JP2022080617A - 分散体、光変換層、カラーフィルタ及び発光素子 - Google Patents

分散体、光変換層、カラーフィルタ及び発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、シリカ粒子にメタルハライドからなる半導体ナノ結晶を内包した発光性粒子の光学特性及び分散性に優れた発光性粒子分散体を提供することにある。【解決手段】 本発明は、内側空間を有する中空シリカ粒子、及び前記内側空間に収容されたメタルハライドからなる半導体ナノ結晶粒子を有する発光性粒子と、SP値が10.0以下である光重合性化合物と、塩基性基を有する第一の構造単位及び前記光重合性化合物に対して親和性を有する第二の構造単位を備えたブロック共重合体と、を含有する発光性粒子分散体を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、分散体、光変換層、カラーフィルタ及び発光素子に関する。
近年、ディスプレイの高色域化が強く求められている。そのため、赤色有機顔料粒子又は緑色有機顔料粒子に代えて、量子ドット、量子ロッド、その他の無機蛍光体粒子等の発光性ナノ結晶粒子を用いた、赤色画素、緑色画素等の画素部を有するカラーフィルタの研究が活発化している。カラーフィルタは微細なパターンを有することが望まれる上に、フォトリソグラフィ方式では発光性ナノ結晶粒子の無駄な消費が生じることから、紫外線硬化型インク組成物を用いたインクジェット法(インクジェット方式)により、光変換層を形成することが検討されている。例えば、特許文献1には、コア/シェル型の半導体ナノ結晶からなる発光性ナノ結晶粒子とアミド基を有する光重合性化合物とを含有するインクジェット用インク組成物と、当該組成物の硬化膜からなる波長変換部材が開示されている。しかしながら、コア/シェル型の半導体ナノ結晶を光変換材とする場合、発光波長域を調整するために、コア部及びシェル部の厳密な粒子サイズ制御が必要となり、工業的に品質の安定したインクを生産する難易度が高い。
そこで、このような粒子サイズを比較的容易に調整可能な無機発光粒子として、近年、メタルハライドからなる半導体結晶、特に、CsPbX(XはCl、BrまたはIを示す。)で表される化合物に代表されるペロブスカイト型の結晶構造を有する半導体ナノ結晶が見出され、注目を集めている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、インクジェット用インク組成物におけるコア/シェル型半導体ナノ結晶粒子を、前記ペロブスカイト型の半導体結晶粒子に置き換えようとする場合、ペロブスカイト型の半導体ナノ結晶は、水等の極性溶媒等により不安定化しやすく、量子収率の低下を招くおそれがある。斯かるペロブスカイト型の半導体結晶粒子の安定化の問題に対しては、例えば、ペロブスカイト型の半導体ナノ結晶をSiOx球状マトリックスでカプセル化することによって、当該半導体ナノ結晶を安定化する技術が提案されている(特許文献3参照)。
特開2020-076976号公報 特表2018-506625号公報 米国特許出願公開第2018/0002354号明細書
しかしながら、SiOx球状マトリックスでカプセル化したペロブスカイト型の半導体ナノ結晶をインクジェット用インク組成物に用いようとしても、インク組成物に一般的に使用されている分散剤やリガンドは極性が高いことから、分散剤やリガンド自体が大気中の水分を取り込んでしまうため、カプセル化による安定化の効果が不十分となる。他方、ペロブスカイト型の半導体ナノ結晶をSiOx球状マトリックスでカプセル化することなく使用する場合、分散性は良好となるものの、前記したとおり、水分により安定性が損なわれ光学特性が犠牲になるという不都合がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、シリカ粒子にメタルハライドからなる半導体ナノ結晶を内包した発光性粒子の光学特性及び分散性に優れた発光性粒子分散体を提供することにある。さらには、当該発光性粒子分散体を用いた光変換層、カラーフィルタ並びに発光素子を提供することにある。
本発明の発光性粒子分散体は、内側空間を有する中空シリカ粒子、及び前記内側空間に収容されたメタルハライドからなる半導体ナノ結晶粒子を含む発光性粒子と、溶解度パラメータ(Solbility Parameter;SP値)が10.0以下である光重合性化合物と、塩基性基を有する第一の構造単位及び前記光重合性化合物に対して親和性を有する第二の構造単位を備えたブロック共重合体と、を含有することを特徴とする。
光重合性化合物は単官能(メタ)アクリレートを少なくとも1種以上含むことが好ましい。
ブロック共重合体のアミン価は、2mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが好ましい。
発光性粒子分散体は、光重合開始剤を更に含有してよい。
発光性粒子分散体は、光散乱性粒子を更に含有してよい。
発光性粒子分散体は、インクジェット用インクとして用いられることが好ましい。
本発明の光変換層は、複数の画素部と、当該複数の画素部間に設けられた遮光部と、を備え、複数の画素部は、上記の発光性粒子分散体の硬化物を含む発光性画素部を有することを特徴とする。
本発明のカラーフィルタは、上記の光変換層を備えることを特徴とする。
本発明の発光素子は、上記カラーフィルタを備えることを特徴とする。
本発明によれば、シリカ粒子にメタルハライドからなる半導体ナノ結晶を内包した発光性粒子の光学特性及び分散性に優れた発光性粒子分散体を提供することができる。さらには、当該発光性粒子分散体を用いた光変換層、カラーフィルタ並びに発光素子を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態のカラーフィルタの模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
<発光性粒子分散体>
本発明の一実施形態は、内側空間を有する中空シリカ粒子、及び前記内側空間に収容されたメタルハライドからなる半導体ナノ結晶粒子を含む発光性粒子と、溶解度パラメータ(Solbility Parameter;SP値)が10.0以下である光重合性化合物と、塩基性基を有する第一の構造単位及び前記光重合性化合物に対して親和性を有する第二の構造単位を備えたブロック共重合体と、を含有する発光性粒子分散体である。以下、発光性粒子分散体を、単に「分散体」と記載することがある。
<<発光性粒子>>
発光性粒子は、中空シリカ粒子の内部空間に、メタルハライドからなり、励起光を吸収して蛍光または燐光を発光可能な粒径を有する結晶体(半導体ナノ結晶粒子)が収容された粒子である。中空粒子の内部にナノ結晶粒子が収容されていることにより、発光性粒子の酸素ガス、水分に対する安定性を向上させ、それにより光学特性も向上させることができる。メタルハライドからなる発光性ナノ結晶としては、例えば、後述のペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ結晶が好ましい。
中空シリカ粒子の内側空間にメタルハライドからなる半導体ナノ結晶を収容する方法としては、例えば、中空シリカ粒子に、ナノ結晶粒子の原料化合物を含む溶液を含侵し、乾燥することにより、中空シリカ粒子の内側空間内に、ナノ結晶粒子を析出されることによって得ることができる。
中空シリカ粒子は、球状(真球状)、細長い球状(楕円球状)または直方体(立方体を含む)状をなすものであってよい。中空シリカ粒子は、バルーン構造を有する粒子と呼ぶこともできる。内側空間には、1個の半導体ナノ結晶粒子が存在していてもよく、複数個の半導体ナノ結晶粒子が存在していてもよい。また、内側空間は、1個または複数のナノ結晶粒子によって全体が占有されていてもよく、一部のみが占有されていてもよい。
中空シリカ粒子の平均外径は、特に限定されないが、好ましくは5nm以上、より好ましくは6nm以上、更に好ましくは8nm以上、特に好ましくは10nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm、特に好ましくは25nm以下である。このような平均外径を有する中空シリカ粒子であれば、半導体ナノ結晶粒子の熱に対する安定性を十分に高めることができる。中空シリカ粒子の平均外径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像において、20個の中空シリカ粒子について測定された外径の平均値として求められる。
中空シリカ粒子の平均内径は、特に限定されないが、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、更に好ましくは3nm以上、特に好ましくは5nm以上であり、好ましくは250nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは15nm以下である。このような平均内径を有する中空シリカ粒子であれば、半導体ナノ結晶粒子の熱に対する安定性を十分に高めることができる。中空シリカ粒子の平均内径は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像において、20個の中空シリカ粒子について測定された内径の平均値として求められる。
中空シリカ粒子における細孔の大きさは、特に限定されないが、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上であり、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下である。この場合、発光性粒子を製造する際に、半導体ナノ結晶粒子の原料化合物を含有する溶液を中空シリカ粒子の内側空間内に円滑かつ確実に充填することができる。中空シリカ粒子における細孔の大きさは、細孔分布測定装置「BELSORP-miniX」(定量容積式ガス吸着法)により測定し、BJH法に従って解析を行い、得られた細孔分布プロットのピークトップを細孔の大きさとした。
中空シリカ粒子には、市販品を使用することもできる。かかる市販品としては、例えば、日鉄鉱業株式会社製の「Silinax(登録商標) SP-PN(b)」が挙げられる。
メタルハライドからな半導体ナノ結晶粒子は、一般式:Aで表される化合物で構成されている。
式中、Aは、有機カチオンおよび金属カチオンのうちの少なくとも1種である。有機カチオンとしては、アンモニウム、ホルムアミジニウム、グアニジニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、プロトン化チオウレア等が挙げられ、金属カチオンとしては、Cs、Rb、K、Na、Li等のカチオンが挙げられる。
Mは、少なくとも1種の金属カチオンである。金属カチオンとしては、1族、2族、3族、4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族から選ばれる金属カチオンが挙げられる。より好ましくは、Ag、Au、Bi、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、Eu、Fe、Ga、Ge、Hf、In、Ir、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Nd、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Sb、Sc、Sm、Sn、Sr、Ta、Te、Ti、V、W、Zn、Zr等のカチオンが挙げられる。
Xは、少なくとも1種のアニオンである。アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン等が挙げられ、少なくとも1種のハロゲンを含む。
aは、1~4であり、bは、1~4であり、cは、3~16である。
上記一般式Aで表されるメタルハライドからなる化合物は、発光特性をよくするために、Bi、Mn、Ca、Eu、Sb、Ybなどの金属イオンが添加(ドープ)されたものであってもよい。
上記一般式Aで表されるメタルハライドの中でも、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物は、その粒子サイズ、Mサイトを構成する金属カチオンの種類および存在割合を調整し、さらにXサイトを構成するアニオンの種類および存在割合を調整することにより、発光波長(発光色)を制御することができる点で、発光性粒子として利用する上で特に好ましい。具体的には、AMX、AMX、AMX、AMX、AMXで表される化合物が好ましい。式中のA、M及びXは上記のとおりである。また、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物は、上述のように、上記Mサイトに用いた金属カチオンとは異なる、Bi、Mn、Ca、Eu、Sb、Ybなどの金属イオンが添加(ドープ)されたものであってもよい。
