JPH08253317A - 酸化亜鉛系微粒子、その製造方法及び用途 - Google Patents

酸化亜鉛系微粒子、その製造方法及び用途

Info

Publication number
JPH08253317A
JPH08253317A JP7324920A JP32492095A JPH08253317A JP H08253317 A JPH08253317 A JP H08253317A JP 7324920 A JP7324920 A JP 7324920A JP 32492095 A JP32492095 A JP 32492095A JP H08253317 A JPH08253317 A JP H08253317A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
zinc oxide
group
acid
zinc
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7324920A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3398829B2 (ja
Inventor
Mitsuo Takeda
光生 武田
Yumiko Ueda
弓子 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP32492095A priority Critical patent/JP3398829B2/ja
Publication of JPH08253317A publication Critical patent/JPH08253317A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3398829B2 publication Critical patent/JP3398829B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Paper (AREA)
  • Cosmetics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性と紫外線遮蔽性、熱線を始めとする赤
外線遮蔽性に優れ、導電性も有する酸化亜鉛系微粒子と
その用途、生産性の高い安価なその製法を提供する。 【解決手段】 主たる金属元素としての亜鉛に IIIB族
金属元素やIVB族金属元素が添加された結晶性共沈物か
らなる酸化亜鉛系微粒子であり、亜鉛源、モノカルボン
酸、少なくともアルコールからなる混合物を、 IIIB族
金属元素やIVB族金属元素を含む化合物の共存下で加熱
することにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛を主成分とし
IIIB族金属元素及び/又はIVB族金属元素を副成分と
する酸化亜鉛系微粒子、その製造方法及び用途に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、クリーンルームの窓、ブラウン
管、床、壁材、衣類などに使用されるガラス製品、フィ
ルム、繊維等の樹脂製品においては、ほこりやごみの付
着を防止するための帯電防止処理に対するニーズが高ま
っている。従来、樹脂等の絶縁体に導電性を付与する方
法としては、樹脂等の絶縁体中に導電剤を分散させる方
法、導電剤を分散含有する塗料を用いて基材上に導電層
を形成する方法が挙げられる。導電剤としては、ニッケ
ル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金
属系微粒子;チタンブラックに代表される金属酸化物を
還元処理して得られた金属酸化物系、および異種元素に
より附活化された白色導電性金属酸化物系(酸化錫系、
酸化インジウム系、酸化亜鉛系)などの金属酸化物系微
粒子;カーボンブラック、黒鉛等の炭素系微粒子;ノニ
オン、アニオン、カチオン、両性いずれかの界面活性剤
に代表される有機系導電剤が知られている。
【0003】これらのうち、有機系導電剤はその導電機
構がイオン性に基づくものであるため、導電率の湿度依
存性が強く低湿度下では有効に働かないばかりか、分子
量の低いものはブリードアウトによって経時的に性能劣
化するという問題がある。これに対し、金属系、金属酸
化物系、炭素系の導電剤は、その導電機構が電子電導に
基づくものであるため湿度依存性が実質的にない点では
有機系の導電剤に比べて優れるが、チタンブラック等の
還元処理により得られた金属酸化物系導電剤、炭素系導
電剤は、黒色またはそれに近い色相を有し、また金属系
微粒子においても可視光を強く反射するため、基材また
はマトリックスの透明性を維持することがきわめて困難
であり、用途的にも制限される。
【0004】一方、アンチモンをドープした酸化錫、ス
ズをドープした酸化インジウム等の白色導電性微粒子
は、すでにこれらの微粒子を分散含有させたインクや塗
料をコーティングしたときに得られる膜、あるいはこの
微粒子の粉末を樹脂中に分散させることにより得られる
フィルム等において実質的に基材、マトリックスの色相
を損なうことなく帯電防止性の導電性を付与できること
が知られている。また、スパッタリングなどの気相法に
より、これらの酸化物膜をガラスやプラスチックフィル
ム上に形成したものは、高い導電性を有するため、液晶
ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ
等のフラットディスプレイの透明電極やワードプロセッ
サー、電子ゲーム等のタッチパネル用電極材、帯電防止
フィルム等として使用されている。しかしながら、酸化
スズ系、酸化インジウム系はその原料がきわめて高価で
あり、気相法は高価な装置を必要とするため汎用性のあ
る導電化方法とは言えない。
【0005】ところで、近年、窓ガラス等のガラス製品
や、ポリエステル系、(メタ)アクリル系等のフィル
ム、シート等の樹脂製品において、コーティングや内添
によって基材の透明性や色相を損なうことなく、紫外
線:UV−B(280〜320nm、UV−A(320
〜400nm)と熱線を有効に遮蔽する材料が求められ
ている。
【0006】従来、紫外線遮断効果のある材料として
は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の有機
系紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム
等の無機系の紫外線吸収剤が知られているが、いずれも
熱線遮断効果を有しない。熱線遮断剤としては、アント
ラキノン系、ポリメチン系、シアニン系、アミニウム系
・ジイモニウム系等の、赤外部に吸収性を有する有機色
素や、前記した導電性を有する酸化錫系、酸化インジウ
ム系が知られているが、いずれも、紫外線を有効に遮断
できるものではない。
【0007】酸化チタン薄膜で被覆処理された雲母が、
酸化チタン薄膜により紫外線を吸収し、且つ微粒子を多
層構造としたことに基づき熱線領域の電磁波をある程度
散乱することが知られているが、可視光透過性が不十分
なため、前記したニーズに十分に応える微粒子材料とは
言えない。そこで、紫外線遮断剤と熱線遮断剤を併用す
ることが考えられるが、有機色素(熱線遮断剤)は可視
部にも吸収が及ぶために着色は免れない、あるいは熱線
吸収領域が狭い等の問題があり、また酸化錫系、酸化イ
ンジウム系は前記した如く高価であるために経済性に劣
るという欠点がある。
【0008】その点、酸化亜鉛は、光学的には紫外線の
A波、B波いずれをも有効に吸収し、可視光に対する選
択吸収性がないため、酸化亜鉛の超微粒子を高分散した
薄膜、あるいは気相法によって得られた均質な酸化亜鉛
薄膜は、透明な紫外線吸収膜となる。さらに、酸化亜鉛
中に3価、4価の金属元素をドーピングすることによ
り、導電性が付与され、場合によっては熱線遮断性が付
与される。
【0009】従来、酸化亜鉛微粒子いわゆる亜鉛華は、
(1)亜鉛蒸気を気相酸化する方法(フランス法、アメ
リカ法)、あるいは(2)水溶液中で亜鉛塩とアルカリ
金属炭酸塩とを反応させ水洗、乾燥を経て炭酸亜鉛粉末
を得た後空気中で熱分解する方法により製造されてい
る。(1)の方法で得られる酸化亜鉛は粒子径がサブミ
クロンといわれているが製造過程で強固に2次凝集して
いるため、塗料や樹脂に分散させるに当たり、多大な機
械的労力を必要とするばかりであり、しかも均質な分散
状態のものが得られない。また(2)の方法は、(1)
の方法に比べて粒子径(1次粒子径)が0.1μm以下
と微細なものが得られるが、1次粒子同士の凝集力が強
く、微細な粒子径に基づく効果が充分に得られない。ま
してやこれらの方法によって、1次粒子の粒子径、粒子
形状、表面状態及び分散・凝集状態等のモルフォルジー
が、使用目的にかなったかたちで厳密に制御された酸化
亜鉛微粒子を得ることはできないのが現状である。
【0010】近年、耐候性及び耐熱性に優れかつ可視域
における透明性に優れた紫外線を吸収し得る材料、いわ
ゆる透明・紫外線吸収剤として、実質的に粒子径が0.
1μm以下の酸化亜鉛微粒子の開発が望まれている。こ
のような微粒子の製法としては、(3)亜鉛蒸気を気相
酸化する方法の他に、(4)亜鉛塩のアルカリ水溶液に
よる加水分解法(特開平4−164813号公報、特開
平4−357114号公報等)、亜鉛の酸性塩と酢酸ア
ンモニウムの混合溶液及び硫化水素を出発原料とし、オ
ートクレーブ処理を経て得られた硫化亜鉛をさらに酸化
処理する方法(特開平2−311314号公報)等の湿
式法が提案されている。(3)の方法で得られた微粒子
は強固に2次凝集した粉末であり、紫外線吸収能の付与
あるいは耐候性改良等の目的で、繊維、板、フィルム等
のプラスチック成形体又は塗料等に配合させても、透明
性の良好なものが得られない。またガラス、プラスチッ
クフィルム等に紫外線吸収能を付与する目的で、この粉
末を適当な溶媒に分散させ必要に応じてバインダー樹脂
を混合させたものをコーティング剤としてこれらの透明
基材に塗布しても、透明性、均質性等に於いて不十分な
膜しか得られないという問題がある。(4)の方法は製
造工程が複雑であるため得られる超微粒子は高価となら
ざるを得ない。このように微粒子としての機能及び特徴
を充分発揮し得、しかも汎用性の高い酸化亜鉛微粒子の
製法はこれまで知られていない。しかも、これら従来の
製法で得られた酸化亜鉛微粒子はいずれも、紫外線吸収
能は有するものの、(近)赤外線を遮蔽することはでき
ない。
【0011】これに対し、例えば、気相法により、酸化
亜鉛中にアルミニウム(Al)をドープした酸化亜鉛膜
は、高い導電性と熱線遮断能を有するものであることが
記載されている(南 内嗣、応用物理、第61巻、第1
2号、’92)。しかし、非実用的製法であり、しか
も、紫外線吸収端が短波長側にシフトしているためA波
に対する遮蔽性が十分でない。
【0012】また、酸化亜鉛に珪素(Si)、ゲルマニ
ウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)等を固溶させる
(特公平5−6766)、酸化亜鉛にホウ素(B)、ス
カンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、インジウム
(In)、タリウム(Tl)等の IIIB族元素を固溶さ
せる(特公平3−72011)、酸化亜鉛にアルミニウ
ム(Al)を固溶させる(特公平4−929)ことによ
り、導電性、赤外反射性に優れた透明酸化亜鉛膜を得る
ことが提案されているが、いずれもスパッタ法などの気
相法であり、汎用性の高い製法とはなり得ない。
【0013】酸化亜鉛膜の導電化方法としては、そのほ
かに、亜鉛の塩の熱分解法を利用する酸化亜鉛薄膜の製
法において、最終的に還元雰囲気下で高温で加熱処理す
る、あるいはドーパントを亜鉛塩溶液中に存在させ、最
終的に高温処理する方法も知られている(例えば特開平
1−301515)。しかし、この方法でも熱線遮蔽性
が得られることについては知られていない。
【0014】導電性酸化亜鉛粉末の導電化方法として
は、さらに、酸化亜鉛粉末を還元雰囲気下で高温焼成す
る方法、酸化亜鉛粉末に酸化アルミニウム等のドーパン
トを混合し還元雰囲気下で高温焼成する方法等が一般的
に知られているが、前者の方法は導電化に限界があり、
いずれの方法においても高温で曝露されるために微細な
粒子、特に0.1μm以下の微細な超微粒子を得ること
はできない。
【0015】特定の製法により得られる、比表面積径が
0.1μm以下、特定の加圧状態での体積抵抗率が10
4 Ωcm以下の、アルミニウム(Al)で賦活化された
導電性酸化亜鉛微粉末を含有する透明導電膜形成組成物
が知られている(特開平1−153769)。しかし、
酸化亜鉛粉末を製造する際に高温で焼成するため、比表
面積径が0.1μm以下であっても、塗料中での分散粒
子径はさらに大きくそのためこの方法で得られる組成物
(塗料)を塗布して得られる膜は透明性に限界があると
推測できる。なお、この方法でも、熱線遮蔽性について
は知られていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、紫
外線遮蔽性に優れた酸化亜鉛をベースとし、これに熱線
遮蔽性と導電性を付与するようにした、そして透明性も
得られ易い酸化亜鉛系微粒子を提供することを第1の課
題とする。本出願人は、すでに、粒子径、粒子形状など
のモルフォルジー、分散性等の制御された、しかも生産
性に優れた、一貫した湿式プロセスによる酸化亜鉛微粒
子の製法を見いだし出願している(特願平6−2398
9)。そこで、上述した本発明の酸化亜鉛系微粒子を高
い生産性で得る製造方法を提供することを第2の課題と
する。
【0017】さらに、本発明の酸化亜鉛系微粒子を含有
させることにより、透明性に優れ、紫外線および熱線を
始めとする赤外線を遮蔽することのできる、そして帯電
防止性など導電性の制御された塗料組成物、塗装品、樹
脂組成物、樹脂成型品、紙、化粧料を提供することを第
3の課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の酸化亜鉛系微粒
子は、 IIIB族金属元素とIVB族金属元素からなる群の
うちから選ばれた少なくとも1種の添加元素と亜鉛とを
金属成分とし、亜鉛の含有量が該金属成分の総原子数に
対する亜鉛の原子数の比で表して80〜99.9%であ
り、X線回折学的に見て酸化亜鉛(Zn0)結晶性を示
す金属酸化物共沈体を少なくとも主たる構成成分とする
酸化亜鉛系微粒子である。ここに、酸化亜鉛の結晶形は
特に限定されず、例えば、六方晶(ウルツ鉱型構造)、
立方晶(食塩型構造)、立方晶面心構造等が知られてお
り、これらのうちのいずれかのX線回折パターンを示す
ものであれば良い。本発明の酸化亜鉛系微粒子では、金
属酸化物共沈体の亜鉛含有量が金属成分の総原子数に対
する亜鉛の原子数の比で表して80〜99.9%、好ま
しくは90〜99.5%である。前記範囲を下回ると粒
子形状、粒子径、高次構造等の制御された均一性に富む
微粒子となりにくく、上回ると共沈体としての機能すな
わち熱線を始めとする赤外線遮蔽性が不十分となる。
【0019】本発明で言う酸化亜鉛系微粒子は、上述し
た如きものでありさえすれば、従って、例えば、シラン
カップリング剤、アルミカップリング剤等のカップリン
グ剤又はオルガノシロキサン、キレート化合物等の有機
金属化合物が、酸化亜鉛結晶の表面に結合又は表面に被
覆層を形成してなる微粒子、ハロゲン元素、硫酸根、硝
酸根等の無機酸、又は脂肪酸、アルコール、アミン等の
有機化合物が、微粒子内部及び/又は表面に含有されて
いる粒子等も本発明の酸化亜鉛系微粒子に包含される。
IIIB族金属元素とIVB族金属元素からなる群のうちか
ら選ばれた少なくとも1種の添加元素と亜鉛以外の金属
元素としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は
ZnO結晶内に固溶した状態などの形態で存在すること
は好ましくなく、共沈物を構成する IIIB族金属元素と
IVB族金属元素からなる群のうちから選ばれた少なくと
も1種の添加元素の総原子数に対して1/10以下が好
ましく、1/100以下がより好ましい。
【0020】本発明の酸化亜鉛系微粒子では、金属酸化
物共沈体を構成する添加元素としての IIIB族金属元素
は例えば、ホウ素、アルミニウム(Al)、ガリウム
(Ga)、インジウム(In)及びタリウム(Tl)の
うちから選ばれた少なくとも1種であり、IVB族金属元
素は例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(G
e)、スズ(Sn)及び鉛(Pb)のうちから選ばれた
少なくとも1種であるが、これらのうち、インジウム及
び/又はアルミニウムが最も好ましい。
【0021】本発明にかかる酸化亜鉛系微粒子は、前記
金属酸化物共沈体からなる単一粒子で存在する状態と、
この単一粒子が複数個集合した状態で存在する場合と、
この単一粒子がポリマーと複合化したもの等がある。上
記三つの場合について以下に説明する。第1の場合は、
酸化亜鉛系微粒子が金属酸化物共沈体の単一粒子のみか
らなる。この場合、単一粒子の大きさは、最短部で見て
平均粒子径0.001〜0.1の範囲であることが好ま
しく、0.001〜0.05μmの範囲があることがよ
り好ましい。
【0022】さらに、本発明の酸化亜鉛系微粒子は、前
記した如く、酸化亜鉛結晶や微粒子の表面組成が特に限
定されるものではなく、主成分である金属酸化物結晶が
露出したものも、表面に有機化合物や無機化合物からな
る表面層を形成してなるものも本発明の酸化亜鉛系微粒
子に含まれる。以下、このような微粒子を表面修飾微粒
子といい、表面層を表面修飾層、該表面修飾層を形成す
るために使用される物質を表面修飾剤という。但し、単
に、酸化亜鉛系微粒子という場合は、表面修飾微粒子も
含まれる。
【0023】上述の、金属酸化物共沈体からなる単一粒
子、単一粒子が複数個集合してなる微粒子は、表面修飾
微粒子を包含しており、単一粒子がポリマーと複合化し
てなる微粒子は、表面修飾微粒子の1つの形態ともいえ
る。本発明でいう、粒子径(平均粒子径、数平均粒子径
なども含む)とは特に断らない限り、粒子の最短部の粒
子径を意味し、最短部の粒子径とは、粒子の中心をとお
る最短径を意味する。たとえば、微粒子の形状が:球状
であれば、球の直径を意味し、楕円球状であれば、短
径、長径のうち短径を意味し、立方体状、直方体状、ピ
ラミッド状であれば、立方体、直方体、三角錐の中心を
とおる最短の長さを意味し、針状、柱状、棒状、筒状で
あれば、長さ方向に対し垂直方向に測定される中心をと
おる長さを意味し、りん片状、(六角)板状などの薄片
状の場合には、板面方向に垂直な方向すなわち厚み方向
の、中心をとおる最短の長さ(=厚み)を意味する。
【0024】ただし、粒状、球状などの粒子については
最長径も最短径と同じ範囲が好ましい。異方形状(薄片
状、針状など)の粒子については最長径は0.002μ
m以上0.5μm未満の範囲が好ましい。なお、本発明
では、上記金属酸化物共沈体・酸化亜鉛系微粒子の形状
は、任意である。たとえば、鱗片状、(六角)板状など
の薄片状;針状、柱状、棒状、筒状;立方体状、ピラミ
ッド状などの粒状;球状などの形状が挙げられる。
【0025】第2の場合は、酸化亜鉛系微粒子が、上記
単一粒子を1次粒子とし、この1次粒子が集合してなる
2次粒子である。この場合、2次粒子が外殻部のみを構
成してなる中空状のものであることがある。中空状であ
ると、光拡散透過性に優れる。この場合において、単一
粒子とその集合体である酸化亜鉛系微粒子の大きさの関
係は、単一粒子の最短部粒子径の微粒子最短部粒子径に
対する比率が1/10以下であることが好ましい。
【0026】第3の場合は、酸化亜鉛系微粒子が、前記
単一粒子がポリマーと複合してなるものである。この場
合、複合化の形態としては、単一粒子として挙動する形
態、2次粒子として挙動する形態などがあり、いずれで
あってもよいが、例えば、まず、(A)ポリマーが前記
単一粒子1個の表面及び/又は前記単一粒子複数個が集
合したものの表面を被覆している形態があり、つぎに、
(B)ポリマーが前記単一粒子を互いに結合させている
形態があり、最後に、(C)ポリマーがマトリックスを
構成し、このマトリックス中に前記単一粒子が集合する
ことなく及び/又は前記単一粒子複数個が集合したもの
が分散している形態がある。この場合も、単一粒子とポ
リマーが外殻部のみを構成してなる中空状のものである
ことがあり、中空状であると、光拡散透過性に優れるこ
とは第2の場合と同様である。この場合、ポリマーの含
有量は特に限定する訳ではないが、単一粒子とポリマー
の合計量に対し1〜90重量%の範囲である。
【0027】第3の場合において、複合化に用いられる
ポリマーとしては、アクリル樹脂系ポリマー、アルキド
樹脂系ポリマー、アミノ樹脂系ポリマー、ビニル樹脂系
ポリマー、エポキシ樹脂系ポリマー、ポリアミド樹脂系
ポリマー、ポリイミド樹脂系ポリマー、ポリウレタン樹
脂系ポリマー、ポリエステル樹脂系ポリマー、フェノー
ル樹脂系ポリマー、オルガノポリシロキサン系ポリマ
ー、アクリルシリコーン樹脂系ポリマー、ポリアルキレ
ングリコール等の他、ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー
などの熱可塑性または熱硬化性樹脂;エチレン−プロピ
レン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリ
ル−ブタジエンゴムなどの合成ゴムや天然ゴム;ポリシ
ロキサン基含有ポリマーがある。
【0028】上記第2の場合及び第3の場合において
も、ポリマーと複合化した粒子が実質的に単一粒子とし
て挙動する場合(この場合、粒子は表面修飾単一粒子で
ある)を除き、酸化亜鉛系微粒子の形状としては、好ま
しくは、球状又は楕円球状である。粒子の外形状とは無
関係に、表面が凹凸性に富むことが好ましい。表面に凹
凸があると、粒子表面における光散乱が相乗的に作用
し、光散乱性能が向上するからである。第2の場合も第
3の場合も、酸化亜鉛系微粒子の平均粒子径としては、
特に限定はしないが、通常、0.001〜10μmの範
囲である。たとえば、第3の(A)の場合には、透明性
が高い点で0.001〜0.1μmが好ましく、中空体
形状の場合には、光拡散透過能が高い点で0.1〜5μ
mが好ましい。なお、上記第2の場合及び第3の場合に
おいて、酸化亜鉛系微粒子が中空体であるときには、微
粒子の形状は好ましくは球状または楕円球状である。そ
の理由は、光拡散透過性が高くなるからである。
【0029】本発明の表面修飾微粒子に於ける、表面修
飾層は、その組成が、無機質、有機質、無機−有機複合
組成のいずれでもよく、また金属酸化物共沈体からなる
単一粒子の表面を完全に被覆した連続層を形成しなるも
のでも、表面修飾剤が不連続的に存在するものでもよ
い。また、該微粒子に於ける表面修飾層の割合や、厚み
は、特に限定されない。しかし、表面修飾層による修飾
効果と経済性の観点から、金属酸化物(亜鉛とIII B
族、IVB族金属を金属成分とする酸化物)に対する表面
修飾層の割合が、重量比で0.01〜1であることが好
ましい。また、表面修飾微粒子の平均粒子径、形状など
は特に限定されない。しかし、後述する透明な紫外線・
赤外線カットフィルム等の透明性を重要視される用途に
於いては、透明性を十分に発揮するためには、粒子径が
微細であることと、塗料組成物、樹脂組成物などにおけ
る極めて高い分散性を有することとが要求されるため、
平均粒子径が0.005〜0.1μm、好ましくは0.
005〜0.05μmである必要があり、このような性
能が求められる用途において本発明の表面修飾微粒子は
その性能をいかんなく発揮することができる。
【0030】なお、本発明の酸化亜鉛系微粒子は溶媒中
に分散してなる分散体として使用されることもある。こ
の溶媒分散体も本発明に含まれる。溶媒分散体とは、酸
化亜鉛系微粒子と、溶媒とを少なくとも含み、酸化亜鉛
系微粒子が、分散体総量に対する金属酸化物換算で2〜
70重量%の割合で溶媒中に分散含有されてなるもので
ある。溶媒としては、水、アルコール類、ケトン類、脂
肪族及び芳香族のカルボン酸エステル類、エーテル類、
エーテルエステル類、脂肪族及び芳香族の炭化水素類、
ハロゲン化炭化水素類のほか、鉱物油、植物油、ワック
ス油、シリコーン油等がある。さらに、これらの溶媒
に、他の成分、例えば、塗料用途のバインダーとして用
いられている有機系バインダーや無機系バインダー等を
含むことがある。上記有機系バインダーとしては、(メ
タ)アクリル系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、シ
リコーン系、メラミン系、ウレタン系、スチレン系、ア
ルキド系、フェノール系、エポキシ系、ポリエステル系
等の熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂;紫外線硬化型アク
リル樹脂、紫外線硬化型アクリルシリコーン樹脂などの
紫外線硬化型樹脂;エチレン−プロピレン共重合ゴム、
ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴ
ム等の合成ゴム又は天然ゴムがあり、上記無機系バイン
ダーとしては、シリカゾル、アルカリ珪酸塩、シリコン
アルコキシド、リン酸塩等がある。
【0031】汎用性の点から好ましい溶媒は、常圧に於
ける沸点が40℃〜250℃である、アルコール類、脂
肪族及び芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、芳
香族及び脂肪族カルボン酸エステル類、ケトン類、(環
状)エーテル類、エーテルエステル類、水から選ばれる
1種または2種以上の混合溶媒である。さらに、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルア
ルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテ
ート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、
エチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
メチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチル
エーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテ
ート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテー
ト、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル
−3−メトキシブチルアセテート、トルエン、キシレ
ン、ベンゼン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、酢酸エ
チル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テト
ラヒドロフラン、水、からなる群から選ばれる1種また
は2種以上の混合溶媒を少なくとも含有する溶媒分散体
は、各種塗料系に使用でき、特に好ましい。
【0032】本発明の酸化亜鉛系微粒子は、樹脂の可塑
剤または可塑剤含有溶液中に、分散してなる可塑剤分散
体として使用することができる。この可塑剤分散体も本
発明に含まれる。可塑剤分散体とは、酸化亜鉛系微粒子
と、可塑剤とを少なくとも含み、分散体総量に対する、
酸化亜鉛系微粒子と可塑剤との合計重量が50〜100
wt%,可塑剤に対する酸化亜鉛系微粒子の割合が重量
比で0.01〜5であるものを意味する。残部は例え
ば、樹脂および/または溶媒成分である。
【0033】可塑剤とは、従来公知の樹脂の可塑剤を全
て含み、例えば、フタル酸エステル(フタル酸ジメチ
ル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ
ヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2
−エチルヘキシル、フタル酸イソノニル、フタル酸オク
チルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベ
ンジル等)、脂肪酸一塩基酸エステル(オレイン酸ブチ
ル、グリセリンモノオレイン酸エステル等)、脂肪酸二
塩基酸エステル(アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−
n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、ア
ルキル610等のアジピン酸エステル;セバシン酸ジブ
チル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン
酸エステル;アゼライン酸ジ2−エチルヘキシル等のア
ゼライン酸エステルなど)、リン酸エステル(リン酸ト
リブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸ト
リフェニル、リン酸トリクレシルなど)、二価アルコー
ルエステル(ジエチレングリコールジベンゾエート、ト
リエチレングリコールジ−2−エチルブチラートな
ど)、オキシ酸エステル(アセチルリシノール酸メチ
ル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチ
ルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど)、
塩素化パラフィン(C2545Cl17など)、ポリエステ
ル系可塑剤(ポリプロピレングリコールアジペート、
1,3−ブチレングリコールアジペート等、平均分子量
が1000〜15000で、アジピン酸、フタル酸、ア
ゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸と、グリコール
類、グリセリン類および一塩基酸等との共縮合ポリマー
など)、エポキシ系可塑剤(エポキシステアリン酸アル
キル、エポキシトリグリセリドなど)、その他(ステア
リン酸系可塑剤;塩素化ビフェニル、2−ニトロビフェ
ニル、ジノニルナフタリン;o−トルエンスルホンエチ
ルアミド、ショウ脳、アビエチン酸メチルなど)、など
が例示され、いずれか1種または2種以上が使用され
る。
【0034】中でも、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪
酸一塩基酸エステル系可塑剤、脂肪酸二塩基酸エステル
系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可
塑剤、エポキシ系可塑剤からなる群から選ばれる少なく
とも1つが、樹脂、特に塩化ビニル樹脂との相溶性が高
く好ましい。上述した可塑剤分散体は、可塑剤本来の目
的である、高分子物質の加工性を改良したり、可とう性
を付与したりする目的を兼ねて、本発明の酸化亜鉛系微
粒子含有樹脂組成物や成形体、あるいは塗料組成物や塗
工品を製造する際に微粒子原料として使用することがで
きる。すなわち、酸化亜鉛系微粒子を含有する塩化ビニ
ル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、メタクリル酸樹
脂、アセテートセルロース系、ニトロセルロース系、ポ
リスチレン系、酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルブチラー
ル系等の樹脂組成物、これらを加工してなるシート、フ
ィルム等の成形体、あるいはこれらの樹脂成分をバイン
ダー成分とした塗料組成物および該塗料組成物を成膜し
てなる塗工品を製造する際に、微粒子および可塑剤原料
の一部または全部として使用することができる。また、
リン酸エステル系可塑剤を含む可塑剤分散体は上述した
樹脂成形体や塗工品に難燃性も同時に付与できるもので
ある。
【0035】また、従来より、ポリエステルフィルム、
ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等のフィルムま
たはシート、板、ジエチレングリコールビスアリルカー
ボネートレンズ等の表面硬度、耐摩耗性等を向上する目
的で開発あるいは使用されてきた、あるいはガラスと同
等もしくはそれにに近い表面硬度、耐擦傷性等を有する
膜を与える、いわゆるハードコート剤と称される材料、
あるいは同目的で本発明者らが合成したもの(例えば、
後述する実施例II−11の混合物(x))をバインダー
成分、溶媒やビヒクルなどの分散媒成分として使用する
こともできる。
【0036】しかも、本発明の微粒子は主成分が金属酸
化物結晶であるために、これらのハードコート剤と組み
合わせることにより、透明で紫外線、赤外線を遮断し且
つ耐摩耗性に優れた膜を容易に得ることができる。以下
に、本発明にかかる酸化亜鉛系微粒子の製造方法を説明
する。本発明にかかる酸化亜鉛系微粒子の製造方法は、
亜鉛源とモノカルボン酸を、少なくともアルコールから
なる媒体中で、かつ、 IIIB族金属元素とIVB族金属元
素からなる群のうちから選ばれた少なくとも1種の添加
元素を含む化合物の共存下で100°C以上の温度に保
持することにより微粒子を生成させると言う方法であ
る。この場合、例えば、 IIIB族金属元素としては前述
したものが例示され、これらの添加元素のうち、インジ
ウム及び/又はアルミニウムが好ましいことも同様であ
る。
【0037】本発明の酸化亜鉛系微粒子の製法は、具体
的には、例えば、亜鉛源とモノカルボン酸とを含む第1
の混合物を作る第1の工程と、上記第1の混合物を、少
なくともアルコールからなる媒体に混合して第2の混合
物を作る第2の工程と、上記第2の混合物を100°C
以上の温度に保持する第3の工程とを備え、上記第1、
第2及び第3の工程のうちのいずれかの工程で、第1及
び/又は第2の混合物に、 IIIB族金属元素とIVB族金
属元素からなる群から選ばれた少なくとも1種の添加元
素を含む化合物を添加混合するようにする。このとき、
添加元素を含む化合物はそれ単独を添加しても良いが、
少なくともアルコールを含む媒体に溶解して添加するよ
うにしても良い。前記第1の工程では、亜鉛源を、モノ
カルボン酸を水に溶解した混合溶媒に溶解するようにす
ることが好ましい。
【0038】本発明にかかる酸化亜鉛系微粒子の製造方
法には、亜鉛源とモノカルボン酸を水に混合してなる混
合物を、100°C以上に加熱した、少なくともアルコ
ールからなる媒体に添加混合することにより、前記水及
び/又はモノカルボン酸の少なくとも一部を蒸発除去す
る工程を含ませるようにするのが好ましい。亜鉛源とモ
ノカルボン酸は水に溶解させて使用するのが良いのであ
るが、微粒子の結晶性が損なわれることを防ぎ、かつ、
2次凝集を防止して微粒子の寸法、形状の均一性を得る
ためには、水やモノカルボン酸をなるべく系外に除去す
るのが良いからである。なお、混合物の加熱媒体への添
加中にも微粒子の生成が起きることもあるが、通常はそ
ののち反応系を100°C以上の温度に保持し続けるこ
とにより生成が起きる。この間にも水やモノカルボン酸
の蒸発除去が起きるのが普通である。
【0039】本発明の酸化亜鉛系微粒子の製法では、前
記亜鉛源は例えば酸化亜鉛、水酸化亜鉛及び酢酸亜鉛か
らなる群より選ばれた少なくとも1種である。本発明の
酸化亜鉛系微粒子の製法では、前記モノカルボン酸が、
常圧下の沸点が200°C以下の飽和脂肪酸であること
が好ましい。本発明の酸化亜鉛系微粒子の製法では、亜
鉛源とモノカルボン酸を、少なくともアルコールからな
る媒体中で、かつ、 IIIB族金属元素とIVB族金属元素
からなる群のうちから選ばれた少なくとも1種の添加元
素を含む化合物の共存下で100°C以上の温度に保持
する際に、この系に、ポリマーを共存させたり、分
子中にカルボキシル基、アミノ基、4級アンモニオ基、
アミド基、イミド結合、アルコール性及び/又はフェノ
ール性の水酸基、カルボン酸エステル結合、ウレタン
基、ウレタン結合、ウレイド基、ウレイレン結合、イソ
シアネート基、エポキシ基、リン酸基、金属水酸基、金
属アルコキシ基及びスルホン酸基からなる群のうちから
選ばれた少なくとも1種の原子団を1個又は2個以上有
し、分子量が1000未満の添加化合物を共存させた
り、二酸化炭素及び/又は炭酸源を共存させたり、
乳酸源を共存させたりすることがある。
【0040】表面修飾微粒子は、任意の製法によって得
られた酸化亜鉛系微粒子を、表面修飾剤と適当な条件下
で混合させることにより製造され、表面修飾剤、表面修
飾する方法(以下、表面修飾法)は特に限定されず、表
面修飾の目的によって表面修飾剤の種類、量、および表
面修飾法を適宜選択すればよい。上記〜等に示し
た、特にポリマーや特定の原子団を持った化合物は、微
粒子の表面を制御する、いわゆる表面修飾剤としても有
効に作用し得るものである。本発明の方法に従えば、微
粒子の形態、大きさ、高次構造等を制御し、尚且つ、微
粒子表面の組成や性質を制御できるというメリットはあ
る。
【0041】しかし、表面を改質し、極性の低い炭化水
素溶媒への分散性や樹脂との親和性などを向上させる目
的で、あるいは、2次凝集している微粒子を単一粒子に
分散化する目的で表面修飾を行う場合は、上述の如く、
その方法は特に限定されない。系を100℃以上の温度
に保持する際に、ポリマーを共存させると、単一粒子が
ポリマーと複合してなる酸化亜鉛系微粒子が得られる。
ポリマーの種類によっては、例えば、ポリマーと複合化
していない酸化亜鉛系微粒子の分散液を製造した後に、
100℃以上の温度あるいは100℃以下の温度で、ポ
リマーを添加しても、複合体を生成せしめることは可能
であるが、中空体微粒子など高次構造の制御された微粒
子を得るためには、上述した「系を100℃以上の温度
に保持する際に、ポリマーを共存させる方法」が有効で
あり、また、該方法が金属酸化物共沈体からなる単一粒
子生成と同時に複合化を行える点で経済的な製法であ
る。この場合に使用する好適なポリマーとしては、前記
した、アクリル樹脂系ポリマー、アルキド樹脂系ポリマ
ー、アミノ樹脂系ポリマー、ビニル樹脂系ポリマー、エ
ポキシ樹脂系ポリマー、ポリアミド樹脂系ポリマー、ポ
リイミド樹脂系ポリマー、ポリウレタン樹脂系ポリマ
ー、ポリエステル樹脂系ポリマー、フェノール樹脂系ポ
リマー、オルガノポリシロキサン系ポリマー、アクリル
シリコーン樹脂系ポリマー、ポリアルキレングリコール
等の他、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマーなどの熱可塑
性または熱硬化性樹脂;エチレン−プロピレン共重合ゴ
