JP2021006493A - 半導体ナノ粒子、インク組成物及び印刷物 - Google Patents

半導体ナノ粒子、インク組成物及び印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、インク組成物として使用した場合においても、経時色変化や経時量子収率変化が抑制され、優れた安定性を有する半導体ナノ粒子、該ナノ粒子を使用した蛍光材料用途や電子デバイス材料として好適なインク組成物、及びこれより形成される印刷物を提供することである。【解決手段】前記課題は、A、B及びXを構成成分とするペロブスカイト結晶構造を有する微粒子であって、Aは1価のカチオンを表し、Bは2価以上のカチオンを表し、Xはハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオンを表し、AとBのモル比(A/B)が1.2以上2.0以下である微粒子によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、経時安定性に優れる半導体ナノ粒子、インク組成物及び印刷物に関する。
ペロブスカイト結晶構造を有する化合物は、磁性、圧電性、誘電性、電界発光性及び導電性等の多くの特異的な物性を有することが知られている。特に、A、B及びXを構成成分とするペロブスカイト結晶構造において、Aが1価のカチオン、Bが2価のカチオン、Xが1価のアニオンであるペロブスカイト化合物は、導電性、蛍光性及び電界発光性が優れており、且つ、半値全幅が狭く色純度が高い発光が得られるため、電界効果トランジスタ、電界発光素子及び光電変換素子等の電子デバイスの材料として用いられている(特許文献1〜3)。また、ペロブスカイト化合物を発光材料として用いる場合、Xの種類や比率を変えることで、青から赤までの可視光ほぼ全領域の発光色を得ることができる(非特許文献1〜3)。
特開2016−132638号公報 国際公開第2017/142089号 特開2018−104685号公報
Nano Lett.2015,15,3692−3696 J.Am.Chem.Soc.2015,137,10276−10281 Chem.Commun.2016,52,7265−7268
しかしながら、これら特許文献1及び2に記載のペロブスカイト化合物は安定性が不十分であり、インク組成物として使用した場合、経時色変化や経時量子収率変化が発生する。
そこで本発明の課題は、インク組成物として使用した場合においても、経時色変化や経時量子収率変化が抑制され、優れた安定性を有する半導体ナノ粒子、該ナノ粒子を使用した蛍光材料用途や電子デバイス材料として好適なインク組成物、及び、該インク組成物より形成される印刷物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討の結果、A(1価のカチオン)、B(2価以上のカチオン)及びX(ハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオン)を構成成分とするペロブスカイト結晶構造を有する微粒子であって、AとBのモル比(A/B)が1.2以上2.0以下である微粒子が、優れた安定性を有することを見出した。
すなわち本発明は下記〔1〕〜〔7〕に関する。
〔1〕 A、B及びXを構成成分とするペロブスカイト結晶構造を有する半導体ナノ粒子であって、Aは1価のカチオンを表し、Bは2価以上のカチオンを表し、Xはハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオンを表し、AとBのモル比(A/B)が1.2以上2.0以下である半導体ナノ粒子。
〔2〕 350nm〜650nmの範囲内にある波長の光が照射されたときに得られる発光スペクトルにおいて、発光のピーク波長が400nm〜700nmの範囲内にあり、半値全幅が下記一般式(1)を満たす、〔1〕に記載の半導体ナノ粒子。
一般式(1):
FWHM (nm)≦ 0.045×Lmax (nm)
(一般式(1)中、FWHMは半値全幅、Lmaxは発光のピーク波長を表す。)
〔3〕 前記Aがセシウムカチオンである、〔1〕又は〔2〕に記載の半導体ナノ粒子。
〔4〕 前記Xが2種以上のハロゲン化物アニオンを含む、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の半導体ナノ粒子。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の半導体ナノ粒子と、溶剤及び/又は重合性化合物と、を含むインク組成物。
〔6〕 インクジェット用インクとして用いられる、〔5〕に記載のインク組成物。
〔7〕 〔5〕又は〔6〕に記載のインク組成物より形成される印刷物。
本発明により、インク組成物として使用した場合においても、経時色変化や経時量子収率変化が抑制され、優れた安定性を有する半導体ナノ粒子、該ナノ粒子を使用した蛍光材料用途や電子デバイス材料として好適なインク組成物、及び、該インク組成物より形成される印刷物を提供することができる。
<半導体ナノ粒子>
本発明の半導体ナノ粒子は、A(1価のカチオン)、B(2価以上のカチオン)及びX(ハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオン)を構成成分とするペロブスカイト結晶構造を有し、AとBのモル比(A/B)が1.2以上2.0以下であることを特徴とする。AとBとが当該特定モル比であることにより、優れた経時色変化抑制能及び経時量子収率変化抑制能を発揮する。
上記効果の詳細な機構及び理由は不明であるが、本発明の半導体ナノ粒子のXRDのピークは、AとBのモル比(A/B)が1.2未満の一般的なペロブスカイト結晶と変わらないことから、量論比を超えるAの1価カチオンは結晶表面に偏在しており、この表面に存在するAの1価カチオンが、本発明の効果を奏する要因であると推察している。
A、B及びXを構成成分とするペロブスカイト結晶構造の解析、及び、AとBのモル比(A/B)は、X線光電分析(XPS)に基づいて求めることができる。X線光電分析は、分析対象の各元素を同時に分析可能であり、且つ測定精度が高いという観点から好適な手法である。
また、本発明の半導体ナノ粒子は、ピーク波長を中心に発光スペクトルが左右対称であり、且つ発光スペクトルの半値全幅が非常に狭いという特徴を有しており、これにより、色純度が高い発光を得ることができる。中でも本発明の半導体ナノ粒子は、350nm〜650nmの範囲内にある波長の光が照射されたときに得られる発光スペクトルにおいて、発光のピーク波長が400nm〜700nmの範囲内にあり、半値全幅が下記一般式(1)を満たす半導体ナノ粒子であることが好ましい。
一般式(1):
FWHM (nm)≦ 0.045×Lmax (nm)
(一般式(1)中、FWHMは半値全幅、Lmaxは発光のピーク波長を表す。)
半値全幅が上記一般式(1)を示す具体例としては、ピーク波長が450nmにおいて半値全幅が20.3nm以下、ピーク波長が500nmにおいて半値全幅が22.5nm以下、ピーク波長が550nmにおいて半値全幅が24.8nm以下、ピーク波長が600nmにおいて半値全幅が27nm以下、ピーク波長が650nmにおいて半値全幅が29.3nm以下となる。特に、一般式(1)中の係数が0.04であることが、半値全幅が非常に狭く、高色純度となるため好ましい。
