JP3120726B2 - 側突用エアバッグを備えたシート構造 - Google Patents

側突用エアバッグを備えたシート構造

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    • B60R21/217Inflation fluid source retainers, e.g. reaction canisters; Connection of bags, covers, diffusers or inflation fluid sources therewith or together
    • B60R21/2176Inflation fluid source retainers, e.g. reaction canisters; Connection of bags, covers, diffusers or inflation fluid sources therewith or together the air bag components being completely enclosed in a soft or semi-rigid housing or cover

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は側突用エアバッグを
備えたシート構造に係り、特にシートバックの側部に側
突用エアバッグを備えたシート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、側突用エアバッグ装置を備えたシ
ート構造には、シートバックのドア側側部に側突用エア
バッグ装置を内蔵し、車両側突時に、エアバッグ袋体を
ドアと乗員側部との間に展開させるものがあり、その一
例が特開平6−64491号公報に示されている。
【0003】図10に示される如く、この側突用エアバ
ッグ装置を備えたシート構造では、シート80のシート
バック82の側部外方に取付けたエアバッグ装置から、
エアバッグ袋体84がシート80に着座した乗員と、ド
アとの間に展開して乗員を保護するようになっている。
【0004】また、この様な側突用エアバッグ装置を備
えたシート構造では、図11に示される如く、インフレ
ータ88から噴出したガスによりエアバッグ袋体84が
展開した場合に、エアバッグケース86の蓋86Aが、
後側端に形成されたヒンジ部86Bを中心にしてシート
外側方向(図11の矢印W方向)へ展開するようになっ
ている。さらに、蓋86Aの展開によって、側面シート
表皮90と前面シート表皮91との縫合部92が破壊さ
れるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この側
突用エアバッグ装置を備えたシート構造では、シート表
皮90、91にニット等の比較的伸び易い材料を使用し
た場合に、エアバッグ袋体84の展開初期において、シ
ート表皮90が、図11に二点鎖線で示される如く、シ
ート幅方向外側へ大きく伸びることにより、本来破断さ
れるべき縫合部92が破断し難くなり、エアバッグ袋体
84の展開速度が遅くなったり、エアバッグ袋体84の
展開形状が安定しなくなることが考えられる。
【0006】本発明は上記事実を考慮し、エアバッグ袋
体の展開完了時間を短縮することができるとともに展開
形状を安定させることができる側突用エアバッグ装置を
備えたシート構造を得ることが目的である。
【0007】
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項記載の本発明
は、側突時にシートバックフレームの側部に装着したエ
アバッグ装置を作動し、シート表皮の縫い目を破壊して
エアバッグ袋体が展開する側突用エアバッグ装置を備え
たシート構造において、エアバッグケースの蓋を、シー
ト外側へ開く外側蓋と、シート内側へ開く内側蓋と、か
ら成る観音開き構造とし、エアバッグ袋体展開時に破壊
するシート表皮の縫い目を基準縫い目として、該基準縫
い目の前方にあるシート表皮を前記内側蓋に連結したこ
とを特徴としている。
【0010】従って、側突時にシートバックフレームの