ム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴムなどの合成ゴムや天然ゴム;ポリシロキサン基含
有ポリマーがある。
【0042】系を100℃以上の温度に保持する際に、
上述した特定の官能基を持つ化合物および/または上述
したポリマー等を共存させると、単一粒子の粒子径、形
状や、微粒子の粒子径、形状、高次構造などが制御され
た、表面修飾微粒子の製造が可能となる。系を100°
C以上の温度に保持する際に、二酸化炭素及び/又は炭
酸源を共存させると、水分散性に優れ、しかも微細
(0.05μm以下)な微粒子が得られやすい。この場
合、炭酸源としては、亜鉛原料としてその一部に(塩基
性)炭酸亜鉛を使用することで代替することができる。
但し、炭酸源の量は亜鉛に対しモル比で0.1〜20モ
ル%が適当である。多すぎると酸化亜鉛の結晶化が阻害
されることがあり、加熱処理温度を高くする必要がある
からである。炭酸源としては、たとえば、炭酸アンモニ
ウム、炭酸水素アンモニウム、尿素などのごとく加熱な
どにより炭酸イオンまたは炭酸ガスを生成する化合物;
炭酸イットリウム、炭酸カドミウム、炭酸銀、炭酸サマ
リウム、炭酸ジルコニウム、炭酸セリウム、炭酸タリウ
ム、炭酸鉛、炭酸ビスマスなど金属炭酸塩、塩基性炭酸
亜鉛、塩基性炭酸コバルト(1I)、塩基性炭酸銅(I
I)、塩基性炭酸鉛(II)、塩基性炭酸ニッケル(II)
等の金属の塩基性炭酸塩等が例示され、それぞれ単独で
使用されたりまたは2以上併用されたりする。
【0043】酸化亜鉛系微粒子を、金属酸化物の共沈体
からなる単一粒子を1次粒子とし、これが集合してなる
2次粒子の形で得るための1つの有効な方法としては、
系を100℃以上の温度に保持する際に乳酸源を共存さ
せる方法が例示される。本発明に用いられる乳酸源は、
乳酸;乳酸アンモニウム、乳酸ナトリウム、乳酸リチウ
ム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸亜鉛、乳
酸アルミニウム、乳酸マンガン、乳酸鉄、乳酸ニッケ
ル、乳酸銀等の金属乳酸塩;乳酸メチル、乳酸エチル、
乳酸n−ブチル等の、加水分解などにより乳酸を生成し
うる乳酸エステル化合物などであり、いずれか1つを単
独で使用しても良く、あるいは、2種以上を併用しても
よい。
【0044】以下に、本発明の酸化亜鉛系微粒子の用途
を説明する。本発明の酸化亜鉛系微粒子は、紫外線から
の内容物の保護、紫外線による印刷物など各種材料の退
色・変質・劣化の防止、紫外線からの人体の保護などを
目的とした紫外線の遮断、冷房時の室内温度上昇の抑
制、暖房時に於ける室内の保温等を目的とした赤外線の
遮断などを必要とする種々の分野、さらに静電気障害の
防止、プラスチック、紙、布等の導電性付与など帯電防
止、導電化などを必要とする種々の分野で有用であり、
該微粒子を含有してなる各種分散体、塗料組成物、塗工
品、樹脂脂組成物、樹脂成形体、紙、化粧品などがそれ
らのいずれかまたは2つ以上の機能を発揮する。
【0045】例えば、食品包装、医薬品包装、化粧品包
装、電子材料包装等に使用される各種包装用フィルム・
容器、農業用フィルム、温室用フィルム、建材用、自動
車用などでの保護フィルム、建造物、自動車、高温炉等
の窓材に使用可能な粘着フィルム、接着フィルムあるい
は塗料、衣服や帽子等衣料用の涼感性あるいは保温性に
優れる繊維製品、サングラス等の眼鏡レンズ用保護膜材
料、傘、サンルーフ、化粧品などに本発明の酸化亜鉛系
微粒子を利用することにより、紫外線、赤外線を有効に
遮断することができる。同時に帯電防止性を付与するこ
ともできる。
【0046】また、ステルスバーコーター等バーコータ
材料にも有用な塗料、フィルム等に本発明の酸化亜鉛系
微粒子を含有させることもできる。さらに、クリーンル
ームや自動車等の車両用窓、衣料、各種CRT、LCD
等の各種ディスプレーの画面、タッチパネル等の帯電防
止化、ファクシミリ用記録紙等の静電記録紙等の導電化
などにも、本発明の酸化亜鉛系微粒子を含有する、成膜
材料、フィルム、紙など種々の形態で利用できる。
【0047】また、本発明の酸化亜鉛系微粒子は、太陽
電池、各種ディスプレー、タッチパネル、光学素子、光
学センサーなどで使用される透明導電膜を形成するため
の塗料の成分として、あるいは、スパッタリング用燒結
体原料微粒子としても有用である。本発明の塗料組成物
は、前記本発明の酸化亜鉛系微粒子と、この酸化亜鉛系
微粒子を結合する被膜を形成しうるバインダー成分と
を、これら両者の固形分合計重量に対して、上記酸化亜
鉛系微粒子0.1〜99重量%、前記バインダー成分1
〜99.9重量%の割合で含むものである。この場合、
前記酸化亜鉛系微粒子と前記バインダー成分の固形分合
計重量が1〜80重量%であり、残部が溶媒であること
がある。
【0048】本発明の塗装品は、任意の基材とその表面
に形成された塗膜とを備え、この塗膜は、前記本発明の
酸化亜鉛系微粒子と、この酸化亜鉛系微粒子を結合する
バインダー成分とを、これら両者の合計重量に対して、
上記酸化亜鉛系微粒子0.1〜99重量%、前記バイン
ダー成分1〜99.9重量%の割合で含むものであり、
通常は、樹脂成形品、ガラスおよび紙からなる群のうち
から選ばれた1つ基材とその表面に形成された塗膜とを
備え、この塗膜は、前記本発明の酸化亜鉛系微粒子と、
この酸化亜鉛系微粒子を結合するバインダー成分とを、
これら両者の合計重量に対して、上記酸化亜鉛系微粒子
0.1〜99重量%、前記バインダー成分1〜99.9
重量%の割合で含むものである。この場合、前記樹脂成
形品は、例えば、板、シート、フィルムおよび繊維から
なる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0049】本発明の樹脂組成物は、前記本発明の酸化
亜鉛系微粒子と、この酸化亜鉛系微粒子が分散された連
続相を形成しうる樹脂とを、これら両者の固形分合計重
量に対して、上記酸化亜鉛系微粒子0.1〜99重量
%、上記樹脂1〜99.9重量%の割合で含むものであ
る。本発明の樹脂成形品は、上記本発明の樹脂組成物
を、板、シート、フィルムおよび繊維からなる群のうち
から選ばれたいずれかの形状に成形したものである。
【0050】本発明の紙は、抄造されたパルプと、この
パルプ中に分散された前記本発明の酸化亜鉛系微粒子と
を備え、上記酸化亜鉛系微粒子の量が上記パルプに対し
て0.01〜50重量%であるものである。本発明の化
粧料は、前記本発明の酸化亜鉛系微粒子を0.1重量%
以上含有するものである。
【0051】本発明では、微粒子の単一粒子の大きさ
(0.05μm以下、好ましくは0.02μm以下)、
表面組成、分散状態(分散状態での平均粒子径が0.1
μm以下、好ましくは0.05μm以下)の制御された
酸化亜鉛系微粒子を使用し、塗料組成物における組成、
あるいは樹脂組成物に於ける組成を選択することによ
り、透明な膜を設けた塗工品、透明な樹脂成形品を得る
ことができる。
【0052】本発明でいう”透明”とは、以下のように
定義される。塗工品については、本発明の酸化亜鉛系微
粒子を含有する塗料組成物を基材に成膜して得られた塗
工品の可視光透過率(可視光透過率は、可視光に対する
全光線透過率である。以下同じ)と基材の可視光透過率
との差が、10%以下: −10%≦(基材の可視光透過率)−(塗工品の可視光
透過率)≦10% 好ましくは5%以下: −5%≦(基材の可視光透過率)−(塗工品の可視光透
過率)≦5% 特に好ましくは3%以下: −3%≦(基材の可視光透過率)−(塗工品の可視光透
過率)≦3% であり、塗工品のヘイズ(ヘイズは、可視光に対するヘ
イズである。以下同じ)と基材のヘイズとの差が、10
%以下: −10%≦(塗工品のヘイズ)−(基材のヘイズ)≦1
0% 好ましくは3%以下: −3%≦(塗工品のヘイズ)−(基材のヘイズ)≦3% 特に好ましくは1%以下: −1%≦(塗工品のヘイズ)−(基材のヘイズ)≦1% である。
【0053】さらに、上記に加えて、基材が、板、シー
ト、フィルム状の樹脂成形体あるいはガラスである場
合、塗工品の可視光透過率が80%以上、ヘイズが10
%以下であることが好ましく、可視光透過率が85%以
上、ヘイズが5%以下であることが更に好ましい。樹脂
組成物、成形品については、本発明の酸化亜鉛系微粒子
を含有する樹脂組成物を成形して得られた成形品の可視
光透過率と、該微粒子を含有しない以外は同様にして製
造された成形品の可視光透過率との差が、10%以下: −10%≦(微粒子無しの成形品の可視光透過率)−
(微粒子含有成形品の可視光透過率)≦10% 好ましくは5%以下: −5%≦(微粒子無しの成形品の可視光透過率)−(微
粒子含有成形品の可視光透過率)≦5% 特に好ましくは3%以下: −3%≦(微粒子無しの成形品の可視光透過率)−(微
粒子含有成形品の可視光透過率)≦3% であり、微粒子含有成形品のヘイズと微粒子無しの成形
品のヘイズとの差が、10%以下: −10%≦(微粒子含有成形品のヘイズ)−(微粒子無
しの成形品のヘイズ)≦10% 好ましくは3%以下: −3%≦(微粒子含有成形品のヘイズ)−(微粒子無し
の成形品のヘイズ)≦3% 特に好ましくは1%以下: −1%≦(微粒子含有成形品のヘイズ)−(微粒子無し
の成形品のヘイズ)≦1% である。しかも、微粒子含有成形品の可視光透過率が8
0%以上、ヘイズが10%以下、更に好ましくは可視光
透過率が85%以上、ヘイズが5%以下を満足するもの
は、透明性に優れる樹脂成形品として有用であり、本発
明で容易に得られる。
【0054】
【発明の実施形態】本発明の酸化亜鉛系微粒子では、前
記金属酸化物共沈体の単一粒子である場合には、単一粒
子は、全体に均一に分散していてもよいが、部分的に凝
集していてもよい。特に、単一粒子が1次粒子として凝
集して2次粒子の外殻を構成している場合には、2次粒
子が複層構造を有するので、2次粒子表面における光の
散乱(これは、従来の無機透明微粒子表面における光の
散乱に相当する)に加えて、2次粒子粒子中での1次粒
子表面における光の散乱と、2次粒子中での外殻と内殻
との界面における光の散乱とが起こり、高い光透過性を
有しながら、高い拡散性を発揮する。単一粒子が凝集し
て構成された外殻の厚みは特に限定はないが、2次粒子
の数平均粒子径の値に対して、好ましくは0.1〜0.
4である。前記範囲を下回ると酸化亜鉛系微粒子の機械
的強度が低下するおそれがあり、前記範囲を上回ると複
層構造を有することによる上記効果が十分発揮されない
おそれがある。
【0055】1次粒子の形状および大きさは特に限定さ
れないが、2次粒子よりも小さくなければならない。た
とえば、2次粒子が0.1〜10μm(好ましくは0.
1〜2μm)の数平均粒子径を有するときには、1次粒
子の数平均粒子径は、0.001〜0.1μmであり、
2次粒子の数平均粒子径に対して1/10〜1/100
00である。1次粒子の数平均粒子径が前記範囲を下回
ると酸化亜鉛系微粒子の紫外線遮蔽能が低下するおそれ
があり、前記範囲を上回ると光透過性が低下するおそれ
がある。1次粒子の数平均粒子径の、2次粒子の数平均
粒子径に対する比率が前記範囲を下回ると2次粒子の紫
外線遮蔽能が低下するおそれがあり、前記範囲を上回る
と2次粒子が実用上十分な機械的強度を持たなかった
り、凝集効果が十分に発揮されなかったりするおそれが
ある。
【0056】また、2次粒子が1次粒子間に細孔を多数
有する場合、さらに中空である場合には、多孔質微粒子
またはマイクロカプセルとしての機能、たとえば、吸油
能、吸湿能、有害金属イオンの吸着能、有毒ガス・悪臭
などの吸収能などの吸着分離、除去、捕集機能;断熱
性、遮音性等の熱や音の遮蔽機能(断熱フィラー、遮音
フィラー);金属イオン、酵素・菌固定等の固定化機能
(触媒担体、クロマトグラフィー充填剤など);軽量
性;内部に保持した液体、香料などの徐放機能を持つよ
うになる。
【0057】本発明の酸化亜鉛系微粒子が、単一粒子と
ポリマーとが複合してなるもの(複合粒子)について述
べる。まず、金属酸化物共沈体からなる単一粒子がポリ
マーと複合してなり、実質的に単一粒子として挙動する
ものがある。これには、ポリマーが表面修飾層を形成し
てなる表面修飾微粒子が含まれる。この場合、個々の表
面修飾微粒子の平均粒子径が0.1μm以下、好ましく
は0.05μm以下のものは、透明な塗膜を有する塗工
品または透明な樹脂成形品を得るために特に有用であ
る。次に、単一粒子が凝集し局在化して外殻を構成して
いるときには、ポリマーは、外殻にのみ、内殻にのみ、
または、外殻と内殻との両方にそれぞれ含まれていても
よい。しかし、ポリマーも外殻にのみ含まれていて、酸
化亜鉛系微粒子が中空であることが好ましい。酸化亜鉛
系微粒子が中空であるときには、光拡散機能がより高く
なる。この場合、1次粒子の形状および大きさは特に限
定されないが、複合粒子よりも小さくなければならな
い。たとえば、複合粒子が0.1〜10μm(好ましく
は0.1〜2μm)の数平均粒子径を有するときには、
1次粒子の数平均粒子径は、0.001〜0.1μmで
あり、複合粒子の数平均粒子径に対して1/10〜1/
10000である。1次粒子の数平均粒子径が前記範囲
を下回ると酸化亜鉛系微粒子の紫外線遮蔽能が低下する
おそれがあり、前記範囲を上回ると光透過性が低下する
おそれがある。1次粒子の数平均粒子径の、複合粒子の
数平均粒子径に対する比率が前記範囲を下回ると複合粒
子の紫外線遮蔽能が低下するおそれがあり、前記範囲を
上回ると複合粒子が実用上十分な機械的強度を持たなか
ったり、複合効果が十分に発揮されなかったりするおそ
れがある。ポリマーが外殻に存在し1次粒子(単一粒
子)または2次粒子表層を覆う場合には、酸化亜鉛系微
粒子は、分散性に優れ、組成物としたときのマトリック
スポリマーとの結着性がさらに高まる。
【0058】本発明の酸化亜鉛系微粒子に含まれるポリ
マーは、特に限定はないが、たとえば、重量平均分子量
1000〜100万のものであり、一般にオリゴマー、
プレポリマー等と称されているものも含まれる。このよ
うなポリマーは、混合物(n)、混合物(m)、あるい
は、酸化亜鉛系微粒子を析出させるための加熱過程にお
いて、溶解しやすいか、または、できるだけ微細な状態
で乳化または懸濁しやすいので、粒子径の揃った(粒子
径の変動係数が30%以下である)、粒子形状の均一な
酸化亜鉛系微粒子が得られやすい。本発明の酸化亜鉛系
微粒子に含まれるポリマーは、たとえば、次の(1) 〜(1
4)の樹脂群から選ばれる少なくとも1つの樹脂である。
これらの樹脂を使用した場合は、たとえば平均粒子径
0.001〜10μmの酸化亜鉛系微粒子が得られやす
い。
【0059】(1) アクリル樹脂系ポリマー アクリル酸エステル・メタクリル酸エステルなどの
(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体・共重合体;
マレイン酸エステル、イタコン酸エステル系モノマー、
スチレン・p−クロルスチレン・ビニルトルエン・酢酸
ビニル・塩化ビニル・ビニルメチルエーテル・ビニルブ
チラール等のビニル系モノマー、エチレン・プロピレン
等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、トリエン
類など、(メタ)アクリル系モノマー以外の官能基を持
たない重合性モノマーと、前記(メタ)アクリル系モノ
マーとの共重合体などの、熱可塑性アクリル樹脂、その
変性物、その誘導体(置換基を導入したものなど)な
ど、アクリル酸・メタクリル酸・アクリルアミド・メ
タクリルアミド・アクリロニトリル・メタクリロニトリ
ル・(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル
・(メタ)アクリル酸グリシジルエステル・(メタ)ア
クリル酸のアミノアルキルエステルなど、官能基を有す
る重合性モノマーと、前記(メタ)アクリル系モノマー
との共重合体;前記官能基を有する重合性モノマーと、
前記(メタ)アクリル系モノマーと、前記官能基を持た
ない重合性モノマーとの共重合体などの、熱硬化性アク
リル樹脂、その変性物、その誘導体(置換基を導入した
もの、官能基が中和されたものなど)、及び紫外線硬化
型アクリル樹脂など。
【0060】(2) アルキド樹脂系ポリマー 無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、安息香
酸、ロジン、アジピン酸、無水マレイン酸、コハク酸、
セバチン酸、無水フマル酸、トリメリット酸、ピロメリ
ット酸などの多塩基酸と、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘ
キサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、
ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、水添ビス
フェノールA等の多価アルコールとの重縮合物(オイル
フリーアルキド樹脂);前記重縮合物を油脂(たとえば
脂肪酸)などで変性した変性物(アルキド樹脂);前記
重縮合物や変性物を、ロジンなどの天然樹脂、フェノー
ル樹脂・エポキシ樹脂・ウレタン樹脂・シリコーン樹脂
・アミノ樹脂などの合成樹脂、上記(1)に記載したモ
ノマーなどで変性した変性物(ロジン変性アルキド樹
脂、フェノール変性アルキド樹脂、エポキシ変性アルキ
ド樹脂、スチレン化アルキド樹脂、アクリル化アルキド
樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、シリコーン変性アル
キド樹脂、アミノ樹脂変性アルキド樹脂などの変性アル
キド樹脂);前記重縮合物、前記アルキド樹脂、前記変
性アルキド樹脂の誘導体(カルボキシル基などの官能基
の一部または全部を中和したもの、置換基を導入したも
のなど)。
【0061】(3) アミノ樹脂系ポリマー メラミンホルムアルデヒド樹脂、ブチル化メラミン樹
脂、メチル化メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など
のメラミン樹脂;尿素ホルムアルデヒド樹脂、ブチル化
尿素樹脂、ブチル化尿素メラミン樹脂などの尿素樹脂;
メラミン樹脂や尿素樹脂を用いて上記(2)のアルキド
樹脂を共縮合反応で変性したアミノ樹脂変性アルキド樹
脂;前記メラミン樹脂、前記尿素樹脂、前記アミノ樹脂
変性アルキド樹脂の変性物(たとえば、メチル化メチロ
ールメラミン、メチロールメラミン初期縮合物と多価ア
ルコールとの付加物、メラミンまたは尿素と多価アミン
との縮合物、親水性基を導入したブチル化メラミン、親
水性基を導入したベンゾグアナミンなどを用いたアミノ
樹脂)など。
【0062】(4) ビニル樹脂系ポリマー 塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビ
ニリデン、ビニルブチラール、スチレン、p−クロルス
チレン、ビニルトルエンなどのビニル系モノマーの単独
重合体・共重合体(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリスチレ
ンなど);ビニル系モノマーと、エチレン・プロピレン
などのオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、トリエ
ン類等の他の不飽和モノマーとの共重合体;ビニル系モ
ノマーと、前記(メタ)アクリル系モノマーおよび/ま
たは他の不飽和モノマーとの共重合体;それらの重合体
の誘導体。
【0063】(5) エポキシ樹脂系ポリマー ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂(ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂の高分子量(分子量≧3
0,000)型樹脂)、フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、
ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フ
ェノールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロー
ルエタン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エ
ポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;グリ
シジルアミン型エポキシ樹脂;エポキシ化ポリブタジエ
ン;これらのエポキシ樹脂を、エポキシ基と架橋反応し
得る、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、チオール
基などの活性水素を有する化合物および/または(プ
レ)ポリマー(脂肪族(ポリ)アミン、芳香族(ポリ)
アミン、ジエチルアミノプロピルアミン、脂環式アミ
ン、ポリメルカプタンなど)と反応させたポリマーな
ど。
【0064】(6) ポリアミド樹脂系ポリマー ジアミンとジカルボン酸との重縮合により得られるナイ
ロン樹脂(たとえばナイロン66)、ラクタムの開環重
合により得られるナイロン樹脂(たとえばナイロン
6)、アミノ酸の重縮合により得られるポリペプチド
(たとえば、ポリグリシン、ポリ(α−L−アラニン)
など)、植物油脂肪酸の重合物である重合脂肪酸(ダイ
マー酸)に代表されるポリカルボン酸とエチレンジアミ
ン・ジエチレンポリアミンなどのポリアミンとを脱水縮
合して得られる、アミノ基があってもよいポリアミンの
アミド誘導体など。
【0065】(7) ポリイミド樹脂系ポリマー ピロメリット酸無水物等のテトラカルボン酸の二無水物
と芳香族ジアミンとの重縮合反応、ビスヘキサメチレン
マレイミドなどのビスマレイミドとビスシクロペンタジ
エニル化合物・2,5−ジメチル−3,4−ジフェニル
シクロペンタジエノン等とのディールス−アルダー(Di
les-Alder )重合反応などによって得られるポリイミド
系ポリマーなど。
【0066】(8) ポリウレタン樹脂系ポリマー 分子中にウレタン結合を有する樹脂であればよく、たと
えば、アルキド樹脂中に二塩基酸をジイソシアネートに
置換したもの;メタクリル酸ヒドロキシエステルのよう
に水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーを含むモ
ノマーを重合したアクリル系ポリマーとイソシアネート
化合物とを反応させてなるポリマー;二塩基酸と過剰の
多価アルコールとからなるポリエステル系ポリマーとイ
ソシアネート化合物とを反応させてなるポリマー;多価
アルコールにプロピレンオキシドやエチレンオキシドを
付加重合させたポリアルキレングリコールにイソシアネ
ート化合物を反応させてなるポリマー;水酸基を有する
エポキシ系樹脂にイソシアネート化合物を反応させてな
るポリマー;湿気硬化型ポリウレタン樹脂、加熱硬化型
ポリウレタン樹脂、触媒硬化型ポリウレタン樹脂などの
ごとく従来より塗料用に使用されているポリウレタン樹
脂;フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメ
チレンジイソシアネートウレタンプレポリマー・フェニ
ルグリシジルエーテルアクリレートイソホロンジイソシ
アネートウレタンプレポリマー・フェニルグリシジルエ
ーテルアクリレートトリレンジイソシアネートウレタン
プレポリマー・グリセリンジメタクリレートヘキサメチ
レンジイソシアネートウレタンプレポリマー・グリセリ
ンジメタクリレートイソホロンジイソシアネートウレタ
ンプレポリマー・ペンタエリスリトールトリアクリレー
トヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマ
ー・ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロン
ジイソシアネートウレタンプレポリマー・ペンタエリス
リトールトリアクリレートトリレンジイソシアネートウ
レタンプレポリマーなどのウレタン結合を含有し、重合
可能な二重結合を有するプレポリマー、これらのプレポ
リマーの単独重合体・共重合体、これらのプレポリマー
と他の重合性モノマー(たとえば、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニ
トリル、(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリ
ル系モノマー;マレイン酸、マレイン酸エステル、スチ
レン、p−クロルスチレン、ビニルトルエンなどのスチ
レン系モノマー;エチレン、プロピレンなどのオレフィ
ン類;ブタジエンなどのジエンまたはトリエン類;酢酸
ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルア
ルコール、ビニルブチラールなどのビニル系モノマー)
との共重合体;ヘキサメチレンジイソシアネート、トル
イレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートと
(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸オリゴマ
ー等との反応により得られるウレタンアクリレートポリ
マーなど。
【0067】(9) ポリエステル樹脂系ポリマー エチレングリコール・ジエチレングリコール・プロピレ
ングリコール・ジプロピレングリコール・1,3−ブタ
ンジオール・1,6−ヘキサンジオール・ネオペンチル
グリコール等の脂肪族グリコール、ハイドロキノン・レ
ゾルシン等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール
・ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコ
ールなどからなる群から選ばれる少なくとも1つのグリ
コールと、(無水)フタル酸・イソフタル酸・テレフタ
ル酸・ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸・セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等の脂環族ジカ
ルボン酸、(無水)マレイン酸・フマル酸等の不飽和ジ
カルボン酸などからなる群から選ばれる少なくとも1つ
のジカルボン酸とを重縮合して得られる、飽和または不
飽和のポリエステル系ポリマー;不飽和ポリエステルを
スチレン、(メタ)アクリル酸エステル等の重合性モノ
マー等と重合反応させてなるポリマーなど。
【0068】(10)フェノール樹脂系ポリマー フェノール、アルキル置換フェノール、アリル置換フェ
ノール、ビスフェノールAなどのフェノールとホルムア
ルデヒドとを重縮合して得られる、一般にノボラック
型、レゾール型と言われるフェノール樹脂、および、こ
れらのフェノール樹脂を変性したり置換したりした誘導
体など。
【0069】(11)オルガノポリシロキサン系ポリマー シロキサン結合を骨格として有し、シロキサン結合中の
ケイ素原子に直接結合した炭素原子を含む有機基(たと
えばアルキル基など)を有するポリマー(たとえば、ポ
リジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン
などのポリアルキルシロキサン等);これらのポリマー
中の有機基の一部が酸素原子を介してケイ素原子に結合
したもの、これらのポリマー中の有機基の一部を変性し
た変性シリコーン(たとえば、アルキド変性シリコー
ン、エポキシ変性シリコーン、ポリエステル変性シリコ
ーン、アクリル変性シリコーン、ウレタン変性シリコー
ンなど)など。
【0070】(12)アクリルシリコーン樹脂系ポリマー メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン等のごとく重合性二重結合を有する有
機ケイ素化合物とアクリル系モノマーなどの不飽和モノ
マーとを共重合して得られるポリマー(たとえば、アル
コキシシリル基を含むアクリル系共重合体)など。
【0071】(13)フッ素樹脂系ポリマー フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニルな
ど、フッ素を含有する重合性モノマーの単独重合体・共
重合体、フッ素を含有する重合性モノマーと、他のビニ
ル系、オレフィン系、アクリル系などの重合性モノマー
との共重合体など。
【0072】(14)その他樹脂系ポリマー キシレン樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、液状ポリブタジ
エン、ロジン変性マレイン酸樹脂、クマロン樹脂など従
来公知の樹脂、およびこれらの樹脂の誘導体など。好ま
しいポリマーは、1個以上の極性の原子団を有するもの
である。このポリマーと金属酸化物共沈体からなる単一
粒子とが複合したときには、耐溶剤性・耐薬品性などの
化学的安定性に優れ(該微粒子が中空体粒子または集合
体粒子などの場合には、さらに圧縮強度などの機械的特
性にも優れ)、しかも、微細な(平均粒子径0.001
〜0.1μm)単一粒子が得られやすく粒子径の揃った
(粒子径の変動係数が30%以下である)、粒子形状が
均一な酸化亜鉛系微粒子が得られやすい。好ましい極性
の原子団は、カルボキシル基、アミノ基(1級アミノ
基、2級アミノ基、3級アミノ基、イミノ基、イミノ結
合)、4級アンモニオ基、アミド基、イミド結合、水酸
基(アルコール性、フェノール性)、カルボン酸エステ
ル結合、ウレタン基、ウレタン結合、ウレイド基、ウレ
イレン結合、イソシアネート基、エポキシ基、リン酸
基、金属水酸基、金属アルコキシ基およびスルホン酸基
からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0073】1個以上のカルボキシル基を有するポリマ
ーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)
アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイル
オキシエチルヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸等のカ
ルボキシル基含有重合性モノマーの単独重合体・共重合
体;前記カルボキシル基含有重合性モノマーと、(メ
タ)アクリル酸エステル・(メタ)アクリルアミド・
(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリル系モノ
マー、α−クロルメタクリル酸メチルなどの(メタ)ア
クリル系モノマー置換体、マレイン酸エステル、スチレ
ン・p−クロルスチレン・ビニルトルエン等のスチレン
系モノマー、エチレン・プロピレン等のオレフィン類、
ブタジエン等のジエンまたはトリエン類、酢酸ビニル・
塩化ビニル・ビニルメチルエーテル・ビニルブチラール
・ビニルアルコール等のビニル系モノマー、ビニルトリ
メトキシシラン・メタクリロキシトリメトキシシラン等
の重合性有機ケイ素化合物などの重合性モノマーとの共
重合体;前記アルキド樹脂系ポリマー、ポリエステル樹
脂系ポリマーのうちの、末端または側鎖などにカルボキ
シル基を有するポリマー;末端または側鎖などにカルボ
キシプロピルなどを有するポリジメチルシロキサンなど
のごとく末端および/または側鎖にカルボキシル基を含
有するカルボキシル変性オルガノポリシロキサン系ポリ
マーなどが例示される。
【0074】1個以上のアミノ基および/または4級ア
ンモニオ基を有するポリマーとしては、1級アミノ基、
2級アミノ基、3級アミノ基、イミノ基、イミノ結合お
よび4級アンモニオ基からなる群から選ばれる少なくと
も1つを1個以上有するポリマーであればよく、たとえ
ば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルメタクリレート、4−ビニルピリジン、p−
アミノスチレン、3−ビニルアニリン、4−ビニルイミ
ダゾール、ビニルピロール、ジメチルジアリルアンモニ
ウムクロライド等のアミノ基、イミノ基、アンモニオ基
含有重合性モノマーの単独重合体・共重合体;これらの
モノマーと、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸
エステル・(メタ)アクリルアミド・(メタ)アクリロ
ニトリル等の(メタ)アクリル系モノマー、α−クロル
メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル系モノマー
置換体、マイレン酸、マレイン酸エステル、スチレン・
p−クロルスチレン・ビニルトルエン等のスチレン系モ
ノマー、エチレン・プロピレン等のオレフィン類、ブタ
ジエン等のジエンまたはトリエン類、酢酸ビニル・塩化
ビニル・ビニルメチルエーテル・ビニルブチラール・ビ
ニルアルコール等のビニル系モノマー、ビニルトリメト
キシシラン・メタクリロキシトリメトキシシラン等の重
合性有機ケイ素化合物などの重合性モノマーとの共重合
体;前記ポリアミド樹脂系ポリマーのうちのアミノ基を
有するポリマー;前記アミノ樹脂系ポリマー;末端また
は側鎖にジメチルアミノ基あるいはアミノプロピル基な
どを有するポリジメチルシロキサンなどのごとく、末端
および/または側鎖にアミノ基を有するアミノ変性オル
ガノポリシロキサン系ポリマー;ポリエチレンイミン、
ポリプロピレンイミン等のアルキレンイミンの重合体;
ピロリジン、ピペリジン等の重合体;ハロゲン化ポリジ
アリルアンモニウム;アイオネン系化合物;キトサン;
テトラメチルポルフィン、テトラフェニルポルフィン等
のポルフィン類などが例示される。
【0075】1個以上のアミド基を有するポリマーとし
ては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアミド基
含有重合性モノマーの単独重合体・共重合体;これらの
モノマーと、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸
エステル・(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アク
リル系モノマー、α−クロルメタクリル酸メチルなどの
(メタ)アクリル系モノマー置換体、マレイン酸、マレ
イン酸エステル、スチレン・p−クロルスチレン・ビニ
ルトルエン等のスチレン系モノマー、エチレン・プロピ
レン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエンまたはト
リエン類、酢酸ビニル・塩化ビニル・ビニルメチルエー
テル・ビニルブチラール・ビニルアルコール等のビニル
系モノマー、ビニルトリメトキシシラン・メタクリロキ
シトリメトキシシラン等の重合性有機ケイ素化合物など
の重合性モノマーとの共重合体;前記ポリアミド樹脂系
ポリマー;末端および/または側鎖にアミド基を含有す
るアミド変性オルガノポリシロキサン系ポリマーなどが
例示される。
【0076】1個以上のイミド結合を有するポリマーと
しては、たとえば、前記ポリイミド樹脂系ポリマーなど
が例示される。1個以上のアルコール性水酸基を有する
ポリマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、グリセリンジメタクリレート、グリセロール
モノメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−
2−ヒドロキシエチルフタル酸、ペンタエリスリトール
トリアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプ
ロピルアクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシ−
(メタ)アクリル酸付加物、ビニルアルコール等の水酸
基含有重合性モノマーの単独重合体・共重合体;これら
のモノマーと、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル
酸エステル・(メタ)アクリロニトリル・(メタ)アク
リルアミド等の(メタ)アクリル系モノマー、α−クロ
ルメタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル系モノマ
ー置換体、マレイン酸、マレイン酸エステル、スチレン
・p−クロルスチレン・ビニルトルエン等のスチレン系
モノマー、エチレン・プロピレン等のオレフィン類、ブ
タジエン等のジエンまたはトリエン類、酢酸ビニル・塩
化ビニル・ビニルメチルエーテル・ビニルブチラール等
のビニル系モノマー、ビニルトリメトキシシラン・メタ
クリロキシトリメトキシシラン等の重合性有機ケイ素化
合物などの重合性モノマーとの共重合体;ヒドロキシプ
ロピルセルロース・メチルセルロース・ヒドロキシエチ
ルメチルセルロース等のセルロース系ポリマー;脂肪族
ジカルボン酸等の多塩基酸とポリアミンとの縮合反応に
より得られるポリアミド樹脂系ポリマー;末端がカルビ
ノール、ヒドロキシプロピルとなっているポリジメチル
シロキサン、ポリジメチル−ヒドロキシアルキレンオキ
シドメチルシロキサンなど末端および/または側鎖にア
ルコール性水酸基を含有するオルガノポリシロキサン系
ポリマーなどが例示される。
【0077】1個以上のフェノール性水酸基を有するポ
リマーとしては、たとえば、前記フェノール樹脂系ポリ
マーなどが例示される。1個以上のカルボン酸エステル
結合を有するポリマーとしては、たとえば、メチルメタ
クリレート・エチルメタクリレート・ブチルメタクリレ
ート・イソブチルメタクリレート・イソアミルアクリレ
ート・2−エチルヘキシルメタクリレート・イソデシル
メタクリレート・n−ラウリル(メタ)アクリレート・
ベンジルアクリレート・トリデシルメタクリレート・n
−ステアリル(メタ)アクリレート・イソオクチルアク
リレート・イソステアリルメタクリレート・ベヘニルメ
タクリレート・ブトキシエチルアクリレート・メトキシ
ジエチレングリコールメタクリレート・n−ブトキシエ
チルメタクリレート・2−フェノキシエチル(メタ)ア
クリレート・メトキシジエチレングリコールアクリレー
ト・メトキシポリエチレングリコールメタクリレート・
シクロヘキシルメタクリレート・テトラヒドロフルフリ
ル(メタ)アクリレート・イソボルニル(メタ)アクリ
レート・ベンジルメタクリレート・エチレングリコール
ジメタクリレート・ジエチレングリコールジメタクリレ
ート・1,4−ブタンジオールジメタクリレート・1,
6−ヘキサンジオールジメタクリレート・トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート・グリセリンジメ
タクリレート・トリフロロエチルメタクリレート・ペン
