JP2010240873A - インクジェットヘッドの製造方法およびインクジェットヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】印字特性の良好なインクジェットヘッドを安定して製造することが可能な方法を提供する。
【解決手段】圧力発生素子が形成された基板の上に、第一のポジ型レジスト層を形成する工程と、前記第一のポジ型レジスト層のうち、インク流路となる部分の少なくとも表面を選択的に着色する工程と、その着色部をマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層をパターニングしてインク流路パターンを形成する工程と、その上にインク流路形成部材となる被覆樹脂層を形成する工程と、前記圧力発生素子の上方に位置する前記被覆樹脂層に、吐出口を形成する工程と、前記インク流路パターンを溶解除去して、前記吐出口と連通するインク流路とする工程とを有する方法でインクジェットヘッドを製造する。特に、前記第一のポジ型レジスト層の着色は、その上にパターン形成した第二のレジスト層を形成した状態で行うことが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】圧力発生素子が形成された基板の上に、第一のポジ型レジスト層を形成する工程と、前記第一のポジ型レジスト層のうち、インク流路となる部分の少なくとも表面を選択的に着色する工程と、その着色部をマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層をパターニングしてインク流路パターンを形成する工程と、その上にインク流路形成部材となる被覆樹脂層を形成する工程と、前記圧力発生素子の上方に位置する前記被覆樹脂層に、吐出口を形成する工程と、前記インク流路パターンを溶解除去して、前記吐出口と連通するインク流路とする工程とを有する方法でインクジェットヘッドを製造する。特に、前記第一のポジ型レジスト層の着色は、その上にパターン形成した第二のレジスト層を形成した状態で行うことが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関し、特に高精度、高密度に形成されたインク流路を有するインクジェットヘッドの製造方法に関する。さらに本発明は、小液滴のインクを精度良く吐出することが可能なインクジェットヘッドに関する。
インクジェット記録方式に適用されるインクジェットヘッドは、一般にインク流路、該インク流路の一部に設けられる吐出エネルギー発生部、およびインクを吐出エネルギー発生部のエネルギーによって吐出するための微細なインク吐出口とを備えている。このインク吐出口は、「オリフィス」と呼ばれる。
このようなインクジェットヘッドを製造する方法として、特許文献1は、次のようなインクジェットヘッドの製造方法を開示している。図3(図3A〜3B)を参照して、その製造方法を説明する。まず、吐出エネルギー発生素子としての圧力発生素子2が形成された基板1(図3(a))の上に、感光性樹脂材料であるポジ型レジストからなるポジ型レジスト層3を形成する(図3(b))。次いで、第一のマスク4を介してポジ型レジストを反応させ得る波長の光を照射し(図3(c))、現像処理を行って、所望のインク流路パターン5を形成する(図3(d))。引き続き、インク流路パターン5の上にノズル材となる被覆樹脂層6を塗布形成し(図3(e))、第二のマスク(レチクル)7を介してパターン露光を行い(図3(f))、現像処理を行ってインクの吐出口8を形成する(図3(g))。さらに、基板1を貫通するインク供給口9を形成し(図3(h))、インク流路パターン5を溶解除去することで、インク流路10を形成する(図3(i))。この製造方法では半導体のフォトリソグラフィーの手法を適用しているので、インク流路、吐出口等の形成に関して極めて高精度で微細な加工が可能である。
前述したインクジェットヘッドの製造方法において、インク流路パターン5の上にインク流路を形成するための被覆樹脂層6を塗布形成する必要があることから、ポジ型レジストには被覆樹脂層6の塗布溶剤に対する耐性が要求される。そこで、ポジ型レジスト材料としては、耐溶剤性に優れたポリケトンやアクリル樹脂を主成分とする高分子の主鎖分解型レジストが一般的に使用される。
これらの主鎖分解型レジストを比較的厚い膜厚で使用する場合、その露光には、単波長の光を縮小投影光学系で照射する所謂ステッパーを用いないことが多い。その代わりに、感光波長および感度の観点から、1対1の倍率で基板全体をブロードな光で一括露光するプロキシミティータイプの露光装置を用いることが一般的である。しかしながら、プロキシミティータイプの露光装置を用いて露光する場合、以下のような問題が発生する場合がある。
1)8〜12インチ程度の大型ウエハを露光する際には、基板の反りやマスクのたわみ等の影響を受けるため、基板内および基板間でアライメント精度がばらつく場合がある。
2)10μm程度の厚膜のレジストを露光する場合、分解反応を十分に生じさせるためには、大量のエネルギーを照射する必要がある。このため、露光時の発熱によりマスクと基板が不均一な熱膨張を生じ、解像性およびアライメント精度が悪化する場合がある。
1)8〜12インチ程度の大型ウエハを露光する際には、基板の反りやマスクのたわみ等の影響を受けるため、基板内および基板間でアライメント精度がばらつく場合がある。
2)10μm程度の厚膜のレジストを露光する場合、分解反応を十分に生じさせるためには、大量のエネルギーを照射する必要がある。このため、露光時の発熱によりマスクと基板が不均一な熱膨張を生じ、解像性およびアライメント精度が悪化する場合がある。
上記の露光工程において、ポジ型レジストおよび被覆樹脂層の露光は、基板の上に形成されたアライメントマークを基準にして行うことが一般的である。しかしながら、上述したような問題が発生した場合、圧力発生素子とポジ型レジストからなるインク流路パターンとの位置関係、さらにはそのインク流路パターンと吐出口の位置関係が、所望したものとは異なってしまうという問題が生じる。アライメントずれが発生した状態の模式図を図4に示す。このようなアライメントずれが発生すると、インクの吐出方向のヨレ、サテライトの大量発生等の障害へとつながり、印字特性の不良となる場合がある。
上述した問題を解決することを目的として鋭意検討した結果、本発明者等は以下の発明をなすに至った。