また、本発明の半導体ナノ粒子は安定性に優れているため、発光スペクトルの半値全幅の経時変化が起こりにくく、例えば、分散液を大気下室温で3日間放置した後においても、半導体ナノ粒子の半値全幅は一般式(1)を満たすことが可能である。
一般的な発光材料においても同様に、ピーク波長が短波長側の青系材料では半値全幅が狭くなり、ピーク波長が長波長側の赤系では半値全幅がやや広くなる傾向が見られるが、本発明の半導体ナノ粒子の発光スペクトルの半値全幅は、それよりも非常に小さい値であり、色純度に優れている。さらに、前記一般式(1)は、前記Xが2種以上のハロゲン化物アニオンを含む場合にも成り立つという特徴がある。
元来、複数のハロゲン化物アニオンを含む混合系では、ハロゲン化物アニオンの比率に応じて中間波長域に新たなピークを生じるが、半値全幅は広くなる傾向にあった。しかし、本発明の半導体ナノ粒子は、ハロゲン化物アニオンの比率に応じて、ほぼ一義的に発光を所望の波長とすることができるだけでなく、半値全幅の広がりがほとんど起こらない。その結果、色純度が良い発光が得られるという優れた効果を発揮する。これは、半導体ナノ粒子内で、2種以上のハロゲン化物アニオンが均一な混晶を形成していることによると推察される。
以下に、A、B及びXの具体的な成分と合成原料、合成方法について説明する。
[A(1価カチオン)]
Aは1価のカチオンであり、例えば、アンモニウムカチオン(NH )、及び炭素数6以下のアルキルアンモニウムカチオン、ホルムアミジニウムカチオン(HC(NH )、グアニジニウムカチオン(C(NH )、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン等の含窒素有機化合物カチオン;又は、リチウムカチオン(Li)、ナトリウムカチオン(Na)、カリウムカチオン(K)、ルビジウムカチオン(Rb)、及びセシウムカチオン(Cs)等のアルカリ金属カチオン;が挙げられる。これらのカチオンは、イオン径が小さく結晶格子内に入る大きさであるため、ペロブスカイト化合物が、安定な3次元結晶を形成することができる。
アルキルアンモニウムカチオンの好ましい例としては、メチルアンモニウムカチオン(CHNH )、エチルアンモニウムカチオン(CNH )、プロピルアンモニウムカチオン(CNH )等が挙げられる。
さらに、高い発光効率を得るという観点では、メチルアンモニウムカチオン、ホルムアミジニウムカチオン又はセシウムカチオンが好ましく、色変化抑制の観点から、より好ましくはセシウムカチオンである。これらのカチオンは2種以上を併用してもよい。
前記Aがセシウムカチオンの場合、後述のナノ粒子合成時の原料としては、塩化セシウム、臭化セシウム、よう化セシウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、重炭酸セシウム、ぎ酸セシウム、酢酸セシウム、プロピオン酸セシウム、ピバル酸セシウム、シュウ酸セシウム等の塩が挙げられ、合成方法等に応じて適切なものを使用できる。前記Aが、その他のアルカリ金属カチオンである場合は、上述のセシウム化合物のセシウム元素を、その他のアルカリ金属カチオン元素に置き換えた塩等を原料として用いることが出来る。また、前記Aが、メチルアンモニウムカチオン等の含窒素有機化合物カチオンである場合は、例えばメチルアミン等の塩以外の中性化合物を原料として使用することができる。これらの原料は2種以上を併用してもよい。
[B(2価以上のカチオン)]
Bは2価以上のカチオンであり、2価のカチオン、3価のカチオン又は4価のカチオンが好適に用いられ、より好ましくは2価のカチオンである。
2価のカチオンとしては、例えば、スカンジウムカチオン(Sc2+)、チタンカチオン(Ti2+)、バナジウムカチオン(V2+)、クロムカチオン(Cr2+)、マンガンカチオン(Mn2+)、鉄カチオン(Fe2+)、コバルトカチオン(Co2+)、ニッケルカチオン(Ni2+)、銅カチオン(Cu2+)、パラジウムカチオン(Pd2+)、ユウロピウムカチオン(Eu2+)、イッテルビウムカチオン(Yb2+)等の2価の遷移金属カチオン;又は、マグネシウムカチオン(Mg2+)、カルシウムカチオン(Ca2+)、ストロンチウムカチオン(Sr2+)、バリウムカチオン(Ba2+)、亜鉛カチオン(Zn2+)、カドミウムカチオン(Cd2+)、ゲルマニウムカチオン(Ge2+)、スズカチオン(Sn2+)、鉛カチオン(Pb2+)等の2価の典型金属カチオン;が挙げられる。
これらの中でも、安定な3次元結晶が成長する点で、2価の典型金属カチオンが好ましく、より好ましくはスズカチオン又は鉛カチオンであり、強い発光を得るという観点から、特に好ましくは鉛カチオンである。これらのカチオンは2種以上を併用してもよい。
前記Bが鉛カチオンの場合、後述のナノ粒子合成時の原料としては、塩化鉛、臭化鉛、よう化鉛、酸化鉛、水酸化鉛、硫化鉛、炭酸鉛、ぎ酸鉛、酢酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、オレイン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛、くえん酸鉛、マレイン酸鉛、鉛アセチルアセトナート等の塩が挙げられ、合成方法等に応じて適切なものを使用できる。前記Bが、その他の2価金属カチオンである場合は、上述の鉛化合物の鉛元素を、その他の2価金属カチオン元素に置き換えた塩等を原料として用いることが出来る。これらの原料は2種以上を併用してもよい。
[X(1価アニオン)]
Xはハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオンであり、ハロゲン化物アニオンとしては、フッ化物アニオン(F)、塩化物アニオン(Cl)、臭化物アニオン(Br)、ヨウ化物アニオン(I)等がある。この中でも、塩化物アニオン、臭化物アニオン又はヨウ化物アニオンが、安定な3次元結晶を形成し、可視光域に強い発光を示す観点から好ましい。発光色は、塩化物アニオンが青、臭化物アニオンが緑、ヨウ化物アニオンが赤となる。
前記ハロゲン化物アニオンは2種以上を併用してもよい。特に塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオンを併用した場合、アニオン種の比率に応じて、半導体ナノ粒子の発光を所望する波長とすることができ、狭い半値全幅を維持したまま、青から赤までの可視光のほぼ全領域をカバーする発光スペクトルを得ることができる。
Xは、ハロゲン化物アニオン以外の1価のアニオンを含んでいてもよく、このような1価のアニオンとしては、シアン化物アニオン(CN)、チオシアン酸アニオン(SCN)、イソチオシアン酸アニオン(CNS)等の擬ハロゲン化物アニオンが挙げられる。
後述の微粒子合成時のXの原料としては、前述の、塩化セシウム及び臭化鉛等のように、前記A及びBを対カチオンとした塩や、それ以外のカチオンとの塩等から、合成方法等に応じて適切なものを選択できる。中でも、原料及び半導体ナノ粒子の分散安定性の観点から、テトラアルキルアンモニウムを対カチオンとする塩が好ましい。テトラアルキルアンモニウムを構成する4個のアルキル基は、それぞれ独立に任意の炭素長のアルキル基を選択でき、脂環、芳香環及び極性基等の、さらなる置換基を有していてもよいし、アルキル基同士で環を形成してもよい。