タエリスリトールトリアクリレート・ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート・ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート・ネオペンチルグリコールアクリル安息
香酸エステル・3−アクリロイルオキシグリセリンモノ
メタクリレート・プロピレンオキシド変成ビスフェノー
ルAジアクリレート・水添ジシクロペンタジエニルジア
クリレート・パーフロロオクチルエチルアクリレート等
の(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸メチル・
マレイン酸ブチルなどのマレイン酸エステル類、酢酸ビ
ニル、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど
のカルボン酸エステル含有重合性モノマーの単独重合体
・共重合体;これらのモノマーと、他のモノマー((メ
タ)アクリル酸・(メタ)アクリロニトリル・(メタ)
アクリルアミド等の(メタ)アクリル系モノマー、マレ
イン酸、スチレン・p−クロルスチレン・ビニルトルエ
ン等のスチレン系モノマー、エチレン・プロピレン等の
オレフィン類、ブタジエン等のジエンまたはトリエン
類、塩化ビニル・ビニルメチルエーテル・ビニルアルコ
ール・ビニルブチラール等のビニル系モノマー、ビニル
トリメトキシシラン等の重合性有機ケイ素化合物などの
重合性モノマーとの共重合体;前記ポリエステル樹脂系
ポリマー;末端がアセトキシ、ステアリロキシ等のポリ
ジメチルシロキサンなど末端および/または側鎖にエス
テル結合を含有するオルガノポリシロキサン系ポリマー
などが例示される。
【0078】1個以上のウレタン基および/またはウレ
タン結合を有するポリマーとしては、たとえば、前記ポ
リウレタン樹脂系ポリマーなどが例示される。1個以上
のウレイド基および/またはウレイレン結合を有するポ
リマーとしては、たとえば、ノナメチレンジアミンと尿
素との重縮合反応で得られるポリ尿素などが例示され
る。
【0079】1個以上のイソシアネート基を有するポリ
マーとしては、たとえば、ポリメチレンポリフェニルポ
リイソシアネート;ポリオール変性イソシアネート;ヘ
キサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシア
ネート等の多官能芳香族または多官能脂肪族イソシアネ
ート化合物を、アミノ基、カルボキシル基、水酸基等の
活性水素を有する官能基を含有する(プレ)ポリマーと
反応(該イソシアネート化合物中に含まれるイソシアネ
ート基のうちの一部を活性水素を有する官能基と反応)
させて得られるポリマーなどが例示される。
【0080】1個以上のエポキシ基を有するポリマーと
しては、たとえば、グリシジルメタクリレート、N−
〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメ
チルベンジル〕アクリルアミドなどのエポキシ基含有
(メタ)アクリル系モノマーのごとくエポキシ基含有重
合性モノマーの単独重合体・共重合体;これらのモノマ
ーと、重合過程においてエポキシ基と反応しない、たと
えば(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル
系モノマー、α−クロルメタクリル酸メチルなどの(メ
タ)アクリル系モノマー置換体、マレイン酸エステル、
スチレン・p−クロルスチレン・ビニルトルエン等のス
チレン系モノマー、エチレン・プロピレン等のオレフィ
ン類、ブタジエン等のジエンまたはトリエン類、酢酸ビ
ニル・塩化ビニル・ビニルメチルエーテル・ビニルブチ
ラール・ビニルアルコール等のビニル系モノマー、ビニ
ルトリメトキシシラン・メタクリロキシトリメトキシシ
ラン等の重合性有機ケイ素化合物などの重合性モノマー
との共重合体;前記エポキシ樹脂系ポリマー;末端にグ
リシドキシプロピルなどを有するポリジメチルシロキサ
ン、ポリグリシドキシプロピルメチルシロキサン、ポリ
グリシドキシプロピルメチル−ジメチルシロキサンコポ
リマーなどのごとく末端および/または側鎖にグリシド
キシ基を含有するオルガノポリシロキサン系ポリマーな
どが例示される。
【0081】1個以上のリン酸基を有するポリマーとし
ては、たとえば、モノ(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオ
キシエチル)アシッドホスフェート、2−アクリロイル
オキシエチルアシッドホスフェートなどのリン酸基含有
重合性モノマーの単独重合体・共重合体;これらのモノ
マーと、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エス
テル・(メタ)アクリロニトリル・(メタ)アクリルア
ミド等の(メタ)アクリル系モノマー、α−クロルメタ
クリル酸メチルなどの(メタ)アクリル系モノマー置換
体、マレイン酸、マレイン酸エステル、スチレン・p−
クロルスチレン・ビニルトルエン等のスチレン系モノマ
ー、エチレン・プロピレン等のオレフィン類、ブタジエ
ン等のジエンまたはトリエン類、酢酸ビニル・塩化ビニ
ル・ビニルメチルエーテル・ビニルアルコール・ビニル
ブチラール等のビニル系モノマー、ビニルトリメトキシ
シラン・メタクリロキシトリメトキシシラン等の重合性
有機ケイ素化合物などの重合性モノマーとの共重合体な
どが例示される。
【0082】1個以上の金属水酸基および/または金属
アルコキシ基を有するポリマーとしては、たとえば、メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシランのごとく重合
可能な二重結合を有するケイ素化合物と、(メタ)アク
リル酸・(メタ)アクリル酸エステル・(メタ)アクリ
ロニトリル・(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アク
リル系モノマー、α−クロルメタクリル酸メチルなどの
(メタ)アクリル系モノマー置換体、マレイン酸、マレ
イン酸エステル、スチレン・p−クロルスチレン・ビニ
ルトルエン等のスチレン系モノマー、エチレン・プロピ
レン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエンまたはト
リエン類、酢酸ビニル・塩化ビニル・ビニルメチルエー
テル等のビニル系モノマー、ビニルトリメトキシシラン
・メタクリロキシトリメトキシシラン等の重合性有機ケ
イ素化合物などの重合性モノマーとの共重合体;および
これらの共重合体中のアルコキシシリル基を(部分)加
水分解してなるポリマー;末端がシラノールであるポリ
ジメチルシロキサン、末端がシラノールであるポリジフ
ェニルシロキサン、末端がシラノールであるポリジメチ
ル−ジフェニルシロキサン、ポリテトラメチル−p−シ
ルフェニレンシロキサンなどのシラノール基含有オルガ
ノポリシロキサン類;(N−トリメトキシシリルプロピ
ル)ポリエチレンイミン、(N−トリメトキシシリルプ
ロピル)−o−ポリエチレンオキサイドウレタン、トリ
エトキシシリル変性ポリ(1,2−ブタジエン)および
これらのポリマー中のアルコキシシリル基を(部分)加
水分解してなるポリマー;前記アクリルシリコーン樹脂
系ポリマーなどが例示される。
【0083】さらに、1個以上の金属水酸基および/ま
たは金属アルコキシ基を有するポリマーとして、ポリシ
ロキサン基含有ポリマーを挙げることができる。本発明
でいうポリシロキサン基とは、2個以上のSi原子がシ
ロキサン結合(Si−O−Si)により直鎖状または分
岐状に連結してなり、Si原子に結合した少なくとも1
個のアルコキシ基、水酸基、あるいは加水分解により水
酸基を生成し得るアシロキシ基、アセトキシ基からなる
群から選ばれる少なくとも1種の基(以下、X基)を有
するポリシロキサン鎖を言い、本発明でいうポリシロキ
サン基含有ポリマーとは、該ポリシロキサン基を、1分
子中に少なくとも1個有し、しかも、任意のポリマー
(以下ポリマーP)とポリシロキサン基が複合化したポ
リマーと定義される。ポリシロキサン基含有ポリマーの
分子量は数平均分子量が1000以上であれば特に限定
されない。また、該ポリマーに於ける、ポリシロキサン
基、ポリマー(P)の分子量に関しても特に制限はな
い。ポリシロキサン基は、ポリシロキサン基含有ポリマ
ー1分子当たり少なくとも1個であり、さらに限定され
ないが、例えば、単一粒子レベル(超微粒子)で分散す
る微粒子とするためには、1〜3個が好ましい。3個を
超えて存在すると、該ポリマーが凝集剤的に作用するた
め、単一粒子レベルで分散した微粒子とはなり難い。凝
集体微粒子や中空体微粒子を得たい場合には、ポリシロ
キサン基含有ポリマー1分子当たりのポリシロキサン基
の多いポリマーを使用すればよい。
【0084】ポリシロキサン基は、Si原子に直接結合
したX基以外に、置換されていてもよい、アルキル基、
アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、アシル
基、または水素原子から選ばれる少なくとも1種の基を
有していてもよい。ポリマーPの組成は特に限定されな
いが、通常、前記した(1)〜(14)のポリマーが、
例示される。
【0085】ポリマーPとポリシロキサン基との複合形
態は任意であり、例えば、ポリマーPを主鎖としこれ
にポリシロキサン基が結合しているもの、ポリシロキ
サン基を主鎖としてこれにポリマーPが結合しているも
の、ポリシロキサン鎖とポリマーPが交互に結合し、
線状構造あるいは環状構造を形成しているもの等が例示
される。ポリマーと複合化した酸化亜鉛系微粒子を合成
するという目的に於いては、いずれの形態のものも有効
である。
【0086】このようなポリシロキサン基含有ポリシロ
キサンの合成法としては、例えば、 ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン(ポ
リマーP)に、C=C等の重合性基を有するポリシロキ
サン(重合性ポリシロキサン)をヒドロシリル化反応を
利用してオルガノポリシロキサンとポリシロキサンとを
複合化する方法、 重合性ポリシロキサンと、(メタ)アクリル系、ビニ
ル系等の重合性モノマーとを共重合することにより合成
する方法、 前記したX基との反応により結合を形成し得る官能基
との反応を利用する方法で、アルコール性水酸基、カル
ボキシル基、金属アルコキシ基等を有するポリマー
(P)とポリシロキサン基とを共存させ加熱することに
より、ポリマー(P)とポリシロキサン基とが、Si−
OーC結合、Si−OCO結合を介して複合化する方
法、等が例示される。中でも、の方法は、ポリマー
(P)の組成を比較的任意に選択できるため、ポリマー
の極性パラメータを任意に制御できる方法であり、ま
た、ポリシロキサン基がSi−C結合によって、ポリマ
ー(P)と直接又は間接的に結合した構造を有し、熱安
定性、耐溶剤性に優れたポリマーが得られ、しかも経済
性に優れた方法であることから、好ましい。
【0087】該方法および該方法で得られるポリシロキ
サン基含有ポリマーについては、特開平6−22845
7号公報に含ケイ素ポリマーとして詳細に記載されてい
る。重合性ポリシロキサンは、例えば、重合性シラン化
合物と非重合性シラン化合物との共加水分解縮合反応に
より得られる。重合性シラン化合物とは、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシエトキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキ
シシラン、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−オ
クテニルトリメトキシシラン、ビニロキシプロピルトリ
メトキシシラン、3ービニルフェニルトリメトキシシラ
ン、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリメトキ
シシラン、等の如く、重合性基を有するシラン化合物で
ある。
【0088】非重合性シラン化合物とは、例えば、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブト
キシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、等のテトラ
アルコキシシラン等の4官能シランモノマー;メチルト
リメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、
オクチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキ
シシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアリールト
リアルコキシシラン、フェニルトリヒドロキシシラン、
アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン等の3官能シランモノマー、ジメチルジ
メトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェ
ニルジヒドロキシシラン等の2官能シランモノマー、な
どが例示される。
【0089】1個以上のスルホン酸基を有するポリマー
としては、たとえば、アクリルアミドメタンスルホン
酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、これらのナトリウム塩等のごとくスルホン酸基含有
重合性モノマーの単独重合体・共重合体;これらのモノ
マーと、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エス
テル・(メタ)アクリロニトリル・(メタ)アクリルア
ミド等の(メタ)アクリル系モノマー、α−クロルメタ
クリル酸メチルなどの(メタ)アクリル系モノマー置換
体、マレイン酸、マレイン酸エステル、スチレン・p−
クロルスチレン・ビニルトルエン等のスチレン系モノマ
ー、エチレン・プロピレン等のオレフィン類、ブタジエ
ン等のジエンまたはトリエン類、酢酸ビニル・塩化ビニ
ル・ビニルメチルエーテル・ビニルアルコール・ビニル
ブチラール等のビニル系モノマー、ビニルトリメトキシ
シラン・メタクリロキシトリメトキシシラン等の重合性
有機ケイ素化合物などの重合性モノマーとの共重合体;
スチレン系ポリマーに濃硫酸、クロロスルホン酸、無水
硫酸等のスルホン化剤を作用させて得られるスルホン酸
基含有ポリマーなどが例示される。
【0090】その他の極性の原子団を有するポリマーと
しては、たとえば、オキサゾリン、2−メチルオキサゾ
リン等を開環重合して得られるポリ−N−ホルミルエチ
レンイミン、ポリ−N−アセチルエチレンイミンなどの
如く(2−)置換オキサゾリンおよび/または(2−置
換)オキサジン等の環状イミノエーテル類の開環化合
物;オキサゾリンとβ−プロピオラクトンの交互共重合
体のごとく環状イミノエーテル類とラクトン類との開環
共重合体など、少なくとも1つの官能基を有するポリマ
ーのうち、金属イオンが配位し得る配位基(官能基)を
有するキレート樹脂に使用される構造のポリマー(たと
えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルトリアクリル
メタン、ポリビニルメタクリロイルアセトン、ポリ(4
−ヒドロキシスチレン)、ピロガロールフェノールホル
ムアルデヒド樹脂、サリチル酸ホルムアルデヒド樹脂、
ポリビニルサリチル酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸、ポリイタコン酸、アミノフェノールホルムアルデ
ヒド樹脂、ポリ(8−ヒドロキシ−5−ビニルキノリ
ン)、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリ
(4−アミノスチレン)、ポリ(3−ビニルアニリ
ン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニル
ビピリジン)、ポリ(4−ビニルイミダゾール)、ポリ
ビニルピロール、ポリグリシン、ポリ(α−L−アラニ
ン)など)に金属イオンを部分的にあるいはすべての配
位基(官能基)に吸着配位させてなるポリマー;カルボ
キシル基、スルホン酸基などが、ナトリウム・カリウム
等のアルカリ金属、マグネシウム・カルシウム等のアル
カリ土類金属などの金属塩の形になったポリマーなどが
例示される。
【0091】前記(1)〜(14)で例示したポリマー
のうち、(メタ)アクリル系、スチレン系、ビニル系、
これらの共重合系、アルキド系、ポリエステル系、およ
びポリアミド系からなる群から選ばれる少なくとも1つ
の主鎖と、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、シラ
ノール基、およびアルコキシシリル基からなる群から選
ばれる少なくとも1つの極性の原子団を有するポリマ
ー、または、前記したポリシロキサン基含有ポリマーと
の複合粒子、あるいは表面修飾微粒子は、樹脂に対する
親和性および分散性に特に優れる点で好ましい。
【0092】本発明の表面修飾微粒子に於ける、表面修
飾層は、その組成が、無機質、有機質、無機ー有機複合
組成のいずれでもよい。微粒子の使用目的によって、適
宜選択される。本発明の微粒子を、塗料組成物、樹脂組
成物に使用する場合には、これらの組成物中に於ける分
散性が高いことが好ましく、一方、表面修飾層とバルク
の金属酸化物共沈体からなる単一粒子との付着力、およ
び表面修飾層および微粒子の化学的、熱的安定性等の観
点から、バランスのとれた表面修飾層としては、無機−
有機複合組成であることが好ましい。
【0093】表面修飾微粒子の表面修飾層は、金属酸化
物共沈体からなる単一粒子の表面を完全に被覆した連続
層を形成しなるものでも、表面修飾剤が不連続的に存在
するものでもよい。また、該微粒子に於ける表面修飾層
の割合や、厚みは、特に限定されない。表面修飾層とし
ては、シリカ、チタニア等の金属酸化物被膜や、ポリシ
ロキサン等のメタロキサン鎖が互いに架橋または単独で
表面にZn−O−M結合等により結合してなる層、有機
化合物が、吸着、水素結合、またはZn−O−C等の化
学結合により、形成された有機化合物層等が例示され
る。表面修飾剤による溶媒、樹脂等に対する分散性改善
効果、酸やアルカリによる変質、炭酸ガスによる変質等
の低減といった耐薬品性、耐ガス性改善効果、耐熱酸化
性(高温暴露時の酸化に対する耐性、結晶成長防止性な
ど)改善効果、触媒活性の低減または向上効果などいず
れかの修飾効果が実質的にあらわれればよい。
【0094】しかし、表面修飾層は、その修飾効果を十
分に発揮するためには、表面にできるだけ均一に存在し
ていることが好ましく、金属酸化物(亜鉛とIII B族、
IVB族金属を金属成分とする酸化物)に対する表面修飾
層の割合が、重量比で0.01〜1であることが好まし
い。該重量比が1を超えても表面修飾効果が飽和するた
め経済的に不利となる。修飾効果と経済性の観点から、
特に好ましい重量比は、0.02〜0.5である。
【0095】また、表面修飾微粒子の平均粒子径、形状
などは特に限定されない。しかし、後述する透明な紫外
線・赤外線カットフィルム等の透明性を重要視される用
途に於いては、透明性を十分に発揮するためには、粒子
径が微細であって、かつ塗料組成物、樹脂組成物などへ
の極めて高い分散性が要求されるため、平均粒子径が
0.1μm以下、更に0.05μm以下であることが好
ましい微粒子の表面修飾微粒子は特に重要となる。
【0096】表面修飾剤は、その組成、分子量等に於い
て何ら限定されない。前記したポリマー(本発明の酸化
亜鉛系微粒子の製法において系を100℃以上の温度に
保持する際にこの系に共存させるポリマー)、粒子径制
御などの目的で使用される前記または後述の特定の官能
基を有する添加剤化合物(本発明の酸化亜鉛系微粒子の
製法において系を100℃以上の温度に保持する際にこ
の系に共存させる添加化合物)などを使用することがで
きる。
【0097】しかし、上述したように、塗料組成物、樹
脂組成物などに使用する目的に於いては、表面修飾層と
しては、無機−有機複合組成であることが好ましく、こ
のような観点から、前記したポリシロキサン基含有ポリ
マーが好ましい。表面修飾剤として特に好ましい、ポリ
シロキサン基含有ポリマーの好ましい態様について以下
に述べる。ポリシロキサン基含有ポリマーの分子量は、
数平均分子量が1000以上であれば特に限定されない
が、微粒子が溶媒や樹脂中で凝集することなく高分散性
に優れるという点から、1000以上100万以下が好
ましく、さらに2000以上10万以下が好ましい。該
ポリマーに於ける、ポリシロキサン基、ポリマー(P)
の分子量に関しても特に制限はない。しかし、該ポリマ
ーと微粒子表面との反応性、結合力あるいは親和力が高
いという点から、ポリシロキサン基の有するSi原子の
個数は、ポリシロキサン基1個当たりの平均で4以上が
好ましく、11以上が更に好ましい。ポリシロキサン基
は、ポリシロキサン基含有ポリマー1分子当たり少なく
とも1個であり、単一粒子レベル(超微粒子)で分散す
る微粒子とするためには、1〜3個が好ましい。3個を
超えて存在すると、該ポリマーが凝集剤的に作用するた
め、単一粒子レベルで分散した微粒子とはなり難い。
【0098】以下、本発明の製法を詳しく説明する。本
発明の製法は、たとえば、前記の亜鉛源とモノカルボン
酸とを少なくともアルコールからなる媒体中に溶解また
は分散してなる混合物(m)を、III B族金属元素とIV
B族金属元素とからなる群のうちから選ばれた少なくと
も1種の添加元素(以下では「金属(M)」と言うこと
がある)を含む化合物(この化合物は、金属単体や合金
などの金属をも含む概念である。以下では、「金属
(M)化合物」ということがある)の共存下で100℃
以上の温度に保持することにより、金属元素の総原子数
に対する原子数の比で、亜鉛80〜99.9%と金属
(M)0.1〜20%とを含む金属酸化物の結晶性共沈
物からなる酸化亜鉛系微粒子を析出させる製法である。
【0099】前記亜鉛源は、モノカルボン酸とアルコー
ルとを含む混合物(m)を加熱することにより、X線回
折学的に結晶性の酸化亜鉛に転換され、このとき、媒体
中に金属(M)化合物が共存することにより、本発明の
酸化亜鉛系微粒子を含む分散体が得られる。そのとき出
発物質として前記亜鉛源と前記モノカルボン酸と前記ア
ルコールとの3成分のうち1つでも欠けると、酸化亜鉛
結晶の析出反応は起こらず、また、金属(M)が存在し
ないと本発明の酸化亜鉛系微粒子は得られない。
【0100】本発明に使用される亜鉛は、金属亜鉛およ
び亜鉛化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの
亜鉛源から供給される。亜鉛源は特に限定されないが、
金属亜鉛(亜鉛末)、酸化亜鉛(亜鉛華等)、水酸化亜
鉛、塩基性炭酸亜鉛、置換基があってもよいモノ−また
はジ−カルボン酸塩(たとえば、酢酸亜鉛、オクチル酸
亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛 乳酸亜鉛、酒
石酸亜鉛およびナフテン酸亜鉛)からなる群のうちから
選ばれた少なくとも1つが好ましい。これらの亜鉛源を
用いるときには脱塩工程が不要となり、脱塩工程が必要
な塩化亜鉛、硝酸亜鉛または硫酸亜鉛を使用するときに
比べて工程が少なくなる。
【0101】中でも、金属亜鉛(亜鉛末)、酸化亜鉛
(亜鉛華)、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛および酢酸亜
鉛からなる群のうちから選ばれた少なくとも1つの亜鉛
源は、安価で取扱いが容易な点で好ましい。酸化亜鉛、
水酸化亜鉛および酢酸亜鉛からなる群のうちから選ばれ
た少なくとも1つの亜鉛源は、加熱過程に於ける酸化亜
鉛の結晶の生成反応を阻害するような不純物を実質的に
含まず、しかも、結晶と微粒子との大きさと形状を制御
しやすいので、さらに好ましい。
【0102】酸化亜鉛および/または水酸化亜鉛は安価
に入手できるばかりかモノカルボン酸の種類を任意に選
択できることに加えて、これらの原料を用いることによ
り形状または粒子径等の制御された微粒子が特に得られ
易いので、特に好ましい。亜鉛源の量は、亜鉛源、モノ
カルボン酸および前記媒体の合計量に対して、ZnO換
算で、たとえば0.1〜95重量%、好ましくは0.5
〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
前記範囲を下回ると生産性が低くなるおそれがあり、上
回ると微粒子同士の2次凝集が起こり易くなり、分散性
が良く粒度分布の揃った微粒子が得にくくなるおそれが
ある。
【0103】本発明に使用されるモノカルボン酸は、分
子内にカルボキシル基を1個だけ有する化合物である。
該化合物の具体例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ
酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸(飽
和モノカルボン酸);アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、オレイン酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸(不
飽和モノカルボン酸);シクロヘキサンカルボン酸等の
環式飽和モノカルボン酸類;安息香酸、フェニル酢酸、
トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸;無水酢酸等の上
記モノカルボン酸無水物;トリフルオロ酢酸、モノクロ
ル酢酸、o−クロロ安息香酸等のハロゲン含有モノカル
ボン酸;乳酸などである。これらの化合物のうちのいず
れかが単独で使用されたり、2以上の化合物が併用され
る。
【0104】好ましいモノカルボン酸は、1気圧で20
0℃以下の沸点を有する飽和脂肪酸である。具体的に
は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸が好ま
しい。その理由は、混合物の調製過程から加熱する過程
において反応系内に於けるモノカルボン酸の含有量を制
御し易く、従って酸化亜鉛結晶の析出反応を厳密に制御
し易いからである。該飽和脂肪酸は、モノカルボン酸総
量に対して、60〜100モル%の範囲で使用すること
が好ましく、80〜100モル%の範囲で使用すること
がより好ましい。前記範囲を下回ると得られる微粒子に
おける酸化亜鉛の結晶性が低くなるおそれがある。
【0105】モノカルボン酸としては、酢酸亜鉛等の亜
鉛のモノカルボン酸塩も含まれ、該亜鉛塩を使用する場
合は、原料として必ずしも前記モノカルボン酸を別途添
加する必要はない。本発明の製造方法におけるモノカル
ボン酸の使用(または仕込み)量は、亜鉛源のZn原子
の量に対するモル比で、たとえば0.5〜50、好まし
くは2.2〜10である。前記範囲内であると経済性、
微粒子の生成し易さ、凝集しにくく分散性に優れる微粒
子の得られ易さ等の点で好ましい。前記範囲を下回ると
ZnO結晶性の良い酸化亜鉛系微粒子や形状および粒子
径等の均一性に富む微粒子が得られにくいおそれがあ
り、上回ると経済性の低下につながるばかりか、分散性
の良い微粒子が得られにくいことがある。
【0106】本発明に用いられるアルコールは、脂肪族
1価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコール、n−ブタノール、t−ブチルアルコー
ル、ステアリルアルコール等)、脂肪族不飽和1価アル
コール(アリルアルコール、クロチルアルコール、プロ
パギルアルコール等)、脂環式1価アルコール(シクロ
ペンタノール、シクロヘキサノール等)、芳香族1価ア
ルコール(ベンジルアルコール、シンナミルアルコー
ル、メチルフェニルカルビノール等)、複素環式1価ア
ルコール(フルフリルアルコール等)等の1価アルコー
ル類;アルキレングリコール(エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
10−デカンジオール、ピナコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール等)、芳香環を有する脂
肪族グリコール類(ヒドロベンゾイン、ベンズピナコー
ル、フタリルアルコール等)、脂環式グリコール類(シ
クロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−
1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール
等)、ポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール等)等のグリコ
ール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノア
セテート等の上記グリコール類のモノエーテル及びモノ
エステル;ヒドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオー
ル及びこれらのモノエーテル及びモノエステル;グリセ
リン等の3価アルコール及びこれらのモノエーテル、モ
ノエステル、ジエーテル及びジエステルなどである。こ
れらのアルコールのうちのいずれか1つを単独で使用し
ても良く、あるいは、2以上を併用してもよい。
【0107】少なくともアルコールからなる媒体におけ
るアルコールの量は、特に限定されないが、酸化亜鉛系
微粒子生成反応を短時間で行わせる為には、亜鉛源に由
来するZn原子に対するアルコールのモル比で、たとえ
ば1〜100、好ましくは5〜80、より好ましくは1
0〜50である。前記範囲を下回るとZnO結晶性の良
い酸化亜鉛系微粒子が得られにくく、または、分散性、
形状・粒子径の均一性において優れる微粒子が得られに
くくなるおそれがあり、上回ると経済的に不利であるお
それがある。
【0108】前記媒体は、上記アルコールのみからなる
媒体、上記アルコールと水との混合溶媒、上記アルコー
ルと、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、エー
テル類等の、アルコール以外の有機溶剤との混合溶媒な
どであり、上記アルコールと他の溶媒との比率は、混合
物(m)を調製するために使用した仕込み(使用)料換
算で、アルコール5〜100重量%、好ましくは40〜
100重量%、より好ましくは60〜100重量%であ
る。アルコールの量が前記範囲を下回ると結晶性、形状
・粒子径の均一性、分散性において良好な微粒子が得に
くくなるおそれがある。
【0109】本発明の製法に使用される金属(M)化合
物としては、たとえば、金属(M)の、金属単体、合金
などの金属;酸化物;水酸化物;(塩基性)炭酸塩、硝
酸塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物等のハロゲン化物等の
無機塩類;酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ラウリン
酸塩等のカルボン酸塩;金属アルコキシド類;β−ジケ
トン、ヒドロキシカルボン酸、ケトエステル、ケトアル
コール、アミノアルコール、グリコール、キノリン等と
の金属キレート化合物、などの3価または4価の金属
(A)を含有する全ての化合物;In,Tl等のように
複数の原子価をとり得る金属元素の場合、微粒子生成過
程で最終的に3価または4価に変化し得る低原子価の金
属を含有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも
1つの化合物(この化合物は、金属単体や合金などの金
属をも含む概念である)が使用される。
【0110】III B族金属元素としてアルミニウムが使
用される場合には、アルミニウムを含む化合物としてた
とえば、アルミニウム,水酸化アルミニウム、酸化アル
ミニウム、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、硝
酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミ
ニウム、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、ア
ルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシ
ド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウム
トリ−n−ブトキシド、アセトアルコキシアルミニウム
ジイソプロピレート、アルミニウムラウレート、アルミ
ニウムステアレート、ジイソプロポキシアルミニウムス
テアレート、エチルアセトアセテ−トアルミニウムジイ
ソプロピレート等が使用される。
【0111】III B族金属元素としてホウ素が使用され
る場合には、ホウ素を含む化合物としてたとえば、ボロ
ントリオキサイド、ほう酸、シュウ化ホウ素、ボロント
リフルオライドジエチルエーテル錯体、ボロントリフル
オライドモノエチルアミン錯体、トリメチルボレート、
トリエチルボレート、トリエトキシボラン、トリ−n−
ブチルボラートなどが使用される。
【0112】III B族金属元素としてガリウムが使用さ
れる場合には、ガリウムを含む化合物としてたとえば、
ガリウム、水酸化ガリウム、酸化ガリウム、塩化ガリウ
ム(III) 、臭化ガリウム(III) 、硝酸ガリウム(III) 、
硫酸ガリウム(III) 、硫酸ガリウムアンモニウム、トリ
エトキシガリウム、トリ−n−ブトキシガリウム等が使
用される。
【0113】III B族金属元素としてインジウムが使用
される場合には、インジウムを含む化合物としてたとえ
ば、インジウム、酸化インジウム(III) 、水酸化インジ
ウム(III) 、硫酸インジウム(III) 、塩化インジウム(I
II) 、フッ化インジウム(III) 、ヨウ化インジウム(II
I) 、インジウムイソプロポキシド、酢酸インジウム(II
I) 、トリエトキシインジウム、トリ−n−ブトキシイ
ンジウムなどが使用される。
【0114】III B族金属元素としてタリウムが使用さ
れる場合には、タリウムを含む化合物としてたとえば、
タリウム、酸化タリウム(I)、酸化タリウム(III) 、
塩基性水酸化タリウム(I)、塩化タリウム(I)、ヨ
ウ化タリウム(I)、硝酸タリウム(I)、硫酸タリウ
ム(I)、硫酸水素タリウム(I)、塩基性硫酸タリウ
ム(I)、酢酸タリウム(I)、ぎ酸タリウム(I)、
マロン酸タリウム(I)、塩化タリウム(III) 、硝酸タ
リウム(III) 、炭酸タリウム(III) 、硫酸タリウム(II
I) 、硫酸水素タリウム(III) などが使用される。
【0115】IVB族金属元素としてシリコンが使用され
る場合には、シリコンを含む化合物としてたとえば、シ
リコン、酸化珪素、テトラメトキシシラン、テトラエト
キキシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシ
ラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、III −グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、III −(II−アミノ
エチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリ
メチルエトキシシラン、ヒドロキシエチルトリエトキシ
シラン等のアルキルアルコキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメト
キシシラン、ステアリルトリメトキシシラン等のシラン
カップリング剤などのシリコンアルコキシド化合物;4
塩化珪素、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン
等のクロロシラン類;トリアセトキシシラン等のアセト
キシシラン類などが使用される。
【0116】IVB族金属元素としてゲルマニウムが使用
される場合には、ゲルマニウムを含む化合物としてたと
えば、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム(IV)、塩化ゲル
マニウム(IV)、ヨウ化ゲルマニウム(IV)、酢酸ゲルマニ
ウム(IV)、塩化ゲルマニウム(IV)ビビリジル錯体、β−
カルボキシエチルゲルマニウムセスキオキシド、ゲルマ
ニウム(IV)エトキシドなどが使用される。
【0117】IVB族金属元素としてスズが使用される場
合には、スズを含む化合物としてたとえば、スズ、酸化
錫(IV)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(IV)、ジ−n−ブチル
スズ(IV)ジクロライド、ジ−n−ブチルスズ(IV)ジラウ
レート、ジ−n−ブチルスズ(IV)マレート(重合体)、
ジ−n−ブチルスズ(IV)オキサイド、ジ−n−メチルス
ズ(IV)ジクロライド、ジ−n−オクチルスズ(IV)マレー
ト(重合体)、ジ−n−オクチルスズ(IV)オキサイド、
ジフェニルスズ(IV)ジクロライド、モノ−n−ブチルス
ズ(IV)オキサイド、テトラ−n−ブチルスズ(IV)、シュ
ウ酸スズ(II)、トリ−n−ブチルスズ(IV)アセテート、
トリブチルスズエトキシド、トリメチルスズクロライ
ド、トリフェニルスズアセテート、トリフェニルスズ(I
V)ハイドロキシド、テトラエトキシスズ、テトラ−n−
ブトキシスズなどが使用される。
【0118】IVB族金属元素として鉛が使用される場合
には、鉛を含む化合物としてたとえば、鉛、酢酸鉛(I
V)、塩化鉛(IV)、フッ化鉛(IV)、酸化鉛(IV)、酸化鉛(I
I+IV)、シュウ酸鉛(II)などが使用される。また、金属
(M)の酸化物;水酸化物としては、粉末状でもよい
が、アルミナゾル,シリカゾルなどコロイダルレベルの
金属酸化物および/または金属水酸化物の水性ゾルやア
ルコールゾル等も使用できる。
【0119】本発明の製法は、たとえば、下記の工程I
〜III を必須工程として有し、かつ、工程I、工程IIお
よび工程III のうちのいずれか一つ又は二つ以上の工程
において金属(M)化合物を添加することができる。 (I) 亜鉛源とモノカルボン酸とからなる混合物
(n)を作る第1の工程。 (II) 混合物(n)を少なくともアルコールからなる
媒体と混合することにより、亜鉛源およびモノカルボン
酸が少なくともアルコールからなる媒体中に溶解または
分散されている混合物(m)を作る第2の工程。
【0120】(III) 混合物(m)を100℃以上の温
度に保持することにより、金属元素の総原子数に対する
原子数の比で、亜鉛80〜99.9%と金属(M)0.
