本発明はインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録ヘッドに関する。詳しくはインク吐出圧力発生素子が形成された基板と、インク流路を形成するインク流路形成部材との密着力向上に関する。また、本発明は、そのインクジェット記録ヘッドの製造方法に関する。
インクジェットプリンターは微小な液滴を記録媒体に向かって正確に打ち出すことにより目的の情報をプリントすることが可能である。そして、インクジェット記録方式(液体噴射記録方式)に適用されるインクジェット記録ヘッドは、一般に微細な記録液吐出口(以下、オリフィスと称す)、液流路および該液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発生部とを備えている。インクジェット記録方式によって高精細な情報をプリントするためには、より微小な液滴を打ち出す必要があり、より微小な吐出口や微細なインク流路のパターンを形成する技術が要求される。
従来、このようなインクジェット記録ヘッドを作製する方法としては、例えば、構成部材としてガラスや金属等の基体に切削やエッチング等の加工手段によって微細な溝を形成した後、該溝を形成した基体を他の適当な天板と接合することにより液流路の形成を行う方法が知られている。
しかしながら、ガラスや金属の切削やエッチングではその加工精度に限界があり、さらにかかる従来法によって制作されるインクジェット記録ヘッドでは切削加工される液流路内面の荒れが大き過ぎたり、エッチング率の差から液流路に歪みが生じたりして、流路抵抗の一定した液流路が得難く、製作後のインクジェット記録ヘッドの記録特性にばらつきが出やすいといった問題があった。また、エッチング加工を行う場合には、製作工程が多く、製造コストの上昇を招くという不利もあった。さらには、上記従来法に共通する欠点として、液流路を形成した溝付き板と、記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギーを発生する圧電素子や電気熱変換素子等の駆動素子が設けられた天板とを張り合せる際に、これら板の位置合わせが困難であるという問題があり、量産性に欠ける欠点もあった。
そこで、フォトリソ工程を用いた製造方法はとても有効である。フォトリソ工程では感光性樹脂材料に紫外線を用いてマスクパターンを露光させるため微細なパターンを形成することが可能である。
ここで、インクジェット記録ヘッドは、通常その使用環境下にあっては、記録液(一般には、水を主体とし、多くの場合、中性ではないインク液、あるいは有機溶剤を主体とするインク液等)と常時接触している。それゆえ、インクジェット記録ヘッドを構成するヘッド構造材料は、記録液からの影響を受けて強度低下を起こすことがなく、また、逆に記録液中に記録液特性を低下させるような有害成分を溶出することのないものでなくてはならない。すなわち、長期間にわたる使用を考慮に入れ、高い耐薬品性と機械的強度を維持する構成部材が求められる。さらに、感光性樹脂材料は光により効率的に硬化する性質を持つ必要がある。一般的な感光性樹脂材料としてはエポキシ系樹脂材料などが使用されている。
フォトリソ工程を用いた具体的な製造方法としては、特許文献1及び2に記載されているように、感光性樹脂材料を使用してインク吐出圧力発生素子が形成された基体上にインク流路およびオリフィス部からなるノズルをパターン形成してこの上にガラス板などの蓋を接合する方法が知られている。しかしながら、これらの方法においては、下記の問題を有していた。
(1)天板を接着するための部材がインク流路に垂れ込んで、流路形状が変形する。
(2)インク吐出口を形成するために基板を切断する際に、インク流路に切削屑が入り込み、インク吐出が不安定になる。
(3)インク流路が形成された空洞部を有する基板を切断するため、切断によって形成されるインク吐出口の一部に欠けが生じる。
これら問題によって、インクジェット記録ヘッドの製造歩留りが低下すると共に、さらに微細なインク流路構造、長尺にて多数のインク吐出口を有するインクジェット記録ヘッドの製造を困難なものにしていた。
そこで、特許文献3に記載の方法が提案された。この方法は、まず基板上に溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成し、該パターンをエポキシ樹脂等の感光性樹脂材料で被覆、硬化し、基板を切断した後に、溶解可能な樹脂を溶出除去するものである。この方法によれば、インク流路には溶解可能な樹脂が充填されている状態で、接着、切断が行われるため、インク流路への接着剤の垂れ込みやゴミの混入、吐出口の割れ欠けといった上述の問題を防止できる。
また、使用する感光性樹脂材料についても検討されている。そもそも、インク流路パターンに溶解可能な樹脂を形成し、最後にこれを溶出除去することによりインク流路を形成する方法を採る場合は、高精度のインク流路を形成するために、インク流路パターンとなる溶解可能な樹脂が、その上に被覆する感光性樹脂材料によって溶解変形しないことが必要である。
