JP2710844B2 - エチレン‐ビニルアルコール共重合体組成物および多層構造体 - Google Patents

エチレン‐ビニルアルコール共重合体組成物および多層構造体

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JP2710844B2 JP25598489A JP25598489A JP2710844B2 JP 2710844 B2 JP2710844 B2 JP 2710844B2 JP 25598489 A JP25598489 A JP 25598489A JP 25598489 A JP25598489 A JP 25598489A JP 2710844 B2 JP2710844 B2 JP 2710844B2
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【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、加熱延伸、特に加熱高速延伸操作時、ピン
ホール、クラツク、局所的偏肉などがなく、しかもスク
ラツプの回収再使用が可能な、ガスバリアー性に優れ
た、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと
記す)組成物、およびそれを用いた多層構造体、とくに
加熱延伸、さらには加熱高速延伸多層構造体に関する。
B.従来の技術 EVOHは、今日、食品等の包装用フイルム、特に酸素、
臭素、フレイバー等に対するバリアー性が必要な食品、
保香性を必要とする他の製品などに対する使用を目的と
する分野において、有効性が認められている。そして、
EVOHは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル等の熱可塑
性樹脂層と、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重
合体などで代表される各種接着性樹脂層とを積層してな
る多層構造体の形で用いられる。
ところで、各種方法で製造した多層構造体(フイル
ム、シート、パリソンなど)を容器などに二次加工する
場合、特にEVOHの融点以下で延伸成形を行う場合、EVOH
層に小さなボイド、クラツク、局所的偏肉などが多発
し、その結果、成形容器の酸素バリアー性が大巾に悪化
する。また、外見上も不良となり、食品等の容器として
使用に耐えない状況にあった。
そこで従来から、加熱延伸時に発生するEVOH層のピン
ホール、クラツクなどを防止する目的で、EVOH層に各種
可塑剤の添加(特開昭53−88067、特開昭59−20345)、
ポリアミド系樹脂のブレンド(特開昭52−141785、特開
昭58−36412)等が検討されてはいるが、いずれの場合
も、下記の点で十分満足すべきものではない事が判明し
た。すなわち、各種可塑剤の添加系においては、加熱延
伸特性を充分改善する為には、可塑剤をEVOH100重量部
に対して、10〜20重量部添加する必要があり、ガスバリ
アー性の大巾な低下、EVOH層との層間接着強度の低下な
どの多くの問題があり使用に耐えない。
一方、ポリアミド系樹脂の添加系においては、EVOHと
の化学反応性が大きい為か、成形物に多数のゲル状物の
存在、顕著な着色などの為、使用に耐えない。また、ゲ
ル着色が比較的少ないポリアミド系樹脂の添加系におい
ては、EVOHとポリアミドとの相溶性が十分でない為か、
見掛け上、良好な容器が得られるが、特に、過熱高速延
伸成形時微少なピンホールが存在するためか、ガスバリ
アー性の測定値のバラツキが大きく、ガスバリアー性容
器としての信頼性がなく、使用に耐えない。
また、特開昭61−4752に述べられている様に、異種の
エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶液状態で混合しけん
化したEVOH組成物は一見、外見上良好な容器が得られる
様に見受けられる。しかしながら、比較的低い温度(11
0〜140℃)で加熱高速延伸成形した時、微少なピンホー
ルが存在するためか、ガスバリアー性の測定値のバラツ
キが大きく、ガスバリアー性容器としての信頼性がな
い。さらに悪い事には、ガスバリアー性の高い組成物を
得るためには、エチレン含有率の高いエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体の添加率を上記特開昭の範囲外である30重
量%以下に押さえる必要があり、この場合、ガスバリア
