JPH0691827A - 多層構造体 - Google Patents

多層構造体

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JPH0691827A
JPH0691827A JP5031899A JP3189993A JPH0691827A JP H0691827 A JPH0691827 A JP H0691827A JP 5031899 A JP5031899 A JP 5031899A JP 3189993 A JP3189993 A JP 3189993A JP H0691827 A JPH0691827 A JP H0691827A
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ethylene
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン含有量45〜60モル%、酢酸ビニ
ル成分のけん化度96モル%以上のエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体けん化物(A)とエチレン含有量25〜40
モル%、酢酸ビニル成分のけん化度96モル%以上のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)よりなり、
さらに差動走査熱量計による融解曲線が複数の吸熱ピー
クを有する樹脂組成物からなる層の少なくとも片面にポ
リプロピレン層を有し、かつポリプロピレン層に対する
(A)と(B)の樹脂組成物層の引張り張力比が5以下
である多層構造体。 【効果】 本発明の多層構造体はクラック、厚みムラが
少なく、またガスバリアー性がきわめて優れており、さ
らにガスバリアー性のバラツキも少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱延伸、とくに加熱
高速延伸操作時、ピンホール、クラック、局所的偏肉な
どのない、しかもガスバリアー性の優れたエチレン−酢
酸ビニル共重合体けん化物(以下EVOHと記す)樹脂
組成物層とポリプロピレン(以下PPと記す)層からな
る加熱延伸、とくに加熱高速延伸多層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】EVOHは今日、食品等の包装用フィル
ム、特に酸素に対するバリアー性が必要な食品、保香性
を必要とする他の製品などに対する使用を目的とする分
野において有効性が認められている。しかし、EVOH
単体フィルムはタフネスに欠け、また水、水蒸気に対す
る有効なバリアー性を示さない欠点があった。
【0003】これらの欠点を改善する為、ポリプロピレ
ンと、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体な
どで代表される各種熱シーラント層とを積層してなる多
層構造体の形で用いられることが多い。
【0004】ところでEVOH層とポリプロピレン層を
有する多層構造体(フィルム、シート、パリソンなど)
を容器などに二次加工する場合、特にEVOHの融点以
下で延伸成形を行なう場合、EVOH層に小さなボイ
ド、クラック、局所的偏肉などが多発し、その結果、成
形容器の酸素バリアー性が大巾に悪化する。また、外見
上も不良となり、食品等の容器として使用に耐えない状
況であった。
【0005】そこで従来から、加熱延伸時に発生するE
VOH層のピンホール、クラックなどを防止する目的で
EVOHに各種可塑剤の添加(特開昭53−8806
7、特開昭59−20345)、ポリアミド系樹脂のブ
レンド(特開昭52−141785、特開昭58−15
4755、特開昭58−36412)等が検討されては
いるが、いずれの場合も、十分満足すべきものではな
い。
【0006】さらに特開昭52−101182号公報に
はエチレン含有量50モル%以下で、けん化度96モル
%以上のEVOH95〜99.5重量部にエチレン含量
50〜90モル%で、けん化度50〜95モル%のEV
OH0.5〜5重量部を配合した混合物層の少なくとも
片面にポリオレフィンを積層させて、バリアー性、接着
性に優れた多層積層容器を得ることについて記載されて
いるが、ここに記載されているようなEVOHの混合物
層をPP層と積層し、加熱延伸しても微小なピンホー
ル、クラック、偏肉などを防ぐことはむずかしい。この
ことは後述する比較例からも明らかである。
【0007】それ故、EVOH層とポリプロピレン層の
積層物を加熱延伸、とくに加熱高速延伸したときにEV