ペロブスカイト型の半導体ナノ結晶は、その粒子サイズの他、ハロゲン原子の存在割合の調整により発光波長を制御することができる。この調整操作は簡便に行えるので、ペロブスカイト型の半導体ナノ結晶は、従来のコアシェル型の半導体ナノ結晶と比較して、発光波長の制御がより容易であり、よって生産性が高いという特徴を有している。
ペロブスカイト型結晶構造を示す化合物の中でも、さらに良好な発光特性を示すために、AはCs、Rb、K、Na、Liであり、Mは1種の金属カチオン(M)、または2種の金属カチオン(M α β)であり、Xは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンであることが好ましい。但し、αとβはそれぞれ0~1の実数を表し、α+β=1を表す。具体的には、Mは、Ag、Au、Bi、Cu、Eu、Fe、Ge、K、In、Na、Mn、Pb、Pd、Sb、Si、Sn、Yb、Zn、Zrから選ばれることが好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造を示すメタルハライドからなる半導体ナノ結晶粒子の具体的な組成として、CsPbBr、CHNHPbBr、CHNPbBr等のMとしてPbを用いた半導体ナノ結晶粒子は、光強度に優れると共に量子効率に優れることから、好ましい。また、CsSnBr、CsEuBrCsYbI等のMとしてPb以外の金属カチオンを用いた半導体ナノ結晶粒子は、低毒性であって環境への影響が少ないことから、好ましい。
半導体ナノ結晶粒子は、605~665nmの波長範囲に発光ピークを有する光(赤色光)を発する赤色発光性の結晶であってよく、500~560nmの波長範囲に発光ピークを有する光(緑色光)を発する緑色発光性の結晶であってよく、420~480nmの波長範囲に発光ピークを有する光(青色光)を発する青色発光性の結晶であってもよい。また、一実施形態において、これらのナノ結晶の組み合わせでもよい。
なお、半導体ナノ結晶粒子の発光ピークの波長は、例えば、絶対PL量子収率測定装置を用いて測定される蛍光スペクトルまたは燐光スペクトルにおいて確認することできる。
赤色発光性の半導体ナノ結晶粒子は、665nm以下、663nm以下、660nm以下、658nm以下、655nm以下、653nm以下、651nm以下、650nm以下、647nm以下、645nm以下、643nm以下、640nm以下、637nm以下、635nm以下、632nm以下または630nm以下の波長範囲に発光ピークを有することが好ましく、628nm以上、625nm以上、623nm以上、620nm以上、615nm以上、610nm以上、607nm以上または605nm以上の波長範囲に発光ピークを有することが好ましい。
これらの上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。なお、以下の同様の記載においても、個別に記載した上限値および下限値は任意に組み合わせ可能である。
緑色発光性の半導体ナノ結晶粒子は、560nm以下、557nm以下、555nm以下、550nm以下、547nm以下、545nm以下、543nm以下、540nm以下、537nm以下、535nm以下、532nm以下または530nm以下の波長範囲に発光ピークを有することが好ましく、528nm以上、525nm以上、523nm以上、520nm以上、515nm以上、510nm以上、507nm以上、505nm以上、503nm以上または500nm以上の波長範囲に発光ピークを有することが好ましい。
青色発光性の半導体ナノ結晶粒子は、480nm以下、477nm以下、475nm以下、470nm以下、467nm以下、465nm以下、463nm以下、460nm以下、457nm以下、455nm以下、452nm以下または450nm以下の波長範囲に発光ピークを有することが好ましく、450nm以上、445nm以上、440nm以上、435nm以上、430nm以上、428nm以上、425nm以上、422nm以上または420nm以上の波長範囲に発光ピークを有することが好ましい。
半導体ナノ結晶粒子の形状は、特に限定されず、任意の幾何学的形状であってもよく、任意の不規則な形状であってもよい。半導体ナノ結晶粒子の形状としては、例えば、直方体状、立方体状、球状、正四面体状、楕円体状、角錐形状、ディスク状、枝状、網状、ロッド状等が挙げられる。なお、半導体ナノ結晶粒子の形状としては、方向性の少ない形状(例えば、球状、正四面体状等)が好ましい。かかる形状の半導体ナノ結晶粒子を用いることにより、その形状を反映した発光性粒子が得られ、かかる発光性粒子を含む分散体を調製した際の均一分散性および流動性をより高めることができる。
半導体ナノ結晶粒子の平均粒子径(体積平均径)は、40nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。また、半導体ナノ結晶粒子の平均粒子径は、1nm以上であることが好ましく、1.5nm以上であることがより好ましく、2nm以上であることがさらに好ましい。かかる平均粒子径を有する半導体ナノ結晶粒子は、所望の波長の光を発し易いことから好ましい。
なお、半導体ナノ結晶粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
発光性粒子の含有量は、発光層(光変換層)の外部量子効率を向上させる観点から、分散体の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上である。発光性粒子の含有量は、インクジェット印刷法におけるインク吐出安定性を向上させる観点から、分散体の総量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下である。
<<光重合性化合物>>
光重合性化合物として、溶解度パラメータ(Solbility Parameter;SP値)が10.0以下のものを用いる。このような光重合性化合物は、極性が高いため、吸湿性を低く抑えることができる。そのため、本実施形態の分散体及びその硬化物は、発光性粒子を構成するメタルハライドからなる半導体ナノ結晶の水分による劣化を抑制できるため、当該発光性粒子の優れた安定性を得ることができ、それにより光学特性も向上する。
吸湿性をより抑制して量子効率を向上する観点から、SP値は9.75以下であることがより好ましく、9.50以下であることがさらに好ましい。一方、前記発光性粒子及び後述のブロック共重合体の溶解性の観点から、8.50以上であることが好ましく、8.75以上であることがより好ましい。
なお、前記SP値(単位:((cal/cm0.5)とは、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1974)に記載される、所謂、Fedors法で計算された溶解度パラメータをいう。Fedors法では、凝集エネルギー密度とモル分子容とが置換基の種類及び数に依存していると考え、溶解度パラメータを以下の数式(1)で表す。溶解度パラメータは、各化合物に固有の値である。
δ=[ΣEcoh/ΣV]0.5・・・(1)
(上記数式(1)中、δはSP値を、ΣEcohは凝集エネルギーを、ΣVはモル分子容を示す。)
SP値のSI単位は、(J/cm0.5又は(MPa)0.5であるが、本明細書では従来慣用的に使用される(cal/cm0.5を用いる。SP値の単位は、次の式:1(cal/cm0.5≒2.05(J/cm0.5≒2.05(MPa)0.5;で換算することができる。
光重合性化合物は、好ましくは光の照射によって重合する光ラジカル重合性化合物であり、光重合性のモノマーまたはオリゴマーであってよい。光重合性化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和基を有するモノマー(以下、「エチレン性不飽和モノマー」ともいう。)等が挙げられる。ここで、エチレン性不飽和モノマーとは、エチレン性不飽和結合(炭素-炭素二重結合)を有するモノマーを意味する。エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等のエチレン性不飽和基を有するモノマーが挙げられる。これらの基を有するモノマーは、「ビニルモノマー」と称される場合がある。
前記エチレン性不飽和基は、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、(メタ)アクリロイル基等であってよく、好ましくは(メタ)アクリロイル基である。(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーは、水溶性を示すことから、ハライドメタルからなるナノ結晶粒子を溶解しやすく、経時にて著しく発光特性を低下させるため、本発明のインク組成物中に用いることは好ましくない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」を意味する。「(メタ)アクリレート」との表現についても同様である。「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリルアミド基」及び「メタクリルアミド基」を意味する。
前記光ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物である、(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレートであってよく、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリレートであってもよい。分散体を調製した際の発光性粒子の分散性に優れる観点、流動性に優れる観点、発光性粒子の量子効率の安定性に優れる観点から、単官能(メタ)アクリレートを少なくとも1種以上用いることが好ましい。
SP値が10.0以下である単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ラウリルアクリレート(SP値:8.70、粘度:4)、イソステアリルアクリレート(SP値:8.59、粘度:17)、イソデシルアクリレート(SP値:8.39、粘度:2.7)、n-ブチルアクリレート(SP値:8.82、粘度:1.1)、イソボルニルアクリレート(SP値:8.70、粘度:7.7)、シクロヘキシルアクリレート(SP値:9.26、粘度:2.5)、ベンジルアクリレート(SP値:9.71、粘度:2.2)、フェノキシエチルアクリレート(SP値:9.74、粘度:9)、ジシクロペンテニルアクリレート(SP値:9.71、粘度:8~18)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(SP値:9.65、粘度:15~25)、ジシクロペンタニルアクリレート(SP値:9.66、粘度:7~17)、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(SP値:9.21、粘度:5.1)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(SP値:9.51、粘度:2.8)、5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチルアクリレート(SP値:9.35、粘度:10)、2-エチルヘキシルアクリレート(SP値:8.62、粘度:1.2)、2-[2-(エトキシ)エトキシ]エチルアクリレート(SP値:9.08、粘度:2.9)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(SP値:9.18、粘度:6)、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート(SP値:8.82、粘度:10)、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート(SP値:9.28、粘度:25)、メトキシジプロピレングリコールアクリレート(SP値:9.29、粘度:3)、アリルメタクリレート(SP値:8.99、粘度:0.7)、ラウリルメタクリレート(SP値:9.02、粘度:6)、tert-ブチルメタクリレート(SP値:8.48、粘度:0.8)、2-エチルヘキシルメタクリレート(SP値:8.63、粘度:1.7)、イソデシルメタクリレート(SP値:8.42、粘度:5.0)、イソボルニルメタクリレート(SP値:8.70、粘度:11)、シクロヘキシルメタクリレート(SP値:9.22、粘度:2.5)、ベンジルメタクリレート(SP値:9.64、粘度:3.5)、フェノキシエチルメタクリレート(SP値:9.68、粘度:10)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(SP値:9.60、粘度:15~20)、ジシクロペンタニルメタクリレート(SP値:9.60、粘度:7~17)、等が挙げられる。