特許文献4には、芳香族エポキシ樹脂のカチオン重合物が好適であることが提案されている。さらに、その重合物は、インクとの相互作用が少なく、耐薬品性に優れ、剥離しにくい樹脂組成物であることを開示している。しかしながら、特許文献4に記載の材料は、染料の溶解性や顔料の分散安定性のために高pHとなっているインクに対する耐薬品性が不十分であり、長期の使用によって基板から剥離しやすいという欠点があった。
特許文献5には、下記一般式(II)で示される構造を有するエポキシ樹脂組成物を感光性樹脂材料として用いることで、高品位記録が可能なインクジェット記録ヘッドが製造可能であることが開示されている。特許文献6には、下記一般式(II)で示される構造を有するエポキシ樹脂と下記一般式(III){1,4−HFAB(セントラル硝子社製商品名)}の化合物を含むエポキシ樹脂組成物を感光性樹脂材料として用いることが開示されている。
しかしながら、一般に感光性樹脂材料は、基板表面のTaに代表される金属とファンデルワールス力のような弱い力で結合しているため、密着力が弱く、パターンを形成する際に硬化収縮から生じる応力が原因で、表面から剥がれることがあった。またインクなどのアルカリ溶液と接触することで、剥がれを生じることがあった。すなわち、このように密着性においてより高い信頼性を持つ樹脂の技術開発が重要である。感光性樹脂と金属基板間の密着力を補助するため、特許文献7には、金属基板上に接着層としてシランカップリング剤からなる表面処理材料を塗る方法が開示されている。しかし、この方法では製造工程が増えることとなる。
特開昭57−208255号公報
特開昭57−208256号公報
特開昭61−154947号公報
特開平3−184868号公報
特許第3143307号公報
特開平11−348290号公報
米国特許6045215号明細書
本発明は、上記の諸点に鑑みなされたものであって、機械的強度、耐侯性、耐インク性、及び基板に対する密着性、に優れた信頼性の高いインク流路形成部材が形成されたインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。
本発明は、
インクを吐出口から吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子が形成された基板と、前記吐出口へと連通するインクの流路を形成する流路形成部材と、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記流路形成部材が、少なくとも1つのチイラン環構造を有するエピスルフィド化合物を含有する樹脂組成物を用いて形成されたものであることを特徴とするインクジェット記録ヘッドである。
本発明によれば、機械的強度、耐侯性、耐インク性、及び基板に対する密着性、に優れた信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インク吐出圧力発生素子が形成された基板に、インク流路形成部材を接合して、該インク吐出圧力発生素子が作用できる位置にインク流路を形成したものであり、このインク流路形成部材を、少なくとも1つのチイラン環構造を有するエピスルフィド化合物を含有する樹脂組成物(a)を用いて形成されたものとする。チイラン環は開環して金属と反応し結合を形成するため、上記樹脂組成物(a)を用いて形成されたインク流路形成部材は、基板表面の金属との密着性が高くなる。
上記樹脂組成物(a)は、パターンを容易に作ることが可能な架橋型の硬化性樹脂組成物が好ましい。架橋型の硬化性樹脂組成物としては、光で硬化する光硬化性の樹脂組成物、熱によって硬化する熱硬化性の樹脂組成物のいずれでも良いが、より微細でかつ精度の高い加工が可能であることが好ましいことから、光硬化性の樹脂組成物とすることが好ましい。ただし、熱によって硬化する熱硬化性の樹脂組成物を用いても差し支えない。これらは使用する重合開始剤によって選択可能である。
樹脂組成物(a)としては、上記のように架橋型の硬化性樹脂組成物が好ましいことから、上記のエピスルフィド化合物として、2つ以上のチイラン環構造を有する化合物、または、1つのチイラン環構造及び少なくとも1つのオキシラン環構造を有する化合物、を用いることが好ましい。このようなエピスルフィド化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)より上市されているエピスルフィド樹脂YL7000(商品名)等が挙げられる。
また、市販されているエポキシ樹脂を、チオ尿素やチオシアン酸カリウムを用いてオキシラン環をチイラン環に変換したものを用いることもできる。例えば、インク流路形成部材として利用できるエポキシ樹脂のオキシラン環の少なくとも一部をチイラン環に変換したもの用いることもできる。
