JPH05131968A - 自転車用のペダルと靴との連結構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 靴をクリートによってペダルに連結するも、
足に無理な負荷が掛かりにくいように靴が設定範囲でペ
ダルに対して自由に横動きするようにしながら、しか
も、靴の動き過ぎを防止すると共に、ペダル支軸への踏
み力伝達の効率変化を抑制しながらペダル操作できるよ
うにする。 【構成】 クリート５と係止部３，４との係合構造に融
通手段Ｗを備え、ペダル操作する足に対ペダル姿勢を変
更する力が作用すると、クリート５がペダルＰの係止部
３，４に対する係合を維持したままでペダル横方向に揺
動し、靴がペダルに対して横動きするようにしてある。
靴がペダルＰに対して横揺動しても、靴の慣性による動
き過ぎが生じにくいように、かつ、踏力点Ｆがペダル支
軸芯Ｘに対して大きくは接近あるいは離間しないよう
に、クリート５の揺動中心がクリート後端部５ａ側の箇
所Ｚに位置するように形成してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ペダルと靴とをクリー
トを介して連結する自転車用のペダルと靴との連結構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、図４に示すように、靴（図示せ
ず）に備えられるクリート５に対する係止部３，４をペ
ダルＰに備えると共に、前記係止部３，４とクリート５
との間に、クリート５がその前端側を中心にしてペダル
横方向に揺動することを許容する係合融通を備えられ、
靴のペダルに対する大幅なずれ動きやスリップを防止で
きるように靴とペダルとを連結してペダル操作すること
が可能になり、しかも、靴をペダルに連結した連結状態
であっても、前記係合融通のために靴がペダルに対して
ペダル横方向に揺動するのであり、ペダル操作に伴って
足がペダルに対して若干の自然な横動きをし、靴とペダ
ルが融通のほとんどない完全な連結状態にあるよりも、
足に無理な負担が掛かりにくい有利な状態でペダル操作
することが可能になったものがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来、足が横動きする
際に過剰に動き過ぎやすくなっていた。また、足の横動
きに伴う駆動効率の変化が足の横動き量の割りには比較
的大になっていた。すなわち、クリートによる靴とペダ
ルの連結を可能に構成する際には、靴側からペダルへの
駆動力伝達の関係から、図４に示す配置関係にペダル
Ｐ、クリート５および靴が位置するように設定されるの
である。つまり、ペダル平面視においてペダル支軸芯Ｘ
がクリート５の前端部５ａと後端部５ｂとの間に位置す
るように、かつ、靴側からペダル側に踏力伝達する作用
中心となる踏力点Ｆがクリート５の前端部５ａより後端
部５ｂに近い箇所に位置するように設定されるのであ
る。この結果、靴がペダルＰに対して横移動すると、こ
の靴移動を現出するクリート揺動のために踏力点Ｆがペ
ダルＰに対してクリート前端側を中心にして移動するこ
とになり、踏力点Ｆの移動中心Ｚと、踏力点Ｆとの間隔
の長さＬが比較的長くなるのである。このことに起因
し、ペダルを踏み込み操作しながら横移動する足に作用
する動慣性が大になりやすくなっているのである。ま
た、靴の横移動に伴う踏力点Ｆのペダル前後方向での移
動ストロークが比較的大になり、靴の横移動に伴って踏
力点Ｆがペダル支軸芯Ｘに対して接近したり、離間した
りするストロークが靴の動きストロークの割りには大に
なるのである。本発明の目的は、足に無理な負荷が掛か
らないように融通をもたせて靴をペダルに連結できるも
のでありながら、その融通に起因する足の動き過ぎが生
じにくいと共に、操作効率の変化が少ない連結構造を提
供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明による自転車用の
ペダルと靴との連結構造にあっては、目的達成のため
に、ペダルに備えられるクリート用の係止部と、クリー
トとが係合する状態で、ペダル平面視でクリートの後端
部に位置する箇所を揺動中心にして靴がペダルに対して
ペダル横方向に設定ストローク、揺動することを許容す
る融通手段を備えてあることを特徴とする。その作用、
効果はつぎのとおりである。