ー性の測定値のバラツキがさらに大きくなり、ガスバリ
アー性容器として使用に耐えない。
一方、特開昭60−173088に述べられている様に、意趣
のEVOHを含み、かつ差動走査熱量計による吸熱ピークが
独立せず所定の面積比率を有する組成物を用いた場合
も、外観上良好な容器が得られる様に見受けられる。し
かしながら、比較的低い温度(110〜140℃)で加熱高速
延伸成形した時、微少なピンホールが存在するためか、
ガスバリアー性の測定値のバラツキが大きく、ガスバリ
アー性容器としての信頼性がない。とくに、実施例に示
される様に、二種類のEVOHを溶融混合した組成物を用い
た場合、ガスバリアー性の測定値のバラツキがさらに大
きくガスバリアー性容器としての信頼性がない。
さらに、特開昭63−196645に述べられている様に、ケ
イ素を含有しエチレン含有量が異なる二種類以上のEVOH
をブレンドしてなるEVOH組成物は外観上良好な容器が得
られ、ガスバリアー性容器としての信頼性も良いが、ト
リムなどのスクラツプを回収使用する場合、基材との相
溶性が悪い為か、良好なシートが得られない場合があ
り、生産性、コストの面で問題があつた。
それゆえ、高ガスバリアー性、及びガスバリアー性容
器としての信頼性(バラツキ)が良好である、すなわち
加熱高速延伸成形時、EVOH層に微少なピンホール、クラ
ツク、偏肉などが生じない事は勿論のこと、スクラツプ
の回収使用が可能なEVOHの開発が重要な課題の一つであ
る。
C.発明が解決しようとする課題 本発明は、EVOHの優れたガスバリアー性をそこなうこ
となく、かつEVOH多層構造体を容器などに二次加工する
場合に生じるEVOH層のクラツク、ピンホール、局所的偏
肉などの発生を防止し、かつスクラツプの回収再使用が
可能な高ガスバリアー性、及び信頼性の高いガスバリア
ー性を有するEVOH組成物、およびそれを用いた多層構造
体を提供するものである。
D.課題を解決するための手段 前記課題は、エチレン含有量20〜40モル%のEVOH
(A)70〜95重量%とエチレン含有量61〜90モル%のEV
OH(B)5〜50重量%とからなり、かつ、(A)および
/または(B)はビニルシラン系化合物を共重合成分と
して含有し下式(I)〜(III)を満足する、エチレン
の平均含有量が25〜60モル%のEVOH組成物を用いる事に
よつて解決される。
0.5モル%≧SI(A)+SI(B)≧0.005モル%(I) SI(A)/SI(B)≦1 (II) [η](B)/[η](A)≦1 (III) 但し、SI(A)、SI(B)はEVOH(A)、(B)のビ
ニルシラン系化合物の含有量(モル%)を示す。
[η](A)、[η](B)はEVOH(A)、(B)の
10%含水フエノール30℃におけるの溶液粘度を示す。
本発明者らは、種々の可塑剤、ポリマー等をEVOHにブ
レンドし、接着性樹脂、熱可塑性樹脂を配合してなる各
種多層シートを作製し、再加熱、延伸操作によつて、カ
ツプ、ボトルを得、該容器の外観及びガスバリアー性の
測定を行つた。その結果、前述した様に、エチレン含有
量の異なる二種類以上のEVOHを溶融ブレンドした組成物
を用いた多層シートを加熱高速延伸した場合、EVOH層の
クラツク、ピンホール、局所的偏肉などの発生の無い良
好な成形物が得られる事がわかつた。しかしながら、EV
OH組成物中のエチレン含有量が高いほうのEVOHの含有量
が多いほど、またエチレン含有量が高いほど、良好な成
形物を得られるが、成形時ゲルが発生したり、容器のガ
スバリアー性は悪化し、使用上必ずしも十分ではなかつ
た。また、エチレン含有量の異なる二種類以上のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体を混合し、けん化したEVOH組成
物を用いた多層シートを加熱高速延伸した場合、EVOH層
に微少なクラツク、ピンホールが発生する為か、ガスバ
リアー性の測定値にバラツキが認められる場合があつ
た。特に、加熱高速延伸温度が低い場合、ガスバリアー
性の信頼性に問題があつた。また、トリムなどのスクラ
ツプを回収再使用した場合、原反シート製膜時流れムラ
などの異常が発生する場合が多く回収再使用が困難であ
つた。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、エチレン
含有量20〜40モル%のEVOH(A)50〜95重量%とエチレ
ン含有量61〜90モル%のEVOH(B)5〜50重量%とから
なり、かつ(A)および/または(B)はビニルシラン