上記のエピスルフィド化合物のチイラン環構造以外の部分の構造については、特に制限はないが、例えば、下記式(I)で示される構造を有するエピスルフィド化合物が好ましい。
また、脂環式骨格を有するエピスルフィド化合物が好ましい。特に、脂環式骨格としては、下記式(II)で示される構造が好ましい。また、そのオキシラン環をチイラン環に変換した下記式(IV)で示される構造とすることもできる。このようなエピスルフィド化合物としては、例えば、ダイセル化学工業(株)脂環式エポキシ樹脂EHPE−3150(商品名)のオキシラン環をチオシアン酸カリウム等によりチイラン環に変換したもの等が挙げられる。
少なくとも1つのチイラン環構造を有するエピスルフィド化合物は、適当なカチオン重合開始剤によってカチオン重合することができる。このような開始剤としては、従来公知のものが使用可能である。カチオン重合は、連鎖移動反応であり、いったん反応が開始されれば、比較的低温、短時間で高い架橋密度(ガラス転移点)の硬化物を得ることが可能となる。さらに、本発明で用いるエピスルフィド化合物を含む樹脂組成物(a)の硬化物には通常のエポキシ樹脂の硬化物と較べ、酸素を含む割合が小さいため、吸水率が低くなり、膨潤しにくいという利点もある。
前述のように、樹脂組成物(a)は光硬化性を有することが好ましいことから、樹脂組成物(a)は光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、光照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)を用いることで、上記の少なくとも1つのチイラン環構造を有するエピスルフィド化合物をカチオン重合することができる。
このような光重合開始剤としては、芳香族ヨウドニウム塩、芳香族スルホニウム塩(J.POLYMER SCI:Symposium No.56,383−395(1976)参照)、チバガイギー社より上市されているイルガキュアー261(商品名)、旭電化工業より上市されているSP−170、SP−150(以上商品名)等が挙げられる。これら光重合開始剤は、紫外線の照射によりカチオン重合を開始することが可能なものである。光重合開始剤としては、樹脂組成物(a)に含まれる樹脂成分100質量部に対して芳香族スルフォニウム塩を0.1〜10質量部添加することが好ましい。
また、上述の光酸発生剤を用いることでカチオン重合を行う際、還元剤を併用して加熱することによって、カチオン重合を促進(光酸発生剤を単独で用いた場合に比較して架橋密度が向上する)させることができる。ただし、光酸発生剤と還元剤を併用する場合、常温では反応せず一定温度以上(好ましくは60℃以上)で反応するいわゆるレドックス型の開始剤系になるように、還元剤を選択することが好ましい。このような還元剤としては、銅化合物、特に反応性と樹脂組成物(a)への溶解性を考慮して銅トリフラート(トリフルオロメタンスルフォン酸銅(II))が好ましい。また、アスコルビン酸等の還元剤も有用である。また、旭電化工業より上市されているCP−66、CP−77(以上商品名)あるいは芳香族ヨウドニウム塩と、銅化合物とを併用(J.POLYMER SCI:Polymer Chemical Edition Vol.121,97−109(1983)参照)すれば、加熱によってカチオン重合を開始させることもできる。
また、上記樹脂組成物(a)には、添加剤等を適宜添加することが可能である。例えば、硬化物の弾性率を下げる目的で可撓性付与剤を添加することや、基板との更なる密着力を得るためにシランカップリング剤を添加すること、などが挙げられる。
上記樹脂組成物(a)を用いて形成されたインク流路形成部材と接合される基板としては、ガラス、セラミック、シリコン、プラスチックまたは金属の基板を用いることができる。これはインク流路及びインク吐出口を形成するインク流路形成部材の支持体として機能するものであれば上記以外の基板でも使用できる。基板の少なくとも一部には、金属からなる保護膜を有していても良い。特に、インク流路形成部材が形成される側の基板表面に、保護膜を有することが好ましい。保護膜として形成される金属としては、耐食性の観点からTaまたはAuが好ましい。
また、上記基板には、電気熱変換素子または圧電素子等のインク吐出圧力発生素子が所望の個数配置されている。インク吐出圧力発生素子は、インクに記録液滴として吐出されるための吐出エネルギーを供給するものである。インク吐出圧力発生素子の表面には、インクからのダメージを軽減するために保護膜が形成されていても良い。この保護膜としては、耐インク性、電気絶縁性を付与する目的でSiO2,TaO5,Al2O3,Si3N4,BN,ガラス等の電気絶縁層、更に前記電気絶縁層上に耐インク性を向上させる目的でTi,Cr,Ni,Ta,Mo,W,Nb等の耐食金属又はSUS、モネルメタル等の耐食合金を耐インク層として被膜したものとすることができる。
