JP5804307B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、歯牙表面への塩化セチルピリジニウムの吸着効果を促進するとともに、ステインの付着を抑制した口腔用組成物に関する。より詳細には、塩化セチルピリジニウム0.01〜0.5質量%および特定の水酸基を有する化合物を0.001〜0.3質量%含有する口腔用組成物、さらには、前記に加えてヘキサンジオールおよびオクタンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール化合物を含有する口腔用組成物に関する。
塩化セチルピリジニウムは口腔内細菌に対する殺菌活性が高いだけでなく、口腔粘膜や歯牙表面に吸着し、歯牙や口腔粘膜の表面への口腔内細菌の吸着を阻害し、口腔衛生状態を改善したり、歯垢形成を抑制したりすることが知られている。そのため、塩化セチルピリジニウムは歯周疾患、口臭の予防・改善を目的として多くの口腔用組成物に配合されている。
この塩化セチルピリジニウムのようなカチオン性殺菌剤の口腔内細菌に対する殺菌活性をさらに高めるために種々の方法が開示されている。特許文献1には、塩化セチルピリジニウムにN−長鎖アシル塩基性アミノ酸の低級アルキルエステルまたはその塩を組み合わせると塩化セチルピリジニウムの歯牙への吸着が促進されること、特許文献2には、N−長鎖アシル塩基性アミノ酸の低級アルキルエステルまたはその塩によるカチオン性殺菌剤の歯牙への吸着促進作用が、pH5.5〜6.5の領域において最も高まること、特許文献3には、カチオン性殺菌剤と非イオン性界面活性剤とを併用した口腔用組成物に対し、特定の化合物を配合すると、殺菌剤の失活が効果的に防止されること、特許文献4には、塩化セチルピリジニウムに特定のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を組合せると他の界面活性剤と比べて塩化セチルピリジニウムの歯牙への吸着を阻害しないこと、特許文献5には、カチオン性殺菌剤にカチオン性ポリマー及び有機酸やその塩を配合することによりカチオン性殺菌剤の口腔内での滞留性が高まり、歯垢形成を効果的に阻止することができること、特許文献6には、塩化セチルピリジニウムの歯牙への吸着性を高めるために、ポリビニルアルコールが用いることが開示されている。しかしながら、塩化セチルピリジニウムの十分な吸着量を得られないばかりか、塩化セチルピリジニウムの配合による歯牙表面へのステインの付着を抑制することができなかった。
特開平4−36231号公報 特開平9−286712号公報 特開昭60−255717号公報 特開平4−173728号公報 特開2000−34213号公報 特開2003−113059号公報
本発明は、口腔内細菌に対する殺菌活性を有する塩化セチルピリジニウムの歯牙表面への吸着効果を向上させるとともに、ステインの付着を抑制した口腔用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、塩化セチルピリジニウム0.01〜0.5質量%と特定の水酸基を有する化合物を0.001〜0.3質量%配合した場合、塩化セチルピリジニウムの歯牙表面への吸着効果が高まること、さらに、特定のジオール化合物を配合した場合、塩化セチルピリジニウムの歯牙表面への吸着効果が高まるとともにステインの付着を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、特に以下の項1〜5の口腔用組成物を提供するものである。
項1.
チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロールからなる群より選ばれる1種以上の水酸基を有する化合物を0.001〜0.3質量%および塩化セチルピリジニウムを0.01〜0.5質量%含有することを特徴とする口腔用組成物。
項2.
水酸基を有する化合物がチモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、ゲラニオールであることを特徴とする項1に記載の口腔用組成物。
項3.
水酸基を有する化合物の配合量が0.01〜0.1質量%であることを特徴とする項1または2の何れかに記載の口腔用組成物。
項4.
さらに、ヘキサンジオールおよびオクタンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール化合物を含有することを特徴とする項1〜3の何れかに記載の口腔用組成物。
項5.
ジオール化合物が、2−メチル−2,4−ペンタンジオールおよび2−エチル−1,3−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする項4に記載の口腔用組成物。
項6.
口腔用組成物が、液体または液状の口腔用組成物であることを特徴とする項1〜5の何れかに記載の口腔用組成物。
項7.
チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロールからなる群より選ばれる1種以上の水酸基を有する化合物、ヘキサンジオールおよびオクタンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール化合物、および、塩化セチルピリジニウムを含有する組成物であって、水酸基を有する化合物の含有量が0.001〜0.3質量%かつ塩化セチルピリジニウムの含有量が0.01〜0.5質量%である口腔用組成物によって、塩化セチルピリジニウムの吸着を促進すると共に、歯牙表面におけるステインの付着を抑制する方法。
本発明の口腔用組成物は、塩化セチルピリジニウムの活性をさらに高めて歯牙表面への吸着効果を促進することにより、う蝕や歯周病などを引き起こす口腔内細菌の歯牙表面への付着を阻害して歯垢の形成を効果的に抑制するとともに歯牙表面へのステインの付着を抑制することが可能となる。
本発明に係る口腔用組成物は、チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロールからなる群より選ばれる1種以上の水酸基を有する化合物および塩化セチルピリジニウムを含有し、さらにヘキサンジオールおよびオクタンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール化合物を含有する組成物であって、水酸基を有する化合物の含有量が0.001〜0.3質量%かつ塩化セチルピリジニウムの含有量が0.01〜0.3質量%であることを特徴とするものである。