系化合物を共重合成分として含有し式(I)〜(III)
を満足するEVOH組成物を用いることにより、加熱延伸、
特に加熱高速延伸操作時、クラツク、ピンホール、局所
的偏肉などが少なく、しかもガスバリアー性の悪化、バ
ラツキもほとんどなく、さらに、スクラツプの回収再使
用が可能である事を見出した。さらに鋭意検討した結
果、驚くべきことに、該EVOH(A)とEVOH(B)とを溶
液あるいは溶融下で混合するのではなく、EVOH(A)、
EVOH(B)の原料であるエチレン−酢酸ビニル共重合体
あるいはエチレン−酢酸ビニル−ビニルシラン系化合物
共重合体(以降両者あわせてEVACと称する)、すなわ
ち、EVAC(A)、EVAC(B)とを溶液あるいは溶融下で
混合し、酸あるいはアルカリ触媒のもと、溶液あるいは
溶液下で鹸化して得られたEVOH組成物を用いた場合、前
者と比較して、加熱延伸、特に加熱高速延伸操作時、ク
ラツク、ピンホール、局所的偏肉などがより少なく、し
かもガスバリアー性の悪化、バラツキもほとんどなく、
さらに、スクラツプの回収再使用が大巾に向上する事を
見出し本発明を完成するにいたつた。
本発明において用いるEVOH(A)、(B)とは、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体けん化物であり、それぞれの
酢酸ビニル成分のけん化度は95%以上、さらには97%以
上のものが好ましい。
EVOH(A)についてはエチレン含有量20〜40モル%で
あることが重要であり、エチレン含有量が20モル%未満
の場合、EVOH(B)を混合しても成型性改善効果が十分
に発揮されない。一方、エチレン含有量が40モル%をこ
える場合、ガスバリアー性が十分でない。
また、EVOH(B)については、エチレン含有量61〜90
モル%であることが重要であり、好適には62〜88モル%
である。
EVOH(B)のエチレン含有量が61モル%未満の場合、
軟化温度が延伸温度より高いためか、成型性改善効果が
十分にでない場合があるだけでなく、スクラツプの回収
再使用性の面で好ましくない。一方、エチレン含有量が
90モル%以上の場合、EVOH(A)との相溶性が悪いため
か、ガスバリアー性バラツキが大きく信頼性が十分でな
い。
本発明において、EVOH(A)および(B)からなる組
成物のエチレンの平均含有量は25〜60モル%であること
が重要であり、好適には25〜55モル%である。また酢酸
ビニル成分の平均けん化度は95%以上、好適には97%以
上である。エチレン含有量25モル%未満では溶液成形性
が悪く、一方60モル%以上では、ガスバリアー性が不足
する。また、けん化度が95%未満では、ガスバリアー性
および熱安定性が悪くなる。
EVOH(A)と(B)との混合比率に関しては、EVOH
(A)50〜95重量%、EVOH(B)5〜50重量%であるこ
とが重要であり、好適にはEVOH(A)65〜95重量%、EV
OH(B)5〜35重量%である。EVOH(B)が50重量%以
上では、ガスバリアー性の悪化が顕著である。一方、5
重量%以下では成型性改善効果が十分に発揮されないだ
けでなく、スクラツプの回収再使用の面で好ましくな
い。
EVOH(A)および/または(B)にビニルシラン系化
合物を共重合させる場合、ビニルシラン系化合物の含有
量は{SI(A)+SI(B)}は上記(I)式を満足する
ことが重要であり、好適には0.008〜0.2モル%である。
ビニルシラン系化合物の含有量が0.005モル%以下の
場合、EVOH(A)と(B)との相溶性が悪いためか、ガ
スバリアー性のバラツキが大きく信頼性が十分でない場
合があるだけでなく、スクラツプの回収再使用性の面で
好ましくない。一方、ビニルシラン系化合物の含有量が
0.5モル%以上の場合、EVOHの熱安定性が悪いためか、
製膜時、ゲル、ブツが発生するだけでなく、ガスバリア
ー性バラツキが大きく信頼性が十分でない。
また、EVOH(A)と(B)のビニルシラン系化合物含
有量SI(A)、SI(B)および、溶液粘度[η]
(A)、[η](B)の関係も上記(II)および(II
I)式を満足することが重要である。
好適にはSI(A)/SI(B)≦0.5、0.01≦[η]
(B)/[η](A)≦0.9である。SI(A)/SI(B)
>1あるいは/および[η](B)/[η](A)>1
の場合、EVOH(A)と(B)との相溶性、あるいはEVOH
と基材との相溶性が良くない為か、ガスバリアー性のバ
ラツキが大きく信頼性が十分でない場合があるだけでな
く、スクラツプの回収再使用の面で好ましくない。
