JPH0747531B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、亜鉛塩の配合により口臭除去効果を有する口
腔用組成物に関し、更に詳述すると亜鉛塩による渋味が
改良され、まろやかな味を有する使用感の良好な亜鉛塩
含有口腔用組成物に関する。

従来の技術 従来より、塩化亜鉛等の亜鉛塩が口臭除去剤，口腔清浄
剤として有効であり、このため亜鉛塩をマウスウオッシ
ュや歯磨等の口腔用組成物に配合することが知られてい
る（特開昭60−233008号公報）。

発明が解決しようとする課題 しかし、塩化亜鉛等の亜鉛塩を口腔用組成物に配合した
場合、渋味が強くなると共に味のまろやかさがなくな
り、香味が低下して、口腔用組成物の使用感を損なう問
題がある。

本発明は上記事情を改善するためになされたもので、渋
味がなく、まろやかな味を有する使用感が良好な亜鉛塩
含有口腔用組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段及び作用 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行っ
た結果、亜鉛塩を含有した口腔用組成物にポリオキシエ
チレン（POE）硬化ヒマシ油とｌ−メントールを配合す
ると、意外にも亜鉛塩による渋味がなくなると共に味の
まろやかさが改善され、使用感が良好になることを知見
した。即ち、特開昭60−233008号公報には亜鉛塩を配合
した口腔用組成物が開示され、その実施例にはポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体型ノ
ニオン活性剤（プルロニックＦ−85）を用いることが示
されているが、このようなプルロニック型活性剤を亜鉛
塩と併用しても亜鉛塩の渋味は消えず、またポリオキシ
エチレン型の活性剤でもポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステルやポリオキシエチレンアルキルエーテル
を用いても亜鉛塩の渋味を改善することができないにも
かかわらず、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を亜鉛塩
と併用する場合には、亜鉛塩の渋味がなくなり、亜鉛塩
含有口腔用組成物の使用感が改善されること、また、PO
E硬化ヒマシ油に更にｌ−メントールを配合することに
より、組成物の味のまろやかさが改善され、使用感がよ
り向上することを知見した。

またこの場合、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を多量
に配合する場合には、かえってポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油の有する油っぽさが生じ、また、ｌ−メントー
ルを多量に配合する場合には、かえってｌ−メントール
自体の有する苦味が生じるので、亜鉛塩含有口腔用組成
物の使用感の点でポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とｌ
−メントールを特定量、即ちポリオキシエチレン硬化ヒ
マシ油を組成物全体の0.1〜５％（重量％、以下同
じ）、ｌ−メントールを0.01〜３％の割合で使用するこ
とが有効であることを見い出し、本発明をなすに至った
ものである。

従って、本発明は亜鉛塩とポリオキシエチレン硬化ヒマ
シ油0.1〜５％とｌ−メントール0.01〜３％とを配合し
たことを特徴とする口腔用組成物を提供するものであ
る。

以下、本発明につき更に詳しく説明する。

本発明の口腔用組成物は亜鉛塩を含有するもので、亜鉛
塩の含有により口臭除去効果を与えるものである。

ここで、亜鉛塩としては、特に制限されないが、塩化亜
鉛，クエン酸亜鉛，酢酸亜鉛，乳酸亜鉛，サリチル酸亜
鉛，硫酸亜鉛等が好適に用いられる。なお、これら亜鉛
塩はその１種を単独で配合しても２種以上を併用しても
よい。

亜鉛塩の配合量は適宜選定されるが、亜鉛イオンとして
組成物全体の0.01〜１％、特に0.02〜0.5％とすること
が好ましい。亜鉛イオン量が0.01％より少ないと亜鉛塩
配合による効果が十分発揮されない場合があり、また１
％より多いと口腔用組成物の使用感（香味）を著しく損
なう場合がある。

本発明は上記の亜鉛塩の渋味を改善するためにポリオキ
シエチレン（POE）硬化ヒマシ油を配合する。この場合P
OE硬化ヒマシ油としては、酸化エチレンの平均付加モル
数が10モル以上のものが低温安定性の点から好ましい。
特に酸化エチレンの平均付加モル数が20〜100のものは
プルロニック型活性剤と比較しても低温安定性に優れて
おり、従ってマウスウオッシュ等の透明な口腔用組成物
を調製した場合、低温下に保存しても濁りが生じること
がないので、このような透明口腔用組成物の調製に好適
に用いられる。

