JP7371432B2 - インク組成物、該組成物を用いてなる積層体、光波長変換層、光波長変換部材及びカラーフィルタ - Google Patents

インク組成物、該組成物を用いてなる積層体、光波長変換層、光波長変換部材及びカラーフィルタ Download PDF

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本発明は、優れたインキ安定性、及び硬化性を有し、さらに、高い光効率特性を発揮する、量子ドットを含有するインク組成物、該組成物を用いてなる積層体、光波長変換層、光波長変換部材、カラーフィルタに関する。
本発明の主要構成をなす量子ドットは、量子力学に従う独特な光学特性を発現させるために、電子を微小な空間に閉じ込めるために形成された極小さな粒(ドット)である。1粒の量子ドットの大きさは、直径1ナノメートルから数10ナノメートルであり、約1万個以下の原子で構成されている。発する蛍光の波長が、粒の大きさで連続的に制御できること、蛍光強度の波長分布が対称性の高いシャープな発光が得られることから近年注目を集めている。量子ドットは、人体を透過しやすい波長に蛍光を調整でき、体内のあらゆる場所に送達できることより発光材料として生体イメージング用途、褪色の恐れがない波長変換材料として太陽電池用途、鮮明な発光材料、波長変換材料としてエレクトロニクス・フォトニクス用途等への展開検討が行われている。
これらの用途に展開するときに、微細なパターンを形成することが必要になる。パターン形成のために感光材料を用いて、レジスト液を作製し、マスクを介して光照射する方法が提案されている(特許文献1)。一方、レジスト化を必要としないパターン形成手法としてインクジェット法を用いた量子ドット含有インクジェットインキが提案されている。(特許文献2、3)
特開2015-127733号公報 特開2018-109141号公報 国際公開第2018/123103号
しかし、特許文献1の発明では、光照射時における量子ドットの劣化や、現像時の量子ドット流出等による量子ドット材料の利用効率低下等の問題があった。
また、インクジェット法ではインキ特性、特に吐出性と印刷後の密着性等の両立、及び、量子ドットの光効率特性等の性能バランスが非常に難しく、特許文献2の発明では、実用性のあるものは得られていない。特に、現状インクジェット法に適応させるには、粘度を10mPa・s程度と低粘度にする必要がある。
したがって、本発明の目的は、量子ドットの蛍光特性を損なうことなく印刷可能なインク組成物、特にインクジェット法で印刷可能なインク組成物を提供することであり、詳細には、低粘度で安定性、硬化性、蛍光特性に優れたインク組成物、該組成物からなる積層体、光波長変換層、光波長変換部材、カラーフィルタを提供することにある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、下記発明に関する。
〔1〕 量子ドット(A)、アミド基を有する光重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含む、インク組成物。
〔2〕 前記アミド基を有する光重合性化合物(B)の含有量が、組成物中の全固形分量に対して5質量%以上である、〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕 前記量子ドット(A)の含有量が、組成物中の全固形分量に対して15質量%以上である、〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕 光散乱粒子(D)をさらに含有する、〔1〕~〔3〕いずれか1項に記載のインク組成物。
〔5〕 前記光散乱粒子(D)が、金属酸化物からなる粒子である、〔4〕に記載のインク組成物。
〔6〕 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ用である、〔1〕~〔5〕いずれか1項に記載のインク組成物。
〔7〕 複数の層を有する積層体であって、少なくとも1層が、〔1〕~〔6〕いずれか1項に記載のインク組成物からなる発光層を有する積層体。
〔8〕 〔1〕~〔6〕いずれか1項に記載のインク組成物からなる光波長変換層。
〔9〕 〔8〕に記載の光波長変換層を有する光波長変換部材。
〔10〕 基材上に、〔1〕~〔6〕いずれか1項に記載のインク組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備するカラーフィルタ。
本発明により、量子ドットの蛍光特性を損なうことなく印刷可能なインク組成物、特にインクジェット法で印刷可能なインク組成物を提供することができる。詳細には、低粘度で安定性、硬化性、蛍光特性に優れたインク組成物、該組成物からなる積層体、光波長変換層、光波長変換部材、カラーフィルタを提供することができる。
本発明のインク組成物は、量子ドット(A)、アミド基を有する光重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含むことを特徴とする。アミド基を有する光重合性化合物は溶解性・相溶性が優れており、基材密着性の向上・UV硬化性の向上等の効果を発揮するだけでなく、インク組成物の低粘度化に寄与する。また、量子ドットや光散乱粒子と配合した場において、それらの分散性を損なうことや、粘度上昇を引き起こさないため、広範囲の配合比率で組み合わせることができ、印刷適性・硬化性を維持しつつ、励起光透過を抑制し、外部量子効率を高めることができる。したがって、アミド基を有する光重合性化合物を含むことにより、紫外線等の活性エネルギー線の照射量が低い場合であっても、十分な硬化性と基材密着性が発揮される。以下、本発明を詳細に説明する。
<量子ドット(A)>
本発明に用いられる量子ドット(A)は、ナノサイズの半導体である。本発明に用いられる量子ドット(A)は、光による刺激で発光できる量子ドットであれば、特に限定されない。
量子ドット(A)は、2族元素、10族元素、11族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素及び16族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を
含む化合物半導体であることが好ましく、2種以上の元素を含んでいてもよい。
具体的には、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO及び二つ又はそれ以上のそのような材料の適切な組み合わせが挙げられる。
前記のうち、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、As、Sb、Pb、S,Se,Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体が好ましい。さらに好ましくは、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、S,Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体である。さらに好ましくは、バンドギャップの狭さからInを構成元素として含む半導体が、可視光を発光する用途では好ましい。
