JPH0521077A - 固体高分子電解質型燃料電池のシ−ル構造 - Google Patents

固体高分子電解質型燃料電池のシ−ル構造

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JPH0521077A
JPH0521077A JP3175631A JP17563191A JPH0521077A JP H0521077 A JPH0521077 A JP H0521077A JP 3175631 A JP3175631 A JP 3175631A JP 17563191 A JP17563191 A JP 17563191A JP H0521077 A JPH0521077 A JP H0521077A
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solid polymer
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Abstract

(57)【要約】 【目的】固体高分子電解質膜に加わる反応ガスの差圧,
および機械的ストレスにより、固体高分子電解質膜が破
損することの無い固体高分子電解質型燃料電池のシ−ル
構造を得る。 【構成】固体高分子電解質膜の面積が電極より大きく形
成され、固体高分子電解質膜とガス不透過性板との間が
電極を額縁状に包囲するガスシ−ル材によりガスシ−ル
されてなるものにおいて、固体高分子電解質膜周縁部分
に密着して配され電極に重なりを有する額縁状の保護膜
を、固体高分子電解質膜の少なくとも一方の面側に備え
るものとする。また、保護膜が厚み50μm以下のフッ
素樹脂系シ−トであるものとする。さらに、固体高分子
電解質膜,保護膜,および電極が、熱圧加工によりあら
かじめ一体化した複合膜からなるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、固体高分子電解質型
燃料電池における単電池のガスシ−ル構造、ことに固体
高分子電解質膜のガスシ−ル構造の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は従来の固体高分子電解質型燃料電
池を左右方向に展開して示す断面図であり、単電池は、
固体高分子電解質膜1と、その両面に触媒層が密着する
よう電子導電性を有する多孔質電極基材に支持されたア
ノ−ド電極2およびカソ−ド電極3と、この一対の電極
の両側に配され,燃料ガス通路6および酸化剤通路7を
有する一対のガス不透過性板4との積層体からなり、固
体高分子電解質膜1の面積が一対の電極2および3より
大きく形成され、固体高分子電解質膜1とガス不透過性
板4との間に介装され,隙間8を保持して電極を額縁状
に包囲するガスシ−ル材5により反応ガス通路6および
7内の燃料ガスおよび酸化剤ガスが積層面を介して外部
に漏れないようガスシ−ルされる。また、このように構
成された単電池の出力電圧は1V以下と低いので、単電
池複数層を積層して所望の出力電圧の燃料電池スタック
が形成される。
【0003】固体高分子電解質膜1としては、スルホン
酸基を持つポリスチレン系の陽イオン交換膜をカチオン
導電性膜として使用したもの、フロロカ−ボンスルホン
酸とポリビニリデンフロライドとの混合膜、フロロカ−
ボンマトリックスにトリフロロエチレンをグラフト化し
たもの、あるいはパ−フロロカ−ボンスルホン酸膜(米
国,デュポン社,商品名ナフィオン膜)などが知られて
おり、分子中にプロトン(水素イオン)交換基を持ち、
飽和含水することにより常温で20Ω-cm 以下の比抵抗
を示し、プロトン導電性電解質として機能するととも
に、燃料ガスと酸化剤ガスの混合を防ぐ隔膜としても機
能する。なお、飽和含水量は温度によって可逆的に変化
する。
【0004】一対の電極としてのアノ−ド電極2および
カソ−ド電極3は、触媒活物質を含む触媒層を電子導電
性を有する多孔質の電極基材で支持したものからなり、
複数の並列な溝からなる燃料ガス通路6から電極基材を
透過してアノ−ドに供給される燃料としての水素と、酸
化剤通路7からカソ−ドに供給される酸化剤としての酸
素がそれぞれの触媒層で3相界面を形成し、アノ−ド側
では水素分子を水素イオンと電子に分解する電気化学反
応が、カソ−ド側では酸素と水素イオンと電子から水を
生成する電気化学反応がそれぞれ行われ、アノ−ドから
カソ−ドに向かって外部回路を移動する電子により発電
電力が負荷に供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように構成され
た固体高分子電解質型燃料電池において、電極2または
3と,これを額縁状に包囲するガスシ−ル材5との間の
隙間8の部分では、固体高分子電解質膜1を支持するも
のが無いため、燃料ガスと酸化材ガスの圧力差(以下差