OH層に微小ピンホール、クラック、偏肉などが生じな
い成形加工特性が良好なEVOHの開発が重要な課題の
一つである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】EVOHは前記した様
に優れた諸特性を持っている反面、ポリプロピレンとの
積層体を容器などに二次加工する場合、EVOH層にク
ラック、ピンホール、局所的偏肉などが発生し、ガスバ
リアー性が大巾に悪化する。また外見上も不良であり、
食品包装用容器としての使用に耐えない。そこで本発明
者らは、EVOHの優れたガスバリアー性をそこなうこ
となく、かつ積層体を容器などに二次加工する場合に生
じるEVOH層のクラック、ピンホール、局所的偏肉な
どの発生を防止し、高いガスバリアー性を有する多層構
造体を開発すべく鋭意検討を行なった結果、本発明を完
成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はエチレン含有量
45〜60モル%、酢酸ビニル成分のけん化度96モル
%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(A)
とエチレン含有量25〜40モル%、酢酸ビニル成分の
けん化度96モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合
体けん化物(B)よりなり、さらに差動走査熱量計によ
る融解曲線が複数の吸熱ピークを有する樹脂組成物層の
少なくとも片面にポリプロピレン層を有し、かつポリプ
ロピレン層に対する(A)と(B)の樹脂組成物層の引
張り張力比が5以下である多層構造体である。
【0010】EVOH層の片面または両面に接着性樹脂
を介してポリプロピレン(PP)層を有する各種シート
を作成し、再加熱、延伸操作によって、カップ、ボトル
に二次加工成形するに際し、容器の外見及びガスバリア
ー性の測定よりEVOH層の成形加工性及びガスバリア
ー性の優劣を判断する事が出来る。そこで本発明者ら
は、種々の可塑剤、ポリマー等をEVOHにブレンド
し、EVOHの成形加工性及びガスバリアー性の測定を
行なった。その結果、EVOHにポリアミド等を5〜3
0重量部ブレンドしたEVOH組成物は、グリコール系
あるいはアミド系可塑剤、またポリエチレン系、エチレ
ン−酢酸ビニル系及びこれらの無水マレイン酸変性物等
をブレンドしたEVOH組成物よりは、熱成形時、クラ
ック、ムラの発生が無い良好な成形物が得られる様に一
見思われた。しかしながら、容器のO2ガスバリアー性
を測定した所、原反のガスバリアー性より悪化している
事、さらに悪い事には容器により測定値のバラツキが大
きく、時として、バリアー性が1/10〜1/50に悪
化するものさえ認められる。特に加熱延伸速度が増した
場合、EVOH組成物層の厚みが増した場合、あるいは
延伸倍率(絞り比)が増した場合この傾向が顕著であ
る。それ故ガスバリアー性容器として信頼性に大きな問
題をなげかけている。
【0011】そこで発明者らは、さらに鋭意検討を行な
った結果、エチレン含有量が45モル%以上のEVOH
(A)と、エチレン含有量が40モル%以下のEVOH
(B)とを特定量配合し、さらに差動走査熱量計による
融解曲線が複数の吸熱ピークを有する樹脂組成物層の少
なくとも片面にPP層を積層することによって、延伸速
度によらず、外見上良好な延伸多層構造体が得られるだ
けでなく、ガスバリアー性の悪化及び測定値のバラツキ
の少ない延伸多層構造体が得られることを見い出した。
【0012】本発明に使用されるEVOH(A)は、エ
チレン含有量が45〜60モル%。好適には45〜55
モル%、酢酸ビニル成分のけん化度は96モル%以上の
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物である。エチレ
ン含有量45モル%未満では容器成形時、クラック、ピ
ンホールが発生しやすく、またガスバリアー性の測定値
もバラツクので好ましくない。一方エチレン含有量が6
0モル%を越えると、ガスバリアー性が低下しガスバリ
アー性容器としての性能が不足し、好ましくない。ま
た、酢酸ビニル成分のけん化度が96モル%未満のEV
OHはガスバリアー性が十分でないだけでなく、熱安定
性が悪く、製膜時ゲルが発生し、好ましくない。好まし
いけん化度は98モル%以上である。
【0013】一方、本発明に使用する、他のEVOH
(B)は、エチレン含有量25〜40モル%、酢酸ビニ
ル成分のけん化度96モル%以上、好ましくは98モル