量子ドット(A)の構造は、前記記載の元素を含む構造であれば、均一な単一構造、コア/シェル型構造、グラジエント構造等のような複層構造又はこれらの混合構造であってもよい。
量子ドット(A)は、コア/シェル型構造をとる化合物半導体が好ましい。コアを形成する化合物半導体成分と異なる化合物半導体成分でコア構造を被覆し、外部がバントギャップの大きい化合物半導体であることにより、光等のエネルギー励起によって生成された励起子(電子-正孔対)はコア内に閉じ込められる。その結果、化合物半導体表面での無輻射遷移の確率が減少し、発光の量子収率及び量子ドットの蛍光特性の安定性が向上する。量子ドットとして使用される場合に、前記の条件を満たす好適な材料の組合せとしては、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdS/ZnS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、PbSe/PbS、GaP/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
また、本発明に用いられる量子ドット(A)を形成する化合物半導体のシェル成分としては、ZnS、CdS、ZnSe等が良く用いられるが、この中でものコア成分がInを構成元素として含む場合、ZnSは量子ドットとしての励起子閉じ込め等の特性的にも特に優れており、好適に使用される。
また、半導体微粒子の材質としては、ペロブスカイト結晶も好ましく用いることができる。本発明の量子ドットとして好適なペロブスカイト結晶は、下記一般式(1)で表される組成を有し、3次元結晶構造を持つものである。
一般式(1): ABX
一般式(1)において、Aはメチルアンモニウム(CHNH)、及び、ホルムアミジニウム(NHCHNH)から選ばれる少なくとも1つであるアミン化合物の1価陽イオンであるか、又は、ルビジウム(Rb)、セシウム(Ce)、及び、フランシウム(Fr)から選ばれる少なくとも1つのアルカリ金属元素の1価陽イオンであり、Bは鉛(Pb)及び錫(Sn)から選ばれる少なくとも1つである金属元素の2価陽イオンであり、Xはヨウ素(I)、臭素(Br)、及び塩素(Cl)から選ばれる少なくとも1つのハロゲン元素の1価陰イオンである。ペロブスカイト結晶の特徴は結晶中のハロゲン元素の比率により赤から青までの可視光領域のほぼすべての波長を狭い半値幅でカバーできることである。
量子ドット(A)を形成する化合物半導体の無機材料部分の平均粒径は0.5nm~1000nmであることが好ましく、所望の特性が得られる粒径を選択することができる。コア平均粒径は0.5nm~25nmであることが好ましく、より好ましくは0.5nm~15nmである。平均粒径が0.5nm以上であると合成が容易となるため好ましく、また100nm以下であると量子閉じ込め効果が良好で求める蛍光が得られやすいため好ましい。量子ドットにおいては、同じ材料であってもコア粒径を変えることで蛍光波長を任意に変更可能なことが特徴であり、求める蛍光波長に応じて粒径を設定することになる。コア/シェル型の場合、一つの化合物半導体の中に複数のシェル微粒子を含有してもよい。シェルの平均厚みは無機材料部分の粒子半径とコア粒子半径の差に相当するが、シェルの厚みが最適であると、強度や閉じ込め効果が十分であり、さらに全体粒径が大きくならず塗工液やインキにした場合の分散性に優れ、量子ドットの場合、励起方法によらずコアを励起させやすいため好ましい。量子ドット(A)の形状は、球状に限らず、棒状、円盤状、そのほかの形状であっても良い。
ここで言う平均粒径とは、量子ドットを透過型電子顕微鏡で観察し、無作為に30個のサイズを計測してその平均値を採用した値である。量子ドットの粒径は、量子ドットの半導体材質部を特定して、エネルギー分散型X線分析が付帯した走査型透過電子顕微鏡を用いることで、リガンドと半導体微粒子との電子密度の違いによる撮像の明暗から計測することができる。
量子ドット(A)は、さらに有機物で被覆処理されていても良い。これらの有機物は被覆材料又は保護材料と称され、特に合成時には微粒子表面の処理剤、さらには量子ドットの場合には、リガンド又は配位子と呼ばれることも多い。一般的に被覆材料として用いることのできる有機物としては、無機半導体微粒子の金属部分に吸着する強い極性、又は非共有電子対を有し、さらに、炭素鎖や芳香環が連結した構造、ポリアルキレングリコール構造等を有することで、塗液やインキとして使用する溶剤や樹脂との親和性が高い部分構造を有する有機物である。このような有機物は一般的には、有機及び無機顔料や無機化合物材料の分散剤や、洗剤やエマルジョン形成等の際に使用される界面活性剤、乳化剤として良く知られているものであり、本発明でもこれらの化合物を使用することができる。また、金属錯体の配位子(リガンド)として使用される部分構造を有する化合物、特に金属への配位座を2個以上有するキレ-ト配位子構造を有する化合物は、化合物半導体の金属部分へ吸着しやすく、かつ脱離しにくいため、使用することが可能である。
本発明において、特に合成時に処理剤として用いることのできる有機物は沸点が高く、アルキル鎖部分の相互作用が期待できる、炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機物が好ましい。また、化合物半導体への作用を強固にするために極性基を有してもよく、処理できる有機物として、有機酸、有機アミン、硫黄含有有機物、リン含有有機物が挙げられる。
有機酸としては、末端にカルボン酸を有する化合物を用いることができ、芳香環、エーテル基を含むことができ、分子中にカルボン酸を複数有していても構わない。具体例として、安息香酸、ビフェニルカルボン酸、ブチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、シクロヘキシル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、エチルヘキサン酸、ヘキセン酸、オクテン酸、シトロネル酸、スベリン酸、エチレングリコールビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、(2-ブトキシエトキシ)酢酸等が挙げられる。炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機酸としては、有機酸のうち、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物であり、具体的には、ノナン酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、エイコサジエン酸、リノレン酸、セバシン酸、(2-オクチルオキシ)酢酸等が挙げられる。
