JP2001105601A - 液体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成物及び液体噴射記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成物及び液体噴射記録ヘッドの製造方法

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JP2001105601A
JP2001105601A JP29093199A JP29093199A JP2001105601A JP 2001105601 A JP2001105601 A JP 2001105601A JP 29093199 A JP29093199 A JP 29093199A JP 29093199 A JP29093199 A JP 29093199A JP 2001105601 A JP2001105601 A JP 2001105601A
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Akihiko Shimomura
明彦 下村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流路やオリフィス付近に異物が発生せず、良
好な印字が安定して得られる液体噴射記録ヘッドの製造
方法、及び、液体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成物
を提供する。 【解決手段】 基体1上に、液流路自体のパターン状に
固体層(ポリメチルイソプロペニルケトン等)4を形成
する工程と、固体層4を、エポキシ化合物と固体層を溶
解しない溶剤(キシレン等)とカチオン重合開始剤とを
含む樹脂組成物5で被覆し、かつ重合硬化することによ
り、液流路の壁材の少なくとも一部を構成する工程と、
その組成物の硬化部材5に吐出口7を形成する工程と、
その組成物を硬化させた後に固体層4を溶出除去する工
程と有する液体噴射記録ヘッドの製造方法、およびこの
方法に用いる液流路構成用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録液小滴を発生
する液体噴射記録ヘッドの製造方法、及び、液体噴射記
録ヘッドの液流路を形成する為に用いる組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録技術(液体噴射記録
方法)に使用される液体噴射記録ヘッドは、一般に、微
細な記録液吐出口(以下「オリフィス」と呼ぶ)、液流
路、及び液流路の一部に設けられた液体吐出エネルギー
発生素子を備えている。
【0003】このような液体噴射記録ヘッドを作製する
方法としては、例えば、液体吐出エネルギー発生素子が
形成された基体上に、感光性樹脂材料を使用して液流路
及びオリフィス部からなるノズルの壁部を形成して、こ
の上にガラス板などの蓋を接合する方法がある。しか
し、この方法では、ノズルを有する基板を切断するの
で、形成されるオリフィスの一部に欠けが生じる場合が
ある。このような欠けが生じると、製造歩留まりが低下
すると共に、更に微細な液流路構造や長尺で多数のオリ
フィスを有する記録ヘッドの製造が困難になる。
【0004】この問題を回避する方法として、例えば、
特開昭61−154947号公報に記載のような、溶解
可能な樹脂で液流路部自体のパターンを形成し、このパ
ターンをエポキシ樹脂等で被覆、硬化し、基板を切断し
た後に、その溶解可能な樹脂を溶出除去する方法が提案
されている。
【0005】一方、近年の記録技術の進展に伴ない、液
体噴射記録技術にも、より高精細な記録が求められてい
る。この要求を満たす一つの方法としては、オリフィス
の面積を小さくすることが挙げられる。即ち、より微細
なオリフィスの加工技術が必要となって来ているのであ
る。面積が小さいオリフィスを形成する方法として、例
えば液体吐出エネルギー発生素子が形成された基体上
に、.溶解可能な樹脂層(固体層)にて液流路自体の
パターンを形成する工程と、.この溶解可能な樹脂層
上に被覆樹脂を被せる工程と、.オリフィスパターン
を有するマスクを介して被覆樹脂を光硬化する工程と、
.被覆樹脂の未露光部を現像除去する工程と、.溶
解可能な樹脂層を溶出除去する工程とを有する製造方法
が有る。
【0006】ここで、被覆樹脂を露光・現像してオリフ
ィスを形成する工程(工程及び)の代わりに、'.
