JP2024049408A - カラーフィルタ用インクジェットインク組成物、硬化物、光変換層、及びカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用インクジェットインク組成物、硬化物、光変換層、及びカラーフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】発光性ナノ結晶粒子と、光散乱性粒子とを含有しながら、優れた外部量子効率を有するカラーフィルタ画素部を形成し得るとともに、再分散性にも優れるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物を提供すること。【解決手段】発光性ナノ結晶粒子と、発光性ナノ結晶粒子の表面に結合可能な有機リガンドと、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合性化合物と、を含有し、有機リガンドの含有量が、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、15~50質量部であり、高分子分散剤の含有量が、光散乱性粒子100質量部に対して、3~15質量部である、カラーフィルタ用インクジェットインク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、カラーフィルタ用インクジェットインク組成物、硬化物、光変換層、及びカラーフィルタに関する。
従来、ディスプレイに用いられるカラーフィルタは、例えば、赤色有機顔料粒子又は緑色有機顔料粒子と、アルカリ可溶性樹脂及び/又はアクリル系単量体とを含有する硬化性レジスト材料を用いて、フォトリソグラフィ法により製造されてきた。
近年、ディスプレイの低消費電力化が強く求められるようになり、上記赤色有機顔料粒子又は緑色有機顔料粒子に代えて、例えば量子ドット、量子ロッド、その他の無機蛍光体粒子等の発光性ナノ結晶粒子を用いて、赤色画素、緑色画素といった画素部を形成させる方法が、活発に研究されている(例えば特許文献1)。
ところで、上記フォトリソグラフィ法でのカラーフィルタの製造方法では、その製造方法の特徴から、比較的高価な発光性ナノ結晶粒子を含めた画素部以外のレジスト材料が無駄になるという欠点があった。このような状況下、上記のようなレジスト材料の無駄をなくすため、インクジェット法(インクジェット方式)により、硬化性のインク組成物を用いて、光変換層を形成することが検討され始めている。
特許第6754499号公報
光変換効率等の点から、カラーフィルタ用のインクジェットインク組成物に、発光性ナノ結晶粒子とともに光散乱性粒子を含有させる場合がある。しかし、発光性ナノ結晶粒子と、光散乱性粒子とを含むインク組成物では、保存時に無機粒子成分の凝集が起こりやすくなり、使用時に均質に再分散させる性能、いわゆる再分散性が低下する場合があった。
本発明が解決しようとする課題は、発光性ナノ結晶粒子と、光散乱性粒子とを含有しながら、優れた外部量子効率を有するカラーフィルタ画素部を形成し得るとともに、再分散性に優れるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物を提供することにある。
本発明者らの検討により、発光性ナノ結晶粒子と、光散乱性粒子とを含むカラーフィルタ用インクジェットインク組成物に、発光性ナノ結晶粒子の表面に結合可能な有機リガンド及び高分子分散剤をそれぞれ特定の量含有させることによって、発光性ナノ結晶粒子と、光散乱性粒子とを含有しながら、優れた外部量子効率を有するカラーフィルタ画素部を形成し得るとともに、再分散性にも優れるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物が得られることが判明した。
本発明の一側面は、発光性ナノ結晶粒子と、発光性ナノ結晶粒子の表面に結合可能な有機リガンドと、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合性化合物と、を含有し、有機リガンドの含有量が、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、15~50質量部であり、高分子分散剤の含有量が、光散乱性粒子100質量部に対して、3~15質量部である、カラーフィルタ用インクジェットインク組成物に関する。
有機リガンドの分子量が1000以下であることが好ましい。
高分子分散剤の重量平均分子量が1000以上であることが好ましい。高分子分散剤は、酸価及びアミン価の両方を有することが好ましい。高分子分散剤は、2種類以上の高分子分散剤を含むことが好ましい。
光散乱性粒子の平均粒子径は、0.15μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
本発明の一側面は、上述したカラーフィルタ用インクジェットインク組成物の硬化物に関する。
本発明の一側面は、複数の画素部と、当該複数の画素部間に設けられた遮光部と、を備え、複数の画素部は、上記カラーフィルタ用インクジェットインク組成物の硬化物を含む発光性画素部を有する、光変換層に関する。
光変換層は、発光性画素部として、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する発光性ナノ結晶粒子を含有する、第1の発光性画素部と、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する発光性ナノ結晶粒子を含有する、第2の発光性画素部と、を備えていてよい。
本発明の一側面は、上記光変換層を備える、カラーフィルタに関する。
本発明の一側面によれば、発光性ナノ結晶粒子と、光散乱性粒子とを含有しながら、優れた外部量子効率を有するカラーフィルタ画素部を形成し得るとともに、再分散性にも優れるカラーフィルタ用インクジェットインク組成物を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態のカラーフィルタの模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本明細書において「インク組成物の硬化物」とは、インク組成物(インク組成物が溶剤成分を含む場合には、乾燥後のインク組成物)中の硬化性成分を硬化させて得られるものである。よって、インク組成物の硬化物中には有機溶剤が含まれていないことが好ましいが、乾燥しきれなかった有機溶媒が一部残存していてもよい。また、本明細書において、「インク組成物の不揮発分」とは、インク組成物に含まれる有機溶剤以外の成分を意味する。すなわち、「インク組成物の不揮発分」は、インク組成物の硬化物に含有させるべき硬化前の成分と言い換えてもよい。
<カラーフィルタ用インクジェットインク組成物>
一実施形態のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」とも称する。)は、発光性ナノ結晶粒子と、発光性ナノ結晶粒子の表面に結合可能な有機リガンドと、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合性化合物と、を含有する。
上記インク組成物は、例えば、カラーフィルタが有する光変換層(光変換層の画素部)を形成するために用いられる、光変換層形成用(例えばカラーフィルタ画素部の形成用)のインク組成物である。このインク組成物は、インクジェット方式に用いられる組成物である。一実施形態のインク組成物は、高額である発光性ナノ結晶粒子、インクジェットヘッド等を無駄に消費せずに、画素部(光変換層)を形成できる点において、フォトリソグラフィ方式用に対して、インクジェット方式を低コストなプロセスに仕上げることに貢献できる。以下では、インクジェット方式で光変換層を形成するために用いられるインク組成物を例に挙げて、インク組成物の実施形態について説明する。
[発光性ナノ結晶粒子]
発光性ナノ結晶粒子は、励起光を吸収して蛍光又は燐光を発光するナノサイズの結晶体であり、例えば、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって測定される最大粒子径が100nm以下である結晶体である。
発光性ナノ結晶粒子は、例えば、所定の波長の光を吸収することにより、吸収した波長とは異なる波長の光(蛍光又は燐光)を発することができる。発光性ナノ結晶粒子は、605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(赤色光)を発する、赤色発光性のナノ結晶粒子(赤色発光性ナノ結晶粒子)、500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(緑色光)を発する、緑色発光性のナノ結晶粒子(緑色発光性ナノ結晶粒子)、又は、420~480nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(青色光)を発する、青色発光性のナノ結晶粒子(青色発光性ナノ結晶粒子)であることが好ましい。本実施形態では、インク組成物がこれらの発光性ナノ結晶粒子のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。また、発光性ナノ結晶粒子が吸収する光は、例えば、400nm以上500nm未満の範囲(特に、420~480nmの範囲の波長の光)の波長の光(青色光)、又は、200nm~400nmの範囲の波長の光(紫外光)であることが好ましい。なお、発光性ナノ結晶粒子の発光ピーク波長は、例えば、分光蛍光光度計を用いて測定される蛍光スペクトル又は燐光スペクトルにおいて確認することができる。
赤色発光性のナノ結晶粒子は、665nm以下、663nm以下、660nm以下、658nm以下、655nm以下、653nm以下、651nm以下、650nm以下、647nm以下、645nm以下、643nm以下、640nm以下、637nm以下、635nm以下、632nm以下又は630nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、628nm以上、625nm以上、623nm以上、620nm以上、615nm以上、610nm以上、607nm以上又は605nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。これらの上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。なお、以下の同様の記載においても、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
緑色発光性のナノ結晶粒子は、560nm以下、557nm以下、555nm以下、550nm以下、547nm以下、545nm以下、543nm以下、540nm以下、537nm以下、535nm以下、532nm以下又は530nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、528nm以上、525nm以上、523nm以上、520nm以上、515nm以上、510nm以上、507nm以上、505nm以上、503nm以上又は500nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。