すなわち本発明は、圧力発生素子が形成された基板の上に、第一のポジ型レジスト層を形成する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層のうち、インク流路となる部分の少なくとも表面を選択的に着色する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層の着色部をマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層をパターニングして、インク流路パターンを形成する工程と、
前記インク流路パターンが形成された前記基板の上に、インク流路形成部材となる被覆樹脂層を形成する工程と、
前記圧力発生素子の上方に位置する前記被覆樹脂層に、吐出口を形成する工程と、
前記インク流路パターンを溶解除去して、前記吐出口と連通するインク流路とする工程と
を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
前記第一のポジ型レジスト層のうち、インク流路となる部分の少なくとも表面を選択的に着色する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層の着色部をマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層をパターニングして、インク流路パターンを形成する工程と、
前記インク流路パターンが形成された前記基板の上に、インク流路形成部材となる被覆樹脂層を形成する工程と、
前記圧力発生素子の上方に位置する前記被覆樹脂層に、吐出口を形成する工程と、
前記インク流路パターンを溶解除去して、前記吐出口と連通するインク流路とする工程と
を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
また本発明は、上記インクジェットヘッドの製造方法により製造されたインクジェットヘッドである。
また本発明は、被処理基板の上に、第一のポジ型レジスト層を形成する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層の一部の少なくとも表面を選択的に着色する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層の着色部をマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層をパターニングする工程と
を有することを特徴とするパターン形成方法である。
前記第一のポジ型レジスト層の一部の少なくとも表面を選択的に着色する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層の着色部をマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層をパターニングする工程と
を有することを特徴とするパターン形成方法である。
本発明によるインクジェットヘッドの製造方法を用いることにより、印字特性の良好なインクジェットヘッドを安定して製造することが可能となる。
以下に図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。図1は、インクジェットヘッドの斜視図を模式的に示したものである。以下、図1のインクジェットヘッドを、A−B線で切断した場合の断面模式図を用いて、本発明のインクジェットヘッドの製造方法を、図2(図2A〜2C)に示した製造フローに従って説明する。
1.基板の準備(図2(a))
まず、本発明では、図2(a)に示すように、圧力発生素子2が形成された基板1を準備する。基板1は、インク流路構成部材の一部として機能し、また、後述するインク流路10および吐出口8を形成する材料層の支持体として機能し得るものであれば、その形状、材質等に特に限定されることはないが、シリコン基板が一般的に用いられる。
まず、本発明では、図2(a)に示すように、圧力発生素子2が形成された基板1を準備する。基板1は、インク流路構成部材の一部として機能し、また、後述するインク流路10および吐出口8を形成する材料層の支持体として機能し得るものであれば、その形状、材質等に特に限定されることはないが、シリコン基板が一般的に用いられる。
基板1の上には、電気熱変換素子あるいは圧電素子等の圧力発生素子2が所望の個数配置される。このような圧力発生素子2によって、インク液滴を吐出させるための吐出エネルギーがインクに与えられ、記録が行われる。例えば、圧力発生素子2として電気熱変換素子が用いた場合には、この素子が近傍のインクを加熱することによりインクに状態変化を生起させ、インクの吐出エネルギーが発生する。また、例えば、圧力発生素子2として圧電素子が用いられる時は、この素子の機械的振動によって、インクの吐出エネルギーが発生する。
なお、これらの圧力発生素子2には、素子を動作させるための制御信号入力用電極(不図示)が接続されている。また、一般にはこれら圧力発生素子2の耐用性の向上を目的とした保護層(不図示)や、後述するノズル構成部材との密着性の向上を目的とした密着向上層(不図示)等の各種機能層が設けられるが、本発明においてもこのような機能層を設けても差し支えない。
2.第一のポジ型レジスト層の形成(図2(b))
次いで、図2(b)に示すように、圧力発生素子2が形成された基板1の上に、第一のポジ型レジスト層11を形成する。ここで用いられるポジ型レジストとしては、ポリケトンやアクリル系ポリマーのような主鎖分解反応を生じる主鎖分解型のポジ型フォトレジストを用いることが好ましい。
次いで、図2(b)に示すように、圧力発生素子2が形成された基板1の上に、第一のポジ型レジスト層11を形成する。ここで用いられるポジ型レジストとしては、ポリケトンやアクリル系ポリマーのような主鎖分解反応を生じる主鎖分解型のポジ型フォトレジストを用いることが好ましい。
特に、後述する着色工程において、染料溶液や顔料分散液によって選択的に着色することから、より効果的に着色されるよう光照射によって親水性が発現または向上するような材料を用いることが好ましい。例えば、下記一般式(1)で示されるような、水酸基やカルボキシル基を加水分解可能な保護基でブロックした置換基を側鎖に有するアクリルポリマーが挙げられる。
