC1 〜C
20のアルキル基が好ましく、C1 〜C10のアルキル基が
より好ましく、C1 〜C4 のアルキル基が最も好まし
い。ポリシラザンとケイ素アルコキシドとの混合比は、
アルコキシド由来Si/ポリシラザン由来Si原子比が
0.001から60になるように、好ましくは0.01
から5になるように、さらに好ましくは0.05から
2.5になる様に加える。ケイ素アルコキシドの添加量
をこれより増やすとケイ素アルコキシドが未反応のまま
回収され、また、少ないと十分な効果が得られない。
ルコールが好ましい。例を挙げるとブタノール、ヘキサ
ノール、オクタノール、ノナノール、メトキシエタノー
ル、エトキシエタノール、フルフリルアルコール等があ
る。ポリシラザンとアルコールとの混合比は、アルコー
ル/ポリシラザン重量比が0.001から2になるよう
に、好ましくは0.01から1になるように、さらに好
ましくは0.05から0.5になる様に加える。アルコ
ールの添加量をこれより増やすとポリシラザンの分子量
が上がり過ぎてゲル化し、また、少ないと十分な効果が
得られない。
O)n M〔式中、Rは脂肪族基または脂環基で炭素数1
〜22のものを表わし、MはNi,Ti,Pt,Rh,
Co,Fe,Ru,Os,Pd,Ir,Alからなる群
より選択される少なくとも1種の金属を表わし、nはM
の原子価である。〕で表わされる化合物である。また、
金属カルボン酸塩は無水物でも水和物でもよい。
比は、金属カルボン酸塩/ポリシラザン重量比が0.0
00001から2になるように、好ましくは0.001
から1になるように、さらに好ましくは0.01から
0.5になる様に加える。金属カルボン酸塩の添加量を
これより増やすとポリシラザンの分子量が上がり過ぎて
ゲル化し、また、少ないと十分な効果が得られない。
ルアセトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により
生じた陰イオンacac- が金属原子に配位した錯体で
あり、一般的には式 (CH3 COCHCOCH3 )n M〔式中、Mはn値の
金属を表す。〕 で表わされる。
の混合比は、アセチルアセトナト錯体/ポリシラザン重
量比が0.000001から2になるように、好ましく
は0.001から1になるように、さらに好ましくは
0.01から0.5になる様に加える。アセチルアセト
ナト錯体の添加量をこれより増やすとポリシラザンの分
子量が上がり過ぎてゲル化し、また、少ないと十分な効
果が得られない。
についてケイ素アルコキシドの場合を用いて説明する
が、他の化合物の場合もほぼ同様であることができる。
反応は、無溶媒で行なうこともできるが、有機溶媒を使
用する時に比べて、反応制御が難しく、ゲル状物質が生
成する場合もあるので、一般に有機溶媒を用いた方が良
い。溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、
脂環式炭化水素の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素、
脂肪族エーテル、脂環式エーテル類、芳香族アミン類が
使用できる。好ましい溶媒としては、例えばベンゼン、
トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、n
−ヘキサン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ピ
リジン、メチルピリジン等があげられる。また反応に対
して不活性な雰囲気、例えば、窒素、アルゴン等の雰囲
気中において反応を行なうことが必要であり、空気中の
ような酸化性雰囲気中で行なうと、原料のポリシラザン
及びケイ素アルコキシドの酸化や加水分解が起こるため
好ましくない。
とも可能である。この場合の触媒としては室温硬化性シ
リコーン樹脂用触媒として公知のものの中から適宜選択
することができる。このような触媒としては、例えば、
オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、オクチル酸コバル
ト、オレイン酸スズのようなカルボン酸金属塩、ジブチ
ルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブ
チルスズジアセテートのような四価スズ化合物等が挙げ
られる。触媒の配合量は反応条件にもよるが、ポリシラ
ザン100重量部に対し0.01〜10重量部であり、
好ましくは0.05〜5重量部である。
併用することも可能である。この場合のエポキシ化合物
としてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチ
レンオキシド、アリルグリシジルエーテル、フェニルグ
リシジルエーテル、グリシドール等が挙げられる。配合
量は反応条件にもよるが、ポリシラザン100重量部に
対し0.1〜20重量部である。
とができ、例えば有機溶媒を使用する場合には、その有
機溶媒の沸点以下の温度に加熱してもよいが、数平均分
子量の高い固体を得るには、引続き有機溶媒の沸点以上
に加熱して有機溶媒を留去させて反応を行なうこともで
きる。反応温度は、ケイ素アルコキシド付加ポリシラザ
ンの熱分解によるゲル化を防ぐため、一般に400℃以
下にするのが好ましい。
〜50時間程度である。反応は一般に常圧付近で行なう
のが好ましく、真空中や高い減圧中で反応を行なうと、
低分子量成分やケイ素アルコキシドが系外に留出するた
め収率が低下するので好ましくない。生成物のケイ素ア
ルコキシド付加ポリシラザンと出発原料のケイ素アルコ
キシドとは、ケイ素アルコキシドの減圧留去あるいはゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー、高速液体クロ
マトグラフィーによって分離することができる。
を用いてコーティング用組成物を調製するには、通常ケ
イ素アルコキシド付加ポリシラザンを溶剤に溶解させれ
ばよい。溶剤としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水
素、芳香族炭化水素の炭化水素溶媒、ハロゲン化メタ
ン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエ
ーテル類が使用できる。好ましい溶媒は、塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エ
チレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、テトラク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、
イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチル
エーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメ
チルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピ
ラン等のエーテル類、ペンタンヘキサン、イソヘキサ
ン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタ
ン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペン
タン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素
等である。
アルコキシド付加ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速
度を調節するために、2種類以上の溶剤を混合してもよ
い。溶剤の使用量(割合)は採用するコーティング方法
により作業性がよくなるように選択され、またケイ素ア
ルコキシド付加ポリシラザンの平均分子量、分子量分
布、その構造によって異なるので、コーティング用組成
物中溶剤は90重量%程度まで混合することができ、好
ましくは10〜50重量%の範囲で混合することができ
る。
リシラザンの平均分子量、分子量分布、その構造によっ
て異なるが、通常0〜90重量%の範囲で良い結果が得
られる。また、本発明は前記ポリシラザンを用いたコー
ティング用組成物に金属微粒子を添加した系にも適用さ
れるが、その金属微粒子としては、特に限定されない
が、Au,Ag,Pd,Niが好ましく、特にAgが好