基板のインク吐出圧力発生素子が形成された表面には、上述のインク流路形成部材が接合している。また、インク流路形成部材によって、インク吐出圧力発生素子が作用できる位置にインク流路が形成されている。インク流路にはインク供給口及びインク吐出口が設けられており、インク供給口から供給されたインクが、インク流路内でインク吐出圧力発生素子から与えられたエネルギーによって、インク吐出口から吐出される。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インク吐出圧力発生素子が形成された基板に、インク流路形成部材を接合して、該インク吐出圧力発生素子が作用できる位置にインク流路を形成したものであり、その製造方法として、
A)インク吐出圧力発生素子が形成された基板上に、インク流路となるパターンを有する溶解可能な樹脂層を形成する工程と、
B)溶解可能な樹脂層が形成された基板上に、樹脂組成物(a)を用いてインク流路形成部材となる被覆樹脂層を形成する工程と、
C)溶解可能な樹脂層を溶出して除去し、インク流路を形成する工程と、
を有する方法が好ましい。以下、その方法について、図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜7は、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の具体的な実施の態様を示すための模式図である。この態様では、2つのオリフィスを有するインクジェット記録ヘッドが示されるが、もちろんこれ以上のオリフィスを有する高密度マルチアレイインクジェット記録ヘッドの場合でも同様に実施可能である。
まず、所望の個数のインク吐出圧力発生素子2が形成された基板1を準備する(図1)。図1の基板においては、基板1上には電気熱変換素子または圧電素子等のインク吐出圧力発生素子2が2個配置されている。このインク吐出圧力発生素子2によってインク小滴を吐出させるための吐出エネルギーがインクに与えられ、記録が行われる。なお、上記インク吐出圧力発生素子2として電気熱変換素子を用いた時には、この素子により素子近傍のインクが加熱されることで、吐出エネルギーが与えられる。また、上記インク吐出圧力発生素子2として圧電素子を用いた時には、この素子が機械的振動をすることによって、吐出エネルギーが与えられる。
インク吐出圧力発生素子2には、素子を動作させるための制御信号入力用電極(不図示)が接続される。また、前述のように、インク吐出圧力発生素子2の耐用性の向上を目的として、金属などの耐インク性保護層等の各種機能層が設けられることもある。
図1においては、インク供給のための開口部(インク供給口)3が、基板1にあらかじめ設けられており、この場合、基板1の裏面側よりインク供給口3を通じてインクを供給する形態になる。インク供給口3の形成は、基板1に穴を形成できる方法であれば何れの方法も使用できる。例えば、ドリル等機械的手段によって形成しても構わないし、レーザー等の光エネルギーを利用して形成しても構わない。また基板にレジストパターン等を形成して化学的にエッチングする方法で形成しても構わない。このインク供給口3を基板1に形成せず、後に形成する樹脂によるパターン中にインク供給口を設け、基板1に対してインク吐出口と同じ側からインクを供給する形態とすることもできる。
次に、インク吐出圧力発生素子2が形成された基板1上に、インク流路となるパターンを有する溶解可能な樹脂層4を形成する(図2)。この溶解可能な樹脂層4は、まず感光性樹脂からなる層を形成しその後パターニングする方法で形成することもでき、溶解可能な樹脂をスクリーン印刷法等の方法によって層形成とパターン形成を同時に行うこともできる。一般的には、感光性樹脂からなる層を形成しその後パターニングする方法で行う。この方法で使用可能な感光性樹脂としては、ポジ型レジストまたは溶解変化型ネガ型レジストが挙げられる。
ポジ型レジストとしては、例えば、アルカリ溶解性樹脂(ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン)とキノンジアジドまたはナフトキノンジアジド誘導体等との混合物からなるポジ型フォトレジスト、あるいは、電子線、Deep−UV、X線等の電離放射線感光型として光崩壊型ポジレジストが使用できる。光崩壊型レジストとしては、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリビニルケトン等のビニルケトン系高分子化合物、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、、ポリフェニルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリロニトリル等のメタクリル系高分子化合物、ポリブデン−1−スルフォン、ポリメチルペンテン−1−スルフォン等のオレフィンスルフォン系高分子化合物等が挙げられる。
