JP2018154343A - 熱成形容器 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる多層容器は、一般にダイレクトブロー成形や、射出成形等の溶融成形、或いは真空成形又は圧空成形等の熱成形によって成形されている(特許文献1等)。
熱成形による多層容器は、生産性に優れていると共に、透明性及び機械的強度に優れているという利点がある一方、熱成形では、融点以上の温度まで再加熱して容器を成形するため、特に高さ(L)と口径(D)の比(L/D)の大きい深絞り容器を効率よく成形することは困難であった。
1.前記エチレン−ビニルアルコール共重合から成る層が、エチレン含有量の異なるエチレン−ビニルアルコール共重合体を2種以上ブレンドして成るブレンド物から成り、前記結晶融解ピーク温度が少なくとも180℃以上と170℃以下に有すること、
2.前記エチレン−ビニルアルコール共重合体から成る層が、エチレン含有量が20〜35mol%のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、エチレン含有量が36〜50mol%のエチレン−ビニルアルコール共重合体とを、90:10〜50:50の配合比でブレンドして成ること、
3.前記プロピレン系重合体に結晶核剤が含有されていること、
4.層構成が、外側から順に、前記プロピレン系重合体から成る層/リグラインド層/接着樹脂層/エチレンビニルアルコール共重合体中間層/酸素吸収層/エチレン−ビニルアルコール共重合体中間層/接着樹脂層/吸着剤含有層/前記プロピレン系重合体から成る内層、であること、
5.前記プロピレン系重合体が、メルトフローレートが2.0g/10min以下のホモポリプロピレンを主成分とすること、
が好適である。
また用いるエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、単に「EVOH」ということがある)が2つ以上の結晶融解ピーク温度を有することにより、ガスバリア性を損なうことなく、EVOHの延伸特性を改善することが可能になり、その結果、EVOHから成る中間層の切れや厚みムラ等の発生を有効に防止することが可能になり、EVOHが本来有するガスバリア性を発揮することが可能になる。
本発明の熱成形容器においては、圧空成形で製造することにより、透明性に優れていると共に、均一な肉厚分布を有し、EVOHから成る層の切れや厚みムラがなくEVOHが有する優れたガスバリア性が十分に発現され、更には優れた機械的強度(耐衝撃性)をも具備した容器であることがわかる。
更に本発明の熱成形容器は、EVOHから成る層の延伸性に優れていることから、L/D((D)口径、(L)高さ)が0.1〜5の範囲にあり、高度に延伸されている容器であっても、延伸むらなく成形性よく成形され、しかもEVOH層が連続して均一な厚みに形成されており、優れた外観特性やガスバリア性を有している。
本発明において、プロピレン系重合体はアイソタクティックインデックスが93%以上、特に96〜99%の高結晶性を有するホモポリプロピレンを主成分、すなわちプロピレン系重合体中の90重量%以上、特に100重量%の量で含有していることが好適である。
尚、アイソタクティックインデックスとは、同位体炭素による核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック分率であり、本発明においては、プロピレン系重合体を構成するホモポリプロピレンのアイソタクティックインデックスが上記範囲にあることにより、熱成形時のドローダウンを有効に防止して成形性が向上され、肉厚分布が均一且つ透明性が高く、外観特性・耐衝撃性に優れた容器を提供することが可能になる。
結晶核剤は、プロピレン系重合体に相溶性を示さないものであり、これに限定されないが、安息香酸、マロン酸、コハク酸等の有機カルボン酸の金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩や、有機リン酸エステル塩等の有機系核剤や、タルク、ミョウバン、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム等の無機系核剤等、従来公知の結晶核剤を例示できるが、特に有機リン酸塩を好適に使用することができる。
結晶核剤は、プロピレン系重合体100重量部に対して、0.001〜5重量部、特に0.01〜0.5重量部、0.1〜0.5重量部の量で添加されていることが望ましい。上記範囲よりも結晶核剤の量が少ないと、結晶化度を充分に高めることができず、その一方上記範囲よりも多いと成形性が損なわれるおそれがある。
本発明において、エチレン−ビニルアルコール共重合体から成る層は、2つ以上の結晶融解ピーク温度を有しており、これにより上述したように、優れたガスバリア性を損なうことなく、延伸特性を改善することが可能になる。
このようなEVOHから成る層は、結晶融解ピーク温度が異なる2種以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体をブレンドして成るブレンド物から形成することが好適であり、特に、前記結晶融解ピーク温度が180℃以上であるEVOHと、前記結晶融解ピーク温度が170℃以下であるEVOHの少なくとも2種をブレンドすることが望ましい。
