JPH0761456A

JPH0761456A - キャップ

Info

Publication number: JPH0761456A
Application number: JP6079307A
Authority: JP
Inventors: Kiyoshi Takeuchi; 潔竹内
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1993-06-16
Filing date: 1994-03-28
Publication date: 1995-03-07
Anticipated expiration: 2017-07-29
Also published as: JP3308099B2; DE69418648T2; EP0629560A2; EP0629560A3; DE69418648D1; US5762216A; US5501348A; US5620107A; EP0629560B1

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、容器内の内容物に錆が混入するこ
とがなく、かつゴム状弾性体の復元力により上蓋を適切
な速度で緩やかに開蓋させることができるようにしてい
る。【構成】本発明は、キャップ本体１１及び上蓋１２の
少なくとも一方の接合ヒンジ１３近傍にゴム状弾性体２
６が装着され、上蓋の閉蓋時にゴム状弾性体がキャップ
本体及び上蓋間で弾性変形するよう構成されたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、キャップ本体に対する
上蓋の開閉機能を改良したキャップに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のキャップには、キャップ本体が容
器の口部に装着され、キャップ本体に対し上蓋が開閉自
在に構成されたものがある。更に、このようなキャップ
には、実開平3-69656 号公報や実開昭63-88965号公報に
記載された考案のように、キャップ本体及び上蓋間に板
ばねを配置し、この板ばねの付勢力によって上蓋を開蓋
するように構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、板ばねは付
勢力が強く、上蓋が急激に開いてしまう。また、板ばね
は、一般に金属製であるため錆易く、キャップ本体のノ
ズルから注出される容器内の内容物に上記錆が混入する
虞れもある。

【０００４】本発明は、上述の事情を考慮してなされた
ものであり、内容物に錆が混入することがなく、かつ、
ゴム状弾性体の復元力により上蓋を適切な速度で緩やか
に開くことができるキャップを提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、キャップ本体
にヒンジを介して上蓋が開閉自在に配設され、上記キャ
ップ本体及び上記上蓋に形成された係止機構により上記
上蓋が閉蓋されるキャップにおいて、上記キャップ本体
または上記上蓋の少なくとも一方の上記ヒンジ近傍にゴ
ム状弾性体が装着され、上記上蓋の閉蓋時に上記ゴム状
弾性体が上記キャップ本体及び上記上蓋間で弾性変形す
るよう構成されたものである。

【０００６】また、本発明は、上記キャップ本体及び／
又は上蓋と、ゴム状弾性体の、上蓋の開蓋時には互いに
離れ、閉蓋時には互いに接する表面のいずれか一方又は
両方を凹凸面としてなるようにしたものである。

【０００７】

【作用】従って、本発明に係るキャップによれば、キャ
ップ本体及び上蓋間に配設されたゴム状弾性体が上蓋の
閉蓋時に弾性変形するよう構成されたので、係止機構を
解除すれば、この弾性変形したゴム状弾性体の復元力に
よって上記上蓋を開蓋させることができる。この復元力
は、板ばね等のように過大でないため、上蓋を適切な速
度で緩やかに開かせることができる。

【０００８】また、上蓋に復元力を作用する物体がゴム
状弾性体であり、板ばね等の金属製でないので腐食せ
ず、このため、キャップ本体のノズルから注出される内
容物に錆が混入することがない。

【０００９】また、本発明のキャップにあっては、上蓋
を閉蓋状態として長時間放置（特に高温下で長時間放
置）した場合、キャップ本体や上蓋の樹脂、或いはゴム
状弾性体内に練り込まれている、滑剤や帯電防止剤その
他の添加剤がブリードアウトしてきて、キャップ本体及
び／又は上蓋と、ゴム状弾性体との接触面がブロッキン
グを引き起こすことがある。このため、長時間放置後の
使用時に、上蓋を開蓋しても、上蓋が上記ブロッキング
の影響で十分に大きく開かない虞れがある。然るに、本
発明では、キャップ本体及び／又は上蓋と、ゴム状弾性
体の、上蓋の開蓋時には互いに離れ、閉蓋時には互いに
接する表面のいずれか一方又は両方を凹凸面とすること
により、上記ブロッキングの発生を防止することができ
るようにした。従って、このブロッキング防止手段を施
された本発明のキャップによれば、閉蓋されて長時間放
置された後の使用時にも、ゴム状弾性体の弾性復元力に
よって上蓋を大きく開くことができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は、本発明に係るキャップの第１実施例の開
蓋状態を示し、（Ａ）がその平面図であり、（Ｂ）がそ
の側断面図である。図２は、図１のキャップの閉蓋状態
を示す側断面図である。図３は、図１のゴム状弾性体を
示す斜視図である。図４は図１のキャップの作用を示す
一部側断面図である。図５は、図１のキャップの作動を
明確にするための比較例における作用を示す一部側断面
図である。