青色発光性のナノ結晶粒子は、480nm以下、477nm以下、475nm以下、470nm以下、467nm以下、465nm以下、463nm以下、460nm以下、457nm以下、455nm以下、452nm以下又は450nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、450nm以上、445nm以上、440nm以上、435nm以上、430nm以上、428nm以上、425nm以上、422nm以上又は420nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子が発する光の波長(発光色)は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば、発光性ナノ結晶粒子のサイズ(例えば粒子径)に依存するが、発光性ナノ結晶粒子が有するエネルギーギャップにも依存する。そのため、使用する発光性ナノ結晶粒子の構成材料及びサイズを変更することにより、発光色を選択することができる。
発光性ナノ結晶粒子は、半導体材料を含む発光性ナノ結晶粒子(発光性半導体ナノ結晶粒子)であることが好ましい。発光性半導体ナノ結晶粒子としては、量子ドット、量子ロッド等が挙げられる。これらの中でも、発光スペクトルの制御が容易であり、信頼性を確保した上で、生産コストを低減し、量産性を向上させることができる観点から、量子ドットが好ましい。
発光性半導体ナノ結晶粒子は、第一の半導体材料を含むコアのみからなっていてよく、第一の半導体材料を含むコアと、第一の半導体材料とは異なる第二の半導体材料を含み、上記コアの少なくとも一部を被覆するシェルと、を有していてもよい。換言すれば、発光性半導体ナノ結晶粒子の構造は、コアのみからなる構造(コア構造)、コアとシェルからなる構造(コア/シェル構造)であることが好ましい。また、発光性半導体ナノ結晶粒子は、第二の半導体材料を含むシェル(第一のシェル)の他に、第一及び第二の半導体材料とは異なる第三の半導体材料を含み、上記コアの少なくとも一部を被覆するシェル(第二のシェル)を更に有していてもよい。換言すれば、発光性半導体ナノ結晶粒子の構造は、コアと第一のシェルと第二のシェルとからなる構造(コア/シェル/シェル構造)であることが好ましい。コア及びシェルのそれぞれは、2種以上の半導体材料を含む混晶(例えば、CdSe+CdS、CIS+ZnS等)であることができる。
発光性ナノ結晶粒子は、半導体材料として、II-VI族半導体、III-V族半導体、I-III-VI族半導体、IV族半導体及びI-II-IV-VI族半導体からなる群より選択される少なくとも1種の半導体材料を含むことが好ましい。
具体的な半導体材料としては、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb;SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe;Si、Ge、SiC、SiGe、AgInSe、CuGaSe、CuInS、CuGaS、CuInSe、AgInS、AgGaSe、AgGaS、C、Si及びGeが挙げられる。発光性半導体ナノ結晶粒子は、発光スペクトルの制御が容易であり、信頼性を確保した上で、生産コストを低減し、量産性を向上させることができる観点から、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS、AgInSe、AgInTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、CuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、Si、C、Ge及びCuZnSnSからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
赤色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、CdSeのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がCdSであり内側のコア部がCdSeであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がCdSであり内側のコア部がZnSeであるナノ結晶粒子、CdSeとZnSとの混晶のナノ結晶粒子、InPのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、CdSeとCdSとの混晶のナノ結晶粒子、ZnSeとCdSとの混晶のナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
緑色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、CdSeのナノ結晶粒子、CdSeとZnSとの混晶のナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
青色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、ZnSeのナノ結晶粒子、ZnSのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSeであり内側のコア部がZnSであるナノ結晶粒子、CdSのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
半導体ナノ結晶粒子は、同一の化学組成で、それ自体の平均粒子径を変えることにより、当該粒子から発光させるべき色を赤色にも緑色にも変えることができる。また、半導体ナノ結晶粒子は、それ自体として、人体等に対する悪影響が極力低いものを用いることが好ましい。カドミウム、セレン等を含有する半導体ナノ結晶粒子を発光性ナノ結晶粒子として用いる場合は、上記元素(カドミウム、セレン等)が極力含まれない半導体ナノ結晶粒子を選択して単独で用いるか、上記元素が極力少なくなるようにその他の発光性ナノ結晶粒子と組み合わせて用いることが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子の形状は特に限定されず、任意の幾何学的形状、又は任意の不規則な形状であってよい。発光性ナノ結晶粒子の形状としては、例えば、球状、楕円体状、角錐形状、ディスク状、枝状、網状、ロッド状等が挙げられる。しかしながら、発光性ナノ結晶粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、インク組成物の均一性及び流動性をより高められる点で好ましい。
発光性ナノ結晶粒子の平均粒子径(体積平均径)は、所望の波長の発光が得られやすい観点、並びに、分散性及び保存安定性に優れる観点から、1nm以上、1.5nm以上、又は2nm以上であることが好ましい。所望の発光波長が得られやすい観点から、発光性ナノ結晶粒子の平均粒子径(体積平均径)は、40nm以下、30nm以下、又は20nm以下であることが好ましい。発光性ナノ結晶粒子の平均粒子径(体積平均径)は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
発光性ナノ結晶粒子としては、光重合性化合物等の中にコロイド形態で分散しているものを用いることができる。分散状態にある発光性ナノ結晶粒子の表面は、上述の有機リガンドによってパッシベーションされていることが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子としては、市販品を用いることができる。発光性ナノ結晶粒子の市販品としては、例えば、NN-ラボズ社の、インジウムリン/硫化亜鉛、D-ドット、CuInS/ZnS、アルドリッチ社の、InP/ZnS等が挙げられる。
発光性ナノ結晶粒子の含有量は、インク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、10質量部以上、15質量部以上、20質量部以上、又は25質量部以上であることが好ましい。本発明では、発光性ナノ結晶粒子の含有量を高めながらも優れたインクジェットプロセスへの適合性を発現できる点は特筆すべき事項である。一方、発光性ナノ結晶粒子の含有量は、インク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、50質量部以下、45質量部以下、又は40質量部以下であることが好ましい。本明細書において、発光性ナノ結晶粒子の含有量は、発光性ナノ結晶粒子それ自体のみの含有量を意味し、発光性ナノ結晶粒子が有機リガンドを有する場合であっても、有機リガンドの含有量は含まない。
インク組成物は、発光性ナノ結晶粒子として、赤色発光性ナノ結晶粒子、緑色発光性ナノ結晶粒子及び青色発光性ナノ結晶粒子のうちの2種以上を含んでいてもよいが、好ましくはこれらの粒子のうちの1種のみを含む。インク組成物が赤色発光性ナノ結晶粒子を含む場合、緑色発光性ナノ結晶粒子の含有量及び青色発光性ナノ結晶粒子の含有量は、発光性ナノ結晶粒子の全質量を基準として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。インク組成物が緑色発光性ナノ結晶粒子を含む場合、赤色発光性ナノ結晶粒子の含有量及び青色発光性ナノ結晶粒子の含有量は、発光性ナノ結晶粒子の全質量を基準として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。
[有機リガンド]
有機リガンドは、発光性ナノ結晶粒子の表面近傍に存在し、発光性ナノ結晶粒子を分散させる機能を有する。有機リガンドは、例えば、光重合性化合物等との親和性を確保するための官能基(以下、単に「親和性基」ともいう。)と、発光性ナノ結晶粒子と結合可能な官能基(発光性ナノ結晶粒子への吸着性を確保するための官能基)と、を有しており、発光性ナノ結晶粒子の表面に配位結合することにより発光性ナノ結晶粒子の表面近傍に存在する。
親和性基は、置換又は無置換の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖型であってもよく分岐構造を有していてもよい。また、脂肪族炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよく、不飽和結合を有していなくてもよい。置換の脂肪族炭化水素は、脂肪族炭化水素基の一部の炭素原子が酸素原子で置換された基であってもよい。置換の脂肪族炭化水素基は、例えば、(ポリ)オキシアルキレン基を含んでいてよい。ここで、「(ポリ)オキシアルキレン基」とは、オキシアルキレン基、及び、2以上のアルキレン基がエーテル結合で連結したポリオキシアルキレン基の少なくとも1種を意味する。
発光性ナノ結晶粒子と結合可能な官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン基、ホスフィンオキサイド基及びアルコキシシリル基が挙げられる。
有機リガンドの分子量は、1000以下であることが好ましく、800以下、700以下、600以下、又は500以下であることがより好ましい。有機リガンドの分子量は、例えば、100以上、又は200以上であることが好ましい。有機リガンドの分子量が上記範囲内である場合、インクジェットインクとしての粘度が更に優れたものとなる。