POE硬化ヒマシ油の配合量は、組成物全体の0.1〜５％で
あり、好ましくは0.3〜４％である。POE硬化ヒマシ油の
配合量が0.1％より少ないと亜鉛塩の渋味が十分改善さ
れず、また５％を越えるとPOE硬化ヒマシ油自体の有す
る油っぽさが生じ、好ましくない。

本発明の口腔用組成物には、味のまろやかさを改善する
ために更にｌ−メントールを配合する。POE硬化ヒマシ
油に更にｌ−メントールを配合することにより、組成物
の味のまろやかさが改善され、使用感がより向上する。
この場合、ｌ−メントールの配合量は0.01〜３％、特に
0.05〜２％とするもので、0.01％より少ないとｌ−メン
トール配合の効果が十分に生じず、逆に３％より多いと
ｌ−メントール自体の有する苦味が生じる。

本発明の口腔用組成物は、練歯磨、潤製歯磨、液状歯
磨、マウスウオッシュ、口腔用パスタ、口中清涼剤等と
して調製されるが、本発明に係る口腔用組成物にはこれ
ら組成物の種類等に応じた適宜な成分、例えば研磨剤、
粘結剤、粘稠剤、甘味剤、防腐剤などを適宜選定して配
合し得る。この場合、本発明においては、POE硬化ヒマ
シ油に加えて他の界面活性剤、ｌ−メントールに加えて
他の香料、亜鉛塩に加えて他の有効成分を配合し得る。

発明の効果 本発明に係る口腔用組成物は、亜鉛塩にPOE硬化ヒマシ
油とｌ−メントールを併用したことにより、亜鉛塩の有
する渋味と組成物の味のまろやかさが改善され、使用感
に優れたものである。

次に、実験例により本発明の効果を具体的に示す。

〔実験例１〕 第１表に示す界面活性剤を配合した下記処方のNo.1〜N
o.13のマウスウオッシュを調製し、その使用感（渋味、
油っぽさ、総合香味）を専門パネル10名にて下記基準に
基づいて評価し、10名の平均点にて判定した。結果を第
１表に示す。

マウスウオッシュ処分 エチルアルコール 10.0％ グリセリン 10.0 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.4 安息香酸ナトリウム 0.3 ラウリル酸ナトリウム 0.5 香料 0.8 サッカリンナトリウム 0.05 緑色３号 0.001 黄色203号 0.001 塩化亜鉛 0.1 界面活性剤 第１表に示す量精製水 残 100.0％ 第１表の結果より、亜鉛塩を含すマウスウオッシュにPO
E硬化ヒマシ油を0.1〜５％配合することによって亜鉛塩
の配合による渋味がなくなることが知見された。

〔実験例２〕 第２表に示す配合量で塩化亜鉛を使用した下記処方のN
o.14〜No.21のマウスウオッシュを調製し、その口臭除
去効果を下記方法及び基準にて評価した。

また、これらマウスウオッシュの使用感（香味）を実験
例−１と同様に評価した。結果を第２表に示す。

マウスウオッシュ処方 エチルアルコール 10.0％ グリセリン 10.0 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.4 安息香酸ナトリウム 0.3 ラウリル酸ナトリウム 0.5 香料 0.8 サッカリンナトリウム 0.05 緑色３号 0.001 黄色203号 0.001 POE（40）硬化ヒマシ油 2.0 塩化亜鉛 第２表に示す量精製水 残 100.0％ 口臭除去効果の評価 方法 パネル10名の洗口前の口臭を専門評価者３名にて下記基
準に基づいて評価し、評価の平均値（パネル10名×評価
者３名）を算出する。

次に、パネルはテストサンプル30mlで30秒間洗口を行
い、15分後専門評価者３名が洗口前評価と同基準にて口
臭を評価する。

尚、同一パネルの洗口テストの間隔は少なくとも３時間
以上はあける。

判定 各テストサンプルの洗口後評価の平均値（パネル10名×
評価者３名）と洗口前評価の平均値の差による、口臭除
去効果の判定を行った。

第２表の結果より、亜鉛塩は口臭除去の点からその配合
量を亜鉛イオンとして0.01％以上とすることご好ましい
が、香味の点からその配合量の上限を１％とすることが
有効であることが知見された。

〔実験例３〕 第３表に示す配合量でｌ−メントールを配合した下記処
方のNo.22〜No.28のマウスウオッシュを調製し、その使
用感（味のまろやかさ、苦味、渋味）を専門パネル10名
にて下記基準に基づいて評価し、10名の平均点にて判定
した。結果を第３表に示す。

