JP2004042396A - 微細構造体の製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法および液体吐出ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】安価、精密であり、また信頼性も高い液体吐出ヘッド及び該ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、メタクリル酸エステルとメタクリル酸(2〜30重量%)と共重合体(分子量5000〜50000)を熱架橋してポジ型感光性材料層を形成し、露光して液流路パターンを形成し、型パターンを被覆するネガ型被覆樹脂層を塗布し硬化させた後、さらに、ポジ型感光材料層を電離放射線を照射して分解し、前記型パターンを溶解除去して液流路を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板上に、メタクリル酸エステルとメタクリル酸(2〜30重量%)と共重合体(分子量5000〜50000)を熱架橋してポジ型感光性材料層を形成し、露光して液流路パターンを形成し、型パターンを被覆するネガ型被覆樹脂層を塗布し硬化させた後、さらに、ポジ型感光材料層を電離放射線を照射して分解し、前記型パターンを溶解除去して液流路を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式に用いる記録液小滴を発生するための液体噴射記録ヘッド及び該ヘッドの製造方法に関する。特に本発明は、高画質を可能とする微小な液滴を安定して吐出し、更に高速記録を実現できるインク流路形状と該ヘッドを生産する製造方法に関する。
【0002】
更に本発明は、前記インクジェットヘッドの製造方法に基づき製造される、インク吐出特性が改善されたインクジェットヘッドに関する。
【0003】
【従来の技術】
インク等の記録液を吐出して記録を行うインクジェット記録方式(液体吐出記録方式)に適用される液体吐出ヘッドは、一般に液流路、該液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発生部、及び前記液流路の液体を液体吐出エネルギー発生部の熱エネルギーによって吐出するための微細な記録液吐出口(以下、「オリフィス」と呼ぶ)とを備えている。従来、このような液体吐出記録ヘッドを作製する方法としては、例えば、
・液体吐出用の熱エネルギーを発生するヒーター及びこれらヒーターを駆動するドライバー回路等の形成した素子基板にインク供給の為の貫通孔を形成した後、感光性ネガレジストにてインク流路の壁となるパターン形成を行い、これに、電鋳法やエキシマレーザー加工によりインク吐出口を形成したプレートを接着して製造する方法(例えばUSP6179413等)
・上記製法と同様に形成した素子基板を用意し、接着層を塗布した樹脂フィルム(通常はポリイミドが好適に使用される)にエキシマレーザーにてインク流路及びインク吐出口を加工し、次いで、この加工した液流路構造体プレートと前記素子基板とを熱圧を付与して貼り合わせる方法(例えばUSP6158843等)等を挙げることができる。
【0004】
上記の製法によるインクジェットヘッドでは、高画質記録のために微小液滴の吐出を可能にするため、吐出量に影響を及ぼすヒーターと吐出口間の距離を出来るだけ短くしなければならない。そのために、インク流路高さを低くしたり、インク流路の一部であって液体吐出エネルギー発生部と接する気泡発生室としての吐出チャンバーや、吐出口のサイズを小さくしたりする必要もある。
【0005】
すなわち、上記製法のヘッドで微小液滴を吐出可能にするには、基板上に積層する液流路構造体の薄膜化が必要とされる。しかし、薄膜の液流路構造体プレートを高精度で加工して基板に貼り合わせることは極めて困難である。
【0006】
これら製法の問題を解決したものとして、液体吐出エネルギー発生素子を形成した基板上に感光性材料にてインク流路の型をパターンニングし、次いで型パターンを被覆するように前記基板上に被覆樹脂層を塗布形成し、該被覆樹脂層に前記インク流路の型に連通するインク吐出口を形成した後、型に使用した感光性材料を除去してなるインクジェットヘッドの製法(以下、「注型法」とも略記する。)が知られている(特公平6−45242号公報)。
【0007】
このヘッドの製造方法では感光性材料としては、除去の容易性の観点からポジレジストが用いられている。また、この製法によると、半導体のフォトリソグラフィーの手法を適用しているので、インク流路、吐出口等の形成に関して極めて高精度で微細な加工が可能である。
【0008】
しかし、ポジレジストで流路形成した後、その上をネガ型被膜樹脂で被覆してから、吐出口を形成するために、ネガ型被膜樹脂の感光波長領域に対応する光を照射する場合、ポジレジストで形成したパターン上にも、該波長領域の光が照射されてしまう。このために、前記ポジレジスト材料で形成されたパターンにもネガ型被覆樹脂への照射光が当たることとなり、材料の分解反応などが促進されて、不具合を生じる可能性がある。
【0009】
なお、ポジレジストとして、ネガ型被覆樹脂と感光波長領域が重ならず、かつ、分子間架橋可能な構造を有する樹脂を用いることである程度上記問題が解決できる(特開兵8−823985号公報)。しかしながら、生産上の歩留まり、生産工程の安定化の面から、さらに効率よく製造するための改良が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、ノズル構成部材であり、オリフィスプレート部材を形成するネガ型被膜樹脂の吸収波長領域、及び、該樹脂を塗布・硬化後に、吐出口などを形成するために、照射する光の波長領域を詳細に把握し、前記波長領域とは重なり合わない領域の波長のみの電離放射線に感応するポジレジストを、流路形成部材として使用することで、生産安定性の高い液体吐出ヘッドを提供できることを見出した。
【0011】
本発明は上記の諸点に鑑み成されたものであって、安価、精密であり、また信頼性も高い液体吐出ヘッド及び該ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、液流路が精度良く正確に、且つ歩留り良く微細加工された構成を有する液体吐出ヘッドを製造することが可能な新規な液体吐出ヘッドの製造方法を提供することも目的とする。
【0013】
また、記録液との相互影響が少なく、機械的強度や耐薬品性に優れた液体吐出ヘッドを製造し得る新規な液体吐出ヘッドの製造方法を提供することも目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、先ず、高精度にて液流路を形成する製造を実現し、次いで該製法により実現できる良好な液流路形状を見出したことを特徴としている。
【0015】
すなわち、第1の発明は、基板上に、熱架橋反応を用いて熱架橋したポジ型感光性材料層を形成し、該ポジ型感光性材料層に電離放射線を照射し、次いで現像して、型パターンを形成し、その型パターンを形成したポジ型感光材料層を被覆するようにポジ型感光性材料の感光波長領域と感光波長領域とが主感光波長領域が重なり合わないネガ型感光材料(被覆樹脂材料)層を塗布し硬化させた後、前記ポジ型感光材料層を溶解除去して液流路を形成する微細な空洞構造体の製造方法において、
ポジ型感光性材料層が、メタクリル酸エステルを主成分とし、熱架橋因子として、メタクリル酸を含むメタクリル系共重合体組成物とする電離放射線分解型ポジレジストで、そのメタクリル系共重合体には、メタクリル酸が2〜30重量%の割合で含まれ、かつメタクリル系共重合体の分子量が5000〜50000であり、
ネガ型被膜樹脂材料はエポキシ樹脂を主たる構成材料とする感光性材料であることを特徴とする微細な空洞構造体の製造方法を提案する。
【0016】
