JP6138538B2 - 口腔用透明液状組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、薬効成分である塩化セチルピリジニウムの歯牙表面や口腔粘膜への吸着効果に優れており、歯垢の形成、う蝕や歯肉炎を有効に抑制することができる口腔用の透明液状組成物に関するものである。
塩化セチルピリジニウムは優れた殺菌作用を有するカチオン系殺菌剤であり、口腔内細菌に対して高い殺菌効果を示すとともに、歯牙表面や口腔粘膜に吸着する。その結果、これらに付着した口腔内細菌を効果的に殺菌し、また、歯垢の形成を抑制できることから、口腔用組成物に配合されている。
一般的に、口腔用組成物には使用感を向上させる目的でメントールが配合されている。メントールは水に僅かしか溶解しない油溶性化合物であるため、水へ安定的に分散させるためには界面活性剤を併用する必要がある。
界面活性剤は、メントール以外にも、油溶性の香料や薬効剤などや、研磨剤などの不溶性粉体を配合した場合、それらの物質を水系溶媒へ安定的に分散させるために用いられる。また、界面活性剤は、これら不溶性粉体などに吸着されるため、それを補うべく、多量に配合する必要が生じる。
一方、塩化セチルピリジニウムは高い水溶性を有するため、界面活性剤が存在しない水溶液においても安定に溶解され、配合した量に応じた殺菌力が発揮される。しかし、ミセル形成濃度以上の界面活性剤を共存させた場合、水中に安定溶解していた塩化セチルピリジニウムがミセル内に取り込まれ、殺菌剤としての効力が減ぜられることも知られている。
よって、塩化セチルピリジニウムの歯牙や口腔粘膜への吸着性をいっそう高めることが必要となる。
そこで、塩化セチルピリジニウムと、上記油溶性成分と、油溶性成分を可溶化させるための非イオン性界面活性剤(可溶化剤)とを含む歯垢形成防止用液体口腔用製剤であって、塩化セチルピリジニウムのようなカチオン性殺菌剤の吸着効果を有効に発揮し得る可溶化剤について、種々の提案がされている。
例えば特許文献1には、塩化セチルピリジニウムに、酸化エチレンの平均付加モル数が40〜80であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合した製剤は、塩化セチルピリジニウムの歯牙への吸着を阻害せず、歯垢形成防止や虫歯の予防に優れるのみならず、−5℃で48時間保持したときの低温安定性にも優れることが開示されている。
また、特許文献2には、塩化セチルピリジニウムがミセルに取り込まれ難いポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体を可溶化剤として配合することで、塩化セチルピリジニウムの抗菌活性を安定に保つことができる口腔用組成物が開示されている。
特許文献3には、塩化セチルピリジニウムと酸化エチレンの平均付加モル数が30〜55であるポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよび/または酸化エチレンの平均付加モル数が90〜120であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合することで、界面活性剤による塩化セチルピリジニウムの抗菌効果の低下を防止した口腔用組成物が開示されている。
また、特許文献4および特許文献5には、塩化セチルピリジニウムの具体的な実施例は開示されていないが、カチオン性殺菌剤の殺菌効果を高めた技術が開示されている。
このうち特許文献4には、カチオン性殺菌剤と油溶性香料を配合した口腔用組成物において、糖脂肪酸エステルは、カチオン性殺菌剤の歯牙等への吸着量を飛躍的に向上させる作用を有するとの知見に鑑み、上記糖脂肪酸エステルと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上とを組み合せて配合することで、カチオン性殺菌剤の歯牙等への吸着性が向上することが開示されている。
また、特許文献5には、カチオン性殺菌剤と油溶性香料を配合した口腔用組成物において、ポリグリセリン脂肪酸エステルにより可溶化して特定のエマルション粒径にすることで、カチオン性殺菌剤の殺菌効果を低下させることなく歯への吸着力が向上する液体口腔用組成物が開示されている。
特許文献6には、難水溶性非イオン性薬効成分の長期保管後における容器内層への吸着が抑制されており、十分な起泡力と優れた使用感を有する歯磨剤組成物であって、エチレンオキシドの平均付加モル数が5〜30のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含む組成物が開示されている。
特許文献7には、ビタミンEとその誘導体の長期保管後における容器内層への吸着が抑制されており、外観安定性に優れ、十分な起泡力を有し、製造が容易で味の良い歯磨剤組成物であって、エチレンオキシドの平均付加モル数が10〜80のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含む組成物が開示されている。
特許文献8には、アスコルビン酸リン酸エステルの長期安定性を示し、使用感に優れる歯磨剤組成物が開示されている。
特開平4−173728号公報 特開平4−202121号公報 特開平7−215830号公報 特開2006−143710号公報 特開2009−96724号公報 特開2004−250381号公報 特開2005−247786号公報 特開2011−6351号公報