これらの原料は、異なる2種以上を併用してもよい。
前記ハロゲン化物アニオンが塩化物アニオンの場合は、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウム=クロリド、(2−メトキシエトキシメチル)トリエチルアンモニウムクロリド等;
前記ハロゲン化物アニオンが臭化物アニオンの場合は、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラ(デシル)アンモニウムブロミド、テトラドデシルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド、アリルトリエチルアンモニウムブロミド等;
前記ハロゲン化物アニオンがヨウ化物アニオンの場合は、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨ−ジド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラヘプチルアンモニウムヨージド、テトラオクチルアンモニウムヨージド、エチルトリプロピルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリブチルアンモニウムヨージド、トリエチルフェニルアンモニウムヨージド、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンヨージド等:が挙げられる。
<半導体ナノ粒子の製造方法>
本発明の半導体ナノ粒子は、高温中で原料液を混合し、微粒子生成後に急冷して安定な生成物を得るホットインジェクション法、生成物の溶媒への混和性の差を利用して再沈殿により微粒子を得る配位子支援再沈殿法、室温程度の温和な条件下で、Xとなる成分を含まない非ハロゲン化物であるA及びBの原料混合液に、別途調製したXの原料液と混合して微粒子を得る室温合成法、固体原料をミリング等の機械的な混合や超音波処理で反応させ生成物微粒子を得るメカノケミカル法、電子デバイス等の場合に、基板上に原料液塗布後に直接結晶成長させ反応物を得るIn situ合成法等を用いて製造することができる。中でも室温合成法は、安定的に微粒子を製造する観点から好適に用いられる。
また、前記の製造方法の内、液相で行う反応については、バッチ反応法ではなく、フロー反応法を採用することもできる。フロー反応法は、温度等のプロセス条件を短時間で急速に変化させる場合や、原材料の混合を一定のプロセス条件で急速に行う場合には非常に有効である。フロー反応法においては、固体凝集物の析出による流路の閉塞を避けることが重要であるため、Xの原料としては、ハロゲン化物アニオンの溶解性又は分散性を向上させ、且つ、金属ハロゲン化物の析出を抑制する観点から、テトラアルキルアンモニウムを対カチオンとする塩を使用することが好ましい。
[合成時溶媒]
合成時に用いる溶媒の種類としては、原料及び生成物を均一に溶解又は分散でき、原料及び生成物と化学反応を起こさないもの、あるいは一部に固体沈降物や凝集状態が生じても反応進行に影響しないものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)又はジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン(NMP)又はN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド類;エタノールアミン、ジエチルアミン又はトリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;等が挙げられる。
これらは、合成方法等に応じて適切なものを使用することができる。また、1種の溶媒を単独で用いてもよく、2種以上の溶媒を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[分散安定化機能を有する化合物]
本発明の半導体ナノ粒子の製造過程においては、必要に応じて分散安定化機能を有する化合物を用いることが出来る。分散安定化機能を有する化合物としては、特に限定されず、分散剤、界面活性剤、乳化剤などと称される製品も含めて、公知のものを自由に選択し用いることができる。
製造工程における各原料の仕込み比率は、目的とする半導体ナノ粒子であるペロブスカイト結晶の化学量論比に従う必要はない。仕込み時のAとBのモル比(A/B)は、0.5以上1.5以下が好ましい。上記範囲であると、安定に結晶が生成しやすく、生成した微粒子の発光特性が高い。
上記方法で製造された半導体ナノ粒子は、未反応原料や副生成物を取り除き、純度を高めるために、必要に応じて精製することができる。精製方法としては、不純物沈殿のフィルターによる濾過や遠心分離、微粒子と混和性の低い溶媒を使用して微粒子を凝集沈殿させ回収、乾燥による揮発性不純物除去等の方法を用いることができる。
前記の分散安定化機能を有する化合物は、必要に応じて、反応後や、精製後に追加で添加することも可能である。また、合成時のハロゲン化物と別種のハロゲン化物を添加することで、発光色を変えたり、合成時の色ズレを補正することも出来る。
<インク組成物>
本発明のインク組成物は、上述の半導体ナノ粒子と、溶剤及び/又は重合性化合物と、を含み、安定性に優れ、且つ、半値全幅変化率及び量子収率変化率が抑制され発光特性に優れるものである。
[溶剤]
溶剤としては、例えば、トルエン、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、P−クロロトルエン、P−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ターシャルターシャルブタノール、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、及び二塩基酸エステル等が挙げられる。
この内、インクジェットインキとして用いる場合、吐出ヘッドでの乾燥を防ぐために、常圧における沸点が120℃以上の溶剤であることが好ましい。常圧における沸点が120℃以上の溶剤としては、例えば、1,4−ブタンジオール(228℃)、1,3−ブタンジオール(208℃)、2−エチル−1−ヘキサノール(185℃)、ベンジルアルコール(205℃)、ジイソブチルケトン(168℃)、シクロヘキサノン(156℃)、ジアセトンアルコール(168℃)、酢酸ブチル(121℃)、酢酸メトキシブチル(171℃)、酢酸セロソルブ(156℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(146℃)、酢酸アミル(130℃)、乳酸メチル(145℃)乳酸エチル(154℃)、乳酸ブチル(188℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(145℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(125℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(134℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(171℃)、エチレングリコール(197℃)、プロピレングリコール(187℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(121℃)、メトキシメチルブタノール(173℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(162℃)、エチレングリコールジエチルエーテル(121℃)、パークロロエチレン(121℃)、ジクロロベンゼン(180℃)、N−メチル−2−ピロリドン(202℃)、ジメチルホルムアミド(153℃)、3−エトキシプロピオン酸エチル(170℃)、γ−ブチロラクトン(203℃)、ジメチルスルホキシシド(189℃)等が挙げられる。