%以上のEVOHであり、(B)のエチレン含有量が2
5モル%未満では成形性が不充分で、また40モル%を
こえるとガスバリアー性も不充分となる、また(B)の
けん化度が96モル%未満ではガスバリアー性が不充分
となる。EVOH(A)および(B)の樹脂組成物は、
差動走査熱量計(スキヤンニングスピード10℃/分)
による融解曲線が複数の吸熱ピークを有することが重要
である。
【0014】次にEVOH(A)とEVOH(B)との
混合比率(重量比)に関してはA/B=6/94〜70
/30である、混合比率がA/B<9/94の場合、容
器成形時、クラック、ムラ、ピンホールが発生しやす
く、また、ガスバリアー性のバラツキも大きく、好まし
くない。一方、A/B>70/30の場合、容器成形時
局部的偏肉が生じ外見上好ましくない。好適な範囲は7
/93≦A/B≦45/55である。
【0015】本発明において、EVOH(A)および
(B)は次の(I)〜(III)を満足することが好まし
い。 1≦E′(B)/E′(A) …(I) E′(A)≦109dyne/cm2 …(II) 0.05≦MI(A)/MI(B)≦20 …(III) E′(A)…Aの、加熱延伸成形温度−10℃での動的
粘弾性dyne/cm2 E′(B) Bの、加熱延伸成形温度での動的粘弾性d
yne/cm2 MI(A) Aの、190℃、2160g荷重下でのメ
ルトインデックスg/10分 MI(B) Bの、190℃、2160g荷重下でのメ
ルトインデックスg/10分
【0016】動的粘弾性はEVOHのエチレン含量、け
ん化度などによって大きく影響されるものであるが、
E′(A)>109dyne/cm2である場合、容器成
形時、クラック、ピンホールが発生しやすく、またガス
バリアー性の測定値がバラツクなど好ましくない。また
E′(B)は1013dyne/cm2以下であることが
好ましい。メルトインデックス比がMI(A)/MI
(B)>20あるいはMI(A)/MI(B)<0.0
5の場合にはEVOH(A)とEVOH(B)とのブレ
ンドにおいて分散粒子が微少化せず、不均一混合になる
為か、容器成形時、クラック、ピンホールが発生しやす
く、ガスバリアー性のバラツキも大となる。ここでMI
(A)およびMI(B)は0.1〜20g/10分、好
ましくは1〜15g/10分の範囲から選ばれる。また
成形温度での動的粘弾性E′がE′(B)/E′(A)
<1の場合、容器成形時、局部的偏肉が生じ、外見上好
ましくない。
【0017】前記(I)〜(III)の好適な範囲は次の
とおりである。 1≦E′(B)/E′(A) …(I′) E′(A)≦8×108dyne/cm2 …(II′) 0.06≦MI(A)/MI(B)≦18 …(III′)
【0018】EVOH(A)とEVOH(B)とのブレ
ンド方法に関しては特に限定されるものではないが、E
VOH(A)及び(B)をドライブレンドし、バンバリ
ーミキサー単軸又は二軸スクリュー押出機などでペレッ
ト化乾燥する方法等がある。ブレンドが不均一であった
り、またブレンド操作時にゲル、ブツの発生混入がある
と、加熱延伸成形時EVOHブレンド層の破れ、ムラが
発生する可能性が大きい為、押出機による加熱ブレンド
においては混練度の高い押出機を使用し、ホッパー口の
2シール、低温押出しが望ましい。
【0019】一方、これらを混合する際、他の添加剤
(各種樹脂、酸化防止剤、可塑剤、着色剤など)を本発
明の作用効果が阻害されない範囲内で使用する事は自由
である。特に樹脂の熱安定性、ゲル発生防止対策とし
て、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノー
ル系、ヒンダードアミン系熱安定剤を0.01〜1重量
%添加する事は好適である。
【0020】本発明のEVOH組成物は周知の溶融成形
法、圧縮成形法によりフィルム、シート、チューブ、ボ
トルなどの任意の成形品に成形する事が出来るが、前述
したとおり、該組成物をPP層に積層することにより、
顕著な特長が発揮されるので、以下の点について説明を
加える。
【0021】本発明で使用される、PPは、特に限定さ
れるものではなく、ホモ系ポリプロピレン、エチレンな
どとのブロック共重合体ポリプロピレン、ランダム共重
合体ポリプロピレン、さらには、上記樹脂のブレンド物
等があげられる。これらのPPに他の熱可塑性樹脂(た
とえばポリエチレンなどの他のポリオレフィン)を配合
することもできる。
【0022】多層構造体を得る方法としては、該EVO
H組成物とPPとを接着性樹脂を介して押出ラミ法、ド
ライラミ法、共押出ラミ法、共押出シート作成法(フィ