有機アミンとしては、末端にアミノ基を有する化合物を用いることができ、n-ブチルアミン、iso-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機アミンとしては、オクチルアミン、ドデカアミン、ヘプタデカン-9-アミン、N,N-ジメチル-n-オクチルアミン等が挙げられる。
硫黄含有有機物としては、チオール類とジスルフィド類が挙げられる。
チオール類としては、アリルメルカプタン、1,3-ベンゼンジメタンチオール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾールブタンチオール、n-ヘキサンチオール、n-ヘプタンチオール等が挙げられる。炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するチオール類の硫黄含有有機物としては、ドデカンチオール、1-ドコサンチオール、tert-ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
ジスルフィド類としては、ビス(4-クロロ-2-ニトロフェニル)ジスルフィド、ヘキシルスルフィド、3,3’,5,5’-テトラクロロジフェニルジスルフィド等が挙げられる。炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するスルフィド類の硫黄含有有機物としては、ドデシルジスルフィド、オクタデシルジスルフィド、ドデシルオクタデシルジスルフィド等が挙げられる。
リン含有有機物としては、リン酸ブチル、リン酸ヘキシル、リン酸ジイソプロピル、(2-エチルヘキシル)ホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル、プロピルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸メチル、イソプロピルホスホン酸ヘキシル等が挙げられる。炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するリン含有有機物としては、リン酸オクチル、リン酸ジドデシル、リン酸ドデシル、ドデシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸ドデシル、デシルホスホン酸、デシルホスホン酸イソプロピル等が挙げられる。
量子ドット(A)の合成方法としては、ガラス中で作成する方法、水溶液中で合成する方法、有機溶媒中で合成する方法など、一般的に知られている方法を用いることができる。特に、InP/ZnSコアシェル型量子ドットに関しては技術文献「Journal of American Chemical Society.2007,129,15432-15433」、「Journal of American Chemical Society.2016,138,5923-5929」、InCuS2/ZnSコアシェル型量子ドットに関しては技術文献「Journal of American Chemical Society.2009,131,5691-5697」 技術文献 「Chemistry of Materials.2009,21,2422-2429」、Si量子ドットに関しては技術文献「Journal of American Chemical Society.2010,132,248-253」記載されている方法を参照して合成することができる。
本発明に用いられる量子ドット(A)は、既に被覆材料で表面処理された化合物半導体と入れ替えたい別の被覆材料とを溶剤中で撹拌するか、既に被覆材料で表面処理された化合物半導体を遠心沈降などで溶剤をおおよそ取り除いた後、入れ替えたい別の被覆材料を含む溶剤に化合物半導体を再分散させる方法などで、被覆材料を交換することができ、これによって塗工液やインキに好適な所望の溶剤や、樹脂との親和性の高い被覆材料に表面処理することで、目的とする塗工物や印刷物という最終形態を得ることができる。
量子ドット(A)の含有量はインク組成物の全固形分量に対して、10質量%以上が好ましく、より好ましくは15~60質量%であり、さらに好ましくは15~45質量%である。含有量が10質量%以上であると、印刷物の光効率特性が良好となり好ましい。含有量が60質量%以下であると、塗工液やインク組成物の粘度が低粘度であり吐出性に優れることや、塗工物、印刷物の硬化性や密着性が良好となるため好ましい。
<アミド基を有する光重合性化合物(B)>
本発明のアミド基を有する光重合性化合物(以下、アミドモノマーともいう)は、1分子中にアミド基とラジカル重合性炭素-炭素二重結合を有しており、N位がアルキル基などで置換していてもよい。本化合物は単体での粘度が低いだけで無く、溶解性、相溶性が優れておりインキの低粘度化及び塗工層への密着性の向上、硬化性の向上等の効果があり、特に、UV硬化インクジェットインキの反応性希釈剤として有効である。また、量子ドット(A)や光散乱粒子(D)と配合してもそれらの分散性を損なったり、粘度上昇を伴う恐れが少ないため、広範囲の配合比率で用いることが出来、印刷適性、硬化性を十分保持したまま、励起光透過を抑えたり、外部量子効率を高めることが容易となる。
アミドモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミドモノマー、ラクタム系ビニルモノマーが挙げられるが、これに限定されるものでは無い。
ラクタム系ビニルモノマーとしては、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム、メチルビニルピロリドン等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-位に置換基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、好ましくはN-位に置換基を有する(メタ)アクリルアミドである。そのN-位の置換基の典型的な例はアルキル基であるが、(メタ)アクリルアミドの窒素原子とともに環を形成していてもよく、この環は、炭素原子及び(メタ)アクリルアミドの窒素原子に加え、酸素原子を環構成員として有してもよい。さらに、その環を構成する炭素原子には、アルキルやオキソ(=O)のような置換基が結合していてもよい。
N-置換(メタ)アクリルアミドとしては、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-ドデシル(メタ)アクリルアミド、N-t-オクチル(メタ)アクリルアミドのようなN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミドのようなN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N-置換基すなわち窒素原子上の置換基は、水酸基を有するアルキル基であってもよく、その例として、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N-置換基は、アミノ基を有するアルキル基であってもよく、その例として、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのような、N-アルキル(メタ)アクリルアミドにおけるアルキル基の水素原子がジアルキルアミノ基で置換された、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