溶解性から炭化水素系の常圧における沸点が120℃以上の溶剤が好ましく、特に芳香族炭化水素系の常圧における沸点が120℃以上の溶剤が好ましい。
常圧における沸点が120℃以上の炭化水素系溶剤としては、オクタン(125℃)、デカン(174℃)、1−デセン(171℃)、デカヒドロナフタレン(191℃)、ブチルシクロヘキサン(180℃)、2,3,−ジメチルヘプタン(140℃)等が挙げられる。
常圧における沸点が120℃以上の芳香族炭化水素系溶剤としては、キシレン(138℃)、メシチレン(164℃)、メチルナフタレン(245℃)、tert−ブチルベンゼン(168℃)、n−ブチルベンゼン(183℃)等が挙げられる。
また、インクジェットインキとして用いる場合、沸点が120℃未満の溶剤を含有してもよい。含有できる溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、1,4−ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、イソプロピルエーテル)、エチレングリコールジメチルエーテル、塩化メチレン、トリクロロエチレン、フルオロカーボン、ブロモプロパン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。
沸点が120℃未満の溶剤は、揮発分中0〜60%の範囲内で混合することが好ましい。これ以上の含有率では、インクの乾燥が早くなり、インクジェットの吐出が困難になる場合がある。
本発明の微粒子が、合成及び精製終了後に、溶媒を含む分散液状態で提供される場合は、その溶媒をインク組成物の溶剤としてそのまま用いてもよい。濃度調整やインク性状改善のために、必要に応じて、同じ又は別の溶剤を追加することもできる。前記分散液の濃度がインク組成物としての調整濃度より薄い場合や、前記分散液溶媒がインク組成物の性状や用途特性に悪影響を与える恐れがある場合は、その全量又は一部を取り除く必要がある。所作としては、大気圧又は減圧下で、必要に応じて加熱して、溶媒を揮発させる方法、低沸点溶媒を揮発させて、高沸点溶媒などに置換するフラッシング法、溶媒の極性差を利用して、吸着や濾過を行う方法等がある。
[重合性化合物]
本発明においてインク組成物に硬化性を持たせたい場合は、重合性化合物(モノマーともいう)を配合することができる。
重合性化合物としては、炭素−炭素二重結合を一つないし二つ以上有する化合物を挙げることができ、例えば、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、ヒドロキシフェノキシエチルアクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシプロピルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド−2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム等を挙げる事ができるが、これに限定されるものではない。
インクジェットインキとして用いる場合は、上記の化合物のうち出来るだけ低粘度の化合物の比率を上げて使用することが好ましい。
炭素−炭素二重結合を二つ以上有する多官能重合性化合物として、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチル−ルプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられるが、これに限定されるものでは無い。
また、重合性化合物として、上記以外に炭素−炭素二重結合を有し分子量の大きなオリゴマー、プレポリマー等を使用してもよい。オリゴマー、プレポリマーの具体的としては、ダイセルUCB社製「Ebecryl」シリーズ、サートマー社製「CNシリーズ」、BASF社製「Laromerシリーズ」、コグニス社製「フォトマーシリーズ」、根上工業社製「アートレジンシリーズ」、日本合成社製「紫光シリーズ」、日本化薬社製「カヤラッドシリーズ」等が挙げられる。これらは、一種又は必要に応じて二種以上用いても良い。
(光重合開始剤)
本発明において塗工、印刷後に硬化物を形成するために紫外線を使用する際は、インク組成物が、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤等の光重合開始剤を含有することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型又は水素引き抜き型のものが本発明に好適である。分子開裂型の具体例としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、4、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン等が挙げられる。水素引き抜き型光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等がある。
また、前記光ラジカル重合開始剤に対する増感剤として、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン類を併用することもできる。上記光ラジカル重合開始剤や増感剤は、重合性化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、アリールスルホニウム塩誘導体、アリルヨードニウム塩誘導体、アレン−イオン錯体誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤、及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤等が挙げられる。
(熱重合開始剤)
本発明において塗工、印刷後に硬化物を形成するために熱を使用する際は、熱重合開始剤を組成物に配合してもよい。熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、及びアゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物としては、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシエステル、ケトンパーオキシドなどに分類され、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等の一般的な過酸化物を挙げることができる。有機過酸化物のうちラジカル発生速度の小さいものを用いる場合には,三級アミンや,金属脂肪酸塩、樹脂酸塩、キレート化合物などから選ばれる金属化合物のうちの1種又は2種以上を促進剤として用いることができる。無機過酸化物としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等を挙げることができる。