なお、前記粘度は、25℃での値であり、単位はmPa・sである(以下、特に断らない限り、粘度についての記載は同様である)。
発光性粒子の分散安定性、粘度安定性及び量子効率に更に優れる観点から、分散体に用いる光重合性化合物としては、SP値が10.0以下であり、かつ環状構造を有する光ラジカル重合性化合物であることが好ましい。環状構造は、芳香環構造であっても非芳香環構造であってもよい。環状構造の数(芳香環及び非芳香環の数の合計)は、1又は2以上であるが、3以下であることが好ましい。環状構造を構成する炭素原子の数は、例えば、4以上であり、5以上又は6以上であることが好ましい。炭素原子の数は、例えば20以下であり、18以下であることが好ましい。
芳香環構造は、炭素数6~18の芳香環を有する構造であることが好ましい。炭素数6~18の芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。芳香環構造は、芳香族複素環を有する構造であってもよい。芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ピロール環、ピラン環、ピリジン環等が挙げられる。芳香環の数は、1であっても、2以上であってもよいが3以下であることが好ましい。有機基は、2以上の芳香環が単結合により結合した構造(例えば、ビフェニル構造)を有していてもよい。
非芳香環構造は、例えば、炭素数5~20の脂環を有する構造であることが好ましい。炭素数5~20の脂環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等のシクロアルカン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環等のシクロアルケン環などが挙げられる。脂環は、ビシクロウンデカン環、デカヒドロナフタレン環、ノルボルネン環、ノルボルナジエン環、イソボルニル環等の縮合環であってもよい。非芳香環構造は、非芳香族複素環を有する構造であってもよい。非芳香族複素環としては、例えば、テトラヒドロフラン環、ピロリジン環、テトラヒドロピラン環、ピぺリジン環等が挙げられる。
SP値が10.0以下であり、かつ環状構造を有する光ラジカル重合性化合物は、好ましくは、環状構造を有する単官能の光ラジカル重合性化合物であり、単官能(メタ)アクリレート化合物である。SP値が10.0以下であり、かつ環状構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、イソボルニルアクリレート(SP値:8.70、粘度:7.7)、シクロヘキシルアクリレート(SP値:9.26、粘度:2.5)、ベンジルアクリレート(SP値:9.71、粘度:2.2)、フェノキシエチルアクリレート(SP値:9.74、粘度:9)、ジシクロペンテニルアクリレート(SP値:9.71、粘度:8~18)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(SP値:9.65、粘度:15~25)、ジシクロペンタニルアクリレート(SP値:9.66、粘度:7~17)、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(SP値:9.21、粘度:5.1)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(SP値:9.51、粘度:2.8)、5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチルアクリレート(SP値:9.35、粘度:10)、イソボルニルメタクリレート(SP値:8.70、粘度:11)、シクロヘキシルメタクリレート(9.22、2.5)、ベンジルメタクリレート(SP値:9.64、粘度:3.5)、フェノキシエチルメタクリレート(SP値:9.68、粘度:10)、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(SP値:9.60、粘度:15~20)、ジシクロペンタニルメタクリレート(SP値:9.60、粘度:7~17)等が挙げられる。
インクジェットインクとして用いられる分散体としては、分散体の粘度を低くする観点から、25℃での粘度が20mPa・s以下の環状構造を有する単官能の光重合性化合物が好ましい。該光重合性化合物としては、具体的には、例えば、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートが好ましく、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートを挙げることができる。
環状構造を有する単官能の光重合性化合物の含有量は、分散体の優れた分散安定性、粘度安定性及び量子効率が得られやすい観点から、分散体中における光重合性化合物の全質量を基準として、50~95質量%であることが好ましく、65~90質量%であることがより好ましく、80~85質量%であることが特に好ましい。
分散体において、上記したような単官能の光重合性化合物以外に、発光性粒子の量子収率を劣化させない範囲で、硬化物の耐久性(強度、耐熱性等)をより高めることができるため、重合性官能基を1分子中に2以上有する2官能以上の多官能の光重合性化合物を用いてもよい。
前記多官能の光重合性化合物は、多官能(メタ)アクリレートである。多官能(メタ)アクリレートとしては、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4官能(メタ)アクリレート、5官能(メタ)アクリレート、6官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、1,3-ブチレングリコールジアクリレート(分子量:226、粘度:9mPa・s)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(分子量:198、粘度:8mPa・s)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート(分子量:226、粘度:8mPa・s)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(分子量:226、粘度:7mPa・s)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(分子量:212、粘度:6mPa・s)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(分子量:268、粘度:8mPa・s)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(分子量:304、粘度:130mPa・s)、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート(分子量:302、粘度:12mPa・s)、ポリエチレングリコール#300ジアクリレート(分子量:408、粘度:50mPa・s)、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(分子量:548、粘度:50mPa・s)、ジプロピレングリコールジアクリレート(分子量:242、粘度:10mPa・s)トリプロピレングリコールジアクリレート(分子量:300、粘度:13mPa・s)ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート(分子量:533、粘度:35mPa・s)1,3-ブチレングリコールジメタクリレート(分子量:226、粘度:5mPa・s)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(分子量:226、粘度:7mPa・s)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(分子量:254、粘度:6mPa・s)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(分子量:240、粘度:5mPa・s)、1,9-ノナンジオールジメタクリレート(分子量:296、粘度:8mPa・s)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(分子量:332、粘度:110mPa・s)、エチレングリコールジメタクリレート(分子量:198、粘度:4mPa・s)、トリエチレングリコールジメタクリレート(分子量:286、粘度:9mPa・s)、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(分子量:330、粘度:14mPa・s)、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(分子量:550、粘度:35mPa・s)等が挙げられる。
3官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量286:、粘度:100mPa・s)、グリセリントリアクリレート(分子量254:、粘度:30mPa・s)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298:、粘度:1800mPa・s)、1モルのトリメチロールプロパンに3モルのエチレンオキサイドを付加して得られるトリオールの3つの水酸基がアクリロイルオキシ基によって置換されたトリアクリレート(分子量:428、粘度:65mPa・s)、1モルのトリメチロールプロパンに3モルのプロピレンオキサイドを付加して得られるトリオールの3つの水酸基がアクリロイルオキシ基によって置換されたトリアクリレート(分子量:470、粘度:110mPa・s)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(分子量:338、粘度:60mPa・s)等が挙げられる。
4官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(分子量:352、粘度:342mPa・s)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(分子量:467、粘度:750mPa・s)等が挙げられる。
5官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(分子量:524、粘度:13600mPa・s)等が挙げられる。
6官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(分子量:578、粘度:7000mPa・s)等が挙げられる。
また、該分散体は、インクジェット印刷に適した粘度を得る観点及び良好な硬化性を得る観点から、2官能以上の多官能の光重合性化合物を単官能の光重合性化合物と組み合わせて用いてもよい。この場合、該分散体に含まれる光重合性化合物としては、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含有することが好ましい。
上記効果を得る観点から、多官能の光重合性化合物は、分散体の総量に対して、5~35質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましく、15~25質量%であることが特に好ましい。
また、インクジェット印刷に適した粘度を得る観点、優れた塗膜の硬化性を得る観点及び優れた光変換層の量子効率を得る観点から、インク組成物に使用される分散体において、多官能の光重合性化合物の分子量は、例えば、50以上であり、100以上又は150以上であってもよい。光重合性化合物の分子量は、例えば、500以下であり、400以下又は300以下であってもよい。インクジェットインクとしての粘度と、吐出後のインクの揮発性を両立しやすい観点から、好ましくは50~500であり、より好ましくは100~400である。