ところで本発明において、EVOH組成物を得る方法とし
ては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(Aの前駆体)と
エチレン−酢酸ビニル共重合体(Bの前駆体)を製造す
るに際し、ビニルシラン系化合物を共重合成分として用
いて共重合体を得、これを別々にけん化してEVOHを製造
し、次いでこれらを溶融状態あるいは溶液状態でブレン
ドする方法がある。しかしながら、この方法で得られた
EVOH組成物は、熱成形性およびガスバリアー性の改善効
果があるが、必ずしも十分ではない場合がある。そこで
本発明者らは、さらに鋭意検討した結果、驚くべきこと
に(A)および(B)の前駆体であるエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体を、(A)および/または(B)にビニル
シラン系化合物を共重合させた後、溶液状態で混合し、
次いでけん化して得たEVOH組成物は熱成形性、高ガスバ
リアー性および信頼性の高いガスバリアー性容器が得ら
れることを見い出した。このことは以下に示す実施例か
らも明らかである。
エチレン含有量の異なる2種類以上のエチレン−酢酸
ビニル共重合体組成物を得る方法としては、エチレン含
有量の異なる2種類以上のエチレン−酢酸ビニル共重合
体を溶液あるいは溶融下にブレンドして得る方法、ある
いは直列または並列に配置した二槽式の重合槽をもち
い、それぞれの重合槽で異なった重合条件、たとえば重
合温度、重合圧力、重合触媒、重合溶剤、重合時間など
を、それぞれ異なつた条件に設定することにより、たと
えばエチレン含有量のより高いエチレン−酢酸ビニル共
重合体を得る場合には、重合圧力をより高くし、またエ
チレン含有量のより低いエチレン−酢酸ビニル共重合体
を得る場合には、重合圧力をより低く設定する事によ
り、該エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を得る方法
などがある。またはエチレン−酢酸ビニル共重合体とエ
チレン含有量の異なるEVOHを溶液あるいは溶融下にブレ
ンドする方法などがある。なかでも、前者の重合条件の
変更による方法が最も好適である。
次に、該エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物をけん
化する方法としては該エチレン−酢酸ビニル共重合体組
成物を、水、アルコール、他の有機溶剤に溶解あるいは
分散させ酸あるいはアルカリ系の触媒でけん化する方法
などがあげられる。
また、該EVOH(A)および(B)は本発明の目的が阻
害されない範囲で、他の共単量体、例えば、プロピレ
ン、ブチレン、不飽和カルボン酸又はそのエステル
{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル
(メチル、エチル)など}、ビニルピロリドン{N−ビ
ニルピロリドンなど)を使用することも出来るし、さら
に可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色
剤、フイラー、他の樹脂(ポリアミド、部分けん化エチ
レン−酢酸ビニル共重合体など)をブレンドすることも
自由である。また、本発明に用いるEVOHの好適なメルト
インデツクス(MI)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜50g
/10min.、好適には0.5〜20g/10min.である。
ところで、エチレン−酢酸ビニル共重合体の共重合成
分として用いるビニルシラン系化合物としては、下記
(IV)、(V)および(VI)で示される化合物が好適で
ある。
[ただし、ここでnは0〜1、mは0〜2、R1は低級ア
ルキル基、アリル(aryl)基、またはアリル(aryl)基
を有する低級アルキル基、R2は炭素数1〜40のアルコキ
シル基であり、そのアルコキシル基は酸素を含有する置
換基を有していてもよい。R3は水素またはメチル基、R4
は水素原子または低級アルキル基、R5はアルキル基また
は連鎖炭素原子が酸素もしくは窒素にとつて相互に結合
された2価の有機残基、R6は水素、ハロゲン、低級アル
キル基、アリル基、またはアリル基を有する低級アルキ
ル基、R7はアルコキシル基またはアシロキシル基(ここ
でアルコキシル基またはアシロキシル基は酸素もしくは
窒素を含有する置換基を有していてもよい。)、R8は水
素、ハロゲン、低級アルキル基、アリル基、またはアリ
ル基を有する低級アルキル基、R9は低級アルキル基であ