アゾ化合物としては、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等を挙げることができる。
これらの熱ラジカル重合開始剤は1種類又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、例示した熱ラジカル重合開始剤の中には、熱カチオン重合開始剤として機能するものもある。そのような熱によってカチオン重合及びラジカル重合の重合開始剤となりうる化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリル等が挙げられる。さらに、例示した熱ラジカル重合開始剤の中には、光によってラジカル及び/又はカチオンの活性種を発生するものも含まれている。
熱カチオン重合開始剤としては、ルイス酸と電子供与性化合物との錯体、プロトン酸を塩基により中和した化合物、ベンジルスルホニウム塩、ピリジニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、有機金属錯体、アルミニウムキレート錯体、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体、窒素のオニウム塩、イオウのオニウム塩、リンのオニウム塩及びヨードのオニウム塩、4級アンモニウム塩型化合物、スルホニウム塩型化合物、ホスホニウム塩型化合物及びヨードニウム塩型化合物等が挙げられる。
[その他成分]
本発明のインク組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、公知の発光材料や公知の添加剤を添加してもよい。公知の添加剤としては、特に限定されないが、インク性能や製膜性、膜特性、機能性を改善するために、熱架橋性や熱縮合性を有する化合物、樹脂、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、及び、増粘剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤、加水分解防止剤等の種々の添加剤も使用することができる。
熱架橋性や熱縮合性を有する化合物としては、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、アミノ誘導体、シランカップリング剤、α位がメチロール基若しくはアルコキシメチル基で置換されたフェノール樹脂、N位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂又は尿素樹脂等がある。また2種以上の化合物の組合せとしては、ジカルボン酸やその無水物と、ポリオールやポリアミン、エポキシ化合物との反応、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの側鎖を有する樹脂と、ポリイソシアネート化合物との反応が挙げられる。
樹脂としては、石油系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、又はブチラール樹脂等があげられ、塗工、印刷方式や基材により適時選択することができる。また、本発明のインク組成物には、表面張力を調整し印刷基材上でのインクの濡れ性を確保する目的で、界面活性剤を添加してもよい。本発明では、4級アンモニウム塩等の陽イオン性、脂肪酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩等の陰イオン性、ベタイン型等の両性、ポリオキシエチレン系等の非イオン性の何れの界面活性剤も用いることが可能である。
本発明のインク組成物は、光散乱粒子を含有してもよい。光散乱粒子は、塗工物又は印刷物中で光を散乱することで、実質的な光路長を延長し、量子ドットの光吸収効率を向上させたり、変換前の波長の光の透過を妨げるものであれば限定されるものではなく、例えば無機白色顔料、有機白色顔料、ポリマー微粒子等を挙げることができる。また白色の拡散反射散乱以外に粒子間又は粒子−媒質間の屈折率差による散乱を利用してもよい。
<印刷物>
基材上に本発明のインク組成物を印刷、成膜、又は塗布することで、発光性を有する塗工物、印刷物を得ることができる。公知の湿式成膜法、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いて作製することができる。本発明の発光性を有する組成物からなるインク組成物はこれらの印刷、塗布法において好適に使用できる。基材としては、紙、ガラス板や樹脂板等が挙げられる。
このうちインクジェット印刷方式として、基材に対しインクジェットインキを1回だけ吐出して印刷するシングルパス方式、及び、基材の最大幅の間を、基材搬送方向と直行する方向に短尺のシャトルヘッドを往復走査させながら印刷を行うシリアル型方式の何れを採用しても良い。またインクジェット印刷装置としては、インクジェットインキを吐出するインクジェットヘッド(インク吐出手段)と、必要に応じて、インクジェットヘッドから吐出されたインクを乾燥、又は硬化させる工程を備える必要がある。
インクジェット法には特に制限は無く、公知の方法、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方法、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用しインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等の何れであっても良い。
またインクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニアス方式でも構わない。さらに吐出法式としては、電気‐機械変換方式(例:シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアモード型、シェアードウォール型等)、電気‐熱変換方式(例:サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例:電解制御型、スリットジェット型等)、及び放電方式(例:スパークジェット型等)等を具体的な例として挙げる事ができるが、何れの吐出方式を用いても構わない。なお、インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する事ができる。
印刷物を熱硬化させる場合には,熱風オーブン等の空気加熱では通常,60〜150℃で1〜20分間程度の加熱が行なわれる。また、ホットプレート、熱ロール等を使用した接触加熱、赤外線やマイクロ波などによる放射加熱を用いることも出来る。