【００１１】図１及び図２に示すように、キャップ１０
は、キャップ本体１１と上蓋１２とが、メインヒンジ
（ヒンジ）１３により開閉自在に連結して構成される。

【００１２】キャップ本体１１は、天面１４を有する略
円筒形状であり、筒部１５の内面に雌ねじ１６が形成さ
れる。図示しない容器の口部に雄ねじが形成され、この
雄ねじに上記雌ねじ１６が螺装されて、キャップ１０が
容器に取り付けられる。また、天面１４には、膨出部１
７の中央部分にノズル部１８が形成され、このノズル部
１８にノズル口１９が開口される。容器をスクイズする
こと等により、上記ノズル口１９から容器内の内容物が
吐出（注出）可能とされる。

【００１３】上蓋１２は略椀形状であり、中央部分にイ
ンナシール２０が、このインナシール２０の周囲にアウ
タシール２１が、それぞれ一体成形される。上蓋１２の
閉蓋時に、インナシール２０がノズル口１９に液密に嵌
合可能に設けられる。また、アウタシール２１は円筒形
状に構成される。このアウタシール２１は、上蓋１２の
閉蓋時に、膨出部１７及びノズル部１８間に液密に嵌合
可能に設けられる。これらのインナシール２０及びアウ
タシール２１により、ノズル口１９が確実にシールされ
る。

【００１４】メインヒンジ１３は、キャップ本体１１及
び上蓋１２間に薄肉に形成されてヒンジ支点部のみ撓み
変形可能に構成され、ヒンジ支点の位置が固定的なもの
であり、これらのキャップ本体１１及び上蓋１２に一体
成形される。また、キャップ本体１１には、上記メイン
ヒンジ１３に関し反対位置に係止面２２が形成される。
上蓋１２の閉蓋時に、係止面２２に上蓋１２の係止部２
３が嵌合可能に設けられる。これらの係止面２２及び係
止部２３が係止機構２４として構成される。尚、上記ア
ウタシール２１も、膨出部１７及びノズル部１８間に嵌
入されて、係止機構として機能する。

【００１５】さて、キャップ本体１１の天面１４には、
メインヒンジ１３の近傍に嵌合溝２５が形成され、この
嵌合溝２５にゴム状弾性体２６が嵌着される。このゴム
状弾性体２６は、ゴムまたはエラストマー等（例えば、
コンパウンドとして信越化学工業株式会社製ＫＥ９５１
Ｕと、加粒剤として同社製Ｃ−８とで合成されるメチル
ビニル系生ゴム）から構成される。また、ゴム状弾性体
２６は、図３に示すように断面略コ字形状であり、一端
部２７が上記嵌合溝２５に嵌装される。ゴム状弾性体２
６の他端部２８は先細りの楔形状に形成され、先端が上
蓋１２の内面に接触して、圧縮及び曲げ変形可能に構成
される。

【００１６】つまり、図４（Ａ）及び（Ｂ）に示すよう
に、上蓋１２を閉蓋する過程で、ゴム状弾性体２６の他
端部２８先端が上蓋１２の内面に当接し、押圧される。
この押圧により、ゴム状弾性体２６の他端部２８が内向
きに曲がり、ゴム状弾性体２６はＡ部２６Ａ及びＢ部２
６Ｂが曲げ変形し、上蓋１２の閉蓋時に、他端部２８は
ゴム状弾性体２６の内面２６Ｃに接触して圧縮変形す
る。

【００１７】尚、図５（Ａ）に示すように、ゴム状弾性
体２９がコ字形断面に形成され、その一端部３０がキャ
ップ本体１１の嵌合溝２５に嵌着されるが、他端部３１
が先細りの楔形状に形成されていない場合には、上蓋１
２の閉蓋時に、この他端部３１の先端部が上蓋１２の内
面に押圧されても、図５（Ｂ）に示すように、この他端
部３１は腰が強くＡ部２９Ａが曲がり、Ｂ部２９Ｂが曲
がり変形しない。このため、図５（Ｃ）に示すように、
上蓋１２の閉蓋時に、他端部３１はゴム状弾性体２９の
内面２９Ｃと上蓋１２の内面との間に畳み込まれず、外
に逃げるので、圧縮変形に至らない。

【００１８】図４に示すように、ゴム状弾性体２６は圧
縮及び曲げ変形するので、係止機構２４の係止部２３及
び係止面２２間の係止を解除することによって、上蓋１
２に上記圧縮及び曲げ変形に基づく弾性復元力が作用
し、この結果、上蓋１２を適切な速度で緩やかに開蓋さ
せることができる。

【００１９】そして、図５に示す曲げ変形のみに比べ、
圧縮変形もするので、ほぼ同じ大きさのゴム性弾性体
で、大きな復元力を発生することができる。言い換える
と、所望の復元力を生ずるためのゴム状弾性体をコンパ
クトにすることができる。更に、ゴム状弾性体２６は、
内面を有する上蓋１２を設けているキャップ本体１１に
嵌合溝２５を設けるのみで良く、利用範囲の広い形状で
ある。