る]。さらに詳しく述べれば、R1は炭素数1〜5の低級
アルキル基、炭素数6〜18のアリル基、または炭素数6
〜18のアリル基を有する炭素数1〜5の低級アルキル
基、R4は水素原子または炭素数1〜5の低級アルキル基
を示し、R5は炭素数1〜5のアルキル基または連鎖炭素
原子が酸素もしくは窒素にとつて相互に結合された2価
の有機残基を示し、R6は水素、ハロゲン、炭素数1〜5
の低級アルキル基、炭素数6〜18のアリル基、または炭
素数6〜18のアリル基を有する炭素数1〜5の低級アル
キル基を示し、R7はアルコキシ基またはアシロキシル基
(ここでアルコキシ基またはアシロキシル基は酸素もし
くは窒素を含有する置換基を有していてもよい。)、R8
は水素、ハロゲン、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭
素数6〜18のアリル基、または炭素数6〜18のアリル基
を有する炭素数1〜5の低級アルキル基を示し、R9は炭
素数1〜5の低級アルキル基を示す。ビニルシラン化合
物(IV)、(V)、(VI)の具体的な化合物名として
は、たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ、エトキシ)
シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン
が挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
本発明のEVOH組成物は、多層構造体、とくに加熱延伸
多層構造体に好適に使用される。本発明のEVOH組成物か
らなる層の少なくとも片面に積層される熱可塑性樹脂と
しては、下記の温度で延伸成形可能な樹脂であれば良
く、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ
アミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエ
スチル系樹脂などが好適である。
X−10℃≧Y≧X−110℃ 但し、XはEVOH組成物の融点を、またYは加熱延伸温
度℃を示す。(但し、EVOH組成物の融点とは、DSC測定
による吸熱ピークにおいてその最大温度の値を示す。) Yが(X−10)℃より高い場合は、加熱延伸成形時EV
OHが軟化、溶解するため、添加剤を加えなくても成形が
可能である。一方、Yが(X−110℃)℃より低い場
合、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)が室温以下と
なる為、成形物の形状、寸法安定性が悪く使用に耐えな
い。
本発明においてEVOH組成物と該熱可塑性樹脂とを多層
化するために、使用される接着性樹脂としては、EVOH組
成物層と該熱可塑性樹脂層とを強固に接着するものであ
れば、特に限定されるものではないが、不飽和カルボン
酸又はその無水物(無水マレイン酸など)をオレフイン
系重合体または共重合体[ポリエチレン{低密度ポリエ
チレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDP
E)、超低密度ポリエチレン(SLDPE)}、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エス
テル(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合
体]にグラフトしたものが、好適にもちいられる。
本発明のEVOH組成物は、周知の溶融成形法、圧縮成形
法によりフイルム、シート、ボトルなどの任意の成形品
に成形する事が出来るが、前述したとおり、該成形物を
多層構造体の一層として使用するとき、顕著な特徴が発
揮されるので、以下この点について説明を加える。
まず、多層構造体を得る方法としては、該EVOH組成物
と熱可塑性樹脂とをしばしば接着性樹脂を介して押出ラ
ミネート法、ドライラミネート法、共押出ラミネート
法、共押出シート成形法、共押出パイプ成形報、共射出
成形法、溶液コート法などにより積層体を得、次いで該
積層体を真空圧空深絞り成形、二軸延伸ブロー成形など
により、EVOH組成物の融点以下の範囲で再加熱し延伸操
作を行う方法、あるいは、該積層体(フイルム又はシー
ト)を二軸延伸機に供し、加熱延伸する方法、さらには
EVOH組成物と熱可塑性樹脂とを共射出二軸延伸ブローす
る方法などがあげられる。
容形成形時発生するトリム、不良容器等のスクラツプ
の回収再使用方法に関しては、特に限定するものではな