このように塩化セチルピリジニウムの歯牙表面などへの吸着能を高めるためや、油溶性成分の容器内層への吸着を抑制するために、可溶化剤(非イオン性界面活性剤)に関する種々の方法が知られているが、特に塩化セチルピリジニウムの歯牙表面などへの吸着能の更なる向上が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、口腔内細菌に対して優れた抗菌活性を有する塩化セチルピリジニウムの歯牙表面などへの吸着効果が一層高められ、優れた歯垢形成防止作用を発揮し得る口腔用の透明液状組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、不溶性の粉体原料を実質的に配合しない液状組成物において、塩化セチルピリジニウムと口腔用組成物として良好な使用感を付与する量のメントールを配合した場合、界面活性剤としてエチレンオキシドの平均付加モル数の小さいポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を使用することで、これらを水系溶媒中で安定的に分散することができる上に、塩化セチルピリジニウムの歯牙などへの吸着性がより高まることを見出した。
可溶化剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を選択する場合、特許文献1にはエチレンオキシドの平均付加モル数が大きいほど歯牙表面への塩化セチルピリジニウムの吸着量が高まったとの実験データが示されているが、上記の知見はこれに反する。その理由としては、HLB値の低いポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を比較低用量で用いつつメントールを水系溶媒に分散させた場合には、塩化セチルピリジニウムのミセル中への取り込みが抑制され、ミセル中で過度に安定化することなく遊離し、歯牙などへ吸着することが考えられる。
本発明に係る口腔用透明液状組成物は、下記の成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を含有することを特徴とする。
成分(a): 0.01質量%以上、0.3質量%以下の塩化セチルピリジニウム
成分(b): 0.01質量%以上、0.4質量%以下の、エチレンオキシドの平均付加モル数が10以上、30以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
成分(c): 0.01質量%以上、1.0質量%以下のメントール
成分(d): 60質量%以上、99.8質量%以下の水系溶媒
本発明に係る口腔用透明液状組成物には、さらに、下記の成分(e)を配合することが好ましい。
成分(e): 0.01質量%以上、0.3質量%以下で且つ成分(b)の配合量以下の、エチレンオキシドの平均付加モル数が40以上、100以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
上記成分(e)は、油溶性成分を組成物中で安定的に分散して透明性を維持するのに有効な成分である。
本発明に係る口腔用透明液状組成物においては、成分(a)に対する成分(b)と成分(e)との合計の割合([成分(b)+成分(e)]/成分(a))を0.6以上、4.4以下に調整することが好ましい。上記割合が当該範囲にあれば、成分(a)(塩化セチルピリジニウム)や油溶性成分を組成物中により確実に安定分散させて組成物の透明性を維持しつつ、成分(a)がミセル中に過剰に安定化されることによる歯牙などへの吸着量の低減をより有効に抑制することが可能になる。
本発明に係る口腔用透明液状組成物には、さらに、成分(c)以外の油溶性成分である下記の成分(f)を配合してもよい。
成分(f): 油溶性薬効成分、メントール以外の油溶性香料、油溶性アルコール、油溶性防腐剤から選択される1種または2種以上の油溶性成分
本発明の口腔用透明液状組成物を用いれば、塩化セチルピリジニウムの歯牙表面や口腔粘膜への吸着効果が一層促進されるため、う蝕や歯周病などを引き起こす口腔内細菌の吸着を阻害することができ、また、歯垢の形成を一層効果的に抑制することが可能となる。また、本発明の液状組成物は、透明であり、口腔用製剤としての外観性状にも優れているため、洗口剤や口腔用殺菌スプレーなどの口腔用液状製剤として好適に用いられる。
本発明に係る口腔用組成物は、透明で液状なものであり、不溶性の成分を実質的に含まない。不溶性成分としては、例えば、リン酸水素カルシウム粉体、炭酸カルシウム粉体、無水ケイ酸粉体、含水ケイ酸粉体などの研磨剤を挙げることができる。また、実質的に含まないとは、例えば、組成物全体に対して0.5質量%以下であることをいうものとする。
以下、本発明に係る口腔用透明液状組成物の各成分につき説明する。
成分(a):塩化セチルピリジニウム
本発明に用いられる塩化セチルピリジニウムは、第四級アンモニウム化合物に分類されるカチオン性殺菌剤であり、特にう蝕や歯肉炎の原因となる口腔内細菌に対して高い殺菌効果を示すことから、口腔用組成物の薬効成分として広く使用されているものである。
本発明に係る組成物全量に対する塩化セチルピリジニウムの含有量は、0.01質量%以上、0.3質量%以下とする。当該割合が0.01質量%以上であれば、塩化セチルピリジニウムの口腔内における効果を十分に発揮せしめることができる。一方、当該割合が高過ぎると、塩化セチルピリジニウムに起因する使用時の苦味などの問題が生じるおそれがあり得るので、当該割合としては0.3質量%以下が好ましい。当該割合としては、0.02質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.04質量%以上がさらに好ましく、また、0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.08質量%以下がさらに好ましい。
成分(b):エチレンオキシドの平均付加モル数が10以上、30以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
当該成分(b)は、本発明組成物の必須成分であるメントールを可溶化すると共に、薬効成分である塩化セチルピリジニウムをミセル中で過剰に安定化することなく、歯牙や口腔粘膜に対する吸着性を高める重要な成分である。