被覆樹脂層の表面にプラズマ耐性の高い材料からなるオ
リフィスパターンのマスクを形成する工程と、'.この
マスクを介して、プラズマにて樹脂層をドライエッチン
グする工程により、オリフィスを形成してもよい。
【0007】このような方法によれば、液体噴射記録ヘ
ッドの特性に影響を及ぼす最も重要な因子の一つである
吐出エネルギー発生素子とオリフィスの間の距離が、ス
ピンコートに代表される薄膜コーティング技術によって
再現性良く厳密に制御できる。更に、吐出エネルギー発
生素子とオリフィスの位置合わせは、フォトリソグラフ
ィーによる光学的な位置合わせが可能であり、高い位置
精度を実現できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した製造方法にお
いて、溶解可能な樹脂層(固体層)上に被覆樹脂を被せ
る方法としては、一般に、スピンコート等の薄膜コーテ
ィング法が用いられる。したがって、ここで用いる被覆
用の樹脂は、通常、塗布の為の希釈溶剤が混合されてい
る。
【0009】しかしながら、溶解可能な樹脂層(固体
層)を溶出する工程の後、観察すると流路内に薄膜状の
異物が見られたり、オリフィスの縁に張り出すような異
物が見られる場合がある。このような記録ヘッドで印字
を行うと、希に、その異物がオリフィスの一部を塞いで
インクが曲がって吐出し、良好な印字を実現できない場
合がある。さらに、オリフィスの縁に張り出すような異
物が有ると、ノズル内に泡が滞留したり、インクのリフ
ィルが遅くなったりして、良好な印字を実現できない場
合がある。本発明者がこの異物を分析したところ、被覆
樹脂そのものでもなく、固体層そのものでもなかった。
【0010】本発明の目的は、液流路内の異物及びオリ
フィスの縁に張り出すような異物が発生せず、良好な印
字が安定して得られる液体噴射記録ヘッドの製造方法、
及び、液体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成物を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体噴射記録
ヘッドの液流路自体のパターンで形成した溶解可能な固
体層の上に被覆し、かつ重合硬化することにより、液流
路の壁材の少なくとも一部を構成する為に用いられる液
体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成物であって、硬化
反応可能なエポキシ化合物と、前記固体層を溶解しない
溶剤と、カチオン重合開始剤とを少なくとも含むことを
特徴とする液体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成物で
ある。
【0012】さらに本発明は、基体上に、液流路自体の
パターン状に固体層を形成する工程と、該固体層を、硬
化反応可能なエポキシ化合物と前記固体層を溶解しない
溶剤とカチオン重合開始剤とを少なくとも含む液流路構
成用組成物で被覆し、かつ重合硬化することにより、液
流路の壁材の少なくとも一部を構成する工程と、該液流
路構成用組成物の硬化部材に吐出口を形成する工程と、
該液流路構成用組成物を硬化させた後に、前記固体層を
溶出除去する工程とを少なくとも有する液体噴射記録ヘ
ッドの製造方法である。
【0013】先に述べた通り、流路内の薄膜状の異物
や、オリフィスの縁に張り出すような異物は、本発明者
の分析によれば、被覆樹脂そのものでもなく、固体層そ
のものでもない。異物の発生する位置が両者の界面であ
ることから、被覆樹脂の溶剤が固体層の表面を溶解し、
固体層と被覆樹脂が混じり合って第三の物質ができたも
のと考えられる。この第三の物質は、被覆樹脂の現像液
に溶解され難く、また固体層の除去液にも溶け難いもの
に変化している。
【0014】一方、本発明においては、被覆樹脂として
用いる液流路構成用組成物が、固体層を溶解しない溶剤
を用いたものなので、両者の界面においても上述したよ
うな第三の物質は生成しない。したがって、流路内やオ
リフィスに異物が無く、これにより印字不良を防止でき
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0016】本発明の液体噴射記録ヘッドの液流路構成
用組成物は、硬化反応可能なエポキシ化合物と、固体層
を溶解しない溶剤と、カチオン重合開始剤とを少なくと
も含む。特に、この液流路構成用組成物をスピンコート
等の薄膜コーティング法で塗布する場合、固体層を溶解
しない溶剤は、.適用するコーティング法に合った適
度の揮発性と、.硬化反応可能なエポキシ化合物(エ
ポキシ樹脂)を溶解することと、.カチオン重合開始
剤を溶解すること等の特性を具備することが好ましい。
【0017】本発明の液流路構成用組成物に用いる溶剤
としては、固体層を溶解しないものであれば、従来より
知られる各種の溶媒を使用できる。ここで、固体層を溶
解しない溶剤とは、具体的には、固体層の形成された基
体を溶剤中に2時間程度浸漬(約25℃)した場合、固
体層の剥離や膨潤が生じず、かつ固体層のパターン形状
の崩れも無いものをいう。
【0018】固体層としては、例えば、ポリメチルイソ
プロペニルケトンから成りものが代表的に挙げられる。
この場合、固体層を溶解しない溶剤の具体例としては、
キシレン、エチルセロソルブ、酢酸ブチル等が挙げられ
る。溶媒は、一種を単独で又は二種以上を混合して用い
てもよい。この中では、キシレンが最も好ましい。ま
た、キシレンを主体として他の溶剤を少量混合したもの
も好ましい。
【0019】カチオン重合開始剤としては、ルイス酸の
芳香族スルフォニウム塩が好適である。ここで、ルイス