い。該スクラツプは粉砕し、吸湿している場合には乾燥
した後、原料熱可塑性樹脂にドライブレンドする方法、
粉砕スクラツプをペレツト化した後、原料熱可塑性樹脂
にドライブレンドする方法、粉砕スクラツプと原料熱可
塑性樹脂とを、ブレンドペレツト化する方法等がある。
原料熱可塑性樹脂とスクラツプとのブレンド比率に関し
ても、スクラツプ比率が高いほど延伸成形時、偏肉、ム
ラ、クラツク、白化等の異常が生じやすくなる為、成形
条件により設定されるが、通常2〜80%程度の比率でブ
レンドされる。この時、分散性、熱安定性を向上させ容
器成形時の上記異常をおさえる為、無水マレイン酸変性
ポリオレフイン類、無水マレイン酸変性ポリオレフイン
−ポリスチレン共重合体類、金属セツケン、ハイドロタ
ルサイト系化合物、シラン変性ポリオレフイン類などを
一種、あるいはそれ以上添加することが好ましい場合が
ある。
さらに、多層構造体の厚み構成に関しても、特に限定
されるものではないが、成形性およびコスト等を考慮し
た場合、全厚みに対するEVOH層の厚み比率は2〜20%程
度が好適である。また、多層構造体の構成としては、EV
OH組成物層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層、熱可塑性
樹脂層/接着性樹脂層/EVOH組成物層/接着性樹脂層/
熱可塑性樹脂層、EVOH組成物層/接着性樹脂層/回収
層、EVOH組成物層/接着性樹脂層/回収層/熱可塑性樹
脂層、熱可塑性樹脂層/回収層/接着性樹脂層/EVOH組
成物層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層、熱可塑性樹脂
層/回収層/接着性樹脂層/EVOH組成物層/接着性樹脂
層/回収層/熱可塑性樹脂層、回収層/接着性樹脂層/E
VOH組成物層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層、回収層
/接着性樹脂層/EVOH組成物層/接着性樹脂層/回収層
等が代表的なものとしてあげられる。両外層に熱可塑性
樹脂層を設ける場合は、該樹脂が異なつていてもよい
し、また同じものでもよい。
本発明において、加熱延伸多層構造体とは前記したと
おり、加熱延伸する事により得られるカツプ、ボトルな
どの容器あるいはシート、フイルム状物であり、また加
熱とは該多層構造体を加熱延伸に必要な温度に所定の時
間放置し、該多層構造体が熱的にほぼ均一になる様な操
作を意味し、操業性を考慮して、種々のヒーターで加
熱、均一化する方法が好ましい。
加熱操作は、延伸と同時におこなつてもよいし、また
延伸前に行つても良い。また、延伸操作とは、熱的に均
一に加熱された多層構造体をチヤツク、プラグ、真空
力、圧空力などにより容器、カツプ、ボトル、フイルム
状に均一に成形する操作を意味し、一軸延伸、二軸延伸
(同時または逐次)のいずれでも採用できる。また、延
伸倍率、延伸速度は目的に応じて適宜選択できるが、本
発明において高速延伸とは、延伸速度が5×105%(面
積倍率)/min.以上の高速で均一に延伸する方法を意味
し、必ずしも成形品が配向している必要はない。
また、本発明において、EVOHの含水率については、特
に限定するものではないが、0.001〜10重量%以内であ
る事が好適である。一般的には、溶融押出成形時にはEV
OHの含水率は0.001〜1重量%と低い方がよく、一方、
熱成形時にはEVOH層が発泡しない範囲内で0.1〜10重量
%と高目がのぞましい。
このようにして得られた本発明の加熱延伸多層構造体
は、EVOH組成物層にピンホール、クラツク、偏肉がみら
れないので、ガスバリアー性がきわめて良く、バラツキ
のほとんどない非常に良好な食品包装用容器、あるいは
保香性を要求される容器などに有効に使用される。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これ
によりなんら限定されるものではない。
E.実施例 実施例1 エチレン含有量28モル%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体(A)(以降EVAc(A)と記す)20重量部、及びエ
チレン含有量62モル%、ビニルトリメトキシシラン含有
量0.02モル%のEVAc(B)29重量部を、メタノール溶剤
に溶解し、75℃沸騰下、NaOH−メタノール溶液(酢酸ビ
ニル成分に対するモル比で0.20)を滴下しつつ、副生物
(酢酸メチル)をメタノール蒸気で追出した(EVOH/混