側部に装着したエアバッグ装置が作動すると、エアバッ
グ袋体が膨張してエアバッグケースの蓋を押し広げよう
とする。この際、外側蓋がシート外側へ開き、基準縫い
目の後方にあるシート表皮をシート外側へ押圧すると共
に、内側蓋がシート内側へ開き、内側蓋に連結された基
準縫い目の前方にあるシート表皮がシート内側へ引っ張
られる。従って、エアバッグ袋体の膨張による、エアバ
ッグケースの蓋を押し広げようとする荷重が、縫い目に
集中する。また、内側蓋の展開にともなって、基準縫い
目の前方にあるシート表皮がシート内側へ引っ張られ、
エアバッグ袋体の展開軌道上から退去すると共に、基準
縫い目の前方のシート表皮の内側にあるシートパッドが
シート内方へ圧縮される。
【0011】請求項記載の本発明は、請求項記載の
側突用エアバッグを備えたシート構造において、前記外
側蓋と前記内側蓋とが樹脂製とされた前記エアバッグケ
ースにヒンジ部を介して一体的に形成されていることを
特徴としている。
【0012】従って、エアバッグケースの製造が容易で
且つ低コストになる。請求項記載の本発明は、請求項
又は請求項記載の側突用エアバッグを備えたシート
構造において、前記基準縫い目の前方にあるシート表皮
を前記内側蓋に形成した係止手段に直接係止したことを
特徴としている。
【0013】従って、組付け時、基準縫い目の前方にあ
るシート表皮を、内側蓋に形成した係止手段に直接係止
することで、基準縫い目の前方にあるシート表皮を内側
蓋に連結する。
【0014】請求項記載の本発明は、請求項又は請
求項記載の側突用エアバッグを備えたシート構造にお
いて、前記基準縫い目の前方にあるシート表皮を前記内
側蓋に形成した係止手段に張力伝達部材を介して係止し
たことを特徴としている。
【0015】従って、組付け時、基準縫い目の前方にあ
るシート表皮を、内側蓋に形成した係止手段に張力伝達
部材を介して係止することで、基準縫い目の前方にある
シート表皮を内側蓋に連結する。
【0016】請求項記載の本発明は、側突時にシート
バックフレームの側部に装着したエアバッグ装置を作動
し、シート表皮の縫い目を破壊してエアバッグ袋体が展
開する側突用エアバッグ装置を備えたシート構造におい
て、エアバッグケースの蓋を、シート外側へ開く外側蓋
と、シート内側へ開く内側蓋と、から成る観音開き構造
とするとともに、前記外側蓋の展開開度を所定範囲に制
限するストッパを設けたことを特徴としている。
【0017】従って、側突時のエアバッグ装置が作動す
ると、膨張するエアバッグ袋体に押圧されて蓋が開く。
この際、外側蓋は少し開いた所でストッパに当接してシ
ート外側への展開が阻止される。このため、エアバッグ
袋体のシート外側の展開が制限され、外側蓋の展開開度
に従って斜め前方に展開力が集中する。一方、内側蓋は
斜め前方に展開するエアバッグ袋体に押圧され前方にあ
るシートパッドをシート外側から内側へ押し退けるよう
に開き、エアバッグ袋体の展開軌道が拡大する。
【0018】請求項記載の本発明は、請求項記載の
側突用エアバッグ装置を備えたシート構造において、前
記内側蓋は外側蓋よりも前方への展開範囲が広く、且つ
両者はヒンジ部を介してエアバッグケースに一体的に連
結されるとともに、エアバッグ袋体の膨張圧にて分離可
能にシートバック側面部に位置する係止部にて係止され
ていることを特徴としている。
【0019】従って、エアバッグ袋体の膨張圧によっ
て、シートバック側面部に位置する係止部が外れ、ヒン
ジ部を中心にして、外側蓋と内側蓋とが展開する。この
時、内側蓋は外側蓋よりも前方への展開範囲が広いた
め、エアバッグ袋体の展開軌道をさらに大きく拡大する
と共に、エアバッグ袋体の展開方向を制御する。
【0020】請求項記載の本発明は、請求項記載の
側突用エアバッグ装置を備えたシート構造において、前
記ストッパは高剛性の材料からなり、上下方向に延び開
口部をシート内側ヘ向けた断面コ字状をなし、且つエア
バッグ袋体を囲むようにシートバックフレームの側部に
固定されていることを特徴としている。
【0021】従って、側突時、車室内側部が車室内方へ
移動しても、ストッパでこれを受け止めシートバックフ