ましい。
ことが好ましく、0.1μm以下がより好ましく、0.
05μmより小さいことがさらに好ましい。金属微粒子
の粒径が大きいと触媒としての効果が小さく、また溶液
中で沈降するので好ましくない。特に独立分散超微粒子
と呼ばれる粒径50〜100Å(0.005〜0.01
μm)のAu,Ag,Pdなどの超微粒子をα−テルピ
ネオールなどの高沸点アルコールのような分散液に分散
させたものは、分散液(10〜70wt%濃度)のまま、
あるいはキシレンなどコーティング液の溶剤で希釈した
分散液を添加し、スターラーで10〜60分程度撹拌す
るだけでよく、一般の微粒子の場合のように、ボールミ
ルや超音波分散により、さらには分散剤を用いて、均一
に分散させる必要がないので、非常に好適である。
ザン100重量部に対して0.01〜10重量部、より
好ましくは0.05〜5重量部である。添加量が少ない
と効果がなく、一方多すぎると金属微粒子の凝集部が膜
の欠陥となるので好ましくない。前記の如く、金属微粒
子はポリシラザンコーティング溶液に均一に分散させる
べきである。均一に分散させる方法としては独立分散超
微粒子の分散液の場合は、スターラーによる撹拌で十分
であるが、一般の金属微粒子の場合には必要に応じ予め
市販の分散剤を添加したシラザン溶液中でボールミル、
振動ミルなどにより混合、分散して均一なコーティング
液とするなどによる。
コーティング用組成物のポリシラザンに脂肪族フッ素化
合物を反応あるいは混合させる。用いる脂肪族フッ素化
合物としては、フッ化アルキル基含有アルコール、例え
ば、F(CF2 )n CH2 OH,F(CF2 )n CH2
CH2 OH,F(CF2)n (CH2 )m OH,(CF
3 )2 CF(CF2 )n (CH2 )m OH,H(C
F2 )n (CH2 )m OH,(CF3 )2 CHOH,C
F3 CHFCF2 CH 2 OH,(CH3 )2 C(C
H3 )CH2 OH〔これらの式中、n=約1〜10、m
=約1〜10〕、あるいはフッ化アルキル基含有シラン
化合物、例えば、CF3 CH2 CH2 Si(OCH3 )
3 ,CH3 (CF2 )5 CH2 CH2 Si(OCH3 )
3 ,CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 Si(OCH3 )
3 ,CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 CH3 Si(OC
H3 )2 等、さらにはCF3 (CF2)7 CH2 CH2
SiCl3 等、あるいはこれらの部分加水物などが採用
できる。などが挙げられる。
あるいは混合は、上記のポリシラザンと各種化合物との
反応と同様であることができる。あるいは混合すればよ
い。例えば、脂肪族フッ素化合物がフッ化アルキル基含
有アルコールであれば、上記のポリシラザンとアルコー
ルの反応と同様であることができる。フッ化アルキル基
含有シラン化合物の場合は単に混合すればよい。
合比は、脂肪族フッ素化合物/ポリシラザン(低温セラ
ミックス化タイプのポリシラザン)の重量比が0.00
1〜2、好ましくは0.001〜0.5になる様に加え
る。脂肪族フッ素化合物の添加量をこれより増やすとポ
リシラザンの分子量が上がり過ぎてゲル化し、また、少
ないと十分な効果が得られない。
フッ素化合物を溶解するものであればよく、例えば、キ
シレン、トルエンがポリシラザンと脂肪族フッ素化合物
の両者を安定的に溶解するので好ましく、テトラヒドロ
フラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、ジ
メチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド
(DMA)、ジエチルアセトアミド(DEA)、n−ブ
チルカルビトールアセテート(BCA)、メチルイソブ
チルケトン(MIBK)、メチルメトキシプロピオネー
ト(MMP)、ジエチルホルムアミド(DEP)がポリ
シラザンを変質させないので好ましい。
最終コーティング組成物(溶液)を基準にして20〜9
5重量%(固形分80〜5重量%)がよい。また、本発
明においては、必要に応じて適当な充填剤を加えてもよ