環状構造を有する光重合性化合物の含有量は、塗膜の表面のべたつき(タック)を抑制しやすい観点、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすく、優れた吐出性が得られやすい観点から、分散体における光重合性化合物の全質量を基準として、3~85質量%であることが好ましく、5~65質量%であることがより好ましく、10~45質量%であることがさらに好ましく、15~35質量%であることが特に好ましい。
<<ブロック共重合体>>
ブロック共重合体は、塩基性基を有する第一の構造単位及び前記光重合性化合物に対して親和性を有する第二の構造単位を備える。このようなブロック共重合体は、第一の構造単位の塩基性基が発光性粒子(中空シリカ粒子)の表面に吸着しやすい上に、第二の構造単位が前記光重合性化合物に対して親和性を有する。そのため、本実施形態の分散体は、上記ブロック共重合体を含むことによって、当該ブロック共重合体が分散剤として作用し、表面が中空シリカであることによって極性の高い表面を備える発光性粒子を、極性の低い上述の光重合性化合物に対して良好に分散させることができる。
具体的には、前記ブロック共重合体は、塩基性基を有する単量体から構成される重合体ブロック(A)と親溶媒性単量体から構成される重合体ブロック(B)とを有するものが好ましい。ここでいう親溶媒性とは、光重合性化合物に対する親和性を意味する(以下同様)。このような構造を有する場合、発光性粒子との吸着部である塩基性基を有する重合体ブロック(A)が一塊に配置されると共に、親溶媒性の重合体ブロック(B)(例えば、光重合性化合物との親和性を向上させる一方で発光性粒子には吸着しにくい部分)が他の一塊となって配置されるため、ランダム共重合体と比較して発光性粒子への吸着が容易なものとなる。
ここで各ブロックを構成する構造単位は、1種でもよく、2種以上であってもよい。また、ブロック共重合体は、更に、酸性基を有する構造単位を備えていてもよい。
塩基性基としては、例えば、アミノ基、アンモニウム基、イミノ基、及び含窒素ヘテロ環基が挙げられる。アミノ基は、一級、二級又は三級アミノ基であってよい。一級、二級又は三級アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-tert-ブチルアミノ基等が挙げられる。アミノ基は、芳香族環に結合したアミノ基であってよい。芳香族環に結合したアミノ基としては、例えば、アニリン、アニシジン、p-トルイジン、α-ナフチルアミン、m-フェニレンジアミン、1,8-ジアミノナフタレン、ベンジルアミン、N-メチルアニリン、N-メチルベンジルアミン等に由来するものであってよい。含窒素ヘテロ環基としては、例えば、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、イミダゾール基、及びトリアゾール基が挙げられる。
塩基性基を有する単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、4-ビニルアニリン、1-ビニルイミダゾール、アリルアミン等が挙げられる。
親溶媒性の単量体としては、エチレン性不飽和モノマーであり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコサニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール、ステアロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アリロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキル基末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;スチレン、α-メチルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、p-イソブチルスチレン等のスチレン誘導体モノマーが挙げられる。
ブロック共重合体における第一の構造単位の含有量は、ブロック共重合体を構成する全構造単位を基準として、例えば、5モル%以上、7モル%以上、又は10モル%以上であることが好ましく、50モル%以下、30モル%以下、又は20モル%以下であることが好ましい。
ブロック共重合体における第二の構造単位の含有量は、ブロック共重合体を構成する全構造単位を基準として、例えば、70モル%以上、75モル%以上、又は80モル%以上であることが好ましく、95モル%以下、93モル%以下、又は90モル%以下であることが好ましい。
ブロック共重合体は、第一の構造単位及び第二の構造単位に加えて、他の構造単位を含むものであってもよい。その場合、ブロック共重合体における第一の構造単位及び第二の構造単位の合計の含有量は、ブロック共重合体を構成する全構造単位を基準として、例えば、70モル%以上、80モル%以上、又は90モル%以上であることが好ましい。
例えば、ブロック共重合体は、第一の構造単位及び第二の構造単位に加えて、酸性基、非イオン性官能基等を有する構造単位を備えたものであってもよい。
酸性基としては、カルボキシル基(-COOH)、スルホ基(-SOH)、硫酸基(-OSOH)、ホスホン酸基(-PO(OH))、リン酸基(-OPO(OH))、ホスフィン酸基(-PO(OH)-)、メルカプト基(-SH)、が挙げられる。
非イオン性官能基としては、ヒドロキシ基、エーテル基、チオエーテル基、スルフィニル基(-SO-)、スルホニル基(-SO-)、カルボニル基、ホルミル基、エステル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、チオアミド基、チオウレイド基、スルファモイル基、シアノ基、アルケニル基、アルキニル基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基が挙げられる。
酸性基を有する単量体としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリレート、リン酸基を有する(メタ)アクリレート、スルホン基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。前記カルボキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレアート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。前記スルホン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、スルホン酸エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸2-(ホスホノオキシ)エチル等が挙げられる。
塩基性基を有する構造単位と親溶媒性の構造単位とを有するブロック共重合体としては、例えば、アクリル系ブロック共重合体、ポリエステル系ブロック共重合体、ポリウレタン系ブロック共重合体、ポリエーテル系ブロック共重合体、ポリエチレンイミン系ブロック共重合体及びポリアリルアミン系ブロック共重合体、が挙げられる。
ブロック共重合体は、発光性粒子を含む中空シリカ粒子への吸着性がより向上し、更に優れた分散性が得られる観点から、アミン価が0mgKOH/g超えであることが好ましく、より好ましくは2mgKOH/g以上、更に好ましくは4mgKOH/g以上、特に好ましくは10mgKOH/g以上、最も好ましくは20mgKOH/g以上である。ブロック共重合体は、光重合性化合物への溶解性に優れ、粒子の凝集、保存性の低下が生じにくくなる観点から、アミン価が70mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは50mgKOH/g以下、特に好ましくは40mgKOH/g以下である。
ブロック共重合体のアミン価は、以下のように測定することができる。
ブロック共重合体xg及びブロモフェノールブルー試液1mLを、トルエンとエタノールとを体積比1:1で混合した混合溶液50mLに溶解させた試料液を準備し、0.5mol/L塩酸にて試料液が緑色を呈するまで滴定を行い、次式によりアミン価を算出できる。
アミン価=y/x×28.05
式中、yは滴定に要した0.5mol/L塩酸の滴定量(mL)を示し、xはブロック共重合体の質量(g)を示す。
ブロック共重合体が酸性基を備える場合、ブロック共重合体の酸価は、0~50mgKOH/gであることが好ましく、0~40mgKOH/gであることがより好ましく、0~30mgKOH/gであることがさらに好ましく、0~20mgKOH/g以下であることが特に好ましい。画素部(インク組成物の硬化物)の保存安定性が低下しにくいことから、ブロック共重合体の酸価は50mgKOH/g以下であることが好ましい。
ブロック共重合体の酸価は、以下のように測定することができる。
ブロック共重合体pg及びフェノールフタレイン試液1mLを、トルエンとエタノールとを体積比1:1で混合した混合溶液50mLに溶解させた試料液を準備し、0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液(水酸化カリウム7.0gを蒸留水5.0mLに溶解させ、95vol%エタノールを加えることで1000mLに調整したもの)にて試料液が淡紅色を呈するまで滴定を行い、次式により酸価を算出できる。
酸価=q×r×5.611/p
式中、qは滴定に要した0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液の滴定量(mL)を示し、rは滴定に要した0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液の力価を示し、pはブロック共重合体の質量(g)を示す。
このようなブロック共重合体は、例えば市販品を入手して使用することができる。例えば、三級アミノ基又は含窒素ヘテロ環を有するブロック共重合体としては、具体的には、例えば、「DISPERBYK(登録商標)-164」(アミン価:18mgKOH/g)、「DISPERBYK-167」(アミン価:13mgKOH/g)、「DISPERBYK-2000」(アミン価:4mgKOH/g)、「DISPERBYK-2008」(アミン価:66mgKOH/g)、「DISPERBYK-2009」(アミン価:4mgKOH/g)、「DISPERBYK-2164」(アミン価:23mgKOH/g)(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、「ソルスパース(登録商標)20000」(アミン価:32mgKOH/g)(日本ルーブリゾール社製)、「EFKA(登録商標) PX4300」(アミン価:56mgKOH/g)、「EFKA PX4310」(アミン価:19mgKOH/g)、「EFKA PX4320」(アミン価:28mgKOH/g)、「EFKA PX4330」(アミン価:28mgKOH/g)、「EFKA PX4340」(アミン価:4mgKOH/g)、「EFKA PX4350」(アミン価:12mgKOH/g)、「Dispex(登録商標) Ultra PX4585」(アミン価:20mgKOH/g)、「EFKA PX4700」(アミン価:60mgKOH/g)、「EFKA PX4701(アミン価:40mgKOH/g)」、「EFKA PX4703(アミン価:56mgKOH/g)」(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
また、例えば、アミン価及び酸価を有するブロック共重合体としては、例えば、「DISPERBYK-180」(アミン価:95mgKOH/g、酸価:95mgKOH/g)、「DISPERBYK-2001」(アミン価:29mgKOH/g、酸価:19mgKOH/g)、「DISPERBYK-2025」(アミン価:37mgKOH/g、酸価:38mgKOH/g)(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)「アジスパー(登録商標)PB821」(アミン価:10mgKOH/g、酸価:17mgKOH/g)、「アジスパーPB822」(アミン価:17mgKOH/g、酸価:14mgKOH/g)、「アジスパーPB824」(アミン価:17mgKOH/g、酸価:21mgKOH/g)、「アジスパーPB881」(アミン価:17mgKOH/g、酸価:17mgKOH/g)(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられる。