成分(b)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数が30以下であれば、塩化セチルピリジニウムとの親和性が過剰にならず、組成物から歯牙などへの吸着を顕著に促進することができる。一方、当該平均付加モル数が10以上であれば、水を主成分とする口腔用組成物においても、本発明の必須成分であるメントールに対する可溶化能は十分であり、層分離が抑制された外観性状の良い組成物となる。なお、当該平均付加モル数は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の製品のカタログ値などを参照すればよいものとする。或いは、HPLCを用いたゲルろ過法、H−NMRおよびMALDI−MSにより測定することも可能である。
本発明に係る組成物全量に対する成分(b)の含有量は、0.01質量%以上、0.4質量%以下とする。当該割合が0.01質量%以上であれば、各成分を組成物中でより確実に可溶化することができ、相分離が無く外観性状に優れた組成物が得られる。一方、当該割合が高過ぎると、おそらくは塩化セチルピリジニウムのミセル中への取込量が大きくなることにより、塩化セチルピリジニウムの歯牙等への吸着量が低減される傾向にあるので、当該割合は0.4質量%以下とする。当該割合としては、0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、また、0.3質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
成分(c):メントール
本発明組成物において、メントールは、組成物の使用時に爽やかな使用感を付与し、嗜好性を顕著に向上させることのできるものであり、口腔用組成物に多用されている香料成分である。また、その作用機序は必ずしも明らかではないが、エチレンオキシドの平均付加モル数が10以上、30以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を界面活性剤として使用した場合には、薬効成分である塩化セチルピリジニウムの歯牙や口腔粘膜に対する吸着性を高める効果を示す可能性もある。
メントールは、その化学構造中に3つの不斉炭素原子を有し、8つの異性体が存在するが、清涼感のあるハッカ臭を最も効果的に発することのできるl−メントールを用いることが好ましい。
本発明に係る組成物全量に対するメントールの含有量は、0.01質量%以上、1.0質量%以下とする。当該割合が0.01質量%以上であれば、組成物に十分な清涼感をより確実に付与できるほか、塩化セチルピリジニウムの歯牙や口腔粘膜への吸着が促進される可能性もあり得る。一方、当該割合が高過ぎると、界面活性剤や他の油溶性成分の使用量にもよるが、メントールが水系溶媒に溶解しきれなくなり相分離するおそれがあり得るので、当該割合は1.0質量%以下とする。当該割合としては、0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.08質量%以上がさらに好ましく、また、0.8質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
成分(d):水系溶媒
本発明に係る組成物は、口腔に用いられる透明な液状のものである。よって、本発明組成物に用いられる溶媒は、生体に害が無い或いは害の少ない水系溶媒とする。
本発明において水系溶媒とは、水、または水とエタノールとの混合溶媒をいうものとする。ここでいう水の種類は特に制限されず、蒸留水、純水、超純水、精製水、水道水などいずれも用いることができる。
本発明に係る組成物全量に対する水系溶媒の含有量は、60質量%以上、99.8質量%以下とする。当該割合が60質量%以上であれば、本発明に係る組成物を十分に液状に維持することができる。一方、当該割合が高過ぎると、他の必須成分の割合が相対的に低くせざるを得なくなり、各成分の作用効果が十分に発揮されなくなるおそれがあり得るので、当該割合は99.8質量%以下とする。
成分(e):エチレンオキシドの平均付加モル数が40以上、100以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
当該成分(e)は、油溶性成分を比較的多く配合する場合に、それらを液状組成物中に安定的に分散して透明性を維持するための成分である。
本発明に係る組成物全量に対する成分(e)の含有量は、0.01質量%以上、0.3質量%以下で且つ成分(b)の配合量以下とする。当該割合が0.01質量%以上であれば、油溶性成分をより確実に分散させることが可能になり、組成物の透明性を維持することができる。一方、当該割合が高過ぎると、本発明組成物の主要な薬効成分である塩化セチルピリジニウムがミセル中に過剰に安定化されて歯牙などへの吸着量が低減されるおそれがあり得るので、当該割合としては、成分(b)の配合量以下とし、且つ、0.3質量%以下とする。当該成分(e)は、成分(b)の配合量の3/4以下とすることが好ましく、成分(b)の配合量の1/2以下とすることがより好ましい。また、上記割合としては、成分(b)の配合量以下であることを前提として、0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
また、成分(a)に対する成分(b)と成分(e)との合計の割合([成分(b)+成分(e)]/成分(a))が0.6以上、4.4以下となるように成分構成を調整することが好ましい。当該割合が0.6以上であれば、メントールなどの油溶性成分が存在していても、成分(a)(塩化セチルピリジニウム)を組成物中により確実に安定分散することが可能になる。一方、当該割合が高過ぎると、成分(a)(塩化セチルピリジニウム)がミセル中で過剰に安定化されて歯牙などへの吸着量が低減するおそれがあり得るので、当該割合は4.4以下とする。当該割合としては、4.0以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましく、2.0以下が特に好ましい。