有機リガンドとしては、例えば、TOP(トリオクチルホスフィン)、TOPO(トリオクチルホスフィンオキサイド)、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、グルコン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、N-ラウロイルサルコシン、N-オレイルサルコシン、オレイルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタンチオール、ドデカンチオール、ヘキシルホスホン酸(HPA)、テトラデシルホスホン酸(TDPA)、フェニルホスホン酸、及びオクチルホスフィン酸(OPA)が挙げられる。
一実施形態において、有機リガンドは、下記式(1-1)で表される有機リガンドであることが好ましい。
Figure 2024049408000001

[式(1-1)中、pは0~50の整数を示し、qは0~50の整数を示す。]
式(1-1)で表される有機リガンドにおいて、p及びqのうち少なくとも一方が1以上であることが好ましく、p及びqの両方が1以上であることがより好ましい。
有機リガンドは、例えば、下記式(1-2)で表される有機リガンドであってもよい。
Figure 2024049408000002
式(1-2)中、Aは、カルボキシル基を含む1価の基を示し、Aは、ヒドロキシ基を含む1価の基を示し、Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、Lは、置換又は無置換のアルキレン基を示し、rは0以上の整数を示す。カルボキシル基を含む1価の基におけるカルボキシル基の数は、2個以上であることが好ましく、2個以上4個以下であることがより好ましく、2個であることが更に好ましい。Lで示されるアルキレン基の炭素数は、例えば、1~10であることが好ましい。Lで示されるアルキレン基は、炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていてもよい。rは、例えば、1~100の整数、又は10~20の整数であることが好ましい。
有機リガンドは、例えば、下記式(1-2A)で表される有機リガンドであることが好ましい。
Figure 2024049408000003
式(1-2A)中、rは上記と同義である。
一実施形態において、有機リガンドは、下記式(1-3)で表される有機リガンドであることが好ましい。
Figure 2024049408000004
式(1-3)中、nは0~50の整数を示し、mは0~50の整数を示す。nは好ましくは0~20であり、より好ましくは0~10である。mは好ましくは0~20であり、より好ましくは0~10である。n及びmのうち少なくとも一方が1以上であることが好ましい。すなわち、n+mは1以上であることが好ましい。n+mは10以下であってよい。Zは、置換又は無置換のアルキレン基を示す。アルキレン基の炭素数は、例えば、1~10であってよい。Zで示されるアルキレン基は、炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていてもよい。
一実施形態において、有機リガンドは、下記式(1-4)で表される有機リガンドであることが好ましい。
Figure 2024049408000005

[式(1-4)中、lは、1~50の整数を示す。]
式(1-4)で表される有機リガンドにおいて、lは、1~20、3~15、5~10、又は7であることが好ましい。
インク組成物における有機リガンドの含有量は、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、15~50質量部である。インク組成物における有機リガンドの含有量の下限は、インク組成物中の成分の凝集がより一層抑制される観点、漏れ光の抑制効果及び外部量子効率の向上効果に更に優れる観点、並びに、再分散性に更に優れる観点から、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、16質量部以上、17質量部以上、18質量部以上、19質量部以上、20質量部以上、21質量部以上、22質量部以上、又は23質量部以上であることが好ましい。インク組成物における有機リガンドの含有量の上限は、相分離及び/又はゲル状物の発生がより一層抑制され、再分散性がより一層優れたものとなる観点から、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、48質量部以下、46質量部以下、44質量部以下、42質量部以下、40質量部以下、38質量部以下又は36質量部以下であることが好ましい。漏れ光の抑制効果及び外部量子効率の向上効果に更に優れる観点、並びに、再分散性に更に優れる観点から、インク組成物における有機リガンドの含有量は、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、例えば、18~45質量部、20~40質量部、又は22~35質量部であることが好ましい。
[光散乱性粒子]
光散乱性粒子は、例えば、光学的に不活性な無機微粒子である。インク組成物が光散乱性粒子を含有する場合、画素部に照射された光源からの光を散乱させることができるため、優れた光学特性を得ることができる。
光散乱性粒子を構成する材料としては、例えば、タングステン、ジルコニウム、チタン、白金、ビスマス、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、プラチナ、金等の単体金属;シリカ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナホワイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、次炭酸ビスマス、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物、次硝酸ビスマス等の金属塩などが挙げられる。光散乱性粒子は、吐出安定性に優れる観点及び外部量子効率の向上効果により優れる観点から、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛及びチタン酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
光散乱性粒子の形状は、球状、フィラメント状、不定形状等であってよい。しかしながら、光散乱性粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、インク組成物の均一性、流動性及び光散乱性をより高めることができ、優れた吐出安定性を得ることができる点で好ましい。
インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径は、0.15μm以上0.5μm以下であることが好ましい。インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、例えば、0.16μm以上0.4μm以下、0.17μm以上0.3μm以下、又は0.18μm以上0.25μm以下であることが好ましい。インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径が上記範囲内である場合には、インクジェットインクの吐出安定性が更に優れたものとなる。本明細書中、インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
光散乱性粒子の含有量は、インク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、又は3質量部以上であることが好ましい。光散乱性粒子の含有量は、インク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、10質量部未満、9質量部以下、7質量部以下、又は5質量部以下であることが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子の含有量に対する光散乱性粒子の含有量の質量比(光散乱性粒子/発光性ナノ結晶粒子)は、外部量子効率の向上効果に更に優れる観点から、0.05以上、0.07以上、0.1以上、0.13以上、又は0.15以上であることが好ましい。当該質量比(光散乱性粒子/発光性ナノ結晶粒子)は、インクジェットプロセスへの適合性と光学特性及びその再現性の点で更に優れる観点から、5.0以下、2.0以下、1.0以下、0.5以下、0.2以下、0.19以下、0.18以下、0.17以下、又は0.16以下であることが好ましい。
インク組成物における発光性ナノ結晶粒子と光散乱性粒子の合計量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点から、インク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、15質量部以上、20質量部以上、又は25質量部以上であることが好ましい。インク組成物における発光性ナノ結晶粒子と光散乱性粒子の合計量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点から、インク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、60質量部以下、50質量部以下又は40質量部以下であることが好ましい。
[高分子分散剤]
高分子分散剤は、750以上の重量平均分子量を有し、かつ、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を有する高分子化合物である。高分子分散剤は、光散乱性粒子を分散させる機能を有する。高分子分散剤は、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を介して光散乱性粒子に吸着し、高分子分散剤同士の静電反発及び/又は立体反発により、光散乱性粒子をインク組成物中に分散させる。インク組成物が高分子分散剤を含む場合、光散乱性粒子の含有量を比較的多くした場合(例えば60質量%程度とした場合)であっても光散乱性粒子を良好に分散させることができる。高分子分散剤は、光散乱性粒子の表面と結合して光散乱性粒子に吸着していることが好ましいが、発光性ナノ結晶粒子の表面に結合して発光性ナノ結晶粒子に吸着していてもよく、インク組成物中に遊離していてもよい。
光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基としては、酸性官能基、塩基性官能基及び非イオン性官能基が挙げられる。酸性官能基は解離性のプロトンを有しており、アミン、水酸化物イオン等の塩基により中和されていてもよく、塩基性官能基は有機酸、無機酸等の酸により中和されていてもよい。
酸性官能基としては、カルボキシル基(-COOH)、スルホ基(-SOH)、硫酸基(-OSOH)、ホスホン酸基(-PO(OH))、リン酸基(-OPO(OH))、ホスフィン酸基(-PO(OH)-)、メルカプト基(-SH)、が挙げられる。
塩基性官能基としては、一級、二級及び三級アミノ基、アンモニウム基、イミノ基、並びに、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、トリアゾール等の含窒素ヘテロ環基等が挙げられる。
非イオン性官能基としては、ヒドロキシ基、エーテル基、チオエーテル基、スルフィニル基(-SO-)、スルホニル基(-SO-)、カルボニル基、ホルミル基、エステル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、チオアミド基、チオウレイド基、スルファモイル基、シアノ基、アルケニル基、アルキニル基、ホスフィンオキサイド基、ホスフィンスルフィド基が挙げられる。