N-置換基は、芳香環や上記以外の酸素原子を有する置換基であってもよく、その例として、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、6-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸等が挙げられる。
さらに、上記した5員環又は6員環を形成するN-置換(メタ)アクリルアミドの具体的な例としては、N-アクリロイルピロリジン、3-アクリロイル-2-オキサゾリジノン、4-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピペリジン等が挙げられる。
これらのアミドモノマーの中でも、インク組成物の粘度低下効果の観点から、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく、より好ましくは、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
アミドモノマーは、インク組成物の全固形分量に対して、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは5質量%~40質量%、さらに好ましくは10質量%~25質量%の範囲で用いる。5質量%以上であると粘度低下効果を十分に発揮されるため好ましい。40質量%以下であると量子ドット(A)の相対量が十分となり光効率特性が良好となるため好ましい。
アミドモノマーの含有量は、後述のその他重合性化合物を含む光重合性化合物全量に対して、好ましくは10~90質量%であり、より好ましくは20~80質量%、さらに好ましくは40~75質量%である。10質量%以上であると粘度低下効果が発揮されるため好ましい。90質量%以下であると塗工物、印刷物の硬化性や密着性が良好となるため好ましい。
(その他光重合性化合物)
本発明を構成するアミドモノマー以外の光重合性化合物としては、炭素-炭素二重結合
を一つないし二つ以上有する化合物を挙げることができる。
炭素-炭素二重結合を一つ有する化合物としては、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、ヒドロキシフェノキシエチルアクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-アクリロイロキシプロピルアクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド-2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート等が挙げる事ができるが、これに限定されるものでは無い。
炭素-炭素二重結合を二つ以上有する多官能重合性化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチル-ルプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ(2-ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられるがこれに限定されるものでは無い。
その他光重合性化合物として、上記以外に炭素-炭素二重結合を有し分子量の大きなオリゴマー、プレポリマ-と呼ばれるものを使用できる。具体的にはダイセルUCB社製「Ebecryl」シリーズ、サートマー社製「CNシリーズ」、BASF社製「Laromerシリーズ」、コグニス社製「フォトマーシリーズ」、根上工業社製「アートレジンシリーズ」、日本合成社製「紫光シリーズ」、日本化薬社製「カヤラッドシリーズ」等が挙げられる。これらの重合性化合物は、一種又は必要に応じて二種以上用いても良い。
<光重合開始剤(C)>
本発明においてインク組成物を塗工、印刷後に硬化物を形成するために紫外線を使用する際は、光重合開始剤として、光ラジカル重合開始剤をインク組成物に配合することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型又は水素引き抜き型のものが本発明に好適である。具体例としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4、6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2、4、6-ジメトキシベンゾイル)-2、4、4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1,2-オクタンジオン、1-(4-(フェニルチオ)-2,2-(O-ベンゾイルオキシム))、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン及び2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等を併用してもよいし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド等も併用できる。
また上記光ラジカル重合開始剤に対し、増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、P-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N-ジメチルベンジルアミン及び4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン類を併用することもできる。上記光ラジカル重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤と増感剤の合計量は、インク組成物の全固形分中、1質量%~15質量%の範囲で用いることが好ましい。1質量%以上だと硬化不良が起こりにくいため好ましい。15質量%以内だと反応残留物等による硬化後の諸物性への影響が低減するため好ましい。
<光散乱粒子(D)>
本発明のインク組成物は、光散乱粒子(D)を含有してもよい。光散乱粒子(D)は、
塗工物又は印刷物中で光を散乱することで、実質的な光路長を延長し、量子ドットの光吸収効率を向上させたり、変換前の波長の光の透過を妨げるものであれば限定されるものではなく、例えば無機白色顔料、有機白色顔料、ポリマー微粒子等を挙げることができる。また白色の拡散反射散乱以外に粒子間又は粒子-媒質間の屈折率差による散乱を利用し
てもよい。
無機白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属酸化物、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、鉛白、タルク、クレー等があり、有機白色顔料としてはビススチリル誘導体白色顔料や、アルキレンビスメラミン誘導体白色顔料等がある。