マウスウオッシュ処方 エチルアルコール 10.0％ グリセリン 10.0 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.4 安息香酸ナトリウム 0.3 ラウリル硫酸ナトリウム 0.5 ｌ−メントールを除いた香料 0.5 サンカリンナトリウム 0.05 緑色３号 0.001 黄色203号 0.001 塩化亜鉛 0.1 POE（40）硬化ヒマシ油 2.0 ｌ−メントール 第３表に示す量精製水 残 100.0％ 尚、渋味は実験例１と同様に評価した。

第３表の結果より、ｌ−メントールの配合で亜鉛塩を含
むマウスウオッシュの味をまろやかにし得ること、しか
しｌ−メントールを多く配合すると苦味が生ずるため、
ｌ−メントールは0.01〜３％の配合量が好適であること
が知見された。

〔実験例４〕 第４表に示す界面活性剤を配合した下記処方のNo.29〜N
o.37のマウスウオッシュを調製し、その低温安定性を下
記の方法、基準にて評価した。結果を第４表に示す。

マウスウオッシュ処方 エチルアルコール 10.0％ グリセリン 10.0 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.4 安息香酸ナトリウム 0.3 ラウリル硫酸ナトリウム 0.5 香料 0.8 サッカリンナトリウム 0.05 緑色３号 0.001 黄色203号 0.001 塩化亜鉛 0.1 界面活性剤 2.0 水 残 100.0％ 評価方法 −10℃に１週間保存して、−10℃にて溶液の透明性を評
価する。

第４表の結果より、低温安定性の点で酸化エチレン付加
モル数が10〜100のPOE硬化ヒマシ油が好適であることが
知見された。

以下、実施例を示すが、本発明は下記の実施例に制限さ
れるものではない。

〔実施例11〕潤製歯磨 炭酸カルシウム 80.0重量％ 無水ケイ酸 2.0 〃 PEG＃4000 1.0 〃 PEG＃400 10.0 〃 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 〃 サッカリンナトリウム 0.1 〃 ｌ−メントールを除いた香料 0.8 〃 塩化亜鉛 0.1 〃 POE（20）硬化ヒマシ油 1.0 〃 ｌ−メントール 0.2 〃 精製水 残 計 100.0 〃 〔実施例12〕液状歯磨 グリセリン 35.0重量％ プロピレングリコール 5.0 〃 ポリアクリル酸ナトリウム 2.0 〃 ラウリル酸ナトリウム 1.0 〃 ラウリル酸ジエタノールアミド 1.5 〃 サッカリンナトリウム 0.2 〃 安息香酸ナトリウム 0.3 〃 ｌ−メントールを除いた香料 0.5 〃 塩化亜鉛 0.2 〃 POM（60）硬化ヒマシ油 2.0 〃 ｌ−メントール 0.5 〃 精製水 残 計 100.0 〃 〔実施例13〕口腔用パスタ 流動パラフィン 25.0重量％ ソルビット 15.0 〃 セタノール 5.0 〃 パラフィンろう 5.0 〃 マイクロクリスタリンろう 10.0 〃 メチルパラベン 0.2 〃 安息香酸ナトリウム 0.1 〃 ｌ−メントールを除いた香料 0.5 〃 塩化亜鉛 0.1 〃 POE（40）硬化ヒマシ油 4.0 〃 ｌ−メントール 1.0 〃 精製水 残 計 100.0 〃 〔実施例14〕スプレータイプ口中清涼剤 エチルアルコール 50.0重量％ グリセリン 10.0 〃 サッカリンナトリウム 0.3 〃 ｌ−メントールを除いた香料 0.7 〃 塩化亜鉛 0.1 〃 POE（60）硬化ヒマシ油 3.0 〃 ｌ−メントール 0.3 〃 精製水 残 計 100.0 〃 実施例１〜14の口腔用組成物はいずれも使用感（香味）
及び口臭除去効果が良好であった。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】亜鉛塩とポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
   0.1〜５重量％とｌ−メントール0.01〜３重量％とを配
   合してなることを特徴とする口腔用組成物。
2. 【請求項２】亜鉛塩の配合量が亜鉛イオンとして0.1〜
   １重量％である特許請求の範囲第１項記載の口腔用組成
   物。
3. 【請求項３】亜鉛塩として塩化亜鉛，クエン酸亜鉛，酢
   酸亜鉛，乳酸亜鉛，サリチル酸亜鉛及び硫酸亜鉛よりな
   る群から選ばれた１種を又は２種以上を使用した特許請
   求の範囲第１項又は第２項記載の口腔用組成物。
4. 【請求項４】ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油として酸
   化エチレンの平均付加モル数が10以上のものを使用した
   特許請求の範囲第１項乃至第３項のいずれか１項に記載
   の口腔用組成物。