圧と呼ぶ)が異常に上昇すると、固体高分子電解質膜が
この差圧に耐えきれなくなって破れて固体高分子電解質
膜のガスシ−ル機能が失われ、両ガスが混合する事態が
発生することがあった。また、単電池を積層する際固体
高分子電解質膜に加わる機械的ストレスや,運転中の熱
応力による構成部材の変歪などによっても固体高分子電
解質膜が破れる事態が発生することがあった。燃料ガス
と酸化剤ガスが直接混合すると、爆鳴気となって燃焼
し、電池が燃損する等の重大事故に発展する危険性が高
いために、固体高分子電解質膜の破損事故の回避が重要
な課題になっている。
【0006】この発明の目的は、固体高分子電解質膜に
加わる反応ガスの差圧,および機械的ストレスにより、
固体高分子電解質膜が破損することの無い固体高分子電
解質型燃料電池のシ−ル構造を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明によれば、固体高分子電解質膜と、その両
面に触媒層が密着するよう電子導電性を有する多孔質電
極基材に支持された一対の電極と、この一対の電極の両
側に配された反応ガス通路を有する一対のガス不透過性
板との積層体からなり、前記固体高分子電解質膜の面積
が前記電極より大きく形成され、前記固体高分子電解質
膜とガス不透過性板との間に介装されて前記電極を隙間
を保持して額縁状に包囲するガスシ−ル材によりガスシ
−ルされてなるものにおいて、前記固体高分子電解質膜
周縁部分に密着して配され前記電極に重なりを有する額
縁状の保護膜を、前記固体高分子電解質膜の少なくとも
一方の面側に備えてなるものとする。
【0008】また、保護膜が厚み50μm以下のフッ素
樹脂系シ−トであるものとする。
【0009】さらに、固体高分子電解質膜,保護膜,お
よび電極が、熱圧加工によりあらかじめ一体化した複合
膜からなるものとする。
【0010】
【作用】この発明の構成において、固体高分子電解質膜
周縁部分に密着して配され電極に重なりを有する額縁状
の保護膜を、固体高分子電解質膜の両面側または一方の
面側に設けるよう構成したことにより、固体高分子電解
質膜および額縁状の保護膜が互いに重なって、その外周
側が一対のガスシ−ル材に挟持され、内周側が一対の電
極間に挟持されて、両挟持部分の間の隙間部分で保護膜
が固体高分子電解質膜を補強するよう作用するので、こ
の部分に加わる差圧の増大や機械的ストレスに耐える強
度を大幅に高める機能が得られ、固体高分子電解質膜の
ガスシ−ル機能が失われることによる爆鳴気の生成を排
除し、固体高分子電解質型燃料電池の安全運転性能を高
めることができる。
【0011】また、保護膜を厚み50μm以下のフッ素
樹脂系シ−トで形成すれば、固体高分子電解質膜に比べ
て強度の高いフッ素樹脂系シ−トに裏打ちされた固体高
分子電解質膜が、差圧および機械的ストレスに耐える強
度を発揮するとともに、保護膜の厚みを薄くして単電池
の積層寸法に及ぼす影響を軽減できる。
【0012】さらに、固体高分子電解質膜,保護膜,お
よび電極を、熱圧加工によりあらかじめ一体化した複合
膜とするよう構成すれば、保護膜による固体高分子電解
質膜の補強効果が一層高まるとともに、保護膜と電極の
重なり部分の段差を電極が吸収して単電池の厚みに及ぼ
す影響を回避することができる。
【0013】
【実施例】以下、この発明を実施例に基づいて説明す
る。図1はこの発明の実施例になる固体高分子電解質型
燃料電池を左右方向に展開して示す断面図、図2は実施
例になる固体高分子電解質型燃料電池の要部の断面図で
あり、従来技術と同じ構成部分には同一参照符号を付す
ことにより、重複した説明を省略する。図において、固
体高分子電解質膜1の周縁部分の両面には額縁状のフッ
素樹脂系シ−トからなる保護膜11が介装される。保護
膜11に用いるフッ素樹脂系シ−トとしては、例えば厚
み25μm程度の4フッ化エチレン−ペルフロロアルキ
ルビニルエ−テル共重合体シ−ト(PFAシ−ト)が適
しており、その額縁状の幅Wはアノ−ド電極2およびカ
ソ−ド電極3の周縁部分に5mm程度の重なりを有する
幅に形成される。
【0014】このように形成された保護膜11は固体高
分子電解質膜1と電極2および3を熱圧加工により複合
化する際、一緒に複合化される。すなわち、固体高分子
電解質膜,保護膜,および電極2および3を重ねてヒ−
トプレスに挟み、150°C,30kg/ cm2 の熱圧条件
でプレス処理することにより、3者が一体化した複合膜
が形成される。また、保護膜と電極の重なり部分は多孔
質の電極基材が収縮して段差が吸収され、単電池の積層
寸法に及ぼす影響が排除される。なお、電極を包囲する
額縁状のガスシ−ル材5および隙間8に相応する部分に
間隔片を介装した状態でプレス処理することにより、保
護膜11が固体高分子電解質膜に全面的に固着し、より
強固な複合膜が得られる。