酸の芳香族スルフォニウム塩が溶剤に溶解するには、あ
る程度の極性が必要になる。特に、ジグライム、エチル
セロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、乳酸メチル、メチ
ルイソブチルケトン及び酢酸ブチルの何れにも溶解し得
るルイス酸のスルフォニウム塩を好適に使用できる。ル
イス酸の芳香族スルフォニウム塩の市販品としては、例
えば、旭電化工業(株)製SP−170、さらにこの溶
剤選択性を改善した同社製SP−172等が挙げられ
る。
【0020】硬化反応可能なエポキシ化合物としては、
従来より知られる各種のエポキシ樹脂を制限無く使用で
きる。市販品としては、ダイセル化学製商品名EHPE
3150、油化シェルエポキシ社製商品名エピコート1
002等が挙げられる。
【0021】本発明の組成物には、さらにシランカップ
リング剤、フッ素含有ジオール等の各種の添加剤を必要
に応じて添加できる。
【0022】本発明の組成物においては、各成分の配合
量は特に制限されず、所望に応じて適宜決定すればよい
が、エポキシ化合物と溶剤の合計100重量部に対し
て、エポキシ化合物の配合量は20〜80重量部が好ま
しく、40〜70重量部がより好ましく、溶剤の配合量
は20〜80重量部が好ましく、30〜60重量部がよ
り好ましい。さらに、カチオン重合開始剤の配合量は、
エポキシ化合物と溶剤の合計100重量部に対して、
0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより
好ましい。
【0023】以下、本発明の液体噴射記録ヘッドの製造
方法の一例を、図1〜図7を参照しつつ説明する。
【0024】まず、図1に示すように、基体であるシリ
コンウェハー1上に、液体吐出エネルギー発生素子であ
る電気熱変換素子(ヒーター)2を設け、かつインク供
給口3を開口する。次に、図2に示すように、このシリ
コンウェハー1上にドライフィルムをラミネートし、ベ
ークし、インク流路(液流路)のパターン露光を行い、
現像することにより、溶解可能な樹脂層(固体層)の液
流路自体のパターンであるレジストパターン4を形成す
る。このレジストパターン4は、インク流路の空間を確
保する為のものであり、インク流路となるところにこの
レジストパターン4を残存せしめる。
【0025】次に、図3に示すように、本発明の液流路
構成用組成物をレジストパターン4上にスピンコート
し、乾燥して被覆層5を形成する。さらに、被覆層5が
形成されたシリコンウェハー1に対して、露光、ベーク
を行い、被覆層5にカチオン重合反応を起こし硬化させ
る。次に、図4に示すように、硬化した被覆層5上に、
シリコン系ネガレジストをスピンコートし、ベークし、
このシリコン系ネガレジスト層に対してインク吐出口
(オリフィス)7に相当するパターンのマスクを重ね光
照射し、現像して、シリコン系ネガレジスト膜6を形成
する。シリコン系レジストはネガ型レジストなので、イ
ンク供給口のパターン形成は抜きパターンの形成とな
り、微細な各種形状のパターンには不利ではあるが、レ
ジスト膜厚が薄いので、φ2μm程度までの吐出口パタ
ーン形成が可能である。
【0026】次に、図5に示すように、酸素プラズマに
て被覆層5のエッチングを行ない、インク吐出口7を貫
通させる。なお、酸素ガス圧力や投入電力を変化するこ
とにより、エッチングの異方性の程度を変化させること
が可能であり、インク吐出口7の深さ方向への形状制御
も若干は可能である。また、マグネトロン型エッチング
装置においては、更にエッチング時間を速められること
が報告されている。この装置の使用は、スループットの
向上に効果的となる。
【0027】次に、図6に示すように、溶解可能な樹脂
層4を溶解除去して、インク流路8を形成し、その後ベ
ークする。最後に、図7に示すように、インク供給口7
にインク供給部材9を接着して、液体噴射記録ヘッドの
基本的構成を完成する。
【0028】以上の様にして得られた記録液を吐出する
為の吐出口と、該吐出口に連通する液流路と、該液流路
の一部に設けられた液体吐出エネルギー発生部とを備
え、しかも液流路の壁材の少なくとも一部が本発明の組
成物の重合硬化物で構成された液体噴射記録ヘッドは、
流路内やオリフィスに異物が無く、これにより印字不良
が生じ難いヘッドになる。
【0029】また、記録媒体の被記録面に対向して記録
液を吐出する吐出口が設けられた上述の記録ヘッドと、
この記録ヘッドを載置するための部材とを少なくとも具
備する液体噴射記録装置は、上述したように印字不良が
無い信頼性の高い記録装置になる。
【0030】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギ−を利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置において優れた効果をもたらすものである。
【0031】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0032】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第4313124号明細書に記載されている条件を採用
すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0033】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を
開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含ま
れるものである。