さらに、本発明に係る組成物全量に対する成分(b)と成分(e)との合計量としては、0.02質量%以上、0.7質量%以下が好ましい。当該割合が0.02質量%以上であれば、本発明に係る液状組成物をより確実に透明に維持することができる。一方、当該割合が高過ぎると上記のように塩化セチルピリジニウムの歯牙などへの吸着量が低減するおそれがあり得るので、当該割合は0.7質量%以下とする。当該割合としては、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、また、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。
成分(f):メントール以外の油溶性成分
本発明組成物には、メントールに加え、口腔用組成物へ一般的に配合される油溶性成分を添加してもよい。かかる油溶性成分とは、20℃における水への溶解度が1[g/g−H2O]以下の化合物をいい、具体的には、メントール以外の油溶性香料、油溶性アルコール、油溶性防腐剤をいう。これら油溶性成分は、1種のみを選択して使用してもよいし、2種以上を選択して組合わせて使用してもよい。
本発明に係る組成物全量に対する油溶性成分(e)の含有量(単独の場合は単独の量であり、2種以上を含むときはその合計量)としては、0.001質量%以上、1.0質量%以下が好ましい。当該含有量が0.001質量%以上であれば、油溶性成分の添加効果がより確実に発揮され得る。一方、当該含有量が多過ぎると、水系溶媒に対して相分離を起こして外観性状が低下するおそれがあり得るので、当該含有量は1.0質量%以下とすることが好ましい。当該含有量としては、0.01質量%以上がより好ましく、また、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。
本発明で用いられる油溶性薬効成分としては、特に制限されないが、例えば、トリクロサン(2’,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル)などのハロゲン化ジフェニルエーテルやイソプロピルメチルフェノールなどのフェノール系殺菌剤;ヒノキチオールなどのチオール系殺菌剤;酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどの血行促進剤;グリチルレチン酸などの抗炎症剤などが挙げられる。
組成物全量に対する上記油溶性薬効成分の好ましい含有量(単独の場合は単独の量であり、2種以上を含むときはその合計量)は、特に制限されないが、例えば、0.001質量%以上、1.0質量%以下とすることができる。当該含有量が0.001質量%以上であれば、油溶性薬効成分の添加効果をより確実に発揮せしめることができる。一方、当該含有量が多過ぎると口腔粘膜に対して刺激性を示すおそれがあり得るので、当該含有量としては1.0質量%以下とすることが好ましい。当該含有量としては、0.005質量%以上がより好ましく、また、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。
メントール以外の油溶性香料としては、特に制限されないが、例えば、メントン、イソメントン、乳酸メンチル、酢酸テルピニル、チモール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、カルボン、サリチル酸メチル、バニリン、ベンジルサクシネート、メチルオイゲノール、アネトール、リモネン、オシメン、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、シネオール、エチルリナロール、ワニリン、タイム、ナツメグ、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、フェンネル油、珪藻油、バジル油、コリアンダー油、グレープフルーツ油、ハッカ油が挙げられる。これらのうち、メントールに加えて、スペアミント油、ペパーミント油、メントンを好ましく用いることができる。
組成物全量に対する上記油溶性香料の好ましい含有量(単独の場合は単独の量であり、2種以上を含むときはその合計量)は、特に制限されないが、例えば、0.01質量%以上、1.0質量%以下とすることができる。当該含有量が0.01質量%以上であれば、油溶性香料の添加効果がより確実に発揮される。当該含有量が高過ぎると、香味が強くなるために嗜好性が低下するだけでなく、口腔粘膜や鼻腔粘膜に対する刺激性が生じるおそれがあり得るので、当該含有量は1.0質量%以下とすることが好ましい。当該含有量としては、0.02質量%以上がより好ましく、0.04質量%以上がさらに好ましく、また、0.8質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
本発明で用いられる油溶性アルコール類としては、特に制限されないが、例えば、ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、デカノールが挙げられる。これらのうち、好ましいのは、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−デカノールであり、より好ましくは、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノールであり、さらに好ましくは、1−ヘキサノール、1−オクタノールである。