【0015】このように形成された固体高分子電解質
膜,保護膜および一対の電極が一体化した複合膜の両側
には一対のガス不透過性板4が積層され、かつガスシ−
ル材5が充填されることにより、図2に示すように、固
体高分子電解質膜の外周部分がこれに固着した保護膜で
機械的に補強された固体高分子電解質型燃料電池の単電
池が形成される。さらに、単電池複数層を積層すること
によりスタックが形成される。
【0016】上述のようにしてえられた高分子電解質型
燃料電池においては、固体高分子電解質膜1に固着した
額縁状の保護膜11の外周側が一対のガスシ−ル材5に
挟持されて外部へのガス漏れが阻止されるとともに、内
周側が一対の電極間に挟持されて、両挟持部分の間の隙
間部分で保護膜が固体高分子電解質膜を補強するよう作
用するので、この部分に加わる差圧の増大や機械的スト
レスに耐える強度を大幅に高める機能が得られ、固体高
分子電解質膜のガスシ−ル機能が失われることによる爆
鳴気の生成を排除し、固体高分子電解質型燃料電池を安
全に運転することができる。なお、保護膜11を固体高
分子電解質膜の一方の面側にのみ設けるよう構成して
も、その厚みの決め方により前記と同様の機能が得られ
る。
【0017】
【発明の効果】この発明は前述のように、固体高分子電
解質膜周縁部分に密着して配され電極に重なりを有する
額縁状の保護膜を、固体高分子電解質膜の両面側または
一方の面側に設けるよう構成した。その結果、固体高分
子電解質膜および額縁状の保護膜が互いに密着し、その
外周側が一対のガスシ−ル材に挟持されて外部へのガス
漏れを阻止するとともに、内周側が一対の電極間に挟持
されて両挟持部分の間の隙間部分で保護膜が固体高分子
電解質膜を補強するよう作用するので、従来技術で問題
となった、この部分に加わる差圧の増大や機械的ストレ
スにより固体高分子電解質膜が破損する事態が排除さ
れ、固体高分子電解質膜のガスシ−ル機能が失われるこ
とによる爆鳴気の生成を回避し、固体高分子電解質型燃
料電池の安全運転性能を向上できるシ−ル構造を備えた
固体高分子電解質型燃料電池を提供することができる。
【0018】また、保護膜を厚み50μm以下のフッ素
樹脂系シ−トで形成すれば、固体高分子電解質膜に比べ
て強度の高いフッ素樹脂系シ−トに裏打ちされた固体高
分子電解質膜が、差圧および機械的ストレスに耐える強
度を発揮し、かつ保護膜の厚みを薄くして単電池の積層
寸法に及ぼす影響を軽減できる利点が得られる。
【0019】さらに、固体高分子電解質膜,保護膜,お
よび電極を、熱圧加工によりあらかじめ複合化した積層
膜とするよう構成すれば、保護膜による固体高分子電解
質膜の補強効果が一層高まるとともに、保護膜と電極の
重なり部分の段差を電極が吸収して単電池の厚みに及ぼ
す影響を回避できる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例になる固体高分子電解質型燃
料電池を左右方向に展開して示す断面図
【図2】実施例になる固体高分子電解質型燃料電池の要
部の断面図
【図3】従来の固体高分子電解質型燃料電池を左右方向
に展開して示す断面図
【符号の説明】
1 固体高分子電解質膜 2 アノ−ド電極 3 カソ−ド電極 4 ガス不透過性板 5 ガスシ−ル材 6 燃料通路 7 酸化剤通路 8 隙間 11 保護膜(フッ素樹脂系シ−ト)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体高分子電解質膜と、その両面に触媒層
    が密着するよう電子導電性を有する多孔質支持基材に支
    持された一対の電極と、この一対の電極の両側に配され
    た反応ガス通路を有する一対のガス不透過性板との積層
    体からなり、前記固体高分子電解質膜の面積が前記電極
    より大きく形成され、前記固体高分子電解質膜とガス不
    透過性板との間に介装されて前記電極を隙間を保持して
    額縁状に包囲するガスシ−ル材によりガスシ−ルされて
    なるものにおいて、前記固体高分子電解質膜周縁部分に
    密着して配され前記電極に重なりを有する額縁状の保護
    膜を、前記固体高分子電解質膜の少なくとも一方の面側
    に備えてなることを特徴とする固体高分子電解質型燃料
    電池のシ−ル構造。
  2. 【請求項2】保護膜が厚み50μm以下のフッ素樹脂系
    シ−トであることを特徴とする請求項1記載の固体高分
    子電解質型燃料電池のシ−ル構造。
  3. 【請求項3】固体高分子電解質膜,保護膜,および電極
    が、熱圧加工によりあらかじめ一体化した複合膜からな
    ることを特徴とする請求項1記載の固体高分子電解質型
    燃料電池のシ−ル構造。
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