1〜20%とを含む金属酸化物の結晶性共沈物からなる
酸化亜鉛系微粒子を析出させる第3の工程。 本発明の製造方法では、工程Iが、水をさらに含む混合
物(n)を作る工程であることが好ましい。この工程に
より、溶液状の混合物(n)が容易に得られる。亜鉛源
とモノカルボン酸と水の添加順序は任意であり、たとえ
ば、亜鉛源をモノカルボン酸と水との混合溶媒に溶解す
ることにより混合物(n)が作られる。
【0121】本発明の製造方法では、工程IIと工程III
を、100℃以上の温度に保持された少なくともアルコ
ールからなる媒体に混合物(n)を添加して混合する工
程で構成することが好ましい。この工程により、混合物
(m)が容易に作られる。前記亜鉛源とモノカルボン酸
とからなるか、または、これらと金属(M)化合物とか
らなる混合物(n)を少なくともアルコールからなる媒
体に添加する場合、混合物(n)が溶液であることが好
ましい。混合物(n)が溶液である場合、亜鉛源とモノ
カルボン酸とが、または、これらと金属(M)化合物と
が相溶しているか、あるいは、これらとの相溶性の高い
溶媒に溶解していることが望ましい。そのために使用す
る溶媒としては、亜鉛源及びモノカルボン酸を、また
は、これらと金属(M)化合物とを室温〜100℃程度
までの温度で容易に溶解することができ、しかも、前記
媒体とも相溶性の高い点で、水、アルコール類、ケトン
類、エステル類が好ましい。ここでいうアルコール類と
は、前記したアルコールを全て包含する。
【0122】亜鉛源が、X線回折学的に結晶性の酸化亜
鉛に転換される過程において、1つ又は複数の酸化亜鉛
前駆体(この前駆体は、金属(M)を含んでいてもよい
し、含んでいなくてもよい)を経る場合がある。例えば
亜鉛源に、酸化亜鉛等を使用した場合が挙げられる。該
酸化亜鉛前駆体としては、酸化亜鉛以外の少なくとも亜
鉛原子を含むイオン又は化合物の状態を意味し、例えば
亜鉛(水和物)イオン(Zn2+)、亜鉛の多核水酸化物
イオン、亜鉛のアセチルアセトン等のβ−ジカルボニル
化合物又は乳酸、エチレングリコール、エタノールアミ
ン等のようにキレート形成能のある化合物により上記イ
オンの一部又は全部がキレート化された状態や、(塩基
性)酢酸亜鉛、(塩基性)サリチル酸亜鉛、(塩基性)
乳酸亜鉛等の(塩基性)カルボン酸塩等として存在する
場合等が挙げられる。該前駆体としてその一部又は全部
が、モノカルボン酸及び/又はアルコールとの錯塩等複
合組成物として存在する場合も含まれる。
【0123】混合物(m)において、原料として用いら
れた、亜鉛源および金属(M)化合物が酸化亜鉛系微粒
子に変換される過程において、混合物(m)中に存在せ
しめたモノカルボン酸は、変化しないか、あるいは該モ
ノカルボン酸の一部又は全部が、混合物(m)中のアル
コールの一部又は全部と、エステル化反応を起こし、エ
ステル化合物を生成する。
【0124】混合物(m)は、前記亜鉛源と、前記モノ
カルボン酸と、前記アルコールと、前記金属(M)化合
物との4成分を必須成分として混合されて得られるもの
であればよく、必要に応じて、該4成分以外の成分、例
えば水、ケトン類、エステル類、(シクロ)パラフィン
類、エーテル類、芳香族化合物等の有機溶剤、後述する
添加剤等の成分、あるいは、亜鉛および金属(M)以外
の金属成分、例えば金属の酢酸塩、硝酸塩、塩化物等の
無機塩や金属アルコキシド等の有機金属アルコキシド等
を含んでいてもよい。ただし、アルカリ金属およびアル
カリ土類金属は、微粒子の熱線カット機能や導電性を低
下させることがあり、混合物(m)中の金属(M)の原
子数の1/10以下であることが好ましく、1/100
以下であることがより好ましい。また、水及び有機溶剤
は、通常溶媒成分として含有される。
【0125】前記の4成分相互の存在状態及び各成分の
混合物(m)中における存在形態は、特に限定されな
い。例えば、亜鉛源の存在状態について例示すれば、ア
ルコール及び/又は前記水及び有機溶剤などを溶媒成分
として、亜鉛源および/または金属(M)化合物が、そ
のまま溶解した状態、前記酸化亜鉛前駆体に変化して溶
解した状態又はコロイド状、乳化状もしくは懸濁状に分
散した状態等である。
【0126】従って、混合物(m)の状態は特に限定さ
れず、例えば、液状であってもあるいはゾル状、乳化物
状、懸濁物状であっても何等問題はない。混合物(m)
は、上述した範囲に於いて、各成分が混合されて調製さ
れる。その調製法は特に限定されない。特に単一粒子の
平均粒子径が0.001〜10μmの範囲で制御された
酸化亜鉛系微粒子の分散体を得るためには、前記亜鉛源
とモノカルボン酸とからなる第1の混合物(n)を、ア
ルコール含有溶液に加熱下に添加して混合物(m)を調
製することが、実用的な生産性で得られる点で好まし
い。
【0127】このときの調製方法について、以下に述べ
る。混合物(n)の添加方法としては、例えば、混合物
(n)を一挙に添加混合する方法、あるいは混合物
(n)をアルコール含有溶液上又は溶液中に滴下するこ
とにより混合する方法、あるいは混合物(n)を噴霧す
る方法等が採用し得る。また、混合物(n)の添加混合
は、常圧、加圧又は減圧いずれで行ってもよいが、製造
コスト的に常圧で行うことが好ましい。添加混合を常圧
下で行う場合には、粒子径、形状等に於いて均一性に富
み、しかも分散・凝集状態の制御された酸化亜鉛系微粒
子分散体を得たいときには、添加混合中にアルコール含
有溶液を60℃以上の温度、特に60℃以上300℃以
下に維持しておくことが好ましい。添加混合する際のア
ルコール含有溶液の温度が60℃未満では、添加混合中
又は添加混合後に混合物(m)の粘度が急激に高まり、
ゲル状になることがある。このような場合、攪拌が不能
になり均一な混合が達成されないとか、あるいは次の工
程すなわち加熱を行う際に伝熱が不十分となって温度分
布ができる等の問題を誘発し、結晶性、粒子径、粒子形
状等に於いて均一な酸化亜鉛系微粒子が得られ難いばか
りか凝集体しか得られ難い。このような問題は、混合物
(m)に於ける亜鉛濃度とも関連し亜鉛濃度が高い場合
ほど起こり易い。従って、これらの最適温度の下限温度
は、系の圧力に応じて異なり、減圧下あるいは加圧下で
行う場合は、圧力に応じてアルコール性溶媒の温度を適
宜選択する必要がある。上述の如く、アルコール含有溶
液を加熱しながら混合物(n)を添加した場合等に、混
合物(m)中のモノカルボン酸の一部及び/又はアルコ
ールの一部が蒸発に依って系外に留去されるときがある
が、このようにして得られたものも混合物(m)に含ま
れる。
【0128】混合物(n)を調製するうえでの原料組成
は、特に限定されないが、混合物(n)の原料として使
用する亜鉛源の量は、混合物(n)の全量に対して、Z
nO換算で1〜90重量%の範囲でありかつ、混合物
(n)の原料として使用するモノカルボン酸の量が亜鉛
源に於けるZn原子に対するモル比で表して0.5〜5
0倍モルの範囲であることが好ましい。
【0129】上記のようにして調製された混合物(n)
をアルコール含有溶液に添加混合することにより、混合
物(m)が得られる。混合物(n)を添加混合する際、
混合物(n)については、室温下又は加熱された状態の
いずれでも構わない。また、添加混合する際、アルコー
ル含有溶液は均一な混合を得る目的で、攪拌されている
ことが特に好ましい。
【0130】またこのときアルコール含有溶液に含有せ
しめるアルコールの含有量は、特に限定されないが、加
熱時の酸化亜鉛系微粒子生成反応を短時間で行わせる為
には、アルコールの、混合物(m)に含有される亜鉛源
に由来するZn原子に対するモル比で表して1〜100
倍モルの範囲が好ましい。また、アルコールのアルコー
ル含有溶液に於ける濃度は、通常、該溶液総量に対して
5〜100重量%の範囲である。
【0131】また、本発明の酸化亜鉛系微粒子を製造す
る方法としては、上記工程(I)および(II)を経ずに
(混合物(n)を作らずに)、亜鉛源とモノカルボン酸
及びアルコール、必要に応じて水を含み、亜鉛源及びモ
ノカルボン酸が溶解又は分散されている混合物(m)を
作り、この混合物(m)を前記工程(III)と同様に、1
00℃以上の温度に保持することにより、金属元素の総
原子数に対する原子数の比で、亜鉛80〜99.9%と
金属(M)0.1〜20%とを含む金属酸化物の結晶性
共沈物からなる酸化亜鉛系微粒子を析出させる別法も採
用し得る。この別法においては、混合物(m)の調製
時、又はその後の100℃以上への加熱処理のいずれか
の微粒子を析出させるまでの過程において亜鉛源及びモ
ノカルボン酸が均一に溶解した溶液の状態を経ることが
好ましく、均一溶液状の混合物(m)を得るためには、
例えば加熱する等の方法が採用される。金属(M)化合
物は、例えば、混合物(m)を作る際に添加混合されて
もよく、100℃以上の加熱処理中に別途添加されても
よい。この加熱処理中に添加される場合、例えば、金属
(M)化合物を、これを(加熱)溶解し得る溶媒系に溶
解した後、得られた溶液を添加する方法が採用し得る。
また、上述の別法の場合、混合物(m)を調製するうえ
での原料組成は、特に限定されないが、混合物(m)の
原料として使用する亜鉛源の量は混合物(m)の全量に
対して、ZnO換算で1〜20重量%の範囲であり、か
つ、混合物(m)の原料として使用するモノカルボン酸
の量が亜鉛源におけるZn原子に対するモル比で表して
0.5〜10倍モルの範囲であることが好ましい。ま
た、アルコールの含有量は、アルコール総重量が混合物
(m)中に含有されるZn原子のZnO換算重量に対す
る重量比で10〜50倍が好ましい。
【0132】上述のごとくして得られた混合物(m)
を、加熱することにより、酸化亜鉛系微粒子を含む分散
体が収率よく得られるものである。該加熱温度は特に限
定されず、結晶性の酸化亜鉛が析出する温度以上で行う
ことは勿論であるが、最終的に得ようとする酸化亜鉛系
微粒子の粒子径、形状、分散・凝集状態等のモルフォル
ジーに応じて、一義的に決まるものではなく、混合物
(m)の初期組成及び上記した種々のパラメータを含め
た総合的な観点で、加熱温度及び加熱時間を選択する必
要がある。特に単一粒子の平均粒子径が0.001〜1
0μmの範囲で制御された酸化亜鉛系微粒子の分散体
を、実用的な生産性で得るためには、100℃以上、特
に100℃以上300℃以下の加熱温度で行うことが好
ましい。
【0133】この場合、例えば、混合物(n)を、10
0℃以上の温度に保持されたアルコール含有溶液に添加
混合することにより混合物(m)を得たときは、そのま
まの温度を維持してもよく、あるいは所定温度に昇温又
は降温した後、加熱処理してもよい。また、混合物
(n)を、100℃未満の温度でアルコールに添加混合
することにより混合物(m)を得たときは、100℃以
上の温度に昇温した後、加熱処理すればよい。混合物
(m)の加熱温度を100℃以上とすることは、酸化亜
鉛系微粒子を得るために、過剰又は不要となる成分の蒸
発除去の速度・量を含めた反応系の組成制御を厳密に行
い易く、そのために得られる微粒子の粒子径等の制御を
行い易い利点がある。
【0134】また前記分散体を得るための加熱過程に於
いて、上記成分以外の成分すなわちアルコール、加熱に
より生成する前記エステル化合物又は必要に応じて混合
物中に存在せしめた溶媒成分の一部又は全部を蒸発除去
しても構わない。また加熱時間については、特に限定さ
れないが、反応を完結させるために、通常0.1時間〜
30時間程度が好ましいものである。
【0135】また、混合物(m)中に、水を存在せしめ
た場合は、加熱する過程に於いて、酸化亜鉛系微粒子に
変換される為には、好ましくは分散体に於ける遊離の水
濃度が5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下に
なるまで留去を行うことが好ましい。その理由は、該水
濃度がこの範囲を越えると、前記分散体中に含有される
アルコール等他の成分の種類によっては、酸化亜鉛系微
粒子の結晶性が低くなり前記した機能が十分発揮されな
い場合がある為である。
【0136】また生成した酸化亜鉛系微粒子分散体中に
於ける(最終)組成として、前記モノカルボン酸の量
は、生成した該分散体中に含有される亜鉛原子換算での
総量に対して、0.5倍モル以下とすることが好まし
い。その理由は、0.5倍モルを越える場合には、酸化
亜鉛系微粒子の結晶性が低くなり酸化亜鉛としての機能
が十分発揮されない場合がある為である。従って、混合
物(m)中に存在せしめたモノカルボン酸量が、生成し
た該分散体中に含有される亜鉛原子換算での総量に対し
て、0.5倍モルを越える場合には、加熱する過程で、
少なくとも過剰分を留去する必要がある。勿論上記比率
が0.5倍モル以下であっても、加熱する過程で留去を
行っても構わない。
【0137】前記単一粒子を1次粒子とし、この1次粒
子が集合してなる2次粒子を得る場合には、100℃以
上の温度保持の際に乳酸源を共存させることが有効な方
法である。乳酸源は、乳酸;乳酸アンモニウム、乳酸ナ
トリウム、乳酸リチウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネ
シウム、乳酸亜鉛、乳酸アルミニウム、乳酸マンガン、
乳酸鉄、乳酸ニッケル、乳酸銀等の金属乳酸塩;乳酸メ
チル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の、加水分解など
により乳酸を生成しうる乳酸エステル化合物などであ
り、いずれか1つを単独で使用しても良く、あるいは、
2以上を併用してもよい。
【0138】使用される乳酸源の量は特に限定されない
が、混合物(m)中の亜鉛に対するモル比で、たとえば
0.001〜0.4の範囲で行われる。前記範囲を下回
ると乳酸の共存効果が不充分であるために酸化亜鉛結晶
が得られず、一方上記範囲を超えると酸化亜鉛結晶の析
出反応が起こり難くなるため目的とする微粒子が得られ
にくい。粒子形状の揃った微粒子を得るためには、亜鉛
に対する乳酸のモル比は0.001〜0.2の範囲が好
ましく、粒子径が揃っていて分散性のよい微粒子を得る
ためには、亜鉛に対する乳酸のモル比は0.001〜
0.1が好ましい。
【0139】乳酸源の添加は、たとえば、次のとおりで
ある。乳酸(CH3 CH(OH)COOH)および/ま
たは乳酸エステルを使用する場合には、上記工程I、I
I、III (以下では、工程III は上記別法におけるIII
に相当する工程も含む)、または、IとIIとの間から選
ばれる任意の時期でよく、直接添加する方法、または、
溶媒(たとえばアルコール)に溶解した溶液を添加する
方法などが採用できる。後者の添加方法は、乳酸が速や
かに拡散し易いので、特に工程III で乳酸源を添加する
場合には好ましい。金属乳酸塩を使用する場合には、上
記工程I、II、III 、または、IとIIとの間から選ばれ
る任意の時期でよく、好ましくは工程Iにおいて亜鉛源
と共にまたは亜鉛源として混合物(n)中に溶解する。
たとえば、亜鉛源粉末と金属乳酸塩粉末を、モノカルボ
ン酸を含有する溶液に添加混合し、攪拌することによ
り、均一溶液を調製する。この際、各粉末の溶解速度、
溶解度を高めるために加熱しながら攪拌することは、短
時間で且つ高濃度溶液を得ることができる点で好ましく
採用される。
【0140】前記媒体中に乳酸が溶解または分散されて
いるときには、酸化亜鉛結晶が異方成長することによっ
て薄片状酸化亜鉛結晶を生成し、これらの薄片状酸化亜
鉛結晶が先端を外向きにして群集した表面を有する酸化
亜鉛系微粒子を含む分散体が得られることがある。この
とき乳酸の亜鉛に対するモル比が0.001〜0.4の
範囲であるときには、生成する単一粒子は、薄片状(異
方形状)、たとえば、1.0〜5.0の長短度(長径/
短径)、2〜200の偏平度(長径/厚み)、長径5〜
1000nmであり、光拡散透過性に優れ好ましい。長
径は、粒子について測定された三軸径のうちの最長の長
さであり、厚みは、その三軸径のうちの幅および高さの
うちの大きくない方(最短部の粒径)である。
【0141】本発明の製法に用いられるポリマーは、本
発明の酸化亜鉛系微粒子に含まれるポリマーのところで
説明したものと同じものである。使用するポリマーの量
は特に限定されないが、亜鉛源中(すなわち、第2混合
物中)の亜鉛原子の量を酸化亜鉛に換算した量に対する
重量比で、たとえば0.01〜2.0の範囲で行われ
る。前記範囲を下回ると複合粒子が得られにくく、前記
範囲を上回ると酸化亜鉛結晶の析出反応が起こり難くな
る場合があるため目的とする酸化亜鉛系微粒子が得られ
にくい。複合粒子のうち前記した複層構造を持ち、粒子
形状と粒子径が揃っていて分散性のよい酸化亜鉛系微粒
子を得るためには、ポリマーの種類や他の反応条件にも
よるが、ポリマーの量は、上記酸化亜鉛換算量に対し
て、0.05〜0.5の重量比が好ましい。
【0142】本発明の製法では、ポリマーは、上記工程
のうちのいずれか1つの工程または2以上の工程におい
て添加される。ポリマーの添加は、酸化亜鉛系微粒子を
析出させるまでの任意の時期に行われる。たとえば、混
合物(n)に添加混合したり、混合物(m)に添加混合
したりするなどの方法が例示される。本発明の製法で
は、ポリマーの添加時期は、酸化亜鉛系微粒子が生成す
る前の段階であれば、上記いずれの工程でもよい。
【0143】ポリマーは、反応系中に速やかに広がりう
るという理由で、前記媒体に用いられるアルコールに予
め溶解されているか、または、任意の溶媒に溶解して反
応系に添加されるのが好ましい。ポリマーの溶解に用い
られる溶媒は、ポリマーを溶解しうる液体であれば特に
限定はなく、たとえば、アルコール類(上述のもの)、
脂肪族および芳香族カルボン酸類、脂肪族および芳香族
カルボン酸エステル類、ケトン類、エーテル類、エーテ
ルエステル類、脂肪族および芳香族炭化水素類、ハロゲ
ン化炭化水素類などの有機溶剤;水;鉱物油;植物油;
ワックス油;シリコーン油からなる群から選ばれる少な
くとも1つである。
【0144】混合物(m)は、亜鉛とモノカルボン酸と
アルコールと金属(M)との4成分を必須成分として混
合されて得られるものであればよく、酸化亜鉛系微粒子
が生成する前の段階においてポリマーが添加される。ポ
リマーを含む混合物(m)を100℃以上、好ましくは
100〜300℃、より好ましくは150〜200℃の
範囲内の温度で0.1〜30時間、好ましくは0.5〜
10時間維持することにより、原料の種類や組成比に応
じた本発明の酸化亜鉛系微粒子が酸化亜鉛系結晶−ポリ
マー複合粒子として実用的な生産性で得られる。すなわ
ち、前記媒体中に溶解または分散された亜鉛は、第2混
合物が上記範囲内の温度で上記範囲内の時間維持される
ことにより、X線回折学的に結晶性の酸化亜鉛に転換さ
れる。前記媒体中には、ポリマーも溶解または分散され
ているので、酸化亜鉛結晶の核が析出し、結晶化が進む
過程においてポリマーが複合化することによって、酸化
亜鉛−ポリマー複合粒子を含む分散体が得られる。使用
するポリマーの種類、前記媒体に含まれるアルコールの
種類等の原料の種類や、原料仕込み組成や複合粒子が生
成するまでの温度履歴等に基づく複合粒子が生成すると
きの反応液組成・温度等を制御することにより、複合粒
子の内部構造や粒子形状・粒子径、含有される単一粒子
(金属酸化物共沈体)の粒子径等をコントロールするこ
とができる。
【0145】本発明の製造方法の内、前記したポリマー
の共存下で、100℃以上の温度で加熱処理することに
より、金属酸化物共沈体とポリマーとを含有し、0.0
01〜10μmの数平均粒子径と30%以下の粒子径の
変動係数とを有する酸化亜鉛系微粒子が1〜80重量%
の範囲で分散含有され、アルコール及び/又は前記エス
テル化合物及び/又は有機溶媒を溶媒とする分散体が得
られる。
【0146】さらに、最終的に得られる酸化亜鉛系微粒
子の単一粒子の粒子径、粒子形状、分散状態若しくは高
次構造及び/又は微粒子表面の極性若しくは組成の制御
等を行う目的で、特定の添加剤を、加熱する過程に於い
て共存させることも可能である。該添加剤の添加時期は
特に限定されず、混合物(m)又は混合物(n)を調製
する過程又は加熱処理の過程、いずれでもよく、目的及
び添加剤の種類に応じて適宜選択される。例えば酸化亜
鉛の結晶が析出する直前又は直後に添加すると、添加剤
効果が十分発揮され易く好ましい場合が多い。
【0147】特に、単一粒子の粒子径、粒子形状に於い
て均一性に富む酸化亜鉛系微粒子を得るためには、分子
中にカルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アミド基、
アミド結合、イミド基、イミド結合、ウレイド基、ウレ
イレン結合、イソシアナト基、スルホン酸基、硫酸基、
リン酸基、金属水酸基、金属アルコキシ基、エポキシ
基、ウレタン基、ウレタン結合、エステル結合の群から
選ばれる少なくとも1種の原子団を1個または2個以上
含み分子量が1000未満の化合物、および/または亜
鉛イオンに多座配位することによってキレート化合物を
形成するいわゆるキレート剤(多座配位子)を添加剤と
して、加熱処理する際に共存させることが好ましい。
【0148】該添加剤としては、カプリル酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の長
鎖の飽和脂肪酸を始めとする前記したカルボキシル基含
有化合物およびこれらのエステル化合物;モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタ
ノールアミン等の1級、2級、3級アミノ基を有するア
ルコール、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、n
−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等
の4級アンモニウム塩、6−アミノカプロン酸、N,N
−ビス(オクチルアミノエチル)グリシン、p−アミノ
安息香酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ
酸、アミノ(ジ)カルボン酸及びこれらのエステルまた
は無水物、2−ヒドロキシピリジン、ピリジン−2,6
−ジカルボン酸等のピリジン誘導体、オクタデシルアミ
ン、ステアリルアミン等の脂肪族アミン等のアミノ基含
有化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ベンズアミド、オキサミド、オキサミン酸等のアミ
ド類;スクシンイミド、フタルイミド等の酸イミド、イ
ミノ(ジ)酢酸等のイミノ(ジ)カルボン酸、イミノエ
ーテル等のイミノ基含有化合物;パラバン酸、アロキサ
ン、バルビツル酸、ジアルル酸等のジカルボン酸ウレイ
ド、オキサルル酸、マロヌル酸等のウレイド酸、尿酸等
のジウレイド、ウラシル等のβ−アルデヒド酸ウレイ
ド、5−メチルヒダントイン等のα−オキシ酸ウレイド
等のウレイド基含有化合物および誘導体;カルバミン酸
エチル等のウレタン化合物およびこれらのN−ニトロソ
化物、N−クロルアセチル化物等の誘導体;トリレンジ
イソシアナート、ジイソシアニルジフェニルメタン、ヘ
キサメチレンジイソシアナート、イソシアン酸イソブチ
ル、イソシアン酸フェニル等のイソシアナト基含有化合
物;1,2−エポキシシクロヘキセン、1,8−シネオ
ール、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,
6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族
ジグリシジルエーテル類、グリセロールトリグリシジル
エーテル、ペンタエリスリトールテトラグルシジルエー
テル等のポリグルシジルエーテル類、アジピン酸ジグル
シジルエステル等の脂肪族および芳香族ジグリシジルエ
ステル類等の他、レゾルシンジグルシジルエーテル、ビ
スフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ基を官
能基として有するオリゴマー類などのエポキシ基を含有
する化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタネ
ート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシア
セテートチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシ
ルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリ(N−
アミノエチルアミノエチル)チタネート等のチタネート
系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、3−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン、III −グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、III −(II−アミノエチルアミノ
プロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシ
シラン、ジエトキシジメチルシラン、トリメチルエトキ
シシラン、ヒドロキシエチルトリエトキシシラン等のア
ルキルアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、ベンジルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、
ステアリルトリメトキシシラン等のシランカップリング
剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレー
ト、アルミニウムラウレート、アルミニウムステアレー
ト、ジイソプロポキシアルミニウムステアレート、エチ
ルアセトアセテ−トアルミニウムジイソプロピレート等
のアルミニウム系カップリング剤等の各種カップリング
剤およびこれらの部分加水分解物;上記したカップリン
グ剤以外の、例えば、テトラエトキシチタン、テトラブ
トキシチタン、ジエチルジエトキシチタン、テトラブト
キシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラブト
キシジルコニウム、ヘキサエトキシタングステン、ジ−
n−ブトキシマンガン、ジイソプロポキシコバルト、ジ
エトキシニッケル、ジ−n−ブトキシニッケル、トリエ
トキシランタン、トリエトキシイットリウム、ジエトキ
シ銅、ジ−n−ブトキシ銅、ペンタエトキシニオブ、ペ
ンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタエトキシタンタル、
ペンタ−n−ブトキシタンタル、トリエトキシ鉄、トリ
−n−ブトキシ鉄等の金属アルコキシド類に代表される
金属水酸基および/または金属アルコキシ基を含有する
有機金属化合物及びこれらの誘導体、該誘導体の具体例
としてはこれらの有機金属化合物の単独または混合物を
(部分的に)加水分解および/または縮合反応すること
によって得られる(部分)加水分解物等の縮合物;トリ
メチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブ
チルホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフ
ェート、(ポリオキシエチレン)ビス[ビス(2−クロ
ロエチル)ホスフェート]等のリン酸エステル、メチル
アシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェー
ト、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッ
ドホスフェート、ビス−2−エチルヘキシルホスフェー
ト、ジイソデシルホスフェート等の酸性リン酸エステ
ル、トリメチルホスファイト等の亜リン酸エステル、ジ
メチルジチオリン酸、ジイソプロピルジチオリン酸等の
チオリン酸エステル等の有機リン化合物;分子中に少な
くとも1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4
級アンモニオ基等のアミノ基、カルボキシル基、スルホ
ン酸基、リン酸基、水酸基、エポキシ基等の前記した原
子団を含有する分子量1000未満のオルガノポリシロ
キサン類;ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン
スルホン酸(ナトリウム)、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸
ナトリウム、ステアリン酸カルシウム等のアニオン性界
面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン、ポリエチレングリコー
ルモノラウレート、グリセロールモノステアレート等の
ノニオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミン、ステ
アリルトリメチルアンモニウムクロリド等のカチオン性
界面活性剤、ラウリルベタイン、ステアリルアミンアセ
テート等の両性界面活性剤等、前記した原子団を有する
各種界面活性剤等が例示される。
【0149】また、亜鉛イオンに多座配位することによ
ってキレート化合物を形成するいわゆるキレート剤(多
座配位子)としては、アセチルアセトン、アセト酢酸エ
チル、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトン類、エチレ
ンジアミン、ジメチルグリオキシム、ベンジルジオキシ
ム、シクロヘキサン1,2−ジオンジオキシム、ジチゾ
ン、オキシン、グリシン、グリコール酸、シュウ酸、カ
テコール、ジピリジル、1,10−フェナントロリン、
α−ヒドロキシプロピオン酸、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、エチレングリコール等が例示され
る。
【0150】前記したごとく、添加剤の種類、添加量に
よって、得られる酸化亜鉛系微粒子の単一粒子の大き
さ、形状、単一粒子の分散状態や高次構造、表面極性、
表面組成等が大きく異なる。例えば、メトキシポリ(オ
キシエチレン)モノグリコール酸等のように親水性主鎖
