JPH09239992A - 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び該ヘッドを有する液体噴射記録装置 - Google Patents

液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び該ヘッドを有する液体噴射記録装置

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JPH09239992A
JPH09239992A JP8054640A JP5464096A JPH09239992A JP H09239992 A JPH09239992 A JP H09239992A JP 8054640 A JP8054640 A JP 8054640A JP 5464096 A JP5464096 A JP 5464096A JP H09239992 A JPH09239992 A JP H09239992A
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功 今村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な親水化層として、耐溶剤性、耐薬品
性、インクに対しての濡れ性に優れ、かつ下地との密着
性にも優れた表面改質層をインク流路に設けた液体噴射
記録ヘッドを提供する。 【解決手段】 その液流路表面に式(I): 【化1】 で表わされるペルヒドロポリシラザンの焼成層よりなる
親水層が設けられていることを特徴とする液体噴射記録
ヘッドにより課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式に用いる記録小滴を発生するための液体噴射記録
ヘッド、その製造方法、該ヘッドを用いたインクジェッ
ト記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式の記録装置に用
いるインクは、耐水性、発色性、定着性などの性能の優
れた染料や顔料を溶かし込む必要性から、高極性溶媒
化、高アルカリ化してきている。また、記録画像の品位
を上げるため、液体噴射記録ヘッドのノズルは微細化し
ている。さらに、記録の印字スピードを上げるために、
ヘッドのノズルからのインクの吐出周波数は高くなって
いる。
【0003】ノズルの微細化、ノズルからのインクの吐
出の高周波数化に伴い、記録ヘッドにおけるインク流路
には、インクのリフィール特性を向上させる必要があ
り、このためにはインク流路のインクに対する濡れ性を
向上させる必要がある。
【0004】しかし、従来の記録ヘッドにおいて用いら
れているインク流路は、例えば活性エネルギー線硬化性
樹脂の露光硬化およびその後の加熱処理などによって形
成されているが、かかる流路材料は、その構造的強度や
その耐インク性の観点からの必要上、必ずしもインクに
対する濡れ性のよい材料ではない。そこで、インク流路
のインクに対しての濡れ性向上の目的で、流路の親イン
ク化処理が行われる。
【0005】流路を親インク化処理するために、インク
流路の表面改質が必要である。表面の改質方法には、サ
ンドブラスト法やエッチング法、プラズマアッシング
法、UV−オゾン処理法などがある。また、プライマー
処理やシラン処理などを施した表面改質層を上に設ける
方法もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、サンド
ブラスト法は、複雑な形状のものには適応できなく表面
を物理的に荒らすだけで根本的な改質を行うことができ
ていない。エッチング法は、薬液が構造材料に浸透し、
膨潤やクラックなどの悪影響を及ぼすことがあったり、
また、その効果があまり満足できない場合がある。プラ
ズマアッシング法は、複雑な形状のものには適応できな
く、かつ、この方法の実施のためには高価な装置が必要
となる。UV−オゾン処理法は満足できる効果を達成で
きない。
【0007】表面改質層を上にコート層として設ける方
法は、表面改質の観点からは望ましいが、改質層自体に
下地との密着性、耐熱性や耐薬品性が十分でない場合も
あり、また、コート層の塗布厚さについては、その構造
的な強度や効果の点から少なくとも数μmオーダーの層
を設けなくてはならないので、微細構造の流路には適用
できない。
【0008】本発明は、上記課題に鑑み、新規な親水化
層として、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、インクに対して
の濡れ性が大変優れており、かつ下地との密着性にも優
れた表面改質層をインク流路に設けた液体噴射記録ヘッ
ド、その製造法、該ヘッドを用いたインクジェット記録
装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、
その液流路表面に式(I)で表わされるペルヒドロポリ
シラザンの焼成層よりなる親水化層が設けられているこ
とを特徴とする液体噴射記録ヘッドである。
【0010】
【化2】 その第2の発明は、上記第1の発明において、該ペルヒ
ドロポリシラザンの分子量が600ないし2000であ
る液体噴射記録ヘッドである。
【0011】また、第3の発明は、液体噴射記録ヘッド
を製造する際に、該ヘッドにおいて、液流路となるべき
レジストパターン部分の、現像除去および洗浄などの後
処理がおわった後で、形成された液流路内に、式(I)
で表わされるペルヒドロポリシラザンを含有する溶液を
流し込んで該液流路壁面に該ペルヒドロポリシラザンを
付着させ、次いで加熱することにより該液流路表面にペ
ルヒドロポリシラザンの焼成層よりなる親水化層を設け
ることを特徴とする液体噴射記録ヘッドの製造法であ
る。
【0012】その第4の発明は、上記第3の発明におい
て、該ペルヒドロポリシラザンの分子量が600ないし
2000である液体噴射記録ヘッドの製造法である。
【0013】さらに、第5の発明は、上記第1または第
2の発明の液体噴射記録ヘッドを具備することを特徴と
する液体噴射記録装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】空気雰囲気中で加熱して焼成する
ことにより、ペルヒドロポリシラザン分子中の窒素原子
と水素原子が抜けて酸素原子が分子中に導入される。従
来用いられているSiO2膜形成は、主として金属アル
コシドなどを用いるゾルゲル法であるが、この方法では