【００２０】また、上蓋１２に復元力を付与する物体が
ゴム状弾性体２６であり、板ばね等の金属製でないので
腐食せず、このため、キャップ本体１１のノズル孔１９
から注出される内容物に錆が混入することがない。

【００２１】更に、ゴム状弾性体２６の一端部２７がキ
ャップ本体１１の嵌合溝２５に嵌着され、接着剤等が使
用されないので、接着剤が容器内の内容物に流出するこ
とがなく、更に接着剤が内容物によって劣化する現象も
生じない。

【００２２】図６は、本発明に係るキャップの第２実施
例の開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。図７は、図６のキャップ
の閉蓋状態を示す側断面図である。図８は、図６のゴム
状弾性体の斜視図である。この第２実施例において、前
記第１実施例と同様な部分は、同一の符号を付すことに
より説明を省略する。

【００２３】図６に示すこの実施例のキャップ３０で
は、上蓋１２におけるアウタシール２１の外周に、筒形
状の係止筒部３１が形成され、この係止筒部３１にゴム
状弾性体３２が係止される。このゴム状弾性体３２は断
面Ｆ字形状であり（図８）、一端部にある２枚の挟持片
３３が係止筒部３１を挟持して、ゴム状弾性体３２が上
蓋１２に固定される。一方、キャップ本体１１の天面１
４には、膨出部１７の外周に拘束壁３４が突設され、上
記ゴム状弾性体３２の作動片３５が、上記拘束壁３４の
外面近傍に位置する。

【００２４】従って、上蓋１２の閉蓋時には、図７に示
すように、ゴム状弾性体３２の作動片３５が、キャップ
本体１１の拘束壁３４及び外壁３６間で圧入され、ゴム
状弾性体３２のＡ部３７Ａ及びＢ部３７Ｂにおいて曲げ
変形し、Ｃ部３７Ｃ及びＤ部３７Ｄにおいてそれぞれ圧
縮変形する。係止機構２４を解除することにより、上記
圧縮及び曲げ変形に基づく弾性復元力が上蓋１２に作用
して、この上蓋１２が緩やかに開蓋する等、前記第１実
施例と同様な効果を奏する。

【００２５】図９は、本発明に係るキャップの第３実施
例の開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。図１０（Ａ）は、図９の
キャップの閉蓋状態の断側面図であり、図１０（Ｂ）は
図１０（Ａ）のＸＢ部の拡大図である。図１１（Ａ）
は、図９のゴム状弾性体の嵌入前状態を示す斜視図であ
り、図１１（Ｂ）は、図１１（Ａ）のゴム状弾性体の嵌
入後状態を示す斜視図である。図１２は、図１１（Ａ）
のゴム状弾性体の変形例を示し、（Ａ）が嵌入前の斜視
図であり、（Ｂ）が嵌入後の斜視図である。この第３実
施において前記第１実施例と同様な部分は同一の符号を
付すことにより説明を省略する。

【００２６】図９に示すように、この実施例におけるキ
ャップ４０のキャップ本体１１及び上蓋１２には、メイ
ンヒンジ１３の近傍に平坦部４１及び４２がそれぞれ形
成され、キャップ本体１１の平坦部４１にゴム状弾性体
４３が嵌入される。このゴム状弾性体４３は、図１０に
示すように断面略Ｉ形状であり、キャップ本体１１の平
坦部４１に形成された嵌入溝４４に、頭部４５を突出さ
せて嵌入される。

【００２７】ゴム状弾性体４３の側面には係止凹部４６
が設けられ、この係止凹部４６が、嵌入溝４４に突設さ
れた係止凸部４７に嵌合される。上蓋１２の閉蓋時に、
図１０（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、上蓋１２の平坦
部４２がゴム状弾性体４３の突出した頭部４５を圧縮変
形する。係止機構２４を解除することにより、上記ゴム
状弾性体４３の圧縮変形に基づく弾性復元力が上蓋１２
に作用し、この上蓋１２を適切な速度で緩やかに開蓋す
る。その他、上記第１実施例と同様の効果を奏する。
尚、ゴム状弾性体４３の弾性復元力は、ゴム状弾性体４
３の高さＨ（図１１）を大きく設定することにより大き
く調整される。

【００２８】図１２に示すゴム状弾性体４８は、頭部４
９に溝５０が形成されたものである。この溝５０は、ゴ
ム状弾性体４８がキャップ本体１１の嵌入溝４４に嵌入
されたとき、平坦部４１との間にクリアランス５１を形
成する。従って、このゴム状弾性体４８においては、上
蓋１２を閉蓋したとき、ゴム状弾性体４８の頭部４９が
圧縮すると同時に、溝５０を境にして曲げ変形する。こ
のため、上蓋１２は、これらの弾性復元力によって開蓋
する。