中でも、波長変換前の波長隠蔽性や量子ドットの光吸収効率の点において、光散乱粒子としては金属酸化物が好ましく、特に酸化チタンが好ましく用いられる。酸化チタンには、ルチル型、アナターゼ型、ブルーカイト型といった結晶形態があり、本発明においてはいずれも好適に用いることができるが、光透過性が低く隠蔽性が高いルチル型がより好適に用いられる。ルチル型の酸化チタンを選択した場合、光透過性が悪いゆえに硬化不良が起こりやすいが。本発明のアミド基を有する光重合性化合物を用いることで、十分な硬化性を発現させることができる。
また本発明で酸化チタンを使用する場合、分散の安定化や耐候性の向上のため、必要に応じて表面処理を行うことができる。表面処理方法や表面処理剤は、公知のものを任意に用いることができる。
酸化チタンの具体例としては、石原産業社製「タイペークCR-50、50-2、57、80、90、93、95、953、97、60、60-2、63、67、58、58-2、85」「タイペークR-820,830、930、550、630、680、670、580、780、780-2、850、855」「タイペークA-100、220」「タイペークW-10」「タイペークPF-740、744」「TTO-55(A)、55(B)、55(C)、55(D)、55(S)、55(N)、51(A)、51(C)」「TTO-S-1、2」「TTO-M-1、2」、テイカ社製「チタニックスJR-301、403、405、600A、605、600E、603、805、806、701、800、808」「チタニックスJA-1、C、3、4、5」、デュポン社製「タイピュアR-900、902、960、706、931」等が挙げられる。
本発明の光散乱粒子(D)をインク組成物中に分散させたときの平均粒径としては50~500nmであることが好ましく、100~350nmであることがより好ましい。平均粒径が50nmを下回ると、分散安定化処理を施したとしても分散の安定性が悪くなり、結果としてインク組成物の保存安定性が悪化したり、印刷時に十分な隠蔽性を得ることが難しくなる場合がある。逆に平均粒径が500nmを上回ると、インクジェット吐出性が悪化する場合がある。
<分散剤>
本発明では、光散乱粒子の分散安定性や、インク組成物の保存安定性を向上させるため、分散剤を添加するのが好ましい。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti-Terra-U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti-Terra-203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk-101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110、111(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、145、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK-P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」等が挙げられる。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレン TG-710(ウレタンオリゴマー)、「フローノンSH-290、SP-1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS-860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。
さらに、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN-B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL-18(ポリカルボン酸型高分子)、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000GR、32000、33000、39000、41000、53000」、日光ケミカル社製「ニッコール T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS-IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4-0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、822、824、827、711」、テゴケミサービス社製「TEGODisper685」等が挙げられる。
以上の分散剤は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
例示した中でも、塩基性官能基を有する顔料分散剤が好ましく、市販品を使用してもよい。塩基性官能基を有する顔料分散剤として使用可能な市販品の例として、ルーブリゾール社製のソルスパース24000GR、32000、33000、35000、39000、41000、53000、及びJ180等が挙げられる。また、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、822、824、827、及び711等が挙げられる。インク組成物の一実施形態は、塩基性官能基を有する顔料分散剤として例示した化合物の少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記分散剤の光散乱粒子に対する添加量は、3~50質量%であることが好ましい。添加量が3質量%未満の場合、分散剤としての能力を発揮できずに分散安定性や組成物の保存安定性が悪化する恐れがある。50質量%を超える場合、組成物の粘度を好適な範囲内に収めることができず、結果として吐出ができない恐れがある。
<その他成分>
(樹脂)
本発明のインク組成物は、光重合性化合物以外の樹脂や重合体を要求性能に応じて添加することができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、(変性)スチレン無水マレイン酸共重合体、(変性)塩化ビニル酢酸ビ
ニル共重合体、(変性)塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、ケトンアルデヒド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、セルロースアセテート樹脂、エステル化セルロース樹脂、ブチラール樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を併用してもよい。
(添加剤等)
本発明のインク組成物には必要に応じて可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤等の添加剤を使用することができる。