第2の発明は、液体吐出エネルギー発生素子を形成した基板上の液流路形成部分に除去可能な樹脂にて型パターンを形成し、該型パターンを被覆するように前記基板上に被覆樹脂層を塗布し硬化させた後、前記型パターンを溶解除去して液流路を形成する、液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記型パターンを、基板上に、メタクリル酸エステルを主成分とし、熱架橋因子として、メタクリル酸を2〜30重量%の割合で含み、かつ分子量が5000〜50000である、メタクリル系共重合体組成物を熱架橋してポジ型感光性材料層を形成し、そのポジ型感光材料層に電離放射線を照射し、照射領域を分解した後現像することで液流路に当たる部分にポジ型感光材料層を残存させて形成し、
型パターンを形成したポジ型感光材料層の上に、ネガ型感光性材料(被覆樹脂材料)層を塗布し、前記液流路に連通する吐出口に相当する部分以外を露光した後、現像して吐出口を形成し、
前記被覆樹脂膜を通して、ポジ型感光材料層を電離放射線を照射して分解し、
得られた基板を有機溶剤に浸漬して、分解したポジ型感光材料層を溶解除去する
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は上記の液体吐出ヘッドの製造方法で製造した液体吐出ヘッドも包含する。
【0018】
また、上記のような本発明の製法による液体吐出ヘッドは、液流路にごみ捕捉用の柱状部材が該液流路を構成する材料より形成されていることが好ましい。なお、ごみ捕捉用の柱状部材が前記基板面に到達していないものがより好ましい。
【0019】
次に、本発明について詳しく説明する。
【0020】
本発明による液体吐出ヘッドの製造においては、液体吐出ヘッドの特性に影響を及ぼす最も重要な因子の一つである、吐出エネルギー発生素子(例えば、ヒーター)とオリフィス(吐出口)間の距離および該素子とオリフィス中心との位置精度の設定が極めて容易に実現できる等の利点を有する。
【0021】
即ち、本発明によれば2回にわたる感光性材料層の塗布膜厚を制御することにより吐出エネルギー発生素子とオリフィス間に距離を設定することが可能であり、該感光性材料層の塗布膜厚は従来使用される薄膜コーティング技術により再現性良く厳密に制御できる。
【0022】
また、吐出エネルギー発生素子とオリフィスの位置合せはフォトリソグラフィー技術による光学的な位置合せが可能であり、従来液体吐出ヘッドの製造に使用されていた液流路構造体プレートを基板に接着する方法に比べて飛躍的に高い精度の位置合せができる。
【0023】
本発明に最も好適な熱架橋型レジストとは、架橋基としてメタクリル酸を共重合したポリメタクリル酸エステルを挙げることができる。
【0024】
ここで用いられるメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル等を挙げることができる。
【0025】
架橋成分の共重合比は、ポジレジストの膜厚により最適化することが好ましいが、熱架橋因子であるメタクリル酸の共重合量として、2〜30重量%が望ましい。更に、好ましくは、2〜10重量%である。
【0026】
メタクリル酸エステルとメタクリル酸のメタクリル系共重合体としては、分子量5000〜50000のものが望ましい。分子量が大きくなると、ソルベントコート用途での溶剤への溶解度が下がり、且つ、溶解できたとしても、溶液自体の粘度が高くなりすぎて、スピンコート法による塗布工程において、膜厚の均一性が低下してしまう。また、分子量が大きいと、210〜330nm領域の電離放射線に対する分解効率が悪くなり、所望の膜厚で、所望のパターンを形成するための露光量が、非常に多く必要になり、且つ、現像液に対する対現像性も悪化して、形成するパターン精度を劣化させることになる。分子量が小さくなりすぎると、溶剤への溶解度が異常に高くなり、溶液の粘度が著しく低下して、所望の膜厚をスピンコート法で形成できなくなってしまう。そこで、メタクリル酸エステルとメタクリル酸のメタクリル系共重合体としては、分子量5000〜30000のものがより望ましい。
【0027】
なお、メタクリル系共重合体は、メタクリル酸エステルおよびメタクリル酸を重合溶媒、例えば、トルエン、キシレンに溶解し、アゾ系重合触媒あるいは過酸化物重合触媒の存在下に、通常重合溶媒の沸点以下室温以上に加熱することによって製造される。なお、本発明で用いるメタクリル系共重合体は加熱により架橋する性質があるため、重合は60〜80℃で行うことが好ましい。
【0028】
以下、本発明の製造方法によるインク流路形成のプロセスフローを説明する。
【0029】
図1に、ポジレジストとして熱架橋ポジレジストを適用した最も好適なプロセスフローを示す。
【0030】
図1(a)は、シリコン基板31上に、発熱素子や該発熱素子を個別に駆動するために、配されたトランジスタ及びデータ信号処理を処理するための回路が構成されており、それらは、電気的に配線を介して、接続されている。
【0031】
図1(b)にて基板31上に熱架橋ポジレジスト層32を塗布し、ベークする。塗布はスピンコートやバーコート等の汎用的なソルベントコート法を適用できる。またベーク温度は熱架橋反応が行われる120〜220℃で、3分から2時間が好ましい。望ましくは、160〜200℃で、30分から1時間が好ましい。
【0032】
次いで、図2に示すように、短波長紫外線(以下、DeepUV光と記す)照射装置を用いて、不図示のマスクを介して、前記ポジレジストに200〜300nm領域の光を照射する。その際、図3に示すように、本発明の熱架橋型ポジレジストの吸収波長領域は、200〜250nmのみであるために、この領域の波長(エネルギー分布)によって、分解反応が促進される。
【0033】
次いで、前記ポジレジスト層の現像を行う。現像はこのポジレジストの現像液であるメチルイソブチルケトンを用いることが好ましいが、このポジレジストの露光部を溶解し、未露光部を溶解しない溶剤であれば何れも使用可能である。
【0034】
次いで、図1(c)に示すように、熱架橋型ポジレジスト層を覆うように液流路構造体材料34を塗布する。塗布は汎用的なスピンコート等のソルベントコート法を適用できる。この時、ポジレジストは、熱架橋膜になっているため、前記塗布溶媒に対して、溶解せず、相溶層が形成されることはない。更に、前記液流路構造材料を硬化した後に、必要により薄膜の撥水層を形成する。この撥水層は、ドライフィルム法、スピンコート法、バーコード法などで形成することができる。そして、この撥水層も、ネガ型の感光特性を有することが望ましい。
【0035】
液流路構造体材料に光照射を行う工程を示すが、インク吐出口となる箇所に光を照射させないフォトマスクを適用している。
【0036】
ここで用いる液流路構造体材料として、常温にて固体状のエポキシ樹脂と光照射によりカチオンを発生するオニウム塩を主成分とする材料が好ましく、ネガ型の特性を有している。なお、詳しくは、特許第3143307号に記載されている。
【0037】
すなわち、エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物は、通常の酸無水物もしくはアミンによる硬化物に比較して高い架橋密度(高Tg)を有するため、構造材として優れた特性を示す。また、常温にて固体状のエポキシ樹脂を用いることで、光照射によりカチオン重合開始剤より発生した重合開始種のエポキシ樹脂中への拡散が抑えられ、優れたパターニング精度、形状を得ることができる。
【0038】
本発明に用いる固体状のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとの反応物のうち分子量がおよそ900以上のもの、含ブロモスフェノールAとエピクロヒドリンとの反応物、フェノールノボラックあるいはo−クレゾールノボラックとエピクロヒドリンとの反応物、特開昭60−161973号公報、特開昭63−221121号公報、特開昭64−9216号公報、特開平2−140219号公報に記載のオキシシクロヘキサン骨格を有する多感応エポキシ樹脂等があげられるが、もちろん本発明はこれら化合物に限定されるわけではない。