溶解性変化型ネガ型レジストは、高分子側鎖の極性を紫外線または電離放射線にて変化せしめ、極性溶剤または非極性溶剤にて現像するレジストである。例えば、ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基をt−ブトキシカルボニルエステルに変化させた高分子化合物に対して電離放射線を照射すると、エステル結合が切断される。このため露光部は、ヒドロキシル基に変化し、トルエン等の非極性溶剤には不溶になる。したがって、非極性溶剤にて現像すれば、露光部が溶解せずに残存してネガ型レジストパターンを形成することが可能である。また露光部は、ゲル化しているわけではないため、極性溶剤に対しては速やかに溶解する。
感光性樹脂からなる層の形成方法としては、図1のようにインク供給口3をあらかじめ設けた基板1を使用する場合には、感光性樹脂を適当な溶剤に溶解し、PETなどのフィルム上に塗布、乾燥してドライフィルムを作製し、ラミネートによって形成することが好ましい。さらにこの場合は、感光性樹脂として、被覆性が高く、インク供給口3上にもラミネート可能な高分子化合物を含む材料、具体的には、電子線、Deep−UV、X線電離放射線による分解型の感光性樹脂を使用することが好ましい。
また、インク供給口3に後工程で除去可能な充填物を配置し、通常のスピンコート法、ロールコート法等のソルベントコート法で感光性樹脂からなる層を形成することもできる。インク供給口をあらかじめ設けていない基板を使用する場合も同様である。その場合には、上述のどの材料を用いても構わない。
そして、溶解可能な樹脂層4が形成された基板1上に、前述の樹脂組成物(a)を用いてインク流路形成部材となる被覆樹脂層5を形成する(図3)。このとき、被覆樹脂層5は、インクジェット記録ヘッドの構造材料となるため、高い機械的強度、耐熱性、基板に対する密着性およびインク液に対する耐性、インク液を変質せしめない等の特性が要求される。さらには、被覆樹脂層5を形成する工程において、その下の溶解可能な樹脂層4を変形せしめないことも重要である。本発明のように前述の樹脂組成物(a)を用いて被覆樹脂層5を形成することで、上記の特性を満足することができる。
被覆樹脂層5の形成は、ソルベントコート法により行うことが好ましい。ここで、溶解可能な樹脂層4は一般的に極性溶媒に可溶である。したがって、本発明においては、樹脂組成物(a)をトルエン、キシレンなどの非極性溶媒に溶解し、得られた溶液を用いてソルベントコート法により被覆樹脂層5を形成することで、溶解可能な樹脂層4のパターンに何ら影響を与えることなく、被覆樹脂層5を形成することができる。
被覆樹脂層5の形成は、上記のソルベントコート法に限らず、例えばトランスファー成型等によって行うこともできる。ただし、トランスファー成型にて行う場合は、成型温度にて溶解可能な樹脂層4が変形しない等の耐熱性が要求されることから、溶解可能な樹脂層4を形成する材料を適切に選択することになる。
ここで、必要に応じてインク吐出口及び/又はインク供給口を被覆樹脂層5に形成する。図4〜6では、シリコーン系レジストによって被覆樹脂層5上にインク吐出口パターン6を形成し、酸素プラズマにて被覆樹脂層5にインク吐出口7を形成する方法を例示している。インク吐出口及び/又はインク供給口の形成は、他の公知の技術を利用して形成することもできる。
シリコーン系レジストとしては、後述する酸素プラズマによるエッチングに対する耐性が十分なものであれば、何れのレジストも使用できる。例えば、クロロメチル化ポリフェニルシロキサン(トーソー社製SNRレジスト(商品名))、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、シリコン含有ポリメタクリル樹脂等が使用できる。これらシリコーン系レジストは、一般的には電離放射線官能型であり、Deep−UV光や電子線による露光が望ましいが、近年、紫外線官能型のシリコーン系レジストに関する研究もなされており、これらシリコーン系レジストの使用も可能である。
酸素プラズマによるエッチングは、リアクティーブイオンエッチング装置やマグネトロン型イオンエッチング装置等、異方性エッチングが可能なものが望ましい。エッチング条件は、異方性エッチングを可能とする酸素ガス圧力、投入電力を適宜適切に設定することができる。シリコン系レジストは、エッチング操作では殆どエッチングされないため、高い精度にてインク吐出口7を形成できる。またエッチング終点は、エッチングが溶解可能な樹脂層4に到達した段階を持って終点とすれば良く、仮に溶解可能な樹脂層の一部がエッチングされたとしても、溶解可能な樹脂層は後に溶解除去するものであることから問題とならず、高精度なエッチング終点の検出の必要はない。
そして、溶解可能な樹脂層4を溶出して除去し、インク流路8を形成する(図6)。溶出するための溶媒としては極性溶媒が好適である。溶出する方法としては、例えば、基板1を溶媒に浸漬する方法、溶媒をスプレーにて吹き付ける方法、等が挙げられる。また、超音波を併用すれば、速く溶出できるようになる。