(R1は、水素またはメチル基を示す。R2は、炭素数1乃至3のアルキレン基、または置換もしくは未置換のフェニレン基を示す。R3は、−O−R3の結合が酸により加水分解可能な置換基を示す。R4は、水素またはメチル基を示す。R5は、水素、炭素数1乃至3のアルキル基、または炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基を示す。mは正の整数、nは0または正の整数を示す。)
R2となる炭素数1乃至3のアルキレン基としては、メタンジイル基(メチレン基)、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基(エチレン基)、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基(プロピレン基)、1,3−プロパンジイル基、プロパン−2,2−ジイル基が挙げられる。R2となる未置換のフェニレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基が挙げられる。R2となる置換フェニレン基としては、1〜4個のメチル基で置換された上記のフェニレン基、1〜4個の塩素原子あるいはフッ素原子で置換された上記のフェニレン基等が挙げられる。R3としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。R5となる炭素数1乃至3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。R5となる炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基としては、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシ−イソプロピル基、2−ヒドロキシ−イソプロピル基が挙げられる。
R2となる炭素数1乃至3のアルキレン基としては、メタンジイル基(メチレン基)、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基(エチレン基)、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基(プロピレン基)、1,3−プロパンジイル基、プロパン−2,2−ジイル基が挙げられる。R2となる未置換のフェニレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基が挙げられる。R2となる置換フェニレン基としては、1〜4個のメチル基で置換された上記のフェニレン基、1〜4個の塩素原子あるいはフッ素原子で置換された上記のフェニレン基等が挙げられる。R3としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。R5となる炭素数1乃至3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。R5となる炭素数2もしくは3のヒドロキシアルキル基としては、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシ−イソプロピル基、2−ヒドロキシ−イソプロピル基が挙げられる。
具体的には、例えば、下記一般式(1a)で示される構造を有するポリマーは、光照射により酸が発生する化合物と併用した場合、光照射により発生した酸によってトリメチルシリル基が脱離し、フェノールの水酸基を生成することで親水性が発現する。また、アクリル主鎖を有しているため、Deep−UV光の照射によって主鎖分解反応を生じ、ポジ型のレジストとして機能する。
(mは正の整数、nは0または正の整数を示す。)
光照射により酸が発生する化合物としては、特に制限はないが、例えば、芳香族スルフォニウム塩、芳香族ヨードニウム塩が挙げられる。芳香族スルフォニウム塩としては、としては、みどり化学(株)より市販されているTPS−102、103、105、MDS−103、105、205、305、DTS−102、103(いずれも商品名)、旭電化工業(株)より市販されているSP−170、172(いずれも商品名)を好適に用いることができる。また、芳香族ヨードニウム塩としては、みどり化学(株)より市販されているDPI−105、MPI−103、105、BBI−101、102、103、105(いずれも商品名)等を好適に用いることができる。また、必要に応じて、波長増感剤として(株)アデカより市販されているSP−100(商品名)等を添加して用いても良い。
光照射により酸が発生する化合物としては、特に制限はないが、例えば、芳香族スルフォニウム塩、芳香族ヨードニウム塩が挙げられる。芳香族スルフォニウム塩としては、としては、みどり化学(株)より市販されているTPS−102、103、105、MDS−103、105、205、305、DTS−102、103(いずれも商品名)、旭電化工業(株)より市販されているSP−170、172(いずれも商品名)を好適に用いることができる。また、芳香族ヨードニウム塩としては、みどり化学(株)より市販されているDPI−105、MPI−103、105、BBI−101、102、103、105(いずれも商品名)等を好適に用いることができる。また、必要に応じて、波長増感剤として(株)アデカより市販されているSP−100(商品名)等を添加して用いても良い。
第一のポジ型レジスト層11の形成には、既知のスピンコート法、ロールコート法、スリットコート法等の塗布方法を用いることができる。また、ドライフィルム化された材料を用い、ラミネート法により形成しても良い。
3.着色用マスクの形成(図2(c)、図2(d)、図2(e))
次いで、図2(c)に示すように、第一のポジ型レジスト層11の上に、第二のレジスト層12を形成する。
次いで、図2(c)に示すように、第一のポジ型レジスト層11の上に、第二のレジスト層12を形成する。
ここで用いられる第二のレジストとしては、ネガ型、ポジ型のレジストがいずれも使用可能であるが、取扱が容易であることから、アルカリ現像可能なポジ型レジストが好ましい。さらに、本発明においては、アライメント精度の観点からステッパー(縮小投影露光装置)を用いてパターニングすることが好ましく、最も汎用的なi線(365nm)を照射し、現像処理を施すことでパターニングすることが好ましい。これらの要求を満足するレジストとしては、ノボラック樹脂とナフトキノンジアジド誘導体からなるポジ型フォトレジストが挙げられる。例えば、東京応化工業(株)から市販されているOFPR−800レジスト、iP−5700レジスト(商品名)等の汎用的なナフトキノン系ポジ型フォトレジストを用いることができる。