を有する化合物を添加剤として使用すると1次粒子の大
きさ、形状が揃ったしかも水等の極性溶媒に対して1次
粒子の分散性に優れる酸化亜鉛系微粒子が得られ、一
方、アルキルトリアルコキシシラン、オクタデシルアミ
ン等のように疎水性または親油性の高い主鎖を有する化
合物を添加剤として使用すると、1次粒子の大きさ、形
状が揃ったしかもトルエン等の低極性溶媒または無極性
溶媒に対して1次粒子の分散性に優れる酸化亜鉛系微粒
子が得られる。
【0151】単一粒子に大きさ、形状、単一粒子の分散
状態や高次構造、表面極性、表面組成などは、前記した
ポリマー、表面修飾剤によっても制御されることはいう
までもない。上述した添加剤の添加量は、特に限定され
ないが、通常、添加剤の、酸化亜鉛系微粒子分散体中に
含まれる酸化亜鉛に対する重量比で表して、0.1%以
上80%以下が好ましい。0.1%未満では添加剤の添
加効果が実質的にみられず、一方80%を越えると酸化
亜鉛系微粒子が得られない場合がある。
【0152】上述した添加剤は、単独もしくは混合して
使用することができ、添加する方法は特に限定されず、
添加剤の種類、添加時期等に応じて適宜選択すればよ
い。例えば加熱中に添加する場合、添加剤を直接あるい
は、アルコールをはじめとする任意の溶媒に溶解および
/または希釈したものを添加する方法が例示されるが、
後者の方法が反応系内に添加剤が速やかに拡散し易く、
添加効果が十分発揮され易い点で好ましい。
【0153】表面修飾微粒子の製法に関して述べる。表
面修飾微粒子は、任意の製法によって得られた酸化亜鉛
系微粒子を、表面修飾剤と適当な条件下で混合させるこ
とにより製造され、表面修飾剤、表面修飾法は特に限定
されず、表面修飾の目的によって表面修飾剤の種類、
量、および表面修飾法を適宜選択すればよい。しかし、
各微粒子が均等に表面修飾され、個々の微粒子に於ける
表面修飾層が均質であるためには、酸化亜鉛系微粒子が
溶媒中に分散された、しかも十分に攪拌された状態で、
表面修飾剤が添加混合されることが好ましい。従って、
好ましくは、本発明の酸化亜鉛系微粒子の製法に於い
て、微粒子を製造する過程で、表面修飾剤を共存させる
方法や、一旦、本発明の製法に従って、酸化亜鉛系微粒
子の分散液を製造した後に、後処理的に、表面修飾剤を
添加混合する方法、などが好ましい。後者の方法として
は、例えば平均粒子径が0.1μm以下の単一粒子の分
散した分散液にあるいは2次凝集した分散液に使用目的
に応じて選択した表面修飾剤を適切な量、添加混合し、
100℃以上の温度あるいは100℃以下の温度で、通
常0.5時間〜24時間程度攪拌することにより、表面
の改質された表面修飾微粒子を得る方法が挙げられる。
【0154】表面修飾剤は、前記したポリマー、添加剤
等と同一でも異なっていても良く、これらのポリマーや
添加剤と併用してもよい。また、2種以上の表面修飾剤
を逐次的にあるいは同時に添加してもよい。表面修飾剤
としては、前記したポリマー、添加剤以外に、例えば、
メチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、III −グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、III −(II−アミノエチルアミノプロピル)トリメ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジエトキ
シジメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、ヒドロ
キシエチルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシ
シラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
クロロプロピルトリメトキシシラン、ステアリルトリメ
トキシシラン等のシランカップリング剤、アセトアルコ
キシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムラ
ウレート、アルミニウムステアレート、ジイソプロポキ
シアルミニウムステアレート、エチルアセトアセテ−ト
アルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カ
ップリング剤等が挙げられる。
【0155】表面修飾剤の、微粒子に対する添加量は特
に限定されないが、表面修飾を目的とする場合は、その
修飾効果を十分に発揮するためには、微粒子中の金属酸
化物(亜鉛とIII B族、IVB族金属を金属成分とする酸
化物)に対する表面修飾剤の割合が、重量比で0.01
〜1であることが好ましい。該重量比が1を超えても表
面修飾効果が飽和するため経済的に不利となる。また、
修飾効果と経済性の観点から、特に好ましい重量比は、
0.02〜0.5である。
【0156】次に上述した本発明に於いて、特に単一粒
子の平均粒子径が0.001〜0.1μmの範囲で制御
された酸化亜鉛系微粒子を得るための好ましい態様につ
いて、前記の製造条件のなかで、特に以下に示す(I)
〜(IV)の条件が挙げられ、好ましくは(I)〜(I
V)のうちの2つ又は3つの条件、さらに好ましくは
(I)〜(IV)を全て満足する条件で行うことであ
る。
【0157】(I)亜鉛源としては、前記亜鉛又はその
化合物の内、酸化亜鉛、水酸化亜鉛および酢酸亜鉛から
なる群から選ばれる少なくとも1種以上を主成分とする
もの、特に好ましくは、酸化亜鉛および/または水酸化
亜鉛を主成分とするものである。この理由としては、酸
化亜鉛、水酸化亜鉛、酢酸亜鉛は、加熱過程に於ける酸
化亜鉛系微粒子生成反応を阻害するような不純物を実質
的に含まないために、0.001〜0.1μmという微
細な領域で粒子径を厳密に制御することが容易である為
であり、中でも酸化亜鉛、水酸化亜鉛は安価に入手でき
るばかりかカルボキシル基含有化合物の種類を任意に選
択できることに加えて、これらの原料を用いることによ
り上記した粒子径範囲の微粒子が特に得られ易い為であ
る。
【0158】(II)モノカルボン酸として、前記モノ
カルボン酸が常圧に於ける沸点が200℃以下の飽和脂
肪酸であることである。具体的には、蟻酸、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、イソ酪酸が好ましく、酢酸が特に好ま
しい。その理由は、混合物の調製過程から加熱する過程
において反応系内に於けるカルボキシル基の含有量を制
御し易く、従って粒子径を微細な領域で厳密に制御し易
いからである。さらに、該飽和脂肪酸を、前記モノカル
ボン酸総量に占める割合で、80モル%以上の範囲で使
用することが好ましい。
【0159】またモノカルボン酸の含有量は特に前記し
た範囲内であればさらに限定されることはないが、混合
物(n)に於ける、モノカルボン酸の含有量が、酸化亜
鉛に於けるZn原子に対するモル比で表して2.2〜1
0倍モルの範囲が、2次凝集の抑制された分散性に優れ
る微粒子が得られる点で特に好ましい。 (III)混合物(m)の調製法としては、前記亜鉛源
とモノカルボン酸とを、場合によっては前記亜鉛源とモ
ノカルボン酸と金属(M)化合物とを混合して得られた
混合物(n)を、100℃以上、好ましくは100℃以
上300℃以下の温度に維持されたアルコール含有溶液
に連続的又は間欠的に滴下することである。
【0160】この場合、混合物(n)が液状であること
が好ましく、更に亜鉛源とモノカルボン酸とが、金属
(M)化合物をも含む場合には亜鉛源とモノカルボン酸
と金属(M)化合物とが相溶あるいはこれらとの相溶性
の高い溶媒に溶解していることが望ましい。そのために
使用する溶媒としては、後述する亜鉛源とモノカルボン
酸を室温から100℃程度までの加熱により容易に溶解
することができ、しかもアルコール性溶媒とも相溶性の
高い点で、水、アルコール類、ケトン類、エステル類が
好ましい。ここでいうアルコール類とは、前記したアル
コールを全て包含する。
【0161】(IV)混合物(m)の加熱温度は、10
0℃以上300℃以下、特に好ましくは150℃以上3
00℃以下で行うことである。混合物(m)を加熱する
ことにより、ZnO結晶が析出し、本発明の微粒子が生
成するときの、混合物(m)に対するZnO換算濃度が
0.5wt%以上20wt%以下、さらに2.0wt%以上1
0wt%未満で行うことにより、1次粒子の平均粒子径が
0.001〜0.1μmの範囲で、2次凝集の抑制され
た微粒子が得られやすく好ましい。
【0162】さらに、平均粒子径が0.001〜0.1
μmの範囲の酸化亜鉛系微粒子に於いて、粒子径、形状
を更に均一に制御する、親水性/疎水性等の表面状態を
制御する、分散・凝集状態を制御する等の為の有効な方
法について以下に述べる。平均粒子径が0.001〜
0.1μmの範囲の酸化亜鉛系微粒子の好ましい製法に
おいても、前記した添加剤を前記したと同様にして使用
することによって、粒子の形状、粒子の分散状態や高次
構造、表面極性等の制御された酸化亜鉛系微粒子を得る
ことが出来る。また1次粒子の粒子径分布が揃ってお
り、実質的に平均粒子径が前記の範囲であり、2次凝集
の抑制された酸化亜鉛系微粒子を得る場合には、原料と
して用いる亜鉛又はその化合物を、酸化亜鉛、水酸化亜
鉛及び酢酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種
を主成分とし、塩基性炭酸亜鉛及び/又は常圧に於ける
沸点が加熱温度よりも高いモノカルボン酸の亜鉛塩を副
成分として含有したものを使用する方法も好ましく用い
られる。該副成分の主成分に対する割合は、通常該成分
中の亜鉛の原子比で0.01%以上20%以下である。
該割合が0.01%未満では副成分の併用効果が不十分
であり、一方20%を超えると結晶性の高い酸化亜鉛が
得られない場合がある。
【0163】形状、粒子径分布の揃った、しかも分散性
に優れる酸化亜鉛系微粒子を得る別法として、加熱処理
過程に於いて、炭酸イオンおよび/またはCO2 を共存
させる方法も有効である。例えば、加熱処理過程に於け
る酸化亜鉛生成反応に先立ちおよび/または該反応中
に、二酸化炭素ガスを混合物(m)中に間欠または連続
的に供給する、尿素、炭酸(水素)アンモニウム、塩基
性炭酸亜鉛等の如く加熱条件下で二酸化炭素または炭酸
イオンを生成する様な化合物を添加する方法等が例示さ
れる。
【0164】上述した好ましい製法に加えて、前記した
表面修飾剤で表面を改質することにより、平均粒子径が
0.001〜0.1μmの、しかも形状が制御され、粒
子径分布の揃った、種々の溶媒系、塗料系、樹脂系に対
して極めて優れた親和性、分散性を示す微粒子が得られ
る。特に、好ましい表面修飾剤の使用により、単一粒子
の分散性に優れる、平均粒子径が0.05μm以下の微
粒子(超微粒子)分散体が得られ、これを後述する方法
に従って加工することにより、種々の溶媒分散体、塗料
組成物、樹脂組成物を、微粒子の微分散状態を損なうこ
となく、経済的に且つ容易に製造することができる。
【0165】本発明の製法のうち、特に上述した製造条
件に従えば、平均粒子径が0.001〜0.1μmの範
囲で、粒子形状、表面状態、分散・凝集状態等の制御さ
れた、酸化亜鉛濃度が1〜80重量%の範囲で、アルコ
ール及び/又は前記エステル化合物及び/又は有機溶媒
を溶媒とする酸化亜鉛系微粒子の分散体が得られる。本
発明で得られる酸化亜鉛系微粒子の分散体は、そのまま
使用することもできるが、必要に応じて、酸化亜鉛系微
粒子粉体、酸化亜鉛系微粒子を含有する塗料、溶媒置換
による他の溶媒に酸化亜鉛系微粒子が分散した分散体等
に容易に転換する事ができる。
【0166】本発明で得られた酸化亜鉛系微粒子の粉体
を得る方法としては、分散体を濾過、遠心分離、溶媒蒸
発など通常行われている方法に付すことによって微粒子
を分離した後、乾燥する又は必要に応じて焼成する方法
が採用し得る。中でも、必要に応じて分散体の濃縮操作
を行った後、真空瞬間蒸発装置を用いる溶媒蒸発法によ
る粉体化方法は、乾燥過程で起こりがちな微粒子の2次
凝集が抑制される方法であるため分散性に優れる酸化亜
鉛系微粒子の粉体化方法として好ましい。
【0167】本発明で得られた酸化亜鉛系微粒子を含有
する分散体とは異なる溶媒に酸化亜鉛系微粒子が分散し
た分散体を得る方法としては、上述した方法に従って粉
体化した後得られた粉体を水等の置換したい溶媒に混合
した後、ボールミル、サンドミル、超音波ホモジナイザ
ーなどの機械的エネルギーにより分散させる公知の方法
あるいは分散体を加熱により分散体中の溶媒の一部又は
全部を蒸発・留去しつつ、置換したい溶媒を混合するい
わゆる加熱溶媒置換法等が採用し得る。分散体を構成す
る溶媒成分としては、特に限定されず、アルコール類、
脂肪族及び芳香族カルボン酸エステル類、ケトン類、エ
ーテル類、エーテルエステル類、脂肪族及び芳香族炭化
水素類、ハロゲン化炭化水素類等の有機系溶剤、水、鉱
物油、植物油、ワックス油、シリコーン油等が例示さ
れ、使用目的に応じて適宜選択すればよい。好ましい溶
媒成分は前記したとおりである。
【0168】本発明で得られた酸化亜鉛系微粒子を含有
する可塑剤分散体を得る方法としては、上述した溶媒分
散体の場合と同様に、一旦粉体化された微粒子を、可塑
剤または可塑剤を含む溶液などに添加混合した後、機械
的エネルギーにより分散させる方法、あるいは微粒子の
分散体と可塑剤または可塑剤を含む溶液とを混合し、溶
媒成分を加熱により、蒸発留去せしめる方法等が採用し
得る。また、可塑剤分散体を製造する際に、樹脂成分を
微粒子の分散体または可塑剤と予め混合しておく等し
て、共存させておくことにより、微粒子、可塑剤および
樹脂とのコンパウンドを製造することもできる。
【0169】本発明の酸化亜鉛系微粒子および本発明の
製法により得られた酸化亜鉛系微粒子は、たとえば、こ
れらの少なくとも一方を含む組成物として、種々の産業
用途あるいは工業用途で使用されうる。フィルム、シー
ト、繊維、樹脂板、ガラス、紙、化粧料などの付加価値
を高めるために、フィルム、シート、繊維、樹脂板等を
構成する樹脂組成物;フィルム、繊維、樹脂板、ガラ
ス、紙等に塗装される塗料組成物;紙;化粧料等に本発
明の酸化亜鉛系微粒子および本発明の製法により得られ
た酸化亜鉛系微粒子のうちの少なくとも1種が添加され
る。
【0170】〔1〕本発明の、塗料組成物および塗装品 本発明の塗料組成物は、本発明の酸化亜鉛系微粒子およ
び本発明の製法により得られた酸化亜鉛系微粒子からな
る群から選ばれる少なくとも1種と、酸化亜鉛系微粒子
を結合する被膜を形成しうるバインダー成分とを含む。
酸化亜鉛系微粒子とバインダー成分の量は、これら両者
の固形分合計重量に対して、微粒子0.1〜99重量
%、バインダー成分1〜99.9重量%の割合である。
【0171】本発明の塗装品は、樹脂成形品、ガラスお
よび紙からなる群から選ばれる1つの基材と、前記基材
の表面(たとえば、片面または両面)に形成された塗膜
とを備えている。前記塗膜は、本発明の酸化亜鉛系微粒
子および/または本発明の製法により得られた酸化亜鉛
系微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種と、酸
化亜鉛系微粒子を結合するバインダー成分とを含む。酸
化亜鉛系微粒子とバインダー成分の量は、これら両者の
固形分合計重量に対して、微粒子0.1〜99重量%、
バインダー成分1〜99.9重量%の割合である。樹脂
成形品の形態としては、たとえば、板、シート、フィル
ムおよび繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つで
ある。基材は、透明基材でもよく、半透明基材でもよ
い。
【0172】微粒子の量が前記範囲を上回ると塗膜の基
材への密着性、塗膜自体の耐擦傷性、耐摩耗性等が不十
分であるという問題があり、下回ると微粒子の添加効果
が不十分となるという問題がある。本発明の塗料組成物
では、酸化亜鉛系微粒子とバインダー成分との合計量
は、塗料組成物全量に対して、たとえば、1〜80重量
%の範囲であり、使用目的、作業性等に応じて適宜選択
される。塗料組成物の残部は、微粒子を分散し、バイン
ダー成分を溶解または分散する溶媒、塗料組成物の使用
目的に応じて使用される顔料等の添加剤である。
【0173】塗料組成物に使用可能なバインダー成分は
特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系、
塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、シリコーン系、メラ
ミン系、ウレタン系、スチレン系、アルキド系、フェノ
ール系、エポキシ系、ポリエステル系等の熱可塑性もし
くは熱硬化性合成樹脂;紫外線硬化型アクリル樹脂、紫
外線硬化型アクリルシリコーン樹脂などの紫外線硬化型
樹脂;エチレンープロピレン共重合ゴム、ポリブタジエ
ンゴム、スチレンーブタジエンゴム、アクリロニトリル
ーブタジエンゴム等の合成ゴムもしくは天然ゴムなどの
有機系バインダー、シリカゾル、アルカリ珪酸塩、シ
リコンアルコキシド及びそれらの加水分解縮合物、リン
酸塩等の無機系バインダーなどが使用できる。これらの
バインダー成分は、塗料組成物を基材に塗布乾燥して得
られる膜に対する耐熱性や耐擦傷性等の要求性能、基材
の種類等の使用目的に応じて適宜選択され、いずれか1
つが単独で、または、2以上が混合して使用される。
【0174】また、従来より、ポリエステルフィルム、
ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等のフィルムま
たはシート、板、ジエチレングリコールビスアリルカー
ボネートレンズ等の表面硬度、耐摩耗性等を向上する目
的で開発あるいは使用されてきた、あるいはガラスと同
等もしくはそれにに近い表面硬度、耐擦傷性等を有する
膜を与える、いわゆるハードコート剤と称される材料、
あるいは同目的で本発明者らが合成したもの(例えば、
後述する実施例II−11の混合物(x)である)を本発
明の微粒子を分散するための、バインダー成分、溶媒や
ビヒクルなどの分散媒成分として使用することもでき
る。
【0175】ハードコート剤としては、例えば、UV硬
化型のアクリル樹脂系、熱硬化型、あるいは湿気硬化型
のシリコーン系(ポリシロキサン系)が挙げられ、いず
れも本発明に於いて、有効なバインダー成分として採用
し得る。しかも、本発明の微粒子は主成分が金属酸化物
結晶であるために、これらのハードコート剤と組み合わ
せることにより、透明で紫外線、赤外線を遮断し且つ耐
摩耗性に優れた膜を容易に得ることができる。
【0176】シリコーン系ハードコート剤としては、通
常、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の
テトラアルコキシシラン(4官能シラン化合物)と、メ
チルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン
等の3官能のシラン化合物を主な原料とし、これらのモ
ノマーあるいは(共)加水分解・縮合物がアルコールな
どの溶媒中に溶解、もしくはゾル状態で存在するもので
ある。本発明に於いても、このような溶液又はゾルを酸
化亜鉛系微粒子と混合することにより、ハードコート用
塗料を合成できる。が、さらに、基材の種類、目的とす
る表面硬度、可とう性等を考慮して、4官能シラン化合
物としてコロイダルシリカを使用したり、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン等の通常シランカップ
リング剤と総称される化合物を配合したりすることがで
きる。
【0177】本発明の塗料組成物では、バインダー成分
は、溶媒に溶解、乳化または懸濁していてもよい。バイ
ンダー成分の溶媒としては、塗料組成物の使用目的、バ
インダーの種類などに応じて適宜選択され、例えば、ア
ルコール類、脂肪族及び芳香族カルボン酸エステル類、
ケトン類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族及
び芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等の有機系
溶剤;水;鉱物油、植物油、ワックス油、シリコーン油
等が例示され、使用目的に応じて適宜選択すればよく、
また必要に応じて2以上を任意の割合で混合して使用し
てもよい。バインダー成分の溶媒としては、本発明の微
粒子の上記分散体の溶媒を使用することができる。
【0178】ポリ塩化ビニリデン系、塩化ビニリデン−
塩化ビニル共重合体をバインダー成分とした場合には、
優れた水蒸気バリアー性の、ポリビニルアルコール、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデ
ン系等をバインダー成分とした場合には、酸素、炭酸ガ
スなどのガスに対する優れたバリアー性の塗膜(塗工
品)が得られる。これらの塗工品、特に塗工フィルム
は、本発明の酸化亜鉛系微粒子が本来有する紫外線、赤
外線遮断能を有しながら、高いガスバリアー能を有する
フィルムとして、食品包装用等に於いて極めて有用であ
る。
【0179】本発明の塗料組成物を製造する方法は特に
限定されない。例えば、本発明の微粒子および/または
本発明の製法により得られた微粒子の粉末を、バインダ
ー成分を含む溶媒に添加混合して分散させる方法、微粒
子を溶媒に分散させた分散体とバインダー成分を含む溶
媒とを混合する方法、微粒子を溶媒に分散させた分散体
にバインダー成分を添加して混合する方法等が採用し得
る。分散方法は、特に限定されず、例えば攪拌機、ボー
ルミル、サンドミル、超音波ホモジナイザー等を用いた
従来公知の方法が採用し得る。
【0180】本発明の塗料組成物は、前記した製造方法
によって得られた酸化亜鉛系微粒子の溶媒分散体および
/または可塑剤分散体等の分散体に直接、バインダー成
分またはバインダー成分を含む溶媒を添加混合すること
によっても得られる。上述した塗料組成物の製造方法に
従えば、少なくとも微粒子、バインダー成分および溶媒
を含む塗料組成物を得ることができる。
【0181】得られた塗料組成物は、任意の基材、例え
ば、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムま
たはシート;天然繊維、合成繊維等の繊維;塩化ビニル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂等の透明または半透明の合成樹
脂板;ガラス;紙等に塗布、乾燥することによって、酸
化亜鉛系微粒子を含む膜を形成することができる。
【0182】膜を形成するために、必要に応じて、基材
の変形温度以下の温度で加熱してもよい。加熱を行うの
は、たとえば、バインダー成分にシリコンアルコキシド
等の無機系バインダーを使用しバインダー成分の分子間
の縮合反応を充分に進めることによって強靱な膜を形成
したり、バインダー成分に熱硬化性樹脂を使用し熱硬化
性樹脂の硬化反応を充分に進めることによって硬化膜を
形成したり、バインダー成分の少なくとも1部にポリエ
ーテルおよび/またはポリエステル等の活性水素原子を
2つ以上有する樹脂とイソシアネート類等の架橋剤とを
使用し最終的にポリウレタン膜を形成させたい場合など
架橋反応を行う場合に架橋反応を効率良く行わせたりす
るためである。
【0183】本発明の塗装品におけるバインダー成分
は、上記有機系および/または無機系バインダーが乾燥
または乾燥硬化(乾燥架橋)してなる被膜である。本発
明の塗料組成物を塗布する方法は特に限定されず、ディ
ッピング法、スプレー法、スクリーン印刷法、ロールコ
ーター法、フローコート法等従来公知の方法が採用され
る。
【0184】以上のようにして本発明の塗料組成物から
形成された塗膜、および、以上のようにして得られた本
発明の塗装品は、バインダー成分中に本発明にかかる酸
化亜鉛系微粒子が分散されて含有されている。このた
め、該塗膜および塗装品は、該微粒子の有する特徴が反
映された機能、すなわち、(1)紫外線カット能と、
(2)赤外線カット能(近赤外=熱線および遠赤外線)
と、を少なくとも有し、(3)導電性の制御された塗装
品を与え、さらに、 ・超微粒子であれば可視光に対する透過性(=透明性)
に優れ、 ・中空体など複層構造の微粒子であれば光拡散性に優れ
る、膜を形成しうる。
【0185】また、本発明の酸化亜鉛系微粒子は、Zn
Oを主たる成分とするため、抗菌性にも優れ、得られた
塗装品も抗菌性を有するものとなる。本発明の微粒子の
全部の粒子が同様の形状を持ち、数平均粒子径0.1〜
10μmで粒子径変動係数30%以下であるときには、
本発明の塗料組成物から形成された塗膜、および、本発
明の塗装品は、少なくとも上記(1)〜(3)の特性を
有し、表面平坦性を損なわずに滑り性およびアンチブロ
ッキング性を有するものとなる。
【0186】〔2〕本発明の、樹脂組成物および樹脂成
形品 本発明の樹脂組成物は、本発明の酸化亜鉛系微粒子およ
び本発明の製法により得られた酸化亜鉛系微粒子からな
る群から選ばれる少なくとも1種と、酸化亜鉛系微粒子
が分散される連続相を形成しうる樹脂とを含む。酸化亜
鉛系微粒子と樹脂の量は、これら両者の固形分合計重量
に対して、微粒子0.1〜99重量%、樹脂1〜99.
9重量%、好ましくは微粒子0.1〜50重量%、樹脂
50〜99.9重量%の割合である。
【0187】微粒子の量が前記範囲を上回ると機械的強
度において問題のない成形品が得られない場合があり、
下回ると微粒子の配合効果が十分に発揮されないという
問題がある。本発明の樹脂成形品は、本発明の樹脂組成
物を、板、シート、フィルムおよび繊維からなる群から
選ばれる形状に成形したものである。
【0188】本発明の、樹脂組成物および樹脂成形品に
使用し得る樹脂の種類は特に限定されないが、使用目的
に応じて適宜選択される。樹脂としては、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;
ポリスチレン樹脂;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹
脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;
ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリメチル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹
脂;ユリア樹脂;メラミン樹脂;不飽和ポリエステル樹
脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ樹脂等の熱可塑性
または熱硬化性樹脂、エチレンープロピレン共重合ゴ
ム、ポリブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、
アクリロニトリルーブタジエンゴム等の合成ゴムもしく
は天然ゴムなどが例示され、いずれか1つが単独で使用
されたり、または、2以上が併用されたりする。
【0189】本発明の樹脂組成物を製造する方法は特に
限定されない。樹脂中に本発明の微粒子を混合、分散さ
せることによって目的とする樹脂組成物は得られるが、
例えば、ペレット状または粉末状の樹脂を溶融混練する
際に、微粒子の粉末を添加混合するマスターバッチ法、
樹脂を溶解した溶液に微粒子を混合分散させた後に溶媒
を除去する方法等の従来公知の方法を採用できる。別法
として、樹脂を製造する過程に微粒子を混合分散させる
方法、例えば、樹脂がポリエステル樹脂の場合、ポリエ
ステルの製造工程中すなわちエステル交換反応〜重合反
応に於ける一連の工程の任意の時期に微粒子の粉末好ま
しくは微粒子をポリエステル原料であるグリコールに分
散させてなる分散体を添加混合する方法も採用し得る。
また、成形加工時の加工性を向上したり、可とう性を付
与する必要がある場合は、可塑剤を1種又は2種以上、
および/または、前記した本発明の微粒子の可塑剤分散
体を1種または2種以上を添加することができる。それ
ぞれの添加量は、樹脂の種類、加工条件、使用目的等に
応じて適宜選択される。可塑剤を含有する場合、可塑剤
の含有量(合計)は、通常、樹脂組成物あるいは樹脂成
形体の総量に対して、2〜70重量%である。2重量%
未満では、可塑剤を添加する効果が得られ難く、70重
量%を超えると成形体としての安定した物性が得られな
い場合がある。
【0190】さらに、本発明の樹脂組成物および成形体
は、必要に応じて、従来公知の熱安定剤、酸化防止剤、
光安定剤、防かび剤、染料、顔料、帯電防止剤、紫外線
吸収剤等の各種樹脂添加剤を通常の量で含むことができ
る。上述の方法に従えば、本発明の微粒子が樹脂中に分
散含有された樹脂組成物が得られる。前記樹脂組成物
は、ペレットなど、通常の成形材料の形態であってもよ
い。得られた樹脂組成物を板状、シート状、フィルム
状、繊維状等に成形することによって、本発明の微粒子
が含有され、以下の機能を同時に有する樹脂成形品を得
ることができる。 (1)紫外線カット能と (2)赤外線カット能(近赤外=熱線および遠赤外線)
とを少なくとも有し、 (3)導電性の制御された樹脂成形品を与え、さらに、 ・超微粒子であれば可視光に対する透過性(=透明性)
に優れ、 ・中空体など複層構造の微粒子であれば光拡散性に優れ
る、 樹脂成形品を形成しうる。
【0191】また、樹脂が、ポリ塩化ビニリデン系、塩
化ビニリデン−塩化ビニル共重合体である場合には、優
れた水蒸気バリアー性の、またポリビニルアルコール、
エチレンービニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリ
デン系、延伸ナイロン等である場合には、酸素、炭酸ガ
スなどのガスに対する優れたバリアー性を発揮する。特
に該樹脂を樹脂成分とするフィルムは、本発明の酸化亜
鉛系微粒子が本来有する紫外線、赤外線遮断能を有しな
がら、高いガスバリアー能を有するフィルムとして、食
品包装用等に於いて極めて有用である。
【0192】また、本発明の酸化亜鉛系微粒子は、Zn
Oを主たる成分とするため、抗菌性にも優れ、得られた
樹脂成形品も抗菌性を有するものとなる。本発明の微粒
子の全部の粒子が同様の形状を持ち、数平均粒子径0.