ードブロック又はマルチマニホールド法など)、共押出
パイプ作成法、共インジェクション法、各種溶液コート
法などにより積層体を得、次いでこれを真空圧空深絞り
成形機、二軸延伸ブロー機などによりPPの融点以下の
範囲で再加熱し、延伸操作を行なう方法(SPPF成
形)、PPの融点以上で行なうメルト成形あるいは、前
記積層体(シート又はフィルム)を二軸延伸機に供し、
加熱延伸する方法、さらにはEVOH組成物とPPとを
共射出二軸延伸する方法などがあげられる。
【0023】多層構造体の厚み構成に関しては、加熱延
伸成形温度においてPP層に対するEVOH層の引張り
張力比が5以下、好ましくは1以下である多層構造体に
おいて、良好な成形物が得られる。該張力比が5以上の
場合、該EVOH組成物においても、クラック、ムラ等
が生じやすくなり好ましくない。ここで多層構造体のP
P層の引張り張力とは、加熱延伸前の多層構造体を引張
り速度50mm/分、チャック間隔50mmで、加熱延
伸成形温度と同じ温度で、100%伸度時に測定した値
であり、またEVOH層の引張り張力とは(A)と
(B)のブレンドからなるEVOH単層を前記と同様の
条件下で測定した値である。またこれらの引張り張力
は、加熱延伸後の多層構造体に熱プレスをかけ、延伸を
解除して加熱延伸前の状態に戻し、その状態のものを、
前記とは同様の条件下で測定することも可能である。
【0024】また多層構造体の構成としては、EVOH
組成物層/接着性樹脂層/PP層、PP層/接着性樹脂
層/EVOH組成物層/接着性樹脂層/PP層が代表的
なものとしてあげられる。ここで、接着性樹脂とはEV
OHの融点以下で延伸成形可能な、しかもEVOH組成
物層とPP層とを接着しうるものであれば、とくに制限
はないが、好適にはエチレン性不飽和カルボン酸または
その無水物(たとえば無水マレイン酸)を付加、または
グラフト化した、ポリオレフィン(たとえばポリエチレ
ン、ポリプロピレン)、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エステル(たとえばメチルエ
ステル。エチルエステル)共重合体などがあげられる。
【0025】本発明において、加熱延伸多層構造体とは
前記したとおり加熱延伸する事により得られるカップ、
ボトルなどの容器あるいはシート又はフィルム状物であ
り、また加熱とは、該多層構造体を加熱延伸に必要な温
度に所定の時間放置し、該多層構造体が熱的にほぼ均一
になる様に操作する方法であれば良く、操業性を考慮し
て、種々のヒーターで加熱、均一化する方法が好まし
い。加熱温度としては110〜230℃、好ましくは1
20〜210℃の範囲から選ばれる。加熱操作は延伸と
同時に行なってもよいし、また延伸前に行なっても良
い。また延伸とは熱的に均一に加熱された多層構造体を
チャック、プラグ、真空圧空、ブローなどにより容器、
カップ、シートまたはフィルム状に均一に成形する操作
を意味し、一軸延伸、二軸延伸(同時又は逐次)のいず
れも使用できる。また延伸倍率、延伸速度は目的に応じ
て適宜選択できるが、本発明において高速延伸とは、延
伸速度{延伸面積倍率(%)/分}が5×105%/分
以上の高速度で容器又はフィルム状に均一に成形する方
法を意味する。このようにして得られる成形品は必ずし
も配向している必要はない。
【0026】一方延伸倍率に関しては、面積比で3倍以
上であることが本発明においては顕著な効果が期待でき
る。好適な延伸倍率は3〜60倍である。延伸倍率の上
限は約70倍であり、70倍以上ではPPの延伸が困難
となり、多層構成物においても良好なものは得られにく
い。
【0027】また、本発明において、加熱延伸するにあ
たり多層構造体の一構成物であるEVOH組成物層の含
水率については、特に限定するものではないが、0.0
1〜10%以内、さらには0.01〜5%である事が好
適である。容器成形時発生するトリム、不良容器等のス
クラップの回収方法に関しては、特に限定するものでは
ない。該スクラップは粉砕し、吸湿している場合は乾燥
した後、原料PP樹脂にドライブレンドする方法、粉砕
スクラップをペレット化した後、原料PP樹脂にドライ
ブレンドする方法、粉砕スクラップと原料PP樹脂とを
ブレンドペレット化する方法等がある。原料PPとスク
ラップとのブレンド比率に関しても、スクラップ比率が
高いほど延伸成形時、偏肉、ムラ、クラック、白化等の
異常が生じやすくなる為、成形条件により設定される
が、通常2〜40%程度の比率でブレンドされる。この
時、分散性、熱安定性を向上させ容器成形時の上記異常