結晶融解ピーク温度が180℃以上であるEVOHとしては、エチレン含有量が20〜35mol%、特に25〜30mol%の範囲にあるEVOHを例示することができ、一方結晶融解ピーク温度が170℃以下であるEVOHとしては、エチレン含有量が36〜50mol%、特に40〜45mol%の範囲にあるEVOHを例示することができる。
一般にEVOHにおいては、エチレン含有量が高いほど、延伸特性に優れる一方ガスバリア性が低下し、エチレン含有量が低いほど、延伸特性に劣るがガスバリア性が向上する。本発明においては、エチレン含有量が上記範囲にある少なくとも2種のEVOHをブレンドすることによって、ガスバリア性に優れたEVOHから成る層を均一な厚みを有し且つ切れのない連続した層として形成できることから、EVOHが本来有する優れたガスバリア性が損なわれることなく、確実に発揮される。
このエチレン−ビニルアルコール共重合体は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、[フェノール/水]の重量比が85/15の混合溶媒中、30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の固有粘度を有することが望ましい。
本発明の多層容器には、上述したプロピレン系重合体から成る層と、エチレン−ビニルアルコール共重合体から成る層とを必須の構成とするものであり、この2層から成る熱成形容器であってもよいが、好適には上述したプロピレン系重合体から成る内層及び外層、更にEVOHから成るガスバリア層を中間層とする基本構成を有し、更に酸素吸収性層、接着剤層、リグラインド層、吸着剤含有層等、従来公知の他の層を含有することが好ましい。これに限定されないが、以下の層構成を例示することができる。
図1は、本発明の熱成形容器の多層構造の一例を示す図であり、この例では、アイソタクティックインデックスが93%以上のホモポリプロピレンを主成分とするプロピレン系重合体から成る外層1及び内層2と共に、中間層として2つ以上の結晶融解熱ピーク温度を有するEVOHから成るガスバリア層が形成されており、外層側から順に、外層1/外層側接着剤層3a/ガスバリア層4/内層側接着剤層3b/内層2の層構成を有している。
更に、図3に示す態様においては、図2に示す態様において、外層1と外層側接着層3aの間に容器成形の際に生じるリグラインド樹脂から成るリグラインド層6を形成した態様であり、外層1/リグラインド層6/外層側接着層3a/ガスバリア層4a/酸素吸収性層5/ガスバリア層4b/内層側接着層3b/内層2から成っている。
更にまた図4は、図3に示した態様において、内層側接着層3bと内層2の間にゼオライト等の吸着剤を含有する吸着剤含有層7を形成した態様であり、外層1/リグラインド層6/外層側接着剤層3a/ガスバリア層4a/酸素吸収性層5/ガスバリア層4b/内層側接着層3b/吸着剤含有層7/内層2から成り、内層側にゼオライト等の吸着剤を含有する吸着剤含有層7を形成することにより、内容物のフレーバー性を向上することもできる。
また本発明の熟成形容器において形成される他の層の厚みは、これに限定されないが、酸素吸収性層は、10〜60μm、特に20〜40μmの範囲にあることが好ましい。またリグラインド層を設ける場合には、50〜350μmの範囲で形成することが好ましい。更に吸着剤含有層を設ける場合には、10〜100μmの範囲で形成することが好ましい。これにより、耐衝撃性や成形性を損なうことなく、ガスバリア性及び酸素吸収性を充分に発揮することが可能になると共に、フレーバー性をも改善することができる。
本発明の熱成形容器において、ガスバリア層は、上述したエチレン−ビニルアルコール共重合体から成る層が必須であるが、他のガスバリア性樹脂から成る層を更に形成することを除外するものではない。
エチレン−ビニルアルコール共重合体以外のガスバリア性樹脂の例としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/6・6共重合体、メタキシリレンジアジパミド(MXD6)、ナイロン6・10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリアミドを挙げることができる。これらのポリアミドの中でも、炭素数100個当りのアミド基の数が5〜50個、特に6〜20個の範囲にあるものが好適である。
また、酸素吸収性樹脂組成物のマトリックス樹脂として、ポリアミドを使用する場合、末端アミノ基濃度が40eq/106g以上のポリアミド樹脂が、酸素吸収時の酸化劣化がないため望ましい。
本発明の熱成形容器において、 酸素吸収性層は、上述したプロピレン系重合体、ガスバリア性樹脂、或いはリグラインド樹脂等をマトリックス樹脂として、少なくとも酸化性有機成分及び遷移金属触媒(酸化触媒)を上記マトリックス樹脂に含有させて成る樹脂組成物から成ることができる。
(i)酸化性有機成分
酸化性有機成分としては、エチレン系不飽和基含有重合体を挙げることができる。この重合体は、炭素−炭素二重結合を有しており、この二重結合部分や特に二重結合部に隣接したαメチレンが酸素により容易に酸化され、これにより酸素の捕捉が行われる。
このようなエチレン系不飽和基含有重合体は、例えば、ポリエンを単量体として誘導され、ポリエンの単独重合体、或いは上記ポリエンを2種以上組み合わせ若しくは他の単量体と組み合わせてのランダム共重合体、ブロック共重合体等を酸化性重合体として用いることができる。
