JPH082748B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は車両に設けられ、車両衝突時に展開して乗員
の保護を行なうためのエアバッグ装置に関する。

［従来の技術］ この種のエアバッグ装置においては、保持部材（例え
ばコンテナ）にエアバッグとインフレータが取り付けら
れ、さらにエアバッグを被うようにモジュールカバーが
取り付けられている。車両衝突時にはインフレータが作
動してエアバッグが展開する。この展開するエアバッグ
に押されてモジュールカバーが室内側に開き出し、エア
バッグが室内に向って大きく展開し、乗員の保護がなさ
れる。

このモジュールカバーには開裂開始線（ティアライ
ン）や屈曲開始線が設けられており、インフレータ作動
時にはモジュールカバーはエアバッグに押されてこれら
の開始線に沿って開裂又は屈曲し、室内側へ開き出す。

なお、従来のエアバッグ装置においては、このモジュ
ールカバーはコンテナ等の保持部材に対しエアバッグ展
開圧力よりも小さい力で押されても動かないように比較
的堅固に結合されている。

［発明が解決しようとする課題］ エアバッグ装置のモジュールカバーは、例えば車両加
速時に車両室内方向にエアバッグにより押圧されること
がある。さらに、乗員が触れることによりこれと反対方
向に荷重が加えられることもある。従来のエアバッグ装
置においては、モジュールカバーが保持部材に比較的堅
固に連結されているため、モジュールカバーにこのよう
な外力が加えられると開裂開始線や屈曲開始線に応力が
集中する。そして、繰り返し外力がかけられることによ
りこれら開始線部分に疲労が生じるおそれがあった。

［課題を解決するための手段］ 本発明のエアバッグ装置は、モジュールカバーと保持
部材との係合部に遊びをもたせ、モジュールカバーが所
定幅だけ室内方向に進退できるようにしたものである。

［作用］ 本発明のエアバッグ装置においては、この遊びを設け
たことにより、外力がモジュールカバーに加えられると
モジュールカバーが室内方向に対し進退する。この結
果、前記屈曲又は開裂開始線部分に発生する応力が緩和
される。

［実施例］ 以下図面を参照して実施例について説明する。

第１図ないし第８図は本発明の第１の実施例に係るエ
アバッグ装置を示すものであり、第１図（ａ）はエアバ
ッグ展開前の全体構成を示す概略的な斜視図、第１図
（ｂ）はエアバッグ展開後の概略状態を示す斜視図であ
る。第２図は第１図のII-II線に沿う詳細な構成を示す
断面図、第３図、第４図、第５図は組立斜視図、第６
図、第７図、第８図は要部構成図である。

このエアバッグ装置10は、保持部材を構成するコンテ
ナ12の前面にモジュールカバー14が取り付けられ、該コ
ンテナ12内にインフレータ16と、該インフレータ16によ
り展開されるエアバッグ18とが挿入されている。第３図
に示す如く、本実施例ではコンテナ12内にサブコンテナ
20が挿入され、このサブコンテナ20内に前記エアバッグ
18が挿入されている。前記コンテナ12は方形箱状のもの
であり、その前面側の開口の内周縁部にはＬ字形断面形
状の枠22が取り付けられており、前記サブコンテナ20の
フランジ部20a及びエアバッグ18のフランジ部18aがそれ
ぞれこの枠22の裏面部分にリベット24にて固定されてい
る。符号18bはバッグ18の前面部分に設けられたマスキ
ングクロスである。

モジュールカバー14は、前記コンテナ12の前面開口を
被う大きさの本体部14aと、該本体部14aの上辺部分から
後方に延在する上側フランジ14bと、本体部14aの下辺か
ら後方に延在する下側フランジ14cとを備えている。さ
らに、本体部14aの背面にはリブ14dと、本体部14aの開
き出しを容易にするための溝14eが形成されている。第
２図のIV部分の拡大斜視図である第４図に示す如く、上
側フランジ14bの下面には凸部26が設けられており、コ
ンテナ12の上面にはこの凸部26が嵌合する開口28が形成
されている。上側フランジ14bとコンテナ12とは、凸部2
6と開口28とを形成させた後リベット30により連結され
る。このリベット30は、前記枠22をもコンテナ12の上面
部分に連結している。30aはコンテナ側のリベット孔、3
0bはモジュールカバー側のリベット孔を示す。

なお、本実施例では、モジュールカバー14は表層（室
内側の層）と裏層との２層積層構造となっており、この
裏層の延在部分に前記リベット孔30bや次に述べる長孔3
2が設けられている。