ブロック共重合体の含有量は、分散性をさらに向上させる観点から、発光性粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。ブロック共重合体の含有量は、発光性粒子の量子収率の低下を抑制する観点から、発光性粒子100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下、更に好ましくは16質量部以下、特に好ましくは14質量部以下である。
ブロック共重合体の含有量は、分散性をさらに向上させる観点から、分散体の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.25質量%以上である。ブロック共重合体の含有量は、発光性粒子の量子収率の低下を抑制する観点から、分散体の総量に対して、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.7質量%以下である。
以上のような分散体は、ブロック共重合体及び光重合性化合物を混合した溶液中に、発光性粒子を分散させて調製することができる。発光性粒子の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、3本ロールミル、ペイントコンディショナー、アトライター、分散攪拌機、超音波等の分散機を使用することにより行うことができる。
以上のような分散体は、発光性粒子をブロック共重合体及び光重合性化合物等を混合した溶液中に混合させて調製することができる。分散体の調製には、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントコンディショナー、アトライター、分散攪拌機、超音波等の分散機等を使用することにより行うことができる。
<<インク組成物>>
本発明の分散体は、更に、光重合性化合物及び光重合性開始剤を含有することができる。これらを含む分散体は、インク組成物、特に、インクジェット用インク組成物として好適である。以下、光重合性化合物及び光重合性開始剤を含む分散体を、「インク組成物」と記載することがある。
<<光重合開始剤>>
インク組成物に用いられる光重合開始剤は、アルキルフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物およびオキシムエステル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、例えば、式(b-1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022080617000001

(式中、R1aは、下記式(R1a-1)~式(R1a-6)から選ばれる基を表し、R2a、R2bおよびR2cは、それぞれ独立して、下記式(R-1)~式(R-7)から選ばれる基を表す。)
Figure 2022080617000002

Figure 2022080617000003
上記式(b-1)で表される化合物の具体例としては、下記式(b-1-1)~式(b-1-6)で表される化合物が好ましく、下記式(b-1-1)、式(b-1-5)または式(b-1-6)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2022080617000004
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、式(b-2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022080617000005

(式中、R24はアルキル基、アリール基または複素環基を表し、R25およびR26は、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、複素環基またはアルカノイル基を表すが、これらの基は、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、アリール基、アルコキシ基、アリールチオ基で置換されてもよい。)
上記式(b-2)で表される化合物の具体例としては、下記式(b-2-1)~式(b-2-5)で表される化合物が好ましく、下記式(b-2-1)または式(b-2-5)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2022080617000006
オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、下記式(b-3-1)または式(b-3-2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022080617000007

(式中、R27~R31は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~12の環状、直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、またはフェニル基を表し、各アルキル基およびフェニル基は、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルコキシル基およびフェニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、Xは、酸素原子または窒素原子を表し、Xは、酸素原子またはNRを表し、Rは炭素原子数1~6のアルキル基を表す。)
上記式(b-3-1)および式(b-3-2)で表される化合物の具体例としては、下記式(b-3-1-1)~式(b-3-1-2)および下記式(b-3-2-1)~(b-3-2-2)で表される化合物が好ましく、下記式(b-3-1-1)、式(b-3-2-1)または式(b-3-2-2)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2022080617000008

Figure 2022080617000009
光重合開始剤の含有量は、分散体に含まれる光重合性化合物の総量に対して、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。なお、光重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもできる。かかる量で光重合開始剤を含む分散体は、光硬化時の感光度を十分に維持するとともに、塗膜の乾燥時に光重合開始剤の結晶が析出し難く、よって塗膜物性の劣化を抑制することができる。
分散体中に光重合開始剤を溶解する際には、予め光重合性化合物中に溶解してから使用することが好ましい。
光重合性化合物に溶解させるには、熱による反応が開始されないように、光重合性化合物を攪拌しながら光重合開始剤を添加することにより均一溶解させることが好ましい。
光重合開始剤の溶解温度は、用いる光重合開始剤の光重合性化合物に対する溶解性、および光重合性化合物の熱による重合性を考慮して適宜調節すればよいが、光重合性化合物の重合を開始させない観点から10~50℃であることが好ましく、10~40℃であることがより好ましく、10~30℃であることがさらに好ましい。
<<光散乱性粒子>>
インク組成物は、光散乱性粒子を更に含有してよい。光散乱性粒子は、例えば、光学的に不活性な無機微粒子であることが好ましい。光散乱性粒子は、発光層(光変換層)に照射された光源部からの光を散乱させることができる。
光散乱性粒子を構成する材料としては、例えば、タングステン、ジルコニウム、チタン、白金、ビスマス、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、プラチナ、金のような単体金属;シリカ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナホワイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛のような金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、次炭酸ビスマス、炭酸カルシウムのような金属炭酸塩;水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物、次硝酸ビスマスのような金属塩等が挙げられる。
中でも、光散乱性粒子を構成する材料としては、漏れ光の低減効果により優れる観点から、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよびシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化チタン、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことがより好ましく、酸化チタンであることが特に好ましい。
酸化チタンを用いる場合には、分散性の観点から、表面処理がなされた酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンの表面処理方法としては公知の方法があるが、少なくともアルミナを含んだ表面処理がなされていることがより好ましい。
アルミナを含んだ表面処理がなされた酸化チタンとは、酸化チタン粒子表面に少なくともアルミナを析出させる処理をいい、アルミナの他にシリカ等を用いることができる。また、アルミナあるいはシリカには、それらの水和物も含まれる。
この様に、酸化チタン粒子にアルミナを含んだ表面処理を行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆処理され、少なくともアルミナにより表面処理された酸化チタン粒子を用いると、酸化チタン粒子の分散性が良好となる。
また、シリカによる処理とアルミナによる処理を酸化チタン粒子に施す場合には、アルミナ及びシリカ処理は同時に行っても良く、特にアルミナ処理を最初に行い、次いでシリカ処理を行うこともできる。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合には、アルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
前記酸化チタンのアルミナ、シリカ等の金属酸化物による表面処理は湿式法により行うことができる。例えば、アルミナ、又はシリカの表面処理を行った酸化チタン粒子は以下のように作製することができる。
酸化チタン粒子(数平均一次粒子径:200~400nm)を50~350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
光散乱性粒子の含有量は、インク組成物の全質量を基準として、0.5質量%以上、1質量%以上又は2質量%以上であってよく、10質量%以下、9質量%以下又は8質量%以下であってもよい。
インク組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記分散体、光重合性化合物、光重合開始剤、光散乱性粒子以外の他の成分を含有してもよい。かかる他の成分としては、高分子分散剤、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング剤、連鎖移動剤、熱可塑性樹脂、増感剤等が挙げられる。
<<高分子分散剤>>
インク組成物は、光散乱性粒子の分散安定性を向上させるための高分子分散剤として、上述のブロック共重合体を用いてもよく、他の分散剤を用いることもできる。ここでは、上述のブロック共重合体以外の分散剤について記載する。
高分子分散剤は、重量平均分子量(Mw)が5,000超の分子である。「重量平均分子量(Mw)」は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて測定された値を採用することができる。
高分子分散剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレア系樹脂、アミノ系樹脂、ポリアミン系樹脂(ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等)、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジンのような天然ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、酸化ロジン、マレイン化ロジンのような変性ロジン、ロジンアミン、ライムロジン、ロジンアルキレンオキシド付加物、ロジンアルキド付加物、ロジン変性フェノールのようなロジン誘導体等が挙げられる。