レームを内側へ押圧し、コ字状内の初期空間を確保す
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の側突用エアバッグ装置を
備えたシート構造の第1実施形態を図1〜図4に従って
説明する。
【0023】なお、各図において、シート前方を矢印F
Rで、シート上方を矢印UPで、シート幅方向内方を矢
印INでそれぞれ示す。
【0024】図4に示される如く、本第1実施形態の側
突用エアバッグ装置を備えたシート構造では、シート1
0のシートバック12の車幅方向外側に形成されたサイ
ド部12A内に、上下方向に伸びるボックス状のエアバ
ッグ装置14が配設されている。
【0025】図1に示される如く、シートバック12の
サイド部12A内には、シートバックフレームを構成す
るサイドフレーム18が配設されている。サイドフレー
ム18のシート外側面18Aには、図示を省略したボル
ト、ナット等の固定部材によって、樹脂製のエアバッグ
ケース20の基部20Aが取付けられている。
【0026】エアバッグケース20の基部20Aのシー
ト上下方向から見た断面形状は、開口部をシート前方へ
向けたU字状となっており、基部20A内には、折り畳
んだエアバッグ袋体24が格納されている。また、基部
20Aの底部20B近傍にはシート上下方向に沿って円
筒状のインフレータ26が格納されている。
【0027】エアバッグケース20の蓋28は、シート
外側へ開く外側蓋30と、シート内側へ開く内側蓋32
と、から成る観音開き構造とされている。蓋28が閉ま
った状態(図1の状態)で、外側蓋30はエアバッグケ
ース20のシート外側壁部の一部を構成しており、外側
蓋30は基部20Aのシート外側壁の前端部に、ヒンジ
部としてのインテグラルヒンジ34を介して一体成形さ
れている。
【0028】また、内側蓋32は基部20Aのシート内
側壁の前端部にヒンジ部としてのインテグラルヒンジ3
6を介して一体成形されており、内側蓋32は、インテ
グラルヒンジ36からシート外側前方へ向けて傾斜して
いる。
【0029】図1に示される如く、外側蓋30の前端部
には、シート上下方向に沿って断面V字状の係合溝38
が形成されており、この係合溝38に内側蓋32の前端
角部32Aが係合している。
【0030】従って、図2に示される如く、インフレー
タ26から噴出したガスによりエアバッグ袋体24が展
開した場合には、外側蓋30の係合溝38と内側蓋32
の前端角部32Aとの係合が解除され、外側蓋30は、
インテグラルヒンジ34を中心にしてシート外側方向
(図2の矢印A方向)へ展開すると共に、内側蓋32
は、インテグラルヒンジ36を中心にしてシート内側方
向(図2の矢印B方向)へ展開するようになっている。
【0031】図1に示される如く、内側蓋32の前端部
には、係止手段としてのフック部40がシートの上下方
向に沿って所定の間隔で複数個形成されている。また、
シートバックフレームの乗員当接部側を覆うシートパッ
ド42の外側を、シートカバー44が覆っている。この
シートカバー44は、数枚のシート表皮が縫い目45、
46等において縫合されており、エアバッグケース20
の外側蓋30の前端縁部に対向する基準縫い目46が、
エアバッグ袋体24が展開する場合に、破壊されるよう
になっている。なお、基準縫い目46は、基準縫い目4
6の前方にあるシート表皮44Aと、基準縫い目46の
後方にあり、外側蓋30を覆うシート表皮44Bとの縫
合部となっている。
【0032】また、基準縫い目46の前方にあるシート
表皮44Aの端部には、複数の係止孔47がシート上下
方向に所定の間隔で穿設されており、これらの係止孔4
7によって、シート表皮44Aは、内側蓋32のフック
部40に係止されている。
【0033】また、外側蓋30を覆うシート表皮44B
のシート後側の端部には、フック52が固定されてお
り、このフック52はシートワイヤ54に係止されてい
る。
【0034】次に、本第1実施形態の作用を説明する。
本第1実施形態の側突用エアバッグ装置を備えたシート
構造では、側突時にエアバッグ装置14のインフレータ
26が作動すると、インフレータ26から噴出されるガ