脱水重縮合によりSiO2 が表面に改質層として形成さ
れる。この従来技術に比べると、本発明ではペルヒドロ
ポリシラザンは焼成により緻密で硬化収縮の少ない膜を
形成できる。その上、加熱により形成されたペルヒドロ
ポリシラザンの焼成法は、耐溶剤性、耐薬品性、インク
に対する濡れ性に優れており、かつ下地となる液流路壁
材料表面との密着性が優れているので、液流路の親イン
ク化層として好適な表面改質層となる。
【0015】用いるペルヒドロポリシラザンの分子量
は、製造の際の塗膜の形成性の観点から、600ないし
2000が好適である。ペルヒドロポリシラザンはほと
んどの芳香族炭化水素系の溶剤に可溶であり、この分子
量範囲のものを含有する溶液は膜形成性が優れており、
オングストロームオーダーの均一薄膜を液流路表面に形
成することが可能である。
【0016】ペルヒドロポリシラザン塗膜の焼成は25
0ないし500℃で0.5ないし3時間加熱して行うの
が好適である。
【0017】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記
録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置に
おいて、優れた効果をもたらすものである。
【0018】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0019】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第4313124号明細書に記載されている条件を採用
すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0020】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を
開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含ま
れるものである。
【0021】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギー
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成
においても本発明は有効である。
【0022】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満た
す構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を
一層有効に発揮することができる。
【0023】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けら
れたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも
本発明は有効である。
【0024】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段などを付加することは本発明の効果を一層安定でき
るので好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるい
はこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせに
よる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モ
ードを行うことも安定した記録を行うために有効であ
る。
【0025】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色などの主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによって
でもよいが、異なる色の複色カラー、または混色による
フルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は
極めて有効である。
【0026】以上説明した本発明例においては、インク
を液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化す
るインクであって、室温で軟化するもの、もしくは液体
であるもの、あるいは上述のインクジェット方式ではイ
ンク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を
行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制
御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時に
インクが液状をなすものであればよい。
【0027】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで防止するか、またはイン
クの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを
用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号
に応じた付与によってインクが液化し、インク液状とし
て吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固
化し始めるものなどのような、熱エネルギーによって初
めて液化する性質のインクの使用も本発明では適用可能
である。このような場合インクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状
または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に
対して対向するような形態としてもよい。本発明におい
ては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上
述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0028】さらに加えて、本発明に係る記録装置の形
態としては、ワードプロセッサやコンピュータなどの情
報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設け
られるものの他、リーダなどと組み合わせた複写装置、
さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を
採るものであってもよい。
【0029】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに説明す
る。
【0030】実施例1 インクジェット記録ヘッドを図1に示す手順で製造し
た。
【0031】液体吐出エネルギー発生素子として電気熱
変換体を形成したガラス被処理基板1上にポジ型フォト
レジストAZ−4903(ヘキスト社製)2を膜厚30
μmとなるようにスピンコートし(図1(a))、オー
ブン中で90℃、20分のプリベークを行ってレジスト
層2を形成した、このレジスト層にノズルパターンのマ
スク3を介してマスクアライナーPLA−501(キャ
ノン製)により200mJ/cm2 の露光量でパターン
露光した後(図1(b))、0.75wt%の水酸化ナ
トリウム水溶液を用いて現像し、次いでイオン交換水で
リンス処理を施し、レジストパターン4を被処理基板1
上に形成した(図1(c))。
【0032】次ぎにこのように現像処理した被処理基板
を、オーブンで70℃、30分間のポストベーク、15
mJ/cm2 の露光量での全面露光および0.1mmH
gの真空条件下で30分間の脱気処理の一連の工程を2
度繰り返した。
【0033】このように処理した被処理基板上に、以下
に示す樹脂組成物1の活性エネルギー線硬化性樹脂より
なる液流路形成用材料5を塗布し(図1(d))、次い
でその上から8J/cm2 の露光量で露光し(図1
(e))た後、120℃2時間の熱キュアーを行った。
【0034】 樹脂組成物1 重量部 アデカオプトマーKRM2410 75 旭電化工業(株)製 LS−7970 25 信越化学工業(株)製 シランカップリング剤A−187 5 日本ユニカー(株)製 アデカオプトマーSP−170 1.5 旭電化工業(株)製 3wt%の水酸化ナトリウム水溶液を用いレジストパタ
ーン4の型材を除去し(図1(f))、次いでイオン交
換水でリンス処理を施して液流路6を形成した。
【0035】次に、ペルヒドロポリシラザンPHPS−
1(東燃(株);0.1%MIBK溶液)を形成された
液流路に流し込み、エアーブローをし、余分なポリシラ
ザンを取り除いた。次いで、100℃1時間乾燥した。
そして、300℃1時間の熱キュアーをしセラミック化
を行って、液流路表面にペルヒドロポリシラザンの焼成
層よりなる親水層を形成した。用いたペルヒドロポリシ
ラザンの分子量は600〜900であった。
【0036】比較例1 ペルヒドロポリシラザン処理を行わない以外は実施例1
と同様に図1(a)ないし(f)の工程にしたがってイ
ンクジェット記録ヘッドを製造した。
【0037】比較例2 ペルヒドロポリシラザン処理のかわりに従来S0G膜に
用いられているOCOType2(東京応化(株)製)
を使用し、実施例1と同様に焼成層を形成した。
【0038】テスト例1 実施例および比較例1、2で作成した記録ヘッドをそれ
ぞれ具備するインクジェット記録装置を用いてインクの
印字テストを行った。吐出周波数を上げていくと、比較
例1のヘッドを用いたものの場合は3KHzを越えると
インクのリフィールが間に合わなくなり印字がかすれて
くるが、実施例1のヘッドを用いたものの場合は周波数
が3KHzを越えても印字に影響がなかった。比較例2
においては、初期においては実施例1と同等の性能を示
すが、耐久試験を行っていくとリフィールが間に合わな
くなり、印字がかすれてくる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明方法では、簡
単に流路に表面改質層を形成することができ、本発明の
ヘッドでは、形成された層は、従来よりも緻密なセラミ
ックのため、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性が優れた層で
ある。また、形成された層は下地との密着性が優れてい
るため、ヘッドの信頼性の向上も図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体噴射記録ヘッドの製造工程を説明するため
の工程図であり、(a),(b),(c),(d),
(e),(f)の順にその工程を示している。
【符号の説明】
1 被処理基板 2 ポジ型フォトレジスト 3 マスク 4 レジストパターン 5 液流路形成用材料 6 液流路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その液流路表面に式(I): 【化1】 で表わされるペルヒドロポリシラザンの焼成層よりなる
    親水層が設けられていることを特徴とする液体噴射記録
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記ペルヒドロポリシラザンの分子量が
    600ないし2000である請求項1の液体噴射記録ヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】 液体噴射記録ヘッドを製造する際に、該
    ヘッドにおいて、液流路となるべきレジストパターン部
    分の、現像除去および洗浄などの後処理がおわった後
    で、形成された液流路内に、式(I)で表わされるペル
    ヒドロポリシラザンを含有する溶液を流し込んで該液流
    路壁面に該ペルヒドロポリシラザンを付着させ、次いで
    加熱することにより該液流路表面にペルヒドロポリシラ
    ザンの焼成層よりなる親水化層を設けることを特徴とす
    る液体噴射記録ヘッドの製造法。
  4. 【請求項4】 前記ポリヒドロポリシラザンの分子量が
    600ないし2000である請求項3の液体噴射記録ヘ
    ッドの製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2のいずれか1項に記載
    の液体噴射記録ヘッドを具備することを特徴とする液体
    噴射記録装置。
JP8054640A 1996-03-12 1996-03-12 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び該ヘッドを有する液体噴射記録装置 Pending JPH09239992A (ja)

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