第二のレジスト層12の形成には、既知のスピンコート法、ロールコート法、スリットコート法等の塗布方法を用いることができる。また、ドライフィルム化された材料を用い、ラミネート法により形成しても良い。
次いで、図2(d)に示すように、第一のレチクル(マスク)13を介して第二のレジスト層12のパターン露光を行い、現像処理を行って、第二のレジストのパターン14を形成する(図2(e))。こうすることで、第一のポジ型レジスト層11のうち、インク流路となる部分の表面を露出させることができる。
4.着色工程(図2(f)、図2(g))
次に、図2(g)に示すように、第二のレジスト層12が現像により除去されたことで露出した第一のポジ型レジスト層11の露出部の少なくとも表面を選択的に着色し、染色パターン15を形成する。
次に、図2(g)に示すように、第二のレジスト層12が現像により除去されたことで露出した第一のポジ型レジスト層11の露出部の少なくとも表面を選択的に着色し、染色パターン15を形成する。
染色パターン15は、後述するように、第一のポジ型レジスト層11を露光する際のマスクとして機能するものであり、第一のポジ型レジスト層11の感光波長領域の光を遮光できることが必要である。したがって、第一のポジ型レジスト層11の感光波長領域に対して強い吸収を有する染料または顔料により染色することが好ましい。例えば、第二のレジストのパターン14を形成した被処理基板を、第一のポジ型レジスト層11の感光波長領域に対して強い吸収を有する染料溶液または顔料分散液に浸漬することで、染色することができる。
また、より効率良く染色するため、前述したような光照射によって親水性が発現または向上するような材料を用い、第二のレジストのパターン14をマスクとして光照射を行った(図2(f))後、その光照射部に着色処理を行っても良い。この場合、光照射の際の露光量や、その後の熱処理(Post Exposure Bake)の条件を調整することで、染色パターンの厚さを調整することができる。
なお、一般的な染料は、第一のポジ型レジスト層11の感光波長領域に極めて強い吸収を有しており、市場において入手可能な殆どの水溶性染料を使用可能である。特に、後述する吐出口8を形成する際にi線(365nm)における吸収が必要となることから、赤系統の染料が特に有効である。
染料を溶解するための溶剤としては、水単独ではなく、第一のポジ型レジスト層11への浸透性の向上を目的として、水と有機溶剤の混合溶媒を用いることが好ましい。有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン類またはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基の炭素数が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン類;などを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
顔料としては、特に、少量で広範な波長に対して高い遮光性を得ることができるものとして、カーボンブラックやチタンブラックが挙げられる。特に、カーボンブラックを用いることが好ましく、チャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等を、水や上述した有機溶剤中に分散させて用いることができる。また、第一のポジ型レジスト層11中への分散性を向上させる目的で、樹脂被覆カーボンブラックを用いても良い。
また、これらの着色液を用いて第一のポジ型レジスト層11を染色する際には、必要に応じて溶液または被処理基板を加熱しても良い。さらに、染色を行った後に、必要に応じて水洗、加熱等の処理を行って、染料または顔料を第一のポジ型レジスト層11中により強固に固定化しても良い。
5.インク流路パターンの形成(図2(h)、図2(i)、図2(j))
次に、第一のポジ型レジスト層11の上に残存する第二のレジストのパターン14を除去する(図2(h))。その後、染色パターン15をマスクとして第一のポジ型レジスト層11の非着色部を感光させ得る波長領域の光を照射する(図2(i))。そして、現像処理を行って第一のポジ型レジスト層11をパターニングして、第一のポジ型レジストからなるインク流路パターン16を形成する(図2(j))。
次に、第一のポジ型レジスト層11の上に残存する第二のレジストのパターン14を除去する(図2(h))。その後、染色パターン15をマスクとして第一のポジ型レジスト層11の非着色部を感光させ得る波長領域の光を照射する(図2(i))。そして、現像処理を行って第一のポジ型レジスト層11をパターニングして、第一のポジ型レジストからなるインク流路パターン16を形成する(図2(j))。
なお、第二のレジストのパターン14は、再度光照射を行った後に、アルカリ現像液で処理することで、容易に除去することができる。
樹脂層を2層形成し、上層の樹脂層を所望の形状にパターニングした後、そのパターンをマスクとして下層の樹脂層に上層のパターンを転写する手法は、所謂2層レジスト法して知られている。特に、下層にポジ型のフォトレジストを用い、下層の感光波長を遮光する材料で上層のマスクを作製して下層をパターニングする方法は、PCM(ポータブルコンフォーマブルマスク)法として知られている(特公昭63−58367号公報)。
本発明は、この方法をインクジェットヘッドの製造に応用したものであり、インク流路10を形成するための第一のポジ型レジスト層11中に、直接マスクを設けて第一のポジ型レジスト層11をパターニングする。こうすることで、従来で問題であった、マスクと基板が不均一な熱膨張を生じ、解像性およびアライメント精度が低下する現象を回避することができる。
6.吐出口の形成(図2(k)、図2(l)、図2(m))