高分子分散剤は、単一のモノマーの重合体(ホモポリマー)、又は複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であることが好ましい。また、高分子分散剤は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれでもよい。また、高分子分散剤がグラフト共重合体である場合、くし形のグラフト共重合体、又は星形のグラフト共重合体であることが好ましい。高分子分散剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレア樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミン及びポリアリルアミン等のポリアミン、ポリイミド等が挙げられる。
高分子分散剤の重量平均分子量は、750以上であり、1000以上、1500以上、2000以上、又は3000以上であることが好ましい。高分子分散剤の重量平均分子量は、例えば、40000以下、又は30000以下であることが好ましい。高分子分散剤の分子量が上記範囲内(例えば、1000以上)である場合、光散乱性粒子の分散安定性が優れ、インクジェットインクの吐出性がより一層優れたものとなる。本明細書中、重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
測定装置;東ソー株式会社製 HLC-8220GPC
カラム;東ソー株式会社製 TSK-GUARDCOLUMN SuperHZ-L+東ソー株式会社製 TSK-GEL SuperHZM-M×4
検出器;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC-8020modelII
測定条件;カラム温度40℃
溶媒;テトラヒドロフラン
流速;0.35ml/分
標準;単分散ポリスチレン
試料;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
高分子分散剤は、塩基性官能基を少なくとも有する化合物であることが好ましい。すなわち、高分子分散剤は、アミン価を有することが好ましい。高分子分散剤のアミン価は、0.1mgKOH/g以上、1mgKOH/g以上、5mgKOH/g以上、又は10mgKOH/g以上であることが好ましい。高分子分散剤のアミン価は、120mgKOH/g以下、100mgKOH/g以下、90mgKOH/g以下、又は80mgKOH/g以下であることが好ましい。
高分子分散剤のアミン価は、以下のように測定することができる。高分子分散剤xg及びブロモフェノールブルー試液1mLを、トルエンとエタノールとを体積比1:1で混合した混合溶液50mLに溶解させた試料液を準備し、0.5mol/L塩酸にて試料液が緑色を呈するまで滴定を行い、次式によりアミン価を算出できる。
アミン価=y/x×28.05
式中、yは滴定に要した0.5mol/L塩酸の滴定量(mL)を示し、xは高分子分散剤の質量(g)を示す。
高分子分散剤は、酸価を有することが好ましく、酸価及びアミン価の両方を有することがより好ましい。高分子分散剤の酸価は、例えば、0mgKOH/g以上、又は10mgKOH/g以上であることが好ましく、70mgKOH/g以下、60mgKOH/g以下、又は50mgKOH/g以下であることが好ましい。
酸価は、以下のように測定することができる。高分子分散剤pg及びフェノールフタレイン試液1mLを、トルエンとエタノールとを体積比1:1で混合した混合溶液50mLに溶解させた試料液を準備し、0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液(水酸化カリウム7.0gを蒸留水5.0mLに溶解させ、95vol%エタノールを加えることで1000mLに調整したもの)にて試料液が淡紅色を呈するまで滴定を行い、次式により酸価を算出できる。
酸価=q×r×5.611/p
式中、qは滴定に要した0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液の滴定量(mL)を示し、rは滴定に要した0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液の力価を示し、pは高分子分散剤の質量(g)を示す。
上記した酸価及びアミン価を有する高分子分散剤としては、直鎖状脂肪族ポリエステル骨格と脂肪族ポリエーテル骨格とを基本骨格として有し、かつカルボキシル基及びアミノ基を有する分散剤、アリールアミン部位とマレイン酸とアミノ基含有マレイン酸との共重合体、ポリアリールアミンと脂肪族ポリエステルとの共重合体等が挙げられる。
高分子分散剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。高分子分散剤は、2種以上の高分子分散剤を含むことが好ましい。
高分子分散剤として、市販品を使用することも可能であり、市販品としては、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPBシリーズ、BYK社製のDISPERBYKシリーズ並びにBYK-シリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースS24000GR等を使用することができる。
インク組成物における高分子分散剤の含有量は、光散乱性粒子100質量部に対して、3~15質量部である。インク組成物における高分子分散剤の含有量の下限は、インク組成物中の成分の凝集がより一層抑制される観点、漏れ光の抑制効果及び外部量子効率の向上効果に更に優れる観点、並びに、再分散性に更に優れる観点から、光散乱性粒子100質量部に対して、4質量部以上又は5質量部以上であることが好ましい。インク組成物における高分子分散剤の含有量の上限は、発光性ナノ結晶粒子の劣化がより一層抑制されやすくなる観点、及び、外部量子効率の向上効果に更に優れる観点から、13質量部以下、11質量部以下、9質量部以下、又は7質量部以下であることが好ましい。上述した観点から、インク組成物における高分子分散剤の含有量は、光散乱性粒子100質量部に対して、例えば、3~13質量部、3~11質量部、4~9質量部、又は4~7質量部であることが好ましい。
[光重合性化合物]
光重合性化合物は、光の照射によって、重合する化合物である。光重合性化合物は、例えば、光ラジカル重合性化合物であることが好ましい。光重合性化合物は、光重合性のモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。光重合性化合物は、光重合開始剤と共に用いられる。光ラジカル重合性化合物は、光ラジカル重合開始剤と共に用いられる。言い換えれば、インク組成物は、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光重合性成分を含有していてよく、光ラジカル重合性化合物及び光ラジカル重合開始剤を含む光ラジカル重合性成分を含有していてもよい。インク組成物は、光重合性化合物を1種含有してもよく、2種以上含有してもよく、好ましくは2種以上含有する。
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和基を有するモノマー(以下、「エチレン性不飽和モノマー」ともいう。)、イソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。ここで、エチレン性不飽和モノマーとは、エチレン性不飽和結合(炭素-炭素二重結合)を有するモノマーを意味する。
エチレン性不飽和モノマーにおけるエチレン性不飽和結合の数(例えばエチレン性不飽和基の数)は、例えば、1~3である。エチレン性不飽和モノマーは1種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。光重合性化合物は、優れた吐出安定性と優れた硬化性を両立することが容易となる観点、及び、外部量子効率がより向上する観点から、エチレン性不飽和基を1個有するモノマー(単官能モノマー)と、エチレン性不飽和基を2個以上有するモノマー(多官能モノマー)とを含んでいてよく、単官能モノマーと、エチレン性不飽和基を2個有するモノマー(二官能モノマー)及びエチレン性不飽和基を3個有するモノマー(三官能モノマー)からなる群より選択される少なくとも1種とを含んでいてよい。
エチレン性不飽和基は、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、(メタ)アクリロイル基等であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリルアミド」との表現についても同様である。
光重合性化合物は、エチレン性不飽和基として、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する化合物の少なくとも1種を含み、より好ましくは(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種を含む、更に好ましくは(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含み、特に好ましくは炭素数8以上の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含む。光重合性化合物は、優れた吐出安定性と優れた硬化性を両立することが容易となる観点、及び、外部量子効率がより向上する観点から、好ましくは、(メタ)アクリレートを2種以上含み、より好ましくは、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート(単官能(メタ)アクリレート)と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート(多官能(メタ)アクリレート)とを含み、更に好ましくは、単官能(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を2個有する(メタ)アクリレート(二官能(メタ)アクリレート)及び(メタ)アクリロイル基を3個有する(メタ)アクリレート(三官能(メタ)アクリレート)からなる群より選択される少なくとも1種とを含む。光学特性の更なる向上(例えば、波長の制御)の観点から、光重合性化合物は、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
単官能モノマーとしては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、N-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]フタルイミド、N-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]テトラヒドロフタルイミド、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、4-アクリロイルモルホリン、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を2個有するモノマー(二官能モノマー)の具体例としては、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレ-ト、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるトリオールの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-エチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。