スによって、エアバッグ袋体24が膨張する。このエア
バッグ袋体24の膨張力によって、外側蓋30は、イン
テグラルヒンジ34を中心にしてシート外側方向(図2
の矢印A方向)へ展開すると共に、内側蓋32は、イン
テグラルヒンジ36を中心にしてシート内側方向(図2
の矢印B方向)へ展開する。
【0035】この際、基準縫い目46の前方にあるシー
ト表皮44Aと、内側蓋32に形成されたフック部40
が連結されているため、シート表皮44Aは内側蓋32
によりシート内側へ引っ張られる。また、基準縫い目4
6の後方にあるシート表皮44Bは、外側蓋30により
シート外側へ押圧される。
【0036】従って、エアバッグ袋体24の膨張により
発生する、内側蓋32と外側蓋30とを観音開きしよう
とする荷重が、縫い目46に集中する。このため、縫い
目46を瞬時に破壊できる。よって、シート表皮にニッ
ト等の比較的伸び易い材料を使用した場合にも、エアバ
ッグ袋体の展開完了時間を短縮することができるととも
に展開形状を安定させることができる。
【0037】また、本第1実施形態の側突用エアバッグ
装置を備えたシート構造では、図3に示される如く、内
側蓋32の展開にともなって、基準縫い目46の前方に
あるシート表皮44Aがシート内側へ引っ張られ、エア
バッグ袋体24の展開軌道上から退去すると共に、基準
縫い目46の前方のシート表皮44Aの内側にあるシー
トパッド42Aがシート内方へ圧縮される。このため、
エアバッグ袋体24の展開軌道の開口面積を広げること
ができ、さらにエアバッグ袋体をドアトリム69に沿っ
て迅速に展開させることができる。
【0038】また、本第1実施形態の側突用エアバッグ
装置を備えたシート構造では、基準縫い目46の前方に
あるシート表皮44Aの端部に穿設した係止孔47によ
って、シート表皮44Aを直接内側蓋32のフック部4
0に係止したので、エアバッグ装置のシートへの組付作
業性が向上する。
【0039】また、本第1実施形態の側突用エアバッグ
装置を備えたシート構造では、側突用エアバッグ装置1
4をシートバック12に組付ける前に、外側蓋30の前
端部に形成した係合溝38に内側蓋32の前端角部32
Aを係合させておくことで、蓋28でエアバッグケース
20の開口部を閉塞することができる。このため、エア
バッグケース20内への異物の混入を防止でき、従来使
用していた異物混入防止用シールを廃止することができ
る。
【0040】なお、本第1実施形態の側突用エアバッグ
装置を備えたシート構造では、基準縫い目46の前方に
あるシート表皮44Aの端部に穿設した係止孔47によ
って、シート表皮44Aを直接内側蓋32のフック部4
0に係止したが、これに代えて、図5に示される如く、
張力伝達部材としての力布49をシート表皮44Aの端
部に縫合し、この力布49の端部に穿設した係止孔によ
って、シート表皮44Aを間接的に内側蓋32のフック
部40に係止しても良い。この場合、力布49を使用す
ることによって、係止部の強度が向上する。
【0041】次に、本発明の側突用エアバッグ装置を備
えたシート構造の第2実施形態を図6〜図9に従って説
明する。
【0042】図9に示される如く、本第2実施形態の側
突用エアバッグ装置を備えたシート構造では、シート1
0のシートバック12の車幅方向外側に形成されたサイ
ド部12A内に、上下方向に伸びるボックス状のエアバ
ッグ装置14が配設されている。
【0043】図6に示される如く、シートバック12の
サイド部12A内には、上下方向に沿ってパイプ状のシ
ートバックフレーム50が配設されている。シートバッ
クフレーム50の外周後部には、取付けブラケット51
が結合されており、この取付けブラケット51には、エ
アバッグケース53が固定されている。エアバッグケー
ス53は樹脂材で一体成形されており、シート上下方向
から見た断面形状は、略矩形状とされている。エアバッ
グケース53のシート幅方向内側部を構成する基部53
Aにはスタッドボルト55が立設されている。スタッド
ボルト55は取付けブラケット51に穿設された取付孔
(図示省略)を貫通し、このスタッドボルト55と、こ
のスタッドボルト55に螺合するナット57とで、エア