【0039】
また、ここで用いるエポキシ樹脂において、好ましくはエポキシ当量が2000以下、さらに好ましくは1000以下であることが好ましい。これは、エポキシ当量が2000を越えると、硬化反応の際に架橋密度が低下し、硬化物のTgもしくは熱変形温度が低下したり、密着性、耐インク性に問題が生じる場合があるからである。
【0040】
エポキシ樹脂を硬化させるための光カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩[J.POLYMER SCI:Symposium No. 56 383−395(1976)参照]や旭電化工業株式会社より上市されているSP−150、SP−170等が挙げられる。
【0041】
上記組成物に対して必要に応じて添加剤など適宜添加することが可能である。例えば、エポキシ樹脂の弾性率を下げる目的で可撓性付与剤を添加したり、あるいは基板との更なる密着力を得るためにシランカップリング剤を添加することなどがあげられる。
【0042】
次に、感光性の液流路構造体材料34に対してインク吐出口のパターン現像を行う。このパターン露光は汎用的な露光装置の何れの物を適用しても構わないが、図4に示すように、前期液流路構造材料であるネガ型被膜樹脂の吸収波長領域と一致し、且つ、前記ポジレジスト材料の吸収波長領域と重なり合わない波長領域を照射する露光装置であることが望ましい。この現像は、キシレン等の芳香族溶剤にて行うことが好ましい。また、液流路構造体材料層上に撥水性被膜を形成したい場合は、特開2000−326515号公報に記載されるように、感光性撥水材層を形成し、一括にて露光、現像することにより実施することが可能である。この時、感光性撥水層の形成はラミネートにより実施することが可能である。
【0043】
次いで、図1(d)に示すように、吐出口などを形成した面を被覆する樹脂で、片面を保護した後に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)などのアルカリ溶液にて、シリコン基板の裏面側から、異方性エッチング法により、インク供給口を形成する。
【0044】
次いで、図1(e)に示すように、上記保護のために被覆した樹脂を溶解・除去した後に、液流路構造体材料層越しに300nm以下の電離放射線を一括で照射し、ポジレジストを分解して低分子化する。
【0045】
最後に、分解したポジレジストを溶剤にて除去して、吐出チャンバーを含む液流路を形成する。
【0046】
以上記載した工程を適用することにより、本発明の液体吐出ヘッドを形成することが可能である。
【0047】
本発明に関わる製法は、半導体製造技術で用いられるスピンコート等のソルベントコート法により実施される為、インク流路はその高さが極めて高精度で安定的に形成できる。また、基板に対して平行な方向の2次元的な形状も半導体のフォトリソグラフィー技術を用いる為、サブミクロンの精度を実現することが可能である。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0049】
(第1の実施の形態)
図5から図12の夫々には、本発明の方法に係わる液体噴射記録ヘッドの構成とその製作手順の一例が示されている。尚、本例では、2つのオリフィス(吐出口)を有する液体噴射記録ヘッドが示されるが、もちろんこれ以上のオリフィスを有する高密度マルチアレイ液体噴射記録ヘッドの場合でも同様であることは、言うまでもない。
【0050】
まず、本実施形態においては、例えば図5に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属等からなる基板201が用いられる。なお、図5は感光性材料層形成前の基板の模式的斜視図である。
【0051】
このような基板201は、液流路の壁部材の一部として機能し、また後述の感光性材料層からなる液流路構造体の支持体として機能し得るものであれば、その形状、材質等、特に限定されることなく使用できる。上記の基板201上には、電気熱変換素子あるいは圧電素子等の液体吐出エネルギー発生素子202が所望の個数配置される(図5では2個にて例示)。
【0052】
このような、液体吐出エネルギー発生素子202によって記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギーがインク液に与えられ、記録が行なわれる。因みに、例えば、液体吐出エネルギー発生素子202として電気熱変換素子が用いられるときには、この素子が近傍の記録液を加熱することにより、吐出エネルギーを発生する。また、例えば、圧電素子が用いられるときは、この素子の機械的振動によって、吐出エネルギーが発生される。
【0053】
なお、これらの素子202には、これら素子を動作させるための制御信号入力用電極(図示せず)が接続されている。また、一般にはこれら吐出エネルギー発生素子202の耐用性の向上を目的として、保護層等の各種機能層が設けられるが、もちろん本発明においてもこの様な機能層を設けることは一向に差しつかえない。
【0054】
最も汎用的には、基板201としてはシリコンが適用される。即ち、吐出エネルギー発生素子を制御するドライバーやロジック回路等は、汎用的な半導体製法にて生産される為、該基板にシリコンを適用することが好適である。また、該シリコン基板にインク供給の為の貫通孔を形成する方法としては、YAGレーザーやサンドブラスト等の技術を適用することも可能ではある。しかし、下層材料として熱架橋型レジストを適用する場合は、該レジストのプリベーク温度は前述したように極めて高温であり、樹脂のガラス転移温度を大幅に越え、プリベーク中に樹脂被膜が貫通孔に垂れ下がる。従って、レジスト塗布時には基板に貫通孔が形成されていないことが好ましい。このような方法は、アルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチ技術を適用できる。この場合、基板裏面に耐アルカリ性の窒化シリコン等にてマスクパターンを形成し、基板表面には同様の材質でエッチングストッパーとなるメンブレン膜を形成しておけば良い。
【0055】
次いで図6に示すように、液体吐出エネルギー発生素子202を含む基板201上に、架橋型ポジレジスト層203を形成する。この材料は、メチルメタクリ酸とメタクリル酸の90:10比の共重合体(P(MMA−MAA)と表す)で、重量平均分子量(Mw)33000、平均分子量(Mn)14000および分散度(Mw/Mn)2.36である。P(MMA−MAA)の吸収スペクトル(図3)に示すように、このポジレジスト材料は光の吸収が250nm以下にしか存在しないので、260nm以上の波長を照射しても、材料自体に、該エネルギー領域で、分子が励起されることがなく、その結果、分解反応などが促進されることがない。即ち、このポジレジスト材料は、250nm以下の電離放射線のみによって、分解反応が促進され、その後の現像工程において、パターン形成を行なうことができる。
【0056】
この樹脂粒子をシクロヘキサノンに約30WT%の固形分濃度にて溶解し、レジスト液として使用した。その時の塗布溶液の粘度は、630cpsである。該レジスト液はスピンコート法にて上述した基板201に塗布し、120℃、3分でプリベークした後、オーブンにて200℃、60分間の本キュアを行い、熱架橋せしめた。形成した被膜の膜厚は14μmであった。
【0057】