次いで、インク流路パターン16の上に、被覆樹脂層6をスピンコート法、ロールコート法、スリットコート法等の方法で形成する(図2(k))。この被覆樹脂層はインク流路形成部材として機能するものであることから、構造材料としての高い機械的強度、下地との密着性、耐インク性と、同時にインク吐出口の微細なパターンをパターニングするための解像性等が要求される。これらの特性を満足する被覆樹脂層を形成する材料としては、カチオン重合型のエポキシ樹脂組成物が好適である。
次いで、インク流路パターン16の上に、被覆樹脂層6をスピンコート法、ロールコート法、スリットコート法等の方法で形成する(図2(k))。この被覆樹脂層はインク流路形成部材として機能するものであることから、構造材料としての高い機械的強度、下地との密着性、耐インク性と、同時にインク吐出口の微細なパターンをパターニングするための解像性等が要求される。これらの特性を満足する被覆樹脂層を形成する材料としては、カチオン重合型のエポキシ樹脂組成物が好適である。
カチオン重合型のエポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物のうち分子量がおよそ900以上のもの、含ブロモビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、フェノールノボラックまたはo−クレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応物、特開昭60−161973号公報、特開昭63−221121号公報、特開昭64−9216号公報、特開平2−140219号公報に記載のオキシシクロヘキサン骨格を有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられるが、これら化合物に限定されるものではない。
また、上記エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が2000以下の化合物が好ましく、エポキシ当量が1000以下の化合物がより好ましい。エポキシ当量が2000を越える化合物を用いると、硬化反応の際に架橋密度が低下し、密着性、耐インク性に問題が生じる場合がある。
カチオン重合型のエポキシ樹脂組成物に添加され、上記エポキシ樹脂を硬化させるための光カチオン重合開始剤としては、光照射により酸を発生する化合物を用いることができる。光照射により酸を発生する化合物としては、特に制限はないが、例えば、芳香族スルフォニウム塩、芳香族ヨードニウム塩が挙げられる。芳香族スルフォニウム塩としては、としては、みどり化学(株)より市販されているTPS−102、103、105、MDS−103、105、205、305、DTS−102、103(いずれも商品名)、旭電化工業(株)より市販されているSP−170、172(いずれも商品名)を好適に用いることができる。また、芳香族ヨードニウム塩としては、みどり化学(株)より市販されているDPI−105、MPI−103、105、BBI−101、102、103、105(いずれも商品名)等を好適に用いることができる。光カチオン重合開始剤の添加量は、目標とする感度となる添加量とすることができるが、エポキシ樹脂に対して0.5〜5wt%の範囲で好適に用いることができる。また、必要に応じて、波長増感剤として(株)アデカより市販されているSP−100(商品名)等を添加して用いても良い。
上記エポキシ樹脂組成物に対して、必要に応じて添加剤など適宜添加することが可能である。例えば、エポキシ樹脂の弾性率を下げる目的で可撓性付与剤を添加したり、下地との更なる密着力を得るためにシランカップリング剤を添加することができる。
次いで、被覆樹脂層6の上に、必要に応じてネガ型の感光性を有する撥インク剤層を形成する(不図示)。撥インク剤層は、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法等の塗布方法により形成可能であるが、本例においては、未硬化の被覆樹脂層6の上に形成するため、両者が必要以上に相溶しないようにする。
次いで、第二のレジスト層12の露光に用いたものと同様のi線ステッパーを用い、第二のレチクル(マスク)17を介してパターン露光を行う(図2(l))。その後、現像処理を施して、圧力発生素子2の上方に位置する被覆樹脂層6に吐出口8を形成する(図2(m))。
インクジェットヘッドの製造においては、前述したインク流路パターン16に加え、吐出口8を高精度にパターニングすることが非常に重要な因子となる。そこで、吐出口8形成用の被覆樹脂層6の露光には、高精度・高照度を有するステッパーを露光装置として使用することが望ましい。
しかしながら、吐出口8形成用の被覆樹脂層6の照射光にi線(365nm)単独の波長を使用した場合、圧力発生素子2のパターン形状や配線パターンの形状によって、所望の吐出口8のパターン形状が得られない場合がある。例えば、吐出口8のパターンマスクとして円形状のものを使用した場合でも、実際に形成される吐出口8のパターンは歪な円形状になる場合があり、吐出口8の形状として安定的に再現性良く円形状が得られないことがある。
この問題は、吐出口8形成用の被覆樹脂層6や、吐出口8の下部に位置するインク流路パターン16形成用のレジスト材料の、i線に対する吸収が弱い場合に、基板1面や圧力発生素子2や配線の表面からの反射光が影響するためであると考えられる。この問題は、特にインクジェットヘッドの高密度化、吐出口およびインク流路サイズの縮小化を行う際に、顕著に起こることも明らかとなっており、インクジェットヘッドおよびその印字物の高品位・高性能化に向けて、重要課題となっている。
本発明では、インク流路パターン16の表面層には染色パターン15が残存しているため、i線単独の波長を用いた場合においても染色パターン15に光が吸収され、圧力発生素子2のパターンや配線パターンからの反射を防止することができる。これにより、反射光の影響で、所望の吐出口8のパターン形状が得られないという問題を解決することができる。
7.インク供給口およびインク流路の形成(図2(n)、図2(o))
次いで、基板1を貫通するインク供給口9を形成する(図2(n))。インク供給口9の形成方法としては、サンドブラスト、ドライエッチング、ウエットエッチング等の手法、またはこれらの手法の組み合わせにより行うことができる。
7.インク供給口およびインク流路の形成(図2(n)、図2(o))
次いで、基板1を貫通するインク供給口9を形成する(図2(n))。インク供給口9の形成方法としては、サンドブラスト、ドライエッチング、ウエットエッチング等の手法、またはこれらの手法の組み合わせにより行うことができる。