【００２９】図１３は、本発明に係るキャップの第４実
施例の開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。図１４は、図１３のキャ
ップの閉蓋状態を示し、（Ａ）はその背面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。図１５は、図１３のゴム
状弾性体を、キャップ本体及び上蓋の一部とともに示す
斜視図である。図１６は、第４実施例のキャップの変形
例を示し、（Ａ）はその背面図であり、（Ｂ）はその側
断面図である。この第４実施例においても、前記第１実
施例と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明
を省略する。

【００３０】図１３に示すように、キャップ６０には、
キャップ本体１１の平坦部６１及び上蓋１２の平坦部６
２に嵌合溝６３及び６４がそれぞれ形成される。これら
の嵌合溝６３及び６４は略同形状である。また、図１３
及び図１５に示すように、キャップ本体１１及び上蓋１
２間には上述の第１実施例、第２実施例、第３実施例に
示すメインヒンジ１３が存在せず、これらの平坦部６１
及び６２の両端部にサブヒンジ（ヒンジ）６５及び６６
が装架される。本実施例において、サブヒンジとは、メ
インヒンジに比べてヒンジ部全体が薄肉に形成されてヒ
ンジ部全体が撓み変形または伸縮変形可能に構成され、
ヒンジ支点の位置が可変なものをいう。

【００３１】また、図１３に示すように、サブヒンジ６
５及び６６は、上蓋１２の開蓋時にこの上蓋１２の脱落
も防止する。また、この脱落の防止は、キャップ本体１
１及び上蓋１２間に装着されたゴム状弾性体６７によっ
てもなされる。

【００３２】ゴム状弾性体６７は、図１３及び図１５に
示すように断面略コ字形状であり、一端部６８がキャッ
プ本体１１の嵌合溝６３に、他端部６９が上蓋１２の嵌
合溝６４にそれぞれ嵌着される。上蓋１２の閉蓋時に
は、図１４（Ｂ）に示すように、ゴム状弾性体６７のＡ
部７０Ａが曲げ変形する。

【００３３】従って、上蓋１２の閉蓋時に係止機構２４
を解除したとき、ゴム状弾性体６７の曲げ変形に基づく
弾性復元力が上蓋１２に作用し、開蓋する。

【００３４】上記ゴム状弾性体６７の嵌合溝６３及び６
４方向に大きな張力を付与することによって、このゴム
状弾性体６７は、上蓋１２の開蓋状態における開き角度
を小さく設定できる。また、ゴム状弾性体６７の厚さＴ
を厚くすることにより、ゴム状弾性体６７の曲げ復元力
を大きく設定でき、上蓋１２の開蓋状態における開き角
度を大きく設定できる。その他、この実施例において
も、前記実施例と同様な効果を奏する。

【００３５】上記第４実施例では、図１４（Ａ）及び
（Ｂ）に示すように、上蓋１２の閉蓋状態において、外
部からゴム状弾性体６７が見えてしまう。そこで、この
第４実施例の変形例として、図１６（Ａ）及び（Ｂ）に
示すように、サブヒンジ６５及び６６を廃止し、サブヒ
ンジ７１を配設したものがある。このサブヒンジ７１
は、ゴム状弾性体６７の背面を覆うようにして、キャッ
プ本体１１及び上蓋１２間に設置されて、上蓋１２の閉
蓋時にゴム状弾性体６７を隠し、キャップ６０の外観性
を向上させることができる。

【００３６】尚、上記第４実施例及び第４実施例の変形
例においては、サブヒンジ６５、６６及び７１を廃止
し、キャップ本体１１及び上蓋１２間にメインヒンジ１
３を設け、ゴム状弾性体６７の曲げ変形に基づく弾性復
元力のみによって、上蓋１２を開蓋させるようにしても
良い。

【００３７】図１７は、本発明に係るキャップの第５実
施例の開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。図１８は、図１７のキャ
ップの閉蓋状態の断側面図である。図１９（Ａ）は図１
７のゴム状弾性体の嵌入前の状態を、キャップ本体及び
上蓋１２の一部とともに示す斜視図であり、図１９
（Ｂ）はゴム状弾性体の嵌入後の状態を示す斜視図であ
る。図２０は図１７のキャップの機能を示す作動図であ
る。この第５実施例において、前記第４実施例と同様な
部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。

【００３８】この実施例のキャップ８０では、キャップ
本体１１及び上蓋１２がメインヒンジ１３により連結さ
れ、更にサブヒンジ６５、６６により連結される。図２
０に示すように、キャップ本体１１と上蓋１２とのヒン
ジ支点（メインヒンジ１３のヒンジ支点）を点Ｏとし、
サブヒンジ６５及び６６の両端点を点Ｐ及び点Ｑ、Ｑ
₁ 、Ｑ₂ とし、これらの点Ｏ、点Ｐ及び点Ｑが一直線上
にあるときの上蓋１２の角度を開閉臨界角度θとする
と、開閉臨界角度θにおいてサブヒンジ６５及び６６は
最大に伸ばされた状態となる。上記サブヒンジ６５及び
６６は、開閉臨界角度θ以下の角度で上蓋１２を閉じ方
向に付勢（伸ばされているサブヒンジ６５及び６６が縮
もうとすること）し、開閉臨界角度以上の角度で上蓋１
２を開き方向に付勢する。一般的に、このような作動を
する上記メインヒンジと上記サブヒンジとの組合わせを
スナップヒンジと称する。また、このキャップ８０で
は、ゴム状弾性体８１の断面略コ字形状であるが、一端
部８２がキャップ本体１１の嵌合溝６３に嵌着し、他端
部８３が、クリアランス８４を有して嵌合溝６４に遊嵌
される。このクリアランス８４の存在によって、ゴム状
弾性体８１の他端部８３は、図１８に示すように、上蓋
１２が閉蓋される過程で圧縮され、このためゴム状弾性
体８１は、閉蓋状態において曲げ変形及び圧縮変形され
る。