合蒸気=1/4重量比)。得られたEVOHのエチレンの平均
含有量は32モル%、けん化度は99.0%、メルトインデツ
クス(MI 190℃、2160g荷重)2.8g/10min.であつた。
また、EVOH(A)および(B)の溶液粘度(10%含水フ
エノール系、30℃)はそれぞれ[η](A)=0.11/
g、[η](B)=0.06/gであつた。(なおEVOH
(A)および(B)の溶液粘度は、ケン化度の共重合体
を別々に同一の条件でケン化して得たEVOH(A)、
(B)の溶液粘度の値である。) このEVOH組成物を用いて3種5層共押出装置にかけ、
多層シートを作成した。シートの構成は両最外層ポリス
チレン樹脂層(出光石油化学出光スチロールET−61)が
800μまた接着性樹脂(東洋ソーダ メルセンM−542
0)が各50μ、さらに最内層(中央)は上記EVOH組成物
層50μである。得られたシートを真空圧空熱成形機にか
け(延伸速度9×105%/min.)、140℃で成形をおこな
つた。
得られた成形物はクラツク、ムラ、偏肉もなく、外観
も良好であつた。この容器を20℃−65%RHに調湿し、ガ
スバリアー性を測定した所(モコン社製10/50型)、0.3
cc.20μ/m2.24hr.atmと非常に良好なガスバリアー性を
示すだけでなく、20サンプル測定した時の測定値のバラ
ツキ(R=最大値−最小値)が0.1と非常に小さく、信
頼性の高い高ガスバリアー性容器であつた。
また、該熱成型時に発生したトリムなどの粉砕スクラ
ツプ40重量%と上記ポリスチレン樹脂60重量%とをドラ
イブレンドした後、押出機でペレツト化し、上記ポリス
チレン樹脂に変えて3種5層共押出装置にかけ、多層シ
ートを作成した。該シートの外観は良好であるばかりで
なく真空圧空熱成型機にかけ熱成形したところ良好な容
器がえられた。
実施例2〜5、比較例1〜3 表1に示す以外は、実施例1と同様の条件でおこなつ
た。その結果を表1に示す。
F.発明の効果 本発明によれば、加熱延伸、特に加熱高速延伸操作時
ピンホール、クラツク、ムラ、局所的偏肉などがなく、
しかもガスバリアー性およびその信頼性に優れ、さらに
スクラツプの回収再使用性に優れた、EVOH組成物、およ
び加熱延伸多層構造体を得る事ができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン含有量20〜40モル%のエチレン−
    ビニルアルコール共重合体(A)50〜95重量%とエチレ
    ン含有量61〜90モル%のエチレン−ビニルアルコール共
    重合体(B)5〜50重量%とからなり、かつ、(A)お
    よび/または(B)はビニルシラン系化合物を共重合成
    分として含有し下式(I)〜(III)を満足する、エチ
    レンの平均含有量が25〜60モル%のエチレン−ビニルア
    ルコール共重合体組成物。 0.5モル%≧SI(A)+SI(B)≧0.005モル% (I) SI(A)/SI(B)≦1 (II) [η](B)/[η](A)≦1 (III) 但し、SI(A)、SI(B)はEVOH(A)、(B)のそれ
    ぞれのビニルシラン系化合物の含有量(モル%)を示
    す。 [η](A)、[η](B)はEVOH(A)、(B)の10
    %含水フエノール30℃におけるそれぞれの溶液粘度を示
    す。 EVOHはエチレン−ビニルアルコール共重合体を示す。
  2. 【請求項2】エチレン含有量20〜40モル%のエチレン−
    酢酸ビニル共重合体(A)50〜95重量%とエチレン含有
    量61〜90モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)
    5〜50重量%とからなり、かつ、(A)および/または
    (B)はビニルシラン系化合物を共重合成分として含有
    し、さらにエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を溶液
    状態で混合した後、けん化することにより得られる請求
    項1記載のエチレンの平均含有量が25〜60モル%のエチ
    レン−ビニルアルコール共重合体組成物。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のエチレン−ビニル
    アルコール共重合体組成物からなる層の少なくとも片面
    に熱可塑性樹脂を有する多層構造体。
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