本発明に用いる水酸基を有する化合物としては、チモール(2−イソプロピル−5−メチルフェノール)、イソプロピルメチルフェノール(4−イソプロピル−3−メチルフェノール)、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロールが挙げられ、このうち、チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、オイゲノール、ゲラニオールが好ましく、チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、ゲラニオールがより好ましく、チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオールが最も好ましい。これらは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。配合量としては、0.001〜0.3質量%であり、0.005〜0.1質量%が好ましく、0.01〜0.1がさらに好ましく、0.01〜0.05質量%が最も好ましい。0.3質量%を超えると口腔用組成物の香味が悪くなったり、所期の効果が期待できなくなる恐れがあるため好ましくなく、0.001質量%に満たない場合には所期の効果が得られない恐れがあるため好ましくない。
本発明に用いる塩化セチルピリジニウムは、第四級アンモニウム化合物に含まれるカチオン性殺菌剤であり、口腔用組成物分野において広く使用されているものである。かかる塩化セチルピリジニウムは、本発明の液体口腔用組成物の全量に対して0.01〜0.5質量%を配合することができ、好ましくは0.05〜0.3質量%、最も好ましくは0.05質量%を配合することができる。0.01質量%未満になると、塩化セチルピリジニウムの歯牙表面への吸着効果が低下してしまい、一方0.5質量%を超えると、使用時の苦味等の問題が生じてしまうため好ましくない。
本発明に用いるジオール化合物としては、ヘキサンジオールおよびオクタンジオールが挙げられる。より具体的には、ヘキサンジオールとしては、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールが挙げられ、オクタンジオールとしては、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,3−オクタンジオール、2,4−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を組合わせて配合する事ができる。このうち、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが好ましく、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールがより好ましく、2−メチル−2,4−ペンタンジオールが最も好ましい。これらは単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。配合量としては特に限定するものではないが、通常、0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜8質量%、最も好ましくは1〜5質量%である。
本発明の口腔用組成物は、特に限定するものではないが、練歯磨剤、液体歯磨剤、洗口剤、液剤、ジェル剤、パスタ剤、スプレー剤、ガム剤、軟ペースト剤(クリーム状製剤)、軟膏状製剤、等の形態(剤形)として用いることができる。このなかでも、軟ペースト剤(クリーム状製剤)ジェル剤、液体若しくは液状の形態が好ましく、洗口剤、液体歯磨剤、スプレー剤、液剤などの液体または液状の形態がより好ましく、洗口剤が最も好ましい。
本発明の口腔用組成物は、チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、ヘキサンジオール、オクタンジオールおよび塩化セチルピリジニウムの他に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、通常口腔用組成物に配合し得る成分をさらに配合してもよい。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン付加係数が4〜15、アルキル基の炭素数が10〜18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル系またはポリオキシエチレン付加係数が10〜18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、セバシン酸ジエチル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンラノリン、ポリエチレンステロール、ポリエチレンラノリンアルコール、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤、N−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤、N−ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
香味剤としては、例えばメントール、カルボン、サリチル酸メチル、バニリン、ベンジルサクシネート、メチルオイゲノール、アネトール、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、シネオール、エチルリナロール、ワニリン、タイム、ナツメグ、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、ティーツリー油、タバナ油、スターアニス油、フェンネル油、珪藻油、バジル油などが挙げられる。これら香料は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
研磨剤としては、例えば研磨性沈降シリカ、研磨性ゲルシリカなどの研磨性シリカ、リン酸水素カルシウム・二水和物および無水物、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、第3リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、不溶性メタリン酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル、パミス(軽石)、ベントナイト、合成樹脂などが挙げられる。これら粘結剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
粘結剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガム、ジェランガムなどの微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリンなどの天然高分子または天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子、増粘性シリカ、ビーガムなどの無機粘結剤、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性粘結剤が挙げられる。これら粘結剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
甘味剤としては、例えばサッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトールなどが挙げられる。これら甘味剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
湿潤剤としては、例えばグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
保存剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベンなどのパラベン類、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩などが挙げられる。これらの保存剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
またpH調整剤としては、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルクロン酸、フマル酸、グルタミン酸、アジピン酸、およびこれらの塩や、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの成分は単独または2種以上を組合せて本発明の口腔用組成物に含ませることができる。なお、本発明の口腔用組成物は、口腔内で使用できる範囲であれば、そのpHは特に制限されないが、通常pH3.0〜10.5、好ましくはpH5.5〜8.0である。
薬効成分としては、殺菌剤として塩化セチルピリジニウム以外にも例えば塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン性殺菌剤;ドデシルジアミノエチルグリシンなどの両性殺菌剤;イソプロピルメチルフェノール、トリクロサンなどの非イオン殺菌剤;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素;抗炎症剤としてグリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウムなどのグリチルリチン酸塩;血行促進剤としてニコチン酸または酢酸トコフェロールなど;抗プラスミン剤としてトラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸など;出血改善剤としてアスコルビン酸など;組織修復剤としてアラントインなど;再石灰化剤としてフッ化ナトリウムなどのフッ素化合物;その他、水溶性溶媒で抽出された植物抽出物、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、塩化亜鉛、ヒノキチオールなどが挙げられ、これらを単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
また、本発明の液体口腔用組成物には、N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルまたはその塩を配合することができる。塩基性アミノ酸部分は、特に、オルニチン、リジン、アルギニンがよく、これらは光学活性体またはラセミ体のいずれであってもよい。アシル基は、炭素数8〜22の飽和または不飽和の天然または合成脂肪酸残基であり、例えば、ラウロイル基、ミリスチル基、パルミトイル基、ステアロイル基などの単一脂肪酸残基が例示され、ヤシ油脂肪酸残基、牛油脂肪酸残基などの天然系の混合脂肪酸残基であってもよい。低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルが例示される。これらのN−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルの塩としては、塩酸塩、硫酸塩のような無機酸塩;グルタミン酸塩、ピログルタミン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、脂肪酸塩、酸性アミノ酸塩などの有機酸塩が挙げられる。特に、グルタミン酸塩、ピログルタミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩が好適である。N−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステルまたはその塩としては、具体的には、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル・ピロリドンカルボン酸塩(CAE)、N−ラウリル−L−アルギニンエチルエステル・ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
塩化セチルピリジニウムの歯牙表面への吸着評価方法
歯牙のエナメル質のモデルとして、ヒドロキシアパタイト粉末(BIO−RAD Lab. Hydroxyapatite Bio−Gel HTP Gel)(以下「HA」と略する。)50mgを 紫外線滅菌したヒト唾液2mlに37℃にて15時間浸漬して人工ペリクルをアパタイト表面に形成させ、その後、遠心処理(3000rpm、10分間)し、上清を除去した。次に、各溶液サンプル2mlに上記ヒドロキシアパタイトを37℃にて15分間浸漬し、遠心処理(3000rpm、10分間)を行なった後に、上清を除去した。さらに、蒸留水2mlを添加し攪拌した後に、遠心処理(3000rpm、10分間)を行い、上清を除去する操作を2回行なった。次に抽出液(10mMラウリル硫酸ナトリウム、40mMクエン酸緩衝pH3.0/アセトニトリル=25/75)を用いヒドロキシアパタイトに吸着しているCPCを抽出し、HPLCで定量してヒドロキシアパタイト50mgに滞留したCPC量を求めた。なお、塩化セチルピリジニウムの吸着量の単位は、μgである。

判断基準
◎:塩化セチルピリジニウムの吸着量が790以上
○:塩化セチルピリジニウムの吸着量が690以上790未満
×:塩化セチルピリジニウムの吸着量が690未満
ステインの付着量評価方法
アクリル板(10mm×30mm×5mm)を、0.3%牛血清アルブミンに2分間、蒸留水に30秒間、試験サンプルに2分間、蒸留水に30秒間の順に浸漬処理した。次いで、1000mlの沸騰水に10gの紅茶葉を加え、2分間抽出した紅茶抽出液に60分間浸漬処理した。処理後のアクリル板は、蒸留水に30秒間浸漬後、自然乾燥させ、アクリル板表面の色調を、395nmにおける吸光度を測定することにより測定した。さらに、紅茶抽出液の浸漬処理およびアクリル板の吸光度測定の操作を10回繰り返した。

判断基準
4:吸光度の測定値が0.60未満
3:吸光度の測定値が0.60以上0.64未満
2:吸光度の測定値が0.64以上0.67未満
1:吸光度の測定値が0.67以上
総合評価
総合評価は下記の基準に従って行なった。

判断基準
◎:塩化セチルピリジニウムの吸着量評価が ◎ かつ ステインの付着量評価が 4
○:塩化セチルピリジニウムの吸着量評価が ◎または○ かつ ステインの付着量評価が 3または2
×:塩化セチルピリジニウムの吸着量評価が × または ステインの付着量評価が 1
Figure 0005804307
Figure 0005804307
表1または2に示したとおり、チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロールを0.001〜0.3質量%と塩化セチルピリジニウムを配合した口腔用組成物は、塩化セチルピリジニウムのヒドロキシアパタイト表面への吸着を促進させること、さらにヘキサンジオールまたはオクタンジオールを配合した口腔用組成物はステインの付着を抑制することが明らかである。特に塩化セチルピリジニウム0.05質量%にチモール、ターピネオール、イソプロピルメチルフェノールを0.01〜0.3質量%配合した口腔用組成物は塩化セチルピリジニウムのヒドロキシアパタイト表面への吸着効果が顕著であった。
以下、本発明に係る口腔用組成物の実施例の処方を挙げるが、本発明は下記の処方に限定されるものではない。
処方例1 洗口剤

成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.05
オイゲノール 0.02
グリセリン 10.0
プロピレングリコール 3.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.4
香料 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル
・ピロリドンカルボン酸塩 0.05
サッカリンナトリウム 0.01
β−グリチルレチン酸 0.01
pH調整剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
処方例2 洗口剤

成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.05
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 3.0
ターピネオール 0.05
モノラウリン酸デカグリセリル 0.3
グリセリン 9.0
プロピレングリコール 3.0
香料 0.1
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤 適量
精製水 残部
合計 100.0
処方例3 液体歯磨剤

成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.05
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.0
チモール 0.02
モノステアリン酸
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.2
グリセリン 10.0
エタノール 3.0
香料 0.1
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤 適量
精製水 残部
合計 100.0
処方例4 液体歯磨剤

成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.2
ゲラニオール 0.01
グリセリン 11.0
プロピレングリコール 3.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.4
香料 0.1
酢酸トコフェロール 0.05
N−ココイル−L−アルギニンエチルエステル
・ピロリドンカルボン酸塩 0.05
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
処方例5 液状歯磨剤

成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.05
シトロネロール 0.2
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 2.0
ソルビトール 30.0
プロピレングリコール 3.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 3.0
香料 1.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
フッ化ナトリウム 0.2
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
pH調整剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
処方例6 歯磨剤

成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.05
ターピネオール 0.2
炭酸カルシウム 30.0
ソルビトール 25.0
グリセリン 10.0
増粘性シリカ 3.0
プロピレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
香料 1.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
サッカリンナトリウム 0.2
酸化チタン 0.3
フッ化ナトリウム 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
pH調整剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
処方例7 歯磨剤

成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.05
オイゲノール 0.2
イソプロピルメチルフェノール 0.05
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 3.0
ソルビトール 45.0
研磨性シリカ 18.0
増粘性シリカ 3.0
ポリエチレングリコール400 3.0
香料 1.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.4
サッカリンナトリウム 0.2
フッ化ナトリウム 0.2
pH調整剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
処方例8 マウススプレイ剤

成分 配合量
塩化セチルピリジニウム 0.05
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 3.0
リナロール 0.1
エタノール 30.0
グリセリン 10.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
香料 1.0
l−メントール 0.5
サッカリンナトリウム 0.1
pH調整剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0

Claims (4)

  1. チモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、オイゲノール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロールからなる群より選ばれる1種以上の水酸基を有する化合物を0.001〜0.3質量%、塩化セチルピリジニウムを0.01〜0.5質量%、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールおよび2−エチル−1,3−ヘキサンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール化合物を含有することを特徴とする口腔用組成物。
  2. 水酸基を有する化合物がチモール、イソプロピルメチルフェノール、ターピネオール、ゲラニオールであることを特徴とする請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. 水酸基を有する化合物の配合量が0.01〜0.1質量%であることを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の口腔用組成物。
  4. 口腔用組成物が、液体または液状の口腔用組成物であることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の口腔用組成物。
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