第２図のＶ部分の組立斜視図である第５図、第２図の
VI線矢視図（底面図）である第６図及び第６図のVII-VI
I線に沿う断面図である第７図に示されるように、下側
フランジ14cには、モジュールカバー14が開き出す方向
（室内方向）に延在する長孔32が穿設されている。ま
た、この長孔32の一端と下側フランジ14cの端辺部とを
つなぐようにスリット34が形成されている。コンテナ12
の底面部分には開口36が穿設されており、リベット38が
長孔32及び開口36を通して打ち込まれることによりコン
テナ12と下側フランジ14cとが連結される。なお、リベ
ット38にはカラー40が外嵌されている。このカラー40の
外径は前記スリット34の幅よりも大である。

このように構成されたエアバッグ装置10において、イ
ンフレータ16が作動するとエアバッグ18が展開され、そ
の展開圧力によりモジュールカバー14が押され、第８図
の如くリベット38及びカラー40がスリット34を通り抜け
るようにしてモジュールカバー14の下半側が前方に移動
する。そして、さらにエアバッグ18の展開力を受けるこ
とにより、モジュールカバー14は溝14eに沿って屈曲し
て前方に開き出し、第１図（ｂ）に示す如くエアバッグ
18が室内に展開して乗員の保護が行なわれる。

しかして、本実施例にあっては下側フランジ14cに長
孔32が形成されており、この下側フランジ14cとコンテ
ナ12との係合部分には遊び（第６図ではＡの部分）が存
在することになる。即ち、リベット38が長孔32内で移動
し得る範囲でモジュールカバー14の下半側部分は、該モ
ジュールカバー14の展開方向に対して進退自在とされて
いる。従って、エアバッグ18の重量が該モジュールカバ
ー14の裏側にかかったり、あるいは車両の加速時にエア
バッグ18がモジュールカバー14を押した場合又はエアバ
ッグ18が熱により膨張してモジュールカバー14を押した
場合には、モジュールカバー14の下半側は室内方向にシ
フトし、溝14eの部分に局部的な応力が集中することが
防止される。また、例えば乗員がモジュールカバー14を
押した場合にも、モジュールカバー14の下半側はコンテ
ナ12に押し込まれる方向にシフトする。これにより溝14
eの部分に局部的な応力が発生することが防止される。
このように溝14eの部分への局部的な応力集中が回避さ
れることにより、溝14eの部分に疲労が生ずることが防
止される。

なお、上記の説明ではモジュールカバー14はその下半
側が室内側にもコンテナ12側にも進退し得るように構成
されているが、リベット38が長孔32の長手方向一端側に
接するように位置しているときには、モジュールカバー
14はリベットが該長孔の他端側に向う方向にのみシフト
することになる。ただし、この場合にも、従来に比べて
溝14eの部分に生ずる疲労が減少することは明らかであ
る。

本発明の第２の実施例について第９図ないし第16図を
参照して説明する。

第９図は前記第２図と同様の断面構成を示すものであ
り、第10図は組立斜視図である。第11図は第９図のXI部
分の拡大図、第12図は第11図に示した部分の組立斜視
図、第13図は第９図のXII部分の拡大図、第14図は同部
分のモジュールカバー開放時の作動説明図、第15図は同
部分の組立斜視図である。本実施例では、コンテナ12に
フランジ部12aが設けられており、このフランジ部12aの
部分にエアバッグ18のフランジ部18aが枠22を介して取
り付けられている。この取り付けはリベット24により行
なわれる。

モジュールカバー14の上側フランジ14bは、このコン
テナのフランジ部12aを回り込む形状となっており、リ
ベット30によりモジュールカバー14の上側フランジ14b
がコンテナ12に固定されている。なお、第12図に示す如
く、本実施例においても上側フランジ14bには凸部26が
設けられており、この凸部26がコンテナ12の開口28に係
合している。

コンテナ12のフランジ部12aの下辺部分には、後方に
折り返された形状のフランジ部12bが設けられている。
モジュールカバー14の下側フランジ14cはこのフランジ
部12bと重ね合わされている。フランジ部12bにはモジュ
ールカバー14の展開方向に延在する長孔44が形成され、
下側フランジ14cにはこの長孔44に係合するピン46が立
設されている。48は下側フランジ14cを下側から支える
プレートを示す。その他の符号は前記実施例と同様の部
材を示す。