【００３９】従って、この実施例においては、ゴム状弾
性体８１の圧縮及び曲げ変形に基づく弾性復元力が上蓋
１２に作用し、開閉臨界角度θ以下でサブヒンジ６５及
び６６の付勢力に抗して上蓋１２を開蓋し、開閉臨界角
度θ以上でサブヒンジ６５及び６６の付勢力とともに上
蓋１２を開蓋する。その他、この第５実施例において
も、他の実施例と同様な効果を奏する。

【００４０】図２１は、本発明に係るキャップの第６実
施例の開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。図２２は、図２１のゴム
状弾性体を、キャップ本体及び上蓋１２の一部とともに
示す斜視図である。この第６実施例において、前記第１
及び第５実施例と同様な部分は、同一の符号を付すこと
により説明を省略する。

【００４１】この実施例のキャップ９０では、キャップ
本体１１及び上蓋１２間にサブヒンジ６５及び６６が存
在せず、キャップ本体１１及び上蓋１２がメインヒンジ
１３により開閉自在に連結される。従って、このキャッ
プ９０では、上蓋１２の閉蓋時にゴム状弾性体８１が圧
縮及び曲げ変形するが、サブヒンジ６５及び６６が存在
しないので、ゴム状弾性体８１の上記圧縮及び曲げ変形
に基づく弾性復元力を小さく設定できる。つまり、上蓋
１２が開閉臨界角度θ以下の角度にあるとき、この上蓋
１２にサブヒンジ６５及び６６によって閉じ方向の付勢
力が作用しないので、ゴム状弾性体８１が上記付勢力に
抗して上蓋１２を開蓋させる必要がないからである。そ
の他、この第６実施例においても、前記実施例と同様な
効果を奏する。

【００４２】図２３は第７実施例に係るキャップの開蓋
状態を示す模式図であり、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は平
面図、図２４は第７実施例に係るキャップの閉蓋状態を
示す模式図であり、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は平面図、
図２５はゴム状弾性体を示す模式図である。

【００４３】容器１１０は、容器本体１１１の開口部に
キャップ１１２を取付け、キャップ１１２の開蓋状態下
で、容器本体１１１をスクイズ変形（絞り変形）せしめ
る等により、洗剤等の内容物を注出可能とする。

【００４４】キャップ１１２は、キャップ本体１１３に
ヒンジ１１４を介して上蓋１１５を開閉自在としてい
る。キャップ本体１１３とヒンジ１１４と上蓋１１５は
ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂にて一体成形されてい
る。

【００４５】キャップ本体１１３は、注出口１２１を備
える天面部１２２と、天面部１２２の注出口１２１回り
に一体的に設けられる取付筒１２３と、天面部１２２の
取付筒１２３回りに一体的に設けられる外側筒１２４と
を有する。また、キャップ本体１１３は、キャップ１１
２の前面側で外側筒１２４のヒンジ１１４に相対する位
置に陥凹部１２５を有する。取付筒１２３は丸筒状であ
って雌ねじ１２６を有し、この雌ねじ１２６を容器本体
１１１の開口部に設けてある雄ねじに螺着することに
て、キャップ１１２を容器本体１１１に取付可能とす
る。外側筒１２４は容器本体１１１の外径に適合する角
筒状である。

【００４６】上蓋１１５は、椀型状であり、キャップ本
体１１３の注出口１２１に密封状態で係合して閉蓋状態
を維持し得る突起状の密封係合部１３１をその内面中央
部に有する。注出口１２１と密封係合部１３１とは、本
考案の閉蓋係止手段を構成し、上蓋１１５の閉蓋時に互
いに係止して閉蓋係止力を発生する。また、上蓋１１５
は、キャップ１１２の前面側でキャップ本体１１３に設
けた陥凹部１２５の上方に、開蓋操作力を付与し得る開
蓋操作部１３２を有する。