ポリエンから誘導される重合体の中でも、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等が好適であるが、勿論、これらに限定されない。
尚、成形性等の見地から、上述した酸化性重合体やその共重合体の40℃での粘度は1〜200Pa・sの範囲にあることが好適である。
これらのポリエン系重合体は、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、水酸基が導入された酸変性ポリエン重合体であることが好ましい。
これらの酸化性重合体、或いはその共重合体からなる酸化性有機成分は、酸素吸収性樹脂中で0.01〜10重量%の割合で含有されることが好ましい。
遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好適であるが、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等であってもよい。
遷移金属触媒は、一般に、上記遷移金属の低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で使用される。無機塩としては、塩化物等のハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩等の窒素のオキシ酸塩、リン酸塩等のリンオキシ塩、ケイ酸塩等を挙げることができる。有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等を挙げることができる。また、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。
遷移金属系触媒は酸素吸収性樹脂中で、遷移金属原子の濃度(重量濃度基準)として100〜3000ppmの範囲であることが好ましい。
本発明の熱成形容器においては、各層間に必要により接着層を形成することができる。
接着層に用いる接着性樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル(−CO−)基を主鎖又は側鎖に、1〜700ミリイクイバレント(meq)/100g樹脂、特に10〜500(meq)/100g樹脂の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。
接着性樹脂の適当な例は、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体と無水マレイン酸変性オレフィン樹脂とのブレンド物から形成されるもの等を挙げることができ、特に無水マレイン酸変性ポリプロピレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを好適に使用できる。接着樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできるし、ポリオレフィン系の樹脂に配合しても良い。
本発明の熱成形容器において、必要により形成される吸着剤含有層は、酸素吸収性層よりも内層側に位置することが好ましく、これにより酸素吸収反応により発生する副生成物の容器内への移行を抑制し、内容物のフレーバー性を向上することができる。
吸着剤は、プロピレン系重合体やリグラインド樹脂に配合することが好適である。
吸着剤としては、従来公知の吸着剤を使用することができるが、ケイ酸塩を主成分とする多孔性無機物、例えばゼオライトや、モンモリロナイト等のスメクタイト粘土鉱物を酸処理して得られる活性白土の粉末が好適であり、特にNa型のZSM5ゼオライトであるハイシリカゼオライト(シリカ/アルミナ比が100以上)が、プラスチックに特有のポリ臭を捕捉し且つ上記の酸化分解生成物を捕捉する機能に優れており好適である。
このような吸着剤は、一般に、吸着剤含有層中に0.5〜10重量%の量で配合することが好適である。
本発明の熟成形容器は、従来公知の真空成形又は圧空成形、更にこれらにプラグアシストした熱成形法によって製造することができ、特にプロピレン系重合体の融点以下に加熱した圧空成形によって製造されていることが好ましい。
すなわち、押出コート法や、サンドイッチラミネーション、或いは予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって多層フィルム或いは多層シート、或いは多層前駆体を製造し、この多層シート等を上記熱成形法によって、カップ、トレイ等の形状の多層容器に成形することができる。
圧空成形等に用いられる多層シートの厚みは、250〜4000μm、特に800〜2000μmの範囲にあることが望ましく、かかる多層シートから、L/D(口径(D)及び高さ(L))が0.1〜5、特に0.2〜1.5の範囲にある容器に成形することが特に好ましい。
圧空成形容器であることの判断基準としては、レトルト処理前後の収縮率、偏光照射による観察、X線回折などの方法が用いられる。圧空成形によって製造されることにより、延伸配向がかかるため、透明性及び機械的強度に優れた容器が得られる。
尚、実施例ならびに比較例における各種の測定および評価は以下の方法で行った。