例えば、アルカリ系のエッチング液である水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の水溶液を用いた異方性エッチングについて説明する。結晶方位として、<100>、<110>の方位を持つシリコン基板は、アルカリ系の化学エッチングを行うことにより、エッチングの進行方向に関して、深さ方向と幅方向の選択性ができ、これによりエッチングの異方性を得ることができる。特に、<100>の結晶方位を持つシリコン基板は、エッチングを行う幅によってエッチングされる深さが幾何学的に決定されるため、エッチング深さを制御することができる。例えば、エッチングの開始面から深さ方向に54.7°の傾斜を持って狭くなる孔を形成することができる。エッチング液に対して耐性を持つ適当な樹脂材料をマスクとして、上述の異方性エッチングを行うことで、基板1を貫通するインク供給口9を形成することができる。
次いで、必要に応じて被覆樹脂層6の上面から第一のポジ型レジスト層11の感光波長の光を照射し(不図示)、インク流路パターン16を溶解除去することで、吐出口8と連通するインク流路10を形成する(図2(o))。さらに、切断分離工程を経た後(不図示)、必要に応じて加熱処理を施して被覆樹脂層6を完全に硬化させ、インク供給のための部材(不図示)の接合、圧力発生素子2を駆動するための電気的接合(不図示)を行って、インクジェットヘッドを完成させる。
以上のような本発明のインクジェットヘッドの製造方法を用いることにより、圧力発生素子と、インク流路および吐出口の位置関係を高精度かつ再現性良く制御することが可能となる。さらに、吐出口の変形が発生しないため、印字特性の良好なインクジェットヘッドを安定して製造することができる。
なお、上記の方法は、インクジェットヘッドの製造方法に限られず、被処理基板の上にパターンを形成するパターン形成方法としても有効である。
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1)
図2に示した工程に従って、インクジェットヘッドを作製した。まず、図2(a)に示されるような基板1を準備した。一般的に、圧力発生素子2を制御するドライバーやロジック回路等は汎用的な半導体製法にて製造されるため、シリコン基板を適用することが好適である。本例においては、8インチのシリコン基板の上に、圧力発生素子としての電気熱変換素子(材質HfB2からなるヒーター)と、インク流路およびノズル形成部位にSiN+Taの積層膜(不図示)を有するシリコン基板を準備した。
図2に示した工程に従って、インクジェットヘッドを作製した。まず、図2(a)に示されるような基板1を準備した。一般的に、圧力発生素子2を制御するドライバーやロジック回路等は汎用的な半導体製法にて製造されるため、シリコン基板を適用することが好適である。本例においては、8インチのシリコン基板の上に、圧力発生素子としての電気熱変換素子(材質HfB2からなるヒーター)と、インク流路およびノズル形成部位にSiN+Taの積層膜(不図示)を有するシリコン基板を準備した。
次いで、図2(b)に示すように、圧力発生素子2が形成された基板1の上に、第一のポジ型レジストとして以下の組成からなる樹脂組成物をスピンコートし、90℃3分間のベークを行って、第一のポジ型レジスト層11を形成した。第一のポジ型レジスト層11のベーク後の膜厚は12μmであった。
・一般式(1a)で示されるアクリル樹脂 40質量部
(m:n=1:1、重量平均分子量=50000)
・光酸発生剤(アデカ製、商品名:SP−172) 2質量部
・メチルイソブチルケトン 60質量部
次に、図2(c)に示すように、東京応化工業(株)製iP−5700レジスト(商品名)を膜厚3μmとなるよう積層して、第二のレジスト層12を形成した。その後、i線ステッパー(キヤノン製、商品名:i5)を用いて第一のレチクル13を介して200J/m2の露光量で露光した(図2(d))。その後、2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いて現像して、第二のレジストのパターン14を形成した(図2(e))。
・一般式(1a)で示されるアクリル樹脂 40質量部
(m:n=1:1、重量平均分子量=50000)
・光酸発生剤(アデカ製、商品名:SP−172) 2質量部
・メチルイソブチルケトン 60質量部
次に、図2(c)に示すように、東京応化工業(株)製iP−5700レジスト(商品名)を膜厚3μmとなるよう積層して、第二のレジスト層12を形成した。その後、i線ステッパー(キヤノン製、商品名:i5)を用いて第一のレチクル13を介して200J/m2の露光量で露光した(図2(d))。その後、2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いて現像して、第二のレジストのパターン14を形成した(図2(e))。
次に、図2(f)に示すように、Deep−UV露光装置(ウシオ電機製、商品名:UX−3200)を用いて500mJ/cm2の露光量で全面露光を行った後、90℃3分の熱処理を行った。引き続き、被処理基板を、40℃に加熱した以下の組成からなる着色液中に20分間浸漬し、染色パターン15を形成した(図2(g))。
・C.I.アシッドオレンジ148 10質量部
・ジエチレングリコール 30質量部
・エチレングリコール 20質量部
・イオン交換水 40質量部
次いで、90℃20分間の熱処理を行った後、2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いて第二のレジストのパターン14を除去した(図2(h))。
・C.I.アシッドオレンジ148 10質量部
・ジエチレングリコール 30質量部
・エチレングリコール 20質量部
・イオン交換水 40質量部
次いで、90℃20分間の熱処理を行った後、2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いて第二のレジストのパターン14を除去した(図2(h))。
引き続き、Deep−UV露光装置(ウシオ電機製、商品名:UX−3200)を用いて15000mJ/cm2の露光量で全面露光を行った(図2(i))。その後、メチルイソブチルケトンを用いて第一のポジ型レジストを現像してインク流路パターン16を形成した(図2(j))。
