JP7255412B2 - 量子ドット、インク組成物及び印刷物 - Google Patents
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Description
量子ドットは、人体を透過しやすい波長に蛍光を調整でき、体内のあらゆる場所に送達できることより生体イメージング用途としての発光材料、褪色の恐れがない太陽電池用途としての波長変換材料、エレクトロニクス・フォトニクス用途としての発光材料又は波長変換材料への展開検討が行われている。
一方、塗膜中の量子ドット濃度を高めることで光吸収及び光変換を向上させる方法が提案されており、量子ドットの表面に結合しているリガンドを最適化し塗膜や組成物中での相溶性を向上させることが検討されている。
例えば、特許文献3には、ポリアルキレングリコール鎖を半導体超微粒子に定着させて、親水性と生体物質への非特異吸着性とを両立させることが記載されている。また、特許文献4には、量子ドット、光散乱性粒子であるアルミナ被覆酸化チタン及び高分子分散剤を含む、沈降分離抑制性と吐出安定性に優れたインクジェットインキが記載されている。
特許文献3では、リガンド設計により水への相溶性は得られるが、溶剤に対する相溶性が得られないという課題がある。また、特許文献3には、塗膜の外部変換効率について開示されていない。
さらに特許文献4では、長鎖アルキレンオキシ基を有するリガンドを用いており、特許文献2と同様に、量子ドットの濃度を高めると分散安定性及びインクジェット吐出性が低下し、光物性を向上することができない。
X: 直接結合、又は分子量150以下の2価の連結基
Y: メチレン基、メチン基、又は4置換炭素原子
Q: スルファニル基、アルキルスルファニル基、又は硫黄原子を含有する1価の複素環基
R1: 直接結合、イミノ基(NR3)、酸素原子、又はCH2O
R2: 水素原子、アルキル基、アミノ基(NR4R5)、又はアルコキシ基(OR6)
R3~R5: 各々独立して、アルキル基、又は水素原子
R6: アルキル基
m: 1~3の整数]
本発明の量子ドット(A)は、下記一般式(1)で示される化合物で表面処理された半導体微粒子である。「表面処理された」とは、半導体微粒子表面の少なくとも一部に当該化合物を有していることであり、このような半導体微粒子の表面に存在する化合物をリガンドともいう。
以下、本発明を詳細に説明する。特段記載のない限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表す。
半導体微粒子は、主に無機物を成分とする半導体であり、単一組成でも、コア・シェル型でも、3層以上の複数層になっていてもよい。
半導体は、周期表1族元素、2族元素、10族元素、11族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素及び17族元素で示される元素の群から選ばれる少なくとも2種以上の元素を含む化合物からなる半導体である。より好ましくは化合物半導体であり、化合物半導体は、H、K、Rb、Cs、Cu、Ag、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、N、P、As、Sb、Pb、O、S、Se、Te、F、Cl、Br及びIで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体であり、具体的にはCuCl、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgTe、GaAs、GaP、GaSb、GaN、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、InN、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、PbSe、Ge、Si、CuInS2、AgInS2、Si、Ge、Pb、InGaP、CH3NH3PbF3、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbBr3、CH3NH3PbI3、CsPbF3、CsPbCl3、CsPbBr3、CsPbI3、RbPbF3、RbPbCl3、RbPbBr3、RbPbI3、KPbF3、KPbCl3、KPbBr3、KPbI3等が挙げられる。
さらに好ましくは、H、K、Rb、Cs、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、O,S,Te、Cl、Br及びIで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体である。
可視光を発光する用途では、バンドギャップの狭さからInを構成元素として含む半導体が、さらに好ましい。
また、表面にリガンドを有する量子ドットの平均粒径は、2nm~1μmであることが好ましい。量子ドットの形状は、球状に限らず、棒状、円盤状、そのほかの形状であっても良い。
本発明の量子ドット(A)は、半導体微粒子の表面にリガンドとして下記一般式(1)で示される化合物を有する。
X: 直接結合、又は分子量150以下の2価の連結基
Y: メチレン基、メチン基、又は4置換炭素原子
Q: スルファニル基、アルキルスルファニル基、又は硫黄原子を含有する1価の複素環基
R1: 直接結合、イミノ基(-NR3)、酸素原子、又はCH2O
R2: 水素原子、アルキル基、アミノ基(-NR4R5)、又はアルコキシ基(-OR6)
R3~R5: 各々独立して、アルキル基、又は水素原子
R6: アルキル基
m: 1~3の整数]
Xにおける分子量150以下の2価の連結基は、特に限定されないが、好ましくは、アルキレン基、及びオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、アルキレン基とオキシアルキレン基とを組み合わせた基でもよい。2価の連結基の分子量は、130以下が好ましく、より好ましくは110以下である。
イコシレン等の直鎖アルキレン基が挙げられ、前記アルキレン基は、炭素数1~3のアルキル基で置換されていてもよく、また、一部の水素が脱落し2重結合を形成していてもよいし、環を形成していてもよい。炭素数1~6のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数1~3のアルキレン基である。
本発明の量子ドットは、さらに溶剤(B)及び/又はバインダー成分(C)を含むことでインク組成物とすることができる。
溶剤(B)は有機溶剤であることが好ましく、インクジェットインクとして用いる場合は、主に、後述のバインダー成分に対する溶解性、インクと接するプリンタ部材に対する膨潤作用、粘度、ノズルにおける乾燥性の観点から、最適なものを選択することができる。
有機溶剤は、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、エステル系溶剤及びケトン系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
溶剤(S-1):