エチレン性不飽和基を3個有するモノマー(三官能モノマー)の具体例としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光重合性化合物は、信頼性に優れる画素部(インク組成物の硬化物)が得られやすい観点から、アルカリ不溶性であることが好ましい。本明細書中、光重合性化合物がアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃における光重合性化合物の溶解量が、光重合性化合物の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。光重合性化合物の上記溶解量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
光重合性化合物の含有量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点、インク組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(インク組成物の硬化物)の耐溶剤性及び耐磨耗性が向上する観点から、インク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、10質量部以上、15質量部以上、又は20質量部以上であることが好ましい。光重合性化合物の含有量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点、及び、より優れた光学特性(例えば外部量子効率)が得られる観点から、インク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、又は20質量部以下であることが好ましい。
本実施形態のインク組成物では光重合性化合物が分散媒としても機能するため、無溶剤で光散乱性粒子及び発光性ナノ結晶粒子を分散させることが可能である。この場合、画素部を形成する際に溶剤を乾燥により除去する工程が不要となる利点を有する。
[光重合開始剤]
インク組成物は、光重合開始剤を更に含有してよい。光重合開始剤は、光重合性化合物とともに用いられる。光重合開始剤は、例えば光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型又は水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤が好適である。
分子開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキシド等が好適に用いられる。これら以外の分子開裂型の光ラジカル重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン及び2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンを併用してもよい。
水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド等が挙げられる。分子開裂型の光ラジカル重合開始剤と水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤とを併用してもよい。
光カチオン重合開始剤として市販品を用いることもできる。市販品としては、サンアプロ社製の「CPI-100P」等のスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤、BASF社製の「Lucirin TPO」等のアシルフォスフィンオキサイド化合物、BASF社製の「Irgacure 907」、「Irgacure 819」、「Irgacure 379EG」「、Irgacure 184」及び「Irgacure PAG290」などが挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、インク組成物の硬化性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、3質量部以上、又は5質量部以上であることが好ましい。光重合開始剤の含有量は、画素部(インク組成物の硬化物)の経時安定性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、又は10質量部以下であることが好ましい。
インク組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した成分以外の成分(例えば、有機溶剤、熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤(硬化触媒)、重合禁止剤、連鎖移動剤、酸化防止剤等)を更に含有していてもよい。
以上説明したインク組成物のインクジェット印刷時のインク温度における粘度は、例えば、インクジェット印刷時の吐出安定性の観点から、2mPa・s以上、5mPa・s以上、又は7mPa・s以上であることが好ましい。インク組成物のインクジェット印刷時のインク温度における粘度は、20mPa・s以下、15mPa・s以下、又は12mPa・s以下であることが好ましい。本明細書中、インク組成物の粘度は、例えば、E型粘度計によって測定される粘度であり、25℃で測定されたものを言う。
インク組成物のインクジェット印刷時のインク温度における粘度が2mPa・s以上でである場合、吐出ヘッドのインク吐出孔の先端におけるインクジェットインクのメニスカス形状が安定するため、インクジェットインクの吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易となる。一方、インク組成物のインクジェット印刷時のインク温度における粘度が20mPa・s以下である場合、インク吐出孔からインクジェットインクを円滑に吐出させることができる。
インク組成物の表面張力は、インクジェット方式に適した表面張力であることが好ましく、具体的には、20~40mN/mの範囲であることが好ましく、25~35mN/mであることがより好ましい。表面張力を当該範囲とすることで吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易になると共に、飛行曲がりの発生を抑制することができる。なお、飛行曲がりとは、インク組成物をインク吐出孔から吐出させたとき、インク組成物の着弾位置が目標位置に対して30μm以上のずれを生じることをいう。表面張力が40mN/m以下である場合、インク吐出孔の先端におけるメニスカス形状が安定するため、インク組成物の吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易となる。一方、表面張力が20mN/m以上である場合、インク吐出孔周辺部がインクジェットインクで汚染することが防げるため、飛行曲がりの発生を抑制できる。すなわち、着弾すべき画素部形成領域に正確に着弾されずにインク組成物の充填が不充分な画素部が生じたり、着弾すべき画素部形成領域に隣接する画素部形成領域(又は画素部)にインク組成物が着弾し、色再現性が低下したりすることがない。なお、本願明細書記載の表面張力は、23℃で測定された表面張力をいい、リング法(輪環法ともいう)で測定されたものをいう。
本実施形態のインク組成物は、圧電素子を用いた機械的吐出機構による、ピエゾジェット方式のインクジェット記録装置に適用することが好ましい。ピエゾジェット方式では、吐出に当たり、インク組成物が瞬間的に高温に晒されることがない。そのため、発光性ナノ結晶粒子の変質が起こり難く、画素部(光変換層)において、期待した通りの発光特性がより容易に得られやすい。
<インク組成物の製造方法>
上述した実施形態のインク組成物は、例えば、上述したインク組成物の構成成分を混合する工程を備える。インク組成物の製造方法は、上記構成成分の混合物の分散処理を行う工程を更に備えてよい。
インク組成物の製造方法は、例えば、光散乱性粒子及び高分子分散剤を含有する光散乱性粒子の分散体と、発光性ナノ結晶粒子及び有機リガンドを含有する発光性ナノ結晶粒子の分散体と、を混合する工程を備える。この方法によれば、画素部の光学特性(外部量子効率の向上、漏れ光の抑制等)を向上させることができるとともに、再分散性に優れるインク組成物を得ることができる。
インク組成物の製造方法は、光散乱性粒子の分散体と、発光性ナノ結晶粒子の分散体と、を混合する工程の前に、光散乱性粒子、高分子分散剤及び光重合性化合物を含有する、光散乱性粒子の分散体を用意する工程を備えていてよい。光散乱性粒子の分散体を用意する工程では、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合性化合物と、を混合し、分散処理を行うことにより光散乱性粒子の分散体を調製してよい。混合及び分散処理は、ビーズミル、ペイントコンディショナー、遊星攪拌機、ジェットミル等の分散装置を用いて行ってよい。光散乱性粒子の分散性が良好となり、光散乱性粒子の平均粒子径を所望の範囲に調整しやすい観点から、ビーズミル又はペイントコンディショナーを用いることが好ましい。
インク組成物の製造方法は、光散乱性粒子の分散体と、発光性ナノ結晶粒子の分散体と、を混合する工程の前に、発光性ナノ結晶粒子と、有機リガンドと、光重合性化合物と、を含有する、発光性ナノ結晶粒子の分散体を用意する工程を更に備えていてもよい。発光性ナノ結晶粒子の分散体を用意する工程では、発光性ナノ結晶粒子と、光重合性化合物と、有機リガンドとを混合し、分散処理を行うことにより発光性ナノ結晶粒子の分散体を調製してよい。混合及び分散処理は、電磁式スターラー、スリーワンモーター等の通常の攪拌装置や、ボルテックスミキサー、ビーズミル、ペイントコンディショナー、遊星攪拌機、ジェットミル等の分散装置を用いて行ってよい。発光性ナノ結晶粒子に過度のエネルギーを与えすぎない観点から、電磁式スターラー、スリーワンモーター等の通常の攪拌装置又はボルテックスミキサーを用いることが好ましい。この方法によれば、発光性ナノ結晶粒子の性能を落とさず、充分に分散させることができる。そのため、画素部の光学特性(外部量子効率の向上、漏れ光の抑制等)を向上させることができるとともに、再分散性に優れるインク組成物を得ることができる。
<インク組成物セット>
一実施形態のインク組成物セットは、上述した実施形態のインク組成物を備える。インク組成物セットは、上述した実施形態のインク組成物(発光性インク組成物)に加えて、発光性ナノ結晶粒子を含有しないインク組成物(非発光性インク組成物)を備えていてよい。非発光性インク組成物は、例えば、硬化性のインク組成物である。非発光性インク組成物は、従来公知のインク組成物であってよく、発光性ナノ結晶粒子を含まないこと以外は、上述した実施形態のインク組成物(発光性インク組成物)と同様の組成であってもよい。
非発光性インク組成物は、発光性ナノ結晶粒子を含有しないため、非発光性インク組成物により形成される画素部(非発光性インク組成物の硬化物を含む画素部)に光を入射させた場合に画素部から出射する光は、入射光と略同一の波長を有する。したがって、非発光性インク組成物は、光源からの光と同色の画素部を形成するために好適に用いられる。例えば、光源からの光が420~480nmの範囲の波長を有する光(青色光)である場合、非発光性インク組成物により形成される画素部は青色画素部となり得る。