(溶剤)
本発明のインク組成物は、溶剤を含有してもよい。溶剤を配合することで、インクジェット印刷に適した粘度に調整がし易くなる。溶剤は、使用する光重合性化合物、光重合開始剤、添加物の溶解性等に応じて適宜選択することができる。溶剤は、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、水等が挙げられる。溶剤は、単独又は2種類以上を併用できる。溶剤の量は、全組成物中の0~50質量%が好ましい。
<インク組成物の調製>
本発明のインク組成物は、周知の方法に従って調製することができる。例えば、重合性化合物、安定化剤、光重合開始剤、添加剤、及び量子ドットを含有するインク組成物は、光散乱粒子を使用する場合は、予め少量の溶剤又は重合性化合物、分散剤等で分散処理し、その後残りの成分を添加及び混合し、光重合開始剤を溶解させることによって製造することができる。この際、印刷時のプリンターヘッドでの詰まり等を防止するため、光重合開始剤が溶解した後に、孔径3μm以下、好ましくは孔径1μ以下のフィルタにて濾過することが好ましい。
本発明のインク組成物は、25℃での粘度が5~50mPa・sであることが好ましく、5~30mPa・sであることがより好ましい。インク組成物の粘度を上記範囲に調整することによって、特にインクジェットインキの形態で使用する場合、5~30KHzの周波数を有する通常のヘッドだけでなく、10~50KHzの高周波数のヘッドにおいても、安定した吐出特性を得ることができる。より詳細には、インク組成物の粘度が5mPa・s以上の場合は、高周波数のヘッドであっても吐出の追随性の低下が起こり難い。一方、粘度が50mPa・s以下の場合は、加熱による粘度の低下機構をヘッドに組み込んだとしても、吐出そのものの低下を生じ、吐出の安定性が不良となり、全く吐出できなくなるという問題が起こり難い。
<使用方法>
本発明のインク組成物の使用方法は特に限定されないが、通常のインクジェット記録方式用プリンターのインキとして使用することができる。代表的な方法は、インク組成物をインクジェット記録方式用プリンターのヘッドに供給する工程と、このヘッドから基材上にインク組成物を吐出させる工程と、その後、基材上のインク組成物に紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する工程とを含む。活性エネルギー線の照射によって、基材上のインク組成物が速やかに硬化し、印刷面が形成される。
活性エネルギー線としては、紫外線が好ましく、光源として、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、ガリウムランプ、LED、及び太陽光を使用することができる。
紫外線の波長は、350nm~450nmの範囲であることが好ましい。また、紫外線の照射量は、10mJ/cm以上、10000mJ/cm以下であることが好ましい。特に、本発明のインク組成物によれば、アミド基を有する光重合性化合物を使用したことにより、紫外線の照射量が低い場合であっても、十分な硬化性と基材密着性が得られる。したがって、一般的に広く使用されているメタルハライドランプ、LEDランプのいずれを使用しても十分な硬化性を得ることができる。
<積層体>
本発明の積層体は複数の層を有し、少なくとも1層が本発明のインク組成物からなる発光層を備えるものである。
特にフィルム状部材に複数の機能を付与したい場合や、本発明の発光層の性能をさらに向上させたい場合は、単層に多種の機能をバランス良く持たせるよりも、機能を上下分離する方が工程や性能上有利な場合も多い。積層体中で、本発明のインク組成物を用いて形成される層は発光層であるが、上下層としては、(発光色の異なる)発光層、光吸収層、光散乱層、光反射層、光反射防止層、導電体層、誘電体層、熱伝導層、遮熱層、水や酸素等のバリア層など多種多様な機能層が想定される。本発明のインク組成物は活性エネルギー線硬化型のため、上下層の製膜が溶媒塗工型であっても、上層の製膜の際に下層を侵す可能性が小さく、積層体を比較的容易に作製可能である。
<光波長変換層>
本発明の量子ドット含有のインク組成物を用いて塗工・印刷後にUV硬化して形成された層は、光波長変換層として用いることができる。光波長変換層は、励起光を長波長側の蛍光に変換して放出することが可能であり、励起光波長と放出蛍光波長の関係を維持できれば特に制限はなく、例として、青色や紫外光を励起光として用いて緑色や赤色の蛍光を得ることや、紫外光や可視光を励起光として近赤外領域の蛍光を得る事等を挙げることができる。
光波長変換層の厚みは、好ましくは1~500μmであり、より好ましくは1~50μmであり、さらに好ましくは1~10μmである。厚みが1μm以上であると、高い波長変換効果が得られるため、好ましい。また、厚みが500μm以下であると、光源ユニットに組み込んだ場合に、光源ユニットを薄くすることができるため、好ましい。
<光波長変換部材>
光波長変換部材とは、基材の少なくとも一方の面に、光波長変換層を備えるものである。基材は特に限定されず、ポリカーボネート、硬質塩化ビニル、軟質塩化ビニル、ポリスチレン、発砲スチロール、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック基材やこれら混合又は変性品、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、ガラス、ステンレス等の金属基材等が挙げられる。
基材は、用途に応じて適宜選択され、プリペイドカードや通行カード等の用途であれば、耐久性の観点からプラスチック基材やこれらの混合又は変性品が好適に用いられる。情報記録媒体としての1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)等の用途であれば、プラスチック基材の他に紙基材が好適に用いられる。波長変換用カラーフィルタ用途であれば、透明なガラス又はプラスチック基材が好ましい。
<波長変換フィルム><カラーフィルタ>
本発明のインク組成物を用いて、波長変換フィルム又はカラーフィルタを形成することができる。
波長変換フィルム及びカラーフィルタは、光源からの光を吸収させ、吸収されなかった透過光又は光吸収によって生じた蛍光発光によって所望の波長の光を取り出す際に用いられるものであり、量子ドットを使用する場合には、優れた量子収率の蛍光発光を利用することになる。
波長変換フィルムは、本発明のインク組成物を基材に塗布することで得られ、緑色と赤色の蛍光色を発する量子ドットを含有させた塗工又は印刷フィルムであり、主にディスプレイパネルや照明において光源の青色光を白色光に変換する、あるいは色調の整っていない疑似白色光などを所望の色調に調整する平面状の部材である。基材としては、ガラス板や樹脂板等が挙げられる。