次いで、被処理基板の上に以下の組成からなる感光性樹脂組成物を、インク流路パターン16の上の膜厚が10μmとなるようにスピンコートし、ホットプレート上で90℃2分間のプリベークを行って、被覆樹脂層6を形成した(図2(k))。
・EHPE(商品名、ダイセル化学工業製) 100質量部
・SP−172(商品名、アデカ製) 5質量部
・A−187(商品名、日本ユニカー製) 5質量部
・メチルイソブチルケトン 100質量部
引き続き、被処理基板の上に以下の組成からなる感光性樹脂組成物を、膜厚が1μmとなるようにスピンコートし、ホットプレート上で80℃3分間のプリベークを行って、撥インク剤層(不図示)を形成した。
・EHPE(商品名、ダイセル化学工業製) 35質量部
・2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサフロロプロパン 25質量部
・1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフロロイソプロピル)ベンゼン 25質量部
・3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパン 16質量部
・A−187(商品名、日本ユニカー製) 4質量部
・SP−172(商品名、アデカ製) 5質量部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 100質量部
次いで、i線ステッパー(キヤノン製、商品名:i5)を用いて第二のレチクル(マスク)17を介して4000J/m2の露光量にてパターン露光した後(図2(l))、ホットプレート上で120℃120秒のPEBを行った。その後、メチルイソブチルケトンにて現像、イソプロピルアルコールにてリンス処理を行い、100℃60分間の熱処理を行って、吐出口8を形成した(図2(m))。なお、本実施例では、φ13μmの吐出口パターンを形成した。
・EHPE(商品名、ダイセル化学工業製) 100質量部
・SP−172(商品名、アデカ製) 5質量部
・A−187(商品名、日本ユニカー製) 5質量部
・メチルイソブチルケトン 100質量部
引き続き、被処理基板の上に以下の組成からなる感光性樹脂組成物を、膜厚が1μmとなるようにスピンコートし、ホットプレート上で80℃3分間のプリベークを行って、撥インク剤層(不図示)を形成した。
・EHPE(商品名、ダイセル化学工業製) 35質量部
・2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサフロロプロパン 25質量部
・1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフロロイソプロピル)ベンゼン 25質量部
・3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−エポキシプロパン 16質量部
・A−187(商品名、日本ユニカー製) 4質量部
・SP−172(商品名、アデカ製) 5質量部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 100質量部
次いで、i線ステッパー(キヤノン製、商品名:i5)を用いて第二のレチクル(マスク)17を介して4000J/m2の露光量にてパターン露光した後(図2(l))、ホットプレート上で120℃120秒のPEBを行った。その後、メチルイソブチルケトンにて現像、イソプロピルアルコールにてリンス処理を行い、100℃60分間の熱処理を行って、吐出口8を形成した(図2(m))。なお、本実施例では、φ13μmの吐出口パターンを形成した。
次に、被処理基板の裏面にポリエーテルアミド樹脂組成物(日立化成製、商品名:HIMAL)を用いて、幅1mm、長さ10mmの開口部形状を有するエッチングマスク(不図示)を作製した。次いで、80℃に保持した22wt%のTMAH水溶液中に被処理基板を浸漬して基板の異方性エッチングを行って、インク供給口9を形成した(図2(n))。なお、この際エッチング液から基板表面の樹脂層を保護する目的で、保護膜(不図示、東京応化工業製、商品名:OBC)を撥インク剤層の上に塗布して異方性エッチングを行った。
次いで、保護膜をキシレンを用いて溶解除去した後、乳酸メチル中に超音波を付与しつつ浸漬してインク流路パターン16を溶解除去することで、インク流路10を形成した(図2(o))。
以上のように作製したインクジェットヘッドを、光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いて観察し、吐出口の変形の有無、およびインク流路の位置関係を評価した。なお、インク流路の位置関係の評価としては、図5に示すように、本来のインク流路の位置からのx方向およびy方向へのズレ量を測定した。また、評価結果を表1に示す。
(実施例2)
着色液として、以下の組成の顔料分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを作製した。
・カーボンブラック分散液 30質量部
(平均粒径100nmのカーブンブラック20wt%含有、3−メトキシブチルアセテート溶剤)
・エチルアルコール 70質量部
実施例1と同様の評価結果を表1に併せて示す。
着色液として、以下の組成の顔料分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを作製した。
・カーボンブラック分散液 30質量部
(平均粒径100nmのカーブンブラック20wt%含有、3−メトキシブチルアセテート溶剤)
・エチルアルコール 70質量部
実施例1と同様の評価結果を表1に併せて示す。
(実施例3)
実施例1と同様の基板1の上に、第一のポジ型レジストとしてポリメチルイソプロペニルケトンをスピンコートし、120℃3分間のベークを行って、第一のポジ型レジスト層11を形成した。第一のポジ型レジスト層11のベーク後の膜厚は12μmであった。その後の工程は、着色液として、実施例2と同様の顔料分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを作製した。実施例1と同様の評価結果を表1に併せて示す。