R18-(O-C2H4)m-O-C(=O)-CH3
[一般式中、R18は炭素原子数1~8のアルキル基であり、C2H4は直鎖若しくは分岐エチレン鎖であり、1≦m≦3である。]
溶剤(S-2):
R19-(O-C3H6)p-O-C(=O)-CH3
[一般式中、R19は炭素原子数1~8のアルキル基であり、C3H6は直鎖若しくは分岐プロピレン鎖であり、1≦p≦3である。]
バインダー成分(C)としては、樹脂(C1)又は重合性化合物(C2)を用いることができる。
樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂いずれも用いることができ、例えば、石油系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、ブチラール樹脂、直鎖オレフィン樹脂、芳香族ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、フルオレンポリカーボネート樹脂、フルオレンポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド(アラミド)樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、フッ素化芳香族ポリマー樹脂、エポキシ樹脂、アリルエステル硬化型樹脂又はシルセスキオキサン紫外線硬化樹脂等が挙げられる。
当該樹脂は、塗工、印刷方式や基材により適時選択することができる。中でもアクリル樹脂が処理剤との親和性の観点で好ましい。
以上の樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
バインダー成分(B)が樹脂を含む場合、硬化剤を併用してもよい。硬化剤を併用する場合、硬化剤はバインダー成分に含まれる。
硬化剤としては、樹脂中の官能基と反応して分子間に架橋を形成するものが挙げられ、例えば、アミン化合物、イソシアネート化合物、ポリオール化合物、カルボン酸化合物、アクリレート系モノマー、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる化合物1種若しくは2種以上を用いることができる。
カルボキシル基ペンダントポリエステルとしては、例えば、酸無水物基を2つ有する化合物とジオールとの付加反応物が挙げられる。前記酸無水物基を2つ有する化合物としては、例えば、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、4,4‘-ビフタル酸無水物等が挙げられ、ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロペンタンジオール等が挙げられ、公知のポリエステル合成法に従って合成することができる。
重合性化合物としては、光の照射又は熱によって重合する重合性モノマーを用いることができ、好ましくは光重合性モノマーである。使用できる光重合性モノマーとしては特に制限されず、光ラジカル重合性モノマー又は光カチオン重合性モノマーであってもよく、単官能モノマー、多官能モノマーを各々単独で用いてもよいし、併用してもよい。
光ラジカル重合性モノマーの具体例としては、単官能モノマーとしてベンジル(メタ)アクリレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ (メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
光カチオン重合性モノマーの具体例としては、単官能モノマーとして、グリシジルメタクリレート、2-エチルヘキシルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ベンジルオキセタン、3-ヒドロキシエチルー3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシブチル-3-メチルオキセタン等が挙げられる。
バインダー成分(B)が重合性化合物を含む場合、重合開始剤を併用することが好ましい。重合開始剤としては、光重合開始剤又は熱重合開始剤が挙げられ、1種を単独で又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。なお、重合開始剤を併用する場合、重合開始剤はバインダー成分とみなす。
光ラジカル重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
また、ホスフィン系化合物の市販品としては、IGM Resins B.V.社製の「Omnirad 819」(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)、「Omnirad TPO H」(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、4-イソプロピル-4'-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等のヨードニウム塩、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等のスルフォニウム塩が挙げられる。
スルフォニウム塩系化合物の市販品としては、サンアプロ株式会社製のCPI-100P(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスファート)、CPI-101A(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、CPI-310BP(トリアリールスルホニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート)、BASF株式会社製の「Irgacure290」(テトラキスペンタフルオロフェニルボレート)等が挙げられる。
高分子アゾ開始剤としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
また、過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、光散乱粒子(D)を含有することができる。光散乱粒子(D)により光変換層内で光を散乱させることにより量子ドットの光吸収を増大させることができる。光散乱粒子としては、無機光散乱粒子(D1)又は有機光散乱粒子(D2)が挙げられる。
無機光散乱粒子(D1)としては、金属酸化物粒子を好適に用いることができる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化インジウム(In2O2)、酸化スズ(Sn2O2)、酸化インジウムスズ(ITO)、及び酸化亜鉛(ZnO)からなる群から選択された少なくとも1種の材料からなる粒子が挙げられる。中でも酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)の粒子が好ましく、酸化チタン(TiO2)粒子が、透光性、分散性、耐候性、及び耐光性の観点から特に好ましい。