光硬化させる場合には、紫外線を照射することが好ましい。この場合、光源として、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、ガリウムランプ、LED、及び太陽光を使用することができる。光硬化の際の紫外線は、350nm〜450nmの範囲であることが好ましい。また、紫外線の照射量は、10mJ/cm以上、10000mJ/cm以下であることが好ましい。
基材上に本発明のインク組成物を印刷、成膜、又は塗布することで得られる印刷物は、積層体であっても良い。この場合、複数の層を有し、少なくとも1層が、本発明のインク組成物から形成されてなる層である。フィルム状部材に複数の機能を付与したい場合や、本発明の半導体微粒子組成物からなる層の性能をさらに向上させたい場合は、単層に多種の機能をバランス良く持たせるよりも、機能を上下分離する方が工程や性能上有利な場合も多い。積層体中で、本発明の半導体微粒子組成物を用いて形成される層は発光層であるが、上下層としては、(発光色の異なる)発光層、光吸収層、光散乱層、光反射層、光反射防止層、導電体層、誘電体層、熱伝導層、遮熱層、水や酸素等のバリア層など多種多様な機能層が想定される。硬化型組成物の場合は、上下層の製膜が溶媒塗工型であっても、上層の製膜の際に下層を侵す可能性が小さく、積層体を比較的容易に作製可能である。
本発明のインク組成物を用いて塗工・印刷で形成された層は、光波長変換層として用いることができる。光波長変換層は、励起光を長波長側の蛍光に変換して放出することが可能であり、励起光波長と放出蛍光波長の関係を維持できれば特に制限はなく、例として、青色や紫外光を励起光として用いて緑色や赤色の蛍光を得ることや、紫外光や可視光を励起光として近赤外領域の蛍光を得る事等を挙げることができる。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板が用いられる。透明基板の厚みは特に制限がないが、20μm〜2mmであることが好ましい。20μm以上であると、光波長変換層の形状維持が容易となるため、好ましい。2mm以下であると、透明基板の透明性が維持されるため、好ましい。
光波長変換部材の一形態であるカラーフィルターは、光源からの光を吸収させ、吸収されなかった透過光又は光吸収によって生じた蛍光発光によって所望の波長の光を取り出す際に用いられるものである。特に本発明において量子ドットを使用する場合には、優れた量子収率の蛍光発光を利用することになる。波長変換フィルムとして、基材上に本発明の塗工液又はインク組成物を基材に塗布し、光硬化することで得られ、緑色と赤色の蛍光色を発する量子ドットを含有させた塗工又は印刷フィルムで、主にディスプレイパネルや照明において光源の青色光を白色光に変換する、あるいは色調の整っていない疑似白色光等を所望の色調に調整する平面状の部材である。基材としては、ガラス板や樹脂板等が挙げられる。また、特定波長による蛍光応答を利用することによって、ブランドラベル、1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)、シンボルマーク等にセキュリティ性を持たせることができ、光源の波長を切り替えることで多重化情報を印刷することが可能になる。
また、本発明のインク組成物を用いて塗工・印刷で形成された層は、電界発光素子の発光層として用いることができる。電界発光素子は、陽極と陰極間に一層又は多層を形成した素子から構成されるが、ここで、一層型電界発光素子とは、陽極と陰極との間に発光層のみからなる素子を指す。一方、多層型電界発光素子とは、発光層の他に、発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層等を積層させたものを指す。また、発光層と陽極との間で発光層に隣接して存在し、発光層と陽極、又は発光層と、正孔注入層若しくは正孔輸送層とを隔離する役割をもつ層であるインターレイヤー層を挿入しても良い。通常は高い特性を発現するために、発光層を含む2層以上から構成される。また、前記の各層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良く、いくつかの層が繰り返し積層されていても良い。また、本発明において、電界発光素子の好ましい形態は、発光層が本発明の印刷物から成る電界発光素子であるが、本発明の発光膜を他の層に用いても良い。
電界発光素子の発光層としては、以下の機能を併せ持つものが好適である。
注入機能;電界印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能
輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよい。
本発明のインク組成物に加えても良い公知の発光材料として、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、8−ヒドロキシキノリン系金属錯体等の金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ポリフェニル系化合物、ピロロピロール誘導体、蛍光性芳香族アミン誘導体、カルバゾール系誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物などと、これらが主鎖又は側鎖に組み込んだポリマーを用いることができる。これらの材料は、自らが正孔と電子の再結合のサイトとなり、本発明の発光材料に励起エネルギーを渡すホストとして役割を担う場合と、逆に本発明の発光材料から励起エネルギーを受け取って、添加した前記材料が発光するドーパントとして働く場合がある。また、必要に応じて、電荷の再結合や発光に関与せず、電荷を輸送するのみの材料や、樹脂や重合性化合物のようなバインダーとしてのみの機能を有する材料を添加しても良い。
電界発光素子を作製する方法については、上記の材料及び方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、及び必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で電界発光素子を作製することもできる。
電界発光素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ビーム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、若しくはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかの方法を適用することができる。また、レーザー熱転写法や、印刷(オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)、インクジェット等の方法を適用することもできる。ただし、本発明のインク組成物を用いる発光層は(印刷を含む)湿式成膜法での成膜に限定される。
発光層以外の層に有機化合物を用いる場合は、各層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態又は液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことである。また、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機層を形成することができる。発光層以外の層には、電荷輸送性を有する酸化物等の無機物も使用することが出来る。これらの製膜においては、発光層と同様に分散液を用いた湿式法や、エレクトロスプレー法等を用いることが出来る。
各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
また、電界発光素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしても良い。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
本発明の印刷物を用いた電界発光素子は、低い駆動電圧で長時間の発光を得ることが可能であるため、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや照明等の各種の平面発光体として、更には、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。また、印刷物のその他デバイスへの応用として、太陽電池、トランジスタ、センサー、ローカルエリアでの光通信用の送受信デバイスとしての使用も期待できる。
以下に、実施例より本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲をなんら制限するものではない。特に明記しない限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表す。
<半導体ナノ粒子の合成・分散液の調製>
[実施例1] ナノ粒子分散液PD−1の調製
水酸化セシウム1.68部、酸化鉛(II)2.23部、オレイン酸45部をフラスコに入れ、乾燥窒素気流下で液温130℃に加熱し、原料を溶解した。その後、その温度で暫く保持し、発生する水分を系外に除いた後、予め脱水及び乾燥窒素で酸素脱気したトルエン325部を加え、室温まで冷却し、カチオン原料液を得た。別途、室温下で、テトラオクチルアンモニウムブロミド5.47部、オレイン酸5.6部を、トルエン32.5部に溶解し、アニオン原料液を得た。液温20℃、乾燥窒素下で、カチオン原料液中にアニオン原料液を素早く投入、撹拌し、20秒後に、エタノール160部を投入した。
この反応液を遠心分離し、上澄み液に容積でほぼ等量のアセトンを添加して、再度遠心分離して沈降物を回収した。この沈降物をトルエンに分散して固形分濃度を5質量%に調製し、ナノ粒子分散液PD−1を得た。
[実施例2] ナノ粒子分散液PD−2の調製
酸化鉛(II)2.23部、オレイン酸35部をフラスコに入れ、乾燥窒素気流下で液温130℃に加熱し、原料を溶解した。その後、その温度で暫く保持し、発生する水分を系外に除いた後、予め脱水及び乾燥窒素で酸素脱気したトルエン293部を加え、室温まで冷却した。別途、酢酸メチルアンモニウム0.91部、オレイン酸10部を脱水したテトラヒドロフラン33部で溶解後、先ほどのトルエン溶液に添加し、カチオン原料液を得た。また、アニオン原料液をPD−1と同様に調製し、両原料液を用いてPD−1と同様に合成、調製して、ナノ粒子分散液PD−2を得た。
[実施例3] ナノ粒子分散液PD−3の調製
ナノ粒子分散液PD−1のカチオン原料液及びアニオン原料液をPD−1と同様に調製後、シリンジポンプとY字型合流路を用いて、カチオン原料液9部に対して、アニオン原料液1部の比率で連続的に混合し、さらに20秒後に、この混合液に酢酸エチル5部の比率で連続的に混合した。
この混合液を遠心分離し、上澄み液に容積でほぼ等量のアセトンを添加して、再度遠心分離して沈降物を回収した。この沈降物をトルエンに分散して固形分濃度を5質量%に調製し、ナノ粒子分散液PD−3を得た。
[実施例4〜6] ナノ粒子分散液PD−4〜6の調製
ナノ粒子分散液PD−3のカチオン原料液9部に対するアニオン原料液の比率を、PD−4:1.5部、PD−5:2部、PD−6:3部、に変更した以外は、PD−3と同様にして、ナノ粒子分散液PD−4〜6を得た。
[実施例7] ナノ粒子分散液PD−7の調製
ナノ粒子分散液PD−3のアニオン原料液のハロゲン化物アニオン成分として、テトラオクチルアンモニウムブロミド2.73部、テトラアミルアンモニウムクロリド1.67部を用いる以外はPD−3と同様に合成、調製して、ナノ粒子分散液PD−7を得た。
[実施例8〜11] ナノ粒子分散液PD−8〜11の調製
テトラアミルアンモニウムクロリド1.67部、オレイン酸2.8部を、トルエン16.3部に溶解し、Clアニオン原料液を調製した。別途、テトラオクチルアンモニウムブロミド2.73部、オレイン酸2.8部を、トルエン16.3部に溶解し、Brアニオン原料液を調製した。また、カチオン原料液はPD−1と同様に調製した。
シリンジポンプとY字型合流路を用いて、最初にClアニオン原料液とBrアニオン原料液を、PD−8:0.2部/0.8部、PD−9:0.4部/0.6部、PD−10:0.6部/0.4部、PD−11:0.8部/0.2部、の比率で連続混合した。
この混合アニオン原料液1部に対して、さらにカチオン原料液9部の比率で連続的に混合し、さらに20秒後に酢酸エチル5部の比率で連続的に混合した。
この混合液を遠心分離し、上澄み液に容積でほぼ等量のアセトンを添加して、再度遠心分離して沈降物を回収した。この沈降物をトルエンに分散して固形分濃度を5質量%に調製し、ナノ粒子分散液PD−8〜11を得た。
[実施例12] ナノ粒子分散液PD−12の調製
ナノ粒子分散液PD−3のアニオン原料液のハロゲン化物アニオン成分として、テトラへキシルアンモニウムヨージド4.82部を用いる以外はPD−3と同様に合成、調製して、ナノ粒子分散液PD−12を得た。
[実施例13、14] ナノ粒子分散液PD−13、14の調製
ナノ粒子分散液PD−3のカチオン原料液の水酸化セシウム量を、PD−13:0.84部、PD−14:2.52部、に変更した以外は、PD−3と同様にして、ナノ粒子分散液PD−13、14を得た。
[比較例1] ナノ粒子分散液PD−15の調製
臭化鉛(II)1.38部、オクタデセン79部、オレイン酸0.9部、オレイルアミン0.8部をフラスコに入れ、真空下、120℃で1時間乾燥した。その後170℃まで昇温し、別途、0.61部の炭酸セシウムと、1.8部のオクタデセン、及び0.24部のオレイン酸を150℃で加熱することで調製したオレイン酸セシウムのオクタデセン溶液を、フラスコ中に素早く投入した。直ちに室温まで急冷し、反応液を遠心分離後、沈降物をトルエンに分散して固形分濃度を5質量%に調製し、ナノ粒子分散液PD−15を得た。
[比較例2] ナノ粒子分散液PD−16の調製
ナノ粒子分散液PD−1のカチオン原料液及びアニオン原料液をPD−1と同様に調製、反応させた。混合20秒後に、アセトン160部を投入した。生じた沈降物を遠心分離で回収し、トルエンに分散して固形分濃度を5%に調製し、ナノ粒子分散液PD−16を得た。
[比較例3] ナノ粒子分散液PD−17の調製
ナノ粒子分散液PD−7の合成において、2種の原料液の連続混合時点から20秒後に酢酸エチルを連続混合するのではなく、アセトン中に滴下して、沈降物を生成させた。生じた沈降物を遠心分離で回収し、トルエンに分散して固形分濃度を5%に調製し、ナノ粒子分散液PD−17を得た。
<半導体ナノ粒子の評価>
得られたナノ粒子分散液を用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