【００４７】さて、キャップ本体１１３の天面１２２に
は、ヒンジ１１４の近傍に嵌合溝１４１が形成され、こ
の嵌合溝１４１にゴム状弾性体１４２が嵌着される。こ
のゴム状弾性体１４２は、ゴムまたはエラストマー等
（例えば、コンパウンドとして信越化学工業株式会社製
ＫＥ９５１Ｕと、加硫剤として同社製Ｃ−８とで合成さ
れるメチルビニル系生ゴム）から構成される。また、ゴ
ム状弾性体１４２は、図２４（Ａ）に示すように断面略
コ字形状であり、一端部１４３が上記嵌合溝１４１に嵌
装される。ゴム状弾性体１４２の他端部１４４は先細り
の楔形状に形成され、その先端が上蓋１１５の内面に接
触して、圧縮及び曲げ変形可能に構成される。

【００４８】即ち、図２４（Ａ）及び（Ｂ）に示すよう
に、上蓋１１５を閉蓋する過程で、ゴム状弾性体１４２
の他端部１４４先端が上蓋１１５の内面に当接し、押圧
される。この押圧により、ゴム状弾性体１４２の他端部
１４４が内向きに曲がり、ゴム状弾性体１４２はＡ部１
４２Ａ及びＢ部１４２Ｂが曲げ変形し、上蓋１１５の閉
蓋時に、他端部１４４はゴム状弾性体１４２の内面１４
２Ｃと上蓋１１５の内面との間に畳み込まれる如くにな
って圧縮変形する。

【００４９】そして、キャップ１１２では、上蓋１１５
とゴム状弾性体１４２の、上蓋１１５の開蓋時には互い
に離れ、閉蓋時には互いに接する表面の両方（いずれか
一方でも良い）を凹凸面１１５Ａ、１４２Ａとしている
（図２３（Ｂ）、図２５）。凹凸面１１５Ａ、１４２Ａ
はエンボスを付与され、または複数の小突起を付与され
て構成される。

【００５０】尚、キャップ１１２にあっては、ヒンジ１
１４が、キャップ本体１１３に結合される厚肉部１１４
Ａと、上蓋１１５に結合される厚肉部１１４Ｂと、両厚
肉部１１４Ａ、１１４Ｂの間の薄肉部１１４Ｃとからな
り、この薄肉部１１４Ｃの内部に切除部１５１を設けて
いる。切除部１５１は、ヒンジ１１４の全幅Ｗの中央部
に１個設けられている。

【００５１】然るに、キャップ１１２は、以下の如くに
開閉される。 (1) キャップ１１２の閉蓋時、上蓋１１５の密封係合部
１３１がキャップ本体１１３の注出口１２１に密封状態
で係合して閉蓋係止力を発生せしめ、閉蓋状態が維持さ
れる。このとき、ゴム状弾性体１４２は、キャップ本体
１１３と上蓋１１５との間で曲げ及び圧縮の弾性変形を
付与される。

【００５２】(2) キャップ１１２の開蓋時、容器本体１
１１を片手で握り、その例えば親指が加える開蓋操作力
により上蓋１１５の開蓋操作部１３２を押上げる。これ
により、上蓋１１５はヒンジ１１４を中心として開蓋方
向に押上げられ、ひいては上蓋１１５の密封係合部１３
１をキャップ本体１１３の注出口１２１から離脱せしめ
る。この密封係合部１３１と注出口１２１との係合解除
と同時に、上記(1) の弾性変形状態にあるゴム状弾性体
１４２の弾性復元力が上蓋１１５の開き力として作用
し、上蓋１１５を開蓋する。

【００５３】以下、本実施例の作用について説明する。キャップ本体１１３と上蓋１１５との間に介装された
ゴム状弾性体１４２が上蓋１１５の閉蓋時に弾性変形す
るように構成されたので、キャップ本体１１３と上蓋１
１５との閉蓋状態が解除されると、この弾性変形したゴ
ム状弾性体１４２の弾性復元力が上蓋１１５を開蓋させ
るものとなる。この復元力は、コイルばねの如くに過大
でなく、上蓋１１５を適切な速度で緩やかに開かせるこ
とができる。

【００５４】また、上蓋１１５に復元力を付与する部材
がゴム状弾性体１４２であり、コイルばねの如くの金属
製でないから腐食せず、キャップ本体１１３の注出口１
２１から注出される内容物に錆の混入を生ずることもな
い。

【００５５】更に、ゴム状弾性体１４２の一端部１４３
がキャップ本体１１３の嵌合溝１４１に嵌着され、接着
剤等が使用されないので、接着剤が容器内の内容物に流
出することがなく、更に接着剤が内容物によって劣化す
る現象も生じない。

【００５６】ヒンジ１１４の内部に切除部１５１を設
けたから、ヒンジ１１４の厚みや全幅を必要以上に小さ
くすることなく、ヒンジ１１４の曲げ剛性を小として動
き易くすることができる。このため、ゴム状弾性体１４
２の弾性復元力が格別に大きくなくても、ヒンジ１１４
に対し十分な開蓋力を及ぼし、ヒンジ１１４の曲げ剛性
率が大となる低温でも十分な開き角度を確保できる。