本発明のカラーフィルタは、本発明のインク組成物を用いてフィルタセグメントの少なくとも一つのセグメントを形成することで得られ、特に液晶ディスプレイパネルに使用されるものである。具体的には、ガラス等の透明な基板の表面に3種以上の異なる色相の微細なストライプ状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なモザイク状のフィルタセグメントを縦横一定の配列に配置したものからなっている。本発明においては、従来の白色光源から青、緑、赤の光を取り出す光吸収型カラーフィルタとは異なり、主に青色LED等を光源に、蛍光フィルタによって緑、赤を取り出すものである。量子ドットを使用した場合、光吸収による減光ではなく量子収率の高い蛍光での取出しになるためエネルギーロスが減るとともに、波長分布が狭く純色に近い色が得られるため、高効率のディスプレイを作製可能である。またこの時に、緑、赤の蛍光を出す量子ドットとして、本発明の被覆材料を用いた青色光部の吸光度の高いものを使用すれば、効率的に蛍光へ変換できるとともに、元の青色光の抜けも防止できるので、別途、青色を吸収する色素や光散乱物質を使わずとも、色純度の高いフィルタを得ることが可能となる。
カラーフィルタの製造は、一般的には、ベタ塗りの薄膜を作製後に、パターニング露光と現像での不要部除去というレジスト法によって作製することが多く、本発明におけるインク組成物においても適用することは可能であるが、工程数の違いによる生産性及び現像工程での材料ロスがないという低コスト観点から、本発明においてはインクジェット法を適用することが有利である。
以下に、実施例より本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲をなんら制限するものではない。特に明記しない限り、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表す。
<量子ドット(A)の製造>
(量子ドット(A-1))
無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオール7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱
溶解し添加液を作成した。塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、200℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジメチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間200℃に制御した。その後、急冷し、40度に冷却した。別途、無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオール7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱溶解した添加液を注入し、240℃2時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノ-ルを用いて再沈澱法で精製を行い、InP(コア)/ZnS(シェル)の量子ドット(0-1)を得た。
次に、得られた量子ドット(0-1)をトルエン中固形分濃度1%に希釈し、同量の5%6-(ジエチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールのトルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。トルエンとエタノ-ルを用いて再沈澱法で精製を行い、その後、40℃の真空オーブン中で3時間減圧乾燥することにより、6-(ジエチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールで表面処理された量子ドット(A-1)を得た。この量子ドット(A-1)の蛍光色は赤色であった。
(量子ドット(A-2))
無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオール7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱
溶解し添加液を作成した。塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、165℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジメチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間165℃に制御した。その後、急冷し、40度に冷却した。別途、無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオール7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱溶解した添加液を注入し、240℃2
時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノ-ルを用いて再沈澱法で精製を行い、InP(コア)/ZnS(シェル)の量子ドット(0-2)を得た。
次に、得られた量子ドット(0-2)をトルエン中固形分濃度1%に希釈し、同量の5%6-(ジエチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールのトルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。トルエンとエタノ-ルを用いて再沈澱法で精製を行い、その後、40℃の真空オーブン中で3時間減圧乾燥することにより、6-(ジエチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールで表面処理された量子ドット(A-2)を得た。この量子ドット(A-2)の蛍光色は緑色であった。
<光散乱粒子(D)分散体の製造>
(光散乱粒子分散体(D-1))
石原産業(株)製ルチル型酸化チタン「タイペークPF740」60部、顔料分散剤「
ソルスパース32000」3部、2-フェノキシエチルアクリレート37部をハイスピードミキサーで均一になるまで攪拌することでミルベースを得た。次いで、得られたミルベースを横型サンドミルで1時間分散処理することによって、光散乱粒子分散体(D-1)を得た。
<活性エネルギー線硬化型インク組成物の製造>
[実施例1~9、比較例1~5]
(紫外線硬化型インクジェットインキ(QDIJ-1~14))
表1に記載した材料を順次攪拌しながら添加混合し、光重合開始剤が溶解するまで十分攪拌した後、孔径1μmのメンブレンフィルタを用いて混合液を濾過してインクジェットインキ(QDIJ-1~14)を得た。
<活性エネルギー線硬化型インク組成物の評価>
得られたインク組成物について、以下の粘度、IJ印刷性、UV硬化性、励起光透過率、外部量子効率について評価した。結果を表1に示す。
[粘度]
インク組成物を、恒温槽で25℃に保温した後、SECONIC社製ラボ用振動式粘度
計VM-10Aを使用し粘度を測定した。
[IJ印刷性]
インク組成物を、カートリッジに充填し、下記条件でインクジェット印刷を行い、下記
基準で評価を行った。