バッグケース53が取付けブラケット51に固定されて
いる。
【0044】エアバッグケース53の基部53Aの後側
端部には、外側蓋60がヒンジ部としてのインテグラル
ヒンジ58を介して一体成形されており、エアバッグケ
ース53の基部53Aの前側端部には、内側蓋64がヒ
ンジ部としてのインテグラルヒンジ62を介して一体成
形されている。
【0045】内側蓋64は、閉じた状態(図6の状態)
で、平面視でL字状に屈曲されており、前壁部64Aと
側壁部64Bとの間の屈曲部がヒンジ部としてのインテ
グラルヒンジ66となっている。このため、内側蓋64
は外側蓋60よりも前方への展開範囲が広くなってい
る。
【0046】内側蓋64の側壁部64Bの後端部には、
シート幅方向外側へ向けて突出した係止部68が形成さ
れている。この係止部68が、外側蓋60の前端縁部6
0Aのシート幅方向外側に係合しており、外側蓋60と
内側蓋64とは観音開き構造となっている。
【0047】図9に示される如く、シートバックフレー
ム50のシート幅方向外側部には、高剛性の材料からな
るストッパ70が取付けられている。このストッパ70
は、上下方向に延び開口部をシート幅方向内側へ向けた
コ字状となっており、エアバッグケース53内のエアバ
ッグ袋体を囲むように配設されている。また、ストッパ
70の上壁部70Aの先端部及び下壁部70Bの先端部
はそれぞれ、シートバックフレーム50に結合されてい
る。
【0048】図6に示される如く、ストッパ70の側壁
部70Cは、外側蓋60のシート幅方向外側に所定の距
離Lを隔てて対向しており、ストッパ70の側壁部70
Cが展開した外側蓋60に当接し、外側蓋60が所定の
展開角度以上に開かないようになっている。
【0049】エアバッグケース53内には、折り畳んだ
エアバッグ袋体24が格納されている。また、基部53
Aの後部に形成されたシート上下方向に沿った凹部53
B内にはシート上下方向に沿って円筒状のインフレータ
26が格納されている。
【0050】バックボード72のシート幅方向端部は、
前方へ向けて屈曲され、側壁部72Aとなっており、こ
の側壁部72Aと、外側蓋60の後部60Bとの間に
は、形状保持パッド74が配設されている。
【0051】従って、図7に示される如く、インフレー
タ26から噴出したガスによりエアバッグ袋体24が展
開した場合には、内側蓋64の係止部68と外側蓋60
の前端縁部60Aとの係合が解除され、外側蓋60は、
インテグラルヒンジ58を中心にしてシート外側方向
(図7の矢印C方向)へ展開すると共に、内側蓋64
は、インテグラルヒンジ66、62を中心にしてシート
内側方向(図7の矢印D方向)へ展開するようになって
いる。
【0052】図6に示される如く、シートバックフレー
ム50の乗員当接部側を覆うシートパッド42の外側
を、シートカバー44が覆っている。このシートカバー
44は、数枚のシート表皮が縫い目45、76等におい
て縫合されており、シートバック12の側面前端部近傍
の基準縫い目76が、エアバッグ袋体24が展開する場
合に、破壊されるようになっている。なお、基準縫い目
76は、基準縫い目76の前方にあるシート表皮44A
と、基準縫い目76の後方にあり、内側蓋64の側壁部
64Bと外側蓋60を覆うシート表皮44Bとの縫合部
となっている。
【0053】また、シート表皮44Bのシート後側の端
部には、フック52が固定されており、このフック52
はシートワイヤ54に係止されている。
【0054】次に、本第2実施形態の作用を説明する。
本第2実施形態の側突用エアバッグ装置を備えたシート
構造では、側突時にエアバッグ装置14のインフレータ
26が作動すると、インフレータ26から噴出されるガ
スによって、エアバッグ袋体24が膨張する。このエア
バッグ袋体24の膨張力によって、外側蓋60は、イン
テグラルヒンジ58を中心にしてシート外側方向(図7
の矢印C方向)へ展開すると共に、内側蓋64は、イン
テグラルヒンジ66、62を中心にしてシート内側方向
(図7の矢印D方向)へ展開する。
【0055】展開した外側蓋60は、ストッパ70の側
壁部70Cに当接し、所定の展開開度で展開が阻止され