1〜10μmで粒子径変動係数30%以下であるときに
は、本発明の樹脂成形品は、表面平坦性を損なわずに滑
り性およびアンチブロッキング性を有する。該成形品
は、フィルム状、特に延伸操作などによって延伸された
フィルムとされることによって、微粒子の存在に基づく
凹凸が形成される。本発明の好ましい態様にしたがって
得られた微粒子を含有せしめた場合は、微粒子の粒度分
布が揃っており高分散しているために、フィルム表面の
凹凸は、均一微細なものとなり、極めて平坦性に優れな
がら、滑り性、アンチブロッキング性に優れたフィルム
となる。例えばこのようにして得られたポリエステルフ
ィルムは、磁気テープ用ベースフィルム、包装用フィル
ム、コンデンサー用フィルム等として有用である。
【0193】本発明の樹脂組成物より所望の形状の成形
体を得る方法は特に限定されず、従来公知の方法をその
まま採用できる。以下に一例を挙げて説明する。本発明
の微粒子の分散含有されたポリカーボネート樹脂板を得
たいときには、例えば、ポリカーボネート樹脂ペレット
または粉末と所定量の微粒子の粉末を、溶融混練するこ
とによって樹脂中に微粒子が均一に混合された組成物を
得た後、そのまま連続的にあるいは一旦ペレット化した
後、射出成形、押出成形、圧縮成形等によって、平面状
または曲面状の板状に加工する方法が採用される。勿
論、平板状成形体をさらに後加工することによって、波
板状などの任意の形状に成形することも可能である。ア
クリル系樹脂板、塩化ビニル系樹脂板、ポリエステル系
樹脂板等の樹脂板も同様にして得られる。
【0194】本発明の微粒子の分散含有されたナイロン
繊維やポリエステル繊維等の繊維、ポリオレフィンフィ
ルムやポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等の
フィルムを得たい場合には、例えば、微粒子の粉末と樹
脂ペレットまたは粉末を溶融混練することによって樹脂
中に微粒子が均一に混合された組成物を得た後、そのま
ま連続的にあるいは一旦ペレット化した後、溶融紡糸等
の従来公知の繊維化方法、あるいは押出成形によりシー
ト状に成形した後、必要に応じて一軸または2軸に延伸
操作を施すという従来公知の(延伸)フィルムの製法を
採用すればよい。
【0195】本発明の樹脂成形品の中には、本発明の微
粒子を含有する層を1層または2層以上含む積層フィル
ム・シートも含まれ、食品包装をはじめとする包装フィ
ルムや、断熱フィルム、ガスバリアーフィルム等として
使用されうる。その積層フィルム・シートの製法として
は、たとえば、 ・前記した本発明の微粒子を含有するフィルム・シート
を他のフィルム・シートと加熱融着による方法や接着剤
(層)を用いた方法等によりラミネートする方法、 ・前記した本発明の塗料組成物をフィルム・シートに塗
布する方法、などが挙げられる。また、別の方法とし
て、 ・基材となるフィルム・シートあるいは他の機能性フィ
ルム・シートを押出し成形法によって成形する際に、
本発明の微粒子の粉末と樹脂ペレットまたは樹脂粉末、
あるいは、本発明の微粒子を予め含有してなる樹脂ペ
レットまたは樹脂粉末を原料として用い、共押出しする
ことによって積層フィルム・シートを得る方法も挙げら
れる。その際、使用する装置としては、多層フィルム・
シートの製造に使用される従来公知の押出し成形機を使
用することができる。
【0196】本発明の微粒子の分散含有されたポリエス
テル繊維あるいはポリエステルフィルムを得るために
は、従来公知の以下の別法も採用し得る。すなわち、ポ
リエステル繊維を得る方法としては、ポリエステルの製
造工程中すなわちエステル交換反応〜重合反応に於ける
一連の工程の任意の時期に微粒子を、たとえば0.1〜
50重量%の割合でグリコールに分散させてなる分散体
を添加混合し、ポリエステルの重合反応を完結させるこ
とによって、ポリエステル中に微粒子が分散含有された
ポリエステル重合物を得た後、従来公知の方法に従って
溶融紡糸する方法を採用すればよい。
【0197】一方、ポリエステルフィルムを得る為に
は、同様にしてポリエステル中に微粒子が分散含有され
たポリエステル重合物を得た後、押出成形によってシー
ト状に押しだした後、必要に応じて一軸または2軸方向
に延伸処理を施す方法を採用することができる。 〔3〕本発明の紙 本発明の紙は、抄造されたパルプと、前記パルプ中に分
散された本発明の酸化亜鉛系微粒子および本発明の製法
により得られた酸化亜鉛系微粒子からなる群から選ばれ
る少なくとも1種とを有する。酸化亜鉛系微粒子の量
は、パルプに対して0.01〜50重量%、好ましくは
0.1〜20重量%である。前記範囲を下回ると微粒子
の添加効果が不十分であるという問題があり、上回ると
紙の機械的特性を低下させるという問題がある。
【0198】紙とは、本発明の微粒子を含有するもので
あればよく、例えば内添紙、塗工紙、含浸紙、フィルム
ラミネート紙等の加工紙が例示される。内添紙とは、パ
ルプの叩解時から抄紙されるまでの工程に於いて該微粒
子を任意の時期に添加混合せしめることにより得られ
る、該微粒子を紙の内部および/または外表面に分散含
有する紙を意味する。微粒子の添加混合方法は特に限定
されず、通常、本発明の微粒子を粉体のまま、あるい
は、水等に分散せしめた分散液の状態で行うことができ
る。また、抄紙、乾燥するまでの工程は、従来公知の抄
紙方法に準じて行えばよい。用いられる原料も従来公知
のものをそのまま使用できる。例えば、パルプをパルパ
ー等によって叩解することによってパルプスラリーを調
製する。該スラリーに本発明の微粒子の水性分散液を添
加混合した後、抄紙工程、乾燥工程を経て、微粒子の分
散含有された紙を得ることができる。この際、必要に応
じて、サイズ剤、硫酸バンド、紙力増強剤等を任意の段
階で添加しても良い。
【0199】塗工紙とは、該微粒子が含有された塗料を
紙基材上に塗布、乾燥することにより該微粒子を含有す
る膜の形成されたものである。含浸紙とは、該微粒子が
分散含有されたバインダーを含むまたは含まない水性ま
たは有機溶媒分散液等に紙基材を含浸、乾燥することに
より、該微粒子が紙の内外表面に固着してなるものを意
味する。
【0200】これら、塗工紙、含浸紙の製法は特に限定
されず、本発明の微粒子を使用することを除けば、従来
公知の一般的な製法により得られる紙を基材とし、従来
公知の塗工法、含浸法をそのまま適用できる。使用する
微粒子を含有する塗料組成物、分散液の組成、使用する
溶媒、バインダーの種類およびこれらの調製方法等は、
従来公知の原料をそのまま使用でき、従来公知の調製方
法に従って調製すればよい。
【0201】塗料組成物、分散液に於ける微粒子の含有
量は、固形分中0.1〜100重量%の範囲であればさ
らに限定されず、使用目的等によって適宜選択される。
ここでいう固形分とは、該塗料、分散液中に含有される
本発明の微粒子とバインダーの総量を意味する。塗工紙
を作るために使用される塗料組成物としては、上述の本
発明の塗料組成物のうちの溶媒を含むものが挙げられ
る。塗工紙を作るために使用される分散液の分散媒とし
ては、上述の本発明の塗料組成物に使用されうる溶媒が
挙げられる。塗料組成物中に、その使用目的に応じて、
これら以外の顔料、耐水化剤、潤滑剤、消泡剤、流動変
性剤、保水剤等の添加剤を混合せしめてもよい。
【0202】フィルムラミネート紙は前記した方法に従
って得られた該微粒子を分散含有する高分子フィルムを
紙基材に貼り付けてなるものを意味する。高分子フィル
ムとしては、上述の本発明の樹脂成形品が使用されう
る。以上の製造方法に従って得られる本発明の微粒子を
配合してなる紙は、外観に優れる紙として有用である。
得られる紙の用途は任意であり、例えばアート紙、壁紙
をはじめ多様な用途で使用することができるものであ
る。
【0203】本発明の微粒子の全部の粒子が同様の形状
を持ち、数平均粒子径0.1〜10μmで粒子径の変動
係数30%以下であるときには、従来にない表面平坦性
を有し、且つ印刷適性の改善された紙を得ることができ
る。 〔4〕本発明の化粧料 本発明の化粧料は、本発明の酸化亜鉛系微粒子および本
発明の製法により得られた酸化亜鉛系微粒子からなる群
から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%以上含有す
る。酸化亜鉛系微粒子の量は、通常、化粧料の固形分の
合計重量に対して0.1〜50重量%である。上記必須
成分の他に目的に応じて、液体油脂、固体油脂、ロウ
類、炭化水素等の油分と、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール等の多価アルコール類と、からなる
群から選ばれる少なくとも1つ、界面活性剤、増粘
剤、香料、薬剤、酸化防止剤、キレート剤、色素、水、
防腐・防カビ剤からなる群から選ばれる少なくとも1つ
など、通常、化粧料に用いられる成分が本発明の効果を
損なわない範囲で配合される。さらに、カオリン、タ
ルク、マイカ等の体質顔料と、酸化鉄系、TiO2 系等
の無機着色顔料と、赤色202、黄色4等の有機着色顔
料とからなる群から選ばれる少なくとも1つ、および/
または、安息香酸系、桂皮酸系、サリチル酸系、ベン
ゾフェノン系等の有機系紫外線吸収剤からなる群から選
ばれる少なくとも1つも、本発明の微粒子と併用するこ
とができる。
【0204】本発明の化粧料は、紫外線、熱線を遮蔽す
ることのできる化粧料である。即ち、本発明の化粧料に
於ける微粒子の配合目的は、主に日焼け止め、美観の付
与にある。本発明の化粧料の用途は特に限定されず、パ
ウダー状、クリーム状あるいは油性ファンデーション、
化粧水、乳液、化粧油、クリーム等のフェーシャル化粧
料、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料等とし
て使用することができる。
【0205】該化粧料の組成は、該微粒子を含有するも
のであれば、さらに限定されず、化粧料の用途(種類)
に応じた従来公知の化粧料組成物中に該微粒子を含有せ
しめたものである。従って、一般に化粧料で使用されて
いる原料をそのまま使用することができる。従って、本
発明の化粧料を製造する方法は特に限定されず、化粧料
の用途(種類)に応じた従来公知の化粧料組成物を製造
する任意の時期に該微粒子を、必要量を添加混合し分散
せしめればよい。本発明の微粒子は、凝集しにくく、通
常の化粧料組成物に対して容易に分散し得るものであ
る。従って、該微粒子の分散方法は、一般に化粧料粉末
に用いられている混合分散方法をそのまま適用すること
ができるとともに該方法に従えば該微粒子が高分散した
化粧料が得られる。また、該微粒子を添加混合する際、
該微粒子はそのまま添加混合してもよいが、必要に応じ
て、例えばアニオン性、カチオン性、ノニオン性および
両性等の界面活性剤、金属石鹸、シリコーン等による、
化粧料粉末に一般に用いられている親油化あるいは親水
化等を目的とした表面処理法を行ってもよい。表面処理
は、添加混合に先だって行ってもよく、あるいは添加混
合過程で行ってもよい。
【0206】本発明の化粧料は、(1)紫外線カット能
と(2)赤外線カット能(近赤外=熱線および遠赤外
線)とを少なくとも有し、さらに、 ・超微粒子であれば可視光に対する透過性(=透明性)
に優れ、 ・中空体など複層構造の微粒子であれば光拡散性に優れ
る、ものである。
【0207】また、本発明の酸化亜鉛系微粒子は、Zn
Oを主たる成分とするため、抗菌性にも優れ、得られた
化粧料も抗菌性を有するものとなる。本発明の微粒子
が、結晶の間隙に細孔を有するか、および/または、中
空である場合には、本発明の化粧料は、保湿性、しっと
り感を持つことができ、香料などを微粒子に保持させる
ことにより香料などの徐放機能を持たせることも可能で
ある。
【0208】なお、本発明の、酸化亜鉛系微粒子の溶媒
分散体、酸化亜鉛系微粒子の可塑剤分散体についてはす
でに上で説明したとおりである。ただし、本発明の微粒
子および本発明の製造方法により得られた微粒子の用途
は上述したものに限定されない。
【0209】
【作用】酸化亜鉛は高い紫外線遮蔽能を有するが、熱線
遮蔽能を有しない。一方、 IIIB族金属元素やIVB族金
属元素の酸化物も熱線遮蔽能を有しない。しかし、 III
B族金属元素やIVB族金属元素を添加して酸化亜鉛をこ
れらの金属と結晶性の共沈体とすると両金属元素の相乗
作用で熱線遮蔽能が出てくる。ここに、紫外線遮蔽能と
は、紫外線のうち、360nm以上の波長に吸収端を有
する吸収性を指し、熱線遮蔽能とは、熱線領域のうち、
2.0μm以下にカットオフ波長を有する遮蔽性を指
す。
【0210】この場合、この酸化亜鉛系微粒子は結晶性
の共沈物であることが重要である。非結晶性であれば共
沈物であっても熱線遮蔽能が生じず、また、非結晶性共
沈殿物を焼成して結晶化した酸化亜鉛系微粒子は結晶性
ではあるが熱線遮蔽能を有しない。酸化亜鉛に IIIB族
金属元素やIVB族金属元素を添加すると酸化亜鉛に導電
性を付与することもできる。
【0211】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。得られた酸化亜鉛系微粒子の分散体について、含有
される微粒子の結晶性、粒子形状、1次粒子径、分散・
凝集状態、微粒子濃度、組成等の物性又は物性値は以下
の方法により分析、評価した。分析、評価に先だって粉
末化する必要のある場合は、特に断りのない限り、以下
の方法に従って、粉末化した後、得られた粉末を測定試
料とした。また、粉体化したものについては、そのまま
すべての分析に供した。
【0212】(粉末試料の作製法)得られた分散体中の
微粒子を遠心分離操作によって分離した後、80℃にて
真空乾燥し、揮発成分を完全に除去して微粒子の粉末を
得、これを粉末試料とした。 (結晶性)粉末X線回折測定により評価した。
【0213】(粒子形状)1万倍の走査型電子顕微鏡又
は透過型電子顕微鏡により判定した。 (平均粒子径)1万倍の走査型電子顕微鏡像又は透過型
電子顕微鏡像の任意の粒子100個の粒子径を実測し
て、下記の式より求めた。走査型電子顕微鏡像の場合、
測定に先だって貴金属合金の蒸着処理を行うが、蒸着層
の厚みの分だけ、得られる粒子径の値は、透過型電子顕
微鏡像のそれに比べて、大きくなるので補正した後の値
で示した。
【0214】
【数1】
【0215】
【数2】
【0216】
【数3】
【0217】(分散体中の微粒子濃度)分散体の一部を
100℃に於て溶媒等の揮発成分を完全に除去し得るま
で真空乾燥することにより乾燥粉末を得、これを空気
中、500℃で1時間加熱したときの残分を金属酸化物
として、金属酸化物分の分散体に対する重量分率を求
め、この値を分散体中の微粒子濃度(金属酸化物換算濃
度)とした。
【0218】(微粒子組成)粉末試料を、蛍光X線分
析、原子吸光分析及び重量分析等より求めた。 (微粒子の熱線カット性能)反応により得られた微粒子
分散体を微粒子濃度10重量%に濃縮することにより、
濃縮分散体を得、該濃縮分散体を、バーコーターを用い
て、厚さ2mmのガラス板上に塗布し、乾燥(窒素雰囲
気下80℃)することによって乾燥膜を得る。塗布量を
微粒子換算で1〜10g/m2 の範囲で種々変え、各乾
燥膜の分光特性(波長2200〜200nm)を、自記
分光光度計(UV-3100 、(株)島津製作所)により測定
する。得られた分光曲線より、塗布量が微粒子換算で3
g/m 2 の場合の膜について、以下の基準に比較して、
各性能を評価する。
【0219】 *熱線カット量:[基材に於ける波長2μmに対する光
透過率(%)]−[塗装品に於ける波長2μmに対する
光透過率(%)] (可視光透過性) 波長600nmに於ける透過率:≧80% +++ 70〜80% ++ 60〜70% + <60% − 参考)使用したガラス基板の透過率 波長 350nm 600nm 2μm 透過率(%) 86 91 91 (塗装品等の光学的特性)分光特性については、自記分
光光度計(UV-3100 、(株)島津製作所)により、照射
波長2200〜200nmに於ける、各波長光に対する
透過率を測定評価した。
【0220】測定された分光特性より、熱線カット性
能、紫外線カット性能等は以下の基準に基づき評価し
た。 熱線カット量:基材自体の波長2μmに対する光透過率
(%)−塗装品の波長2μmに対する光透過率(%) 〔微粒子を含有する/しない成形品の場合は、100
(%)−成形品の波長2μmに対する光透過率(%)〕 紫外線カット能:波長350nmに於ける光透過率で上
記の基準に従って評価した。
【0221】全光線透過率とヘイズ:濁度計(NDH−
1001 DP 日本電色工業(株))により、測定評
価した。 (微粒子の導電性)前記した粉末試料0.1mlを、予
め、金の櫛型電極を蒸着したパイレックスガラス(1.
5cm角)と何も蒸着していないパイレックスガラス
(1.5cm角)の間に挟み、一定圧力を印加した状態
で、温度20℃、相対湿度60%の雰囲気下、遮光状態
で1時間放置した後、ケスレー社製エレクトロメータ6
17型を用いて、同条件下に於ける、電流値(暗電流)
を測定し、抵抗値(Ω)に換算し評価した。
【0222】標準試料として、市販の酸化亜鉛(堺化学
製、亜鉛華1号特製)を用い、これの抵抗値と粉末試料
の抵抗値の相対値で導電性を評価した。すなわち、 標準試料の抵抗値/実施例または比較例の試料の抵抗値
=rとすると rの範囲 導電性 1×10-1 ≦r<1×101 × 1×101 ≦r<1×102 + 1×102 ≦r<1×103 ++ 1×103 ≦r +++ [微粒子分散体の製造] 実施例I−1 攪拌機、滴下口、温度計、還流冷却器を備えた10Lの
ガラス製反応器中で、酢酸1.6kg及びイオン交換水
1.6kgの混合溶媒に酸化亜鉛粉末0.3kg、酢酸
インジウム2水和物36.3gを添加混合した後、攪拌
しながら100℃まで昇温することにより、均一溶液の
亜鉛含有溶液(A1)を得た。
【0223】次に、外部より熱媒加熱し得る、攪拌機、
滴下口、温度計、留出ガス出口を備えた20Lのガラス
製反応器に、2−ブトキシエタノール14kgを仕込
み、内温を153℃まで加熱昇温し保持した。これに、
100℃に保持された亜鉛含有溶液(A1)全量を、定
量ポンプにより30分かけて滴下した。ボトムの温度は
153℃から131℃まで変化した。滴下終了後、内温
を168℃まで昇温した時点で、ラウリン酸36.9g
を溶解した2−ブトキシエタノール溶液400gを1分
かけて添加し、さらに該温度で5時間加熱保持すること
により、青灰色の分散体(DI−1)7.89kgを得
た。分散体(DI−1)は、平均粒子径が5nmの薄片
状の微粒子が3.5重量%の濃度で分散したものであっ
た。分散体中の微粒子は、X線回折学的には結晶性酸化
亜鉛であり、金属酸化物含有量94.5重量%、Inが
金属原子総量に対し原子数比で3.0%の組成からなる
微粒子であった。
【0224】得られた分散体、および微粒子の物性を表
3に示す。 実施例I−2 実施例I−1に於ける亜鉛含有溶液(A1)に於ける原
料の種類、量を表1に示す如く変えた以外は、実施例I
−1と同様にして亜鉛含有溶液(A2)を得、さらに、
実施例I−1に於ける2−ブトキシエタノール仕込量を
12kgとし、ラウリン酸を添加しなかった以外は、実
施例I−1と同様にして、分散体(DI−2)を得た。
【0225】得られた分散体、および微粒子の物性を表
3に示す。実施例I−2で得られた分散体(DI−2)
227重量部にオクタデシルトリエトキシシラン1重量
部を添加し攪拌した後、エバポレータに於いて、減圧
下、バス温度130℃で、加熱溶媒除去し、さらに10
0℃で真空乾燥処理することにより微粒子粉末(PI−
2−1)12重量部を得た。
【0226】実施例I−3 実施例I−1と同様の、攪拌機、滴下口、温度計、還流
冷却器を備えた10Lのガラス製反応器中で、酢酸2.
2kg及びイオン交換水2.2kgの混合溶媒に酢酸亜
鉛2水和物0.809kgを添加混合した後、攪拌しな
がら100℃まで昇温することにより、均一溶液の亜鉛
含有溶液(A3)を得た。
【0227】次に、外部より熱媒加熱し得る、攪拌機、
滴下口、温度計、留出ガス出口を備えた20Lのガラス
製反応器に、2−ブトキシエタノール8kgと酢酸エチ
レングリコール−n−ブチルエーテル5kgを仕込み、
内温を162℃まで加熱昇温し保持した。これに、10
0℃に保持された亜鉛含有溶液(A3)全量を、定量ポ
ンプにより30分かけて滴下した。滴下終了後、内温を
168℃まで昇温した時点で、アルミニウムトリス(se
c −ブトキシド)90.8gを2−ブトキシエタノール
400gに均一溶解した溶液を一気に添加し、さらに1
70℃で5時間加熱保持することにより、分散体(DI
−3)を得た。
【0228】得られた分散体、および微粒子の物性を表
3に示す。 実施例I−4 実施例I−1と同様の、攪拌機、滴下口、温度計、還流
冷却器を備えた10Lのガラス製反応器中で、酢酸2.
2kg及びイオン交換水2.2kgの混合溶媒に酢酸亜
鉛2水和物0.809kg、アルミナゾル−200(日
産化学社製、AS−200、Al2 3 )を順次添加混
合した後、攪拌しながら100℃まで昇温することによ
り、均一溶液の亜鉛含有溶液(A4)を得た。
【0229】次に、外部より熱媒加熱し得る、攪拌機、
滴下口、温度計、留出ガス出口を備えた20Lのガラス
製反応器に、2−ブトキシエタノール14kgを仕込
み、内温を150℃まで加熱昇温し保持した。これに、
100℃に保持された亜鉛含有溶液(A4)全量を、定
量ポンプにより30分かけて滴下した。滴下終了後、内
温を168℃まで昇温した時点で、ポリエチレングリコ
ール(平均分子量6000)30.0gを2−ブトキシ
エタノール100gに均一溶解した溶液を数秒間で添加
し、さらに170℃で5時間加熱保持することにより、
分散体(DI−4)を得た。
【0230】得られた分散体、および微粒子の物性を表
3に示す。 実施例I−5 実施例I−1と同様の、攪拌機、滴下口、温度計、還流
冷却器を備えた10Lのガラス製反応器中で、酢酸1.
5kg及びイオン交換水1.5kgの混合溶媒に酸化亜
鉛0.30kgを添加混合した後、攪拌しながら80℃
まで昇温することにより、均一溶液の亜鉛含有溶液(A
5)を得た。
【0231】次に、外部より熱媒加熱し得る、攪拌機、
滴下口、温度計、留出ガス出口を備えた20Lのガラス
製反応器に、2−ブトキシエタノール14kgとエチル
アセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート6
0.6gを仕込み、内温を150℃まで加熱昇温し保持
した。これに、80℃に保持された亜鉛含有溶液(A
5)全量を、定量ポンプにより30分かけて滴下した。
滴下終了後、内温を170℃まで昇温し、170℃で5
時間加熱保持することにより、分散体(DI−5)を得
た。
【0232】得られた分散体、および微粒子の物性を表
3に示す。さらに分散体(DI−5)中に含有されてい
る微粒子を遠心分離操作によって分散媒から分離し、分
離された微粒子をメタノールで洗浄した後、50℃で2
4時間真空乾燥(10Torr)することによって微粒
子粉体(PI−5)を得た。
【0233】得られた微粒子粉体(PI−5)は、厚み
の平均径が0.025μm、長径の平均粒子径0.08
μm、長短度2、偏平度3.2であり、金属酸化物含有
量87.3重量%、Alが金属原子総量に対し原子数比
で5.5%の組成からなり、結晶性酸化亜鉛のX線回折
パターンを示す薄片状(りん片状)の結晶が2〜5層積
層した微粒子であった。
【0234】比較例I−1 実施例I−1に於いて、酢酸インジウムを使用せず、2
−ブトキシエタノールの仕込量を12.0kgとした以
外は、実施例I−1と同様にして微粒子分散体(DI−
R1)を得た。得られた分散体、および微粒子の物性を
表3に示す。 実施例I−6 攪拌機、滴下口、温度計、還流冷却器を備えた10Lの
ガラス製反応器中で、酢酸1.6kg及びイオン交換水
1.6kgの混合溶媒に酸化亜鉛粉末0.3kg、酢酸
インジウム2水和物36.3gを添加混合した後、攪拌
しながら100℃まで昇温することにより、均一溶液の
亜鉛含有溶液(A6)を得た。
【0235】次に、外部より熱媒加熱し得る、攪拌機、
滴下口、温度計、留出ガス出口を備えた20Lのガラス
製反応器に、2−ブトキシエタノール12kgを仕込
み、内温を158℃まで加熱昇温し保持した。これに、
100℃に保持された亜鉛含有溶液(A6)全量を、定
量ポンプにより60分かけて滴下した。滴下終了後、内
温を168℃まで昇温した時点で、アクリル系ポリマ
ー:メタクリル酸メチル−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート−マレイン酸共重合体(重量比で8:1:1、重量
平均分子量4,500)300.0gを含有する2−ブ
トキシエタノール溶液500gを1分間で添加し、さら
に168℃で5時間加熱保持することにより、青灰色の
分散体(DI−6)9.80kgを得た。
【0236】分散体(DI−6)は、平均粒子径が20
nmの微粒子が3.1重量%の濃度で分散したものであ
った。分散体中の微粒子は、X線回折学的には結晶性酸
化亜鉛であり、金属酸化物含有量55重量%、Inが金
属原子総量に対し原子数比で3.0%の組成からなる微
粒子であった。さらに、該微粒子は透過型電子顕微鏡観
察により、金属酸化物表面が添加したアクリル系ポリマ
ーで被覆されたものであることが確認された。
【0237】次に、分散体(DI−6)中に含有されて
いる微粒子を遠心分離操作によって分散媒から分離し、
分離された微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した
後、50℃で24時間真空乾燥(10Torr)するこ
とによって微粒子粉体(PI−6)を得た。得られた微
粒子粉体(PI−6)中の微粒子は、分散体中に於ける
ものと実質的に変わらないものであることが確認され
た。
【0238】さらに、微粒子粉体(PI−6)は、メタ
ノール、イソプロパノール,n−ブタノール、ベンジル
アルコール、2ーエトキシエタノール等のアルコール
類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸エチル
等のエステル類、ベンセン、トルエン等の芳香族化合物
など有機溶媒に対する分散性に優れるものであり、容易
に単粒子状に再分散するものであった。
【0239】実施例I−7 攪拌機、滴下口、温度計、還流冷却器を備えた10Lの
ガラス製反応器中で、酢酸1.6kg及びイオン交換水
1.6kgの混合溶媒に酸化亜鉛粉末0.3kg、酢酸
インジウム2水和物36.3gを添加混合した後、攪拌
しながら100℃まで昇温することにより、均一溶液の
亜鉛含有溶液(A7)を得た。
【0240】次に、外部より熱媒加熱し得る、攪拌機、
滴下口、温度計、留出ガス出口を備えた20Lのガラス
製反応器に、2−ブトキシエタノール12kgを仕込
み、内温を158℃まで加熱昇温し保持した。これに、
100℃に保持された亜鉛含有溶液(A7)全量を、定
量ポンプにより30分かけて滴下した。滴下終了後、内
温を168℃まで昇温した時点で、メタクリル酸メチル
−アクリル酸共重合体(重量比で9:1、重量平均分子
量7,200)50.0gを含有する2−ブトキシエタ
ノール溶液400gを数秒間で添加し、さらに168℃
で5時間加熱保持することにより、青灰色の分散体(D
I−7)11.79kgを得た。分散体(DI−6)
は、約20〜30nmの微結晶が厚み0.2μmの外殻
層を形成する、中空体構造の、平均粒子径0.5μm、
微粒子中の金属酸化物含有量86.0重量%の球状微粒
子が、3.1重量%の濃度で分散して成る分散体であっ
た。
【0241】さらに、分散体(DI−7)中に含有され
ている微粒子を遠心分離操作によって分散媒から分離
し、分離された微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄
した後、50℃で24時間真空乾燥(10Torr)す
ることによって微粒子粉体(PI−7)を得た。得られ
た微粒子粉体(PI−7)は、平均粒子径0.5μm、
金属酸化物含有量86.0重量%、Inが金属原子総量
に対し原子数比で3.0%の組成からなり、結晶性酸化
亜鉛のX線回折パターンを示す球状微粒子であった。さ
らに、微粒子の内部構造は、約25nmの粒状の金属酸
化物微粒子とメタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体
が外殻に局在化する中空体微粒子であることが確認され
た。中空部分の直径は平均で0.1μmであった。ま
た、微粒子表面は、凹凸に富むものであることが走査型
電子顕微鏡観察により確認された。
【0242】さらに、微粒子粉体(PI−7)は、メタ
ノール、イソプロパノール,n−ブタノール、ベンジル
アルコール、2ーエトキシエタノール等のアルコール
類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸エチル
等のエステル類、ベンセン、トルエン等の芳香族化合物
など有機溶媒に対する分散性に優れるものであった。
【0243】実施例I−8 実施例I−7に於いて、酢酸インジウム2水和物36.
3gの代わりに酢酸インジウム2水和物72.5g、メ
タクリル酸メチル−アクリル酸共重合体の2−ブトキシ
エタノール溶液の代わりにポリメチルメタクリレート
(PMMA、重量平均分子量:6万)30gを溶解した
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液8
00gを使用する以外は、実施例I−6と同様にして、
反応を行うことにより、青灰色の分散体(DI−8)1
0.0kgを得た。
【0244】さらに分散体(DI−8)中に含有されて
いる微粒子を遠心分離操作によって分散媒から分離し、
分離された微粒子をイソプロピルアルコールで洗浄した
後、50℃で24時間真空乾燥(10Torr)するこ
とによって微粒子粉体(PI−8)を得た。得られた微
粒子粉体(PI−8)は、平均粒子径3.0μm、金属
酸化物含有量90.1重量%、Inが金属原子総量に対
し原子数比で5.8%の組成からなり、結晶性酸化亜鉛
のX線回折パターンを示す球状微粒子であった。さら
に、微粒子の内部構造は、約20nmの粒状の金属酸化
物微粒子がPMMA中に均一に分散したものであること
が確認された。
【0245】実施例I−9 実施例I−7に於いて、酢酸インジウム2水和物36.