[A/Bモル比解析]
半導体ナノ粒子のAとBのモル比(A/B)は、X線光電分析(XPS)より求めた。装置、測定条件は以下の通りである。
測定装置:K−Alpha(サーモフィッシャー社製)
照射径:400μm×250μm
試料:分散液をシリコンウェハー上にキャストし乾燥し作製
各イオンの下記の電子軌道からの光電子スペクトルピークの面積比より、AとBのモル比(A/B)を算出した。
1価カチオン(A) :N(1s)、Cs(3d5/2)
1価カチオン(B) :Pb(4f)
[発光特性評価]
半導体ナノ粒子分散液について、分散液調製直後と大気下室温(25℃)で3日間放置した後と、において、発光ピーク波長、半値全幅及び内部量子収率(以下QYという)を測定した。発光ピーク波長及び半値全幅は、内部量子収率(QY)の算出の元となる発光スペクトルの値であり、内部量子収率(QY)は、ナノ粒子が吸収した励起光子数を1とした時の蛍光発光の光子数である。
各分散液は、励起光波長での光吸収率が0.2〜0.3の間に収まるようトルエンを用いて希釈調製したものを用いた。測定条件を以下に示す。
≪測定条件≫
測定装置:大塚電子(株)量子効率測定装置QE−2000
励起光波長:350nm(発光ピーク波長が450nm未満)
400nm(発光ピーク波長が450nm以上600nm未満)
550nm(発光ピーク波長が600nm以上)
励起光積分範囲:励起光波長±25nm
発光積分範囲:(励起光波長+30)nm〜800nm
各々について、経時変化率を算出し、以下の基準で評価した。△及び×は実用可能レベルに達していない。
(発光ピーク波長変化率)
◎:±0.2%以内(極めて良好)
○:±0.2%の範囲外、且つ、±0.5%以内(良好)
△:±0.5%の範囲外、且つ、1.0%以内(不良)
×:±1.0%の範囲外(極めて不良)
(半値全幅変化率)
◎:±0.5%以内(極めて良好)
○:±0.5%の範囲外、且つ、±2.0%以内(良好)
△:±2.0%の範囲外、且つ、±5.0%以内(不良)
×:±5.0%の範囲外(極めて不良)
(QY変化率)
◎:±4.0%以内(極めて良好)
○:±4.0%の範囲外、且つ、±10.0%以内(良好)
△:±10.0%の範囲外、且つ、±25.0%以内(不良)
×:±25.0%の範囲外(極めて不良)
表1中の略称を以下に示す。
MA:メチルアンモニウム
なお、表1のA、B及びXのモル比率は、各実施例及び比較例に記載の原料液部数で混合した時の、Bを1.0としたA及びXのモル比率を表す。
<インクジェット用インク組成物の作製>
(樹脂溶液の作製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にキシレン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート18.0部、メタクリル酸メチル12.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、質量平均分子量(Mw)26,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、樹脂溶液の不揮発分が25質量%になるようにキシレンを添加して樹脂溶液を調製した。
[実施例15、16] IJ−1、2の調整
密閉できる容器に、表2に示した半導体ナノ粒子分散液を2部、上記の樹脂溶液を1部、溶剤としてトリメチルベンゼンを30部の順番で計量し、その後、密閉して3分間振とうして、溶剤型のインクジェット用インク組成物(IJ−1、2)を調整した。
[実施例17、18] UVIJ−1、2の調整
密閉できる容器に、表2に示した半導体ナノ粒子分散液を5部、フェノキシエチルアクリレートを1部、ジプロピレングリコールジアクリレートを1部、2−[4−(メチルチオ)ベンゾイル]−2−(4−モルホリニル)プロパンを0.4部、2,4−ジエチルチオキサントンを0.1部の順番で計量し、その後、密閉して3分間振とうして、UV硬化型のインクジェット用インク組成物(UVIJ−1、2)を調整した。
<インクジェット用インク組成物の評価>
表2のインク組成物を用いて、以下の印刷条件で印刷物を作製した。溶剤型のインク組成物は、印刷後に40℃20分乾燥を行った。UV硬化型のインク組成物は、印刷後にアルゴン置換したグローブボックス内に設置した385nmLED照射機にて、積算光量1000mJ/cm(UVA換算)を照射してUV硬化を行った。
各インク組成物は、いずれもインク外観及び吐出性に問題はなく、得られた印刷物における乾燥膜及びUV硬化膜は、べたつきがないことを確認した。
≪印刷条件≫
印刷機:DimatixMaterialsPrinter
カートリッジ:10DimatixMaterialsCartriges、10pL
印刷パターン:1mm間隔の格子模様
基板:丸カバーガラス・松浪ガラス工業製
基板温度:30℃
表1は、本発明の半導体ナノ粒子は、非常に狭い半値全幅を有するとともに、発光ピーク波長、半値全幅、量子収率(発光強度)のいずれにおいても経時変化が非常に小さいことを示している。これはペロブスカイト結晶の表面にセシウムカチオンが多く存在するために結晶の安定性が増したと推定される。また、本発明の半導体ナノ粒子を含むインク組成物は、インクジェット用インクとして有用であった。
上記結果により、本発明の半導体ナノ粒子は、高い発光特性と高色純度に加え、高い経時安定性を有しており、これを印刷物に用いることにより、カラーフィルター等の光波長変換部材や、特定波長による蛍光応答を利用するセキュリティインク、電界発光素子等の電子デバイス等に適用することができる。

Claims (7)

  1. A、B及びXを構成成分とするペロブスカイト結晶構造を有する半導体ナノ粒子であって、Aは1価のカチオンを表し、Bは2価以上のカチオンを表し、Xはハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオンを表し、AとBのモル比(A/B)が1.2以上2.0以下である半導体ナノ粒子。
  2. 350nm〜650nmの範囲内にある波長の光が照射されたときに得られる発光スペクトルにおいて、発光のピーク波長が400nm〜700nmの範囲内にあり、半値全幅が下記一般式(1)を満たす、請求項1に記載の半導体ナノ粒子。
    一般式(1):
    FWHM (nm)≦ 0.045×Lmax (nm)
    (一般式(1)中、FWHMは半値全幅、Lmaxは発光のピーク波長を表す。)
  3. 前記Aがセシウムカチオンである、請求項1又は2に記載の半導体ナノ粒子。
  4. 前記Xが2種以上のハロゲン化物アニオンを含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の半導体ナノ粒子。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載の半導体ナノ粒子と、溶剤及び/又は重合性化合物と、を含むインク組成物。
  6. インクジェット用インクとして用いられる、請求項5に記載のインク組成物。
  7. 請求項5又は6に記載のインク組成物より形成される印刷物。
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