次いで、図7に示すように、熱架橋型ポジレジスト層203のパターニング(露光、現像)を行った。露光装置は図2に示す装置を用い、図14に示すような第1の波長帯である210〜330nm帯領域で行った。この時の露光量は60J/cm2であり、現像はメチルイソブチルケトンにて行った。上述したように、260nm以上の光は、照射されているが、前記ポジレジスト層に対する分解反応への寄与はない。最適には、260nm以上の光を遮蔽するカットフィルタを用いても良い。
【0058】
露光は、電離放射線を熱架橋型ポジレジストに、残したいパターンを描いたフォトマスクを介して露光した。通常、照射したときにフォトマスクでの回折による細りが見られることからその影響を加味したフォトマスクを用いることが必要である。なお、回析光の影響のない投影光学系を有する露光装置を用いた場合は、細りを加味したマスク設計を行う必要はない。
【0059】
次いで、図8に示すように、パターニングされた下熱架橋型ポジレジスト層203を覆うように液流路構造体材料207の層を形成した。この層の材料は、ダイセル化学工業株式会社より上市されるエポキシ樹脂(EHPE−3150)50部、旭電化工業株式会社より上市される光カチオン重合開始材(SP−172)1部および日本ユニカ社より上市されるシランカップリング材(A−187)2.5部をキシレン50部に溶解して作製した。
【0060】
塗布はスピンコートにて行い、プリベークはホットプレートにて90℃、3分間行った。
【0061】
次いで、図9に示すように、液流路構造体材料207に対してインク吐出口209を未露光で残すパターン露光および現像を行う。このパターン露光は汎用的なUV光を照射できる装置であれば、露光装置の何れのものを適用しても構わない。しかし、照射される光の波長領域は、290nm以上であり、且つ、上述したネガ型被膜樹脂が感応する波長領域であれば、上限に制約は無い。
【0062】
露光時にはインク吐出口となる箇所に光を照射させないマスクを使用した。露光はキヤノン製マスクアライナーMPA−600Superを使用し、露光は500mJ/cm2で行った。図4に示しているように、前記露光機は、290〜400nm領域のUV光を照射しており、この領域において、前記ネガ型被膜樹脂は、感光特性を有することになる。
【0063】
そして、前記露光機を使用した場合、図9で示しているように、ネガ型被膜樹脂を介して、図8で形成されたポジレジスト層のパターンにも、290〜400nm領域のUV光が照射されることになる。そのため、本発明で使用している熱架橋型ポジレジスト材料の場合、250nm以下のDeepUV光にしか感応しないので、この工程において、材料の分解反応が促進されることは無い。
【0064】
その後、図10に示すように、キシレンに60秒間浸漬して吐出口209を形成した後、100℃にて1時間のベークを行い、液流路構造体材料の密着性を高めた。
【0065】
その後、図示しないが、液流路構造体材料層上に、該材料層をアルカリ溶液から保護する為に環化イソプレン(東京応化工業社製、OBC)を塗布した。その後、シリコン基板をTMAH22wt%溶液に83℃で14.5時間浸漬し、インク供給の為の貫通孔(不図示)を形成した。
【0066】
また、インク供給孔形成のためにマスク及びメンブレンとして使用した窒化シリコンはシリコン基板に予めパターニングしてある。この異方性エッチング後にシリコン基板を裏面が上になるようにドライエッチング装置に装着し、CF4に5%の酸素を混合したエッチャントにてメンブレン膜を除去した。次いで、前記基板をキシレンに浸漬して環化イソプレン膜を除去した。
【0067】
次いで図11に示すように、低圧水銀灯を用いて210〜330nm領域帯の電離放射線208を液流路構造体材料207に向けて全面照射し、熱架橋型ポジレジストを分解した。照射量は81J/cm2であった。
【0068】
その後、基板201を乳酸メチルに浸漬して、図12の縦断面図に示すように型レジストを一括除去した。この時、200MHzのメガソニック槽に入れ溶出時間の短縮を図った。これにより、吐出チャンバーを含むインク流路211が形成され、インク供給孔210から各インク流路211を介して各吐出チャンバーにインクを導いて、ヒーターによって吐出口209より吐出させる構造のインク吐出エレメントが作製される。
【0069】
このように作製した吐出エレメントは図13に示す形態のインクジェットヘッドユニットに実装され、吐出、記録評価を行ったところ良好な画像記録が可能であった。前記インクジェットヘッドユニットの形態としては図13に示すように、例えばインクタンク213を着脱可能に保持した保持部材の外面に、記録装置本体と記録信号の授受を行うためのTABフィルム214が設けられ、TABフィルム214上にインク吐出エレメント212が電気接続用リード215により電気配線と接続されている。
【発明の効果】
本発明によれば、下記に列挙する項目の効果を奏する。
1)液体吐出ヘッド製作の為の主要工程が、フォトレジストや感光性ドライフィルム等を用いたフォトリソグラフィー技術による為、液体吐出ヘッドの液流路構造体の細密部を、所望のパターンで、しかも極めて容易に形成することができるばかりか、同構成の多数の液体吐出ヘッドを同時に加工することも容易にできる。
2)吐出速度が速く、極めて着弾精度の高い液体吐出ヘッドが製造できる為、高画質の記録を行うことができる。
3)高密度マルチアレイノズルの液体吐出ヘッドが簡単な手段で得られる。
4)熱架橋型ポジレジストを適用することにより、極めてプロセスマージンの高い工程条件を設定でき、歩留まり良く液体吐出ヘッドを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体吐出ヘッドの製造法を示すウロセスフロー図である。
【図2】露光器の例を示す模式図である。
【図3】メタクリル系共重合体の吸収スペクトルを示す図である。
【図4】露光器の照射波長のスペクトルを示す図である。
【図5】液体吐出ヘッドを作成するに用いた基板を示す斜視図である。
【図6】基板上に液流路を形成するに用いたポジ型感光材料層を形成した斜視図である。
【図7】ポジ型感光材料層に電離放射線を照射する状況を示す斜視図である。
【図8】基板上に液流路パターンが形成されている状況を示す斜視図である。
【図9】液流路構造材料であるネガ型感光材料層を液流路パターン上に積層し、該ネガ型感光材料に電離放射線を照射する状況を示す斜視図である。
【図10】ネガ型感光材料層を感光した後現像して、吐出口が形成されている状況を示す斜視図である。
【図11】液流路パターンを形成しているポジ型感光材料を電離放射線で分解する状況を示す斜視図である。
【図12】前記図5〜図11に従って作成される液体吐出ヘッドの吐出口を含む模式的断面図である。
【図13】インクジェットヘッドユニットを示す斜視図である。
【図14】短波長紫外線(DeepUV)露光器の波長−照度相関図である。
【符号の説明】
31 基板
32 ポジレジスト層
34 ネガ型被覆樹脂
201 基板
202 液体吐出エネルギー発生素子
203 架橋型ポジレジスト層
207 液流路構造材料(ネガ型被覆樹脂)
208 電離放射線
209 液吐出口
210 インク供給口
211 インク流路
212 インク吐出エレメント
213 インクタンク
214 TABフィルム
215 電気接続用リード
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方式に用いる記録液小滴を発生するための液体噴射記録ヘッド及び該ヘッドの製造方法に関する。特に本発明は、高画質を可能とする微小な液滴を安定して吐出し、更に高速記録を実現できるインク流路形状と該ヘッドを生産する製造方法に関する。
【0002】
更に本発明は、前記インクジェットヘッドの製造方法に基づき製造される、インク吐出特性が改善されたインクジェットヘッドに関する。
【0003】
【従来の技術】