なお、高分子分散剤の市販品としては、例えば、ビックケミー社製のDISPERBYKシリーズ、エボニック社製のTEGO(登録商標) Dispersシリーズ、BASF社製のEFKAシリーズ、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE(登録商標)シリーズ、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、楠本化成製のDISPARLON(登録商標)シリーズ、共栄社化学社製のフローレンシリーズ等(ただし、上述したブロック共重合体に該当するものを除く)を使用することができる。
<<重合禁止剤>>
重合禁止剤としては、フェノール系化合物、キノン系化合物、アミン系化合物、チオエーテル系化合物、N-オキシル化合物、ニトロソ系化合物等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、インク組成物の総量に対して、0.01~1.0質量%であることが好ましく、0.02~0.5質量%であることがより好ましい。
<<酸化防止剤>>
酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(「IRGANOX(登録商標)1010」)、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(「IRGANOX1035」)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(「IRGANOX1076」)、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1330」、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(「IRGANOX1520L」)、「IRGANOX1726」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」(以上、BASF株式会社製);「アデカスタブ(登録商標)AO-20」、「アデカスタブAO-30」、「アデカスタブAO-40」、「アデカスタブAO-50」、「アデカスタブAO-60」、「アデカスタブAO-80」(以上、株式会社ADEKA製);「JP-360」、「JP-308E」、「JPE-10」(以上、城北化学工業株式会社製);「スミライザー(登録商標)BHT」、「スミライザーBBM-S」、「スミライザーGA-80」(以上、住友化学株式会社製)等が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は、インク組成物の総量に対して、0.01~2.0質量%であることが好ましく、0.02~1.0質量%であることがより好ましい。
<<レベリング剤>>
レベリング剤としては、特に限定はないが、発光性粒子の薄膜を形成する場合に、膜厚ムラを低減させ得る化合物が好ましい。
かかるレベリング剤としては、例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルリン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン誘導体、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、アルキルアンモニウム塩、フルオロアルキルアンモニウム塩類、シリコーンポリマー、含フッ素ポリマー等が挙げられる。
レベリング剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
<<連鎖移動剤>>
連鎖移動剤は、分散体の基材との密着性をより向上させること等を目的として使用される成分である。
連鎖移動剤としては、例えば、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類―、メルカプタン化合物、チオール化合物、スルフィド化合物等が挙げられる。
連鎖移動剤の添加量は、インク組成物の総量に対して、0.1~10質量%であることが好ましく、1.0~5質量%であることがより好ましい。
<<熱可塑性樹脂>>
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等が挙げられる。
<<増感剤>>
増感剤としては、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、キノン系化合物、アミン類等を使用することができる。かかる増感剤としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-エチルアンスラキノン、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。
<<インク組成物の粘度>>
インク組成物の30℃における粘度は、インクジェット印刷時の吐出安定性の観点から、2~20mPa・sの範囲であることが好ましく、5~15mPa・sの範囲であることがより好ましく、7~12mPa・sの範囲であることがさらに好ましい。この場合、吐出ヘッドのインク吐出孔における分散体のメニスカス形状が安定するため、分散体の吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易となる。また、インク吐出孔からインク組成物を円滑に吐出させることができる。なお、インク組成物の粘度は、例えば、E型粘度計によって測定することができる。
インク組成物の粘度上昇率は、5%以下、1%以下、又は0.5%以下であってよく、0.01%以上であってもよい。インク組成物の粘度上昇率は、下記式で算出される値である。
式:(η-η)/η×100
ここで、ηは40℃で1週間保管後のインク組成物を30℃で測定したときの粘度を示し、ηは、保管前のインク組成物のインク組成物の粘度を示す。
<<インク組成物の表面張力>>
インク組成物の30℃における表面張力は、インクジェット印刷法に適した表面張力であることが好ましい。表面張力の具体的な値は、20~40mN/mの範囲であることが好ましく、25~35mN/mの範囲であることがより好ましい。表面張力を前記範囲に設定することにより、分散体の液滴の飛行曲がりの発生を抑制することができる。なお、飛行曲がりとは、分散体をインク吐出孔から吐出させたとき、分散体の着弾位置が目標位置に対して30μm以上のズレることをいう。
以上のようなインク組成物は、上述の分散体を、光重合性化合物、光重合開始剤、光散乱性粒子等を混合した溶液中に混合させて調製することができる。インク組成物の調整には、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、3本ロールミル、ペイントコンディショナー、アトライター、分散攪拌機、超音波等の分散機、プロペラミキサーを使用することにより行うことができる。
<分散体セット>
本発明の他の一実施形態は、分散体セットである。一実施形態の分散体セットは、上述した実施形態の分散体を備える。分散体セットは、上述した実施形態の分散体(発光性分散体)に加えて、発光性粒子を含有しない分散体(非発光性分散体)を備えていてよい。非発光性分散体は、例えば、硬化性の分散体である。非発光性分散体は、従来公知の分散体であってよく、発光性粒子を含まないこと以外は、上述した実施形態の分散体(発光性分散体)と同様の組成であってもよい。
非発光性分散体は、発光性粒子を含有しないため、非発光性分散体により形成される画素部(非発光性分散体の硬化物を含む画素部)に光を入射させた場合に画素部から出射する光は、入射光と略同一の波長を有する。したがって、非発光性分散体は、光源からの光と同色の画素部を形成するために好適に用いられる。例えば、光源からの光が420~480nmの範囲の波長を有する光(青色光)である場合、非発光性分散体により形成される画素部は青色画素部となり得る。
非発光性分散体は、好ましくは光散乱性粒子を含有する。非発光性分散体が光散乱性粒子を含有する場合、当該非発光性分散体により形成される画素部によれば、画素部に入射した光を散乱させることができ、これにより、画素部からの出射光の、視野角における光強度差を低減することができる。
<光変換層、カラーフィルタ及び発光素子>
本発明の他の一実施形態は、光変換層、カラーフィルタ及び発光素子である。以下、上述した実施形態の分散体又は分散体セットを用いて得られる光変換層及びカラーフィルタの詳細について、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下の実施形態は、分散体が光散乱性粒子を含有する場合の実施形態である。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態のカラーフィルタの模式断面図である。図1に示すように、カラーフィルタ100は、基材40と、基材40上に設けられた光変換層30と、を備える。光変換層30は、複数の画素部10と、遮光部20と、を備えている。
光変換層30は、画素部10として、第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとを有している。第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとは、この順に繰り返すように格子状に配列されている。遮光部20は、隣り合う画素部の間、すなわち、第1の画素部10aと第2の画素部10bとの間、第2の画素部10bと第3の画素部10cとの間、第3の画素部10cと第1の画素部10aとの間に設けられている。言い換えれば、これらの隣り合う画素部同士は、遮光部20によって離間されている。
第1の画素部10a及び第2の画素部10bは、それぞれ上述した実施形態の分散体の硬化物を含む発光性の画素部(発光性画素部)である。図1に示す硬化物は、発光性粒子と、硬化成分と、光散乱性粒子とを含有する。第1の画素部10aは、第1の硬化成分13aと、第1の硬化成分13a中にそれぞれ分散された第1の発光性粒子11a及び第1の光散乱性粒子12aとを含む。同様に、第2の画素部10bは、第2の硬化成分13bと、第2の硬化成分13b中にそれぞれ分散された第2の発光性粒子11b及び第2の光散乱性粒子12bとを含む。硬化成分は、光重合性化合物の重合によって得られる成分であり、光重合性化合物の重合体を含む。硬化成分には、上記重合体の他、分散体に含まれていた有機溶剤以外の成分が含まれていてよい。第1の画素部10a及び第2の画素部10bにおいて、第1の硬化成分13aと第2の硬化成分13bとは同一であっても異なっていてもよく、第1の光散乱性粒子12aと第2の光散乱性粒子12bとは同一であっても異なっていてもよい。
第1の発光性粒子11aは、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、赤色発光性のナノ結晶粒子である。すなわち、第1の画素部10aは、青色光を赤色光に変換するための赤色画素部と言い換えてよい。また、第2の発光性粒子11bは、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、緑色発光性のナノ結晶粒子である。すなわち、第2の画素部10bは、青色光を緑色光に変換するための緑色画素部と言い換えてよい。
発光性画素部における発光性粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点及び優れた発光強度が得られる観点から、発光性分散体の硬化物の全質量を基準として、好ましくは、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上である。発光性粒子の含有量は、画素部の信頼性に優れる観点及び優れた発光強度が得られる観点から、発光性分散体の硬化物の全質量を基準として、好ましくは、50質量%以下、45質量%以下、又は40質量%以下である。
発光性画素部における光散乱性粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点から、発光性分散体の硬化物の全質量を基準として、0.1質量%以上、1質量%以上又は3質量%以上であってもよい。光散乱性粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点及び画素部の信頼性に優れる観点から、発光性分散体の硬化物の全質量を基準として、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量部%以下、20質量部%以下又は15質量%以下であってもよい。