る。このため、エアバッグ袋体24のシート外側の展開
が制限され、外側蓋60の展開開度に従って斜め前方
(図7の矢印E方向)にエアバッグ袋体24の展開力が
集中する。
【0056】従って、内側蓋64は、エアバッグ袋体2
4に押圧され前方にあるシートパッド42をシート外側
から内側方向(図7の矢印D方向)へ押し退けるように
開くため、エアバッグ袋体24の展開軌道が拡大する。
【0057】この結果、エアバッグ袋体24はシート幅
方向外側に膨らみ過ぎることなく、基準縫い目76を破
壊し車室内に展開する。また、エアバッグ袋体24はシ
ートパッド42やシート表皮で邪魔されることなく、ス
ムーズに展開するため、エアバッグ袋体展開完了時間を
短縮することができるとともに展開形状を安定させるこ
とができる。
【0058】また、本第2実施形態では、側突時におけ
る外側蓋60のシート外側への展開が、ストッパ70に
よって所定開度に制限されるため、展開した外側蓋60
またはエアバッグ袋体24が対面するセンターピラーガ
ーニッシュ等の車両内装部材と干渉することがなく、対
面する車両内装部材の破損を防止することもできる。従
って、車両内装部材の破損により発生する恐れがあるエ
ッジ等が、エアバッグ袋体24に損傷を与えたり、エア
バッグ袋体24の展開を妨げたりすることもなく、エア
バッグ袋体24を確実に展開させることができる。
【0059】また、本第2実施形態では、内側蓋64は
外側蓋60よりも前方への展開範囲が広くなっているた
め、内側蓋64が、シートパッド42をシート外側から
内側へ押し退けるように大きく開き、エアバッグ袋体2
4の展開軌道をさらに大きく拡大することができると共
に、内側蓋64によってもエアバッグ袋体24の展開方
向を制御することができる。
【0060】また、本第2実施形態では、シートバック
フレーム50のシート幅方向外側部に、高剛性の材料か
らなるコ字状のストッパ70が取付けられており、スト
ッパ70はエアバッグケース53内のエアバッグ袋体を
囲むように配設されているため、図8に示される如く、
側突時、センターピラーガーニッシュ77、フロントド
アトリム78、リヤドアトルム79等が車室内方(図8
の矢印F方向)へ移動しても、ストッパ70でこれを受
け止め、シートバックフレーム50を内側(図8の矢印
G方向)へ押圧し、コ字状内の初期空間を確保するよう
に突っ張るので、展開途中のエアバッグ袋体24が、ス
トッパ70とシートバックフレーム50との間に挟まれ
ることが無く、エアバッグ袋体24を確実に展開させる
ことができる。
【0061】以上の説明に於いては、本発明を特定の実
施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施
形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他
の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明
らかである。例えば、張力伝達部材は力布49に限定さ
れず、張力を確実に伝達できる部材であれば他の部材で
も良い。
【0062】
【0063】
【発明の効果】請求項記載の本発明は、側突時にシー
トバックフレームの側部に装着したエアバッグ装置を作
動し、シート表皮の縫い目を破壊してエアバッグ袋体が
展開する側突用エアバッグ装置を備えたシート構造にお
いて、エアバッグケースの蓋を、シート外側へ開く外側
蓋と、シート内側へ開く内側蓋と、から成る観音開き構
造とし、エアバッグ袋体展開時に破壊するシート表皮の
縫い目を基準縫い目として、基準縫い目の前方にあるシ
ート表皮を内側蓋に連結した構成としたので、簡単な構
成でエアバッグ袋体の展開完了時間を短縮することがで
きるとともに展開形状を安定させることができるという
優れた効果を有する。
【0064】請求項記載の本発明は、請求項記載の
側突用エアバッグを備えたシート構造において、外側蓋
と内側蓋とが樹脂製とされたエアバッグケースにヒンジ
部を介して一体的に形成されているので、請求項記載
の効果に加えて、エアバッグケースの製造が容易で且つ
