JPH0565142B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、新規なすしに関するものである。

［従来の技術］ 一口大の酢飯を何ものかで完全に包み込んでし
まうすしとして、古来はサバの圧しずしをコンブ
で包んだもの（バツテラの原型とも言われてい
る）が、現在では柿の葉ずし、等がある。

このように、一口大の酢飯を包んでおくと、形
くずれしにくく、又包んだもの（上記例ではコン
ブや柿の葉）の旨みや香りが酢飯に移つて一層お
いしいすしになる。等々の効果がある。

一方、すし、特に「にぎりずし」において不可
欠な要素である「わさび」は、その上品な辛味が
広く万人に好まれるものであり、にぎりずしが圧
しずし（大阪ずし）を超えて普及してきた一因と
もなつている。

［発明が解決しようとする課題］ ところが、酢飯を包む材料として現在あるのは
上記柿の葉しかなく、新規な材料というものが出
現していないのが実情である。

酢飯ではなく、通常の飯をにぎつただけの握り
飯の場合には、薄焼き卵、海苔、おぼろ昆布、高
菜、等々で完全に包んだものが見られるにもかか
わらずすしの場合には包み込む形の材料が出現し
ていないのは、にぎりずし用の酢飯は、その上に
のせられる「すしだね（ネタ）」（魚介類や卵焼な
ど）によつて味付けの異なるものを使用すること
はなく、常に同一の味付けにするため繊細な味付
けが施されているのが通常で、そのためネタ以外
の材料の量を多くしにくかつたためかと思慮され
る。これは、柿の葉ずしの場合の柿の葉ははがし
取つてしまうものであるし、包んでいたコンブを
食するようにした（従来ははがしていた）結果現
在のバツテラに於けるコンブの量は非常に少ない
ものとなつていること等からも理解できるもので
ある。

一方、わさびは、その根茎部分をすりおろして
香辛料として使用する他、茎部分はこの根茎部分
と共にワサビ漬けの原料としたりするが、葉につ
いては茹でて浸し物や三杯酢にするなどの食べか
たはあるが、風味はあるものの変色しやすいもの
であつて、商品としては殆ど出回ることがない部
分であつた。

［課題を解決するための手段］ そこで本発明者は、上記諸点に鑑み長年鋭意研
究の結果、遂に本発明を成したものであり、その
特徴とするところは、酢飯にすしだねをのせたも
のを、わさびの葉で包んだものである点にある。

ここで「酢飯」とは、基本的にはややこわく炊
いた飯に酢と塩、砂糖を合わせたものをいう。こ
れは、にぎつたものでも、切りずしでも良いもの
とする。

「すしだね」は、通常のにぎりずしに使用され
るものと同様であるが、本発明者が試作した範囲
では、シメサバ、シメアユ、焼きウナギ等が好適
であつた。飯とすしだねとの間におろしわさびを
添えるようにしても良い。

「わさびの葉」は、ふつうのわさび（沢わさび
や水わさびと呼ばれる）の葉でも、畑地で栽培さ
れる畑わさび（陸わさびとも呼ばれる）の葉でも
良い。これを生のまま包むと、葉にしなりがない
ため包み際に破れやすいし、また青臭みがあつて
風味を損なうため、何らかの処理をするのが好ま
しい。処理の一方法として、塩漬け方法がある。
これは、塩漬け後冷暗所にて数日間おき、その後
塩抜きして、揉み込むという方法であつて、葉の
緑色の鮮やかさを増し、わさびの香りを残し、青
臭みもなくなるという方法である。但し本発明で
使用するわさび葉は、上記処理をしたものの使用
を限定するものではなく、加熱処理を付加したも
のその他の方法で処理を施したものであつても良
いものとする。なお、わさびの葉にはわさび独特
の香りはあるが、辛味はほとんどないため、別途
わさびの辛味を加えるようにしても良い。包み込
む形態は、何ら限定するものではないが、柿の葉
ずしに準じたもので良い。

［実施例］ 以下図面に基づいて本発明を更に詳細に説明す
る。

第１図は、本発明に係るすし１の実施例の一つ
を示すものであり、酢飯２とシメサバ３及びこれ
らの間に少量塗られたネリわさび４を、塩漬け処
理したわさび葉５で包んだものである。

本例のわさび葉５の塩漬け処理は、以下の如き
方法で行なつた。

生のわさび葉３Kg（約2000枚）に対して食塩
300〜400gをまんべんなく加えた上で、10Kgの
おもしをして、０℃の冷蔵庫内で７日間塩漬け
にする。

取り出したわさび葉を、冷水中に３〜４時間
漬けて塩抜きする。

塩抜きしたわさび葉を、よく揉みこんでアク
（青黄色汁）を出し、水洗する。この時わさび
葉は鮮やかな緑色に発色する。

得られたわさび葉を冷凍保存する。本発明者
が実験した範囲では、家庭用冷蔵庫の冷凍室に
おいても少なくとも１年以上その色彩、風味を
維持している。

なおこのわさび葉は、わさび独特の香りはする
が、元来辛味はほとんどないものであるので、冷
凍保存する前に辛味を加えるようにしても良い。
或いは十分な辛味がある「茎部分」（この部分は
通常は「わさび漬け」の材料とされている部分で
ある）を長く残した葉を使用するか、大型の葉で
は茎が太すぎるというのであれば細い目の他の茎
を利用するようにしても良い。この場合茎は歯切
れのやや悪い繊維質のものであるが、包み込んだ
わさび葉を結わえる等の工夫を凝らしてユニーク
なすしを得ることも可能である。

［発明の効果］ 以上詳細に説明した通り本発明に係るすしは、
酢飯にすしだねをのせたものを、わさびの葉で包
んだものであることを特徴とするものであり、以
下述べる如き効果を有する非常に高度な発明であ
る。

にぎりずし又は切りずしの形態を採つている
ものの柿の葉ずしの如くすし本体が覆われてい
るため形くずれのしにくいものであるので、箱
詰めなどの包装がしやすい。

わさび葉自体も一緒に食することができるの
で、はがし取る必要がない。

独特な繊細な歯ざわりと風味がある。

ほとんど商品価値のなかつたわさびの葉を有
効に利用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るすしの一例を示す一部を
切り欠いた斜視図である。 １……すし、２……酢飯、３……シメサバ、４
……ネリわさび、５……わさび葉。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 酢飯にすしだねをのせたものを、わさびの葉
   で包んだものであることを特徴とするすし。 ２ わさびの葉は、塩漬け後冷暗所にて数日間お
   き、その後塩抜きして、揉んだものである特許請
   求の範囲第１項記載のすし。