組成物全量に対する上記油溶性アルコール類の好ましい含有量(単独の場合は単独の量であり、2種以上を含むときはその合計量)は、例えば、0.01質量%以上、1.0質量%以下とすることができる。上記含有量が0.01質量%以上であれば、油溶性アルコール類の添加効果が十分に発揮される。一方、当該含有量が高過ぎると、香味が低減されて嗜好性が低下するだけでなく、口腔粘膜に対する刺激性が生じるおそれがあり得るので、当該含有量は1.0質量%以下とすることが好ましい。当該含有量としては、0.05質量%以上がより好ましく、また、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
本発明で用いられる油溶性防腐剤としては、特に制限されないが、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸イソブチルなどのp−ヒドロキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。これらのうち、特に、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)を用いることが好ましい。
組成物全量に対する上記油溶性防腐剤の好ましい含有量(単独の場合は単独の量であり、2種以上を含むときはその合計量)は、特に制限されないが、例えば、0.01質量%以上、1.0質量%以下とすることができる。当該含有量が0.01質量%以上であれば、油溶性防腐剤の添加効果がより確実に発揮される。一方、当該含有量が高過ぎると、香味が低減されて嗜好性が低下するだけでなく、口腔粘膜に対する刺激性が生じるおそれがあり得るので、当該含有量は1.0質量%以下とすることが好ましい。当該含有量としては、0.05質量%以上がより好ましく、また、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
その他の成分
本発明の口腔用組成物は、上記成分(a)〜(f)以外に、剤形などに応じて、口腔用組成物に通常用いられる添加剤を、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜添加してもよい。
例えば、界面活性剤として、上記成分(b)や成分(e)以外の非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性イオン界面活性剤の少なくとも一種を配合することができる。
例えば、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油以外に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、セバシン酸ジエチル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられる両性イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤、N−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤、N−ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が挙げられる。これらの両性イオン界面活性剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、さらに粘結剤を配合することもできる。粘結剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;キサンタンガム、ジェランガムなどの微生物産生高分子;トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリンなどの天然高分子または天然ゴム類;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性粘結剤が挙げられる。これらの粘結剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、さらに甘味剤を配合することもできる。甘味剤としては、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これらの甘味剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、さらに湿潤剤を配合することもできる。湿潤剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,3−オクタンジオール、2,4−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの湿潤剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、さらに、上記の油溶性防腐剤以外の保存剤を配合することもできる。かかる保存剤としては、例えば、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩、フェノキシエタノールなどのフェノール類などが挙げられる。これらの保存剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、さらにpH調整剤を配合し、本発明に係る口腔用組成物のpHを適切な範囲に調整することもできる。本発明におけるpHは、口腔内で使用可能な範囲であれば特に制限されないが、おおむね、pH3.0以上、10.5以下であることが好ましく、より好ましくはpH5.5以上、8.0以下、さらに好ましくはpH6.0以上、7.5以下である。
本発明に用いられるpH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルクロン酸、フマル酸、グルタミン酸、アジピン酸、およびこれらの塩のほか、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのpH調整剤は、単独で、または2種以上を組み合せて使用することができる。