低コストになるという優れた効果を有する。
【0065】請求項記載の本発明は、請求項又は請
求項記載の側突用エアバッグを備えたシート構造にお
いて、基準縫い目の前方にあるシート表皮を内側蓋に形
成した係止手段に直接係止したので、請求項又は請求
記載の効果に加えて、組付け作業性が向上するとい
う優れた効果を有する。
【0066】請求項記載の本発明は、請求項又は請
求項記載の側突用エアバッグを備えたシート構造にお
いて、基準縫い目の前方にあるシート表皮を内側蓋に形
成した係止手段に張力伝達部材を介して係止したので、
請求項又は請求項記載の効果に加えて、係止部の強
度が向上するという優れた効果を有する。
【0067】請求項記載の本発明は、側突時にシート
バックフレームの側部に装着したエアバッグ装置を作動
し、シート表皮の縫い目を破壊してエアバッグ袋体が展
開する側突用エアバッグ装置を備えたシート構造におい
て、エアバッグケースの蓋を、シート外側へ開く外側蓋
と、シート内側へ開く内側蓋と、から成る観音開き構造
とするとともに、外側蓋の展開開度を所定範囲に制限す
るストッパを設けた構成としたので、エアバッグ袋体の
展開軌道が拡大でき、エアバッグ袋体の展開完了時間を
短縮することができるとともに展開形状を安定させるこ
とができるという優れた効果を有する。
【0068】請求項記載の本発明は、請求項記載の
側突用エアバッグ装置を備えたシート構造において、内
側蓋は外側蓋よりも前方への展開範囲が広く、且つ両者
はヒンジ部を介してエアバッグケースに一体的に連結さ
れるとともに、エアバッグ袋体の膨張圧にて分離可能に
シートバック側面部に位置する係止部にて係止されてい
るので、エアバッグ袋体の展開軌道をさらに拡大でき、
エアバッグ袋体の展開完了時間をさらに短縮することが
できるとともに展開形状をさらに安定させることができ
るという優れた効果を有する。
【0069】請求項記載の本発明は、請求項記載の
側突用エアバッグ装置を備えたシート構造において、ス
トッパは高剛性の材料からなり、上下方向に延び開口部
をシート内側ヘ向けた断面コ字状をなし、且つエアバッ
グ袋体を囲むようにシートバックフレームの側部に固定
されているので、請求項記載の効果に加えて、エアバ
ッグ袋体を確実に展開させることができるという優れた
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図4の1−1線に沿った拡大断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る側突用エアバッグ
を備えたシート構造のエアバッグ袋体の展開開始直後の
状態を示す図1に対応する断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る側突用エアバッグ
を備えたシート構造のエアバッグ袋体の展開完了直後の
状態を示す図1に対応する断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る側突用エアバッグ
を備えたシート構造が適用されたシートを示すシート斜
め前方から見た斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態の変形例に係る側突用エ
アバッグを備えたシート構造を示す図1に対応する断面
図である。
【図6】図9の6−6線に沿った拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る側突用エアバッグ
を備えたシート構造のエアバッグ袋体の展開開始直後の
状態を示す図6に対応する断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る側突用エアバッグ
を備えたシート構造のエアバッグ袋体の展開完了直後の
状態を示す図6に対応する断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る側突用エアバッグ
を備えたシート構造が適用されたシートを示すシート斜
め前方から見た斜視図である。
【図10】従来の実施形態に係る側突用エアバッグ装置