3gの代わりに酢酸インジウム2水和物6.05g、メ
タクリル酸メチル−アクリル酸共重合体の2−ブトキシ
エタノール溶液の代わりに乳酸7gを溶解した2−ブト
キシエタノール溶液200gを使用する以外は、実施例
I−7と同様にして、反応を行うことにより、青灰色の
分散体(DI−9)を得た。
【0246】さらに分散体(DI−9)中に含有されて
いる微粒子を遠心分離操作によって分散媒から分離し、
分離された微粒子をメタノールで洗浄した後、50℃で
24時間真空乾燥(10Torr)することによって微
粒子粉体(PI−9)を得た。得られた微粒子粉体(P
I−9)は、平均粒子径1.2μm、金属酸化物含有量
96.0重量%、Inが金属原子総量に対し原子数比で
0.5%の組成からなり、結晶性酸化亜鉛のX線回折パ
ターンを示す球状微粒子であった。さらに、微粒子の内
部構造は、長径0.3μm、偏平度18の薄片状の金属
酸化物微粒子が密に積層したものであり、中空径0.6
μmの中空体微粒子であった。
【0247】さらに、微粒子粉体(PI−9)は、水、
メタノール、イソプロパノール,n−ブタノール、ベン
ジルアルコール、2ーエトキシエタノール等のアルコー
ル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸エチ
ル等のエステル類などの極性溶媒に対する分散性に優れ
る微粒子粉末であった。
【0248】実施例I−10 実施例I−1における亜鉛含有溶液(A1)における原
料の種類・量を表2に示すごとく変えた以外は、実施例
I−1と同様にして亜鉛含有溶液(A10)を得、さら
に、実施例I−1における2−ブトキシエタノール仕込
み量を12kgとし、ラウリン酸の代わりにモノエタノ
ールアミン30.0gを添加した以外は、実施例I−1
と同様にして分散体(DI−10)を得た。
【0249】得られた分散体、および微粒子の物性を表
3に示す。実施例I−1、比較例I−1に於いて得られ
た分散体(DI−1)、(DI−R1)をそれぞれエバ
ポレータに於いて、減圧下、バス温度130℃で、微粒
子濃度が10重量%となるように濃縮し、濃縮分散体
(DI−1C)、(DI−RC)を得た。各濃縮分散体
100重量部にアクリル系樹脂溶液:アロセット521
0(固形分45重量%、(株)日本触媒製)1.11重
量部を添加混合した後2時間攪拌することにより、塗布
液を調製した。
【0250】予め、金の櫛型電極を蒸着したパイレック
スガラス上に、各塗布液を用いて、スピンコーターによ
り成膜し、常温で乾燥し、50℃で加熱乾燥することに
より、乾燥膜(DI−1M)、(DI−RM)を得た。
得られた膜はいずれも厚み1.0μmの均質な膜であっ
た。各乾燥膜を温度20℃、相対湿度60%の雰囲気
下、遮光状態で1時間放置した後、ケスレー社製エレク
トロメータ617型を用いて、同条件下に於ける、表面
抵抗値を測定した結果、以下のとおりであった。
【0251】DI−1M 2.7×1011Ω/□ DI−RM 3.9×1014Ω/□ さらに、DI−1Mについて、温度20℃、以下の相対
湿度雰囲気下で1時間放置したときの遮光状態に於ける
表面抵抗値を測定した結果を以下に示す。 相対湿度 表面抵抗値(Ω/□) 20% 1.9×1011 60% 2.7×1011 85% 2.8×1011 実施例I−2〜I−5に於いてそれぞれ得られた分散体
(DI−2)〜(DI−5))についても同様に塗布液
を調製し、厚み1μmの膜に成膜し、温度20℃、相対
湿度60%の雰囲気下での表面抵抗値を測定した結果、
いずれの膜の表面抵抗値(単位:Ω/□)も1011オー
ダーもしくは1012オーダーであり、しかも、実施例I
−1の場合と同様に湿度によらず表面抵抗値は一定であ
ることが確認された。
【0252】以上の結果から、実施例I−1〜I−5に
於いて得られた各分散体中の微粒子は、従来の酸化亜鉛
に比べて導電化された導電性微粒子であり、しかも、実
質的に湿度依存性のないものであることが確認された。
従って、本発明で得られる微粒子(分散体)は例えば帯
電防止膜の好適な原料であるといえる。実施例I−2お
よび比較例I−1で得られた分散体(DI−2)、分散
体(DI−R1)より、前記した方法に従って、粉末試
料を得、X線回折測定を行った結果(各粉末のX線回折
パターン)を、図2に示す。図2において、横軸は回折
角度(2θ)〔単位:°〕、縦軸は強度〔cps〕であ
る。図2にみるように、DI−2およびDI−R1は、
いずれもZnOに帰属されるシャープな回折ピークを示
すことがわかる。
【0253】比較例I−2 重炭酸アンモニウム35.0gをイオン交換水500g
に溶解することによりA液を得た。硫酸アルミニウム水
和物( Al2(SO4)3・nH2O, n=14〜18)6.1778
gをイオン交換水に溶解して50gとしB液を得た。
【0254】酸化亜鉛(フランス法1号特注,堺化学
製)100gをイオン交換水180gに添加混合し、ス
ラリーCを得た。シリカ微粉末(エアロジル200,日
本アエロジル社)1.00gをイオン交換水50gに添
加混合し、攪拌することにより、分散液Dを得た。室温
にて、液Aを攪拌しながら、液Aに液Bを添加すること
により、混合物を得た。該混合物は、混合後すみやかに
乳濁した。得られた乳濁物をそのまま、10分間攪拌し
た。
【0255】次に、外部より熱媒加熱し得る、攪拌機、
滴下口、温度計、還流冷却器を備えた1Lのガラス製反
応器中に、スラリーCを仕込み、室温で攪拌しながら、
滴下口より、先に得られた乳濁物を添加混合し、熱媒温
度を80℃に設定して昇温を開始した。約30分後、内
温が61℃に達した時点で、分散液Dを添加混合し、加
熱下で1時間攪拌を続けた。1時間後、内温が76.6
℃の時点で、攪拌は続けながら、加熱を停止し、放冷し
た。内温が室温になった時点で、得られたスラリー全量
を減圧濾過によって、微粒子を分離し、さらに、イオン
交換水で十分に洗浄した後、50℃で12時間真空乾燥
し、さらに100℃で4時間、真空乾燥することによ
り、白色粉末を得た。
【0256】得られた白色粉末は、X線回折測定の結
果、ZnOに帰属する回折ピーク以外に塩基性炭酸亜鉛
Zn4CO3(OH)6・H2O と考えられる不純物ピークの混在す
る回折パターンを示すものであり、ZnOの結晶性は低
いものであることが確認された。該粉末のX線回析パタ
ーンを図3に示す。 比較例I−3 塩化亜鉛(ZnCl2 )8.3753g,塩化アルミニウム
( AlCl3・6H2O)0.3167gをイオン交換水50g
に溶解させることにより均一溶液を得た。次に、該溶液
を室温で攪拌しながら、14wt%アンモニア水を滴下
し、pH8.21になった時点で滴下を終了した。14
wt%アンモニア水の滴下量は20.0gであった。
【0257】滴下終了後、10分間攪拌した後、全量を
濾過し、さらに水洗を十分に行った後、遠心分離操作に
よって微粒子分を取り出し、50℃で12時間、さらに
100℃で4時間真空乾燥を行うことより、白色粉末を
得た。得られた白色粉末は、X線回析測定の結果、Zn
Oに帰属される回折ピークを示さないものであることが
確認された。該粉末のX線回折パターンを図3に示す。
【0258】比較例I−4 比較例I−2と全く同様にして、白色粉末を得た後、該
白色粉末を、加熱焼成炉中で、窒素雰囲気下、室温より
640℃に昇温し、640℃で1時間保持した後、室温
まで冷却することにより、灰白色の粉末を得た。得られ
た粉末は、X線回折測定の結果、ZnO結晶であること
が確認された。該粉末のX線回折パターンを図3に示
す。
【0259】また、得られた粉末を利用して、下記組成
の塗料を作成し、ガラス基板上に成膜し、厚み3.1μ
mの膜の形成された塗装品(II−R4C)を得た。得ら
れた塗装品(II−R4C)は、ヘイズ値が78%と高い
白濁したものであり、可視光に対する透明性が低く、紫
外線(UV)に対しては遮蔽性を示すものの、熱線遮蔽
性を示さないものであった。塗装品(II−R4C)の分
光透過率曲線を図4に示す。
【0260】(塗料組成) 粉末 10重量部 2−ブトキシエタノール 90重量部 アクリル系樹脂溶液* 50重量部 *アロセット5247(日本触媒製,固形分45重量
%)をトルエンで固形分濃度20重量%に希釈したもの (塗料化方法)粉末を2−ブトキシエタノールに添加混
合後、超音波ホモジナイザーで20分間分散処理を行っ
た後、アクリル樹脂溶液を添加し、攪拌を2時間行っ
た。さらに、超音波ホモジナイザーで20分間分散処理
を施すことにより塗料を得た。
【0261】比較例I−5 比較例I−3と全く同様にして、白色粉末を得た。該白
色粉末を、加熱焼成炉中で、窒素雰囲気下、室温より6
40℃に昇温し、640℃で1時間保持した後、室温ま
で冷却することにより僅かに緑灰がかった粉末を得た。
得られた粉末は、X線回折測定の結果、ZnO結晶であ
ることが確認された。該粉末のX線回折パターンを図3
に示す。
【0262】図3において、横軸は回折角度(2θ)
〔単位:°〕、縦軸は強度〔cps〕である。また、得
られた粉末を利用して、比較例I−4の場合と同様にし
て、塗料を作成し、ガラス基板上に成膜し、厚み3.2
μmの膜の形成された塗装品(II−R5C)を得た。得
られた塗装品(II−R5C)は、ヘイズ値が83%と高
い白濁したものであり、可視光に対する透明性が低く、
UV遮蔽性は示すものの、熱線遮蔽性を示さないもので
あった。塗装品(II−R5C)の分光透過率曲線を図4
に示す。
【0263】[塗料、塗装品の製造例] 実施例II−1 実施例I−1に於いて得られた分散体(DI−1)をエ
バポレータに於いて、減圧下、バス温度130℃で、微
粒子濃度が10重量%となるように濃縮し、濃縮分散体
(DI−1C)を得た。
【0264】次に、アクリル系樹脂溶液(アロセット5
210;日本触媒製、固形分45重量%)をバインダー
成分として、塗料を調製した。すなわち、上記アクリル
樹脂溶液をトルエンで希釈し、樹脂濃度20重量%とし
た樹脂溶液50重量部に、濃縮分散体(DI−1C)1
00重量部を添加混合した後、攪拌することにより、塗
料(II−1)150重量部を得た。
【0265】実施例II−2 実施例I−2に於いて得られた分散体(DI−2)をエ
バポレータに於いて、減圧下、バス温度130℃で、微
粒子濃度が10重量%となるように濃縮し、濃縮分散体
(DI−2C)を得た。次に、得られた濃縮分散体(D
I−2C)を遠心分離操作によって微粒子沈降物と溶媒
分(上澄み)に分離し、微粒子沈降物を、イオン交換水
に添加し、サンドミルによって分散処理することによっ
て、微粒子が、10重量%で微分散した水分散体(DI
−2W)を得た。
【0266】ビニル系樹脂(ポバールR2105,
(株)クラレ製)10重量%含む水溶液100重量部
に、水分散体(DI−2W)100重量部を添加した
後、攪拌することにより、微粒子、バインダーをそれぞ
れ5重量%含有する塗料(II−2)を得た。 実施例II−3 実施例I−1に於いて得られた分散体(DI−1)をエ
バポレータに於いて、減圧下、バス温度130℃で、微
粒子濃度が10重量%となるように濃縮し、濃縮分散体
(DI−1C)を得た。
【0267】一方、還流冷却器、攪拌機、温度計を備え
た4つ口フラスコにイソプロピルアルコール24重量
部、水16重量部、35%塩酸0.005重量部を順次
仕込み、攪拌しながら、メチルトリメトキシシラン10
重量部、テトラエトキシシラン30重量部を添加した
後、80℃に昇温して80℃で2時間反応させた後、冷
却した。得られた混合物(x)は、不揮発分17.0重
量%の均一溶液であった。
【0268】次に、濃縮分散体(DI−1C)80重量
部を攪拌しながら、混合物(x)12重量部を添加混合
することにより、塗料(II−3)を得た。 実施例II−4 実施例II−2と同様にして、実施例I−2に於いて得ら
れた分散体(DI−2)より、微粒子が、10重量%で
微分散した水分散体(DI−2W)を得た。
【0269】ビニル系樹脂(ポバール205,(株)ク
ラレ製)10重量%含む水溶液20重量部に、水分散体
(DI−2W)100重量部を添加し、さらに、酢酸銅
1水和物の1.23重量部を含む水溶液20重量部を添
加した後、攪拌し、超音波照射処理することにより、塗
料(II−4)を得た。実施例II−1〜4に於いて得られ
た塗料(II−1)〜(II−4)を用いて、各種基材に、
バーコーターにより塗布し、乾燥することによって、塗
装品(II−1C1)、(II−1C2)、(II−2C),
(II−3C),(II−4C)を製造した。
【0270】成膜条件、得られた塗装品の膜厚、光学的
物性を表4に示す。得られた塗装品は、いずれも均質で
あり、可視光に対する透明性に優れながら、紫外線およ
び熱線を遮蔽する膜であった。塗装品(II−1C1),
(II−1C2)について日射透過率および可視光透過率
を測定した結果、下表の通りであり、透明でありながら
熱遮断性を有する膜であることが確認された。
【0271】 日射透過率(a) 可視光透過率(b) (a)-(b) (%) (%) (%) 塗装品(II-1C1) 70.22 71.00 +0.78 塗装品(II-1C2) 82.99 84.84 +1.85 基板ガラス 89.82 91.52 −1.70 また、塗装品(II−3C)は、表面硬度が鉛筆硬度で6
Hと硬く、しかも、表面抵抗が1×109 Ω/□と帯電
防止レベルのものであることが確認された。
【0272】比較例II−1 実施例II−1に於いて、分散体(DI−1)を使用する
代わりに、比較例I−1で得られた分散体(DI−R
1)を使用する以外は、実施例II−1と同様にして塗料
(II−R1)を調整した。該塗料(II−R1)を用い
て、塗装品II−1および2で用いたと同じガラス基板上
に塗装品II−1,2の場合と同様に塗布し乾燥すること
により、膜厚6.3μmのZnO微粒子含有膜の形成さ
れた塗装品(II−R1C)を得た。得られた塗装品(II
−R1C)は、紫外線を有効に遮蔽するものの、熱線に
対しては遮蔽効果を示さないものであった。
【0273】実施例でそれぞれ得られた塗装品(II−1
C1)、(II−1C2)および比較例(II−1)で得ら
れた塗装品(II−R1C)の分光透過率曲線を図1に示
す。図1には、用いたガラス基板の分光透過率曲線も示
す。図1において、横軸は入射光の波長(nm)、縦軸
は透過率(%)を表す。 実施例II−5 実施例II−2と同様にして、実施例I−2に於いて得ら
れた分散体(DI−2)より、微粒子が、10重量%で
微分散した水分散体(DI−2W)を得た。
【0274】該水分散体100重量部、バインダー樹脂
としてアクリルエマルション(株式会社日本触媒製アク
リセットR ES−285E、固形分50重量%)20
重量部を混合することにより塗料(II−5)を調製し
た。該塗料にポリエステル繊維を浸漬して乾燥すること
により、微粒子目付量4.0g/m2 のポリエステル繊
維を得た。得られた繊維は、紫外線および熱線をカット
する、透明感に優れるものであった。
【0275】比較例II−5 実施例II−2と同様にして、比較例I−1に於いて得ら
れた分散体(DI−R1)より、微粒子が、10重量%
で微分散した水分散体を得た。該水分散体100重量
部、バインダー樹脂としてアクリルエマルション(株式
会社日本触媒製アクリセットR ES−285E、固形
分50重量%)20重量部を混合することにより塗料
(II−R5)を調製した。該塗料にポリエステル繊維を
浸漬して乾燥することにより、微粒子目付量4.2g/
2 のポリエステル繊維を得た。得られた繊維は、紫外
線をカットする、透明感に優れるものであったが、熱線
に対して遮蔽効果を有しないものであった。
【0276】実施例II−6 実施例II−2と同様にして、実施例I−2に於いて得ら
れた分散体(DI−2)より、微粒子が、10重量%で
微分散した水分散体(DI−2W)を得た。該水分散体
100重量部、バインダー樹脂としてアクリルエマルシ
ョン(株式会社日本触媒製アクリセットR ES−28
5E、固形分50重量%)30重量部を混合することに
より塗料(II−5)を調製した。該塗料に綿繊維を浸漬
して乾燥することにより、微粒子目付量3.0g/m2
のポリエステル繊維を得た。得られた繊維は、紫外線お
よび熱線をカットする、透明感に優れるものであった。
【0277】実施例II−7 実施例I−2で得られた微粒子粉末(PI−2−1)1
0重量部を、PP(ポリプロピレン)ペレット90重量
部と溶融混練することにより、微粒子粉末(PI−2−
1)を10重量%含有するPPペレット(A)を得た。
次に、多層用フィードブロックダイを備えた押し出し機
を用いて2層PPフィルムを得た。すなわち、微粒子成
分を含有しないPPペレット(B)を主押出機に供給、
220℃で溶融し、PPペレット(A)を副押出機に供
給、180℃で溶融し、各押出機の吐出量を調節するこ
とにより、PP(A)層(微粒子粉末含有)とPP層
(B)からなる積層シートを得、さらに、得られたシー
トを延伸処理することにより、厚み8μmのPP(A)
層と厚み20μmのPP層(B)の積層されたOPPフ
ィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)を得た。
【0278】該フィルムは、微粒子が均一に高分散した
薄膜層(A)を有する多層フィルムであり、可視光透過
性に優れながら、紫外線遮蔽性および熱線遮蔽性に優れ
るものであった。 実施例II−8 実施例I−6で得られた微粒子粉体(PI−6)50重
量部とPETペレット50重量部を溶融混練することに
より、微粒子粉末(PI−6)を50重量%含有するP
ETペレット(A)を得た。
【0279】次に、実施例II−7で使用したと同じ押し
出し機、延伸機を用いて、2層PETフィルムを製造し
た。すなわち、微粒子成分を含有しないPETペレット
(B)を主押出機に供給、310℃で溶融し、PETペ
レット(A)を副押出機に供給、280℃で溶融し、各
押出機の吐出量を調節することにより、PET(A)層
(微粒子粉末含有)とPET層(B)からなる積層シー
トを得、さらに、得られたシートを延伸処理することに
より、厚み2μmのPET(A)層と厚み20μmのP
ET(B)層の積層されたPETフィルムを得た。
【0280】該フィルムは、微粒子が均一に高分散した
薄膜層(A)を含有する多層フィルムであり、可視光透
過性に優れながら、紫外線遮蔽性および熱線遮蔽性に優
れるものであった。 [微粒子含有成型品の製造例] 実施例III −1 実施例I−6で得られた微粒子粉体(PI−6)5重量
部とポリカーボネート樹脂ペレット995重量部を混合
し溶融混練りすることにより、微粒子0.5重量%が均
一に分散した溶融物を得、引き続き押し出し成形するこ
とによって、厚み2.0mmのポリカーボネート板を得
た。得られたポリカーボネート板は、微粒子が高分散し
た、全光線透過率が85%以上と可視光透過性に優れ、
紫外線遮蔽性及び熱線遮蔽性を示すものであった。
【0281】実施例III −2 実施例I−7で得られた微粒子粉体(PI−7)25重
量部とメタクリル樹脂ペレット475重量部を混合し溶
融混練りすることにより、微粒子5重量%が均一に分散
した溶融物を得、引き続き押し出し成形することによっ
て、厚み2mmのメタクリル樹脂シートを得た。得られ
たシートは、微粒子が高分散した、全光線透過率が83
%、ヘイズが86%と、高い可視光透過性と優れた光拡
散透過性を有し、しかも紫外線防止効果、熱線遮蔽効果
に優れるものであった。
【0282】比較例III −1 実施例III −1に於いて、粉体(PI−6)の代わり
に、フランス法で得られた酸化亜鉛微粒子(亜鉛華1
号:堺化学製)5重量部を用いる以外は、実施例III −
1と同様にして、微粒子を0.5重量%含有する、厚み
2mmのポリカーボネート板を得た。得られたポリカー
ボネート板は、微粒子が2次凝集した不均一な状態で含
有された、実施例III −1で得られたものと比べて透明
感がなく白濁したものであり、しかも紫外線遮蔽性が低
いばかりか、熱線に対する遮蔽性能を有しないものであ
った。
【0283】実施例III −3 実施例I−6で得られた微粒子粉体(PI−6)2重量
部とポリエステル樹脂ペレット98重量部を混合し溶融
混練りすることにより酸化亜鉛微粒子が2重量%均一に
分散したポリエステル組成物を得、押し出し成形によっ
てシート状に成形した後、さらに延伸することによって
厚み40μmのポリエステルフィルムを得た。該フィル
ムは、微粒子が均一に高分散したフィルムであり、可視
光透過性に優れ、紫外線遮蔽性および熱線遮蔽性に優れ
るものであった。
【0284】比較例III −2 実施例III −3に於いて、粉体(PI−6)の代わり
に、フランス法で得られた酸化亜鉛微粒子(亜鉛華1
号:堺化学製)2重量部を用いる以外は、実施例III −
3と同様にして、微粒子を2重量%含有する、厚み40
μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム
は、微粒子が2次凝集した状態で含有されたものであ
り、そのために紫外線防止効果が低く、しかも透明感が
なく白濁したものであった。また、熱線に対する遮蔽性
能を有しないものであった。
【0285】実施例III −3および比較例III −2でそ
れぞれ得られたフィルムの断面を透過型電子顕微鏡によ
り観察した結果、実施例III −3で得られたフィルムで
は、微粒子が高分散した実質的に均質なフィルムであ
り、比較例III −2で得られたフィルムでは、微粒子が
凝集しているためにフィルム表面に粗大な突起が存在す
るなど表面特性が良くないばかりか、微粒子とマトリッ
クスであるPETとの間に間隙が存在するために耐摩耗
性、耐スクラッチ性などにおいて不十分なものであっ
た。
【0286】実施例III −4 実施例III −3と同様にして、微粒子(PI−6)が2
重量%含有されたポリエステル組成物を得た後、溶融紡
糸することによって、ポリエステル繊維を得た。該繊維
は、微粒子が均一に高分散した繊維であり、透明感があ
り、紫外線遮蔽性、熱線遮蔽性に優れるものであった。
【0287】比較例III −3 実施例III −4に於ける微粒子粉体(PI−6)の代わ
りに、フランス法で得られた酸化亜鉛微粒子(亜鉛華1
号:堺化学製)を用いる以外は、実施例III −4と同様
にして、該酸化亜鉛微粒子が含有されたポリエステル繊
維を得た。得られた繊維は、微粒子が2次凝集した状態
で含有されたものであり、そのために紫外線防止効果が
低く、しかも透明感がなく白濁したものであった。ま
た、熱線に対する遮蔽性能を有しないものであった。
【0288】[化粧品の製造例] 実施例IV−1 実施例II−2と同様にして、実施例I−1に於いて得ら
れた分散体(DI−1)より、微粒子が、10重量%で
微分散した水分散体(DI−1W)を得た。該水分散体
を配合した、下記組成を有する化粧料(O/W型クリー
ム)を製造した。
【0289】<組成> (水相部) (a)微粒子の水分散体 50重量部 (b)プロピレングリコール 5重量部 (c)グリセリン 10重量部 (d)水酸化カリウム 0.2重量部 (油相部) (e)セタノール 5重量部 (f)流動パラフィン 5重量部 (g)ステアリン酸 3重量部 (h)ミリスチン酸イソステアリル 2重量部 (i)モノステアリン酸グリセリン 2重量部 成分(a)〜(d)を攪拌混合して80℃に保って水相
部を調製した。一方、成分(e)〜(i)を均一混合し
て80℃に保つことにより油相部を調製した。水相部に
油相部を加えて攪拌し、ホモミキサーで乳化させた後、
室温に冷却することによってクリームを製造した。得ら
れたクリームは透明感に優れながら、紫外線防止効果お
よび熱線遮蔽効果に優れるものであった。
【0290】比較例IV−1 実施例IV−1に於いて、水分酸体(DI−1W)の代わ
りにフランス法で得られた酸化亜鉛微粒子粉末(亜鉛華
1号;堺化学製)5重量部を10重量%の割合で含有す
る水分酸体50重量部を用いる以外は、実施例IV−1と
同様にして、クリームを製造した。
【0291】得られたクリームは、微粒子の分散性が不
良であるために、紫外線防止効果が不十分であり、しか
も白色度が高いために透明感に欠けるものであった。ま
た、熱線に対する遮蔽性は有しないものであった。 [紙の製造例] 実施例V−1 実施例II−2と同様にして、実施例Iー2に於いて得ら
れた分散体(DI−2)より、微粒子が、10重量%で
微分散した水分散体(DI−2W)を得た。
【0292】次に、定量用濾紙(東洋製紙(株)製:品
番5C)をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディ
アン・スタンダード・フリーネス400mlに調製した
パルプに、水分散体を、パルプに対する微粒子重量比が
1重量%となるよう添加混合した。次に得られたパルプ
スラリーを、固形分濃度0.1重量%となるよう希釈
し、タッピ・シートマシンにより脱水し、プレスするこ
とによって坪量75g/m2 に抄紙した。引き続いて回
転型乾燥機で100℃で乾燥することによって、微粒子
を1重量%含有する紙を得た。得られた紙は、微粒子の
分散状態が良好であり、そのために紫外線遮蔽性に優
れ、熱線遮蔽効果を有し、表面平坦性に優れるものであ
った。さらに、埃などの付着しがたいものであった。
【0293】比較例V−1 実施例V−1に於ける水分酸体(DI−2W)の代わり
に、フランス法で得られた酸化亜鉛微粒子粉末(亜鉛華
1号:堺化学製)を10重量%分散含有して成る水分酸
体を用いる以外は、実施例V−1と同様にして、紙を製
造した。得られた紙は、微粒子が2次凝集した状態で含
有されたものであり、そのために紫外線防止効果が低
く、さらに表面に凝集粒子に基づく粗大な突起が存在す
る等表面性状が粗悪なものであった。しかも、熱線遮蔽
性を有さず、また埃などの付着しやすいものであった。
【0294】
【表1】
【0295】
【表2】
【0296】
【表3】
【0297】
【表4】
【0298】実施例I−11 実施例I−1に於ける亜鉛含有溶液(A1)に於ける原
料の種類、量を表5に示す如く変えた以外は、実施例I
−1と同様にして亜鉛含有溶液(A11)を得、さら
に、実施例I−1に於ける2−ブトキシエタノール仕込
量を20kgとし、ラウリン酸を添加する代わりに、表
5、7に示す化合物を表5に示す量添加した以外は、実
施例I−1と同様にして、分散体(DI−11)を得
た。
【0299】得られた分散体および微粒子の物性を表9
に示す。 実施例I−12 反応原料を表5に示す如く変えた以外は実施例Iー1と
同様にして反応を行い、微粒子が分散した分散体(DI
−12pre )を得た後、表5、7に示す化合物を表5に
示す量添加した後、該分散体を、熱媒加熱し得るステン
レス製の耐圧容器(オートクレーブ)に仕込み、系内を
窒素パージし、室温での窒素圧を20kgf/cm2
なるように窒素で充たした後、攪拌しながら、液温を2
20℃まで昇温し、同温度で5時間保持した後、放冷す
ることにより、分散体(DI−12)を得た。
【0300】得られた分散体および微粒子の物性を表9
に示す。 実施例I−13 反応原料を表5に示す如く変えた以外は実施例I−1と
同様にして反応を行い、微粒子が分散した分散体(DI
−13pre )を得た後、室温で攪拌しながら、表5、7
に示す化合物を表5に示す量添加した後、攪拌を3時間
行うことにより分散体(DI−13)を得た。
【0301】得られた分散体および微粒子の物性を表9
に示す。 実施例I−14〜I−19 反応原料を表5、6に示す如く変えた以外は実施例I−
1と同様にして反応を行い、微粒子が分散した分散体
(DI−14pre 〜DI−19pre )を得、加熱処理を
行った後に添加する化合物を表5〜8に示すものに変
え、添加後の処理条件を表5、6に示す内容とした以外
は、実施例I−13と同様にして、分散体(DI−14
〜DI−19)を得た。
【0302】得られた分散体および微粒子の物性を表9
に示す。 実施例I−20 反応原料を表6に示す如く変えた以外は実施例I−1と
同様にして反応を行い、微粒子が分散した分散体(DI
−20)を得た。得られた分散体および微粒子の物性を
表9に示す。
【0303】
【表5】
【0304】
【表6】
【0305】
【表7】
【0306】
【表8】
【0307】
【表9】
【0308】<各種溶媒分散体の合成> 実施例I−11(2) 実施例I−11で得られた分散体(DI−11)を遠心
分離した後、沈殿物をトルエンに添加混合し攪拌するこ
とにより、金属酸化物換算濃度20wt%のトルエン分
散体(DI−11−T)を得た。
【0309】トルエン分散体(DI−11−T)は、分
散平均粒径が0.03μmであり、沈降安定性に優れる
(評価○)ものであった。また、合成して1か月後に於
いて測定した分散平均粒径は0.03μmと変化がない
ことも確認された。分散体の分散粒子径は、分散体を分
散体中の主溶媒(DI−11−Tの場合はトルエン)を
測定溶媒として遠心沈降式粒度分布測定装置により測定
したものであり、また沈降安定性は、分散体を1か月間
30℃の恒温下で静置したときの沈降状態を以下の基準
で評価したものである。
【0310】沈降安定性 ○:沈降堆積物がなく、沈降
がまったくみられない。 △:沈降堆積物が僅かに生成。 ×:沈降堆積物が多量に生成。 得られた分散体の物性を表10に示す。 実施例I−2(2) 一方、実施例I−2で得られた分散体(DI−2)を遠
心分離した後、沈殿物をトルエンに添加混合し攪拌し、
金属酸化物換算濃度20wt%のトルエン分散体(DI
−2−T)を得た。
【0311】トルエン分散体(DI−2−T)は、分散
平均粒径が1.51μmであり、沈降安定性の悪い(評
価×)ものであった。従って、実施例I−11で得られ
た分散体(DI−11)およびトルエン分散体(DI−
11−T)中の微粒子は、化合物S1で表面改質された
ものであることが明らかである。
【0312】得られた分散体の物性を表10に示す。 実施例I−11(3) 実施例I−11で得られた分散体(DI−11)を、エ
バポレータにより減圧加熱しペースト状になるまで溶媒
を留去した後、酢酸エチルを混合し、攪拌することによ
り、微粒子(金属酸化物換算)濃度20wt%の酢酸エ
チル分散体(DI−11−EA)を得た。
【0313】得られた分散体の物性を表10に示す。 実施例I−12(2)〜I−19(2) 実施例I−12〜I−19で得られた分散体(DI−1
2〜DI−19)に関しても、上記(DI−11−E
A)と同様にして、ペースト状物を得た後、表10に示
す溶媒を混合することにより、各種溶媒分散体を得た。
【0314】得られた分散体の物性を表10に示す。 実施例I−20(2) 分散体(DI−20)より、上記(DI−11−EA)
と同様にして、ペースト状物を得た後、n−ブタノール
を混合することにより、n−ブタノール分散体(DI−
20−BuOH)を得た。
【0315】得られた分散体の物性を表10に示す。
【0316】
【表10】
【0317】<可塑剤分散体> 実施例I−21 原料Aとして実施例I−20で得られた分散体(DI−
20)500重量部に、原料Bとしてフタル酸ジ−2−
エチルヘキシル400重量部を添加混合した後、得られ
た分散液を減圧下で150℃まで昇温し、同温度で分散
液中の溶媒を留去せしめた後、ステンレス製金網でろ過
することにより、微粒子濃度(金属酸化物換算)20.