このように構成された第２の実施例に係るエアバッグ装
置10Aにおいて、インフレータ16が作動してエアバッグ1
8が展開されると、第14図に示す如くピン46が折れてモ
ジュールカバー14の下半側が室内方向に開き出す。そし
て、エアバッグ18の展開に伴なってモジュールカバー14
は溝14eの部分から屈曲し、エアバッグ18は室内側に大
きく展開し、乗員の保護を行なう。

しかして、モジュールカバー14がコンテナ12と係合し
ている状態にあっては、ピン46と長孔44とが係合するこ
とによりモジュールカバー14の下半側部分がコンテナ12
と連結されており、この長孔44の長手方向にピン46が移
動し得る範囲の遊びが存在している。そして、モジュー
ルカバー14に対し開き出し方向又はそれと反対方向の外
力が加えられたときには、ピン46が長孔44内で移動し得
る範囲で該モジュールカバー14の下半側部分が進退す
る。このため、モジュールカバー14に外力が加えられて
も溝14eの部分に生じる応力は小さくなり、該溝14e部分
の疲労が小さくなる。

第16図及び第17図は本発明の第３の実施例に係るエア
バッグ装置10Bを示すものである。本実施例において
は、モジュールカバー14の下側フランジ14cの先端部分
にＴ字形状の突起50が設けられている。コンテナ12に
は、このＴ字形の突起50の首部分52を挟む形状の挟持部
54が設けられており、首部52が挟持部54に係合すること
によりモジュールカバー14の下辺部分がコンテナ12に係
合されている。第18図に示す如く、首部52の長さｌは挟
持部54の厚さｄよりも大きくとられており、ｌ−ｄの長
さ分だけ遊びが存在する。そして、モジュールカバー14
に対し外力が作用したときには該モジュールカバー14の
下半側部分がこの遊び分だけ進退する。これにより、溝
14eの部分に生ずる応力が小さくなり、疲労が減少され
る。なお、インフレータが作動してエアバッグが展開す
るときには、第19図に示す如く首52の部分が断裂し、モ
ジュールカバー14が室内側に開き出す。

なお、この第３の実施例においては突起50がＴ字形状
とされているが、Ｌ字形状など他の形状であっても良
い。

上記第１、第２、第３実施例においては、いずれもモ
ジュールカバー14は溝14eの部分に沿って屈曲する構成
とされているが、本発明にあってはエアバッグ展開時に
モジュールカバーが開裂して室内側に開き出す構成のも
のにも適用できることは明らかである。

［効果］ 以上の通り、本発明のエアバッグ装置であっては、モ
ジュールカバーに外力が加えられたときにモジュールカ
バーを逃がす遊び部分が設けられており、モジュールカ
バーの屈曲開始線や開裂開始線の部分に生ずる応力を低
減でき、この部分における疲労を減少できる。従って、
本発明によるとモジュールカバーの耐久性が向上され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）は本発明の一実施例に係るエアバッグ装置
の斜視図、第１図（ｂ）は同実施例のエアバッグ展開時
の斜視図、第２図は第１図のII-II線に沿う断面図、第
３図は組立斜視図、第４図及び第５図は要部組立斜視
図、第６図は第２図のVI線矢視図、第７図は第６図のVI
I-VII線断面図、第８図は長孔とリベットとの係合離脱
説明図である。第９図は本発明の第２実施例を示す断面
図、第10図は組立斜視図、第11図は第９図のXI部分の拡
大図、第12図は同部分の組立斜視図、第13図は第９図の
XIII部分の拡大図、第14図は同部分の作動説明図、第15
図は同部分の組立斜視図である。第16図は本発明の第３
実施例を示す斜視図、第17図は要部拡大図、第18図及び
第19図は要部拡大断面図である。 10,10A,10B……エアバッグ装置、12……コンテナ、14…
…モジュールカバー、16……インフレータ、18……エア
バッグ、32……長孔、34……スリット、38……リベッ
ト、40……カラー、44……長孔、46……ピン、50……Ｔ
字形突起、54……挟持部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−111353（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−123961（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エアバッグ及び該エアバッグ展開用のイン
   フレータが保持部材に保持されると共に、該エアバッグ
   を被うモジュールカバーが該保持部材に取り付けられて
   いるエアバッグ装置において、 前記モジュールカバーと保持部材との係合部に、該モジ
   ュールカバーを室内方向に対して所定幅だけ進退自在と
   する遊び部分を設けたことを特徴とするエアバッグ装
   置。