また、本発明では、有効成分である塩化セチルピリジニウムや、上記油溶性薬効成分以外の薬効成分を配合することもできる。このような薬効成分として、例えば、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン性殺菌剤;ドデシルジアミノエチルグリシンなどの両性殺菌剤;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素;抗炎症剤としてグリチルリチン酸ジカリウムなどのグリチルリチン酸塩など;抗プラスミン剤としてトラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸など;出血改善剤としてアスコルビン酸など;組織修復剤としてアラントインなど;再石灰化剤としてフッ化ナトリウムなどのフッ素化合物などが挙げられる。上記の他、水溶性溶媒で抽出された植物抽出物、クロロフィル、塩化ナトリウム、塩化亜鉛なども挙げられ、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明では、塩化セチルピリジニウムの吸着をより一層向上させる目的で、さらにN−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルまたはその塩を配合することができる。N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルを構成する塩基性アミノ酸部分は、オルニチン、リジン、アルギニンが好ましく、これらは光学活性体またはラセミ体のいずれであってもよい。N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルを構成するアシル基は、例えば、炭素数8以上、22以下の飽和または不飽和の天然または合成由来の脂肪酸残基が挙げられる。具体的には、例えば、ラウロイル基、ミリスチル基、パルミトイル基、ステアロイル基などの単一脂肪酸残基;ヤシ油脂肪酸残基、牛油脂肪酸残基などの天然系の混合脂肪酸残基などが挙げられる。N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルを構成する低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルなどが例示される。
上記N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルの塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩のような無機酸塩;グルタミン酸塩、ピログルタミン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、脂肪酸塩、酸性アミノ酸塩などの有機酸塩が挙げられる。特に、グルタミン酸塩、ピログルタミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩が好ましい。
本発明に用いられる、好ましいN−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルまたはその塩としては、例えば、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル・ピロリドンカルボン酸塩(CAE)、N−ラウロイル−L−アルギニンエチルエステル・ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
本発明に係る口腔用組成物の形態(剤形)は、透明な液状であれば特に制限されない。例えば、不溶性成分を実質的に含まない液体歯磨剤、洗口剤、液剤、スプレー剤、保湿剤などの口腔用液状組成物とすることができる。また、液状といえるものであれば、ある程度粘性を有するものであったり、ジェル状のものであってもよい。
本発明に係る口腔用組成物は、常法により製造することができる。即ち、水系溶媒とその他の成分を混和するのみで容易に調製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
製造例
表1に示す組成の口腔用組成物を調製した。具体的には、適量の精製水にグリセリンとプロピレングリコールを混合し、各成分を添加してよく混合した後、さらに精製水を添加混合した。次いで、pH調整剤としてクエン酸またはクエン酸ナトリウムを適量添加し、組成物のpHを5.8〜6.2の範囲に調整した。なお、表1において、括弧書きの数値は、エチレンオキシド(E.O.)の平均付加モル数を意味する。
このようにして得られた各組成物について、下記の方法で、外観性状、および塩化セチルピリジニウムの歯牙表面への吸着を評価した。
試験例1: 外観性状評価方法
調製直後の組成物の外観を目視で観察し、下記判断基準に従い、液体製剤としての透明性を評価した。
○:無色透明
×:白濁または相分離
なお、外観性状が×のものは、以下の吸着評価試験を行わなかった。その場合、後記する表1の「CPC(塩化セチルピリジニウム)吸着量」の欄には「−」を付している。
試験例2: 塩化セチルピリジニウムの歯牙表面への吸着評価方法
歯牙エナメル質のモデルとして、ヒドロキシアパタイト粉末(米国BIO−RAD Lab.社製のHydroxyapatite Bio−Gel(登録商標)HTP Gel)(以下、「HA」と略する。)50mgを、紫外線で滅菌したヒト唾液2mL中に37℃で15時間浸漬したものを用意し、ペリクル(唾液タンパク質)の層を上記HA表面に形成させた。その後、3000rpmで10分間遠心処理し、上清を除去した。