い。充填剤の例としてはシリカ、アルミナ、ジルコニ
ア、マイカを始めとする酸化物系無機物あるいは炭化珪
素、窒化珪素等の非酸化物系無機物の微粉等が挙げられ
る。また用途によってはアルミニウム、亜鉛、銅等の金
属粉末の添加も可能である。さらに充填剤の例を詳しく
述べれば、ケイ砂、石英、ノバキュライト、ケイ藻土な
どのシリカ系:合成無定形シリカ:シリカゾル:フッ化
カルシウム、フッ化マグネシウムなどのフッ化物:カオ
リナイト、雲母、滑石、ウオラストナイト、アスベス
ト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸
塩:ガラス粉末、ガラス球、中空ガラス球、ガラスフレ
ーク、泡ガラス球等のガラス体:窒化ホウ素、炭化ホウ
素、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、窒化ケイ
素、炭化ケイ素、ホウ化チタン、窒化チタン、炭化チタ
ン等の非酸化物系無機物:炭酸カルシウム:酸化亜鉛、
アルミナ、マグネシア、酸化チタン、酸化ベリリウム等
の金属酸化物:硫酸バリウム、二硫化モリブデン、二硫
化タングステン、弗化炭素その他無機物:アルミニウ
ム、ブロンズ、鉛、ステンレススチール、亜鉛等の金属
粉末:カーボンブラック、コークス、黒鉛、熱分解炭
素、中空カーボン球等のカーボン体等があげられる。
む。)、粒状、鱗片状等種々の形状のものを単独又は2
種以上混合して用いることができる。又、これら充填剤
の粒子の大きさは1回に塗布可能な膜厚よりも小さいこ
とが望ましい。また充填剤の添加量はポリシラザン1重
量部に対し、0.05重量部〜10重量部の範囲であ
り、特に好ましい添加量は0.2重量部〜3重量部の範
囲である。又、充填剤の表面をカップリング剤処理、蒸
着、メッキ等で表面処理して使用してもよい。
各種顔料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線
吸収剤、pH調整剤、分散剤、表面改質剤、可塑剤、乾燥
促進剤、流れ止め剤を加えてもよい。こうして得られた
本発明のコーティング用組成物は、基材に1回又は2回
以上塗布した後、焼成してセラミックス化することがで
きる。
に限定されず、ガラス、金属、セラミックス、プラスチ
ックス等のいずれでもよい。コーティングとしての塗布
手段としては、通常の塗布方法、つまり浸漬、ロール塗
り、バー塗り、刷毛塗り、スプレー塗り、フロー塗り等
が用いられる。又、塗布前に基盤をヤスリがけ、脱脂、
各種ブラスト等で表面処理しておくとコーティング組成
物の付着性能は向上する。
燥させた後、加熱・焼成する。この焼成によって金属微
粒子含有ポリシラザンは架橋、縮合、あるいは、焼成雰
囲気によっては酸化、加水分解して硬化し、強靱な被覆
を形成する。上記焼成条件はポリシラザンの分子量や構
造などによって異なる。昇温速度は特に限定しないが、
0.5〜10℃/分の緩やかな昇温速度が好ましい。好
ましい焼成温度は350℃以下である。焼成雰囲気は酸
素中、空気中あるいは不活性ガス等のいずれであっても
よいが、空気中がより好ましい。
ミックス化プロセスを採用することが好ましい。すなわ
ち、コーティング用組成物を基材に塗布した後、150
℃以下の温度で加熱し、または水蒸気雰囲気にさらし、
あるいはこれら両方の処理を伴なう処理を行なって成膜
することにより、脂肪族フッ素化合物の分解、飛散を防
止し、膜中にとどめることができる。この膜中の脂肪族
フッ素化合物の存在により、撥水性が発現する。このよ
うにして作成した膜は、Si−O結合あるいはSi−N
結合を主体とするセラミックス部分と脂肪族フッ素化合
物からなる有機質部分が微細なレベルで複合化した緻密
な膜であると言える。この膜はフィラーを添加したもの
と異なり、微細な構造レベルでハイブリッド化したコー
ティングが得られる。そして、ポリシラザンと脂肪族フ
ッ素化合物の割合を任意に変えることにより、硬度に重
点をおいたものから、撥水性に重点をおいたものまで、
広範囲に特性を実現出来る。
ポリシラザンType−1(PHPS−1;数平均分子
量900)の20%キシレン溶液10gに酢酸パラジウ
ム(II)(エヌ・イー・ケムキャット(株)製)の0.