第3の画素部10cは、上述した非発光性分散体の硬化物を含む非発光性の画素部(非発光性画素部)である。硬化物は、発光性粒子を含有せず、光散乱性粒子と、硬化成分とを含有する。すなわち、第3の画素部10cは、第3の硬化成分13cと、第3の硬化成分13c中に分散された第3の光散乱性粒子12cとを含む。第3の硬化成分13cは、例えば、重合性化合物の重合によって得られる成分であり、重合性化合物の重合体を含む。第3の光散乱性粒子12cは、第1の光散乱性粒子12a及び第2の光散乱性粒子12bと同一であっても異なっていてもよい。
第3の画素部10cは、例えば、420~480nmの範囲の波長の光に対し30%以上の透過率を有する。そのため、第3の画素部10cは、420~480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に、青色画素部として機能する。なお、第3の画素部10cの透過率は、顕微分光装置により測定することができる。
非発光性画素部における光散乱性粒子の含有量は、視野角における光強度差をより低減することができる観点から、非発光性分散体の硬化物の全質量を基準として、1質量%以上であってよく、5質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよい。光散乱性粒子の含有量は、光反射をより低減することができる観点から、非発光性分散体の硬化物の全質量を基準として、80質量%以下であってよく、75質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。
画素部(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、1μm以上であってよく、2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよい。画素部(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、30μm以下であってよく、20μm以下であってもよく、15μm以下であってもよい。
遮光部20は、隣り合う画素部を離間して混色を防ぐ目的及び光源からの光の漏れを防ぐ目的で設けられる、いわゆるブラックマトリックスである。遮光部20を構成する材料は、特に限定されず、クロム等の金属の他、バインダーポリマーにカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の硬化物等を用いることができる。ここで用いられるバインダーポリマーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種又は2種以上混合したもの、感光性樹脂、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物(例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの)などを用いることができる。遮光部20の厚さは、例えば、0.5μm以上であってよく、10μm以下であってよい。
基材40は、光透過性を有する透明基材であり、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の透明なガラス基板、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルム等の透明なフレキシブル基材などを用いることができる。これらの中でも、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスからなるガラス基板を用いることが好ましい。具体的には、コーニング社製の「7059ガラス」、「1737ガラス」、「イーグル200(登録商標)」及び「イーグルXG(登録商標)」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA-10G」及び「OA-11」が好適である。これらは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れる。
以上の光変換層30を備えるカラーフィルタ100は、420~480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に好適に用いられる。
カラーフィルタ100は、例えば、基材40上に遮光部20をパターン状に形成した後、基材40上の遮光部20によって区画された画素部形成領域に画素部10を形成することにより製造できる。画素部10は、分散体(インクジェットインク)をインクジェット方式により基材40上の画素部形成領域に選択的に付着させる工程と、乾燥により分散体から有機溶剤を除去する工程と、乾燥後の分散体に対して活性エネルギー線(例えば紫外線)を照射し、分散体を硬化させて発光性画素部を得る工程と、を備える方法により形成することができる。分散体として上述した発光性分散体を用いることで発光性画素部が得られ、非発光性分散体を用いることで非発光性画素部が得られる。
遮光部20を形成させる方法は、基材40の一面側の複数の画素部間の境界となる領域に、クロム等の金属薄膜、又は、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法等が挙げられる。金属薄膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができ、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜は、例えば、塗布、印刷等の方法により形成することができる。パターニングを行う方法としては、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。
インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)方式、或いは圧電素子を用いたピエゾジェット方式等が挙げられる。
本発明の発光性粒子含有インク組成物は、活性エネルギー線(例えば、紫外線)の照射により硬化させることができる。照射源(光源)としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等が使用されるが、塗膜への熱負荷の低減、低消費電力の観点からLEDが好ましい。
照射する光の波長は、200nm以上であることが好ましく、440nm以下であることがより好ましい。また、光の強度は、0.2~2kW/cmであることが好ましく、0.4~1kW/cmであることがより好ましい。0.2kW/cm未満の光の強度では十分に塗膜を硬化できず、2kW/cm以上の光の強度では塗膜表面と内部の硬化度にムラが発生し、塗膜表面の平滑性が劣るため好ましくない。光の照射量(露光量)は、10mJ/cm以上であることが好ましく、4000mJ/cm以下であることがより好ましい。
塗膜の硬化は、空気中あるいは不活性ガス中で行うことができるが、塗膜表面の酸素阻害及び塗膜の酸化を抑制するために、不活性ガス中で行うことがより好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、二酸化炭素等が挙げられる。このような条件で塗膜を硬化させることにより、塗膜が完全に硬化できることから、得られる光変換層9の外部量子効率をより向上させることができる。
例えば、光変換層は、第3の画素部10cに代えて又は第3の画素部10cに加えて、青色発光性のナノ結晶粒子を含有する発光性分散体の硬化物を含む画素部(青色画素部)を備えていてもよい。また、光変換層は、赤、緑、青以外の他の色の光を発するナノ結晶粒子を含有する発光性分散体の硬化物を含む画素部(例えば黄色画素部)を備えていてもよい。これらの場合、光変換層の各画素部に含有される発光性粒子のそれぞれは、同一の波長域に吸収極大波長を有することが好ましい。
また、光変換層の画素部の少なくとも一部は、発光性粒子以外の顔料を含有する組成物の硬化物を含むものであってもよい。
また、カラーフィルタは、遮光部のパターン上に、遮光部よりも幅の狭い撥インク性を持つ材料からなる撥インク層を備えていてもよい。また、撥インク層を設けるのではなく、画素部形成領域を含む領域に、濡れ性可変層としての光触媒含有層をベタ塗り状に形成した後、当該光触媒含有層にフォトマスクを介して光を照射して露光を行い、画素部形成領域の親インク性を選択的に増大させてもよい。光触媒としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
また、カラーフィルタは、基材と画素部との間に、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン等を含むインク受容層を備えていてもよい。
また、カラーフィルタは、画素部上に保護層を備えていてもよい。この保護層は、カラーフィルタを平坦化すると共に、画素部に含有される成分、又は、画素部に含有される成分及び光触媒含有層に含有される成分の液晶層への溶出を防止するために設けられるものである。保護層を構成する材料は、公知のカラーフィルタ用保護層として使用されているものを使用できる。
また、カラーフィルタ及び光変換層の製造では、インクジェット方式ではなく、フォトリソグラフィ方式で画素部を形成してもよい。この場合、まず、基材に分散体を層状に塗工し、分散体層を形成する。次いで、分散体層をパターン状に露光した後、現像液を用いて現像する。このようにして、分散体の硬化物からなる画素部が形成される。現像液は、通常アルカリ性であるため、分散体の材料としてはアルカリ可溶性の材料が用いられる。ただし、材料の使用効率の観点では、インクジェット方式がフォトリソグラフィ方式よりも優れている。これはフォトリソグラフィ方式では、その原理上、材料のほぼ2/3以上を除去することとなり、材料が無駄になるからである。このため、本実施形態では、インクジェットインクを用い、インクジェット方式により画素部を形成することが好ましい。
また、本実施形態の光変換層の画素部には、上記した発光性粒子に加えて、発光性粒子の発光色と概ね同色の顔料を更に含有させてもよい。顔料を画素部に含有させるため、分散体に顔料を含有させてもよい。
また、本実施形態の光変換層中の赤色画素部(R)、緑色画素部(G)、及び青色画素部(B)のうち、1種又は2種の発光性画素部を、発光性粒子を含有させずに色材を含有させた画素部としてもよい。ここで使用し得る色材としては、公知の色材を使用することができ、例えば、赤色画素部(R)に用いる色材としては、ジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料が挙げられる。緑色画素部(G)に用いる色材としては、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。青色画素部(B)に用いる色材としては、ε型銅フタロシアニン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料が挙げられる。これらの色材の使用量は、光変換層に含有させる場合には、透過率の低下を防止できる観点から、画素部(分散体の硬化物)の全質量を基準として、1~5質量%であることが好ましい。
上記カラーフィルタは、発光素子である有機EL素子(OLED)、液晶表示素子等のカラーフィルタに用いることができる。本発明では、とりわけ、有機EL素子(OLED)として有用であり、以下、有機EL素子の構成について簡単に説明する。
有機EL素子である発光素子は、基板上に画素毎に区画された有機EL光源部を有し、かつ、該有機EL光源部の上部に該有機EL光源部から発せられる青色光を赤色(R)、緑色(G)へ変換するカラーフィルタを配設してなる発光素子である。画素毎に区画された有機EL光源部は、有機EL発光部材と共に、充填層と、保護層とを有していてもよい。
かかる発光素子は、有機EL光源部(EL層)から発せられた光を前記カラーフィルタによって吸収及び再放出するか或いは透過させ、上基板側から外部に赤色光、緑色光、青色光として取り出すことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<発光性粒子>
まず、中空シリカ粒子(日鉄鉱業株式会社製、「SiliNax SP-PN(b)」)を150℃で8時間減圧乾燥した。次いで、200.0質量部の乾燥させた中空シリカ粒子を桐山ロートに秤取した。なお、中空シリカ粒子の平均外径は80~130nmであり、平均内径は50~120nmであった。
次に、アルゴン雰囲気下、反応容器に63.9質量部の臭化セシウム、110.1質量部の臭化鉛(II)および3000質量部のN-メチルホルムアミドを供給し、50℃で30分間撹拌することにより、三臭化鉛セシウム溶液を得た。