最後に、インク吐出圧力発生素子2と、それを駆動するための制御信号入力用電極(不図示)の電気的接合を行い、さらにインク供給部材9を配置することで、インクジェット記録ヘッドとなる(図7)。
なお、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、上記の方法に限定されず、基板上にインク流路パターンを有する溶解可能な樹脂層を形成し、その上に被覆樹脂層を設け、最後に溶解可能な樹脂層を溶出除去することによりインク流路を形成するものであれば、いずれも適用が可能である。
本発明は、インクジェット記録の中でもバブルジェット方式の記録ヘッドにおいて優れた効果をもたらし、特に特開平4−10940号公報、特開平4−10941号公報、特開平4−10942号公報に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法に最適である。前記公報に記載のインクジェット記録ヘッドは、インク吐出圧力発生素子(電気熱変換素子)に記録情報に対応して情報信号を印可し、電気熱変換素子にインクの核沸騰を越える急激な温度上昇を与える熱エネルギーを発生させ、インク内に気泡を形成させ、この気泡を外気と連通させてインク液滴を吐出させるもので、インク液滴の体積や速度を安定化し、高品位な画像を得ることができる。前記公報記載の方法においては、電気熱変換素子とオリフィスとの距離がその吐出体積をほぼ決定するため、本発明のごとく電気熱変換素子とオリフィスとの距離を正確に、また再現良く設定できる方法が最適である。また、本発明は、記録紙の全幅にわたり同時に記録ができるフルラインタイプの記録ヘッドとして、さらには記録ヘッドを一体的にまたは複数個組み合わせたカラー記録ヘッドにも有効である。
また、本発明により作製される記録ヘッドは、インクが液体でなくても、ある温度以上で液化する固体インクにも好適に適用される。この場合は、記録時には常に固体インクを液状に保つために、インクジェット記録ヘッドは常に加熱されており、ヘッド構成部材は高い耐熱性が要求されることからも、本発明のように樹脂組成物(a)を用いてインク流路形成部材を形成することは好適である。
以下、本発明の実施例を示す。
(実施例1〜3)
本実施例では、図8〜10に示す手順にて、インクジェット記録ヘッドとなる構造のサンプルを作製し、評価を行った。
まず、熱酸化SiO2膜付きシリコンウェハ(基板)10上に、ヘキスト社製ノボラック/ナフトキノンジアジド系ポジ型レジストAZ−4903(ヘキスト社製商品名)をスピンコートで塗布し、90℃、10分間ベークし、キャノン製マスクアライナーPLA600(商品名)にて80カウント露光し、次いでアルカリ現像液MIF−312(ヘキスト社製商品名)の純水2倍希釈液にて現像し、純水でリンスを行い、インク流路パターンとなる溶解可能な樹脂層11を形成した(図8)。なお、インク流路パターンとしては31.75μmピッチで、15μmのみ露光部(高さ15μm)とした。次いで、溶解可能な樹脂層11をPLA600(商品名)にて再度露光し、真空乾燥機にて脱気することで未反応のナフトキノンジアジドを分解し、それにともない発生する窒素ガスを除去した。
次いで、表1〜表3にその組成を示す樹脂組成物(a−1)〜(a−3)をキシレンに溶解し、前記溶解可能な樹脂層11が形成された基板10上にスピンコートして塗布し、60℃にて乾燥して被覆樹脂層12を形成した(図9)。この際、何れの樹脂組成物を用いた場合においても、溶解可能な樹脂層11のインク流路パターンが変形することはなかった。
次いで、被覆樹脂層12が形成された基板10に対して、キヤノン製マスクアライナーPLA520(商品名、コールドミラーCM250(商品名)を使用)にて30秒間露光し、60℃1時間ベークしてカチオン重合を行った。
次いで、前記基板10を適当なところで切断し、メチルイソブチルケトン/エタノール=1/1(質量比)混合溶媒にて、溶解可能な樹脂層11を溶出して除去した(図10)。さらに、150℃で1時間ベークを行うことで、インクジェット記録ヘッドのサンプル片とした。
このようにして得られたサンプル片を、インク(純水/グリセリン/ダイレクトブラック154(水溶性黒色染料)=65/30/5(質量比))に浸漬し、プレッシャークッカーテスト(PCT;120℃、2atm、50時間)を行ったところ、いずれのサンプル片においても、インク流路形成部材の変形および基板からの剥離は認められなかった。
次いで、同様に作製したサンプル片を固体インク(エチレンカーボネート/1,12−ドテカンジオール/C.I.Solvent Black3(油溶性黒色染料)=48/48/4(質量比))中に浸漬し、100℃(用いた固体インクの吐出時のヘッド部加熱温度)、1か月保存したところ、いずれのサンプル片においても、インク流路形成部材の変形および基板からの剥離は認められなかった。