有機光散乱粒子(D2)は有機成分からなる微粒子であり、その形状は特に制限されないが、バックライト等の光散乱効果の観点から球状であることが好ましい。球状の有機光散乱粒子を使用することで、バックライトが散乱されて量子ドット(A)が十分に励起され、インク組成物から得られる印刷物の発光効率をより高めることができる。
メラミンーベンゾグアナミン系樹脂微粒子の具体例としては、エポスターM30(株式会社日本触媒製)が挙げられる。
ポリスチレン系微粒子の具体例としては、ケミスノーSX-130H、SX-350H、SX-500H(綜研化学株式会社製)等が挙げられる。
分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」)、微小ビーズミル(寿工業(株)社製「スーパーアペックミル」及び「ウルトラアペックミル」)等が使用できる。分散機にメディアを使う場合には、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ又はポリスチレンビーズ等を用いることが好ましい。分散は、2種類以上の分散機又は大きさの異なる2種類以上のメディアをそれぞれ用いて段階的に実施してもよい。
本発明のインク組成物は、インクジェットインクとして特にインクジェット方式に好適に用いられる。インク組成物には、印刷物への要求物性及び保存安定性の観点から、重合禁止剤、増感剤、添加剤等のその他成分を添加することができる。これらは単独で又は2種以上混合して用いることができる。
インク組成物は保存安定性を高めるため重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-t-ブチル-4-メチルフェノール、フェノチアジン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩等が挙げられる。重合禁止剤の含有量は、硬化性を維持しつつ安定性を高める点から、インク組成物の固形分全量に対して0.01~0.1質量%であることが好ましい。
インク組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
本発明の印刷物は、基材上に、インク組成物から形成される量子ドットを含有する印刷層を有するものであり、印刷層がインクジェット印刷方式によって形成されることが好ましい。インクジェット方式で印刷物を形成する場合、本発明のインク組成物をインクジェット記録方式用プリンタのプリンタヘッドに供給し、このプリンタヘッドからインクジェットインキを基材上に吐出する。その後、インクジェットインキに含まれる溶剤を乾燥する工程、或いは、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射してインクジェットインキに含まれる重合性化合物を重合させる工程を経ることにより、基材上に、インク層(印刷層)を形成することができる。
本発明の印刷物を構成する基材は特に限定されないが、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等のプラスチック基材やこれら混合又は変性品、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙等の紙基材、ガラス、ステンレス等の金属基材、木材等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、入射光を波長選択的に吸収し、一部の波長の光を透過又は反射させるカラーフィルタを形成するために用いることができ、当該カラーフィルタは、カラー液晶表示装置以外にカラー固体撮像素子、有機EL表示装置、量子ドット表示装置、及び電子ペーパー等の製造にも使用することができる。特にインクジェット方式を選択すると、必要な個所に必要な量を印刷することができ、量子ドット等の消費を抑制することができるため好ましい。
また、当該カラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント及び青色フィルタセグメントを備えており、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント及び黄色フィルタセグメントを備えてもよく、少なくとも1つのフィルタセグメントが、本発明のインク組成物から形成されていればよい。
本発明のインク組成物を用いて塗工・印刷後に有機溶剤を乾燥して形成された層又は、紫外線照射によって形成された硬化膜からなる層は、光波長変換層として用いることができる。光波長変換層は、励起光を長波長側の蛍光に変換して放出することが可能であり、励起光波長と放出蛍光波長の関係を維持できれば特に制限はなく、例として、青色や紫外光を励起光として用いて緑色や赤色の蛍光を得ることや、紫外光や可視光を励起光として近赤外領域の蛍光を得ること等を挙げることができる。
光波長変換層の厚みは、好ましくは1~500μmであり、より好ましくは1~50μmであり、さらに好ましくは1~10μmである。厚みが1μm以上であると、高い波長変換効果が得られるため、好ましい。また、厚みが500μm以下であると、光源ユニットに組み込んだ場合に、光源ユニットを薄くすることができるため、好ましい。
前述の光波長変換層は、光波長変換部材として用いることができる。
光波長変換部材は、特定基材の少なくとも片面に、前述の光波長変換層が形成された部材である。基材は特に限定はないが、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等のプラスチック基材やこれら混合又は変性品、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、ガラス、ステンレス等の金属基材等が挙げられる。
用途によって使用される基材は選択されるが、プリペイドカードや通行カード等であれば、耐久性の観点から、プラスチック基材やこれらの混合又は変性品が好ましい。情報記録媒体としての1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)(マトリックス型2次元コード)であれば、プラスチック基材の他にも紙基材が好ましい。波長変換用カラーフィルタであれば、透明基板が好ましい。
本発明のインク組成物を用いて形成された層は、発光素子における発光層として用いることができる。発光素子は、基板と、基板上に設けられた陰極と陽極を有し、両電極の間に発光層を備え、陰極及び陽極の少なくとも一方に電荷輸送層を備えている。さらに、発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明である。
発光素子の積層の態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。さらに、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。また、発光層としては一層だけでもよく、また、第一発光層、第二発光層、第三発光層等に発光層を分割してもよい。さらに、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