非発光性インク組成物は、好ましくは光散乱性粒子を含有する。非発光性インク組成物が光散乱性粒子を含有する場合、当該非発光性インク組成物により形成される画素部によれば、画素部に入射した光を散乱させることができ、これにより、画素部からの出射光の、視野角における光強度差を低減することができる。
<光変換層及びカラーフィルタ>
以下、上述した実施形態のインク組成物セットを用いて得られる光変換層及びカラーフィルタの詳細について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態のカラーフィルタの模式断面図である。図1に示すように、カラーフィルタ100は、基材40と、基材40上に設けられた光変換層30と、を備える。光変換層30は、複数の画素部10と、遮光部20と、を備えている。
光変換層30は、画素部10として、第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとを有している。第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとは、この順に繰り返すように格子状に配列されている。遮光部20は、隣り合う画素部の間、すなわち、第1の画素部10aと第2の画素部10bとの間、第2の画素部10bと第3の画素部10cとの間、第3の画素部10cと第1の画素部10aとの間に設けられている。言い換えれば、これらの隣り合う画素部同士は、遮光部20によって離間されている。
第1の画素部10a及び第2の画素部10bは、それぞれ上述した実施形態のインク組成物の硬化物を含む発光性の画素部(発光性画素部)である。第1の画素部10aは、第1の硬化成分13aと、第1の硬化成分13a中にそれぞれ分散された第1の発光性ナノ結晶粒子11a及び第1の光散乱性粒子12aとを含む。同様に、第2の画素部10bは、第2の硬化成分13bと、第2の硬化成分13b中にそれぞれ分散された第2の発光性ナノ結晶粒子11b及び第2の光散乱性粒子12bとを含む。硬化成分は、光重合性化合物の重合によって得られる成分であり、光重合性化合物の重合体、有機リガンド及び高分子分散剤を含む。硬化成分は、インク組成物に含まれていた有機成分(未反応の光重合性化合物等)を更に含んでいてもよい。第1の画素部10a及び第2の画素部10bにおいて、第1の硬化成分13aと第2の硬化成分13bとは同一であっても異なっていてもよく、第1の光散乱性粒子12aと第2の光散乱性粒子12bとは同一であっても異なっていてもよい。
第1の発光性ナノ結晶粒子11aは、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、赤色発光性のナノ結晶粒子である。すなわち、第1の画素部10aは、青色光を赤色光に変換するための赤色画素部と言い換えてよい。また、第2の発光性ナノ結晶粒子11bは、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、緑色発光性のナノ結晶粒子である。すなわち、第2の画素部10bは、青色光を緑色光に変換するための緑色画素部と言い換えてよい。
発光性画素部における発光性ナノ結晶粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点及び優れた発光強度が得られる観点から、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、好ましくは15質量%以上であり、18質量%以上、20質量%以上又は24質量%以上である。発光性ナノ結晶粒子の含有量は、画素部の信頼性に優れる観点及び優れた発光強度が得られる観点から、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、好ましくは80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下又は40質量%以下である。
発光性画素部における光散乱性粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点から、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、例えば、0.1質量%以上であり、1質量%以上又は2質量%以上であることが好ましい。光散乱性粒子の含有量は、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、例えば、60質量%以下であることが好ましい。光散乱性粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点及び画素部の信頼性に優れる観点から、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下である。
第3の画素部10cは、上述した非発光性インク組成物の硬化物を含む非発光性の画素部(非発光性画素部)である。硬化物は、発光性ナノ結晶粒子を含有せず、光散乱性粒子と、硬化成分とを含有する。すなわち、第3の画素部10cは、第3の硬化成分13cと、第3の硬化成分13c中に分散された第3の光散乱性粒子12cとを含む。第3の硬化成分13cは、例えば、重合性化合物の重合によって得られる成分であり、重合性化合物の重合体を含む。第3の光散乱性粒子12cは、第1の光散乱性粒子12a及び第2の光散乱性粒子12bと同一であっても異なっていてもよい。
第3の画素部10cは、例えば、420~480nmの範囲の波長の光に対し30%以上の透過率を有する。そのため、第3の画素部10cは、420~480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に、青色画素部として機能する。なお、第3の画素部10cの透過率は、顕微分光装置により測定することができる。
非発光性画素部における光散乱性粒子の含有量は、視野角における光強度差をより低減することができる観点から、非発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であることが好ましい。光散乱性粒子の含有量は、光反射をより低減することができる観点から、非発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、50質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下であることが好ましい。
画素部(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、1μm以上、2μm以上、又は3μm以上であることが好ましい。画素部(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、30μm以下、20μm以下、又は15μm以下であることが好ましい。
遮光部20は、隣り合う画素部を離間して混色を防ぐ目的及び光源からの光の漏れを防ぐ目的で設けられる、いわゆるブラックマトリックスである。遮光部20を構成する材料は、特に限定されず、クロム等の金属の他、バインダーポリマーにカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の硬化物等を用いることができる。ここで用いられるバインダーポリマーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種又は2種以上混合したもの、感光性樹脂、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物(例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの)などを用いることができる。遮光部20の厚さは、例えば、0.5μm以上、又は10μm以下であることが好ましい。
基材40は、光透過性を有する透明基材であり、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の透明なガラス基板、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルム等の透明なフレキシブル基材などを用いることができる。これらの中でも、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスからなるガラス基板を用いることが好ましい。具体的には、コーニング社製の「7059ガラス」、「1737ガラス」、「イーグル200」及び「イーグルXG」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA-10G」及び「OA-11」が好適である。これらは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れる。
以上の光変換層30を備えるカラーフィルタ100は、420~480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に好適に用いられる。
カラーフィルタ100は、例えば、基材40上に遮光部20をパターン状に形成した後、基材40上の遮光部20によって区画された画素部形成領域に画素部10を形成することにより製造できる。画素部10は、インク組成物をインクジェット方式により基材40上の画素部形成領域に選択的に付着させる工程と、インク組成物を硬化させて発光性画素部を得る工程と、を備える方法により形成することができる。インク組成物として上述した発光性インク組成物を用いることで発光性画素部が得られ、非発光性インク組成物を用いることで非発光性画素部が得られる。
遮光部20を形成させる方法は、基材40の一面側の複数の画素部間の境界となる領域に、クロム等の金属薄膜、又は、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法等が挙げられる。金属薄膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができ、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜は、例えば、塗布、印刷等の方法により形成することができる。パターニングを行う方法としては、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。
インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)方式、或いは圧電素子を用いたピエゾジェット方式等が挙げられる。
インク組成物の硬化は、活性エネルギー線(例えば紫外線)を照射することにより行われてよい。インク組成物の硬化は、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等を用いてよい。照射する光の波長は、例えば、200nm以上、又は440nm以下であることが好ましい。露光量は、例えば、10mJ/cm以上、又は20000mJ/cm以下であることが好ましい。