を備えたシート構造を示す概略側面図である。
【図11】従来の他の実施形態に係る側突用エアバッグ
装置を備えたシート構造のサイド部を示す水平断面図で
ある。
【符号の説明】
10 シート 12 シートバック 12A サイド部 14 エアバッグ装置 18 サイドフレーム 20 エアバッグケース 24 エアバッグ袋体 26 インフレータ 28 蓋 30 外側蓋 32 内側蓋 34 インテグラルヒンジ(ヒンジ部) 36 インテグラルヒンジ(ヒンジ部) 40 フック部(係止手段) 42 シートパッド 44 シートカバー 44A 基準縫い目の前方にあるシート表皮 44B 基準縫い目の後方にあるシート表皮 46 基準縫い目 47 係止孔 49 力布(張力伝達部材) 50 シートバックフレーム 53 エアバッグケース 58 インテグラルヒンジ(ヒンジ部) 60 外側蓋 62 インテグラルヒンジ(ヒンジ部) 64 内側蓋 64A 内側蓋の前壁部 64B 内側蓋の側壁部 66 インテグラルヒンジ(ヒンジ部) 68 係止部 70 ストッパ76 基準縫い目
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 21/16 - 21/22 B60N 2/42

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側突時にシートバックフレームの側部に
    装着したエアバッグ装置を作動し、シート表皮の縫い目
    を破壊してエアバッグ袋体が展開する側突用エアバッグ
    装置を備えたシート構造において、 エアバッグケースの蓋を、シート外側へ開く外側蓋と、
    シート内側へ開く内側蓋と、から成る観音開き構造と
    し、 エアバッグ袋体展開時に破壊するシート表皮の縫い目を
    基準縫い目として、該基準縫い目の前方にあるシート表
    皮を前記内側蓋に連結したことを特徴とする側突用エア
    バッグ装置を備えたシート構造。
  2. 【請求項2】 前記外側蓋と前記内側蓋とが樹脂製とさ
    れた前記エアバッグケースにヒンジ部を介して一体的に
    形成されていることを特徴とする請求項記載の側突用
    エアバッグ装置を備えたシート構造。
  3. 【請求項3】 前記基準縫い目の前方にあるシート表皮
    を前記内側蓋に形成した係止手段に直接係止したことを
    特徴とする請求項又は請求項記載の側突用エアバッ
    グを備えたシート構造。
  4. 【請求項4】 前記基準縫い目の前方にあるシート表皮
    を前記内側蓋に形成した係止手段に張力伝達部材を介し
    て係止したことを特徴とする請求項又は請求項記載
    の側突用エアバッグを備えたシート構造。
  5. 【請求項5】 側突時にシートバックフレームの側部に
    装着したエアバッグ装置を作動し、シート表皮の縫い目
    を破壊してエアバッグ袋体が展開する側突用エアバッグ
    装置を備えたシート構造において、 エアバッグケースの蓋を、シート外側へ開く外側蓋と、
    シート内側へ開く内側蓋と、から成る観音開き構造とす
    るとともに、前記外側蓋の展開開度を所定範囲に制限す
    るストッパを設けたことを特徴とする側突用エアバッグ
    装置を備えたシート構造。
  6. 【請求項6】 前記内側蓋は外側蓋よりも前方への展開
    範囲が広く、且つ両者はヒンジ部を介してエアバッグケ
    ースに一体的に連結されるとともに、エアバッグ袋体の
    膨張圧にて分離可能にシートバック側面部に位置する係
    止部にて係止されていることを特徴とする請求項記載
    の側突用エアバッグ装置を備えたシート構造。
  7. 【請求項7】 前記ストッパは高剛性の材料からなり、
    上下方向に延び開口部をシート内側ヘ向けた断面コ字状
    をなし、且つエアバッグ袋体を囲むようにシートバック
    フレームの側部に固定されていることを特徴とする請求
    記載の側突用エアバッグ装置を備えたシート構造。
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