基板の厚みは、特に規定されないが30μm~700μmが好ましく、より好ましくは40μm~200μm、さらに好ましくは50μm~150μmである。さらにいずれの場合もヘイズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
陽極は、通常、有機化合物あるいは無機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。上述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述がある。基板として耐熱性の低いプラスチック基材を用いる場合は、ITO、IZO又はIGZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
陰極は、通常、有機化合物あるいは無機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等が挙げられる。具体例としては2属金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、リチウム-アルミニウム合金、マグネシウム-銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子との再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。発光層は、量子ドットのみで構成されていてもよく、量子ドットとホスト材料との混合層の構成でもよい。発光材料は、さらに、蛍光発光材料でも燐光発光材料を含有してもよく、ドーパントは1種であっても2種以上であってもよい。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料とを混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
前記ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。前述する機能を有すれば有機化合物であっても無機化合物であってもよく、低分子化合物でも高分子化合物でも金属酸化物であってもよい。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、有機シラン誘導体等の低分子化合物、カーボン、フラーレン等の炭素化合物、五酸化バナジウムや三酸化モリブデン等の金属酸化物からなる無機化合物、ポリビニルカルバゾール、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT-PSS)等の高分子化合物等を含有する層であることが好ましい。
電子注入層及び電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8-キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体等の低分子化合物、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)等の金属酸化物やアルカリ金属ドーピングされた有機あるいは無機化合物を含有する層であることが好ましい。
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。また、電子輸送層・電子注入層が正孔ブロック層の機能を兼ねていてもよい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。また、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層を、発光層と陽極側で隣接する位置に設けることもできる。正孔輸送層・正孔注入層がこの機能を兼ねていてもよい。
また、光波長変換部材と発光素子とを組み合わせて、発光デバイスとして用いることができる。前記発光デバイスは、少なくとも、光波長変換部材の光波長変換層又は発光素子の発光層のいずれか一方が、本発明のインク組成物を用いて形成されていればよい。
光波長変換部材は、励起光を長波長側の蛍光に変換して放出するものであり、例えば、青色や紫外光を緑色や赤色の蛍光に変換することや、紫外光や可視光を近赤外領域の蛍光に変換することができる。光波長変換部材は、励起光波長と放出蛍光波長の関係を維持するものであれば特に制限はなく、適宜最適なものを選択することができる。
また、従来公知の発光素子の光源としては、発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)等の半導体発光素子、;有機エレクトロルミネッセンス(有機EL);又は量子ドット(quantum dot)を用いることができる。
(化合物1の合成)
ディーン・スターク装置において酢酸2部、2-メルカプトエタノール1部、濃硫酸0.05部、トルエン20部を3時間加熱還流した。酢酸エチル40部を加えた後、反応混合物を水20部で2回洗い、最後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別した後、有機溶媒を減圧留去することで、表1に示す化合物1を得た。収率は70%であった。
ディーン・スターク装置において酢酸2部、2-(2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシ)エタノール、濃硫酸0.05部、トルエン20部を3時間加熱還流した。酢酸エチル40部を加えた後、反応混合物を水20部で2回洗い、最後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別した後、有機溶媒を減圧留去することで、表1に示す化合物2を得た。収率は80%であった。
ディーン・スターク装置において酢酸2部、6-メルカプト-1-ヘキサノール、濃硫酸0.05部、トルエン20部を3時間加熱還流した。酢酸エチル40部を加えた後、反応混合物を水20部で2回洗い、最後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別した後、有機溶媒を減圧留去することで、表1に示す化合物3を得た。収率は86%であった。
2-(2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシ)エタノール1部と炭酸ジメチル6部を炭酸カリウム1部存在下で24時間還流させた。炭酸カリウムをろ別した後、混合物を減圧留去し、表1に示す化合物4を得た。収率は88%であった。
メルカプトプロピオン酸1部、メタノール10部、濃硫酸0.05部を3時間加熱還流した。反応混合物を減圧留去し、メタノールを除去した後、酢酸エチル40部を加え、反応混合物を水20部で2回洗い、最後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別した後、有機溶媒を減圧留去することで、表1に示す化合物5を得た。収率は77%であった。