次に、前記処理を行ったHAに、被検体である各溶液サンプル2mLを加えて37℃で15分間浸漬した後、3000rpmで10分間遠心処理し、上清を除去した。次いで、前記処理を行ったHAに蒸留水2mlを添加して撹拌した後、3000rpmで10分間遠心処理し、上清を除去する操作を、2回繰り返して行なった。次に、前記処理を行ったHAに抽出液(10mMラウリル硫酸ナトリウム−40mMクエン酸緩衝(pH3.0)/アセトニトリル=25/75(体積比))5mLを加え、HAに吸着している塩化セチルピリジニウム(CPC)を抽出した。上記操作を2回繰り返した後、HPLCで定量し、HA50mgに吸着したCPCの量(μg)を求めた。HPLCの条件は、上記特許文献1の実験1に記載した条件と同じである。
これらの結果を表1に併記する。表1には総合評価の欄を設け、下記基準に基づいて判定したとき、総合評価が◎または○のものを合格とした。なお、本実施例におけるCPC吸着量の合格基準は、前述した特許文献1に比べて高いものとなっている。
(総合評価)
◎:外観性状が○で、且つ、CPCの吸着量が840μg以上
○:外観性状が○で、且つ、CPCの吸着量が820μg以上、840μg未満
×:外観性状が×、または外観性状が○で且つCPCの吸着量が820μg未満
Figure 0006138538
表1の結果のとおり、界面活性剤としてエチレンオキシドの平均付加モル数が5のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のみを含む比較例1と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含まない比較例2では、各成分を混合した後も組成物は白濁し、しばらく放置すると油溶成分が上部に相分離してしまった。
また、界面活性剤としてエチレンオキシドの平均付加モル数が80のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のみを含む比較例3の場合、油溶成分を安定分散することができ、組成物は透明となったが、CPC(塩化セチルピリジニウム)の吸着量は全く十分なものでなかった。
それに対して、エチレンオキシドの平均付加モル数が10以上、30以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とメントールを所定割合含む実施例1〜11では、各成分は組成物中に良好に安定分散されており、透明である上に、CPCの吸着量は何れも十分であった。
以上の結果のとおり、本発明に係る口腔用透明液状組成物は、透明であり製品としても外観上優れており、且つ、う蝕や歯肉炎などの原因となる口腔内細菌に対する殺菌作用の高いCPCの歯牙表面への吸着効果が非常に高く、優れた歯垢形成防止作用を有するものであることが実証された。
以下、本発明に係る口腔用組成物の好ましい処方例を挙げるが、本発明は下記の処方例に限定されない。配合量の単位は質量%である。
処方例1(洗口剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.1
ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油 0.25
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.05
β−グリチルレチン酸(油溶性薬効成分) 0.01
l−メントール 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
グリセリン 10
プロピレングリコール 3
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例2(洗口剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.2
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.2
ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油 0.1
イソプルピルメチルフェノール(油溶性薬効成分) 0.05
l−メントール 0.2
グリセリン 9
エタノール 7
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例3(液体歯磨剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.3
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.13
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.05
ペパーミント系香料(l−メントール10%含有) 0.1
ソルビトール 10
1,3−ブチレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤(リン酸ニ水素ナトリウム、
リン酸一水素ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例4(液体歯磨剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.3
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.4
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.3
ヒノキチオール(油溶性薬効成分) 0.01
l−メントール 0.3
グリセリン 10
エタノール 3
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例5(ジェル状歯磨剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.03
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.01
l−メントール 0.01
ヒドロキシエチルセルロース 1
グリセリン 30