をおさえる為、無水マレイン酸変性ポリオレフィン類、
金属セッケン、ハイドロタルサイト系化合物等を複数ブ
レンドする事が好ましい場合がある。
【0028】このようにして得られた本発明の加熱延
伸、とくに高速加熱延伸多層構造体は、EVOH組成物
層にピンホール、クラック、偏肉がみられないので、ガ
スバリアー性がきわめて良く、バラツキもほとんどない
非常に良好な食器包装用容器あるいは保香性を要求され
る容器などに有効である。以下実施例により本発明をさ
らに説明するが、本発明はこれによってなんら限定を受
けるものではない。
【0029】
【実施例】
実施例1 エチレン含有量50モル%、けん化度99.4モル%メ
ルトインデックス(MI)(190℃)16g/10分
のEVOH(A)のバイブロン(東洋ボールドウイン製
測定振動数110Hz)による動的粘弾性(E′150
℃)108dyne/cm2以下であった。一方、エチレ
ン含有量32モル%、けん化度99.6モル%、メルト
インデックス(MI190℃)1.5g/10分のEV
OH(B)の動的粘弾性(E′140℃)は3×109
dyne/cm2であった。EVOH(A)とEVOH
(B)とをA/B=20/80重量比で配合し、二軸ス
クリュータイプベント式40φ押出機にてN2下、20
0℃で押出しペレット化を行なった。得られたペレット
を80℃8時間乾燥した。このペレットを用いてフィー
ドブロック型3種5層共押出装置にかけシートを作成し
た。シートの構成は両最外層ポリプロピレン(三菱ノー
ブレンMA−6)が800μまたは接着性樹脂層(三菱
油化モデックP−300F無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン)が各50μ、さらに最内層(中央)は上記EV
OH層50μである。なおこのペレットをDSC(スキ
ヤンニングスピード10℃/分)で測定したところ、吸
熱ピークが2箇所(150℃、183℃)に認められ
た。得られたシートを150℃で引張り張力(引張り速
度50mm/分、チャック間隔50mm)を測定した
所、100%伸度時のポリプロピレン層の張力は1.0
kg/15mm巾であった。またEVOH単層(50
μ)の同条件下での張力は、0.2kg/15mm巾で
あった。すなわち、EVOH層/ポリプロピレン層の引
張り張力比は0.2であった。該シートを真空圧空成形
機にかけ(延伸速度9×105%/分、絞り比1延伸面
積倍率7倍)、150℃で熱成形(SPPF成形)を行
なった。得られた成形物は、透明性、外見が良好であ
り、クラック、偏肉はなかった。この容器の20℃・6
5%RHでのガスバリアー性を、モコン社製10/50
型を用いて、測定した所、酸素透過量0.7cc・20
μ/m2・24hr・atmと非常に良好なガスバリア
ー性を示すだけでなく、10サンプル測定した時の測定
値のバラツキ(R=最大値−最小値)は0.1cc・2
0μ/m2・24hr・atmと非常に小さく、良好な
バリアー容器であった。
【0030】比較例1 実施例1においてEVOH(A)/EVOH(B)のブ
レンド比率を4/94重量比に変更し実施例1と同様に
行なった。その結果、クラック、偏肉が多く、またガス
バリアー性も、5cc・20μ/m2・24hr・at
mと大きく使用に耐えなかった。
【0031】比較例2 実施例1においてEVOH(A)とEVOH(B)との
ブレンド(20/80)物の平均エチレン含有量(36
モル%)と同一エチレン含有量である、単一EVOH
(DSC単一ピーク、MI190℃ 4.0g/10
分)を用いて、実施例1と同様に行なった。その結果ク
ラック偏肉が多く使用に耐えない。
【0032】実施例2 エチレン含有量47モル%、けん化度99.4モル%、
メルトインデックス(MI190℃)10g/10分の
EVOH(A)の動的粘弾性(E′190℃)は108
dyne/cm2以下であった。一方エチレン含有量2
7モル%、けん化度99.6モル%、メルトインデック
ス(MI210℃)2.8g/10分のEVOH(B)
の動的粘弾性(E′180℃)は109dyne/cm2
であった。EVOH(A)とEVOH(B)とをA/B
=10/80重量比で配合し、実施例1と同様ペレット
化及びシートの作成を行なった。なおこのペレットをD
SC(スキヤニングスピード10℃/分)で測定したと
ころ、吸熱ピークが2箇所(198℃、175℃)に認
められた。得られたシートの190℃での引張り張力を
測定した所、100%伸度時のポリプロピレン層の張力
は0.2kg/15mm巾、またEVOH単層(50