【００５７】即ち、ゴム状弾性体１４２は、その弾性復
元力を確実に大とする必要がなく、薄肉物で足りる。従
って、キャップ本体１１３と上蓋１１５との間の閉蓋係
止手段（注出口１２１と密封係合部１３１）が発生せし
めるべき閉蓋係止力（ゴム状弾性体１４２の弾性復元力
と、キャップ本体１１３に設けた注出口１２１に付与す
べき密封力との和）は小で足り、ひいては開蓋時にこの
閉蓋係止力に対応するものとなる開蓋操作力を小として
開蓋操作性を向上し得るものとなる。

【００５８】尚、ヒンジ１１４の曲げ剛性を小としなが
らも、ヒンジ１１４の全幅は格別短くされるものでない
から、閉蓋操作過程で上蓋１１５の閉蓋操作方向がずれ
ても、キャップ本体１１３に対する上蓋１１５の位置合
せは安定であり、ヒンジ１１４のひねり変形角度も小で
あってヒンジ１１４のひねり切断を生ずることがない。

【００５９】ヒンジ１１４が、キャップ本体１１３に
結合される厚肉部１１４Ａと、上蓋１１５に結合される
厚肉部１１４Ｂと、両厚肉部１１４Ａ、１１４Ｂ間の薄
肉部１１４Ｃとからなるとき、切除部１５１が薄肉部に
設けられるものとすることにより、閉蓋時にヒンジ１１
４の背面に形成される凹状切欠部１５２（図２４
（Ｂ））が浅く、この切欠部１５２のコーナーが手指等
に引っ掛かることがなく、容器１１０の取扱性を損なう
ことがない。

【００６０】上蓋１１５とゴム状弾性体１４２の、閉
蓋時に互いに接する表面を凹凸面１１５Ａ、１４２Ａと
したから、上蓋１１５を閉蓋状態として長時間放置（特
に高温下で長時間放置）したとき、上蓋１１５の樹脂内
に練り込まれている、滑剤や帯電防止剤その他の添加剤
がブリードアウトしてきても、上蓋１１５と、ゴム状弾
性体１４２との接触面がブロッキングを引き起こすこと
がない。このため、長時間放置後の使用時にも、ゴム状
弾性体１４２の弾性復元力によって上蓋１１５を大きく
開くことができる。

【００６１】表１は、本発明のキャップにおいて、キャ
ップ材質をポリプロピレン、ゴム状弾性体をシリコーン
ゴムとし、キャップ１については上述の凹凸面を付与せ
ず、キャップ２についてはキャップ側に上述の凹凸面を
付与し、 5℃、室温、40℃のそれぞれの温度下に６ケ月
間放置した後の、上蓋開き角度を調査した結果である。
キャップ１については長時間放置によるブロッキングの
影響で上蓋開き角度が小になっているのに対し、キャッ
プ２ではそのブロッキングの発生を防止して上蓋開き角
度は大となることが認めれる。各温度における開き角度
の違いはシリコーンゴムの圧縮永久歪みによるものであ
る。40℃はかなり厳しい条件であるが、キャップ２で
は、この温度でも使用上差し支えない開き角度90度が得
られた。

【００６２】

【表１】

【００６３】尚、本発明の実施において、本発明の凹凸
面（１１５Ａ、１４２Ａ）は、キャップ本体及び／又は
上蓋と、ゴム状弾性体のいずれか一方又は両方に設けら
れるものであって良い。そして、キャップ本体及び／又
は上蓋と、ゴム状弾性体に設けられる凹凸面の範囲は、
それらの互いに接する部分のみ、或いはそれらの互いに
接する部分を含むそれらの一部もしくは全体に渡るもの
であっても良い。

【００６４】

【発明の効果】以上のように、本発明に係るキャップに
よれば、容器本体の内容物に錆が混入することがなく、
かつゴム状弾性体の復元力により上蓋を適切な速度で緩
やかに開蓋させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明に係るキャップの第１実施例の
開蓋状態を示し、（Ａ）がその平面図であり、（Ｂ）が
その側断面図である。

【図２】図２は、図１のキャップの閉蓋状態を示す側断
面図である。

【図３】図３は、図１のゴム状弾性体を示す斜視図であ
る。

【図４】図４は図１のキャップの作用を示す一部側断面
図である。

【図５】図５は、図１のキャップの作動を明確にするた
めの比較例における作用を示す一部側断面図である。

【図６】図６は、本発明に係るキャップの第２実施例の
開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、（Ｂ）は
その側断面図である。

【図７】図７は、図６のキャップの閉蓋状態を示す側断
面図である。

【図８】図８は、図６のゴム状弾性体の斜視図である。

【図９】図９は、本発明に係るキャップの第３実施例の
開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、（Ｂ）は
その側断面図である。