プロピレン系重合体のアイソタクティックインデックスは、同位体炭素による核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)測定から、ペンタッド単位のアイソタクティック分率として算出した。13C−NMR測定は核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)を用い、135℃に加熱しながら行った。得られたチャートから、21.82、21.57、21.31、21.03、20.82、20.64、20.29、20.17、19.88ppmの各ピーク高さの合計に対する21.82ppmのピーク高さの比率を算出し、アイソタクティックインデックスを求めた。
(2)メルトフローレート(MFR)
各材料のMFRはメルトインデックサ(株式会社東洋精機製作所製)を用い、JIS K7210に準拠して測定した。測定温度は210℃および230℃とし、2160gの荷重をかけて測定を行った。
(3)成形性(耐ドローダウン性、容器肉厚分布)
圧空成形した際に、ドローダウンが小さく容器の肉厚分布を確保出来た状態を「○」、ドローダウンが大きく容器の肉厚分布を確保出来なかった、もしくはバーストしてしまった状態を「×」と評価した。
(4)外観
作製した容器の外観について、EVOHの延伸ムラの有無を目視で判断した。容器の特に胴部側面に延伸ムラが発生していない状態を「○」、発生している状態を「×」と評価した。
(5)酸素バリア性
作製した容器に純水1gを充填し、窒素置換したグローブボックス内にてアルミ箔積層フィルムで密封した後、121℃30分の殺菌条件でシャワー式等圧レトルト処理を行った。レトルト処理後、30℃80%RH環境下で保存し、2週間後の容器内酸素濃度をガスクロマトグラフで測定した。このときの容器内酸素濃度が1%以上であると内容品の品質低下が懸念される傾向にあることから、1%未満の容器のバリア性を「○」、1%以上の容器のバリア性を「×」と評価した。
プロピレン系重合体A : アイソタクティックインデックス98.3%であり、MFR=0.5g/10min(230℃、荷重2160g)
プロピレン系重合体B : アイソタクティックインデックス98.2%であり、MFR=3.5g/10min(230℃、荷重2160g)
プロピレン系重合体C : アイソタクティックインデックス92.4%であり、MFR=0.5g/10min(230℃、荷重2160g)
EVOH(1) : エチレン含有量が27mol%、融点が191℃であり、MFR=4.0g/10min(210℃、荷重2160g)
EVOH(2) : エチレン含有量が44mol%、融点が165℃であり、MFR=3.3g/10min(210℃、荷重2160g)
AD : マレイン酸変性樹脂であり、MFR=2.0g/10min(230℃、荷重2160g)
共押出多層シート成形機を用いて、プロピレン系重合体Aから成る層/接着樹脂(AD)層/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)層/AD層/プロピレン系重合体Aから成る層の構成の多層シートを作製した。プロピレン系重合体Aから成る層は、プロピレン系重合体A100重量部に対して、0.2重量部の結晶核剤(有機リン酸塩)を添加した。EVOH層はEVOH(1)とEVOH(2)を80:20の配合比でブレンドした。続いて、この多層シートを粉砕した回収物とプロピレン系重合体Aとを50:50の重量比で混合し、この混合物100重量部に対して相溶化材を3重量部添加して混合したものをリグラインド(Reg)として用い、さらにシート成形を行った。作製したシートはプロピレン系重合体Aから成る層/Reg層/AD層/EVOH層/AD層/Reg層/プロピレン系重合体Aから成る層のシート(構成1)を作製した。
続いて、作製した多層シートを遠赤外線ヒーターでプロピレン系重合体の融点以下に加熱し、プラグアシスト圧空成形機を用いて、絞り比0.5、内容量110mlの容器を作製した。
各種評価結果を表1に示す。
プロピレン系重合体Aの代わりにプロピレン系重合体Bを用いた以外は実施例1と同様に多層シートならびに容器を作製した。各種評価結果を表1に示す。実施例1に対し機械的強度が劣る理由として、プロピレン系重合体BはMFRが高く低分子量成分が多いことが挙げられる。
プロピレン系重合体Aから成る層/AD層/EVOH層/酸素吸収(Sc)層/EVOH層/AD層/吸着剤含有層/プロピレン系重合体Aから成る層の構成の多層シートを作製した。Sc層は前記二種混合EVOHを主成分として酸化性有機成分及び遷移金属触媒を含有した。吸着剤含有層はポリプロピレン系重合体Aに合成ゼオライトを含有した。続いて、実施例1と同様にリグラインド(Reg)を用いて、プロピレン系重合体Aから成る層/Reg層/AD層/EVOH層/Sc層/EVOH層/AD層/吸着剤含有層/プロピレン系重合体Aから成る層の構成の多層シート(構成2)を作製した以外は実施例1と同様に容器を作製した。
各種評価結果を表1に示す。
プロピレン系重合体Aからなる層に結晶核剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に多層シートならびに容器を作製した。各種評価結果を表1に示す。容器の肉厚分布が確保出来なかった理由として、実施例1と比較し、プロピレン系重合体Aからなる層の融点が低くドローダウンが大きくなったことが挙げられる。また、実施例1と比較し、プロピレン系重合体Aからなる層の結晶化温度が低いため、成形サイクルも劣っている。