【0034】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギー
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成
としても本発明は有効である。
【0035】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満た
す構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を
一層有効に発揮することができる。
【0036】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けら
れたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも
本発明は有効である。
【0037】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる
予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モード
を行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0038】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個を組み合わせによってで
もよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフ
ルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極
めて有効である。
【0039】以上説明した本発明実施例においては、イ
ンクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固
化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは
液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式で
はインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調
整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温
度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与
時にインクが液状をなすものであればよい。
【0040】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固体状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで防止するか、またはイン
クの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを
用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号
に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとし
て吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固
化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初め
て液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能で
ある。このような場合インクは、特開昭54−5684
7号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載
されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状ま
たは固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としてもよい。本発明において
は、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述
した膜沸騰方式を実行するものである。
【0041】
【実施例】以下、実験例及び実施例により、本発明につ
いて更に詳細に説明する。
【0042】<実験例1>カチオン重合開始剤であるル
イス酸の芳香族スルフォニウム塩として、旭電化工業
(株)製SP−170(以下「SP−170」と略記す
る)、さらにこのSP−170の溶剤選択性を改善した
同社製SP−172(以下「SP−172」と略記す
る)を用意し、SP−170とSP−172の各種溶剤
への溶解性を調べた。その結果を下記表1に示す。ここ
で、「溶剤単体」の場合の溶解性は、溶剤100重量部
に対し開始剤2重量部の割合で混合して評価した。また
「組成A」の場合の溶解性は、被覆樹脂組成物を調製し
た場合の溶解性に関する評価であり、エポキシ樹脂(ダ
イセル化学(株)製、商品名EHPE3150)50
部、シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、商
品名A−187)5部、カチオン重合開始剤(SP−1
70又はSP−172)1.5部、溶剤50部の組成で
混合して評価した。
【0043】
【表1】 ○:完全透明 ×:微少白濁 ××:白濁 ×××:2相分離 表1に示す通り、「溶媒単体」、「組成A」の何れにお
いても、SP−172は、SP−170よりも更に優れ
た溶解性を示し、特に「組成A」においては、極性の小
さいキシレン溶剤にも溶解可能であった。