【０００５】

【作用】足に無理な負荷が掛からないように靴がペダル
に対して揺動することを可能にするために必要な最大ス
トロークを前記設定ストロークとして設定する。する
と、足の姿勢変化に必要な揺動ストロークとしての前記
設定ストロークを越えての大幅なずれ動が生じないよう
に靴をペダルに固定しながらも、ペダル操作に伴ってペ
ダル位置が変化すると、この位置変化に起因する体勢変
化等と前記融通手段とのために靴がペダルに対して自ず
と横動き揺動する。しかも、靴が横動き揺動するに当た
り、平面視でクリートの後端部に位置する箇所を中心に
して揺動することにより、揺動中心と前記踏力点との間
隔長さが従来より小である状態で揺動し、横動きの慣性
による勢いがつきにくいと共に、横動き揺動に起因する
前記踏力点のペダル支軸芯に対する接近ストロークや離
間ストロークが靴の横動きストロークの割りには小にな
る。

【０００６】

【発明の効果】靴をペダルに大幅に位置ずれしたり外れ
たりしないように連結しながらも、前記設定揺動ストロ
ーク内では自由に、しかも、必要以上には動き過ぎにく
い状態で靴がペダルに対して動き、その割りにはペダル
支軸への踏み力伝達の効率が大きくは変化せず、足に無
理な力が掛かりにくくて疲労しにくいようにしながら力
強く走行駆動することが可能になった。

【０００７】

【実施例】図２および図３に示すように、踏み込み操作
部１ａを両面側に備えるペダル本体１に、ペダル支軸２
を軸芯Ｘ回りで回動可能に備えると共に、いずれもの踏
み込み操作部１ａに、前後一対の係止部３，４をクリー
ト５に係合作用するように備えて、靴Ｓをクリート５に
より固定して使用するように自転車用ペダルＰを構成し
てある。前記係止部３，４のうちの前側係止部３は、ペ
ダル本体１の前記軸芯Ｘより前方側に位置する箇所に配
置してあると共に、ペダル本体１に前記軸芯Ｘに平行ま
たはほぼ平行な軸芯回りで揺動するように枢着した係止
部形成部材６のペダル本体後向きのフック部で構成して
あり、かつ、前記係止部形成部材６の内部に位置するロ
ックスプリング（図示せず）によって図２に示す係合作
用姿勢に揺動付勢してある。前記係止部３，４のうちの
後側係止部４は、ペダル本体１の前記軸芯Ｘより後方側
に位置する箇所に配置してあると共に、ペダル本体１に
前記軸芯Ｘに平行またはほぼ平行な軸芯回りで揺動する
ように枢着した係止部形成部材７のペダル本体前向きの
フック部で構成してあり、かつ、前記係止部形成部材７
の内部に位置するロックスプリング（図示せず）によっ
て図２に示す係合作用姿勢に揺動付勢してある。つま
り、クリート５の前端部５ａを前側係止部３にペダル本
体１の後方側から差し込みながら、クリート５の後端部
５ｂを後側係止部４に上方から押し込み操作すると、ク
リート５のカム作用と前記ロックスプリングの付勢作用
とのためにクリート５の後端部５ｂが後側係止部４をペ
ダル本体１後方側に押圧揺動させながら後側係止部４の
下側に入り込み移動し、この移動後に後側係止部４が自
動的に係合作用姿勢にもどってクリート５の後端部５ｂ
に係合し、そして、クリート後端部５ｂの後側係止部４
への入り込み移動に伴って、クリート５の前端部５ａが
前側係止部３に所定通り入り込んで、クリート５と係止
部３，４との係合が完了し、図２に実線で示す如く靴Ｓ
がペダルＰに連結するのである。