【図１０】図１０（Ａ）は、図９のキャップの閉蓋状態
の断側面図であり、図１０（Ｂ）は図１０（Ａ）のＸＢ
部の拡大図である。

【図１１】図１１（Ａ）は、図９のゴム状弾性体の嵌入
前状態を示す斜視図であり、図１１（Ｂ）は、図１１
（Ａ）のゴム状弾性体の嵌入後状態を示す斜視図であ
る。

【図１２】図１２は、図１１（Ａ）のゴム状弾性体の変
形例を示し、（Ａ）が嵌入前の斜視図であり、（Ｂ）が
嵌入後の斜視図である。

【図１３】図１３は、本発明に係るキャップの第４実施
例の開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。

【図１４】図１４は、図１３のキャップの閉蓋状態を示
し、（Ａ）はその背面図であり、（Ｂ）はその側断面図
である。

【図１５】図１５は、図１３のゴム状弾性体を、キャッ
プ本体及び上蓋の一部とともに示す斜視図である。

【図１６】図１６は、第４実施例のキャップの変形例を
示し、（Ａ）はその背面図であり、（Ｂ）はその側断面
図である。

【図１７】図１７は、本発明に係るキャップの第５実施
例の開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。

【図１８】図１８は、図１７のキャップの閉蓋状態の断
側面図である。

【図１９】図１９（Ａ）は図１８のゴム状弾性体の嵌入
前の状態を、キャップ本体及び上蓋１２の一部とともに
示す斜視図であり、図１９（Ｂ）はゴム状弾性体の嵌入
後の状態を示す斜視図である。

【図２０】図２０は、図１７のキャップの機能を示す作
動図である。

【図２１】図２１は、本発明に係るキャップの第６実施
例の開蓋状態を示し、（Ａ）はその平面図であり、
（Ｂ）はその側断面図である。

【図２２】図２２は、図２１のゴム状弾性体を、キャッ
プ本体及び上蓋１２の一部とともに示す斜視図である。

【図２３】図２３は第７実施例に係るキャップの開蓋状
態を示す模式図であり、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は平面
図である。

【図２４】図２４は第７実施例に係るキャップの閉蓋状
態を示す模式図であり、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は平面
図である。

【図２５】図２５はゴム状弾性体を示す模式図である。

【符号の説明】

１０キャップ１１キャップ本体１２上蓋１３メインヒンジ（ヒンジ）２４係止機構２５嵌合溝２６ゴム状弾性体２７ゴム状弾性体の一端部２８ゴム状弾性体の他端部３０キャップ３２ゴム状弾性体４０キャップ４３、４８ゴム状弾性体５１クリアランス６０キャップ６３、６４嵌合溝６５、６６、７１サブヒンジ（ヒンジ）６７ゴム状弾性体６８ゴム状弾性体の一端部６９ゴム状弾性体の他端部８０キャップ８１ゴム状弾性体８２ゴム状弾性体の一端部８３ゴム状弾性体の他端部８４クリアランス９０キャップ１１２キャップ１１３キャップ本体１１４ヒンジ１１５上蓋１４２ゴム状弾性体１１５Ａ、１４２Ａ凹凸面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】キャップ本体にヒンジを介して上蓋が開
閉自在に配設され、上記キャップ本体及び上記上蓋に形
成された係止機構により上記上蓋が閉蓋されるキャップ
において、上記キャップ本体または上記上蓋の少なくと
も一方の上記ヒンジ近傍にゴム状弾性体が装着され、上
記上蓋の閉蓋時に上記ゴム状弾性体が上記キャップ本体
及び上記上蓋間で弾性変形するよう構成されたことを特
徴とするキャップ。
【請求項２】上記ゴム状弾性体は、一端部がキャップ
本体に固定され、他端部が先細りの楔形状に形成され、
この他端部が上蓋に押圧されて圧縮及び曲げ変形可能に
設けられたものである請求項１に記載のキャップ。
【請求項３】上記ゴム状弾性体は、一端部が上蓋に固
定され、他端部がキャップ本体の拘束壁に押圧されて圧
縮及び曲げ変形可能に構成された請求項１に記載のキャ
ップ。
【請求項４】上記ゴム状弾性体は、キャップ本体に突
出状態で固定され、上蓋に押圧されて圧縮変形可能に設
けられた請求項１に記載のキャップ。
【請求項５】ゴム状弾性体は断面コ字形状に形成さ
れ、両端部がキャップ本体及び上蓋のそれぞれに固定さ
れて曲げ変形可能に構成された請求項１に記載のキャッ
プ。
【請求項６】上記ゴム状弾性体は断面コ字形状に形成
され、一端部がキャップ本体に固定されるとともに、他
端部が上蓋に対しクリアランスを有して遊嵌され、この
他端部が圧縮及び曲げ変形可能に構成された請求項１に
記載のキャップ。
【請求項７】上記ヒンジが、スナップヒンジである請
求項１に記載のキャップ。
【請求項８】上記キャップ本体及び／又は上蓋と、ゴ
ム状弾性体の、上蓋の開蓋時には互いに離れ、閉蓋時に
は互いに接する表面のいずれか一方又は両方を凹凸面と
してなる請求項１〜７のいずれかに記載のキャップ。