3,3-ジエトキシ-1-プロパノール1部、パラトルエンスルホン酸クロリド1部、ピリジン1.5部をテトラヒドロフラン20部中で室温、24時間反応させた。テトラヒドロフランを減圧留去した後、酢酸エチル20部を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去した。次に、窒素雰囲気下、得られた混合物にエタノール15部、水1部、チオ尿素2部を加え、3時間加熱還流した後、10%水酸化ナトリウム20部を加え、3時間加熱還流した。エタノールを減圧留去した後、水10部を加え、pH=2となるまで塩酸を加えた後、2時間室温で攪拌した。炭酸水素ナトリウムでpHが5~6となるまで調製した後、酢酸エチル20部を加え、有機層は水10部で2回洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去した。残留物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル1:n-ヘキサン9)で精製し、表1に示す化合物6を得た。収率は59%であった。
4-ヒドロキシ-2‐ブタノン1部、パラトルエンスルホン酸クロリド1部、ピリジン1.5部をテトラヒドロフラン20部中で室温、24時間反応させた。テトラヒドロフランを減圧留去した後、酢酸エチル20部を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去した。次に、窒素雰囲気下、得られた混合物にエタノール15部、水1部、チオ尿素2部を加え、3時間加熱還流した後、10%水酸化ナトリウム20部を加え、3時間加熱還流した。エタノールを減圧留去した後、水10部を加え、pH=2となるまで塩酸を加えた後、2時間室温で攪拌した。炭酸水素ナトリウムでpHが5~6となるまで調製した後、酢酸エチル20部を加え、有機層は水10部で2回洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去した。残留物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル1:n-ヘキサン9)で精製し、表1に示す化合物7を得た。収率は47%であった。
ジクロロメタン20部に、6-メルカプトヘキサン酸1部、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド1部、4-ジメチルアミノピリジン0.05部を溶解させて攪拌した後、プロピルアミンを1.1部加え、室温で24時間反応させた。溶媒を減圧留去した後、混合物を酢酸エチル20部に溶解させ、5%塩酸10部で3回洗った後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10部で1回洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去することで、表1に示す化合物8を得た。収率は70%であった。
ジクロロメタン20部に、酢酸1部、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド1部、4-ジメチルアミノピリジン0.05部を溶解させて攪拌した後、システアミンを1.1部加え、室温で24時間反応させた。溶媒を減圧留去した後、混合物を酢酸エチル20部に溶解させ、5%塩酸10部で3回洗った後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10部で1回
洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去することで、表1に示す化合物9を得た。収率は70%であった。
N,N-ジメチルホルムアミド10部にシステアミン0.85部を溶解させ、0℃においてエチルイソシアネート0.78部を加え、室温で24時間反応させた。N,N-ジメチルホルムアミドを減圧下で除去した後、混合物に酢酸エチル10部を加え、水10部で2回洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去することで、表1に示す化合物10を得た。収率は55%であった。
窒素雰囲気下、アセチルアセトナート1部をテトラヒドロフラン10部に溶解させ、炭酸カリウム1.6部を加えた。次に、3-クロロ-1-プロパンチオール1部をテトラヒドロフラン3部に溶解させ、1時間で滴下した。室温で24時間攪拌した後、テトラヒドロフランを減圧留去し、酢酸エチル20部に溶解させた。混合物を5%希塩酸20部で1回洗った後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去することで、表2に示す化合物11を得た。収率67%であった。
窒素雰囲気下、マロン酸ジメチル10部をテトラヒドロフラン100部に溶解させ、0℃に冷却した後、60%水素化ナトリウム3部を少しずつ加えた。次に、3-クロロ-1-プロパンチオール2部をテトラヒドロフラン20部に溶解させ、1時間で滴下した。室温で24時間攪拌した後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル100部を加え、塩化アンモニウム水溶液を滴下し、水層を弱酸性とした。有機層を水100部で3回洗った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去することで、表2に示す化合物12を得た。収率は56%であった。
ディーン・スターク装置において酢酸5部、1-チオグリセロール1部、濃硫酸0.05部、トルエン30部を3時間加熱還流した。トルエンを減圧留去した後、酢酸エチル40部を加え、反応混合物を水20部で2回洗い、最後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別した後、有機溶媒を減圧留去することで、表2に示す化合物13を得た。収率は62%であった。
ディーン・スターク装置において酢酸5部、3-チオフェンメタノール1部、濃硫酸0.05部、トルエン30部を3時間加熱還流した。トルエンを減圧留去した後、酢酸エチル40部を加え、反応混合物を水20部で2回洗い、最後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別した後、有機溶媒を減圧留去することで、表2に示す化合物14を得た。収率は77%であった。
ディーン・スターク装置において酢酸5部、2-チオフェンメタノール1部、濃硫酸0.05部、トルエン30部を3時間加熱還流した。トルエンを減圧留去した後、酢酸エチル40部を加え、反応混合物を水20部で2回洗い、最後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別した後、有機溶媒を減圧留去することで、表2に示す化合物15を得た。収率は74%であった。