多層シートの加熱温度をプロピレン系重合体の融点以上とし、プラグアシスト真空圧空成形機を用いた以外は実施例1と同様に、多層シートならびに容器を作製した。各種評価結果を表1に示す。実施例1に対し機械的強度が劣る理由として、プロピレン系重合体の融点以上で成形する真空圧空成形では延伸配向がかからないことが挙げられる。
EVOH層をEVOH(1)の単一層として用いた以外は実施例1と同様に容器を作製した。各種評価結果を表1に示す。EVOH(1)はエチレン含有量が低く延伸性が劣るため、容器胴部に延伸ムラが発生したと考えられる。
EVOH層をEVOH(2)の単一層として用いた以外は実施例1と同様に容器を作製した。各種評価結果を表1に示す。EVOH(2)はエチレン含有量が高いため、延伸性に優れる一方、バリア性は不足している。
プロピレン系重合体Aの代わりにプロピレン系重合体Cを用いた以外は実施例1と同様に、容器を作製した。各種評価結果を表1に示す。ドローダウンが大きく成形不可となった理由として、プロピレン系重合体Cのアイソタクティックインデックスが低いことが挙げられる。
プロピレン系重合体Aの代わりにプロピレン系重合体Cを用い、EVOH層にEVOH(1)を単一層とした以外は実施例1と同様に容器を作製した。各種評価結果を表1に示す。ドローダウンが大きく成形不可となった理由として、プロピレン系重合体Cのアイソタクティックインデックスが低いことが挙げられる。また、EVOH(1)はエチレン含有量が低く延伸性が劣るため、容器胴部に延伸ムラが発生したと考えられる。
収納し得る具体的な内容物としては、これに限定されないが、ビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等の飲料や、果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品、魚類加工品、ベビィフード、ペットフード等の他、医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素の存在で劣化を生じる種々の内容物にも好適に使用できる。
Claims (6)
- アイソタクティックインデックスが93%以上であるホモポリプロピレンを主成分とするプロピレン系重合体から成る層と、2つ以上の結晶融解ピーク温度を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体から成る層とを、少なくとも有することを特徴とする熱成形容器。
- 前記エチレン−ビニルアルコール共重合から成る層が、エチレン含有量の異なるエチレン−ビニルアルコール共重合体を2種以上ブレンドして成るブレンド物から成り、前記結晶融解ピーク温度が少なくとも180℃以上と170℃以下に有する請求項1記載の熱成形容器。
- 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体から成る層が、エチレン含有量が20〜35mol%のエチレン−ビニルアルコール共重合体と、エチレン含有量が36〜50mol%のエレンビニルアルコール共重合体とを、90:10〜50:50の配合比でブレンドして成る請求項1又は2記載の熱成形容器。
- 前記プロピレン系重合体に結晶核剤が含有されている請求項1〜3の何れかに記載の熱成形容器。
- 層構成が、外側から順に、前記プロピレン系重合体から成る層/リグラインド層/接着樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体中間層/酸素吸収層/エチレン−ビニルアルコール共重合体中間層/接着樹脂層/吸着剤含有層/プロピレン系重合体から成る内層、である請求項1〜4の何れかに記載の熱成形容器。
- 前記プロピレン系重合体が、メルトフローレートが2.0g/10min以下のホモポリプロピレンが主成分である請求項5記載の熱成形容器。
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JPH0691827A (ja) * | 1986-12-22 | 1994-04-05 | Kuraray Co Ltd | 多層構造体 |
JPH09104793A (ja) * | 1995-10-12 | 1997-04-22 | Tonen Chem Corp | ポリプロピレン樹脂組成物 |
JPH10244610A (ja) * | 1997-03-06 | 1998-09-14 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | 多層シート及び容器 |
JP2000318095A (ja) * | 1998-09-28 | 2000-11-21 | Kuraray Co Ltd | 多層フィルム |
JP2001058374A (ja) * | 1999-08-24 | 2001-03-06 | Kuraray Co Ltd | 熱成形用多層構造体および熱成形容器 |
WO2014051093A1 (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-03 | 東洋製罐株式会社 | 多層容器 |
-
2017
- 2017-03-15 JP JP2017050371A patent/JP6911413B2/ja active Active
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