以上、カラーフィルタ及び光変換層、並びにこれらの製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、光変換層は、第3の画素部10cに代えて又は第3の画素部10cに加えて、青色発光性のナノ結晶粒子を含有する発光性インク組成物の硬化物を含む画素部(青色画素部)を備えていてもよい。また、光変換層は、赤、緑、青以外の他の色の光を発するナノ結晶粒子を含有する発光性インク組成物の硬化物を含む画素部(例えば黄色画素部)を備えていてもよい。これらの場合、光変換層の各画素部に含有される発光性ナノ結晶粒子のそれぞれは、同一の波長域に吸収極大波長を有することが好ましい。
また、光変換層の画素部の少なくとも一部は、発光性ナノ結晶粒子以外の顔料を含有する組成物の硬化物を含むものであってもよい。
また、カラーフィルタは、遮光部のパターン上に、遮光部よりも幅の狭い撥インク性を持つ材料からなる撥インク層を備えていてもよい。また、撥インク層を設けるのではなく、画素部形成領域を含む領域に、濡れ性可変層としての光触媒含有層をベタ塗り状に形成した後、当該光触媒含有層にフォトマスクを介して光を照射して露光を行い、画素部形成領域の親インク性を選択的に増大させてもよい。光触媒としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
また、カラーフィルタは、基材と画素部との間に、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン等を含むインク受容層を備えていてもよい。
また、カラーフィルタは、画素部上に保護層を備えていてもよい。この保護層は、カラーフィルタを平坦化すると共に、画素部に含有される成分、又は、画素部に含有される成分及び光触媒含有層に含有される成分の液晶層への溶出を防止するために設けられるものである。保護層を構成する材料は、公知のカラーフィルタ用保護層として使用されているものを使用できる。
また、本実施形態の光変換層の画素部には、上記した発光性ナノ結晶粒子に加えて、発光性ナノ結晶粒子の発光色と概ね同色の顔料を更に含有させてもよい。顔料を画素部に含有させるため、インク組成物に顔料を含有させてもよい。
また、本実施形態の光変換層中の赤色画素部(R)、緑色画素部(G)、及び青色画素部(B)のうち、1種又は2種の発光性画素部を、発光性ナノ結晶粒子を含有させずに色材を含有させた画素部としてもよい。ここで使用し得る色材としては、公知の色材を使用することができ、例えば、赤色画素部(R)に用いる色材としては、ジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料が挙げられる。緑色画素部(G)に用いる色材としては、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。青色画素部(B)に用いる色材としては、ε型銅フタロシアニン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料が挙げられる。これらの色材の使用量は、光変換層に含有させる場合には、透過率の低下を防止できる観点から、画素部(インク組成物の硬化物)の全質量を基準として、1~5質量%であることが好ましい。
また、カラーフィルタは、基材と本実施形態の画素部との間に、発光性ナノ結晶粒子を含まず、上記色材を含む通常のカラーフィルタ層を備えてもよい。すなわち、本実施形態のカラーフィルタは、基材と、基材上に設けられた、発光性ナノ結晶粒子を含まず、色材を含むカラーフィルタ層と、当該カラーフィルタ層上に設けられた、本実施形態の画素部と、を備えるものであってよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた材料は全て、アルゴンガスを導入して溶存酸素をアルゴンガスに置換したものを用いた。実施例で用いた液状の材料は、混合前にあらかじめ、モレキュラーシーブス3Aで48時間以上脱水して用いた。
<光重合性化合物の用意>
表1に示す光重合性化合物を用意した。
Figure 2024049408000006
実施例1
<QD粉体Aの作製>
[有機リガンド1の合成]
ポリエチレングリコール|average Mn350|(Sigma-Aldrich社製)をフラスコに投入した後、窒素ガス環境にて攪拌しながら、そこにポリエチレングリコール|average Mn350|と等モル量の無水コハク酸(Sigma-Aldrich社製)を添加した。フラスコの内温を80℃に昇温し、8時間攪拌することにより、淡い黄色の年長な油状物として下記式(A)で表される有機リガンド1を得た。
Figure 2024049408000007
[リガンド交換によるQD粉体Aの作製]
Nanosys社製のInPナノ結晶分散体(InP QD in Heptane Red InP QD、QD粒子(発光性ナノ結晶粒子)濃度30%、有機リガンド:オレイン酸)に対して、2.0倍量のPGMEAとQD粒子の量(有機リガンドの量は含まない)に対し35質量%相当分の有機リガンド1とを添加し、80℃にて1時間攪拌することにより、リガンド交換を実施した。この溶液に対して、4倍量のヘプタンを添加することにより、QD粒子を凝集させ、遠心分離にて沈殿させた後、上澄みの傾瀉によってQD粒子を分離した。得られたQD粒子を真空乾燥機にて乾燥させ、赤色発光性のQD粉体A(QD粒子/有機リガンド=76質量%/24質量%)を得た。
<光散乱性粒子分散体Aの準備>
アルゴンガスで満たした容器内で、酸化チタン(商品名:PF-690、石原産業株式会社製、平均粒子径(体積平均径):210nm)8.0gと、高分子分散剤(商品名:PB-821、味の素ファインテクノ株式会社製)0.4gと、フェノキシエチルアクリレート(商品名:ライトアクリレートPO-A、共栄社化学社製)11.6gと、を混合した。その後、得られた混合物に、ジルコニアビーズ(直径:0.03mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて4時間振とうさせることで、混合物を分散処理した。次いで、ポリエステルメッシュフィルターにて混合物からジルコニアビーズを除去することで、光散乱性粒子分散体を得た。
<実施例1のインク組成物の調製>
QD粉体Aを1.71gと、光散乱性粒子分散体Aを0.52gと、光重合開始剤(フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、IGM resin社製、製品名:Omnirad TPO)を0.30gと、光重合性化合物の混合物(PhEM:LM:HDMMA=43:22:35(質量比))を2.37gと、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン社製、製品名:Irganox1010)0.05gとを配合し、アルゴンガスで満たした容器内で均一に混合した後、グローブボックス内で、混合物を孔径5μmのフィルターでろ過した。さらに、アルゴンガスを得られた濾過物を入れた容器内に導入し、容器内をアルゴンガスで飽和させた。次いで、減圧してアルゴンガスを除去することにより、実施例1のインク組成物を得た。
実施例2
<リガンド交換によるQD粉体Bの作製>
Nanosys社製のInPナノ結晶分散体(InP QD in Heptane Green InP QD、QD粒子(発光性ナノ結晶粒子)濃度30%、有機リガンド:オレイン酸)に対して、2.0倍量のPGMEAとQD粒子の量(有機リガンドの量は含まない)に対し40質量%相当分の有機リガンド1とを添加し、80℃にて1時間攪拌することにより、リガンド交換を実施した。この溶液に対して、4倍量のヘプタンを添加することにより、QD粒子を凝集させ、遠心分離にて沈殿させた後、上澄みの傾瀉によってQD粒子を分離した。得られたQD粒子を真空乾燥機にて乾燥させ、緑色発光性のQD粉体B(QD粒子/有機リガンド=66質量%/34質量%)を得た。
<実施例2のインク組成物の調製>
QD粉体Bを1.71gと、光散乱性粒子分散体をA0.59gと、光重合開始剤(フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、IGM resin社製、製品名:Omnirad TPO)を0.12gと、光重合性化合物の混合物(PhEM:LA:HDMMA=39:23:38(質量比))を2.39gと、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン社製、製品名:Irganox1010)0.05gとを配合し、アルゴンガスで満たした容器内で均一に混合した後、グローブボックス内で、混合物を孔径5μmのフィルターでろ過した。さらに、アルゴンガスを得られた濾過物を入れた容器内に導入し、容器内をアルゴンガスで飽和させた。次いで、減圧してアルゴンガスを除去することにより、実施例2のインク組成物を得た。
実施例3
<光散乱性粒子分散体Bの準備>
アルゴンガスで満たした容器内で、酸化チタン(商品名:PF-690、石原産業株式会社製、平均粒子径(体積平均径):210nm)8.0gと、高分子分散剤(商品名:PB-821、味の素ファインテクノ株式会社製)0.8gと、フェノキシエチルアクリレート(商品名:ライトアクリレートPO-A、共栄社化学社製)11.2gと、を混合した。その後、得られた混合物に、ジルコニアビーズ(直径:0.03mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて4時間振とうさせることで、混合物を分散処理した。次いで、ポリエステルメッシュフィルターにて混合物からジルコニアビーズを除去することで、光散乱性粒子分散体を得た。
<実施例3のインク組成物の調製>
光散乱性粒子分散体Aに代えて光散乱性粒子分散体Bを用いたこと、光重合性化合物の混合物にGLMを加え、重量比PhEM:LA:HDDMA:GLM=34:22:38:6に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3のインク組成物を調製した。
実施例4
<光散乱性粒子分散体Cの準備>
アルゴンガスで満たした容器内で、酸化チタン(商品名:PF-690、石原産業株式会社製、平均粒子径(体積平均径):210nm)8.0gと、高分子分散剤(商品名:PB-821、味の素ファインテクノ株式会社製、アミン価:10、酸価:17)0.4gと、高分子分散剤(商品名:ソルスパースS24000GR、日本ルーブリゾール株式会社製、アミン価:42、酸価:26)0.4gと、フェノキシエチルアクリレート(商品名:ライトアクリレートPO-A、共栄社化学社製)11.2gと、を混合した。その後、得られた混合物に、ジルコニアビーズ(直径:0.03mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて4時間振とうさせることで、混合物を分散処理した。次いで、ポリエステルメッシュフィルターにて混合物からジルコニアビーズを除去することで、光散乱性粒子分散体を得た。
<実施例4のインク組成物の調製>
光散乱性粒子分散体Bに代えて光散乱性粒子分散体Cを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4のインク組成物を調製した。
比較例1
<光散乱性粒子分散体Dの準備>