1重量%のフタル酸ジ−2−エチルヘキシル分散体(D
I−20−PL)を得た。
【0318】該分散体中の溶媒成分は<1重量%以下で
あることが、ガスクロマトグラフィーにより確認され
た。また、得られた分散体は、青みを帯びた透明感のあ
る、沈降安定性に優れるものであった。該分散体の物性
を表12に示す。 実施例I−22〜I−25 実施例I−21に於いて、原料A、Bの種類、混合比を
表11の如く変えた以外は、実施例1−21と同様にし
て、各種分散体を得た。
【0319】各実施例で得られた分散体に於いては、原
料Aおよび原料Bに含まれていた溶媒成分含有量が総量
で1重量%以下であることが確認された。各分散体の物
性を表12に示す。
【0320】
【表11】
【0321】
【表12】
【0322】<塗料、塗工品> 実施例II−9 実施例I−20に於いて得られたn−ブタノール分散体
(DI−20−BuOH)より、アクリル系樹脂溶液(アロ
セット5858:日本触媒製、固形分60重量%)をバ
インダー成分として、塗料を調整した。
【0323】すなわち、上記アクリル樹脂溶液17重量
部、分散体(DI−20−BuOH)50重量部およびn−
ブタノール13重量部を混合し、攪拌した後、超音波ホ
モジナイザーで分散処理を行うことにより、塗料(II−
9)80重量部を得た。 実施例II−10 実施例II−2と同様にして、実施例I−20に於いて得
られたn−ブタノール分散体(DI−20−BuOH)よ
り、微粒子が、10重量%で微分散した水分散体(DI
−20W)を得た。
【0324】ビニル系樹脂(ポバール205,(株)ク
ラレ製)10重量%含む水溶液100重量部に、水分散
体(DI−20W)100重量部を添加した後、攪拌
し、超音波ホモジナイザーで分散処理することにより、
塗料(II−10)を得た。 実施例II−11 実施例I−20において得られたn−ブタノール分散体
(DI−20−BuOH)100重量部を攪拌しながら、混
合物(x)(実施例II−3で合成したもの)150重量
部を添加混合した後、攪拌し、超音波ホモジナイザーで
分散処理することにより、塗料(II−11)を得た。
【0325】得られた塗料(II−9)〜(II−11)を
用いて、表13に示す各種基材に、バーコーターにより
塗布し、乾燥することによって、塗装品(9C)、(1
0C),(11C)を製造した。得られた塗工品の物性
を表13に示す。
【0326】
【表13】
【0327】実施例II−12〜II−24 表14、15に示す実施例I−11〜I−20に於いて
得られた各種分散体、各種バインダーを用いて、各溶媒
系の塗料を合成し、表16〜18に示す、基材に塗布す
ることにより、各塗工品を得た。各塗工品の物性を表1
6、17に示す。
【0328】実施例II−11、16、18、20でそれ
ぞれ得られた塗工品11C,16C,18C,20Cの
鉛筆硬度が、11C:HB,16C:>9H、18C:
7H、20C:3Hであり、しかも耐摩耗性、耐擦傷性
に優れるものであった。また、実施例II−13、14で
それぞれ得られた、塗工品13C,14Cはいずれも酸
素、水蒸気のバリアー性に優れるものであった。
【0329】また、実施例II−24で得られた塗工品2
4Cは、塗工面がガラス、ポリカーボネート等に対し優
れた粘着性を示すフィルムであった。
【0330】
【表14】
【0331】
【表15】
【0332】
【表16】
【0333】
【表17】
【0334】
【表18】
【0335】<樹脂組成物、成形体> 実施例III −5 実施例I−21で得られた、フタル酸ジ−2−エチルヘ
キシル分散体(DI-20-PL)50重量部、ポリ塩化ビニル
樹脂(PVC)100重量部を、160℃にて溶融混合
し、PVCコンパウンドを製造した。該コンパウンドを
用いて、押し出し成形することにより、微粒子の分散含
有された、厚さ50μmの塩化ビニルフィルムを得た。
【0336】得られたフィルムは、可視光に対する透明
性に優れ、しかも紫外線および熱線を有効に遮蔽するも
のであった。得られたフィルムの物性を表19に示す。 実施例 III−6〜 III−9 実施例I−22〜I−25で得られた、各種分散体を微
粒子原料として、微粒子が分散含有された各種樹脂フィ
ルムを製造した。即ち、表19に示す、分散体原料、樹
脂原料、必要に応じてフタル酸ジ−n−オクチルを、表
19に示す割合で、加熱混合することにより、各種樹脂
コンパウンドを得た後、さらに各コンパウンドを成形す
ることにより、各種フィルムを得た。
【0337】得られたフィルムはいずれも、可視光に対
する透明性に優れ、しかも紫外線および熱線を有効に遮
蔽するものであった。得られた各フィルムの物性を表1
9に示す。実施例III −7で得られたフィルムは難燃性
にも優れるものであった。 比較例III −4 実施例III −5に於いて、微粒子の分散体を使用せず、
フタル酸ジ−n−オクチルとポリ塩化ビニル樹脂を、表
19に示す割合で使用した以外は、実施例III−5と同
様にして、PVCコンパウンドを製造し、さらにフィル
ムを製造した。
【0338】得られたフィルムは、可視光に対する透明
性に優れるものの、紫外線および熱線を遮蔽しないもの
であった。得られたフィルムの物性を表19に示す。
【0339】
【表19】
【0340】
【発明の効果】本発明の酸化亜鉛系微粒子は、 IIIB族
金属元素とIVB族金属元素からなる群のうちから選ばれ
た少なくとも1種の添加元素と亜鉛とを金属成分とし、
亜鉛の含有量が該金属成分の総原子数に対する亜鉛の原
子数の比で表して80〜99.9%であり、X線回折学
的に見て酸化亜鉛(Zn0)結晶性を示す金属酸化物共
沈体を少なくとも主たる構成成分とするので、酸化亜鉛
が本来持つ紫外線遮蔽性に加えて熱線を始めとする赤外
線遮蔽性と導電性を備える。しかも、これらの性能を有
する微粒子を低温下(例えば200°C以下)でも製造
できるため、2次凝集性の抑制された、分散性に優れる
微粒子として使用できる。
【0341】本発明の酸化亜鉛系微粒子は、金属酸化物
共沈体を構成する添加元素としてインジウム及び/又は
アルミニウムを含むときには、熱線遮蔽性と導電性によ
り優れ、特にインジウムを含むときには熱線遮蔽性と導
電性に一層優れたものとなる。本発明にかかる酸化亜鉛
系微粒子は、前記金属酸化物共沈体からなる単一粒子の
みからなるときには、透明性に優れる。この場合、単一
粒子の大きさは、最短部で見て平均粒子径0.001〜
0.1μmの範囲であることが好ましく、0.001〜
0.05μmの範囲であることがより好ましい。前記範
囲の平均粒子径を有する単一粒子は超微粒子であり特に
透明性に優れるため、透明な紫外線・熱線遮蔽膜や導電
膜、帯電防止膜の原料粒子として使用できる。この用途
では単一粒子を上述の分散媒に分散してなる分散体とし
て用いるのが好ましい。
【0342】本発明にかかる酸化亜鉛系微粒子は、前記
単一粒子を1次粒子とし、この1次粒子が集合してなる
2次粒子であるときには、光拡散性の要求される用途に
好適である。特に、2次粒子が外殻部のみを構成してな
る中空状のものであるときには、光拡散透過性により優
れる。この場合において、単一粒子とその集合体である
酸化亜鉛系微粒子の大きさの関係は、単一粒子の最短部
粒子径の微粒子最短部粒子径に対する比率が1/10以
下であることが好ましい。酸化亜鉛系微粒子の平均粒子
径としては、0.001〜10μmの範囲が好ましい。
【0343】本発明にかかる酸化亜鉛系微粒子は、前記
単一粒子がポリマーと複合してなるときには、樹脂に対
する親和性および分散性に特に優れるという利点をさら
に有する。単一粒子とポリマーとの複合化した粒子が中
空状であると、光拡散透過性に優れることは第2の場合
と同様である。この場合、ポリマーの含有量は特に限定
する訳ではないが、単一粒子とポリマーの合計量に対し
1〜90重量%の範囲である。酸化亜鉛系微粒子の平均
粒子径としては、0.001〜10μmの範囲が好まし
い。
【0344】光拡散性の要求される用途には集合体が好
適であり、透明性が要求される用途には単一粒子がポリ
マーと複合してなり、かつ単一粒子が微粒子中で局在化
せずに均質に分散した状態で存在する微粒子が好まし
い。この微粒子は有機溶剤や樹脂に対する親和性、分散
性に優れる。例えば樹脂成形体中に分散したり塗料中に
分散したり化粧料に配合したりし易い。
【0345】本発明にかかる酸化亜鉛系微粒子の製造方
法は、亜鉛源とモノカルボン酸を、少なくともアルコー
ルからなる媒体中で、かつ、 IIIB族金属元素とIVB族
金属元素からなる群のうちから選ばれた少なくとも1種
の添加元素を含む化合物の共存下で100°C以上の温
度に保持することにより微粒子を生成させるので、上述
した本発明の酸化亜鉛系微粒子を高い生産性で得ること
ができる。
【0346】本発明にかかる酸化亜鉛系微粒子の製造方
法は、亜鉛源とモノカルボン酸を水に混合してなる混合
物を、100°C以上に加熱した、少なくともアルコー
ルからなる媒体に添加混合することにより、前記水及び
/又はモノカルボン酸の少なくとも一部を蒸発除去する
工程を含ませるようにするのが好ましい。亜鉛源とモノ
カルボン酸は水に溶解させて使用するのが良いのである
が、微粒子の結晶性が損なわれることを防ぎ、かつ、2
次凝集を防止して微粒子の寸法、形状の均一性を得るた
めには、水やモノカルボン酸をなるべく系外に除去する
のが良いからである。なお、混合物の加熱媒体への添加
中にも微粒子の生成が起きることもあるが、通常はその
のち反応系を100°C以上の温度に保持し続けること
により生成が起きる。この間にも水やモノカルボン酸の
蒸発除去が起きるのが普通である。
【0347】本発明の酸化亜鉛系微粒子の製法では、金
属酸化物共沈体を構成する添加元素としてインジウム及
び/又はアルミニウムを含むときには、熱線遮蔽性と導
電性により優れ、特にインジウムを含むときには熱線遮
蔽性と導電性に一層優れた酸化亜鉛系微粒子が得られ
る。本発明の酸化亜鉛系微粒子の製法では、前記亜鉛源
が酸化亜鉛、水酸化亜鉛及び酢酸亜鉛からなる群より選
ばれた少なくとも1種であるときには、加熱過程におけ
る酸化亜鉛の結晶の生成反応を阻害するような不純物を
実質的に含まず、しかも、結晶と微粒子との大きさと形
状を制御しやすい。本発明の酸化亜鉛系微粒子の製法で
は、前記モノカルボン酸が、常圧下の沸点が200°C
以下の飽和脂肪酸であるときには、反応系内におけるモ
ノカルボン酸の量を制御しやすく、酸化亜鉛結晶性を示
す金属酸化物共沈体の析出反応を厳密に制御しやすい。
【0348】本発明の酸化亜鉛系微粒子の製法では、亜
鉛源とモノカルボン酸を、少なくともアルコールからな
る媒体中で、かつ、 IIIB族金属元素とIVB族金属元素
からなる群のうちから選ばれた少なくとも1種の添加元
素を含む化合物の共存下で100°C以上の温度に保持
する際に、この系に、ポリマーを共存させたり、分
子中にカルボキシル基、アミノ基、4級アンモニオ基、
アミド基、イミド結合、アルコール性及び/又はフェノ
ール性の水酸基、カルボン酸エステル結合、ウレタン
基、ウレタン結合、ウレイド基、ウレイレン結合、イソ
シアネート基、エポキシ基、リン酸基、金属水酸基、金
属アルコキシ基及びスルホン酸基からなる群のうちから
選ばれた少なくとも1種の原子団を1個又は2個以上有
し、分子量が1000未満の添加化合物を共存させた
り、二酸化炭素及び/又は炭酸源を共存させたり、
乳酸源を共存させたりすることがある。
【0349】系を100°C以上の温度に保持する際
に、ポリマーを共存させると、前記単一粒子がポリマー
と複合してなる酸化亜鉛系微粒子が得られる。系を10
0°C以上の温度に保持する際に、上述した特定の官能
基を持つ化合物を共存させると、微粒子の表面処理が可
能となり、粒子径制御もできる。系を100°C以上の
温度に保持する際に、二酸化炭素及び/又は炭酸源を共
存させると、水分散性に優れ、しかも微細(0.05μ
m以下)な微粒子が得られやすい。
【0350】系を100°C以上の温度に保持する際
に、乳酸源を共存させると、金属酸化物の共沈体からな
る単一粒子を1次粒子とし、この1次粒子が集合してな
る2次粒子の形で酸化亜鉛系微粒子が得られやすい。本
発明の塗料組成物は、前記本発明の酸化亜鉛系微粒子
と、この酸化亜鉛系微粒子を結合する被膜を形成しうる
バインダー成分とを、これら両者の固形分合計重量に対
して、上記酸化亜鉛系微粒子0.1〜99重量%、前記
バインダー成分1〜99.9重量%の割合で含むので、
紫外線遮蔽能と、熱線を始めとする赤外線遮蔽能とを有
し、導電性の制御された塗装品を形成することができ
る。この場合、酸化亜鉛系微粒子とバインダー成分の固
形分合計重量が1〜80重量%であり、残部が溶媒であ
ることが好ましい。
【0351】本発明の塗装品は、樹脂成形品、ガラスお
よび紙からなる群のうちから選ばれた1つの基材とその
表面に形成された塗膜とを備え、この塗膜は、前記本発
明の酸化亜鉛系微粒子と、この酸化亜鉛系微粒子を結合
するバインダー成分とを、これら両者の合計重量に対し
て、上記酸化亜鉛系微粒子0.1〜99重量%、前記バ
インダー成分1〜99.9重量%の割合で含むので、紫
外線遮蔽能と、熱線を始めとする赤外線遮蔽能とを有
し、導電性の制御されたものとなる。この場合、前記樹
脂成形品は、例えば、板、シート、フィルムおよび繊維
からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0352】本発明の樹脂組成物は、前記本発明の酸化
亜鉛系微粒子と、この酸化亜鉛系微粒子が分散された連
続相を形成しうる樹脂とを、これら両者の固形分合計重
量に対して、上記酸化亜鉛系微粒子0.1〜99重量
%、上記樹脂1〜99.9重量%の割合で含むので、紫
外線遮蔽能と、熱線を始めとする赤外線遮蔽能とを有
し、導電性の制御された樹脂成形品を形成することがで
きる。
【0353】本発明の樹脂成形品は、上記本発明の樹脂
組成物を、板、シート、フィルムおよび繊維からなる群
のうちから選ばれたいずれかの形状に成形したものであ
るので、紫外線遮蔽能と、熱線を始めとする赤外線遮蔽
能とを有し、導電性の制御されたものとなる。本発明の
紙は、抄造されたパルプと、このパルプ中に分散された
前記本発明の酸化亜鉛系微粒子とを備え、上記酸化亜鉛
系微粒子の量が上記パルプに対して0.01〜50重量
%であるので、外観に優れる紙として有用である。
【0354】本発明の化粧料は、前記本発明の酸化亜鉛
系微粒子を0.1重量%以上含有するので、紫外線遮蔽
能と熱線を始めとする赤外線遮蔽能とを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗装品の分光透過率曲線を示す図である。
【図2】粉末のX線回折パターンを示す図である。
【図3】粉末のX線回折パターンを示す図である。
【図4】塗装品の分光透過率曲線を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/04 C08J 7/04 Z C08K 3/22 KAE C08K 3/22 KAE C09D 5/24 PQW C09D 5/24 PQW 5/32 PRB 5/32 PRB C09K 3/00 104 C09K 3/00 104Z 3/16 101 3/16 101A D06M 11/44 D21H 1/22 B D21H 19/38 3/78 17/67 D06M 11/00 Z

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】IIIB族金属元素とIVB族金属元素からな
    る群のうちから選ばれた少なくとも1種の添加元素と亜
    鉛とを金属成分とし、亜鉛の含有量が該金属成分の総原
    子数に対する亜鉛の原子数の比で表して80〜99.9
    %であり、X線回折学的に見て酸化亜鉛結晶性を示す金
    属酸化物共沈体を少なくとも主たる構成成分とする酸化
    亜鉛系微粒子。
  2. 【請求項2】添加元素がインジウム及び/又はアルミニ
    ウムである請求項1に記載の酸化亜鉛系微粒子。
  3. 【請求項3】前記金属酸化物共沈体の単一粒子のみから
    なる請求項1又は2に記載の酸化亜鉛系微粒子。
  4. 【請求項4】最短部で見て平均粒子径が0.001〜
    0.1μmの範囲である請求項3に記載の酸化亜鉛系微
    粒子。
  5. 【請求項5】請求項3又は4に記載の酸化亜鉛系微粒子
    を構成する単一粒子を1次粒子とし、この1次粒子が集
    合してなる2次粒子である酸化亜鉛系微粒子。
  6. 【請求項6】2次粒子が外殻部のみを構成してなる中空
    状のものである請求項5に記載の酸化亜鉛系微粒子。
  7. 【請求項7】請求項3又は4に記載の酸化亜鉛系微粒子
    を構成する単一粒子がポリマーと複合してなる酸化亜鉛
    系微粒子。
  8. 【請求項8】前記単一粒子とポリマーが外殻部のみを構
    成してなる中空状のものである請求項7に記載の酸化亜
    鉛系微粒子。
  9. 【請求項9】平均粒子径が0.001〜10μmの範囲
    である請求項7又は8に記載の酸化亜鉛系微粒子。
  10. 【請求項10】亜鉛源とモノカルボン酸を、少なくとも
    アルコールからなる媒体中で、かつ、IIIB族金属元素
    とIVB族金属元素からなる群のうちから選ばれた少なく
    とも1種の添加元素を含む化合物の共存下で100°C
    以上の温度に保持することにより微粒子を生成させる酸
    化亜鉛系微粒子の製造方法。
  11. 【請求項11】亜鉛源とモノカルボン酸を水に混合して
    なる混合物を、100°C以上に加熱した、少なくとも
    アルコールからなる媒体に添加混合することにより、前
    記水及び/又はモノカルボン酸の少なくとも一部を蒸発
    除去する工程を含む請求項10に記載の酸化亜鉛系微粒
    子の製造方法。
  12. 【請求項12】IIIB族金属元素がインジウム及び/又
    はアルミニウムである請求項10又は/11に記載の酸
    化亜鉛系微粒子の製造方法。
  13. 【請求項13】前記亜鉛源が酸化亜鉛、水酸化亜鉛及び
    酢酸亜鉛からなる群のうちから選ばれた少なくとも1種
    である請求項10から12までのいずれかに記載の酸化
    亜鉛系微粒子の製造方法。
  14. 【請求項14】前記モノカルボン酸が、常圧下の沸点が
    200°C以下の飽和脂肪酸である請求項10から13
    までのいずれかに記載の酸化亜鉛系微粒子の製造方法。
  15. 【請求項15】100°C以上の温度保持を乳酸源の共
    存下で行う請求項10から14までのいずれかに記載の
    酸化亜鉛系微粒子の製造方法。
  16. 【請求項16】100°C以上の温度保持を、ポリマー
    の共存下で行う請求項10から14までのいずれかに記
    載の酸化亜鉛系微粒子の製造方法。
  17. 【請求項17】100°C以上の温度保持を、分子中に
    カルボキシル基、アミノ基、4級アンモニオ基、アミド
    基、イミド結合、アルコール性及び/又はフェノール性
    の水酸基、カルボン酸エステル結合、ウレタン基、ウレ
    タン結合、ウレイド基、ウレイレン結合、イソシアネー
    ト基、エポキシ基、リン酸基、金属水酸基、金属アルコ
    キシ基及びスルホン酸基からなる群のうちから選ばれた
    少なくとも1種の原子団を1個又は2個以上有し、分子
    量が1000未満の添加化合物の共存下で行う請求項1
    0から14までのいずれかに記載の酸化亜鉛系微粒子の
    製造方法。
  18. 【請求項18】100°C以上の温度保持を、二酸化炭
    素及び/又は炭酸源の共存下で行う請求項10から14
    までのいずれかに記載の酸化亜鉛系微粒子の製造方法。
  19. 【請求項19】請求項1から9までのいずれかに記載の
    酸化亜鉛系微粒子と、この酸化亜鉛系微粒子を結合する
    被膜を形成しうるバインダー成分とを、これら両者の固
    形分合計重量に対して、上記酸化亜鉛系微粒子0.1〜
    99重量%、前記バインダー成分1〜99.9重量%の
    割合で含む塗料組成物。
  20. 【請求項20】前記酸化亜鉛系微粒子と前記バインダー
    成分の固形分合計重量が1〜80重量%であり、残部が
    溶媒である請求項19に記載の塗料組成物。
  21. 【請求項21】樹脂成形品、ガラスおよび紙からなる群
    のうちから選ばれた1つの基材と、 請求項1から9までのいずれかに記載の酸化亜鉛系微粒
    子と、この酸化亜鉛系微粒子を結合するバインダー成分
    とを、これら両者の合計重量に対して、上記酸化亜鉛系
    微粒子0.1〜99重量%、前記バインダー成分1〜9
    9.9重量%の割合で含み、前記基材の表面に形成され
    た塗膜と、を備えた塗装品。
  22. 【請求項22】前記樹脂成形品が、板、シート、フィル
    ムおよび繊維からなる群のうちから選ばれる少なくとも
    1つである、請求項21に記載の塗装品。
  23. 【請求項23】請求項1から9までのいずれかに記載の
    酸化亜鉛系微粒子と、この酸化亜鉛系微粒子が分散され
    た連続相を形成しうる樹脂とを、これら両者の固形分合
    計重量に対して、上記酸化亜鉛系微粒子0.1〜99重
    量%、上記樹脂1〜99.9重量%の割合で含む樹脂組
    成物。
  24. 【請求項24】請求項23に記載の樹脂組成物を、板、
    シート、フィルムおよび繊維からなる群のうちから選ば
    れたいずれかの形状に成形してなる樹脂成形品。
  25. 【請求項25】抄造されたパルプと、このパルプ中に分
    散された請求項1から9までのいずれかに記載の酸化亜
    鉛系微粒子とを備え、 上記酸化亜鉛系微粒子の量が上記パルプに対して0.0
    1〜50重量%である、紙。
  26. 【請求項26】請求項1から9までのいずれかに記載の
    酸化亜鉛系微粒子を0.1重量%以上含有する化粧料。
  27. 【請求項27】請求項1から9までのいずれかに記載の
    酸化亜鉛系微粒子と、可塑剤とを含み、分散体総量に対
    する、酸化亜鉛系微粒子と可塑剤との合計重量が50〜
    100重量%であり、可塑剤に対する酸化亜鉛系微粒子
    の割合が重量比で0.01〜5である、酸化亜鉛系微粒
    子の可塑剤分散体。
  28. 【請求項28】請求項1から9までのいずれかに記載の
    酸化亜鉛系微粒子と、溶媒とを含み、酸化亜鉛系微粒子
    が金属酸化物換算で2〜70重量%の割合で分散含有さ
    れてなる、酸化亜鉛系微粒子の溶媒分散体。
JP32492095A 1994-12-13 1995-12-13 酸化亜鉛系微粒子の製造方法 Expired - Fee Related JP3398829B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32492095A JP3398829B2 (ja) 1994-12-13 1995-12-13 酸化亜鉛系微粒子の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30919094 1994-12-13
JP6-309190 1994-12-13
JP32492095A JP3398829B2 (ja) 1994-12-13 1995-12-13 酸化亜鉛系微粒子の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002113253A Division JP4225402B2 (ja) 1994-12-13 2002-04-16 酸化亜鉛系微粒子、および、その用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08253317A true JPH08253317A (ja) 1996-10-01
JP3398829B2 JP3398829B2 (ja) 2003-04-21

Family

ID=26565864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32492095A Expired - Fee Related JP3398829B2 (ja) 1994-12-13 1995-12-13 酸化亜鉛系微粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3398829B2 (ja)

Cited By (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000016841A (ja) * 1998-07-03 2000-01-18 Nippon Shokubai Co Ltd 合わせガラスおよびこれに使用する中間膜
WO2001088928A1 (fr) 2000-05-19 2001-11-22 Tdk Corporation Film fonctionnel
JP2002104823A (ja) * 2000-09-28 2002-04-10 Hakusui Tech Co Ltd 抗菌・防黴剤
WO2002030365A1 (fr) * 2000-10-06 2002-04-18 Kabushiki Kaisha Sangi Résine antibactérienne
WO2002047640A1 (fr) * 1999-06-16 2002-06-20 Hakusui Tech Co., Ltd. Cosmetique comprenant une fine poudre d'oxyde de zinc a electroconductivite
JP2002201382A (ja) * 2000-12-27 2002-07-19 Hakusui Tech Co Ltd 紫外線遮蔽用酸化亜鉛微粒子
JP2002309100A (ja) * 2001-04-12 2002-10-23 Hakusui Tech Co Ltd 紫外線遮蔽フィルム
WO2004078476A1 (ja) * 2003-02-17 2004-09-16 Tokuyama Corporation 積層体、光学部品、これらの製造方法ならびにコーティング液
WO2005012605A2 (ja) * 2003-08-04 2005-02-10 Daiwabo Co., Ltd. フィラー固着繊維、繊維構造物及び繊維成形体並びにそれらの製造方法
JP2005263612A (ja) * 2004-02-18 2005-09-29 Nippon Shokubai Co Ltd 金属酸化物粒子およびその用途
JP2006502943A (ja) * 2002-09-23 2006-01-26 バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト ハロゲンがない無水分散媒体における酸化亜鉛分散体
JP2006188386A (ja) * 2005-01-05 2006-07-20 Nippon Shokubai Co Ltd 微粒子状金属酸化物とその用途
JP2006298967A (ja) * 2005-04-15 2006-11-02 Ohbayashi Corp 塗料および塗装物
WO2006129793A1 (ja) * 2005-06-02 2006-12-07 Shiseido Co., Ltd. 崩壊性酸化亜鉛粉体及びその製造方法
JP2007008805A (ja) * 2005-06-02 2007-01-18 Shiseido Co Ltd 崩壊性酸化亜鉛粉体の製造方法
JP2007008804A (ja) * 2005-06-02 2007-01-18 Shiseido Co Ltd 崩壊性酸化亜鉛粉体、その製造方法及びこれを配合した化粧料
JP2007051273A (ja) * 2005-07-22 2007-03-01 Toshiba Lighting & Technology Corp 紫外線遮断材料、紫外線遮断可視選択透過フィルター、可視選択透過樹脂材料、光源及び照明装置
WO2007040175A1 (ja) * 2005-10-03 2007-04-12 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2007154115A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Ehime Prefecture 退色抑制塗料、退色抑制塗料の製法および退色抑制紙
JP2007326932A (ja) * 2006-06-07 2007-12-20 Mitsui Chemical Fabro Inc 抗菌性粘着フィルム
CN100422427C (zh) * 2003-08-04 2008-10-01 大和纺织株式会社 填料固着纤维、纤维结构物和纤维成形体以及它们的制造方法
JP2008230878A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Mitsubishi Materials Corp 酸化亜鉛機能膜の製造方法及び該方法により得られる酸化亜鉛機能膜
JP2010030819A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Sakai Chem Ind Co Ltd 窒素含有酸化亜鉛粉体の製造方法
JP2010159188A (ja) * 2009-01-09 2010-07-22 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 親水化処理基材、親水化処理粉体、親水化処理粉体分散液及びそれらの製造方法
JP2011503255A (ja) * 2007-11-05 2011-01-27 セルヴィシオス アドミニストラティヴォス ペニョーレス,ソシエダッド アノニマ デ キャピタル ヴァリアブル 金属ナノ粒子を含む、被膜への添加剤および当該添加剤の調製方法
JP2011122096A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Kao Corp 塗料組成物
JP4864205B2 (ja) * 1999-02-23 2012-02-01 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー ナノサイズ酸化亜鉛粒子の製造方法
JP4974430B2 (ja) * 2000-02-11 2012-07-11 ライプニッツ−インスティトゥート フィア ノイエ マテリアーリエン ゲマインニュッツィゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクタ ハフトゥンク Ir吸収組成物
JP2012211420A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Toray Monofilament Co Ltd 導電性合成繊維とその製造方法およびその用途
JP2014129207A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Sumitomo Electric Ind Ltd 金属酸化物粉末の製造方法、及び金属酸化物粉末
JP2015500135A (ja) * 2011-11-18 2015-01-05 アリゾナ ボード オブ リージェンツ ア ボディー コーポレート アクティング オン ビハーフ オブ アリゾナ ステイト ユニバーシティARIZONA BOARD OF REGENTS,a body corporate acting on behalf of ARIZONA STATE UNIVERSITY ミクロン規模の連続液体噴流を提供するシステムおよび方法
WO2016186207A1 (ja) * 2015-05-20 2016-11-24 富士化学株式会社 Cnt分散剤、その製造方法、及びcnt分散液
WO2017134910A1 (ja) * 2016-02-02 2017-08-10 エム・テクニック株式会社 色特性を制御された酸化亜鉛粒子、及びその製造方法並びにその酸化亜鉛粒子を含む塗布用組成物
JP2019171577A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 大日本印刷株式会社 透明導電性カバーテープ
WO2020080844A1 (ko) * 2018-10-18 2020-04-23 황태경 열 차폐 필름 및 그 제조방법
KR20200074444A (ko) * 2018-12-17 2020-06-25 한국세라믹기술원 표면개질된 TiO2 및 ZnO를 함유하는 미세먼지 세정용 화장료 조성물의 제조방법
KR102127053B1 (ko) * 2018-12-17 2020-06-25 한국세라믹기술원 표면개질된 TiO2 및 ZnO를 함유하는 미세먼지 차단용 화장료 조성물의 제조방법
CN113583298A (zh) * 2021-07-31 2021-11-02 华南理工大学 一种基于纳米氧化锌的低光催化活性紫外屏蔽剂及其制备方法与应用
CN114525686A (zh) * 2021-07-14 2022-05-24 恒天嘉华非织造有限公司 一种用于制造拒水棉纤维的助剂及其制备方法和应用
CN117117516A (zh) * 2023-06-02 2023-11-24 太仓碧奇新材料研发有限公司 一种有机/无机杂化型亚太赫兹吸波薄膜的制备方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4938985B2 (ja) * 2004-02-18 2012-05-23 株式会社日本触媒 金属酸化物粒子およびその用途
US20070154561A1 (en) * 2004-02-18 2007-07-05 Nippon Shokubai Co., Ltd. Metal oxide particle and its uses

Cited By (51)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000016841A (ja) * 1998-07-03 2000-01-18 Nippon Shokubai Co Ltd 合わせガラスおよびこれに使用する中間膜
JP4864205B2 (ja) * 1999-02-23 2012-02-01 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー ナノサイズ酸化亜鉛粒子の製造方法
WO2002047640A1 (fr) * 1999-06-16 2002-06-20 Hakusui Tech Co., Ltd. Cosmetique comprenant une fine poudre d'oxyde de zinc a electroconductivite
JP4974430B2 (ja) * 2000-02-11 2012-07-11 ライプニッツ−インスティトゥート フィア ノイエ マテリアーリエン ゲマインニュッツィゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクタ ハフトゥンク Ir吸収組成物
WO2001088928A1 (fr) 2000-05-19 2001-11-22 Tdk Corporation Film fonctionnel
US6617018B2 (en) 2000-05-19 2003-09-09 Tdk Corporation Functional film
US7452435B2 (en) 2000-05-19 2008-11-18 Tdk Corporation Functional film
JP2002104823A (ja) * 2000-09-28 2002-04-10 Hakusui Tech Co Ltd 抗菌・防黴剤
WO2002030365A1 (fr) * 2000-10-06 2002-04-18 Kabushiki Kaisha Sangi Résine antibactérienne
JPWO2002030365A1 (ja) * 2000-10-06 2004-02-19 株式会社サンギ 抗菌性樹脂
JP2002201382A (ja) * 2000-12-27 2002-07-19 Hakusui Tech Co Ltd 紫外線遮蔽用酸化亜鉛微粒子
JP2002309100A (ja) * 2001-04-12 2002-10-23 Hakusui Tech Co Ltd 紫外線遮蔽フィルム
JP2006502943A (ja) * 2002-09-23 2006-01-26 バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト ハロゲンがない無水分散媒体における酸化亜鉛分散体
US8012588B2 (en) 2003-02-17 2011-09-06 Tokuyama Corporation Layered product, optical part, processes for producing these, and coating fluid
WO2004078476A1 (ja) * 2003-02-17 2004-09-16 Tokuyama Corporation 積層体、光学部品、これらの製造方法ならびにコーティング液
CN100422427C (zh) * 2003-08-04 2008-10-01 大和纺织株式会社 填料固着纤维、纤维结构物和纤维成形体以及它们的制造方法
WO2005012605A2 (ja) * 2003-08-04 2005-02-10 Daiwabo Co., Ltd. フィラー固着繊維、繊維構造物及び繊維成形体並びにそれらの製造方法
WO2005012605A3 (ja) * 2003-08-04 2005-04-07 Daiwa Spinning Co Ltd フィラー固着繊維、繊維構造物及び繊維成形体並びにそれらの製造方法
JP2005263612A (ja) * 2004-02-18 2005-09-29 Nippon Shokubai Co Ltd 金属酸化物粒子およびその用途
JP2006188386A (ja) * 2005-01-05 2006-07-20 Nippon Shokubai Co Ltd 微粒子状金属酸化物とその用途
JP2006298967A (ja) * 2005-04-15 2006-11-02 Ohbayashi Corp 塗料および塗装物
JP2007008805A (ja) * 2005-06-02 2007-01-18 Shiseido Co Ltd 崩壊性酸化亜鉛粉体の製造方法
JP2007008804A (ja) * 2005-06-02 2007-01-18 Shiseido Co Ltd 崩壊性酸化亜鉛粉体、その製造方法及びこれを配合した化粧料
WO2006129793A1 (ja) * 2005-06-02 2006-12-07 Shiseido Co., Ltd. 崩壊性酸化亜鉛粉体及びその製造方法
JP2007051273A (ja) * 2005-07-22 2007-03-01 Toshiba Lighting & Technology Corp 紫外線遮断材料、紫外線遮断可視選択透過フィルター、可視選択透過樹脂材料、光源及び照明装置
WO2007040175A1 (ja) * 2005-10-03 2007-04-12 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2007154115A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Ehime Prefecture 退色抑制塗料、退色抑制塗料の製法および退色抑制紙
JP2007326932A (ja) * 2006-06-07 2007-12-20 Mitsui Chemical Fabro Inc 抗菌性粘着フィルム
JP2008230878A (ja) * 2007-03-19 2008-10-02 Mitsubishi Materials Corp 酸化亜鉛機能膜の製造方法及び該方法により得られる酸化亜鉛機能膜
JP2011503255A (ja) * 2007-11-05 2011-01-27 セルヴィシオス アドミニストラティヴォス ペニョーレス,ソシエダッド アノニマ デ キャピタル ヴァリアブル 金属ナノ粒子を含む、被膜への添加剤および当該添加剤の調製方法
JP2010030819A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Sakai Chem Ind Co Ltd 窒素含有酸化亜鉛粉体の製造方法
JP2010159188A (ja) * 2009-01-09 2010-07-22 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 親水化処理基材、親水化処理粉体、親水化処理粉体分散液及びそれらの製造方法
JP2011122096A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Kao Corp 塗料組成物
JP2012211420A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Toray Monofilament Co Ltd 導電性合成繊維とその製造方法およびその用途
JP2015500135A (ja) * 2011-11-18 2015-01-05 アリゾナ ボード オブ リージェンツ ア ボディー コーポレート アクティング オン ビハーフ オブ アリゾナ ステイト ユニバーシティARIZONA BOARD OF REGENTS,a body corporate acting on behalf of ARIZONA STATE UNIVERSITY ミクロン規模の連続液体噴流を提供するシステムおよび方法
JP2014129207A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Sumitomo Electric Ind Ltd 金属酸化物粉末の製造方法、及び金属酸化物粉末
CN107614428A (zh) * 2015-05-20 2018-01-19 富士化学株式会社 Cnt分散剂、其制备方法以及cnt分散液
WO2016186207A1 (ja) * 2015-05-20 2016-11-24 富士化学株式会社 Cnt分散剤、その製造方法、及びcnt分散液
US10400107B2 (en) 2016-02-02 2019-09-03 M. Technique Co., Ltd. Method for producing oxide particles with controlled color characteristics, oxide particles, and coating or film-like composition comprising the same
WO2017134910A1 (ja) * 2016-02-02 2017-08-10 エム・テクニック株式会社 色特性を制御された酸化亜鉛粒子、及びその製造方法並びにその酸化亜鉛粒子を含む塗布用組成物
US11084936B2 (en) 2016-02-02 2021-08-10 M. Technique Co., Ltd. Method for producing oxide particles with controlled color characteristics, oxide particles, and coating or film-like composition comprising the same
JP2019171577A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 大日本印刷株式会社 透明導電性カバーテープ
WO2020080844A1 (ko) * 2018-10-18 2020-04-23 황태경 열 차폐 필름 및 그 제조방법
KR20200043824A (ko) * 2018-10-18 2020-04-28 황태경 열 차폐 필름 및 그 제조방법
KR20200074444A (ko) * 2018-12-17 2020-06-25 한국세라믹기술원 표면개질된 TiO2 및 ZnO를 함유하는 미세먼지 세정용 화장료 조성물의 제조방법
KR102127053B1 (ko) * 2018-12-17 2020-06-25 한국세라믹기술원 표면개질된 TiO2 및 ZnO를 함유하는 미세먼지 차단용 화장료 조성물의 제조방법
CN114525686A (zh) * 2021-07-14 2022-05-24 恒天嘉华非织造有限公司 一种用于制造拒水棉纤维的助剂及其制备方法和应用
CN113583298A (zh) * 2021-07-31 2021-11-02 华南理工大学 一种基于纳米氧化锌的低光催化活性紫外屏蔽剂及其制备方法与应用
CN113583298B (zh) * 2021-07-31 2022-08-12 华南理工大学 一种基于纳米氧化锌的低光催化活性紫外屏蔽剂及其制备方法与应用
CN117117516A (zh) * 2023-06-02 2023-11-24 太仓碧奇新材料研发有限公司 一种有机/无机杂化型亚太赫兹吸波薄膜的制备方法
CN117117516B (zh) * 2023-06-02 2024-02-20 太仓碧奇新材料研发有限公司 一种有机/无机杂化型亚太赫兹吸波薄膜的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3398829B2 (ja) 2003-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3398829B2 (ja) 酸化亜鉛系微粒子の製造方法
JP4225402B2 (ja) 酸化亜鉛系微粒子、および、その用途
US6200680B1 (en) Fine zinc oxide particles, process for producing the same, and use thereof
JP5241492B2 (ja) ポリマー被覆金属酸化物微粒子およびその応用
JP5651477B2 (ja) ハイブリッドビヒクル系
KR101907882B1 (ko) 이산화규소-산화제2주석 복합산화물 피복 산화티탄 함유 금속 산화물 입자
JP3530085B2 (ja) 金属酸化物系粒子、その製造方法および用途
JP3554369B2 (ja) 酸化亜鉛−ポリマー複合体微粒子、その製造方法およびその用途
JP2821357B2 (ja) 酸化亜鉛微粒子の製法
CN109641430B (zh) 光催化剂层叠体
WO2010055570A1 (ja) 赤外線遮蔽微粒子及びその製造方法、並びにそれを用いた赤外線遮蔽微粒子分散体、赤外線遮蔽基材
WO2006001487A1 (ja) スズ修飾ルチル型酸化チタン微粒子
TW201012882A (en) Coating liquid, cured film, resin multilayer body, method for producing the cured film and method for producing the resin multilayer body
JP6428588B2 (ja) 表面処理無機酸化物粒子、該粒子を含む分散液、及びその製造方法
JP2011102359A (ja) プライマー層形成用塗布液とプライマー層並びに高耐久性uvカットプラスチック基材
JP6214412B2 (ja) コアシェル型酸化物微粒子の分散液、その製造方法、およびその用途
JP6080583B2 (ja) 表面改質無機複合酸化物微粒子、その製造方法、該微粒子を含む分散液、光学基材用塗布液、光学基材用塗膜および塗膜付基材
JP2001240769A (ja) 表面改質された無機系微粒子およびその用途と無機系微粒子の表面改質方法
JP6253484B2 (ja) 塗料組成物、ハードコート層およびハードコート層付き光学基材ならびにこれらの製造方法
JP4929835B2 (ja) 表面被覆六ホウ化物粒子の製造方法
WO2019239810A1 (ja) 光触媒複合材、サイネージ用ディスプレイ保護部材、タッチパネル用保護部材、太陽電池用保護部材、センサカバー用保護部材、サイネージ用ディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、及び、センサカバー
WO2009050946A1 (ja) 表面被覆六ホウ化物粒子前駆体の製造方法と表面被覆六ホウ化物粒子前駆体、表面被覆六ホウ化物粒子並びにその分散体、および、表面被覆六ホウ化物粒子が用いられた構造体と物品
JP2008266472A (ja) 金属酸化物ポリマー被覆微粒子およびその製造方法
JP2010111787A (ja) コーティング剤およびそれを用いたハードコート部材
JP2014094493A (ja) 透明樹脂積層体とその製造方法、ならびに熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees