JPH0717699U - チェーンガイド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 チェーンカバーと別体のチェーンガイドをチ
ェーンカバーに容易かつ確実に仮組みでき、効率の良い
組付けができるチェーンガイド装置を供する。 【構成】 クランクケースの側面に取付けられるカバー
12に、該クランクケースの側面の駆動スプロケットに巻
掛けられるチェーンに沿ったチェーンガイド16を設ける
チェーンガイド装置において、前記チェーンガイド16は
前記カバー12とは別体で、後方を開口した略半円弧状の
弾性部材で構成し、前記カバー12の内面に突設された少
なくとも２個のリブ42，43に前記チェーンガイド12の開
口幅を弾性的に変化させた状態で同チェーンガイド16を
嵌合し弾性力で保持し前記カバー12の内面に沿って収納
したことを特徴とするチェーンガイド装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主として自動二輪車に適用されるチェーンガイド装置に関する。

【０００２】

【従来技術】

クランクケースの側面に駆動スプロケットを覆って被せられるカバーとドライ ブスプロケットに巻掛けられるチェーンに沿って設けられるチェーンガイドとを エンジンに共締めする構造のものは、組付け時にチェーンガイドをカバー内面に 仮組合みしておき、これをドライブスプロケット部に被せねじ等でチェーンガイ ドとともに共締めする。

【０００３】 従来チェーンカバーにチェーンガイドを仮組みする構造は、第１にチェーンガ イドの外周に突起部を設け、チェーンカバー側に凹部を形成してチェーンガイド の突起部を凹部に差込むようにしてチェーンカバーにチェーンガイドを仮組する 構造（実公平１−27512 号公報）、第２にチェーンカバー合わせ面の突起部にチ ェーンガイドに穿設した穴を合わせて仮組みする構造、第３に仮組みではなくチ ェーンガイドをチェーンカバーに溶着する構造等がある。

【０００４】

【解決しようとする課題】

しかし前記第１の構造のものは、チェーンガイドとチェーンカバーの双方に互 いに係合する突起部と凹部を形成しなければならず、チェーンガイドの構造が複 雑となる。

【０００５】 また第２の構造のものは、チェーンカバーの合わせ面の突起部にチェーンガイ ドの穴を合わせて仮組みするので、チェーンガイドを仮組みされた状態のチェー ンカバーをチェーンガイド側を下へ向けるとチェーンガイドは脱落してしまい、 組付けを効率良く行えない。 さらに第３の構造のものは、特別に溶着工程を必要とし、溶着してしまうとチ ェーンガイドとチェーンカバーを別々に交換することができない。

【０００６】 本考案は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、簡単な構造 でカバーにチェーンガイドを確実に仮組みのできるチェーンガイド装置を供する 点にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段および作用】

上記目的を達成するために、本考案は、クランクケースの側面に取付けられる カバーに、該クランクケースの側面の駆動スプロケットに巻掛けられるチェーン に沿ったチェーンガイドを設けるチェーンガイド装置において、前記チェーンガ イドは前記カバーとは別体で、後方を開口した略半円弧状の弾性部材で構成し、 前記カバーの内面に突設された少なくとも２個のリブに前記チェーンガイドの開 口幅を弾性的に変化させた状態で同チェーンガイドを嵌合し弾性力で保持し前記 カバーの内面に沿って収納したチェーンガイド装置とした。

【０００８】 カバー内面に少なくとも２個のリブを突設すればよく、一体成形可能であり、 チェーンガイドの開口幅を変化させた状態でカバー側のリブに嵌合し、チェーン ガイドの弾性復元力をリブで押えるようにしてチェーンガイドが保持され仮組み がなされるので、構造が簡単であるにもかかわらずカバーにチェーンガイドが確 実に仮組みされチェーンガイド側を下に向けてもチェーンガイドは脱落せず容易 に組付けができ作業効率を向上させることができる。

【０００９】

【実 施 例】

以下図１ないし図12に図示した本考案の一実施例について説明する。 図１は、本案装置を適用した自動二輪車１の側面図である。

【００１０】 前輪２と後輪３との間に車体フレーム４に支持されて、４サイクル２気筒エン ジン５が搭載されている。 後輪３は、基端部を枢軸６により車体フレーム４に枢支された上下に揺動自在 とされたリヤフォーク７の後端に軸支され、後輪３の回転軸にはドリブンスプロ ケット８が嵌着されている。

【００１１】 一方エンジン５のクランクケース９の左側方はクランクケースカバー10で覆わ れ、クランクケース９より後方にクランクケース９と一体に形成されたミッショ ンケース11の左側方はチェーンカバー12で覆われていて、チェーンカバー12はエ ンジン出力シャフト13に嵌着されたドライブスプロケット14を覆っており（図２ および図３参照）、同ドライブスプロケット14と前記ドリブンスプロケット８と の間にチェーン15が架渡されて動力が後輪３に伝達されるようになっている。

【００１２】 図２は、エンジン５のシリンダー部を省略した断面図であり、クランクシャフ ト20の左端にはジェネレータ21が設けられ、前記クランクケースカバー10はこの ジェネレータ21を覆っている。

【００１３】 一方クランクシャフト20の右端にはギア22が嵌着されて、ギア22はメインシャ フト23に回動自在に支持されたクラッチアウター25と一体のギア24に噛合してい る。 クラッチアウター25と係脱するクラッチインナー26はメインシャフト23と一体 に嵌着され、メインシャフト23の回転は各種ギア群27の組合わせにより出力シャ フト13に変速されて伝達される。

【００１４】 図２および図３に示すように出力シャフト13はミッションケース11の左側壁を 貫通して突出し、その突出部分にドライブスプロケット14が嵌着されている。 このドライブスプロケット14を覆うチェーンカバー12は後方が開口されていて ドライブスプロケット14に巻き掛けられるチェーン15が同開口より後方に延びて ドリブンスプロケット８に巻き掛けられている。

【００１５】 次にチェーンカバー12の形状を図４ないし図10に基づき説明する。 チェーンカバー12は、外側壁30の上端が内側へ屈曲して上壁31をなし、下端が 内側へ屈曲して下壁32をなし、外側壁30の前端縁33、後端縁34は若干内側に屈曲 しているがコ字状に開口している。

【００１６】 そして図４ないし図６に示すように外側壁30と上壁31との屈曲部のほぼ中央に 外側から半円弧状の凹部35を形成したのちねじ孔となる円筒ボス部36が内側へ膨 出するように形成されている。 同様に外側壁30と下壁32との屈曲部のほぼ中央に凹部37とねじ孔となる円筒ボ ス部38が形成されている。

【００１７】 一方チェーンカバー12の内側は図７および図８に示すように中央に外側壁30か ら円筒部39が突出しており、同円筒部39を中心に上方の円筒ボス部36と下方の円 筒ボス部38とを通って前方に概ね半円弧状に内壁40が外側壁30の内面から突出形 成されている。

【００１８】 内壁40の端面40a と円筒ボス部36と円筒ボス部38の端面とは同一面上に形成さ れて後記するチェーンガイド16に当接するようになっている。 そして内壁40の円弧中央の一部が外側へ若干突出しかつ内壁40の端面40a より もさらに内側へ突出してリブ41を形成している（図７、図８参照）。

【００１９】 また上側の円筒ボス部36に近接して上壁31に接しリブ42が突設され、図９に示 すようにリブ42の先端は内壁40の端面40a およびこれと同一面の円筒ボス部36の 端面より内側に延出している。 さらに内壁40の下方端部も図10に示すように内壁40の端面40a より内側へ突出 してリブ43を形成している。

【００２０】 したがって内壁40に沿って端面40a より内側へ突出して前方に１箇所リブ41が 突設され、上下に１箇所ずつリブ42，43が突設されて都合３個のリブが設けられ ている。 チェーンカバー12は上記のような単に突出した簡単な形状の３個のリブ41，42 ，43を備えたもので、一体成形できるものである。

【００２１】 一方チェーンガイド16は、図11および図12に図示するように鋼板を概ね半円弧 状に形成したものであり、その外側縁が上端近傍でさらに外側へ台形状に膨出し てねじ孔を穿設した膨出部50が形成され、下端近傍でやはり外側へ三角形状に膨 出してねじ孔を穿設した膨出部51が形成されている。 なおチェーンガイド16の外側縁中央の一部が僅かに膨出して端面が平らな平坦 部52が形成されている。

【００２２】 かかる形状のチェーンガイド16は、弾性を有し特に開口部の幅長を変化させる べく弾性変形し、後方に開口部を向け開口幅を適当に狭く変形すると、ドライブ スプロケット14に巻掛けられたチェーン15に沿って外側を覆う形状となる。

【００２３】 このようにチェーンガイド16に力を加え開口幅を狭く弾性変形した状態でチェ ーンガイド16のカバー側当接面をチェーンカバー12の内側から内壁40に沿わせて 端面40a に当接し、中央前方の平坦部52をリブ41に後方から当てがい（図６、図 ８参照・チェーンガイド16を仮想線で示す）、上方の台形状に膨出した膨出部50 の傾斜面をリブ42に対向させ、さらに下方の三角形状に膨出した膨出部51の下方 の傾斜面をリブ43に対向させて力を抜くと、チェーンガイド16は弾性復元力によ り開口幅を拡げ膨出部50がリブ42に当接し（図７、図９参照・チェーンガイド16 を仮想線で示す）、膨出部51がリブ43に当接して（図７、図10参照・チェーンガ イド16を仮想線で示す）、上下を押えられ開口幅を拡張しようとする弾性力によ りチェーンガイド16はチェーンカバー12の内側に保持される。

【００２４】 本実施例では、リブ42に膨出部50の傾斜面が当接しリブ43に膨出部51の傾斜面 を当接するので、チェーンガイド16の開口幅を拡張しようとする力はチェーンガ イド16を前方に押しやることになるがこれを前方のリブ41が押える形でチェーン ガイド16を所定位置に嵌合保持する。

【００２５】 このようにしてチェーンガイド16は、チェーンカバー12の内側に所定位置に所 定形状で簡単に仮組みされる。 チェーンガイド16の膨出部50，51はチェーンカバー12の円筒ボス部36，38の端 面に当接してねじ孔を合致させている。

【００２６】 仮組みされた状態ではたとえチェーンガイド16側を下方に向けたとしてもチェ ーンガイド16の弾性力で３個のリブ41，42，43に嵌合保持されたチェーンガイド 16は落下することはなく取付けを容易にし作業効率を上げることができる。

【００２７】 チェーンカバー12は、チェーンガイド16を仮組みした状態で、ミッションケー ス11の左側にドライブスプロケット14およびこれに巻掛けられたチェーン15の前 部を覆ってミッションケース11の左側に当てがうとチェーンガイド16のケース側 側面がミッションケース11の円弧状の突条11a （図２，図３参照）に当接し、上 下の膨出部50，51がミッションケース11の雌ねじボス部11b に当接し、チェーン ガイド16はミッションケース11とチェーンカバー12に挟まれ、図３に示すように チェーンカバー12の下方の円筒ボス部38とチェーンガイド16の膨出部51のねじ孔 にねじ60を貫入しミッションケース11の雌ねじボス部11b に螺合緊締し、チェー ンガイド16をチェーンカバー12とともに共締めする。

【００２８】 なお図示されないがチェーンカバー12の上方の円筒ボス部36もチェーンガイド 16の膨出部50とともにねじが貫入しミッションケース11の雌ねじボス部に共締め される。

【００２９】 以上の実施例では、チェーンガイド16の開口幅を狭くするように弾性変形して リブ41，42，43に内側から嵌合していたが、逆にチェーンカバー側のリブをチェ ーンガイドの内側にくるように所定位置に形成し、チェーンガイドの開口幅を拡 張するように弾性変形して前記リブに外側から嵌合するようにしてもよい。

【００３０】 すると円弧状をしたチェーンガイドの内側すなわちチェーン側にリブがくるこ とになるが、ねじでミッションケースに本締めした後は、チェーンガイドはミッ ションケースとチェーンカバーに確固として挟着されるので、チェーンによって リブが削られるようなことがあっても問題はない。 なおリブは最低２個あれば仮組み可能である。

【００３１】

【発明の効果】

本考案は、チェーンカバーにリブを一体成形することができ、同リブにチェー ンガイドを弾性力を利用して嵌合するので仮組みが簡単かつ確実で組付け作業が 容易にでき、作業効率を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る一実施例のチェーンガイド装置を
適用した自動二輪車の側面図である。

【図２】同自動二輪車に搭載されたエンジンの一部断面
図である。

【図３】同エンジンの要部断面図である。

【図４】チェーンカバーの外側面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ断面図である。

【図６】図４のVI矢視図である。

【図７】該チェーンカバーの裏面図である。

【図８】図７のVIII−VIII断面図である。

【図９】図７のIX−IX断面図である。

【図１０】図７のＸ矢視図である。

【図１１】チェーンガイドの側面図である。

【図１２】図11のＸII−ＸII断面図である。

【符号の説明】

１…自動二輪車、２…前輪、３…後輪、４…車体フレー
ム、５…エンジン、６…枢軸、７…リヤフォーク、８…
ドリブンスプロケット、９…クランクケース、10…クラ
ンクケースカバー、11…ミッションケース、12…チェー
ンカバー、13…出力シャフト、14…ドライブスプロケッ
ト、15…チェーン、16…チェーンガイド、20…クランク
シャフト、21…ジェネレータ、22…ギア、23…メインシ
ャフト、24…ギア、25…クラッチアウター、26…クラッ
チインナー、27…ギア群、30…外側壁、31…上壁、32…
下壁、33…前端縁、34…後端縁、35…凹部、36…円筒ボ
ス部、37…凹部、38…円筒ボス部、39…円筒部、40…内
壁、41，42，43…リブ、50，51…膨出部、52…平坦部、
60…ねじ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランクケースの側面に取付けられるカ
   バーに、該クランクケースの側面の駆動スプロケットに
   巻掛けられるチェーンに沿ったチェーンガイドを設ける
   チェーンガイド装置において、 前記チェーンガイドは前記カバーとは別体で、後方を開
   口した略半円弧状の弾性部材で構成し、 前記カバーの内面に突設された少なくとも２個のリブに
   前記チェーンガイドの開口幅を弾性的に変化させた状態
   で同チェーンガイドを嵌合し弾性力で保持し前記カバー
   の内面に沿って収納したことを特徴とするチェーンガイ
   ド装置。