実施例1と同様の基板1の上に、第一のポジ型レジストとしてポリメチルイソプロペニルケトンをスピンコートし、120℃3分間のベークを行って、第一のポジ型レジスト層11を形成した。第一のポジ型レジスト層11のベーク後の膜厚は12μmであった。その後の工程は、着色液として、実施例2と同様の顔料分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを作製した。実施例1と同様の評価結果を表1に併せて示す。
(比較例)
図3に示した工程に従って、インクジェットヘッドを作製した。なお、図3(b)に示す工程では、ポジ型レジストとしてポリメチルイソプロペニルケトンを用いてポジ型レジスト層3を形成した。また、図3(c)に示す工程では、Deep−UV露光装置(ウシオ電機製、商品名:UX−3200)を用いてパターン露光を行った。その後、現像処理を行って、インク流路パターン5を作製した(図3(d))。その他の条件等は、実施例1と同じとした。実施例1と同様の評価結果を表1に併せて示す。
図3に示した工程に従って、インクジェットヘッドを作製した。なお、図3(b)に示す工程では、ポジ型レジストとしてポリメチルイソプロペニルケトンを用いてポジ型レジスト層3を形成した。また、図3(c)に示す工程では、Deep−UV露光装置(ウシオ電機製、商品名:UX−3200)を用いてパターン露光を行った。その後、現像処理を行って、インク流路パターン5を作製した(図3(d))。その他の条件等は、実施例1と同じとした。実施例1と同様の評価結果を表1に併せて示す。
以上説明したように、本発明のインクジェットヘッドの製造方法を用いることにより、圧力発生素子と、インク流路および吐出口の位置関係を高精度かつ再現性良く制御することが可能となる。さらに、吐出口の変形が発生しないため、印字特性の良好なインクジェットヘッドを安定して製造することができる。
1 基板
2 圧力発生素子
3 ポジ型レジスト層
4 第一のマスク
5 インク流路パターン
6 被覆樹脂層
7 第二のマスク(レチクル)
8 吐出口
9 インク供給口
10 インク流路
11 第一のポジ型レジスト層
12 第二のレジスト層
13 第一のレチクル(マスク)
14 第二のレジストのパターン
15 染色パターン
16 インク流路パターン
17 第二のレチクル(マスク)
2 圧力発生素子
3 ポジ型レジスト層
4 第一のマスク
5 インク流路パターン
6 被覆樹脂層
7 第二のマスク(レチクル)
8 吐出口
9 インク供給口
10 インク流路
11 第一のポジ型レジスト層
12 第二のレジスト層
13 第一のレチクル(マスク)
14 第二のレジストのパターン
15 染色パターン
16 インク流路パターン
17 第二のレチクル(マスク)
Claims (11)
- 圧力発生素子が形成された基板の上に、第一のポジ型レジスト層を形成する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層のうち、インク流路となる部分の少なくとも表面を選択的に着色する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層の着色部をマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層をパターニングして、インク流路パターンを形成する工程と、
前記インク流路パターンが形成された前記基板の上に、インク流路形成部材となる被覆樹脂層を形成する工程と、
前記圧力発生素子の上方に位置する前記被覆樹脂層に、吐出口を形成する工程と、
前記インク流路パターンを溶解除去して、前記吐出口と連通するインク流路とする工程と
を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記第一のポジ型レジスト層の上に、第二のレジスト層を形成する工程と、
前記第二のレジスト層をパターニングして、前記第一のポジ型レジスト層のうち、インク流路となる部分の表面を露出させる工程と
をさらに有し、
その後に、前記第一のポジ型レジスト層の露出部を着色することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記第一のポジ型レジスト層の着色を、前記第一のポジ型レジスト層の感光波長領域に対して遮光性を有する染料溶液または顔料分散液を用いて行うことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第一のポジ型レジスト層を、主鎖分解型のポジ型フォトレジストで形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第一のポジ型レジスト層を、光照射により親水性が発現または向上する材料で形成することを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第二のレジスト層のパターンをマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層に光照射する工程をさらに有し、その後に、前記第一のポジ型レジスト層の光照射部を着色することを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第二のレジスト層のパターニングを、縮小投影露光装置を用いてi線を照射した後、現像処理を施すことで行うことを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記被覆樹脂層のパターニングを、縮小投影露光装置を用いてi線を照射した後、現像処理を施すことで行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法により製造されたインクジェットヘッド。
- 被処理基板の上に、第一のポジ型レジスト層を形成する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層の一部の少なくとも表面を選択的に着色する工程と、
前記第一のポジ型レジスト層の着色部をマスクとして、前記第一のポジ型レジスト層をパターニングする工程と
を有することを特徴とするパターン形成方法。
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