以上の実施例に示したごとく、本発明のインクジェット記録ヘッド用構成部材としての樹脂組成物(a)は、最も一般的なポジ型レジストであるノボラック/ナフトキノンジアジド系レジストに対して相溶性、膨潤性を示さず、かつその硬化物は、インク、固体インクによってなんら影響を受けず、また、基板(シリコンウェハ)との密着性に優れたものであることが理解される。さらに、本発明のインクジェット記録ヘッド用構成部材としての樹脂組成物(a)は、高いガラス転移温度を有し、機械的強度の優れることも理解される。
(実施例4〜6)
本実施例では、図1〜図7に示す手順に準じて、図7に示す構成のインクジェット記録ヘッドを作製した。
まず、インク吐出圧力発生素子2としての電気熱変換素子(材質HfB2からなるヒーター)を形成したガラス基板1上に、YAGレーザーによってインク供給口3となる貫通穴を開けた(図1)。
次に、基板1上に、溶解可能な樹脂層4を形成する材料として、ポリメチルイソプロピルケトンをPET上に塗布、乾燥してドライフィルムとしたものを、ラミネートにより転写した。次いで、120℃にて20分間プリベークした後、キャノン製マスクアライナーPLA520(商品名、コールドミラーCM290(商品名)を使用)にて、インク流路となるパターン露光を行った。露光は1.5分間、現像はメチルイソブチルケトン/キシレン=2/1(質量比)を用い、リンスはキシレンを用いた(図2)。溶解可能な樹脂層4に形成するインク流路パターンは、インク供給口3とインク吐出圧力発生素子2が作用できる位置にインクが流れるインク流路を確保するためのものであり、インク流路となるところに溶解可能な樹脂層4を残存させた。なお、現像後の溶解可能な樹脂層4の膜厚は、12μmであった。
次いで、前記の樹脂組成物(a−1)〜(a−3)をキシレン/メチルイソブチルケトン混合溶媒に溶解し、スピンコートにて被覆樹脂層5を形成した(図3)。次に、キャノン製マスクアライナーPLA520(商品名、コールドミラーCM250(商品名)を使用)にて30秒間露光し、100℃1時間ベークしてカチオン重合反応を行った。なお、被覆樹脂層5は、インク流路パターンを形成している溶解可能な樹脂層4上で10μmの厚さとなるように調整した。
次に、被覆樹脂層5が形成された基板1上に、シリコン系ネガ型レジスト(商品名SNRレジスト:東ソー株式会社製)を膜厚0.3μmとなるようにスピンコートし、80℃にて20分間ベークした。このシリコン系ネガ型レジストに対してインク供給口7に相当するパターンのマスクを重ね、光照射を施した。光照射はキャノン製マスクアライナーPLA−520(商品名、コールドミラーCM250(商品名)を使用)を使用し、コンタクト露光にて実施した。なお、露光量は、約60mJ/cm2とした。トルエンにて1分間現像した後、イソプロピルアルコールに30秒間浸漬してリンスを行った(図4)。なお、本実施例で使用したレジストはネガ型レジストであり、インク吐出口7のパターン形成は抜きパターンの形成となり、微細なパターン形成には不利であるが、レジスト膜厚が薄いため、φ2μm程度までのパターン形成が可能なものである。なお、本実施例ではφ15μmのインク吐出口パターンを形成した。
次いで、インク吐出口パターンが形成された基板1を平行平板型ドライエッチング装置(アネルバ社:DEM−451(商品名))に導入し、酸素プラズマにてエポキシ樹脂層のエッチングを行った。酸素ガス圧力は15Pa、投入電力は150W、エッチング時間は40分間行った。このエッチングにてインク吐出口7が形成された(図5)。なお、樹脂組成物(a−1)で被覆樹脂層5を形成した場合(実施例4)、エッチングレートは0.30μm/分であった。ここで、酸素ガス圧力や投入電力を変化することにより、エッチングの異方性の程度を変化させることが可能であり、インク吐出口7の深さ方向への形状の制御も若干は可能である。また、マグネトロン型エッチング装置においてはさらにエッチング時間を速められることが報告されており、このような装置の使用はスループットの向上に効果的となる。
次いで、キャノン製マスクアライナーPLA−520(商品名、コールドミラーCM290(商品名)を使用)にて2分間露光し、メチルイソブチルケトン中に浸漬し、超音波洗浄器にて超音波を付与しながら、溶解可能な樹脂層4を溶出した(図6)。そして、最後に、インク供給口3にインク供給部材9を接着してインクジェット記録ヘッドとした(図7)。
このようにして、作製したインクジェット記録ヘッドを記録装置に装着し、純水/グリセリン/ダイレクトブラック154(水溶性黒色染料)=65/30/5(質量比)からなるインクを用いて記録を行ったところ、安定な印字が可能であった。
次いで、前記インクを充填した状態でヒートサイクル試験(−30℃〜室温〜60℃各温度に2時間保持10サイクル)を行った後、再び印字試験を行ったところ安定的な印字が可能であり、ノズル部の剥離はまったくなかった。