≪インクジェット吐出試験条件≫
印刷機:FUJIFILM Dymatix社製 Materials Printer
カ-トリッジ:DymatixMaterialsCartriges 10pL
ヘッド駆動電圧:25V
ヘッド駆動温度:30℃
基材:ガラス基板(コーニング社製ガラス「イーグル2000」0.7mm厚)
≪評価基準≫
○:連続吐出可能時間が、30分間以上である(良好)
△:連続吐出可能時間が、10分間以上、30分間未満である(使用可能)
×:連続吐出可能時間が、10分間未満である(使用不可)
[UV硬化性]
IJ印刷性評価でインク組成物を印刷したガラス基板を、アルゴン置換したグローブボ
ックス内に設置した385nmLED照射機にて、積算光量1000mJ/cm2(UV
A換算)を照射した。得られた硬化膜を指触して下記基準で評価を行った。
○:1回照射でベタつきがないもの(良好)
△:1回照射ではベタつきがあるが、2回照射でベタつきがないもの(使用可能)
×:2回照射でベタつきがあるもの(使用不可)
[励起光透過率、外部量子効率]
得られたインク組成物を、バーコータ-を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるようにガラス基板(コーニング社製ガラス「イーグル2000」0.7mm厚)に塗工し、100℃環境下で乾燥させた。得られた塗膜を、UV硬化性評価と同じ条件で硬化させ、硬化膜の励起光透過率と外部量子効率(EQE)を、大塚電子株式会社製QE-2000を用いて測定した。励起波長は450nmとし、蛍光波長の積分範囲は500nm~800nmとした。励起光透過率については下記基準で評価した。
〇:10%未満(良好)
△:10%以上20%未満(使用可能)
×:20%以上(使用不可)
表1中の略称を以下に示す。
開始剤1:BASF社製「イルガキュア907」、2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン
増感剤1:日本化薬社製「KAYACURE DETX-S」、2,4-ジエチルチオキサントン
[印刷物の読み込み評価1]
インク組成物QDIJ-2を用いてQRコード(登録商標)を白色のインクジェット記録用紙(富士フイルム社製画彩 写真仕上げPro)に印刷した。印刷されたQRコード(登録商標)を可視光下でRコードリーダーを用いて読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができた。
[印刷物の読み込み評価2]
インク組成物QDIJ-1を用いてQRコード(登録商標)を下記条件で黒色のカーボン用紙(ゼネラル社製ハイタッチカーボン紙 クロ)に印刷した。印刷されたQRコード(登録商標)を蛍光灯下でコードリーダーを用いて読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができなかった。次いで、印刷されたQRコード(登録商標)に波長365nmのブラックライトを照射したところ、照射部にQRコード(登録商標)のパターンが可視化された。可視化された状態のQRコード(登録商標)をコードリーダーで読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができた。
表1より、本発明のインク組成物は、アミド基を有する光重合性化合物(B)を含有することにより、低粘度化することが可能となり、インクジェット印刷適性が向上した。これにより、組成物としての安定性、印刷・硬化特性と製膜後の高い発光効率のバランスを広範囲でとることが可能となった。具体的には、量子ドット(A)の含有量を増やすことで、印刷適性やUV硬化性を損ねることなく外部量子効率を高めたり、さらに光散乱粒子(D)を添加することにより、励起光透過を抑制した上で外部量子効率をさらに高めることが可能となった。これにより、得られた印刷物は、高い発光効率を有する、光波長変換層、光波長変換部材、カラーフィルタ等に適用することができる。
本発明のインク組成物を用いて特定の記録紙上に印刷されたQRコード(登録商標)は、可視光下ではQRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができないが、特定波長の光源で照射されている状態では情報を読み込むことができるため、高いセキュリティを有する印刷物を提供することができる。
本発明のインク組成物を用いて印刷された印刷物は、カラーフィルタ、光変換層、太陽電池、レーザー、蛍光標識などに好適に用いることができる。さらに、特定波長による蛍光応答を利用することによって、ブランドラベル、1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)、シンボルマーク等にセキュリティ性を持たせることができ、光源の波長を切り替えることで多重化情報を印刷することが可能になる。また、本発明のインク組成物は、従来の蛍光体含有インキよりも発色性が高く、色域が広いという顕著な効果が期待できる。本発明のインク組成物を単体又は既存のCMYKのインキと組み合わせて用いることで、特定波長の光線照射によって絵柄を浮き出させたり、絵柄を変えたりすることも可能となる。以上のように、特定波長での発光を利用することで、高い真贋認証効果及び偽造防止効果を期待できる。

Claims (8)

  1. 量子ドット(A)、アミド基を有する光重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、
    前記アミド基を有する光重合性化合物(B)が、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを含み、
    前記量子ドット(A)の含有量が、組成物中の全固形分量に対して15質量%以上である、
    活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ用である、インク組成物。
  2. 前記アミド基を有する光重合性化合物(B)の含有量が、組成物中の全固形分量に対して5質量%以上である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 光散乱粒子(D)をさらに含有する、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記光散乱粒子(D)が、金属酸化物からなる粒子である、請求項に記載のインク組成物。
  5. 複数の層を有する積層体であって、少なくとも1層が、請求項1~いずれか1項に記載のインク組成物からなる発光層を有する積層体。
  6. 請求項1~いずれか1項に記載のインク組成物からなる光波長変換層。
  7. 請求項に記載の光波長変換層を有する光波長変換部材。
  8. 基材上に、請求項1~いずれか1項に記載のインク組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備するカラーフィルタ。
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