5%キシレン溶液4gを添加し、大気中、20℃で3時
間撹拌しながら反応を行った。
プロパノールを0.3g添加し、大気中、20℃で3時
間撹拌しながら反応を行った。更に濃縮して濃度20wt
%の溶液を調製した。本溶液の数平均分子量はGPCに
より測定したところ1000であった。この溶液をコー
ティング液とし、孔径0.2μmのPTFE製フィルタ
ーで濾過後、ソーダライムガラス基板にディップコーテ
ィングにより、膜を形成させ、大気雰囲気下150℃で
1時間予備硬化させた。更に80%RH(相対湿度)中、
大気圧下で95℃×3h加熱した。この膜についてIR
測定をしたところ、Si−Oの吸収のみが認められ、セ
ラミックス化していた。この膜の厚さは触針式記録計で
測定したところ、1μmであった。 (撥水性試験)大気中での純水に対する接触角を測定し
たところ、90度であった。 (鉛筆硬度試験)得られたコーティングサンプルの鉛筆
硬度を測定したところ、9Hであった。 実施例2 (コーティング溶液の調製及び成膜)東燃製ペルヒドロ
ポリシラザンType−1(PHPS−1;数平均分子
量900)の20%キシレン溶液10gに酢酸パラジウ
ム(II)の0.5%キシレン溶液4gを添加し、大気
中、20℃で3時間撹拌しながら反応を行った。
ールの1%キシレン溶液を2g添加し、大気中、20℃
で3時間撹拌しながら反応を行った。更に濃縮して濃度
20wt%の溶液を調製した。本溶液の数平均分子量はG
PCにより測定したところ1000であった。この溶液
をコーティング液とし、孔径0.2μmのPTFE製フ
ィルターで濾過後、ソーダライムガラス基板にディップ
コーティングにより、膜を形成させ、大気雰囲気下15
0℃で1時間予備硬化させた。更に80%RH(相対湿
度)中、大気圧下で95℃×3h加熱した。この膜の厚
さは触針式記録計で測定したところ、1μmであった。 (撥水性試験)大気中での純水に対する接触角を測定し
たところ、100度であった。 (鉛筆硬度試験)得られたコーティングサンプルの鉛筆
硬度を測定したところ、9Hであった。 実施例3 〔フッ化アルキル基含有シラン化合物添加の
例〕 (コーティング溶液の調製及び成膜)東燃製ペルヒドロ
ポリシラザンType−1(PHPS−1;数平均分子
量900)の20%キシレン溶液10gに酢酸パラジウ
ム(II)の0.5%キシレン溶液4gを添加し、大気
中、20℃で3時間撹拌しながら反応を行った。本溶液
の数平均分子量はGPCにより測定したところ1000
であった。(これを溶液Aとする) 次に、3−3−3−トリフロロプロピルトリメトキシシ
ランの2%イソプロピルアルコール溶液を50g用意
し、これに60%硝酸1gを添加し、大気中、20℃で
24時間撹拌しながら反応させ、部分加水分解物を得
た。この溶液に更にキシレンを50g加え、エバポレー
タにて濃縮する工程を2回繰り返し、キシレンに溶媒置
換された濃度20wt%の溶液を調製した。(これを溶液
Bとする) 次に、溶液A14gに対し、溶液Bを0.1g添加し
た。
2μmのPTFE製フィルターで濾過後、ソーダライム
ガラス基板にディップコーティングにより、膜を形成さ
せ、大気雰囲気下150℃で1時間予備硬化させた。更
に80%RH(相対湿度)中、大気圧下で95℃×3h加
熱した。 (撥水性試験)大気中での純水に対する接触角を測定し
たところ、100度であった。 (鉛筆硬度試験)得られたコーティングサンプルの鉛筆
硬度を測定したところ、9Hであった。
性、透明性、緻密性、耐汚染性、摺動性、特に撥水性に
優れた被覆膜を容易に低温で成膜できるコーティング用
組成物及びコーティング方法が提供される。
Claims (3)
- 【請求項1】 セラミックス化温度が350℃以下であ
るポリシラザン系コーティング用組成物を構成するポリ
シラザン系ポリマーに脂肪族フッ素化合物を反応付加あ
るいは混合して成ることを特徴とするコーティング組成
物。 - 【請求項2】 請求項1記載のコーティング組成物を基
板に塗付し、150℃以下の温度で熱処理した後、水蒸
気雰囲気にさらす、あるいは触媒を含有した水溶液中に
浸す、あるいはその両方を用いる処理を行なってセラミ
ックス化することを特徴とするセラミックス被膜の製造
方法。 - 【請求項3】 請求項2記載の方法で形成された撥水性
膜付基材。
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