インク等の記録液を吐出して記録を行うインクジェット記録方式(液体吐出記録方式)に適用される液体吐出ヘッドは、一般に液流路、該液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発生部、及び前記液流路の液体を液体吐出エネルギー発生部の熱エネルギーによって吐出するための微細な記録液吐出口(以下、「オリフィス」と呼ぶ)とを備えている。従来、このような液体吐出記録ヘッドを作製する方法としては、例えば、
・液体吐出用の熱エネルギーを発生するヒーター及びこれらヒーターを駆動するドライバー回路等の形成した素子基板にインク供給の為の貫通孔を形成した後、感光性ネガレジストにてインク流路の壁となるパターン形成を行い、これに、電鋳法やエキシマレーザー加工によりインク吐出口を形成したプレートを接着して製造する方法(例えばUSP6179413等)
・上記製法と同様に形成した素子基板を用意し、接着層を塗布した樹脂フィルム(通常はポリイミドが好適に使用される)にエキシマレーザーにてインク流路及びインク吐出口を加工し、次いで、この加工した液流路構造体プレートと前記素子基板とを熱圧を付与して貼り合わせる方法(例えばUSP6158843等)等を挙げることができる。
【0004】
上記の製法によるインクジェットヘッドでは、高画質記録のために微小液滴の吐出を可能にするため、吐出量に影響を及ぼすヒーターと吐出口間の距離を出来るだけ短くしなければならない。そのために、インク流路高さを低くしたり、インク流路の一部であって液体吐出エネルギー発生部と接する気泡発生室としての吐出チャンバーや、吐出口のサイズを小さくしたりする必要もある。
【0005】
すなわち、上記製法のヘッドで微小液滴を吐出可能にするには、基板上に積層する液流路構造体の薄膜化が必要とされる。しかし、薄膜の液流路構造体プレートを高精度で加工して基板に貼り合わせることは極めて困難である。
【0006】
これら製法の問題を解決したものとして、液体吐出エネルギー発生素子を形成した基板上に感光性材料にてインク流路の型をパターンニングし、次いで型パターンを被覆するように前記基板上に被覆樹脂層を塗布形成し、該被覆樹脂層に前記インク流路の型に連通するインク吐出口を形成した後、型に使用した感光性材料を除去してなるインクジェットヘッドの製法(以下、「注型法」とも略記する。)が知られている(特公平6−45242号公報)。
【0007】
このヘッドの製造方法では感光性材料としては、除去の容易性の観点からポジレジストが用いられている。また、この製法によると、半導体のフォトリソグラフィーの手法を適用しているので、インク流路、吐出口等の形成に関して極めて高精度で微細な加工が可能である。
【0008】
しかし、ポジレジストで流路形成した後、その上をネガ型被膜樹脂で被覆してから、吐出口を形成するために、ネガ型被膜樹脂の感光波長領域に対応する光を照射する場合、ポジレジストで形成したパターン上にも、該波長領域の光が照射されてしまう。このために、前記ポジレジスト材料で形成されたパターンにもネガ型被覆樹脂への照射光が当たることとなり、材料の分解反応などが促進されて、不具合を生じる可能性がある。
【0009】
なお、ポジレジストとして、ネガ型被覆樹脂と感光波長領域が重ならず、かつ、分子間架橋可能な構造を有する樹脂を用いることである程度上記問題が解決できる(特開兵8−823985号公報)。しかしながら、生産上の歩留まり、生産工程の安定化の面から、さらに効率よく製造するための改良が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、ノズル構成部材であり、オリフィスプレート部材を形成するネガ型被膜樹脂の吸収波長領域、及び、該樹脂を塗布・硬化後に、吐出口などを形成するために、照射する光の波長領域を詳細に把握し、前記波長領域とは重なり合わない領域の波長のみの電離放射線に感応するポジレジストを、流路形成部材として使用することで、生産安定性の高い液体吐出ヘッドを提供できることを見出した。
【0011】
本発明は上記の諸点に鑑み成されたものであって、安価、精密であり、また信頼性も高い液体吐出ヘッド及び該ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、液流路が精度良く正確に、且つ歩留り良く微細加工された構成を有する液体吐出ヘッドを製造することが可能な新規な液体吐出ヘッドの製造方法を提供することも目的とする。
【0013】
また、記録液との相互影響が少なく、機械的強度や耐薬品性に優れた液体吐出ヘッドを製造し得る新規な液体吐出ヘッドの製造方法を提供することも目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、先ず、高精度にて液流路を形成する製造を実現し、次いで該製法により実現できる良好な液流路形状を見出したことを特徴としている。
【0015】
すなわち、第1の発明は、基板上に、熱架橋反応を用いて熱架橋したポジ型感光性材料層を形成し、該ポジ型感光性材料層に電離放射線を照射し、次いで現像して、型パターンを形成し、その型パターンを形成したポジ型感光材料層を被覆するようにポジ型感光性材料の感光波長領域と感光波長領域とが主感光波長領域が重なり合わないネガ型感光材料(被覆樹脂材料)層を塗布し硬化させた後、前記ポジ型感光材料層を溶解除去して液流路を形成する微細な空洞構造体の製造方法において、
ポジ型感光性材料層が、メタクリル酸エステルを主成分とし、熱架橋因子として、メタクリル酸を含むメタクリル系共重合体組成物とする電離放射線分解型ポジレジストで、そのメタクリル系共重合体には、メタクリル酸が2〜30重量%の割合で含まれ、かつメタクリル系共重合体の分子量が5000〜50000であり、
ネガ型被膜樹脂材料はエポキシ樹脂を主たる構成材料とする感光性材料であることを特徴とする微細な空洞構造体の製造方法を提案する。
【0016】
第2の発明は、液体吐出エネルギー発生素子を形成した基板上の液流路形成部分に除去可能な樹脂にて型パターンを形成し、該型パターンを被覆するように前記基板上に被覆樹脂層を塗布し硬化させた後、前記型パターンを溶解除去して液流路を形成する、液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記型パターンを、基板上に、メタクリル酸エステルを主成分とし、熱架橋因子として、メタクリル酸を2〜30重量%の割合で含み、かつ分子量が5000〜50000である、メタクリル系共重合体組成物を熱架橋してポジ型感光性材料層を形成し、そのポジ型感光材料層に電離放射線を照射し、照射領域を分解した後現像することで液流路に当たる部分にポジ型感光材料層を残存させて形成し、
型パターンを形成したポジ型感光材料層の上に、ネガ型感光性材料(被覆樹脂材料)層を塗布し、前記液流路に連通する吐出口に相当する部分以外を露光した後、現像して吐出口を形成し、
前記被覆樹脂膜を通して、ポジ型感光材料層を電離放射線を照射して分解し、
得られた基板を有機溶剤に浸漬して、分解したポジ型感光材料層を溶解除去する
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は上記の液体吐出ヘッドの製造方法で製造した液体吐出ヘッドも包含する。
【0018】
また、上記のような本発明の製法による液体吐出ヘッドは、液流路にごみ捕捉用の柱状部材が該液流路を構成する材料より形成されていることが好ましい。なお、ごみ捕捉用の柱状部材が前記基板面に到達していないものがより好ましい。
【0019】
次に、本発明について詳しく説明する。
【0020】
本発明による液体吐出ヘッドの製造においては、液体吐出ヘッドの特性に影響を及ぼす最も重要な因子の一つである、吐出エネルギー発生素子(例えば、ヒーター)とオリフィス(吐出口)間の距離および該素子とオリフィス中心との位置精度の設定が極めて容易に実現できる等の利点を有する。
【0021】