【０００８】クリート５、前側係止部３および後側係止
部４を図１の如き形状に形成すると共に、クリート５の
前端部５ａの両側に各別に作用するようにペダル本体１
に備えてあるストッパー８ａと８ｂの間隔Ｗを、クリー
ト前端部５ａの横幅Ｈより大に形成して、クリート５が
前側係止部３および後側係止部４に対する係合を維持し
たままで、クリート後端部５ｂと後側係止部４との接触
箇所Ｚを中心にしてペダル本体１の横方向に揺動するこ
とを可能に構成することにより、係止部３，４とクリー
ト５とが係合する状態でも、靴Ｓが平面視でクリート５
の後端部５ｂに位置する箇所としての前記接触箇所Ｚを
中心にしてペダルＰに対してペダル横方向に、前記スト
ッパー間隔Ｗと前記クリート前端部横幅Ｈとの差によっ
て決まる設定ストロークＡを揺動することが可能なよう
に構成してある。すなわち、ペダル操作時に足がペダル
Ｐに対して自由に横揺動して足にペダルＰに対する連結
姿勢の面から無理な負荷が掛からないようにするのに必
要な最大揺動ストロークを前記設定ストロークＡとして
設定してあり、ペダル操作に伴ってペダルＰの車体に対
する位置が変化すると、この位置変化に起因する体勢変
化等のために靴ＳがペダルＰに対して自ずと横動き揺動
し、靴ＳをペダルＰに連結しながらも、足に無理な負荷
が掛からないようにしながら走行駆動操作できるように
配慮してある。しかも、靴Ｓが横動き揺動するに当た
り、クリート後端部５ｂに位置する箇所Ｚを中心にして
揺動することにより、ペダル支軸２に踏み力伝達する中
心としての踏力点Ｆと、揺動中心Ｚとの間隔長さＬが比
較的小である状態で揺動し、足の横動きに慣性による勢
いがつきにくくて足が必要以上に横動きしにくくなると
共に、横動き揺動に起因する前記踏力点Ｆのペダル支軸
芯Ｘに対する接近ストロークや離間ストロークが靴Ｓの
横動きストロークの割りには小になってペダル支軸２へ
の踏み力伝達効率がおおきくは変化しないのである。

【０００９】上記実施構造にあっては、クリート５の揺
動中心としての前記箇所Ｚがペダル横方向にほとんど位
置変化しない固定箇所になるように、クリート５と係止
部４との係合構造を構成してあるが、クリート後端部５
ａと係止部４との間に係合融通を形成して、クリート揺
動中心がペダル横方向に若干は位置変化することを可能
に構成することにより、靴の揺動による横移動の他に、
スライドによる横移動をも可能なようにして実施しても
よいのである。また、クリート５として、前記前端部横
幅Ｈが異なる複数種類のクリートを形成しておいて、い
ずれか一つのクリートを選択して靴に取り付けて使用す
るとか、前記ストッパー８ａ，８ｂを位置調節可能に構
成しておいて、この位置調節操作をするとかにより、靴
の揺動可能ストロークを必要に応じて変更調節するよう
に構成して実施してもよい。

【００１０】〔別実施例〕上記実施例の如く、クリート
とクリート用係止部との間の融通によって靴がペダルに
対して揺動するように構成する他、クリートとクリート
用係止部とは揺動不能に係合するように構成すると共
に、クリートを靴に揺動可能に連結するか、あるいは、
クリート用係止部をペダル本体に揺動可能に支持される
ように取付けることにより、クリートと靴との間の融通
によって靴がペダルに対して横揺動することを可能にし
たり、クリート用係止部とペダル本体との間の融通によ
って靴がペダルに対して横揺動することを可能にして実
施してもよいのである。したがって、これらのように靴
のペダルに対する揺動を許容する構成を、融通手段Ｗと
総称する。

【００１１】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】クリートと係止部との係合状態を示す平面図

【図２】ペダルの側面図

【図３】ペダルとクリートの斜視図

【図４】従来のクリートと係止部との係合状態を示す平
面図

【符号の説明】 ３，４ 係止部 ５ クリート Ａ 設定ストローク Ｐ ペダル Ｓ 靴 Ｗ 融通手段 Ｚ 箇所

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ペダル（Ｐ）と靴（Ｓ）とをクリート
   （５）を介して連結する自転車用のペダルと靴との連結
   構造であって、 前記ペダル（Ｐ）に備えられるクリート用の係止部
   （３),（４）と、前記クリート（５）とが係合する状態
   で、ペダル平面視で前記クリート（５）の後端部に位置
   する箇所（Ｚ）を揺動中心にして前記靴（Ｓ）が前記ペ
   ダル（Ｐ）に対してペダル横方向に設定ストローク
   （Ａ）、揺動することを許容する融通手段（Ｗ）を備え
   てある自転車用のペダルと靴との連結構造。