【0044】<実験例2>各種溶剤の固体層に対する影
響(溶解性)を表2に示す。ここで、固体層サンプル
は、Si基板上に主鎖分解型ポジレジストのポリメチル
イソプロペニルケトンを用いてパターン形成したもので
ある。
【0045】
【表2】 △:パターン形状の崩れ ×:膨潤 ××:剥離 表2に示す通り、7種の溶剤のうち、キシレン、酢酸ブ
チル、エチルセロソルブは、2時間浸漬してもポリメチ
ルイソプロペニルケトンからなる固体層のパターン形状
が崩れることが無く、固体層を溶解しない溶剤といえ
る。特にキシレンは、5時間浸漬しても問題が無く、固
体層に全く影響を与えない良好な溶剤であることが分か
る。
【0046】<実施例1>本発明の液体噴射記録ヘッド
の液流路構成用組成物を使用し、先に図1〜図7を用い
て説明した方法に従い、以下の通り液体噴射記録ヘッド
を製造した。
【0047】まず、電気熱変換素子2としてHfB2
らなるヒーターを設け、かつインク供給口3を設けた熱
酸化SiO2膜付シリコンウェハー1上に、ポリメチル
イソプロペニルケトン(東京応化工業(株)社製、商品
名ODUR−1010、以下「ODUR−1010」と
称す)をポリエチレンテレフタレート上に塗布、乾燥し
ドライフィルムとしたものをラミネートにより転写し
た。なお、前記市販品ODUR−1010は濃縮してか
ら用いた。次いで、120℃で20分間ベークし、キヤ
ノン製マスクアライナーPLA520(コールドミラー
CM290使用)にて、インク流路のパターン露光を行
った。露光時間は1.5分間、現像にはメチルイソブチ
ルケトン/キシレン=2/1(重量比)を用い、リンス
にはキシレンを用いた。この現像後のレジストの膜厚は
12μmであった。
【0048】次いで、エポキシ樹脂(ダイセル化学製、
商品名EHPE3150)50重量部、シランカップリ
ング剤(日本ユニカー製、商品名A−187)5重量
部、カチオン重合開始剤(旭電化工業製、商品名SP−
172)1.5重量部、キシレン50重量部からなる樹
脂組成物を、レジストパターン4上にスピンコート、乾
燥して被覆層5を形成した。次いで、被覆層5が形成さ
れたシリコンウェハーに対して、キヤノン製マスクアラ
イナーPLA520(コールドミラーCM250使用)
にて30秒間露光し、100℃で1時間ベークして、カ
チオン重合反応を起こし硬化させた。この硬化後被覆層
5は、インク流路パターン上で10μmの厚さであっ
た。
【0049】硬化した被覆層5上に、シリコン系ネガレ
ジスト(トーソー社製、SNR)6を膜厚0.3μmに
てスピンコートし、80℃にて20分間ベークした。得
られたシリコン系レジスト層に対して、インク供給口に
相当するパターンのマスクを重ね光照射を施した。この
光照射には前記と同じキヤノン製マスクアライナーPL
A520(CM250)を用い、コンタクト露光(露光
量約60mJ/cm2)にて実施した。トルエンにて1
分間を要して現像した後、イソプロピルアルコールに3
0秒間浸漬してリンスを行ない、φ15μmの吐出口パ
ターンを形成した。
【0050】次いで、この基板を平行平板型ドライエッ
チング装置(アネルバ社製、DEM−451)に導入
し、酸素プラズマにてエポキシ樹脂層のエッチングを行
った。酸素ガス圧力は15Pa、投入電力は150W、
エッチング時間は樹脂組成により適宜決定した。このエ
ッチングにより、インク吐出口7は貫通した。
【0051】次いで、溶解可能な樹脂層(ODUR−1
010)4を溶解除去する為に、キヤノン製マスクアラ
イナーPLA520(CM290使用)にて2分間露光
し、メチルイソブチルケトン中に浸漬し、長音波洗浄器
にて超音波を付与しながらODUR−1010を溶出し
てインク流路8を形成した。更に、得られた基板を15
0℃で1時間ベークした。最後に、インク供給口3にイ
ンク供給部材9を接着して液体噴射記録ヘッドの基本構
成を完成した。
【0052】この液体噴射記録ヘッドを記録装置に装着
し、純水/ジエチレングリコール/イソプロピルアルコ
ール/水溶性黒色染料/酢酸リチウム=79.4/15
/3/2.5/0.1(重量比)から成るインクを用いて
記録を行ったところ、何れのヘッドも安定な印字が可能
であった。更に、本実施例のヘッドのノズル流路内を観
察したところ異物等は全く無かった。
【0053】<実施例2>液流路構成用組成物として、
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、商品名エピコ
ート1002)50部、シランカップリング剤(日本ユ
ニカー製、商品名A−187)5部、カチオン重合開始
剤(旭電化工業製、商品名SP−172)1.5部、キ
シレン50部からなる樹脂組成物を用いたこと以外は、
実施例1と同様にして液体噴射記録ヘッドを作製し、同
様にして記録を行なったところ、実施例1と同様の良好
な結果が得られた。
【0054】<実施例3>液流路構成用組成物として、
エポキシ樹脂(ダイセル化学製、商品名EHPE315
0)35部、フッ素含有ジオール(セントラルガラス
製、商品名1−4HFAB)15部、シランカップリン
グ剤(日本ユニカー製、商品名A−187)5部、カチ
オン重合開始剤(旭電化工業製、商品名SP−172)
1.5部、キシレン45部、エチルセロソルブ5部から
なる樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して液体噴射記録ヘッドを作製し、同様にして記録を行
なったところ、実施例1と同様の良好な結果が得られ
た。
【0055】<比較例1>液流路構成用組成物として、
エポキシ樹脂(ダイセル化学製、商品名EHPE315
0)50部、シランカップリング剤(日本ユニカー製、