即ち、本発明によれば2回にわたる感光性材料層の塗布膜厚を制御することにより吐出エネルギー発生素子とオリフィス間に距離を設定することが可能であり、該感光性材料層の塗布膜厚は従来使用される薄膜コーティング技術により再現性良く厳密に制御できる。
【0022】
また、吐出エネルギー発生素子とオリフィスの位置合せはフォトリソグラフィー技術による光学的な位置合せが可能であり、従来液体吐出ヘッドの製造に使用されていた液流路構造体プレートを基板に接着する方法に比べて飛躍的に高い精度の位置合せができる。
【0023】
本発明に最も好適な熱架橋型レジストとは、架橋基としてメタクリル酸を共重合したポリメタクリル酸エステルを挙げることができる。
【0024】
ここで用いられるメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル等を挙げることができる。
【0025】
架橋成分の共重合比は、ポジレジストの膜厚により最適化することが好ましいが、熱架橋因子であるメタクリル酸の共重合量として、2〜30重量%が望ましい。更に、好ましくは、2〜10重量%である。
【0026】
メタクリル酸エステルとメタクリル酸のメタクリル系共重合体としては、分子量5000〜50000のものが望ましい。分子量が大きくなると、ソルベントコート用途での溶剤への溶解度が下がり、且つ、溶解できたとしても、溶液自体の粘度が高くなりすぎて、スピンコート法による塗布工程において、膜厚の均一性が低下してしまう。また、分子量が大きいと、210〜330nm領域の電離放射線に対する分解効率が悪くなり、所望の膜厚で、所望のパターンを形成するための露光量が、非常に多く必要になり、且つ、現像液に対する対現像性も悪化して、形成するパターン精度を劣化させることになる。分子量が小さくなりすぎると、溶剤への溶解度が異常に高くなり、溶液の粘度が著しく低下して、所望の膜厚をスピンコート法で形成できなくなってしまう。そこで、メタクリル酸エステルとメタクリル酸のメタクリル系共重合体としては、分子量5000〜30000のものがより望ましい。
【0027】
なお、メタクリル系共重合体は、メタクリル酸エステルおよびメタクリル酸を重合溶媒、例えば、トルエン、キシレンに溶解し、アゾ系重合触媒あるいは過酸化物重合触媒の存在下に、通常重合溶媒の沸点以下室温以上に加熱することによって製造される。なお、本発明で用いるメタクリル系共重合体は加熱により架橋する性質があるため、重合は60〜80℃で行うことが好ましい。
【0028】
以下、本発明の製造方法によるインク流路形成のプロセスフローを説明する。
【0029】
図1に、ポジレジストとして熱架橋ポジレジストを適用した最も好適なプロセスフローを示す。
【0030】
図1(a)は、シリコン基板31上に、発熱素子や該発熱素子を個別に駆動するために、配されたトランジスタ及びデータ信号処理を処理するための回路が構成されており、それらは、電気的に配線を介して、接続されている。
【0031】
図1(b)にて基板31上に熱架橋ポジレジスト層32を塗布し、ベークする。塗布はスピンコートやバーコート等の汎用的なソルベントコート法を適用できる。またベーク温度は熱架橋反応が行われる120〜220℃で、3分から2時間が好ましい。望ましくは、160〜200℃で、30分から1時間が好ましい。
【0032】
次いで、図2に示すように、短波長紫外線(以下、DeepUV光と記す)照射装置を用いて、不図示のマスクを介して、前記ポジレジストに200〜300nm領域の光を照射する。その際、図3に示すように、本発明の熱架橋型ポジレジストの吸収波長領域は、200〜250nmのみであるために、この領域の波長(エネルギー分布)によって、分解反応が促進される。
【0033】
次いで、前記ポジレジスト層の現像を行う。現像はこのポジレジストの現像液であるメチルイソブチルケトンを用いることが好ましいが、このポジレジストの露光部を溶解し、未露光部を溶解しない溶剤であれば何れも使用可能である。
【0034】
次いで、図1(c)に示すように、熱架橋型ポジレジスト層を覆うように液流路構造体材料34を塗布する。塗布は汎用的なスピンコート等のソルベントコート法を適用できる。この時、ポジレジストは、熱架橋膜になっているため、前記塗布溶媒に対して、溶解せず、相溶層が形成されることはない。更に、前記液流路構造材料を硬化した後に、必要により薄膜の撥水層を形成する。この撥水層は、ドライフィルム法、スピンコート法、バーコード法などで形成することができる。そして、この撥水層も、ネガ型の感光特性を有することが望ましい。
【0035】
液流路構造体材料に光照射を行う工程を示すが、インク吐出口となる箇所に光を照射させないフォトマスクを適用している。
【0036】
ここで用いる液流路構造体材料として、常温にて固体状のエポキシ樹脂と光照射によりカチオンを発生するオニウム塩を主成分とする材料が好ましく、ネガ型の特性を有している。なお、詳しくは、特許第3143307号に記載されている。
【0037】
すなわち、エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物は、通常の酸無水物もしくはアミンによる硬化物に比較して高い架橋密度(高Tg)を有するため、構造材として優れた特性を示す。また、常温にて固体状のエポキシ樹脂を用いることで、光照射によりカチオン重合開始剤より発生した重合開始種のエポキシ樹脂中への拡散が抑えられ、優れたパターニング精度、形状を得ることができる。
【0038】
本発明に用いる固体状のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとの反応物のうち分子量がおよそ900以上のもの、含ブロモスフェノールAとエピクロヒドリンとの反応物、フェノールノボラックあるいはo−クレゾールノボラックとエピクロヒドリンとの反応物、特開昭60−161973号公報、特開昭63−221121号公報、特開昭64−9216号公報、特開平2−140219号公報に記載のオキシシクロヘキサン骨格を有する多感応エポキシ樹脂等があげられるが、もちろん本発明はこれら化合物に限定されるわけではない。
【0039】
また、ここで用いるエポキシ樹脂において、好ましくはエポキシ当量が2000以下、さらに好ましくは1000以下であることが好ましい。これは、エポキシ当量が2000を越えると、硬化反応の際に架橋密度が低下し、硬化物のTgもしくは熱変形温度が低下したり、密着性、耐インク性に問題が生じる場合があるからである。
【0040】
エポキシ樹脂を硬化させるための光カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩[J.POLYMER SCI:Symposium No. 56 383−395(1976)参照]や旭電化工業株式会社より上市されているSP−150、SP−170等が挙げられる。
【0041】
上記組成物に対して必要に応じて添加剤など適宜添加することが可能である。例えば、エポキシ樹脂の弾性率を下げる目的で可撓性付与剤を添加したり、あるいは基板との更なる密着力を得るためにシランカップリング剤を添加することなどがあげられる。
【0042】
次に、感光性の液流路構造体材料34に対してインク吐出口のパターン現像を行う。このパターン露光は汎用的な露光装置の何れの物を適用しても構わないが、図4に示すように、前期液流路構造材料であるネガ型被膜樹脂の吸収波長領域と一致し、且つ、前記ポジレジスト材料の吸収波長領域と重なり合わない波長領域を照射する露光装置であることが望ましい。この現像は、キシレン等の芳香族溶剤にて行うことが好ましい。また、液流路構造体材料層上に撥水性被膜を形成したい場合は、特開2000−326515号公報に記載されるように、感光性撥水材層を形成し、一括にて露光、現像することにより実施することが可能である。この時、感光性撥水層の形成はラミネートにより実施することが可能である。