μ)の同条件での張力は0.1kg/15mm巾以下で
あった。すなわち、EVOH層/ポリプロピレン層の引
張り張力比は0.5であった。該シートを真空圧空成形
機(延伸速度6×108%分、絞り比1.8、延伸面積
倍率12倍)で190℃熱成形を行なった。得られた成
形物はクラック、ムラ、偏肉はなく、外見上、良好であ
った。また、この容器のガスバリアー性は0.4cc・
20μ/m2・24hr・atm(20℃65%RH)
と良好であり、10サンプル測定した時の測定値のバラ
ツキ(R)は0.1と非常に小さく良好なガスバリアー
容器であった。
【0033】比較例3 実施例2においてEVOH(A)をエチレン含有量47
モル%、けん化度99.4モル%、メルトインデックス
(MI190℃)60g/10分のEVOHに変更し、
実施例2と同様に行なった。その結果成形容器に多数の
小さな偏肉が認められ、外見上使用に耐えなかった。
【0034】比較例4 実施例1においてEVOH(B)をエチレン含有量42
モル%、けん化度99.6モル%、メルトインデックス
(190℃)20g/10分のEVOH(B)にかえ
て、実施例1と同様に行なった。この時のEVOH
(A)とEVOH(B)とのブレンドペレットのDSC
を測定した所、吸熱ピークは見掛上単一のピークであっ
た。その結果、成形容器には微少なムラ(偏肉)が認め
られ、また、ガスバリアー性測定値のバラツキ(R)も
1.2cc・20μ/m2・day・atmと大きく使
用に耐えなかった。
【0035】実施例3 実施例1において熱成形後のトリス及び不良容器を粉砕
し、ポリプロピレン(MA−6)に10重量%ブレンド
した、回収品含有ポリプロピレンを用いて、実施例1と
同様に実施した。その結果得られた成形物の外見は良好
であり、ガスバリアー性(0.7cc・20μ/m2
24hr・atm)及びバラツキ(R)は0.1cc・
20μ/m2・29hr・atmと非常に小さく、良好
なバリアー容器であった。
【0036】比較例5 実施例1においてEVOH(A)をエチレン含有量52
モル%、けん化度70モル%、メルトインデックス(M
I190℃)15g/10分、のEVOHに変更し、か
つ、EVOH(A)/EVOH(B)の混合比を4/9
6に変更し、実施例1と同様に行なった。得られた成形
物は、EVOH層に多数のブツが認められ、また、ブツ
のまわりのEVOH層には微少なさけ目が認められた。
その結果、ガスバリアー性も23cc・20μ/m2
24hr・atmと高く使用に耐えなかった。
【0037】
【発明の効果】本発明の多層構造体はクラック、厚みム
ラが少なく、またガスバリアー性がきわめて優れてお
り、さらにガスバリアー性のバラツキも少ない。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量45〜60モル%、酢酸
    ビニル成分のけん化度96モル%以上のエチレン−酢酸
    ビニル共重合体けん化物(A)とエチレン含有量25〜
    40モル%、酢酸ビニル成分のけん化度96モル%以上
    のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)よりな
    り、さらに差動走査熱量計による融解曲線が複数の吸熱
    ピークを有する樹脂組成物からなる層の少なくとも片面
    にポリプロピレン層を有し、かつポリプロピレン層に対
    する(A)と(B)の樹脂組成物層の引張り張力比が5
    以下である多層構造体。
  2. 【請求項2】 (A)と(B)が下記(I)〜(III)
    を満足する請求項1記載の多層構造体。 1≦E′(B)/E′(A) …(I) E′(A)≦109dyne/cm2 …(II) 0.05≦MI(A)/MI(B)≦20 …(III) E′(A)…Aの、加熱延伸成形温度−10℃での動的
    粘弾性dyne/cm2 E′(B)…Bの加熱延伸成形温度での動的粘弾性dy
    ne/cm2 MI(A)…Aの、190℃、2160g荷重下でのメ
    ルトインデックスg/10分 MI(B)…Bの190℃、2160g荷重下でのメル
    トインデックスg/10分
  3. 【請求項3】 次の(I′)〜(III′)を満足する特
    許請求の範囲第2項記載の多層構造体。 10≦E′(B)/E′(A) …(I′) E′(A)≦8×108dyne/cm2 …(II′) 0.06≦MI(A)/MI(B)≦18 …(III′)
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