次に、固体インクとしてエチレンカーボネート/1,12−ドデカンジオール/CI.Solvent Black3(油溶性黒色染料)=48/48/4(質量比)からなるインクを用いて記録を行ったところ、安定的に印字が可能であった。なお、固体インクを液状に維持するために、記録時には、ヘッドは100℃に加熱したが、この際、ヘッド部は十分な耐熱性を示し、変形するようなことはなかった。
(比較例1)
樹脂組成物(a−1)のエピスルフィド樹脂をビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート1002(商品名))に代えた樹脂組成物(b−1)を用いた以外は、実施例4と同様にしてインクジェット記録ヘッドを作製した。インク吐出口7を形成する際のエッチングレートを測定したところ、0.23μm/分であった。次いで実施例4と同様にしてヒートサイクル試験を行ったところ、ノズル部の一部に干渉縞が見られ、基板からの剥離が見受けられた。
(比較例2)
樹脂組成物(b−1)のカチオン重合開始剤の代わりに無水物硬化剤(ヘキサヒドロ無水フタル酸)を無水物硬化剤/エポキシ樹脂=0.6の比率で用いた樹脂組成物(b−2)を用い、硬化条件を80℃1時間+100℃2時間+150℃2時間+180℃5時間とした以外は、実施例4と同様にしてヘッドを作製し、前記の液体インクを用いて印字を行ったところ安定的な印字が可能であった。次いで、実施例4と同様にしてヒートサイクル試験を行ったところ、ノズル部の一部に干渉縞が見られ、基板からの剥離が見受けられた。
(実施例7、比較例3)
1,4−HFAB(セントラル硝子社製)にカセイソーダを加えてアルカリ塩とした後、エピクロルヒドリンを滴下しつつ加熱することで、下記式(V)の構造を有するエポキシ樹脂を合成した。
式中、Xは水酸基又は下記式(VI)で表される置換基である。
なお、上記式(V)におけるXが全て上記式(VI)で表される置換基である化合物は、メクトロン社商品名PBEPとして入手することも可能である。
次いで上記エポキシ樹脂が含まれる溶液に、チオ尿素を2:1当量分混合し、12時間室温で攪拌した。これにより上記式(VI)で表される置換基の少なくとも一部が、下記式(VII)で表されるチイラン環を有する置換基に置換され、少なくともエポキシ基とチイラン環を有する化合物Xを合成した。なお、今回の合成ではチオ尿素を用いたが、チオシアン酸カリウムを用いても同様にチイラン環に置換することができる。
次いで、上記の化合物Xを含む樹脂組成物としての性能を評価するために、以下の方法で樹脂膜を作製した。表4に組成を示す樹脂組成物(a−4)をエタノール溶媒と混合し、スピンコート法により基板上に塗布した(実施例7)。本例では、基板としてTaを230nmの厚さに積層したシリコンウエハーを用いた。併せて、樹脂組成物(a−4)の組成のうち化合物Xを除いた組成の樹脂組成物(b−3)を用いたもの(比較例3)を別途作製した。
この樹脂組成物を硬化させるためにエネルギー線を照射した。エネルギー線としてはここでは紫外光を用いたが、赤外・可視光等でも良い。露光後十分に高分子化反応を進ませるためにホット・プレート上で熱を加えた。
次いで密着性を調べるため、プレッシャークッカーテスト(PCTテスト)を行ったところ、樹脂組成物(b−3)を用いた樹脂膜に比べて、樹脂組成物(a−4)を用いた樹脂膜は基板への密着性が高かった。なお、PCTテストは、120℃2atmの条件下、インクに上記基板を浸漬して行うものであり、今回は浸漬用インクとしてキヤノン製黒色顔料インクを用いた。
また、同様に上記基板をインクの入ったテフロン(登録商標)容器中に浸漬し、密閉した後60℃のオーブン中に保存して密着性の試験をしたところ、樹脂組成物(b−3)を用いた樹脂膜に比べて、樹脂組成物(a−4)を用いた樹脂膜は基板への密着性が高かった。
インク流路形成部材を形成する前の基板の模式的斜視図である。
図1の基板上に、インク流路パターンを有する溶解可能な樹脂層形成した基板の模式的断面図である。
図2の基板上に、被覆樹脂層を形成した基板の模式的断面図である。
図3の基板の被覆樹脂層上に、シリコン系レジストにてインク吐出口パターンを形成した基板の模式的断面図である。
図4の基板の被覆樹脂層に、インク吐出口を形成した基板の模式的断面図である。
図5の基板から溶解可能な樹脂層を溶出した基板の模式的断面図である。
図6の基板にインク供給部材を設けたインクジェット記録ヘッドの模式的断面図である。
基板上にインク流路パターンを有する溶解可能な樹脂層を形成した模式的断面図である。
図8の基板に被覆樹脂層を形成した基板の模式的断面図である。
図9の基板から溶解可能な樹脂層を溶出した基板の模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 インク吐出圧力発生素子
3 インク供給口
4 溶解可能な樹脂層
5 被覆樹脂層
6 インク吐出口パターン
7 インク供給口
8 インク流路
9 インク供給部材
10 基板
11 溶解可能な樹脂層
12 被覆樹脂層