【0043】
次いで、図1(d)に示すように、吐出口などを形成した面を被覆する樹脂で、片面を保護した後に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)などのアルカリ溶液にて、シリコン基板の裏面側から、異方性エッチング法により、インク供給口を形成する。
【0044】
次いで、図1(e)に示すように、上記保護のために被覆した樹脂を溶解・除去した後に、液流路構造体材料層越しに300nm以下の電離放射線を一括で照射し、ポジレジストを分解して低分子化する。
【0045】
最後に、分解したポジレジストを溶剤にて除去して、吐出チャンバーを含む液流路を形成する。
【0046】
以上記載した工程を適用することにより、本発明の液体吐出ヘッドを形成することが可能である。
【0047】
本発明に関わる製法は、半導体製造技術で用いられるスピンコート等のソルベントコート法により実施される為、インク流路はその高さが極めて高精度で安定的に形成できる。また、基板に対して平行な方向の2次元的な形状も半導体のフォトリソグラフィー技術を用いる為、サブミクロンの精度を実現することが可能である。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0049】
(第1の実施の形態)
図5から図12の夫々には、本発明の方法に係わる液体噴射記録ヘッドの構成とその製作手順の一例が示されている。尚、本例では、2つのオリフィス(吐出口)を有する液体噴射記録ヘッドが示されるが、もちろんこれ以上のオリフィスを有する高密度マルチアレイ液体噴射記録ヘッドの場合でも同様であることは、言うまでもない。
【0050】
まず、本実施形態においては、例えば図5に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属等からなる基板201が用いられる。なお、図5は感光性材料層形成前の基板の模式的斜視図である。
【0051】
このような基板201は、液流路の壁部材の一部として機能し、また後述の感光性材料層からなる液流路構造体の支持体として機能し得るものであれば、その形状、材質等、特に限定されることなく使用できる。上記の基板201上には、電気熱変換素子あるいは圧電素子等の液体吐出エネルギー発生素子202が所望の個数配置される(図5では2個にて例示)。
【0052】
このような、液体吐出エネルギー発生素子202によって記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギーがインク液に与えられ、記録が行なわれる。因みに、例えば、液体吐出エネルギー発生素子202として電気熱変換素子が用いられるときには、この素子が近傍の記録液を加熱することにより、吐出エネルギーを発生する。また、例えば、圧電素子が用いられるときは、この素子の機械的振動によって、吐出エネルギーが発生される。
【0053】
なお、これらの素子202には、これら素子を動作させるための制御信号入力用電極(図示せず)が接続されている。また、一般にはこれら吐出エネルギー発生素子202の耐用性の向上を目的として、保護層等の各種機能層が設けられるが、もちろん本発明においてもこの様な機能層を設けることは一向に差しつかえない。
【0054】
最も汎用的には、基板201としてはシリコンが適用される。即ち、吐出エネルギー発生素子を制御するドライバーやロジック回路等は、汎用的な半導体製法にて生産される為、該基板にシリコンを適用することが好適である。また、該シリコン基板にインク供給の為の貫通孔を形成する方法としては、YAGレーザーやサンドブラスト等の技術を適用することも可能ではある。しかし、下層材料として熱架橋型レジストを適用する場合は、該レジストのプリベーク温度は前述したように極めて高温であり、樹脂のガラス転移温度を大幅に越え、プリベーク中に樹脂被膜が貫通孔に垂れ下がる。従って、レジスト塗布時には基板に貫通孔が形成されていないことが好ましい。このような方法は、アルカリ溶液によるシリコンの異方性エッチ技術を適用できる。この場合、基板裏面に耐アルカリ性の窒化シリコン等にてマスクパターンを形成し、基板表面には同様の材質でエッチングストッパーとなるメンブレン膜を形成しておけば良い。
【0055】
次いで図6に示すように、液体吐出エネルギー発生素子202を含む基板201上に、架橋型ポジレジスト層203を形成する。この材料は、メチルメタクリ酸とメタクリル酸の90:10比の共重合体(P(MMA−MAA)と表す)で、重量平均分子量(Mw)33000、平均分子量(Mn)14000および分散度(Mw/Mn)2.36である。P(MMA−MAA)の吸収スペクトル(図3)に示すように、このポジレジスト材料は光の吸収が250nm以下にしか存在しないので、260nm以上の波長を照射しても、材料自体に、該エネルギー領域で、分子が励起されることがなく、その結果、分解反応などが促進されることがない。即ち、このポジレジスト材料は、250nm以下の電離放射線のみによって、分解反応が促進され、その後の現像工程において、パターン形成を行なうことができる。
【0056】
この樹脂粒子をシクロヘキサノンに約30WT%の固形分濃度にて溶解し、レジスト液として使用した。その時の塗布溶液の粘度は、630cpsである。該レジスト液はスピンコート法にて上述した基板201に塗布し、120℃、3分でプリベークした後、オーブンにて200℃、60分間の本キュアを行い、熱架橋せしめた。形成した被膜の膜厚は14μmであった。
【0057】
次いで、図7に示すように、熱架橋型ポジレジスト層203のパターニング(露光、現像)を行った。露光装置は図2に示す装置を用い、図14に示すような第1の波長帯である210〜330nm帯領域で行った。この時の露光量は60J/cm2であり、現像はメチルイソブチルケトンにて行った。上述したように、260nm以上の光は、照射されているが、前記ポジレジスト層に対する分解反応への寄与はない。最適には、260nm以上の光を遮蔽するカットフィルタを用いても良い。
【0058】
露光は、電離放射線を熱架橋型ポジレジストに、残したいパターンを描いたフォトマスクを介して露光した。通常、照射したときにフォトマスクでの回折による細りが見られることからその影響を加味したフォトマスクを用いることが必要である。なお、回析光の影響のない投影光学系を有する露光装置を用いた場合は、細りを加味したマスク設計を行う必要はない。
【0059】
次いで、図8に示すように、パターニングされた下熱架橋型ポジレジスト層203を覆うように液流路構造体材料207の層を形成した。この層の材料は、ダイセル化学工業株式会社より上市されるエポキシ樹脂(EHPE−3150)50部、旭電化工業株式会社より上市される光カチオン重合開始材(SP−172)1部および日本ユニカ社より上市されるシランカップリング材(A−187)2.5部をキシレン50部に溶解して作製した。
【0060】
塗布はスピンコートにて行い、プリベークはホットプレートにて90℃、3分間行った。
【0061】
次いで、図9に示すように、液流路構造体材料207に対してインク吐出口209を未露光で残すパターン露光および現像を行う。このパターン露光は汎用的なUV光を照射できる装置であれば、露光装置の何れのものを適用しても構わない。しかし、照射される光の波長領域は、290nm以上であり、且つ、上述したネガ型被膜樹脂が感応する波長領域であれば、上限に制約は無い。
【0062】
露光時にはインク吐出口となる箇所に光を照射させないマスクを使用した。露光はキヤノン製マスクアライナーMPA−600Superを使用し、露光は500mJ/cm2で行った。図4に示しているように、前記露光機は、290〜400nm領域のUV光を照射しており、この領域において、前記ネガ型被膜樹脂は、感光特性を有することになる。