ディーン・スターク装置において酢酸5部、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール1部、濃硫酸0.05部、トルエン30部を3時間加熱還流した。トルエンを減圧留去した後、酢酸エチル40部を加え、反応混合物を水20部で2回洗い、最後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20部で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムをろ別した後、有機溶媒を減圧留去することで、表2に示す化合物16を得た。収率は81%であった。
ジクロロメタン20部に、酢酸1部、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド1部、4-ジメチルアミノピリジン0.05部を溶解させて攪拌した後、3-メチルチオプロピルアミンを1.6部加え、室温で24時間反応させた。溶媒を減圧留去した後、混合物を酢酸エチル20部に溶解させ、5%塩酸10部で3回洗った後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10部で1回洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ別し、有機層を減圧留去することで、表2に示す化合物18を得た。収率は72%であった。
[比較例1](量子ドットQD-0)
無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオール(化合物0)7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱溶解し添加液を作成した。別途、塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、165℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジエチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間165℃に制御した。その後、急冷し、40℃に冷却した。上記添加液を注入し、240℃2時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。沈殿を回収し、減圧乾燥することで、コアがInPでシェルがZnSのコア・シェル型半導体微粒子をドデカンチオール(化合物0)で表面処理した量子ドットQD-0を得た。
量子ドットQD-0を、トルエンに分散させて固形分濃度1%とした。希釈した液と同量の5%化合物1のトルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。トルエンとヘキサンを用いて再沈殿法で精製を行った。沈殿を回収し、減圧乾燥することで、化合物1で表面処理された量子ドットQD-1を得た。
表面処理剤を表4に示す化合物2~22に変更した以外は、QD-1と同様にして、量子ドットQD-2~23を調製した。
(樹脂溶液1)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にキシレン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート18.0部、メタクリル酸メチル12.0部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、質量平均分子量(Mw)26,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して固形分濃度を測定し、先に合成した樹脂溶液に固形分濃度が10質量%になるようにキシレンを添加して、アクリル樹脂の樹脂溶液1を得た。
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にキシレン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート14.0部、メタクリル酸メチル10.0部、スチレン6.0部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、質量平均分子量(Mw)26,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して固形分濃度を測定し、先に合成した樹脂溶液に固形分濃度が10質量%になるようにキシレンを添加して、アクリル樹脂の樹脂溶液2を得た。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学製「エスレックBL-S」)を固形分濃度10%となるようにトルエンに溶解し、樹脂溶液3を得た。
ノルボルネン200部、シクロペンテン50部、1-ヘキセン180部及びトルエン750部を、窒素置換した反応容器に仕込み、60℃に加熱した。これに、トリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部、tert-C4H5OH/CH3OHで変性(tert-C4H9OH/CH3OH/W=0.35/0.3/1;モル比)したWCl6溶液(濃度0.05モル/l)3.7部を加え、80℃で3時間加熱攪拌して、開環重合反応、水素添加反応を行い、次いでトリメチルベンゼンを用いて固形分濃度を10%に調製して、樹脂溶液4を得た。
(金属酸化物微粒子分散液(D1-1))
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート60部中に、MT700B(テイカ株式会社製、微粒子酸化チタン、平均一次粒子径80nm)を20部、BYK-2155(ビッグケミー株式会社製)を20部配合し、ガラスビーズ(粒子径:850~1180μm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて2時間分散処理を行い、金属酸化物微粒子分散液(D1-1)を得た。
得られた金属酸化物微粒子分散液(D1-1)中の金属酸化物微粒子の平均粒子径は85nmであった。
MT700Bを、MT600B(テイカ株式会社製、微粒子酸化チタン、平均一次粒子径50nm)に変更した以外は、金属酸化物微粒子分散液(D1-1)と同様にして、金属酸化物微粒子分散液(D1-2)を得た。
得られた金属酸化物微粒子分散液(D1-2)中の金属酸化物微粒子の平均粒子径は48nmであった。
MT700Bを、MT600SA(テイカ株式会社製、Si、Al処理、微粒子酸化チタン、平均一次粒子径50nm)に変更した以外は、金属酸化物微粒子分散液(D1-1)と同様にして、金属酸化物微粒子分散液(D1-3)を得た。
得られた金属酸化物微粒子分散液(D1-3)中の金属酸化物微粒子の平均粒子径は49nmであった。
窒素雰囲気下、水560部の中に、トリフルオロエチルメタクレート50部、メチルメタクリレート40部、アリルメタクリレート5部、及びイソボルニルメタクリレート5部を添加、撹拌し、80℃に昇温し、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド0.167部をごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、80℃で8時間重合した。重合後、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、ストリッピングにより水を除去して固形分20質量%に調整し、フッ素原子含有のアクリル樹脂微粒子である有機微粒子分散液(D2-1)を得た。
得られた有機微粒子分散液(D2-1)中の有機微粒子の平均粒子径は280nmであった。
溶剤組成とモノマー組成を、表5に示す組成及び配合量(部)に変更した以外は、有機微粒子分散液(D2-1)と同様の方法で、フッ素原子含有のアクリル樹脂微粒子である有機微粒子分散液(D2-2~4)を得た。得られた有機微粒子分散液の平均粒子径を表5に示す。
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート80部中に、エポスターS(日本触媒株式会社製、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、平均粒子径200nm)を16.0部、BYK-111(ビッグケミー株式会社製)を4.0部配合し、ガラスビーズ(粒子径:850-1180μm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて2時間分散処理を行い、メラミン樹脂微粒子である有機微粒子分散液(D2-5)を得た。
得られた有機微粒子分散液(D2-5)中の有機微粒子の平均粒子径は175nmであった。
エポスターSを、エポスターFS(日本触媒株式会社製、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、平均粒子径200nm)に変更した以外は、有機微粒子分散液(D2-5)と同様にして、メラミン樹脂微粒子である有機微粒子分散液(D2-6)を得た。
得られた有機微粒子分散液(D2-6)中の有機微粒子の平均粒子径は173nmであった。
エポスターSを、MX-80H3wTM(綜研化学株式会社製、架橋アクリル単分散粒子、平均粒子径800nm)に変更した以外は、有機微粒子分散液(D2-5)と同様にして、架橋アクリル樹脂微粒子である有機微粒子分散液(D2-7)を得た。
得られた有機微粒子分散液(D2-7)中の有機微粒子の平均粒子径は732nmであった。
エポスターSを、MX-80H3wTM(綜研化学株式会社製、架橋アクリル単分散粒子、平均粒子径800nm)に、BYK-111をBYK-2155(ビッグケミー株式会社製)に変更した以外は、有機微粒子分散液(D2-5)と同様にして、架橋アクリル樹脂微粒子である有機微粒子分散液(D2-8)を得た。
得られた有機微粒子分散液(D2-6)中の有機微粒子の平均粒子径は673nmであった。
[実施例101]
(インク組成物1)
密閉できる容器に、量子ドット(QD-1)25部と、樹脂溶液1 46.5部を計量し、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート28.5部を加えた。その後、密閉して撹拌し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、インク組成物1を得た。
(インク組成物2~21、0、57~60)
密閉できる容器に、表6及び表7に示した配合組成にて、量子ドット、樹脂溶液、溶剤の順番で計量した以外は、インク組成物1と同様にしてインク組成物2~21、0、57~60を調製した。また、比較例101~105は、量子ドット25部が完全に分散する量の溶剤を加えた。
(インク組成物22)
密閉できる容器に、樹脂溶液1を46.5部、量子ドット(QD-1)を25部、金属酸化物微粒子分散液(D1-1)16部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート12.5部を計量した。その後、密閉して撹拌し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、インク組成物22を得た。
(インク組成物23~40)
密閉できる容器に、表6に示した配合組成にて、樹脂溶液、量子ドット、金属酸化物微粒子分散液、有機微粒子分散液の順番で計量した以外は、インク組成物22と同様にしてインク組成物23~40を調製した。
(インク組成物41)
密閉できる容器に、ジエチルアクリルアミドを65部、重合性化合物、量子ドット(QD-2)を25部、Omnirad907(IGM Resins B.V.社製光重合開始剤)7.5部、カヤキュアDETX-S(日本化薬社製光重合開始剤)2.5部を計量した。その後、密閉して撹拌し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、インク組成物41を得た。
(インク組成物42、43)
密閉できる容器に、表6に示した配合組成にて、重合性化合物、量子ドット、Omnirad907、カヤキュアDETX-Sの順番で計量した以外は、インク組成物41と同様にしてインク組成物42、43を調製した。
(インク組成物44)
密閉できる容器に、ジエチルアクリルアミドを40部、量子ドット(QD-2)を25部、Omnirad907 7.5部、カヤキュアDETX-S 2.5部、金属酸化物微粒子分散液(D1-1)25部 を計量した。その後、密閉して撹拌し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、インク組成物44を得た。
(インク組成物45~53、62~65)
密閉できる容器に、表6及び表7に示した配合組成にて、重合性化合物、量子ドット、Omnirad907、カヤキュアDETX-S、金属酸化物微粒子分散液、有機微粒子分散液の順番で計量した以外は、インク組成物44と同様にしてインク組成物45~53、62~65を調製した。
(インク組成物54)
密閉できる容器に、量子ドット(QD-2)を25部、jER1001(三菱ケミカル社製、エポキシ樹脂)5部、ラッカマイドTD-984(DIC社製無溶剤ポリアミドアミン型アミン系硬化剤)1部、トルエン53部、金属酸化物微粒子分散液(D1-1)16部を計量した。その後、密閉して撹拌し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、インク組成物54を得た。
(インク組成物55、66)
密閉できる容器に、表6及び表7に示した配合組成にて、量子ドット、樹脂、硬化剤、溶剤、金属酸化物微粒子分散液を計量した。その後、密閉して撹拌し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、インク組成物55、66を得た。
(インク組成物56)
密閉できる容器に、量子ドット(QD-2)25部と、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート75部を加えた。その後、密閉して撹拌し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、インク組成物56を得た。
DBCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃、SP値8.9、溶剤(S-1)に該当)
PGMAc:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点147℃、SP値8.7、溶剤(S-2)に該当)
MEK:メチルメチルケトン
DEAA:ジエチルアクリルアミド
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
jER1001:三菱ケミカル社製エポキシ樹脂、エポキシ当量450~500、数平均分子量900
バイロン200:東洋紡社製ポリエステル樹脂、ガラス転移温度67℃、数平均分子量17,000
TD-984:DIC社製無溶剤ポリアミドアミン型アミン系硬化剤「ラッカマイドTD-984」、アミン価285~315mgKOH/g
D110N:三井化学社製「タケネートD-110N」、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体
開始剤1:IGM Resins B.V.社製光重合開始剤「Omnirad907」、α-アミノアルキルフェノン
開始剤2:日本化薬社製光重合開始剤「カヤキュアDETX-S」、2,4-ジエチルチオキサントン
得られたインク組成物について、以下の評価を実施した。結果を表8に示す。
重合性化合物を含まないインク組成物は、バーコータ-を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工し、100℃環境下で乾燥させた。重合性化合物を含むインク組成物は、バーコータ-を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工し、塗工フィルムを窒素置換したグローブボックス内に設置したLED照射器を用いて、積算光量500mJ/cm2(UVA換算)照射し、硬化させた。
得られた膜の励起光透過率を、大塚電子株式会社製QE-2000を用いて測定し、下記基準で評価した。なお、励起波長は450nmとした。
◎:10%未満(良好)
○:10%以上20%未満(使用可能)
△:20%以上30%未満(使用不可)
×:30%以上(不良)
重合性化合物を含まないインク組成物は、バーコータ-を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工し、100℃環境下で乾燥させた。重合性化合物を含むインク組成物は、バーコータ-を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工し、塗工フィルムを窒素置換したグローブボックス内に設置したLED照射器を用いて、積算光量500mJ/cm2(UVA換算)照射し、硬化させた。
得られた膜の外部量子効率(EQE)を、大塚電子株式会社製QE-2000を用いて測定し、下記基準で評価した。なお、励起波長は450nmとし、蛍光波長の積分範囲は500nm~800nmとした。
◎:20%以上(非常に良好)
○:15%以上20%未満(良好)
△:10%以上15%未満(使用可能)
×:10%未満(使用不可)
得られたインク組成物について、インク組成物調製直後と、25℃48時間経時後について、振動式粘度計ビスコメイトVM-10A-L(SEKONIC社製)を用いて、25℃における粘度を測定して粘度の変化率を算出し、下記基準で評価を行った。
○:粘度変化率が±5% 未満(良好)
△:粘度変化率が±5%以上±10%未満(使用不可)
×:粘度変化率が±10%以上(不良)
得られたインク組成物を用いて、下記条件でIJ印刷試験を行った。得られた印刷物及び吐出状況について、下記基準で評価を行った。
重合性化合物を含むインク組成物は、印刷後乾燥の代わりに、窒素置換したグローブボックス内に設置したLED照射器を用いて、積算光量500mJ/cm2(UVA換算)を照射して硬化させた。硬化剤を含むインク組成物は、印刷後乾燥の代わりに40℃3日間エージングして硬化させた。
(印刷条件)
印刷機DimatixMaterialsPrinter
カートリッジ10DimatixMaterialsCartriges、10pL
印刷パターン1mm間隔の格子模様
基板丸カバーガラス・松浪ガラス工業製
基板温度30℃
印刷後乾燥40℃20分
(評価基準)
○:印刷パターン通りに吐出できた(良好)
×:ノズル詰りが発生した(不良)
得られたインク組成物を用いて、上述の印刷試験と同様にしてIJ連続吐出を行った。吐出状況を目視で確認し、下記基準で評価を行った。
(評価基準)
○:連続吐出可能時間が、30分間以上である(良好)
△:連続吐出可能時間が、10分間以上、30分間未満である(使用可能)
×:連続吐出可能時間が、10分間未満である(使用不可)
実施例では、いずれも励起光透過率が低く優れていた。これは、実施例で用いたリガンド化合物1~18が分子鎖の末端にカルボニル構造を有しており、これが溶剤と量子ドットとの親和性を高め、励起光透過率が適格水準となる濃度まで量子ドットが分散されたためと考えられる。
R1が酸素原子であり、R2がアルキル基であるアセトキシ末端を有するリガンド化合物(化合物1~3、13~15)で表面処理された量子ドットを含む実施例101~103、113~115は、その他のリガンド化合物と比較して、外部量子効率が優れていた。
金属酸化物微粒子を併用した実施例122~140、144~155は、金属酸化物微粒子が散乱体として機能したため、励起光透過が更に低下した。また、金属酸化物微粒子の併用に伴い外部量子効率も向上しているが、これは、散乱光が量子ドットに吸収される経路が増えたためだと考えられる。
また、R1が酸素原子であり、R2がアルキル基であるアセトキシ末端を有する化合物で表面処理され、且つ光散乱粒子を含む実施例122~124、129~140、144~153は、外部量子効率が特に優れていた。これは、アセトキシ末端を有するリガンド化合物が、光散乱粒子の存在下においても、量子ドットを安定に分散させる性能を有しているためだと推測される。
Claims (10)
- 前記半導体微粒子が化合物半導体である、請求項1に記載の量子ドット(A)。
- 前記半導体微粒子がコア・シェル型であり、前記一般式(1)で示される化合物でシェル表面が処理されてなる、請求項1又は2に記載の量子ドット(A)。
- 一般式(1)において、R1が酸素原子であり、R2が炭素数1~3のアルキル基である、請求項1~3いずれか1項に記載の量子ドット(A)。
- 一般式(1)のXにおける2価の連結基の分子量が、110以下である、請求項1~4いずれか1項に記載の量子ドット(A)。
- 請求項1~5いずれか1項に記載の量子ドット(A)と溶剤(B)とを含むインク組成物。
- 請求項1~5いずれか1項に記載の量子ドット(A)とバインダー成分(C)とを含むインク組成物。
- さらに、光散乱粒子(D)を含む、請求項7に記載のインク組成物。
- インクジェット方式で用いられる、請求項6~8いずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項6~8いずれか1項に記載のインク組成物を用いて形成される印刷物。
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