次に、得られた三臭化鉛セシウム溶液を中空シリカ粒子に添加し、含浸させた後、過剰な三臭化鉛セシウム溶液をろ過により除去し、固形物を回収した。その後、得られた固形物を150℃で1時間減圧乾燥することにより、ペロブスカイト型の三臭化鉛セシウム結晶が中空シリカ粒子に収容された発光性粒子(212.7質量部)を得た。
<重合体>
上記で得られた発光性粒子に加えて、塩基性基を有する構造単位及び親溶媒性の構造単位を備えたブロック共重合体として下記(A-1)~(A-3)のブロック共重合体を用いた。また、対比用として、親溶媒性の構造単位を備えるものの塩基性基を有する構造単位を備えていないブロック共重合体として(a-1)のブロック共重合体を用いた。
(A-1)塩基性の単量体単位としてビニルピリジンを含み、親溶媒性の単量体単位としてポリエチレングリコール構造を含むブロック共重合体(アミン価:40mgKOH/g、酸価:0mgKOH/g、EFKA PX-4701、BASFジャパン株式会社製)
(A-2)塩基性の単量体単位として脂肪族アミノ基を有する単量体単位を含み、親溶媒性の単量体単位として直鎖構造又は分岐構造を有する脂肪族アルキル基を有する単量体単位を含むブロック共重合体(アミン価:4mgKOH/g、酸価:0mgKOH/g、DISPERBYK-2008、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
(A-3)アリルアミンを塩基性単量体単位として含み、親溶媒性の単量体単位としてラクトン変性ヒドロキシ基を有する単量体単位を含むブロック共重合体(アミン価:10mgKOH/g、酸価:17mgKOH/g、アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)
(a-1)塩基性の単量体単位を含有せず、酸性基を有する単量体としてリン酸を含有し、親溶媒性の構造単位としてポリエチレングリコール構造を含む重合体(アミン価:0mgKOH/g、酸価:129mgKOH/g、DISPERBYK-111、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
<光重合性化合物>
(B-1)イソボルニルメタクリレート(ライトエステルIB-X、粘度:6mPa・s/25℃、SP値:8.70)
(B-2)ラウリルメタクリレート(ライトエステルL、粘度:3-8mPa・s/25℃、SP値:9.02)
(B-3)フェノキシエチルメタクリレート(ライトエステルPO、粘度:7mPa・s/25℃、SP値:9.68)
(B-4)1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(ライトエステル1,6-HX、粘度:5-6mPa・s/25℃、SP値:9.48)
(B-5)ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(ライトアクリレートDCP-A、粘度:130-170mPa・s/25℃、SP値:9.68)
(b-1)ヒドロキシエチルメタクリレート(ライトエステルHO-250、粘度:7mPa・s/25℃、SP値:12.06)
(B-1)~(B-5)及び(b-1)は、いずれも共栄社化学株式会社製である。
<光重合開始剤>
(C-1)2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド(Omnirad TPO-H、IGM Resins社製)
(C-2)ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Omnirad 819、IGM Resins社製)
<酸化防止剤>
(D-1)フェノール系酸化防止剤(Irganox1010、BASFジャパン株式会社製)
(D-2)次亜リン酸ジエステル系酸化防止剤(Hostanox P-EPQ、クラリアントケミカルズ社製)
<光散乱性粒子の分散体>
3質量部の酸化チタン粒子(平均粒子径:210nm、石原産業株式会社製、CR-60-2)と、4.2質量部のフェノキシエチルメタクリレート(ライトエステルPO、粘度:7mPa・s/25℃、SP値:9.68)と、0.3質量部の高分子分散剤(EFKA PX-4701、BASFジャパン株式会社製)とを配合した。得られた配合物にジルコニアビーズ(直径:0.3mm)を加えた後、ペイントコンディショナーを用いて2時間振とうさせることで配合物の分散処理を行った。これにより光散乱性粒子分散体を得た。
(実施例1~11及び比較例1~4)
[分散体の調製]
発光性粒子、重合体、及び光重合性化合物を表1に示す組成(単位:質量部)となるように混合し、冷却機能付きペイントコンディショナーを用いて、メディア径:0.6mm、分散時間:30分、分散温度:25℃の条件で発光性粒子を分散させることにより、実施例1~11及び比較例1~4の各分散体を調製した。
[分散性の評価]
以下の手順で分散直後及び保管後の分散性を評価した。結果を表1に示す。
(分散直後)
得られた各分散体について、調製後30分以内に、ナノ粒子径測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、Nanotrac Wave II)を用いて、体積平均粒径D50を測定した。D50が小さいほど分散性に優れていることを意味する。
(保管後)
各分散体を40℃で2週間保管した後、容器の底面に沈殿物の有無を目視にて確認した。以下の評価基準で分散性を評価した。
A:沈殿物が全く生じていない。
B:沈殿物が生じているが、振とうすることにより沈殿物がすぐに再度分散する。
C:沈殿物が生じている。振とうしてもすぐには再分散しないが、10分間振倒した後に沈殿物は消失する。
D:沈殿物が生じており、沈殿物と液体成分が完全に分離している。振とうしても沈殿物が残る。
[光学特性の評価]
得られた各分散体に、発光性粒子の濃度が200質量ppmとなるように各分散体に使用した光重合性化合物を添加した。得られた溶液について、絶対PL量子収率測定装置「Quantaurus-QY」(浜松ホトニクス株式会社製)によって、フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)を測定することで、各分散体の光学特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2022080617000010
表1に示すように、SP値が10.0以下である光重合性化合物と、塩基性基を有する構造単位及び親溶媒性の構造単位を備えたブロック共重合体との両方を含有する実施例1~11の分散体は、調製直後の分散性及び2週間保管後の分散安定性に優れる。また、フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)が大きく光学特性に優れることから、当該分散体を用いて光変換層を作製したときに、より良好な発光を得られることが期待できる。
一方、このようなブロック共重合体を含有しない比較例1~3は、実施例1~11と比較して、調製直後の分散性及び2週間保管後の分散安定性が低い上に、PLQYも低い。これは、発光性粒子の分散性が低いために、PLQYが低下したと考えられる。さらに、このようなブロック共重合体を含むものの、SP値が10.0を上回る光重合性化合物を含む比較例4の分散体は、実施例1~11と比較して、調製直後の分散性及び2週間保管後の分散安定性は同程度であるが、PLQYが低い。これは、比較例4の分散体が吸湿したことによって、ペロブスカイト型のナノ結晶粒子が劣化して、PLQYが低下したと考えられる。
(実施例12~17)
実施例1~3、8及び9の分散体に対して、光重合性化合物、光重合開始剤、酸化防止剤、及び光散乱性粒子の分散体を表2に示す組成(単位:質量部)となるように加えて、ラボミキサーにて、回転数:500rpm、攪拌時間:15分、攪拌温度:25℃の条件で撹拌することにより、実施例12~16の各分散体(インク組成物)を調製した。また、実施例17のインク組成物を、表2に示す組成となるように調製した。
[分散性の評価]
得られた各分散体(インク組成物)について、上述した方法で保管後の分散性を評価した。結果を表2に示す。
[塗膜の光学特性の評価]
得られたインク組成物を、ガラス基板(コーニング社製、「EagleXG(登録商標)」)上に、乾燥後の膜厚が10μmとなるように、スピンコーターにて塗布した。得られた塗膜に対して、窒素雰囲気下で、LEDランプにて波長395nmの紫外光を、積算露光量:10J/cm、強度1W/cmで照射し、硬化物を得た。
面発光光源としてのシーシーエス株式会社社製の青色LED(ピーク発光波長:450nm)の上方に積分球を設置し、この積分球に大塚電子株式会社製の放射分光光度計(商品名「MCPD-9800」)を接続した。次に、青色LEDと積分球との間に、各硬化物を挿入して、青色LEDを点灯させ、観測されるスペクトル及び各波長における照度を放射分光光度計によって測定した。得られたスペクトル及び照度から、外部量子効率(初期EQE)を求めた。また、硬化物を40℃で2週間保管した後、保管後の硬化物の外部量子効率(保管後EQE)を同様に測定した。測定された各EQEから、下記式により保持率を算出し、塗膜の光学特性を評価した。結果を表2に示す。
EQE保持率(%)=保管後EQE/初期EQE×100
[インク組成物の粘度安定性の評価]
得られた各インク組成物の30℃における粘度(初期粘度η0)を、E型粘度計を用いて測定した。また、各インク組成物を40℃の恒温槽で1週間保管した後の30℃における粘度(保管後粘度η1)を、E型粘度計を用いて測定した。測定された各粘度から、下記式により粘度上昇率を算出した。結果を表2に示す。
粘度上昇率(%)=(η1-η0)/η0×100
[表面平滑性の評価]
上記と同様にして得られた硬化物の表面粗さ(Sa値;単位μm)を、株式会社菱化システムのVertScan3.0R4300を用いて測定した。結果を表2に示す。
Figure 2022080617000011
表2に示すように、発光性粒子と、塩基性基を有するブロック共重合体と、光重合性化合物とに加えて、光重合開始剤と、酸化防止剤と、光散乱性粒子とを含有する実施例12~17の分散体(インク組成物)は、いずれも、2週間保管後の分散安定性に優れると共に1週間保管後の粘度安定性に優れる。さらに、実施例12~17の分散体によって作製された硬化物は、いずれも、優れた表面平滑性を備えると共に、優れた外部量子効率(EQE)を備え光学特性に優れる。
10…画素部、10a…第1の画素部、10b…第2の画素部、10c…第3の画素部、11a…第1の発光性粒子、11b…第2の発光性粒子、12a…第1の光散乱性粒子、12b…第2の光散乱性粒子、12c…第3の光散乱性粒子、20…遮光部、30…光変換層、40…基材、100…カラーフィルタ。

Claims (9)

  1. 内側空間を有する中空シリカ粒子、及び前記内側空間に収容されたメタルハライドからなる半導体ナノ結晶粒子を有する発光性粒子と、
    溶解度パラメータ(Solbility Parameter;SP値)が10.0以下である光重合性化合物と、
    塩基性基を有する第一の構造単位及び前記光重合性化合物に対して親和性を有する第二の構造単位を備えたブロック共重合体と、
    を含有する発光性粒子分散体。
  2. 前記光重合性化合物は、単官能(メタ)アクリレートを1種以上含む、請求項1に記載の発光性粒子分散体。
  3. 前記ブロック共重合体のアミン価が2mgKOH/g以上70mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載の発光性粒子分散体。
  4. 光重合開始剤を更に含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の発光性粒子分散体。
  5. 光散乱性粒子を更に含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の発光性粒子分散体。
  6. インクジェット用インクとして用いられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の発光性粒子分散体。
  7. 複数の画素部と、当該複数の画素部間に設けられた遮光部と、を備え、
    前記複数の画素部は、請求項1~6のいずれか一項に記載の発光性粒子分散体の硬化物を含む発光性画素部を有する、光変換層。
  8. 請求項7に記載の光変換層を備える、カラーフィルタ。
  9. 請求項8に記載のカラーフィルタを備える、発光素子。
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