【0063】
そして、前記露光機を使用した場合、図9で示しているように、ネガ型被膜樹脂を介して、図8で形成されたポジレジスト層のパターンにも、290〜400nm領域のUV光が照射されることになる。そのため、本発明で使用している熱架橋型ポジレジスト材料の場合、250nm以下のDeepUV光にしか感応しないので、この工程において、材料の分解反応が促進されることは無い。
【0064】
その後、図10に示すように、キシレンに60秒間浸漬して吐出口209を形成した後、100℃にて1時間のベークを行い、液流路構造体材料の密着性を高めた。
【0065】
その後、図示しないが、液流路構造体材料層上に、該材料層をアルカリ溶液から保護する為に環化イソプレン(東京応化工業社製、OBC)を塗布した。その後、シリコン基板をTMAH22wt%溶液に83℃で14.5時間浸漬し、インク供給の為の貫通孔(不図示)を形成した。
【0066】
また、インク供給孔形成のためにマスク及びメンブレンとして使用した窒化シリコンはシリコン基板に予めパターニングしてある。この異方性エッチング後にシリコン基板を裏面が上になるようにドライエッチング装置に装着し、CF4に5%の酸素を混合したエッチャントにてメンブレン膜を除去した。次いで、前記基板をキシレンに浸漬して環化イソプレン膜を除去した。
【0067】
次いで図11に示すように、低圧水銀灯を用いて210〜330nm領域帯の電離放射線208を液流路構造体材料207に向けて全面照射し、熱架橋型ポジレジストを分解した。照射量は81J/cm2であった。
【0068】
その後、基板201を乳酸メチルに浸漬して、図12の縦断面図に示すように型レジストを一括除去した。この時、200MHzのメガソニック槽に入れ溶出時間の短縮を図った。これにより、吐出チャンバーを含むインク流路211が形成され、インク供給孔210から各インク流路211を介して各吐出チャンバーにインクを導いて、ヒーターによって吐出口209より吐出させる構造のインク吐出エレメントが作製される。
【0069】
このように作製した吐出エレメントは図13に示す形態のインクジェットヘッドユニットに実装され、吐出、記録評価を行ったところ良好な画像記録が可能であった。前記インクジェットヘッドユニットの形態としては図13に示すように、例えばインクタンク213を着脱可能に保持した保持部材の外面に、記録装置本体と記録信号の授受を行うためのTABフィルム214が設けられ、TABフィルム214上にインク吐出エレメント212が電気接続用リード215により電気配線と接続されている。
【発明の効果】
本発明によれば、下記に列挙する項目の効果を奏する。
1)液体吐出ヘッド製作の為の主要工程が、フォトレジストや感光性ドライフィルム等を用いたフォトリソグラフィー技術による為、液体吐出ヘッドの液流路構造体の細密部を、所望のパターンで、しかも極めて容易に形成することができるばかりか、同構成の多数の液体吐出ヘッドを同時に加工することも容易にできる。
2)吐出速度が速く、極めて着弾精度の高い液体吐出ヘッドが製造できる為、高画質の記録を行うことができる。
3)高密度マルチアレイノズルの液体吐出ヘッドが簡単な手段で得られる。
4)熱架橋型ポジレジストを適用することにより、極めてプロセスマージンの高い工程条件を設定でき、歩留まり良く液体吐出ヘッドを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体吐出ヘッドの製造法を示すウロセスフロー図である。
【図2】露光器の例を示す模式図である。
【図3】メタクリル系共重合体の吸収スペクトルを示す図である。
【図4】露光器の照射波長のスペクトルを示す図である。
【図5】液体吐出ヘッドを作成するに用いた基板を示す斜視図である。
【図6】基板上に液流路を形成するに用いたポジ型感光材料層を形成した斜視図である。
【図7】ポジ型感光材料層に電離放射線を照射する状況を示す斜視図である。
【図8】基板上に液流路パターンが形成されている状況を示す斜視図である。
【図9】液流路構造材料であるネガ型感光材料層を液流路パターン上に積層し、該ネガ型感光材料に電離放射線を照射する状況を示す斜視図である。
【図10】ネガ型感光材料層を感光した後現像して、吐出口が形成されている状況を示す斜視図である。
【図11】液流路パターンを形成しているポジ型感光材料を電離放射線で分解する状況を示す斜視図である。
【図12】前記図5〜図11に従って作成される液体吐出ヘッドの吐出口を含む模式的断面図である。
【図13】インクジェットヘッドユニットを示す斜視図である。
【図14】短波長紫外線(DeepUV)露光器の波長−照度相関図である。
【符号の説明】
31 基板
32 ポジレジスト層
34 ネガ型被覆樹脂
201 基板
202 液体吐出エネルギー発生素子
203 架橋型ポジレジスト層
207 液流路構造材料(ネガ型被覆樹脂)
208 電離放射線
209 液吐出口
210 インク供給口
211 インク流路
212 インク吐出エレメント
213 インクタンク
214 TABフィルム
215 電気接続用リード
Claims (4)
- 基板上に、熱架橋反応を用いて熱架橋したポジ型感光性材料層を形成し、該ポジ型感光性材料層に電離放射線を照射し、次いで現像して、型パターンを形成し、その型パターンを形成したポジ型感光材料層を被覆するようにポジ型感光性材料の感光波長領域と感光波長領域とが主感光波長領域が重なり合わないネガ型感光材料(被覆樹脂材料)層を塗布し硬化させた後、前記ポジ型感光材料層を溶解除去して液流路を形成する微細な空洞構造体の製造方法において、
ポジ型感光性材料層が、メタクリル酸エステルを主成分とし、熱架橋因子として、メタクリル酸を含むメタクリル系共重合体組成物とする電離放射線分解型ポジレジストで、そのメタクリル系共重合体には、メタクリル酸が2〜30重量%の割合で含まれ、かつメタクリル系共重合体の分子量が5000〜50000であり、
ネガ型被膜樹脂材料はエポキシ樹脂を主たる構成材料とする感光性材料であることを特徴とする微細な空洞構造体の製造方法。 - ポジ型感光性材料の感光波長領域が200〜280nmの領域であり、第2のネガ型感光性材料の感光波長領域が290〜400nmの領域である請求項1に記載の微細な空洞構造体の製造方法。
- 液体吐出エネルギー発生素子を形成した基板上の液流路形成部分に除去可能な樹脂にて型パターンを形成し、該型パターンを被覆するように前記基板上に被覆樹脂層を塗布し硬化させた後、前記型パターンを溶解除去して液流路を形成する、液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記型パターンを、基板上に、メタクリル酸エステルを主成分とし、熱架橋因子として、メタクリル酸を2〜30重量%の割合で含み、かつ分子量が5000〜50000である、メタクリル系共重合体組成物を熱架橋してポジ型感光性材料層を形成し、そのポジ型感光材料層に電離放射線を照射し、照射領域を分解した後現像することで液流路に当たる部分にポジ型感光材料層を残存させて形成し、
型パターンを形成したポジ型感光材料層の上に、ネガ型感光性材料(被覆樹脂材料)層を塗布し、前記液流路に連通する吐出口に相当する部分以外を露光した後、現像して吐出口を形成し、
前記被覆樹脂膜を通して、ポジ型感光材料層を電離放射線を照射して分解し、
得られた基板を有機溶剤に浸漬して、分解したポジ型感光材料層を溶解除去する
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。 - 請求項3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法で製造したことを特徴とする液体吐出ヘッド。
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