商品名A−187)5部、カチオン重合開始剤(旭電化
工業製、商品名SP−170)1.5部、MIBK25
部、ジグライム25部からなる樹脂組成物を用いたこと
以外は、実施例1と同様にして液体噴射記録ヘッドを作
製した。この記録ヘッドのノズル流路内の一部には異物
が認められた。この異物は溶剤であるジグライムが、固
体層を溶解した為に生じたものと考えられる。この記録
ヘッドをそのまま用い、実施例1と同様にして記録を行
なったところ、ごく希に異物による印字不良が見られ
た。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液流路内の異物及びオリフィスの縁に張り出すような異
物が発生せず、良好な印字が安定して得られる液体噴射
記録ヘッドの製造方法、及び、液体噴射記録ヘッドの液
流路を形成する為に用いる組成物を提供できる。本発明
によれば、特に多数のインク吐出口による安定した記録
が長期間にわたって可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インク流路、オリフィス部形成前の基板の模式
的斜視図である。
【図2】溶解可能な固体層を形成した基板の模式的斜視
図である。
【図3】被覆層を形成した基板の模式図である。
【図4】被覆層上にシリコン系レジストにてインク吐出
口パターンを形成した基板の模式図である。
【図5】酸素プラズマにて硬化後の被覆層にインク吐出
口を形成した基板の模式図である。
【図6】固体層を溶出除去した基板の模式図である。
【図7】インク供給手段を設けたヘッドの模式図であ
る。
【符号の説明】
1 シリコンウェハー 2 電気熱変換素子 3 インク供給口 4 レジストパターン(溶解可能な固体層) 5 被覆層 6 シリコン系ネガレジスト膜 7 インク吐出口 8 インク流路 9 インク供給部材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体噴射記録ヘッドの液流路自体のパタ
    ーンで形成した溶解可能な固体層の上に被覆し、かつ重
    合硬化することにより、液流路の壁材の少なくとも一部
    を構成する為に用いられる液体噴射記録ヘッドの液流路
    構成用組成物であって、 硬化反応可能なエポキシ化合物と、前記固体層を溶解し
    ない溶剤と、カチオン重合開始剤とを少なくとも含むこ
    とを特徴とする液体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成
    物。
  2. 【請求項2】 固体層を溶解しない溶剤が、キシレンを
    主体とする溶剤である請求項1記載の液体噴射記録ヘッ
    ドの液流路構成用組成物。
  3. 【請求項3】 カチオン重合開始剤が、ジグライム、エ
    チルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、乳酸メチル、
    メチルイソブチルケトン及び酢酸ブチルの何れにも溶解
    し得るルイス酸のスルフォニウム塩である請求項1又は
    2記載の液体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成物。
  4. 【請求項4】 基体上に、液流路自体のパターン状に固
    体層を形成する工程と、 該固体層を、硬化反応可能なエポキシ化合物と前記固体
    層を溶解しない溶剤とカチオン重合開始剤とを少なくと
    も含む液流路構成用組成物で被覆し、かつ重合硬化する
    ことにより、液流路の壁材の少なくとも一部を構成する
    工程と、 該液流路構成用組成物の硬化部材に吐出口を形成する工
    程と、 該液流路構成用組成物を硬化させた後に、前記固体層を
    溶出除去する工程とを少なくとも有する液体噴射記録ヘ
    ッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 固体層がポリメチルイソプロペニルケト
    ンから成り、該固体層を溶解しない溶剤がキシレンを主
    体とする溶剤である請求項4記載の液体噴射記録ヘッド
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 記録液を吐出する為の吐出口と、該吐出
    口に連通する液流路と、該液流路の一部に設けられた液
    体吐出エネルギー発生部とを備える液体噴射記録ヘッド
    であって、該液流路の壁材の少なくとも一部が請求項1
    〜3の何れか一項記載の組成物の重合硬化物で構成され
    ることを特徴とする液体噴射記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 記録媒体の被記録面に対向して記録液を
    吐出する吐出口が設けられている請求項6記載の記録ヘ
    ッドと、該記録ヘッドを載置するための部材とを少なく
    とも具備することを特徴とする液体噴射記録装置。
JP29093199A 1999-10-13 1999-10-13 液体噴射記録ヘッドの液流路構成用組成物及び液体噴射記録ヘッドの製造方法 Pending JP2001105601A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014519427A (ja) * 2011-06-06 2014-08-14 シクパ ホルディング ソシエテ アノニム 硬化性樹脂組成物により製造された層を含むインクジェットプリントヘッド

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