アルゴンガスで満たした容器内で、酸化チタン(商品名:PF-690、 石原産業株式会社製、平均粒子径(体積平均径):210nm)8.0gと、高分子分散剤(商品名:PB-821、味の素ファインテクノ株式会社製)0.16gと、フェノキシエチルアクリレート(商品名:ライトアクリレートPO-A、共栄社化学社製)11.8gと、を混合した。その後、得られた混合物に、ジルコニアビーズ(直径:0.03mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて4時間振とうさせることで、混合物を分散処理した。次いで、ポリエステルメッシュフィルターにて混合物からジルコニアビーズを除去することで、光散乱性粒子分散体を得た。
<比較例1のインク組成物の調製>
光散乱性粒子分散体Aに代えて、光散乱性粒子分散体Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインク組成物を調製した。
比較例2
<リガンド交換によるQD粉体Cの作製>
Nanosys社製のInPナノ結晶分散体(InP QD in Heptane Red InP QD、QD粒子(発光性ナノ結晶粒子)濃度30%、有機リガンド:オレイン酸)に対して、2.0倍量のPGMEAとQD粒子の量(有機リガンドの量は含まない)に対し20質量%相当分の有機リガンド1とを添加し、80℃にて1時間攪拌することにより、リガンド交換を実施した。この溶液に対して、4倍量のヘプタンを添加することにより、QD粒子を凝集させ、遠心分離にて沈殿させた後、上澄みの傾瀉によってQD粒子を分離した。得られたQD粒子を真空乾燥機にて乾燥させ、赤色発光性のQD粉体C(QD粒子/有機リガンド=86質量%/14質量%)を得た。
<比較例2のインク組成物の調製>
QD粉体Aに代えて、QD粉体Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインク組成物を調製した。
比較例3
<光散乱性粒子分散体Eの準備>
アルゴンガスで満たした容器内で、酸化チタン(商品名:PF-690、石原産業株式会社製、平均粒子径(体積平均径):210nm)8.0gと、高分子分散剤(商品名:PB-821、味の素ファインテクノ株式会社製)1.44gと、フェノキシエチルアクリレート(商品名:ライトアクリレートPO-A、共栄社化学社製)10.6gと、を混合した。その後、得られた混合物に、ジルコニアビーズ(直径:0.03mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて4時間振とうさせることで、混合物を分散処理した。次いで、ポリエステルメッシュフィルターにて混合物からジルコニアビーズを除去することで、光散乱性粒子分散体を得た。
<比較例3のインク組成物の調製>
光散乱性粒子分散体Aに代えて、光散乱性粒子分散体Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のインク組成物を調製した。
比較例4
<リガンド交換によるQD粉体Dの作製>
Nanosys社製のInPナノ結晶分散体(InP QD in Heptane Red InP QD、QD粒子(発光性ナノ結晶粒子)濃度30%、有機リガンド:オレイン酸)に対して、2.0倍量のPGMEAとQD粒子の量(有機リガンドの量は含まない)に対し60質量%相当分の有機リガンド1とを添加し、80℃にて1時間攪拌することにより、リガンド交換を実施した。この溶液に対して、4倍量のヘプタンを添加することにより、QD粒子を凝集させ、遠心分離にて沈殿させた後、上澄みの傾瀉によってQD粒子を分離した。得られたQD粒子を真空乾燥機にて乾燥させ、赤色発光性のQD粉体D(QD粒子/有機リガンド=48質量%/52質量%)を得た。
<比較例4のインク組成物の調製>
発光性ナノ結晶粒子分散体Aに代えて、発光性ナノ結晶粒子分散体Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のインク組成物を調製した。
評価用試料の作製
インク組成物を、ガラス基板上に、膜厚が10μmとなるように、スピンコーターにて大気中で塗布した。塗布膜を窒素雰囲気下、主波長395nmのLEDランプを用いたUV照射装置で積算光量10000mJ/cm2になるようにUVを照射して硬化させた後、酸素濃度1体積%以下のグローブボックス中にて30分間、180℃にて加熱して、ガラス基板上にインク組成物の硬化物からなる層(光変換層)を形成した。これにより、評価用試料を得た。
外部量子効率(EQE)の評価
面発光光源としてシーシーエス株式会社製の青色LED(ピーク発光波長:450nm)を用いた。測定装置は、大塚電子株式会社製の放射分光光度計(製品名「MCPD-9800」)に積分球を接続し、青色LEDの上側に積分球を設置した。青色LEDと積分球との間に、作製した評価用試料を挿入し、青色LEDを点灯させて観測されるスペクトル、各波長における照度を測定した。
上記の測定装置で測定されるスペクトル及び照度より、以下のようにして外部量子効率を求めた。外部量子効率は、光変換層に入射した光(光子)のうち、どの程度の割合で蛍光として観測者側に放射されるかを示す値である。従って、この値が大きければ光変換層が発光特性に優れていることを示しており、重要な評価指標である。
Red QD EQE(%)=[P1(Red)]/E(Blue)×100
Green QD EQE(%)=[P1(Green)/E(Blue)]×100
ここで、E(Blue)、P1(Red)及びP1(Green)はそれぞれ以下を表す。
E(Blue):380~490nmの波長域における「照度×波長÷hc」の合計値を表す。
P1(Red):590~780nmの波長域における「照度×波長÷hc」の合計値を表す。
P1(Green):500~650nmの波長域における「照度×波長÷hc」の合計
値を表す。
これらは観測した光子数に相当する値である。なお、hは、プランク定数、cは光速を表す。
EQEは以下の基準で評価を行った。
A:RedQD EQE≧35%、GreenQD EQE≧30%
B:RedQD30%<EQE<35%、GreenQD25%<EQE<30%
C:RedQD EQE≦30%、GreenQD EQE≦25%
再分散性(ろ過)の評価
発光性ナノ結晶粒子および光散乱性粒子が凝集することで再分散性が悪くなると、インクジェットインクとしての吐出性が悪化する場合がある。そこで、粒子の再分散性を評価するために、インク組成物のろ過性を評価した。凝集物はろ過性を低下させるため、ろ過性が良いほど、再分散性が良好である。40℃恒温槽で2週間保管したインク組成物5mlをボルテックスミキサーで攪拌後、0.1MPaの圧力でポリプロプレンフィルターφ25mm孔径1.2μm(日本ポール社製)を用いてろ過し、2分間に全量ろ過したものを「A」、10分間に全量ろ過したものを「B」、全量ろ過できなかったものを「C」とした。
漏れ光の評価
面発光光源としてシーシーエス(株)社製の青色LED(ピーク発光波長:450nm)を用いた。この光源上にガラス基板側を下側にして評価用試料を設置した。大塚電子(株)製の放射分光光度計(商品名「MCPD-9800」)に積分球を接続し、青色LED上に設置した光変換フィルター上に積分球を近接させた。この状態で青色LEDを点灯させ、観測される波長450nmの光のピーク強度(S)を測定した。次いで、光変換フィルターの代わりに、光変換フィルターの作製に用いたガラス基板(スライドガラス)を光源上に設置したこと以外は、上記方法と同様にして、波長450nmの光を観測し、該光のピーク強度(R)を測定した。波長450nmの光の漏れ率T(ピーク強度比:S/R×100)を算出し、以下の基準で評価を行った。光の漏れ率が小さいほど色純度が高くなり好ましい。
A:Red QD T≦10%、Green QD T≦20%
C:Red QD T>10%、Green QD T>20%
表2~3に評価結果を示す。表中の発光性ナノ結晶粒子に対する有機リガンド量は、インク組成物における、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対する有機リガンドの含有量を意味する。表中の光散乱性粒子に対する分散剤の量は、インク組成物における、光散乱性粒子100質量部に対する、高分子分散剤の含有量を意味する。
Figure 2024049408000008

Figure 2024049408000009
実施例のインク組成物は、塗膜の外部量子効率を向上させることができるとともに再分散性にも優れていることが示された(比較例との対比)。実施例のインク組成物は、漏れ光の抑制効果を更に有していることも確認された。
10…画素部、10a…第1の画素部、10b…第2の画素部、10c…第3の画素部、11a…第1の発光性ナノ結晶粒子、11b…第2の発光性ナノ結晶粒子、12a…第1の光散乱性粒子、12b…第2の光散乱性粒子、12c…第3の光散乱性粒子、20…遮光部、30…光変換層、40…基材、100…カラーフィルタ。

Claims (10)

  1. 発光性ナノ結晶粒子と、前記発光性ナノ結晶粒子の表面に結合可能な有機リガンドと、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合性化合物と、を含有し、
    前記有機リガンドの含有量が、前記発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、15~50質量部であり、
    前記高分子分散剤の含有量が、前記光散乱性粒子100質量部に対して、3~15質量部である、カラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  2. 前記有機リガンドの分子量が1000以下である、請求項1に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  3. 前記高分子分散剤の重量平均分子量が1000以上である、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  4. 前記高分子分散剤が、酸価及びアミン価の両方を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  5. 前記高分子分散剤が、2種類以上の高分子分散剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  6. 前記光散乱性粒子の平均粒子径が0.15μm以上0.5μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物の硬化物。
  8. 複数の画素部と、当該複数の画素部間に設けられた遮光部と、を備え、
    前記複数の画素部は、請求項1~6のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用インクジェットインク組成物の硬化物を含む発光性画素部を有する、光変換層。
  9. 前記発光性画素部として、
    420~480nmの範囲の波長の光を吸収し605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する発光性ナノ結晶粒子を含有する、第1の発光性画素部と、
    420~480nmの範囲の波長の光を吸収し500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する発光性ナノ結晶粒子を含有する、第2の発光性画素部と、
    を備える、請求項8に記載の光変換層。
  10. 請求項8又は9に記載の光変換層を備える、カラーフィルタ。

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