プロピレングリコール 5.0
サッカリンナトリウム 0.02
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例6(口腔塗布用ジェル剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.3
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 0.3
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
ニコチン酸トコフェロール(油溶性薬効成分) 0.2
l−メントール 0.2
ヒドロキシエチルセルロース 3
グリセリン 30
プロピレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.02
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例7(ジェル状歯磨剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.04
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.4
塩酸クロルヘキシジン(油溶性薬効成分) 0.05
ペパーミント油(l−メントール20%含有) 1
硝酸カリウム 5
フッ化ナトリウム 0.2
グリセリン 25
プロピレングリコール 3
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例8(マウススプレー剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.01
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.05
オレンジ油(油溶性香料) 0.2
l−メントール 0.05
エタノール 35
グリセリン 10
サッカリンナトリウム 0.1
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例9(マウススプレー剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.3
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.2
レモン油(油溶性香料) 0.05
l−メントール 0.15
エタノール 30
グリセリン 5
サッカリンナトリウム 0.1
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例10(口腔塗布用ジェル)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.02
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.04
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.01
l−メントール 0.02
パラオキシ安息香酸メチル 0.005
ソルビトール 30
グリセリン 30
ヒアルロン酸 0.1
ヒドロキシエチルセルロース 1
pH調整剤(リン酸ニ水素ナトリウム、
リン酸一水素ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
処方例11(口腔保湿剤)
成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.1
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.34
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
ニコチン酸トコフェロール(油溶性薬効成分) 0.05
スペアミント油 0.3
l−メントール 0.01
トリメチルグリシン 0.5
ソルビトール 20
グリセリン 10
サッカリンナトリウム 0.2
精製水 残部
合計 100

Claims (4)

  1. 下記の成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を含有することを特徴とする口腔用透明液状組成物。
    成分(a): 0.01質量%以上、0.3質量%以下の塩化セチルピリジニウム
    成分(b): 0.01質量%以上、0.4質量%以下の、エチレンオキシドの平均付加モル数が10以上、30以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
    成分(c): 0.01質量%以上、1.0質量%以下のメントール
    成分(d): 60質量%以上、99.8質量%以下の水系溶媒
  2. さらに、下記の成分(e)を含有する請求項1に記載の口腔用透明液状組成物。
    成分(e): 0.01質量%以上、0.3質量%以下で且つ成分(b)の配合量以下の、エチレンオキシドの平均付加モル数が40以上、100以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
  3. 成分(a)に対する成分(b)と成分(e)との合計の割合が0.6以上、4.4以下である請求項1または2に記載の口腔用透明液状組成物。
  4. さらに、下記の成分(f)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の口腔用透明液状組成物。
    成分(f): 油溶性薬効成分、メントール以外の油溶性香料、油溶性アルコール、油溶性防腐剤から選択される1種または2種以上の油溶性成分
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